[go: up one dir, main page]

JP3854034B2 - 薬剤付着方法 - Google Patents

薬剤付着方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3854034B2
JP3854034B2 JP2000101584A JP2000101584A JP3854034B2 JP 3854034 B2 JP3854034 B2 JP 3854034B2 JP 2000101584 A JP2000101584 A JP 2000101584A JP 2000101584 A JP2000101584 A JP 2000101584A JP 3854034 B2 JP3854034 B2 JP 3854034B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drug
chemical
attaching
solution
nozzle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000101584A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001276024A (ja
Inventor
康裕 石黒
浩一 立川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP2000101584A priority Critical patent/JP3854034B2/ja
Publication of JP2001276024A publication Critical patent/JP2001276024A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3854034B2 publication Critical patent/JP3854034B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coating Apparatus (AREA)
  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、対象物に薬剤を付着させる薬剤付着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用器具等には、その一部に予め薬剤を付着させた(塗布した)製品がある。例えば、検体採血に用いられる採血管では、有底筒状の容器の内周面に血液抗凝固剤等の血液処理剤を塗布したものがある。
【0003】
従来、このような薬剤を塗布する方法としては、薬剤を溶解した薬液をスプレーノズルから噴霧し、霧状とした薬液を対象物に付着させることにより塗布する方法や、対象物を薬液に浸して付着させる方法(ディッピング)が主に用いられている。
【0004】
しかしながら、噴霧による方法には、次のような欠点がある。
・薬液が霧状に拡散し、その拡散方向に指向性がないため、塗布したい位置にだけ薬剤を塗布することができず、その周囲にまで薬剤を付着させてしまう。
【0005】
・噴霧した薬液が飛散する行方をコントロールできないため、その一部が大気中に拡散して無駄になることから、正確な量の薬剤を付着させることが難しい。
【0006】
・塗布する領域の広さを調節することが難しく、特に、狭い範囲に集中して薬剤を付着させることができない。
【0007】
・霧状をなす薬液は、空気の流れによって撹乱され易いので、器具の内部等の狭い空間内で噴霧するような場合には、噴流の跳ね返りによって乱れた流れが生じるので、前記欠点がより顕著になる。
【0008】
・噴霧した薬液の到達距離が短いために、スプレーノズルを対象物に接近させて塗布する必要がある。このため、例えば、採血管容器の内周面に塗布する場合には、ノズルを容器の開口から内部に差し込んで(挿入して)噴霧しなければならず、塗布する動作が複雑で効率が良くない。
【0009】
・1回の噴霧に要する時間が、例えば0.5〜2秒程度と比較的長い時間を要し、迅速に塗布することができない。
【0010】
また、ディッピングには、次のような欠点がある。
・塗布する範囲を限定できず、薬剤を部分的に付着させることができない。
・正確な量の薬剤を付着させることができない。
・対象物の内側に薬剤を付着させることが困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するものであり、その目的は、付着位置、付着領域、付着量等の調整を容易かつ正確に行うことができ、また、効率よく迅速に薬剤を付着させることができる薬剤付着方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。
【0013】
(1) 貯留された薬液を圧電ポンプの作動により送液し、前記送液された薬液をノズルから線状をなすように標的に向けて噴射し、その噴射された薬液を前記標的に衝突させて付着させる薬剤付着方法であって、
