JP3818137B2 - 空調装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両に搭載されて車室の空調を行う空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、車両用空調装置においては、外気温度や車室内温度等の熱負荷情報に基づいて、蒸発器を通過した直後の空気温度(エバ後温度)の目標を決定する。そして、この目標エバ後温度と、例えばサーミスタよりなるエバポレータ温度センサにより検出された検出エバ後温度とに基づいて、容量可変型圧縮機(以下圧縮機とする)の吐出容量をフィードバック制御するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、エバ後温度を指標とした圧縮機の吐出容量のフィードバック制御では、温度変化に対するサーミスタの反応の遅れや、蒸発器内部での冷媒分布の不均一さ等に起因して、エバポレータセンサが検出する検出エバ後温度と、実際のエバ後温度との間に遅れが生じてしまう。従って、圧縮機の吐出容量制御がハンチングしがちとなり、空調フィーリングが悪化する問題を生じていた。
【0004】
本発明の目的は、容量可変型圧縮機の吐出容量制御のハンチングを抑制することが可能な空調手法を備えた空調装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、モータ制御手段によって電動モータが基準回転速度で駆動される。目標圧縮機トルク算出手段によって、一定の基準回転速度での容量可変型圧縮機(以下圧縮機とする)の目標圧縮機トルクが、熱負荷情報に応じて算出される。圧縮機トルクの増減は圧縮機の吐出容量の増減と表裏一体であり、圧縮機の吐出容量が増大すると圧縮機トルクは増大され、逆に吐出容量が減少すると圧縮機トルクは減少される。
【0006】
目標電流値算出手段は、電動モータの特性によって決定されるその回転速度と出力トルクと入力電流値との関係から、電動モータが基準回転速度にて目標圧縮機トルクを出力する場合に、電動モータに入力されるべき電流値たる目標電流値を算出する。従って、圧縮機トルクが目標圧縮機トルクに一致すれば、電動モータに入力される電流値は目標電流値となるはずである。よって、圧縮機制御手段によって、電動モータの検出電流値が目標電流値となるように圧縮機の吐出容量をフィードバック制御すれば、圧縮機トルクを目標圧縮機トルクに維持することができる。
【0007】
つまり、例えば、電動モータの検出電流値が目標電流値よりも低ければ、圧縮機トルクが目標圧縮機トルクよりも小さく、圧縮機の吐出容量言い換えれば空調装置の冷房能力が熱負荷に対して不足気味と判断される。この場合には、圧縮機の吐出容量が増大制御されて圧縮機トルクが上昇される。従って、一定の基準回転速度で駆動される電動モータは、負荷の増大によって、それに入力される電流値が上昇されることとなる。
【0008】
逆に、検出電流値が目標電流値よりも高ければ、圧縮機トルクが目標圧縮機トルクよりも大きく、圧縮機の吐出容量言い換えれば空調装置の冷房能力が過剰気味であると判断される。この場合には、圧縮機の吐出容量が減少制御されて圧縮機トルクが低下される。従って、一定の基準回転速度で駆動される電動モータは、負荷の減少によって、それに入力される電流値が低下されることとなる。
【0009】
このように、圧縮機トルクを指標とした圧縮機の吐出容量のフィードバック制御によれば、圧縮機の吐出容量変更に対して圧縮機トルクが即応することとなる。よって、従来のエバ後温度を指標としたフィードバック制御でみられた、圧縮機の吐出容量制御のハンチングを効果的に抑制することができ、良好な空調フィーリングを得ることができる。
【0010】
また、圧縮機トルクを目標圧縮機トルクに維持するために、直接的には電動モータに入力される電流値を検出してフィードバック制御を行っている。従って、圧縮機トルクを直接的に検出するための高価なトルクセンサを必要としない。
【0011】
請求項2の発明は請求項1において、空調装置は車両用であり、圧縮機にはハイブリッド駆動タイプが採用されている。従って、電動モータに走行駆動源と同等の圧縮機駆動能力を求めると、電動モータが大型化してエンジンルーム内に配置できなくなる問題がある。従って、電動モータとしては小型のものを採用せざるを得ない。しかし、小型の電動モータは、圧縮機トルクが過大であると脱調を起こして停止してしまい、空調に支障を来たすおそれがある。
【0012】
このような態様において、圧縮機の吐出容量制御のハンチングを効果的に抑制し、必要以上に圧縮機トルクが過大となることを防止できることは、電動モータの安定運転と良好な空調フィーリングとを高次元で両立する上で有効である。
【0013】
請求項3の発明は請求項2において、電動モータは圧縮機の回転体装置に内蔵されている。言い換えれば、電動モータはさらに小型で非力である。従って、圧縮機の吐出容量制御のハンチングを効果的に抑制できることは、電動モータの安定運転と良好な空調フィーリングとを高次元で両立する上で特に有効である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車室の空調を行う車両用空調装置において具体化した一実施形態について説明する。
【0015】
(容量可変型斜板式圧縮機)
図1に示すように、容量可変型斜板式圧縮機(以下圧縮機とする)Cのハウジング11内にはクランク室12が区画されている。ハウジング11においてクランク室12内には、駆動軸13が回転可能に配設されている。駆動軸13には、車両の走行駆動源である内燃機関(エンジン)Eの出力軸が、回転体装置としてのプーリ装置PTを介して作動連結されている。
【0016】
前記プーリ装置PTは、ハウジング11に回転可能に支持された回転体としてのロータ80を備え、ロータ80の外周にはエンジンEからのベルト81が掛けられている。駆動軸13においてハウジング11外へ突出する端部にはハブ82が固定されている。ロータ80とハブ82との間には周知のワンウエイクラッチ83が介装されている。
【0017】
前記プーリ装置PTは、電動モータとしてのモータ部84をロータ80の内側に備えている。モータ部84は、磁石レスのSRモータよりなっている。モータ部84は、ハウジング11に固定された固定子84aと、固定子84aの外周を取り囲むようにしてハブ82に固定配置された回転子84bとを備えている。
【0018】
エンジンEの停止時において固定子84aには、必要に応じて、モータ制御手段としての制御コンピュータたるエアコンECU72の指令に基づき、インバータ等からなる駆動回路78から電力が供給される。駆動回路78から固定子84aへの電力供給によって回転子84bに回転力が発生し、ハブ82を介して駆動軸13が回転駆動される。この時、ハブ82からロータ80への動力伝達はワンウエイクラッチ83によって遮断され、モータ部84が発生した回転力がエンジンE側へ不必要に伝達されることはない。
【0019】
なお、前記ワンウエイクラッチ83は、ロータ80からハブ82への動力伝達は許容する。このため、エンジンEの稼動時においてエンジンEからの動力は、ロータ80及びハブ82を介して駆動軸13に伝達される。
