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JP6493883B2 - 成膜方法およびアダプタの製造方法 - Google Patents

成膜方法およびアダプタの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、筒体内壁に薬剤等を含有する膜を形成する成膜方法およびアダプタの製造方法に関する。
患者(人およびその他の動物を含む)から採取された血液等の生体試料は、スピッツ等の容器に分注された後、遠心分離等の処理にかけられる。その際、血液等の生体試料は、凝固を防止するため抗凝固剤が添加される場合がある。抗凝固剤の混合方法としては、抗凝固剤が内壁に塗布されたシリンジで採血し、その後転倒混和する方法がある。しかし、この方法では、採取した血液のすべてが抗凝固剤と混合されてしまい、このような試料は他の検査で使用できない場合がある。
そこで、例えば、特許文献1では、ノズル部を有し、そのノズル部の内部に薬剤を備え、シリンジに装着して使用するアダプタが提案されている。このアダプタを用いれば薬剤の混入が必要な場合にのみシリンジに装着し分注するだけで薬剤の混入が可能となる。
一方、特許文献2では、薬剤が、ポリプロピレン製の検査容器内面に水溶性ポリマーを介して固着された検査容器が提案されている。また、特許文献3には、採血と血漿分離が連続的に行える血漿採取具が記載されている。
特開2015−187592号公報 特開2004−219220号公報 特開平10−225448号公報
少量の生体試料に薬剤を混合するため、特許文献1に記載のアダプタより内径が小さく容積も小さいノズル部を有するアダプタを用いる場合がある。このアダプタのように、ノズル部で生体試料を通過させながら、生体試料に薬剤を混入させることができれば、血液の凝固防止や薬剤の溶解作業を効率良く行うことができる。しかし、微小な内径を有するアダプタの内壁に特許文献2に記載の技術を用いて薬剤を塗布すると、薬剤を含む水溶性ポリマーの膜が筒体内で目詰まりを起こし、生体試料が筒体内を通過することができないという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、シリンジ等に嵌合して、生体試料を検査容器に分注するために使用されるアダプタの内壁に、生体試料に混入させる添加剤を含む膜を形成する成膜方法およびアダプタの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の成膜方法は、一端に液体状の生体試料が流入される流入側開口と、他端に生体試料が吐出される吐出側開口とを有する筒体の内壁に、生体試料に混入させる添加剤を含む膜を形成する成膜方法であって、
筒体の両端の開口の最大径が、いずれも3mm以下であり、
筒体の内壁は、水に対する接触角が60°以下であり、
吐出側開口近傍を除く筒体の内部に、水溶性高分子と添加剤とが溶解された水溶液を充満させた後、水溶液を乾燥させるものである。
筒体の「吐出側開口近傍」とは、筒体内部の吐出された水溶液の液面が、毛細管現象により開口端に引き寄せられて開口端まで移動し得る領域を意味する。例えば、この領域は、吐出側開口端から、少なくとも吐出側開口の最大径の長さを有する領域である。
筒体は、水に対する接触角が60°以下の材料からなってもよい。
筒体は、帯電防止剤を含む合成樹脂からなってもよい。
合成樹脂は、ポリプロピレンまたはポリエチレンであることが好ましい。
筒体の内壁は、親水化処理されてなるものであってもよい。
開口近傍は、吐出側開口から開口の最大径の長さまでの領域であることが好ましい。
水溶性高分子は、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコールであることが好ましい。
水溶液中の水溶性高分子の濃度は、0.02質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
筒体の軸方向に垂直な断面の形状は、円であることが好ましい。
筒体を水平に位置させ、筒体内部に水溶液を吐出するノズルを流入側開口から少なくとも開口より内部へ挿入して水溶液を定量吐出することが好ましい。