前記圧電ポンプは、吸入口と吐出口とを備えたポンプ室と、前記吸入口に接続された吸入流路と、前記吐出口に接続された吐出流路と、前記吸入流路と前記吐出流路との少なくとも一方に設けられた逆止弁と、前記ポンプ室の容積を増減するダイアフラムと、前記ダイアフラムを駆動する圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータの変位を拡大してダイアフラムに伝達する変位拡大機構と、前記ダイアフラムを前記ポンプ室の容積が増大する方向に付勢する付勢部材とを有するものであることを特徴とする薬剤付着方法。
【0014】
(2) 前記標的は、筒状容器の内壁である上記(1)に記載の薬剤付着方法。
【0015】
(3) 前記筒状容器の内部に前記ノズルを挿入することなく前記薬液を噴射する上記(2)に記載の薬剤付着方法。
【0016】
(4) 前記薬液は、前記内壁に対し傾斜した方向から噴射される上記(2)または(3)に記載の薬剤付着方法。
【0017】
) 前記噴射された薬液の速さが0.005〜5m/sである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の薬剤付着方法。
【0018】
) 前記噴射され線状をなす薬液の長さが0.1〜500mmである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の薬剤付着方法。
【0019】
) 前記噴射され線状をなす薬液の平均直径が0.1〜2mmである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の薬剤付着方法。
【0020】
) 1個の前記ノズルから1回に噴射される前記薬液の量が0.1〜100μlである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の薬剤付着方法。
【0021】
) 前記標的に衝突させた薬液を乾燥させる工程を有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の薬剤付着方法。
【0022】
10) 前記薬剤は、血液凝固促進剤、血液抗凝固剤、解糖阻止剤等の血液処理剤である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の薬剤付着方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の薬剤付着方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の薬剤付着方法の実施に用いられる薬剤付着装置の一例を示す図、図2は、図1に示す薬剤付着装置1の圧電ポンプの内部構造を示す拡大断面図、図3は、本発明の薬剤付着方法により薬剤を付着させた採血管容器の縦断面図である。なお、以下の説明では、図1〜図3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0027】
本実施形態においては、検体採血に用いられる採血管の有底筒状容器6の内周面(内壁)61を標的として薬剤を付着させる(塗布する)場合について代表的に説明する。ただし、標的とするものがこれに限定されないことは言うまでもない。
【0028】
本発明の薬剤付着方法は、図1に示す薬剤付着装置1によって達成される。以下、薬剤付着装置1について説明する。
【0029】
薬剤付着装置1は、圧電ポンプ2と、ノズル5と、貯留部10と、コントローラー11と、吸入チューブ12と、吐出チューブ13と、支持部材14とを備えている。
【0030】
付着させる薬剤は、溶媒に溶解(または分散)された薬液7とされており、貯留部10に貯留されている。溶媒としては、例えば、水、エタノール等の揮発性有機溶媒、またはこれらの混合溶液等が用いられる。また、薬液7の粘度を調整すること等を目的として、例えば、PVP(ポリビニルピロリドン)のような添加剤が必要に応じて加えられる。
【0031】
貯留部10には、貯留された薬液7を吸い上げる吸入チューブ12の一端が差し込まれており、吸入チューブ12の他端は、後述する圧電ポンプ2の吸入流路33に接続されている。
【0032】
圧電ポンプ2は、圧電アクチュエータ21を駆動源として作動するダイアフラムポンプであり、ポンプ室3と、ダイアフラム4と、吸入流路31と、吐出流路32と、圧電アクチュエータ21と、レバー(変位拡大機構)22と、バネ(付勢部材)23とを備えている(図2参照)。
【0033】
ポンプ室(内部空間)3は、扁平な空間になっている。ポンプ室3の下端部には吸入口33が、上端部には吐出口34が形成されている。吸入口33には吸入流路31が接続され、吐出口34には吐出流路32が接続されている。
【0034】
吸入流路31の吸入口33側の端部には、吸入側逆止弁35が設けられ、吐出流路32の吐出口34側の端部には、吐出側逆止弁36が設けられている。吸入側逆止弁35と吐出側逆止弁36とは、同一の構成となっており、同じ構造のボール弁が直列に2個連結された構成となっている。吸入側逆止弁35は、ポンプ室3に流入する方向にのみ薬液7を通過させ、吐出側逆止弁36は、ポンプ室3から流出する方向にのみ薬液7を通過させる。
【0035】
