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JP2004137479A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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東田 昇
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Abstract

【課題】柔軟性、高温下でのゴム弾性に優れ、幅広い硬度領域を持ち得、更に高温耐クリープ性能、機械的強度、耐油性、耐溶剤性、耐熱性、耐候性、表面特性等に優れる成形品を製造可能な熱可塑性エラストマー組成物の提供。
【解決手段】(i)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAを少なくとも1個、および共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBを少なくとも1個含有するブロック共重合体を水素添加し、該ブロック共重合体のヨウ素価が10〜40g/100gの範囲である重量平均分子量20万以上の水添ブロック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)、有機パーオキサイド(d)および架橋助剤(e)を含有し;かつ、(ii)非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の配合量が50〜250質量部であり;および、(iii)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)の配合量が、20〜300質量部である;ことからなる混合物を、動的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】なし

Description

 本発明は柔軟性に優れ、かつゴム弾性、特に高温下でのゴム弾性に優れていて(例えば100〜120℃の温度における圧縮永久歪みが小さい)、しかも、幅広い硬度領域を持ち得、高温での耐クリープ性能、機械的強度、耐油性、耐溶剤性、耐熱性、耐候性に優れる熱可塑性エラストマー組成物に関する。本発明の方法によって得られる熱可塑性エラストマー組成物は、それらの優れた特性を活かして、各種成形品用の材料として有効に利用できる。
 熱可塑性エラストマーは、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様に成形加工が可能であることから、近年、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療部品、履物、雑貨等の広い分野で使用されている。このような熱可塑性エラストマーの中で、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体(SBS)やポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体(SIS)、それらの水素添加物(水添物)で代表されるスチレン系熱可塑性エラストマーは、安価で耐加水分解性に優れることから広く用いられている。
 ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体の水素添加物(水添物)や、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体の水素添加物(水添物)に代表される、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン化合物重合体ブロックを含有するブロック共重合体の水素添加物(水添物)は、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン化合物重合体ブロックを含有するブロック共重合体における耐熱性、耐候性等の問題点を改良したものであるが、高温下のゴム弾性に劣っていて、高温下(例えば100〜120℃の温度)の圧縮永久歪みが大きいという問題がある。
 上記の点を改良すべく、かかるビニル芳香族化合物重合体ブロック−共役ジエン化合物重合体ブロックよりなるブロック共重合体の水素添加物(水添物)を、a)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂と、b)パーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴムまたはパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂との併用下に、有機パーオキサイドを用いて部分架橋させる方法が提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。
 より詳細には、特許文献1には、(イ−1)ビニル芳香族化合物重合体ブロック2個以上と共役ジエン化合物重合体ブロック1個以上を含有するブロック共重合体の水素添加物100質量部、(イ−2)パーオキサイド架橋型オレフィン系共重合体ゴム20〜150質量部、(イ−3)パーオキサイド非架橋型炭化水素系ゴム状物質0〜50質量部、(イ−4)非芳香族系ゴム用軟化剤80〜300質量部、(イ−5)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂30〜400質量部、および(イ−6)無機充填剤0〜900質量部の各成分を、まず(イ−1)を除く各成分のうち、少なくとも(イ−2)の全量を有機パーオキサイドの存在下に熱処理して動的架橋せしめ、次いでこの動的架橋物と残りの成分とを配合するエラストマー状組成物の製造方法が開示されている。そして、この特許文献1には、前記した多段階の部分架橋−配合工程を採用しない場合は、エラストマー状組成物の機械的強度が大幅に低下する旨の説明がなされている。
 また、特許文献2には、(ロ−1)ビニル芳香族化合物重合体ブロック2個以上と共役ジエン化合物重合体ブロック1個以上を含有するブロック共重合体および/またはその水素添加物100質量部、(ロ−2)非芳香族系ゴム用軟化剤40〜300重量部、(ロ−3)パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂および/またはそれを含む共重合体ゴム1.0〜100質量部、(ロ−4)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂および/またはそれを含む共重合体10〜150質量部を含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法において、成分(ロ−1)および(ロ−2)、成分(ロ−3)の少なくとも一部、並びに成分(ロ−4)の一部を、有機パーオキサイドの存在下に熱処理して架橋し、次いでその架橋物と成分(ロ−4)の残部、または成分(ロ−3)と成分(ロ−4)の残部とを配合する熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法が開示されている。そして、この公報には、有機パーオキサイドの存在下で動的架橋した組成物と、後で配合する成分(ロ−4)とが相溶して組成物中にミクロ分散し、得られる熱可塑性エラストマー樹脂組成物の加工特性、流動性、機械的強度などが向上する旨の説明がなされている。
 しかしながら、上記した2つの特許文献に記載されている方法は、いずれも、各成分を最終配合割合で一度に動的架橋させることはできず、構成成分の一部を動的架橋させた後に、残りの成分を配合することが必要であるため、熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造工程が非常に煩雑であるとともに、特に高温下でのゴム弾性(例えば100〜120℃の温度における圧縮永久歪み特性)の点で未だ不十分である。
 また、特定の水添率を有する、ビニル芳香族化合物重合体ブロックおよび共役ジエン化合物重合体ブロックよりなるブロック共重合体の水素添加物を、a)ポリオレフィン樹脂と、b)反応型アルキルフェノール/ホルムアルデヒド樹脂、および必要に応じてハイドロタルサイト類化合物の存在下に動加硫された熱可塑性エラストマー組成物が提案されている(特許文献3参照)。
 より詳細には、特許文献3には、(ハ−1)少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体を水素添加し、該共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合の水素添加率が60%を超え、85%未満である水添ブロック共重合体100質量部、(ハ−2)非芳香族系ゴム用軟化剤20〜200質量部、(ハ−3)ポリオレフィン樹脂15〜150質量部、(ハ−4)反応型アルキルフェノール/ホルムアルデヒド樹脂0.3〜30質量部、(ハ−5)ハイドロタルサイト類化合物0〜50質量部の各成分を配合し、加熱混練して得られる動加硫された熱可塑性エラストマー組成物が開示され、かかる組成物は熱可塑性エラストマーとしての加工性、スクラップのリサイクル使用の可能性を有しながら、高温下の耐圧縮永久歪み特性および機械強度に優れ、かつ良好な耐候性および耐油性を有する旨が記載されている。
 しかし、特許文献3の熱可塑性エラストマー組成物では、高温下での圧縮永久歪み特性に優れる組成物を作製しようとする場合、動加硫する際に加硫促進剤として塩化第一錫などの金属ハロゲン化物、塩素化ポリエチレンなどの有機ハロゲン化物または酸化亜鉛などの重金属化合物を配合する必要があり、安全性の面から好ましくない。また、特許文献3の熱可塑性エラストマー組成物は、JIS K−6253に基づくタイプAでの硬度が50以上と高く、幅広い硬度領域の組成物を作製することができない。
特開昭59−6236号公報 特開平8−225713号公報 特開平5−302012号公報
 しかして、本発明の目的は、ビニル芳香族化合物重合体ブロックおよび共役ジエン化合物重合体ブロックよりなるブロック共重合体、非芳香族系ゴム用軟化剤およびパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂を含む混合物を有機パーオキサイドの存在下に動的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物において、上記特許文献1および特許文献2に記載されている従来技術におけるような多段階の部分架橋−配合工程を必ずしも必要とせず、一段を含む任意の加熱混練工程で得ることのできる、諸物性に優れる動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。特に、一段の簡単な加熱混練工程で、柔軟性に優れ、かつゴム弾性、特に高温下でのゴム弾性に優れていて(例えば100〜120℃の温度における圧縮永久歪みが小さい)、特許文献3の組成物では達成し得ない幅広い硬度領域を持ち得、更に高温クリープ性能、機械的強度、耐油性、耐溶剤性、耐熱性、耐候性、表面特性などに優れる成形品などを製造することのできる、動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
