JP4020604B2 - 車両用自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は車両用自動変速機の変速制御装置に係り、特に、微小駆動状態を維持した状態でコーストダウン変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧制御を行う技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アクセルペダルが操作されていない車両の惰行走行或いは減速走行のようなコースト走行時においてダウン変速を行う場合には、車両を弱エンジンブレーキ状態に維持する車両用自動変速機のダウン変速制御装置が提案されている。たとえば、特開平11−287317号公報に記載された装置がそれである。これによれば、クラッチツウクラッチダウン変速中において車両には常に所定のエンジンブレーキ力がかかる状態が維持されるため、低速ギヤ段へのダウン変速であっても過度のエンジンブレーキ力や変速ショックを発生させることがないなどの利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両用自動変速機におけるクラッチツウクラッチダウン変速では、解放側摩擦係合装置の解放と係合側油圧式摩擦係合装置の係合とが同時期に実行させるために自動変速機の入力回転軸の吹きや出力トルクの一時的落ち込み(タイアップ)が発生し易く、それら解放側摩擦係合装置の解放時の係合圧や係合側油圧式摩擦係合装置の係合時の係合圧について非常に高い制御精度を備えた高価な機器が要求されるので、一般車両用として実現可能な一般的な装置では車輛の制動などの外乱に対して十分な制御の対応性が得られず、変速ショックなどが十分に抑制されない場合があった。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、コースト走行中におけるクラッチツウクラッチダウン変速制御において、高精度の制御機器を備えなくても、車輛の制動などの外乱に対しても変速ショックなどが十分に抑制される車輛用自動変速機の変速制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、微小駆動状態を維持した状態でコースト走行中のクラッチツウクラッチダウン変速を行う形式の車両用自動変速機の変速制御装置であって、 (a) 前記微小駆動状態に応じて、前記コースト走行中のクラッチツウクラッチダウン変速に関与する油圧式摩擦係合装置の変速期間内の初期油圧を制御する変速油圧制御手段と、 (b) 前記コースト走行中のクラッチツウクラッチダウン変速のタイアップ状態に応じてその変速油圧制御手段により制御される初期油圧を学習により補正する学習制御手段とを含み、 (c) 前記学習制御手段は、流体式伝動装置の出力回転速度の吹き量が略零となったこと、およびその流体式伝動装置の入力軸回転速度が出力軸回転速度を上回る状態から一旦下回った後に再び上回る状態に戻ったことに基づいて前記クラッチツウクラッチダウン変速が強タイアップであると判定し、前記流体式伝動装置の出力回転速度の吹き量が略零となったこと、およびその流体式伝動装置の入力軸回転速度が出力軸回転速度を上回る状態が維持されたことに基づいて前記クラッチツウクラッチダウン変速が弱タイアップであると判定することにある。
【0006】
【発明の効果】
このようにすれば、変速油圧制御手段により、微小駆動状態に応じて、コースト走行中のクラッチツウクラッチダウン変速に関与する油圧式摩擦係合装置の変速期間内の初期油圧が設定されることから、その変速期間内の油圧式摩擦係合装置の初期係合圧が適切に制御されるので、制動などによる外乱に拘わらず係合作動の精度が確保されて、変速ショックなどが十分に抑制される。また、学習制御手段により、コースト走行中のクラッチツウクラッチダウン変速のタイアップ状態に応じて変速油圧制御手段により制御される油圧が学習により補正されるので、個体差や経時変化によるばらつきが解消され、係合作動の精度が確保されて、変速ショックなどが十分に抑制される。また、前記学習制御手段は、流体式伝動装置の出力回転速度の吹き量が略零となったこと、およびその流体式伝動装置の入力軸回転速度が出力軸回転速度を上回る状態から一旦下回った後に再び上回る状態に戻ったことに基づいてクラッチツウクラッチダウン変速が強タイアップであると判定し、前記流体式伝動装置の出力回転速度の吹き量が略零となったこと、およびその流体式伝動装置の入力軸回転速度が出力軸回転速度を上回る状態が維持されたことに基づいて前記クラッチツウクラッチダウン変速が弱タイアップであると判定するものであるため、2段階のタイアップ状態が判別されることから、細かな学習補正が可能となるので、一層、係合側油圧式摩擦係合装置の係合作動の精度が確保されて、変速ショックなどが十分に抑制される。
【0015】
ここで、好適には、前記学習制御手段は、クラッチツウクラッチダウン変速における解放側油圧式摩擦係合装置の滑り出し期間が予め設定された期間となるようにその解放側油圧式摩擦係合装置の係合圧を学習により補正するものである。このようにすれば、解放側油圧式摩擦係合装置の係合作動の精度も確保されて、クラッチツウクラッチダウン変速における変速ショックなどが十分に抑制される。
【0016】
また、好適には、車両の急制動状態を判定する急制動状態判定手段と、その急制動状態判定手段によって車両の急制動状態が判定された場合には、前記学習制御手段による学習を禁止する学習禁止手段とを、さらに含むものである。このようにすれば、学習禁止手段により、急制動時においては学習制御手段による学習が禁止されるので、誤学習が防止され、その誤学習に起因する変速ショックなどが十分に抑制される。
【0017】
