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JP3975679B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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JP3975679B2 JP2001010144A JP2001010144A JP3975679B2 JP 3975679 B2 JP3975679 B2 JP 3975679B2 JP 2001010144 A JP2001010144 A JP 2001010144A JP 2001010144 A JP2001010144 A JP 2001010144A JP 3975679 B2 JP3975679 B2 JP 3975679B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機感光層を具備した潜像形成体上の潜像をトナーを用いて現像して画像を形成する画像形成方法及びトナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、電子写真方式の画像形成装置に用いられる潜像担持体としては有機光導電性物質を含有する有機感光体が最も広く用いられている。従来、有機感光体上で現像され転写工程を経て感光体上に残留したトナーはクリーニング器により回収され破棄されていたが、近年、経済性、環境安全性の面から回収されたトナーを搬送スクリュー等により、再び現像器中に戻して再度現像用トナーとして利用する、いわゆるトナーリサイクルシステムを採用した画像形成方法が注目されている。
【0003】
しかしながら、有機感光体は該感光体上に形成された静電潜像を顕像化したトナーとの接触エネルギーが大きく、搬送部材からのストレスで劣化したトナーが繰り返し使用されるトナーリサイクルシステムにおいてクリーニングに種々の問題を発生させがちである。
【0004】
又、電子写真方式の画像形成方法は、近年のデジタル技術の進展によりデジタル画像の形成が主流となっている。デジタル方式の画像形成方法は1200dpi(但し、dpiとは2.54cm当たりのドット数を表す。)等の画素の小さなドット画像を顕像化することを基本にしており、これらの小さなドット画像を忠実に再現する高画質技術が要求されている。
【0005】
この高画質技術の実現のために最も重要な技術の一つがトナーの製造方法に関する技術である。これまで電子写真画像の形成にはバインダ樹脂と顔料を混合、混練後に粉砕して得られるトナー粉体を分級して得られるトナーが主として用いられてきた。この様な製造工程を経て得られたトナーは、トナー粒子の粒度分布を均一化するのに限界があり、トナー粒子の粒度分布、及び形状の均一化が不十分である。この様なトナーを用いた電子写真画像では十分な高画質化は達成するのが困難である。
【0006】
一方、トナー粒子の粒度分布、及び形状の均一化を達成する手段としては、重合トナーを用いた電子写真用現像剤、或いは画像形成方法が提案されている。該重合トナーは、原料モノマーを水系で均一に分散した後に重合させトナーを製造することから、トナーの粒度分布及び形状が均一になる。
【0007】
ここで前記重合トナーを有機感光体を用いた画像形成装置に採用するとき、新たな技術課題が発生している。即ち、該重合トナーはトナー形状がモノマーを水系で分散し、重合した上で形成されるため、ほぼ球形の形状に作製される。すでに良く知られているように、球形形状の残留トナーは有機感光体表面との付着力が高く、クリーニング不良を起こしやすい。
【0008】
特に前記したクリーニング器を円筒状有機感光体の真上付近に配置した構成の画像形成装置に重合トナーを適用すると、画像にスジを生じない程度の微細なトナーのすり抜けが長期に亘り発生し、これらすり抜けたトナーが感光体にフィルミングして、高温高湿下で画像が流れる、いわゆる画像ボケの問題が発生する。
【0009】
このトナーフィルミングを防止する方策として、トナーに研磨性外部添加剤を添加する技術は公知である。
【0010】
研磨性外部添加剤は、感光体表面を研磨し、トナーや窒素酸化物、硝酸アンモニウムなどの放電生成物による感光体フィルミングを防止する効果があるが、特に有機感光体を使用するときには感光体減耗が速く、感光体寿命を早める問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、トナーの微粉(3.17μm以下)の成分をカットすると感光体減耗が少なくなることを見いだした。それは、感光体との付着力が強いトナー微粉成分がクリーニングブレード押接部に蓄積してトナーから遊離した外部添加剤を巻き込み、感光体を減耗させていたからである。しかし、トナーの微粉をカットするだけでは、感光体フィルミングの問題を解消できなかった。
【0012】
本発明は上記した事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、
▲1▼クリーニングブレードの摩耗が少なく、長期にわたりすり抜けが発生しない、▲2▼感光体の減耗が少なく、感光体の寿命を延ばす効果があり、トナーフィルミング発生がない、
▲3▼環境依存性少ない、
▲4▼トナー外部添加剤埋没によるハーフトーン均質性低下が少なく、安定した画像の得られる、
▲5▼細かい文字周辺のチリが少なく、判別が容易である、
画像形成方法及びトナーを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、本発明の目的は、下記構成の何れかを採ることにより達成されることがわかった。
【0014】
〔1〕 有機感光層を具備した潜像形成体上の潜像をトナーを用いて現像して画像を形成し、該画像を転写材に転写して後、潜像形成体像上の残留画像をクリーニングする工程を有する画像形成方法において、該クリーニングは基部をホルダーに支持された弾性ブレードの先端を潜像形成体に接触させて行い、該弾性ブレードのホルダーと潜像形成体のなす交差角φが90°未満であり、該トナーが個数基準で3.17μm以下の粒子を1.0〜7.0%含み、個数平均粒径が0.5〜5.0μmで円形度係数が0.950〜0.998である研磨性外部添加剤、及び脂肪酸金属塩を含有させたトナーであることを特徴とする画像形成方法。
【0015】
〔2〕 クリーニングされたトナーを現像工程に戻して再利用することを特徴とする〔1〕記載の画像形成方法。
【0016】
〔3〕 トナーが個数基準で3.17μm以下の粒子を1〜4.5%含み、個数平均粒径が0.5〜3.0μmである研磨性外部添加剤を含有することを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の画像形成方法。
【0017】
〔4〕 トナーが研磨性外部添加剤を0.02〜2.0質量部含有することを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載の画像形成方法。
【0018】
〔5〕 トナーが研磨性外部添加剤を0.04〜1.0質量部含有することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項記載の画像形成方法。
【0020】
〕 トナーの研磨性外部添加剤が有機微粒子の表面に、個数平均一次粒径が5〜100nmの無機微粒子を固着度20〜75%に固着した無機/有機複合微粒子であり、a)個数平均粒径が0.005〜0.015μmのシリカ、b)個数平均粒径が0.020〜0.080μmのシリカ、c)個数平均粒径が0.015〜0.070μmの酸化チタン、及びd)個数平均粒径が0.08〜0.2μmの酸化チタンを外部添加したトナーに個数平均粒径が0.5〜5.0μmの外部添加剤を含有することを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれか1項記載の画像形成方法。
【0021】
〕 トナーの研磨性外部添加剤がチタン酸ストロンチウムであることを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれか1項記載の画像形成方法。
【0022】
〕 トナーの表面に存在する外部添加剤について0.005〜0.025μm未満のものが65〜95個数%、0.025〜0.080μm未満のものが4〜35個数%、0.080〜0.500μmのものが0.3〜10個数%で付着あるいは固着したトナーに個数平均粒径が0.5〜5.0μmの研磨性外部添加剤を含有させたトナーを用いることを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれか1項記載の画像形成方法。
【0024】
〕 トナーは、形状係数の変動係数が16%以下であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であって、形状係数が1.0〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であるトナーを用いることを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれか1項記載の画像形成方法。
【0025】
10〕 トナーは、角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であって、形状係数が1.0〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であることを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれか1項記載の画像形成方法。
【0026】
11〕 トナーは、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子であることを特徴とする〔1〕〜〔10〕のいずれか1項記載の画像形成方法。
【0027】
12〕 トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおける最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーを用いることを特徴とする〔1〕〜〔11〕のいずれか1項記載の画像形成方法。
【0028】
13〕 トナーが少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られることを特徴とする〔1〕〜〔12〕のいずれか1項記載の画像形成方法。
【0029】
14〕 トナーが少なくとも樹脂粒子を水系媒体中で凝集、融着させて得られることを特徴とする〔1〕〜〔13〕のいずれか1項記載の画像形成方法。

【0046】
【発明の実施の形態】
トナーの個数基準の粒度分布
本発明のトナーは、個数基準の粒度分布で3.17μm以下の粒子を1.0〜7.0%以下含むものである。7.0%を超えるとブレード、感光体の摩耗が大きく、1.0%未満ではクリーニングブレードの振動が増加し、クリーニングをし切れないトナー、いわゆるトナーのすり抜けが発生しやすい傾向がある。さらに好ましくは1.0〜4.5%がよい。
【0047】
又、本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で4.5〜9μmであることが好ましく、更に好ましくは5〜8μmとされる。この粒径は、トナーの製造方法において、凝集剤(塩析剤)の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成を変えることによって制御することができる。
【0048】
個数平均粒径が4.5〜9μmであることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0049】
トナーの粒度分布の算出、個数平均粒径の測定は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザー、SLAD1000(島津製作所社製レーザー回折式粒径測定装置)等を用いて測定することができる。
【0050】
本発明においては、コールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機社製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。
【0051】
研磨性外部添加剤
研磨性外部添加剤とは、個数平均粒径が0.5〜5.0μmの金属酸化物、または金属で構成される無機粒子、または後述する無機/有機複合微粒子のことをいう。この粒径測定には、走査型電子顕微鏡で粒子200個の長径を測定し平均粒径として求める。
【0052】
本発明のトナーは、研磨性外部添加剤を0.02〜2.0質量部含有するのが好ましい。より好ましくは、0.04〜1.0質量部含有するのがよい。2.0質量部より多くては、ブレードの減耗量が増加し、クリーニング性が低下する。一方、0.02質量部より少なくては感光体へのトナーフィルミングを防止する効果が小さくなる。
【0053】
又、本発明の研磨性外部添加剤の円形度係数は、0.950〜0.998が好ましい。より好ましくは、0.980〜0.990である。
【0054】
円形度係数がこの範囲であることで、ブレードと感光体の摺動性が向上し、ブレードの微細な振動が減少することでトナーのすり抜けを防止することが出来る。0.998を超えると研磨性外部添加剤がクリーニング部に蓄積することなくすり抜けることもあり、0.950未満では感光体の減耗量が増加する。円形度係数の測定は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。
【0055】
無機/有機複合微粒子
本発明では、研磨剤粒子として無機/有機複合微粒子が好ましく用いられる。無機/有機複合微粒子は、形状が球形であり、表面は硬度の堅い無機微粉末であり、核部は比較的弾性のある有機微粒子を使用するため、感光体の摩耗を促進することなく、また感光体やクリーニングブレードに傷を発生することなく、安定したクリーニング性を発揮する。
【0056】
無機/有機複合微粒子を構成する無機微粒子の一次平均粒径は、クリーニング性、研磨性、耐フィルミング性を向上させる観点から、5〜100nmが好ましい。なお、無機微粒子の一次平均粒径は、走査型電子顕微鏡により観察して、画像解析により測定される個数基準の平均粒径をいう。
【0057】
無機微粒子の構成材料としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化銅、酸化テルル、酸化マンガン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化炭素等が用いられる。
【0058】
無機/有機複合微粒子を構成する有機微粒子は、アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−アクリル重合体等からなる樹脂粒子であることが好ましい。
【0059】
有機微粒子を構成するアクリル系重合体としては、アクリル酸もしくはアクリル酸エステル、メタクリル酸もしくはメタクリル酸エステルから選ばれる単量体を重合して得られる単独重合体あるいは共重合体である。かかるアクリル系重合体を得るために用いられるアクリル系単量体としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0060】
スチレン系単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等が挙げられる。