【0020】
前記クランク室12内において駆動軸13上には、ラグプレート14が一体回転可能に固定されている。クランク室12内には斜板15が収容されている。斜板15は、駆動軸13にスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ヒンジ機構16は、ラグプレート14と斜板15との間に介在されている。従って、斜板15は、ヒンジ機構16を介することで、ラグプレート14及び駆動軸13と同期回転可能であるとともに、駆動軸13に対して傾動可能となっている。
【0021】
前記ハウジング11内には複数(図面には一つのみ示す)のシリンダボア11aが形成されており、各シリンダボア11a内には片頭型のピストン17が往復動可能に収容されている。各ピストン17は、シュー18を介して斜板15の外周部に係留されている。従って、駆動軸13の回転にともなう斜板15の回転運動が、シュー18を介してピストン17の往復運動に変換される。
【0022】
前記シリンダボア11a内の後方(図面右方)側には、ピストン17と、ハウジング11に備えられた弁・ポート形成体19とで囲まれて圧縮室20が区画されている。ハウジング11の後方側の内部には、吸入室21及び吐出室22がそれぞれ区画形成されている。
【0023】
前記吸入室21の冷媒ガスは、各ピストン17の上死点位置から下死点側への移動により、弁・ポート形成体19に形成された吸入ポート23及び吸入弁24を介して圧縮室20に吸入される。圧縮室20に吸入された冷媒ガスは、ピストン17の下死点位置から上死点側への移動により所定の圧力にまで圧縮され、弁・ポート形成体19に形成された吐出ポート25及び吐出弁26を介して吐出室22に吐出される。
【0024】
(圧縮機の容量制御構造)
図1に示すように、前記ハウジング11内には抽気通路27及び給気通路28が設けられている。抽気通路27はクランク室12と吸入室21とを連通する。給気通路28は吐出室22とクランク室12とを連通する。ハウジング11において給気通路28の途中には制御弁29が配設されている。
【0025】
前記制御弁29の開度を調節することで、給気通路28を介したクランク室12への高圧な吐出ガスの導入量と抽気通路27を介したクランク室12からのガス導出量とのバランスが制御され、クランク室12の内圧が決定される。クランク室12の内圧変更に応じて、ピストン17を介してのクランク室12の内圧と圧縮室20の内圧との差が変更され、斜板15の傾斜角度が変更される結果、ピストン17のストロークすなわち圧縮機Cの吐出容量が調節される。
【0026】
例えば、制御弁29の開度が減少してクランク室12の内圧が低下されると、斜板15の傾斜角度が増大し、圧縮機Cの吐出容量が増大される。図1において二点鎖線は斜板15の最大傾斜角度状態を示している。逆に、制御弁29の開度が増大してクランク室12の内圧が上昇されると、斜板15の傾斜角度が減少し、圧縮機Cの吐出容量が減少される。図1において実線は斜板15の最小傾斜角度状態を示している。
【0027】
(冷媒循環回路)
図1に示すように、車両用空調装置の冷媒循環回路(冷凍サイクル)は、上述した圧縮機Cと外部冷媒回路30とから構成されている。外部冷媒回路30は、凝縮器31、膨張弁32及び蒸発器33を備えている。
【0028】
前記圧縮機Cの吐出室22内には第1圧力監視点P1が設定されている。第2圧力監視点P2は、第1圧力監視点P1から凝縮器31側(下流側)へ所定距離だけ離れた冷媒通路の途中に設定されている。この第1圧力監視点P1の圧力と第2圧力監視点P2の圧力との差には、冷媒循環回路の冷媒流量が反映されている。つまり、冷媒循環回路の冷媒流量が多くなると第1圧力監視点P1と第2圧力監視点P2との間の圧力差(二点間差圧ΔPd)が増大し、逆に冷媒流量が少なくなると二点間差圧ΔPdは減少する。
【0029】
前記第1圧力監視点P1と制御弁29とは第1検圧通路35を介して連通されている。第2圧力監視点P2と制御弁29とは第2検圧通路36を介して連通されている。
【0030】
(制御弁)
図1に示すように、前記制御弁29は、給気通路28の開度を調節する弁体41、弁体41の図面上側に作動連結された感圧機構42、及び弁体41の図面下側に作動連結された電磁アクチュエータ43が備えられている。弁体41は下動することで給気通路28の開度を増大し、上動することで給気通路28の開度を減少させる。感圧機構42は、感圧室42a内に感圧部材としてのベローズ42bを備えている。感圧室42aにおいてベローズ42bの内空間には、第1検圧通路35を介して第1圧力監視点P1の圧力が導かれている。感圧室42aにおいてベローズ42bの外空間には、第2検圧通路36を介して第2圧力監視点P2の圧力が導かれている。
【0031】
前記電磁アクチュエータ43には、固定鉄心43a、可動鉄心43b及びコイル43cが備えられており、可動鉄心43bには弁体41が作動連結されている。コイル43cには、情報検知手段71からの情報に応じた、圧縮機制御手段としてのエアコンECU72の指令に基づき、駆動回路73から電力が供給される。駆動回路73からコイル43cへの電力供給量に応じた大きさの上向き電磁力(電磁吸引力)が、固定鉄心43aと可動鉄心43bとの間に発生し、この電磁力は可動鉄心43bを介して弁体41に伝達される。コイル43cへの通電制御は印加電圧を調整することでなされ、この印加電圧の調整にはPWM(パルス幅変調)制御が採用されている。
【0032】
さて、前記制御弁29において、コイル43cに対しデューティ比可変範囲の最小デューティ比Dt(min)(>0%)以上の通電がなされると、可動鉄心43bが弁体41に作用させる上向きの電磁力と、ベローズ42bが弁体41に作用させる二点間差圧ΔPdに基づく下向き押圧力及びベローズ42b自身が有するバネ性に基づく下向き付勢力とが対抗する。そして、これら上下付勢力が均衡する位置に弁体41が位置決めされる。
【0033】
例えば、エンジンEの回転速度が減少して冷媒循環回路の冷媒流量が減少すると、ベローズ42bが弁体41に作用させる、下向きの二点間差圧ΔPdに基づく力が減少する。従って、弁体41が上動して給気通路28の開度が減少し、クランク室12の内圧が低下傾向となる。このため、斜板15が傾斜角度増大方向に傾動し、圧縮機Cの吐出容量は増大される。圧縮機Cの吐出容量が増大すれば冷媒循環回路における冷媒流量も増大し、二点間差圧ΔPdは増加する。
【0034】
逆に、エンジンEの回転速度が増大して冷媒循環回路の冷媒流量が増大すると、ベローズ42bが弁体41に作用させる、下向きの二点間差圧ΔPdに基づく力が増大する。従って、弁体41が下動して給気通路28の開度が増加し、クランク室12の内圧が増大傾向となる。このため、斜板15が傾斜角度減少方向に傾動し、圧縮機Cの吐出容量は減少される。圧縮機Cの吐出容量が減少すれば冷媒循環回路における冷媒流量も減少し、二点間差圧ΔPdは減少する。
【0035】
また、例えば、コイル43cへの通電デューティ比Dtを大きくして弁体41に作用する上向きの電磁力を大きくすると、弁体41が上動して給気通路28の開度が減少し、圧縮機Cの吐出容量が増大される。従って、冷媒循環回路における冷媒流量が増大し、二点間差圧ΔPdも増大する。
