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JP2001050307A - カップリング及びデファレンシャル装置 - Google Patents

カップリング及びデファレンシャル装置

Info

Publication number
JP2001050307A
JP2001050307A JP11227708A JP22770899A JP2001050307A JP 2001050307 A JP2001050307 A JP 2001050307A JP 11227708 A JP11227708 A JP 11227708A JP 22770899 A JP22770899 A JP 22770899A JP 2001050307 A JP2001050307 A JP 2001050307A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clutch
armature
case
coupling
electromagnet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11227708A
Other languages
English (en)
Inventor
Masao Teraoka
正夫 寺岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tochigi Fuji Sangyo KK filed Critical Tochigi Fuji Sangyo KK
Priority to JP11227708A priority Critical patent/JP2001050307A/ja
Publication of JP2001050307A publication Critical patent/JP2001050307A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Motor Power Transmission Devices (AREA)
  • Retarders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 部品点数が少なく、組付け容易、低コスト、
コンパクトで車載性に優れ、潤滑容易で耐久性が高く、
操作レスポンスが速い装置を提供する。 【解決手段】 トルク伝達部材3、5と、これらを連結
するメインクラッチ9と、電磁石7によって連結操作さ
れるパイロットクラッチ19と、クラッチ19が連結さ
れると部材3、5の間のトルクを受けて作動しクラッチ
9を連結させるカム11とを備え、クラッチ19が、カ
ム11の一側部材15に連結されたア−マチャ17と部
材3との間に形成された摩擦クラッチであり、電磁石7
がア−マチャ17を部材3側に吸引するとクラッチ19
が締結される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電磁石を用いて
断続操作されるカップリングと、電磁石を用いて差動制
限力を制御するデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のカップリングの構造としては、例
えば「ガイア新型車解説書 0−22頁 トヨタ自動車
株式会社 編集 同サ−ビス部 発行 1998年 5
月 29日」に図4のようなカップリング201が記載
されている。
【0003】このカップリング201は、4輪駆動車の
後輪側動力伝達系に配置されており、回転ケ−ス20
3、ハブ205、多板式のメインクラッチ207及びパ
イロットクラッチ209、ア−マチャ211、電磁石2
13、カムリング215、ボ−ルカム217、押圧部材
219、コントロ−ラなどから構成されている。
【0004】カップリング201は、デフキャリヤ22
1に収容されており、電磁石213のコア223はデフ
キャリヤ221の内周に支持されている。
【0005】回転ケ−ス203は前部をベアリング22
5により、また、後部を電磁石213のコア223とベ
アリング227により、それぞれデフキャリヤ221に
支承されている。
【0006】回転ケ−ス203はプロペラシャフトを介
してトランスファからトランスミッション側に連結され
ている。また、ハブ205にはドライブピニオンシャフ
ト229がスプライン連結されており、これと一体に形
成されたドライブピニオンギヤ231はリヤデフ側のリ
ングギヤと噛み合っている。
【0007】メインクラッチ207は回転ケ−ス203
とハブ205との間に配置されており、パイロットクラ
ッチ209は回転ケ−ス203とカムリング215との
間に配置されている。
【0008】また、ボ−ルカム217はカムリング21
5と押圧部材219との間に配置されており、押圧部材
219はハブ205にスプライン連結されている。
【0009】コントロ−ラは、電磁石213の励磁、励
磁電流の制御、励磁停止などを行う。
【0010】電磁石213が励磁されると、磁気回路に
磁気ル−プ233が形成されてア−マチャ211が吸引
され、パイロットクラッチ209が押圧されて締結され
る。パイロットクラッチ209が締結されると、回転ケ
−ス203とハブ205の間のトルクがボ−ルカム21
7に掛かり、生じたカムスラスト力により押圧部材21
9を介してメインクラッチ207が押圧され締結され
る。
【0011】こうしてカップリング201が連結される
と、エンジンの駆動力が後輪に送られて車両は4輪駆動
状態になり、悪路の走破性や、車体の安定性が向上す
る。
【0012】前記電磁石213の励磁電流を制御する
と、パイロットクラッチ209の滑りによってボ−ルカ
ム217のカムスラスト力が変化し、メインクラッチ2
07の連結力が変化して後輪の駆動力が調整される。
【0013】一方、電磁石213の励磁を停止すると、
パイロットクラッチ209が開放されてボ−ルカム21
7のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ207が
