しかしながら、本願発明者らは、前記従来の容量素子110を含む半導体装置は以下のような種々の問題があることを見出している。
すなわち、前記従来の半導体装置における下部電極107とコンタクトプラグ105との間には、容量絶縁膜108の結晶化を図るための熱処理工程において、半導体基板100の上方から侵入する酸素(O2 )の拡散を防止して、コンタクトプラグ105の上部が酸化されることを防止する導電性バリア層106が設けられている。
ところが、図19(a)に示すように、前記従来の半導体装置に用いられる導電性バリア層106は、後述するように、結晶粒(グレイン)の配向性が比較的に高いという知見を得ている。従って、例えば、各結晶粒が半導体基板と垂直な方向、すなわちコンタクトプラグ105と平行な方向に配向している場合には、上方から下部電極107の粒界を通って侵入してきた酸素(O2 )によって、コンタクトプラグ105の上部が酸化してしまい、コンタクト抵抗が増大するという第1の問題がある。その上、導電性バリア層106自体が、上方から下部電極107の粒界を通って侵入してきた酸素によって容易に酸化してしまうという知見をも得ている。
一方、酸素バリア性のさらなる向上を目指して、図19(b)に示すように、導電性バリア層106が、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜106a、イリジウム(Ir)膜106b、酸化イリジウム(IrOx )膜106cからなる積層構造を有する構成も報告されている。
このような積層構造を持つ導電性バリア層106においては、上方から下部電極107の粒界を通って侵入してきた酸素をIrOx 膜106cとIr膜106bとが遮断する。より詳細には、IrOx 膜106cは、容量絶縁膜108に対する熱処理時の酸素の侵入を防止し、Ir膜106bは、IrOx 膜106cのスパッタ時のTiAlN膜106aに対する酸化を防止する。その上、IrOx 膜106c及びIr膜106bの粒界をそれぞれ通って侵入してきた酸素が、TiAlN膜106aの表面にアルミニウムの酸化膜(Al2O3)を形成することにより、コンタクトプラグ105への酸素の侵入を遮断する。
しかしながら、導電性バリア膜106の下地層である酸化シリコンからなる層間絶縁膜104は配向性が高いため、その上に形成される導電性バリア層106は、層間絶縁膜104の配向性に優勢配向し、その結果、粒界が形成される。従って、図19(a)に示した単層からなる導電性バリア層106の場合と同様に、下部電極107及び導電性バリア層106の粒界を通って侵入してきた酸素により、コンタクトプラグ105の上部は容易に酸化されてしまう。
さらに、導電性バリア層106に含まれるIr膜106b及びIrOx 膜106cの各粒界を通って侵入してきた酸素は、導電性バリア層の下部に設けられたTiAlN膜106aの表面に酸化膜を厚く形成するため、TiAlN膜106aの体積が膨張する。この膨張により、図19(b)に示すように、特にTiAlN膜106aの側部は側方からの酸素の侵入が大きいため、該TiAlN膜106aの周縁部が内部よりも大きく膨張する。このような周縁部が大きく膨張する体積膨張により、導電性バリア層106には大きな応力が発生し、この応力を緩和するために、積層膜からなる導電性バリア層106において、特にTiAlN膜106aとIr膜106bとの界面で浮きや剥離が生じるという第2の問題がある。この浮きや剥離によって、コンタクト15と下部電極17とのコンタクト抵抗が高抵抗化する。
本発明は、前記従来の問題を解決し、積層構造を有する導電性バリア層における酸素バリア性を向上させると共に、積層構造を有する導電性バリア層に生じる浮きや剥離を防止してコンタクト抵抗の安定化を図ることを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明に係る第1の半導体装置は、基板の上に形成された下部電極、容量絶縁膜及び上部電極からなる容量素子と、下部電極の下側に形成された高融点金属を含む導電性バリア層と、導電性バリア層の下側に形成された高融点金属のみの窒化物からなる導電層とを備えていることを特徴とする。
第1の半導体装置によると、導電性バリア層の下側に形成された高融点金属のみの窒化物からなる導電層を備えているため、導電性バリア層が絶縁層の上に形成される場合には、該導電性バリア層と絶縁層との間に高融点金属のみの窒化物からなる導電層が介在した状態で形成される。これにより、導電性バリア層を絶縁層の上に直接に形成する場合と比べて、導電性バリア層の結晶配向が不規則となって導電性バリア層が緻密となるため、上方から他の膜の粒界を侵入してくる酸素の通過を防止することができる。従って、高融点金属のみの窒化物からなる導電層の下側にコンタクトプラグを設ける場合に、該コンタクトプラグの酸化を防止することができるので、コンタクト抵抗の増大を抑制することができる。さらに、導電性バリア層自体の酸化が防止されるため、導電性バリア層の体積膨張が抑止されるので、導電性バリア層自体の変形が抑止され、導電性バリア層の浮きや剥離をも防止することができる。なお、本願発明者らは、高融点金属のみの窒化物は、他の金属と比較して、配向性が低いという知見を得ている。
第1の半導体装置において、導電層の少なくとも一部は多結晶構造又はアモルファス構造であることが好ましい。このようにすると、導電層の上に形成される導電性バリア層の結晶構造が緻密となるため、導電性バリア層の上方に位置する下部電極や他の膜を侵入してきた酸素の下方への侵入を抑止することができる。
本発明に係る第2の半導体装置は、基板の上に形成された下部電極、容量絶縁膜及び上部電極からなる容量素子と、下部電極の下側に形成された導電性バリア層と、導電性バリア層の下側に形成され、少なくとも一部にアモルファス構造を含む導電層とを備えていることを特徴とする。
第2の半導体装置によると、導電性バリア層の下側に形成され、少なくとも一部にアモルファス構造を含む導電層を備えており、アモルファス構造を含む導電層には結晶粒界が存在しないため、導電層が緻密となる。従って、アモルファス構造を含む導電層の上に形成された導電性バリア層は、緻密な導電層を設けない場合と比べてその結晶粒の粒径が小さくなるので、酸素の導電性バリア層の上部から下部に至るまでの通過経路長が増大する。その結果、上部電極を介して拡散してくる酸素による導電性バリア層自体の酸化が抑止されて、導電性バリア層の酸化耐性が向上する。従って、導電性バリア層の下方に設けられたコンタクトプラグの酸化が防止されると共に、導電性バリア層自体の酸化による体積膨張による浮きや剥離が防止されるので、コンタクト抵抗の安定化を図ることができる。
第2の半導体装置において、導電性バリア層の一部には高融点金属を含むことが好ましい。
本発明に係る第3の半導体装置は、基板の上に形成された下部電極、容量絶縁膜及び上部電極からなる容量素子と、下部電極の下側に形成され、少なくとも一部がアモルファス構造である高融点金属を含む導電性バリア層とを備えていることを特徴とする。
第3の半導体装置によると、下部電極の下側に形成され、少なくとも一部がアモルファス構造である高融点金属を含む導電性バリア層を備えているため、第2の半導体装置と同様の効果を得られる上に、導電性バリア層と異なる導電層を新たに設ける必要がなく、構造が簡単化される。さらに、導電層を設けることによる半導体装置の基板に垂直方向への厚さの増加を防止することができる。
本発明に係る第4の半導体装置は、基板の上に形成された下部電極、容量絶縁膜及び上部電極からなる容量素子と、下部電極の下側に形成された導電性バリア層と、導電性バリア層の下側に形成された高融点金属からなる導電層とを備え、導電層の導電性バリア層に対する接触面積は70%以上であることを特徴とする。