【0061】
上記スチレン系単量体の1種または2種以上からスチレン系重合体が得られるが、本発明においては、必要に応じてその他の単量体が1種または2種以上共重合されたものであってもよい。この場合には、単量体組成物においてスチレン系単量体を50質量%以上の割合で用いることが好ましい。
【0062】
有機微粒子を構成するスチレン−アクリル系共重合体は、上記アクリル系単量体の1種または2種以上と上記スチレン系単量体の1種または2種以上とにより得られるが、必要に応じてその他の単量体が1種または2種以上共重合されたものであってもよい。この場合には、単量体組成物において、アクリル系単量体およびスチレン系単量体の合計が50質量%以上の割合で用いることが好ましい。前記その他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体、酢酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン等のビニルケトン類、ブタジエン、イソプレン等のジエン類、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸類、その他が挙げられる。
【0063】
無機/有機複合微粒子を構成する有機微粒子の平均粒径は、クリーニング性の向上、摩擦帯電性の安定性の観点から0.1〜4.5μmが好ましく、特に0.2〜3.0μmが好ましい。なお、有機微粒子の平均粒径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパテック(SYMPATEC)社製)により測定される体積基準の平均粒径をいう。ただし、測定前に、有機微粒子数10mgを界面活性剤と共に水50mlに分散させ、その後超音波ホモジナイザー(出力150W)で発熱による再凝集に注意しながら1〜10分間分散させる前処理を行った。
【0064】
無機/有機複合微粒子は、有機微粒子の表面に、上記特定処理化合物で処理された無機微粒子が固着されて構成される。ここで固着とは、無機微粒子が有機微粒子に単に静電気力により付着しているのではなくて、無機微粒子の有機微粒子中に埋め込まれた部分の長さが5〜95%である状態をいう。このような状態は、透過電子顕微鏡または通常の電子顕微鏡により無機/有機複合微粒子の表面を観察することにより確認することができる。無機微粒子を有機微粒子の表面に固着させるに際しては、まず有機微粒子を球形化し、その後に無機微粒子を有機微粒子の表面に固着させるのが好ましい。これは、有機微粒子が球形であると、無機微粒子が均一に固着されるようになって、無機微粒子の遊離が有効に防止されるからである。有機微粒子を球形化する手段としては、有機微粒子を熱によっていったん溶融し、その後噴霧造粒を行う方法、熱溶融した有機微粒子を水中にジェットで放出して球形化する方法、懸濁重合法あるいは乳化重合法によって球形の有機微粒子を合成する方法、等が挙げられる。
【0065】
有機微粒子の表面に無機微粒子を固着する手段としては、有機微粒子と無機微粒子とを混合し、その後に熱を加える方法、有機微粒子の表面に無機微粒子を機械的に固着するいわゆるメカノケミカル法等が用いられる。具体的には、有機微粒子と無機微粒子とを混合し、ヘンシェルミキサー、V型混合機、タービュラーミキサー等により撹拌混合を行い、有機微粒子の表面に静電気力により無機微粒子を付着させ、次いで表面に無機微粒子が付着した有機微粒子をニロアトマイザー、スプレードライヤー等の熱処理装置に導入し、熱を加えて有機微粒子の表面を軟化させて当該表面に無機微粒子を固着させる方法、有機微粒子の表面に静電気力により無機微粒子を付着させた後に、衝撃式粉砕機を改造した機械的エネルギーを付与することのできる装置、例えばオングミル、自由ミル、ハイブリダイザー等の装置を使用して有機微粒子の表面に無機微粒子を固着させる方法、等が用いられる。
【0066】
無機/有機複合微粒子を得るに際して、有機微粒子に対する無機微粒子の配合量は、有機微粒子の表面を均一に覆うことができる量であればよい。具体的には、無機微粒子の比重によって異なるが、有機微粒子に対して、通常5〜100質量%、好ましくは5〜80質量%の割合で無機微粒子を使用する。無機微粒子の割合が過小であるとクリーニング性が低下しやすく、逆に無機微粒子の割合が過大であると無機微粒子が遊離しやすくなる。
【0067】
無機/有機複合微粒子の固着率は、下記のごとくして求める。
(無機/有機複合微粒子のBET比表面積)/{(使用する無機粒子のBET比表面積)+(使用する有機粒子のBET比表面積)}×100
ここにおいてBET比表面積は自動比表面積測定装置 GEMINI 2375(島津製作所社製)によりBET一点法にて測定した。
【0068】
無機/有機複合微粒子以外の研磨性外部添加剤
本発明において、無機/有機複合微粒子以外の研磨性外部添加剤としては、例えばチタン酸カルシウム粉末、チタン酸バリウム粉末、チタン酸マグネシウム粉末、チタン酸ストロンチウム粉末、酸化セリウム粉末、酸化ジルコニウム粉末、酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末、炭化ホウ素粉末、炭化硅素粉末、酸化硅素粉末、ダイヤモンド粉末等があり、これらを単独もしくは混合して用いる。このうちチタン酸ストロンチウム粉末が特に良好に用いられる。
【0069】
外部添加剤の混合工程とは、乾燥処理されたトナー粒子に外部添加剤を添加する工程である。
【0070】
外部添加剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
【0071】
研磨性外部添加剤以外の外部添加剤
トナー表面に存在する外部添加剤は上記の研磨性外部添加剤の他に、シリカまたは酸化チタンが混在することが好ましい。必要に応じて、アルミナ、酸化錫、酸化鉄などを併用しても良い。
【0072】
特に良好なクリーニング性を得るために、個数平均粒径が異なる2種のシリカと、個数平均粒径が異なる2種の酸化チタンをそれぞれ外部添加することが好ましい。
【0073】
前記個数平均粒径が異なる2種のシリカと、個数平均粒径が異なる2種の酸化チタンは、a)個数平均粒径が0.005〜0.015μmのシリカ、b)個数平均粒径が0.020〜0.080μmのシリカ、c)個数平均粒径が0.015〜0.070μmの酸化チタン、及びd)個数平均粒径が0.08〜0.2μmの酸化チタンを外部添加したものが好ましい。
【0074】
シリカ核体の製造法
本発明に用いられるシリカは一般に、湿式法もしくは乾式法で生成されたものがあるが、特に乾式法(ケイ素化ハロゲン化合物の蒸気相酸化)により生成されたいわゆるヒュームドシリカと称されるものが流動性の面から好ましい。これは従来公知の技術によって製造されるものである。例えば四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
【0075】
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
又、この製造工程において例えば、塩化アルミニウム又は、塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、本発明におけるシリカ核体とはそれらも包含する。
【0076】
使用する小径シリカ
a)個数平均粒径が0.005〜0.015μmのシリカは、添加部数は(外部添加剤未添加の)トナー100質量部に対し0.1〜0.8質量部添加することが好ましい。
【0077】
市販のシリカ微粉体としては、例えば以下のような商品名で市販されているものがある。
【0078】
AEROSIL(日本アエロジル社)130、200、200V、200CF、200FAD、300、300CF、80、及びCab−O−Sil(CABOT社)M−5、MS−7D、MS−75D、H−5、HS−5、EH−5、及びWacker HDK(WACKER−CHFMIEGMBH社)N20、S13、V15、T30、T40がある。
【0079】
又、疎水化処理のされたシリカとしては以下のようなものがある。
HDK H 2000(クラリアント社)
HDK H 2000/4(クラリアント社)
HDK H 3004(クラリアント社)
HDK H 2050EP(クラリアント社)
HVK21(クラリアント社)
R972(日本アエロジル社)
R974(日本アエロジル社)
RX200(日本アエロジル社)
RY200(日本アエロジル社)
R202(日本アエロジル社)
R805(日本アエロジル社)
R812(日本アエロジル社)等。
【0080】
使用する大径シリカ
b)個数平均粒径が0.020〜0.080μmのシリカの添加部数は(外部添加剤未添加の)トナー100質量部に対し0.2〜1.2質量部添加することが好ましい。さらに好ましくは0.3〜0.8質量部である。
【0081】
市販のシリカ粉体としては、例えば以下のような商品名で市販されているものがある。
【0082】
AEROSIL(日本アエロジル社)OX50、AEROSIL50、TT600、MOX80、MOX170等。
【0083】
又、疎水化処理のされたシリカとしては以下のようなものがある。
TS630(キャボット社)
NA−50H(花王社)
RY−50(日本アエロジル社)
NY−50(日本アエロジル社)
NAX−50(日本アエロジル社)
RX−50(日本アエロジル社)
RM−50(日本アエロジル社)
チタン系外部添加剤
本発明で用いられる酸化チタン粒子としては、硫酸法と塩素法により製造されたものがあり、ルチル型、アナターゼ型、アモルファス等がある。
【0084】
チタンの結晶としては、ルチル、アナターゼ、ルチル、アナターゼの混晶、アモルファス、及びその混合型等があり、全てが使用可能である。しかし、流動性を確保し帯電の環境依存性を縮小する観点から、ルチル型酸化チタンとアナターゼ酸化チタンとの割合が質量比で2:98〜45:55の範囲にある酸化チタンが好ましく用いられる。また、前記含ルチル/アナターゼ混合酸化チタンの粒子表面を、アルミニウム、ケイ素、チタニウム、ジルコニウム及び錫のうちの一種又は二種以上を元素を含む層で被覆することが好ましい。すなわち、シランカップリング剤で処理する前の粒子表面を、前記所定の元素を含む層で被覆することが好ましい。
【0085】
シランカップリング剤処理を行う前に前記層を被覆するのは、帯電性と抵抗を調整するためである。前記元素の処理量は3〜20質量%が好ましい。3質量%未満では帯電を調整するという効果が得難く、20質量%を超えると粒子同士の合一化が起こるため好ましくないことがある。
【0086】
使用する小径酸化チタン
c)個数平均粒径が0.015〜0.070μmの酸化チタンの添加部数は(外部添加剤未添加の)トナー100質量部に対し0.1〜1.0質量部添加することが好ましい。さらに好ましくは0.2〜0.8質量部である。
【0087】
酸化チタン微粒子の具体例としては以下のようなものがある。P−25(デグッサ社製);IT−S、IT−PA、IT−PB(いずれも出光興産社製);R−820、R−830、R−680、CR−50、CR−60、A−100、A−220(いずれも石原産業社製);MT−100SA,MT−150W、MT−500B、MT−600B(いずれもテイカ社製)等。また、特に疎水化処理された酸化チタン微粒子の例としては以下のようなものがある。
【0088】
STT−30A(チタン工業社)
STT−30AS(チタン工業社)
STT−30S(チタン工業社)
T−805(日本アエロジル社)
TTO−51(石原産業社)
TAF−1500S(富士チタン工業社)
MT−100S(テイカ社)
MT−100T(テイカ社)等。
【0089】
使用する大径酸化チタン
d)個数平均粒径が0.08〜0.2μmの酸化チタンの添加部数は(外部添加剤未添加の)トナー100質量部に対し0.2〜1.2質量部添加することが好ましい。さらに好ましくは0.3〜1.0質量部である。
【0090】
市販の酸化チタン粒子としては、例えば以下のような商品名で市販されているものがある。
【0091】
TTO−51(A)(石原産業社)
TTO−51(B)(石原産業社)
TAF−620(富士チタン工業社)。
【0092】
また、特に疎水化処理された酸化チタン微粒子の例としては以下のようなものがある。
【0093】
STT−60J(チタン工業社)
JA−1(テイカ社製)
JA−3(テイカ社製)
JA−4(テイカ社製)
JA−5(テイカ社製)
TAF−520(富士チタン工業社)
TAF−520AS(富士チタン工業社)
TAF−520K(富士チタン工業社)。
【0094】
好ましく使用されるカップリング剤
親水性の微粒子をメチルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。以下に具体的なカップリング剤を示す。
【0095】
CH3(CH22SiCl3
CH3(CH25SiCl3
CH3(CH27SiCl3
CH3(CH29SiCl3
CH3(CH29Si(OCH33
CH3(CH29Si(CH3)Cl2
CH3(CH22Si(OCH33
CH3(CH22Si(CH3)(OCH32
CH3(CH25Si(OCH33
CH3(CH25CONH(CH22Si(OC253
CH3(CH24COO(CH22Si(OCH33
CH3(CH29Si(OCH33
CH3(CH29Si(CH3)(OCH32
CH3(CH27SO2NH(CH23Si(OC253
CH3(CH28(CH22Si(OCH33
CF3(CH22SiCl3
CF3(CF25SiCl3
CF3(CF25(CH22SiCl3
CF3(CF27(CH22SiCl3
CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33
CF3(CF27(CH22Si(CH3)Cl2
CF3(CH22Si(OCH33
CF3(CH22Si(CH3)(OCH32
CF3(CF23(CH22Si(OCH33
CF3(CF25CONH(CH22Si(OC253
CF3(CF24COO(CH22Si(OCH33
CF3(CF27(CH22Si(OCH33
CF3(CF27(CH22Si(CH3)(OCH32
CF3(CF27SO2NH(CH23Si(OC253
CF3(CF28(CH22Si(OCH33等。
【0096】
又、ポリシロキサン処理によって得ることもできる。
上記処理量はシリカあるいは、酸化チタン100質量%に対して、10〜100質量%であり、好ましくは20〜70質量%の範囲である。その処理量が10質量%未満の場合は疎水化の低いものしか得られないだけでなく、乾燥時に強固な固着を生じ分散が悪くなり、又、100質量%を超える場合は比表面積の低下幅が大きく好ましくない。
【0097】
流動性と帯電の耐環境依存性を高める観点から、シリカ粒子の疎水化度は、30〜100、特に好ましくは60〜95であり、酸化チタンの疎水化度は20〜90、特に好ましくは30〜70である。
【0098】
〈各種測定法〉
(1)比表面積
自動比表面積測定装置 GEMINI 2375(島津製作所製)によりBET一点法にて測定した。
(2)疎水化度
疎水性酸化チタン微粉末0.1gを水50mlに添加し、撹拌しながらメタノールを2ml/minの割合でマイクロチューブポンプにより水中に投入し、微粉末が沈降開始する時のメタノール濃度と完全に湿潤した時のメタノール濃度を求めた。
【0099】
外部添加剤の添加量としては、トナーに対して0.1〜5質量%であることが好ましい。
【0100】