開放されてカップリング201の連結が解除され、車両
は2輪駆動状態になる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、カップリング
201では、パイロットクラッチ209に多板式のもの
を用いているから、部品点数が多い。
【0015】従って、それだけ組付け作業が面倒で、組
付け工数が多く、コスト高であると共に、カップリング
201が大型で重くなり、車載性が低下する。
【0016】しかも、多板式のパイロットクラッチ20
9は、各クラッチ板の間にオイルが通りにくいから、潤
滑が難しく、耐久性が低い上に、摩耗や焼き付きを防止
するための配慮が必要であり、それだけ実施コストが高
い。
【0017】このような多板式のパイロットクラッチ2
09は、オイルの粘性と抵抗によってクラッチ板が移動
しにくいから、カップリングを連結するときのレスポン
スが遅く、また、クラッチ板が離れにくいから、連結を
解除するときのレスポンスが遅い。
【0018】そこで、この発明は、電磁式のパイロット
機能によってメインクラッチを断続するカップリング、
及び、電磁式のパイロット機能によって差動制限用のメ
インクラッチを断続するデファレンシャル装置であっ
て、電磁式のパイロット機能に多板クラッチを用いない
ことにより、部品点数が少なく、組付け容易で、低コス
トであり、コンパクトで、車載性に優れ、潤滑容易で、
耐久性が高く、操作に対するレスポンスが速いカップリ
ング及びデファレンシャル装置の提供を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1のカップリング
は、ケ−ス状トルク伝達部材と、このケ−ス状トルク伝
達部材に貫入した軸状トルク伝達部材と、これら両トル
ク伝達部材の間に配置されたメインクラッチと、電磁
石、または、付勢部材によって連結操作されるパイロッ
トクラッチと、パイロットクラッチが連結されると両ト
ルク伝達部材の間の伝達トルクを受けて作動しメインク
ラッチを連結させるカムと、これらを収容する静止側ケ
−シングとを備え、パイロットクラッチが、カムの一側
部材に移動自在に連結されたア−マチャとケ−ス状トル
ク伝達部材との間に形成された摩擦クラッチであり、電
磁石、または、付勢部材がア−マチャをケ−ス状トルク
伝達部材側に移動させることによってパイロットクラッ
チが締結されることを特徴とする。
【0020】本発明のカップリングは、電磁石を励磁す
るとパイロットクラッチが連結される正作動構成にして
も、あるいは、電磁石の励磁を停止すると、付勢部材に
よってパイロットクラッチが連結される負作動構成にし
てもよい。
【0021】正作動の場合、例えば、電磁石を励磁して
ア−マチャをケ−ス状トルク伝達部材側に吸引するとパ
イロットクラッチが締結され、パイロットクラッチが締
結されると、両トルク伝達部材間の伝達トルクを受けて
カムが作動し、そのスラスト力によってメインクラッチ
が連結され、カップリングが連結される。
【0022】例えば、このカップリングを4輪駆動車の
トランスファからリヤデフ(エンジンの駆動力を左右の
後輪に配分するデファレンシャル装置)までの後輪側動
力伝達系に配置した場合、カップリングが連結される
と、エンジンの駆動力が後輪に送られて車両は4輪駆動
状態になり、悪路の走破性や、車体の安定性が向上す
る。
【0023】電磁石の励磁電流を制御すると、吸引力の
変化によってア−マチャが移動し、パイロットクラッチ
の滑りによってカムスラスト力が変化し、メインクラッ
チの連結力(カップリングの伝達トルク:後輪に伝達さ
れる駆動力)を調整することができる。
【0024】このようにして、前後輪間の駆動力配分比
を制御すると、旋回走行中の車両の操縦性や安定性など
が向上する。
【0025】電磁石の励磁を停止するとパイロットクラ
ッチが開放され、カムのスラスト力が消失してメインク
ラッチが開放され、カップリングの連結が解除されて車
両は2輪駆動状態になる。
【0026】また、本発明のカップリングは、ケ−ス状
トルク伝達部材とア−マチャとの間に形成した摩擦クラ
ッチをパイロットクラッチにしたことにより、従来例と
異なって、多板式のパイロットクラッチを用いない。
【0027】従って、部品点数が少ないから、それだけ
組付け作業が容易で、組付け工数が少なくてすみ、低コ
ストである。
【0028】その上、カップリングは軽量でコンパクト
になり、車載性が向上する。
【0029】しかも、ア−マチャとケ−ス状トルク伝達
部材との間に設けたパイロットクラッチは、多板クラッ
チと異なって、オイルが通り易く、潤滑が容易であるか
ら、摩耗や焼き付きの恐れが少なく、耐久性が高い。
【0030】また、摩耗や焼き付きを防止するための配
慮が不要であるから、それだけ低コストに実施できる。
【0031】このパイロットクラッチが受けるオイルの
粘性と抵抗は、多板クラッチと較べて軽微であるから、
多板クラッチが受けるオイルの粘性と抵抗によって連結
操作と連結解除操作に対するレスポンスが遅い従来例と
異なって、操作レスポンスが極めて速く、車両の操縦性
などが大きく向上する。
【0032】なお、本発明のカップリングは、下記の請
求項3の構成のようにア−マチャを複数個のリング片に
し、電磁石、または、付勢部材で各ア−マチャを径方向
外側に移動させてパイロットクラッチを締結させてもよ
いが、ア−マチャを軸方向に移動させてパイロットクラ
ッチを締結するように構成してもよい。
【0033】ア−マチャを軸方向に移動させる場合、パ
イロットクラッチのトルク容量を大きくするには、例え
ば、ア−マチャとケ−ス状トルク伝達部材にそれぞれ円
錐の摩擦面を設けてパイロットクラッチをコ−ンクラッ
チにすればよい。
【0034】また、電磁石によるア−マチャの移動操作
は、磁性体のア−マチャを電磁石で吸引する他に、ア−
マチャを磁石にし、電磁石の磁力による反発力でア−マ
チャを移動させるように構成してもよい。
【0035】なお、付勢部材がパイロットクラッチを連