【発明の好適な実施の態様】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1の車両において、エンジン10の出力は、流体式伝動装置としてのトルクコンバータ12、FF駆動用の自動変速機14、差動歯車装置16を経て図示しない駆動輪(前輪)へ伝達されるようになっている。トルクコンバータ12は、エンジン10のクランク軸18と連結されているポンプ翼車20と、自動変速機14の入力軸22に連結されたタービン翼車24と、一方向クラッチ26を介して非回転部材であるハウジング28に固定されたステータ翼車30と、図示しないダンパを介して上記入力軸22に連結されたロックアップクラッチ32とを備えている。
【0019】
自動変速機14は、入力軸22上に同軸に配設されるとともにキャリヤとリングギヤとがそれぞれ相互に連結されることにより所謂CR−CR結合の遊星歯車機構を構成するシングルピニオン型の一対の第1遊星歯車装置40および第2遊星歯車装置42と、前記入力軸22と平行なカウンタ軸44上に同軸に配置された1組の第3遊星歯車装置46と、そのカウンタ軸44の軸端に固定されて差動歯車装置16とかみ合う出力ギヤ48とを備えている。上記遊星歯車装置40,42,46の各構成要素すなわちサンギヤ、リングギヤ、それらにかみ合う遊星ギヤを回転可能に支持するキャリヤは、4つのクラッチC0、C1、C2、C3によって互いに選択的に連結され、或いは3つのブレーキB1、B2、B3によって非回転部材であるハウジング28に選択的に連結されるようになっている。また、2つの一方向クラッチF1、F2によってその回転方向により相互に若しくはハウジング28と係合させられるようになっている。なお、差動歯車装置16は軸線(車軸)に対して対称的に構成されているため、下側を省略して示してある。
【0020】
上記入力軸22上に配置された一対の第1遊星歯車装置40,第2遊星歯車装置42、クラッチC0、C1、C2、ブレーキB1、B2、および一方向クラッチF1により前進4段且つ後進1段の主変速部MGが構成され、上記カウンタ軸44上に配置された1組の遊星歯車装置46、クラッチC3、ブレーキB3、一方向クラッチF2によって副変速部すなわちアンダードライブ部U/Dが構成されている。主変速部MGにおいては、入力軸22はクラッチC0、C1、C2を介して第2遊星歯車装置42のキャリヤK2、第1遊星歯車装置40のサンギヤS1、第2遊星歯車装置42のサンギヤS2にそれぞれ連結されている。第1遊星歯車装置40のリングギヤR1と第2遊星歯車装置42のキャリヤK2との間、第2遊星歯車装置42のリングギヤR2と第1遊星歯車装置40のキャリヤK1との間はそれぞれ連結されており、第2遊星歯車装置42のサンギヤS2はブレーキB1を介して非回転部材であるハウジング28に連結され、第1遊星歯車装置40のリングギヤR1はブレーキB2を介して非回転部材であるハウジング28に連結されている。また、第2遊星歯車装置42のキャリヤK2と非回転部材であるハウジング28との間には、一方向クラッチF1が設けられている。そして、第1遊星歯車装置40のキャリヤK1に固定された第1カウンタギヤG1と第3遊星歯車装置46のリングギヤR3に固定された第2カウンタギヤG2とは相互にかみ合わせられている。アンダードライブ部U/Dにおいては、第3遊星歯車装置46のキャリヤK3とサンギヤS3とがクラッチC3を介して相互に連結され、そのサンギヤS3と非回転部材であるハウジング28との間には、ブレーキB3と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。
【0021】
上記クラッチC0、C1、C2、C3およびブレーキB1、B2、B3は、多板式のクラッチやバンドブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置である。それらの油圧アクチュエータが作動させられることによって上記クラッチC,ブレーキBが選択的に係合させられることにより、図2に示すように、前進5段のうちの何れかの変速段が成立させられる。図2の「○」は係合、「△」は駆動時のみにおいて係合を意味しており、「×」は解放を意味している。図2において、たとえば第4速ギヤ段と第5速ギヤ段との間の4→5変速或いは5→4変速はクラッチC3の係合或いは解放で達成され、第1速ギヤ段と第2速ギヤ段との間の1→2変速或いは2→1変速はブレーキB1の係合或いは解放で達成される。しかし、第2速ギヤ段と第3速ギヤ段との間の2→3変速或いは3→2変速は、ブレーキB1の解放とクラッチC0の係合、或いはクラッチC0の解放およびブレーキB1の係合の一方が解放されると同時に他方が係合させられることにより達成される所謂クラッチツウクラッチ変速であり、第3速ギヤ段と第4速ギヤ段との間の3→4変速或いは4→3変速も、クラッチC1の解放およびブレーキB1の係合、或いはブレーキB1の解放およびクラッチC1の係合により達成される所謂クラッチツウクラッチ変速である。
【0022】
図3において、車両のエンジン10の吸気配管には、スロットルアクチュエータ50によって駆動操作されるスロットル弁52と、そのスロットル弁52と並列な状態で設けられてアイドル時のエンジン回転速度NE を制御するためのISCV弁54とが設けられている。このスロットル弁52の開度θはアクセルペダル56の操作量に対応して増加させられるように制御される。また、エンジン10の回転速度NE を検出するエンジン回転速度センサ58、エンジン10の吸入空気量Qを検出する吸入空気量センサ60、吸入空気の温度TA を検出する吸入空気温度センサ62、上記スロットル弁52の開度θを検出するスロットルセンサ64、第2カウンタギヤG2の回転速度(カウンタ回転速度)NC を検出するカウンタ回転速度センサ65、車速Vを検出する車速センサ66、エンジン10の冷却水温度TW を検出する冷却水温センサ68、自動変速機14の作動油温度TOIL を検出する作動油温センサ69、ブレーキの作動を検出するブレーキスイッチ70、シフトレバー72の操作位置を検出する操作位置センサ74、タービン翼車24の回転速度すなわちタービン回転速度NT (=入力軸22の回転速度NINすなわちトルクコンバータ12の出力軸回転速度)を検出するタービン回転速度センサ75などが設けられており、それらのセンサから、エンジン回転速度NE 、吸入空気量Q、吸入空気温度TA 、スロットル弁の開度θ、カウンタ回転速度NC 、車速V、エンジン冷却水温TW 、作動油温度TOIL 、ブレーキの作動状態BK、シフトレバー72の操作位置Psh、タービン回転速度NT などを表す信号がエンジン用電子制御装置76および変速用電子制御装置78に供給されるようになっている。