ポンプ室3の内面の一部は、可撓性を有するダイアフラム4で構成されており、ダイアフラム4が変形することによりポンプ室3の容積を増減する。ダイアフラム4は、各種ゴム等の弾性材料で構成された膜部41と、膜部41のポンプ室3に面していない側に設けられた円板部42とから構成されている。円板部42は、圧電アクチュエータ21からの力を受けてその厚さ方向に変位し、膜部41をポンプ室3の容積が増減するように変形させる。
【0036】
圧電アクチュエータ21は、ケース24内の下部に設置されている。圧電アクチュエータ21は、圧電素子を積層した積層体で構成され、全体形状として柱状をなしている。圧電アクチュエータ21は、電圧を印加すると伸長し、この伸長(変位)がレバー22によって拡大され、ロッド25を介して、円板部42をポンプ室3側に変位させる(押圧する)。すなわち、圧電アクチュエータ21が伸長すると、ダイアフラム4がポンプ室3の容積を減少させるように変形する。
【0037】
ダイアフラム4をポンプ室3の容積を増大する方向に付勢するバネ23がロッド25とケース24とを結ぶように設置されている。このバネ23は、圧電アクチュエータ21の収縮する方向の力を補助する。また、圧電アクチュエータ21には、外部のコントローラー11からの導線26が接続されており、コントローラー11から駆動電圧が印加される。
【0038】
コントローラー11は、0[V]から設定電圧値(以下、「印加電圧」と言う。)まで立ち上がるパルス状の電圧を発生できる。また、コントローラー11は、1個のパルスの幅[ms](以下、「パルス幅」と言う。)、パルスが0[V]から印加電圧に立ち上がるまでの時間[ms](以下、「立ち上がり時間」と言う。)、パルスを連続して出力する場合のパルスとパルスとの間隔[s]も設定できるようになっている。これらの設定を変更することにより、1回の噴射によって噴射される薬液7の量(以下、「噴射量」と言う。)、噴射された薬液7の速さ(以下、「線速」と言う。)、連続して噴射する場合の噴射間隔等を変更することができる。
【0039】
圧電ポンプ2の吐出流路32には、吐出チューブ13の一端が接続されている。吐出チューブ13の他端には、ノズル5が接続されている。ノズル5は、内径が先端に向かって漸減するテーパ状の内面を有している。これにより、薬液7がノズル5から線状に噴射される。
【0040】
ノズル5は、図示しない固定部材によりその先端51が斜め下方向を向くように固定されて設置されている。このため、薬液7は、斜め下方向に噴射され、採血管容器6の内周面61に対して傾斜した角度をもって内周面61上の衝突中心位置70に衝突する。衝突した薬液7は、内周面61上で衝突中心位置70からその周囲に広がるが、内周面61に斜めに衝突することにより衝突中心位置70から採血管容器6内部の奥(下方)に向かう方向の広がりがより大きい(図3参照)。また、ノズル5の向きによって衝突中心位置70を自由に設定することができ、薬液7を採血管容器6の奥深くにまで付着させることもできる。
【0041】
また、ノズル先端51の形状および内径の大きさにより、線状に噴射される薬液7の平均直径(以下、「線径」と言う。)が決まる。
【0042】
標的とする採血管容器6は、検体採血に用いられる採血管の一部を構成するものであり、実質的に透明なガラス、各種プラスチック等を構成材料とする有底筒状の容器である。採血管容器6の内周面61に薬剤を付着した後に、例えばフィルムやゴム栓のような封止部材(図示せず)によって開口62を気密的に封止したものが採血管となる。
【0043】
採血管容器6は、支持部材14によって例えば直立するように支持されている。ノズル5と採血管容器6とは、採血管容器6の開口62がノズル先端51のわずかに下方に位置するような位置関係にある。
【0044】
なお、支持部材14は、図示しない搬送機構に取付けられ、採血管容器6を移動することができるようになっていてもよい。
【0045】
本発明の薬剤付着方法は、以上説明したような薬剤付着装置1を用いて実施される。以下、薬剤付着装置1を用いて薬剤を付着させる方法について説明する。
【0046】
[1] 薬剤を溶媒に溶解して薬液7を調製し、貯留部10に貯留する。採血管容器6の内周面61に付着させる薬剤は、血液処理剤であり、血液凝固促進剤、血液抗凝固剤、解糖阻止剤等の薬剤が用いられる。血液凝固促進剤としては、例えばトロンビン、蛇毒、シリカ粉末等が挙げられ、血液抗凝固剤としては、例えばヘパリン、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられ、解糖阻止剤としては、例えばフッ化ナトリウム等が挙げられる。また、ヘパリン中和剤として硫酸プロタミン等の薬剤が挙げられる。
【0047】
さらに、採血管以外の医療用器具に関しては、抗血栓剤、血栓溶解剤、栄養剤、麻酔剤、抗がん剤、撥水性コート剤、親水性コート剤等種々の薬剤が目的に応じて使用される。また、必要に応じて、複数の箇所にそれぞれ別々の薬剤を付着させてもよい。
【0048】
薬液7の溶媒は、薬剤を溶解させるものであればよく、薬剤の溶解性(水溶性であるか脂溶性であるか)に応じて、例えば、水またはエタノール等の揮発性有機溶媒等が好ましく用いられる。また、水と有機溶媒との混合溶液のような2以上の混合溶媒を使用することもできる。