 本発明者らは上記の目的を達成すべく検討を重ねた。その結果、ビニル芳香族化合物重合体ブロックおよび共役ジエン化合物重合体ブロックを含有するブロック共重合体の水素添加物、非芳香族系ゴム用軟化剤およびパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂、ならびに場合によりビニル芳香族化合物重合体ブロックおよび共役ジエン化合物重合体ブロックを含有するブロック共重合体を含む混合物を有機パーオキサイドの存在下に動的架橋して熱可塑性エラストマー組成物を製造するに当たって、ビニル芳香族化合物重合体ブロックおよび共役ジエン化合物重合体ブロックを含有するブロック共重合体の水素添加物として特定の範囲のヨウ素価(水素添加率)であってかつ特定の範囲の分子量を有するものを用いると共に、ブロック共重合体の水素添加物、非芳香族系ゴム用軟化剤およびパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂、ならびに場合によりビニル芳香族化合物重合体ブロックおよび共役ジエン化合物重合体ブロックを含有するブロック共重合体の配合量を特定の範囲にすると、従来技術におけるような多段階の動的架橋−配合工程が不要となり、一段の加熱混練工程で、良好な諸物性を兼ね備える動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物が得られることを見出した。
 特に、そのような一段の加熱混練工程によって得られる動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物およびそれから得られる成形品は、柔軟性に優れ、しかもゴム弾性、特に高温下(例えば100〜120℃の温度)でのゴム弾性に優れていて、高温下で長時間圧縮されても圧縮永久歪みが小さく、その上幅広い硬度領域を持ち得、高温での耐クリープ性能、機械的強度、耐油性、耐溶剤性、耐熱性(例えば200℃における着色度合い)、耐候性などの特性に優れ、更には表面荒れや表面への軟化剤のブリードアウトがなく、良好な外観を有することを見出した。
 さらに、本発明者らは、その際に、ブロック共重合体の水素添加物として共役ジエン重合体ブロックがブタジエンとイソプレンからなる重合体ブロックであるものが好ましく用いられ、有機パーオキサイドおよび架橋助剤の配合量を特定の範囲にすることが好ましく、また非芳香族系ゴム用軟化剤として特定の動粘度を有するものが好ましく用いられることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
 すなわち、本発明は、
(1) (i)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAを少なくとも1個および共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBを少なくとも1個含有するブロック共重合体を水素添加し、該ブロック共重合体のヨウ素価が10〜40g/100gの範囲である重量平均分子量20万以上の水添ブロック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)、有機パーオキサイド(d)および架橋助剤(e)を含有し;かつ、
(ii)非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の配合量が水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して50〜250質量部であり;および、
(iii)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)の配合量が、水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して20〜300質量部である;
ことからなる混合物を、動的架橋してなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物である。
 本発明は、
(2) 前記水添ブロック共重合体(a)における共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBが、ブタジエンおよびイソプレンからなる重合体ブロックである前記(1)の熱可塑性エラストマー組成物;
(3) 有機パーオキサイド(d)の配合量が、前記水添ブロック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)およびパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)の合計100質量部に対して0.3〜3質量部であり、かつ架橋助剤(e)の配合量が有機パーオキサイド(d)の配合量に対して0.5〜3質量倍である前記(1)または(2)の熱可塑性エラストマー組成物;および
(4) 非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃における動粘度(Bv)(mm/s)が、下記の数式〔1〕を満たす、前記(1)〜(3)のいずれかの熱可塑性エラストマー組成物;
   Bv(mm/s)≧3×10/Mwa        〔1〕
[上記式中、Bvは非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃における動粘度、Mwaは水添ブロック共重合体(a)の重量平均分子量を示す。];
を好ましい態様として包含する。
 また、本発明は、
(5) 水添ブロック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)、有機パーオキサイド(d)および架橋助剤(e)の全量を含む混合物を一段の工程で加熱下に溶融混練して動的架橋することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかの熱可塑性エラストマー組成物;である。
 さらに、本発明は、
(6) (i)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAを少なくとも1個および共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBを少なくとも1個含有するブロック共重合体を水素添加し、該ブロック共重合体のヨウ素価が10〜40g/100gの範囲である重量平均分子量20万以上の水添ブロック共重合体(a)、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA1を少なくとも1個および共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB1を少なくとも1個含有するブロック共重合体(a1)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)、有機パーオキサイド(d)および架橋助剤(e)を含有し;かつ、
(ii)水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)との質量比が99:1〜86:14であり;
(iii)非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の配合量が、水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)との合計100質量部に対して50〜250質量部であり;
(iv)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)の配合量が、水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)との合計100質量部に対して20〜300質量部である;
ことからなる混合物を、動的架橋してなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物である。
 本発明は、
(7) 前記ブロック共重合体(a1)における共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB1を構成する結合単位のうち、1,2−結合単位および3,4−結合単位の合計が30〜95モル%である前記(6)の熱可塑性エラストマー組成物;
(8) 有機パーオキサイド(d)の配合量が、前記水添ブロック共重合体(a)、ブロック共重合体(a1)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)およびパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)の合計100質量部に対して0.3〜3質量部であり、かつ架橋助剤(e)の配合量が有機パーオキサイド(d)の配合量に対して0.5〜3質量倍である前記(6)または(7)の熱可塑性エラストマー組成物;および
(9) 非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃における動粘度(Bv)(mm/s)が、下記の数式〔1〕を満たす、前記(6)〜(8)のいずれかの熱可塑性エラストマー組成物;
   Bv(mm/s)≧3×10/Mwa        〔1〕
[上記式中、Bvは非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃における動粘度、Mwaは水添ブロック共重合体(a)の重量平均分子量を示す。];
を好ましい態様として包含する。
 そして、本発明は、
(10) 水添ブロック共重合体(a)、ブロック共重合体(a1)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)、有機パーオキサイド(d)および架橋助剤(e)の全量を含む混合物を一段の工程で加熱下に溶融混練して動的架橋することを特徴とする、上記(6)〜(9)のいずれかの熱可塑性エラストマー組成物;である。
 本発明によれば、柔軟性、ゴム弾性、特に高温(例えば100〜120℃の温度)下でのゴム弾性に優れていて圧縮永久歪みが小さく、幅広い硬度領域を持ち得、更に高温での耐クリープ性能、機械的強度、耐油性、耐溶剤性、耐熱性、耐候性、表面特性などに優れる成形品などを製造可能な動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
 以下に本発明について詳細に説明する。
 本発明で使用する水添ブロック共重合体(a)は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAを少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBを少なくとも1個含有するブロック共重合体を水素添加し、該ブロック共重合体のヨウ素価が10〜40g/100gの範囲である重量平均分子量20万以上の水添ブロック共重合体である。
 水添ブロック共重合体(a)において、重合体ブロックAを構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどを挙げることができ、重合体ブロックAはこれらのビニル芳香族化合物の1種または2種以上から形成されていることができる。そのうちでも、重合体ブロックAはスチレン、またはp−メチルスチレンから形成されていることが好ましい。