【0023】
エンジン用電子制御装置76は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを備えた所謂マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、種々のエンジン制御を実行する。たとえば、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁80を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ82を制御し、スロットル弁52の開度θをたとえば図4に示す予め記憶された関係から実際のアクセルペダル56の操作量に基づきその増加に応じて増加させられるように制御する。アイドルスピード制御或いはエンジン回転速度NE を所定量持ち上げるためにISC弁54を制御する。
【0024】
変速用電子制御装置78も、上記と同様のマイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROM79に記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、油圧制御回路84の各電磁弁或いはリニヤソレノイド弁を駆動する。すなわち、たとえば図5に示す予め記憶された変速線図から実際のスロットル弁開度θおよび車速Vに基づいて自動変速機14のギヤ段やロックアップクラッチ24の変速判断を実行し、判断されたギヤ段および係合状態が得られるように電磁弁S4、電磁弁SR、リニヤソレノイド弁SLT 、SL1 、SL2 、SL3 などを駆動する。
【0025】
図6は前記油圧制御回路84の要部を簡単に示す図である。図6において、電磁弁SRは、変速用電子制御装置78からの指令に従ってその出力圧を比較的長い油路98を介して2−3シフト弁100に作用させてその2−3シフト弁100を1速乃至2速側と3速乃至5速側とに択一的に切り換える。電磁弁S4は、変速用電子制御装置78からの指令に従ってその出力圧を3速乃至5速側に切換られたその2−3シフト弁100を介して4−5シフト弁102に作用させ、その4−5シフト弁102を1速乃至4速側と5速側とに択一的に切り換える。すなわわち、4−5シフト弁102が1速乃至4速側に切換られているときには前進レンジ圧すなわちDレンジ圧PD がブレーキB3へ供給され、4−5シフト弁102が5速側に切換られているときにはそのDレンジ圧PD がクラッチC3およびアキュムレータAC3へ供給される。リニヤソレノイド弁SLT は、変速用電子制御装置78からの指令に従ってその出力圧を背圧コントロール弁104に供給し、その出力圧に対応する背圧を発生させて上記アキュムレータAC3の背圧ポートへ供給させる。
【0026】
リニヤソレノイド弁SL1 は、変速用電子制御装置78からの指令に従ってその出力圧をB1コントロール弁106に供給し、その出力圧に対応する係合圧PB1を発生および調圧させてブレーキB1およびそのアキュムレータAB1へ供給させる。リニヤソレノイド弁SL2 は、変速用電子制御装置78からの指令に従ってその出力圧を電磁弁SRにより切り換えられる2−3シフト弁100を介してC0コントロール弁108に供給し、その出力圧に対応する係合圧PC0を発生および調圧させてクラッチC0およびそのアキュムレータAC0へ供給させる。リニヤソレノイド弁SL3 は、変速用電子制御装置78からの指令に従ってその出力圧をC1コントロール弁110に供給し、その出力圧に対応する係合圧PC1を発生および調圧させてクラッチC1およびそのアキュムレータAC1へ供給させる。上記クラッチC0の係合圧PC0およびクラッチC1の係合圧PC1は、係合圧PC1によって切換られるクラッチ圧供給制御弁112を介してクラッチC0およびクラッチC1へ供給される。
【0027】
図7は、変速用電子制御装置78の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。変速油圧制御手段としても機能する油圧設定手段120は、たとえば図5に示す予め記憶された関係から実際の車両状態たとえば車速Vおよびスロットル開度θまたはアクセルペダル操作量に基づいてその変速判断を行い、判断された変速が実行されるように、変速出力手段122から変速出力信号を出力させる。たとえば、図5の変速線図において車両状態を示す点が5→4ダウン変速を低速側へ横切った場合には5→4ダウン変速と判定し、電磁弁S4により4−5シフト弁102を第4速側へ切り換えさせることによりクラッチC3を解放させる。また、図5の変速線図において車両状態を示す点が4→3ダウン変速を低速側へ横切った場合にはその4→3ダウン変速と判定し、その4→3ダウン変速を実現するためにブレーキB1を解放し且つクラッチC1を係合させる係合圧PB1およびPC1を発生させるための出力(駆動)信号をリニヤソレノイド弁SL1 およびSL3 へ出力させる。この出力信号は、たとえば図16に示すようにそのデューテイ比が変化させられている。リニヤソレノイド弁SL1およびSL3はノーマルオープン型であるため、それに供給される信号のデューティ比が100%であるときには出力圧PB1およびPC1が零とされる特性をそれぞれ備えている。