【0049】
有機溶媒を比較的多く含んだ溶媒とした場合には、薬液7が速乾性に優れる。また、薬液7の表面張力が小さくなるので、採血管容器6の内周面61に衝突した薬液7が大きく広がるようになり、広い範囲に付着させることができる。これにより、採血管の使用時に、付着した薬剤(血液処理剤)が採取した血液に広い面積で接触して敏速に溶解する。
【0050】
水を比較的多く含んだ溶媒とした場合には、薬液7の表面張力が大きくなり、標的に衝突した薬液7を広げずに滴状とすることができ、狭い範囲に集中して薬剤を付着させることができる。
【0051】
また、薬液7の粘度を調整することにより、標的に衝突した薬液7が広がる大きさを調節することができる。他の条件を同じくする場合、薬液7の粘度が小さい程標的上で大きく広がる。薬液7の粘度は、例えば、PVP(ポリビニルピロリドン)のような粘度調節剤を用いて調節することができる。
【0052】
薬液7の濃度は、薬剤の用途、種類により適宜決定される。薬液7の濃度と噴射量とによって、付着する薬剤の絶対量が決定される。したがって、同量の薬剤を付着させる場合に、薬液7の濃度を低くして噴射量を多くすると、広い面積に付着させることができ、逆に、薬液7の濃度を高くして噴射量を少なくすると、狭い範囲に付着させることができる。
【0053】
[2] ノズル5を吐出チューブ13から取り外し、代わりにシリンジ(図示せず)等を取付けて薬液を吸い込み、ポンプ室3の内部に薬液7を満たす(圧電ポンプ2へのプライミング操作)。その後、ノズル5を元通りに取付ける。
【0054】
[3] コントローラー11を操作して、印加電圧、パルス幅、立ち上がり時間をそれぞれ設定する。主に印加電圧および立ち上がり時間の設定を変更することで、線速を調節することができる。また、主に印加電圧およびパルス幅の設定を変更することで、噴射量を調節することができる。
【0055】
[4] コントローラー11から[3]で設定したパルス状の駆動電圧を発生させ、圧電アクチュエータ21に電圧を印加する。圧電アクチュエータ21は、電圧を印加されて伸長し、レバー22、ロッド25を介して円板部42を押圧する。これにより、ダイアフラム4がポンプ室3側に突出するように変形し、ポンプ室3の容積が減少する。
【0056】
[5] ポンプ室3の容積が減少すると、ポンプ室3に満ちていた薬液7は、吸入側逆止弁35を通過せず、吐出側逆止弁36のみを通過して吐出流路32に吐出(送液)される。すると、吐出流路32、吐出チューブ13、ノズル5のそれぞれの内部にあった薬液7が順次送液され、ノズル先端51から薬液7が線状をなして噴射される。
【0057】
この際、圧電アクチュエータ21が敏速に伸長し、高速に送液するので、瞬間的に噴射することができ、迅速な塗布が可能である。
【0058】
また、薬液7を液状のまま線状に一方向に噴射するので、薬液7を正確に標的に衝突させることができ、設定した位置に正確に付着させることができる。
【0059】
線速は、0.005〜5m/sであるのが好ましく、0.1〜1m/sであるのがより好ましい。このような範囲内であると、噴射された薬液7が直線状に飛行するので、より正確に標的に衝突させることができる。また、衝突した薬液7が跳ね返って飛び散ることもない。また、噴射量等の他の条件を同じくする場合に、線速が大きい程、薬液7が大きく広がるので、線速の設定により薬液7が広がる大きさを調節することができる。
【0060】
噴射され、線状をなしている薬液7の長さ(以下、「線長」と言う。)は、0.1〜500mmであるのが好ましく、1〜10mmであるのがより好ましい。このような範囲内であると、噴射された薬液7の直進性がより高くなり、また、薬液7が拡散することをより確実に防止することができる。また、線長は、線径と噴射量との設定を変えることにより、調節することができる。
【0061】
線径は、0.1〜2mmであるのが好ましく、0.2〜1mmであるのがより好ましい。このような範囲内であると、噴射された薬液7の直進性がより高くなり、また、薬液7が拡散することをより確実に防止することができる。
【0062】
噴射量は、薬剤の用途、種類に応じて適宜決定されるが、前記血液処理剤の場合、0.1〜100μlであるのが好ましく、1〜10μlであるのがより好ましい。このような範囲内であると、噴射された薬液7の直進性がより高くなり、また、薬液7が拡散することをより確実に防止することができる。さらに、薬液7をより均一に付着させることができ、薄く付着させることもより容易となる。
【0063】
[6] ノズル5から斜め下方向に噴射された薬液7は、開口62から採血管容器6の内部に進入して、内周面61上の衝突中心位置70に斜め方向から衝突し、衝突中心位置70の周囲に一定の範囲に広がって付着する。このとき、衝突した薬液7が下方へ進行する勢いをもっているので、下方への広がりが大きい(図3参照)。
【0064】
この際、噴射された薬液7は、設定した位置(衝突中心位置70)に正確に衝突する。したがって、噴射した薬液7が拡散して目的以外の部分にまで付着することがなく、噴射量のほぼ全量を設定した領域に付着させることができ、正確な量の薬剤を付着させることができる。
【0065】
