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JP4026042B2 - 光触媒体、ランプおよび照明器具 - Google Patents

光触媒体、ランプおよび照明器具 Download PDF

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JP4026042B2 JP22860599A JP22860599A JP4026042B2 JP 4026042 B2 JP4026042 B2 JP 4026042B2 JP 22860599 A JP22860599 A JP 22860599A JP 22860599 A JP22860599 A JP 22860599A JP 4026042 B2 JP4026042 B2 JP 4026042B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光触媒体、これを用いたランプおよび照明器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
消臭、防汚およびまたは抗菌を行うために、光触媒膜を用いることが知られている。
【0003】
光触媒膜は、紫外線照射を受けて、その光エネルギーを吸収すると、光触媒膜を構成して光触媒作用を呈する半導体に電子とホールが生成する。電子とホールは、膜表面にある酸素や水と反応して活性酸素や他の活性なラジカルなどを生じ、有機物からなる汚れや臭いの成分を酸化還元して分解するとされている。
【0004】
光触媒作用のある物質のうち、現在最も有望視されているのは酸化チタンである。酸化チタンは、光触媒作用が顕著であるとともに、安全で工業的に合理的な価格で、しかも必要量を入手できる物質であるからである。
【0005】
近時、光触媒膜の有用性に注目して、建材、照明器具およびランプなど幅広い物品に光触媒膜を形成しようとする動きが活発である。
【0006】
光触媒膜の製造方法には種々あるが、いわゆるディップ法と超微粒子分散液コーティング法とが一般的に用いられている。
【0007】
いわゆるディップ法は、基体に光触媒膜を構成する金属のアルコキシドたとえば光触媒膜が酸化チタンである場合には、チタンのアルコキシドを含む塗布液を塗布し、400〜500℃の温度で焼成して光触媒膜を形成する方法である。この製造方法により得られた光触媒膜は、膜強度に優れるために耐久性がある。
【0008】
超微粒子分散液コーティング法は、酸化チタンなどの光触媒性の超微粒子を水やアルコールなどからなる溶液中に分散させた水溶性分散液を基体に塗布し、焼成して光触媒膜を得る方法である。この製造方法により得られた光触媒膜は、結晶性が高く、光触媒性に優れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
いわゆるディップ法により得られた光触媒膜は、高温で長時間焼成しないと、膜表面における結晶性が十分でなく、光触媒性が低いという問題がある。基体がソーダライムガラスなどの軟質ガラスの場合には、ガラスの軟化温度が比較的低いので、所要の高温で焼成できないから、十分な光触媒性を得ることが困難である。
【0010】
また、上記製造方法により光触媒膜を形成すると、ガラスの屈折率に比べて酸化チタンを主体とする光触媒膜の屈折率が大きいために、両者の屈折率差によって生じる光干渉作用によって、可視光透過率が低下するという問題もある。
【0011】
そこで、出願人は、ディップ法におけるこれらの問題を解決するために、先に光触媒膜中にシリカなどの金属酸化物を添加して光触媒膜の屈折率を小さくして基体のガラスとほぼ同等にすることを特願平9−140372号として出願した。この出願の発明により、金属酸化物の添加により光触媒膜の屈折率を低下させて、光透過率の低下を防止するとともに、干渉色が生じないようにすることができた。
【0012】
一方、超微粒子分散液コーティング法においては、基体との付着性を十分に得にくいとともに、有機質の結着材を用いている場合に、その結着材にクラックが発生しやすい。結着材にクラックが発生すると、白濁などにより透過率低下が発生するといった問題がある。
【0013】
