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JP3974325B2 - 電磁式カップリングのシール構造 - Google Patents

電磁式カップリングのシール構造 Download PDF

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JP3974325B2
JP3974325B2 JP2000398879A JP2000398879A JP3974325B2 JP 3974325 B2 JP3974325 B2 JP 3974325B2 JP 2000398879 A JP2000398879 A JP 2000398879A JP 2000398879 A JP2000398879 A JP 2000398879A JP 3974325 B2 JP3974325 B2 JP 3974325B2
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功 広田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、4輪駆動車のプロペラシャフト等の回転軸間に配置された電磁式カップリングのシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−213164号公報に図3のようなカップリング501(駆動力伝達装置)が記載されている。
【0003】
このカップリング501は、4輪駆動車の後輪側動力伝達系に配置されており、後輪側の連結と切り離し、及び、後輪側に伝達される駆動力の制御を行う。
【0004】
カップリング501は、回転ケース503、インナーシャフト505、多板式のメインクラッチ507、プレッシャプレート509、アーマチャ511、中間のカム部材513、第1のカム515、第2のカム517、ばね519、電磁石521、コントローラなどから構成されている。
【0005】
回転ケース503とインナーシャフト505は相対回転自在に配置されており、インナーシャフト505は回転ケース503の内側に配置されている。
【0006】
回転ケース503はトランスファ側のプロペラシャフト523に連結されている。また、インナーシャフト505はリヤデフ側のプロペラシャフト525にスプライン連結されており、プロペラシャフト525を介してリヤデフ(エンジンの駆動力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装置)側に連結されている。
【0007】
プレッシャプレート509とアーマチャ511は、回転ケース503の内周にそれぞれスプライン連結されている。
【0008】
また、中間カム部材513はこれらのプレッシャプレート509とアーマチャ511の間に、相対回転可能に配置されている。
【0009】
第1のカム515は、アーマチャ511と中間カム部材513の間に設けられており、中間カム部材513の外周に設けられたカム溝527と、カム溝527に係合するローラ529とで構成されている。
【0010】
カム溝527は周方向等間隔に設けられており、軸方向に対して傾斜している。また、ローラ529はアーマチャ511に回転自在に支持されている。
【0011】
第2のカム517はボールカムであり、プレッシャプレート509と中間カム部材513との間に設けられている。
【0012】
ばね519は、アーマチャ511と中間カム部材513の間に配置されており、中間カム部材513を第2のカム517側に押圧してガタを吸収し、カム517のレスポンスを向上させている。
【0013】
また、ばね519は、電磁石521の励磁が停止されたとき、アーマチャ511を回転方向の中立位置に戻し、中間カム部材513を軸方向の中立位置に戻すことにより、無用のトルクが発生することを防止している。
【0014】
回転ケース503には磁路部材のロータ531が連結されており、電磁石521のコア533は、このロータ531に設けられた凹部535に、適度なエアギャップを介して配置されている。
【0015】
また、コア533の外周とロータ531の間にはシール537が配置されており、コア533の内周とインナーシャフト505の間にはシール539が配置されている。これらのシール537,539は回転ケース503からのオイル漏れを防止し、外部からの水や塵の侵入を防止している。
【0016】
ロータ531には、アーマチャ511と接触する接触面541が設けられており、アーマチャ511とこの接触面541との間にエアギャップ543が形成されている。
【0017】
コントローラは、電磁石521の励磁、励磁電流の制御、励磁停止などを行う。
【0018】
電磁石521が励磁されると、エアギャップ543を含む磁路に磁力ループ545が形成され、アーマチャ511が吸引される。
【0019】
アーマチャ511が吸引されるとローラ529が移動し、中間カム部材513のカム溝527を押圧して第1のカム515が作動し、そのカム力によって中間カム部材513が回転する。
【0020】
中間カム部材513が回転すると、第2のカム517が作動し、そのカムスラスト力によりプレッシャプレート509を介してメインクラッチ507を押圧し、締結させる。
【0021】
このように、電磁石521がアーマチャ511を吸引すると、そのパイロット機能により、第1カム515が作動して第2カム517を作動させ、カップリング501が連結される。
【0022】
カップリング501が連結されると、エンジンの駆動力が後輪に送られて車両は4輪駆動状態になり、悪路の走破性や、車体の安定性が向上する。
【0023】
また、電磁石521の励磁電流を制御すると、第1カム515のカム力が変化して第2カム517の押圧力が変わり、メインクラッチ507の滑りによって後輪に伝達される駆動力が調整される。このようにして、前後輪間の駆動力配分比を制御すると、例えば、旋回走行中の車両の操縦性や安定性などが向上する。
【0024】
電磁石521の励磁を停止すると、ばね519の付勢力によってアーマチャ511(ローラ529)が元の位置に戻り、第1カム515のカム力が消失し、次に、第2カム517のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ507が開放されてカップリング501の連結が解除され、車両は2輪駆動状態になる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
