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JP2001330060A - カップリング及びデファレンシャル装置 - Google Patents

カップリング及びデファレンシャル装置

Info

Publication number
JP2001330060A
JP2001330060A JP2000149956A JP2000149956A JP2001330060A JP 2001330060 A JP2001330060 A JP 2001330060A JP 2000149956 A JP2000149956 A JP 2000149956A JP 2000149956 A JP2000149956 A JP 2000149956A JP 2001330060 A JP2001330060 A JP 2001330060A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cam
clutch
differential
coupling
pressure plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000149956A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazunori Kuroda
和典 黒田
Takuo Kimura
拓夫 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tochigi Fuji Sangyo KK filed Critical Tochigi Fuji Sangyo KK
Priority to JP2000149956A priority Critical patent/JP2001330060A/ja
Publication of JP2001330060A publication Critical patent/JP2001330060A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カム機構のカム部材を確実に初期位置に戻
す。 【解決手段】 カップリング1は、ケ−ス状のトルク伝
達部材3と、ケ−ス状のトルク伝達部材に貫入した軸状
のトルク伝達部材9と、両トルク伝達部材3,9の間に
配置されたメインクラッチ11と、操作手段51によっ
て断続操作されるパイロットクラッチ19と、パイロッ
トクラッチ19が連結されると、両トルク伝達部材3,
9に掛かる伝達トルクを受けて作動し、生じた軸方向の
スラスト力によってメインクラッチ11を連結させるカ
ム機構11とを備える。カム機構12のカム部材15,
17間に、カム部材15,17を回転方向且つ軸方向に
付勢して初期位置に戻す付勢手段14,16を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、パイロットクラ
ッチが連結されると作動するカムによって断続するメイ
ンクラッチによって動力を伝達するカップリングと、こ
のカップリングを用いて差動制限力を制御するデファレ
ンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のカップリング及びこのカップリン
グを用いたデファレンシャル装置としては、「ガイア新
型車解説書 0−22頁 トヨタ自動車株式会社 編集
同サ−ビス部 発行 1998年5月29日」に図1
1のようなカップリング201が記載されている。
【0003】このカップリング201は、4輪駆動車の
後輪側動力伝達系に配置されており、回転ケ−ス20
3、クラッチハブ205、多板式のメインクラッチ20
7及びパイロットクラッチ209、ア−マチャ211、
電磁石213、カムリング215、ボ−ルカム217、
プレッシャープレート219、コントロ−ラなどから構
成されている。
【0004】カップリング201は、デフキャリヤ22
1に収容されており、電磁石213のコア223はデフ
キャリヤ221の内周に支持されている。
【0005】回転ケ−ス203は前部をベアリング22
5により、また、後部を電磁石213のコア223とベ
アリング227により、それぞれデフキャリヤ221に
支承されている。
【0006】回転ケ−ス203はプロペラシャフトを介
してトランスファからトランスミッション側に連結され
ている。また、クラッチハブ205にはドライブピニオ
ンシャフト229がスプライン連結されており、これと
一体に形成されたドライブピニオンギヤ231はリヤデ
フ(エンジンの駆動力を左右の後輪に配分するデファレ
ンシャル装置)側のリングギヤと噛み合っている。
【0007】メインクラッチ207は回転ケ−ス203
とクラッチハブ205との間に配置されており、パイロ
ットクラッチ209は回転ケ−ス203とカムリング2
15との間に配置されている。
【0008】ボ−ルカム217はカムリング215とプ
レッシャープレート219との間に配置されており、プ
レッシャープレート219はハブ205にスプライン連
結されている。
【0009】コントロ−ラは、電磁石213の励磁、励
磁電流の制御、励磁停止などを行う。そして、電磁石2
13が励磁されると、磁気回路に磁気ル−プ233が形
成されてア−マチャ211が吸引され、パイロットクラ
ッチ209が押圧されて締結される。パイロットクラッ
チ209が締結されると、回転ケ−ス203とクラッチ
ハブ205の間のトルクがボ−ルカム217に掛かり、
生じたカムスラスト力によりプレッシャープレート21
9を介してメインクラッチ207が押圧され締結され
る。
【0010】こうしてカップリング201が連結される
と、エンジンの駆動力が後輪に送られて車両は4輪駆動
状態になり、悪路の走破性や、車体の安定性が向上す
る。
【0011】また、電磁石213の励磁電流を制御する
と、パイロットクラッチ209の滑りによってボ−ルカ
ム217のカムスラスト力が変化し、メインクラッチ2
07の連結力が変化して後輪の駆動力が調整される。
【0012】一方、電磁石213の励磁を停止すると、
パイロットクラッチ209が開放されてボ−ルカム21
7のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ207が
開放されてカップリング201の連結が解除され、車両
は2輪駆動状態になる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このような構造におい
ては、走行条件の変化やカップリング内に封入されたオ
