JP3962438B2 - 3−イソクロマノンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
本発明は、農薬、医薬等の中間体として有用な3−イソクロマノン(II)をα, α' −ジハロゲノオルトキシレン(I) から製造する方法に関し、特に該α, α' −ジハロゲノオルトキシレン(I) を一段階で目的とする3−イソクロマノン(II)に変換できる方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】
3−イソクロマノン(II)は、農薬や医薬をはじめとする各種化合物の中間体として広く使用されている。
【化3】
【0003】
従来は、(1) o−ブロモメチルベンジルアルコールをパラジウム触媒で一酸化炭素と反応させる方法(J. Amer. Chem. Soc., 1980, 4193)、(2) 2−インダノンを溶媒中で、メタクロロ過安息香酸などの過酸化物を用いてバイヤー−ビリガー反応により酸化する方法(Synthesis, 1981, 818) 、(3) 式−1に示すように、α−メトキシ−α' −シアノオルトキシレンを硫酸を使用して加水分解し環化させる方法(J . Chem. Soc., 1954, 2819) 、(4) 式−2に示すように、o−エトキシカルボニルフェニル酢酸エチルをジイソブチルアルミニウムヒドリドを使用して環化し、更に酸化する方法(Tetrahedron Letters, 1973, 2359)、(5) 式−3に示すように o−メチルベンジルアルコールをブチルリチウムおよび二酸化炭素により環化させる方法(Tetrahedron Letters, 1983, 1233)等を使用して3−イソクロマノン(II)が製造されている。
【化4】
【化5】
【化6】
【0004】
しかしいずれの方法も、純粋に得ることが困難な出発物質自体の精製から合成工程を開始する必要があり、工程数が多くなりコスト的にも収率的にも不利になり、いずれの方法も有用な合成反応とは成りえていない。
また、(6) 置換フェニル酢酸のクロロメチル化による方法(J. Chem. Soc. 192 7, 178)も知られているが、この方法は収率が低く、工業的製法としては必ずしも有利な方法とは言えない。
【0005】
【発明の目的】
本発明者らは、比較的高純度で工業的に容易に入手可能な出発物質を使用して、農薬や医薬等の中間体として有用な3−イソクロマノン(II)を製造できる方法を検討し、本発明に到達したものである。
【0006】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、α, α' −ジハロゲノオルトキシレンを、ハロゲン化水素捕捉剤および触媒の存在下、有機溶媒中で一酸化炭素および水と反応させることを特徴とする3−イソクロマノンの製造方法である。
【0007】
本発明では出発物質として製造または入手の容易な一般式(I) に示したα, α' −ジハロゲノオルトキシレンを使用する。このα, α' −ジハロゲノオルトキシレン(I) は安価な有機化合物であるオルトキシレンの光ハロゲン化反応により得られ、蒸留精製により安価に工業的に高純度で大量に入手し得る。一般式(I) 中のXは塩素、臭素およびヨウ素から選択されるハロゲンであり、2個のハロゲン原子は異なっていても良いが、製造の容易さを考慮すると同一原子とすることが望ましい。
【化7】
【0008】
本発明者らはこのα, α' −ジハロゲノオルトキシレン(I) を出発物質として3−イソクロマノン(II)への合成経路を各種検討した。
【0009】
上述した従来の合成反応を考慮すると、側鎖の一方のメチル基にカルボキシル基を導入しかつ他方のメチル基にヒドロキシ基を導入して式(III) に示すo−ヒドロキシメチルフェニル酢酸を合成し、この化合物のカルボキシ基とヒドロキシ基間の脱水反応により目的とする3−イソクロマノン(II)が合成できるものと推測した。
【化8】
【0010】
まずo−ヒドロキシメチルフェニル酢酸(III) を合成するための経路を検討した。ハロゲン化アルキル基へのカルボキシ基の導入用の反応としては二酸化炭素およびマグネシウムを使用するグリニャール反応があり、またハロゲン化アルキル基へのヒドロキシ基の導入用の反応としては加水分解反応がある。従って本発明者らは、α, α' −ジハロゲノオルトキシレンを二酸化炭素、マグネシウムおよび水と反応させてo−ヒドロキシメチルフェニル酢酸(III) を合成する工程を各種触媒を使用して検討したが、目的物質は合成できなかった。
【0011】
本発明者らは、前述の従来の合成反応を考慮して、二酸化炭素を一酸化炭素に代えて、α, α' −ジハロゲノオルトキシレン(I) を一酸化炭素および水と反応させる工程を各種触媒を使用して検討した。その結果意図するo−ヒドロキシメチルフェニル酢酸(III) は得られなかったが、最終的な目的化合物である3−イソクロマノン(II)が得られた。これは生成したo−ヒドロキシメチルフェニル酢酸(III) がその反応条件下で環化したものであると推測できる。
【0012】
換言すると、出発物質であるα, α' −ジハロゲノオルトキシレン(I) から一段階で目的とする3−イソクロマノン(II)が得られたことになり、前述した従来の製造方法と比較して、出発物質の入手しやすさとともに、反応が進行しやすいという利点も有していることが判る。
【0013】