第4の半導体装置によると、導電性バリア層の下側に形成された高融点金属からなる導電層における導電性バリア層に対する接触面積は70%以上に設定されている。この高融点金属からなる導電層は、該高融点金属が持つ低い配向性によってその上に形成される導電性バリア層の膜質が向上し、導電層と導電性バリア層との密着性が向上する。その上、導電層の導電性バリア層に対する接触面積は70%以上であるため、導電性バリア層の導電層との間の密着性に優れた部分が占める割合が大きくなるので、導電層は導電性バリア層の体積膨張時の変形による下向きの応力に対して十分な耐性を有するようになる。すなわち、導電性バリア層の体積膨張による変形が、接触面積が大きい導電層によって緩和されるため、コンタクト抵抗の高抵抗化を抑制することができる。
第4の半導体装置において、導電層は基板と下部電極とを電気的に接続するコンタクトプラグであることが好ましい。このように、導電層がコンタクトプラグを兼ねると、新たな構成部材を増やすことなく、導電性バリア層の変形によるコンタクト抵抗の高抵抗化を防止することができる。
第4の半導体装置において、導電性バリア層の一部は高融点金属を含むことが好ましい。
第4の半導体装置は、導電層の下側に形成され、基板と下部電極とを電気的に接続するコンタクトプラグをさらに備えていることが好ましい。
第1〜第4の半導体装置において、導電性バリア層は、該導電性バリア層の下側に導電層を設けない場合と比べて不規則な配向性を有していることが好ましい。このようにすると、酸素における導電性バリア層の上部から下部に至るまでの通過経路長が増大するため、上方から拡散してくる酸素による導電性バリア層自体の酸化が抑止されて導電性バリア層の酸化耐性が向上する。
また、第1〜第4の半導体装置において、導電性バリア層におけるX線回折(101)ピークの強度比の値は3.0以下であることが好ましい。この値は、導電性バリア層における結晶粒が微細な状態で存在することと等価であるため、酸素に対する耐性が向上する。
本発明に係る第5の半導体装置は、基板の上に形成された下部電極、容量絶縁膜及び上部電極からなる容量素子と、下部電極の下側に形成された導電性バリア層と、導電性バリア層の下側に形成され、基板と下部電極とを電気的に接続する少なくとも2つのコンタクトプラグとを備えていることを特徴とする。
第5の半導体装置によると、導電性バリア層の下側に形成され、基板と下部電極とを電気的に接続する少なくとも2つのコンタクトプラグを備えているため、コンタクトプラグの導電性バリア層との間の密着性に優れた部分が占める割合が大きくなる。従って、導電性バリア層に対して接触面積が大きくなったコンタクトプラグは、導電性バリア層が下向きに変形しようとする応力に対して十分な耐性が生じるため、コンタクトプラグと導電性バリア層、さらには下部電極とのコンタクト抵抗を安定化することができる。
第1〜第5の半導体装置において、導電性バリア層は、複数の導電性バリア膜が積層されてなり、導電層と接する導電性バリア膜は、窒化チタンアルミニウムからなることが好ましい。
第1〜第5の半導体装置において、導電性バリア層は、ルテニウム、ルテニウム酸化物、ルテニウム珪化物、ルテニウム窒化物、レニウム、レニウム酸化物、レニウム珪化物、オスミウム、オスミウム酸化物、オスミウム珪化物、オスミウム窒化物、ロジウム、ロジウム酸化物、ロジウム珪化物、ロジウム窒化物、イリジウム、イリジウム酸化物、イリジウム珪化物、イリジウム窒化物、チタンアルミニウム、チタンアルミニウム珪化物、チタンアルミニウム窒化物、タンタルアルミニウム、タンタルアルミニウム珪化物、タンタルアルミニウム窒化物、白金及び金からなる群より選択される少なくとも1つの材料により構成されていることが好ましい。
第1の半導体装置において、導電層は、チタン窒化物、タンタル窒化物、タングステン窒化物及びコバルト窒化物からなる群より選択される少なくとも1つの材料により構成されていることが好ましい。
第2又は第3の半導体装置において、導電層は、チタン窒化物、タンタル窒化物、タングステン窒化物、コバルト窒化物、チタンアルミニウム、タンタルアルミニウム、タンタル、タングステン、チタン、ニッケル及びコバルトからなる群より選択される少なくとも1つの材料により構成されていることが好ましい。
第4の半導体装置において、導電層は、チタン、タンタル、タングステン、ニッケル及びコバルトからなる群より選択される少なくとも1つの材料により構成されていることが好ましい。
第1〜第5の半導体装置において、容量絶縁膜は高誘電体又は強誘電体からなる金属酸化物により構成されていることが好ましい。すなわち、容量絶縁膜を構成する金属酸化物は成膜後に酸化性雰囲気による結晶化のための熱処理を行なう必要があるため、導電性バリア層の酸化耐性が向上する本発明に適する。
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、基板上の絶縁膜に形成された開口部に導電膜を埋め込むことによりコンタクトプラグを形成する工程と、絶縁膜の上に、コンタクトプラグと接続されるように高融点金属のみの窒化物からなる導電層を形成する工程と、導電層の上に高融点金属を含む導電性バリア層を形成する工程と、導電性バリア層の上に下部電極を形成する工程と、下部電極の上に容量絶縁膜を形成する工程と、容量絶縁膜の上に上部電極を形成する工程とを備えていることを特徴とする。
第1の半導体装置の製造方法によると、絶縁膜の上にコンタクトプラグと接続されるように高融点金属のみの窒化物からなる導電層を形成し、形成した導電層の上に高融点金属を含む導電性バリア層を形成するため、本発明の第1の半導体装置を得ることができる。
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法は、基板上の絶縁膜に形成された開口部に導電膜を埋め込むことによりコンタクトプラグを形成する工程と、絶縁膜の上に、コンタクトプラグと接続され且つその少なくとも一部にアモルファス構造を含む導電層を形成する工程と、導電層の上に導電性バリア層を形成する工程と、導電性バリア層の上に下部電極を形成する工程と、下部電極の上に容量絶縁膜を形成する工程と、容量絶縁膜の上に上部電極を形成する工程とを備えていることを特徴とする。
第2の半導体装置の製造方法によると、絶縁膜の上にコンタクトプラグと接続され且つその少なくとも一部にアモルファス構造を含む導電層を形成し、形成した導電層の上に導電性バリア層を形成するため、導電性バリア層における結晶粒の配向性がばらつくようになるので、緻密な導電性バリア層を形成することができ、本発明の第2の半導体装置を得ることができる。
本発明に係る第3の半導体装置の製造方法は、基板上の絶縁膜に形成された開口部に導電膜を埋め込むことによりコンタクトプラグを形成する工程と、絶縁膜の上に、コンタクトプラグと接続され且つその少なくとも一部にアモルファス構造を含む導電性バリア層を形成する工程と、導電性バリア層の上に下部電極を形成する工程と、下部電極の上に容量絶縁膜を形成する工程と、容量絶縁膜の上に上部電極を形成する工程とを備えていることを特徴とする。
第3の半導体装置の製造方法によると、絶縁膜の上にコンタクトプラグと接続され且つその少なくとも一部にアモルファス構造を含む導電性バリア層を形成するため、本発明の第3の半導体装置を得ることができる。
本発明に係る第4の半導体装置の製造方法は、基板上の絶縁膜に形成された開口部に導電膜を埋め込むことにより、高融点金属からなるコンタクトプラグを形成する工程と、コンタクトプラグの上に導電性バリア層を形成する工程と、導電性バリア層の上に下部電極を形成する工程と、下部電極の上に容量絶縁膜を形成する工程と、容量絶縁膜の上に上部電極を形成する工程とを備え、コンタクトプラグを形成する工程において、コンタクトプラグは、導電性バリア層に対するコンタクトプラグの接触面積が70%以上となるように形成することを特徴とする。
第4の半導体装置の製造方法によると、高融点金属からなるコンタクトプラグは、導電性バリア層に対するコンタクトプラグの接触面積が70%以上であるため、本発明の第4の半導体装置を得ることができる。