イルなどによって、引きずりトルクが発生することがあ
る。特に、引きずりトルクがパイロットクラッチ209
に発生すると、カムリング215、ボールカム217、
プレッシャープレート219からなるカム機構によって
増幅されるため、メインクラッチ207への影響が大き
くなる。
【0014】このため、従来では、この対策として、引
きずりトルクに対してプレッシャープレート219を押
し戻すリターンスプリングを配置している。
【0015】しかしながら、リターンスプリングはカム
機構によって増幅された押圧力を押し戻すことから、大
きなスプリング力を必要としており、必然的に大きなス
プリングとなってしまう。また逆に、パイロットクラッ
チ209の接続時には、このリターンスプリングの大き
な押し戻し力に抗した押圧力が必要となり、このため、
カム機構を大きくする必要があるというような、相反し
たこととなってしまう。従って、カップリング201全
体の重量が大きくなると共に、大型化し、車載性や周辺
設計に影響を与えてしまう。
【0016】さらに、引きずりトルクが発生した場合に
は、リターンスプリングと、回転体であるプレッシャー
プレート219との摺動部分にカジリが発生するのを防
止するため、摺動部分にワッシャー等のカジリ防止部材
を配置する必要がある。これにより、部品点数が多くな
り、構造が複雑となる問題も有している。
【0017】そこで、本発明は、大きなリターンスプリ
ングを設けることなく、引きずりトルクに対向すること
が可能で、軽量化及び小型化が可能な構造のカップリン
グ及び、このカップリングを用いて差動制限力を制御す
るデファレンシャル装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明のカップ
リングは、ケ−ス状のトルク伝達部材と、このケ−ス状
のトルク伝達部材に貫入した軸状のトルク伝達部材と、
これら両トルク伝達部材の間に配置されたメインクラッ
チと、操作手段によって断続操作されるパイロットクラ
ッチと、パイロットクラッチが連結されると、両トルク
伝達部材に掛かる伝達トルクを受けて作動し、生じた軸
方向のスラスト力によってメインクラッチを連結させる
カム機構とを備えた構造であって、前記カム機構のカム
部材間に、該カム部材を回転方向且つ軸方向に付勢して
初期位置に戻す付勢手段を設けたことを特徴としてい
る。
【0019】パイロットクラッチが連結されると、ケー
ス状のトルク伝達部材及び軸状のトルク伝達部材間のス
ラスト力によってカム機構が作動し、メインクラッチが
押圧され締結される。
【0020】本発明では、カム機構のカム部材間に付勢
手段を設けたため、引きずりトルクが発生しても、この
トルクがカム機構によって増幅される前にカム部材を回
転方向且つ軸方向の初期位置に戻すため、小さな力でカ
ム部材を戻すことができる。このため、引きずりトルク
に対向するために付勢手段及びカム機構を大きくする必
要がなく、軽量化及び小型化することができ、ひいて
は、車載性や周辺設計の自由度も向上することができ
る。
【0021】また、付勢手段がカム部材間に配置される
ため、付勢手段が回転部材と摺動することがなく、カジ
リが発生する心配がない。従って、カジリ防止部材が不
要となり、構造をより簡単にすることができる。
【0022】さらに、付勢手段は回転方向及び軸方向に
付勢するため、引きずりトルクが捩り方向及び引っ張り
方向に作用してもカム部材を確実に戻すことができ、レ
スポンスが向上する。
【0023】請求項2の発明は、請求項1記載の発明で
あって、前記付勢部材がコイルスプリングであることを
特徴としている。
【0024】付勢手段をコイルスプリングとすることに
より、簡単な構造で回転方向及び軸方向に付勢すること
ができる。
【0025】請求項3の発明は、請求項1記載の発明で
あって、前記付勢部材がトーションスプリングであるこ
とを特徴としている。
【0026】トーションスプリングが捩られることによ
り、回転方向及び軸方向への復元トルクが蓄積されるた
め、簡単な構造で回転方向及び軸方向に付勢することが
できる。
【0027】請求項4の発明は、請求項1記載の発明で
あって、前記付勢部材としてコイルスプリング及びトー
ションスプリングを設けたことを特徴としている。
【0028】コイルスプリングが主に軸方向に付勢し、
トーションスプリングが回転方向に付勢するため、カム
部材を確実に初期位置に戻すことができる。
【0029】請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれ
か一項に記載の発明であって、操作手段が、ア−マチャ
を移動操作してパイロットクラッチを押圧し連結させる
電磁石であることを特徴としている。
【0030】操作手段を電磁石とすることにより制御性
が向上し、より細やかに制御することができる。
【0031】請求項6の発明のデファレンシャル装置
は、エンジンの駆動力によって回転するケ−ス状のトル
ク伝達部材と、このケ−ス状のトルク伝達部材の回転を
一対の軸状のトルク伝達部材を介して車輪側に配分する
差動機構と、トルク伝達部材の間に配置されたクラッチ
で差動機構の差動を制限する請求項1〜5のいずれか一
項に記載のカップリングとを備えたことを特徴としてい
る。
【0032】この発明では、カップリングのパイロット
クラッチの連結により、差動機構の差動トルクを受けて
カム機構が作動し、変換されたカムスラスト力によりメ
インクラッチが押圧されて締結され、その摩擦抵抗によ
って差動が制限される。
【0033】この差動制限力によって、片輪の空転が制
限され、車両の発進性と加速性、悪路の走破性と脱出性
などが向上する。
【0034】また、カップリング側において、操作手段
を調整してパイロットクラッチに適度の滑りを与える
と、カム機構のカムスラスト力が変わり、メインクラッ
チの連結力が変化して差動制限力が調整される。
【0035】そこで、旋回時にこのように差動制限力を
調整すると、旋回性と旋回時の車体の安定性とが大きく
向上する。
【0036】また、パイロットクラッチの連結を解除す
ると、カム機構のカムスラスト力が消失してメインクラ
ッチも開放され、差動機構の差動回転が自由になる。
【0037】これに加えて、本発明のデファレンシャル
装置では、カム機構のカム部材間に付勢手段を設けたこ
とにより、走行条件の変化などによって、引きずりトル
クが発生しても、カム部材を初期位置に確実に戻すた
め、差動機構の制限を確実に行うことができる。
【0038】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1〜図3によ