カップリング501は、プロペラシャフト523,525の間に配置されており、外部に露出している。
【0026】
このように外部に露出していると、走行中に飛来する石などの異物やオフロードで遭遇する段差部や凸部が、カップリング501と衝突する恐れがある。
【0027】
従って、回転ケース503は、このような衝突に耐えるだけの強度が必要であり、それだけ肉厚で大径になり、重くなる。
【0028】
また、充分な強度が必要であるから、回転ケース503をアルミニューム合金などで作り、軽量化することは困難である。
【0029】
また、カップリング501が外部に露出していると、電磁石521のコア533とロータ531とのエアギャップに水や塵のような異物が侵入することがあり、塵の噛み込み、水分の凍結、錆の発生などによってロータ531(回転ケース503)の性能変動を生じる恐れがあり、このようなことを防止するためにシール537,539が必要である。
【0030】
しかし、これらのシール537,539は回転部材であるロータ531(プロペラシャフト523)及びインナーシャフト505(プロペラシャフト525)と静止側部材であるコア533との間に配置されている上に、プロペラシャフト523,525は高速で回転するから、これらのシール537,539がシール型のベアリングであっても、あるいは、摺動型のリップシールであっても、耐久性が低下し易く、特に、コア533との摺動速度が速い大径のシール537はこの問題が大きい。
【0031】
シール537,539のシール性が低下すると、上記のような異物の侵入による問題が生じる。
【0032】
また、異物の侵入を防止するために、カップリング501の必要な個所毎にカバーを設け、これらの間にグリースやオイルを封入する方法があるが、この場合、シール個所が増えて構造が複雑になる上に、グリースやオイルの交換が必要であり、整備性が悪い。
【0033】
そこで、この発明は、プロペラシャフト等の回転軸間に配置された電磁式カップリングを飛石や障害物などとの衝突及び異物の侵入から保護すると共に、そのシール性が長期にわたって高く保持される電磁式カップリングのシール構造の提供を目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された電磁式カップリングのシール構造は、原動機の駆動力を車輪側に伝達する回転軸間に配置された電磁式カップリングのシール構造であって、この電磁式カップリングの全体を覆うカバーを設け、前記電磁式カップリングが、可撓性の支持部材とベアリングとを介して車体に支承されており、前記カバーが、この可撓性支持部材に固定されていることを特徴とする。
【0035】
このように、請求項1に記載された電磁式カップリングのシール構造では、電磁式カップリングの全体を覆うカバーを設けたことによって、プロペラシャフト等の回転軸間に配置されていても、電磁式カップリングは、走行中に飛来する石などの異物や、走行中に遭遇する段差部や凸部との衝突から保護される。
【0036】
従って、電磁式カップリングの外側のケーシングは、駆動力を伝達するために必要な強度以上の強度が不要になるから、例えば、このケーシングをアルミニューム合金のような軽金属合金製にすると共に、その肉厚を薄くすることによって小径化し、電磁式カップリングを軽量化することが可能になる。
【0037】
このようなケーシングの小径化と軽量化とによって、電磁式カップリングは慣性が小さくなり、回転アンバランスと、これに起因する振動がそれだけ小さくなる。
【0038】
さらに、電磁式カップリングの慣性が小さくなったことによって原動機の燃費が向上する。
【0039】
また、ケーシングを非磁性材料であるアルミニウム合金にした場合には、磁力発生時におけるケーシング側への磁束の漏れを大幅に低減することができ、従って、電磁石の小型化、磁力の強化を図ることができる。
【0040】
また、カバーが電磁式カップリングの全体を覆う大きさであるから、カバーと電磁式カップリングの間に形成される空間の容積がそれだけ大きくなり、熱の籠もりと温度上昇による影響が緩和される。
【0042】
また、カバーが可撓性の支持部材に固定されており、電磁式カップリングと一体的に揺動するから、例えば、走行中に車輪のサスペンションスプリングが撓み、あるいは、回転軸からのスラスト力などを受けることにより、電磁式カップリングの位置が車体に対して変化しても、カバーと電磁式カップリングとの隙間が変化することはない。
【0043】
従って、電磁式カップリングの外側のケーシングとカバーとの干渉が生じないから、これらの間隔(クリアランス)を小さくすることが可能になり、カバーをそれだけ小径にできる。
【0044】
カバーを小径にすれば、車体や周辺部材との干渉が起こりにくくなって、レイアウトが容易になると共に、ロードクリアランス(最低地上高)が大きくなって、走行中に段差部や凸部などとの干渉が生じにくくなる。
【0045】
請求項2の発明は、請求項1に記載された電磁式カップリングのシール構造であって、カバーの内部を密封するシール手段を設けたことを特徴としており、請求項1の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0046】
また、シール手段によってカバーの内部を密封するこの構成では、電磁石521のコア533とロータ531とのエアギャップに水や塵などが侵入する従来例と異なり、塵の噛み込み、水分の凍結、錆の発生などによってロータ(回転ケース)の性能変動が防止され、機能が正常に保たれる。
【0047】
また、異物の侵入を防止するために、電磁式カップリングの必要な個所毎にカバーを設け、これらの間にグリースやオイルを封入する方法を採る必要がなくなるから、これに伴う構造の複雑化が防止されると共に、グリースやオイルの交換が不要になり、整備性の低下が避けられる。
【0048】
また、カバーによって電磁式カップリング全体のシールを行うから、上記のように、必要な個所のそれぞれにシール手段を設ける構成と較べて、シール構造が極めて簡単になり、低コストになる。
【0049】
また、上記のように、カバーが電磁式カップリングの全体を覆う大きさであり、従って、シールされた空間の容積が大きいから、熱の籠もりと、温度上昇による影響が大幅に軽減される。
【0050】