また、噴射された薬液7の飛距離が大きいので、ノズル5を標的に接近させる必要がない。さらに、薬液7の表面張力を小さく設定した場合や噴射量を多く設定した場合には、付着した薬液7が下方向に広がる距離をより長くすることができる。したがって、ノズル5を採血管容器6の内部に挿入することなく、薬剤を採血管容器6の内周面61に広く、また奥の部分まで付着させることができる。これにより、ノズル5を採血管容器6の内部に挿入するためにノズル5を採血管容器6に対し相対的に移動する動作およびそのための機構が不要であり、効率よく、かつ、簡単な装置で薬剤を付着させることができる。
【0066】
また、ノズル5を挿入する必要がないことと噴射に要する時間が極めて短いことから、採血管を製造ラインで量産する場合に、次のような利点がある。それは、コンベア等の搬送装置によって次々と搬送されてくる採血管容器6に対して順次薬剤を付着させる工程において、採血管容器6を一旦停止する必要がなく、移動を続けたままノズル5との位置関係が適当になるタイミングに合わせて薬液7を噴射して付着させられることである。このため非常に効率よく迅速に付着させることができ、装置の簡素化も図れる。
【0067】
また、本発明の薬剤付着方法により薬剤を付着させた部分は、噴霧により薬剤を付着させた場合と比べて光透過率を高くすることが可能である。これは、噴霧による方法では、微小な粒径の液滴を付着させるので、付着面が光を散乱するのに対し、本発明の方法では、薬液7が膜状に付着するので付着面での光の散乱が小さいためである。したがって、採血管容器6の内周面61に薬剤が付着していても、内部の視認性を高くすることが可能である。
【0068】
[7] 薬液7を付着させた後、必要に応じて、乾燥させる。乾燥は、自然乾燥や風乾でもよく、温風乾燥でもよい。
【0069】
図4は、以上説明した薬剤付着方法と同様の方法で薬剤を付着させたシリンジを示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図4中の上側を「基端」、下側を「先端」と言う。
【0070】
図4に示すシリンジ8は、ほぼ筒状をなし、基端に開放端81、先端に突出部82を有する。突出部82の先端には、先端開口83が形成されている。
【0071】
薬剤71は、シリンジ8の内周面84の先端寄りに付着している。ノズル5の向きを調節することにより、このように、薬剤71をシリンジの奥に付着させることができる。
【0072】
シリンジ8は、薬剤71を付着させた後に、開放端81からガスケット付プランジャ(図示せず)が挿入されて使用される。突出部82には、注射針、チューブ類、コネクタ、カテーテル等を接続することができる。
【0073】
以上、本発明の薬剤付着方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0074】
標的とする対象物は、採血管容器やシリンジに限らず、例えば、毛細管(キャピラリー)、バッグ、ボトル、チューブ類、カテーテル、ドリップチャンバー、あるいは、フィルター、ダイアライザー、人工肺、熱交換器、カーディオトミーリザーバおよびそれらのハウジング内面、シャーレ、多穴プレート等でもよい。
【0075】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、薬液を線状にして所定の方向に指向性を持たせて噴射し、設定した位置に正確に薬液を衝突させるので、付着させる位置を容易かつ正確に調整することができる。
【0076】
また、薬液の噴射量、粘度、線速、溶媒の種類や濃度等を適宜設定することで、薬剤の付着量や付着領域を自由に調節することができる。
【0077】
また、噴射した薬液のほぼ全量を付着領域に付着させることができるので、正確な量の薬剤を付着させることができ、薬剤の無駄もない。
【0078】
さらに、効率よく迅速に付着させることができ、連続的な噴射にも有利であるとともに、実施する際に用いる装置の簡素化も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薬剤付着方法の実施に用いられる薬剤付着装置の一例を示す側面図である。
【図2】図1に示す薬剤付着装置の圧電ポンプの内部構造を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の薬剤付着方法により内周面に薬剤を付着させた採血管容器の縦断面図である。
【図4】本発明の薬剤付着方法により内周面に薬剤を付着させたシリンジの縦断面図である。
【符号の説明】
1 薬剤付着装置
2 圧電ポンプ
21 圧電アクチュエータ
22 レバー
23 バネ
24 ケース
25 ロッド
26 導線
3 ポンプ室
31 吸入流路
32 吐出流路
33 吸入口
34 吐出口
35 吸入側逆止弁
36 吐出側逆止弁
4 ダイアフラム
41 膜部
42 円板部
5 ノズル
51 ノズル先端
6 採血管容器
61 内周面
62 開口
7 薬液
70 衝突中心位置
71 付着した薬剤
8 シリンジ
81 開放端
82 突出部
83 先端開口
84 内周面
10 貯留部
11 コントローラー
12 吸入チューブ
13 吐出チューブ
14 支持部材