本発明の製造方法において、使用する触媒としてはパラジウム触媒、コバルト触媒および鉄触媒があり、これらを併用しても良い。パラジウム触媒としては、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、パラジウムシアニド、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、ジクロロビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリプロピルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリイソプロピルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリイソプロピルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリブチルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジアセタトビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ−o −トリルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ−o −メトキシフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジメチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジエチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(ジエチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ジブチルフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス{トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン}パラジウム、ジクロロビス(亜リン酸トリメチル)パラジウム、ジクロロ{1, 2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}パラジウム、ジヒドロテトラクロロパラジウム、ナトリウムテトラクロロパラデート、カリウムテトラクロロパラデート、カリウムテトラブロモパラデート、ビス[{3−(ナトリウムスルホナト)フェニル}ジフェニルホスフィン]ジクロロパラジウム、アンモニウムテトラクロロパラデート、アンモニウムヘキサクロロパラデート、ジクロロジアンミンパラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジブロモビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジヨードビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、ジ酢酸ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム、ジカルボニルジクロロパラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ビス(t −ブチルイソシアニド)ジクロロパラジウム、ジ−μ−クロロ−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ジパラジウム、ジ−μ−クロロ−ジクロロビス(メチルイソシアニド)ジパラジウム等のパラジウム(II)錯体、あるいはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(ジブチルフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリブチルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、テトラキス(亜リン酸トリフェニル)パラジウム、テトラキス(亜リン酸トリエチル)パラジウム、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス{1, 2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、(η2 −エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(シクロオクタ−1, 5−ジエン)パラジウム等のパラジウム(0) 錯体を例示することができる。
【0014】
コバルト触媒としては、塩化コバルト、ジコバルトオクタカルボニル、ヒドリドコバルトテトラカルボニル、ナトリウムコバルトテトラカルボニレート、カリウムコバルトテトラカルボニレート、ビス(トリフェニルホスフィン)コバルトヘキサカルボニル等を例示することができる。
【0015】
さらに鉄触媒としては、塩化鉄、酢酸鉄、ビス(シクロペンタジエニル)鉄、鉄ペンタカルボニル、鉄ノナカルボニル、鉄ドデカカルボニル、ナトリウムテトラカルボニルフェレート等を例示することができる。
【0016】
触媒は、原料基質であるα, α' −ジハロゲノオルトキシレン(I) に対して0. 01〜10モル%、好ましくは0. 03〜3モル%用いることにより収率よく目的物を得ることができる。
【0017】
ホスフィン等の支持配位子は、あらかじめ金属化合物に配位あるいは酸化的付加させて触媒として用いてもよいが、例えば塩化パラジウムに必要量の配位子を加えて反応系中で触媒系を発現させても構わない。また、支持配位子が配位した金属錯体にさらに支持配位子を加えて触媒として用いることもできる。
【0018】