【0028】
上記変速油圧制御手段120には、コースト走行時における上記4→3ダウン変速を好適に実現するために、解放側油圧式摩擦係合装置であるブレーキB1の係合圧PB1を制御する解放側係合圧制御手段122と、係合側油圧式摩擦係合装置であるクラッチC1の係合圧PC1を制御する係合側係合圧制御手段124と、4→3ダウン変速の完了であるクラッチC1の回転同期をたとえばタービン回転速度NT とカウンタ回転速度NC とが一致したことに基づいて判定する同期判定手段126とが設けられている。解放側係合圧制御手段122および係合側係合圧制御手段124は、予め設定されたプログラムやフィードバック制御式に従って,変速開始から変速終了までのブレーキB1の係合圧PB1およびクラッチC1の係合圧PC1を順次変化させる。たとえば、解放側係合圧制御手段122は、たとえば図8に示すような予め記憶された関係から、トルクコンバータ12の入出力回転速度差NSLIP(=NE −NT )およびカウンタ回転速度NC に基づいて解放初期圧PB1I を決定し、その解放初期圧PB1I を維持させるための駆動信号DPB1I をリニヤソレノイド弁SL1 へ供給する。また、係合側係合圧制御手段124も、たとえば図8に示すような、入出力回転速度差NSLIPが大きくなるほど、またカウンタ回転速度NC が小さくなるほど初期油圧が大きくなるように予め記憶された関係から、トルクコンバータ12の入出力回転速度差NSLIP(=NE −NT )およびカウンタ回転速度NC に基づいて係合初期圧PC1I を決定し、その解放初期圧PC1I を維持させるための駆動信号DC1I をリニヤソレノイド弁SL3 へ供給する。このようなクラッチツウクラッチ4→3ダウン変速では、タイアップや入力軸回転速度の吹き上がりを所定量以下に維持しつつ解放側のブレーキB1を滑らしつつ係合側のクラッチC1を徐々に係合させるように、上記ブレーキB1およびクラッチC1が解放初期圧(解放側待機圧)PB1I および係合初期圧(係合側待機圧)PC1I にそれぞれ維持される。上記係合側係合圧制御手段124は、同期判定手段126によって4→3ダウン変速の完了であるクラッチC1の回転同期が判定されると、リニヤソレノイド弁SL3 へ供給される駆動信号DC1のデューティ比を0%とすることによりクラッチC1の係合圧PC1を所定値たとえば最大値まで昇圧させる。
【0029】
入出力回転速度状態検出手段128は、車輛の惰行走行などのコースト走行において、流体伝動装置であるトルクコンバータ12の入出力回転速度差NSLIP(=NE −NT )をエンジン回転速度NE およびタービン回転速度NT に基づいて算出することにより検出する。イナーシャ相判定手段130は、前記4→3ダウン変速におけるイナーシャ相の開始点或いはその付近を、たとえばエンジン回転速度NE またはタービン回転速度NT の上昇開始点を検出することにより判定する。4→3ダウン変速出力から上記タービン回転速度NT の上昇開始点までの期間tT は、4→3ダウン変速のトルク相に対応している。車速検出手段132は、車速Vまたはそれに関連して変化する他の部材の回転速度たとえば第4速以下ではカウンタ回転速度NC を検出する。
【0030】
微小駆動状態制御手段134は、車輛のコースト走行4→3ダウン変速の出力以後において、たとえば予め記憶された図9の関係からそれまでの所定区間の入出力回転速度差NSLIPの平均値NSLIPAVに基づいてエンジン回転速度持上量ΔNE (r.p.m)を決定し、その持ち上げ量ΔNE を得るためのISC要求量をISC弁54へ出力することにより、車輛をエンジン回転速度NE がタービン回転速度NT をわずかに上まわる微小駆動状態とする。上記関係は、平均値NSLIPAVが大きくなるほどエンジン回転速度持上量ΔNE が小さくなるように定められたものであるので、上記の制御によってコースト走行における入出力回転速度差NSLIPは略一定値に維持される。この微小駆動状態制御手段134は、コースト走行中の4→3ダウン変速の出力後であってその4→3ダウン変速において回転要素たとえばタービン翼車24のタービン回転速度NT の変化(上昇)開始点であるイナーシャ相開始点以後から、車輛を微小駆動状態とするための微小駆動制御を実行する。また、この微小駆動状態制御手段134は、たとえば図10に示す予め記憶された関係から実際の車速Vすなわちカウンタ回転速度NC の減少率に基づいてエンジン回転速度持上量ΔNE の減少率を決定し、その減少率に従ってエンジン回転速度持上量ΔNE をリアルタイムで減少させる。したがって、4→3コーストダウン変速期間内において車輛の制動中においては、この減少率に従ってエンジン回転速度持上量ΔNE が減少させられる結果、入出力回転速度差NSLIPが連続的に減少させられる。
【0031】
急制動状態判定手段136は、車輛の急制動状態が発生したか否かを、たとえば車速Vから算出される車速率や減速度、ブレーキペダル操作力、制動油圧などが判断基準値を超えたことなどに基づいて判定する。微小駆動制御中止手段138は、上記急制動状態判定手段136により車輛の急制動状態が発生したと判定された場合には、図16のt2 時点に示すようにエンジン回転速度持上量ΔNE を零とすることによりそれ以前においてたとえば5→4コーストダウン変速出力以後に既に実施されていた前微小駆動状態制御手段140による微小駆動制御を直ちに中止させる。この前微小駆動状態制御手段140による微小駆動制御は、上記微小駆動状態制御手段134による微小駆動制御と同様である。
【0032】