って本発明の第1実施形態を説明する。
【0039】この実施形態のカップリング1は、4輪駆
動車において、切り離し側にしたリヤデフとエンジン
(トランスファ)側との間に配置されており、請求項
1、2、3、4、5の特徴を備えている。また、図1の
左方はこの車両の前方(エンジン側)に相当する。な
お、符号を与えていない部材等は図示されていない。
【0040】カップリング1は、クラッチハウジング
3、動力伝達軸5、クラッチハブ9、メインクラッチ1
1、カム機構12、パイロットクラッチ19、電磁石5
1などから構成されている。
【0041】カップリング1は、車体側に固定されたケ
ーシングに収容されている。クラッチハウジング3は、
ケース状のトルク伝達部材を構成するものであり、前後
に開口部21、23を有する円筒状に形成されており、
非磁性体のアルミニウム材料またはステンレス材料で作
られている。動力伝達軸5は鋼製で、フランジ部25が
形成されている。フランジ部25はクラッチハウジング
3の前側の開口部21にボルト27で固定されている。
【0042】動力伝達軸5には、コンパニオンフランジ
(図示省略)がセレーション連結され、ナットで固定さ
れている。コンパニオンフランジは、プロペラシャフト
側のフランジに連結されることにより、エンジン(トラ
ンスファ)側に連結されている。
【0043】クラッチハウジング3の後側の開口部23
には、磁性体のリング状ロータ31が取り付けられ、止
め輪33で位置決めされている。このロータ31は、凸
部35をクラッチハウジング3の溝37に係合すること
によって、クラッチハウジング3と一体に回転する。
【0044】動力伝達軸5とクラッチハウジング3とロ
ータ31は、上記のように、一体にされており、これら
は動力伝達軸5上のベアリング39とロータ31上のベ
アリング41によって上記の車体側ケーシングに支承さ
れている。
【0045】クラッチハブ9は、クラッチハウジング3
の内部に配置されており、前端部をボールベアリング4
3によって動力伝達軸5のフランジ部25に支承され、
後端部をニードルベアリング45によってロータ31に
支承されている。
【0046】また、このクラッチハブ9は、軸状トルク
伝達部材を構成するものであり、リヤデフ側のドライブ
ピニオンシャフトにセレーション連結されている。
【0047】メインクラッチ11は多板クラッチであ
り、クラッチハウジング3とクラッチハブ9との間に配
置されている。
【0048】カム機構12は、ボールカム13、プレッ
シャープレート15、カムリング17から構成されてい
る。ボールカム13は、プレッシャープレート15とカ
ムリング17との間に配置されている。
【0049】プレッシャープレート15は、クラッチハ
ブ9に軸方向移動可能にスプライン連結されており、ボ
ールカム13のスラスト力によってメインクラッチ11
を押圧し、締結させる。
【0050】カムリング17は、クラッチハブ9の外周
に配置されており、カムリング17とロータ31との間
には、ボールカム13のカム反力を受けるスラストベア
リング47が配置されている。
【0051】このスラストベアリング47は、カムリン
グ17とロータ31との間に設けられた凹部48に配置
されており、それだけ、配置スペースが小さくなってい
るから、スラストベアリング47を配置しても、周辺部
材に軸方向のスペース上の制約が掛かることはない。
【0052】図2に示すように、カム機構12を構成す
るプレッシャープレート15及びカムリング17はいず
れもリング状となって対向しており、これらの間には、
付勢手段としてのコイルスプリング14及びトーション
スプリング16が設けられている。コイルスプリング1
4及びトーションスプリング16は対となっており、リ
ング状のプレッシャープレート15及びカムリング17
の周方向に沿って等間隔で複数箇所(3箇所)に設けら
れている。
【0053】コイルスプリング14及びトーションスプ
リング16は、プレッシャープレート15及びカムリン
グ17の周方向の対向部位に形成された取付凹部18,
20にそれぞれ取り付けられることにより、プレッシャ
ープレート15及びカムリング17の間に配置される。
【0054】コイルスプリング14が取り付けられる取
付凹部18はT字形スリットとなっており、コイルスプ
リング14の両端部が挿入されることにより、コイルス
プリング14は両端部が係合状態となってプレッシャー
プレート15及びカムリング17の間に配置される。従
って、プレッシャープレート15及びカムリング17を
主に、図3の矢印T1で示すように軸方向に付勢してお
り、プレッシャープレート15及びカムリング17を軸
方向の初期位置に戻すように作用する。
【0055】一方、トーションスプリング16が取り付
けられる取付凹部20は、直線状のスリットとなってお
り、このスリット状の取付凹部20内にトーションスプ
リング16が挿入されることにより、プレッシャープレ
ート15及びカムリング17の間に配置される。従っ
て、プレッシャープレート15及びカムリング17を主
に、図3の矢印T2で示すように回転方向(捩り方向)
に付勢しており、プレッシャープレート15及びカムリ
ング17を回転方向の初期位置に戻すように作用する。
【0056】これらのコイルスプリング14及びトーシ
ョンスプリング16は、プレッシャープレート15及び
カムリング17の間に設けられていることにより、引き
ずりトルクが発生しても、引きずりトルクがカム機構に
よって増幅される前にプレッシャープレート15及びカ
ムリング17を回転方向且つ軸方向の初期位置に戻すた
め、小さな力でプレッシャープレート15及びカムリン
グ17を戻すことができる。
【0057】なお、プレッシャープレート15は、リン
グ22を固定して一体化されている。このリング22の
内周にはスプライン部24が設けられ、スプライン部2
4はクラッチハブ9の外周にスプライン連結されてい
る。
【0058】プレッシャープレート15とスプライン部
24を有するリング22とはそれぞれを別体に加工した
後、これらを固定する。従って、リング22は単体でス
プライン部24を機械加工することができ、また、熱処
理することができるから、機械加工が容易であると共
に、プレッシャプレート15に影響を与えずに行える熱
処理も容易であり、それだけ加工コストを低減すること
ができる。
【0059】パイロットクラッチ19は、多板クラッチ
からなり、クラッチハウジング3とカムリング17との
間に配置されている。このパイロットクラッチ19は操
作手段としての電磁石51によって断続操作される。な
