JP3985118B2 - 排ガス浄化用触媒および排ガス浄化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス中に含まれ、環境に悪影響を及ぼす窒素酸化物(NOx)を酸素過剰の雰囲気下でメタンを用いて分解する触媒および該触媒を用いた窒素酸化物の浄化方法に関する。
本発明において、「酸素過剰の雰囲気」とは、本発明による触媒に接触させる被処理ガスが、そこに含まれる炭化水素、一酸化炭素などの還元性成分を完全酸化するに必要な量以上の酸素、窒素酸化物などの酸化性成分を含むガスであることを意味する。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素を還元剤として酸素過剰の雰囲気下に窒素酸化物を還元する触媒は、特開昭63-100919号公報、特開平1-135541号公報などに開示されている。しかしながら、これらの公知文献は、炭化水素としてメタンの使用を開示してはいない。メタンは、種々の燃料を燃焼させる際に発生する排ガス中に存在する。さらに、メタンは本邦において家庭や工場などに広く供給されている天然ガス系都市ガスの主成分であるので、これを用いて窒素酸化物の還元を行うことが可能となれば、酸化雰囲気下に窒素酸化物を還元するための極めて有効な手段となる。
特開平5-192582号公報は、メタンの存在下に、コバルトあるいはロジウムをイオン交換したゼオライト触媒に燃焼排ガスを接触させて、排ガス中の窒素酸化物を還元する方法を開示している。しかしながら、この触媒の活性は十分なものではなく、さらに、実際の燃焼排ガス中に必ず含まれる水蒸気の共存下における触媒の活性については、一切触れていない。すなわち、水蒸気は、炭化水素を還元剤として酸化雰囲気下に窒素酸化物を還元する反応において、触媒活性の低下をもたらすことがよく知られているが、当該公報には、共存する水蒸気による触媒活性の低下とそれに対する対応策は、示されていない。
特開平6-254352号公報は、イオン交換によりZSM-5型ゼオライトにパラジウムを担持した触媒が、メタンを還元剤とする窒素酸化物の還元除去に活性を示すことを示しているが、この公報にも、水蒸気の共存下での触媒の活性についての開示は存在しない。
特表平8-500772号公報は、イオン交換により、MFI型ゼオライトにパラジウムを0.3〜2重量%担持させた触媒が、メタンを還元剤として、水蒸気の存在下においても、高い窒素酸化物の還元活性を示すことを開示している。また、里川らは、平成8年度触媒研究発表会講演予稿集(平成8年9月13日発行)において、モルデナイトにパラジウムをイオン交換した触媒が、水蒸気の存在下においても高い窒素酸化物の還元活性を示すことを開示している。しかしながら、これらの触媒は、水蒸気の存在下では、活性が急速に低下するという問題点がある。例えば、星らは、平成9年度触媒研究発表会講演予稿集(平成9年8月25日発行)において、モルデナイトにパラジウムをイオン交換した触媒について、その水蒸気存在下での耐久性を報告している。この報告によれば、反応開始時に50%程度あった窒素酸化物の除去率は、急速に低下して、40時間後には30%に、70時間後には15%となってしまう。
【0003】
また、ゼオライト以外の担体に関しては、レサスコ(Resasco)らがアプライド キャタリシス ビー:エンバイロンメンタル(Applied Catalysis B: Environmental)第7巻113頁(1995年)において、硫酸根ジルコニアにパラジウムを担持した触媒を用い、メタンを還元剤として窒素酸化物を還元した結果を報告している。しかしながら、そこに記載されている触媒活性の経時変化を示すグラフによれば、この触媒の活性は、水蒸気非共存下であっても100分程度の短時間内に、明らかに劣化の傾向を示している。
上記に明らかにした通り、従来の窒素酸化物分解用触媒は、水蒸気の存在によって活性の著しい劣化を来すという問題点を有しているので、水蒸気が不可避的に存在する燃焼排ガスの処理に際しては、長時間にわたり高い脱硝率を持続することができない。