請求項3の発明は、請求項2に記載された電磁式カップリングのシール構造であって、電磁式カップリングの一側と他側の各回転部材のうち、一側の回転部材が支持部材とベアリングとを介して車体に支承されており、この支承側では、カバーと支持部材との間に第1のシール手段が設けられ、また、支持部材と一側回転部材との間に第2のシール手段が設けられており、他側では、カバーと他側回転部材との間に第3のシール手段が設けられていることを特徴としている。
【0051】
この構成は、電磁式カップリングが片持ち支持されており、この支持側では、カバーと支持部材との間に設けられた第1のシール手段と、支持部材と一側回転部材との間に設けられた第2のシール手段とによってシールが行われ、他側では、カバーと他側回転部材との間に設けられた第3のシール手段によってシールが行われることによってカバーの内部が密封されており、請求項3の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0052】
また、カバーと支持部材との間に設けられた第1のシール手段は、摺動を伴わないから充分な耐久性が得られ、第2と第3のシール手段は、電磁式カップリングの一側回転部材と他側回転部材の小径部にそれぞれ配置することによって、摺動速度を低減させ、実用上充分な耐久性が得られる。
【0053】
また、上記のように、特開平4−231215号公報の駆動装置は、回転軸であるプロペラシャフト上でベアリングによって片持ち支持されているが、本発明は請求項4の構成によって、このような片持ち支持の装置に適用可能であり、上記のような作用・効果を得ることができる。
【0054】
請求項4の発明は、請求項2に記載された電磁式カップリングのシール構造であって、電磁式カップリングの一側と他側の各回転部材が、それぞれ支持部材とベアリングとを介して車体に直接支承されており、一側では、カバーと支持部材との間に第1のシール手段が設けられ、また、支持部材と一側回転部材との間に第2のシール手段が設けられており、他側では、カバーと支持部材との間に第3のシール手段が設けられ、また、支持部材と他側回転部材との間に第4のシール手段が設けられていることを特徴としている。
【0055】
この構成は、電磁式カップリングが軸方向の両側で支持されており、一側では、カバーと支持部材との間に設けられた第1のシール手段と、支持部材と一側回転部材との間に設けられた第2のシール手段とによってシールが行われ、他側では、カバーと支持部材との間に設けられた第3のシール手段と、支持部材と他側回転部材との間に設けられた第4のシール手段によってシールが行われることによってカバーの内部が密封されており、請求項3の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0056】
また、カバーと支持部材との間に設けられた第1と第3のシール手段は、摺動を伴わないから、充分な耐久性が得られ、第2と第4のシール手段は、電磁式カップリングの一側回転部材と他側回転部材の小径部にそれぞれ配置することによって摺動速度が下がるから、実用上充分な耐久性が得られる。
【0057】
また、軸方向の両側で支持されている電磁式カップリングの場合、走行中に前後の回転軸から入力するスラスト力は両側の支持部材とベアリングに掛かり、電磁式カップリングはこのスラスト力から解放されるから、正常な機能が保たれ。耐久性が向上する。
【0058】
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載された電磁式カップリングのシール構造であって、カバーが、円筒部材と側壁部材からなることを特徴としており、請求項1〜4の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0059】
また、カバーを円筒部材と側壁部材の分割構造にしたこの構成では、カバーの加工(成形)が容易になり、円筒部材と側壁部材をそれぞれプレスで加工することが可能になるから、加工コストが大幅に低減される。
【0060】
特に、電磁石のリード線の取り出し口やコアの回り止め部などを、側壁部材に加工することが極めて容易になる。
【0061】
また、カバーを分割構造にしたことにより、その組み付けが容易になり、組み付けコストが低減される。
【0062】
なお、カバーが軸方向両側に側壁部を持った円筒形である場合、その分割形態には、
(1)一方の側壁部と、他方の側壁部が付いた円筒部材との2分割(各実施形態)
(2)一方の側壁部と、他方の側壁部と、円筒部材との3分割
(3)円筒部分で2分割し、分割された円筒部分付きの一方の側壁部材と、分割された円筒部分付きの他方の側壁部材との2分割
などがあり、いずれを選択してもよい。
【0063】
請求項6の発明は、請求項5に記載された電磁式カップリングのシール構造であって、カバーの側壁部材に、電磁石のリード線の取り出し口が設けられていることを特徴としており、請求項5の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0064】
また、一般に、電磁石のリード線はコアの側面から引き出されており、カバーの側壁部材にリード線の取り出し口を設けたことによって、リード線を無理なく、容易に取り出すことがことができる。
【0065】
また、この取り出し口を円筒部分に形成した構成と異なって、カバーの大径化が防止される。
【0066】
請求項7の発明は、請求項5または請求項6に記載された電磁式カップリングのシール構造であって、カバーの円筒部材と側壁部材との間に、シール手段を配置したことを特徴としており、請求項5または請求項6の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0067】
また、シール手段を配置したことによって、シール空間を充分な容量に保ちシール性を保ちながら、円筒部材と側壁部材との相対移動が許容されるから、カバーは、シール空間の熱膨張や走行中の振動をこれらの相対移動によって吸収することができる。
【0068】
請求項8の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載された電磁式カップリングのシール構造であって、カバーに、電磁石のコアの回り止め部が設けられていることを特徴としており、請求項1〜7の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0069】