結するように構成した場合は、パイロットクラッチが連
結されている間は電磁石が休止するから、それだけバッ
テリの負担が軽減し、エンジンの燃費が向上する。
【0036】加えて、本発明のカップリングは、上記の
ように4輪駆動車の後輪側動力伝達系に配置する他に、
トランスファからフロントデフ(エンジンの駆動力を左
右の前輪に配分するデファレンシャル装置)までの前輪
側動力伝達系に配置してもよい。
【0037】この場合も、カップリングを連結すると車
両は4輪駆動状態になり、連結を解除すると2輪駆動状
態になる。
【0038】また、このように前輪側と後輪側の各動力
伝達系に配置する場合は、カップリングを、前輪側のプ
ロペラシャフト上、または、後輪側のプロペラシャフト
上に、これらを分断するように配置し、カップリングを
収容する静止側ケ−シングを、ゴム、バネ、粘性ダンパ
などを介して車体フレ−ム側に取り付け、固定してもよ
い。
【0039】本発明のカップリングは、4輪駆動車のフ
ロントデフと左右いずれかの前輪の間、または、リヤデ
フと左右いずれかの後輪の間に配置することもできる。
【0040】この場合も、カップリングを連結すると車
両は4輪駆動状態になり、連結を解除すると、各デファ
レンシャル装置が自由に差動回転することによって、車
輪側への駆動力伝達が停止され、車両は2輪駆動状態に
なる。
【0041】請求項2のデファレンシャル装置は、エン
ジンの駆動力によって回転するケ−ス状トルク伝達部材
と、このケ−ス状トルク伝達部材の回転を一対の軸状ト
ルク伝達部材を介して車輪側に配分する差動機構と、ケ
−ス状トルク伝達部材と一方の軸状トルク伝達部材との
間に配置され差動機構の差動を制限するメインクラッチ
と、電磁石、または、付勢部材によって連結操作される
パイロットクラッチと、パイロットクラッチが連結され
ると両トルク伝達部材の間の伝達トルクを受けて作動し
メインクラッチを連結させるカムと、これらを収容する
静止側ケ−シングとを備え、パイロットクラッチが、カ
ムの一側部材に移動自在に連結されたア−マチャとケ−
ス状トルク伝達部材との間に形成された摩擦クラッチで
あり、電磁石、または、付勢部材がア−マチャをケ−ス
状トルク伝達部材側に移動させることによってパイロッ
トクラッチが締結されることを特徴とする。
【0042】本発明のデファレンシャル装置も、本発明
のカップリングと同様に、電磁石を励磁するとパイロッ
トクラッチが連結される正作動構成にしても、あるい
は、電磁石の励磁を停止すると、付勢部材によってパイ
ロットクラッチが連結される負作動構成にしてもよい。
【0043】正作動の場合、例えば、電磁石を励磁して
ア−マチャをケ−ス状トルク伝達部材側に吸引するとパ
イロットクラッチが締結され、両トルク伝達部材間の伝
達トルクを受けてカムが作動し、メインクラッチが連結
され、その摩擦抵抗によって差動機構の差動が制限され
る。
【0044】電磁石の励磁電流を制御すると、パイロッ
トクラッチの滑りが変化し、メインクラッチの摩擦抵抗
が変化して、差動制限力が調整される。
【0045】一方、電磁石の励磁を停止すると、メイン
クラッチが開放され、差動が許容される。
【0046】また、請求項2のデファレンシャル装置で
は、上記のように、ケ−ス状トルク伝達部材とア−マチ
ャとの間に摩擦式のパイロットクラッチを設けたことに
より、請求項1のカップリングと同様の効果を得る。
【0047】請求項3の発明は、請求項1,2に記載の
カップリング、または、デファレンシャル装置であっ
て、パイロットクラッチのア−マチャが、全体としてリ
ング状を呈する複数個のリング片であり、パイロットク
ラッチが、各ア−マチャ外周の摩擦面とケ−ス状トルク
伝達部材内周の摩擦面とで形成されており、電磁石、ま
たは、付勢部材が各ア−マチャを径方向外側に移動させ
ることによってパイロットクラッチが締結されることを
特徴とし、請求項1,2と同等の効果を得る。
【0048】この構成では、ア−マチャをリング片状に
し、その外周とケ−ス状トルク伝達部材の内周との間に
パイロットクラッチを設けたことにより、ア−マチャを
径方向外側に移動させるとパイロットクラッチが締結さ
れる。
【0049】このような構成では、装置の回転に伴う遠
心力がア−マチャに掛かるから、パイロットクラッチが
遠心クラッチになって大きな連結力が得られ、その滑り
が抑制されて、カムのスラスト力低下が防止される。
【0050】このように、高速回転するとき大きなトル
ク容量が得られるから、カップリングは、例えば、高速
走行中の車両の加速性を向上させ、デファレンシャル装
置は、高速走行時に大きな差動制限力が得られる。
【0051】パイロットクラッチが遠心クラッチ機能を
持つカップリングは、車両の発進クラッチに最適であっ
て、発進時、あるいは、加速時にパイロットクラッチの
連結力が遠心力によって急速に立ち上がるから、瞬時に
大きな駆動力を車輪に伝達することが可能であり、発進
性と加速性を大きく向上させることができる。
【0052】また、パイロットクラッチが遠心クラッチ
機能を持つデファレンシャル装置は、発進時と加速時に
車輪間の差動回転を大きく制限し、両方の車輪で駆動力
を路面に効果的に伝達するから、良路と悪路の両方で、
発進性と加速性を大きく向上させる。
【0053】このカップリングとデファレンシャル装置
を、発進時と加速時に車体の重心が移動する後輪側に配
置すれば、発進時と加速時に、カップリングは後輪に大
きな駆動力を伝達し、デファレンシャル装置は後輪間の
差動を大きく制限するから、いずれも発進性と加速性の
向上効果が特に大きい。
【0054】また、パイロットクラッチの連結力が遠心
クラッチ機能によって強化されるから、パイロットクラ
ッチ、電磁石、付勢部材などをそれだけ小型にすること
が可能になり、装置がさらにコンパクトになり、車載性
が向上する。
【0055】請求項4の発明は、請求項1〜3に記載の
カップリング、または、デファレンシャル装置であっ
て、カムが、軸状トルク伝達部材に対して移動自在に連
結された押圧部材と、パイロットクラッチのア−マチャ