制動時補正手段142は、たとえば図11に示す予め記憶された関係から実際のカウンタ回転速度NC (車速)またはその変化率(減速度)などの減速状態に基づいて制動時補正値ΔPC1B を決定し、係合側係合圧制御手段124において制御されるクラッチC1の係合圧PC1にその制動時補正値ΔPC1B を加算することによりそのクラッチC1の係合圧PC1をリアルタイムで補正する。制動時特に急制動時においてはエンジン回転速度NE に対してカウンタ回転速度NC が低下してそれらの差であるNSLIPが大きくなり、クラッチC1の係合圧PC1がコースト時において緩(低)くなりがちである係合圧PC1ではつかみ切れないので、上記のように急制動時補正値ΔPC1を加算される。上記関係は、カウンタ回転速度NC が低下するほどまたはその変化率が増加するほど急制動時補正値ΔPC1B が大きくなるように設定され、急制動となっても確実にクラッチC1が容易につかまれ得るように予め実験的に決定されている。
【0033】
吹き状態判定手段144は、4→3コーストダウン変速期間内において発生するトルクコンバータ12の出力軸回転速度すなわちタービン回転速度NT の一時的な上昇量或いはその面積の積分値である吹き量ΔNTF(r.p.m)を、実際のタービン回転速度NT と第3速のタービン回転速度NT との差に基づいて算出し、その吹き量ΔNTFが予め設定された吹き量判定値を超えたか否かを判定する。タイアップ状態判定手段146は、4→3コーストダウン変速期間内において発生するタイアップ状態たとえばブレーキB1の係合とクラッチC1の係合とが同時に行われることにより自動変速機14が一時的なロック状態となって比較的強いショックを発生する強タイアップか或いはそれよりも弱いショックを発生する弱タイアップであるか否かを、吹き量ΔNTF、およびトルクコンバータ12の入力軸回転速度と出力軸回転速度との相対的な大小関係の変化に基づいて判定する。タイアップ状態判定手段146は、たとえば、上記タービン回転速度NT の一時的な上昇量である吹き量ΔNTFが略零となったことおよびトルクコンバータ12の入力軸回転速度すなわちエンジン回転速度NE がタービン回転速度NT を上回る状態から一旦下回った後に再び上回る状態に戻ったことに基づいてクラッチツウクラッチ4→3コーストダウン変速が強タイアップであると判定し、吹き量ΔNTFが略零となったことおよびエンジン回転速度NE がタービン回転速度NT を上回る状態が継続或いは維持されたことに基づいて上記4→3コーストダウン変速が弱タイアップであると判定する。
【0034】
係合側学習制御手段148は、上記吹き状態判定手段144およびタイアップ状態判定手段146を含み、吹き状態判定手段144により判定された吹き状態およびタイアップ状態判定手段146により判定されたタイアップ状態に応じて、そのタイアップが発生しないように学習補正値を定め、その学習補正値に基づいて次回の4→3コーストダウン変速時に変速油圧制御手段120により制御されるクラッチC1の係合圧PC1を補正することにより学習補正する。たとえば、強タイアップが判定された場合には、クラッチC1の係合圧PC1たとえば係合初期圧(係合側待機圧)PC1I を低くするために予め設定された補正値ΔPC1I1をクラッチC1の待機圧PC1I から差し引くことにより補正する。また、弱タイアップが判定された場合には、クラッチC1の係合圧PC1たとえば係合初期圧(係合側待機圧)PC1I を低くするために上記補正値ΔPC1I1よりも小さく設定された補正値ΔPC1I2をクラッチC1の待機圧PC1I から差し引くことにより補正する。また、吹き量ΔNTFが吹き量判定値を超えたと判定された場合は、その吹き量ΔNTFがたとえばその吹き量判定値を下まわるように、予め設定された補正値ΔNC1I3をクラッチC1の待機圧PC1I に加算することにより補正する。このような学習補正により、クラッチC1の摩擦係数などの固体差や経時変化などに拘わらず、4→3コーストダウン変速時にタービン回転速度NT のわずかな吹きが生じて変速ショックが最小となる好適な変速状態に維持される。
【0035】
解放側学習制御手段150は、4→3ダウン変速期間内におけるブレーキB1の滑り出し開始までの期間すなわち4→3ダウン変速出力から上記タービン回転速度NT の上昇開始点までの期間(4→3ダウン変速のトルク相の期間)tT が予め設定された目標期間tTMと一致するように、ブレーキB1の係合圧PB1を学習により補正する。すなわち、実際のブレーキB1の滑り出し開始までの期間tT と目標期間tTMの偏差が小さくなるように予め設定された関係からその偏差に基づいて補正値を決定し、次回の4→3ダウン変速時のブレーキB1の待機圧(初期圧)PB1I にその補正値ΔPB1I1を加算或いは減算することにより補正する。
【0036】
学習禁止手段152は、前記急制動状態判定手段136によって車両の急制動状態が判定された場合には、誤った学習に起因する変速ショックの発生を防止するために、上記係合側学習制御手段148および解放側学習制御手段150による学習作動を共に禁止する。
【0037】
図12、図13、図14、図15は、前記変速用電子制御装置78の制御作動の要部を説明するフローチャートである。図12は前記係合側係合圧制御手段124に対応する係合側係合油圧制御ルーチンを、図13は前記係合側学習制御手段148に対応する図12の係合側係合圧学習補正ルーチンを、図14は前記解放側油圧制御手段122に対応する解放側係合油圧制御ルーチンを、図15は前記解放側学習制御手段150に対応する図14の解放側係合圧学習補正ルーチンをそれぞれ示している。
【0038】
