JP4096632B2 - 溶鋼の減圧下脱硫方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばRH真空脱ガス装置のように浸漬管と真空槽とからなる真空脱ガス装置内の減圧下溶鋼表面にフラックスを吹き付けて、あるいはフラックスを吹き込んで脱硫を行う溶鋼の減圧下脱硫方法に関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
近年の要求鋼材特性の高まりにより、応力腐食割れや溶接不良の原因となる鋼中S濃度のさらなる低減が求められている。鋼中S濃度の低減は主として、転炉出鋼後の溶鋼脱硫処理で行われるが、そのときの溶鋼脱硫はガス吹き込み攪拌や大気圧下での脱硫フラックス吹き込みによって行われてきた。しかし、これらの方法では溶鋼処理工程が煩雑化し、処理時間の延長や各種コストの悪化を招いていた。
【0003】
そこで、これらの脱硫処理を真空脱ガス処理に統合する処理方法が開発され、減圧下溶鋼表面にフラックスを吹き付け、あるいは吹き込むことにより脱硫を促進する技術が提案されてきた。
【0004】
例えば、特開5−171253号公報には、RH真空脱ガス槽内溶鋼にCaO を主成分としたCaF2を含むフラックスをRH真空脱ガス槽内溶鋼表面に吹き付ける技術が開示されている。これらの技術ではフラックスと溶鋼間の反応に着目し、より高い脱硫力を有するフラックスやその使用方法が提示されている。
【0005】
従って、従来技術では、より脱硫力を高めるためにフラックス中にCaF2を含有させることが必須であった。そのため、このCaF2により、フラックスコストの増加、耐火物損耗などの問題があった。
【0006】
さらに、これらの従来技術では取鍋スラグの作用が考慮されていないために、RH真空脱ガス装置で脱硫処理を実施した際に脱硫効果にばらつきが生じやすいという問題があった。
【0007】
そこで、スラグの作用を考慮した技術も提示された。例えば、特開平5−345910号公報には、取鍋スラグのCaO/(Al2O3+2.5×SiO2) を0.9 以上としてCaO を主成分とするフラックスを吹き付ける方法が示されている。この技術ではスラグ中CaO 濃度を増加させることで、スラグ中CaO 濃度が低い場合に生じる脱硫力低下を回避するのである。しかし、この技術ではスラグ中の高いCaO 濃度を前提とするため、CaO の多量添加が必須であり、その結果、CaO 原単位増加、スラグ量増加といった問題を生じる。また、かかる技術では脱硫促進には、CaO を増加させる以外に手法がないため、任意のCaO 濃度での脱硫促進も不可能である。このため、常時CaO 濃度を高めなければならず、製品コストの増加を招いていた。
【0008】
以上のように、従来の減圧下フラックス上吹き溶鋼脱硫法では、▲1▼CaF2を使用すること、▲2▼スラグ中CaO 濃度を増加させなければならないこと、の問題があり、各種コストの上昇を招いていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、CaF2使用量を低減し、スラグ中CaO 濃度が低濃度でも脱硫可能とし、さらに任意のCaO 濃度での脱硫促進を可能とする脱硫方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
一般に、脱硫反応では、スラグ中CaO/Al2O3 比が高い方が脱硫はより進行することが知られている。これは、従来の研究報告を基にした熱力学的検討から、CaO/Al2O3 比が高い方がスラグのサルファイドキャパシティが高く、加えてCaO/Al2O3 比が高い方がAl2O3 活量が低くなるため、Al脱酸溶鋼では酸素活量が低くなるためと説明される。
【0011】
一方、CaO/Al2O3 比が一定の条件で、脱硫反応を促進させるには、溶鋼の酸素活量を低減するしかない。酸素活量低減には、脱酸元素であるAl濃度を高めれば良いが、Al濃度は製品特性の都合で上限規格が存在するため、限界がある。