添加剤は、抗凝固剤であってもよい。
筒体は、筒体の内径が流入側開口から吐出側開口に向かって減少する領域を有する形状であることが好ましい。
本発明のアダプタの製造方法は、
シリンジの先端部に嵌合する嵌合部と、
シリンジの内部と連通する筒体を備え、筒体の内壁に添加剤を含む膜が設けられたノズル部と、を備えるアダプタの製造方法であって、
本発明の成膜方法によって、筒体の内壁に添加剤を含む膜を形成するものである。
本明細書において、水の接触角とは、後述の実施例に記載の測定条件にて測定した値とする。
本発明の成膜方法によれば、最大径が3mm以下の開口を有する細い筒体の内壁に、生体試料に混入させるための添加剤を含む膜を、目詰まりすること無く形成することができる。
本発明の成膜方法の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明の成膜方法の他の実施形態を示す概略構成図である。 アダプタとシリンジが嵌合した状態を示す概略断面図である。 三軸ロボットを用いた成膜方法を示す概略図である。 ノズルの概略構成図である。
以下、本発明の成膜方法について説明する。
[成膜方法]
本発明の成膜方法は、一端に液体状の生体試料が流入される流入側開口と、他端に生体試料が吐出される吐出側開口とを有する筒体の内壁に、生体試料に混入させる添加剤を含む膜を形成する成膜方法であって、筒体の両端の開口の最大径が、いずれも3mm以下であり、筒体の内壁は、水に対する接触角が60°以下であり、吐出側開口近傍を除く筒体の内部に、水溶性高分子と添加剤とが溶解された水溶液を充満させた後、水溶液を乾燥させるものである。
本発明の成膜方法の一実施形態について図1を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の成膜方法を示す概略断面図である。
まず、成膜の対象である筒体について説明する。
図1(a)に示すように、筒体10は、一端に液体状の生体試料が流入される流入側開口11と、他端に生体試料が吐出される吐出側開口12とを有する。筒体10の流入側開口11の最大径dinおよび吐出側開口12の最大径doutは、いずれも3mm以下である。両最大径は、いずれも0.5mm以上3mm以下であることが好ましい。
また、筒体10の内壁15は水に対する接触角が60°以下である。水の接触角が60°以下であることにより、親水的な表面を有するので、水溶性高分子と添加剤を含む水溶液を良好に付着させることができる。特に、60°以下の接触角の範囲では、接触角が小さくなるほど親水的な表面を有することになるので水溶液の付着に好ましい態様となる。
本発明における「水に対する接触角」は、後述の実施例における測定条件で測定された値である。
筒体10は、両端に開口を有する構造であればよく、筒体10の軸方向に垂直な断面形状は、多角形、円形または楕円形であってもよい。添加剤の膜が均等な厚さで成膜されて膜に含まれる添加剤の溶解性を向上させる観点、および膜が内壁から脱落するのを防止する観点から、断面形状は円であることが好ましい。
筒体10の形状は、筒体10の内径が流入側開口11から吐出側開口12に向かって減少する、テーパー形成であることが好ましい。例えば、筒体10の中心軸と内壁15とが成す角度θ(図1(a)参照)は、1〜6°であることが好ましく、1°〜3°であることがさらに好ましい。このような角度とすることにより、添加剤と生体試料を良好に混ぜることができる。
筒体10の長さは、生体試料が内部を通過した際、内壁15に付着した添加剤が、生体試料へ十分溶解する寸法であることが好ましい。例えば、筒体10の全長Lは10mmから30mmであることが好ましい。30mmより小さければ分注時の取り扱いが容易である。この長さは、市販のピペット用ディスポチップと同程度の長さである。また微量の血液を無駄にしない観点から、筒体の内容積は10μL以上であることが好ましく、添加剤との混和を充分とするために1mL以下であることが好ましい。
筒体10の原材料として、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、または親水性ポリマーが適用可能である。なかでもポリプロピレンまたはポリエチレンが好ましい。このような熱可塑性樹脂の場合、筒体は、射出成型等の成型技術により容易に作製することができる。
