JP3989793B2

JP3989793B2 - 電子写真現像剤、電子写真現像剤用キャリア及び画像形成方法

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Publication number: JP3989793B2
Application number: JP2002229142A
Authority: JP
Inventors: 浩介鈴木; 賢望月; 富美雄近藤; 昌秀山下; 智美田村
Original assignee: Ricoh Co Ltd
Current assignee: Ricoh Co Ltd
Priority date: 2002-08-06
Filing date: 2002-08-06
Publication date: 2007-10-10
Anticipated expiration: 2022-08-06
Also published as: JP2004070003A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷などの画像形成方式で静電荷像現像に用いる現像剤、この現像剤に用いられるキャリア、画像形成方法および現像剤収納容器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般に電子写真法、静電写真法、静電印刷法等の画像形成方法においては、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像するために、現像剤が使用される。この現像剤には、トナーとキャリアとを混合して得られる二成分系現像剤と、キャリアを含まないでトナーだけからなる一成分系現像剤がある。前者の二成分系現像剤を用いた現像方式は、比較的安定した良好な画像が得られる反面、キャリア劣化やトナーとキャリアの混合比の変動が発生しやすいといった欠点がある。一方、後者の一成分系現像剤は前者の欠点は持たないが、帯電性が安定しにくいといった不都合を有している。
【０００３】
また、二成分系現像剤を使用して静電潜像を繰り返し現像を行なう際に、現像剤中のトナーが消費されてトナー濃度が変動するため、複写・印刷時に安定した画像を得るために、必要に応じてトナーを補給してこの変動を抑制する必要がある。一般的にトナー補給量を制御する方法として、画像形成装置は透過性検知センサー、流動性検知センサー、画像濃度検知センサー、嵩密度検知センサー等を具備しているが、画像濃度検知センサーを使用するのが最近の主流である。該センサーは潜像担持体上に一定の画像パターンを現像して、反射光から画像濃度を検知することによって、トナー補給量を制御する方式である。
【０００４】
このような二成分系現像剤に使用される粒状キャリアは、キャリア表面へのトナーのフィルミング防止、キャリア均一表面の形成、表面酸化防止、感湿性低下の防止、現像剤の寿命の延長、感光体のキャリアによるキズあるいは摩耗からの保護、帯電極性の制御または帯電量の調節等の目的で、キャリア表面に通常適当な樹脂材料で被覆等を施すことにより固く高強度の被覆層を設けることが行なわれている。
【０００５】
例えば特定の樹脂材料で被覆されたもの（特開昭５８−１０８５４８号公報）、更にその被覆層に種々の添加剤を加えたもの（特開昭５４−１５５０４８号公報、特開昭５７−４０２６７号公報、特開昭５８−１０８５４９号公報、特開昭５９−１６６９６８号公報、特公平１−１９５８４号公報、特公平３−６２８号公報、特開平６−２０２３８１号公報）、更にキャリア表面に添加剤を付着させたものを用いるもの（特開平５−２７３７８９号公報）、更にコート膜厚よりも大きい導電性粒子をコート膜に含有させたものを用いるもの（特開平９−１６０３０４号公報）などが開示されている。また、特開平８−６３０７号公報には、ベンゾグアナミン−ｎ−ブチルアルコール−ホルムアルデヒド共重合体を主成分としてキャリア被覆材に用いることが記載され、特許第２６８３６２４号公報には、メラミン樹脂とアクリル樹脂の架橋物をキャリア被覆材として用いることが記載されている。
【０００６】