【0036】
逆に、コイル43cへの通電デューティ比Dtを小さくして弁体41に作用する上向きの電磁力を小さくすると、弁体41が下動して給気通路28の開度が増加し、圧縮機Cの吐出容量が減少する。従って、冷媒循環回路における冷媒流量が減少し、二点間差圧ΔPdも減少する。
【0037】
つまり、前記制御弁29は、コイル43cへの通電デューティ比Dtによって決定された二点間差圧ΔPdの制御目標(設定差圧)を維持するように、この二点間差圧ΔPdの変動に応じて感圧機構42が内部自律的に弁体41を位置決めする構成となっている。また、この設定差圧は、コイル43cへの通電デューティ比Dtを調節することで外部から変更可能となっている。
【0038】
(空調制御)
図1に示すように、前記情報検知手段71には、空調装置のオンオフスイッチであるエアコンスイッチ91、車室内の温度を設定する温度設定器92、車室内の温度を検出する車室温度センサ93、外気温度を検出する外気温度センサ94、蒸発器33を通過した直後の空気温度(エバ後温度)を検出するサーミスタよりなるエバポレータセンサ95、モータ部84の回転速度N(x)を検出する回転速度センサ96、及びモータ部84の固定子84aに供給される電流値I(x)を検出する電流値検出手段としての電流センサ97が備えられている。特に、温度設定器92、車室温度センサ93及び外気温度センサ94が熱負荷情報検知手段をなしている。
【0039】
前記エンジンEの稼動時においてエアコンECU72は、エアコンスイッチ91のオン状態の下で、温度設定器92、車室温度センサ93及び外気温度センサ94からの検出情報に基づいて空調装置の必要冷房能力(例えば、必要吹出温度(TAO))を算出し、この必要冷房能力から目標エバ後温度を算出する。この目標エバ後温度と、エバポレータセンサ95により検出された検出エバ後温度とに基づいて、制御弁29のコイル43cへの通電デューティ比Dtを決定し、このデューティ比Dtでのコイル43cの駆動が駆動回路73に指令される。
【0040】
例えば、エバポレータセンサ95からの検出エバ後温度が目標エバ後温度よりも高ければ、デューティ比Dtの増大が駆動回路73に指令される。従って、制御弁29の弁開度が減少し、圧縮機Cの吐出容量が増大してエバ後温度は低下傾向となる。逆に、検出エバ後温度が目標エバ後温度よりも低ければ、デューティ比Dtの減少が駆動回路73に指令される。従って、制御弁29の弁開度が増大し、圧縮機Cの吐出容量が減少してエバ後温度は上昇傾向となる。
【0041】
一方、図2に示すように、前記エンジンEの停止時においてエアコンECU72は、エアコンスイッチ91がオン状態であると、ステップ(以下「S」と略す)101において、モータ部84の起動を駆動回路78に指令するとともに、駆動回路73に指令するデューティ比Dtをデューティ比可変範囲の最小値Dt(min)とし、制御弁29の内部自律機能を起動する。なお、モータ部84の回転は一定の基準回転速度N(set)でなされ、この基準回転速度N(set)を維持するように、回転速度センサ96からの回転速度情報N(x)に基づいて駆動回路78がフィードバック制御される。
【0042】
S102においては、温度設定器92、車室温度センサ93及び外気温度センサ94からの各種熱負荷情報に基づき必要冷房能力を算出する。熱負荷が大きければ必要冷房能力は大きく算出され、逆に熱負荷が小さければ必要冷房能力は小さく算出される。
【0043】
S103において、目標圧縮機トルク算出手段としてのエアコンECU72は、圧縮機Cの駆動軸13の回転速度つまりモータ部84の回転速度N(x)が予め設定された一定の基準回転速度N(set)であると仮定して、前述した必要冷房能力を実現するための目標圧縮機トルクを算出する。必要冷房能力が大きければ目標圧縮機トルクは大きく算出され、逆に必要冷房能力が小さければ目標圧縮機トルクは小さく算出される。なお、目標圧縮機トルクの算出は、モータ部84の最大出力トルクを考慮してこの最大出力トルクを超えないように行われる。
【0044】
S104において、目標電流値算出手段としてのエアコンECU72は、モータ部84の特性によって決定されるその回転速度と出力トルクと入力電流値との関係から、S103で算出された目標圧縮機トルクを、モータ部84が基準回転速度N(set)にて出力する場合に、モータ部84に入力されるべき電流値I(x)たる目標電流値I(set)を算出する。目標圧縮機トルクが大きければ目標電流値I(set)は大きく算出され、目標圧縮機トルクが小さければ目標電流値I(set)は小さく算出される。
【0045】
S105においては、電流値センサ97からの検出電流値I(x)が目標電流値I(set)よりも小であるか否かが判定される。S106においては、検出電流値I(x)が目標電流値I(set)よりも大であるか否かが判定される。S105判定及びS106判定がともにNOであるなら、モータ部84には目標電流値I(set)が入力されており、圧縮機トルクは目標圧縮機トルクに一致されていることとなる。つまり、圧縮機Cの吐出容量言い換えれば空調装置は必要冷房能力を過不足なく発揮しており、空調装置の冷房能力の変更を伴うデューティ比Dtの変更はなされず、処理はS102へと移行される。
【0046】
S105判定がYESであるなら、圧縮機トルクは目標圧縮機トルクよりも小さく、圧縮機Cの吐出容量言い換えれば空調装置の冷房能力が不足気味であると判断される。従って、S107において、デューティ比Dtを単位量ΔDだけ増大させ、その修正値(Dt+ΔD)へのデューティ比Dtの変更を駆動回路73に指令する。従って、制御弁29の弁開度が若干減少し、圧縮機の吐出容量が若干増大して圧縮機トルクが若干上昇される。圧縮機トルクが若干上昇すれば、駆動回路78からモータ部84へ入力される電流値I(x)が若干増大される。
【0047】
S106判定がYESであるなら、圧縮機トルクは目標圧縮機トルクよりも大きく、圧縮機Cの吐出容量言い換えれば空調装置の冷房能力が過剰気味であると判断される。従って、S108において、デューティ比Dtを単位量ΔDだけ減少させ、その修正値(Dt−ΔD)へのデューティ比Dtの変更を駆動回路73に指令する。従って、制御弁29の弁開度が若干増大し、圧縮機Cの吐出容量が若干減少して圧縮機トルクが若干低下される。圧縮機トルクが若干低下すれば、駆動回路78からモータ部84へ入力される電流値I(x)が若干減少される。
【0048】
このように、S107及び/又はS108でのデューティ比Dtの修正処理を経ることで、圧縮機トルクが目標圧縮機トルクからずれていても、言い換えれば空調装置の冷房能力が必要冷房能力からずれていても、制御弁29の設定差圧が次第に最適化され、さらには制御弁29での内部自律的な弁開度調節も相俟って、空調装置の冷房能力が必要冷房能力に速やかに収束する。
【0049】
本実施形態においては次のような効果を奏する。