 重合体ブロックAは、本発明の目的および効果の妨げにならない限りは、場合により、ビニル芳香族化合物以外の不飽和単量体(例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニルなど)に由来する構造単位の1種または2種以上を少量(好ましくは重合体ブロックAの10質量%以下)有していてもよい。
 また、水添ブロック共重合体(a)における重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどを挙げることができ、重合体ブロックBはこれらの共役ジエン化合物の1種または2種以上から形成されていることができる。それらのうちでも、重合体ブロックBはブタジエンおよびイソプレンの両方から形成されていることが特に好ましい。重合体ブロックBがブタジエンおよびイソプレンの両方から形成されていると、熱可塑性エラストマー組成物から得られる成形体の表面のべとつきがなくなり、また重合体ブロックBがブタジエン単独やイソプレン単独から形成される場合に比べて、水添ブロック共重合体(a)における非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の保持力が大きくなり、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)のブリードアウトが抑制できる。
 重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物の結合形態は特に制限されない。例えば、ブタジエンの場合は、1,2−結合および/または1,4−結合、イソプレンの場合は1,2−結合、3,4−結合および/または1,4−結合をとることができ、それらのいずれの結合形態であってもよい。そのうちでも、重合体ブロックBがブタジエンから形成されている場合は、1,2−結合単位の割合が20〜70モル%および1,4−結合単位の割合が30〜80モル%であることが好ましい。また、重合体ブロックBがイソプレンから形成されているか、またはブタジエンおよびイソプレンの両方から形成されている場合は、1,2−結合単位および3,4−結合単位の合計が5〜70モル%であるのが好ましく、5〜30モル%であることが特に好ましい。
 また、重合体ブロックBが2種以上の共役ジエン化合物(例えばブタジエンとイソプレン)から形成されている場合は、それらの結合形態は、完全交互、ランダム、テーパード、またはそれら2種以上の組み合わせからなることができる。
 水添ブロック共重合体(a)における重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物において、該共役ジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の水素添加率の指標であるブロック共重合体のヨウ素価は、10〜40g/100gの範囲である必要がある。かかるヨウ素価は、得られる熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性、耐候性、高温下でのゴム弾性、高温での耐クリープ性能などの諸物性の観点から、10〜30g/100gの範囲であることが好ましく、10〜20g/100gの範囲であることがより好ましい。該ヨウ素価が40g/100gを超える場合には得られる熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性(例えば200℃における着色度合いおよび100〜120℃の温度下でのゴム弾性)や耐候性が低下し、一方、10g/100g未満である場合には得られる熱可塑性エラストマー組成物の高温下(例えば100〜120℃の温度)でのゴム弾性が低下し満足のいく性能を有する熱可塑性エラストマー組成物を得ることができない。
 なお、本明細書において、ブロック共重合体(a)におけるヨウ素価は、以下のヨウ素還元滴定により測定した値を意味する。すなわち、三角フラスコ中に水添ブロック共重合体(a)の適量(約0.1g〜1g)を正確に秤量して、クロロホルム100mlを加えて完全に溶解させ、次いでウィス液(0.1Nの一塩化ヨウ素−酢酸溶液)20mlを加え静かに振り混ぜ、光を遮り室温で30分静置させる。この溶液に0.1g/mlのヨウ化カリウム水溶液を20mlおよび水100mlを加えた後、遊離したヨウ素の量を0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液で逆滴定し、下記式によってヨウ素価(I:g/100g)を求める。この際、1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液による逆滴定の終点は、水相およびクロロホルム相を目視観察し、共に無色であると判断する点とする。なお、水添ブロック共重合体(a)を加えずに同様の操作を行い、そのときの0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液の滴定量(ml)をブランク値とする。
    I=(B−C)×f×1.269/S
     I:ヨウ素価(g/100g)
     S:秤量した水添ブロック共重合体(a)の重量(g)
     B:0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液のブランク滴定量(ml)
     C:0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液の滴定量(ml)
     f:0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液のファクター
 重合体ブロックBは、本発明の目的および効果の妨げにならない限りは、場合により、共役ジエン化合物以外の不飽和単量体(例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、メチルビニルエーテル、スチレン、メタクリル酸メチル、酢酸ビニルなど)に由来する構造単位の1種または2種以上を少量(好ましくは重合体ブロックBの10質量%以下)有していてもよい。
 水添ブロック共重合体(a)は、少なくとも1個の重合体ブロックAと少なくとも1個の重合体ブロックBとが結合したブロック共重合体の水素添加物(水添物)である限りは、その重合体ブロックの結合様式は限定されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらの2つ以上が組み合わさった結合形式のいずれでもよい。それらのうちでも、重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合形式は直鎖状であることが好ましく、例としては、重合体ブロックAをAで、また重合体ブロックBをBで表したときに、A−Bのジブロック共重合体の水添物、A−B−Aのトリブロック共重合体の水添物、A−B−A−Bのテトラブロック共重合体の水添物、A−B−A−B−A、B−A−B−A−Bのペンタブロック共重合体の水添物などを挙げることができる。それらのうちでも、A−B−Aのトリブロック共重合体の水添物が、ブロック共重合体の製造の容易性、柔軟性、ゴム弾性などの点から好ましく用いられる。
 水添ブロック共重合体(a)におけるビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量は、熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度、柔軟性などの点から10〜65質量%の範囲にあることが好ましく、15〜35質量%の範囲内であることがより好ましい。なお、水添ブロック共重合体(a)におけるビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量は、H−NMRスペクトルなどにより求めることができる。
 そして、水添ブロック共重合体(a)は、水添後の重量平均分子量が20万以上であることが必要であり、25万以上であることがより好ましい。水添ブロック共重合体(a)の重量平均分子量が20万未満であると、本発明の方法で製造される熱可塑性エラストマー組成物の高温下でのゴム弾性が低下する。水添ブロック共重合体(a)の重量平均分子量の上限は特に制限されないが、本発明の方法で製造される熱可塑性エラストマー組成物の加工性の点から50万以下であることが好ましい。
 なお、本明細書でいう重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の分子量である。
 水添ブロック共重合体(a)は、本発明の主旨を損なわない限り、場合により、分子鎖中および/または分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基などの官能基の1種または2種以上を有していてもよい。
 本発明で用いる水添ブロック共重合体(a)の製法は特に制限されず、例えば、次のような従来既知のアニオン重合法によって製造することができる。すなわち、アルキルリチウム化合物を開始剤として、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の重合反応に不活性な有機溶媒中で、ビニル芳香族化合物、共役ジエン化合物を逐次重合、またはカップリング等の方法でブロック共重合体を形成する。次いで、得られたブロック共重合体を、既知の方法に従って不活性有機溶媒中で水素添加触媒の存在下で水素添加(水添)することにより、水添ブロック共重合体(a)を製造することができる。
 なお、水添ブロック共重合体(a)の製造に際し、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBを構成する該共役ジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合の水素添加率の指標であるブロック共重合体のヨウ素価を10〜40g/100gの範囲に制御する方法としては、当業者が通常行う方法を採用することができる。例えば、反応温度、反応時間などの反応条件を適宜調節すること、また水素添加触媒の使用量、例えば水素添加触媒としてニッケル化合物/有機アルミニウム化合物を併用するチーグラー系触媒を用いる場合は、ニッケル化合物に対して有機アルミニウム化合物の使用量を低減すること、さらに、適宜反応液のサンプリングを行って水素添加反応の進行度合いを調べ、目標とする水素添加率とすることなどで行うことができる。
 本発明で場合により使用するブロック共重合体(a1)は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA1を少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB1を少なくとも1個含有するブロック共重合体である。
 ブロック共重合体(a1)において、重合体ブロックA1を構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどを挙げることができ、重合体ブロックA1はこれらのビニル芳香族化合物の1種または2種以上から形成されていることができる。そのうちでも、重合体ブロックA1はスチレンまたはp−メチルスチレンから形成されていることが好ましい。