図12において、SA1では、クラッチツウクラッチダウン変速たとえば4→3ダウン変速出力が開始されたか否かが判断される。このSA1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、SA2において、たとえば図8に示すような予め記憶された関係から、トルクコンバータ12の入出力回転速度差NSLIP(=NE −NT )とカウンタ回転速度NC とに基づいてクラッチC1の係合初期圧PC1I が決定され、その係合初期圧PC1I が維持される。次いで、前記係合側学習制御手段148に対応するSA3の係合側学習補正ルーチンが実行される。その係合側学習補正ルーチンは図13に示されている。
【0039】
図13において、SA31では、学習補正のために適正な車輛駆動状態であるか否かが、車輛の駆動状態を反映するトルクコンバータ12の入出力回転速度差NSLIPに基づいてたとえば微小駆動状態であるか否かに基づいて判断される。この判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、強タイアップを判定するためのSA32が実行され、そのSA32の判断が否定される場合は弱タイアップを判定するためのSA34が実行される。それらSA32およびSA34は前記タイアップ状態判定手段146に対応している。また、上記SA34の判断が否定される場合は、前記吹き状態判定手段144に対応するSA36が実行される。
【0040】
上記SA32の判断が肯定される場合は強タイアップが判定された状態であるので、SA33において、強タイアップが判定された場合には、クラッチC1の係合圧PC1たとえば係合初期圧(係合側待機圧)PC1I を低くするために予め設定された補正値ΔPC1I1がクラッチC1の待機圧PC1I から差し引かれることにより補正される。上記SA34の判断が肯定される場合は弱タイアップが判定された状態であるので、SA35において、クラッチC1の係合圧PC1たとえば係合初期圧(係合側待機圧)PC1I を低くするために上記補正値ΔPC1I1よりも小さく設定された補正値ΔPC1I2がクラッチC1の待機圧PC1I から差し引かれることにより補正される。また、上記SA36の判断が肯定される場合は吹き量ΔNTFが所定値よりも大きい状態であるので、SA37において、吹き量ΔNTFがたとえばその吹き量判定値を下まわるように、予め設定された補正値ΔPC1I3がクラッチC1の待機圧PC1I に加算されることにより補正される。
【0041】
図12に戻って、続くSA4では、作動油の粘性低下の影響が抑制されるように、実際の作動油温度TOIL に基づいてクラッチC1の係合圧PC1の変化タイミングなどが補正される。そして、前記制動時補正手段142に対応するSA5では、車輛の制動具合に応じてクラッチC1の係合圧PC1がリアルタイムで補正される。たとえば図11に示す予め記憶された関係から実際のカウンタ回転速度NC またはその変化率に基づいて制動時補正値ΔPC1B が決定され、クラッチC1の係合圧PC1にその制動時補正値ΔPC1B が加算されることによりそのクラッチC1の係合圧PC1がリアルタイムで補正される。
【0042】
図14において、SD1では、クラッチツウクラッチダウン変速たとえば4→3ダウン変速出力が開始されたか否かが判断される。このSD1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、SD2において、たとえば図8に示すような予め記憶された関係から、トルクコンバータ12の入出力回転速度差NSLIP(=NE −NT )とカウンタ回転速度NC とに基づいてブレーキB1の解放初期圧PB1I が決定され、その解放初期圧PB1I が維持される。次いで、前記解放側学習制御手段158に対応するSD3の解放側学習補正ルーチンが実行される。その解放側学習補正ルーチンは図15に示されている。
【0043】
図15において、SD31では、学習補正の前提である急制動状態でないか否かが、たとえば制動油圧、車輛の減速度、カウンタ回転速度NC の減少率などに基づいて判断される。この判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、SD32において、学習補正のために適正な車輛駆動状態であるか否かが、車輛の駆動状態を反映するトルクコンバータ12の入出力回転速度差NSLIPに基づいてたとえば微小駆動状態であるか否かに基づいて判断される。この判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は、SD33において、4→3ダウン変速の実際の滑り出し期間tT が算出された後、SD34において、その実際の滑り出し期間tT と目標期間tTMとのの偏差が小さくなるように予め設定された関係からその偏差に基づいて補正値が決定され、次回の4→3ダウン変速時のブレーキB1の待機圧(初期圧)PB1I にその補正値ΔPB1I1が加算或いは減算されることにより補正される。
【0044】
そして、図14に戻って、続くSD4では、作動油の粘性低下の影響が抑制されるように、実際の作動油温度TOIL に基づいてクラッチC1の係合圧PC1の変化タイミングなどが補正される。
【0045】
上述のように、本実施例によれば、油圧設定手段120により、車輛の微小駆動状態に応じてコーストダウン変速に関与する油圧式摩擦係合装置の変速期間内の油圧が設定されることから、その変速期間内の油圧式摩擦係合装置の係合圧が適切に制御される。たとえばクラッチツウクラッチ4→3ダウン変速に関与するブレーキB1の係合圧PB1の初期油圧PB1I およびクラッチC1の係合圧PC1の初期油圧PC1I が4→3ダウン変速期間内において適切に設定される。このため、車輛の制動などによる外乱に拘わらず係合作動の精度が確保されて、変速ショックなどが十分に抑制される。
【0046】