また、筒体の原材料がポリプロピレンまたはポリエチレンの場合、水に対する接触角が60°を超える場合がある。この場合、帯電防止剤を添加して接触角を下げる(親水化処理する)ことが可能である。この場合も、例えば、帯電防止剤を添加された熱可塑性樹脂ペレットを射出成型機で一体成型することにより筒体を作製することができる。
帯電防止剤は、材料の表面を親水化することで表面抵抗を下げ、帯電しにくくする素材である。帯電防止剤を添加することにより、筒体表面の水に対する接触角が低下し、水溶性素材と筒体素材の密着性を向上させることができる。帯電防止剤としては、ジエタノールアミン等のアミン系素材、ならびに、飽和脂肪酸およびアルキルアルコール等のアルコール系素材等を主成分とするものが挙げられる。帯電防止剤を筒体の原材料に添加後、一体成型することで帯電防止剤としての効果を発現する。
また、筒体10を構成する材質の水に対する接触角が60°を超える場合は、筒体を成形した後に筒体の内壁に親水化処理を施すことによって、接触角を60°以下としてもよい。このような親水化処理としては、内壁に帯電防止膜を形成する、または親水化溶剤に内壁を接触させることが挙げられる。また、成型した後に、内壁にコロナ処理(プラズマ処理)を施すことが考えられる。
本発明の成膜方法は、上記のような構成および物性を有する筒体10に、水溶性高分子と添加剤とを含む水溶液を充満させる。
図1(b)に示すように、筒体10の流入側開口11から、水溶液を吐出するノズル20を挿入する。この時、ノズル20を流入側開口11の開口端13から距離Linより内部に挿入させることが好ましい。これは、水溶液が開口端13の外部に漏れることなく確実に筒体内部に充満させるためである。Linは、3mm以上であることが好ましい。Linは、水溶性高分子の種類および粘度、または水溶液の吐出速度によって適宜調製することが好ましい。ノズル20は、筒体10の2つの開口のうち、どちらから挿入してもよいが、流入側開口11から挿入することが好ましい。筒体10がテーパー形状である場合は、筒体10の開口径が広い方からノズルを挿入することが望ましい。
次に、図1(c)に示すように、吐出側開口近傍を除く筒体の内部に、水溶性高分子と添加剤とが溶解された水溶液18をノズル20から充満させる。水溶液18は、吐出側開口12の吐出側近傍まで充満した後、ノズル20の先端から後方へ充満する。これは、液面に掛かる表面張力と水溶液の推力が均衡した位置で停止し、その後はノズル先端から後方へ液面が移動するためである。
ここで、「吐出側開口近傍」とは、図1(c)に示すように、吐出側開口12における開口端14から所定の距離Loutまでの領域(図中の符号17で示す領域)をいう。所定の距離Loutは、筒体内部の吐出された水溶液の液面が、毛細管現象により開口端14に引き寄せられて開口端14まで移動し得る位置である。液面をこのような位置とすることにより、水溶液が吐出側開口12の開口端14に掛からず、水溶液を乾燥させた場合、目詰まりを防止することができる。所定の距離Loutは、少なくとも吐出側開口12の最大径の長さであることが好ましい。
例えば、吐出側開口12の最大径doutが1.0mmの場合、距離Loutは1.0mmであり、吐出側開口近傍は、吐出側開口端14から内部方向に1.0mmまでの領域である。この領域より筒体内部に液面があることが望ましい。
ここで、水溶液の液面が表面張力によって凹んでいる場合の、液面の読み取り位置は、液面の吐出側開口12に最も近い位置を読み取り位置とする。
水溶液を充満させる際、筒体は水平、または吐出側開口が下流側になるように水平から45°以内に保持した状態で行うことが好ましく、さらには、水平から20°以内に保持した状態で行うことが好ましい。45°以内とすることにより、筒体内部に充満した溶液が重力によって狭い開口側へ流れるのを防止することができ、乾燥後に目詰まりするのを防止することができる。
水溶液に含まれる水溶性高分子として、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコールを用いることができる。熱可塑性樹脂に対する濡れ性が高いポリビニルアルコールを使用することが好ましい。水溶性高分子は造膜性があり、添加剤を含む膜が筒体から剥がれ落ちることを防止するバインダーとしての作用がある。
ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールの重量平均分子量Mwは、それぞれ40000〜350000であることが好ましい。
重量平均分子量Mwの測定方法は特に限定されず、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)、粘度法などに基づいて測定することができる。
ポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコールを溶解した水溶液の粘度は、1.0×10−3Pa・sec〜50.0×10−3Pa・secであることが好ましい。粘度は、粘度計(型式SV−10、(株)エー・アンド・デイ社製)で測定した値とする。
水溶液中の水溶性高分子の濃度は、0.02質量%〜5.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0.05質量%〜1.5質量%である。0.02質量%以上であることにより、水溶液乾燥後に形成される膜と筒体との密着性が良好となる。また、5.0質量%以下であることにより、添加剤を含む膜が筒体中で目詰まりを起こすことなく形成することができ、生体試料が筒体内部を良好に通過することができる。
添加剤は、液体状の生体試料に混合させるものであればよい。添加剤として、抗凝固剤、凝固促進剤、および分離剤(血清分離剤および血漿分離剤を含む)を挙げることができる。
抗凝固剤は、血液からフィブリンが析出して凝固するのを阻止するものである。抗凝固剤としては、ヘパリンリチウム、ヘパリンナトリウム、およびEDTA(ethylenediaminetetraacetic acid, エチレンジアミン四酢酸)等の水溶性素材が好ましい。凝固促進剤としては、シリカ、トロンビン、および珪素土の少なくとも1種を使用することができる。また分離剤としては、ポリエステルゲルが挙げられる。
水溶液中の抗凝固剤の濃度は、ヘパリンリチウムであれば、200単位/mL〜4000単位/mLであることが好ましい。
添加剤の濃度は、筒体内部の容積と、筒体を通過する生体試料に溶解させる添加剤が必要量になるように適宜調整することができる。
筒体10の内部16に水溶液18を充満させる装置として、例えば定量吐出ディスペンサーノズルを用いることができる。あらかじめ、筒体10の内部16の容積を求め、適当な量を吐出するように調整する。定量吐出ディスペンサーノズルは、金属製であってもよく、樹脂製であってもよい。
ノズルから添加剤を含む水溶液を吐出する速度は、例えば、筒体の内径が1.0〜2.5mmであり、角度1.0〜2.0°のテーパー形状であって、0.34mmの内径であるノズルを使用した場合は、5μL/sec〜100μL/secが好ましく、10μL/sec〜100μL/secが更に好ましい。5μL/sec以上であることにより、短時間で筒体内に水溶液を充満させることができ、100μL/sec以下であることにより、筒体の開口近傍17に水溶液が接触せず、乾燥後に目詰まりすることを防止することができる。
薬液の吐出速度は、ノズルの内径によっても適宜変更することができる。
水溶液を筒体内部に充満する場合、例えば、水溶液の貯蔵容器、その貯蔵容器から水溶液を吸引および定量吐出するディスペンサー、注入位置まで正確にハンドリングする三軸ロボットを備えた装置を用いることができる。例えば、(1)定量ディスペンサーのノズルを筒体内へ挿入する、(2)筒体内へ水溶液を定量吐出する、(3)定量ディスペンサーのノズルを筒体から退避する、および(4)隣の筒体へ移動する、の4つの動作を繰り返し行うことで、連続的に水溶液を筒体内に充満することができる。
最後に、図1(d)に示すように、水溶液18を乾燥させて、水溶性高分子および添加剤を含む膜19を形成する。乾燥温度は、溶媒である水が蒸発する温度以上であり、かつ使用する添加剤が熱劣化を起こさない温度であることが好ましい。例えば、添加剤が抗凝固剤のヘパリンリチウムの場合、60℃以下で乾燥することが好ましい。
