JP3976439B2 - 溶鋼への窒素添加方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶鋼への窒素添加方法に関し、特に、鋼の精錬工程において窒素成分の調整を容易化するための新規な改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、周知のように、窒素は合金要素として材料特性、特に強度および靭性を改善するために鋼中に添加されているが、この鋼中に存在する固溶窒素は、Alめっき時に母材とめっき相の境界面においてAlNを生成するため、Alめっきの耐黒変性を向上させることが知られている。しかしながら連続鋳造にて製造する場合には、通常Al脱酸を行っており、このAlとNの反応により圧延・焼鈍時に前記AlNが析出し、固溶窒素が減少する。この固溶窒素を確保するため、低Al高Nとすることが望まれる鋼種がある。
従来、窒素〔N〕=100〜130massppmまで加窒を行う場合には、転炉出鋼時に石灰窒素をブリケット状にしたものである窒化ブリケットを投入し、RH脱ガスにおいて還流ガスに窒素を使用すると共に、窒素ブリケット、NMnを添加している。しかしこの場合、窒素ブリケット、NMnの比重は溶鋼に比べて小さいため、溶鋼表面を浮遊し、さらに真空下であるため、歩留まりは小さく、窒素還流ガスに依存しているところが大きい。そのためRH脱ガス処理時間が長くなる傾向にある。
また更なる他の手法として、石灰窒素をワイヤ状としたものを添加する方法がある。この場合、スラグが溶鋼中に混合され、酸素がスラグから溶鋼へ侵入するため、溶鋼へ侵入した酸素は〔Sol.Al〕と反応し、〔Sol.Al〕が減少していた。この〔Sol.Al〕が低過ぎる場合、取鍋やタンディッシュにおいて侵入する酸素により、リミングアクション(未脱酸状態)の発生を招き、連続鋳造においてブレークアウトのトラブルを生じる可能性がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の溶鋼への窒素添加方法は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、RH脱ガス設備において加窒処理を行う場合、窒素の挙動を確認しながらの処理となるため、処理時間が長く、浸漬管の溶損が大きくなる。また石灰窒素をワイヤ状としたものを溶鋼へ添加する場合、スラグから溶鋼中へ酸素が供給されるため、〔Sol.Al〕が減少することによる未脱酸状態の発生となっていた。
【0004】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、精錬工程において窒素成分の調整を容易化するようにした溶鋼への窒素添加方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による溶鋼への窒素添加方法は、アルミキルド鋼からなる溶鋼であって、石灰窒素を基剤とする溶鋼用窒素添加剤に金属Al粉を35〜40mass%配合した材料を鉄被覆してワイヤ状にした溶鋼用ワイヤ状窒素添加剤を前記溶鋼へ添加することにより窒素を100massppm以上含有させる方法であり、さらに、前記添加は、RH脱ガス処理後の大気圧下で行う方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による溶鋼への窒素添加方法の好適な実施の形態について説明する。
まず、図1で示されるように、アルミで脱酸したアルミキルド鋼からなる溶鋼5に窒素を100massppm以上含有させるために、金属Al粉を35〜40mass%配合し残りを石灰窒素として鉄被覆しワイヤ状にした溶鋼用ワイヤ状窒素添加剤4の投入速度を調整しワイヤ溶解位置が溶鋼5の深さの2/3から3/4になるようにして溶鋼5へ窒素を添加する。なお、この場合、前記溶鋼用ワイヤ状窒素添加剤4は、ワイヤフィーダー機7と取鍋6の集塵蓋3との間に接続されArガス1が供給されたガイドパイプ2を介して溶鋼5中へ供給されるように供給されている。従って、アルミと窒素を同一ワイヤに包み込んで溶鋼5中に溶解させているため、アルミが溶解しアルミ濃度の高い溶鋼中では窒素の溶解度が高くなり鋼中への窒素添加歩留まりが向上する。
なお、アルミ配合なしの窒素ワイヤを用いて溶鋼に添加した場合、ワイヤ投入前後での鋼中Alの変化はワイヤ投入前が0.021mass%で投入後は0.007mass%と減少した。このワイヤ投入に要した時間は3分であり、このことから、溶鋼へ添加する窒素添加剤をAl純分供給速度に換算して0.09〜0.10kg/t−溶鋼/分の供給速度で溶鋼へ添加した。ここでAlの歩留りを50%とした。
【0007】
また、窒素添加の熱力学的検討をすると、次の数1の(1)式及び(2)式に示す製鋼反応の推奨平衡値(日本学術振興会製鋼19委員会編)に記されているように、溶鋼中に窒素を添加した場合(1)式の反応により吸窒が進行する。
【0008】
【数1】
【0009】