また、本実施例によれば、自動変速機14とエンジン10との間に設けられたトルクコンバータ(流体式伝動装置)12の入出力回転速度差NSLIPが車輛のエンジンブレーキ状態或いは車輛の駆動走行状態を表すパラメータとして検出されており、前記油圧設定手段120は、その入出力回転速度差NSLIPに基づいてブレーキB1の係合圧PB1の初期油圧PB1I およびクラッチC1の係合圧PC1の初期油圧PC1I を設定することから、微小駆動状態に対応する入出力回転速度差NSLIPに基づいてクラッチツウクラッチ4→3ダウン変速に関与するブレーキB1の係合圧PB1の初期油圧PB1I およびクラッチC1の係合圧PC1の初期油圧PC1I が4→3ダウン変速期間内において適切に設定されるので、容易に、クラッチツウクラッチコーストダウン変速における係合作動の精度が確保されて、変速ショックなどが十分に抑制される。
【0047】
また、本実施例によれば、制動時のエンジンブレーキ状態に応じて係合側摩擦係合装置であるクラッチC1の係合圧PC1をリアルタイムで増加補正する制動時補正手段142が、さらに設けられており、制動時においては係合側摩擦係合装置であるC1の係合圧PC1のクラッチの係合圧がリアルタイムで増加補正されるので、車両の急制動時のトルク変動に拘わらず前記クラッチツウクラッチコーストダウン変速における係合作動が好適に行われて、変速ショックなどが十分に抑制される。
【0048】
また、本実施例によれば、学習制御手段(係合側学習制御手段148、解放側学習制御手段150)により、変速油圧制御手段120により制御される油圧が学習により補正されるので、個体差や経時変化によるばらつきが解消され、係合作動の精度が確保されて、変速ショックなどが十分に抑制される。
【0049】
また、本実施例によれば、係合側学習制御手段148は、前記流体式伝動装置の出力回転速度の吹き量に基づいてクラッチツウクラッチ4→3ダウン変速のタイアップ状態を判定し、そのタイアップ状態に応じて係合側油圧式摩擦係合装置であるクラッチC1の係合圧PC1を学習により補正するものであることから、比較的微妙な油圧制御が必要とされるクラッチツウクラッチ4→3ダウン変速においても、クラッチC1の係合作動の精度が確保されて、変速ショックなどが十分に抑制される。
【0050】
また、本実施例によれば、係合側学習制御手段148は、タービン回転速度NT の吹き量ΔNTFが略零となったこと、およびエンジン回転速度NE がそのタービン回転速度NT を上回る状態から一旦下回った後に再び上回る状態に戻ったことに基づいて前記4→3ダウン変速が強タイアップであると判定し、タービン回転速度NT の吹き量ΔNTFが略零となったこと、およびエンジン回転速度NE がそのタービン回転速度NT を上回る状態が維持されたことに基づいて前記4→3ダウン変速が弱タイアップであると判定するものであるので、2段階のタイアップ状態が判別されて細かな学習補正が可能となるので、一層、4→3ダウン変速中のクラッチC1の係合作動の精度が確保されて、変速ショックなどが十分に抑制される。
【0051】
また、本実施例によれば、解放側学習制御手段150は、クラッチツウクラッチ4→3ダウン変速における解放側油圧式摩擦係合装置であるブレーキB1の滑り出し期間tT が予め設定された期間tTMとなるようにそのブレーキB1の係合圧PB1を学習により補正するものであるので、解放側油圧式摩擦係合装置であるブレーキB1の係合作動の精度も確保されて、クラッチツウクラッチ4→3ダウン変速における変速ショックなどが十分に抑制される。
【0052】
また、本実施例によれば、車両の急制動状態を判定する急制動状態判定手段136と、その急制動状態判定手段136によって車両の急制動状態が判定された場合には、学習制御手段(係合側学習制御手段148、解放側学習制御手段150)による学習を禁止する学習禁止手段152とを、さらに含むものであることから、学習禁止手段152により、急制動時においては学習制御手段148、150による学習が禁止されるので、誤学習が防止され、その誤学習に起因する変速ショックなどが十分に抑制される。
【0053】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0054】
たとえば、前述の実施例の油圧設定手段120では、4→3ダウン変速における油圧制御について説明されていたが、3→2ダウン変速の油圧制御などであってもよい。また、係合側学習制御手段148および解放側学習制御手段150でも、4→3ダウン変速における係合側油圧および解放側油圧の学習制御について説明されていたが、3→2ダウン変速における係合側油圧および解放側油圧の学習制御であってもよい。
【0055】
また、前述の実施例の微小駆動状態制御手段134は、エンジン回転速度NE を所定量持ち上げるためにISC弁54を用いるように構成されていたが、スロットル弁52を駆動するスロットルアクチュエータ50、エンジン10に対する燃料噴射量を調節する燃料噴射弁、エンジン10の点火時期を調節する点火時期調節装置などの他のエンジン回転速度調節装置を用いるように構成されていたもよい。
【0056】
また、前述の実施例の入出力回転状態検出手段128は、トルクコンバータ12の入出力回転速度差NSLIPを検出していたが、入出力回転速度比を検出するものであってもよい。この場合には、微小駆動状態を表すパラメータとして、その入出力回転速度比が入出力回転速度差NSLIPに替えて用いられる。
【0057】
また、前述の実施例の微小駆動状態制御手段134は、車速Vに対応するカウンタ回転速度NC の低下率(減速度)に応じてエンジン回転速度持上量NE を減少させていたが、そのカウンタ回転速度NC に替えて、車輪回転速度などの他のパラメータが用いられてもよい。
【0058】
また、前述の実施例では、イナーシャ相開始点がタービン回転速度NT の上昇開始点を検出することにより判定されていたが、4→3ダウン変速出力からの経過時間tELが予め設定された時間TT を経過したことを検出することにより判定されてもよい。