また、電磁石(コア)の回り止めにカバーを利用したことによって、コアの回り止めを別途設ける必要がなくなり、それだけ構造が簡単になって、低コストになる。
【0070】
また、電磁石(コア)は電磁式カップリングの側面に配置されるから、請求項6〜8の構成においてカバーの側壁部材を利用すれば、回り止めを無理なく形成することができる。
【0071】
また、カバーにコアの回り止めを設け、ベアリングの支持部材に回り止めを設けないから、車体の振動がこの支持部材を介してコアの回り止めに直接入力することが防止され、回り止め機能に悪影響を与えることが避けられる。
【0072】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
図1によって、電磁式カップリング1とそのシール構造(本発明の第1実施形態)の説明をする。
【0073】
電磁式カップリング1は、4輪駆動車において切り離し側にしたリヤデフとエンジン(トランスファ)側との間に配置されており、図1の左方はこの車両の前方(エンジン側)に相当する。なお、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0074】
電磁式カップリング1は、回転ケース3(他側の回転部材)、インナーシャフト5(一側の回転部材)、多板式のメインクラッチ7、ボールカム9、パイロットクラッチ11、電磁石13、カバー15(電磁式カップリング1の全体を覆うカバー)、コントローラなどから構成されている。
【0075】
電磁式カップリング1は、トランスファ側とリヤデフ側に分割されたプロペラシャフト(回転軸)の間に配置されている。
【0076】
回転ケース3は、軸用スチール材で作られている前側の動力伝達軸17、アルミニューム合金(非磁性体)で作られている円筒部19、鉄系合金(磁性体)で作られている後側のロータ21などから構成されている。
【0077】
動力伝達軸17にはフランジ部23が形成されており、このフランジ部23は、ボルト25によって円筒部19の一側開口に固定されている。
【0078】
ロータ21は、円筒部19の他側開口に螺着されており、ナット27のダブルナット機能によって固定されている。
【0079】
動力伝達軸17は継ぎ手のジョイントフォーク29にスプライン連結され、ナット31で固定されている。エンジンの駆動力はトランスファ側のプロペラシャフトとこの継ぎ手などを介して動力伝達軸17を回転させる。
【0080】
また、動力伝達軸17は、車体のフロアーパネルに固定された支持金具33と可撓性の支持部材35とサポートベアリング37(回転ケース3を支承するベアリング)によって車体側に支承されている。このサポートベアリング37は支持部材33に取り付けられたスナップリング39,39によって軸方向に位置決めされている。
【0081】
インナーシャフト5は、後方から回転ケース3に貫入しており、前端部をボールベアリング41によって動力伝達軸17に支承され、後部側をニードルベアリング43によってロータ21に支承されている。また、インナーシャフト5はスナップリング45とボールベアリング41とスナップリング47により回転ケース3に対して軸方向に位置決めされている。
【0082】
インナーシャフト5にはコンパニオンフランジ49がスプライン連結され、ナット31で固定されている。このコンパニオンフランジ49には継ぎ手のジョイントフォーク51が固定されており、コンパニオンフランジ49はスペーサ52によって軸方向位置が決められている。インナーシャフト5の回転はこの継ぎ手とリヤデフ側のプロペラシャフトなどを介してリヤデフに伝達される。
【0083】
また、インナーシャフト5は、動力伝達軸17と同様に、支持金具33と可撓性支持部材35とサポートベアリング37(インナーシャフト5を支承するベアリング)によって車体側に支承されている。
【0084】
回転ケース3の円筒部19と動力伝達軸17との間及び円筒部19とロータ21との間にはOリング53,55がそれぞれ配置されている。また、ロータ21とインナーシャフト5との間には断面がX字状のシールであるXリング57が配置されている。これらのOリング53,55とXリング57によって電磁式カップリング1(回転ケース3)は密封されている。
【0085】
密封された回転ケース3には、動力伝達軸17のフランジ部23に設けられたオイル孔59からオイルが注入されており、オイルを注入した後このオイル孔59はチェックボール61を圧入してシールされている。また、フランジ部23には、オイル孔59と対応した位置に、オイル流路になる切り欠き溝62が設けられている。
【0086】
メインクラッチ7は、回転ケース3とインナーシャフト5との間に配置されており、そのアウタープレート63は回転ケース3の内周に形成されたスプライン部65に連結され、インナープレート67はインナーシャフト5の外周に形成されたスプライン部69に連結されている。また、メインクラッチ7の左側には受圧リング71が配置され、外周をスプライン部65に連結されている。
【0087】
ボールカム9は、プレッシャープレート73とカムリング75との間に配置されている。
【0088】
プレッシャープレート73は、内周をインナーシャフト5のスプライン部69に連結されており、ボールカム9のスラスト力によってメインクラッチ7を回転ケース3(受圧リング71)との間で押圧し、締結させる。
【0089】
カムリング75は、インナーシャフト5の外周に配置されており、カムリング75とロータ21との間には、ボールカム9のカム反力を受けるスラストベアリング77とワッシャ79が配置されている。
【0090】
パイロットクラッチ11は、回転ケース3とカムリング75との間に配置されており、そのアウタープレート81は回転ケース3のスプライン部65に連結され、インナープレート83はカムリング75の外周に形成されたスプライン部85に連結されている。
【0091】
パイロットクラッチ11とプレッシャープレート73との間には、アーマチャ87が配置され、外周を回転ケース3のスプライン部65に連結されている。
【0092】
電磁石13のコア89は、シール型のボールベアリング91によってロータ21上に支承されており、ロータ21に形成された凹部93に適度なエアギャプを介して貫入している。また、コア89はスナップリング95とボールベアリング91とスナップリング97とを介しロータ21に対して軸方向に位置決めされている。
