JP3869143B2 - 自動車のクラッチ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のクラッチ装置、更に詳しくはオート(自動)操作およびマニュアル(手動)操作が可能な自動車のクラッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの動力を摩擦クラッチを介して変速機に伝達するように構成した自動車において、変速機を運転状態(車速、アクセル開度、エンジン回転速度等)に応じて自動変速する所謂自動変速機を搭載した自動車が実用化されている。このような自動変速機を搭載した自動車においては、変速機の変速制御に対応してクラッチを自動的に断接操作する必要があり、オートクラッチが装備されている。また、変速機はマニュアル(手動)で操作し、発進および変速操作に応じてクラッチを自動的に断接操作するオートクラッチを搭載した自動車も実用化されている。
【0003】
このように運転状態に応じて断接操作を自動的に行うオートクラッチを搭載した自動車においは、変速時における摩擦クラッチの断接制御を円滑に行うことはできるが、障害物乗り越え発進や極急坂発進または雪道発進等の特殊条件下での発進には摩擦クラッチの断接制御が対応できず運転者の意図する通りに発進できない場合もある。このような問題を解決するために、上記特殊条件下での発進にはマニュアル(手動)での操作を可能に構成したオートクラッチも実用化されている。このようにオート操作(自動)およびマニュアル操作(手動)を可能にした自動車のクラッチ装置は、摩擦クラッチを断接するスレーブシリンダと、該スレーブシリンダの作動機構としてのオート操作用油圧供給機構およびマニュアル操作用油圧供給機構と、スレーブシリンダとオート操作用油圧供給機構およびマニュアル操作用油圧供給機構との間に配設されスレーブシリンダへの油圧の供給をオート操作用油圧供給機構またはマニュアル操作用油圧供給機構に切り換える切替え弁とを具備している。
【0004】
上述したオート操作およびマニュアル操作を可能とした自動車のクラッチ装置は、上記スレーブシリンダに作動油が供給されて摩擦クラッチが断されている状態でオート操作用油圧供給機構とマニュアル操作用油圧供給機構との切り換えが行われると、両油圧供給機構間に作動油の行き来が生じ、一方の作動油量が増加し他方の作動油量が減少するという問題がある。このようなオート操作用油圧供給機構とマニュアル操作用油圧供給機構中の作動油量のアンバランスの発生を防止するための提案が特開平9ー269021号公報に開示されている。
【0005】
上記特開平9ー269021号公報に開示されるクラッチ装置は、摩擦クラッチを断接するスレーブシリンダとオート操作用油圧供給機構およびマニュアル操作用油圧供給機構との間にいずれかの機構によって作動せしめられる切替シリンダを配設したものである。この切替シリンダは、シリンダ本体と、該シリンダ本体内に摺動可能に配設された第1のピストンおよび第2のピストンを具備しており、第1のピストンとシリンダ本体とによって形成される油室がスレーブシリンダに接続され、第2のピストンとシリンダ本体とによって形成される油室がマニュアル操作用油圧供給機構に接続され、また第1のピストンおよび第2のピストンとシリンダ本体とによって形成される油室がオート操作用油圧供給機構に接続されている。そして、上記オート操作用油圧供給機構には、オート操作用油圧供給機構を作動してクラッチを断した状態で故障した場合に、マニュアル操作用油圧供給機構に切り換えて車両の走行を可能にするため、および油圧モータを駆動する電動モータが作動し続けた場合に、油圧回路内の圧力の異常上昇を防止するため、所定圧力で開放するリリーフ弁が配設されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