【0059】
また、前述の実施例では、トルクコンバータ12の入出力回転速度差NSLIPが用いられていたが、そのトルクコンバータ12に替えて、フルードカップリングが用いられても差し支えない。
【0060】
また、前述の実施例において、微小駆動制御手段134は4→3ダウン変速出力の後において、イナーシャ相開始点から微小駆動制御を開始していたが必ずしもイナーシャ相開始点からでなくてもよく、4→3ダウン変速出力以後であればいつでもよい。
【0061】
また、前述の実施例の自動変速機14は、他の形式であってもよい。たとえば、自動変速機14は、FF(フロントエンジン−フロントドライブ)用であって前進5速が得られるように構成されていたが、前進4速以下或いは前進6速以上が得られるように構成されてもよいし、FR(フロントエンジン−リヤドライブ)用に構成されていてもよい。
【0062】
また、前述の実施例において、自動変速機14の4→3ダウン変速について説明されていたが、3→2ダウン変速などの他のダウン変速であってもよい。
【0063】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例が適用される車両用自動変速機の構成を説明する骨子図である。
【図2】図1の自動変速機の各変速段を成立させるためのクラッチおよびブレーキの係合作動を説明する係合作動図表である。
【図3】図1の自動変速機を制御するために車両に設けられた変速用電子制御装置などを説明するブロック線図である。
【図4】図3の電子制御装置によるスロットル弁開度の制御に用いられるアクセルペダル操作量とスロットル弁開度との関係を示す図である。
【図5】図3の変速用電子制御装置による自動変速機の変速制御に用いられる変速線図を示す図である。
【図6】図3の油圧制御回路の要部の構成を概略的に説明する油圧回路図である。
【図7】図3の変速用電子制御装置による制御機能の一例であって、その制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図8】図7の係合側係合圧制御手段或いは解放側係合圧制御手段において初期油圧を決定するために用いられる関係を示す図である。
【図9】図7の微小駆動状態制御手段においてエンジン回転速度持上量(ISC弁要求量)を決定するために用いられる関係を示す図である。
【図10】図7の微小駆動状態制御手段においてタービン回転速度減少率に基づいてエンジン回転速度持上量の減少率を決定するために用いられる関係を示す図である。
【図11】図7の制動時補正手段において制動時の補正値を算出するために用いられる関係を示す図である。
【図12】図3の変速用電子制御装置による制御作動の要部を説明するフローチャートであって、アプライ側係合油圧制御ルーチンを示している。
【図13】図3の変速用電子制御装置による制御作動の要部を説明するフローチャートであって、アプライ側学習補正ルーチンを示している。
【図14】図3の変速用電子制御装置による制御作動の要部を説明するフローチャートであって、ドレン側係合油圧制御ルーチンを示している。
【図15】図3の変速用電子制御装置による制御作動の要部を説明するフローチャートであって、ドレン側学習補正ルーチンを示している。
【図16】図3の変速用電子制御装置による制御作動の要部を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
10:エンジン
12:トルクコンバータ(流体式伝動装置)
14:自動変速機
120:油圧設定手段(変速油圧制御手段)
124:係合側係合圧制御手段
128:入出力回転速度状態検出手段
136:急制動状態判定手段
142:制動時補正手段
148:係合側学習制御手段(学習制御手段)
150:解放側学習制御手段(学習制御手段)
152:学習禁止手段
C1:クラッチ(係合側油圧式摩擦係合装置)
B1:ブレーキ(解放側油圧式摩擦係合装置)
Claims (3)
- 微小駆動状態を維持した状態でコースト走行中のクラッチツウクラッチダウン変速を行う形式の車両用自動変速機の変速制御装置であって、
前記微小駆動状態に応じて、前記コースト走行中のクラッチツウクラッチダウン変速に関与する油圧式摩擦係合装置の変速期間内の初期油圧を制御する変速油圧制御手段と、
前記コースト走行中のクラッチツウクラッチダウン変速のタイアップ状態に応じて該変速油圧制御手段により制御される初期油圧を学習により補正する学習制御手段とを含み、
前記学習制御手段は、流体式伝動装置の出力回転速度の吹き量が略零となったこと、および該流体式伝動装置の入力軸回転速度が出力軸回転速度を上回る状態から一旦下回った後に再び上回る状態に戻ったことに基づいて前記クラッチツウクラッチダウン変速が強タイアップであると判定し、前記流体式伝動装置の出力回転速度の吹き量が略零となったこと、および該流体式伝動装置の入力軸回転速度が出力軸回転速度を上回る状態が維持されたことに基づいて前記クラッチツウクラッチダウン変速が弱タイアップであると判定するものである車両用自動変速機の変速制御装置。 - 前記学習制御手段は、クラッチツウクラッチ変速における解放側油圧式摩擦係合装置の滑り出し期間が予め設定された期間となるように該解放側油圧式摩擦係合装置の係合圧を学習により補正するものである請求項1の車両用自動変速機の変速制御装置。
- 車両の急制動状態を判定する急制動状態判定手段と、その急制動状態判定手段によって車両の急制動状態が判定された場合には、前記学習制御手段による学習を禁止する学習禁止手段とを、さらに含むものである請求項1または2の車両用自動変速機の変速制御装置。
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