に連結された前記一側部材との間に設けられており、伝
達トルクを受けてカムが作動すると、そのカムスラスト
力によって押圧部材が移動しメインクラッチを連結させ
ることを特徴とし、請求項1〜3と同等の効果を得る。
【0056】これに加えて、ア−マチャに連結された一
側部材とメインクラッチの押圧部材との間にカムを設け
る構成は、レイアウトが容易であり、低コストに実施で
きる。
【0057】また、カムの他側部材にメインクラッチの
押圧部材を利用したことにより、それだけ装置がコンパ
クトに構成され、車載性が向上する。
【0058】請求項5の発明は、請求項1〜4に記載の
カップリング、または、デファレンシャル装置であっ
て、電磁石のコアとコイルが、ア−マチャ及びケ−ス状
トルク伝達部材の径方向外側に配置されていることを特
徴とし、請求項1〜4と同等の効果を得る。
【0059】これに加えて、ア−マチャとケ−ス状トル
ク伝達部材の径方向外側に電磁石のコアとコイルを配置
したから、これらをケ−ス状トルク伝達部材の軸方向に
配置する構成と較べて、装置が軸方向にコンパクトにな
り、車載性が向上する。
【0060】しかも、このように電磁石をケ−ス状トル
ク伝達部材の径方向外側に配置する構成は、ア−マチャ
を径方向外側に移動させる請求項3の構成に最適であ
る。
【0061】なお、本発明では、電磁石のコイルをケ−
ス状トルク伝達部材の径方向外側に配置し、コアによっ
て磁力をケ−ス状トルク伝達部材の軸方向側面に導いて
もよく、また、コイルをケ−ス状トルク伝達部材の軸方
向側面に配置し、コアによって磁力をケ−ス状トルク伝
達部材の外周に導いてもよい。
【0062】請求項6の発明は、請求項1〜5に記載の
カップリング、または、デファレンシャル装置であっ
て、ケース状トルク伝達部材が電磁石と、ベアリングを
介して静止側ケ−シングに支承されていることを特徴と
し、請求項1〜5と同等の効果を得る。
【0063】これに加えて、電磁石のコアをベアリング
で静止側ケ−シングに支承したことにより、静止側ケ−
シングに支承されているケ−ス状トルク伝達部材と電磁
石との間に形成されるエアギャップを所定の狭い間隔に
正確に調整することが可能になり、エアギャップを含む
磁気回路の磁気抵抗が小さくなると共に、この磁気抵抗
が安定する。
【0064】従って、電磁石によってパイロットクラッ
チを締結させる場合、メインクラッチのトルク容量がそ
れだけ大きくなると共に、装置の性能が向上し、安定す
る。
【0065】
【発明の実施の形態】図1〜図3によってカップリング
1(本発明の一実施形態態)の説明をする。
【0066】このカップリング1は請求項1,3,4,
5,6の特徴を備えている。図1はカップリング1を示
し、図3はカップリング1を用いた4輪駆動車の動力系
を示している。また、左右の方向はこの車両の左右の方
向であり、図1と図2の左方はその前方に相当する。な
お、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0067】図3のように、この動力系は、横置きのエ
ンジン101、トランスミッション103、トランスフ
ァ105、フロントデフ107、前車軸109,11
1、左右の前輪113,115、後輪側のプロペラシャ
フト117、カップリング1、リヤデフ119、後車軸
121,123、左右の後輪125,127などから構
成されている。
【0068】このように、カップリング1は後輪側の動
力伝達系に配置されており、下記のように、後輪12
5,127の連結と切り離し、及び、後輪側に伝達され
る駆動力の制御を行う。
【0069】エンジン101の駆動力は、トランスミッ
ション103の出力ギヤ129からリングギヤ131を
介してフロントデフ107のデフケ−ス133に伝達さ
れ、フロントデフ107から前車軸109,111を介
して左右の前輪113,115に配分され、さらに、デ
フケ−ス133からトランスファ105を介してプロペ
ラシャフト117を回転させ、カップリング1に伝達さ
れる。
【0070】カップリング1が連結されると、エンジン
101の駆動力は、リヤデフ119から後車軸121,
123を介して左右の後輪125,127に配分され、
車両は4輪駆動状態になる。
【0071】また、カップリング1の連結が解除される
と、リヤデフ119以下の後輪側が切り離されて車両は
2輪駆動状態になる。
【0072】図3のように、リヤデフ119はデフキャ
リヤ135(静止側ケ−シング)に収容されている。こ
のデフキャリヤ135はキャリヤ本体137の前端にフ
ロントカバ−139をボルト141で連結して構成され
ている。また、キャリヤ本体137とフロントカバ−1
39には組成の異なったオイルがそれぞれ封入されてい
る。
【0073】図1のように、カップリング1は、回転ケ
−ス3(ケ−ス状トルク伝達部材)、インナ−シャフト
5(軸状トルク伝達部材)、電磁石7、多板式のメイン
クラッチ9、ボ−ルカム11(カム)、プレッシャプレ
−ト13(押圧部材)、カムリング15(カムの一側部
材)、ア−マチャ17、パイロットクラッチ19、コン
トロ−ラなどから構成されている。
【0074】回転ケ−ス3は、前側のケ−ス21と後側
のロ−タ23から構成されており、これらは溶接で一体
にされている。
【0075】ケ−ス21は磁性材料で作られており、ロ
−タ23は非磁性材料で作られている。ロ−タ23は磁
性材料製でもよいが、このように、非磁性材料製が望ま
しい。
【0076】インナ−シャフト5は後方から回転ケ−ス
3に貫入している。
【0077】電磁石7のコイル25とコア27は、回転
ケ−ス3(ケ−ス21)の外周側(径方向の外側)に配
置されている。また、コア27と一体の支持部29はデ
フキャリヤ135のキャリヤ本体137に設けられた圧
入部31に圧入されて、センタリングされていると共
に、キャリヤ本体137との間に配置されたスラストワ
ッシャ33によって軸方向に位置決めされている。
【0078】回転ケ−ス3の前端部(ケ−ス21)は、
両側シ−ルのボ−ルベアリング35によってデフキャリ