本発明は、超微粒子分散液コーティング法による光触媒膜形成を改善して、光触媒膜の基体に対する付着性を向上させるとともに、光透過率が良好な光触媒体、これを用いたランプおよび照明器具を提供することを主な目的とする。
【0014】
【課題を達成するための手段】
請求項1の光触媒体は、基体と;アルミニウム、ジルコニウム、ケイ素からなる群から選択された少なくとも一種の酸化物微粒子およびポリシロキサンを主体として層状に構成され、前記酸化物微粒子の平均粒径が10〜60nmであり、かつ層中の前記酸化物微粒子のモル比が40〜90%となるように前記基体に形成された下地層と;前記酸化物微粒子より小さい平均粒径を有する酸化チタン超微粒子を主体として前記下地層の表面に前記下地層の前記酸化物微粒子の平均粒径以上の深さで下地層の前記酸化物微粒子間に入り込んで形成された光触媒膜と;を具備していることを特徴とする。
【0015】
請求項2は、請求項1記載の光触媒体において、光触媒膜の酸化チタン超微粒子の平均粒径が4〜10nmであることを特徴とする。
【0016】
請求項3は、請求項1または2記載の光触媒体において、下地層および光触媒膜からなる複合層の可視光線の平均直線透過率が90%以上であることを特徴とする。
【0017】
請求項4は、請求項1ないし3いずれか一記載の光触媒体において、光触媒膜の酸化チタン超微粒子がアナターゼ結晶を主体としていることを特徴とする。
【0018】
請求項5は、請求項1ないし3いずれか一記載の光触媒体において、光触媒膜の酸化チタンの超微粒子がアナターゼ結晶とルチル結晶の混合であることを特徴とする。
【0019】
請求項6は、請求項1ないし5いずれか一記載の光触媒体において、光触媒膜の酸化チタンの超微粒子が下地層の微粒子の平均粒径以上の深さで下地層の酸化物微粒子間に入り込んで下地層に染み込んでいることにより、下地層の基体側から下地層の表面側に向かうに従い、酸化チタン超微粒子の存在比率が大きくなって下地層の屈折率が連続して変化していることを特徴とする。
【0020】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0021】
(基体について)
【0022】
基体は、光触媒膜を担持するもので、専ら光触媒膜担持を目的とする部材はもちろんのこと、元来光触媒の担持を目的としない他の機能のために形成されるもの(以下、「機能材」という。)であることを許容する。
【0023】
機能材としては、たとえばタイル、窓ガラス、天井パネルなどの建築材や、厨房用および衛生用の器材、家電機器、照明用器材、消臭用または集塵用フィルターなどさまざまな任意所望の部材を基体とすることができる。
【0024】
基体の材料としては、金属、ガラス、セラミックス(磁器を含む)、陶器、石材、合成樹脂および木材などであることを許容する。
【0025】
基体は、光触媒膜を高温で焼成して形成する場合には、その焼成に耐え得る耐熱性を備えている必要がある。
【0026】
(下地層について)
【0027】
本発明においては、光触媒膜を直接基体表面に被着しないで、下地層を介して基体に形成する。下地層は、下地層に含まれる金属酸化物微粒子がアルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、およびケイ素(Si)からなる群から選択された少なくとも一種の酸化物微粒子およびケイ素化合物を主体としている。酸化物微粒子の平均粒径は10〜60nmの範囲内である。また、酸化物微粒子の下地層におけるモル比率(mol%)は40〜90%の範囲内である。なお、酸化物微粒子の平均粒径は電子顕微鏡などによって観察した下地層断面中に存在する酸化物微粒子の一次粒径を平均化して求めることができ、モル比率はSIMS法によって求めることができる。
【0028】
下地層は特に光触媒膜側の表面が多孔質であることが好ましく、例えばその表面に光学的に透過率低下を及ぼさない凹凸面を備えてもよい。下地層は、酸化物微粒子を主体として構成されているため、酸化チタンを主成分とする光触媒膜との相性が良好で、また焼成によって基体に強固に結着させることができる。
【0029】