Claims (10)

  1. 貯留された薬液を圧電ポンプの作動により送液し、前記送液された薬液をノズルから線状をなすように標的に向けて噴射し、その噴射された薬液を前記標的に衝突させて付着させる薬剤付着方法であって、
    前記圧電ポンプは、吸入口と吐出口とを備えたポンプ室と、前記吸入口に接続された吸入流路と、前記吐出口に接続された吐出流路と、前記吸入流路と前記吐出流路との少なくとも一方に設けられた逆止弁と、前記ポンプ室の容積を増減するダイアフラムと、前記ダイアフラムを駆動する圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータの変位を拡大してダイアフラムに伝達する変位拡大機構と、前記ダイアフラムを前記ポンプ室の容積が増大する方向に付勢する付勢部材とを有するものであることを特徴とする薬剤付着方法。
  2. 前記標的は、筒状容器の内壁である請求項1に記載の薬剤付着方法。
  3. 前記筒状容器の内部に前記ノズルを挿入することなく前記薬液を噴射する請求項2に記載の薬剤付着方法。
  4. 前記薬液は、前記内壁に対し傾斜した方向から噴射される請求項2または3に記載の薬剤付着方法。
  5. 前記噴射された薬液の速さが0.005〜5m/sである請求項1ないし4のいずれかに記載の薬剤付着方法。
  6. 前記噴射され線状をなす薬液の長さが0.1〜500mmである請求項1ないし5のいずれかに記載の薬剤付着方法。
  7. 前記噴射され線状をなす薬液の平均直径が0.1〜2mmである請求項1ないし6のいずれかに記載の薬剤付着方法。
  8. 1個の前記ノズルから1回に噴射される前記薬液の量が0.1〜100μlである請求項1ないし7のいずれかに記載の薬剤付着方法。
  9. 前記標的に衝突させた薬液を乾燥させる工程を有する請求項1ないし8のいずれかに記載の薬剤付着方法。
  10. 前記薬剤は、血液凝固促進剤、血液抗凝固剤、解糖阻止剤等の血液処理剤である請求項1ないし9のいずれかに記載の薬剤付着方法。
JP2000101584A 2000-04-03 2000-04-03 薬剤付着方法 Expired - Lifetime JP3854034B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000101584A JP3854034B2 (ja) 2000-04-03 2000-04-03 薬剤付着方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000101584A JP3854034B2 (ja) 2000-04-03 2000-04-03 薬剤付着方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001276024A JP2001276024A (ja) 2001-10-09
JP3854034B2 true JP3854034B2 (ja) 2006-12-06