お、上記のように、スラストベアリング47が周辺部材
にスペース上の制約を与えないから、多板クラッチ19
は必要なクラッチ板枚数を用いて、充分な容量が与えら
れている。
【0060】電磁石51は、車体側ケーシングに固定さ
れていると共に、そのヨーク55は適度な隙間を介して
ロータ31の凹部57に貫入している。このヨーク55
には、シールベアリング59を介してロータ31が支承
されている。
【0061】また、電磁石51はリード線54を介して
バッテリに接続されており、その励磁と励磁停止の操作
はコントローラによって行われる。
【0062】アーマチャ53はパイロットクラッチ19
の前側に隣接して配置されている。ロータ31とパイロ
ットクラッチ19とアーマチャ53によって、電磁ソレ
ノイド51の磁気回路61が構成されている。
【0063】ロータ31には非磁性体であるステンレス
スチールのリング63が配置され、磁気回路61の磁力
のバイパスを防止している。また、パイロットクラッチ
19にはリング63と対応する位置に切り欠き65が設
けられ、磁気回路61の磁力のバイパスを防止してい
る。
【0064】電磁石51が励磁されると、この磁気回路
61を介してアーマチャ53が吸引され、パイロットク
ラッチ19を押圧して締結させ、パイロットトルクを発
生させる。
【0065】パイロットクラッチ19にパイロットトル
クが発生すると、クラッチハウジング3からパイロット
クラッチ19とカムリング17とを介してボールカム1
3にエンジンの駆動力が掛かり、そのスラスト力により
プレッシャープレート15を介してメインクラッチ11
が押圧されて締結し、カップリング1が連結される。
【0066】カップリング1が連結されると、リヤデフ
がエンジン側に連結され、車両は4輪駆動状態になる。
【0067】このとき、コントローラによって電磁石5
1の磁力の強さを制御すれば、滑りによってパイロット
クラッチ19のパイロットトルクが変化し、ボールカム
13のスラスト力が変わるから、メインクラッチ11と
カップリング1の連結力を調整することができる。
【0068】このように、カップリング1の連結力を調
整することによって、車両の前輪と後輪との間でトルク
配分比を任意に調整することができる。
【0069】また、電磁石51の励磁を停止すると、パ
イロットクラッチ19のパイロットトルクが消失し、メ
インクラッチ11が開放され、カップリング1の連結が
解除される。
【0070】カップリング1の連結が解除されると、リ
ヤデフが切り離されて、車両は前輪駆動の2輪駆動状態
になる。
【0071】また、クラッチハウジング3が非磁性体で
作られており、電磁石51が励磁されたとき、磁力がク
ラッチハウジング3を介して他の部材側に漏洩すること
が防止されるから、アーマチャ53に磁気が効率良く導
かれ、パイロットクラッチ19による所定のパイロット
トルクが得られる。
【0072】また、上記のように、一体の容器を形成し
ている動力伝達軸5とクラッチハウジング3とロータ3
1の内部には、動力伝達軸5のフランジ部25に設けら
れたオイル孔67からオイルが注入される。オイル注入
後このオイル孔67はボール69によってシールされ
る。
【0073】また、動力伝達軸5のフランジ部25とク
ラッチハウジング3との間にはOリング71が配置さ
れ、クラッチハウジング3とロータ31との間にはOリ
ング73が配置され、ロータ31とクラッチハブ9との
間にはXリング75が配置されており、それぞれ外部へ
のオイル洩れを防止している。
【0074】こうして封入されたオイルは、クラッチハ
ブ9に設けられたオイル溜り77に保持される。また、
クラッチハブ9にはこのオイル溜り77と連通する径方
向のオイル流路79が設けられている。
【0075】クラッチハブ9が回転すると、オイルはオ
イル溜り77から各オイル流路79を通り、メインクラ
ッチ11やボールベアリング43に与えられてこれらを
潤滑し、さらに、ボールカム13、スラストベアリング
47、パイロットクラッチ19、Xリング75などを潤
滑する。
【0076】こうして、カップリング1が構成されてい
る。
【0077】上記のように、プレッシャープレート15
及びカムリング17の間に、コイルスプリング14及び
トーションスプリング16を配置して、プレッシャープ
レート15及びカムリング17を回転方向及び軸方向の
初期位置に戻すように付勢している。
【0078】このように、プレッシャープレート15及
びカムリング17を回転方向及び軸方向の初期位置に戻
すように付勢するコイルスプリング14及びトーション
スプリング16をこれらの間に配置することにより、引
きずりトルクが発生しても、引きずりトルクがカム機構
によって増幅される前にプレッシャープレート15及び
カムリング17を回転方向且つ軸方向の初期位置に戻
す。従って、小さな力でプレッシャープレート15及び
カムリング17を戻すことができる。
【0079】このように小さな力でプレッシャープレー
ト15及びカムリング17を戻すことができるため、コ
イルスプリング14及びトーションスプリング16を大
きなものとする必要がなくなる。
【0080】また、コイルスプリング14及びトーショ
ンスプリング16が小さな力で作用するため、パイロッ
トクラッチ19の接続のために大きな押圧力が必要な
く、プレッシャープレート15及びカムリング17を大
きなものとする必要がない。
【0081】このように、コイルスプリング14及びト
ーションスプリング16からなる付勢手段及びプレッシ
ャープレート15及びカムリング17からなるカム部材
を大きなものとする必要がないため、カップリング1全
体の重量を小さくすることができると共に小型化するこ
とができ、車載性及び周辺設計の自由度を高めることが
できる。
【0082】また、コイルスプリング14及びトーショ
ンスプリング16がプレッシャープレート15及びカム
リング17の間に配置されるため、摺動することがな
く、カジリが発生する心配がない。従って、カジリ防止
部材が不要となり、構造を簡単にすることができる。
【0083】さらに、コイルスプリング14及びトーシ
ョンスプリング16は回転方向及び軸方向に付勢するた
め、引きずりトルクが捩り方向及び引っ張り方向に作用
してもプレッシャープレート15及びカムリング17を
確実に戻すことができ、レスポンスが向上する。
【0084】この実施形態では、パイロットクラッチ1
9を締結するために電磁石51を用いている。電磁石5
1は磁力の強さを制御することが容易であり、このた
め、上記のようなカップリング1の連結の制御を行うこ
とができる。このため、制御性が向上する。