本発明において、トナー表面に存在する外部添加剤が0.005〜0.025μm未満のものが65〜95個数%、0.025〜0.080μm未満のものが4〜35個数%、0.080〜0.500μmのものが0.3〜10個数%であるのが好ましい。
【0101】
トナー表面の外部添加剤粒子径は、電界効果型走査電子顕微鏡(JSM6400F、加速電圧5kV、倍率4万倍)で写真撮影し、画像解析装置により個数を計数した。
【0102】
0.005〜0.025μm未満の粒径で付着している外部添加剤は、高い流動性を得、帯電量分布を均一にする観点から65〜95個数%が好ましい。65個数%未満では、流動性が不足し、クリーニング不良、トナー顆粒発生などの問題を生じがちである。一方、95個数%より多いと、現像器内での長期撹拌、あるいはトナーリサイクルシステム採用時に外部添加剤が埋没しやすく、帯電量低下によるかぶりやクリーニング不良の原因になりやすく好ましくない。
【0103】
0.025〜0.080μm未満の粒径で付着している外部添加剤は、埋没防止機能と流動性付与機能を併せ持つ領域であり、4〜35個数%の割合で付着していることが好ましい。特に好ましくは、5〜20個数%である。
【0104】
4個数%未満では埋没防止機能が不足し、35個数%より大きいとトナーから一部の外部添加剤が離脱し、キャリアなどの摩擦帯電部材、あるいは感光体などの部材を汚染する問題が生じやすい。
【0105】
0.080〜0.500μmの粒径で付着している外部添加剤は、埋没防止機能に加え、転写性を向上させる効果を持つものであり、0.3〜10個数%の割合で付着していることが好ましい。特に好ましくは0.8〜5個数%である。0.3個数%未満では、前述の効果が現れず、10個数%より多いと一部の外部添加剤が離脱し、キャリアなどの摩擦帯電部材、あるいは感光体などの部材を汚染する問題が生じやすい。
【0106】
脂肪酸金属塩
本発明に外部添加剤として使用できる脂肪酸金属塩としては、好ましくは高級脂肪酸金属塩を挙げることができる。かかる高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸銅、オレイン酸マグネシウム等のオレイン酸金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム等のパルミチン酸金属塩;リノール酸亜鉛、リノール酸亜鉛等のリノール酸金属塩;リシノール酸亜鉛、リシノール酸リチウムなどのリシノール酸金属塩等が挙げられる。
【0107】
ブレード摩耗、感光体摩耗を防止する観点から脂肪酸酸カルシウム塩が特に好ましく用いられる。
【0108】
脂肪酸カルシウム塩の具体例としては、ウンデシル酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、トリデシル酸カルシウム、ドデシル酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、ペンタデシル酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸カルシウム、ヘプタデシル酸カルシウム、アラキン酸カルシウム、モンタン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、リノール酸カルシウム、アラキドン酸カルシウム、ベヘン酸カルシウムなどの長鎖脂肪酸カルシウムがあげられるが、ステアリン酸カルシウムが特に好ましい。脂肪酸成分は、単一または混合脂肪酸である。
【0109】
製造方法としては、▲1▼脂肪酸と酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを、生成する脂肪酸カルシウム塩の融点以上の温度で溶融反応させる溶融法、▲2▼脂肪酸と酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムのスラリーを、生成する脂肪酸カルシウム塩の融点以下で半溶融させる半溶融法、▲3▼脂肪酸ナトリウム塩の水溶液に無機金属塩の水溶液を加え、ナトリウムをカルシウムで置換する複分解法等いずれを用いてもよい。
【0110】
脂肪酸カルシウムの水分量、遊離脂肪酸量
脂肪酸カルシウムの水分量は、帯電の湿度安定性を高める観点から0.1〜2.5質量%が好ましく、0.3〜1.2%が特に好ましい。水分量が多いと、高温高湿下での画像ぼけが発生しやすい。
【0111】
遊離脂肪酸量は0.01〜0.7質量%が好ましく、0.05〜0.5%が特に好ましい。0.7質量%より多すぎては、キャリアや現像ロールなどの帯電部材を汚染する。少なすぎては、むしろブレード摩耗が増加する傾向がありクリーニングブレードの寿命を縮めることがある。
【0112】
ESCA測定機
本発明のトナーは、BET比表面積が1.3〜1.9m2/gであることが好ましい。特に好ましくは、1.4〜1.8m2/gである。
【0113】
又、ESCA測定した珪素原子の表面存在量が6〜12面積%、チタン元素の表面存在量が0.5〜4面積%、炭素原子の存在量が50〜75面積%であることが好ましい。BET比表面積が過小では流動性に乏しく、また過大では外部添加剤の埋没による帯電量変動が大きくなる傾向がある。また、ESCA測定した珪素原子の表面存在量が6〜12面積%、チタン元素の表面存在量が0.5〜4面積%、炭素原子の存在量が50〜75面積%の領域にあれば、高温高湿下での吸湿が少なく、低温低湿での帯電量上昇も少なく、安定した画像が得られる。
【0114】
ESCA測定は、島津製作所製ESCA−1000を用い、炭素、酸素、珪素、チタン原子の相対的な強度比から、それぞれの元素の占有する面積率を求めた。
【0115】
クリーニング条件
本発明におけるクリーニング機構の構成を図示して解説すべく、その代表例を示せば図1のごとくである。1は弾性ブレードでホルダー3にて保持された状態で潜像形成体2に、ある程度の当接圧をかけられた状態で接触している。図1では4が、その当接圧をかけるための部材である。
【0116】
潜像形成体2とは、電子写真方式では感光体であり、最も多くの場合ドラム状支持体の上に形成されている。図1では矢印がその進行方向である。又、6は弾性ブレードによりかき落とされた潜像形成体2上のトナーを、廃トナー搬送部5に導くためのガイド板である。なおこのガイド板6は薄く柔らかいので潜像形成体上に付着したトナーは一旦はその下をすり抜け、弾性ブレードでかき落とされる。又、7はクリーニング機構の外壁である。
【0117】
図2は弾性ブレード1により、潜像形成体2上のトナーがかき落とされる状況を示している。
【0118】
図3は弾性ブレード1のホルダー3と潜像形成体2のなす交差角φを説明する図である。即ち、交差角φが90°未満であるとは、ホルダーの弾性ブレードを支持している方向(Y−Y)へ延長線を延ばし、潜像形成体面に到達した箇所で潜像形成体面上に接線(X−X)を引いた場合、この接線と延長線のなす角度が90°未満であるという意味である。
【0119】
この角度が90°以上で十分なクリーニング性を確保しようとすると、後述する角のないトナー、即ち重合法により製造されたトナーは、ブレードをすり抜け、画像を汚染する問題がある。又、下限の角度としては、特に明らかなものはないが、クリーニング力という意味では15°以上であることが好ましい。さらに角度の好ましい範囲としては、20〜90°、さらに好ましくは25〜80°である。
【0120】
又、本発明に用いられる弾性ブレードの材質としては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等を用いることが出来る。特に中ではウレタンゴム系の材質が好ましく、とりわけ特開昭59−30574号公報記載の如き、30質量%以上のカプロラクトンエステル成分を含有し、平均分子量1000〜4000のポリカプロラクトンエステルとポリイソシアネートとを反応硬化せしめて得られるウレタンゴムが好ましい。
【0121】
なお、この平均分子量とは、ポリカプロラクトンエステルに無水酢酸及びピリジンよりなるアセチル化試薬を使用してアセチル化反応を行った際に生成する酢酸を中和する水酸化カリウム量から末端OH基を定量し、数平均分子量を算出したものである。
【0122】
なお、本発明で好ましく使用されるポリカプロラクトンエステルの一般式は下記で示すことができる。
【0123】
HO−〔−X1−〕m−R−〔−X2n−OH
ここにおいて、X1、X2はカプロラクトン環の開裂残基であって、お互いに同じでも異なっていてもよく、mとnの和は2〜35、m:n=3:1〜1:3となるような範囲である。RはX1、X2の連結基で炭素数が300以下の2価の有機基である。
【0124】
上記一般式で示される化合物の平均分子量は1000〜4000であり、カプロラクトンエステル成分の含有量は30質量%以上である。
【0125】
このポリカプロラクトンエステルを製造するためには、同種又は異種のカプロラクトン化合物2〜35モルに対して1モルの重合開始剤を加え、温度150〜300℃の条件で開環付加重合せしめて平均分子量1000〜4000のポリカプロラクトンエステルを得る。前記重合開始剤としては、例えば、−OH基、−NH2基又は−SH基等の活性水素を2個以上を有する有機化合物をあげることができる。
【0126】
前記一般式のカプロラクトン環開裂残基を形成するためのカプロラクトン化合物は、3〜7員環を有し、炭素数が6個の化合物であるが、ラクトン環を構成する炭素原子にさらにメチル基またはエチル基等の低級アルキル基が結合されたものも含まれる。
【0127】
具体例を下記に示す。
【0128】
【化1】
Figure 0003975679
【0129】
【化2】
Figure 0003975679
【0130】
又、前記一般式における連結基Rを形成するための重合開始剤としては、例えば下記の化合物例を挙げることが出来る。
【0131】
【化3】
Figure 0003975679
【0132】
【化4】
Figure 0003975679
【0133】
【化5】
Figure 0003975679
【0134】
尚、本発明に係わるクリーニングブレードに有利に用いられるポリカプロラクトンエステルの市販品として例えば下記商品名のもがある。
【0135】
「NIAXPCP 0240」(ユニオンカーバイト社製)
「CATA 220」(ラポルデ社製)
「ODX 640」(大日本インキ社製)
以上のポリカプロラクトンエステルは、硬化剤の存在下でポリイソシアネートと反応して本発明に係わるクリーニングブレードの材質であるウレタンゴムとなるが、ここにおいてポリイソシアネートとしては、例えば次のものを好適なものとして挙げることが出来る。
【0136】
【化6】
Figure 0003975679
【0137】
【化7】
Figure 0003975679
【0138】
【化8】
Figure 0003975679
【0139】
【化9】
Figure 0003975679
【0140】
【化10】
Figure 0003975679
【0141】
又、硬化剤の具体例としては、次のものを挙げることができる。
【0142】
【化11】
Figure 0003975679
【0143】
【化12】
Figure 0003975679
【0144】
以上のポリカプロラクトンエステル等から構成されるクリーニングブレードの製造方法としては、特に限定されるものでは無いが、例えば下記の様な方法を挙げることができる。
【0145】
すなわち、脱水処理を行ったポリカプロラクトンエステルとポリイソシアネートとを混合し、温度70〜150℃で10〜120分間反応させてウレタンプレポリマーを調製し、このウレタンプレポリマーに対してポリイソシアネートによるイソシアネート基のモル数と、ポリエステル及び硬化剤による水酸基及び/又はアミノ基のモル数との比が1.00〜1.30になるような割合で硬化剤を加えて液状のゴム組成物をつくり、このゴム組成物を例えば温度140℃に保温した遠心鋳造機に注入する。ついで高速に回転させた遠心力によりロータ内面に均一な厚さで延伸され、円筒状の膜を形成させる。その後、硬化剤による架橋反応が進行し、固化され、ウレタンゴムが形成される。
【0146】
本発明において弾性ブレードは、使用時の押圧力としては150〜250mN/cmがよく、物性的にはJIS K 6301によって測定された硬度60〜90°、引っ張り強さ2500N/cm2以上、反発弾性が200N/cm2以上のものがよい。好ましくは、引っ張り強さでは2500〜8000N/cm2、更に好ましくは3000〜6000N/cm2、反発弾性では200〜1000N/cm2、更に好ましくは300〜900N/cm2である。
【0147】
有機感光体
次に、本発明の有機感光体について記載する。
【0148】
本発明において、有機電子写真感光体(有機感光体)とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0149】
以下に本発明に用いられる有機感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
【0150】
本発明の円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真円度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0151】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0152】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/L、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/L、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0153】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることもできる。
【0154】
本発明においては導電性支持体と前記感光層との接着性改良、或いは該支持体からの電荷注入を防止するために、該支持体と前記感光層の間に中間層(下引層も含む)を設けることもできる。該中間層の材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、これら樹脂を用いた中間層の膜厚は0.01〜0.5μmが好ましい。
【0155】
又、本発明に最も好ましく用いられる中間層はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた中間層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた中間層の膜厚は、0.1〜2μmが好ましい。
【0156】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0157】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層:電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0158】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加を小さくすることができる。
【0159】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0160】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0161】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.25(eV)以下である。