 重合体ブロックA1は、本発明の目的および効果の妨げにならない限りは、場合により、ビニル芳香族化合物以外の不飽和単量体(例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、メチルビニルエーテル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニルなど)に由来する構造単位の1種または2種以上を少量(好ましくは重合体ブロックA1の10質量%以下)有していてもよい。
 また、ブロック共重合体(a1)における重合体ブロックB1を構成する共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどを挙げることができ、重合体ブロックB1はこれらの共役ジエン化合物の1種または2種以上から形成されていることができる。それらのうちでも、重合体ブロックB1はブタジエンおよび/またはイソプレンから形成されていることが特に好ましく、得られる熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性(例えば、200℃における着色度合い)の観点から、イソプレンから形成されていることが特に好ましい。
 重合体ブロックB1における共役ジエン化合物の結合形態は特に制限されない。例えば、ブタジエンの場合は、1,2−結合および/または1,4−結合、イソプレンの場合は1,2−結合、3,4−結合および/または1,4−結合をとることができ、それらのいずれの結合形態であってもよい。そのうちでも、重合体ブロックBがブタジエンから形成されている場合は、得られる組成物の耐熱性(例えば100〜120℃の温度におけるゴム弾性)の観点から、1,2−結合単位の割合が0〜95モル%および1,4−結合単位の割合が5〜100モル%であることが好ましい。また、重合体ブロックB1がイソプレンから形成されているか、またはブタジエンおよびイソプレンの両方から形成されている場合は、得られる組成物の耐熱性(例えば100〜120℃の温度におけるゴム弾性)の観点から、3,4−結合単位および1,2−結合単位の合計が30〜95モル%であるのが好ましく、45〜95モル%であることが特に好ましい。
 また、重合体ブロックB1が2種以上の共役ジエン化合物(例えばブタジエンとイソプレン)から形成されている場合は、それらの結合形態は、完全交互、ランダム、テーパード、またはそれら2種以上の組み合わせからなることができる。
 なお、ブロック共重合体(a1)における重合体ブロックB1の結合形態を制御するために、重合の際に共触媒として例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン、N−メチルモルホリンなどのアミン類などのルイス塩基を添加することができる。
 これらのルイス塩基は、1種類を単独で添加しても2種以上を混合して添加してもよい。ルイス塩基の添加量は、上記した重合体ブロックB1を構成する共役ジエン化合物単位の結合形態をどの程度制御するかにより決定され、厳密な意味での制限はないが、通常、開始剤として用いるアルキルリチウム化合物またはジリチウム化合物に含有されるリチウム1グラム原子あたり0.1〜1000倍モルの範囲であり、1〜100モルの範囲であるのがより好ましい。
 重合体ブロックB1は、本発明の目的および効果の妨げにならない限りは、場合により、共役ジエン化合物以外の不飽和単量体(例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、メチルビニルエーテル、スチレン、メタクリル酸メチル、酢酸ビニルなど)に由来する構造単位の1種または2種以上を少量(好ましくは重合体ブロックB1の10質量%以下)有していてもよい。
 ブロック共重合体(a1)は、少なくとも1個の重合体ブロックA1と少なくとも1個の重合体ブロックB1とが結合したブロック共重合体である限りは、その重合体ブロックの結合様式は限定されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれらの2つ以上が組み合わさった結合形式のいずれでもよい。それらのうちでも、重合体ブロックA1と重合体ブロックB1の結合形式は直鎖状であることが好ましく、例としては、重合体ブロックA1をA1で、また重合体ブロックB1をB1で表したときに、A1−B1のジブロック共重合体、A1−B1−A1のトリブロック共重合体、A1−B1−A1−B1のテトラブロック共重合体、A1−B1−A1−B1−A1、B1−A1−B1−A1−B1のペンタブロック共重合体などを挙げることができる。それらのうちでも、A1−B1−A1のトリブロック共重合体が、ブロック共重合体の製造の容易性、柔軟性、ゴム弾性などの点から好ましく用いられる。
 ブロック共重合体(a1)におけるビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量は、熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度、柔軟性などの点から10〜65質量%の範囲にあることが好ましく、15〜35質量%の範囲内であることがより好ましい。なお、ブロック共重合体(a1)におけるビニル芳香族化合物に由来する構造単位の含有量は、H−NMRスペクトルなどにより求めることができる。
 ブロック共重合体(a1)の重量平均分子量には特に制限はないが、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の加工性およびかかる組成物からなる成形品のブツ(成形品における微小欠陥)の低減の観点から、通常5万〜20万の範囲であることが好ましく、5万〜15万の範囲であることがより好ましい。なお、本明細書でいう重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の分子量である。
 ブロック共重合体(a1)は、本発明の主旨を損なわない限り、場合により、分子鎖中および/または分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基などの官能基の1種または2種以上を有していてもよい。
 本発明で場合により用いる水添ブロック共重合体(a1)の製法は特に制限されず、例えば、次のような従来既知のアニオン重合法によって製造することができる。すなわち、アルキルリチウム化合物を開始剤として、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の重合反応に不活性な有機溶媒中で、ビニル芳香族化合物、共役ジエン化合物を逐次重合、またはカップリング等の方法でブロック共重合体を形成することにより製造することができる。
 なお、ブロック共重合体(a1)を配合する場合、その配合量は、水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)との質量比として99:1〜86:14の範囲である必要があり、96:4〜86:14の範囲であるのがより好ましい。水添ブロック共重合体(a)に対するブロック共重合体(a1)の配合量比が86:14を超えた場合には、得られる熱可塑性エラストマー組成物の200℃における着色が激しくなるとともに、本発明の方法で製造される熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品のブツ(成形品における微小欠陥)が急激に増加し成形品の表面状態が悪化する。水添ブロック共重合体(a)に対するブロック共重合体(a1)の配合量を上記の範囲にすることにより、得られる熱可塑性エラストマー組成物およびそれから得られる成形品の表面状態、耐熱性(例えば200℃における着色度合い)などを悪化させることなく、高温(例えば100〜120℃の温度)下のゴム弾性をさらに向上させることができる。
 本発明で使用する非芳香族系ゴム用軟化剤(b)としては、従来から公知の非芳香族系のゴム用軟化剤のいずれもが使用でき、そのうちでも非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤が適している。非芳香族系ゴム用軟化剤(b)は、1種のみを使用しても、または2種以上を併用してもよい。
 一般に、ゴムの軟化、増容、加工性向上などのために用いられるプロセスオイルまたはエクテンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者が組合わさった混合物であって、全炭素数中で、パラフィン鎖の炭素数が50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環の炭素数が30〜45%のものがナフテン系、また芳香族炭素数が30%より多いものが芳香族系と称されている。
 本発明では、上記したプロセスオイルのうち、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルを用いることができる。そして、それら以外にも、ホワイトオイル、ミネラルオイル、エチレンとα−オレフィンの低分子量共重合体(オリゴマー)、パラフィンワックス、流動パラフィンなどを用いることができる。これらの中でも、本発明では、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)としてパラフィン系プロセスオイルおよび/またはナフテン系プロセスオイルが好ましく用いられる。
 なお、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)に代えて、芳香族系プロセスオイルなどのような芳香族系のゴム用軟化剤を使用すると、水添ブロック共重合体(a)中のビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックが侵され、熱可塑性エラストマー組成物の物性、特に機械的強度、ゴム弾性が著しく低下する。
 また、本発明においては、得られる熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性を向上させる、特に高温下でのゴム弾性を保持する観点から、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃における動粘度(mm/s)が、下記の数式〔1〕を満たすことが好ましい。
   Bv(mm/s)≧3×10/Mwa        〔1〕
[上記式中、Bvは非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃における動粘度、Mwaは水添ブロック共重合体(a)の重量平均分子量を示す。]
 なお、本明細書における非芳香族系ゴム用軟化剤の40℃における動粘度(mm/s)とは、B型粘度計を使用して、温度40℃で測定した粘度を、40℃における非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の密度で除した商の値をいう。
