JP3853424B2 - 人工開口用のオストミーカップリング - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工開口用のオストミーカップリングに関する。
【０００２】
【従来の技術】
人工開口用のオストミーカップリングは、着用者の皮膚の開口周囲領域に貼付される医療用接着パッドに対して、小孔から排出される排出物を受け入れるためのバッグを取り付けたり取り外したりするために用いられる。多くの構造のオストミーカップリングが知られている。商業上大成功を収めたオストミーカップリングが、英国特許第１,５７１,６５７号明細書に開示されかつ請求の範囲に記載されている。
【０００３】
リングを変形させることによって２つのカップリング部材のロック解除を行う、２部材よりなるオストミーカップリングが、１９９４年５月６日に出願され本願の出願後に公開されることになっている、英国特許出願第９４０９０３７.０号明細書に開示されている。
【０００４】
Ｖ字断面を有するリングが複数のカップリング部材を一体的に保持する人工開口用のオストミー器具が、米国特許第５,３２２,５２２号明細書及び同第５,３２２,５２３号明細書に開示されている。
【０００５】
ヨーロッパ特許第４８２ １０４Ｂ号に対応する、１９９１年公開のＰＣＴ出願第ＷＯ９１／０１１１９号明細書には、オストミーカップリングに用いるロックリングが開示されている。このようなリングを具体化したオストミーカップリングが、ヨーロッパ特許第５７２ ３７８Ｂ号明細書に示されている。この構造の特徴は、接合された複数のカップリング部材の周囲を取り囲むリング上で内側にばね付勢される複数の舌片と、押しボタン式係合装置と、フック及び戻り止めよりなる係合装置とが備えられていることであり、これは、ロックリングをカップリング部材上に固定的に維持することを意図したものであることは明らかである。このような構造のカップリングの場合、バッグの取付や取外しの際に、非常に複雑な操作が必要となることは避けられないように思われる。
【０００６】
雄リングと相互に係合可能なダブル雌リング構造を有するオストミー装置が、１９８５年２月に公開された日本国実用新案第６２−１１６１０号明細書でクボ氏により提案されている。雄リングをバッグ側とし、雌リングを皮膚に貼付可能な接着パッド側としてもよいし、その逆でもよい。雌リングの外側リングは、円形で柔軟であり、直径の対向する両端に、内側に延在する１対のキャッチを有している。それらのキャッチをつなぐ直径に対して実質的に直角の直径を有しかつ径方向に延在する２つのラグを押圧することによって、外側雌リングは、キャッチが径方向外側に移動するように変形させられ、２つのカップリング部材を分離することが可能となる。
【０００７】
このような構成は、理論上は実施可能かも知れないが、実際には重大な欠点を有している。例えば、(i)取付や取外しを行うのに、カップリングを、外周上で約９０°の間隔をあけた４箇所で保持する必要があり、(ii)径方向に対向する２つの部位を押圧すると、カップリングが通常の平面から曲げられる傾向があり、このように力が加えられることによって、ボデー側のパッドが、部分的(又は全体的)に着用者の皮膚から容易に外れるかも知れないし、また、直径の両端を十分に同時に押圧する必要があるということは、バッグ側のカップリングの取外しが不確実になる恐れがあることを意味しており、(iii)バッグ側のカップリング部材の取付や取外しを繰り返し行うことによって、(雄リングと雌リングの間で排出物が漏出するのを防止すべく備えられている)Ｏリングの摩滅が生じるので、封止性能が損なわれ、非常に厄介で好ましくない結果が生じる恐れがあり、(iv)着用者は、２つのカップリング部材が正確に位置決めされているか否かを見極めるのに困難を覚えるかも知れず、(v)取付や取外しの操作に必要とされる正確性や力は、体が弱かったり、混乱していたり、高齢であったり、あるいは気の短かったり着用者の能力を越えており、(vi)器具の適切なロックを確実に行うのは困難であり、(vii)寸法が大きい場合には、リングの径方向に対向する部位を手を広げて押圧することは、高齢者や体の弱い人にとっては身体的に困難である。クボ氏の出願や現在用いられている多くのオストミーカップリングの他の欠点は、カップリングが好ましくない長さでボデーから外側に延在しており、着用者の衣類の下でふくらみ邪魔になる原因となることである。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、改良された構造のオストミーカップリングを提供することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段・作用・効果】