さらに燃焼排ガス中には、燃料中の微量の有機硫黄分などに由来する微量の硫黄酸化物が存在するが、これらの濃度がわずか0.2 ppm程度という極微量であっても、触媒に蓄積的に悪影響を及ぼして、その活性を次第に低下させることも知られている(例えば、西坂ら、平成9年度触媒研究発表会講演予稿集、平成9年8月25日発行)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、水蒸気、硫黄酸化物などの活性阻害物質の存在下においても、メタンを還元剤として、長期にわたって安定して窒素酸化物を浄化できる排ガス浄化用触媒を提供することを主な目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記のような従来技術の現状に留意しつつ鋭意検討を重ねた結果、硫酸根ジルコニアにパラジウムとともに白金を担持させた触媒が、メタンを還元剤として窒素酸化物を分解するに際し、水蒸気、硫黄酸化物などの活性阻害物質の存在下においても、長期にわたり高い窒素酸化物分解活性を維持することを見出した。
本発明は、この様な新たな知見に基づいて完成されたものであり、下記の排ガス浄化用触媒および排ガス浄化方法を提供する。
1.硫酸根ジルコニアにパラジウムおよび白金を担持してなる、酸素過剰雰囲気下においてメタンの存在下に窒素酸化物を分解する排ガス浄化用触媒。
2.パラジウムの担持量が、硫酸根ジルコニアに対する重量比で0.1〜0.5%である上記項1に記載の触媒。
3.白金の担持量が、パラジウムに対する重量比で20〜100%である上記項1または2に記載の触媒。
4.硫酸根ジルコニアにパラジウムおよび白金を担持してなる触媒を用いて、酸素過剰雰囲気下においてメタンの存在下に窒素酸化物を分解する排ガス浄化方法。
5.パラジウムの担持量が、硫酸根ジルコニアに対する重量比で0.1〜0.5%である上記項4に記載の排ガス浄化方法。
6.白金の担持量が、パラジウムに対する重量比で20〜100%である上記項4または5に記載の排ガス浄化方法。
7.硫酸根ジルコニアにパラジウムおよび白金を担持してなる触媒を用いて、酸素を過剰に含みかつ硫黄酸化物を含む排ガス中の窒素酸化物をメタンの存在下に分解する排ガス浄化方法。
8.パラジウムの担持量が、硫酸根ジルコニアに対する重量比で0.1〜0.5%である上記項7に記載の排ガス浄化方法。
9.白金の担持量が、パラジウムに対する重量比で20〜100%である上記項7または8に記載の排ガス浄化方法。
本発明による触媒は、硫酸根ジルコニア担体にパラジウムおよび白金を担持することにより、得られる。硫酸根ジルコニア自体は公知の物質である(例えば、日野誠および荒田一志、“表面”、28巻7号481頁(1990年);“表面”、34巻2号51頁(1996年)など参照)。硫酸根ジルコニアは、例えば、市販の水酸化ジルコニウムを希硫酸に浸漬するか、あるいは水酸化ジルコニウムに硫酸アンモニウムの水溶液を含浸した後、空気中450〜650℃程度、より好ましくは500〜600℃程度で焼成することにより、得られる。焼成温度が高すぎる場合には、硫酸根が大量に揮発消失するおそれがあるのに対し、低すぎる場合には、焼成による効果が不十分となり、担体中に未反応の水酸化ジルコニウムが残存したり、あるいは焼成物がアモルファス様となって、安定した硫酸根ジルコニアが形成されない。焼成操作時には、硫酸根の一部が揮発するので、上記の処理乃至浸漬時に水酸化ジルコニウムに対し揮発分に相当する過剰量の硫酸根を付与しておくことが好ましい。
硫酸根ジルコニア担体中の硫酸根(SO4 2-)の含有量は、ジルコニア重量を基準として通常1〜20%程度であり、より好ましくは3〜10%程度である。硫酸根の量が少な過ぎる場合には、硫酸根付与の効果が十分発揮されないのに対し、過剰となる場合には、安定した硫酸根ジルコニア担体が得られない。
硫酸根ジルコニア担体に対するパラジウムおよび白金の担持方法は、両成分が担体に高分散に担持される限り特に制限されないが、好ましくは担体を両金属の硝酸塩、アンミン錯体などの水溶液に含浸することにより、行われる。パラジウムの担持量は、硫酸根ジルコニア重量を基準として、通常0.05〜1%程度、より好ましくは0.1〜0.5%程度であり、白金の担持量は、パラジウム重量を基準として、10〜200%程度、より好ましくは20〜100%程度である。パラジウムの担持量が少なすぎる場合には、触媒活性が低くなるのに対し、多すぎる場合には、凝集により触媒効果がかえって失われる。白金の担持量が少なすぎる場合には、触媒活性が低くなるのに対し、高すぎる場合にも、逆に窒素酸化物の除去活性を低下させる。