【0085】加えて、電磁石51に対応して、クラッチ
ハウジング3を非磁性体にしている。このことにより、
電磁石51の磁力がクラッチハウジング3から他の部材
側に漏洩することが防止され、励磁電力のロスが大きく
低減し、バッテリの負担が軽減し、エンジンの燃費が向
上する。また、磁気の漏洩が防止されるから、電磁石5
1、パイロットクラッチ19、ボールカム13などを小
型化することが可能になり、さらには、メインクラッチ
11も小型化が可能になるから、それだけカップリング
1を、軽量で、コンパクトにすることができる。
【0086】図4〜図6は、この実施形態の付勢部材の
異なる実施形態を示している。この実施形態では、プレ
ッシャープレート15及びカムリング17を初期位置に
戻す付勢手段として、C型のトーションスプリング26
を用いている。トーションスプリング26は、長さ方向
の両端部にフック部28、29を有しており、一方のフ
ック部28をプレッシャープレート15のフックスリッ
ト30に挿入し、他方のフック部29をカムリング17
のフックスリット32に挿入することにより、プレッシ
ャープレート15及びカムリング17の間に配置され
る。
【0087】このようなC型のトーションスプリング2
6では、プレッシャープレート15及びカムリング17
を、図5の矢印T2で示すように回転方向(捩り方向)
に付勢しており、プレッシャープレート15及びカムリ
ング17を回転方向の初期位置に戻すように作用する。
また、図6の矢印T1で示すように、プレッシャープレ
ート15及びカムリング17を軸方向に付勢しており、
プレッシャープレート15及びカムリング17を軸方向
の初期位置に戻すように作用する。
【0088】従って、引きずりトルクが発生しても、引
きずりトルクがカム機構によって増幅される前にプレッ
シャープレート15及びカムリング17を回転方向且つ
軸方向の初期位置に戻すため、小さな力でプレッシャー
プレート15及びカムリング17を戻すことができる。
また、単一のトーションスプリングだけで回転方向及び
軸方向の戻しを行うため、付勢手段を簡単な構造とする
ことができ、小型化及び軽量化が可能となる。
【0089】なお、トーションスプリングに代えて、コ
イルスプリングだけを用いて付勢手段とすることも可能
である。この場合には、図2及び図3のトーションスプ
リング16を省略し、複数のコイルスプリング14を周
方向に配置しても良く、後述する図9及び図10のよう
な大径で巻回されたコイルスプリングだけとしても良
い。このようなコイルスプリングにおいても、軸方向の
みならず、回転方向に対しても付勢することが可能であ
る。
【0090】(第2実施形態)図7は本発明の第2実施
形態であるデファレンシャル装置(リヤデフ)80を示
す。この実施形態では、第1実施形態と同機能の部材に
は同一の符号を与えている。
【0091】リヤデフ80は、請求項1〜6の特徴を備
えている。リヤデフ80は、エンジンの駆動力を左右の
後輪に配分するものであり、後輪駆動車の後車軸上に配
置されている。この動力系は、エンジン、トランスミッ
ション、プロペラシャフト、リヤデフ80、左右の後車
軸、左右の後輪などから構成されている。
【0092】リヤデフ80はデフキャリヤの内部に配置
されており、デフキャリヤにはオイル溜まりが設けられ
ている。
【0093】リヤデフ80は、デフケース81、ベベル
ギヤ式の差動機構90、第1実施形態の電磁式のカップ
リング1、コントローラなどから構成されている。
【0094】カップリング1は、多板式のメインクラッ
チ11及びパイロットクラッチ19、カム機構12、中
間押圧部材95、アーマチャ53、電磁石51などから
構成されている。
【0095】デフケース81の軸方向両端に形成された
ボス部82,83はアンギュラーコンタクトベアリング
によってデフキャリヤに支承されている。
【0096】デフケース81にはリングギヤが固定され
ており、このリングギヤはドライブピニオンギヤと噛み
合っている。また、このドライブピニオンギヤはドライ
ブピニオンシャフトに形成されており、このドライブピ
ニオンシャフトはプロペラシャフト側に連結されてい
る。
【0097】こうして、エンジンの駆動力はトランスミ
ッションからプロペラシャフトを介してデフケース81
を回転駆動する。
【0098】差動機構90は、複数本のピニオンシャフ
ト94、これと同数のピニオンギヤ(入力ギヤ)91、
左右のサイドギヤ(出力ギヤ)92,93などから構成
されている。
【0099】各ピニオンシャフト94は放射状に配置さ
れており、それぞれの内側端部はスラストブロック38
によって互いに連結され、外側の端部はデフケース81
の貫通孔101に嵌合しスプリングピン102で固定さ
れている。
【0100】ピニオンギヤ91はピニオンシャフト94
上に支承されており、サイドギヤ92,93は左右から
各ピニオンギヤ91と噛み合っている。各ピニオンギヤ
91とデフケース81との間には球面ワッシャ103が
配置され、ピニオンギヤ91の遠心力と、サイドギヤ9
2,93との噛み合いによって生じる噛み合い反力の入
力軸方向(図上方)の分力を受けている。
【0101】左右の後車軸は、それぞれボス部82,8
3からデフケース81に貫入し、サイドギヤ92,93
にスプライン連結されている。
【0102】デフケース81を回転させるエンジンの駆
動力は、ピニオンシャフト94、ピニオンギヤ91、サ
イドギヤ92,93から後車軸に配分され、左右の後輪
に伝達される。
【0103】また、悪路などで後輪間に駆動抵抗差が生
じると、下記のように、カップリング1の差動制限機構
が解除されているときは、ピニオンギヤ91の自転によ
ってエンジンの駆動力は左右の後輪に差動配分される。
【0104】カップリング1のメインクラッチ11は、
左サイドギヤ92に形成されたボス部104の外周とデ
フケース81の内周との間に配置されている。なお、ボ
ス部104の外周には、スペーサ105が取り付けられ
ており、このスペーサ105を介してメインクラッチ1
1が配置されている。
【0105】また、ピニオンギヤ91との噛み合いによ
って生じる左サイドギヤ92のカム力はスペーサ105
を介してメインクラッチ9に入力するように構成されて
いる。
【0106】ここで言うカム力とは、入力ギヤであるピ
ニオンギヤ91と出力ギヤであるサイドギヤ92,93
との間の噛み合いによって生じるスラスト方向の分力で
ある。つまり、ベベルギヤでは噛み合い圧力角がカム角
になり、極めて大きなカム力を得ることができる。
【0107】一方、右サイドギヤ93のカム力はスラス