(1)モータ部84による圧縮機Cの駆動時においては、圧縮機トルクを指標として圧縮機Cの吐出容量のフィードバック制御を行っている。圧縮機Cの吐出容量の増減と圧縮機トルクの増減は表裏一体であり、圧縮機Cの吐出容量変更に対して圧縮機トルクは即応される。従って、エバ後温度を指標としたフィードバック制御でみられる、圧縮機Cの吐出容量制御のハンチングを効果的に抑制することができ、良好な空調フィーリングを得ることができる。
【0050】
また、圧縮機トルクを目標圧縮機トルクに維持するために、直接的にはモータ部84に供給される電流値I(x)を検出してフィードバック制御を行っている。従って、圧縮機トルクを直接的に検出するための高価なトルクセンサを必要としない。
【0051】
(2)圧縮機Cにはハイブリッド駆動タイプが採用されており、モータ部84にエンジンEと同等の圧縮機駆動能力を求めると、モータ部84が大型化してエンジンルーム内に配置できなくなる問題がある。従って、モータ部84としては小型のものを採用せざるを得ない。しかし、小型のモータ部84は、圧縮機トルクが過大であると脱調を起こして停止してしまい、空調に支障を来たすおそれがある。このような態様において、圧縮機Cの吐出容量制御のハンチングを効果的に抑制し、必要以上に圧縮機トルクが過大となるのを防止できることは、モータ部84の安定運転と良好な空調フィーリングとを高次元で両立する上で有効である。
【0052】
(3)モータ部84は、圧縮機Cのプーリ装置PTに内蔵されている。言い換えれば、モータ部84はさらに小型で非力である。従って、圧縮機Cの吐出容量制御のハンチングを効果的に抑制できることは、モータ部84の安定運転と良好な空調フィーリングとを高次元で両立する上で特に有効である。
【0053】
(4)制御弁29は、例えば設定吸入圧力可変型の制御弁とは異なり、蒸発器33での熱負荷の大きさに影響される吸入圧そのものを制御弁29の弁開度制御における直接の指標とすることなく、冷媒循環回路の圧力をそれぞれ反映する冷媒通路内の二つの圧力監視点P1,P2間の差圧ΔPdを直接の制御対象として圧縮機Cの吐出容量のフィードバック制御を実現している。このため、蒸発器33での熱負荷状況にほとんど影響されることなく、エアコンECU72による外部制御によって、応答性及び制御性の高い吐出容量の増加減少制御を行なうことができる。従って、圧縮機Cの吐出容量制御のハンチングをより効果的に抑制することができ、特にモータ部84の安定運転と良好な空調フィーリングとを高次元で両立する上で特に有効な構成を備えた制御弁29であると言える。
【0054】
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で以下の態様でも実施できる。
・第1圧力監視点P1を、蒸発器33と吸入室21とを含む両者間の吸入圧力領域に設定するとともに、第2圧力監視点P2を同じ吸入圧力領域において第1圧力監視点P1の下流側に設定すること。
【0055】
・制御弁29として、設定吸入圧力可変型のものを用いること。
・制御弁29として、給気通路28ではなく、抽気通路27の開度調節によりクランク室12の内圧を調節する、所謂抜き側制御弁を採用すること。
【0056】
・容量可変型圧縮機としてワッブルタイプのものを採用すること。
・電動モータとしては、上記実施形態で採用した磁石レスで低コストなSRモータ以外にも、高効率で小型な磁石付きブラシレスモータや、ブラシ付きで高効率な直流モータ等を採用してもよい。なお、電動モータの電源回路が低電圧仕様の場合には直流モータを採用し、高電圧仕様の場合には磁石付きブラシレスモータ或いはSRモータを採用するとよい。
【0057】
・例えば、電気自動車用等、電動モータのみを容量可変型圧縮機の駆動源とする車両用空調装置において具体化すること。
・上記実施形態においては車室の空調を行う車両用空調装置において具体化されていたが、これに限定されるものではなく、例えば冷凍車や冷蔵車の庫内の空調(温度調節)を行う車両用空調装置において具体化してもよい。また、車両用に限定されるものではなく、家庭用等の建物内の空調を行う空調装置において具体化してもよい。
【0058】
上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記容量可変型圧縮機の吐出容量変更につながる弁開度調節を行うための制御弁を備え、前記圧縮機制御手段は制御弁を制御し、前記制御弁は、冷媒循環回路の圧力を検出可能な感圧部材を備えこの圧力変動に基づいて感圧部材が変位することでこの圧力変動を打ち消す側に容量可変型圧縮機の吐出容量が変更されるように弁体を動作させる感圧機構と、前記弁体に付与する力を圧縮機制御手段からの指令に基づいて変更することで感圧機構による弁体の位置決め動作の基準となる設定圧を変更可能な設定圧変更用アクチュエータ(上記実施形態においては電磁アクチュエータ43に具体化されている)とからなる請求項1〜3のいずれかに記載の空調装置。
【0059】
このようにすれば、感圧機構の内部自律的な弁開度調節によって、空調装置の冷房能力を必要冷房能力に速やかに収束させることができる。
(2)前記感圧機構は、冷媒循環回路に沿って設定された二つの圧力監視点間の圧力差を感圧部材によって検出可能であるとともに、この圧力差の変動に基づいて感圧部材が変位することで、この圧力差の変動を打ち消す側に容量可変型圧縮機の吐出容量が変更されるように弁体を動作させ、前記設定圧変更用アクチュエータは、弁体に付与する力を圧縮機制御手段からの指令に基づいて変更することで、感圧機構による弁体の位置決め動作の基準となる設定圧としての設定差圧を変更可能な構成である前記(1)に記載の空調装置。
【0060】
このような制御弁を用いることは、特に電動モータの安定運転と良好な空調フィーリングとを高次元で両立する上で特に有効となる。
【0061】
【発明の効果】
上記構成の本発明によれば、容量可変型圧縮機の吐出容量制御のハンチングを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 空調装置の概要を示す図。
【図2】 空調制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
71…目標圧縮機トルク算出手段、目標電流値算出手段、モータ制御手段、及び圧縮機制御手段としてのエアコンECU、84…電動モータとしてのモータ部、92…熱負荷情報検知手段を構成する温度設定器、93…同じく車室温度センサ、94…同じく外気温度センサ、97…電流値検出手段としての電流センサ、C…容量可変型圧縮機、I(set)…目標電流値、I(x)…検出電流値。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両に搭載されて車室の空調を行う空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、車両用空調装置においては、外気温度や車室内温度等の熱負荷情報に基づいて、蒸発器を通過した直後の空気温度(エバ後温度)の目標を決定する。そして、この目標エバ後温度と、例えばサーミスタよりなるエバポレータ温度センサにより検出された検出エバ後温度とに基づいて、容量可変型圧縮機(以下圧縮機とする)の吐出容量をフィードバック制御するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、エバ後温度を指標とした圧縮機の吐出容量のフィードバック制御では、温度変化に対するサーミスタの反応の遅れや、蒸発器内部での冷媒分布の不均一さ等に起因して、エバポレータセンサが検出する検出エバ後温度と、実際のエバ後温度との間に遅れが生じてしまう。従って、圧縮機の吐出容量制御がハンチングしがちとなり、空調フィーリングが悪化する問題を生じていた。