本発明によれば、相互に係合してオリフィスを取り囲む第１カップリング部材及び第２カップリング部材と、上記２つのカップリング部材を取り囲みハンドル部材を有する弾性スプリットリングとを備えてなるカップリング部材が提供される。上記ハンドル部材は、着用者によって操作されると、上向きに移動するように形成されており、これによって、スプリットリングは、該リングの径方向内側に延在するタブが各第１位置と各第２位置との間を移動するように変形させられる。上記第１位置においては、スプリットリングは変形しておらず、タブは２つのカップリング部材を一体的にロックしており、上記第２位置においては、スプリットリングは、タブが、２つのカップリングを分離することが可能な所定位置に向かって径方向外側に移動するように変形させられる。
【００１０】
本発明の好適な実施形態においては、タブはリング上に左右対称に設けられており、スプリットリングは弾性の柔軟な材料より作られる。アセタール樹脂が好適である。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態の例を図１〜図５に従って、詳細に説明する。
【００１２】
図１〜図５に示されている人工開口用のオストミーカップリングは、第１及び第２カップリング部材５０,６０と、スプリットロックリング７０とを備えている。第１カップリング部材は、プラスチック成形品であってもよいし、低密度のポリエチレンより作られてもよい。また第２カップリング部材も、例えばＥＶＡなどのプラスチック成形品であってもよい。第１及び第２カップリングを、それぞれ、バッグ側及びボデー側としてもよいし、その逆としてもよい。
【００１３】
ロックリング７０の材料は、ポリオキシメチレン(ＰＯＭ)とも呼ばれホーキスト(Hoechst)より市販されている、「ＫＥＭＡＴＡＬ」(登録商標)として知られるアセタールのコポリマーであれば、良好な結果が得られる。これは、非常に安定したポリマー構造を有する結晶性熱可塑性樹脂であって、適当な等級は、「ＨＯＳＴＡＦＯＲＭ」(登録商標)Ｃ.２７０２１である。
【００１４】
上述したように、人工開口用のカップリングは、第１カップリング部材５０と、図２にのみ示されている第２カップリング部材６０と、スプリットリング７０とを備えている。第２カップリング部材は、リングや第１カップリング部材と相補的な形状をなすように、円形又は閉ループ形状にされている。図２に直径の一端を示す。第１カップリング部材は、内壁５１、外壁５２、その壁５２に設けられた開口部、及び、医療用接着パッド(図示せず)に貼付されるフランジ５３を有する。カバーフランジ５４は、スプリットリング７０をカップリング内の所定位置に保持するのに使われており、案内スタッド５６は、フランジ５３の表面から上向きに突出して、後述する細長スロット７２内に延在している。
【００１５】
第２カップリング部材６０はフランジ６１を有し、該フランジの露出面６４には、図示しない人工開口用のオストミーポーチの壁が取り付けられる。第２カップリング部材は、円形の壁６２と、径方向外側に延在してタブ７１が係合するリム６３とを有する。この係合によって、カップリングは、図２に示されているような結合状態となる。
【００１６】
スプリットロックリングは、カップリングと一体であって、図５に最もわかりやすく示されている。このリングは、ロックタブ７１Ａ〜Ｇ、把持タブ７３、及び、該タブに形成されたスロット７２を備えている。スロット７２は図４には示されていない。ロックリングの自由端は７５で示されている。図示されているように、ロックタブ７１Ａは概ね矩形であるが、残りのタブ７１Ｂ〜Ｇはおよそ洋梨を半分に分割したような形状である。これらのタブは、例えば図１の７４Ｃ,７４Ｄなどの湾曲面を有している。これらの面は、把持タブ７３が矢印Ｃに示されているように上向きに垂直に引っ張られると、ロックタブが略径方向外側に移動するように形成されている。スロット７２内に延在するスタッド５６があることによって、スプリットロックリングの、径方向外向き、即ち、通常の使用においては上向きの、実質的に直線的な移動が確実に補償される。このような上向きの移動が生じることによって、タブ７１に設けられた傾斜している又は湾曲している面７４によりタブが径方向外側に移動してリム６３を解放すると、ロックリングの自由端７５が分離すべく移動することは当然に理解されるであろう。したがって、バッグ側カップリング部材６０及び該部材に取り付けられたバッグは、カップリングの外向き軸方向に引っ張ることによって、第１カップリング部材５０から容易に分離されることが可能である。フランジ５３の(図２に示されているような)下面５３Ａには、医療用接着パッドが取り付けられているので、器具を着用者に取り付けることが可能である。