ヤ135のフロントカバ−139に支承されており、後
端部(ロ−タ23)は、電磁石7の支持部29と両側シ
−ルのボ−ルベアリング37によってキャリヤ本体13
7に支承されている。
【0079】キャリヤ本体137とロ−タ23との間に
はオイルシ−ル39が配置されている。このオイルシ−
ル39と両側シ−ルのボ−ルベアリング37とによっ
て、デフキャリヤ135のキャリヤ本体137に封入さ
れたオイルとフロントカバ−139に封入されたオイル
との混ざり合いが防止されている。
【0080】インナ−シャフト5の前端部はボ−ルベア
リング41によって回転ケ−ス3(ケ−ス21)に支承
されており、後端部はニ−ドルベアリング43によって
回転ケ−ス3(ロ−タ23)に支承されている。
【0081】インナ−シャフト5とロ−タ23との間に
は、断面がX字状のシ−ルであるXリング45が配置さ
れている。このXリング45はキャリヤ本体137に封
入されたオイルと、下記のように回転ケ−ス3に封入さ
れるオイルとの混ざり合いを防止している。
【0082】前記インナ−シャフト5の後端部には、リ
ヤデフ119側のドライブピニオンシャフト143がス
プライン連結されている。このように、インナ−シャフ
ト5は、ドライブピニオンシャフト143を支承する一
対のアンギュラ−コンタクトベアリングにより、ドライ
ブピニオンシャフト143を介してキャリヤ本体137
に支承されている。
【0083】また、これらのアンギュラ−コンタクトベ
アリングは、ドライブピニオンシャフト143に螺着さ
れたロックナット47によって押圧され、径方向と軸方
向の隙間を調整され、センタリングされている。
【0084】ケ−ス21には連結軸49が一体に形成さ
れており、この連結軸49はフロントカバ−139の前
方から外部に突き出している。連結軸49にはコンパニ
オンフランジ145がスプライン連結され、スナップリ
ング51とワッシャ53とによって固定されている。
【0085】図3のように、このコンパニオンフランジ
145は継ぎ手147側のフランジ149に連結されて
おり、回転ケ−ス3をプロペラシャフト117側に連結
している。
【0086】フロントカバ−139とコンパニオンフラ
ンジ145の間にはオイルシ−ル55が配置されてい
る。このオイルシ−ル55は、両側シ−ルのボ−ルベア
リング35と共に、フロントカバ−139側に封入され
たオイルの漏れと、デフキャリヤ135への異物の侵入
とを防止している。
【0087】回転ケ−ス3の内部には、ケ−ス21に設
けられたオイル供給用の流路57からオイルが注入され
る。このオイル供給流路57はオイルを注入した後密封
ボ−ル59を圧入してシ−ルされている。このオイルに
はデフキャリヤ135の各オイルと異なったオイルが用
いられている。
【0088】メインクラッチ9は、回転ケ−ス3(ケ−
ス21)とインナ−シャフト5との間に配置されてい
る。メインクラッチ9のインナ−プレ−ト61には貫通
孔63が設けられている。
【0089】ボ−ルカム11は、プレッシャプレ−ト1
3とカムリング15との間に配置されている。
【0090】プレッシャプレ−ト13は、内周側でイン
ナ−シャフト5の外周にスプライン連結されている。プ
レッシャプレ−ト13にはオイル抜きの貫通孔65が設
けられている。
【0091】また、カムリング15と回転ケ−ス3のロ
−タ23との間には、ボ−ルカム11のカム反力を受け
るスラストベアリング67とワッシャ69とが配置され
ている。
【0092】ア−マチャ17は、図2のように、全体で
リング状を呈する4個のリング片である。各ア−マチャ
17は、内周に形成されたスプライン71によって、カ
ムリング15の外周に形成されたスプライン73に径方
向移動自在に連結されている。
【0093】パイロットクラッチ19は、各ア−マチャ
17の外周に形成された摩擦面75と、ケ−ス21の内
周に形成された摩擦面77とからなる摩擦クラッチであ
り、各ア−マチャ17が径方向外側に移動すると、各摩
擦面75,77の摩擦抵抗によって締結される。
【0094】ケ−ス21の外周側に配置された電磁石7
のコイル25とコア27は、各ア−マチャ17と対向す
る軸方向位置に配置されており、ケ−ス21の外周との
間にエアギャップ79を形成している。
【0095】また、ケ−ス21はステンレス鋼(非磁性
体)製のリング81によって前後に分断されている。こ
のリング81は電磁石7の磁力の短絡を防止し、磁力を
ア−マチャ17に集中させている。
【0096】電磁石21のリ−ド線はデフキャリヤ13
5に取り付けられたグロメットを通して外部に引き出さ
れており、コネクタ−を介して車載バッテリ側のコネク
タ−に接続されている。
【0097】回転ケ−ス3とインナ−シャフト5との間
には、ロ−タ23とインナ−シャフト5間のXリング4
5と、ケ−ス21のオイル供給流路57に圧入された密
封ボ−ル59とによって、密閉空間83が形成されてお
り、この密閉空間83には、注入されたオイルと、空気
とが収容されている。
【0098】前記インナ−シャフト5には、この密閉空
間83と連通して容量を増やす容量増大空間85が形成
されている。
【0099】カップリング1が回転すると、密閉空間8
3のオイルはメインクラッチ9のアウタ−プレ−ト87
とインナ−プレ−ト61との摺動面を潤滑し、冷却す
る。このとき、インナ−プレ−ト61に設けられた貫通
孔63はオイルを全摺動面に拡散させて、潤滑と冷却の
効率を高める。
【0100】また、オイルはメインクラッチ9側からプ
レッシャプレ−ト13の貫通孔65を通り、ボ−ルカム
11、ア−マチャ17とカムリング15の各スプライン
71,73、パイロットクラッチ19の摩擦面75,7
7、スラストベアリング67とワッシャ69などを潤滑
し、冷却する。
【0101】カップリング1の遠心力はこのオイルの流
れと拡散を促進し、潤滑性と冷却性を向上させる。
【0102】コントロ−ラは、車速、操舵角、横Gなど
から旋回走行を検知し、あるいは、路面状態などに応じ
て、電磁石7の励磁、励磁電流の制御、励磁停止などを