而して、上記特開平9ー269021号公報に開示されたクラッチ装置においては、上記リリーフ弁の開弁圧の設定が難しい。即ち、オート操作用油圧供給機構の故障時にマニュアル操作用油圧供給機構を作動して車両を走行する場合、クラッチペダルを踏んで上記第1のピストンおよび第2のピストンとシリンダ本体とによって形成された油室に供給されている作動油を上記リリーフ弁を開弁して排出する必要がある。このときリリーフ弁の開弁圧が高いと、クラッチペダルを作動するために大きな踏力が必要となる。また、リリーフ弁の開弁圧を高く設定すると、リリーフ時における油圧モータを駆動する電動モータの負荷が大きくなり、熱が発生する等の問題が生ずる。このような不具合を解消するために、リリーフ弁の開弁圧を低く設定すると、クラッチフェーシングの摩耗によりクラッチを断操作するときの負荷が増大した場合、クラッチが断する油圧に達する前にリリーフ弁が開弁して、クラッチを切ることができないという問題が発生する。従ってリリーフ弁の開弁圧は、安全上故障時のクラッチペダルの踏力および電動モータの負荷を犠牲にして、クラッチを断操作するときの負荷が増大した場合でもクラッチが断することができる開弁圧に設定しているのが現状である。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その主たる技術的課題は、故障時においてもクラッチペダルの踏力が増大することなく、また、クラッチフェーシングの摩耗によりクラッチを断操作するときの負荷が増大した場合でも確実にクラッチを断することができる自動車のクラッチ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決するために、
「摩擦クラッチを断接するスレーブシリンダと、該スレーブシリンダの作動機構としてのオート操作用油圧供給機構およびマニュアル操作用油圧供給機構と、該オート操作用油圧供給機構および該マニュアル操作用油圧供給機構との間に配設される切替シリンダとを具 備する自動車のクラッチ装置において、
該切替シリンダは、シリンダ本体と、該シリンダ本体内に摺動可能に配設された第1のピストンおよび第2のピストンとを備え、
該第1のピストンと該シリンダ本体とによって形成された第1の油室が該スレーブシリンダと接続され、該第2のピストンと該シリンダ本体とによって形成された第2の油室が該マニュアル操作用油圧供給機構と接続され、かつ、該第1のピストンおよび該第2のピストンと該シリンダ本体とによって形成された第3の油室が該オート操作用油圧供給機構と接続され、
該オート操作用油圧供給機構または該マニュアル操作用油圧供給機構によって該切替シリンダを選択的に作動し、該第1のピストンを移動させて該第1の油室の作動油を該スレーブシリンダ内に供給するよう構成されており、さらに、
該切替シリンダは、該第1のピストンが所定量移動すると該第3の油室を開放する油圧開放手段を備えている」
ことを特徴とする自動車のクラッチ装置が提供される。
【0009】
上記油圧開放手段は、上記第1のピストンに軸方向に貫通して形成され該第3の油室と該オート操作用油圧供給機構の油タンク側とを連通する穴と、該穴に配設され該穴の連通を遮断するとともに第1のピストンが所定量作動すると該穴を連通せしめる弁機構とから構成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された自動車のクラッチ装置の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0011】
図1には本発明に従って構成された自動車のクラッチ装置の一実施形態が示されている。図示の実施形態におけるクラッチ装置は、摩擦クラッチ2を断接するスレーブシリンダ3と、該スレーブシリンダ3の作動機構としてのオート操作用油圧供給機構4およびマニュアル操作用油圧供給機構5と、スレーブシリンダ3とオート操作用油圧供給機構4およびマニュアル操作用油圧供給機構5との間に配設された切替シリンダ6を具備している。摩擦クラッチ2は、変速機の入力軸上に配設されたクラッチドリブンプレート21と、該クラッチドリブンプレート21を図示しないエンジンのフライホイール22に押圧するプレッシャプレート23と、該プレッシャプレート23をレリーズベアリング24を介して作動せしめるクラッチレリーズフォーク25を備えている。このように構成された摩擦クラッチ2は、上記オート操作用油圧供給機構4およびマニュアル操作用油圧供給機構5の非作動時には、図示しないクラッチばねのばね力によってプレッシャプレート23が図1において左方に押圧されて、クラッチドリブンプレート21のクラッチフェイシング211をフライホイール22に摩擦係合して接状態に維持されている。また、上記オート操作用油圧供給機構4またはマニュアル操作用油圧供給機構5が作動されると、クラッチレリーズフォーク25が中間部を支点25aとして図1において時計方向に作動せしめられ、プレッシャプレート23が図1において右方に移動してクラッチドリブンプレート21のクラッチフェイシング211とフライホイール22との摩擦係合を解除し、摩擦クラッチ2が断される。