【0093】
電磁石13のリード線99は車載のバッテリに接続されている。
【0094】
また、ロータ21とパイロットクラッチ11とアーマチャ87によって電磁石13の磁路が構成されている。
【0095】
ロータ21は非磁性体であるステンレススチールのリング100によって径方向の外側と内側に分断されており、パイロットクラッチ11の各プレート81,83には、リング100と対応する径方向位置に、切り欠き101とこれらを連結するブリッジ部が設けられている。これらのリング100と切り欠き101とによって、磁路上での磁力の短絡が防止されている。
【0096】
コントローラは、電磁石13の励磁、励磁電流の制御、励磁停止などを行う。
【0097】
電磁石13が励磁されると、磁路に磁気ループ103が発生してアーマチャ87が吸引され、パイロットクラッチ11を押圧して締結させ、パイロットトルクを発生させる。
【0098】
パイロットトルクが発生すると、回転ケース3からパイロットクラッチ11とカムリング75とを介してボールカム9にエンジンの駆動力が掛かり、発生したカムスラスト力によりプレッシャープレート73を介してメインクラッチ7が押圧されて締結し、電磁式カップリング1が連結される。
【0099】
電磁式カップリング1が連結されると、エンジンの駆動力はインナーシャフト5からリヤデフ側のプロペラシャフトなどを介してリヤデフに伝達され、リヤデフから左右の後輪に配分されて車両は4輪駆動状態になり、悪路などの走破性や、車体の安定性が向上する。
【0100】
このとき、コントローラの励磁電流調整によって電磁石13の磁力を制御すると、パイロットクラッチ11に滑りが生じてパイロットトルクが変化し、ボールカム9のスラスト力が変化して、メインクラッチ7(電磁式カップリング1)の連結力を調整することができる。
【0101】
このような電磁式カップリング1の連結力調整によって、前後輪間の駆動力配分比を任意に制御することができ、例えば、旋回走行中にこのような制御を行うと、車両の操縦性や安定性などが向上する。
【0102】
また、電磁石13の励磁を停止すると、パイロットクラッチ11が開放されてボールカム9のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ7が開放されて電磁式カップリング1の連結が解除される。
【0103】
電磁式カップリング1の連結が解除されると、リヤデフ側が切り離されて、車両は前輪駆動の2輪駆動状態になる。
【0104】
また、回転ケース3がアルミニューム合金で作られており、電磁石13の磁力が回転ケース3側に漏洩することが防止され、アーマチャ87に磁力が効率良く導かれるから、パイロットクラッチ11は所定のパイロットトルクが得られ、電磁式カップリング1は所定の連結トルクが得られる。
【0105】
また、上記のように、密封された回転ケース3に封入されたオイルは、インナーシャフト5と動力伝達軸17とを通して形成されたオイル溜り105に保持されており、インナーシャフト5が回転すると、遠心力によってオイル溜り105のオイルはインナーシャフト5の前端と回転ケース3との間に設けられたオイル流路107を通り、ベアリング41、メインクラッチ7、ボールカム9、ベアリング77,43、パイロットクラッチ11などを潤滑・冷却する。
【0106】
また、メインクラッチ7のインナープレート67には、オイル孔109が設けられ、ボールカム9、ベアリング77,43、パイロットクラッチ11側へのオイルの移動を促進し、これらの潤滑・冷却効果を向上させている。
【0107】
カバー15は、鋼板をプレス加工して作られた円筒部材111及び側壁部材113と、Oリング115(シール手段)から構成されており、電磁式カップリング1の全体を覆っている。
【0108】
また、カバー15を2分割構成にしたことにより、側壁部材113はプレスで成形することが容易になり、また、円筒部材111も、一側に開口が形成されるからプレスで成形することが可能になる。
【0109】
側壁部材113は、円筒部材111の後部側に形成された開口に嵌合しており、Oリング115は、これらの間に配置されている。また、側壁部材113と円筒部材111は、Oリング115によって嵌合部をシールされながら、軸方向に相対移動可能である、
カバー15は円筒部材111の前部と側壁部材113の後部に形成された小径部を、前後の可撓性支持部材35の内周にそれぞれ圧入することにより、可撓性支持部材35に固定され、可撓性支持部材35を介して車体に支持されている。
【0110】
円筒部材111の上記圧入部はシール117(第1のシール手段)になっており、側壁部材113の上記圧入部はシール119(第3のシール手段)になっている。
【0111】
また、ジョイントフォーク29(継ぎ手)のボス部120と前側の可撓性支持部材35との間にはリップシール121(第2のシール手段)が配置され、コンパニオンフランジ49のボス部122と後側の可撓性支持部材35との間にはリップシール123(第4のシール手段)が配置されている。
【0112】
なお、従来は、可撓性支持部材35の各シール117,119が形成されている個所には他のリップシールが配置されているが、シール117,119を設けたことによってこれらのリップシールを省略することが可能になり、それだけ低コストになっている。
【0113】
また、ジョイントフォーク29とコンパニオンフランジ49には、それぞれリップシール121,123を飛石などから保護するダストカバー125,127が取り付けられている。
【0114】
側壁部材113には取り出し口129が形成されており、電磁石13のリード線99はこの取り出し口129に取り付けられたグロメット131を通してカバー15の外部に取り出され、上記のように、バッテリに接続されている。
【0115】
また、側壁部材113には、電磁石13のコア89に複数個所形成された凹部133とそれぞれ係合して、コア89の回り止めをする回り止め部135が複数個所に形成されている。
【0116】
これらの取り出し口129と回り止め部135は、側壁部材113をプレス加工する際、同時に成形される。
【0117】
上記のように、カバー15は電磁式カップリング1の全体を覆っており、シール117,119とリップシール121,123によってカバー15の内側は密封されている。
【0118】
そこで、カバー15と電磁式カップリング1との間に形成される空間に、例えば、不凍液などの冷却流体を封入してもよい。