【0012】
また、Al濃度を増加させて酸素活量を低減するにはAl濃度を0.2 〜1%と著しく高める必要があり、Alコスト的にも限界がある。
Al以外で酸素活量を大幅に低減するには、10ppm 以下でもAl以上の脱酸力 (酸素活量低減能力)を有するCaを活用すればよい。しかし、減圧下上吹きでCaを用いると、Caの蒸発反応によりCa濃度が上昇せず、酸素活量低減が図れないという課題があった。
【0013】
この課題を解決するために、CaとCaO を混合して上吹きすることで、Ca活量を安定させ、酸素活量を低減することが可能と考えた。さらに、配合比は数%と微量でよい。
【0014】
このような考え方に基づき、CaとCaO を混合したCa配合CaO フラックスを用いることで減圧下粉体上吹きによる脱硫能力を著しく高めることに成功し、すでに特許出願を行った (特願平11-102672 号、特願平11-370516 号)。すなわち、一定のCaO/Al2O3 比の条件下であればこの技術で対応できる。しかし、スラグ中CaO/Al2O3 比が変化する場合、この技術では対応できない。
【0015】
そこでスラグ中CaO/Al2O3 比が変化する場合、CaO/Al2O3 に応じたCa配合比とすることで、最小のCa配合比あるいは最低のCaO/Al2O3 比での脱硫が可能となると考えた。また、この最適バランスにより、CaF2も全く使用しない脱硫も可能になると考えた。
【0016】
つまり、CaO/Al2O3 比が低下するに従い、その分だけ酸素活量をより低減しなければならない。逆にCaO/Al2O3 比が高ければ過剰に酸素活量を低減する必要はない。また、CaF2についてもCaO/Al2O3 比の場合と同様の考え方となり、CaF2が低ければ酸素活量を低減する必要がある。
【0017】
従って、減圧下で行う溶鋼のフラックス脱硫において、酸素活量増減に作用するCaとCaO/Al2O3 比の増減の関係を明らかにすれば、スラグ中CaO/Al2O3 比に応じた脱硫促進可能な最適Ca配合比が明確化されるとの着想を得た。
【0018】
以上のように、定性的に推測することは可能であるが、▲1▼Caが蒸発物質であること、▲2▼真空槽内で上吹またはインジェクションされるフラックスと大気圧下取鍋スラグとの脱硫に対する定量的影響が不明確であること、等の理由により予め理論的にこれらを定量的に予測することは困難である。
【0019】
そこで、250t溶鋼の脱硫処理を行う浸漬管および真空槽から成るRH真空脱ガス装置を使って上記調査を行った。溶鋼量は250tとし、スラグはSiO2濃度20%以下、MgO 濃度10%以下のCaO-Al2O3 系スラグとした。なお、RH真空脱ガス処理前のスラグ量は10〜15kg/tであった。溶鋼中のAl濃度は0.03〜0.08%、S濃度は15〜20ppm であった。
【0020】
転炉から取鍋へ溶鋼を出鋼し、取鍋をRH真空脱ガス装置へ移動した。浸漬管を取鍋溶鋼内に浸漬して行うRH真空脱ガス処理開始直後から、真空槽内溶鋼表面に上吹きランスから60%CaO-40%CaF2フラックス、または1〜5%のCaを混合したCaO フラックスをArガスと共に吹き付けた。
【0021】
フラックス量は3〜5kg/t、吹き付け速度は0.7kg/(t・min)とした。吹き付け処理前後の溶鋼中S濃度から、フラックス1kg/t当たりの脱硫率Rを(1) 式で定義し、脱硫能力を評価した。
【0022】
フラックス1kg/t当たりの脱硫率R[%/(kg/t)]=
[処理前S濃度(%) −処理後S濃度(%)]/ [処理前S濃度(%) ×フラックス量(kg/t)] ×100 ・・・(1)
図1に、吹き付け処理前のスラグ中CaO/Al2O3 比と(1) 式で算出したRとの関係をグラフで示す。
【0023】
