JP3878111B2 - フィルムの巻出し方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック基材粘着テープ,マスキング用フィルム,ストレッチ包装用フィルム,食品ラップフィルム等の比較的伸縮性を有し、表面粘着性あるいは自着性(以下まとめて粘着性という)を有する薄膜フィルムを巻取ロール(ミルロール)から最低張力で安定的に巻出すフィルム巻出し方法ならびにその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック等の薄膜フィルム(以下、単にフィルムという)を巻装してなる巻取ロール(以下、ミルロールという)から、フィルムを巻出し、次工程に送って種々の処理・加工を行うことは、例えばスリッターワインダーにおいてミルロールからフィルムを巻出し、次にフィルムを複数の小幅帯に裁断し、それぞれを小幅のロールに巻き上げる場合などに従来、広く実施されている。
【0003】
図1は上記従来の巻出しに適用される代表的な巻出機の構成であり、ミルロールRは回転自在に機枠に軸支されていて、フィルムFはガイドローラ1で案内されて引取ローラ2によって引っ張られ、ミルロールRから巻出されるようになっている。
このとき張力はその大きさが張力設定器4によって設定され、制御回路6を介して、ミルロールRの巻芯軸Sに連結された巻出ブレーキ5(連続スリップ)が励磁されることにより発生し、実張力値は張力検出器3により検出され、設定張力にフィードバックされる閉ループ自動制御系を構成している。
そして、ミルロールRの回転抵抗が所要巻出張力より大きい場合は、巻出ブレーキ3の代わりに巻出し方向にミルロールRの回転抵抗を減らすようにモーターMが使用されることもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、以上のような従来の巻出しは、ミルロールRからのフィルムを巻出すための巻出し張力が適正値を超えて高かったり変動があると、裁断幅に斑を生じたり、フィルムに皺が発生したり、甚だしい場合は裁断帯を巻取るための巻芯に大きな巻締力がかかり、巻芯を部分的に陥没させることすらあり、また、あるいは多色グラビア印刷では、印刷工程で絵柄ずれを発生したりすることがあった。
【0005】
しかも、巻出されるフィルムFが全く粘着性を有しない場合は、ミルロールRからフィルムFが離れる方向は、図1の実線で示すミルロールRの接線方向となり、張力の発生方向もこれに合致して張力は100%ミルロールRの回転抵抗と釣り合うが、フィルムFが粘着性を有する場合は、ミルロールRからフィルムFを剥離するための力の発生が必要となるため、図2に示すように張力PはミルロールRの回転抵抗Ptとフィルムをミルロールから引離するための力Prのベクトル的な合力となり、この合力の方向は図1の破線で示すように剥離点のミルロールの接線方向から角θだけ傾いた方向となる。
【0006】
このようなことから、従来の巻出張力を取り扱う方法や制御は、張力を上述の合力として扱うことにとどまっており、これをミルロールの回転抵抗と、フィルムの剥離抵抗の二つの要素から対応しようとする観点が欠けていたため、自ら限界があり、伸縮性と粘着性を有するフィルムを低張力で安定的に巻出すことは困難であった。
【0007】
特にフィルムが上記の如く粘着性を有する場合、巻出張力の大きさと、その変動が次工程でのフィルムの処理・加工の仕上げに大きく影響し、不良製品の発生と、生産性の向上を阻害する大きな要因となっており、適正な低張力で安定してミルロールからフィルムを巻出す方法及び装置の開発は重要な課題となっていた。
【0008】