しかし、これらのキャリアでは依然として耐久性が不十分であり、トナーのキャリア表面へのスペント、それに伴う帯電量の不安定化、ならびに被覆樹脂の削れによる抵抗低下等が問題であり、初期は良好な画像を得ることができるが、印刷コピー枚数が増加するにつれ印刷・複写画像の画質が低下するため、改良をする必要がある。そこで、特開２００１−１８８３８８号公報では、粒子径と結着樹脂膜厚の関係を規定し、かつ粒子の固有抵抗を規定することで、これらの課題が解決出来ると報告されている。確かにこれまでのものと比べるとその効果は顕著であるが、昨今の現像剤の耐久性に対する要望は更に大きくなっており、更なる改善が望まれている。また、離型剤を含むトナーと特開２００１−１８８３８８号公報提案のキャリアとの組合せでは、離型剤を含まないトナー程の効果が得れないことが明かとなった。特開２００１−１８８３８８号公報記載の市販のデジタルフルカラー複写機は離型剤を含まないトナーと現像剤で構成されている。
【０００７】
現在は、複写機とプリンター共に省スペース化の要望が多く、この要望に対しては定着オイルを省略したり、微量塗布することで定着部を小さくする対応がとられている。この場合、トナーは離型剤を含むトナー構成となるため、離型剤含むトナーとの組合せでも、高耐久であるキャリアの要望は大きい。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、上記事情に鑑みなされたものであり、より高耐久な二成分現像剤用キャリアを提供することである。第二の目的は、離型剤を含むトナーとの組合せでも高耐久な二成分現像剤用キャリアを提供することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために検討を重ねてきた結果、少なくとも結着樹脂と粒子を有するコート膜をキャリア芯材表面に設けたキャリアにおいて、該粒子径と該結着樹脂膜厚が一定の割合にあり、かつ特定のフッ素含有シロキサン系化合物が該粒子を表面処理する形で含有され、及び／又は、結着樹脂に含有されていることにより、高耐久な二成分現像用キャリアが得られることを見出した。本発明はこれに基づいてなされるものである。
本発明によれば、下記（１）〜（１４）が提供される。
【００１０】
（１）キャリア芯材表面に少なくとも結着樹脂と粒子からなるコート膜を有するキャリアであって、
該粒子がアルミナであり、
該コート層における該粒子径（Ｄ）と該結着樹脂膜厚（ｈ）が１＜［Ｄ／ｈ］＜１０の関係にあり、かつ、
該粒子が下記一般式（１）で示されるフッ素含有シロキサン系化合物で表面処理されており、及び／又は、該コート膜の結着樹脂が下記一般式（１）で示されるフッ素含有シロキサン系化合物を含有している、
ことを特徴とする電子写真現像剤用キャリア。
【化２】
（式中、Ｒは１つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基、アリ−ル基、アルキル置換アリ−ル基、ベンジル基、ポリオキシレン基またはアルコキシル基を示す。また、ｘ≧１、ｙ≧１でかつｘ＋ｙ＝２〜８である。）
【００１３】
（２）前記粒子の固有抵抗が１０^１２Ω・ｃｍ以上である上記（１）に記載の電子写真現像剤用キャリア。
【００１５】
（３）前記粒子の含有量がコート膜組成成分の４０〜９５ｗｔ％である上記（１）〜（２）のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
【００１６】
（４）前記結着樹脂の膜厚が０．０５μｍ〜１．００μｍである上記（１）〜（３）のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
【００１７】
（５）前記結着樹脂が、少なくともアクリル樹脂とアミノ樹脂とを架橋反応させた樹脂または／及びシリコーン樹脂を含有したものである上記（１）〜（４）のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
【００１８】
（６）前記樹脂のＴｇが２０〜１００℃である上記（１）〜（５）のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
【００１９】
（７）少なくとも結着樹脂と顔料とからなるトナーと、上記（１）〜（６）のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリアとからなることを特徴とする電子写真用現像剤。
【００２０】
（８）前記トナーが離型剤を含む上記（７）に記載の電子写真現像剤。
【００２１】
（９）上記（７）または（８）に記載の電子写真現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