図1の結果から分かるように、スラグ中CaO/Al2O3 比によらず、Caを1.5 〜5%配合することにより、CaF2=0のフラックスでも同一CaO/Al2O3 比であれば CaO−CaF2フラックスよりも高い脱硫力が得られる。一方、フラックスの種類によらず、スラグ中CaO/Al2O3 比の低下に伴い、各フラックスの脱硫力は低下する。この現象は前述した機構に基づくものである。
【0024】
ところで、従来から用いられているCaO-CaF2フラックスでは、CaO/Al2O3=1.5(CaO 飽和) で得られる脱硫率Rは7.7 [%/(kg/t)]である。つまり、CaO-CaF2ではCaO を最大に添加して得られる最大脱硫力はR=7.7 [%/(kg/t)]である。
【0025】
一方、Caを1%混合した試験では、CaO/Al2O3=1.48でR=10[%/(kg/t)]、Caを5%配合した試験では CaO/Al2O3=1.39でR=17[%/(kg/t)]と高い脱硫力が得られる。
【0026】
しかし、Ca配合比1%の場合、CaO/Al2O3 が0.8 程度まで低下してしまうとRは、CaO/Al2O3 =1. 5でのCaO-CaF2フラックス上吹きでのRよりも低くなってしまう。
【0027】
同一CaO/Al2O3 比ではCaを配合したフラックスの方が、CaO-CaF2よりも高い脱硫力を発揮するが、低CaO/Al2O3 では脱硫力が低下するため、Caを配合したCaO フラックスでも取鍋スラグ中CaO を高める必要がある。すなわち、Ca配合比を1%と固定した場合には、CaO 投入により、取鍋スラグ中CaO/Al2O3 比を高める必要がある。
【0028】
ところで、図1はCaO/Al2O3 比が低下してもCa配合比を増加すると、一定の脱硫力が得られることを同時に示している。従って、CaO を大量投入することなしに、CaO-CaF2よりも常に脱硫力を高めるにはスラグ中CaO/Al2O3 比に応じてCa配合比を変化させれば良いことが解る。そこで、CaO-CaF2で得られる最大R=7.7 [%/(kg/t)]に対し、各CaO/Al2O3 でR>10[%/(kg/t)]を確保できる最低Ca配合比の関係を図1より求めた。結果を図2に示す。
【0029】
その結果、最低Ca配合比は、下記式で記述されることが分かった。
最低Ca配合比=−6.4 ×(CaO/Al2O3比)+10
これは、CaO/Al2O3 比の低減に伴って低下するスラグのサルファイドキャパシティの悪化を、酸素活量低減で補う際にCaをより多量に必要とするという前述の機構により説明される。
【0030】
従って、安定した脱硫力を確保するには、
0.75≦CaO/Al2O3 ≦1.55:−6.4 ×(CaO/Al2O3)+10≦W
CaO/Al2O3:取鍋スラグ中CaO とAl2O3 の質量比
W:フラックス中Ca純分配合比 (質量%)
とする。ここに、フラックス中Ca純分配合比Wはフラックスに金属CaまたはCa合金として添加される全Ca分のフラックス全量に対する割合である。CaF2が添加されるときはCaF2のCa分は考えない。
【0031】
また、CaO/Al2O3 >1.55はCaO 飽和領域であり、スラグ液相部の組成はCaO 飽和濃度となる。
従って、CaO/Al2O3 >1.55では、上記不等式のCaO/Al2O3 =1.55のときの値0.08以上であればよい。同様に CaO/Al2O3<0.75の領域はアルミナ飽和となるので、上記不等式での CaO/Al2O3=0.75の代入値以上であればよい。よって、
CaO/Al2O3 <0.75:W>5.2 %
CaO/Al2O3 >1.55:W>0.08%
となる。
【0032】
また、Ca純分配合比Wが10%を超えて高いと効果が飽和したり、清浄度が悪化する場合もあるので、Wの上限は10%とする。
以上から、真空槽内減圧下溶鋼にフラックスを吹き付けて脱硫を行う処理において、フラックスが低CaF2混合比でまたはCaF2無添加で、かつ取鍋スラグが低CaO/Al2O3 比でも脱硫を促進させるには、フラックスをCaO と金属CaまたはCa合金の混合物とし、フラックス中Ca純分配合比Wが処理開始前取鍋スラグ中CaO/Al2O3 比を用いた次式を満足することが重要である。