 非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の配合量は、水添ブロック共重合体(a)または水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)との合計量100質量部に対して50〜250質量部であることが必要であり、好ましくは80〜200質量部である。非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の配合量が、水添ブロック共重合体(a)または水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)との合計量100質量部に対して50質量部未満である場合は、本発明で得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性が劣るようになり、しかも成形加工性が低下する。一方、250質量部を超える場合には、本発明で得られる熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品の機械的強度が不足し、しかも非芳香族系ゴム用軟化剤(b)のブリードアウトを生じる。
 本発明で使用するパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)とは、パーオキサイドの存在下で加熱処理することにより熱分解して、分子量を減じ、流動性が増大するオレフィン系樹脂をいう。パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)としては、例えばポリプロピレン、プロピレンと少量のエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの他のα−オレフィンとの共重合体、また、これらを電子線架橋して得られる、一般にハイメルトストレングスポリプロピレン(HMS−PP)と呼ばれるものなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、プロピレンと少量のα−オレフィンとの共重合体およびポリプロピレンが、熱可塑性エラストマー組成物の高温下でのゴム弾性が良好になる点から好ましく用いられ、中でもブロックタイプあるいはホモタイプと称されるものがより好ましく用いられる。ホモタイプのポリプロピレンとは、プロピレンの単独重合体を意味し、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレンなどを指す。プロピレンとα−オレフィンあるいはその他のモノマーとの共重合体はブロックタイプとランダムタイプに大別され、各成分の結合形態がブロック状に近いものをブロックタイプ、各成分の結合形態がランダム状に近いものをランダムタイプと一般に称する。
 上記のポリプロピレン、プロピレンと少量のエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の共重合体は、シングルサイト触媒、チーグラー系触媒等を用いて製造されたものを用いることができる。
 パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)の配合量は、水添ブロック共重合体(a)または水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)との合計量100質量部に対して、20〜300質量部であることが必要であり、20〜150質量部の範囲であることがより好ましい。パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)の配合量が前記した量より少ないと、熱可塑性エラストマー組成物から得られる成形品の表面平滑性が失われ、一方300質量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の高温(例えば100〜120℃の温度)下のゴム弾性が失われ、圧縮永久歪みが大きくなり好ましくない。
 本発明では、上記した成分と共に、有機パーオキサイド(d)を使用する。有機パーオキサイド(d)としては、動的条件下に架橋作用を有する有機パーオキサイドであればいずれでもよく、芳香族パーオキサイドもしくは脂肪族パーオキサイドのいずれもが使用できる。また、1種類の有機パーオキサイドを用いても、または2種以上の有機パーオキサイドを用いてもよい。本発明で用いることのできる有機パーオキサイド(d)の具体例としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゾハイドロパーオキサイド、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ベンゾイルパーオキサイドなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
 有機パーオキサイド(d)の使用量は任意に選択できるが、本発明の方法で得られる熱可塑性エラストマー組成物の高温(例えば100〜120℃での温度)下でのゴム弾性の改良効果および流動性の点で、通常、上記した成分(a)、(b)および(c)、ならびに場合により成分(a1)の合計100質量部に対して0.3〜3質量部であることが好ましく、0.3〜1.5質量部であることがより好ましい。なお、必要に応じて配合することができる後述のパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)が配合される場合には、有機パーオキサイド(d)の使用量は成分(a)、(b)および(c)、ならびに場合により成分(a1)、そして成分(f)の合計100質量部に対して0.3〜3質量部であることが好ましい。有機パーオキサイド(d)の使用量が0.3質量部よりも少ない場合には、熱可塑性エラストマー組成物の高温下でのゴム弾性が劣って圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、一方、3質量部を超える場合には、得られる成形品の表面の荒れおよびブツ(微小欠陥)が目立つ傾向となる。
 本発明では、さらに架橋助剤(e)を使用する。架橋助剤(e)としては、多官能性モノマーが好ましく用いられ、具体例としてはトリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼンなどのビニル系多官能性モノマー、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレートなどのアクリル系多官能性モノマーなどを挙げることができる。
 架橋助剤(e)の配合量に特に制限はないが、一般に、有機パーオキサイド(d)1質量部に対し、0.5〜3質量部の範囲であることが特に好ましい。
 本発明では、必要に応じて、パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)をさらに配合してもよい。パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)とは、パーオキサイドの存在下で加熱処理することにより架橋して分子量が増大するオレフィン系樹脂をいう。パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)としては、例えば、ポリエチレン、エチレンと少量のプロピレン、1−ヘキセン、1−オクテン等の共重合体などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、ポリエチレンが高温(例えば100〜120℃の温度)下のゴム弾性を発現できる観点から好ましく用いられる。
 パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)は、パーオキサイド分解型ポリオレフィン(c)の種類により配合することが好ましい場合がある。すなわち、パーオキサイド分解型ポリオレフィン(c)としてホモタイプと呼ばれるポリプロピレンを用いる場合には、パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)の配合は任意である。一方、パーオキサイド分解型ポリオレフィン(c)としてブロックタイプと呼ばれるポリプロピレンを用いる場合には、得られる熱可塑性エラストマー組成物の高温下でのゴム弾性の観点から、パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)を配合することが極めて好ましい。パーオキサイド分解型ポリオレフィン(c)としてブロックタイプを用い、パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)を配合しない場合には、得られた熱可塑性エラストマー組成物の高温(例えば100〜120℃の温度)下での圧縮永久歪みが大きくなる傾向となって高温下のゴム弾性に劣り、また耐油性に劣る傾向が顕著となる。
 本発明で必要に応じて配合することができるパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)の密度は、0.94g/cm以上であることが好ましく、0.95g/cm以上であることがより好ましい。パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)の密度が0.94g/cm未満であると、高温下(例えば100〜120℃の温度)における熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性が劣る傾向になる。
 また、パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)は、そのメルトフローレート(MFR)が190℃、21.2N条件下で0.5〜50g/10分であることが、得られる熱可塑性エラストマー組成物の流動性の点から好ましく、1〜40g/10分であることがより好ましい。
 本発明で必要に応じて配合することができるパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)の配合量は特に限定されないが、得られる熱可塑性エラストマー組成物の流動性の観点から、水添ブロック共重合体(a)または水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)との合計量100質量部に対して50質量部以下であることが好ましい。パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)の配合量が50質量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性が失われ、また非芳香族系ゴム用軟化剤(b)のブリードアウトが顕著になる傾向となり、望ましくない。
 本発明では、必要に応じて無機充填剤を配合することもできる。無機充填剤の配合によって、本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品の圧縮永久歪みなどの一部の物性を改良することができ、さらに用いる無機充填剤によっては増量によるコストの低減を図ることができる。用いることのできる無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、クレー、硫酸バリウム、天然珪酸、合成珪酸、酸化チタン、カーボンブラックなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