【0006】
次いで、上記の様にしてパラジウムおよび白金を含浸担持させた硫酸根ジルコニアを乾燥した後、焼成する。焼成温度は、低すぎる場合には、焼成の効果が不十分となって安定した触媒活性が得られ難いのに対し、高すぎる場合には、パラジウムおよび白金の凝集が促進される。従って、焼成温度は、通常300〜600℃程度の範囲内にあり、より好ましくは450〜550℃程度の範囲内にある。
【0007】
本発明の触媒は、常法に従って、ペレット状に成型して用いてもよく、あるいは耐火性ハニカム担体上にウォシュコートして用いてもよい。どちらの場合にも、必要に応じ、バインダーを添加することができる。
【0008】
本発明による排ガス浄化方法は、上記で得られた触媒を用いることを特徴とする。触媒使用量が少なすぎる場合には、有効な浄化率が得られないのに対し、多すぎる場合には、触媒使用量に見合った性能が得られないので、触媒は、ガス時間当たり空間速度(GHSV)で、2,000〜200,000h-1の範囲で使用することが好ましく、2,000〜60,000h-1の範囲で使用することがより好ましい。
本発明の触媒は、高い活性を有するが、それでも排ガスの温度が低すぎる場合には、有効な浄化性能が発揮されないことがある。一方、排ガスの温度が高すぎる場合には、触媒の耐久性が損なわれる危険性がある。従って、本発明の触媒は、好ましくは350〜500℃程度、より好ましくは375〜475℃の範囲で使用することが望ましい。
本発明方法が浄化対象とする排ガスの窒素酸化物濃度には、特に制限はないが、通常10〜5000vol. ppmの範囲にある。窒素酸化物分解時のメタン濃度は、必要な脱硝率やその他の反応条件によって変わりうるが、高い脱硝率を得るためには、通常排ガス中窒素酸化物の1倍以上、より好ましくは5倍程度以上となるようにすることが好ましい。排ガス中に含まれるメタンが窒素酸化物の還元に必要な量よりも少ない場合には、排ガスにメタンあるいは天然ガス系都市ガスなどのメタン含有ガスを適当量添加してもよい。メタン濃度の上限については特に制限はなく、その濃度が高いほど脱硝率は向上する。しかしながら、排ガスに過剰量のメタンを添加しても、それに伴う費用増加に見合った窒素酸化物分解率の改善は達成されないので、経済的に不利となり、また、処理後のガス中の残存メタン量を増大させるおそれがある。さらに、被処理ガスは、還元剤であるメタンを添加した状態において、酸素過剰状態であることを必要とするので、添加するメタン量は、被処理ガス組成に応じて定まる上限がある。
排ガス中の酸素濃度は、酸素を過剰に含む限り特に制限はないが、例えば体積基準で1%以下の場合に様に、酸素濃度が極めて低い場合には、十分な反応活性が得られないおそれがある。排ガス中の酸素濃度が低すぎる場合や、排ガスの温度が高く、触媒の温度が前記の好ましい温度範囲を超えるおそれがある場合には、排ガスの温度が好適な範囲を下回らない様に留意しつつ、適当量の空気を混合した後、空気混合排ガスを触媒に接触させてもよい。
【0009】
【発明の効果】
本発明の触媒を用いて窒素酸化物含有排ガスを処理する場合には、メタンを還元剤とするNOx分解除去に際し、水蒸気が大量に存在する条件下においても、長期にわたって安定した触媒活性が維持される。
また、メタンの転化率も高く維持されるので、処理ガス中の残存メタン濃度を低く保つことができる。
さらに、従来の触媒では活性が著しく低下する硫黄酸化物の共存下においても、安定して高い触媒活性が維持される。
【0010】
【実施例】
以下、実施例および比較例を示し、本発明の特徴とするところをより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
0.5% Pd-0.5% Pt /硫酸根ジルコニア触媒 (1) の調製
硫酸アンモニウム15 gを溶解する150 mlの水溶液に水酸化ジルコニウム150 gを10時間含浸した。含浸体を乾燥した後、550℃で3時間焼成して、硫酸根ジルコニアを得た。