本発明は上述の如き実状に対処し、特にフィルムをミルロールから巻出すときのミルロールに与えるべき回転方向力と、ミルロールからフィルムを引き剥がすための剥離力と張力の関係を見いだすことにより、比較的伸縮性を有し、表面粘着性を有する薄膜フィルムをミルロールから最低張力でかつ安定的に巻出し、巻出張力の変動が次工程に及ぼす影響を阻止し、不良製品の発生を防止して生産性の向上を図ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、上記目的に適合する本発明の方法は、粘着性を有するプラスチック等の薄膜フィルムを巻装してなる巻取ロールから該プラスチックを剥離して引取ローラより巻出すフィルムの巻出しにおいて、前記巻取ロールの外周速と、引取ローラの周速との速度差によって発生するフィルムの張力が、フィルムを巻取ロールから引き剥がす力と等しいか、稍大きくなるように速度差を調整し、巻出張力を
理論的に最も低い値又はこれより稍大きな値として巻出すことであり、具体的方法として、巻出しの進行に従って変化する巻取ロールの最大径から最小径に至るすべて範囲で巻取ロールの外周速度を所定の速度に保持しながら、機械摩擦力等に起因する回転抵抗に抗して巻取ロールを巻出し方向に積極的に回転させ、巻出しの進行に伴う巻取ロールの外径変化に対応して任意の外径の巻取ロールの位置と引取ローラの位置の相関関係が、巻取ロールの中心を通り、引取ローラの接点cで接する直線が巻取ロールの外周と交わる点aにおいて、巻取ロールの接線と常に略直交し、さらに上記c−a間の距離を常に一定に保つように巻取ロールの回転中心位置を移動させ、引取り速度に対して巻取ロールの外周速度を調整することによって速度差に応じて引取り方向の内部応力の大きさを巻取ロールからフィルムを剥がすときに理論的に最小限必要とされる法線方向に引き出すための力と等しいか、あるいは稍大きくしてフィルムを巻き出すことを特徴とする。
【0010】
請求項2は上記の巻出しにあたり、フィルムが巻出張力の方向をミルロールの剥離点におけるロールの接線に対し略直角方向に巻出されることを特徴とする。
【0011】
請求項3は上記方法を実施するための装置に係り、回動可能なミルロール支持アームに回転自在に軸支されたミルロールと、該ミルロールから粘着力に抗してフィルムを剥離し引取る引取ローラと、前記ミルロールの最大径から最小径に至るすべての範囲でミルロールに加圧接触するスピーダベルトを有してなり、前記ミルロールは、ミルロールの外周速と、引取ローラの周速との速度差によって調整される前記スピーダベルトの速度調整によってミルロールから剥離直後のフィルムの上面位置を一定にしてフィルム剥離角度θを略90°に保持するようにすると共に、、巻出しの進行に伴って変化するミルロールの外径に対応してミルロールの中心位置と、引取ローラの相対的位置関係を任意の径のミルロールの中心を通り、引取ローラの接触点を結ぶ直線がそのときのミルロールの外周と交わる点におけるミルロールの接線に略直交するように制御した構成にある。
【0012】
なお、上記剥離直後のフィルム上面までの距離については検出器により検出して、これにより該位置を一定にするようにスピーダベルトの速度を制御せしめることが好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、更に添付図面を参照し、本発明の具体的実施の形態について説明する。
【0014】
本発明は前述したように粘着性を有するフィルムを巻装してなるミルロールからフィルムを剥離して引取ローラにより巻出すにあたり、ミルロールの外周速と引取ローラの外周速の速度差により発生するフィルムの内部応力がフィルムをミルロールから引き剥がす力と等しいか、稍大きくなるように速度差を調整することにより巻出張力を理論的に最も低い値あるいはこれに近似した稍大きい値とし、かつ張力の方向を剥離点におけるミルロールの接線に対し直角、即ちミルロールの法線方向で巻出すことを基本的な考えとするものである。
【0015】
以下、この本発明の基本的な巻出しについて図2,図3に基づいて理論的に考究し、説明すると、図2は粘着性のあるフィルムFをミルロールRから巻出すときのミルロールRに与えるべき回転方向力と、ミルロールRからフィルムFを引き剥がすための剥離力と張力の関係を示す。