【0004】
本発明の目的は、容量可変型圧縮機の吐出容量制御のハンチングを抑制することが可能な空調手法を備えた空調装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、モータ制御手段によって電動モータが基準回転速度で駆動される。目標圧縮機トルク算出手段によって、一定の基準回転速度での容量可変型圧縮機(以下圧縮機とする)の目標圧縮機トルクが、熱負荷情報に応じて算出される。圧縮機トルクの増減は圧縮機の吐出容量の増減と表裏一体であり、圧縮機の吐出容量が増大すると圧縮機トルクは増大され、逆に吐出容量が減少すると圧縮機トルクは減少される。
【0006】
目標電流値算出手段は、電動モータの特性によって決定されるその回転速度と出力トルクと入力電流値との関係から、電動モータが基準回転速度にて目標圧縮機トルクを出力する場合に、電動モータに入力されるべき電流値たる目標電流値を算出する。従って、圧縮機トルクが目標圧縮機トルクに一致すれば、電動モータに入力される電流値は目標電流値となるはずである。よって、圧縮機制御手段によって、電動モータの検出電流値が目標電流値となるように圧縮機の吐出容量をフィードバック制御すれば、圧縮機トルクを目標圧縮機トルクに維持することができる。
【0007】
つまり、例えば、電動モータの検出電流値が目標電流値よりも低ければ、圧縮機トルクが目標圧縮機トルクよりも小さく、圧縮機の吐出容量言い換えれば空調装置の冷房能力が熱負荷に対して不足気味と判断される。この場合には、圧縮機の吐出容量が増大制御されて圧縮機トルクが上昇される。従って、一定の基準回転速度で駆動される電動モータは、負荷の増大によって、それに入力される電流値が上昇されることとなる。
【0008】
逆に、検出電流値が目標電流値よりも高ければ、圧縮機トルクが目標圧縮機トルクよりも大きく、圧縮機の吐出容量言い換えれば空調装置の冷房能力が過剰気味であると判断される。この場合には、圧縮機の吐出容量が減少制御されて圧縮機トルクが低下される。従って、一定の基準回転速度で駆動される電動モータは、負荷の減少によって、それに入力される電流値が低下されることとなる。
【0009】
このように、圧縮機トルクを指標とした圧縮機の吐出容量のフィードバック制御によれば、圧縮機の吐出容量変更に対して圧縮機トルクが即応することとなる。よって、従来のエバ後温度を指標としたフィードバック制御でみられた、圧縮機の吐出容量制御のハンチングを効果的に抑制することができ、良好な空調フィーリングを得ることができる。
【0010】
また、圧縮機トルクを目標圧縮機トルクに維持するために、直接的には電動モータに入力される電流値を検出してフィードバック制御を行っている。従って、圧縮機トルクを直接的に検出するための高価なトルクセンサを必要としない。
【0011】
請求項2の発明は請求項1において、空調装置は車両用であり、圧縮機にはハイブリッド駆動タイプが採用されている。従って、電動モータに走行駆動源と同等の圧縮機駆動能力を求めると、電動モータが大型化してエンジンルーム内に配置できなくなる問題がある。従って、電動モータとしては小型のものを採用せざるを得ない。しかし、小型の電動モータは、圧縮機トルクが過大であると脱調を起こして停止してしまい、空調に支障を来たすおそれがある。
【0012】
このような態様において、圧縮機の吐出容量制御のハンチングを効果的に抑制し、必要以上に圧縮機トルクが過大となることを防止できることは、電動モータの安定運転と良好な空調フィーリングとを高次元で両立する上で有効である。
【0013】
請求項3の発明は請求項2において、電動モータは圧縮機の回転体装置に内蔵されている。言い換えれば、電動モータはさらに小型で非力である。従って、圧縮機の吐出容量制御のハンチングを効果的に抑制できることは、電動モータの安定運転と良好な空調フィーリングとを高次元で両立する上で特に有効である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車室の空調を行う車両用空調装置において具体化した一実施形態について説明する。
【0015】
(容量可変型斜板式圧縮機)
図1に示すように、容量可変型斜板式圧縮機(以下圧縮機とする)Cのハウジング11内にはクランク室12が区画されている。ハウジング11においてクランク室12内には、駆動軸13が回転可能に配設されている。駆動軸13には、車両の走行駆動源である内燃機関(エンジン)Eの出力軸が、回転体装置としてのプーリ装置PTを介して作動連結されている。
【0016】
前記プーリ装置PTは、ハウジング11に回転可能に支持された回転体としてのロータ80を備え、ロータ80の外周にはエンジンEからのベルト81が掛けられている。駆動軸13においてハウジング11外へ突出する端部にはハブ82が固定されている。ロータ80とハブ82との間には周知のワンウエイクラッチ83が介装されている。
【0017】
前記プーリ装置PTは、電動モータとしてのモータ部84をロータ80の内側に備えている。モータ部84は、磁石レスのSRモータよりなっている。モータ部84は、ハウジング11に固定された固定子84aと、固定子84aの外周を取り囲むようにしてハブ82に固定配置された回転子84bとを備えている。
【0018】
エンジンEの停止時において固定子84aには、必要に応じて、モータ制御手段としての制御コンピュータたるエアコンECU72の指令に基づき、インバータ等からなる駆動回路78から電力が供給される。駆動回路78から固定子84aへの電力供給によって回転子84bに回転力が発生し、ハブ82を介して駆動軸13が回転駆動される。この時、ハブ82からロータ80への動力伝達はワンウエイクラッチ83によって遮断され、モータ部84が発生した回転力がエンジンE側へ不必要に伝達されることはない。
【0019】
なお、前記ワンウエイクラッチ83は、ロータ80からハブ82への動力伝達は許容する。このため、エンジンEの稼動時においてエンジンEからの動力は、ロータ80及びハブ82を介して駆動軸13に伝達される。
【0020】
前記クランク室12内において駆動軸13上には、ラグプレート14が一体回転可能に固定されている。クランク室12内には斜板15が収容されている。斜板15は、駆動軸13にスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ヒンジ機構16は、ラグプレート14と斜板15との間に介在されている。従って、斜板15は、ヒンジ機構16を介することで、ラグプレート14及び駆動軸13と同期回転可能であるとともに、駆動軸13に対して傾動可能となっている。
【0021】