また、好ましくは、下地層に含まれる酸化物微粒子の平均粒径が10〜40nmでありかつそのモル比率が40〜90%である。この条件であると、可視光線の直線透過率をさらに高くすることができるとともに、下地層の紫外線吸収をほとんど無くすことができることが分かった。したがって、このような下地層を備えた光触媒体は、高い光学特性を有し、高い光触媒効果を得ることができる。
【0030】
下地層の酸化物微粒子がアルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、およびケイ素(Si)からなる群以外の材料から選択された酸化物の場合、下地層の安定性が確保できない、下地層の屈折率が高くなる、光干渉の発生で可視透過率の低下や下地層が紫外線を吸収するといった問題がある。
【0031】
下地層の酸化物微粒子の平均粒径が10nm未満だと光触媒膜の濡れ性が悪くなるとともに光触媒膜の強度が低下して剥がれ易くなって下地層との接着性が悪くなる。また平均粒径が60nmを超えると可視光線の全透過率は良好であるが光拡散気味となり、直線透過率は低下するという問題がある。また、酸化物微粒子の量が40mol%未満であると光触媒膜の下地層との接着性の低下が発生し易く、90mol%を超えると下地層の強度低下と直線透過率低下が発生し易い。また、光触媒膜を構成する酸化チタン超微粒子の平均粒径は下地層の酸化物微粒子の平均粒径以下とすると光触媒効果のうち有機物分解特性が低下する。
【0032】
さらに、下地層を構成する金属酸化物を、たとえばソーダライムガラスのように屈折率の小さな基体と屈折率の大きな光触媒膜との間を中間の屈折率を有する屈折率の傾斜構造などにすることにより光干渉の発生を抑制や反射防止などの効果の付与することができる。
【0033】
下地層は、たとえば酸化物微粒子とケイ素化合物としてのポリシロキサン有機溶剤で希釈した塗布液を調整して基体に塗布し、焼成して形成することができる。
【0034】
下地層の可視平均直線透過率は、90%以上であることが望ましい。このことは、光触媒膜についても同様である。これにより、基体がガラスなどの可視光透過率が高いものを用いる場合などは、下地層および光触媒層を透過する可視光線量がほとんど減少することがないので照明器具や光源などの様々な用途においても本発明を適用できる。
【0035】
この可視平均直線透過率は、基体での反射吸収を除いた二層のみの透過率であり、たとえば基体がガラスであれば、リファレンスとして層無しの基体ガラスを入れ透過特性を測定すればよく、反射部材であれば同様にリファレンスとしての層無し反射部材の基体を入れ反射特性を測定し換算すればよい。
【0036】
(光触媒膜について)
【0037】
光触媒物質は、酸化チタン(TiO2)を主成分とする。酸化チタンは、光触媒作用が顕著であるとともに、安全で工業的に合理的な価格で、しかも必要量を入手できるので、光触媒物質として、現在最も有望視されている。
【0038】
また、酸化チタンには、その結晶構造としてルチル結晶とアナターゼ結晶とがある。光触媒作用は、アナターゼ形の方が優れているといわれている。
【0039】
したがって、本発明においては、アナターゼ結晶の酸化チタンを用いるのが好適である。しかし、実際的にはアナターゼ結晶にルチル結晶が混合して形成される場合も多く、しかも、酸化チタンの超微粒子を用いる場合にはそれでも実用的な光触媒作用を得ることができるから、本発明においては、両者の混合した態様を許容する。さらに、それらの混合比の如何によって有機物の分解性が変化する。
【0040】
さらに、本発明においては、光触媒膜中に副成分として、酸化チタン以外の光触媒物質が添加されていてもよい。その他の光触媒物質としては、以下のものがある。WO3、LaRhP3、FeTiO3、Fe23、CdFe24、SrTiO3、CdSe、GaAs、GaP、RuO2、ZnO、CdS、MoS3、LaRhO3、CdFeO3、Bi23、MoS2、In23、CdO、SnO2などである。これらの物質を1種または複数種を混合して用いることができる。
【0041】
なお、TiO2、WO3、SrTiO2、Fe23、CdS、MoS3、Bi23、MoS2、In23、CdOなどは等価電子帯のレドックス・ポテンシャルの絶対値が伝導帯のレドックス・ポテンシャルの絶対値よりも大きいため、酸化力の方が還元力よりも大きく、有機化合物の分解による消臭作用、防汚作用または抗菌作用に優れている。