【0016】
同図2において回転方向力の有効成分は、張力のミルロールへの作用点でミルロールの接線方向にPtの大きさで働き、剥離力の有効成分は張力のミルロールへの作用点(剥離点)でミルロールの接線に直交する方向、即ち、ミルロールの法線方向にPrの大きさで働く。
これら2つの有効成分のベクトル合成される合力が張力Pとなり、その方向はミルロールの接線に対して角θの傾きが生ずる。
そして、PtとPrの方向は90°となるから、
θ=tan−1 Pr/Pt・・・・(1)
P=Pr/sinθ・・・・(2)
となる。
【0017】
いま、ミルロール回転力を張力によらずに別の手段で強制的に与えると、張力によるミルロールからフィルムを巻出す有効成分は剥離力のみとなる。
この状態で張力の方向角θを大きくすると、剥離に要する力fは一定であり、これと張力による剥離方向分力Prが釣り合うから、上記(2)式より張力Pの絶対値は小さくすることができ、その極限はθ=90°でP=Prとなる。
従って
(1)ミルロールを回転させるための力を張力によらずに別の手段で与える。
(2)張力Pの方向をフィルムの剥離点でミルロールの法線方向に与える。
の2つの要件を安定的に同時に満足できれば、粘着性を有するフィルムを、ミルロールからフィルム法線方向に剥離するだけの張力(理論上の最低張力)で巻出すことが理論上可能となる。
【0018】
図3は上記の理論を実際化するための概念をスケルトン図で現したものである。
ミルロールRは回転自在に機枠に軸支されており、ミルロールRの下部外周にはスピーダベルト7が加圧接触していて、スピーダベルト7の走行によってミルロールRに回転力が与えられている。そして、スピーダベルト7の走行速度、即ちミルロールRの外周速度Vsは引取ローラ2の周速Vrに対し変速できるようになっている。
引取ローラ2は、図において上下1対のニップローラで構成され、フィルムFをミルロールRから剥離し、次工程へ移送するためのもので周速Vrで積極駆動されている。
【0019】
以上の状態において伸縮性のあるフィルムを引っ張ったとき、弾性限度内においては、フックの法則が適用できる。
即ち、歪みεと応力σならびにヤング率Eとの関係は
σ/ε=E・・・・・(3)
となる。
【0020】
そこでこの関係を図3のフィルムの態様にあてはめると以下のようになる。
(1)ミルロールRからの剥離点bから引取ローラ2のニップ点cに至るフィルムには、引取ローラの周速Vrと、ミルロールの周速、即ち、スピーダベルト7の周速Vsの差ΔVによる歪みが発生している。
即ち、ΔV=Vr−Vs,Vr>Vsである。
(2)そして、フィルムにはこの歪εに適応する内部応力σが発生し、これが張力Pとなっている。
(3)このときの張力の剥離方向の分力はPr(図2参照)となり、これがミルロールRからフィルムFを引き剥がすのに必要な力fと釣り合っている。
つまりf=Prの関係を保っている。
一方、回転方向の分力Pt(図2参照)は、ミルロールを回転する方向に働くが、ミルロールRはスピーダベルト7によって強制的に回されているので、実質的には無効力となっている。
【0021】
(4)そこで上記(1)の状態からVsを早め周速の速度差ΔVを小さくすると、歪εが小さくなり、内部応力σ、即ち、張力Pが小さくなる。
この状態でもf=Prの関係を保っているので、角θは大きくなり、ミルロール外周上の剥離点bは図3で反時計方向に移動する。
そして、更にΔVを小さくすると、その極限は歪εに適応する内部応力σがフィルムを引き剥がすのに必要な力に一致するまで、即ち、σ=fとなるまでとなる。内部応力σと張力Pとは等価であるから、結局P=Prとなる。
【0022】
この状態は前記(2)式において、θ=90°の状態であり、張力Pの方向がフィルムの引き剥がし方向と一致し、剥離点はa(図3参照)に移動する。