鉄鋼便覧I基礎(1981)P159より、酸素濃度が小さいほどfNは小さくなる。一方、酸素濃度はAl濃度に反比例することが知られている。
そこで、溶鋼へワイヤ投入中、局所的にAl濃度が高くなり、酸素濃度が小さくなるため、窒素活量係数が小さくなる。その結果、局所的に平衡窒素濃度が高くなり窒素の溶解度が増すことになる。
さらに、溶鋼用ワイヤ状窒素添加剤4に金属Al粉を配合したことにより、金属Al粉はスラグより侵入する酸素により〔Sol.Al〕が消費されるため、これを補完する役割を果たす。
更に、金属Al粉の配合組成を35〜40mass%と最適な範囲に限定しているが、ここで最適な範囲とは、種々実験の結果、加窒挙動と〔Sol.Al〕挙動を安定して得ることができる範囲を意味するものである。
【0010】
(実施例1)
90t溶鋼取鍋において、表1の第1表に示す化学組成に調整した溶鋼を用いて加窒実験を行った。加窒後目標成分は〔N〕100〜130massppm,〔Sol.Al〕0.004〜0.012mass%とした。
【0011】
【表1】
【0012】
次に、表2の第2表に処理工程を示す。転炉において取鍋に窒化ブリケットを入置きし、取鍋へ出鋼した。
RH脱ガスでは還流ガスとして窒素ガスを使用し、窒素化合物の添加は行わない。その後前記溶鋼用ワイヤ状窒素添加剤4を添加し連続鋳造した。この溶鋼用ワイヤ状窒素添加剤4の投入条件を表3の第3表に示す。
溶鋼用ワイヤ状窒素添加剤4として、石灰窒素63mass%、金属Al粉37mass%に配合した混合粉を使用した。この窒素添加剤4を鉄被覆してワイヤ状とし、ワイヤフィーダー法で投入した。ワイヤ送給速度は、ワイヤフィーダー機7により300m/minに調整した。この時のAl供給速度は0.09kg/t−溶鋼/分に相当する。
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】
表4の第4表に溶鋼中の窒素濃度およびSol・Al濃度の変化を示す。ワイヤ投入前の〔N〕はRH脱ガスで窒素還流ガスにより、70massppmとなっていた。ワイヤ投入により125massppmとなり、最終成分では130massppmであった。一方、Sol・Alはワイヤ投入前後では変動せず、鋳造時に0.009mass%となった。
【0016】
【表4】
【0017】
(比較例1)
実施例1と同様の溶鋼を用いて加窒実験を行った。ここでは窒素添加剤として金属Alを混合していないものを使用した。すなわち石灰窒素100mass%である。この混合粉を鉄被覆したワイヤを投入速度300m/minで投入した。処理工程は前述の実施例1と同様の工程とした。ワイヤの投入条件も前述の第2表の実施例1と同じとした。
実験結果は前述の第3表に示す通りであり、実施例1と同様に加窒することができたが、ワイヤ投入により、Sol・Alが低減しており、鋳造時には0.004mass%以下となった。
【0018】
(比較例2)
前述の第2表に処理工程を示すが、転炉において、炉の傾動を繰り返すローテーションを3分間行い、計画再吹錬とした。取鍋内に予め窒化ブリケットを入置きし、出鋼し、〔N〕レベルを実施例1のRH脱ガス設備で出鍋相当に調整した。RH脱ガス設備では、実施例1と同様に還流ガスとして窒素ガスを使用するとともに、窒化ブリケット、NMnの窒素化合物を添加した。成分確認後、出鍋・連続鋳造した。
実験結果を表5の第5表に示す。〔Sol.Al〕成分はTDにおいて目標範囲とすることができた。一方、〔N〕については、60分のRH脱ガス処理を実施したにもかかわらず、目標範囲を得ることができなかった。
【0019】
【表5】
【0020】
【発明の効果】
本発明による溶鋼への窒素添加方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、石灰窒素を基剤とする溶鋼用窒素添加剤に金属Al粉を35〜40mass%配合した材料を鉄被覆してワイヤ状にした溶鋼用ワイヤ状窒素添加剤を用いているため、成分調整が困難な窒素成分を容易に調整することができる。また、Sol.Alの低下を同時に補完するため、Al成分範囲の低い鋼種にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶鋼へ窒素材を添加する模式図である。
【符号の説明】
1 Arガス
2 ガイドパイプ
3 集塵蓋
4 溶鋼用ワイヤ状窒素添加剤
5 溶鋼
6 取鍋
7 ワイヤフィーダー機
Claims (2)
- アルミキルド鋼からなる溶鋼であって、石灰窒素を基剤とする溶鋼用窒素添加剤に金属Al粉を35〜40mass%配合した材料を鉄被覆してワイヤ状にした溶鋼用ワイヤ状窒素添加剤を前記溶鋼へ添加することにより窒素を100massppm以上含有させることを特徴とする溶鋼への窒素添加方法。
- 前記添加は、RH脱ガス処理後の大気圧下で行うことを特徴とする請求項1記載の溶鋼への窒素添加方法。
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