【0162】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0163】
電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0164】
これらCTLのバインダーとして最も好ましいものはポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂はCTMの分散性、電子写真特性を良好にすることにおいて最も好ましい。バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部が好ましい。又、電荷輸送層の膜厚は10〜40μmが好ましい。
【0165】
保護層
感光体の保護層として、各種樹脂層を設けることができる。特に架橋系の樹脂層を設けることにより、本発明の機械的強度の強い有機感光体を得ることができる。
【0166】
本発明の中間層、感光層、保護層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0167】
次に本発明の有機電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお本発明の保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0168】
次に本発明に用いられるトナーについて記載する。
トナー製造法
本発明のトナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合、あるいはミニエマルジョン重合して微粒の樹脂粒子を調製し、本発明の荷電制御性樹脂粒子を添加し、その後に、有機溶媒、塩類などの凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を凝集、融着する方法で製造することができる。
【0169】
〈懸濁重合法〉
本発明のトナーを製造する方法の一例を示せば、重合性単量体中に荷電制御性樹脂を溶解させ、着色剤や必要に応じて離型剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、撹拌機構が後述の撹拌翼である反応装置(撹拌装置)へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製する。なお、本発明でいうところの「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0170】
〈乳化重合法〉
又、本発明のトナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で塩析、凝集、融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。
【0171】
すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上塩析、凝集、融着させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、撹拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時にアルコールなど水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0172】
〈多段重合法により得られる複合樹脂粒子〉
乳化重合法等によりトナーを作製する方法の代表例として、多段重合法により得られる複合樹脂粒子の例を示す。複合樹脂粒子の最外層以外の領域に離型剤が含有されているのが好ましい。
【0173】
トナーの製造工程は、主に、以下に示す工程より構成されている。
1:離型剤が最外層以外の領域(中心部または中間層)に含有されている複合樹脂粒子を得るための多段重合工程(I)
2:複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させてトナー粒子を得る塩析/融着工程(II)
3:トナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
4:洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、
5:乾燥処理されたトナー粒子に外部添加剤を添加する工程
から構成される。
【0174】
以下、各工程について、詳細に説明する。
〔多段重合工程(I)〕
多段重合工程(I)は、樹脂粒子の表面に、単量体の重合体からなる被覆層を形成する多段重合法により、複合樹脂粒子を製造する工程である。
【0175】
本発明においては、製造の安定性および得られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。
【0176】
以下に、多段重合法の代表例である二段重合法および三段重合法について説明する。
【0177】
〈二段重合法〉
二段重合法は、離型剤を含有する高分子量樹脂から形成される中心部(核)と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。
【0178】
この方法を具体的に説明すると、先ず、離型剤を単量体に溶解させて単量体溶液を調製し、この単量体溶液を水系媒体(例えば、界面活性剤水溶液)中に油滴分散させた後、この系を重合処理(第1段重合)することにより、離型剤を含む高分子量の樹脂粒子の分散液を調製する。
【0179】
次いで、この樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体Lとを添加し、樹脂粒子の存在下で単量体Lを重合処理(第2段重合)を行うことにより、樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層を形成する方法である。
【0180】
〈三段重合法〉
三段重合法は、高分子量樹脂から形成される中心部(核)、離型剤を含有する中間層及び低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。
【0181】
この方法を具体的に説明すると、先ず、常法に従った重合処理(第1段重合)により得られた樹脂粒子の分散液を、水系媒体(例えば、界面活性剤の水溶液)に添加するとともに、上記水系媒体中に、離型剤を単量体Mに溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(第2段重合)することにより、樹脂粒子(核粒子)の表面に、離型剤を含有する樹脂(単量体Mの重合体)からなる被覆層(中間層)を形成して、複合樹脂粒子(高分子量樹脂−中間分子量樹脂)の分散液を調製する。
【0182】
次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体Lとを添加し、複合樹脂粒子の存在下で単量体Lを重合処理(第3段重合)することにより、複合樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体Lの重合体)からなる被覆層を形成する。上記方法において、第2段重合を組み入れることにより、離型剤を微細かつ均一に分散することができ好ましい。
【0183】
本発明に係るトナーの製造方法においては、重合性単量体を水系媒体中で重合することが1つの特徴である。すなわち、離型剤を含有する樹脂粒子(核粒子)または被覆層(中間層)を形成する際に、離型剤を単量体に溶解させ、得られる単量体溶液を水系媒体中で油滴分散させ、この系に重合開始剤を添加して重合処理することにより、ラテックス粒子として得る方法である。
【0184】
本発明でいう水系媒体とは、水50〜100質量%と水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0185】
離型剤を含有する樹脂粒子または被覆層を形成するために好適な重合法としては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、離型剤を単量体に溶解した単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油滴内でラジカル重合させる方法(以下、本発明では「ミニエマルジョン法」という。)を挙げることができ、本発明の効果をより発揮することができ好ましい。なお、上記方法において、水溶性重合開始剤に代えて、あるいは水溶性重合開始剤と共に、油溶性重合開始剤を用いても良い。
【0186】
機械的に油滴を形成するミニエマルジョン法によれば、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解させた離型剤が脱離することがなく、形成される樹脂粒子または被覆層内に十分な量の離型剤を導入することができる。
【0187】
ここで、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速回転するローターを備えた撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム−テクニック社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは50〜1000nm、更に好ましくは30〜300nmである。
【0188】
なお、離型剤を含有する樹脂粒子または被覆層を形成するための他の重合法として、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの公知の方法を採用することもできる。また、これらの重合法は、複合樹脂粒子を構成する樹脂粒子(核粒子)または被覆層であって、離型剤を含有しないものを得るためにも採用することができる。
【0189】
この重合工程(I)で得られる複合樹脂粒子の粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定される質量平均粒径で10〜1000nmの範囲にあることが好ましい。
【0190】
また、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は48〜74℃の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは52〜64℃である。
【0191】
また、複合樹脂粒子の軟化点は95〜140℃の範囲にあることが好ましい。
〔塩析/融着工程(II)〕
この塩析/融着工程(II)は、前記多段重合工程(I)によって得られた複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる(塩析と融着とを同時に起こさせる)ことによって、不定形(非球形)のトナー粒子を得る工程である。
【0192】
本発明でいう塩析/融着とは、塩析(粒子の凝集)と融着(粒子間の界面消失)とが同時に起こること、または、塩析と融着とを同時に起こさせる行為をいう。塩析と融着とを同時に行わせるためには、複合樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(複合樹脂粒子、着色剤粒子)を凝集させる必要がある。
【0193】
この塩析/融着工程(II)では、複合樹脂粒子および着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子(数平均一次粒子径が10〜1000nm程度の微粒子)を塩析/融着させてもよい。また、着色剤粒子は、表面改質されていてもよく、表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0194】
着色剤粒子は、水性媒体中に分散された状態で塩析/融着処理が施される。着色剤粒子が分散される水性媒体は、臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で界面活性剤が溶解されている水溶液が好ましい。
【0195】
着色剤粒子の分散処理に使用する分散機は、特に限定されないが、好ましくは、高速回転するローターを備えた撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム−テクニック社製)、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、ゲッツマンミル、ダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0196】
複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させるためには、複合樹脂粒子および着色剤粒子が分散している分散液中に、臨界凝集濃度以上の塩析剤(凝集剤)を添加するとともに、この分散液を、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以上に加熱することが必要である。
【0197】
塩析/融着させるために好適な温度範囲としては、(Tg+10℃)〜(Tg+50℃)とされ、特に好ましくは(Tg+15℃)〜(Tg+40℃)とされる。また、融着を効果的に行なわせるために、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
【0198】
〔濾過・洗浄工程〕
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
【0199】
ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
【0200】
〔乾燥工程〕
この工程は、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理する工程である。
【0201】
この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
【0202】
乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。
【0203】
なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0204】
本発明のトナーは、着色剤の不存在下において複合樹脂粒子を形成し、当該複合樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を加え、当該複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させることにより調製されることが好ましい。
【0205】
このように、複合樹脂粒子の調製を着色剤の存在しない系で行うことにより、複合樹脂粒子を得るための重合反応が阻害されることない。このため、本発明のトナーによれば、優れた耐オフセット性が損なわれることはなく、トナーの蓄積による定着装置の汚染や画像汚れを発生させることはない。
【0206】
また、複合樹脂粒子を得るための重合反応が確実に行われる結果、得られるトナー粒子中に単量体やオリゴマーが残留するようなことはなく、当該トナーを使用する画像形成方法の熱定着工程において、異臭を発生させることはない。
【0207】
さらに、得られるトナー粒子の表面特性は均質であり、帯電量分布もシャープとなるため、鮮鋭性に優れた画像を長期にわたり形成することができる。このようなトナー粒子間における組成・分子量・表面特性が均質であるトナーによれば、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法において、画像支持体に対する良好な接着性(高い定着強度)を維持しながら、耐オフセット性および巻き付き防止特性の向上を図ることができ、適度の光沢を有する画像を得ることができる。
