JP3250459B2 - 溶接部の低温靱性に優れた耐hic鋼およびその製造方法 - Google Patents
溶接部の低温靱性に優れた耐hic鋼およびその製造方法Info
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Description
溶接部の低温靱性に優れた鋼およびその製造方法に関す
る。
パイプ材では、母材および溶接部の両方での高い耐サワ
ー性と溶接部での優れた低温靱性とが要求される。
(以下、HICと記す)は、圧延時に線状に破砕された
Al2O3 クラスターや線状に延伸されたMnS を起点に発生
することが知られている。したがって従来、溶鋼にCa
含有物質を添加することにより、Al2O3 クラスターをH
ICの起点とならない球状介在物に形態制御するととも
に、Caと溶鋼中〔S〕とを反応させ、CaO-Al2O3-CaS
系介在物として脱硫することにより、MnS の生成を抑止
する技術がある。
は、溶接部およびその近傍に存在する介在物が電縫溶接
するときに変形し、溶接部の低温靱性が低下することが
知られている。
は以下の方法によって製造される。
酸した後、RH真空脱ガス装置などを用いて溶鋼中の窒
素および水素を除去する。この後、脱硫処理を施す場合
もある。その後、溶鋼にCa含有物質を添加する。
%含んだCa−Si、Ca−AlなどのCa合金が一般
に用いられる。これらの添加方法としては、溶鋼に浸漬
したランスから不活性ガスとともに溶鋼中に吹き込むイ
ンジェクション方法、およびCa含有物質粉を鉄で被覆
し線状となしたものを溶鋼中に送り込むワイヤーフィー
ダー法が知られている。
Al2O3 クラスターの球状化が不十分となったり、添加C
aと溶鋼中[S]との反応でCaS クラスターや凝固時に
MnSが生成したりすることにより、耐HIC性が著しく
悪化する。さらに、電縫溶接するときに変形しやすい介
在物が多量に生成し、溶接部の低温靱性が悪化する。
材の耐HIC性あるいは溶接部の低温靱性の向上を図る
いくつかの方法が提案されてきた。
は以下が知られている。
不足によりAl2O3 系介在物が十分にCaO-Al2O3 系介在物
へ変化しないこと、およびCa添加量の過剰によりCaS
系介在物が生成することなどの問題点を解決するため
に、溶鋼をCa処理する際に下式を満足するようにCa
を添加する方法が提案されている。
に、上記とは異なる下式を用いる方法が提案されてい
る。
Al2O3 系介在物を組融点の低い組成にし、一方1.00以下
にするのはCaS の生成を防止するためである。
Vを次式のように制御し、Al2O3 介在物を十分にCaO-Al
2O3 系介在物に改質するとともに、CaS の生成を抑止す
るCa処理方法が提案されている。
を図る方法としては、以下のようなものがある。
を添加し、介在物をZrO2・Al2O3 に改質することにより
介在物の融点を上げ、介在物を電縫溶接時に変形・延伸
させないようにした高靱性電縫鋼管が提案されている。
Caの含有量を特定式を満足するように制御した上で、
介在物を(CaO) m ・(Al2O3) n 系とし、その分子構成比
(m/n)を1未満とする電縫鋼管が提案されている。
HICの起点となるMnS あるいはAl2O3 クラスターを耐
HIC性に無害とされるCaO-Al2O3-CaS 系球状介在物に
改質し、かつCa添加時に生成するCaS を抑止すれば、
実用上十分な耐HIC性が得られると考えられてきた。
る有害介在物を球状CaO-Al2O3-CaS介在物に無害化改質
し、かつCaS 介在物を抑止しても、HICの発生を十分
に抑えることはできない。
よび特開平3-183721の各号公報では、介在物をCaO-Al2O
3 系介在物または低融点のCaO-Al2O3 系介在物に制御
し、CaS 単体介在物の生成を抑止する方法を提案してい
るにすぎず、CaO-Al2O3 系球状介在物の破砕抑止による
耐HIC性の向上および電縫溶接時の介在物変形防止に
よる溶接部の低温靱性向上を十分に達成することができ
ない。
物をZrO2・Al2O3 に改質することで介在物の融点を上昇
させ、溶接部の低温靱性を向上させることはできるが、
介在物の球状化ならびにCaS およびMnS などの硫化物系