 また、本発明では、必要に応じてポリα−メチルスチレンなどの補強樹脂、難燃剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、顔料、染料、増白剤などを用いることができる。
 本発明の動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物は、上記した成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)、ならびに場合により成分(a1)、必要に応じて成分(f)、さらに必要に応じて上記した無機充填剤などの他の成分を含む混合物を、一段の工程で一括して加熱溶融状態で混練する。それによって、極めて簡単な工程で、諸特性に優れる、動的架橋された熱可塑性エラストマー組成物を製造することができる。
 なお、他の方法として、成分(a)、(b)および(c)、ならびに場合により成分(a1)、必要に応じて成分(f)、さらに必要に応じて上記した無機充填剤などの他の成分の一部を成分(d)および(e)の存在下に加熱溶融状態で混練した後、成分(a)、(b)および(c)、ならびに場合により成分(a1)、必要に応じて成分(f)、さらに必要に応じて上記した無機充填剤などの他の成分の残りの成分を加えて混練する方法、成分(a)、(b)および(c)、ならびに場合により成分(a1)、必要に応じて成分(f)、さらに必要に応じて上記した無機充填剤などの他の成分の全部を加熱溶融状態で混練した後に成分(d)および(e)を加えて混練する方法などを採用してもよいが、操作の簡便性の観点から、全成分を一段の工程で一括して加熱溶融状態で混練する方法が好ましい。
 ここで、本明細書における「動的架橋」とは、上記した成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)、ならびに場合により成分(a1)、必要に応じて成分(f)、さらに必要に応じて他の成分を含む混合物を、加熱溶融状態で混練して外部から剪断応力を加えながら架橋することを意味する。
 本発明の動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物を得るための混練温度は、150〜250℃の範囲から選ぶことが好ましい。一段の工程で一括して製造する場合、混練前半は有機パーオキサイド(d)の半減期が全混練時間の1/2以上の時間となる温度で行い、混練後半は有機パーオキサイド(d)の半減期が全混練時間の1/2未満となる温度で混練を行うことが、得られる熱可塑性エラストマー組成物の物性および成形加工性が良好になる点から好ましい。混練前半に有機パーオキサイド(d)の半減期が全混練時間の1/2未満となる温度で混練を行うと、水添ブロック共重合体(a)または水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)が組成物中に微分散する前に架橋反応が進行し、得られる熱可塑性エラストマー組成物の物性および成形加工性が低下したものになり易いので好ましくない。なお、本明細書における混練前半とは一般に混練開始から全混練時間の約半分までの時間をいい、それ以後を混練後半という。
 本発明の動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物を得るための加熱溶融状態での一括混練は、熱可塑性重合体の溶融混練に際して従来から利用されている方法、例えば一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール、ブラベンダー、各種ニーダー等の溶融混練機を使用して行うことができる。
 上記方法で得られる、本発明の動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物は、各種成形法、例えば、射出成形、プレス成形、押出成形、カレンダー成形などの公知の方法により成形が可能である。
 本発明の動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物からは、柔軟性、機械的強度およびゴム弾性に優れる成形品を得ることができ、例えば、シート、フィルム、板状体、チューブ、ホース、ベルト等の用途;スポーツシューズ、ファッションサンダル等の履き物用途;テレビ、ステレオ、掃除機、冷蔵庫等の家電用品用途;建築物の扉、窓枠に使用するシーリング用パッキン;バンパー部品、ボディーパネル、ウェザーストリップ等の自動車用内外装部品用途;はさみ、ドライバー、歯ブラシ、スキーストックなどにおける各種グリップ類などの広範囲の用途に有効に利用することができる。
 以下に実施例などにより、本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
 なお、以下の例において、熱可塑性エラストマー組成物から得られる成形品の各種物性(硬度、引張り強度、引張り伸度、圧縮永久歪み、耐油性、表面状態および耐熱性)は、以下の方法で測定または評価した。
[1]硬度:
 JIS K−6253に準じて、「タイプA」硬度を測定した。
[2]引張り強度および引張り伸度:
 以下の例で得られた射出成形シートからダンベル状5号形試験片を打ち抜いて、JIS K−6251に準じて引張試験を行い、破断時の強度および伸びを測定して引張り強度および引張り伸度とした。
[3]圧縮永久歪み:
 以下の例で得られた射出成形シートを直径29mmの円サイズに打ち抜き、それを6枚重ねて温度200℃、圧力2.9MPaでプレスして試験片を作製し、その試験片を用いて、JIS K−6262に準じて、温度100℃および120℃で、圧縮率25%で22時間圧縮した後、圧縮を解放して25℃の条件下に30分放置した後の圧縮永久歪みを測定した。
[4]耐油性(質量膨潤率):
 以下の例で得られた射出成形シートから縦×横×厚さ=40mm×20mm×2mmのサイズの試験片を打ち抜き、JIS K−6258に準じて2号膨潤油を用いて、100℃で24時間耐油性試験を行い、耐油試験前の質量に対する耐油試験後の質量増加率を求めて、質量膨潤率とした。
[5]成形品の表面状態:
 以下の例で得られた射出成形シートの表面を目視により観察して、荒れがなく平滑な表面を有している場合を良好(○)、および荒れが生じている場合を不良(×)として評価した。
[6]成形品の耐熱性:
 以下の例で得られた射出成形シートを200℃の乾燥機中に放置し、1.5時間後にシートの着色具合を目視により観察して、着色しなかったものを良好(〇)、淡黄色に着色したものを許容(△)、黄色〜褐色に着色したものを不良(×)として評価した。
 また、以下の例で用いた各成分の内容と略号は次の通りである。
〈1〉−1:水添ブロック共重合体(a)
合成例1
 窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン50L、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%、シクロヘキサン溶液)29mlを仕込み、50℃に昇温した後、スチレン500mlを加えて30分重合させ、さらにスチレン370mlを加えて30分重合させた。この反応液に、引き続いてイソプレンとブタジエンの混合物(質量比:イソプレン/ブタジエン=50/50)5600mlを加えて3時間重合を行い、その後さらにスチレン870mlを加えて30分重合させた後、メタノール1.5mlを加えて反応を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。次いで、この重合反応液に、トリエチルアルミニウムと2−エチルヘキサン酸ニッケルからなるチーグラー系触媒を添加して、0.8MPaの水素圧力雰囲気下、75℃で5時間水素添加反応を行い、表1に示す性状を有する水添ブロック共重合体(以下、これを水添ブロック共重合体(a)−1と称する)を得た。
合成例2および合成例3
 合成例1において、水素添加反応時に反応の進行度合いを分析により追跡し、ヨウ素価(水添率)が目標の値になるよう反応時間を調節した以外は合成例1と同様の方法で重合反応および水素添加反応を行い、表1に示す性状を有する水添ブロック共重合体(a)−2および水添ブロック共重合体(a)−3を得た。
合成例4
 窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン60L、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%、シクロヘキサン溶液)19mlを仕込み、50℃に昇温した後、スチレン500mlを加えて30分重合させ、さらにスチレン270mlを加えて30分重合させた。この反応液に、引き続いてイソプレンとブタジエンの混合物(質量比:イソプレン/ブタジエン=60/40)4930mlを加えて3時間重合を行い、その後さらにスチレン770mlを加えて30分重合させた後、メタノール1mlを加えて反応を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。次いで、この重合反応液に、トリエチルアルミニウムと2−エチルヘキサン酸ニッケルからなるチーグラー系触媒を添加して、0.8MPaの水素圧力雰囲気下、75℃で反応を行い、反応の進行度合いを分析により追跡し、ヨウ素価(水添率)が目標の値になるよう反応時間を調節することにより、表1に示す性状を有する水添ブロック共重合体(以下、これを水添ブロック共重合体(a)−4と称する)を得た。
合成例5
 窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン60L、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%、シクロヘキサン溶液)19mlを仕込み、50℃に昇温した後、スチレン500mlを加えて30分重合させ、さらにスチレン270mlを加えて30分重合させた。この反応液に、引き続いてイソプレンとブタジエンの混合物(質量比:イソプレン/ブタジエン=40/60)4980mlを加えて3時間重合を行い、その後さらにスチレン770mlを加えて30分重合させた後、メタノール1mlを加えて反応を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。次いで、この重合反応液に、トリエチルアルミニウムと2−エチルヘキサン酸ニッケルからなるチーグラー系触媒を添加して、0.8MPaの水素圧力雰囲気下、75℃で反応を行い、反応の進行度合いを分析により追跡し、ヨウ素価(水添率)が目標の値になるよう反応時間を調節することにより、表1に示す性状を有する水添ブロック共重合体(以下、これを水添ブロック共重合体(a)−5と称する)を得た。
合成例6
 窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン60L、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%、シクロヘキサン溶液)13mlを仕込み、50℃に昇温した後、スチレン400mlを加えて30分重合させ、さらにスチレン260mlを加えて30分重合させた。この反応液に、引き続いてイソプレンとブタジエンの混合物(質量比:イソプレン/ブタジエン=50/50)4310mlを加えて3時間重合を行い、その後さらにスチレン660mlを加えて30分重合させ、メタノール0.7mlを加えて反応を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。次いで、この重合反応液に、トリエチルアルミニウムと2−エチルヘキサン酸ニッケルからなるチーグラー系触媒を添加して、0.8MPaの水素圧力雰囲気下、75℃で反応を行い、反応の進行度合いを分析により追跡し、ヨウ素価(水添率)が目標の値になるよう反応時間を調節することにより、表1に示す性状を有する水添ブロック共重合体(以下、これを水添ブロック共重合体(a)−6と称する)を得た。
合成例7
 窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン40L、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%、シクロヘキサン溶液)114mlを仕込み、50℃に昇温した後、スチレン800mlを加えて30分重合させ、さらにスチレン370mlを加えて30分重合させた。この反応液に引き続いてイソプレンとブタジエンの混合物(質量比:イソプレン/ブタジエン=50/50)7540mlを加えて3時間重合を行い、その後さらにスチレン1170mlを加えて30分重合させ、メタノール6mlを加えて反応を停止し、ブロック共重合体を含む重合反応液を得た。次いで、この重合反応液に、トリエチルアルミニウムと2−エチルヘキサン酸ニッケルからなるチーグラー系触媒を添加して、0.8MPaの水素圧力雰囲気下、75℃で反応を行い、反応の進行度合いを分析により追跡し、ヨウ素価(水添率)が目標の値になるよう反応時間を調節することにより、表1に示す性状を有する水添ブロック共重合体(以下、これを水添ブロック共重合体(a)−7と称する)を得た。
〈1〉−2:ブロック共重合体(a1)
合成例8
 窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン60L、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%、シクロヘキサン溶液)150ml、テトラヒドロフラン400mlを仕込み、50℃に昇温した後、スチレン1100mlを加えて30分重合させ、さらにスチレン300mlを加えて30分重合させた。この反応液に引き続いてイソプレン15300mlを加えて3時間重合を行い、その後さらにスチレン1400mlを加えて30分重合させ、メタノール14mlを加えて反応を停止し、表2に示す性状を有するブロック共重合体(a1)−1を得た。
合成例9
 窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン60L、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10質量%、シクロヘキサン溶液)120ml、N,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン100mlを仕込み、50℃に昇温した後、スチレン550mlを加えて30分重合させ、さらにスチレン150mlを加えて30分重合させた。この反応液に引き続いてイソプレン17200mlを加えて3時間重合を行い、その後さらにスチレン700mlを加えて30分重合させ、メタノール13.0mlを加えて反応を停止し、表2に示す性状を有するブロック共重合体(a1)−2を得た。
Figure 2004137479
Figure 2004137479
〈2〉非芳香族系ゴム用軟化剤(b):
(b)−1:出光興産株式会社製「ダイアナプロセスPW−380」[パラフィン系プロセスオイル;動粘度=381.6mm/s(40℃)、流動点=−15℃、環分析:CN=27.0%、CP=73.0%]
(b)−2:出光興産株式会社製「ダイアナプロセスPW−90」[パラフィン系プロセスオイル;動粘度=95.54mm/s(40℃)、流動点=−15℃、環分析:CN=29.0%、CP=71.0%]
〈3〉パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c):
(c)−1:株式会社グランドポリマー製「グランドポリプロJ704」[ブロックタイプポリプロピレン樹脂;MFR=5g/10分(230℃、21.2N)、密度=0.90g/cm
(c)−2:株式会社グランドポリマー製「グランドポリプロB701」[ブロックタイプポリプロピレン樹脂;MFR=0.5g/10分(230℃、21.2N)、密度=0.90g/cm
(c)−3:日本ポリケム株式会社製「ノバテックPP MA3」[ホモタイプポリプロピレン樹脂;MFR=10g/10分(230℃、21.2N)、密度=0.90g/cm
〈4〉有機パーオキサイド(d):
 日本油脂株式会社製「パーヘキサ25B−40」[2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、40質量%含有品、担持物:シリカ]
〈5〉架橋助剤(e):
 日本化成株式会社製「タイクM−60」(トリアリルイソシアヌレート、60質量%含有品、担持物:ケイソウ土)
〈6〉パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f):
(f)−1:日本ポリケム株式会社製「ノバテックHJ490」[高密度ポリエチレン樹脂;MFR=20g/10分(190℃、21.2N)、密度=0.958g/cm
(f)−2:日本ポリケム株式会社製「ノバテックLJ800」[低密度ポリエチレン樹脂;MFR=20g/10分(190℃、21.2N);密度=0.918g/cm
《実施例1〜10》
 (1)上記の水添ブロック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)、有機パーオキサイド(d)、架橋助剤(e)、および必要に応じてパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)を、下記の表3、表4および表5に示す量で予め混合し、それを一括して二軸押出機(東芝機械社製「TEM−35B」)に供給して、下記の表3、表4および表5に示す温度でスクリュー回転数200rpmで混練した後、ストランド状に押出し、切断して、動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
 (2)上記(1)で得られたペレットを用い、射出成形機(東芝機械社製「IS−55EPN」、型締圧55×10kg)を使用して、溶融温度230℃、金型温度40℃の条件下に射出成形して、縦×横×厚さ=110mm×110mm×2mmのシート状成形品を製造した。この成形品について、硬度、引張強度、引張伸度、圧縮永久歪み、耐油性、表面状態および耐熱性を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表3、表4および表5に示すとおりであった。
《実施例11、12、13》
(1)上記の水添ブロック共重合体(a)、ブロック共重合体(a1)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)、有機パーオキサイド(d)、架橋助剤(e)、および必要に応じてパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)を、下記の表5に示す量で予め混合し、それを一括して二軸押出機(東芝機械社製「TEM−35B」)に供給して、下記の表5に示す温度でスクリュー回転数200rpmで混練した後、ストランド状に押出し、切断して、動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
 (2)上記(1)で得られたペレットを用い、射出成形機(東芝機械社製「IS−55EPN」、型締圧55×10kg)を使用して、溶融温度230℃、金型温度40℃の条件下に射出成形して、縦×横×厚さ=110mm×110mm×2mmのシート状成形品を製造した。この成形品について、硬度、引張強度、引張伸度、圧縮永久歪み、耐油性、表面状態および耐熱性を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表5に示すとおりであった。
《比較例1〜7》
 (1)上記の水添ブロック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)、有機パーオキサイド(d)、架橋助剤(e)およびパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)を下記の表6および表7に示す量で予め混合し、それを一括して二軸押出機(東芝機械社製「TEM−35B」)に供給して、下記の表6および表7に示す温度でスクリュー回転数200rpmで混練した後、ストランド状に押出し、切断して、動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
 (2)上記(1)で得られたペレットを用い、射出成形機(東芝機械社製「IS−55EPN」、型締圧55×10kg)を使用して、溶融温度230℃、金型温度40℃の条件下に射出成形して、縦×横×厚さ=110mm×110mm×2mmのシート状成形品を製造した。この成形品について、硬度、引張強度、引張伸度、圧縮永久歪み、耐油性、表面状態および耐熱性を上記した方法で測定または評価したところ、下記の表6および表7に示すとおりであった。
Figure 2004137479
Figure 2004137479
Figure 2004137479
Figure 2004137479
Figure 2004137479
 上記表3、表4および表5の結果から明らかなように、実施例1〜13では、ヨウ素価が10〜40g/100gの範囲内の重量平均分子量20万以上の水添ブロック共重合体(a)、または水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)の混合物、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)、有機パーオキサイド(d)、架橋助剤(e)および必要に応じてパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)を使用し、かつ水添ブロック共重合体(a)または水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)との合計量100質量部に対して非芳香族系ゴム用軟化剤(b)を50〜250質量部の範囲内、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)の配合量を20〜300質量部の範囲内にしていることによって、実施例1〜13で得られた熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品は、柔軟性に優れ、かつゴム弾性、特に高温下でのゴム弾性に優れ(100〜120℃の温度での圧縮永久歪みが小さい)、しかも機械的強度および耐油性に優れており、さらには表面荒れやブリードアウトがなく表面特性に優れている。