この状態で張力Pは100%フィルムの引き剥がしに有効作用するので、これ以下の張力ではフィルムを巻き戻すことが出来ない。
従って、粘着性を有するフィルムに対して、その剥離点におけるフィルムの引き剥がし方向がミルロールの接線方向に対して直角となるように内部応力即ち張力を発生させるように速度差ΔVを設定することが理論的に最小張力で巻出すことになる。
【0023】
なお、以上はミルロールに巻装されるフィルムに収縮応力が残留していない場合である。収縮応力が残留している場合はΔV=0としても、この残留内部応力σ0のために張力Poが発生する。
従って、収縮応力が残留している場合は、このために発生する歪ε0分だけVsを速めなければならない。しかし、この場合でも前記速度差の設定により最小張力で巻出すことになる理論が適用できることに変わりはない。
【0024】
因みに残留応力σ0がフィルムを引き剥がすために必要な力よりも大きい場合は、剥離点からニップ点に至るフィルムを相当分、縮ませて、即ち、見掛けの歪をマイナスにするためにVs>VR、即ち、引取ローラ周速よりもスピーダベルト周速を速くするケースも出現する。
このことは、実際に後述する図4,図5に示す装置において、厚み15μm,幅500mmの自着性を有する多層オレフィン系ストレッチフィルムを600m/minで巻き出したとき、VRに対しVSを0.8%速めて運転して、前記理論にかなった運転ができたことによって立証された。
また、完全に理論にかなった最低張力で巻出すためには厳密にθ=90°ということになるが、現実的にはこれがθ=70°とした場合、張力は6.4%の増加にとどまるため、相応の精度で問題がない場合が殆どである。
【0025】
また、上記図3において、歪みεと、ミルロールからフィルムが引き剥がされる剥離点aから引取ローラのニップ点cまでの距離lとの間には
ε=Δl/l
の関係がある。
ここにΔlは、a点からc点に至るフィルムに対し速度差ΔVによって発生する弾性変位量(伸び量)である。
ミルロールの巻き返し始めから終了までΔVを一定に保ち、σを最低張力と等価の張力Pに保つためには歪みεを一定に保たなければならないから、実際の方法・装置では上記の距離lを一定に保たなければならない。
これを可能にするため、実施装置においては、ニップローラの位置を固定する一方、ミルロールの巻出しによる径の減少に対応してミルロールの中心位置をニップローラ側に連続的に移動するようにしている。
【0026】
次に本発明を実施する装置について述べる。
図4は本発明を実施する巻出機の枠を透して見た要部側面図であり、図5は図4を右側より引取りローラを透して見た正面展開図である。
【0027】
これら図においてミルロールRはミルロール支持アーム11の上端部のチャック12によって回転自在に軸支されており、ミルロール支持アーム11の下端部は機枠20に軸支されたミルロール支持アームトルクシャフト11aに固着・連結されている。
そして、ミルロール支持アームトルクシャフト 11aの左端部は、ミルロール支持アーム回動用サーボモータ16の出力軸に伝動装置を介して連結されており、右端部にはミルロール支持アーム回動角度検出器15が連結されている。
従って、ミルロール支持アーム回動用サーボモータ16を駆動すると、ミルロール支持アーム11が該トルクシャフト11aの軸心を中心に回動するので、ミルロールRの中心位置は該 トルクシャフト11aの軸心とチャック12中心間の距離を半径とする円弧状を移動でき、その位置はアームの回動角度に対応してミルロール支持アーム回動検出器15により絶えず検出されるようになっている。
【0028】
一方、ミルロールRに近接して設けられているミルロール径検出器14は、例えば超音波型の距離測定器で、超音波発信方向がミルロールRの中心に向かうようにミルロール支持アームトルクシャフト11aの中央部に固着されており、ミルロールRの外周までの距離を絶えず測長することにより、巻出の進行につれて変化するミルロールRの外径を常に検出している。