【0033】
CaO/Al2O3 <0.75:10>W>5%
CaO/Al2O3 >1.55:10>W>0.1 %
0.75≦CaO/Al2O3 ≦1.55:−6.4 ×(CaO/Al2O3)+10≦W≦10
CaO/Al2O3:処理開始前取鍋スラグ中CaO とAl2O3 の質量比
W:フラックス中Ca純分配合比 (質量%)
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明を、転炉、RH真空脱ガス装置、連続鋳造機を用いて脱硫鋼を製造する場合を例に説明する。
【0035】
転炉から取鍋内へ溶鋼を出鋼した後、取鍋をRH真空脱ガス装置へ移動する。この出鋼の際、取鍋スラグ中CaO/Al2O3 比を増加させるためのCaO 投入は特に必要ない。所定のAl濃度に調整するためのAlを添加し、スラグ液相率が高くなる程度のCaO を添加すればよい。このとき、Al濃度狙い、転炉終了時の酸素濃度によってAl添加量と生成Al2O3 量が判定できるが、総スラグ量の目標値と液相率を確保するためのCaO 量だけを添加すればよい。
【0036】
スラグ量を最小とし、液相率を最大とするには、CaO/Al2O3 比が0.9 程度となるようにアルミナ生成量に対しCaO を添加すればよい。また、スラグの溶鋼表面被覆効果を高めたい場合は、CaO 投入量を増加させればよい。この操作で、スラグ中のCaO/Al2O3 比が把握できる。
【0037】
RH真空脱ガス処理では、処理開始直後から、フラックス上吹きを行い脱硫処理を開始してもよい。また、溶鋼昇温処理あるいは脱ガス、成分調整等の処理を行ってから脱硫処理を行ってもよい。ただし、スラグ中CaO/Al2O3 比とフラックス中Ca配合比は本発明の範囲を満足させることが重要である。
【0038】
フラックス上吹き量は、図1と処理前S濃度、目標処理後S濃度から求まるが、2kg/t以上8kg/t以下が望ましい。2kg/t未満であると脱硫量が少なく、8kg/tを超えて多いと、総スラグ量が増加してしまう。
【0039】
フラックス上吹き速度は0.05kg/t/min以上、2kg/t/min以下が望ましい。0.05kg/t/min未満であると総処理時間が長くなりすぎ、2kg/t/minを越えて高いとCaO によるスプラッシュが激しくなる。
【0040】
上吹きに用いるランスは、ラバール、ストレートなどいかなるタイプでも構わないが、ランス高さは1.5m以上、4m 以下が望ましい。ランス高さが1.5m未満であると地金付着が激しく、4m を越えて高いとフラックスの一部が排気されてしまう場合がある。
【0041】
フラックスに混合するCaは、金属Ca、Ca合金などいかなるものでもよい。また、上吹き時の真空槽内圧力は100Torr 以下が望ましく、さらには10Torr以下が望ましい。真空槽内圧力が100Torr よりも高い場合、ランスから吐出したフラックスの速度が遅く、溶鋼に十分侵入できない。また、10Torr以下となると脱ガスが進行するため、総処理時間の短縮が図れる。
【0042】
本発明ではフラックス中にCaF2を必要としないが、さらなる脱硫力向上、あるいはスラグ流動性確保を図るために、フラックス中にCaF2、MgO 、Al2O3 などを混合してもよい。ただし、CaF2、Al2O3 の質量配合比はそれぞれ30%以下、MgO は15%以下であることが望ましい。CaF2、Al2O3 がそれぞれ30%を超えて多くなると、CaO 量が少なくなりすぎ、一方、MgO が15%を越えて高くなると逆に流動性が低下する場合がある。
【0043】
以上のように、本発明において用いるフラックスは上吹きで高い性能を発揮するが、真空処理中の溶鋼への吹き込みでもよい。この場合も、真空槽内圧力、フラックス形態などは前述と同様である。