【００２２】
（１０）上記（７）または（８）に記載の電子写真現像剤を用いることを特徴とする多色画像形成方法。
【００２３】
（１１）上記（７）または（８）に記載の電子写真現像剤を収納したことを特徴とする現像剤容器。
【００２４】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について更に具体的に詳しく説明する。
本発明は、上記のように、少なくとも結着樹脂と粒子からなるコート膜を有する電子写真現像剤用キャリアであって、該粒子がアルミナであり、該コート層における該粒子径（Ｄ）と該結着樹脂膜厚（ｈ）が１＜［Ｄ／ｈ］＜１０の関係にあり、かつ、該粒子が下記一般式（１）で示されるフッ素含有シロキサン系化合物で表面処理されており、及び／又は、該コート膜の結着樹脂が下記一般式（１）で示されるフッ素含有シロキサン系化合物を含有していることを特徴とするものである。
【化１】
（式中、Ｒは１つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基、アリ−ル基、アルキル置換アリ−ル基、ベンジル基、ポリオキシレン基またはアルコキシル基を示す。また、ｘ≧１、ｙ≧１でかつｘ＋ｙ＝２〜８である。）
【００２５】
このようなキャリアは耐久性に対する改善効果が顕著である。
表面処理されていない粒子の使用であっても結着樹脂のコート膜に比べその粒子の方が凸となるので、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌による、トナーとの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和することができる。またこれにより、キャリアへのトナーのスペントを防止することが可能となるとともに、帯電発生箇所である結着樹脂の膜削れも防止することが可能となる。
【００２６】
しかしながら、凸の部分、即ち、該粒子の部分は、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和するが故に該粒子自身は、常にコート膜から脱離しやすい状態にある。更なる高耐久性に対応するためには、該粒子の脱離を抑制しなければならず、本発明によれば、該粒子を前記フッ素含有シロキサン系化合物で表面処理したことで、該粒子の脱離を抑制することが可能となった。これは、前記フッ素含有シロキサン系化合物により、該粒子とコート膜中の結着樹脂との接着性を増加させることができ、これにより該粒子の脱離が抑制されたものである。
【００２７】
これまで、離型剤を含むトナーが用いられている場合、離型剤が中心となって該粒子の脱離を加速させていたが、粒子表面が前記フッ素含有シロキサン系化合物で処理された粒子を用いたことにより、この表面処理されている粒子とコート膜中の結着樹脂との接着性が増したため、離型剤を含むトナーにおいても粒子の脱離を減少させることが可能となり、離型剤を含まないトナーの場合と遜色ない効果が得られる。
本発明で用いられるフッ素含有シロキサン系化合物は上記一般式（１）で表わされるが、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などがあげられる。アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基などが挙げられる。アルコキシル基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキル基などがあげられる。
【００２８】
ここで、前記フッ素含有シロキサン系化合物の好ましいものとして、表１に示す化合物を例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
【００２９】
【表１】
【００３０】
本発明においては、１＜［Ｄ／ｈ］＜１０であり、［Ｄ／ｈ］が１以下の場合、粒子は結着樹脂中に埋もれてしまうため、効果が著しく低下し好ましくない。従来では、［Ｄ／ｈ］を５以上にすると、粒子と結着樹脂との接触面積が少ないため充分な拘束力が得られず、該粒子が容易に脱離してしまうため好ましくなかったが、本発明では該粒子が前記フッ素含有シロキサン系化合物で表面処理されていることで、結着樹脂との接着性が増し、５以上で１０以下の場合でも該粒子が脱離せず、被覆膜凸が得られることが可能となった。
【００３１】