行う。
【0103】電磁石7が励磁されると、コア27、エア
ギャップ79、ロ−タ21、各ア−マチャ17などから
なる磁気回路に磁力のル−プ89が形成され、各ア−マ
チャ17が径方向外側に吸引され、パイロットクラッチ
19が締結される。
【0104】パイロットクラッチ19が締結されると、
回転ケ−ス3とインナ−シャフト5の間の伝達トルクが
ボ−ルカム11に掛かり、発生したカムスラスト力によ
ってプレッシャプレ−ト13が移動し、メインクラッチ
9を押圧して締結させ、カップリング1を連結させる。
【0105】このとき、各ア−マチャ17の遠心力がパ
イロットクラッチ19に掛かり、その連結力を強化して
滑りを抑制するから、ボ−ルカム11のカムスラスト力
の低下が防止され、メインクラッチ9(カップリング
1)の連結力が高く保たれる。
【0106】カップリング1が連結されると、エンジン
101の駆動力が後輪125,127に送られて車両は
4輪駆動状態になり、悪路の走破性、車体の操縦性と安
定性などが向上する。
【0107】特に、発進時と加速時は、パイロットクラ
ッチ19の連結力が遠心力によって急速に立ち上がり、
車体の重心が移動する後輪125,127に大きな駆動
力が伝達されるから、車両の発進性と加速性が大きく向
上する。
【0108】この電磁石7の励磁電流を制御してア−マ
チャ17の吸引力を調整すると、パイロットクラッチ1
9の滑りによってボ−ルカム11のカムスラスト力が変
わり、メインクラッチ9(カップリング1)の伝達トル
クが変化し、後輪125,127に送られる駆動力を調
整することができる。
【0109】このようにして、前後輪間の駆動力配分比
を制御すると、例えば、旋回走行中の車両の操縦性や安
定性などが向上する。
【0110】一方、電磁石7の励磁を停止すると、パイ
ロットクラッチ19が開放されてボ−ルカム11のカム
スラスト力が消失し、メインクラッチ9が開放されてカ
ップリング1の連結が解除され、車両は2輪駆動状態に
なる。
【0111】また、貫通孔65を設けたプレッシャプレ
−ト13は、オイルによる移動抵抗が小さくなるから、
カップリング1の連結操作と連結解除操作に対するレス
ポンスが向上し、車両の操縦性や安定性などがさらに向
上する。
【0112】なお、カップリング1は、図3の矢印15
1が示すように、トランスファ105とプロペラシャフ
ト117との間に配置してもよい。
【0113】この場合、カップリング1をプロペラシャ
フト117とリヤデフ119との間に配置した図3の場
合と同様に、後輪125,127の連結と切り離し、及
び、伝達トルクの制御を行う。
【0114】前記カップリング1は、矢印153,15
5が示すように、フロントデフ107と左右いずれかの
前輪113,115との間に配置してもよく、また、矢
印157が示すように、トランスファ105内のギヤ機
構と組み合わせて配置してもよい。
【0115】さらに、カップリング1は、矢印159,
161が示すように、リヤデフ119と左右いずれかの
後輪125,127との間に配置してもよい。
【0116】矢印153,155の位置に設けた場合
は、カップリング1を連結すると車両は4輪駆動状態に
なり、連結を解除すると、フロントデフ107の差動回
転が自由になり、前輪113,115への駆動力伝達が
停止されて、車両は2輪駆動状態になる。
【0117】また、矢印157の位置に設けた場合は、
プロペラシャフト117とリヤデフ119との間に配置
した場合と同等の機能が得られる。
【0118】矢印159,161の位置に設けた場合
は、カップリング1を連結すると車両は4輪駆動状態に
なり、連結を解除すると、リヤデフ119の差動回転が
自由になり、後輪125,127への駆動力伝達が停止
されて、車両は2輪駆動状態になる。
【0119】なお、この場合には、トランスファ105
に駆動力断続用のクラッチを設ければ、プロペラシャフ
ト117を完全に静止状態に保つことが可能となり、騒
音、振動、摩耗などが大きく軽減されると共に、エンジ
ン101の燃費が向上する。
【0120】また、カップリング1を矢印151,15
7の位置に設けた場合は、後車軸121,123と後輪
125,127との間にハブクラッチ163,165を
配置し、これらの連結をカップリング1と連動して解除
すれば、カップリング1から後輪125,127までの
動力伝達系が、エンジン101の回転と後輪125,1
27による連れ回りの両方から遮断され、回転が停止し
て騒音、振動、摩耗などが大きく軽減されると共に、エ
ンジン101の燃費が向上する。
【0121】こうして、カップリング1が構成されてい
る。
【0122】上記のように、カップリング1は、ケ−ス
21と各ア−マチャ17との間で摩擦式のパイロットク
ラッチ19を形成した。
【0123】従って、多板式のパイロットクラッチを用
いた従来例と異なり、部品点数が少ないから、組付け作
業が容易で、組付け工数が少なくてすみ、低コストであ
る。
【0124】その上、カップリング1は軽量でコンパク
トになり、車載性が向上する。
【0125】また、パイロットクラッチ19は、多板ク
ラッチと異なって、オイルが通り易く、潤滑が容易であ
るから、摩耗や焼き付きの恐れが少なく、耐久性が高
い。
【0126】しかも、摩耗や焼き付きを防止するための
配慮が不要であるから、それだけ低コストに実施でき
る。
【0127】前記パイロットクラッチ19のア−マチャ
17が受けるオイルの粘性と抵抗は、多板クラッチと較
べて軽微であるから、連結操作と連結解除操作に対する
カップリング1のレスポンスは極めて速く、車両の操縦
性などが大きく向上する。
【0128】また、ア−マチャ17の外周側にパイロッ
トクラッチ19を設けたことにより、遠心力が各ア−マ
チャ17に掛かって生じる遠心クラッチ機能によって、
パイロットクラッチ19の滑りが抑制され、ボ−ルカム
11のスラスト力低下が防止される。
【0129】このように、カップリング1は、回転速度
が高くなる程大きなトルク容量が得られるから、高速走
行中の車両の加速性を向上させる。