本発明に係る第5の半導体装置の製造方法は、基板上の絶縁膜に形成された開口部に導電膜を埋め込むことによりコンタクトプラグを形成する工程と、絶縁膜の上に、コンタクトプラグと接続されるように高融点金属からなる導電層を形成する工程と、導電層の上に導電性バリア層を形成する工程と、導電性バリア層の上に下部電極を形成する工程と、下部電極の上に容量絶縁膜を形成する工程と、容量絶縁膜の上に上部電極を形成する工程とを備え、導電層を形成する工程において、導電層は導電性バリア層に対する導電層の接触面積が70%以上となるように形成することを特徴とする。
第5の半導体装置の製造方法によると、絶縁膜の上にコンタクトプラグと接続されるように形成される高融点金属からなる導電層は、導電性バリア層に対する導電層の接触面積が70%以上であるため、本発明の第4の半導体装置を得ることができる。
本発明に係る第6の半導体装置の製造方法は、基板上の絶縁膜に形成された開口部に導電膜を埋め込むことにより、少なくとも2つのコンタクトプラグを形成する工程と、絶縁膜の上に、少なくとも2つのコンタクトプラグと接続されるように導電性バリア層を形成する工程と、導電性バリア層の上に下部電極を形成する工程と、下部電極の上に容量絶縁膜を形成する工程と、容量絶縁膜の上に上部電極を形成する工程とを備えていることを特徴とする。
第6の半導体装置の製造方法によると、絶縁膜の上に少なくとも2つのコンタクトプラグと接続されるように導電性バリア層を形成し、形成した導電性バリア層の上に下部電極を形成するため、本発明の第5の半導体装置を得ることができる。
第1の半導体装置の製造方法は、導電層を形成する工程において、導電層はその少なくとも一部にアモルファス構造を含むように形成することが好ましい。
第1又は第2の半導体装置の製造方法は、導電層を形成する工程において、導電層はその配向性が不規則になるように形成することが好ましい。このようにすると、導電性バリア層の形成時に導電性バリア層の結晶配向が不規則となるため、導電性バリア層が緻密となるので、上方から他の膜の粒界を侵入してくる酸素の通過を防止することができるようになる。
本発明に係る第7の半導体装置の製造方法は、基板上の絶縁膜に形成された開口部に導電膜を埋め込むことによりコンタクトプラグを形成する工程と、絶縁膜の上に、コンタクトプラグと接続されるように下部電極を形成する工程と、下部電極の上に容量絶縁膜を形成する工程と、容量絶縁膜の上に上部電極を形成する工程とを備え、下部電極を形成する工程は、導電性を有し酸素の拡散を防止する多結晶構造を有する導電性バリア層を成膜する工程と、成膜された導電性バリア層に対して酸化性雰囲気による熱処理を行なう工程とを含むことを特徴とする。
第7の半導体装置の製造方法によると、下部電極を形成する工程において、酸素の拡散を防止する多結晶構造を有する導電性バリア層を成膜し、その後、成膜された導電性バリア層に対して酸化性雰囲気による熱処理を行なう。すなわち、多結晶構造を有する導電性バリア層に対して容量絶縁膜を形成するよりも前に酸化性雰囲気による熱処理を行なうため、容量絶縁膜に対する熱処理時に、導電性バリア層の酸化による急激な体積膨張を抑止できるので、コンタクトプラグと容量素子との間のコンタクト抵抗の安定化を図ることができる。
第7の半導体装置の製造方法において、熱処理は急速加熱処理であることが好ましい。
第1〜第7の半導体装置の製造方法において、容量絶縁膜は高誘電体又は強誘電体からなる金属酸化物により構成されていることが好ましい。
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、酸素の拡散を防止する導電性バリア層の酸素による変形を防止し、コンタクト抵抗の安定化を図ることができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1(a)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置であって、不揮発性メモリ装置の要部の断面構成を示している。
図1(a)に示すように、例えば、シリコン(Si)からなる半導体基板10の主面には、シャロウトレンチ分離(STI)等の素子分離膜11により区画された複数の素子形成領域が形成されている。各素子形成領域には、半導体基板10との間にゲート絶縁膜を介在させたゲート電極12とソース領域及びドレイン領域13とからなるトランジスタが形成されている。半導体基板10の上には、各トランジスタを覆うように全面にわたって酸化シリコン等からなる保護絶縁膜14が形成されている。保護絶縁膜14には、各トランジスタのソース領域又はドレイン領域13とそれぞれ電気的に接続されたタングステン(W)又はポリシリコンからなるコンタクトプラグ15が形成されている。
保護絶縁膜14の上における各コンタクトプラグ15を含む領域には、図1(b)に示すように、例えば、厚さが約10nm〜50nmの高融点金属の窒化物であり、多結晶状の窒化チタン(TiN)からなる導電層16Aと、該導電層16Aの上に順次形成され、厚さが約50nm〜150nmの窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜17a、厚さが約30nm〜100nmのイリジウム(Ir)膜17b及び厚さが約30nm〜100nmの酸化イリジウム(IrOx )膜17cの積層体からなり、酸素の拡散を防止する多結晶状の導電性酸素バリア層17とが形成されている。
ここで、導電層16Aは、窒化チタン(TiN)に限られず、例えば、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)及び窒化コバルト(CoN)のうちの少なくとも1つを含む構成であれば良い。
また、導電性酸素バリア層17は、窒化チタンアルミニウム膜17a、イリジウム膜17b及び酸化イリジウム膜17cからなる積層体に限られず、ルテニウム(Ru)、ルテニウム酸化物(RuOx )、ルテニウム珪化物(RuSix )、ルテニウム窒化物(RuNx )、レニウム(Re)、レニウム酸化物(ReOx )、レニウム珪化物(ReSix )、オスミウム(Os)、オスミウム酸化物(OsOx )、オスミウム珪化物(OsSix )、オスミウム窒化物(OsNx )、ロジウム(Rh)、ロジウム酸化物(RhOx )、ロジウム珪化物(ReSix )、ロジウム窒化物(RhNx )、イリジウム(Ir)、イリジウム酸化物(IrOx )、イリジウム珪化物(IrSix )、イリジウム窒化物(IrNx )、チタンアルミニウム(TiAl)、チタンアルミニウム窒化物(TiAlNx )、チタンアルミニウム珪化物(TiAlSix )タンタルアルミニウム(TaAl)、タンタルアルミニウム珪化物(TaAlSix )、タンタルアルミニウム窒化物(TaAlNx )、白金(Pt)及び金(Au)のうちの少なくとも1つを含む構成であれば良い。
導電性酸素バリア層17の上には、厚さが約50nm〜150nmの白金(Pt)からなる下部電極18と、厚さが50nm〜150nmのビスマス層状ペロブスカイト構造を有するタンタルニオブ酸ストロンチウムビスマス(SrBi2(Ta1−yNby)2O9 (但し、yは0≦y≦1である。))からなる容量絶縁膜19と、厚さが約50nm〜150nmの白金からなる上部電極20とが形成されている。この下部電極18、容量絶縁膜19及び上部電極20とから容量素子21が構成される。
ここで、導電層16、導電性酸素バリア層17及び下部電極18は埋込絶縁膜22によりその周囲が埋め込まれている。