本発明に用いられる粒子の表面処理の方法は、前記処理剤（フッ素含有シロキサン系化合物）を該粒子に表面処理出来れば、従来公知のいずれの方法を用いても構わないが、具体例としては、湿式、乾式の二通りが挙げられる。
【００３２】
湿式法では、該粒子と前記フッ素含有シロキサン系化合物とを溶剤中で分散し、フッ素含有シロキサン系化合物を該粒子表面へ付着させる。分散方法としては、アジテータ攪拌、ボールミル、サンドミルなど一般の分散手段全てを用いることができる。また、処理液中に反応促進の為の触媒を添加しても構わない。次に、乾燥をさせるが、本発明では乾燥機を用いる等の一般の乾燥手段全てを用いることができる。更に熱処理を行うこともでき、一般の熱処理手段全てを用いることができる。この熱処理により、前記フッ素含有シロキサン系化合物を該粒子表面へ強固に付着させることができる。更に、必要によっては、処理後の粒子に粉砕処理を施しても良い。
【００３３】
一方、乾式法では、溶剤を用いずに前記フッ素含有シロキサン系化合物と該粒子とを混合し混練を行うことによって、前記フッ素含有シロキサン系化合物を粒子表面に付着させる。その後は、必要に応じて湿式処理と同様な熱処理、粉砕処理等を施して表面処理を完了する。
【００３４】
また、該粒子に対する前記フッ素含有シロキサン系化合物の割合は、粒子の粒径や前記フッ素含有シロキサン系化合物の構造等に依存するが、１〜５０重量％が好ましく、より好ましくは３〜４０重量％である。
【００３５】
本発明では、前記フッ素含有シロキサン系化合物は該粒子の表面処理に代えて、コート膜の結着樹脂中に含有させても同様な効果が得られる。
更に、前記フッ素含有シロキサン系化合物を該粒子の表面処理に用い、同時に、コート膜の結着樹脂中に含有させることで、高耐久性の効果はより顕著に表れる。
【００３６】
また、本発明によれば、長期にわたる現像剤の保管に際して帯電量低下を抑制するには、該粒子の固有抵抗は１０^１２Ω・ｃｍ以上であることが有効である。これは該粒子が芯材との接点を持ちながら表面に露出していても、電荷のリークが抑えられるので、安定した帯電性を得られからである。一方、該粒子の固有抵抗が１０^１２Ω・ｃｍ未満では、電荷のリークが抑えられず、安定した帯電性が得られない場合がある。
【００３７】
なお、前記従来技術でも触れたように、本発明に類似した技術で、コート樹脂膜厚よりも大きい導電性粒子をコート膜中に含有させたもの（特開平９−１６０３０４号公報）との相違点としては、本発明においての該粒子は、従来のように抵抗調節材として用いるのではなく、コート膜樹脂の保護材及び表面形状の調節材として用いていることに特徴がある。更には、その粒子の脱離抑制には前記フッ素含有シロキサン系化合物が必須である。
【００３８】
このようなコート膜を構成する粒子としては、粒径０．０５〜１０μｍ、好ましくは０．１〜５μｍのアルミナがあげられる。
【００３９】
更に、該粒子がアルミナでその含有率がコート膜組成成分の５０〜９５ｗｔ％の範囲、好ましくは７０〜９０ｗｔ％であることで、その効果は顕著である。
【００４０】
この粒子の含有率が５０ｗｔ％未満の場合には、キャリア粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ、該粒子の占める割合が少ないため、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さいので、十分な耐久性が得られない場合がある。一方、９５ｗｔ％を越える場合には、キャリア表面での結着樹脂の占める割合に比べ、該粒子の占める割合が多過ぎるため、帯電発生箇所である結着樹脂の占める割合が不十分となり、十分な帯電能力を発揮できない場合がある。それに加え、結着樹脂量に比べ粒子量が多過ぎるので、結着樹脂による粒子の保持能力が不十分となり、粒子が脱離し易くなるので、十分な耐久性が得られないことがある。
【００４１】
なお、先に挙げた本発明に類似する特開平９−１６０３０４号公報に記載のコート膜では、粒子の含有率範囲について本発明と異なっており、該技術が「コート樹脂の０．０１〜５０重量％」、即ち、本発明の含有率計算方法に換算すると、「コート膜組成成分の０．０１〜３３．３３ｗｔ％」である。この場合、従来に比べ耐久性は向上するが、先にも述べたとおり、キャリア芯材表面での結着樹脂の占める割合に比べ、該粒子の占める割合が少ないので、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さく、十分な耐久性が得られず好ましくない。