【００１７】
この医療用接着パッドは、好ましくはポリエチレンなどのポリマーの薄いフィルムである基材と、基材の背面に配置される接着剤層とを備えている。上記接着剤層は、断続的に分散された水溶性あるいは膨潤性のハイドロコロイドゴムを含む、１つ以上の感圧性の粘着材又はエラストマーからなる均質な配合物として形成するのが好ましく、また、１つ以上の熱可塑性エラストマー及び／又は１つ以上の膨潤性凝縮強化剤を含んでいてもよい。
【００１８】
本発明に修正、変形、及び改良を行うことが可能であることが理解されるであろう。例えば、カップリング部材を円形とせずに、楕円形又は閉ループ形状とすることもできる。各実施形態におけるロックリングの材料は、アセタール樹脂が好ましいが、適当な柔軟特性や弾力特性を有する他の熱可塑性樹脂材を用いることも可能である。スプリットロックリングを外向きにばね付勢してカップリング部材を分離するために、他の特別な機能を利用してもよい。漏出の恐れを減じるために、また、製造において生じるかも知れないカップリング部材間の公差を小さくするために、カップリング部材５０あるいは６０に、柔軟で屈曲可能な封止ストリップを備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の好適な実施形態の平面図であって、第１カップリング部材及びロックリングよりなる部分を示す。
【図２】 図１のVI−VI線断面図であって、第２カップリング部材の直径の一方の端部部分を示しており、ロックリング上に位置するタブのロック機能を説明している。
【図３】 図１の斜視図である。
【図４】 図３と同様の図であって、第１カップリング部材を示しており、第２カップリング部材は示していない。
【図５】 本発明に用いられるロックリングの斜視図である。
【符号の説明】
５０ 第１カップリング部材
５１ 内壁
５２ 外壁
５３ フランジ
５３Ａ フランジ下面
５４ カバーフランジ
５６ スタッド
６０ 第２カップリング部材
６１ フランジ
６２ 円形壁
６３ リム
６４ 露出面
７０ スプリットロックリング
７１Ａ〜Ｇ ロックタブ
７２ スロット
７３ 把持タブ
７４Ｃ,Ｄ 湾曲面
７５ 自由端
１１０ 小孔オリフィス

Claims (5)

1. 第１及び第２のカップリング部材が、弾力性を有する柔軟なスプリットロックリングによって一体的に保持される、人工開口用のオストミーカップリングであって、上記スプリットロックリングは各腕部の自由端から最も離れた反対側すなわち上方位置に半径方向に延びるスロット付きの把持タブを備え、上記スロット内には第１カップリング部材から突出したスタッドが嵌合して上記スプリットロックリングの上下方向の動きを制限し、上記スプリットロックリングを下方端へ移動させて弾性的に縮径させることによってスプリットロックリングの腕部から内側へ突出している湾曲面付きの複数の左右対称に設けられたタブが第１カップリング部材の筒状外壁内の開口部を通して第２カップリンング部材の外向きフランジ状のリム上に噛み合い、上記スプリットロックリングを上方に移動させることによって、上記スプリットロックリングの各腕部に左右対称に設けられた複数のタブを概ね経方向外側に引き出して、上記２つのカップリング部材の分離を可能とすることを特徴とする、オストミーカップリング。
2. 上記タブを引き出す上記ロックリングの移動によって、上記リングが垂直に上方に移動させられるように配置された、スタッド及びスロットを備えた把持タブを有することを特徴とする、請求項１記載のカップリング。
3. 上記把持タブは上記リング上に設けられ上記スロットを有し、上記スタッドは一方のカップリング部材上に設けられていることを特徴とする、請求項２記載のカップリング。
4. 上記ロックリングはアセタール樹脂よりなることを特徴とする、請求項１〜３のいずれかに記載のカップリング。
5. ボデー側の上記カップリング部材に貼付される医療用接着パッドを有する人工開口用のオストミーカップリングであって、
   上記パッドは、好ましくはポリエチレンなどのポリマー材よりなる薄いフィルムである基材と、該基材の背面に配置される接着剤層とを備えており、
   該接着剤層は、断続的に分散された水溶性あるいは膨潤性の１つ以上のハイドロコロイドゴムを含む、１つ以上の感圧性の粘着材又はエラストマーからなる均質な配合物として形成され、また、１つ以上の熱可塑性エラストマー及び／又は１つ以上の膨潤性凝縮強化剤によって形成されることを特徴とする、請求項１〜４記載のオストミーカップリング。

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