【0119】
こうして、電磁式カップリング1及びそのシール構造が構成されている。
【0120】
電磁式カップリング1は、上記のように、全体を覆うカバー15を設けたことによって、プロペラシャフト上に配置されていても走行中に飛来する石などの障害物や、オフロードなどを走行中に遭遇する段差部や凸部との衝突から解放される。
【0121】
従って、回転ケース3(円筒部19)は、駆動力を伝達するために必要な強度を超えた過剰な強度が不要になるから、アルミニューム合金で作ることが可能になっており、さらに、余分な強度が不要なだけ薄肉にして小径化され、軽量化されている。
【0122】
電磁式カップリング1は、このような小径化と軽量化によって慣性が小さくなり、従って、回転アンバランスが小さくなり、これに起因する振動もそれだけ小さくなっている。
【0123】
また、電磁式カップリング1の慣性が小さくなったことにより、エンジンの燃費が向上する。
【0124】
また、シール117,119とリップシール121,123によってカバー15を密封したことにより、電磁石13のコア89とロータ21とのエアギャップに水や塵などが侵入することがなくなり、塵の噛み込み、水分の凍結、錆の発生などによるロータ21(回転ケース3)の性能変動が防止されるから、電磁式カップリング1の機能が正常に保たれる。
【0125】
また、カバー15と可撓性支持部材35との間に設けられたシール117,119は、摺動を伴わないから充分な耐久性が得られ、リップシール121,123は、それぞれジョイントフォーク29とコンパニオンフランジ49の小径のボス部120,122上に配置されており、摺動速度が低速であるから実用上充分な耐久性が得られる。
【0126】
また、カバー15によって電磁式カップリング1の全体を覆う構成は、必要な個所毎にそれぞれシール手段を設ける構成と較べて、シール構造が極めて簡単であり、低コストである。
【0127】
また、上記のように、カバー15が電磁式カップリング1の全体を収容しており、従って、シールされた空間の容積が大きいから、熱の籠もりと、温度上昇による影響が大幅に軽減される。
【0128】
また、カバー15を密封したから、上記のように、電磁式カップリング1との間に不凍液などを封入すれば、電磁式カップリング1の冷却性を大きく向上させることができる。
【0129】
また、カバー15に冷却フィンを形成すれば、電磁式カップリング1の放熱性と冷却性がさらに向上する。
【0130】
また、回転ケース3に貫通孔を設け、電磁式カップリング1の内部とカバー15の密封空間とを連通させてオイルを封入すれば、電磁式カップリング1のオイルが増量されて潤滑・冷却効果が向上すると共に、電磁式カップリング1の内部で暖まったオイルがカバー15の密封空間に移動し、外気で冷却されるから、電磁式カップリング1の冷却性はさらに向上する。
【0131】
また、電磁式カップリング1を異物との衝突から保護する機能が充分であれば、カバー15を、放熱性に優れたアルミニューム合金のような軽合金製にすることによって、冷却性がさらに向上する。
【0132】
また、カバー15が、電磁式カップリング1と共に、可撓性支持部材35,35に両端を固定されているから、カバー15と電磁式カップリング1とは一体的に揺動する。
【0133】
従って、走行中に後輪のサスペンションスプリングが撓んだり、あるいは、プロペラシャフトからのスラスト力などを受けることによって、電磁式カップリング1の位置が車体に対して変化しても、カバー15と電磁式カップリング1との隙間が変化することはない。
【0134】
従って、回転ケース3とカバー15との干渉が生じないから、これらの隙間(クリアランス)を小さくすることが可能になり、カバー15をそれだけ小径にできる。
【0135】
カバー15を小径にしたことによって、車体や周辺部材との干渉が起こりにくくなり、レイアウトが容易になると共に、ロードクリアランス(最低地上高)が大きくなり、オフロード走行中などに段差部や凸部などとの干渉が生じにくくなっている。
【0136】
また、カバー15を円筒部材111と側壁部材113とに分割したことによって、これらのプレス加工が可能になり、加工コストが大幅に低減されている。
【0137】
特に、プレス加工が可能になったことによって、電磁石13のリード線99の取り出し口129とコア89の回り止め部135とを側壁部材113に加工することが極めて容易である。
【0138】
また、分割構造にしたことによって、カバー15の組み付けが容易になり、組み付けコストが低減される。
【0139】
また、リード線99はコア89の側面に引き出されているから、側壁部材113に取り出し口129を設けたことによって、リード線99を無理なく、容易に取り出すことがことができる。
【0140】
また、取り出し口129を円筒部分に形成する構成と異なって、カバー15の大径化が防止されている。
【0141】
また、円筒部材111と側壁部材113との間にOリング115を配置したことによって、カバー15内部の密封空間を充分な容量に保ち、密封空間のシール性を保ちながら、これらの相対移動が許容されるから、密封空間の熱膨張や、走行中にプロペラシャフトから入力する振動やスラスト力などを吸収することができる。
【0142】
また、可撓性支持部材35に固定されているカバー15の回り止め部135によって、電磁石13が回り止めされるから、リード線99の断線が防止され、電磁式カップリング1の正常な機能が保たれる。
【0143】
また、コア89の回り止めにカバー15(側壁部材113)を利用したことによって、コア89の回り止めを別途設ける必要がなくなり、それだけ構造が簡単になり、低コストになっている。
【0144】
また、カバー15にコア89の回り止め部135を設け、サポートベアリング37の可撓性支持部材35には回り止めを設けないから、車体の振動が直接回り止め部135に入力して回り止め機能に悪影響を与えることが避けられる。
【0145】
また、カバー15に鋼板などの補強材を取り付ければ、強度と剛性が向上し、あるいは、カバー15にゴムやプラスチックのような制振材を取り付ければ、カバー15の制振性や防音性が向上する。
【0146】
また、上記のように、冷却フィンを形成すればカバー15の強度と剛性が向上するから、制振性や防音性がさらに向上する。
【0147】