前記ハウジング11内には複数(図面には一つのみ示す)のシリンダボア11aが形成されており、各シリンダボア11a内には片頭型のピストン17が往復動可能に収容されている。各ピストン17は、シュー18を介して斜板15の外周部に係留されている。従って、駆動軸13の回転にともなう斜板15の回転運動が、シュー18を介してピストン17の往復運動に変換される。
【0022】
前記シリンダボア11a内の後方(図面右方)側には、ピストン17と、ハウジング11に備えられた弁・ポート形成体19とで囲まれて圧縮室20が区画されている。ハウジング11の後方側の内部には、吸入室21及び吐出室22がそれぞれ区画形成されている。
【0023】
前記吸入室21の冷媒ガスは、各ピストン17の上死点位置から下死点側への移動により、弁・ポート形成体19に形成された吸入ポート23及び吸入弁24を介して圧縮室20に吸入される。圧縮室20に吸入された冷媒ガスは、ピストン17の下死点位置から上死点側への移動により所定の圧力にまで圧縮され、弁・ポート形成体19に形成された吐出ポート25及び吐出弁26を介して吐出室22に吐出される。
【0024】
(圧縮機の容量制御構造)
図1に示すように、前記ハウジング11内には抽気通路27及び給気通路28が設けられている。抽気通路27はクランク室12と吸入室21とを連通する。給気通路28は吐出室22とクランク室12とを連通する。ハウジング11において給気通路28の途中には制御弁29が配設されている。
【0025】
前記制御弁29の開度を調節することで、給気通路28を介したクランク室12への高圧な吐出ガスの導入量と抽気通路27を介したクランク室12からのガス導出量とのバランスが制御され、クランク室12の内圧が決定される。クランク室12の内圧変更に応じて、ピストン17を介してのクランク室12の内圧と圧縮室20の内圧との差が変更され、斜板15の傾斜角度が変更される結果、ピストン17のストロークすなわち圧縮機Cの吐出容量が調節される。
【0026】
例えば、制御弁29の開度が減少してクランク室12の内圧が低下されると、斜板15の傾斜角度が増大し、圧縮機Cの吐出容量が増大される。図1において二点鎖線は斜板15の最大傾斜角度状態を示している。逆に、制御弁29の開度が増大してクランク室12の内圧が上昇されると、斜板15の傾斜角度が減少し、圧縮機Cの吐出容量が減少される。図1において実線は斜板15の最小傾斜角度状態を示している。
【0027】
(冷媒循環回路)
図1に示すように、車両用空調装置の冷媒循環回路(冷凍サイクル)は、上述した圧縮機Cと外部冷媒回路30とから構成されている。外部冷媒回路30は、凝縮器31、膨張弁32及び蒸発器33を備えている。
【0028】
前記圧縮機Cの吐出室22内には第1圧力監視点P1が設定されている。第2圧力監視点P2は、第1圧力監視点P1から凝縮器31側(下流側)へ所定距離だけ離れた冷媒通路の途中に設定されている。この第1圧力監視点P1の圧力と第2圧力監視点P2の圧力との差には、冷媒循環回路の冷媒流量が反映されている。つまり、冷媒循環回路の冷媒流量が多くなると第1圧力監視点P1と第2圧力監視点P2との間の圧力差(二点間差圧ΔPd)が増大し、逆に冷媒流量が少なくなると二点間差圧ΔPdは減少する。
【0029】
前記第1圧力監視点P1と制御弁29とは第1検圧通路35を介して連通されている。第2圧力監視点P2と制御弁29とは第2検圧通路36を介して連通されている。
【0030】
(制御弁)
図1に示すように、前記制御弁29は、給気通路28の開度を調節する弁体41、弁体41の図面上側に作動連結された感圧機構42、及び弁体41の図面下側に作動連結された電磁アクチュエータ43が備えられている。弁体41は下動することで給気通路28の開度を増大し、上動することで給気通路28の開度を減少させる。感圧機構42は、感圧室42a内に感圧部材としてのベローズ42bを備えている。感圧室42aにおいてベローズ42bの内空間には、第1検圧通路35を介して第1圧力監視点P1の圧力が導かれている。感圧室42aにおいてベローズ42bの外空間には、第2検圧通路36を介して第2圧力監視点P2の圧力が導かれている。
【0031】
前記電磁アクチュエータ43には、固定鉄心43a、可動鉄心43b及びコイル43cが備えられており、可動鉄心43bには弁体41が作動連結されている。コイル43cには、情報検知手段71からの情報に応じた、圧縮機制御手段としてのエアコンECU72の指令に基づき、駆動回路73から電力が供給される。駆動回路73からコイル43cへの電力供給量に応じた大きさの上向き電磁力(電磁吸引力)が、固定鉄心43aと可動鉄心43bとの間に発生し、この電磁力は可動鉄心43bを介して弁体41に伝達される。コイル43cへの通電制御は印加電圧を調整することでなされ、この印加電圧の調整にはPWM(パルス幅変調)制御が採用されている。
【0032】
さて、前記制御弁29において、コイル43cに対しデューティ比可変範囲の最小デューティ比Dt(min)(>0%)以上の通電がなされると、可動鉄心43bが弁体41に作用させる上向きの電磁力と、ベローズ42bが弁体41に作用させる二点間差圧ΔPdに基づく下向き押圧力及びベローズ42b自身が有するバネ性に基づく下向き付勢力とが対抗する。そして、これら上下付勢力が均衡する位置に弁体41が位置決めされる。
【0033】
例えば、エンジンEの回転速度が減少して冷媒循環回路の冷媒流量が減少すると、ベローズ42bが弁体41に作用させる、下向きの二点間差圧ΔPdに基づく力が減少する。従って、弁体41が上動して給気通路28の開度が減少し、クランク室12の内圧が低下傾向となる。このため、斜板15が傾斜角度増大方向に傾動し、圧縮機Cの吐出容量は増大される。圧縮機Cの吐出容量が増大すれば冷媒循環回路における冷媒流量も増大し、二点間差圧ΔPdは増加する。
【0034】
逆に、エンジンEの回転速度が増大して冷媒循環回路の冷媒流量が増大すると、ベローズ42bが弁体41に作用させる、下向きの二点間差圧ΔPdに基づく力が増大する。従って、弁体41が下動して給気通路28の開度が増加し、クランク室12の内圧が増大傾向となる。このため、斜板15が傾斜角度減少方向に傾動し、圧縮機Cの吐出容量は減少される。圧縮機Cの吐出容量が減少すれば冷媒循環回路における冷媒流量も減少し、二点間差圧ΔPdは減少する。
【0035】
また、例えば、コイル43cへの通電デューティ比Dtを大きくして弁体41に作用する上向きの電磁力を大きくすると、弁体41が上動して給気通路28の開度が減少し、圧縮機Cの吐出容量が増大される。従って、冷媒循環回路における冷媒流量が増大し、二点間差圧ΔPdも増大する。
【0036】
逆に、コイル43cへの通電デューティ比Dtを小さくして弁体41に作用する上向きの電磁力を小さくすると、弁体41が下動して給気通路28の開度が増加し、圧縮機Cの吐出容量が減少する。従って、冷媒循環回路における冷媒流量が減少し、二点間差圧ΔPdも減少する。
【0037】
つまり、前記制御弁29は、コイル43cへの通電デューティ比Dtによって決定された二点間差圧ΔPdの制御目標(設定差圧)を維持するように、この二点間差圧ΔPdの変動に応じて感圧機構42が内部自律的に弁体41を位置決めする構成となっている。また、この設定差圧は、コイル43cへの通電デューティ比Dtを調節することで外部から変更可能となっている。