トワッシャ106を介してデフケース81に入力し、受
け止められる。
【0108】デフケース81の右端部には、ステンレス
鋼(非磁性材料)のリング107が溶接されており、こ
のリング107には右ボス部83と一体になった磁性材
料のロータ31が溶接されている。
【0109】パイロットクラッチ19は、このリング1
07とカム機構12のカムリング17との間に配置され
ている。
【0110】カム機構12は、ボールカム13、カムリ
ング17、プレッシャープレート15を備えている。
【0111】ボールカム13は、カムリング17とプレ
ッシャープレート15との間に配置されており、カムリ
ング17とロータ31との間には、ボールカム13のカ
ム反力を受けるスラストベアリング108とワッシャ1
09とが配置されている。
【0112】プレッシャープレート15は、右サイドギ
ヤ93に溶接されたボス部110に、スプライン部11
1によって移動自在に連結されている。
【0113】カム機構12のカムリング17及びプレッ
シャープレート15との対向部分には、凹部6が形成さ
れている。凹部6はこれらの周方向に沿って複数箇所に
形成されており、それぞれの凹部6内に、付勢手段とし
てのコイルスプリング7が挿入されている。コイルスプ
リング7はカムリング17及びプレッシャープレート1
5との間に設けられることにより、プレッシャープレー
ト15及びカムリング17を軸方向及び回転方向に付勢
しており、プレッシャープレート15及びカムリング1
7を軸方向及び回転方向の初期位置に戻すように作用す
る。
【0114】このようにコイルスプリング7が、プレッ
シャープレート15及びカムリング17の間に設けられ
ていることにより、引きずりトルクが発生しても、引き
ずりトルクがカム機構によって増幅される前にプレッシ
ャープレート15及びカムリング17を回転方向且つ軸
方向の初期位置に戻すため、小さな力でプレッシャープ
レート15及びカムリング17を戻すことができる。
【0115】中間押圧部材95は、メインクラッチ11
と対向して配置されリング96と、スラストワッシャ9
7を介してプレッシャープレート15と対向配置された
リング98と、ピニオンシャフト91の間を通って各リ
ング96,98を連結する腕部材99とから構成されて
いる。中間押圧部材95はリング96でスプライン部1
13によりデフケース81の内周に軸方向移動自在に連
結されており、プレッシャープレート15の押圧力をメ
インクラッチ11に伝達する。
【0116】この中間押圧部材95を用いたことによっ
て、メインクラッチ11を、カップリング1を構成する
他のパイロットクラッチ19、ボールカム13、カムリ
ング17、プレッシャープレート15、アーマチャ5
3、電磁石51などに対して差動機構90の軸方向反対
側に配置することが可能になっている。
【0117】また、カップリング1の構成要素を差動機
構90の軸方向両側に配置したことにより、重量と寸法
上のバランスが軸方向に整っている。
【0118】アーマチャ53は、パイロットクラッチ1
9とプレッシャープレート15との間に軸方向移動自在
に配置されている。
【0119】電磁石51のヨーク55は、ボールベアリ
ング114によってデフケース81のボス部83上に支
承されており、連結部材115を介してデフキャリヤに
連結され、回り止めされている。
【0120】ボス部83はロータ31と一体に形成され
ており、ロータ31は電磁石51の磁気回路61の一部
を構成している。また、リング107は磁束がデフケー
ス81の左側部分へ漏洩することを防止し、磁束をアー
マチャ53に集中させている。
【0121】ヨーク55とロータ31との間にはエアギ
ャップが形成されている。また、ロータ31はステンレ
ス鋼のリング63によって径方向に分断されており、パ
イロットクラッチ19の各クラッチ板には切り欠きが周
方向等間隔に設けられている。これらのリング63と切
り欠きにより、磁気回路61での磁力の短絡が防止され
ている。
【0122】コントローラは、車速、操舵角、横Gなど
から旋回走行を検知し、あるいは、路面状態、発進、加
速などに応じて、電磁石51の励磁、励磁電流の制御、
励磁停止などを行い、カップリング1(後輪間)の差動
制限力を調整する。
【0123】電磁石51が励磁されると、磁力のループ
61が形成されてアーマチャ53が右方に吸引され、パ
イロットクラッチ19を押圧して締結させる。
【0124】パイロットクラッチ19が締結されると、
パイロットクラッチ19によってデフケース81に連結
されたカムリング17と、サイドギヤ93側のプレッシ
ャープレート15とを介してボールカム13に差動トル
クが掛かり、発生したカムスラスト力を受けてプレッシ
ャープレート15が左方に移動し、スラストワッシャ9
7と中間押圧部材95とを介してメインクラッチ11を
押圧し締結させる。
【0125】メインクラッチ9が締結されると、その摩
擦抵抗によって差動機構90の差動回転が制限され、こ
の差動制限力によって後輪間の差動回転(空転)が制限
され、車両の悪路走破性、発進性、加速性、安定性など
が大きく向上する。
【0126】また、電磁石51の励磁を停止すると、パ
イロットクラッチ19が開放されてボールカム13のカ
ムスラスト力が消失し、メインクラッチ11が開放され
て差動回転がフリーになる。
【0127】デフケース81には開口116,117が
設けられ、ボス部82,83の内周には螺旋状のオイル
溝118,119が設けられている。
【0128】デフケース81には、デフキャリヤのオイ
ル溜りから、これらの開口116,117とオイル溝1
18,119を介してオイルが流出入し、流入したオイ
ルは、差動機構90の各ギヤの噛み合い部、メインクラ
ッチ1、パイロットクラッチ19、ボールカム13、球
面ワッシャ103、スラストベアリング108、ワッシ
ャ109、スプライン部111、スラストワッシャ97
などに供給され、これらを潤滑・冷却する。
【0129】また、リング107の開口117は、パイ
ロットクラッチ19及びアーマチャ53と対向する箇所
に設けられており、遠心力を受けたオイルがこれらの開
口117から排出されることによってパイロットクラッ
チ19とアーマチャ53を通るオイルの流れが促進さ
れ、パイロットクラッチ19の潤滑・冷却効果を高める
と共に、アーマチャ53の移動を円滑にし、パイロット
クラッチ19の連結と連結解除動作(差動制限力の立ち
上がりと立ち下がり)を促進する。
【0130】これに加えて、プレッシャープレート15
とカムリング17との間には、これらを初期位置に戻す
複数個のコイルスプリング7が周方向に亘って設けられ