Family

ID=18615597

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000101584A Expired - Lifetime JP3854034B2 (ja) 2000-04-03 2000-04-03 薬剤付着方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3854034B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6493883B2 (ja) * 2016-01-22 2019-04-03 富士フイルム株式会社 成膜方法およびアダプタの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001276024A (ja) 2001-10-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7284713B2 (en) System comprising a nozzle and a fixing means therefor
US6907879B2 (en) Agent delivery and aspiration device
US6454739B1 (en) Fibrin sealant delivery device
US7621266B2 (en) Nozzle-system for a dispenser for fluids consisting of a nozzle and a nozzle-holder and/or screw cap
JP5342730B2 (ja) 経肺経路を介するタンパク質送達のための組成物
ES2239264T3 (es) Proceso de secado por pulverizacion para aplicar anticoagulante sobre un cuerpo de jeringa.
ATE461673T1 (de) Verfahren zum anbringen eines medikaments auf eine prothese mittels eines flüssigstrahls
BR112021002836A2 (pt) dispositivo com blindagem para administrar substâncias terapêuticas usando uma corrente de gás-líquido de alta velocidade
KR20170122716A (ko) 마이크로 니들 패치, 및 그 제조 방법 및 마이크로 니들 어레이 제조 장치
JPH08100763A (ja) 流体供給用ポンプ
WO2014151231A1 (en) Method and device of producing an intermittent liquid jet
CN104997550A (zh) 一种血管自动溶栓系统
JP3854034B2 (ja) 薬剤付着方法
JP2023176024A (ja) 液滴のマイクロドーズストリームとして眼にアトロピンを送達するための方法および装置
US6068198A (en) Aerosol generating and dispensing system
JP4418097B2 (ja) 生体組織接着剤塗布装置用の補助器具
US20050215850A1 (en) Syringe pump
JPH0751380A (ja) 内移殖した注入システムを内部洗浄する方法と装置
NL2025071B1 (en) Jet injection system
US9375399B2 (en) Method of coating microneedle devices
WO2005089207A2 (en) Systems and methods for delivering a sample fluid to a receiving substrate
JP2001276178A (ja) 医療用器具
JP3302396B2 (ja) 生体接着剤噴霧装置
JP2004089849A (ja) 微量液体吸入吐出装置
KR101458163B1 (ko) 주사약 분사기 및 상기 분사기를 포함하는 주사약 분사장치

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060328

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060613

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060728

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060818

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060907

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3854034

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090915

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100915

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110915

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110915

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120915

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130915

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term