Pdとして10重量%を含有する硝酸パラジウム溶液1.25 gとPtとして6.27重量%を含有するテトラアンミン白金硝酸塩水溶液2 gを混合攪拌し、さらに純水で20 mlに希釈した溶液を予め調製し、これに上記で得られた硫酸根ジルコニア25 gを10時間含浸した。含浸後の硫酸根ジルコニアを乾燥した後、500℃で9時間焼成して、0.5% Pd-0.5% Pt/硫酸根ジルコニア触媒(1)を得た。
実施例2
0.25% Pd-0.1% Pt /硫酸根ジルコニア触媒の調製
硫酸アンモニウム54 gを溶解する400 mlの水溶液に水酸化ジルコニウム360 gを15時間含浸した。含浸体を乾燥した後、550℃で6時間焼成して、硫酸根ジルコニアを得た。誘導結合プラズマ−発光分光分析の結果、この硫酸根ジルコニアは、硫黄として2.2重量%の硫酸根を含んでいた。
Pdとして10重量%を含有する硝酸パラジウム溶液0.94 gとPtとして5.8重量%を含有するテトラアンミン白金硝酸塩水溶液0.65 gを混合攪拌し、さらに純水で30 mlに希釈した溶液を予め調製し、これに上記で得られた硫酸根ジルコニア37.5 gを15時間含浸した。含浸後の硫酸根ジルコニアを乾燥した後、500℃で9時間焼成して、0.25% Pd-0.1% Pt/硫酸根ジルコニア触媒を得た。
実施例3
0.5% Pd-0.5% Pt /硫酸根ジルコニア触媒 (2) の調製
Pdとして10重量%を含有する硝酸パラジウム溶液2.5 gとPtとして5.8重量%を含有するテトラアンミン白金硝酸塩水溶液4.3 gを混合攪拌し、さらに純水で50 mlに希釈した溶液を予め調製し、これに実施例2と同様にして得た硫酸根ジルコニア50 gを15時間含浸した。含浸後の硫酸根ジルコニアを乾燥した後、500℃で9時間焼成して、0.5% Pd-0.5% Pt/硫酸根ジルコニア触媒(2)を得た。
比較例1
0.5%Pd /硫酸根ジルコニア触媒の調製
Pdとして10重量%を含有する硝酸パラジウム溶液1.25 gを純水で20 mlに希釈した溶液に実施例1と同様にして調製した硫酸根ジルコニア25 gを10時間浸漬した。含浸後の硫酸根ジルコニアを乾燥した後、500℃で9時間焼成して、0.5% Pd/硫酸根ジルコニア触媒を得た。
比較例2
0.5% Pt /硫酸根ジルコニア触媒の調製
Ptとして5.8重量%を含有するテトラアンミン白金硝酸塩水溶液3.0 gを純水で30 mlに希釈した溶液に実施例2と同様にして調製した硫酸根ジルコニア35 gを15時間浸漬した。含浸後の硫酸根ジルコニアを乾燥した後、500℃で9時間焼成して、0.5% Pt/硫酸根ジルコニア触媒を得た。
比較例3
Pd /モルデナイト触媒 (1) の調製
H型モルデナイト(東ソー(株)製、シリカ・アルミナ比16)20 gを、テトラアンミンパラジウム硝酸塩0.3 gと酢酸アンモニウム1 gとを溶解する300 mlの水溶液を用いて60℃で18時間イオン交換を行った。イオン交換H型モルデナイトをろ過により分離し、洗浄した後、110℃で5時間乾燥し、さらに空気中500℃で9時間焼成し、Pd/モルデナイト触媒(1)を得た。
誘導結合プラズマ−発光分光分析による組成分析の結果、このイオン交換H型モルデナイトのPd担持量は、0.5%であった。
比較例4
Pd /モルデナイト触媒 (2) の調製
H型モルデナイト(東ソー(株)製,シリカ・アルミナ比16)60 gを、テトラアンミンパラジウム硝酸塩0.83 gと酢酸アンモニウム6 gとを溶解する700 mlの水溶液を用いて60℃で18時間イオン交換を行った。イオン交換H型モルデナイトをろ過により分離し、洗浄した後、110℃で5時間乾燥し、さらに空気中500℃で9時間焼成し、Pd/モルデナイト触媒(2)を得た。
誘導結合プラズマ−発光分光分析による組成分析の結果、このイオン交換H型モルデナイトのPd担持量は、0.42%であった。
比較例5
Pd / ZSM-5 触媒の調製
ZSM-5ゼオライト(スイス ヘミー・ウェティコン社製、シリカ・アルミナ比30)14 gを、テトラアンミンパラジウム硝酸塩0.2 gと酢酸アンモニウム2 gとを溶解する300 mlの水溶液を用いて60℃で18時間イオン交換を行った。ZSM-5ゼオライトをろ過により分離し、洗浄した後、110℃で3時間および150℃で2時間乾燥し、さらに空気中500℃で9時間焼成し、Pd/ZSM-5を得た。
誘導結合プラズマ−発光分光分析による組成分析の結果、このPd/ZSM-5のPd担持量は、0.6%であった。
比較例6