【0130】パイロットクラッチ19が遠心クラッチ機
能を持つカップリング1は、車両の発進クラッチに最適
であり、上記のように、発進時や加速時にパイロットク
ラッチ19の連結力が急速に立ち上がり、大きな駆動力
を瞬時に後輪125,127に伝達するから、車両の発
進性と加速性が大きく向上する。
【0131】また、発進時と加速時に車体の重心が移動
する後輪125,127側にカップリング1を配置した
ことにより、カップリング1を介して後輪125,12
7に大きな駆動力が伝達され、発進性と加速性がさらに
大きく向上する。
【0132】また、パイロットクラッチ19の連結力が
遠心クラッチ機能によって強化されるから、パイロット
クラッチ19、電磁石7などをそれだけ小型にすること
が可能になり、カップリング1はさらにコンパクトにな
り、車載性が向上する。
【0133】さらに、ア−マチャ17にスプライン連結
されたカムリング15と、メインクラッチ9の押圧部材
であるプレッシャプレ−ト13との間にボ−ルカム11
を設ける構成はレイアウトが容易であり、低コストに実
施できる。
【0134】しかも、プレッシャプレ−ト13をボ−ル
カム11のカム部材に利用したことにより、カップリン
グ1はそれだけコンパクトに構成され、車載性が向上す
る。
【0135】また、ア−マチャ17と回転ケ−ス3の径
方向外側に電磁石7のコア27とコイル25とを配置し
たから、これらを回転ケ−ス3の軸方向に配置する構成
と較べて、カップリング1は軸方向にコンパクトにな
り、車載性が向上する。
【0136】このように電磁石7を回転ケ−ス3の径方
向外側に配置する構成は、ア−マチャ17を径方向外側
に吸引するカップリング1に最適である。
【0137】前記ベアリング37を介して電磁石7の支
持部29をデフキャリヤ135に支承したから、ケ−ス
21と電磁石7の間のエアギャップ79を所定の狭い間
隔に正確に調整することができる。
【0138】従って、エアギャップ79を含む磁気回路
の磁気抵抗が小さくなって安定し、カップリング1はト
ルク容量がそれだけ大きくなり、性能が安定する。
【0139】なお、請求項2の発明は、メインクラッチ
の差動制限力によって差動機構の差動回転が制限される
デファレンシャル装置であり、請求項1のカップリング
と同様の効果を得る。
【0140】また、請求項5で説明したように、本発明
のカップリング及びデファレンシャル装置は、電磁石の
コイルをケ−ス状トルク伝達部材の径方向外側に配置
し、コアによってケ−ス状トルク伝達部材の軸方向側面
に磁力を導いてもよい。また、コイルをケ−ス状トルク
伝達部材の軸方向側面に配置し、コアによってケ−ス状
トルク伝達部材の外周に磁力を導いてもよい。
【0141】さらに、請求項1,2で説明したように、
本発明のカップリング及びデファレンシャル装置は、電
磁石を励磁するとパイロットクラッチが連結される正作
動構成にしても、あるいは、電磁石の励磁を停止する
と、付勢部材によってパイロットクラッチが連結される
負作動構成にしてもよい。
【0142】負作動構成の場合、パイロットクラッチが
連結されている間は電磁石が休止し、バッテリの負担が
軽減して、エンジンの燃費が向上する。
【0143】また、本発明において、メインクラッチは
湿式クラッチでも、乾式クラッチでもよい。
【0144】
【発明の効果】請求項1のカップリングは、多板式のパ
イロットクラッチを用いないから、部品点数が少なく、
組付けが容易で、低コストであると共に、軽量、コンパ
クトであり、車載性が向上する。
【0145】また、ア−マチャとケ−ス状トルク伝達部
材との間に形成した摩擦式のパイロットクラッチは、多
板クラッチと異なって、潤滑が容易であるから、摩耗や
焼き付きの恐れが少なく、耐久性が高い上に、摩耗や焼
き付きを防止するための配慮が不要であり、それだけ低
コストに実施できる。
【0146】しかも、このパイロットクラッチが受ける
オイルの粘性と抵抗は、多板クラッチと較べて軽微であ
るから、連結操作と連結解除操作に対するレスポンスが
極めて速くなり、車両の操縦性などが大きく向上する。
【0147】請求項2のデファレンシャル装置は、ア−
マチャとケ−ス状トルク伝達部材との間に摩擦式のパイ
ロットクラッチを形成したことにより、請求項1のカッ
プリングと同様の効果を得る。
【0148】請求項3の発明は、請求項1,2と同等の
効果を得ると共に、パイロットクラッチが遠心クラッチ
になり、高速回転するとき大きなトルク容量が得られ、
カップリングは車両の高速走行性を向上させ、デファレ
ンシャル装置は高速走行時に大きな差動制限力が得られ
る。
【0149】また、この構成のカップリングは発進クラ
ッチに最適であり、瞬時に大きな駆動力を車輪に伝達し
て車両の発進性と加速性を大きく向上させる。
【0150】しかも、発進時や加速時に車輪間の差動回
転を大きく制限するデファレンシャル装置は、良路と悪
路の両方で車両の発進性と加速性を大きく向上させる。
【0151】さらに、パイロットクラッチの連結力が遠
心クラッチ機能によって強化されるから、パイロットク
ラッチ、電磁石、付勢部材などをそれだけ小型にするこ
とが可能になり、装置がさらにコンパクトになり、車載
性が向上する。
【0152】請求項4の発明は、請求項1〜3と同等の
効果を得ると共に、レイアウトが容易で、低コストに実
施できる。
【0153】また、カムの他側部材にメインクラッチの
押圧部材を利用したことにより、装置がさらにコンパク
トになり、車載性が向上する。
【0154】請求項5の発明は、請求項1〜4と同等の
効果を得ると共に、装置が軸方向にコンパクトになり、
車載性が向上する。
【0155】請求項6の発明は、請求項1〜5と同等の
効果を得ると共に、エアギャップを含む磁気回路の磁気
抵抗が小さくなって安定し、装置の性能が向上し、安定
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のカップリングを示す断面図であ
る。
【図2】図1のカップリングに用いられたア−マチャを