なお、詳細な説明は省略するが、この検出器14によって検出されるミルロールRの任意の径に対応して、ミルロールRの外周と、引取ローラ2の外周の間に適宜なギャップδを一定に保つことにより、理論的最低張力付与時のミルロールRとフィルムの剥離点から引取ローラのニップ点まで距離lを保つように、巻径Dを入力としこれに対応するミルロールRの位置をミルロール支持アーム回動角度検出器15に突き合わせて、ミルロール支持アーム回動用サーボモータ16によるサポートコントロールが行われるようになっている。
【0029】
また、上記のサーボ機構によって移動するミルロールRの中心位置と、引取ローラ2の相対的な位置関係は、任意の径のミルロールRの中心を通り引取ローラ2のニップ点を結ぶ直線が、このときのミルロールの外周に交わる点におけるミルロールの接線に対しほぼ直交するように設計されている。
【0030】
ミルロールRの外周には、ミルロールの最大径が最小径に至る全ての範囲でスピーダベルト7が該加圧エアーシリン9の作動により加圧接触できるようになっている。
スピーダベルト7は、左右1対のスピーダベルトアーム8の両端に取り付けられたプーリー7a,7bに適宜のプリロードを与え張られたエンドレスの平ベルトで、引取ローラ2駆動モータMの出力を分力し、その1つを更に無段変速機10を介してミルロールRからフィルムを強制的に巻出す方向に駆動されるようになっている。
【0031】
一方、更にフィルム剥離部には、フィルム剥離面位置検出器13が設けられており、機枠20に固定された、例えば超音波型の距離測定器で、剥離点直後のフィルム上面までの距離を測定する。
これは本発明の根幹をなすミルロールRからのフィルムの剥離角度θ=90°を厳密に保つために、剥離直後のフィルムの上面位置を一定にするように、無段変速機10のパイロットモータPLMを制御して、スピーダベルト7の速度をコントロールするためのものである。
巻出し張力のバラツキを極度に抑えたり、ミルロールの部位によって剥離に必要な力が変わる場合に有効である。
【0032】
以上、本発明について装置例を説明して来たが、本発明は上記の実施形態に示す装置構成に限られるものではなく、その目的を逸脱しない限りにおいて業界の技術レベルに照らし、容易に置換又は設計変更可能であり、これらも当然に本発明に含まれる。
【0033】
例えば、
(イ)スピーダベルトを積極駆動タッチローラに置換する。
(ロ)引取ローラとスピーダベルトの駆動を夫々独立したモータを用い、これらの速度制御にドロー制御方式をとって速度差を生む。
(ハ)粘着度が弱くない場合、引取ローラのニップローラを排除し、1本の離型処理ローラに粘着面を直接当ててフィルムを引き取るようにする。
(ニ)フィルムの剥離点からニップ点までの距離lを一定に保つのをミルロールの巻径検出に基づく制御方式から、ミルロール外周の位置を検出し、これと引取ローラの外周とのギャップδを直接一定に保つ制御方式とすること。
などである。
【0034】
以下、更に上記構成による巻出し態様を図4,図5にもとづいて説明すると、先ず、ミルロールRをチャック12に装着して、ミルロールRの位置をミルロール支持アーム11を適宜回動して、所定位置に移動する。
このとき、ギャップδを所定の隙間にすることにより、距離lが所定の大きさとなる。
そして、次にフィルムFを引き出し、引取ローラ2でニップすると共に、スピーダベルト7をミルロールRに加圧・接触させて、引取ローラ2を駆動し、フィルムFを引き取る。このとき、スピーダベルト7との速度差ΔVは大きめに節制する。
かくてスピーダベルト7の速度を徐々にあげながらフィルムFの剥離点(図3のb点)の状態を監視し、θ=90°又は厳密に90°でなくても、略90°に近似したところで変速を止める。
なお、必要に応じフィルム剥離面位置検出器13による補正回路を活かすことも好適であり、効果的である。