Pd-Pt /モルデナイト触媒の調製
H型モルデナイト(東ソー(株)製,シリカ・アルミナ比16)25 gを、Ptとして6.3重量%を含有するテトラアンミン白金硝酸塩水溶液2 gとテトラアンミンパラジウム硝酸塩0.35 gと酢酸アンモニウム1 gとを溶解する300 mlの水溶液を用いて60℃で18時間イオン交換を行った。得られたイオン交換H型モルデナイトをろ過により分離し、洗浄し、110℃で5時間乾燥した後、さらに空気中500℃で9時間焼成して、Pd-Pt/モルデナイト触媒を得た。
誘導結合プラズマ−発光分光分析による組成分析の結果、Pdの担持量は0.38%、Ptの担持量は0.27%であった。
実施例4
触媒活性試験1
実施例1、2ならびに比較例1、2、3および5で得られた触媒をそれぞれ打錠成形した後、粉砕して、粒径1〜2mmに整粒した。得られた各触媒4mlをそれぞれ充填した反応器を使用して、一酸化窒素150 ppm、メタン2000 ppm、酸素10%、水蒸気9%および残部ヘリウムからなる模擬排ガスをガス時間当たり空間速度(GHSV)15,000h-1、触媒層温度450℃の条件下に流通させて、触媒活性(NOx転化率およびCH4転化率)について試験を行った。触媒層出口のメタン、一酸化炭素および二酸化炭素濃度は、ガスクロマトグラフにより、また触媒層入口および出口のNOx濃度は化学発光式NOx分析計により測定した。なお、実際の燃焼排ガスは、上記成分以外に通常5〜15%の二酸化炭素を含むが、これは反応活性に本質的な影響を及ぼさないことは別途確認した。
【0011】
NOxおよびメタンの転化率(%)は、以下の式によって計算される値を示す。
【0012】
(NOx転化率)=100×(1- NOx-out / NOx-in)
(メタン転化率)=100×(CO-out + CO2-out) / (CO-out + CO2-out + CH4-out)
ここで、NOx-inは触媒層入口のNOx濃度、 NOx-outは触媒層出口のNOx濃度、CO-outは触媒層出口の一酸化炭素濃度、CO2-outは触媒層出口の二酸化炭素濃度、CH4-outは触媒層出口のメタン濃度をそれぞれ表す。
実施例1の0.5% Pd-0.5% Pt/硫酸根ジルコニア触媒(1)によるNOx転化率およびメタンの転化率の経時的変化は、図1に示す通りであった。すなわち、0.5% Pd-0.5% Pt/硫酸根ジルコニア触媒(1)は、 30時間後で52%、50時間後で45%、88時間後でも35%のNOx転化率を示しており、高い耐久性を有することがわかる。
また、実施例2の0.25% Pd-0.1% Pt/硫酸根ジルコニア触媒は、30時間後に55%、50時間後に45%、86時間後に40%のNOx転化率を示した。また、実施例2触媒によるメタン転化率は、30時間後、50時間後および86時間後において、それぞれ48%、45%および42%であった。
図2〜4は、それぞれ比較例1による0.5% Pd/硫酸根ジルコニア触媒、比較例2による0.5% Pt/硫酸根ジルコニア触媒および比較例3によるPd/モルデナイト触媒(1)のNOx転化率およびメタン転化率の経時変化を示す。
【0013】
0.5% Pd/硫酸根ジルコニア触媒(比較例1:図2)および0.5% Pt/硫酸根ジルコニア触媒(比較例2:図3)では、活性レベルが初期から低く、さらに経時的にも劣化する。
Pd/モルデナイト触媒(1) (比較例3:図4)は、初期的には高い活性レベルを示しているが、経時的に著しい活性劣化を起こし、NOx転化率は、30時間後には44%、50時間後には22%、65時間後には14%まで低下した。
比較例5のPd/ZSM-5触媒は、3時間後にはNOx転化率73%、メタン転化率43%を示したが、10時間後にはそれぞれ58%と40%に、18時間後にはそれぞれ32%と30%とにまで低下した。
【0014】
以上の結果から、本発明の触媒は、水蒸気の共存下で、公知の触媒に比べて、顕著に高い耐久性を有することが明らかである。さらに、本発明の触媒は、メタンの転化率も高く維持されるという特性を備えていることが明らかである。
実施例5
触媒活性試験2
実施例2、3および比較例4、6の触媒をそれぞれ使用し、かつ模擬排ガス組成を一酸化窒素150 ppm、メタン2000 ppm、酸素10%、水蒸気9%、二酸化硫黄3 ppmおよび残部ヘリウムとする以外は実施例4と同様にして、触媒活性試験を行った。
実施例2による0.25% Pd-0.1% Pt/硫酸根ジルコニア触媒のNOx転化率およびメタン転化率の経時変化は、図5に示す通りであった。すなわち、50、80および120時間後のNOx転化率はそれぞれ61%、61%および60%であり、50、80および120時間後のメタン転化率はそれぞれ54%、50%および46%と極めて安定している。
さらに、驚くべきことに、炭化水素を還元剤とする窒素酸化物の還元において通常知られている傾向とは異なり、被処理ガス中に硫黄酸化物(二酸化硫黄)が共存していても、触媒活性は殆ど悪影響を受けず、むしろ触媒活性が安定する傾向が認められる。
実施例3の0.5% Pd-0.5% Pt/硫酸根ジルコニア触媒(2)の場合にも、30、50および80時間後のNOx転化率はそれぞれ51%、46%および44%であり、30、50および80時間後のメタン転化率は58%、51%および50%と安定した触媒活性を示していた。
比較例4によるPd/モルデナイト触媒(2)のNOx転化率およびメタン転化率の経時変化は、図6に示す通りであった。試験開始から30時間以内にNOx転化率およびメタン転化率は、ともに10%以下となり、ほぼ同等の組成をもつPd/モルデナイト触媒(1)(比較例3触媒)を用いて行った実施例4における結果と比べても活性低下傾向が著しく、硫黄酸化物の共存により顕著な活性低下をきたすことがわかる。
比較例6のPd-Pt/モルデナイト触媒を使用した場合には、試験開始から10、30および50時間後のNOx転化率はそれぞれ63%、30%および18%であり、メタン転化率はそれぞれ64%、25%および13%であった。 PdおよびPtを担持させた触媒であっても、担体が異なる場合には、本発明触媒に比して、触媒活性が著しく劣ることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1による0.5% Pd-0.5% Pt/硫酸根ジルコニア触媒(1)のNOx転化率およびメタン転化率の経時変化を示すグラフである。
【図2】比較例1による0.5% Pd/硫酸根ジルコニア触媒のNOx転化率およびメタン転化率の経時変化を示すグラフである。
【図3】比較例2による0.5% Pt/硫酸根ジルコニア触媒のNOx転化率およびメタン転化率の経時変化を示すグラフである。
【図4】比較例3によるPd/モルデナイト触媒(1)のNOx転化率およびメタン転化率の経時変化を示すグラフである。
【図5】実施例2による0.25% Pd-0.1% Pt/硫酸根ジルコニア触媒の硫黄酸化物共存下におけるNOx転化率およびメタン転化率の経時変化を示すグラフである。
【図6】比較例4によるPd/モルデナイト触媒(2)の硫黄酸化物共存下におけるNOx転化率およびメタン転化率の経時変化を示すグラフである。
Claims (9)
- 硫酸根ジルコニアにパラジウムおよび白金を担持してなる、酸素過剰雰囲気下においてメタンの存在下に窒素酸化物を分解する排ガス浄化用触媒。
- パラジウムの担持量が、硫酸根ジルコニアに対する重量比で0.1〜0.5%である請求項1に記載の触媒。
- 白金の担持量が、パラジウムに対する重量比で20〜100%である請求項1または2に記載の触媒。
- 硫酸根ジルコニアにパラジウムおよび白金を担持してなる触媒を用いて、酸素過剰雰囲気下においてメタンの存在下に窒素酸化物を分解する排ガス浄化方法。
- パラジウムの担持量が、硫酸根ジルコニアに対する重量比で0.1〜0.5%である請求項4に記載の排ガス浄化方法。
- 白金の担持量が、パラジウムに対する重量比で20〜100%である請求項4または5に記載の排ガス浄化方法。
- 硫酸根ジルコニアにパラジウムおよび白金を担持してなる触媒を用いて、酸素を過剰に含みかつ硫黄酸化物を含む排ガス中の窒素酸化物をメタンの存在下に分解する排ガス浄化方法。
- パラジウムの担持量が、硫酸根ジルコニアに対する重量比で0.1〜0.5%である請求項7に記載の排ガス浄化方法。
- 白金の担持量が、パラジウムに対する重量比で20〜100%である請求項7または8に記載の排ガス浄化方法。
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