支持配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリ−o −トリルホスフィン、トリ−o −メトキシフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1, 2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1, 3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1, 4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン等のホスフィン配位子、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリエチル等の亜リン酸配位子、シクロオクタ−1, 5−ジエン、ノルボルナジエン、ノルボルネン、エチレン、ジベンジリデンアセトン、無水マレイン酸等のオレフィン類、アセトタート基、トリフルオロアセタート基、アセチルアセトナト基等の配位子、t−ブチルイソシアニド、シクロヘキシルイソシアニド、メチルイソシアニド等のイソシアニド類、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基等を例示することができる。支持配位子の使用量はパラジウム金属に対して10当量以下用い、好ましくは0. 5〜5当量用いることにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0019】
本発明の製造方法では、生成するハロゲン化水素の捕捉剤として機能する塩基性物質であるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩または水酸化物あるいは第三級アミンを使用する。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、及びピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリn−ブチルアミン等の第三級アミン等を例示することができるが、目的物の収率がよい点で水酸化カルシウムを用いることが好ましい。塩基性物質は通常α, α' −ジハロゲノオルトキシレンに対して1〜10当量用いる。
【0020】
更に使用する水の存在により本反応の反応系は場合によっては有機相と水相の二相に分離されることがある。従って、本発明では両相間での反応を促進するため、相間移動触媒を使用することにより、さらに反応を円滑に進行させることもできる。
【0021】
相間移動触媒としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン界面活性剤、あるいは脂肪族4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、さらには両性界面活性剤や非イオン性界面活性剤を用いることができる。中でも汎用されているアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、4級アンモニウム塩が入手が容易である点で好ましい。
【0022】
上記アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩やアルキル硫酸塩としては、1−ブタンスルホン酸ナトリウム、1−ペンタンスルホン酸ナトリウム、1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム、1−ヘプタンスルホン酸ナトリウム、1−オクタンスルホン酸ナトリウム、1−ノナンスルホン酸ナトリウム、1−デカンスルホン酸ナトリウム、1−ウンデカンスルホン酸ナトリウム、1−ドデカンスルホン酸ナトリウム、1−トリデカンスルホン酸ナトリウム、4−オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、1−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、1, 5−ジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、1, 5−ジ(sec −ブチル)ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、トリデシル硫酸ナトリウム、7−エチル−2−メチルウンデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(ノニルフェニル)エーテル硫酸ナトリウム、さらにはこれらのカリウム塩等を例示することができる。
【0023】
また、4級アンモニウム塩としては、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、ホウフッ化テトラメチルアンモニウム、過塩素酸テトラメチルアンモニウム、ホウフッ化テトラメチルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ホウフッ化テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、ホウフッ化テトラエチルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、ホウフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、硫酸テトラブチルアンモニウム、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、塩化テトラペンチルアンモニウム、臭化テトラペンチルアンモニウム、ヨウ化テトラペンチルアンモニウム、塩化テトラヘキシルアンモニウム、臭化テトラヘキシルアンモニウム、ヨウ化テトラヘキシルアンモニウム、塩化テトラヘプチルアンモニウム、臭化テトラヘプチルアンモニウム、ヨウ化テトラヘプチルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、ヨウ化テトラオクチルアンモニウム、塩化テトラフェニルアンモニウム、臭化テトラフェニルアンモニウム、ヨウ化テトラフェニルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム、ヨウ化エチルトリプロピルアンモニウム、塩化フェニルトリメチルアンモニウム、臭化フェニルトリメチルアンモニウム、塩化フェニルトリエチルアンモニウム、臭化ドデシルベンジルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリエチルアンモニウム、臭化ヘキサデカピリジニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等を例示することができる。
【0024】
相間移動触媒の使用量は特に制限はないが、出発物質に対して0. 1〜3重量%用いることにより、収率よく3−イソクロマノン(II)を製造することができる。
【0025】
使用する有機溶媒は特に限定されず、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2, 3−ジメチル−2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、1−メチル−1−オクタノール、2−デカノール、シクロペンタノール、シクロヘキシルアルコール、1−メチル−1−シクロヘキシルアルコール、1−エチル−1−シクロヘキシルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒等を用いることができるが、その他反応に害を与えることのない溶媒であれば使用することができる。
【0026】
本発明の製造方法は、室温〜120℃の範囲の温度で行なうことができ、反応を円滑に進行させるためには、40〜100℃に加熱することが望ましい。
以下に本発明による3−イソクロマノンの製造方法の実施例を記載するが、該実施例は本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0027】
実施例−1
攪拌器、温度計および一酸化炭素導入管を備えた100mL のフラスコに、α, α' −ジクロロオルトキシレン(8.75g, 0.05mol)、溶媒であるブタノール(20g) 、水酸化ナトリウム(6.3g, 0.16mol) 、水(25.2g) 、触媒であるテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.58g) 、相間移動触媒である1−ヘプタンスルホン酸ナトリウム(0.04g) を導入した。次いで一酸化炭素雰囲気下でフラスコ内を70℃に維持しながら激しく攪拌した。3時間後にフラスコ内の反応混合物を有機層と水層に分液し、水層を塩酸で酸性にし、更にエーテル抽出した。なお3時間経過時の一酸化炭素吸収量は約700mL であった。得られたエーテル抽出物を減圧下でエーテルを留去すると4. 1g( 約55%) の結晶が得られた。この結晶をガスクロマトグラフィーで分析したところ、得られた結晶は3−イソクロマノンで、NMRおよびIRで構造確認し、その純度は96. 2%であることが判った。
【0028】
実施例−2
α, α' −ジクロロオルトキシレン(8.75g, 0.05mol)、溶媒であるt−ブタノール(100g)、水酸化カルシウム(12.1g) 、水(2.8g)、触媒であるジクロロビス(トリメチルホスフィン)パラジウム(0.35g) およびトリフェニルホスフィン(0.29g) 、相間移動触媒であるベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(0.13g) を導入した。フラスコ内を一酸化炭素で置換した後、70℃で一酸化炭素雰囲気下に激しく攪拌した。17時間反応させて不溶性の固形物を濾別後、実施例−1と同様に処理して3−イソクロマノンが4. 7g( 収率63.5%) 得られ、ガスクロマトグラフィーによる純度は99. 0%であった。不溶性の固形物に希塩酸を加えてエーテルで抽出し、エーテル抽出物を減圧下で濃縮すると更に0. 8g( 純度97%) の3−イソクロマノンが得られ、収率の合計は74. 3%となった。
【0029】
実施例−3
α, α' −ジクロロオルトキシレンの代わりに、α, α' −ジブロモオルトキシレン(13.2g, 0.05mol)を、ブタノールの代わりにt−ブタノール(20g) を使用したこと以外は実施例−1と同じ条件で操作を行なった結果、3−イソクロマノンが2. 9g( 収率39.2%) 得られた。ガスクロマトグラフィー分析によると、その純度は95. 1%であった。
【0030】
実施例−4
ブタノールの代わりに2−メチル−2−ブタノール(20g) を使用したこと以外は実施例−1と同じ条件で操作を行なった結果、3−イソクロマノンが3. 0g(収率40.2%) 得られた。
【0031】
実施例−5
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの代わりにペンタカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)コバルトを使用し、1−ヘプタンスルホン酸ナトリウムの代わりにベンジルトリメチルアンモニウムクロリドを使用したこと以外は実施例−1と同じ条件で操作を行なった結果、3−イソクロマノンが0. 5g( 収率6.7 %) 得られた。
【0032】
実施例−6