示す図面である。
【図3】図1のカップリングが用いられた4輪駆動車の
動力系を示すスケルトン機構図である。
【図4】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 カップリング 3 回転ケ−ス(ケ−ス状トルク伝達部材) 5 インナ−シャフト(軸状トルク伝達部材) 7 電磁石 9 メインクラッチ 11 ボ−ルカム(カム) 13 プレッシャプレ−ト(押圧部材) 15 カムリング(カムの一側部材) 17 リング片状のア−マチャ 19 パイロットクラッチ(摩擦クラッチ) 25 電磁石7のコイル 27 電磁石7のコア 37 電磁石7をデフキャリヤ135側に支承するボ−
ルベアリング 71 ア−マチャ17の内周に形成されたスプライン
(カムリング15との連結部) 73 カムリング15の外周に形成されたスプライン
(ア−マチャ17との連結部) 75 ア−マチャ17の外周に形成されたパイロットク
ラッチの摩擦面 77 ケ−ス21の内周に形成されたパイロットクラッ
チの摩擦面 135 デフキャリヤ(静止側ケ−シング)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケ−ス状トルク伝達部材と、このケ−ス
    状トルク伝達部材に貫入した軸状トルク伝達部材と、こ
    れら両トルク伝達部材の間に配置されたメインクラッチ
    と、電磁石、または、付勢部材によって連結操作される
    パイロットクラッチと、パイロットクラッチが連結され
    ると両トルク伝達部材の間の伝達トルクを受けて作動し
    メインクラッチを連結させるカムと、これらを収容する
    静止側ケ−シングとを備え、パイロットクラッチが、カ
    ムの一側部材に移動自在に連結されたア−マチャとケ−
    ス状トルク伝達部材との間に形成された摩擦クラッチで
    あり、電磁石、または、付勢部材がア−マチャをケ−ス
    状トルク伝達部材側に移動させることによってパイロッ
    トクラッチが締結されることを特徴とするカップリン
    グ。
  2. 【請求項2】 エンジンの駆動力によって回転するケ−
    ス状トルク伝達部材と、このケ−ス状トルク伝達部材の
    回転を一対の軸状トルク伝達部材を介して車輪側に配分
    する差動機構と、ケ−ス状トルク伝達部材と一方の軸状
    トルク伝達部材との間に配置され差動機構の差動を制限
    するメインクラッチと、電磁石、または、付勢部材によ
    って連結操作されるパイロットクラッチと、パイロット
    クラッチが連結されると両トルク伝達部材の間の伝達ト
    ルクを受けて作動しメインクラッチを連結させるカム
    と、これらを収容する静止側ケ−シングとを備え、パイ
    ロットクラッチが、カムの一側部材に移動自在に連結さ
    れたア−マチャとケ−ス状トルク伝達部材との間に形成
    された摩擦クラッチであり、電磁石、または、付勢部材
    がア−マチャをケ−ス状トルク伝達部材側に移動させる
    ことによってパイロットクラッチが締結されることを特
    徴とするデファレンシャル装置。
  3. 【請求項3】 請求項1,2に記載の発明であって、パ
    イロットクラッチのア−マチャが、全体としてリング状
    を呈する複数個のリング片であり、パイロットクラッチ
    が、各ア−マチャ外周の摩擦面とケ−ス状トルク伝達部
    材内周の摩擦面とで形成されており、電磁石、または、
    付勢部材が各ア−マチャを径方向外側に移動させること
    によってパイロットクラッチが締結されることを特徴と
    するカップリング、または、デファレンシャル装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の発明であ
    って、カムが、軸状トルク伝達部材に対して移動自在に
    連結された押圧部材と、パイロットクラッチのア−マチ
    ャに連結された前記一側部材との間に設けられており、
    伝達トルクを受けてカムが作動すると、そのカムスラス
    ト力によって押圧部材が移動しメインクラッチを連結さ
    せることを特徴とするカップリング、または、デファレ
    ンシャル装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載の発明であ
    って、電磁石のコアとコイルが、ア−マチャ及びケ−ス
    状トルク伝達部材の径方向外側に配置されていることを
    特徴とするカップリング、または、デファレンシャル装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載の発明であ
    って、ケース状トルク伝達部材が電磁石と、ベアリング
    を介して静止側ケ−シングに支承されていることを特徴
    とするカップリング、または、デファレンシャル装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009536308A (ja) * 2006-05-01 2009-10-08 ダナハー モーション 制動又はクラッチ装置
JP2014505218A (ja) * 2011-02-08 2014-02-27 シェフラー テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト パイロットクラッチ及びメインクラッチを備えるクラッチ

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JP2014505218A (ja) * 2011-02-08 2014-02-27 シェフラー テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト パイロットクラッチ及びメインクラッチを備えるクラッチ

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