【0012】
上記スレーブシリンダ3は、シリンダ本体31と、該シリンダ本体31内に摺動可能に配設されたピストン32と、該ピストン32に連結されたピストンロッド33とからなっており、ピストンロッド33の先端が上記クラッチレリーズフォーク25の図1において上端部と係合している。このように構成されたスレーブシリンダ3は、油圧室34に作動油が供給されるとピストン32が図1において右方に移動して、上記クラッチレリーズフォーク25を中間部を支点25aとして図において時計方向に作動せしめる。
【0013】
次に、上記オート操作用油圧供給機構4について説明する。図示の実施形態におけるオート操作用油圧供給機構4は、駆動源としての電動モータ41によって回転駆動される油圧ポンプ42を具備している。油圧ポンプ42は、吸い込み側が配管401によって油タンク43に接続されている。この油圧ポンプ42から吐出された作動油は、配管402、逆止弁44および配管403を介して切替シリンダ6の後述する第3の油室に送られる。この配管403と上記油タンク43に接続された配管404とは配管405および406によって接続されており、この配管405および406にはそれぞれ電磁弁45aおよび45bが配設されている。また、上記配管404には配管407の一端が接続されており、該配管407の他端は切替シリンダ6の後述する第1の油室に接続されている。
【0014】
上記マニュアル操作用油圧供給機構5は、図示の実施形態においてはクラッチペダル51と、該クラッチペダル51によって作動せしめられるクラッチマスターシリンダ52とからなっている。このクラッチマスターシリンダ52の油圧室521は、配管50を介して切替シリンダ6の後述する第2の油室に接続されている。
【0015】
次に、切替シリンダ6について説明する。図示の実施形態における切替シリンダ6は、シリンダ本体61と、該シリンダ本体61内に摺動可能に配設された第1のピストン62および第2のピストン63とを具備している。第1のピストン62は、前ピストン621と、後ピストン622と、前ピストン621と後ピストン622とを接続する接続部623とからなる2連形状に構成されている。この第1のピストン62の前ピストン621の前端(図1において右端)には中心部に径の小さい突出部623が設けられており、また後ピストン622の後端(図1において左端)には中心部に径の小さい突出部624が設けられている。上記第2のピストン63には、その前端(図1において右端)中心部に径の小さい突出部631が設けられているとともに、その後端(図1において左端)中心部に径の小さい突出部632が設けられている。このように構成された第1のピストン62および第2のピストン63を配設したシリンダ本体61には、第1のピストン62とシリンダ本体61の図において右端壁611とによって第1の油室601が形成され、第2のピストン63とシリンダ本体61の図において左端に装着されたプラグ64とによって第2の油室602が形成され、第1のピストン62および第2のピストン63とシリンダ本体61とによって第3の油室603が形成されている。また、上記第1のピストン62の接続部623とシリンダ本体61とによって溢流室604が形成されている。
【0016】
上記第1の油室601には圧縮コイルばね65が配設されており、この圧縮コイルばね65は第1のピストン62および第2のピストン63を常に図において左方に移動すべく付勢している。圧縮コイルばね65によって左方に移動すべく付勢されている第1のピストン62および第2のピストン63は、非作動時には第2のピストン63が上記プラグ64に当接した状態に維持されている。なお、上記第1の油室601における第1のピストン62が図1に示す非作動時の容積は、上記クラッチマスターシリンダ52におけるクラッチペダル51のフルストローク時の容積と等しく構成されている。
【0017】
上記シリンダ本体61の右端壁611には第1の油室601と連通する送出口612が設けられており、この送出口612は配管30を介して上記スレーブシリンダ3の油圧室34に接続されている。また、シリンダ本体61には、第1のピストン62が図1に示す非作動状態で上記第1の油室601と連通する戻り油口613と、上記第2の油室602と連通するマニュアル操作用作動油入口614、および上記第3の油室603と連通するオート操作用作動油入口615が設けられている。更に、シリンダ本体61には、上記溢流室604と連通する溢流口616が設けられている。このようにシリンダ本体61に設けられた戻り油口613および溢流口616は上記配管407に接続され、マニュアル操作用作動油入口614は上記配管50に接続され、オート操作用作動油入口615は上記配管403に接続されている。