丸底フラスコ(300cc) に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(350mg, 0.500mmol)、トリフェニルホスフィン(290mg, 1.11mmol) 、水酸化カルシウム(7.80g, 105mmol)、およびt−ブタノール(100g)を加え、一酸化炭素で系内を3回置換した後、混合物を常圧の一酸化炭素雰囲気下で70℃で1時間撹拌した。次いでα, α' −オルトキシレンジクロリド(8.75g, 50.0mmol) と水(3.0mL) を加え、常圧の一酸化炭素雰囲気下で70℃で21時間激しく撹拌した。反応後混合物を室温まで冷却し、水(100mL) を加え、不溶性固体を濾過により濾別した。アルカリ性濾液をエーテル(25mLx2)で洗浄し、濃塩酸(30mL)を加え酸性にした後、新たにエーテル(100mLx2) で抽出した。一方、濾別した不溶性固体に3N塩酸を加え、不溶性のパラジウム触媒を濾別した後、濾液をエーテル(50mLx2)で抽出した。エーテル抽出液を全て合わせ、減圧下に濃縮することにより、3−イソクロマノン(4.02g, 収率54.6%) を得た。また、アルカリ性濾液のエーテル洗浄液から減圧下に溶媒等を除去することにより、α, α' −オルトキシレンジクロリド(2.11g) を回収した。
【0033】
実施例−7
丸底フラスコ(300cc) に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(350mg, 0.500mmol)、トリフェニルホスフィン(290mg, 1.11mmol) 、水酸化カルシウム(7.80g, 105mmol)、および2−メチル−2−プロパノール(100g)を加え、一酸化炭素で系内を3回置換した後、混合物を常圧の一酸化炭素雰囲気下で70℃で1時間撹拌した。次いでα, α' −オルトキシレンジクロリド(8.75g, 50.0mmol) と水(8.0mL) を加え、常圧の一酸化炭素雰囲気下で70℃で11時間激しく撹拌した。反応後混合物を室温まで冷却し、水(100mL) を加え、不溶性固体を濾過により濾別した。アルカリ性濾液をエーテル(25mLx2)で洗浄し、濃塩酸(30mL)を加え酸性にした後、新たにエーテル(100mLx2) で抽出した。一方、濾別した不溶性固体に3N塩酸を加え、不溶性のパラジウム触媒を濾別した後、濾液をエーテル(50mLx2)で抽出した。エーテル抽出液を全て合わせ、減圧下に濃縮することにより、3−イソクロマノン(3.80g, 収率51.3%) を得た。また、アルカリ性濾液のエーテル洗浄液から減圧下に溶媒等を除去することにより、α, α' −オルトキシレンジクロリド(2.53g) を回収した。
【0034】
実施例−8
丸底フラスコ(300cc) に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(350mg, 0.500mmol)、トリフェニルホスフィン(290mg, 1.11mmol) 、水酸化カルシウム(7.80g, 105mmol)、および2−メチル−2−プロパノール(100g)を加え、一酸化炭素で系内を3回置換した後、混合物を常圧の一酸化炭素雰囲気下で70℃で1時間撹拌した。次いでα, α' −オルトキシレンジクロリド(8.75g, 50.0mmol) と水(20mL)を加え、常圧の一酸化炭素雰囲気下で70℃で11時間激しく撹拌した。反応後混合物を室温まで冷却し、水(100mL) を加え、不溶性固体を濾過により濾別した。アルカリ性濾液をエーテル(25mLx2)で洗浄し、濃塩酸(30mL)を加え酸性にした後、新たにエーテル(100mLx2) で抽出した。一方、濾別した不溶性固体に3N塩酸を加え、不溶性のパラジウム触媒を濾別した後、濾液をエーテル(50mLx2)で抽出した。エーテル抽出液を全て合わせ、減圧下に濃縮することにより、3−イソクロマノン(4.26g, 収率57.6%) を得た。また、アルカリ性濾液のエーテル洗浄液から減圧下に溶媒等を除去することにより、α, α' −オルトキシレンジクロリド(2.94g) を回収した。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、α, α' −ジハロゲノオルトキシレンを、ハロゲン化水素捕捉剤および触媒の存在下、有機溶媒中で一酸化炭素および水と反応させて3−イソクロマノンに変換することを特徴とする3−イソクロマノンの製造方法である。
本発明方法によると、α, α' −ジハロゲノオルトキシレンのカルボキシル化および水酸化により生成すると期待されるo−ヒドロキシメチルフェニル酢酸は単離されず、最終的な目的生成物である3−イソクロマノンが得られる。
【0036】
従って出発物質であるα, α' −ジハロゲノオルトキシレンのカルボキシル化および水酸化によるo−ヒドロキシメチルフェニル酢酸の生成という第1段階と該o−ヒドロキシメチルフェニル酢酸の環化という第2段階の2工程を経る必要がなく、一段階で最終目的物である3−イソクロマノンが得られるため、工程数が減り、収率的にもコスト的にも有利になる。
【0037】
しかも出発物質として入手が容易なα, α' −ジハロゲノオルトキシレンを使用するため反応の利用価値が高く、従来法と比較して反応の進行しやすさだけでなく、出発物質の入手しやすさの点からも有利である。
本発明方法を進行させるための触媒としてはパラジウム錯体、コバルト触媒あるい鉄触媒等を使用することが望ましい。
さらに、本発明の反応において、反応系が有機相と水相の二相に分離されることがある場合には、両相間での反応を促進するため、相関移動触媒の存在下に反応を行うことにより、さらに反応を円滑に進行させることもできる。
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