第1の実施形態によると、半導体装置は、容量素子21の下部電極18とコンタクトプラグ15との間に設けられた導電性酸素バリア層17の下側に、該導電性酸素バリア層17の下地層として、高融点金属のみの窒化物、例えば窒化チタンからなる導電層16Aを設けている。高融点金属の窒化物は、酸化シリコン等からなる保護絶縁膜14の上に成膜される際に配向性が低く不揃いとなる。このため、配向が不揃いな導電層16Aの上に多結晶状の導電性酸素バリア層17を形成する際に、導電性酸素バリア層17はその結晶粒の配向性が導電層16Aを設けない場合と比べて不規則となる。これにより、製造時に、上部電極20を介して酸化イリジウム膜17c及びイリジウム膜17bの各粒界を通過して拡散してくる酸素の通過経路長が増大する。このため、導電性酸素バリア層17自体の酸化が抑止されるので、該導電性酸素バリア層17の酸化耐性が向上し、従って、導電層16Aの下側に形成されているコンタクトプラグ15の酸化が防止される。さらに、導電性酸素バリア層17の下部に位置する窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜17aの酸化による体積膨張が抑止されるため、窒化チタンアルミニウム膜17a自体の浮きやイリジウム膜17bとの界面での剥離が防止されるようになるので、コンタクトプラグ15と下部電極18との間のコンタクト抵抗が安定する。
なお、下部電極18とコンタクトプラグ15との間に設けた導電層16A及び導電性酸素バリア層17は、下部電極18の一部とみなしてもよい。
また、容量絶縁膜19は、SrBi2(Ta1−yNby)2O9 に限られず、ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(ZryTi1−y)O3 )、チタン酸バリウムストロンチウム((BaySr1−y)TiO3 )、チタン酸ビスマスランタン((BiyLa1−y)4Ti3O12)(但し、いずれも、yは0≦y≦1である。)又は五酸化タンタル(Ta2O5)を用いることができる。
このように、第1の実施形態においては、高融点金属のみの窒化物である窒化チタンからなる導電層16Aを導電性酸素バリア層17とコンタクトプラグ15との間に設けている。高融点金属の窒化物は、導電性酸素バリア層17をコンタクトプラグ15を含む保護絶縁膜14の上に直接に形成する場合と比べて、導電性酸素バリア層17の結晶配向が不規則となるため、該導電性酸素バリア層17が緻密となるので、上方から侵入してくる酸素の通過を防止することができる。これにより、コンタクトプラグ15の酸化を防止できるため、コンタクト抵抗の増大を抑止することができる。さらには、導電性酸素バリア層17自体の酸化が防止されるため、該導電性酸素バリア層17の体積膨張が抑制される。その結果、導電性酸素バリア層17自体の変形が抑止されて、該導電性酸素バリア層17の浮きや剥離をも防止することができる。
以下、前記のように構成された半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図2(a)〜図2(d)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法の工程順の断面構成を示している。
まず、図2(a)に示すように、半導体基板10の主面に素子分離膜11を選択的に形成して、該主面を複数の素子形成領域に区画し、区画された各素子形成領域に、ゲート電極12及びソース領域及びドレイン領域13からなるトランジスタを形成する。続いて、化学的気相堆積(CVD)法により、半導体基板10の上にトランジスタを含む全面にわたって保護絶縁膜14を堆積し、堆積した保護絶縁膜14の上面を化学機械的研磨(CMP)法により平坦化する。続いて、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、保護絶縁膜14に各トランジスタのソース領域又はドレイン領域13を露出するコンタクトホールを形成し、形成したコンタクトホールに、CVD法及びエッチバック法、又はCVD法及びCMP法を組み合わせてコンタクトプラグ15を形成する。
続いて、スパッタ法又はCVD法により、保護絶縁膜14の上に各コンタクトプラグ15を覆うように、多結晶状で結晶粒が十分に小さい窒化チタン(TiN)からなる導電層16Aを形成する。具体的には、窒化チタン(TiN)は有機金属化学的気相堆積(MOCVD)法を用い、成膜温度を約350℃〜450℃で形成する。ここで、窒化チタン(TiN)はMOCVD法に限られず、スパッタ温度を350℃とし、電源出力を0.5kW〜3kWとするスパッタ法を用いてもよい。
その後、スパッタ法により、導電層16Aの上に、窒化チタンアルミニウム、イリジウム及び酸化イリジウムを順次成膜して導電性酸素バリア層17を成膜し、続いて、導電性酸素バリア層17の上に、スパッタ法により白金からなる下部電極18を成膜する。その後、塩素(Cl2 )を含むエッチングガスを用いたドライエッチングにより、導電層16A、導電性酸素バリア層17及び下部電極18を所定の形状にパターニングする。
続いて、CVD法により、保護絶縁膜14の上に下部電極18を覆うように、厚さが400nm〜600nmの酸化シリコン(SiO2 )からなる埋込絶縁膜22を堆積する。
次に、図2(b)に示すように、CMP法又はエッチング法により、堆積した埋込絶縁膜22に対して下部電極18を露出するように平坦化する。
次に、図2(c)に示すように、有機金属分解(MOD)法、有機金属化学的気相堆積(MOCVD)法又はスパッタ法により、下部電極18を含む埋込絶縁膜22の上に、厚さが50nm〜150nmのビスマス層状ペロブスカイト構造を有するSrBi2(Ta1−yNby)2O9 からなる容量絶縁膜形成膜19Aを成膜する。続いて、スパッタ法により、容量絶縁膜形成膜19Aの上に、白金(Pt)からなる上部電極形成膜20Aを成膜する。その後、成膜された容量絶縁膜形成膜19Aに対して、温度が650℃〜800℃の酸素雰囲気で容量絶縁膜形成膜19Aの結晶化を図る熱処理を行なう。
なお、容量絶縁膜形成膜19Aに対する結晶化の熱処理は、図2(d)に示す、上部電極形成膜20A及び容量絶縁膜形成膜19Aのパターニングの後に行なってもよい。
次に、図2(d)に示すように、リソグラフィ法により、上部電極形成膜20Aの上に下部電極18を覆うレジストパターン(図示せず)を形成し、その後、ドライエッチング法により、上部電極形成膜20A及び容量絶縁膜形成膜19Aをパターニングして、上部電極形成膜20Aから上部電極20を形成し、容量絶縁膜形成膜19Aから容量絶縁膜19を形成する。これにより、導電性酸素バリア層17の上に、下部電極18、容量絶縁膜19及び上部電極20からなる容量素子21が形成される。
なお、下部電極18及び上部電極20の電極材料には白金を用いたが、白金に限られず、貴金属材料等を用いることができる。
以上説明したように、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、コンタクトプラグ15と容量素子21の下部電極18の下側に設けられた導電性酸素バリア層17との間に、高融点金属のみの窒化物である窒化チタンからなる導電層16Aを形成しているため、導電性酸素バリア層17の下部に位置する高融点金属を含む窒化物である窒化チタンアルミニウム膜17aの密着性が良好となる。
すなわち、窒化チタンからなる導電層16Aの上に多結晶状の窒化チタンアルミニウム膜17aを成膜する際に、窒化チタンアルミニウム膜17aを構成する結晶粒が十分に小さくなるため、容量絶縁膜19の結晶化を図る熱処理工程において、上部電極形成膜20Aの上方から侵入する酸素の経路が長くなるので、導電性酸素バリア層17からコンタクトプラグ15への酸素の拡散を防ぐことができる。
より具体的には、導電層16Aが多結晶状の高融点金属のみの窒化物からなるため、その膜質は緻密であり、該導電層16Aの上に形成される多結晶状の窒化チタンアルミニウム膜17aもその下地である導電層16Aの配向に影響されて緻密に形成される。その結果、導電性酸素バリア層17の結晶粒が微細な状態で存在できるため、容量絶縁膜19に対する結晶化の熱処理時に、上方から進入する酸素の拡散を防ぐことができるので、酸素に対する導電性酸素バリア層17の酸化を抑止することができる。
従って、窒化チタンアルミニウム膜17aが緻密化されて、該窒化チタンアルミニウム膜17aを含む導電性酸素バリア層17の酸化を防止できるため、導電性酸素バリア層17である窒化チタンアルミニウム膜17aとイリジウム膜17bとの界面での浮きや剥離が防止されるので、コンタクトプラグ15と下部電極18との間のコンタクト抵抗が安定化する。