介在物の形態制御が不十分であり、実用上十分な耐HI
C性を得ることが困難である。
2O3 系介在物中のAl2O3 濃度の上昇、つまりCa0 濃度の
低下により、介在物の融点を上昇させて溶接部の低温靱
性を確保し、かつこの高融点のCaO-Al2O3 系介在物によ
り耐HIC性が得られるとしている。しかし、高Al2O3
濃度のCaO-Al2O3 系介在物ではMnS の生成抑止が不十分
であり、また球状介在物の破砕抑止が困難であり、実用
上十分な耐HIC性が得られない。さらに、高Al2O3 濃
度のCaO-Al2O3 系介在物に制御する具体的手段が示され
ていない。すなわち、Ca添加量の低減のみにより介在
物中のAl2O3 濃度を上昇させようとすると、介在物を融
点1600℃(通常の製鋼処理温度)以下とすることが
できず、結果として介在物が球状化されず、耐HIC性
に致命的なクラスター介在物となってしまう。
溶接部の低温靱性とを十分に向上させることができなか
った。
(1) の溶接部の低温靱性に優れた耐HIC鋼および(2)
のその製造方法にある。
物が、重量%でCa0:60〜90%、CaS:10%以下およ
び残部はAl2O3 主体の組成を有するものであることを特
徴とする溶接部の低温靱性に優れた耐HIC鋼。
主体」とは、MgO および/またはSiO2などの不可避的な
成分を含むことを意味する。ただし、不可避的な成分の
合計濃度は10重量%以下とすることが望ましい。
Ca処理する際にCaとともに、重量%でCa0:60〜9
5%を含み、残部はAl2O3 主体のCaO-Al2O3 系プリメル
トフラックスを同時に添加することを特徴とする溶接部
の低温靱性に優れた耐HIC鋼の製造方法。
体」とは、CaF2、ZrO2、Fe2O3 およびSiO2などの成分を
含むことを意味する。ただし、これらの合計濃度は10
重量%以下とするのが望ましい。
CaとともにCaO-Al2O3 系プリメルトフラックスを同時
に複合添加することにより、鋼中介在物中のCaS 濃度を
上昇させることなく介在物中のCa0 濃度を上昇させ、な
おかつ介在物組成のばらつきを小さくすることが可能で
あるという知見を得た。
添加するだけでは、Ca添加中の溶鋼中の〔Ca〕濃度
は添加開始後の経過時間、溶鋼中の介在物量および
〔S〕濃度によって変化し、介在物組成を目標とする狭
い範囲に安定的に制御することができない。
で10〜30ppm であるが、Caとともに添加されるプ
リメルトフラックスをT.〔O〕に換算すると150〜
400ppm となる。したがって、Caとともにプリメル
トフラックスを添加すると、Ca添加中の溶鋼中の〔C
a〕濃度は、介在物量、添加開始後の経過時間および
〔S〕濃度の影響よりも、プリメルトフラックスの影響
を大きく受ける。
れば、プリメルトフラックスから溶鋼へのCa供給反応
が促進され、Ca添加中の溶鋼中の〔Ca〕濃度は高位
に維持される。一方、プリメルトフラックス中のCa0 濃
度が低ければ、プリメルトフラックス中のAl2O3 と溶鋼
中〔Ca〕との反応が促進され、Ca添加中の溶鋼中の
〔Ca〕濃度は低位に維持される。
ルトフラックスの組成を適正に制御することにより、溶
鋼中の〔Ca〕濃度を狭い範囲に安定的に制御すること
ができ、その結果、介在物量および添加開始後の経過時
間にかかわらず、介在物組成を目標とする狭い範囲に制
御することができる。
た耐HIC鋼は、鋼中に含まれるCaO-Al2O3-CaS 系介在
物が重量%で、Ca0 :60〜90%およびCaS :10%
以下を含み、残部はAl2O3 主体の組成のものである。
ブ)を耐HIC評価試験で評価するとともに、電子線マ
イクロアナライザー(以下、EPMAと記す)を用い、
HICが発生した鋼材中の介在物形態の観察および組成
分析を行った結果、以下のような事実が明らかになっ
た。
状であり、その組成はCa−Al−O−Sからなってい
た。このスラブを圧延し、この圧延後の鋼中介在物を調
査したところ、介在物の一部の形態は球状であるもの
の、多くは線状に破砕されていた。さらに、この圧延材
をHIC評価試験で評価したところ、この線状に破砕さ
れた介在物を起点としてHICが発生していた。
在物と球状のままだった介在物との組成を詳細に調査し
たところ、以下が明かとなった。線状に破砕された介在