また、軸方向の両側で支持されている電磁式カップリング1では、走行中に前後のプロペラシャフトから入力するスラスト力が両側の支持金具33と可撓性支持部材35とサポートベアリング37に掛かり、可撓性支持部材35によって吸収されるから、電磁式カップリング1はこのスラスト力から解放され、正常な機能が保たれ。耐久性が向上する。
【0148】
[第2実施形態]
図2によって、電磁式カップリング201とそのシール構造(本発明の第2実施形態)の説明をする。
【0149】
電磁式カップリング201は、第1実施形態の電磁式カップリング1と同様に、4輪駆動車で切り離し側にしたリヤデフとエンジン(トランスファ)側との間に配置されており、図2の左方はこの車両の前方(エンジン側)に相当する。なお、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0150】
電磁式カップリング201は、電磁式カップリング1において、シール構造と支持構造などを変えた例であり、以下、相違点を説明する。
【0151】
電磁式カップリング201は、回転ケース3(他側の回転部材)、インナーシャフト5(一側の回転部材)、多板式のメインクラッチ7、ボールカム9、多板式のパイロットクラッチ11、電磁石13、カバー15(電磁式カップリング201の全体を覆うカバー)、コントローラなどから構成されている。
【0152】
電磁式カップリング201は、トランスファ側とリヤデフ側に分割されたプロペラシャフトの間に配置されている。
【0153】
回転ケース3は、前側の動力伝達軸17、円筒部19、後側のロータ21などから構成されており、動力伝達軸17のフランジ部23はボルト25によって円筒部19の前部側壁部203に固定されている。
【0154】
動力伝達軸17はトランスファ側のプロペラシャフトに連結されており、このプロペラシャフトは継ぎ手を介してトランスファに連結されている。エンジンの駆動力はこのプロペラシャフトと継ぎ手とを介して動力伝達軸17(回転ケース3)を回転させる。
【0155】
また、オイル孔59は円筒部19の前部側壁部203に設けられており、オイルを注入した後チェックボール61を圧入してシールされている。
【0156】
インナーシャフト5は、前端部をボールベアリング41によってこの前部側壁部203に支承されており、スナップリング45とボールベアリング41と前部側壁部203の段差部205により回転ケース3に対して軸方向に位置決めされている。
【0157】
インナーシャフト5は支持金具33と可撓性支持部材35とサポートベアリング37(インナーシャフト5を支承するベアリング)によって車体側に支承されており、このように、電磁式カップリング201はインナーシャフト5側だけで片持ち支持されている。
【0158】
カバー15は、第1実施形態と同様に、円筒部材111と側壁部材113とこれらの嵌合部をシールするOリング115から構成されている。
【0159】
側壁部材113は小径部を可撓性支持部材35の内周に圧入してシール119(第1のシール手段)を構成しており、コンパニオンフランジ49のボス部122と可撓性支持部材35との間にはリップシール123(第2のシール手段)が配置されている。
【0160】
また、円筒部材111の前端部には、第1実施形態と異なって、小径の開口部207が形成されており、この開口部207と動力伝達軸17との間にはリップシール209(第3のシール手段)が配置されている。
【0161】
このように、カバー15の後端部は可撓性支持部材35に固定されており、前端部はリップシール209を介して動力伝達軸17に支持されているから、カバー15と電磁式カップリング201とは一体的に揺動し、干渉を起こさない。
【0162】
また、カバー15は前端のリップシール209と後端のシール119及びリップシール123とによって密封されている。
【0163】
また、カバー15と可撓性支持部材35との間に設けられたシール119は摺動を伴わないから充分な耐久性が得られ、リップシール123,209はそれぞれ小径のコンパニオンフランジ49(ボス部122)と動力伝達軸17上に配置されており、摺動速度が低速であるから実用上充分な耐久性が得られる。
【0164】
こうして、電磁式カップリング201及びそのシール構造が構成されている。
【0165】
電磁式カップリング201は、上記のように、片持ち支持されているが、第1実施形態と同等の効果が得られる。
【0166】
なお、本発明では、請求項5の作用欄で説明したように、カバーが軸方向両側に側壁部を持った円筒形である場合、その分割形態には、
(1)一方の側壁部と、他方の側壁部が付いた円筒部材との2分割(下記の実
施形態)
(2)一方の側壁部と、他方の側壁部と、円筒部材との3分割
(3)円筒部分で2分割し、分割された円筒部分付きの一方の側壁部材と、分
割された円筒部分付きの他方の側壁部材との2分割
などがあり、いずれを選択してもよい。
【0167】
【発明の効果】
請求項1に記載された電磁式カップリングのシール構造によれば、電磁式カップリングは、回転軸間に配置されていても、全体を覆うカバーによって、飛来する石などの障害物、段差部、凸部などとの衝突から保護されるので、外側ケーシングを軽金属合金製にし、薄肉で小径化し、軽量化することができる。
【0168】
また、小径化と軽量化とによって電磁式カップリングの慣性が小さくなり、回転アンバランスと、これに起因する振動がそれだけ小さくなると共に、慣性が小さくなったことによって原動機の燃費が向上する。
【0169】
また、カバーと電磁式カップリングとの間に形成される空間の容積が大きいから、熱の籠もりと温度上昇による影響が小さい。
【0171】
また、カバーと電磁式カップリングが一体的に揺動し、干渉しないから、これらの間隔を小さくしてカバーを小径にできる。
【0172】
カバーを小径にすれば、車体や周辺部材との干渉が起こりにくくなり、レイアウトが容易になると共に、ロードクリアランスが大きくなって、段差部や凸部などとの干渉が生じにくくなる。
【0173】
請求項2に記載された電磁式カップリングのシール構造は、請求項1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0174】
また、カバーを密封することにより、塵の噛み込み、水分の凍結、錆の発生などによる回転ケースの性能変動が防止され、機能が正常に保たれる。
【0175】