なお、導電層16Aに多結晶状の窒化チタンを用いたが、単結晶の窒化チタン、さらには単結晶の高融点金属のみの窒化物により形成してもよい。この場合には、導電層16Aを設けない場合と比較して、導電性酸素バリア層17の配向性を悪く形成することができ、上述したのと同様の効果を得ることができる。
ここで、第1の実施形態に係る半導体装置と従来の半導体装置とを比較した結果について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る半導体装置において、容量絶縁膜19に対して焼結温度(結晶化温度)700℃〜820℃の温度範囲で酸素処理を行なった場合の導電性酸素バリア層17とコンタクトプラグ15とのコンタクト抵抗値の分布を図18に示す従来の半導体装置と比較して示している。ここでのコンタクト抵抗値は、コンタクトプラグ15と容量素子21との間の値である。図3において、曲線1は第1の実施形態に係る半導体装置を示し、曲線2は後述の第2の実施形態に係る半導体装置を示し、曲線3は従来例を示している。図3の曲線1に示すように、第1の実施形態に係る半導体装置は、コンタクト抵抗値が焼結温度の760℃程度でも30Ω程度と低い値を維持している。この測定結果から、第1の実施形態に係る多結晶状のTiNからなる導電層16Aの上に形成された導電性酸素バリア層17は、下部電極18を介して拡散してくる酸素を防ぐことができ、導電性酸素バリア層17自体の酸化が抑止されて、コンタクト抵抗の低抵抗化を実現できていることが分かる。
これに対し、曲線3に示す従来例に係る半導体装置の場合は、焼結温度が750℃を超える辺りからコンタクト抵抗値が上昇し、焼結温度が800℃の近辺では900Ωという高抵抗域に分布している。このことから、従来例においては、導電性バリア層106の酸化によって、コンタクトプラグ105に接する部分までもが酸化されていることが分かる。
以上説明したように、第1の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法によると、導電性酸素バリア層17とコンタクトプラグ15との間に、高融点金属のみの窒化物からなる導電層16Aを形成しているため、導電性酸素バリア層17、特にその下部に設けた高融点金属を含む窒化物(例えばTiAlN)膜17aの結晶粒の配向をTiAlN膜17aが酸化されにくい配向にすることができる。このため、導電性酸素バリア層17の変形が抑制されるので、変形に伴う浮きや剥離を防止することができ、その結果、コンタクト抵抗の高抵抗化を防止することができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図4(a)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置であって、不揮発性メモリ装置の要部の断面構成を示している。図4(b)は図4(a)の要部拡大図である。ここで、図1と同値の構成要素には同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
第2の実施形態は、第1の実施形態とは、導電層がアモルファス構造を有する点で異なっている。図4(a)に示すように、半導体基板10から保護絶縁膜14までの構成は、第1の実施形態の図2(a)と同一であるので説明を省略する。
次に、保護絶縁膜14の上における各コンタクトプラグ15を含む領域には、図4(b)に示すように、例えば、厚さが約10nm〜50nmのアモルファス状の窒化チタン(TiN)からなる導電層16と、該導電層16の上に順次形成され、厚さが約50nm〜150nmの窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜17a、厚さが約30nm〜100nmのイリジウム(Ir)膜17b及び厚さが約30nm〜100nmの酸化イリジウム(IrOx )膜17cの積層体からなり、酸素の拡散を防止する多結晶状の導電性酸素バリア層17とが形成されている。
ここで、導電層16は、窒化チタン(TiN)に限られず、例えば、タンタル窒化物、タングステン窒化物、コバルト窒化物、チタンアルミニウム(TiAl)、タンタルアルミニウム(TaAl)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)及びコバルト(Co)のうちの少なくとも1つを含む構成であれば良い。
また、導電性酸素バリア層17は、窒化チタンアルミニウム、イリジウム及び酸化イリジウムからなる積層体に限られず、ルテニウム(Ru)やルテニウム酸化物(RuOx )等の、第1の実施形態で挙げた材料を含む構成であれば良い。
以下の導電性酸素バリア層17から上の構成は、第1の実施形態と同一であるため説明を省略する。
このように構成された第2の実施形態に係る半導体装置は、容量素子21の下部電極18とコンタクトプラグ15との間に形成された導電性酸素バリア層17の下側に、下地層としてアモルファス状の窒化チタンからなる導電層16を設けている。このため、多結晶状の導電性酸素バリア層17、特に下部の窒化チタンアルミニウム膜17aを形成する際に、粒界がないアモルファス状の導電層16のモフォロジーにより、窒化チタンアルミニウム膜17aの結晶粒が導電層16を設けない場合と比べて小さくなり且つその配向性も不規則となる。
これにより、製造時に、上部電極20を介して、酸化イリジウム膜17c及びイリジウム膜17bの各粒界を通過して拡散してくる酸素による導電性酸素バリア層17自体の酸化が抑止されるため、該導電性酸素バリア層17の酸化耐性が向上し、その結果、導電層16の下側に形成されるコンタクトプラグ15の酸化が防止される。さらに、導電性酸素バリア層17、特に下部の窒化チタンアルミニウム膜17aの酸化による体積膨張が抑止されるため、窒化チタンアルミニウム膜17aとイリジウム膜17bとの界面の浮きや剥離が防止されるので、コンタクトプラグ15と下部電極18との間のコンタクト抵抗が安定する。
なお、下部電極18とコンタクトプラグ15との間に設けた導電層16及び導電性酸素バリア層17は、下部電極18の一部と見なしてもよい。
また、容量絶縁膜19は、SrBi2(Ta1−yNby)2O9 に限られず、ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(ZryTi1−y)O3 )やチタン酸バリウムストロンチウム((BaySr1−y)TiO3 )(但し、yは0≦y≦1である。)等の、第1の実施形態に挙げた強誘電体材料又は高誘電体材料を用いることができる。
以下、前記のように構成された半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。但し、第1の実施形態と同一部分については、詳細な説明を省略する。
図5(a)〜図5(d)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法の工程順の断面構成を示している。ここで、図2と同一の構成要素には、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
まず、図5(a)に示すように、半導体基板10の主面に、トランジスタ、保護絶縁膜14及びコンタクトプラグ15を順次形成する。
続いて、有機金属化学的気相堆積(MOCVD)法により、例えば、有機金属原料にテトラキスジメチルアミノチタニウム(tetrakis dimethyl amino titanium:TDMAT)を用い、成膜温度を約350℃〜450℃として、保護絶縁膜14の上に各コンタクトプラグ15を覆うように、アモルファス状の窒化チタン(MOCVD−TiN)からなる導電層16を形成する。ここで、アモルファス状の窒化チタンはMOCVD法に限られず、スパッタ温度を350℃とし、電源出力を4kW〜10kWとするスパッタ法を用いてもよい。
その後、導電層16の上に、窒化チタンアルミニウム、イリジウム及び酸化イリジウムを順次成膜して導電性酸素バリア層17及び下部電極18を成膜する。その後、導電層16、導電性酸素バリア層17及び下部電極18を所定の形状にパターニングする。