【0038】
(空調制御)
図1に示すように、前記情報検知手段71には、空調装置のオンオフスイッチであるエアコンスイッチ91、車室内の温度を設定する温度設定器92、車室内の温度を検出する車室温度センサ93、外気温度を検出する外気温度センサ94、蒸発器33を通過した直後の空気温度(エバ後温度)を検出するサーミスタよりなるエバポレータセンサ95、モータ部84の回転速度N(x)を検出する回転速度センサ96、及びモータ部84の固定子84aに供給される電流値I(x)を検出する電流値検出手段としての電流センサ97が備えられている。特に、温度設定器92、車室温度センサ93及び外気温度センサ94が熱負荷情報検知手段をなしている。
【0039】
前記エンジンEの稼動時においてエアコンECU72は、エアコンスイッチ91のオン状態の下で、温度設定器92、車室温度センサ93及び外気温度センサ94からの検出情報に基づいて空調装置の必要冷房能力(例えば、必要吹出温度(TAO))を算出し、この必要冷房能力から目標エバ後温度を算出する。この目標エバ後温度と、エバポレータセンサ95により検出された検出エバ後温度とに基づいて、制御弁29のコイル43cへの通電デューティ比Dtを決定し、このデューティ比Dtでのコイル43cの駆動が駆動回路73に指令される。
【0040】
例えば、エバポレータセンサ95からの検出エバ後温度が目標エバ後温度よりも高ければ、デューティ比Dtの増大が駆動回路73に指令される。従って、制御弁29の弁開度が減少し、圧縮機Cの吐出容量が増大してエバ後温度は低下傾向となる。逆に、検出エバ後温度が目標エバ後温度よりも低ければ、デューティ比Dtの減少が駆動回路73に指令される。従って、制御弁29の弁開度が増大し、圧縮機Cの吐出容量が減少してエバ後温度は上昇傾向となる。
【0041】
一方、図2に示すように、前記エンジンEの停止時においてエアコンECU72は、エアコンスイッチ91がオン状態であると、ステップ(以下「S」と略す)101において、モータ部84の起動を駆動回路78に指令するとともに、駆動回路73に指令するデューティ比Dtをデューティ比可変範囲の最小値Dt(min)とし、制御弁29の内部自律機能を起動する。なお、モータ部84の回転は一定の基準回転速度N(set)でなされ、この基準回転速度N(set)を維持するように、回転速度センサ96からの回転速度情報N(x)に基づいて駆動回路78がフィードバック制御される。
【0042】
S102においては、温度設定器92、車室温度センサ93及び外気温度センサ94からの各種熱負荷情報に基づき必要冷房能力を算出する。熱負荷が大きければ必要冷房能力は大きく算出され、逆に熱負荷が小さければ必要冷房能力は小さく算出される。
【0043】
S103において、目標圧縮機トルク算出手段としてのエアコンECU72は、圧縮機Cの駆動軸13の回転速度つまりモータ部84の回転速度N(x)が予め設定された一定の基準回転速度N(set)であると仮定して、前述した必要冷房能力を実現するための目標圧縮機トルクを算出する。必要冷房能力が大きければ目標圧縮機トルクは大きく算出され、逆に必要冷房能力が小さければ目標圧縮機トルクは小さく算出される。なお、目標圧縮機トルクの算出は、モータ部84の最大出力トルクを考慮してこの最大出力トルクを超えないように行われる。
【0044】
S104において、目標電流値算出手段としてのエアコンECU72は、モータ部84の特性によって決定されるその回転速度と出力トルクと入力電流値との関係から、S103で算出された目標圧縮機トルクを、モータ部84が基準回転速度N(set)にて出力する場合に、モータ部84に入力されるべき電流値I(x)たる目標電流値I(set)を算出する。目標圧縮機トルクが大きければ目標電流値I(set)は大きく算出され、目標圧縮機トルクが小さければ目標電流値I(set)は小さく算出される。
【0045】
S105においては、電流値センサ97からの検出電流値I(x)が目標電流値I(set)よりも小であるか否かが判定される。S106においては、検出電流値I(x)が目標電流値I(set)よりも大であるか否かが判定される。S105判定及びS106判定がともにNOであるなら、モータ部84には目標電流値I(set)が入力されており、圧縮機トルクは目標圧縮機トルクに一致されていることとなる。つまり、圧縮機Cの吐出容量言い換えれば空調装置は必要冷房能力を過不足なく発揮しており、空調装置の冷房能力の変更を伴うデューティ比Dtの変更はなされず、処理はS102へと移行される。
【0046】
S105判定がYESであるなら、圧縮機トルクは目標圧縮機トルクよりも小さく、圧縮機Cの吐出容量言い換えれば空調装置の冷房能力が不足気味であると判断される。従って、S107において、デューティ比Dtを単位量ΔDだけ増大させ、その修正値(Dt+ΔD)へのデューティ比Dtの変更を駆動回路73に指令する。従って、制御弁29の弁開度が若干減少し、圧縮機の吐出容量が若干増大して圧縮機トルクが若干上昇される。圧縮機トルクが若干上昇すれば、駆動回路78からモータ部84へ入力される電流値I(x)が若干増大される。
【0047】
S106判定がYESであるなら、圧縮機トルクは目標圧縮機トルクよりも大きく、圧縮機Cの吐出容量言い換えれば空調装置の冷房能力が過剰気味であると判断される。従って、S108において、デューティ比Dtを単位量ΔDだけ減少させ、その修正値(Dt−ΔD)へのデューティ比Dtの変更を駆動回路73に指令する。従って、制御弁29の弁開度が若干増大し、圧縮機Cの吐出容量が若干減少して圧縮機トルクが若干低下される。圧縮機トルクが若干低下すれば、駆動回路78からモータ部84へ入力される電流値I(x)が若干減少される。
【0048】
このように、S107及び/又はS108でのデューティ比Dtの修正処理を経ることで、圧縮機トルクが目標圧縮機トルクからずれていても、言い換えれば空調装置の冷房能力が必要冷房能力からずれていても、制御弁29の設定差圧が次第に最適化され、さらには制御弁29での内部自律的な弁開度調節も相俟って、空調装置の冷房能力が必要冷房能力に速やかに収束する。
【0049】
本実施形態においては次のような効果を奏する。
(1)モータ部84による圧縮機Cの駆動時においては、圧縮機トルクを指標として圧縮機Cの吐出容量のフィードバック制御を行っている。圧縮機Cの吐出容量の増減と圧縮機トルクの増減は表裏一体であり、圧縮機Cの吐出容量変更に対して圧縮機トルクは即応される。従って、エバ後温度を指標としたフィードバック制御でみられる、圧縮機Cの吐出容量制御のハンチングを効果的に抑制することができ、良好な空調フィーリングを得ることができる。
【0050】
また、圧縮機トルクを目標圧縮機トルクに維持するために、直接的にはモータ部84に供給される電流値I(x)を検出してフィードバック制御を行っている。従って、圧縮機トルクを直接的に検出するための高価なトルクセンサを必要としない。
【0051】