【0042】
また、上記各物質の中で原料コストの面においては、Fe23およびZnOが優れている。
【0043】
さらにまた、本発明において、酸化チタンは、超微粒子の形で用いる。超微粒子とは、平均粒径が4〜10nmの極めて細かい微粒子をいい、好ましくは微粒子の形状がなるべく球形に近く、しかも粒径のばらつきが少なくて結晶性の良好な微粒子である。
【0044】
さらにまた、光触媒膜は、下地層の表面に凹凸が形成されている場合にはこの凹凸内に一部入り込み、かつ密着させることが可能である。
【0045】
さらにまた、本発明の下地層が多孔質で形成されている場合には、光触媒膜の酸化チタンの超微粒子は、下地層の表面だけではなく内部にまで一部染み込んでいる。「染み込む」とは、酸化チタンの超微粒子が下地層の微粒子の平均粒径以上の深さで下地層の超微粒子間に入り込んでいることである。したがって、下地層内に屈折率の高い酸化チタンが実質混在することになり、下地層の屈折率が光触媒膜の屈折率に近づくように調整される。下地層の基体側から下地層の表面側に向かうに従い、酸化チタン超微粒子の存在比率が大きくなることによって、下地層の屈折率が連続して変化することになり、界面での屈折率差による光干渉が抑制される。また、酸化チタンの超微粒子が下地層に染み込むことにより、強固に密着させることが可能となる。
【0046】
なお、焼成は、150℃以上たとえば300〜600℃の範囲で行うことができる。
【0047】
さらにまた、光触媒膜中に二酸化ケイ素や酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムあるいはシリコーンなどを微量添加させることができる。これらは、結着剤として作用する。
【0048】
光触媒膜は、酸化チタンの超微粒子を主体としているので、従来の超微粒子酸化チタンを用いた光触媒膜と同様に光触媒作用が強い。
【0049】
(本発明の作用について)
【0050】
本発明の光触媒体は、上記の構成を備えていることにより、以下の作用を奏する。
【0051】
(1)光触媒作用が良好である。
【0052】
結晶性が良好な超微粒子により、高い光触媒作用が得られる。
【0053】
(2)光触媒膜の強度が大きい。
【0054】
付着性の良好な酸化物微粒子からなる下地層表面に酸化チタン超微粒子が付着されており、かつ多孔質である下地層内部にまで一部酸化チタン超微粒子が染み込んでいるから、光触媒膜の付着性が良好で、光触媒膜は高強度になる。
【0055】
(3)下地層および光触媒膜が可視光領域で高透過率である。
【0056】
基体の表面に多孔性の酸化チタンよりも見かけ上低屈折率の下地層を形成しているため、ガラスの基体と光触媒膜との間に光の反射が低減され、可視光の透過率が向上し、基体にガラスを用いた場合、生地のガラスと同等またはそれ以上の可視光透過率が得られる。また、下地層が多孔質である場合には、酸化チタン超微粒子の一部が下地層に染み込み、界面が不均質であるため可視光透過率は一層上昇する。
【0057】
(4)下地層の紫外線透過特性が高く、光触媒膜における紫外線の利用効率が高い。
【0058】
下地層に含まれる金属酸化物微粒子がアルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、およびケイ素(Si)からなる群から選択された少なくとも一種の酸化物であり、その平均粒径が10〜60nmでありかつそのモル比率が40〜90%の範囲内であるので、下地層の400nm以下の紫外線の吸収がほとんど無く、紫外線透過特性が高く、光触媒膜の紫外線利用効率が高い。
【0059】
(5)光触媒膜の成膜性、塗布性が良い。
【0060】
下地層が多孔質であると、水(HO)を含みやすくなり、濡れ性が良好になるので、光触媒膜の付着性が向上する。
【0061】
請求項7のランプは、発光部をガラスバルブが包囲していて波長400nm以下の光を含む発光を行うランプ本体と;ガラスバルブを基体としてその少なくとも外面に被着された請求項1ないし6のいずれか一記載の光触媒体と;を具備していることを特徴とする。
【0062】