【0208】
次に、トナー製造工程で用いられる各構成因子について、詳細に説明する。
重合性単量体
本発明に用いられる樹脂(バインダー)を造るための重合性単量体としては、疎水性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体が用いられる。また、下記するごとく酸性極性基を有する単量体又は塩基性極性基を有するモノマーを少なくとも1種類含有するのが望ましい。
【0209】
(1)疎水性単量体
単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0210】
具体的には、モノビニル芳香族系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0211】
ビニル芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0212】
アクリル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0213】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0214】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0215】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0216】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0217】
(2)架橋性単量体
樹脂粒子の特性を改良するために架橋性単量体を添加しても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0218】
(3)酸性極性基を有する単量体
酸性極性基を有する単量体としては、(a)カルボキシル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物及び(b)スルホン基(−SO3H)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができる。
【0219】
(a)の−COO基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル、およびこれらのNa、Zn等の金属塩類等を挙げることができる。
【0220】
(b)の−SO3H基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としてはスルホン化スチレン、そのNa塩、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル、そのNa塩等を挙げることができる。
【0221】
(4)塩基性極性基を有するモノマー
塩基性極性基を有するモノマーとしては、(i)アミン基或いは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜12、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(ii)(メタ)アクリル酸アミド或いは随意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又はジ置換された(メタ)アクリル酸アミド、(iii)Nを環員として有する複素環基で置換されたビニール化合物及び(iv)N,N−ジアリル−アルキルアミン或いはその四級アンモニウム塩を例示することができる。中でも、(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが塩基性極性基を有するモノマーとして好ましい。
【0222】
(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、上記4化合物の四級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0223】
(ii)の(メタ)アクリル酸アミド或いはN上で随意モノ又はジアルキル置換された(メタ)アクリル酸アミドとしては、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド等を挙げることができる。
【0224】
(iii)のNを環員として有する複素環基で置換されたビニル化合物としては、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド等を挙げることができる。
【0225】
(iv)のN,N−ジアリル−アルキルアミンの例としては、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0226】
重合開始剤
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は、水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。更に、上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が達成でき好ましい。
【0227】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0228】
連鎖移動剤
分子量を調整することを目的として、公知の連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有する化合物が用いられる。特に、メルカプト基を有する化合物は、加熱定着時の臭気を抑制し、分子量分布がシャープであるトナーが得られ、保存性、定着強度、耐オフセット性に優れるため好ましく用いられ、好ましいものとしては、例えば、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのメルカプト基を有する化合物、ネオペンチルグリコールのメルカプト基を有する化合物、ペンタエリストールのメルカプト基を有する化合物を挙げることができる。このうち、トナー加熱定着時の臭気を抑制する観点で、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステルが、特に好ましい。
【0229】
界面活性剤
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好ましい。この際に使用することのできる界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
【0230】
イオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0231】
又、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
【0232】
本発明において、これら界面活性剤は、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または他の目的で使用してもよい。
【0233】
樹脂粒子、トナーの分子量分布
樹脂粒子の分子量は、100,000〜1,000,000の領域にピークもしくは肩を有する高分子量成分と、1,000から50,000未満の領域にピークもしくは肩を有する低分子量成分の両成分を少なくとも含有する樹脂が好ましい。さらに好ましくは、ピーク分子量で15,000〜100,000の部分にピーク又は肩を有する中間分子量体の樹脂を使用することが好ましい。
【0234】
トナーあるいは樹脂の分子量測定方法は、THF(テトラヒドロフラン)を溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定がよい。すなわち、測定試料0.5〜5mg、より具体的には1mgに対してTHFを1.0ml加え、室温にてマグネチックスターラーなどを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。ついで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1.0mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。
【0235】
例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSK guard columnの組合せなどを挙げることができる。又、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、あるいはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0236】
凝集剤
本発明で用いられる凝集剤は、金属塩の中から選択されるものが好ましい。
【0237】
金属塩としては、一価の金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属、例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、マンガン、銅等の二価の金属塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属塩等が挙げられる。
【0238】
これら金属塩の具体的な例を以下に示す。一価の金属の金属塩の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、二価の金属の金属塩として塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられる。三価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等が挙げられる。これらは、目的に応じて適宜選択される。一般的には一価の金属塩より二価の金属塩のほうが臨界凝集濃度(凝析値或いは凝析点)が小さく、更に三価の金属塩の臨界凝集濃度は小さい。
【0239】
本発明で言う臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こる点の濃度を示している。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著高分子化学17,601(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
【0240】
本発明では、金属塩を用いて臨界凝集濃度以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理する。この時、当然の事ながら、金属塩を直接加えるか、水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択される。水溶液として加える場合には、重合体粒子分散液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が重合体粒子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
【0241】
本発明における凝集剤たる金属塩の濃度は、臨界凝集濃度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
【0242】
着色粒子、トナーを作製するその他の方法
次に本発明の好ましい製造法の一例として樹脂、着色剤、離型剤の各原料を有機溶剤中に溶解あるいは分散して油相成分を形成する工程と、該油相成分を水性溶媒中で造粒する方法につき述べる。
【0243】
結着樹脂(バインダー樹脂)を可溶させる有機溶媒中に樹脂、荷電制御性樹脂、着色剤、離型剤を溶解または分散して油性成分を調製する工程と、該油性成分を水系媒体中に分散させた状態からトナーを造粒する工程とを有する静電潜像現像用トナーの製造方法である。
【0244】
結着樹脂を可溶化させる有機溶媒中に結着樹脂、着色剤、および離型剤を溶解・分散して油性成分を調製する工程とは、結着樹脂、荷電制御性樹脂、着色剤、および離型剤を結着樹脂を可溶化させる有機溶媒中に混合分散する工程である。
【0245】
結着樹脂を可溶化させる有機溶媒としては、一般の有機溶媒が用いられる。例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類があげられるが、この中でも、樹脂の溶解性、脱溶剤性の点で、酢酸エチル、メチルエチルケトン等が好ましい。また、これらは単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。
【0246】
油性成分を水性媒体中に分散させた状態からトナーを造粒する工程とは、前記工程で調製された油性成分を水性媒体中に分散させた状態から固化させて粒子を作製し、これを乾燥させてトナーを得る工程である。
【0247】
粒子作製方法としては、前記結着性樹脂、荷電制御性樹脂、着色剤、離型剤、その他の材料を溶媒に溶解分散させてなる溶液を、水系媒体中で懸濁分散し、その後前記溶媒を除去する方法、前記溶液に水性の貧溶媒を加えることにより粒子を析出させる方法、前記結着樹脂、荷電制御性樹脂、着色剤、離型剤、その他の材料を含む加熱溶融物を水系媒体中で溶融分散し、その後冷却して粒子を形成する方法、重合性単量体、着色剤、離型剤、その他の材料を含む混合液を水系媒体中で懸濁分散し、その後前記単量体を重合させる方法などが挙げられる。
【0248】
前記水性媒体としては、主として水が用いられるが、水溶性溶媒を混合しても構わない。さらに分散剤を添加することが粒径分布上好ましい。分散剤としては、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、シリカ、セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などが挙げられる。分散剤の量は、母液100質量部に対して、0〜20質量部が好ましい。
【0249】
粒子作製のための撹拌方法としては、剪断を加えることが望ましく、ホモジナイザー、コロイドミル、ディゾルバー、などが用いられる。
【0250】
乾燥には、通気乾燥装置、噴霧乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、流動層乾燥装置、伝熱加熱型乾燥装置、凍結乾燥装置などが知られており、いずれも用いることができる。
【0251】
着色剤
本発明のトナーは、上記の複合樹脂粒子と、着色剤粒子とを塩析/融着して得られる方法を含め、特に限定はなく公知の着色剤が広く用いられる。
【0252】
本発明のトナーを構成する着色剤(複合樹脂粒子との塩析/融着に供される着色剤粒子)としては、各種の無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0253】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0254】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0255】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0256】