物の組成は CaS>10重量%なるCaO-Al2O3-CaS 系介在
物、あるいはCa0 <35重量%なるCaO-Al2O3 系介在
物、あるいはCa0 >90重量%なるCaO-Al2O3 系介在物
であった。一方、圧延した後も球状であった介在物は、
35重量%≦Ca0 ≦90重量%、CaS ≦10重量%およ
び残部はAl2O3 主体の組成のものであった。したがっ
て、介在物組成が不適当であると、溶鋼中およびスラブ
中で球状であっても圧延時に破砕し、HICの起点とな
る。
35重量%未満、つまり介在物中の分子構成比 Ca0/Al
2O3 が0.98未満では、溶鋼中の〔S〕に対する介在
物の吸収能力が低く、十分に溶鋼中の〔S〕を低下させ
ることができないため、凝固時の中心偏析によりMnS 介
在物が生成する。
上させるには、MnS およびCaS の単体介在物の生成抑止
および介在物の完全球状化に加えて、介在物の組成にお
いて35重量%≦Ca0 濃度≦90重量%、CaS 濃度≦1
0重量%および残部Al2O3 主体の条件を達成しなければ
ならない。
在物の形態および組成を特定するために、Ca添加鋼の
低温靱性不良材および良好材の電縫溶接部をEPMAを
用いて詳細に調査した結果、以下の事実が判明した。
物形態は球状ではなく、板状に変形したものであった。
また、その成分はCaO-Al2O3 系、その組成は35重量%
≦Ca0 <60重量%および残部Al2O3 であった。
た介在物形態は球状であり、変形していなかった。ま
た、その成分はCaO-Al2O3 系、その組成はCa0 ≧60重
量%、CaS ≦10重量%および残部Al2O3 主体であっ
た。この介在物組成における融点は1600℃以上であ
り、介在物の融点が高いために電縫溶接するときに変形
しなかったと考えられる。
接するときの介在物変形を阻止し、溶接部の低温靱性を
向上させるには、介在物組成をCa0 濃度が60重量%以
上となるように制御すればよいという新たな知見を得
た。
温靱性とを同時に確保するには、CaO-Al2O3-CaS 系介在
物の組成が下記〜の条件を同時に満足するように制
御しなければならない。
下。
CaS 濃度は低いほど望ましい。
および/またはSiO2などの不可避的な成分を含んでいて
もよい。ただし、不可避的な成分の合計濃度は10重量
%以下とすることが望ましい。
発明の耐HIC鋼を製造する本発明方法は、予め脱酸お
よび脱硫処理された溶鋼をCa処理する際にCaととも
に、重量%でCa0:60〜95%を含み、残部はAl2O3 主
体のCaO-Al2O3 系プリメルトフラックスを同時に複合添
加するものである。
気炉などの脱炭精錬炉または取鍋もしくはその他の炉な
ど、脱硫およびCa処理の容器を用いる。以下、本発明
方法を脱炭精錬炉および取鍋を用いる場合を例にとって
説明する。
を用いて予め脱酸および脱硫処理する。このとき、溶鋼
中の〔S〕濃度7ppm 以下が達成できるように処理する
のが望ましい。Ca添加前に溶鋼中の〔S〕濃度を7pp
m 以下とすると介在物中のCaS 濃度がさらに低下し、介
在物組成のばらつきを小さくすることが可能となる。
Caとともに、Ca0:60〜95重量%を含み、残部はAl
2O3 主体のCaO-Al2O3 系プリメルトトフラックスを同時
に溶鋼に複合添加する。
るCaの形態は、金属CaあるいはCa−Si、Ca−
Al、Fe−Ca−AlなどのCa含有物質など、いか
なるものでもかまわない。ただし、Caは溶鋼温度で反
応性が高いため、金属CaよりもCa含有物質を用いる
のが望ましい。さらに、Ca含有物質中の望ましいCa
純度の範囲は5〜50重量%である。Ca純度が5重量
%よりも低いとCa含有物質の添加量が増大し、溶鋼温
度降下などの操業上の問題が生じる。一方、Ca純度が
50重量%を超えるとCa添加時のスプラッシュが激し
くなり、操業上の支障となる。
作用効果を説明する。図1は、重量%でCaを30%含
有するCa−Si合金粉のみを単独で、またはCa−S
i合金粉とともにCaO-Al2O3 系プリメルトフラックス
を、それぞれ〔S〕濃度を5ppm とした溶鋼に添加した
場合の製品鋼材の介在物中のCaS 濃度を示す図である。
濃度を示す図である。ただし、プリメルトフラックス中
のCa0 濃度は重量%で20%、50%、55%、60