【0018】
以上のように構成された切替シリンダ6は、上記第1のピストン62が図1に示す非作動状態から所定量右方に移動したとき上記第3の油室603を開放する油圧開放手段66を備えている。この油圧開放手段66について、図2をも参照して説明する。図示の実施形態における油圧開放手段66は、第1のピストン62に組み込まれて構成されている。第1のピストン62には軸方向に貫通して形成された穴660が設けられている。この穴660は後ピストン622の後端(図において左端)から接続部623の中間部にかけて形成された第1の穴661と、該第1の穴661と連続して形成され前ピストン621の前端(図において右端)に達する第1の穴661よりも径が小さい第2の穴662とからなっており、第1の穴661と第2の穴662との接続部に弁座663が形成されている。そして、第2の穴662が接続部623に軸心と直角方向に形成された連通孔664によって上記溢流室604に連通せしめられている。上記第1の穴661には弁座663に着座するボール弁665が配設されているとともに、該ボール弁665と後ピストン622の後端部(図において左端部)に設けられたばね受け666との間に圧縮コイルばね667が配設されており、ボール弁665は圧縮コイルばね667にばね力によって常に弁座663に着座すべく付勢されている。また、上記第2の穴662には、ボール弁665を作動するためのプッシュロッド668が軸方向に摺動可能に配設されている。このプッシュロッド668は図において左端部が小径に形成されており、図において右端部が前ピストン621の前端(図において右端)より突出して配設されている。これらボール弁665と圧縮コイルばね667およびプッシュロッド668は、第1のピストン62が図1の状態から所定量図において右方に移動すると第1の穴661と第2の穴662を連通する弁機構を構成している。なお、前ピストン621の前端に設けられた突出部623の先端には、上記プッシュロッド668を覆うシールブーツ669が装着されている。
【0019】
以上のように構成された油圧開放手段66は、切替シリンダ6の非作動時には図1に示すように圧縮コイルばね667のばね力によってボール弁665が弁座663に着座せしめられて、第3の油室603と溢流室604との連通を遮断している。図1に示す状態から第3の油室603に作動油が供給され、第1のピストン62が図において右方に所定量移動すると、前ピストン621の前端に装着されたシールブーツ669がシリンダ本体61の右端壁611に当接して、プッシュロッド668を相対的に左方に移動する。この結果、図2に示すようにボール弁665が圧縮コイルばね667のばね力に抗して図において左方に押されて弁座663から離れ、第3の油室603が第1の穴661および連通孔664を通して連通されて開放される。なお、図示の実施形態においては、ボール弁665とプッシュロッド668を別体で構成した例を示したが、弁とプッシュロッドを一体的に構成してもよい。
【0020】
図示の実施形態における自動車のクラッチ装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
オート操作用油圧供給機構4およびマニュアル操作用油圧供給機構5が作動しない非作動時においては、切替シリンダ6の第1のピストン62および第2のピストン63は図1に示す状態に位置付けられており、このとき第1の油室601と戻り油口613が連通し、スレーブシリンダ3における油圧室34の油圧は開放されている。従って、摩擦クラッチ2は接状態が維持されている。