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0257】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0258】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
【0259】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0260】
また、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
【0261】
これらの有機顔料及び染料は、所望に応じて、単独または複数を選択併用することが可能である。また、顔料の添加量は、重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0262】
本発明のトナーを構成する着色剤(着色剤粒子)は、表面改質されていてもよい。表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を好ましく用いることができる。
【0263】
シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。チタンカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S、238S等、日本曹達社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙げられる。アルミニウムカップリング剤としては、例えば、味の素社製の(プレンアクトAL−M)等が挙げられる。
【0264】
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5質量%とされる。
【0265】
着色剤粒子の表面改質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法を挙げることができる。
【0266】
表面改質された着色剤粒子は、濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された後、乾燥処理される。
【0267】
離型剤
本発明に使用されるトナーは、離型剤を内包した樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させたトナーであることが好ましい。この様に樹脂粒子中に離型剤を内包させた樹脂粒子を着色剤粒子と水系媒体中で塩析/融着させることで、微細に離型剤が分散されたトナーを得ることができる。
【0268】
本発明のトナーでは、離型剤として、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等が好ましく、特に好ましくは、下記式で表されるエステル系化合物である。
【0269】
1−(OCO−R2)n
式中、nは1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。R1、R2は、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。R1は、炭素数1〜40、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜5がよい。R2は、炭素数1〜40、好ましくは16〜30、さらに好ましくは18〜26がよい。
【0270】
次に代表的な化合物の例を以下に示す。
【0271】
【化13】
Figure 0003975679
【0272】
【化14】
Figure 0003975679
【0273】
上記化合物の添加量は、トナー全体に対し1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0274】
本発明のトナーでは、ミニエマルジョン重合法により樹脂粒子中に上記離型剤を内包させ、着色粒子とともに塩析、融着させて調製することが好ましい。
【0275】
トナーの好ましい形状の範囲
本発明のトナーの形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0276】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。本発明では、この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0277】
本発明のトナーとしては、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーであることが好ましい。
【0278】
相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の粒度分布の分散が狭くなるので、当該トナーを画像形成工程に用いることにより選択現像の発生を確実に抑制することができる。
【0279】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作成されたものである。
【0280】
〔測定条件〕
1:アパーチャー:100μm
2:サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて撹拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0281】
トナーについては、形状構成が下記のトナーを使用することで、トナー表面における外部添加剤の存在状が均一になり、帯電量分布がシャープになるとともに高い流動性が得られる。その結果、現像性、細線再現性に優れ、安定したクリーニング性をより長期にわたって形成することができる。
【0282】
さらに本発明者等は、個々のトナー粒子の微小な形状に着目して検討を行った結果、現像装置内部において、トナー粒子の角部分の形状が変化して丸くなり、その部分が外部添加剤の埋没を促進させ、帯電量の変化、流動性、クリーニング性を低下させていることが判明した。又、摩擦帯電によってトナー粒子に電荷を付与する場合には、特に角部分では外部添加剤が埋没しやすくなり、トナー粒子の帯電が不均一になりやすいと推定されるがこれをも有効に防止できる。
【0283】
即ち、本発明のトナーは、形状係数の変動係数が16%以下であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であって、形状係数が1.0〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であるトナーを用いることが好ましい。
【0284】
また、本発明のトナーは、角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であって、形状係数が1.0〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であることが好ましい。
【0285】
本発明のトナーは、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子であることが好ましい。
【0286】
さらに、本発明のトナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおける最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーを用いることが好ましい。
【0287】
現像剤
本発明のトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよい。
【0288】
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものがあげられ、いずれも使用することができる。
【0289】
また、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
【0290】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0291】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0292】
画像形成方法
次に、本発明の画像形成方法に用いれる画像形成装置について説明する。
【0293】
図4は本発明の画像形成装置の一例を示す断面構成図である。2は潜像形成体である感光体ドラムであり、アルミニウム製のドラム基体の外周面に感光体層である有機光導電体(OPC)を形成してなるもので矢印方向に所定の速度で回転する。
【0294】
図4において、図示しない原稿読み取り装置にて読み取った情報に基づき、半導体レーザ光源21から露光光が発せられる。これをポリゴンミラー22により、図4の紙面と垂直方向に振り分け、画像の歪みを補正するfθレンズ13を介して、感光体面上に照射され静電潜像を作る。潜像形成体である感光体ドラム2は、あらかじめ帯電器15により一様帯電され、像露光のタイミングにあわせて時計方向に回転を開始している。
【0295】
感光体ドラム面上の静電潜像は、現像器16により現像され、形成された現像像はタイミングを合わせて搬送されてきた転写紙18に転写器17の作用により転写される。さらに感光体ドラム2と転写紙18は分離器(分離極)19により分離されるが、現像像は転写紙18に転写担持されて、定着器10へと導かれ定着される。
【0296】
感光体面に残留した未転写のトナー等は、クリーニングブレード方式のクリーニング器11にて清掃され、帯電前露光(PCL)12にて残留電荷を除き、次の画像形成のため再び帯電器15により、一様帯電される。
【0297】
トナーリサイクルシステム
トナーリサイクルを行うための方式としては特に限定されるものでは無いが、例えば、クリーニング部で回収されたトナーを搬送コンベアあるいは搬送スクリューによって補給用トナーホッパー、現像器あるいは補給用トナーと中間室によって混合して現像器へ供給する方法等をあげることができる。好ましくは現像器へ直接戻す方式あるいは中間室にて補給用トナーとリサイクルトナーを混合して供給する方式をあげることができる。
【0298】
次に図5において、トナーのリサイクル部材斜視構成図の一例を挙げる。この方式は現像器へリサイクルトナーを直接戻す方式である。
【0299】
クリーニングブレード1で回収された未転写トナーはトナークリーニング器11内の搬送スクリュウによってトナーリサイクルパイプ24に集められ、更にこのリサイクルパイプの受け口25から現像器16に戻され、再び現像剤として使用される。
【0300】
図5は又、本発明の画像形成装置に着脱自在のプロセスカートリッジの斜視図でもある。この図5では斜視構造を判りやすくするため感光体ユニットと現像剤ユニットを分離した図面になっているが、これを全部一体化したユニットとして着脱自在に画像形成装置に搭載できる。この場合、感光体ドラム、現像器、クリーニング器及びリサイクル部材が一体となりプロセスカートリッジを構成している。
【0301】
又、上記画像形成装置は、感光体ドラムと、帯電器、現像器、クリーニング器あるいはリサイクル部材等の少なくとも一つを含むプロセスカートリッジを搭載する形態にすることもできる。
【0302】
次に、転写紙は代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に限定されず、OHP用のPETベース等も無論含まれる。
【0303】
又、前記したとおりクリーニングブレード1は、厚さ1〜30mm程度のゴム状弾性体を用い、材質としてはウレタンゴムが最も良く用いられる。これは感光体に圧接して用いられるため熱を伝え易く、本発明においては解除機構を設け、画像形成動作を行っていない時には感光体から離しておくのが望ましい。
【0304】
本発明は、電子写真法による画像形成装置、特にコンピュータ等からのデジタル画像データで変調した変調ビームにより感光体上に静電潜像を形成する装置に使用することもできる。
【0305】
近年、感光体ドラム上に静電潜像を形成し、この潜像を現像して可視画像を得る電子写真等の分野において、画質の改善、変換、編集等が容易で高品質の画像形成が可能なデジタル方式を採用した画像形成方法の研究開発が盛んになされている。
【0306】
この画像形成方法及び装置に採用されるコンピュータまたは複写原稿からのデジタル画像信号により光変調する走査光学系として、レーザ光学系に音響光学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調する装置、半導体レーザを用い、レーザ強度を直接変調する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電した感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成する。
【0307】
前述の走査光学系から照射されるビームは、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕円状の輝度分布となり、例えばレーザビームの場合、通常、感光体上で主走査方向あるいは副走査方向の一方あるいは両者が20〜100μmという極めて狭い丸状あるいは楕円状である。
【0308】
定着装置
本発明のトナーは、トナー像が形成された転写紙を、定着器を構成する加熱ローラーと加圧ローラーとの間に通過させて定着する工程を含む画像形成方法(本発明の画像形成方法)に好適に使用される。
【0309】
図6は、本発明のトナーを用いた画像形成方法において使用する定着器の一例を示す断面図であり、図1に示す定着器(定着装置)10は、加熱ローラー70と、これに当接する加圧ローラー72とを備えている。なお、図6において、Tは転写紙(画像形成支持体)18上に形成されたトナー像である。
【0310】
加熱ローラー70は、フッ素樹脂または弾性体からなる被覆層82が芯金81の表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材75を内包している。
【0311】
芯金81は金属から構成され、その内径は10〜70mmとされる。芯金81を構成する金属としては特に限定されるものではないが、例えば鉄、アルミニウム、銅等の金属あるいはこれらの合金を挙げることができる。
【0312】
芯金81の肉厚は0.1〜15mmとされ、省エネルギーの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定される。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
【0313】
被覆層82の表面層を構成するフッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などを例示することができる。
【0314】
フッ素樹脂からなる被覆層82の表面層の厚みは10〜500μmとされ、好ましくは15〜400μmとされる。
【0315】
フッ素樹脂からなる被覆層82の表面層の厚みが10μm未満であると、被覆層としての機能を十分に発揮することができず、定着器としての耐久性を確保することができない。一方、500μmを超えると、ローラの熱伝導性が低下してトナーの溶融が不十分となる。
【0316】
また、被覆層82を構成する弾性体としては、LTV、RTV、HTVなどの耐熱性の良好なシリコーンゴムおよびシリコーンスポンジゴムなどを用いることが好ましい。
【0317】