【0035】
【発明の効果】
本発明は以上のように粘着性を有するフィルムをミルロールから巻出すにあたり、理論的最低張力もしくは稍高い張力で、ミルロール剥離点におけるミルロールの接線に対し直角、即ち、ミルロールの法線方向に巻出すものであり、巻出張力を理論的最低張力に保つため、従来、懸念されていた巻出し張力の変動による次工程でのフィルムの処理加工の仕上げへの影響を解消し、フィルムに皺が発生するのを防ぎ、印刷工程でのずれを阻止して不良製品の発生をなくし、生産性の向上を達成する顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の巻出機の構成の概要ならびに巻出張力制御の概要を示す図である。
【図2】フィルム巻出し時におけるミルロールに与える回転力とミルロールから引き剥がす剥離力ならびに張力の関係を示す説明図である。
【図3】本発明巻出し方法の基本概念を示すスケルトン図である。
【図4】本発明の実施に用いる巻出機の概要を示す側面図である。
【図5】図4を右側から引取ローラを透してみた正面展開図である。
【符号の説明】
R 巻取ロール(ミルロール)
F フィルム
2 引取ローラ
7 スピーダベルト
8 スピーダベルトケース
9 スピーダベルト加圧シリンダー
10 無段変速機
11 ミルロール支持アーム
12 チャック
13 フィルム剥離面位置検出器
14 ミルロール径検出器
15 ミルロール支持アーム回動角度検出器
Claims (4)
- 粘着性を有するプラスチック等の薄膜フィルムを巻装してなる巻取ロールから粘着力に抗して該プラスチックを剥離して引取ローラより巻出すフィルムの巻出し方法において、巻出しの進行に伴って変化する巻取ロールの最大径から最小径に至る全ての範囲で巻取ロールの外周速度を所定の速度に保持しながら機械摩擦力等に起因する回転抵抗に抗して巻取ロールを巻出し方向に積極的に回転させ、巻出しの進行に伴う巻取ロールの外径変化に対応して任意の外径の巻取ロールの位置と引取ローラの位置の相関関係が、巻取ロールの中心を通り引取ローラの接点cで接する直線が巻取ロールの外周と交わる点aにおいて、巻取ロールの接線と常に略直交し、さらに上記c−a間の距離を常に一定に保つように巻取ロールの回転中心位置を移動させ、引取速度に対して巻取ロールの外周速度を調整することによって速度差に応じて引取り方向の内部応力の大きさを巻取ロールからフィルムを剥がすときに理論的に最小限必要とされる法線方向に引き出すための力と等しいか、あるいは稍大きくしてフィルムを巻き出すことを特徴とするフィルムの巻出し方法。
- フィルムが巻出張力の方向を巻取ロールの剥離点におけるロールの接線に対し略直角方向に巻出される請求項1記載のフィルムの巻出し方法。
- 回動可能な巻取ロール支持アームに回転自在に軸支された巻取ロールと、該巻取ロールから粘着力に抗してフィルムを剥離し引取る引取ローラと、前記巻取ロールの最大径から最小径に至るすべての範囲で巻取ロールに加圧接触するスピーダベルトを有してなり、前記巻取ロールは、巻取ロールの外周速と、引取ローラの周速との速度差によって調整される前記スピーダベルトの速度調整によって巻取ロールから剥離直後のフィルムの上面位置を一定にしてフィルム剥離角度θを略90°に保持するようにすると共に、巻出しの進行に伴って変化する巻取ロールの外径に対応して巻取ロールの中心位置と、引取ローラの相対的位置関係を任意の径の巻取ロールの中心を通り、引取ローラの接触点を結ぶ直線がそのときの巻取ロールの外周と交わる点における巻取ロールの接線に略直交するように制御したことを特徴とするフィルムの巻出し装置。
- 剥離直後のフィルム上面までの距離を検出器により検出し、該位置を一定にするようにスピーダベルトの速度を制御せしめる請求項3記載のフィルムの巻出し装置。
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