【0044】
以上の説明はRH真空脱ガス装置を使った場合について行ったが、すでにこれまでの説明から当業者には自明のようにDH真空脱ガス装置、タンク脱ガス装置等を使用する場合のように減圧溶鋼一般に本発明は適用可能である。
【0045】
【実施例】
本例では、転炉で脱炭脱硫した溶鋼250tを取鍋内に出鋼し、この取鍋を浸漬管および真空槽を備えたRH真空脱ガス装置に移動して浸漬管を取鍋溶鋼に浸漬して行う真空脱ガス処理に際して溶鋼脱硫を行った。
【0046】
まず、出鋼時にAlを添加し、溶鋼中Al濃度を0.07〜0.09%に調整した。CaO の添加量を変化させ、CaO/Al2O3 比を0.8 〜1.5 の範囲で変化させた。
RH真空脱ガス処理では処理開始後、真空槽内圧力が5Torr以下に安定したのを確認したのち、上吹きランスからフラックスを真空槽内溶鋼表面に6kg/t吹き付けた。吹き付け速度は1kg/t/minとし、キャリアーガスArの流量は4000Nl/minとした。ランス高さは3m であった。
【0047】
表1に、フラックス吹き付け前後のS濃度、脱硫率、フラックス吹き付け前のCaO/Al2O3 を示す。フラックスはCaSi配合CaO であり、表1にはCa純分配合比 (Ca配合比と表記) もあわせて示す。また、CaO-40%CaF2を用いた場合は、Ca純分配合比欄に0と記した。
【0048】
表1のNo.1〜17とNo.18 〜21、 24を比較するとCa配合によりCaO-CaF2以上の脱硫が得られることが解る。
さらに、No.1〜12とNo.13 〜17、22、23を比較すると、本発明に従いCa純分配合比を制御した方が、CaO/Al2O3 によらず安定して高い脱硫率が得られることが解る。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にあっては、CaF2使用量を低減し、安定して高い脱硫率で溶鋼の処理ができ、その実際上の意義が大きいことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スラグ中のCaO/Al2O3 比とフラックス1kg/t当たりの脱硫率の関係を示すグラフである。
【図2】スラグ中のCaO/Al2O3 比とフラックス中最低Ca配合比の関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 浸漬管と真空槽からなる真空脱ガス装置を用い、真空槽内減圧下溶鋼にフラックスを吹き付けまたは吹き込んで脱硫を行う処理において、
取鍋への出鋼の際にCaOを添加して処理開始前のスラグ中 CaO/Al 2 O 3 比を制御すると共に、
フラックスをCaOと金属CaまたはCa合金との混合物とし、該フラックスに金属CaまたはCa合金として添加される全Ca分の当該フラックス全量に対する割合であるフラックス中 Ca 純分配合比W( 質量% )が、前記処理開始前取鍋スラグ中CaO/Al2O3比を用いた次式を満足することを特徴とする溶鋼の脱硫方法。
CaO/Al2O3 <0.75:10>W>5.2 %
CaO/Al2O3 >1.55:10>W>0.08%
0.75≦CaO/Al2O3 ≦1.55:−6.4 ×(CaO/Al2O3)+10≦W≦10
CaO/Al2O3:処理開始前取鍋スラグ中CaOとAl2O3の質量比
W:フラックス中Ca純分配合比 (質量%) - 前記CaO添加に際して、Al濃度狙い及び転炉終了時の酸素濃度によってAl添加量及び生成Al 2 O 3 量を判定する請求項1記載の溶鋼の脱硫方法。
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JP2002157916A JP4096632B2 (ja) | 2002-05-30 | 2002-05-30 | 溶鋼の減圧下脱硫方法 |
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