上記実施形態では、水溶液の貯蔵容器から水溶液を吸引および吐出するノズルを例に示したが、予め筒体の内容積を求めてから、充満する水溶液の体積を決定し、水溶液を入れたシリンジから水溶液が定量吐出する定量吐出ディスペンサーを使用しても、同様の効果を得ることができる。
次に、本発明のアダプタの製造方法の他の実施形態について、図2を参照しながら説明する。
図2(b)までの工程は上記実施形態と同様であるため、同要素には同符号を付し説明を省略する。
図2(c)に示すように、ノズル20の吐出側開口12の開口近傍17まで水溶液18が充満されたところで、図2(d)に示すように、ノズル20をY方向へ後退させながら水溶液18を吐出する。ノズルを後退させながら水溶液を吐出することにより、ノズル20の先端周辺21に水溶液が付着することがない。このため、ノズル20の先端周辺21で水溶性高分子が硬化して、ノズル20の吐出量に変化が生じることを防止することができる。
最後に図2(e)に示すように、水溶液18を乾燥させて、水溶性高分子および添加剤を含む膜19を形成する。
本実施形態は、薬液が筒体の吐出側開口12の開口近傍17まで充満した直後に、ノズル20を後退させるよう、3軸ロボットを制御することで、ノズル20の先端周辺21に付着する薬液の量を最小限に抑制することが可能となる。
次に、本発明のアダプタの製造方法について図3を参照しながら説明する。図3は、アダプタとシリンジが嵌合した状態を示す概略断面図である。図4は、三軸ロボットを用いた成膜方法を示す概略図である。
[アダプタの製造方法]
本発明のアダプタの製造方法は、シリンジの先端部に嵌合する嵌合部と、シリンジの内部と連通する筒体を備え、筒体の内壁に添加剤を含む膜が設けられたノズル部と、を備えるアダプタの製造方法であって、本発明の成膜方法によって、筒体の内壁に添加剤を含む膜を形成するものである。
図3に示すように、アダプタ30は、シリンジ40の先端部42が嵌合する嵌合部32と、シリンジ内部41と連通する筒体10を備えるノズル部31とを有し、筒体10の嵌合部32側にフランジ33を有する。筒体10はシリンジ内部41に充填された生体試料Sが流入される流入側開口11と、筒体10の内部16に注入された生体試料Sが吐出される吐出側開口12と、水溶性高分子および添加剤を含む膜19とを有する。
筒体10の構成および物性は上記本発明の成膜方法において説明したものと同様であり、その詳細な説明は省略する。
嵌合部32の形状、内径および長さは、シリンジの先端部42の形状、大きさおよび長さに適合するように設計される。例えば、嵌合部32は、JIS規格のJIS T−3210等のシリンジに適合するよう設計される。嵌合部32にシリンジの先端部42が挿入されることにより、アダプタ30がシリンジ40に装着される。本実施形態では、嵌合部32とシリンジ40の先端部42とは嵌め合わさる構造を有するが、例えば、ねじ構造を有していてもよいし、凸部と凹部(窪んだ部分や切り欠き部分)で係合する構造を有してもよい。
フランジ33は、手でアダプタ30をシリンジ40に装着する際に、生体試料Sが手に付着するのを防止する機能、アダプタの筒体10の内壁に添加剤を含む膜を形成する際に水平に位置させるための支持体に固定する機能を有する。フランジの外径は、8mm以上30mm以下であることが好ましい。フランジ33の外径が8mm以上であることにより、生体試料Sが手に付着する懸念が減り、支持体に固定する際に安定する。30mm以下であることにより、アダプタの取り扱いが容易となる。またフランジ33はアダプタの転がり防止のため切り欠き部を有していてもよい。
アダプタの製造方法において、筒体の内壁に添加剤を含む膜の成膜方法は、上記本発明の成膜方法と同様であるため、その詳細な説明は省略する。ここでは、複数のアダプタの筒体内部に連続的に水溶液を充満させるため三軸ロボットを用いた形態について図4を参照しながら説明する。
図4に示すように、アダプタ30a,30b,および30cを支持体50に並列に配置し固定する。支持体50は、アダプタをほぼ水平に保持するように形成された溝51を有する。アダプタ30a,30b,および30cが配列された支持体50は、三軸ロボットのステージ(不図示)に固定される。ステージは、駆動装置(不図示)によってY方向に移動可能である。ノズル20は支持体60によって支持されている。ノズル20は、XZ方向に移動可能であり、あらかじめアダプタ30a,30b,および30cの筒体中心に挿入されるようZ方向の位置決めがされている。