また、カバーによって電磁式カップリング全体のシールを行うから、必要な個所のそれぞれにシール手段を設ける構成と較べて、シール構造が極めて簡単であり、低コストである。
【0176】
また、電磁式カップリングの全体を覆うカバー内部のシール空間は容積が大きいから、熱の籠もりと、温度上昇による影響が大幅に軽減される。
【0177】
請求項3に記載された電磁式カップリングのシール構造は、請求項2の構成と同等の効果を得ることができる。
【0178】
また、このように電磁式カップリングが片持ち支持の場合でも、請求項2の構成と同等の効果を得ることができる。
【0179】
また、カバーと支持部材の間に配置され、摺動を伴わないシール手段は充分な耐久性が得られ、第2と第3のシール手段は、小径部に配置することによって摺動速度が下がり、実用上充分な耐久性が得られる。
【0180】
請求項4に記載された電磁式カップリングのシール構造は、請求項2の構成と同等の効果を得ることができる。
【0181】
また、カバーと支持部材の間に配置され、摺動を伴わない第1と第3のシール手段は充分な耐久性が得られ、第2と第4のシール手段は、小径部に配置することによって摺動速度が下がり、実用上充分な耐久性が得られる。
【0182】
請求項5に記載された電磁式カップリングのシール構造は、請求項1〜4の構成と同等の効果を得ることができる。
【0183】
また、分割構造のカバーは加工が容易であり、円筒部材と側壁部材をそれぞれプレス成形し、コストを大幅に低減することができる。
【0184】
また、電磁石のリード線の取り出し口やコアの回り止め部などを、側壁部材に加工することも極めて容易である。
【0185】
また、カバーは種々の分割構造を選択できる。
【0186】
請求項6に記載された電磁式カップリングのシール構造は、請求項5の構成と同等の効果を得ることができる。
【0187】
また、カバーの側壁部材に設けられた取り出し口からは、コアの側面に引き出されている電磁石のリード線を無理なく取り出すことがことができる。
【0188】
また、取り出し口を円筒部分に形成した構成と異なって、カバーの大径化が防止される。
【0189】
請求項7に記載された電磁式カップリングのシール構造は、請求項5または請求項6の構成と同等の効果を得ることができる。
【0190】
また、シール性を保ちながら円筒部材と側壁部材との相対移動が許容され、密封空間の熱膨張や走行中の振動を吸収できる。
【0191】
請求項8に記載された電磁式カップリングのシール構造は、請求項1〜7の構成と同等の効果を得ることができる。
【0192】
また、カバーに電磁石の回り止めを設けたことによって、回り止めを別途設ける必要がなくなり、構造簡単で、低コストになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態を示す断面図である。
【図2】第2実施形態を示す断面図である。
【図3】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1,201 電磁式カップリング
3 回転ケース(他側の回転部材)
5 インナーシャフト(一側の回転部材)
13 電磁石
15 カバー(電磁式カップリングの全体を覆うカバー)
35 サポートベアリング37の支持部材(可撓性の支持部材)
37 サポートベアリング(回転ケース3及びインナーシャフト5を支承するベアリング)
89 電磁石13のコア
99 電磁石13のリード線
111 カバー15の円筒部材
113 カバー15の側壁部材
115 Oリング(円筒部材111と側壁部材113の間に配置されたシール手段)
117 シール(第1のシール手段)
119 シール(第1のシール手段:第3のシール手段)
121 リップシール(第2のシール手段)
123 リップシール(第2のシール手段:第4のシール手段)
129 リード線99の取り出し口
135 電磁石13の回り止め部
209 リップシール(第3のシール手段)

Claims (8)

  1. 原動機の駆動力を車輪側に伝達する回転軸間に配置された電磁式カップリングのシール構造であって、この電磁式カップリングの全体を覆うカバーを設け、前記電磁式カップリングが、可撓性の支持部材とベアリングとを介して車体に支承されており、前記カバーが、この可撓性支持部材に固定されていることを特徴とする電磁式カップリングのシール構造。
  2. 請求項1に記載の発明であって、カバーの内部を密封するシール手段を設けたことを特徴とする電磁式カップリングのシール構造。
  3. 請求項2に記載の発明であって、電磁式カップリングの一側と他側の各回転部材のうち、一側の回転部材が支持部材とベアリングとを介して車体に支承されており、この支承側では、カバーと支持部材との間に第1のシール手段が設けられ、また、支持部材と一側回転部材との間に第2のシール手段が設けられており、他側では、カバーと他側回転部材との間に第3のシール手段が設けられていることを特徴とする電磁式カップリングのシール構造。
  4. 請求項2に記載の発明であって、電磁式カップリングの一側と他側の各回転部材が、それぞれ支持部材とベアリングとを介して車体に直接支承されており、一側では、カバーと支持部材との間に第1のシール手段が設けられ、また、支持部材と一側回転部材との間に第2のシール手段が設けられており、他側では、カバーと支持部材との間に第3のシール手段が設けられ、また、支持部材と他側回転部材との間に第4のシール手段が設けられていることを特徴とする電磁式カップリングのシール構造。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の発明であって、カバーが、円筒部材と側壁部材からなることを特徴とする電磁式カップリングのシール構造。
  6. 請求項5に記載の発明であって、カバーの側壁部材に、電磁石のリード線の取り出し口が設けられていることを特徴とする電磁式カップリングのシール構造。
  7. 請求項5または請求項6に記載の発明であって、カバーの円筒部材と側壁部材との間に、シール手段を配置したことを特徴とする電磁式カップリングのシール構造。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の発明であって、カバーに、電磁石のコアの回り止め部が設けられていることを特徴とする電磁式カップリングのシール構造。
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