【００４２】
本発明によれば、結着樹脂がアクリル樹脂とアミノ樹脂を架橋させた樹脂または／及びシリコーン樹脂を含有したものであることが好ましい。
このアミノ樹脂としては、従来知られているアミノ樹脂を用いることが可能であるが、グアナミン、メラミンを用いることで、帯電量付与能力が著しく向上する。また、シリコーン樹脂も、従来知られているシリコーン樹脂を用いることが可能である。
【００４３】
また、上記に挙げた樹脂以外にも、キャリア芯材被覆用樹脂として一般的に用いられている樹脂を使用することができ、もちろん、上記の樹脂と併用して用いても構わない。例えば、ポリスチレン樹脂、ポリ（メタ）アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスルフィン酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリブチラール系樹脂、尿素系樹脂、ウレタン／ウレア系樹脂、ポリエチレン系樹脂、テフロン（登録商標）系樹脂等の各種熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂およびその混合物、ならびにこれらの樹脂の共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体およびポリマーブレンド等であるが、これらに限るものではない。
【００４４】
本発明によれば、これらの樹脂のＴｇは２０〜１００℃、好ましくは２５〜８０℃であるものを用いるのがよい。樹脂のＴｇがこの範囲内の場合、樹脂は適度な弾性を有しており、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌における、トナーとキャリアとの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触の際、該衝撃を吸収することができ、コート膜を破損することなく維持することが可能となる。
【００４５】
キャリアの芯材としては、静電潜像担持体へのキャリア付着（飛散）防止の点から、小さくとも２０μｍ（平均粒径）の大きさのものを使用し、キャリアスジ等の発生防止等画質低下防止の点から、大きくとも１００μｍまでのものを使用する。具体的材料としては、電子写真用二成分キャリアとして公知のもの、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル等、キャリアの用途、使用目的に合わせ適宜選択して用いればよい。
【００４６】
本発明のキャリアにおいては、コート膜中に帯電及び抵抗調節剤として、カーボンブラック或いは酸性触媒を単独または併用して添加することも可能である。カーボンブラックは、キャリアあるいはトナー用として一般的に使われているもの全てを用いることができる。酸性触媒は、触媒作用を持つものを用いることができる。例えば、完全アルキル化型、メチロール基型、イミノ基型、メチロール／イミノ基型等の反応性基を有するものであるが、これらに限るものではない。
【００４７】
本発明のキャリアはトナーと構成される二成分現像剤として用いられるが、構成されるトナーは黒トナーでも多色画像形成方法で用いられる多色トナーでも構わない。
【００４８】
続いて、図面によって、本発明の画像形成方法に用いられる装置について説明する。図１は、本発明の電子写真用キャリアを用いた現像剤を充填した容器を搭載する画像形成装置についての１例を示したものであって、画像形成装置本体内に装着された現像部１と、この現像部１に補給される本発明の電子写真用キャリアを用いた現像剤を充填した現像剤収納容器２と、この両者を接続する現像剤送流手段３を示す部分断面図である。
【００４９】
図１において、現像部１は、トナーとキャリアを混合して成る粉体状の二成分系の現像剤Ｄを収容した本発明の電子写真用キャリアを用いた現像剤を充填した現像ハウジング４と、現像剤Ｄを攪拌混合する第１及び第２の攪拌スクリュー５、６と、現像ローラ７とを有していて、当該現像ローラ７が、潜像担持体の感光体８に対向して配置されている。感光体８は、矢印で示す方向に回転駆動され、その表面に静電潜像が形成される。図中符号２６は、接続部材２４の上にフィルター２５を介して又は介さず嵌合されたキャップである。感光体８の周囲には、図示していない帯電手段、露光手段、転写手段、除電手段、クリーニング手段等、その他の公知のユニットが配置されたものである。