図1の状態からマニュアル操作に切り換え、クラッチペダル51を踏み込むと、クラッチマスターシリンダ52から作動油が配管50を介して切替シリンダ6の第2の油室602に流入する。この結果、第2のピストン63および第1のピストン62が圧縮コイルばね65のばね力に抗して図1において右方に移動し、第1のピストン62が右方に移動することにより戻り油口613と第1の油室601との連通が遮断されるため、第1の油室601の作動油が加圧される。これにより第1の油室601の作動油が配管30を介してスレーブシリンダ3の油圧室34に送られ、ピストン32が図1において右方に移動して上述したように摩擦クラッチ2を断する。そして、第1のピストン62の前ピストン621に設けられた突出部623に装着されたシールブーツ669がシリンダ本体61の右端壁611に当接するまで所定量移動することにより、摩擦クラッチ2を完全に断とすることができる。ここでクラッチペダル51を開放すると、摩擦クラッチ2の図示しないクラッチばねのばね力によってスレーブシリンダ3のピストン32が図において左方に移動せしめられて摩擦クラッチ2が接となる。なお、スレーブシリンダ3のピストン32が図1において左方に移動することにより、油圧室34に供給されていた作動油は配管30を介して切替シリンダ6の第1の油室601に流入して第1のピストン62および第2のピストン63は図1において左方に移動せしめられる。そして、第1のピストン62および第2のピストン63が図1の非作動位置に達すると、戻り油口613が第1の油室601と連通して油圧が開放され、摩擦クラッチ2が完全に接となる。
【0021】
次に、図1の非作動状態からオート操作に切り換え、図示しない制御手段からの制御信号によって電動モータ41が駆動され油圧ポンプ42が作動すると、油圧ポンプ42から吐出された作動油は配管402、逆止弁44および配管403を介して切替シリンダ6の第3の油室603に送られる。なお、このとき電磁弁45aおよび45bは閉じている。切替シリンダ6の第3の油室603に作動油が流入すると、第1のピストン62が圧縮コイルばね65のばね力に抗して図1において右方に上記突出部623に装着されたシールブーツ669がシリンダ本体61の右端壁611に当接するまで所定量移動せしめられ、上述したように摩擦クラッチ2を断する。このとき、上述したように油圧開放手段66のプッシュロッド668が相対的に左方に移動してボール弁665を圧縮コイルばね667にばね力に抗して図において左方に押し、この結果第3の油室603が第1の穴661および連通孔664を通して連通されて開放される。このようにして摩擦クラッチ2を断した状態から接続するには、図示しない制御手段からの制御信号によって電動モータ41を停止するとともに、電磁弁45aおよび45bを開閉制御することにより第3の油室603の作動油が電磁弁45aおよび45bを介して配管404から油タンク43に戻される。従って、第1のピストン62が圧縮コイルばね65のばね力によって図1において左方に移動するため、上述したように摩擦クラッチ2の図示しないクラッチばねのばね力によってスレーブシリンダ3のピストン32が図1において左方に移動せしめられて摩擦クラッチ2が接となる。
【0022】
上述したオート操作用油圧供給機構4によるクラッチの断操作においては、第1のピストン62が所定量移動するまでは第3の油室603は開放されないので、クラッチフェイシング211の摩耗によりクラッチを断操作するときの負荷が増大した場合でも確実にクラッチを切ることができる。クラッチが完全に断された後は、上記のように第3の油室603が開放されるので、油圧ポンプ42を駆動する電動モータ41が作動し続けても油圧ポンプ42の負荷が小さいため、電動モータ41が熱を発することはない。
【0023】
また、上述したオート操作用油圧供給機構4によるクラッチの断操作において、クラッチを断した図2に示す状態で故障した場合には、マニュアルに切り換えマニュアル操作用油圧供給機構5のクラッチペダル51を踏み込んでクラッチマスターシリンダ52を作動し、作動油を配管50を介して切替シリンダ6の第2の油室602に流入せしめて第2のピストン63を図において右方に移動することにより第3の油室603内の作動油を排出する必要がある。このとき、第3の油室603は図2に示すように油圧開放手段66によって開放されているので、第2のピストン63が図において右方へ移動することにより、第3の油室603内の作動油は第1の穴661、連通孔664、溢流室604、溢流口616、配管407および配管404を介して油タンク43に戻される。従って、従来のように第3の油室603内の作動油を排出するために油圧回路に配設されたリリーフ弁を開弁する必要がないので、クラッチペダル51の踏力が軽減される。
【0024】
次に、上記第1のピストン62の前ピストン621に設けられた突出部623に配設されるシール手段の他の実施形態を図3を参照して説明する。