本発明のランプは、発光原理は問わない。たとえば、白熱電球、放電ランプなどであることを許容する。
【0063】
白熱電球の場合、色温度が高いハロゲン電球の方が一般照明用電球より波長400nm以下の発光割合が高いが、一般照明用の白熱電球であってもよい。
【0064】
放電ランプの場合、低圧放電ランプおよび高圧放電ランプのいずれでもよい。
【0065】
低圧放電ランプとしては、たとえば蛍光ランプがある。蛍光ランプに用いる蛍光体を選択して400nm以下の発光を適当に増加させることができる。このような蛍光ランプは、比較的可視光の低下が少なくて、しかも光触媒体の活性化作用が一般照明用の蛍光ランプに比較して良好なので、光触媒体活性化用のランプとして好適である。しかし、本発明は一般照明用として従来から多用されている3波長形発光の蛍光体やカルシウムハロリン酸塩蛍光体を用いた蛍光ランプであることを許容するものである。
【0066】
また、主として400nm以下の発光を利用する目的の殺菌ランプやブラックライト、ケミカルランプなどをも許容する。
【0067】
一方、高圧放電ランプとしては、たとえば水銀ランプ、メタルハライドランプおよび高圧ナトリウムランプなどであるを許容する。
【0068】
なお、ガラスバルブは、放電媒体を包囲している態様であってもよいし、発光部を内包している発光管をさらに包囲する外管であってもよい。
【0069】
本発明においては、ランプのガラスバルブを基体として光触媒膜を形成しているので、たとえランプが発生する400nm以下の発光量が少なくても光触媒膜を十分に活性化することができる。
【0070】
また、本発明のランプを用いると、光触媒作用によりガラスバルブに付着するたばこの脂や、ばい煙などの有機質の汚れ物質が分解されるので、ガラスバルブの汚れによる光束低下が少なくなる。このため、長期間にわたって良好な照明を行うことができるとともに、ランプの清掃インターバルを長くすることができる。
【0071】
さらに、ランプが点灯するのに伴って生じる発熱により、ランプの周囲に熱対流が発生じ、室内の空気が対流する。ランプに接触した空気の消臭、殺菌が行われる。したがって、本発明のランプを用いることにより、室内空気を消臭、殺菌することができる。
【0072】
請求項8の照明器具は、制光手段を備えた照明器具本体と;照明器具本体の制光手段の少なくとも一部を基体として形成された請求項1ないし6いずれか一記載の光触媒体と;を具備していることを特徴とする。
【0073】
本発明において、照明器具は、屋外用および屋内用のいずれでもよい。
【0074】
制光手段は、反射体、グローブ、セード、透光性カバーおよびルーバなどの一種類または任意の複数種類の組み合わせで用いられていることを許容する。
【0075】
また、制光手段の全体に光触媒膜を形成してもよいが、その一部分に形成してもよい。
【0076】
制光手段は、使用によりばい煙やたばこの脂などの有機物からなる汚れがそこに付着すると、照明器具としての光学性能が低下するが、光触媒膜を形成しておくことにより、汚れが分解されるので、光学性能の低下を抑制することができる。
【0077】
また、制光手段に接触した空気中の臭い物質を分解したり殺菌することにより、室内の脱臭、殺菌を行うこともできる。
【0078】
さらに、照明器具をたとえば冷蔵庫、エアコンディショナー、空気清浄装置などに収納できる大きさおよび構造にして、これらの機器に配設することにより、脱臭または殺菌手段とすることもできる。
【0079】
以上の説明から理解できるように、制光手段に光触媒膜を形成するので、光触媒膜は透明性の良好なものが好適である。
【0080】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0081】
図1は、本発明の光触媒体の第1の実施形態における光触媒膜の断面を示す概念的要部拡大断面図である。
【0082】
各図において、1は基体、2は下地層、3は光触媒膜である。
【0083】
基体1は、ソーダライムガラスから構成されている。
【0084】
下地層2は、酸化アルミニウム微粒子がモル比で80:20の割合の混合して構成されており、透明性で多孔性であるとともに、表面が平均深さ約30nmの凹凸面2aに形成された被膜である。
【0085】