続いて、CVD法により、保護絶縁膜14の上に下部電極18を覆うように、厚さが400nm〜600nmの酸化シリコン(SiO2 )からなる埋込絶縁膜22を堆積する。
次に、図5(b)から図5(d)の工程は、図2(b)から図2(d)と同一であるので説明を省略する。
以上説明したように、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、下部電極18の下側に位置する導電性酸素バリア層17とコンタクトプラグ15との間に、アモルファス状の導電層16を形成するため、多結晶状の導電性酸素バリア層17を構成する結晶粒が小さくなって緻密化されるので、該導電性酸素バリア層17の酸化耐性が向上する。その結果、導電性酸素バリア層17の酸化を抑止できるようになり、該導電性酸素バリア層17自体の浮きや剥離が防止されて、コンタクトプラグ15と下部電極18との間のコンタクト抵抗が安定化する。
以下、第2の実施形態に係る半導体装置と従来の半導体装置とを比較した結果について説明する。
図3の曲線2に示すように、第2の実施形態に係る半導体装置は、コンタクト抵抗値が焼結温度の800℃を超えても30Ω程度と低い値を維持している。この測定結果から、第2の実施形態に係るアモルファス状のTiNからなる導電層16の上に形成された導電性酸素バリア層17は、下部電極18を介して拡散してくる酸素を防ぐことができ、導電性酸素バリア層17自体の酸化が抑止されて、コンタクト抵抗の低抵抗化を実現できていることが分かる。これに対し、前述したように、曲線3に示す従来例に係る半導体装置は、焼結温度の800℃近辺では900Ωと高い抵抗値を示し、コンタクトプラグ105に接する部分までもが酸化されていることが分かる。
図6は第2の実施形態に係る導電性酸素バリア層の構造を測定するための資料の断面構成を模式的に表わしている。
図6に示すように、CVD法により、基板50の上に、厚さが10nm〜50nmのアモルファス状の窒化チタンからなる導電層16を成膜し、成膜した導電層16の上に、厚さが50nm〜150nmの窒化チタンアルミニウムからなる導電性酸素バリア層17を成膜する。図6から分かるように、アモルファス状の導電層16には粒界がなく、そのアモルファス状に成膜された導電層16によって、導電性酸素バリア層17を構成する結晶粒が微細になり、従って導電性酸素バリア層17は緻密になる。すなわち、導電性酸素バリア層17の結晶粒は導電層16を形成しない場合よりも小さくなり且つ配向性が不規則となる。これにより、酸素の通過経路長が増大して、上部電極20を介して拡散してくる酸素によって導電性酸素バリア層17自体の酸化が抑止されて、該導電性酸素バリア層17自体の酸素バリア性、さらにはコンタクトプラグ15に対する酸素バリア性が大幅に向上する。
次に、第2の実施形態に係る導電性酸素バリア層17における結晶粒の配向性を測定した測定結果を示す。
図7は導電性酸素バリア層の下に導電層を設けた場合と設けない場合とにおける導電性酸素バリア層17のX線回折(101)ピークの強度比の値の比較結果を示している。図7から分かるように、第2の実施形態に係る導電性酸素バリア層は、CVD法により成膜され、アモルファス層を多く含み結晶性が劣る導電層16を下地層として成膜されており、この場合には、X線回折(101)ピークの強度比の値が1.5と低い。
一方、導電層16を設けない従来例の場合のX線回折(101)ピークの強度比は3.6と高い値を示しており配向性が高い、すなわち結晶粒が揃っていることが分かる。
このように、第2の実施形態は、アモルファス状の導電層16を導電性酸素バリア層17の下地層として用いることにより、導電性酸素バリア層17自体が酸化されにくい配向性を持たせることができる。すなわち、導電性酸素バリア層17の結晶粒が微細な状態となるため、該導電性酸素バリア層17を構成する結晶粒の粒界が該バリア層17の表面から裏面にまで横断する確率が低くなる。その結果、容量絶縁膜19に対する結晶化を図る熱処理時に、容量素子21の上方から侵入する酸素のコンタクトプラグ15への拡散を防止でき、導電性酸素バリア層17自体の酸化をも抑止することができる。これにより、導電性酸素バリア層17の浮きや剥離が防止されて、コンタクトプラグ15と下部電極18との間のコンタクト抵抗の安定化を実現できる。
図8(a)は導電性酸素バリア層17の下地層であるアモルファス状の導電層16の上に、TiAlNからなる導電性酸素バリア層17をスパッタ法により成膜する際の、TiAlN膜の配向性の成膜温度依存性を示し、図8(b)はTiAlN膜の配向性のDCパワー依存性を示している。ここで、図8(a)及び図8(b)において、直線4A、4Bは第2の実施形態に係る導電層を下地層とした場合を示し、直線5A、5Bは比較用であって、多結晶状の導電層を下地層とした場合を示している。また、各グラフの縦軸は、それぞれのX線回折強度の比をとっている。
図8(a)からは、TiAlN膜はDCパワーを増大させていくと、配向性が徐々に高まることが分かり、特に、下地層が多結晶状の導電層16Aの場合は顕著となる。従って、DCパワーは3kw以下が望ましい。一方、図8(b)からは、成膜温度を高くすることによっても、配向性が徐々に高くなることが分かり、この場合も下地層が多結晶状の導電層の場合は顕著となる。従って、成膜温度は室温から150℃程度が望ましい。
すなわち、図8(a)及び(b)により、下地層であるTiNからなる導電層の結晶状態により、その上に成膜されるTiAlN膜の配向性が変わることが分かる。さらに、成膜条件によってもTiAlN膜の配向性が変わることが分かる。従って、これらの測定結果から、導電性酸素バリア層17を構成するTiAlN膜の配向性が低い、すなわち酸素が侵入しにくい膜に成膜するには、下地層を構成する高融点金属を含む導電層の結晶状態に応じて、TiAlN膜の成膜条件を適宜制御することにより、配向性を決定することができることが分かる。
(第1の参考形態)
以下、本発明の第1の参考形態について図面を参照しながら説明する。
図9(a)は本発明の第1の参考形態に係る半導体装置であって、不揮発性メモリ装置の要部断面図である。図9(a)において、図4(a)に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図9(a)に示すように、本変形例に係る半導体装置は、容量素子21を構成する下部電極18とコンタクトプラグ15との間に導電性酸素バリア層17Aのみを設ける構成である。導電性酸素バリア層17Aは、図9(b)に示すように、下から順次形成された、厚さが約50nm〜150nmのアモルファス状のTiAlN膜17aと、厚さが約30nm〜100nmのイリジウム(Ir)膜17bと、厚さが約30nm〜100nmの酸化イリジウム(IrOx )膜17cとの積層体により構成されている。
本変形例に係るアモルファス状のTiAlN膜17aは、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)とを含むターゲット材と、アルゴン(Ar)及び窒素(N2 )の混合ガスとを用いた反応性スパッタ法により成膜する。
本変形例によると、コンタクトプラグ15と容量素子21の下部電極18との間に設けられる導電性酸素バリア層17Aの下部に位置するTiAlN膜17aがアモルファス構造を採るため、該TiAlN膜17aの上に成膜されるIr膜17b及びIrOx 膜17cは、下部のTiAlN膜17aの配向の影響を受ける。このため、配向性が低く且つ緻密な構造を持つ導電性酸素バリア層17を形成することができる。
従って、導電性酸素バリア層17と異なる導電層を設けることなく、酸化耐性に優れ且つ剥離しにくい導電性酸素バリア層17を得ることができる。その結果、工程を削減できる上に、半導体装置自体の高さを抑制することができる。
(第2の参考形態)
以下、本発明の第2の参考形態について図面を参照しながら説明する。