(2)圧縮機Cにはハイブリッド駆動タイプが採用されており、モータ部84にエンジンEと同等の圧縮機駆動能力を求めると、モータ部84が大型化してエンジンルーム内に配置できなくなる問題がある。従って、モータ部84としては小型のものを採用せざるを得ない。しかし、小型のモータ部84は、圧縮機トルクが過大であると脱調を起こして停止してしまい、空調に支障を来たすおそれがある。このような態様において、圧縮機Cの吐出容量制御のハンチングを効果的に抑制し、必要以上に圧縮機トルクが過大となるのを防止できることは、モータ部84の安定運転と良好な空調フィーリングとを高次元で両立する上で有効である。
【0052】
(3)モータ部84は、圧縮機Cのプーリ装置PTに内蔵されている。言い換えれば、モータ部84はさらに小型で非力である。従って、圧縮機Cの吐出容量制御のハンチングを効果的に抑制できることは、モータ部84の安定運転と良好な空調フィーリングとを高次元で両立する上で特に有効である。
【0053】
(4)制御弁29は、例えば設定吸入圧力可変型の制御弁とは異なり、蒸発器33での熱負荷の大きさに影響される吸入圧そのものを制御弁29の弁開度制御における直接の指標とすることなく、冷媒循環回路の圧力をそれぞれ反映する冷媒通路内の二つの圧力監視点P1,P2間の差圧ΔPdを直接の制御対象として圧縮機Cの吐出容量のフィードバック制御を実現している。このため、蒸発器33での熱負荷状況にほとんど影響されることなく、エアコンECU72による外部制御によって、応答性及び制御性の高い吐出容量の増加減少制御を行なうことができる。従って、圧縮機Cの吐出容量制御のハンチングをより効果的に抑制することができ、特にモータ部84の安定運転と良好な空調フィーリングとを高次元で両立する上で特に有効な構成を備えた制御弁29であると言える。
【0054】
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で以下の態様でも実施できる。
・第1圧力監視点P1を、蒸発器33と吸入室21とを含む両者間の吸入圧力領域に設定するとともに、第2圧力監視点P2を同じ吸入圧力領域において第1圧力監視点P1の下流側に設定すること。
【0055】
・制御弁29として、設定吸入圧力可変型のものを用いること。
・制御弁29として、給気通路28ではなく、抽気通路27の開度調節によりクランク室12の内圧を調節する、所謂抜き側制御弁を採用すること。
【0056】
・容量可変型圧縮機としてワッブルタイプのものを採用すること。
・電動モータとしては、上記実施形態で採用した磁石レスで低コストなSRモータ以外にも、高効率で小型な磁石付きブラシレスモータや、ブラシ付きで高効率な直流モータ等を採用してもよい。なお、電動モータの電源回路が低電圧仕様の場合には直流モータを採用し、高電圧仕様の場合には磁石付きブラシレスモータ或いはSRモータを採用するとよい。
【0057】
・例えば、電気自動車用等、電動モータのみを容量可変型圧縮機の駆動源とする車両用空調装置において具体化すること。
・上記実施形態においては車室の空調を行う車両用空調装置において具体化されていたが、これに限定されるものではなく、例えば冷凍車や冷蔵車の庫内の空調(温度調節)を行う車両用空調装置において具体化してもよい。また、車両用に限定されるものではなく、家庭用等の建物内の空調を行う空調装置において具体化してもよい。
【0058】
上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記容量可変型圧縮機の吐出容量変更につながる弁開度調節を行うための制御弁を備え、前記圧縮機制御手段は制御弁を制御し、前記制御弁は、冷媒循環回路の圧力を検出可能な感圧部材を備えこの圧力変動に基づいて感圧部材が変位することでこの圧力変動を打ち消す側に容量可変型圧縮機の吐出容量が変更されるように弁体を動作させる感圧機構と、前記弁体に付与する力を圧縮機制御手段からの指令に基づいて変更することで感圧機構による弁体の位置決め動作の基準となる設定圧を変更可能な設定圧変更用アクチュエータ(上記実施形態においては電磁アクチュエータ43に具体化されている)とからなる請求項1〜3のいずれかに記載の空調装置。
【0059】
このようにすれば、感圧機構の内部自律的な弁開度調節によって、空調装置の冷房能力を必要冷房能力に速やかに収束させることができる。
(2)前記感圧機構は、冷媒循環回路に沿って設定された二つの圧力監視点間の圧力差を感圧部材によって検出可能であるとともに、この圧力差の変動に基づいて感圧部材が変位することで、この圧力差の変動を打ち消す側に容量可変型圧縮機の吐出容量が変更されるように弁体を動作させ、前記設定圧変更用アクチュエータは、弁体に付与する力を圧縮機制御手段からの指令に基づいて変更することで、感圧機構による弁体の位置決め動作の基準となる設定圧としての設定差圧を変更可能な構成である前記(1)に記載の空調装置。
【0060】
このような制御弁を用いることは、特に電動モータの安定運転と良好な空調フィーリングとを高次元で両立する上で特に有効となる。
【0061】
【発明の効果】
上記構成の本発明によれば、容量可変型圧縮機の吐出容量制御のハンチングを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 空調装置の概要を示す図。
【図2】 空調制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
71…目標圧縮機トルク算出手段、目標電流値算出手段、モータ制御手段、及び圧縮機制御手段としてのエアコンECU、84…電動モータとしてのモータ部、92…熱負荷情報検知手段を構成する温度設定器、93…同じく車室温度センサ、94…同じく外気温度センサ、97…電流値検出手段としての電流センサ、C…容量可変型圧縮機、I(set)…目標電流値、I(x)…検出電流値。
Claims (3)
- 冷媒ガスの圧縮を行うとともに吐出容量を変更可能な容量可変型圧縮機と、
前記容量可変型圧縮機を駆動する電動モータと、
前記電動モータを一定の基準回転速度で回転させるモータ制御手段と、
熱負荷情報を検知する熱負荷情報検知手段と、
前記熱負荷情報検知手段からの熱負荷情報に基づいて、目標圧縮機トルクを算出する目標圧縮機トルク算出手段と、
前記目標圧縮機トルク算出手段からの目標圧縮機トルクを基準回転速度にて電動モータが出力する場合に、電動モータに入力されるべき電流値たる目標電流値を算出する目標電流値算出手段と、
前記電動モータに入力される電流値を検出する電流値検出手段と、
前記電流値検出手段からの検出電流値が目標電流値算出手段からの目標電流値となるように、容量可変型圧縮機の吐出容量を制御する圧縮機制御手段と
を備えたことを特徴とする空調装置。 - 車両に搭載されて車室の空調を行うためのものであり、前記容量可変型圧縮機は車両の走行駆動源によっても駆動されるハイブリッド駆動タイプである請求項1に記載の空調装置。
- 前記容量可変型圧縮機のハウジングには、走行駆動源からの動力を受ける回転体を備えた回転体装置が配設されており、この回転体装置に前記電動モータが内蔵されている請求項2に記載の空調装置。
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