図4に示すように、まず、アダプタ30a,30b,および30cを配置し固定したステージをY方向に移動させ、ノズル20をアダプタ30aの筒体内部に挿入させる。水溶性高分子と添加剤とを含む水溶液をノズル20から吐出して、筒体内部に水溶液を所定量充満させる。次に、ステージを−Y方向に移動させて、ノズル20をアダプタ30aの筒体内部から退避させる。次に、ノズル20をX方向に移動させる。再度、ステージをY方向に移動させて、ノズル20を隣のアダプタ30bの筒体内部に挿入させて、筒体内部に水溶液を所定量充満させる。
このように、複数のアダプタを並列に配置し、三軸ロボットを用いることによって、連続的にアダプタの筒体内部に水溶液を充満させることができる。
最後に、水溶液を乾燥させて、水溶性高分子と添加剤とを含む膜を形成する。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、添加剤、物質量とその割合、および操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1で使用するアダプタの詳細は以下の通りである。
(アダプタの材料)
熱可塑性樹脂:ポリプロピレン(98質量部)
帯電防止剤:アルキルジエタノールアミン(2質量部)
ポリプロピレンに帯電防止剤を添加したペレット状のポリプロピレンを、射出成形機(商品名SE75V,住友重機工業(株)社製)によって成型した。アダプタの水に対する接触角を測定したところ、29.0°であった。
(アダプタの形状)
アダプタの全長:20mm
ノズル部の長さL:15mm
アダプタの吐出側開口の最大径:1mm
アダプタの流入側開口の最大径:2mm
ノズル部の形状:流入側開口から吐出側開口に向かって筒体の内径が小さくなったテーパー形状(角度θ=2°)である
ノズル部の容積:30μL
以下に、アダプタの水の接触角の測定条件を記載する。
測定装置:Drop Master 500(協和界面化学(株)製)
測定環境:温度24〜26℃、湿度40〜60%RH
測定方法:純水1.0μLを、水平に設置したアダプタの平坦部(フランジ)に滴下し、水滴を形成した。次に、水滴を側面からカメラで撮影した。撮影した画像データを元に、水滴の接触角を画像処理により測定した。撮影および接触角の測定は、純水滴下後20秒以内に行った。
(添加剤を含む水溶液)
添加剤:抗凝固剤(ヘパリンリチウム)
水溶性高分子:ポリビニルピロリドン
ヘパリンリチウムの濃度が1000単位/mL、ポリビニルピロリドンの濃度が0.1質量%となるように水溶液を作製した。水には超純水を用いた。また、水溶液の粘度は、1.20×10−3Pa・secであった。粘度は、粘度計(型式SV−10、(株)エー・アンド・デイ社製)で測定した。
(ノズル)
使用するノズルについて図5を用いて説明する。
ノズル20として外径が0.64mmであり、内径が0.34mmである定量吐出ディスペンサーノズルを用いた。図5に示すようにノズル20は、ノズルの根元22から15mm(Lz)の位置で90°に曲げられ、折り曲げられた部分の端からノズル先端までの長さ(Ly)が9mmであった。
上記実施形態で説明した三軸ロボットを用いて、ヘパリンリチウムとポリビニルピロリドンとを含む水溶液をアダプタの筒体内部に充満させた。アダプタを支持体上に水平に位置させ、この支持体を三軸ロボットのステージ上に固定した。次に、アダプタの流入側開口からノズルを挿入し、水溶液を、吐出速度50μL/secで20μL吐出した。
次に、アダプタが配列された支持体を熱風式オーブンに投入し、60℃で16時間乾燥させて、抗凝固剤を含むポリビニルピロリドンの膜を筒体内壁に形成した。
[実施例2]
水溶性高分子をポリビニルアルコールにした以外は、実施例1と同様に作製した。アダプタの水に対する接触角は、29.0°であった。
[実施例3]
帯電防止剤の量を調節してアダプタの水に対する接触角を43.5°にした以外は、実施例1と同様に作製した。
[実施例4]
帯電防止剤の量を調節してアダプタの水に対する接触角を43.5°にした以外は、実施例2と同様に作製した。