図10(a)は本発明の第2の参考形態に係る半導体装置であって、不揮発性メモリ装置の要部の断面構成を示している。図10(a)において、図1(a)に示す第1の実施形態に係る構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図10(a)に示すように、第2の参考形態に係る半導体装置は、半導体基板10上の保護絶縁膜14に形成され、半導体基板10におけるトランジスタのソース領域又はドレイン領域13と容量素子21の下部電極18とを電気的に接続するコンタクトプラグ25と、該コンタクトプラグ25と下部電極18との間に形成された導電性酸素バリア層27とを有している。第2の参考形態においては、コンタクトプラグ27と導電性酸素バリア層27との間には、アモルファス状又は多結晶状の高融点金属の窒化物からなる導電層は設けていない。
図10(b)の拡大図に示すように、コンタクトプラグ25は例えばタングステン(W)からなり、コンタクトプラグ25の径は導電性酸素バリア層27の下面の径とほぼ同等の寸法に設定されている。
導電性酸素バリア層27は、下から順次形成された、厚さが約50nm〜150nmの多結晶状のTiAlN膜27aと、厚さが約30nm〜100nmのイリジウム(Ir)膜27bと、厚さが約30nm〜100nmの酸化イリジウム(IrOx )膜27cとの積層体により構成されている。
第2の参考形態によると、コンタクトプラグ25と下部電極18とは、導電性酸素バリア層27を介してほぼ全面的に対向するため、コンタクトプラグ25が、その上に位置する導電性酸素バリア層27が酸化されて変形しようとする際の下側への応力(押込み応力)に対して十分な耐性を有するようになる。
従って、容量絶縁膜19に対して行なう結晶化を図る熱処理時において、導電性酸素バリア層27の周縁部が酸化により体積膨張した場合であっても、その応力に起因した導電性酸素バリア層27の下方向への湾曲変形を径が大きいコンタクトプラグ25により抑制することができる。その結果、導電性酸素バリア層27自体の浮きや剥離を防止することができるので、コンタクトプラグ25と容量素子21とのコンタクト抵抗の上昇を防止することができる。
従来のように、コンタクトプラグの径が小さいと、TiAlN膜(導電性酸素バリア膜)とコンタクトプラグとが接触する面積が小さく、逆に導電性酸素バリア膜と酸化シリコン(保護絶縁膜)とが接する面積が大きいため、酸化シリコンとTiAlN膜との熱膨張係数の差により、室温に戻した際にTiAlN膜27aが剥離しやすくなる。しかしながら、第2の参考形態においては、TiAlN膜27aの下面は、熱膨張係数の差が小さいタングステンとほぼ全面的に接触するため、室温に戻した際のTiAlN膜27aの剥離を防止することができる。
その上、導電性酸素バリア層27におけるTiAlN膜27aを形成する際に、TiAlN膜27aはタングステンからなるコンタクトプラグ25の表面の配向の影響を受けるため、配向性が低く且つ緻密な構造を持つ導電性酸素バリア層27を形成することができる。
これにより、導電性酸素バリア層27と異なる導電層を設けることなく、酸化耐性に優れ且つ剥離しにくい導電性酸素バリア層27を得ることができる。
以下、第2の参考形態に係る半導体装置におけるコンタクトプラグ及び下部電極の接触面積比とコンタクト抵抗値との関係を従来例と比較した結果について説明する。
図11は第2の参考形態に係る半導体装置と従来例に係る半導体装置とにおける、コンタクトプラグ及び下部電極の接触面積比とコンタクト抵抗値との関係を示している。ここでは、下部電極には導電性酸素バリア膜を含んでいる。また、強誘電体の焼結温度は800℃とし、コンタクト抵抗値は導電性酸素バリア層27と容量素子21との間の値としている。また、コンタクトプラグ25の下部電極18に対する接触面積比の値は0.7としている。
図11に示すように、第2の参考形態に係る半導体装置は、コンタクトプラグ25の下部電極18に対する接触面積比の値が0.7の場合又はそれ以上の場合には、コンタクト抵抗の値が30Ωという小さい値となる。これは、導電性酸素バリア層27の変形による該導電性バリア層27自体の浮きや剥離が防止される結果であり、コンタクト抵抗の上昇が抑止されていることが分かる。
これに対し、従来例に係る半導体装置は、導電性バリア層106がその周縁部の酸化による膨張応力によって下方向へ湾曲変形することにより、該導電性バリア層106自体に浮きや剥離が生じ、これにより部分的な導通不良が起こり、コンタクト抵抗値が600Ωという高い数値を示すと考えられる。
次に、第2の参考形態に係る半導体装置における導電性酸素バリア層27の膜ストレスと、コンタクトプラグ25及び容量素子21の間のコンタクト抵抗値との関係を従来例と比較した結果について説明する。
図12は第2の参考形態に係る半導体装置と従来例に係る半導体装置とにおける、導電性酸素バリア層の膜ストレスと、コンタクトプラグ及び容量素子間のコンタクト抵抗値との関係を示している。ここでは、半導体基板上に成膜した絶縁膜に、径が異なるコンタクトプラグをそれぞれ複数個ずつ形成し、各コンタクトプラグの上に導電性酸素バリア層を形成した資料を用いた。なお、図12に示した各測定値は、複数個の資料のそれぞれの平均値である。
図12に示すように、コンタクト抵抗値は膜ストレスが約160MPa以上になると急激に低下し始め、210MPa以上でほぼ安定的に低いコンタクト抵抗値を得られることが分かる。これは、コンタクトプラグ25の導電性酸素バリア層27を介した下部電極18に対する接触面積比の値が、0.7以上となると、コンタクトプラグ25は導電性酸素バリア層27の下方向への押込み応力に対する耐性が増大して、変形防止効果が大きくなるからである。図12に示す関係から、導電性酸素バリア層27には、210MPa以上の膜ストレスを有する材料を用いることが望ましい。例えば、窒化タンタルアルミニウム(TaAlN)、窒化珪化チタン(TiSiN)又は窒化珪化タンタル(TaSiN)等を用いることが望ましい。
(第2の参考形態の一変形例)
以下、本発明の第2の参考形態の一変形例について図13を参照しながら説明する。
図13(a)及び図13(b)は本発明の第2の参考形態の一変形例に係る半導体装置であって、不揮発性メモリ装置の要部の断面構成を示している。図13(a)及び(b)において、図10(a)及び(b)に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図13(a)及び(b)に示すように、本変形例に係る半導体装置は、保護絶縁膜14に形成されたタングステン(W)又はポリシリコンからなるコンタクトプラグ15と、該コンタクトプラグ15と導電性酸素バリア層27との間に形成された高融点金属、例えばタングステン(W)からなる導電層26とを有している。ここで、導電層26は、タングステン(W)に限られず、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)又はコバルト(Co)等の高融点金属を用いることができる。
図13(b)に示すように、高融点金属からなる導電層26は、導電性酸素バリア層27に対する接触面積の割合が70%以上となるように形成されている。
本変形例によると、導電層26の導電性酸素バリア層27を介した下部電極18に対する接触面積比の値を0.7以上に設定しているため、導電層26は導電性酸素バリア層27の下方向への押込み応力に対する耐性が増大して、変形防止効果が大きくなる。従って、容量絶縁膜19に対して行なう結晶化を図る熱処理時において、導電性酸素バリア層27の周縁部が酸化により体積膨張した場合であっても、その応力に起因した導電性酸素バリア層27の下方向への湾曲変形を導電層26により抑制することができる。
その上、導電性酸素バリア層27におけるTiAlN膜27aを形成する際に、TiAlN膜27aはタングステンからなる導電層26の表面の配向の影響を受けるため、配向性が低く且つ緻密な構造を持つ導電性酸素バリア層27を形成することができる。その結果、導電性酸素バリア層27自体の浮きや剥離を防止することができるので、コンタクトプラグ25と容量素子21とのコンタクト抵抗の上昇を防止することができる。