【００５０】
第１及び第２の攪拌スクリュー５、６が回転することにより、現像ハウジング４内の現像剤Ｄが攪拌され、そのトナーをキャリアが互いに逆極性に摩擦帯電される。かかる現像剤Ｄが、矢印方向に回転駆動される現像ローラ７の周面に供給され、その供給された現像剤は現像ローラ７の周面に担持され、当該現像ローラ７の回転によって、その回転方向に搬送される。次いで、この搬送された現像剤は、ドクターブレード９によって量を規制され、規制後の現像剤が感光体８と現像ローラ７との間の現像領域に運ばれ、ここで現像剤中のトナーが、感光体表面の静電潜像に静電的に移行し、その静電潜像がトナー像として可視像化される。
【００５１】
【実施例】
次に、実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、ここでいう部は、重量基準である。
【００５２】
トナー製造例１（ブラックトナー１）
水１２００部
フタロシアニングリーン含水ケーキ（固形分３０％）２００部
カーボンブラック（ＭＡ６０、三菱化学社製）５４０部
をフラッシャーでよく撹拌する。これに、エポキシ樹脂（Ｍｎ；３５００）１２００部を加え、１５０℃で３０分混練後、キシレン１０００部を加えさらに１時間混練、水とキシレンを除去後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、マスターバッチ顔料を得た。
【００５３】
続いて、エポキシ樹脂
エポキシ樹脂（Ｍｎ；３５００）１００部
上記マスターバッチ顔料５部
サリチル酸亜鉛誘導体（ボントロンＥ８４、オリエント化学社製）４部
上記材料をミキサーで混合後２本ロールミルで溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後粉砕分級を行ない、重量平均粒径７．８μｍのトナー母体粒子を得た。さらに、トナー母体粒子１００重量部に対して疎水性シリカ（１次粒子の平均粒径が０．０２μｍ）を０．４重量部の割合で添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、ブラックトナー１を得た。
【００５４】
トナー製造例２（ブラックトナー２）
トナー製造例１のトナー母体粒子にカルナウバワックスを５部添加した以外は全て製造例１と同様にしてブラックトナー２を製造した。
【００５５】
表面処理粒子製造例１（アルミナ粒子１）
表１のＮｏ．１フッ素含有シロキサン系化合物３５部、アルミナ（０．３μｍ、固有抵抗１０^１４Ω・ｃｍ）粒子１００部、トルエン２５０部をボールミルで４０時間分散し、続いて溶液を濾過し乾燥した後、１５０℃で２時間の熱処理を行って前記フッ素含有シロキサン系化合物で表面処理したアルミナ粒子１を得た。
【００５６】
表面処理粒子製造例２（アルミナ粒子２）
表１のＮｏ．８フッ素含有シロキサン系化合物３５部、アルミナ（０．３μｍ、固有抵抗１０^１４Ω・ｃｍ）粒子１００部、トルエン２５０部をボールミルで４０時間分散し、続いて溶液を濾過し乾燥した後、１５０℃で２時間の熱処理を行って前記フッ素含有シロキサン系化合物で表面処理したアルミナ粒子２を得た。
【００５７】
表面処理粒子製造例３（アルミナ粒子３）
表１のＮｏ．１４フッ素含有シロキサン系化合物３５部、アルミナ（０．３μｍ、固有抵抗１０^１４Ω・ｃｍ）粒子１００部、トルエン２５０部をボールミルで４０時間分散し、続いて溶液を濾過し乾燥した後、１５０℃で２時間の熱処理を行って前記フッ素含有シロキサン系化合物で表面処理したアルミナ粒子３を得た。
【００５８】
キャリア製造例１（キャリア１）
アクリル樹脂溶液（固形分５０重量％）５６．０部
グアナミン溶液（固形分７７重量％）１５．６部
アルミナ粒子１１６０．０部
トルエン９００部
ブチルセロソルブ９００部
をホモミキサーで１０分間分散し、被覆膜形成溶液を調合した。芯材として焼成フェライト粉［Ｆ−３００：平均粒径；５０μｍ（パウダーテック社製）］を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚０．１５μｍになるようにスピラコーター（岡田精工社製）により塗布し乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて１５０℃で１時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き１００μｍの篩を用いて解砕し、キャリア１とした。結着樹脂膜厚測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。