[実施例5]
帯電防止剤の量を調節してアダプタの水に対する接触角を57.4°にした以外は、実施例1と同様に作製した。
[実施例6]
帯電防止剤の量を調節してアダプタの水に対する接触角を57.4°にした以外は、実施例2と同様に作製した。
[比較例1]
アダプタの材料をアクリルとし、水溶性高分子をポリビニルアルコールとした以外は、実施例1と同様に作製した。アダプタの水に対する接触角は、71°であった。
[比較例2]
アダプタの材料をポリプロピレンとした以外は、実施例1と同様に作製した。アダプタの水に対する接触角は、92.3°であった。
[比較例3]
水溶性高分子をポリビニルアルコールとした以外は、比較例2と同様に作製した。アダプタの水に対する接触角は、92.3°であった。
(評価)
各実施例および比較例について、それぞれ10個のサンプルの目詰まりを評価した。結果を表1に記載する。
表1に示すように、接触角が60°以下の場合、ノズルに目詰まりは生じなかった。一方、接触角が60°を超える場合、10個のうち2〜4個に目詰まりが生じた。
このように、本発明の成膜方法を用いることにより、開口の最大径が3mm以下の細い筒体に添加剤を含む膜を目詰まりすること無く形成することができることがわかった。
10 筒体
11 流入側開口
12 吐出側開口
13,14 開口端
15 内壁
16 内部
17 開口近傍
18 水溶液
19 水溶性高分子と添加剤とを含む膜
20 ノズル
21 先端周辺
22 ノズルの根元
30,30a,30b,30c アダプタ
31 ノズル部
32 嵌合部
33 フランジ
40 シリンジ
41 シリンジ内部
42 先端部
S 生体試料
50,60 支持体
51 溝

Claims (13)

  1. 一端に液体状の生体試料が流入される流入側開口と、他端に前記生体試料が吐出される吐出側開口とを有する筒体の内壁に、前記生体試料に混入させる添加剤を含む膜を形成する成膜方法であって、
    前記筒体の両端の開口の最大径が、いずれも3mm以下であり、
    前記筒体の内壁は、水に対する接触角が60°以下であり、
    前記吐出側開口近傍を除く前記筒体の内部に、水溶性高分子と前記添加剤とが溶解された水溶液を充満させた後、該水溶液を乾燥させる成膜方法。
  2. 前記筒体は、水に対する接触角が60°以下の材料からなる請求項1記載の成膜方法。
  3. 前記筒体が、帯電防止剤を含む合成樹脂からなる請求項2記載の成膜方法。
  4. 前記合成樹脂が、ポリプロピレンまたはポリエチレンである請求項3記載の成膜方法。
  5. 前記筒体の内壁が、親水化処理されてなる請求項1記載の成膜方法。
  6. 前記開口近傍が、前記吐出側開口から該開口の前記最大径の長さまでの領域である請求項1から5いずれか1項記載の成膜方法。
  7. 前記水溶性高分子が、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコールである請求項1から6いずれか1項記載の成膜方法。
  8. 前記水溶液中の前記水溶性高分子の濃度が、0.02質量%以上5.0質量%以下である請求項7記載の成膜方法。
  9. 前記筒体の軸方向に垂直な断面の形状が、円である請求項1から8いずれか1項記載の成膜方法。
  10. 前記筒体を水平に位置させ、前記筒体内部に前記水溶液を吐出するノズルを前記流入側開口から少なくとも該開口より内部へ挿入して前記水溶液を定量吐出する請求項1から9いずれか1項記載の成膜方法。
  11. 前記添加剤が、抗凝固剤である請求項1から10いずれか1項記載の成膜方法。
  12. 前記筒体は、該筒体の内径が前記流入側開口から前記吐出側開口に向かって減少する領域を有する請求項1から11いずれか1項記載の成膜方法。
  13. シリンジの先端部に嵌合する嵌合部と、前記シリンジの内部と連通する筒体を備え、該筒体の内壁に添加剤を含む膜が設けられたノズル部と、を備えるアダプタの製造方法であって、
    前記添加剤を含む膜を、請求項1から12いずれか1項記載の成膜方法によって形成するアダプタの製造方法。
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