被覆層82を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは60°未満とされる。また、弾性体からなる被覆層82の厚みは0.1〜30mmとされ、好ましくは0.1〜20mmとされる。
【0318】
被覆層82を構成する弾性体のアスカーC硬度が80°を超える場合、および当該被覆層82の厚みが0.1mm未満である場合には、定着のニップを大きくすることができず、ソフト定着の効果(例えば、平滑化された界面のトナー層による色再現性の向上効果)を発揮することができない。
【0319】
加熱部材75としては、ハロゲンヒーターを好適に使用することができる。
加圧ローラー72は、弾性体からなる被覆層84が芯金83の表面に形成されてなる。被覆層84を構成する弾性体としては特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの各種軟質ゴムおよびスポンジゴムを挙げることができるが、被覆層82を構成するものとして例示したシリコーンゴムおよびシリコーンスポンジゴムを用いることが好ましい。
【0320】
被覆層84を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは70°未満、更に好ましくは60°未満とされる。また、被覆層84の厚みは0.1〜30mmとされ、好ましくは0.1〜20mmとされる。
【0321】
被覆層84を構成する弾性体のアスカーC硬度が80°を超える場合、および被覆層84の厚みが0.1mm未満である場合には、定着のニップを大きくすることができず、ソフト定着の効果を発揮することができない。
【0322】
芯金83を構成する材料としては特に限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、銅などの金属またはそれらの合金を挙げることができる。
【0323】
加熱ローラー70と加圧ローラー72との当接荷重(総荷重)としては、通常40〜350Nとされ、好ましくは50〜300N、さらに好ましくは50〜250Nとされる。この当接荷重は、加熱ローラー10の強度(芯金75の肉厚)を考慮して規定され、例えば0.3mmの鉄よりなる芯金を有する加熱ローラーにあっては、250N以下とすることが好ましい。
【0324】
また、耐オフセット性および定着性の観点から、ニップ幅としては4〜10mmであることが好ましく、当該ニップの面圧は0.6×105〜1.5×105Paであることが好ましい。
【0325】
図6に示した定着装置による定着条件の一例を示せば、定着温度(加熱ローラー70の表面温度)が150〜210℃とされ、定着線速が80〜640mm/secとされる。
【0326】
本発明において使用する定着装置には、必要に応じてクリーニング機構を付与してもよい。この場合には、シリコーンオイルを定着部の上ローラー(加熱ローラー)に供給する方式として、シリコーンオイルを含浸したパッド、ローラー、ウェッブ等で供給し、クリーニングする方法が使用できる。
【0327】
シリコーンオイルとしては耐熱性の高いものが使用され、ポリジメチルシリコーン、ポリフェニルメチルシリコーン、ポリジフェニルシリコーン等が使用される。粘度の低いものは使用時に流出量が大きくなることから、20℃における粘度が1〜100Pa・sのものが好適に使用される。
【0328】
但し、本発明による効果は、シリコーンオイルを供給しない、または、シリコーンオイルの供給量がきわめて低い定着装置により、画像を形成する工程を含む場合に特に顕著に発揮される。従って、シリコーンオイルを供給する場合であっても、その供給量はA4用紙1枚当たり2mg以下とすることが好ましい。
【0329】
シリコーンオイルの供給量をA4用紙1枚当たり2mg以下とすることにより、定着後の転写紙(画像支持体)に対するシリコーンオイルの付着量が少なくなり、転写紙へ付着したシリコーンオイルによるボールペン等の油性ペンの記入しずらさがなく、加筆性が損なわれることはない。
【0330】
また、シリコーンオイルの変質による耐オフセット性の経時的な低下、シリコーンオイルによる光学系や帯電極の汚染などの問題を回避することができる。
【0331】
ここに、シリコーンオイルの供給量は、所定温度に加熱した定着装置(ローラー間)に転写紙(A4サイズの白紙)を連続して100枚通過させ、通紙前後における定着装置の質量変化(Δw)を測定して算出される(Δw/100)。
【0332】
【実施例】
次に、本発明の態様と効果を実施例にて示すが、本発明の範囲は無論これにより限定されるものではない。尚、文中「部」とは「質量部」を表す。
【0333】
研磨性外部添加剤
〈無機/有機複合微粒子作製例1〉
平均粒子径1.2μmのスチレン/アクリル有機微粒子(ガラス転移点95℃)100gに対して一次粒子径が30nmの表面を酸化スズ処理した酸化チタン粒(商品名ET−300W 石原産業社製)を40g添加し、40分間タービュラミキサにて混合したのち、振動ミルで60分間混合した。ついで、粉体表面改質装置ハイブリダイザ(奈良機械製作所社製)にて周速80m/sec、90℃の条件で3分間処理して有機微粒子表面に酸化チタンが固着された無機/有機複合微粒子を作製した。これを「無機/有機複合微粒子1」とする。
【0334】
無機/有機複合微粒子の円形度係数は0.985、固着率は53.4%であった。
【0335】
〈無機/有機複合微粒子2〜4及び比較用無機/有機複合微粒子1〜2の作製例〉
無機/有機複合微粒子作製例1において、スチレン/アクリル有機微粒子の粒径、ガラス転移点、ハイブリダイザの温度、周速、処理時間を適宜に選択し、表1に示す無機/有機複合微粒子2〜4及び比較用無機/有機複合微粒子1〜2を作製した。
【0336】
【表1】
Figure 0003975679
【0337】
〈金属酸化物〉
炭酸ストロンチウム600gと酸化チタン320gをボールミルにて、8時間湿式混合した後濾過乾燥した。この混合物を50N/cm2の力を掛けて成型し、1100℃の温度で8時間仮焼した。
【0338】
その後機械粉砕し、個数平均粒径0.7μm、円形度係数0.954のチタン酸ストロンチウム粉体を得た。
【0339】
疎水性シリカの調製例
疎水性シリカa1
一次粒子径0.007μmのヒュームドシリカ(100質量部を高速ミキサーを有する容器に入れ、窒素雰囲気中で8500rpmで撹拌しながら、ジメチルジクロロシラン20質量部を噴霧し、更に5分間撹拌を続けた後、得られたパウダーリキッドを窒素気流下で200℃で3時間還流撹拌を行なった。その後、常温まで冷却し、疎水性シリカa1を得た。
【0340】
疎水性シリカa2
疎水性シリカa1の調製例において一次粒子径0.007μmのヒュームドシリカの代わりに一次粒子径0.012μmのヒュームドシリカをジメチルジクロロシランの代わりにオクチルトリメトキシシランを使用した以外は、疎水性シリカa1と同様にして疎水性シリカa2を得た。
【0341】
疎水性シリカa3
疎水性シリカa1の調製例において一次粒子径0.007μmのヒュームドシリカの代わりに一次粒子径0.016μmのヒュームドシリカを使用した以外は、疎水性シリカa1と同様にして疎水性シリカa3を得た。
【0342】
疎水性シリカb1
疎水性シリカa1の調製例において一次粒子径0.007μmのヒュームドシリカの代わりに一次粒子径0.033μmのヒュームドシリカをジメチルジクロロシランの代わりにオクチルトリメトキシシランを使用した以外は、疎水性シリカa1と同様にして疎水性シリカb1を得た。
【0343】
疎水性シリカb2
疎水性シリカa1の調製例において一次粒子径0.007μmのヒュームドシリカの代わりに一次粒子径0.030μmのヒュームドシリカをジメチルジクロロシランの代わりにヘキサメチルジシラザンを使用した以外は、疎水性シリカa1と同様にして疎水性シリカb2を得た。
【0344】
疎水性シリカb3
疎水性シリカa1の調製例において一次粒子径0.007μmのヒュームドシリカの代わりに一次粒子径0.070μmのヒュームドシリカをジメチルジクロロシランの代わりにジメチルシリコーンオイルを使用した以外は、疎水性シリカa1と同様にして疎水性シリカb3を得た。
【0345】
疎水性酸化チタンの調製例
疎水性酸化チタンc1
マグネチックスターラーとトラップとを備えた丸底フラスコで110℃、24時間乾燥された5部の酸化チタン(個数平均粒径0.030μmのアナターゼ型酸化チタン)に、150部の脱水トルエンと1.5部のノルマルブチルトリメトキシシランを加え、更に緩衝剤として酢酸を0.5部加えた。得られた懸濁液を50〜60℃で7時間還流させ、室温に冷却し、その後、吸引濾過した。
【0346】
続いて濾物をトルエンで洗浄し、110℃で4時間乾燥を行なった。その後、吸引濾過し、今度はエタノールで吸引濾過し、110℃で4時間乾燥し、メノー乳鉢で粉砕し、白色粉末状物質を得た。得られた白色粉末状物質を疎水性酸化チタンc1とする。
【0347】
疎水性酸化チタンc2
酸化チタンc1の製造において、個数平均粒径0.030μmのアナターゼ型酸化チタンの代わりに個数平均粒径0.021μmの酸化チタン(ルチル、アナターゼ比率10:90)を、ノルマルブチルトリメトキシシランの代わりにイソブチルトリメトキシシランを使用した以外は同様にして疎水性酸化チタンc2を得た。
【0348】
疎水性酸化チタンd1
酸化チタンc1の製造において、個数平均粒径0.030μmのアナターゼ型酸化チタンの代わりに個数平均粒径0.092μmの酸化チタン(ルチル、アナターゼ比率60:40)を、ノルマルブチルトリメトキシシランの代わりにオクチルトリメトキシシランを使用した以外は同様にして疎水性大粒径酸化チタンd1を得た。
【0349】
疎水性酸化チタンd2
酸化チタンc1の製造において、個数平均粒径0.030μmのアナターゼ型酸化チタンの代わりに個数平均粒径0.112μmのルチル型酸化チタンを、ノルマルブチルトリメトキシシランの代わりにヘキシルトリメトキシシランを使用した以外は同様にして疎水性大粒径酸化チタンd2を得た。
【0350】
疎水性シリカa1〜a3,b1〜b3,疎水性チタンc1〜c3,d1〜d3の物性を表2に示す。
【0351】
【表2】
Figure 0003975679
【0352】
脂肪酸金属塩の製造例
ステアリン酸カルシウム
まず、固形分濃度12.6質量%、BET比表面積10m2/gの石灰乳スラリーを準備した。この石灰乳スラリーを、ダイノーミル(シンマーエンタープライゼズ社製;KDL−pilot型)で湿式磨砕し、BET比表面積が20m2/g、沈降体積80ml/60分の石灰乳スラリーとした。この石灰乳スラリーを固形分濃度40%になるように脱水した。
【0353】
一方、容量3リットルのニーダー中に100℃に加熱溶融したステアリン酸(中和価197)570gを用意し、この溶融したステアリン酸に準備した固形分濃度40%の石灰乳222gと水97.6gを添加した。この配合割合は、換算すると、高級脂肪酸/Ca(OH)2/水(モル比)=2/1.2/12.8である。この状態で5〜30分間混合し、ステアリン酸と水酸化カルシウムの反応を終了させた。
【0354】
反応終了物を100℃で減圧乾燥し、カルシウム石鹸を得た。得られたカルシウム石鹸をIR分析したところ、1700cm-1のカルボキシル基のピークが、1600cm-1のカルボキシレートのピークに変化しており、ステアリン酸カルシウムが形成されていることが確認された。
【0355】
トナー用樹脂粒子の製造例
(ラテックス:1HML)
(1)核粒子の調製(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤(ドデシルスルフォン酸ナトリウム:SDS)7.08gをイオン交換水3010gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
【0356】
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。これを「ラテックス(1H)」とする。
【0357】
(2)中間層の形成(第2段重合)
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸6.4g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル5.6gからなる単量体混合液に、前記化13、14において19)で表される化合物(以下、「例示化合物(19)」という。)72.0gを添加し、80℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
【0358】
一方、アニオン系界面活性剤(SDS)1.6gをイオン交換水2700mlに溶解させた界面活性剤溶液を80℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記ラテックス(1H)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム−テクニック社製)により、前記例示化合物(19)の単量体溶液を混合分散させ、均一な分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調製した。
【0359】
次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240mlに溶解させた開始剤溶液と、イオン交換水750mlとを添加し、この系を80℃にて3時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「ラテックス(1HM)」とする。
【0360】
(3)外層の形成(第3段重合)
上記のようにして得られたラテックス(1HM)に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。
【0361】
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却しラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、前記中間層に例示化合物(19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(1HML)」とする。
【0362】
このラテックス(1HML)を構成する複合樹脂粒子は、138,000、80,000および13,000にピーク分子量を有するものであり、また、この複合樹脂粒子の個数平均粒径は102nmであった。
【0363】
〔着色粒子1〜5、及び比較用着色粒子1〜2〕
n−ドデシル硫酸ナトリウム57.0gをイオン交換水1700mlに撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330」(キャボット社製)420.0gを徐々に添加し、次いで、「クレアミックス」(エム−テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液」という。)を調製した。この着色剤分散液における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、重量平均粒子径で112nmであった。
【0364】
トナー用樹脂粒子の製造例で得られたラテックス(1HML)420.7g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、着色剤分散液166gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置、粒径および形状のモニタリング装置を取り付けた反応容器(撹拌板2段で、その交差角αは25°)に入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。