【００５９】
キャリア製造例２（キャリア２）
キャリア製造例１のアルミナ粒子１をアルミナ粒子２に変更した以外は全てキャリア製造例１と同様にしてキャリア２を製造した。
【００６０】
キャリア製造例３（キャリア３）
キャリア製造例１のアルミナ粒子１をアルミナ粒子３に変更した以外は全てキャリア製造例１と同様にしてキャリア３を製造した。
【００６１】
キャリア製造例４（キャリア４）
アクリル樹脂溶液（固形分５０重量％）５６．０部
グアナミン溶液（固形分７７重量％）１５．６部
アルミナ粒子（０．３μｍ、固有抵抗１０^１４Ω・ｃｍ）１６０．０部
表１のＮｏ．１フッ素含有シロキサン系化合物１４．５部
トルエン９００部
ブチルセロソルブ９００部
上記の処方に変更した以外は全てキャリア製造例１と同様にしてキャリア４を製造した。
【００６２】
キャリア製造例５（キャリア５）
キャリア製造例４の表１のＮｏ．１フッ素含有シロキサン系化合物を表１のＮｏ．８フッ素含有シロキサン系化合物に変更した以外は全てキャリア製造例４と同様にしてキャリア５を製造した。
【００６３】
キャリア製造例６（キャリア６）
キャリア製造例４の表１のＮｏ．１フッ素含有シロキサン系化合物を表１のＮｏ．１４前記フッ素含有シロキサン系化合物に変更した以外は全てキャリア製造例４と同様に製造した。
【００６４】
キャリア製造例７（キャリア７）
キャリア製造例４のアルミナ粒子をアルミナ粒子１に変更した以外は全てキャリア製造例４と同様にしてキャリア６を製造した。
【００６５】
キャリア製造例８（キャリア８）
アクリル樹脂溶液（固形分５０重量％）５６．０部
グアナミン溶液（固形分７７重量％）１５．６部
アルミナ粒子（０．３μｍ、固有抵抗１０^１４Ω・ｃｍ）１６０．０部
トルエン９００部
ブチルセロソルブ９００部
上記の処方に変更した以外は全てキャリア製造例１と同様にしてキャリア８を製造した。
【００６６】
（実施例１）
こうして得たキャリア１とブラックトナー１を、トナー濃度５重量％になる様に混合し現像剤を得た。この現像剤とブラックトナー１を市販のデジタルフルカラー複写機（リコー社製、ｉｍａｇｉｏＣｏｌｏｒ２８００）にセットし、６００，０００枚のランニング評価を行なった。そして、このランニングを終えたキャリアの帯電低下量及び抵抗低下量を求めた結果を表３に示す。
【００６７】
ここでいう帯電量低下量とは、初期のキャリア９５重量％に対し、トナー５重量％の割合で混合し摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法［東芝ケミカル（株）製：ＴＢ−２００］にて測定した帯電量（Ｑ１）から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記方法と同様の方法で測定した帯電量（Ｑ２）を差し引いた量のことをいい、目標値は７．０（μｃ／ｇ）以下である。また、帯電量の低下の原因はキャリア表面へのトナースペントであるため、このトナースペントを減らすことで、帯電量低下を抑えることができる。
【００６８】
また抵抗低下量とは、初期のキャリアを抵抗計測平行電極：ギャップ２ｍｍの電極間に投入し、ＤＣ２００Ｖを印加し３０ｓｅｃ後の抵抗値をハイレジスト計で計測した値を体積抵抗率に変換した値（Ｒ１）から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記抵抗測定方法と同様の方法で測定した値（Ｒ２）を差し引いた量のことをいい、目標値は２．０〔Ｌｏｇ（Ω・ｃｍ）〕以下である。また、抵抗低下の原因は、キャリアの結着樹脂膜の削れであるため、この膜削れを減らすことで、抵抗低下量を抑えることができる。
【００６９】
（実施例２）
実施例１のブラックトナー１をブラックトナー２に変更した以外は全て実施例１と同様にして現像剤を調製した。
【００７０】
（実施例３）
実施例２のキャリア１をキャリア２に変更した以外は全て実施例２と同様にして現像剤を調製し評価した。
【００７１】
（実施例４）
実施例２のキャリア１をキャリア３に変更した以外は全て実施例２と同様にして現像剤を調製し評価した。
【００７２】