 また、実施例1と比較例1、実施例1と比較例2との比較により、特定の割合、すなわちヨウ素価が10〜40g/100gの範囲となるように水素添加してなるブロック共重合体(a)を用いることにより、該範囲を外れて水素添加してなるブロック共重合体(a)との比較において、耐熱性を悪化させることなく、高温下におけるゴム弾性に優れる(100〜120℃の温度での圧縮永久歪みが小さい)組成物を得られることが明らかである。
 そして、実施例3と実施例11、12より、水添ブロック共重合体(a)の一部をブロック共重合体(a1)に置き換えると、成形品の表面状態および耐熱性を悪化させること無く、さらに高温下のゴム弾性の向上が可能なことがわかる。
 一方、表6および表7の結果から明らかなように、比較例3では、熱可塑性エラストマー組成物の製造に当たって、水添ブロック共重合体(a)として、重量平均分子量が20万よりも小さい水添ブロック共重合体(a)−7を用いていることにより、比較例3で得られた熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品は、高温下での圧縮永久歪みが極めて大きく、高温下でのゴム弾性に劣っている。
 比較例4では、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)を本発明で規定している量を超えて使用していることにより、比較例4で得られた熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品における軟化剤のブリードアウトが著しい。
 比較例5では、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)としてブロックタイプのポリプロピレンを使用しているが、パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)を配合していないため、比較例5で得られた熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品は、高温下での圧縮永久歪みが大きく、高温下でのゴム弾性に劣っている。
 比較例6では、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)としてブロックタイプのポリプロピレンを使用し、パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂(f)としてポリエチレンを併用しているが、密度が0.94g/cm未満の(f)−2を用いていることにより、高温下での圧縮永久歪みが大きく、高温下でのゴム弾性に劣っており、また耐油性に劣っている。
 比較例7では、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)の配合量が本発明で規定している範囲より少ないことにより、成形品の表面荒れが著しい。
 本発明の動的架橋した熱可塑性エラストマー組成物からは、柔軟性、機械的強度およびゴム弾性に優れる成形品を得ることができ、例えば、シート、フィルム、板状体、チューブ、ホース、ベルト等の用途;スポーツシューズ、ファッションサンダル等の履き物用途;テレビ、ステレオ、掃除機、冷蔵庫等の家電用品用途;建築物の扉、窓枠に使用するシーリング用パッキン;バンパー部品、ボディーパネル、ウェザーストリップ等の自動車用内外装部品用途;はさみ、ドライバー、歯ブラシ、スキーストックなどにおける各種グリップ類などの広範囲の用途に有効に利用することができる。

Claims (10)

  1. (i)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAを少なくとも1個および共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBを少なくとも1個含有するブロック共重合体を水素添加し、該ブロック共重合体のヨウ素価が10〜40g/100gの範囲である重量平均分子量20万以上の水添ブロック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)、有機パーオキサイド(d)および架橋助剤(e)を含有し;かつ、
    (ii)非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の配合量が水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して50〜250質量部であり;および、
    (iii)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)の配合量が、水添ブロック共重合体(a)100質量部に対して20〜300質量部である;
    ことからなる混合物を、動的架橋してなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記水添ブロック共重合体(a)における共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBが、ブタジエンおよびイソプレンからなる重合体ブロックである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 有機パーオキサイド(d)の配合量が前記水添ブロック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)およびパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)の合計100質量部に対して0.3〜3質量部であり、かつ架橋助剤(e)の配合量が有機パーオキサイド(d)の配合量に対して0.5〜3質量倍である請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃における動粘度(Bv)(mm/s)が、下記の数式〔1〕を満たす、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
       Bv(mm2/s)≧3×10/Mwa        〔1〕
    [上記式中、Bvは非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃における動粘度、Mwaは水添ブロック共重合体(a)の重量平均分子量を示す。]
  5. 水添ブロック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)、有機パーオキサイド(d)および架橋助剤(e)の全量を含む混合物を一段の工程で加熱下に溶融混練して動的架橋することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. (i)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAを少なくとも1個および共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBを少なくとも1個含有するブロック共重合体を水素添加し、該ブロック共重合体のヨウ素価が10〜40g/100gの範囲である重量平均分子量20万以上の水添ブロック共重合体(a)、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA1を少なくとも1個および共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB1を少なくとも1個含有するブロック共重合体(a1)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)、有機パーオキサイド(d)および架橋助剤(e)を含有し;かつ、
    (ii)水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)との質量比が99:1〜86:14であり;
    (iii)非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の配合量が、水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)との合計100質量部に対して50〜250質量部であり;
    (iv)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)の配合量が、水添ブロック共重合体(a)とブロック共重合体(a1)との合計100質量部に対して20〜300質量部である;
    ことからなる混合物を、動的架橋してなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 前記ブロック共重合体(a1)における共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB1を構成する結合単位のうち、1,2−結合単位および3,4−結合単位の合計が30〜95モル%である請求項6に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 有機パーオキサイド(d)の配合量が、前記水添ブロック共重合体(a)、ブロック共重合体(a1)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)およびパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)の合計100質量部に対して0.3〜3質量部であり、かつ架橋助剤(e)の配合量が有機パーオキサイド(d)の配合量に対して0.5〜3質量倍である請求項6または請求項7に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  9. 非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃における動粘度(Bv)(mm/s)が、下記の数式〔1〕を満たす、請求項6〜8のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
       Bv(mm/s)≧3×10/Mwa        〔1〕
    [上記式中、Bvは非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃における動粘度、Mwaは水添ブロック共重合体(a)の重量平均分子量を示す。]
  10. 水添ブロック共重合体(a)、ブロック共重合体(a1)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂(c)、有機パーオキサイド(d)および架橋助剤(e)の全量を含む混合物を一段の工程で加熱下に溶融混練して動的架橋することを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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