上記第1のピストン62に形成された第2の穴662における突出部623側の内周面には、中央に穴を備えたオイルシール70が装着されている。一方、上記第2の穴662に摺動可能に配設されたプッシュロッド668の図において右端部は小径に形成され、この小径部668aが上記オイルシール70の中央に形成された穴に摺動可能に嵌合される。図3に示すシール手段においては、上記図1および図2のシールブーツ669に比してコンパクトに構成することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明による自動車のクラッチ装置は以上のように構成されているので、以下に述べる作用効果を奏する。
【0026】
即ち、摩擦クラッチを断接するスレーブシリンダとオート操作用油圧供給機構およびマニュアル操作用油圧供給機構との間に配設された切替シリンダの第1のピストンが所定量移動すると該第3の油室を開放する油圧開放手段を備えたので、オート操作用油圧供給機構によるクラッチの断操作においては、第1のピストンが所定量移動するまでは第3の油室は開放されないので、クラッチフェイシングの摩耗によりクラッチを断操作するときの負荷が増大した場合でも確実にクラッチを切ることができる。クラッチが完全に断された後は、第3の油室が開放されるので、油圧ポンプを駆動する電動モータが作動し続けても油圧ポンプの負荷が小さいため、電動モータが熱を発することはない。また、オート操作用油圧供給機構によってクラッチを断した状態で故障した場合にマニュアル操作用油圧供給機構に切り換えたときには、第1のピストンが所定位置となると上記のように第3の油室は開放されるので、第3の油室の作動油を排出する際にクラッチペダルの踏力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従って構成された自動車のクラッチ装置の一実施形態を示す油圧回路図。
【図2】 図1に示す自動車のクラッチ装置に装備された切替シリンダの作動状態を示す断面図。
【図3】 切替シリンダの他の実施形態を示す要部断面図。
【符号の説明】
2:摩擦クラッチ2
21:クラッチドリブンプレート
211:クラッチフェイシング
23:プレーッシャプレート
24:レリーズベアリング
25:クラッチレリーズフォーク
3:スレーブシリンダ
4:オート操作用油圧供給機構
41:電動モータ
42:油圧ポンプ
43:油タンク
44:逆止弁
45a、45b:電磁弁
5:マニュアル操作用油圧供給機構
51:クラッチペダル
52:クラッチマスターシリンダ
6:切替シリンダ
61:シリンダ本体
62:第1のピストン
63:第2のピストン
65:圧縮コイルばね
66:油圧開放手段
665:ボール弁
667:圧縮コイルばね
668:プッシュロッド
669:シールブーツ
70:オイルシール
Claims (2)
- 摩擦クラッチを断接するスレーブシリンダと、該スレーブシリンダの作動機構としてのオート操作用油圧供給機構およびマニュアル操作用油圧供給機構と、該オート操作用油圧供給機構および該マニュアル操作用油圧供給機構との間に配設される切替シリンダとを具備する自動車のクラッチ装置において、
該切替シリンダは、シリンダ本体と、該シリンダ本体内に摺動可能に配設された第1のピストンおよび第2のピストンとを備え、
該第1のピストンと該シリンダ本体とによって形成された第1の油室が該スレーブシリンダと接続され、該第2のピストンと該シリンダ本体とによって形成された第2の油室が該マニュアル操作用油圧供給機構と接続され、かつ、該第1のピストンおよび該第2のピストンと該シリンダ本体とによって形成された第3の油室が該オート操作用油圧供給機構と接続され、
該オート操作用油圧供給機構または該マニュアル操作用油圧供給機構によって該切替シリンダを選択的に作動し、該第1のピストンを移動させて該第1の油室の作動油を該スレーブシリンダ内に供給するよう構成されており、さらに、
該切替シリンダは、該第1のピストンが所定量移動すると該第3の油室を開放する油圧開放手段を備えている、
ことを特徴とする自動車のクラッチ装置。 - 該油圧開放手段は、該第1のピストンに形成され該第3の油室と該オート操作用油圧供給機構の油タンク側とを連通する穴と、該穴に配設され該穴の連通を遮断するとともに該第1のピストンが所定量移動すると該穴を連通せしめる弁機構とからなる、
請求項1記載の自動車のクラッチ装置。
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