%、80%、95%および100%で、またCa−Si
合金添加量も0.5kg/tおよび1.5kg/tで、それぞれ
変化させた。なお、Ca−Si合金とプリメルトフラッ
クスとの配合は、重量比で85:15とした。
−Si合金を単独で添加した場合には、Ca−Si合金
の添加量を変化させても介在物を目標組成に制御するこ
とは不可能であり、組成のばらつきも大きく、耐HIC
性と溶接部の低温靱性とを同時に向上させることができ
ない。このように、Ca−Si合金すなわちCaを単独
で添加すると、Ca添加中の溶鋼中の〔Ca〕濃度を適
正な範囲に安定的に制御できないため、介在物組成を所
期の狭い範囲で制御することが困難である。
が60重量%より低い場合、Ca−Si合金すなわちC
aとともに添加しても介在物組成のばらつきが大きく、
全ての介在物を目標組成に制御することは不可能であ
る。これは、プリメルトフラックス中のCa0 濃度が60
重量%より低いと、プリメルトフラックス中のAl2O3 濃
度が高くなるので、プリメルトフラックス中のCa0 から
溶鋼へのCa供給反応が抑制されるためである。かつ、
プリメルトフラックス中のAl2O3 と溶鋼中の〔Ca〕と
の反応量が増加し、Ca添加中の溶鋼中の〔Ca〕濃度
が不安定となり、この結果、介在物組成のばらつきが大
きくなるためである。
0 濃度が60重量%より低いと、安定的に耐HIC性と
溶接部の低温靱性とを満足する鋼材を製造するのが困難
である。
が95重量%を超えると介在物組成のばらつきは小さく
なるものの、図1に示すとおり介在物中のCaS 濃度が高
位となる。これは、プリメルトフラックス中のCaO 濃度
が95重量%を超えて過剰であると、プリメルトフラッ
クスから溶鋼へのCa供給反応が促進され、溶鋼中の
〔Ca〕濃度が増大し、この結果、介在物中のCaS 濃度
が増大するためである。
0 濃度が95重量%を超えると、耐HIC性と溶接部の
低温靱性とを同時に向上させることができない。
次の理由による。
ックスをCaとともに添加した場合、CaO とCaとの反応、
Al2O3 とCaとの反応、CaO とAl2O3 との反応および生成
した種々の組成のCaO-Al2O3 系介在物とCaとの反応など
の複雑な反応が同時並列的に進行するため、処理中の
〔Ca〕濃度が不安定となり、その結果、介在物組成を所
期の狭い範囲に制御することができない。一方、プリメ
ルトフラックスの場合は予め溶融処理が施され、組成が
単一のCaO-Al2O3 に変化している。したがって、単一組
成のCaO-Al2O3 とCaとの反応の一種類のみに限定される
ため、処理中の〔Ca〕濃度が安定し、その結果、介在物
組成を所期の狭い範囲に制御することができる。
濃度の範囲が60〜95重量%の場合、介在物の組成を
制御し、かつそのばらつきも目標組成の範囲内とするこ
とが可能である。これは、プリメルトフラックス中のCa
0 濃度が適正な場合、プリメルトフラックス中のCa0 か
らの溶鋼へのCa供給反応が適正に進行するので、Ca
添加中の溶鋼中の〔Ca〕濃度を高位にかつ安定的に制
御できるため、介在物中のCaS 濃度を上昇させることな
く介在物中のCa0 濃度を高め、そのばらつきも小さくす
ることが可能となるからである。
るその他の成分は、CaF2、ZrO2、Fe2O3 およびSiO2など
である。ただし、これらの合計濃度は10重量%以下と
するのが望ましい。
比の望ましい範囲は、重量比(プリメルトフラックス重
量/Ca純分重量)で0.15〜2である。これは以下
の理由による。上記の添加比が0.15より小さくなる
と、プリメルトフラックスの組成にかかわらず、プリメ
ルトフラックスの同時複合添加の効果が低下し、Ca−
Si合金などの単独添加時と同様の介在物組成となる。
一方、添加比が2を超えると、添加Ca量に対するプリ
メルトフラックス中のAl2O3 濃度が増加するため、低Ca
0 濃度のプリメルトフラックス使用時と同様の理由で介
在物組成のばらつきが大きくなる。
おいては、別々の添加装置からそれぞれを同時に添加す
る方法、あるいは添加直前に混合装置を用いて混合し、
混合物として添加する方法など、いかなる方法でもよい
が、プリメルトフラックスの効果を十分に発揮させるた
めに、事前に混合して同時に複合添加する方法が望まし