ている。このことにより、引きずりトルクが発生して
も、引きずりトルクがカム機構によって増幅される前に
プレッシャープレート15及びカムリング17を小さな
力で回転方向且つ軸方向の初期位置に戻すことができ
る。従って、コイルスプリング7、プレッシャープレー
ト15及びカムリング17を大きなものとする必要がな
く、軽量化及び小型化することができる。また、構造が
簡単なコイルスプリングであるため、組み込みが簡単と
なる。
【0131】さらに、付勢手段(コイルスプリング7)
によって差動制限が解除するときには確実かつ迅速に初
期位置に戻すため、スラローム旋回時など、頻繁に差動
制御のON-OFFがされる場合にも、確実かつ迅速に差動制
限及び解除が行えるので、走行性及び走行安定性を格段
に向上することができる。
【0132】なお、この実施形態においても、前述第1
実施形態のように付勢手段としてコイルスプリング及び
トーションスプリングを対にして使用しても良く、トー
ションスプリングだけを使用しても、大径で巻回された
コイルスプリングだけとしても良いことはもちろんであ
る。
【0133】(第3実施形態)図8及び図9によって本
発明の第3実施形態であるデファレンシャル装置(リヤ
デフ)120を説明する。この実施形態では、第1実施
形態及び第2実施形態と同機能の部材には同一の符号を
与えている。リヤデフ120は、請求項1〜5の特徴を
備えている。
【0134】このリヤデフ120は、デフケース81、
回転ケース121、ベベルギヤ式の差動機構90、第1
実施形態のカップリング1を備えている。
【0135】回転ケース121は、デフケース81の内
周に相対回転自在に配置されている。
【0136】差動機構90は、回転ケース121に固定
された複数本のピニオンシャフト94、各ピニオンシャ
フト94上に支承されたピニオンギヤ91、これらのピ
ニオンギヤ91と噛み合った出力側のサイドギヤ92,
93から構成されている。各サイドギヤ92,93は、
左右の後車軸にスプライン連結されている。
【0137】カップリング1は、下記のように、デフケ
ース81と回転ケース121との断続を行う断続クラッ
チとして作用する。
【0138】カップリング1が連結された状態で、図外
の駆動源を回転させると、減速機構を介してデフケース
81が回転駆動され、この駆動力は回転ケース121、
カップリング1、ピニオンシャフト94、ピニオンギヤ
91から各サイドギヤ92,93と後車軸とを介して左
右の後輪に配分され、車両が駆動状態になる。
【0139】また、悪路などで後輪間に駆動抵抗差が生
じると、駆動力はピニオンギヤ91の自転によって左右
の後輪に差動配分される。
【0140】カップリング1は、中間クラッチ12
3、、パイロットクラッチ19、ボールカム13、カム
リング17、プレッシャープレート15、アーマチャ5
3、電磁石51、コントローラなどから構成されてい
る。
【0141】中間クラッチ123は、筒状となってお
り、メインクラッチ11とカム機構12のプレッシャー
プレート15との間に配置されている。この中間クラッ
チ123はプレッシャープレート15の押圧力をメイン
クラッチ11に伝達する。
【0142】パイロットクラッチ19はロータ31とカ
ムリング17との間に配置されている。プレッシャープ
レート15は右のサイドギヤ93に、互いの間に設けら
れたスプライン部によって移動自在に連結されている。
【0143】デフケース81とメインクラッチ11との
間には、コイルスプリングからなるリターンスプリング
126が配置されている。リターンスプリング126は
メインクラッチ11の内周側に取り付けられた筒状の支
持プレート127と、デフケース81との間に配置され
ており、メインクラッチ11の締結を解除するように付
勢している。
【0144】コントローラは、電磁石51の励磁、励磁
電流の制御、励磁停止などを行う。
【0145】電磁石51を励磁すると、アーマチャ53
がパイロットクラッチ19を押圧して締結させ、パイロ
ットクラッチ19によってデフケース81に連結された
カムリング17とサイドギヤ93側のプレッシャープレ
ート15とを介して、ボールカム13に差動機構90の
差動トルク(駆動力)が掛かり、発生したカムスラスト
力を受けてプレッシャープレート15が左方に移動し、
中間クラッチ123を押圧し、メインクラッチ11を締
結させる。
【0146】メインクラッチ11が締結されると、駆動
力がリヤデフ120に伝達され、車両が駆動状態にな
る。
【0147】このとき、電磁石51の励磁電流を制御す
ると、パイロットクラッチ19に滑りが生じてボールカ
ム13のカムスラスト力が変わり、メインクラッチ11
の連結力が変化することによって車輪側に伝達される駆
動力が制御される。
【0148】電磁石51の励磁を停止すると、パイロッ
トクラッチ19が開放されてボールカム13のカムスラ
スト力が消失し、メインクラッチ11の連結が解除され
る。
【0149】なお、作動に際しては、デフケース内をオ
イルが潤滑して冷却及び暖めが行われる。
【0150】図8及び図9に示すように、カム機構12
のプレッシャープレート15とカムリング17との間に
は、付勢手段としてのコイルスプリング8が配置されて
いる。コイルスプリング8は、プレッシャープレート1
5及びカムリング17の外周部分と接触する大径に巻回
されており、単一の状態でプレッシャープレート15及
びカムリング17の間に設けられる。
【0151】大径のコイルスプリング8がカムリング1
7及びプレッシャープレート15の間に設けられること
により、コイルスプリング8は図10の矢印T1で示す
ように、プレッシャープレート15及びカムリング17
を軸方向に付勢すると共に、矢印T2で示すように、プ
レッシャープレート15及びカムリング17を回転方向
に付勢している。従って、プレッシャープレート15及
びカムリング17を軸方向及び回転方向の初期位置に戻
すように作用する。
【0152】このようにコイルスプリング8が、プレッ
シャープレート15及びカムリング17の間に設けられ
ていることにより、引きずりトルクが発生しても、引き
ずりトルクがカム機構によって増幅される前にプレッシ
ャープレート15及びカムリング17を回転方向且つ軸
方向の初期位置に戻すため、小さな力でプレッシャープ
レート15及びカムリング17を戻すことができる。従
って、コイルスプリング7、プレッシャープレート15
及びカムリング17を大きなものとする必要がなく、軽
量化及び小型化することができ、車載性及び周辺設計の
自由度を向上することができる。
【0153】また、構造が簡単なコイルスプリングであ