（実施例５）
実施例２のキャリア１をキャリア４に変更した以外は全て実施例２と同様にして現像剤を調製し評価した。
【００７３】
（実施例６）
実施例２のキャリア１をキャリア５に変更した以外は全て実施例２と同様にして現像剤を調製し評価した。
【００７４】
（実施例７）
実施例２のキャリア１をキャリア６に変更した以外は全て実施例２と同様にして現像剤を調製し評価した。
【００７５】
（実施例８）
実施例２のキャリア１をキャリア７に変更した以外は全て実施例２と同様にして現像剤を調製し評価した。
【００７６】
（比較例１）
実施例１のキャリア１をキャリア８に変更した以外は全て実施例１と同様にして現像剤を調製し評価した。
【００７７】
（比較例２）
実施例２のキャリア１をキャリア８に変更した以外は全て実施例２と同様にして現像剤を調製し評価した。
【００７８】
これら実施例及び比較例の現像剤を表２に示し、評価結果を表３に示す。
【００７９】
【表２】
【００８０】
【表３】
【００８１】
表２、３より、本発明のキャリアを用いることで、従来の耐久性に比べて倍以上の効果が得られ、また、離型剤を含むトナーとの組合せにおいては、従来の結果に比べて８倍以上の効果が得られていることが判る。
【００８２】
【発明の効果】
本発明によれば、コート膜を設けたキャリアにおいて、コート層中に前記一般式（１）で表されるフッ素含有シロキサン系化合物を添加しているため、高耐久性を有するキャリアが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の電子写真用現像剤を充填した容器及びその容器を搭載した画像形成装置を示した図である。
【符号の説明】
１現像部
２現像剤収納容器
３現像剤送流手段
４現像ハウジング
５攪拌スクリュー
６攪拌スクリュー
７現像ローラ
８感光体
９ドクターブレード
２４接続部材
２５フィルター
２６キャップ
Ｄ現像剤

Claims

キャリア芯材表面に少なくとも結着樹脂と粒子からなるコート膜を有するキャリアであって、
該粒子がアルミナであり、
該コート層における該粒子径（Ｄ）と該結着樹脂膜厚（ｈ）が１＜［Ｄ／ｈ］＜１０の関係にあり、かつ、
該粒子が下記一般式（１）で示されるフッ素含有シロキサン系化合物で表面処理されており、及び／又は、該コート膜の結着樹脂が下記一般式（１）で示されるフッ素含有シロキサン系化合物を含有している、
ことを特徴とする電子写真現像剤用キャリア。
（式中、Ｒは１つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基、アリ−ル基、アルキル置換アリ−ル基、ベンジル基、ポリオキシレン基またはアルコキシル基を示す。また、ｘ≧１、ｙ≧１でかつｘ＋ｙ＝２〜８である。）
前記粒子の固有抵抗が１０ ^１２ Ω・ｃｍ以上であることを特徴とする請求項１に記載の電子写真現像剤用キャリア。
前記粒子の含有量がコート膜組成成分の４０〜９５ｗｔ％であることを特徴とする請求項１〜２のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
前記結着樹脂の膜厚が０．０５μｍ〜１．００μｍであることを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
前記結着樹脂が、少なくともアクリル樹脂とアミノ樹脂とを架橋反応させた樹脂または／及びシリコーン樹脂を含有したものであることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
前記樹脂のＴｇが２０〜１００℃であることを特徴とする請求項１〜５のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア。
少なくとも結着樹脂と顔料とからなるトナーと、請求項１〜６のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリアとからなることを特徴とする電子写真現像剤。
前記トナーが離型剤を含むことを特徴とする請求項７に記載の電子写真現像剤。
請求項７または８に記載の電子写真現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
請求項７または８に記載の電子写真現像剤を用いることを特徴とする多色画像形成方法。
請求項７または８に記載の電子写真現像剤を収納したことを特徴とする現像剤容器。