【0365】
次いで、塩化マグネシウム6水和物12.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を6〜10分間かけて90±3℃まで昇温した(昇温速度:10℃/分)。
【0366】
その状態で、「コールターカウンターTA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、体積平均粒径が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム80.4gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成処理として液温度85±2℃にて0.5〜15時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させた。その後、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した会合粒子をヌッチェを用いて濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、フラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させ、離型剤(例示化合物(19))を含有する着色粒子を得た。
【0367】
前記塩析/融着段階および形状制御工程のモニタリングにおいて、撹拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整して、表3に示す形状特性および粒度分布特性からなる着色粒子1〜5、及び比較用着色粒子1〜2を得た。
【0368】
【表3】
Figure 0003975679
【0369】
以上のようにして得られた着色粒子1〜5、及び比較用着色粒子1〜2に、研磨性外部添加剤、疎水性シリカa1〜a3,b1〜b3,疎水性チタンc1〜c2,d1〜d2を表4及び表5に示す割合で添加し、10リットルのヘンシェルミキサーを回転翼の周速を40m/sに設定し10分間混合した。なお、これらの着色粒子について、外部添加剤の添加によっては、その形状および粒径は変化しない。
【0370】
【表4】
Figure 0003975679
【0371】
【表5】
Figure 0003975679
【0372】
尚、これらトナーには、何れも脂肪酸金属塩としてのステアリン酸カルシウム0.05部を添加した。
【0373】
トナー表面に存在する外部添加剤粒子の計数結果を表6に示す。
【0374】
【表6】
Figure 0003975679
【0375】
キャリアの製造
フェライト芯材粒子の製造
MnOを22mol%、Fe23を78mol%を、湿式ボールミルで2時間粉砕、混合し乾燥させた後に、900℃で2時間保持することにより仮焼成し、これをボールミルで3時間粉砕しスラリー化した。分散剤及びバインダーを添加し、スプレードライヤーにより造粒、乾燥し、その後1200℃、3時間本焼成を行い、抵抗4.3×108のフェライト芯材粒子を得た。
【0376】
被覆用樹脂の製造
まず、界面活性剤として炭素数12のアルキル基を有するベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた水溶液媒体中の濃度を0.3質量%とした乳化重合法により、シクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体を合成し、体積平均一次粒径0.1μm、重量平均分子量(Mw)200,000、数平均分子量(Mn)91,000、Mw/Mn=2.2、軟化点温度(Tsp)230℃及びガラス転移温度(Tg)110℃樹脂微粒子を得た。なお、前記樹脂微粒子は、乳化状態において、水と共沸し、残存モノマー量を510ppmとした。
【0377】
次に、フェライト芯材粒子100質量部と、前記樹脂微粒子2質量部とを、撹拌羽根付き高速撹拌混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して、機械的衝撃力の作用を使用して体積平均粒径61μmの樹脂被覆キャリアを得た。
【0378】
現像剤の製造
外部添加剤が添加された着色粒子の各々と、キャリアとを混合し、トナー濃度が6質量%の現像剤を調製した。
【0379】
感光体の製造
ポリアミド樹脂アミランCM−8000(東レ社製)30gをメタノール900ml、1−ブタノール100mlの混合溶媒中に投入し50℃で加熱溶解した。この液を外径60mm、長さ360mmの円筒状アルミニウム導電性支持体上に塗布し、0.5μm厚の中間層を形成した。
【0380】
次に、シリコーン樹脂KR−5240(信越化学社製)10gを酢酸t−ブチル1000mlに溶解し、これにチタニルフタロシアニン:Y−TiOPc(特開昭64−17066号公報記載、図1)10gを混入しサンドミルを用いて20時間分散し、電荷発生層塗工液を得た。この液を用いて、前記中間層上に塗布し、0.3μm厚の電荷発生層を形成した。
【0381】
次に、CTM(T−1:N−(4−メチルフェニル)−N−{4−(β−フェニルスチリル)フェニル}−p−トルイジン)150gと粘度平均分子量2万のポリカーボネート樹脂ユーピロンZ−200(三菱ガス化学社製)200gを1、2−ジクロロエタン1000mlに溶解し、電荷輸送層塗工液を得た。この液を用いて、前記電荷発生層上に円形スライドホッパーにて塗布を行った後、100℃で1時間乾燥し、22μm厚の電荷輸送層を形成した。このようにして中間層、電荷発生層、電荷輸送層からなる感光体(P1)を得た。
【0382】
ついで、感光体試料(P1)の表面に、CTM(T−1)30gと粘度平均分子量8万のポリカーボネート樹脂ユーピロンZ−800(三菱ガス化学社製)ポリカーボネート樹脂50gを1,2−ジクロロエタン1000mlに溶解した塗工液を用いて、前記電荷輸送層上に円形スライドホッパーにて塗布を行った後、100℃で1時間乾燥し、5μm厚のオーバーコート層を形成し、感光体(P2)を得た。
【0383】
〈実施例1〜10および比較例1、2〉
トナーリサイクルシステムを搭載した市販のデジタル複写機Konica Sitios 7020に感光体(P2)を搭載した改造機(弾性ブレードによるクリーニング方式で、ホルダーと潜像形成体との交差角φが25°)に、高温高湿環境下(温度33℃、相対湿度80%)において画素率8%の画像を連続して30万枚形成する実写テストを行った後、画像濃度の環境依存性、ハーフトーンの均一性、微細ドットのチリ、文字つぶれ、かぶりについて評価した。
【0384】
トナーリサイクルシステムにおいて高温高湿環境下、低画素率の画像を連続印字することは外部添加剤埋没が促進されるため下記の項目に対して厳しい条件となる。
【0385】
ブレード摩耗量
10万枚印字後、クリーニングブレードをクリーニング装置より取り外し、レーザー顕微鏡で摩耗により消失した部分を測長した。減耗量20μm以内であれば、問題ないレベルである。
【0386】
すり抜け
画像白地部にクリーニング装置から感光体上にトナーがすり抜け、画像汚れとして検知された枚数で評価した。
【0387】
画像ぼけ
画像全面に文字サイズ5ポイントの文字画像を形成し、局所的に画像がぼける、もしくはトナーが画像周辺に滲む部分が検知されるまでの枚数にて評価した。
【0388】
感光体減耗量
実写前の感光体外径と実写後の感光体外径の差より感光体の減耗量を算出した。
【0389】
感光体の寿命
露光量を最大にしたときのカブリ濃度(転写紙に対する非画像部の相対濃度)が0.01を超えた時点の枚数で評価した。カブリ濃度はデンシトメーターPDA−65(コニカ社製)で測定した。
【0390】
感光体のトナーフィルミング
1万枚印字毎に、感光体表面を肉眼で観察して評価した。
【0391】
画像濃度の環境依存性
マクベス反射濃度計にてソリッド画像部の最高画像濃度を測定した。高温高湿環境(33℃、80%RH)と低温低湿環境(10℃、20%RH)の画像濃度の差が0.05未満を「◎」、0.05〜0.1を「○」、0.1を超えるものを「×」とした。
【0392】
ハーフトーンの均一性
ハーフトーンの均一性は目視にて判断し、ハーフトーン画像の均一性を評価した。ランクを下記として評価した。
【0393】
ランクA:ムラの無い均一な画像
ランクB:スジ状の薄いムラが存在
ランクC:スジ状の薄いムラが数本存在
ランクD:スジ状のはっきりしたムラが数本以上存在
微細ドットのチリ
画像全面に10%網点画像を形成し、ルーペにてドット周辺のチリを観察した。チリがほとんど検知できないモノを「◎」、微かにチリがあるが、注視しなければ気づかない程度を「○」、チリが容易に検知できるものを「×」とした。
【0394】
総合的な性能としては、「◎」が最もよく「△」までは、一応実用可能範囲にあると判断される。しかし、「×」は、実用化には問題がある。
【0395】
結果を表7に示す。
【0396】
【表7】
Figure 0003975679
【0397】
本発明内の実施例1〜10は、何れも実用範囲内にあるのに対し、本発明外の比較例1,2は実用上問題のあることがわかる。
【0398】
【発明の効果】
本発明により、
▲1▼クリーニングブレードの摩耗が少なく、長期にわたりすり抜けが発生しない、
▲2▼感光体の減耗が少なく、感光体の寿命を延ばす効果があり、トナーフィルミング発生がない、
▲3▼環境依存性少ない、
▲4▼トナー外部添加剤埋没によるハーフトーン均質性低下が少なく、安定した画像の得られる、
▲5▼細かい文字周辺のチリが少なく、判別が容易である、
画像形成方法及びトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるクリーニング機構の構成図。
【図2】弾性ブレードにより、潜像形成体2上のトナーがかき落とされる状況を示す図。
【図3】本発明の交差角φを説明する図。
【図4】本発明の画像形成方法に用いれる画像形成装置の一例を示す断面構成図。
【図5】トナーのリサイクル部材斜視構成図。
【図6】本発明の画像形成方法において使用する定着器の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1 弾性ブレード
2 潜像形成体(感光体ドラム)
3 ホルダー
4 当接圧をかけるための部材
5 廃トナー搬送部
6 ガイド板
11 半導体レーザ光源
12 帯電前露光(PCL)
13 fθレンズ
16 現像器
17 転写器
18 転写紙
φ 交差角

Claims (14)

  1. 有機感光層を具備した潜像形成体上の潜像をトナーを用いて現像して画像を形成し、該画像を転写材に転写して後、潜像形成体像上の残留画像をクリーニングする工程を有する画像形成方法において、該クリーニングは基部をホルダーに支持された弾性ブレードの先端を潜像形成体に接触させて行い、該弾性ブレードのホルダーと潜像形成体のなす交差角φが90°未満であり、該トナーが個数基準で3.17μm以下の粒子を1.0〜7.0%含み、個数平均粒径が0.5〜5.0μmで円形度係数が0.950〜0.998である研磨性外部添加剤、及び脂肪酸金属塩を含有させたトナーであることを特徴とする画像形成方法。
  2. クリーニングされたトナーを現像工程に戻して再利用することを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
  3. トナーが個数基準で3.17μm以下の粒子を1〜4.5%含み、個数平均粒径が0.5〜3.0μmである研磨性外部添加剤を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成方法。
  4. トナーが研磨性外部添加剤を0.02〜2.0質量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の画像形成方法。
  5. トナーが研磨性外部添加剤を0.04〜1.0質量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の画像形成方法。
  6. トナーの研磨性外部添加剤が有機微粒子の表面に、個数平均一次粒径が5〜100nmの無機微粒子を固着度20〜75%に固着した無機/有機複合微粒子であり、a)個数平均粒径が0.005〜0.015μmのシリカ、b)個数平均粒径が0.020〜0.080μmのシリカ、c)個数平均粒径が0.015〜0.070μmの酸化チタン、及びd)個数平均粒径が0.08〜0.2μmの酸化チタンを外部添加したトナーに個数平均粒径が0.5〜5.0μmの外部添加剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の画像形成方法。
  7. トナーの研磨性外部添加剤がチタン酸ストロンチウムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の画像形成方法。
  8. トナーの表面に存在する外部添加剤について0.005〜0.025μm未満のものが65〜95個数%、0.025〜0.080μm未満のものが4〜35個数%、0.080〜0.500μmのものが0.3〜10個数%で付着あるいは固着したトナーに個数平均粒径が0.5〜5.0μmの研磨性外部添加剤を含有させたトナーを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の画像形成方法。
  9. トナーは、形状係数の変動係数が16%以下であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であって、形状係数が1.0〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であるトナーを用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の画像形成方法。
  10. トナーは、角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であって、形状係数が1.0〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の画像形成方法。
  11. トナーは、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の画像形成方法。
  12. トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおける最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーを用いることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の画像形成方法。
  13. トナーが少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得ら れることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載の画像形成方法。
  14. トナーが少なくとも樹脂粒子を水系媒体中で凝集、融着させて得られることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載の画像形成方法。
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