るため、組み込みが簡単となる。
【0154】なお、この実施形態においても、付勢手段
としてコイルスプリング及びトーションスプリングを対
にして使用しても良く、トーションスプリングだけを使
用しても良い。
【0155】本発明では、パイロットクラッチ19を断
続操作する手段として、油圧、空圧によって押圧するこ
とにより行っても良く、モータにより行っても良い。
【0156】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、カム機構のカ
ム部材間に付勢手段を設けたため、引きずりトルクが発
生しても、このトルクがカム機構によって増幅される前
にカム部材を回転方向且つ軸方向の初期位置に戻すた
め、小さな力でカム部材を戻すことができ、引きずりト
ルクに対向するために付勢手段及びカム機構を大きくす
る必要がなく、軽量化及び小型化することができる。
【0157】また、付勢手段がカム部材間に配置される
ため、摺動することがなく、カジリが発生する心配がな
い。従って、カジリ防止部材が不要となり、構造を簡単
にすることができる。
【0158】さらに、付勢手段は回転方向及び軸方向に
付勢するため、引きずりトルクが捩り方向及び引っ張り
方向に作用してもカム部材を確実に戻すことができ、レ
スポンスが向上する。
【0159】請求項2の発明では、請求項1の発明と同
様の効果が得られると共に、付勢手段の構造を簡単とす
ることができる。
【0160】請求項3の発明では、請求項1の発明と同
様の効果が得られると共に、付勢手段の構造を簡単とす
ることができる。
【0161】請求項4の発明では、請求項1の発明と同
様の効果が得られると共に、付勢手段の構造を簡単とす
ることができ、しかも、カム部材を初期位置に確実に戻
すことができる。
【0162】請求項5の発明では、請求項1〜4の発明
と同様な効果を得ることができると共に、制御性が向上
し、細やかに制御することができる。
【0163】請求項6の発明によれば、片輪の空転が制
限され、車両の発進性と加速性、悪路の走破性と脱出性
などが向上すると共に、旋回性と旋回時の車体の安定性
とが大きく向上する。これに加えて、走行条件の変化な
どによって、引きずりトルクが発生しても、カム部材を
初期位置に確実に戻すため、差動機構の制限を確実に行
うことができる。
【0164】さらに、付勢手段によって差動制限が解除
されると、確実かつ迅速に初期位置に戻すため、スラロ
ーム旋回時など、頻繁に差動制御のON-OFFがされる場合
にも、確実かつ迅速に差動制限及び解除が行えるので、
走行性及び走行安定性を格段に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の断面図である。
【図2】同実施形態の付勢手段を配置した状態の分解斜
視図である
【図3】図2の付勢手段の作用を説明する断面図であ
る。
【図4】異なる付勢手段の配置を示す斜視図である。
【図5】図4の付勢手段を配置した状態の平面図であ
る。
【図6】図4の付勢手段の作用を説明する断面図であ
る。
【図7】本発明の第2実施形態の断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態の断面図である。
【図9】同実施形態の付勢手段の配置を示す断面図であ
る。
【図10】図9の付勢手段の作用を説明する側面図であ
る。
【図11】従来のカップリングの断面図である。
【符号の説明】
1 カップリング 3 クラッチハウジング 7 8 14 コイルスプリング 9 クラッチハブ 11 メインクラッチ 12 カム機構 13 ボールカム 16 トーションスプリング 17 カムリング 26 C型トーションスプリング 51 電磁石

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケ−ス状のトルク伝達部材と、このケ−
    ス状のトルク伝達部材に貫入した軸状のトルク伝達部材
    と、これら両トルク伝達部材の間に配置されたメインク
    ラッチと、操作手段によって断続操作されるパイロット
    クラッチと、パイロットクラッチが連結されると、両ト
    ルク伝達部材に掛かる伝達トルクを受けて作動し、生じ
    た軸方向のスラスト力によってメインクラッチを連結さ
    せるカム機構とを備えた構造であって、 前記カム機構のカム部材間に、該カム部材を回転方向且
    つ軸方向に付勢して初期位置に戻す付勢手段を設けたこ
    とを特徴とするカップリング。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の発明であって、前記付
    勢部材がコイルスプリングであることを特徴とするカッ
    プリング。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の発明であって、前記付
    勢部材がトーションスプリングであることを特徴とする
    カップリング。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の発明であって、前記付
    勢部材としてコイルスプリング及びトーションスプリン
    グを設けたことを特徴とするカップリング。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の発
    明であって、操作手段が、ア−マチャを移動操作してパ
    イロットクラッチを押圧し連結させる電磁石であること
    を特徴とするカップリング。
  6. 【請求項6】 エンジンの駆動力によって回転するケ−
    ス状のトルク伝達部材と、このケ−ス状のトルク伝達部
    材の回転を一対の軸状のトルク伝達部材を介して車輪側
    に配分する差動機構と、トルク伝達部材の間に配置され
    たクラッチで差動機構の差動を制限する請求項1〜5の
    いずれかに一項に記載のカップリングとを備えたことを
    特徴とするデファレンシャル装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006349109A (ja) * 2005-06-17 2006-12-28 Ntn Corp 回転伝達装置
JP2008089047A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Jtekt Corp 駆動力伝達装置

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