い。また、別々に添加する場合は、インジェクション法
またはワイヤーフィーダー法など、同時に添加できるも
のであればいかなる方法でもかまわない。
の添加速度の望ましい範囲は、Ca純分換算で0.03
〜0.17 kg/(t・min)である。この速度が0.03 k
g/(t・min)より小さくなると、溶鋼への単位時間当たり
のCa供給量に対してCa蒸発量が大きくなるため、溶
鋼中の〔Ca〕濃度を高位とすることができず、介在物
組成を目標範囲に制御することが不可能となる。一方、
0.17kg/(t ・min)を超えると、プリメルトフラック
スによる溶鋼中の〔Ca〕濃度の制御能力を超えて溶鋼
中の〔Ca〕濃度が一時的に急激に高くなり、CaS 単体
介在物の生成抑止および介在物中のCaS 濃度抑制が不可
能となる。
0.5 kg/(t・min)とするのが望ましい。これは、Ca
添加量が0.5 kg/(t・min)を超えて過剰になると、反
応すべきAl2O3 介在物が消失し、CaS 単体介在物が生成
してしまうからである。
真空脱ガス装置などの脱ガス装置を用いて脱水素処理を
施すことが望ましい。これは、鋼中の水素濃度を低下さ
せ、より高い耐HIC性を確保するためである。さら
に、脱酸および脱硫処理で増加した介在物を低減するこ
とにより、大型介在物の低減および介在物量の安定化を
図り、介在物組成のばらつきをさらに小さくすることが
可能となるからである。
および脱硫を施し、表1に示す化学組成に調整した。
rガスで溶鋼を9分間攪拌して脱硫した後、RH真空脱
ガス装置を用い、5Torr以下で10〜20分間の還流処
理を施し、その後、粒径の範囲を0.5〜2m 程度に調
整したCa−Si合金粉のみ、またはこのCa−Si合
金粉とプリメルトフラックスとを表2に示す条件で同時
にインジェクション法で添加した。さらに、Arガスに
より3分間のバブリングを行った。
の上記Ca−Si合金粉を用い、表2に示すCaO 濃度の
プリメルトフラックスと事前に混合した。
35mmのスラブとし、これを圧延して26.5mmの厚板
とした。得られた厚板からサンプルを切り出し、検鏡法
により介在物の形態および組成を走査型EPMAおよび
エネルギー分散型X線分析装置により調査するととも
に、耐HIC評価試験に供した。耐HIC評価試験は以
下に示すNACE条件で行った。
SZ2202に規定の4号試験片あるいはサブサイズ4
号試験片を採取した。これらの試験片の電縫溶接部にV
ノッチを入れたものを用い、溶接部靱性をJISZ22
42に規定のシャルピー衝撃試験に準じて測定した溶接
部における破面遷移温度 vTrsで評価した。
ならびに耐HIC評価試験およびシャルピー試験の結果
を併せて示す。
鋼を処理して得られた本発明例鋼の場合、HICは全く
発生せず、溶接部靱性も良好であった。しかし、処理中
に本発明方法に従わない条件があるとHICが発生し、
耐HIC性および低温靱性が不良となった。
れた耐HIC鋼を得ることができる。
単独で、またはCa−Si合金粉とともにCaO-Al2O3 系
プリメルトフラックスを、それぞれ溶鋼に添加した場合
の製品鋼材の介在物中のCaS 濃度を示す図である。
である。
Claims (2)
- 【請求項1】鋼中に含まれるCaO-Al2O3-CaS 系介在物
が、重量%でCa0:60〜90%、CaS:10%以下および
残部はAl2O3 主体の組成を有するものであることを特徴
とする溶接部の低温靱性に優れた耐HIC鋼。 - 【請求項2】予め脱酸および脱硫処理された溶鋼をCa
処理する際にCaとともに、重量%でCa0:60〜95%
を含み、残部はAl2O3 主体のCaO-Al2O3 系プリメルトフ
ラックスを同時に添加することを特徴とする溶接部の低
温靱性に優れた耐HIC鋼の製造方法。
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JPH108196A JPH108196A (ja) | 1998-01-13 |
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Cited By (1)
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