この下地層2は、ポリシロキサンをエタノールに溶解させた溶液に平均粒径約15nmの酸化アルミニウム微粒子2bを分散させた塗布液を調整して、基体1の表面に塗布し、乾燥させて、約150℃で焼成して形成したものである。
【0086】
光触媒膜2は、平均粒径約7nmの酸化チタンの超微粒子を下地層2の上に結着させて形成されている。この光触媒膜3は、下地層2の表面に形成された凹凸面2aに入り込み、かつ微量の超微粒子が下地層2に染み込んで下地層2に密着している。ここで図示はしないが、本実施形態の光触媒体の断面を顕微鏡写真で観察したところ、酸化チタンの超微粒子が下地層2の基体1近傍にまで染み込んでいることが確認された。
【0087】
図2は、本発明の光触媒体の第1の実施形態における光触媒膜の分光透過率特性を示すグラフである。
【0088】
図において、横軸は波長(nm)を、縦軸は透過率(%)を、それぞれ示す。
【0089】
曲線は、本実施形態による光触媒膜の分光透過率特性を示す。
【0090】
図から明かなように、本実施形態によれば、可視光および紫外域において透過率が向上している。
【0091】
図3は、本発明の光触媒体の第1の実施形態におけるインクの分解性についての測定結果を示すグラフである。
【0092】
図において、横軸は経過時間(分)を、縦軸は分解性の相対値を、それぞれ示す。
【0093】
曲線は、本実施形態によるインクの分解性を示す。
【0094】
図から明かなように、本実施形態によれば、光触媒作用が優れていることが分かる。
【0095】
図4は、本発明のランプの一実施形態における蛍光ランプを示す要部断面正面図である。図において、11はガラスバルブ、12は光触媒膜、13は蛍光体層、14はフィラメント電極、15は口金である。
【0096】
ガラスバルブ11は、光触媒膜12に対して基体として機能するとともに、内部に蛍光ランプとしての機能部分を気密に収納する。すなわち、ガラスバルブ11の内部に放電媒体としての水銀およびアルゴンを主体とする希ガスを数torr封入し、内面に蛍光体層13を担持し、さらに両端に一対のフィラメント電極14を封装している。
【0097】
口金15は、アルミニウム製のキャップ状の口金本体15aおよび口金本体15aに絶縁して取り付けられた一対の口金ピン15bから構成され、ガラスバルブ11の両端部に接着されている。フィラメント電極14の両端はそれぞれ口金ピン15bに接続されている。
【0098】
そうして、本実施形態の蛍光ランプを用いて照明すると、光触媒膜12の光触媒作用により、蛍光ランプの表面に付着した有機の汚れ物質が分解され、接触した空気中の臭い物質が分解されて周囲の消臭が行われる。
【0099】
図5は、本発明の照明器具の一実施形態におけるトンネル用照明器具を示す斜視図である。
【0100】
図において、21は照明器具本体、22は前面枠、23は透光性ガラスカバー、24はランプソケット、25は高圧放電ランプ、26は反射板である。
【0101】
照明器具本体21は、ステンレス板を前面に開口部を備えた箱状に成形してなり、背面に取付金具21aを備えている。
【0102】
前面枠22は、ステンレス板を成形してなり、中央に投光開口22a、一側にヒンジ22b、他側にラッチ(図示しない。)を備えている。そして、ヒンジ2aにより、照明器具本体21の前面側の一側部に開閉自在に枢着され、ラッチにより閉止位置に固定されるように構成されている。
【0103】
透光性ガラスカバー23は、前面枠22にシリコーンゴム製のパッキング2aを介して防水的に装着されている。この透光性ガラスカバー23は、可視光を透過するとともに、波長400nm以下の紫外領域の少なくとも一部に比較的高い透過率特性を有している。また、透光性ガラスカバー23の前面には図1に示す光触媒膜が形成されている。
【0104】
ランプソケット24は、照明器具本体21内に配設されている。
【0105】
高圧放電ランプ25は、340〜400nmの波長範囲内において、可視光の光束1000lm当たり0.05W以上の強度の紫外線を放射する。
【0106】
反射板26は、照明器具本体21内に配設されて、上記高圧放電ランプ25から放射された光が反射板26で反射されて所要の配光特性を示すように構成され、かつ配置されている。
【0107】