その上、コンタクトプラグ15自体の径を大きくする必要がないので、チップ面積が増大することがない。
(第3の参考形態)
以下、本発明の第3の参考形態について図面を参照しながら説明する。
図14は本発明の第3の参考形態に係る半導体装置であって、不揮発性メモリ装置の要部の断面構成を示している。図14において、図10(a)に示す第2の参考形態に係る構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
第3の参考形態においては、トランジスタのソース領域又はドレイン領域13と容量素子21の下部電極18とを、高融点金属又はポリシリコンからなる2つのコンタクトプラグ25A、25Bにより並列に接続している。さらに、各コンタクトプラグ25A、25Bと導電性酸素バリア層27との間には、アモルファス状の導電層を設けていない。なお、コンタクトプラグ25A、25Bは並列でなくてもかまわない。
このように、2つのコンタクトプラグ25A、25Bを設けたことにより、通常の太さのコンタクトプラグを1つのみ設ける場合と比べて、コンタクトプラグ25A、25Bの導電性酸素バリア層27に対する接触面積が増大するため、コンタクトプラグ25A、25Bがその上に位置する導電性酸素バリア層27が酸化されて変形しようとする際の下側への押込み応力に対して十分な耐性を有するようになる。
従って、容量絶縁膜19に対する結晶化の熱処理時において、導電性酸素バリア層27の周縁部が酸化により体積膨張した場合であっても、その応力に起因した導電性酸素バリア層27の下方向への湾曲変形を2つのコンタクトプラグ25A、25Bにより抑制することができる。その結果、導電性酸素バリア層27自体の浮きや剥離を防止きるので、コンタクトプラグ25A、25Bと容量素子21とのコンタクト抵抗の上昇を防止することができる。
ここで、第3の参考形態に係る半導体装置におけるコンタクトプラグの個数と導電性酸素バリア層の剥離の発生数との関係を従来例と比較した結果について図15を参照しながら説明する。ここでは、容量絶縁膜19を構成する強誘電体の焼結温度(結晶化温度)である800℃の酸素雰囲気による熱処理を、コンタクトプラグを1個のみ設けた資料から5個まで設けた資料に対して行なっている。
図15から、本実施形態に係る半導体装置は、2個以上のコンタクトプラグを設けることにより、導電性酸素バリア層27には剥離がまったく生じないことが分かる。
これに対して、従来例のように通常の径を持つ1個のコンタクトプラグのみを設けた場合は、コンタクトプラグの導電性酸素バリア層に対する接触面積が相対的に小さいことから剥離が発生しやすく、剥離の発生数も20個を数えている。なお、ここでの資料の総数は50万個としている。
このように、第3の参考形態によると、メモリセルの微細化を考慮した場合に、下部電極18とトランジスタとを接続するコンタクトプラグ25A等は、従来の大きさのコンタクトプラグを少なくとも2つ配置することが望ましい。
また、第2の参考形態と同様に、複数のコンタクトプラグ25A等の総接触面積が70%以上となるように、コンタクトプラグの個数を決定することがさらに好ましい。
(第4の参考形態)
以下、本発明の第4の参考形態について図面を参照しながら説明する。
第4の参考形態は、容量絶縁膜の結晶化を図る熱処理前に導電性酸素バリア層に対して熱処理を行なうことを特徴とする。
図16(a)〜図16(c)は本発明の第4の参考形態に係る半導体装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。図16(a)〜(c)において、図1(a)に示す第1の実施形態に係る構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。また、ここでは、導電性酸素バリア層の形成層と下部電極の形成層とまでを成膜する工程までを説明する。
まず、図16(a)に示すように、半導体基板10の主面に素子分離膜11を選択的に形成して、該主面を複数の素子形成領域に区画し、区画された各素子形成領域に、ゲート電極12及びソース領域及びドレイン領域13からなるトランジスタを形成する。続いて、CVD法により、半導体基板10の上にトランジスタを含む全面にわたって保護絶縁膜14を堆積し、堆積した保護絶縁膜14の上面をCMP法により平坦化する。続いて、リソグラフィ法及びドライエッチング法により、保護絶縁膜14に各トランジスタのソース領域又はドレイン領域13を露出するコンタクトホールを形成し、形成したコンタクトホールに、CVD法及びエッチバック法、又はCVD法及びCMP法を用いてコンタクトプラグ15をそれぞれ形成する。
その後、スパッタ法により、コンタクトプラグ15を含む保護絶縁膜14の上に、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)、イリジウム(Ir)及び酸化イリジウム(IrOx )を順次成膜して導電性酸素バリア層形成層37Aを成膜する。
次に、図16(b)に示すように、導電性酸素バリア層形成層37Aに対して、酸素雰囲気による温度が約450℃〜550℃で1分間〜2分間の急速加熱処理を行なって、熱処理された導電性酸素バリア層形成層37Bを形成する。
次に、図16(c)に示すように、スパッタ法により、導電性酸素バリア層形成層37Bの上に白金からなる下部電極形成膜18Aを成膜する。
この後は、ドライエッチングにより、下部電極形成膜18A及び電性酸素バリア層形成層37Bをパターニングし、さらに、埋込み絶縁膜、容量絶縁膜及び上部電極を順次形成して容量素子を得る。
このように、第4の参考形態においては、容量絶縁膜を成膜するよりも前に、具体的には、容量絶縁膜を構成する強誘電体を結晶化する酸化性雰囲気による熱処理を行なうよりも前に、導電性酸素バリア層形成層37Aの少なくとも上部に対して酸化性雰囲気による急速加熱処理により酸化して導電性酸素バリア層形成層37Bを形成する。これにより、あらかじめ熱処理された導電性酸素バリア層37Bは、容量絶縁膜を結晶化する際の比較的高温の酸素アニール時においても、急激な酸化による体積膨張を抑制でき、その結果、導電性酸素バリア層37Bの浮きや剥離によるコンタクトプラグ15と容量素子とのコンタクト抵抗の上昇を防止することができる。
ここで、第4の参考形態に係る半導体装置における容量絶縁膜に対するアニール前とアニール後とにおけるコンタクト抵抗の変化を従来例と比較した結果について図17に基づいて説明する。ここでは、容量絶縁膜を構成する強誘電体の焼結温度である800℃の酸素雰囲気による熱処理を行ない、また、コンタクト抵抗値は導電性酸素バリア層と容量素子との間の値としている。
図17に示すように、本実施形態に係る半導体装置は、容量絶縁膜に対するアニール処理の前後でも、コンタクト抵抗値は30Ω程度である。これは、容量絶縁膜に対するアニール処理を行なうよりも前に、導電性酸素バリア層に対して酸素雰囲気による急速加熱処理を施しているため、容量絶縁膜に対するアニール処理時の導電性酸素バリア層の酸化による体積膨張が防止されていることを表わしている。
これに対して、従来例に係る半導体装置は、コンタクト抵抗値がアニール前の100Ωからアニール後には1000Ωという高い値を示している。これは、導電性酸素バリア層がその周縁部の酸化による膨張応力によって下方向へ湾曲変形することにより、導電性酸素バリア層自体に浮きや剥離が生じ、これにより部分的な導通不良が起こったためと考えられる。
なお、第4の参考形態において、導電性酸素バリア層形成層37Aに対する酸素雰囲気による急速加熱処理は、450℃〜550℃と比較的低温であるため、従来例で述べたような、TiAlN膜の最上層に酸化による体積膨張は生じない。
また、第2〜第4の参考形態においても、第2の実施形態と同様に、コンタクトプラグと導電性酸素バリア層との間にアモルファス状の導電層を形成し、形成した導電層の上に、比較的に小さい結晶粒からなる導電性酸素バリア層を設けてもよい。