照明器具本体21の反射板26の背面側には、安定器、端子台などが配設されている。
【0108】
そうして、本実施形態の照明器具は、取付金具21aを介してトンネル内に設置されて使用に供され、トンネル内を照明する。
【0109】
また、照明と同時に高圧放電ランプ25から放射される主として340〜400nmの波長範囲内の紫外線も可視光と一緒に透光性ガラスカバー23を通過して光触媒膜に入射するから、光触媒膜は紫外線により活性化され、付着するばい煙などの有機物の汚れを分解してセルフクリーニングを行う。
【0110】
【発明の効果】
請求項1ないし6の光触媒体によれば、光触媒膜の成膜性、濡れ性を良好にすることができるとともに膜強度を高くすることができ、かつ下地層の紫外線の吸収が少ないため光触媒膜の紫外線利用効率を高くして光触媒効果を高くすることができる。
【0111】
請求項7のランプによれば、請求項1ないし6の効果を有するランプを提供することができる。
【0112】
請求項8の照明器具によれば、請求項1ないし6の効果を有する照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光触媒体の第1の実施形態における光触媒膜の断面を示す概念的要部拡大断面
【図2】 本発明の光触媒体の第1の実施形態における光触媒膜の分光透過率特性を示すグラフ
【図3】 本発明の光触媒体の第1の実施形態におけるインクの分解性についての測定結果を示すグラフ
【図4】本発明のランプの一実施形態における蛍光ランプを示す要部断面正面図
【図5】 本発明の照明器具の一実施形態におけるトンネル用照明器具を示す斜視図
【符号の説明】
1…基体、2…下地層、2a…凹凸面、2b…酸化物微粒子、3…光触媒膜。

Claims (8)

  1. 基体と;
    アルミニウム、ジルコニウム、ケイ素からなる群から選択された少なくとも一種の酸化物微粒子およびポリシロキサンを主体として層状に構成され、前記酸化物微粒子の平均粒径が10〜60nmであり、かつ層中の前記酸化物微粒子のモル比が40〜90%となるように前記基体に形成された下地層と;
    前記酸化物微粒子より小さい平均粒径を有する酸化チタン超微粒子を主体として前記下地層の表面に前記下地層の前記酸化物微粒子の平均粒径以上の深さで下地層の前記酸化物粒子間に入り込んで形成された光触媒膜と;
    を具備していることを特徴とする光触媒体。
  2. 光触媒膜の酸化チタン超微粒子の平均粒径が4〜10nmであることを特徴とする請求項1記載の光触媒体。
  3. 下地層および光触媒膜からなる複合層の可視光線の平均直線透過率が90%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の光触媒体。
  4. 光触媒膜の酸化チタン超微粒子がアナターゼ結晶を主体としていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の光触媒体。
  5. 光触媒膜の酸化チタンの超微粒子がアナターゼ結晶とルチル結晶の混合であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の光触媒体。
  6. 光触媒膜の酸化チタンの超微粒子が下地層の微粒子の平均粒径以上の深さで下地層の酸化物微粒子間に入り込んで下地層に染み込んでいることにより、下地層の基体側から下地層の表面側に向かうに従い、酸化チタン超微粒子の存在比率が大きくなって下地層の屈折率が連続して変化していることを特徴とする請求項1ないし5いずれか一記載の光触媒体。
  7. 発光部をガラスバルブが包囲していて波長400nm以下の光を含む発光を行うランプ本体と;
    ガラスバルブを基体としてその少なくとも外面に被着された請求項1ないし6のいずれか一記載の光触媒体と;
    を具備していることを特徴とするランプ。
  8. 制光手段を備えた照明器具本体と;
    照明器具本体の制光手段の少なくとも一部を基体として形成された請求項1ないし6いずれか一記載の光触媒体と;
    を具備していることを特徴とする照明器具。
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