JP3741022B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の走行駆動源(例えば内燃機関)によって駆動されて冷媒ガスの圧縮を行うとともに、内燃機関の停止時には電動モータの駆動によっても冷媒ガスの圧縮を行うことが可能な容量可変型圧縮機を冷媒循環回路に備えた車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両の省燃費対策や環境対策のために、信号待ち等の車両の走行停止状態において、アイドリング状態にある内燃機関(エンジン)を自動停止させる、所謂アイドリングストップ制御を行うことが一般化されつつある。そして、車両用空調装置の圧縮機としては、エンジンの停止状態においても空調が可能なように、電動モータをも駆動源としたハイブリッドタイプのものが存在する。
【0003】
ハイブリッドタイプの圧縮機においては、電動モータにエンジンと同等の圧縮機駆動能力を求めると、電動モータが大型化してエンジンルーム内に配置できなくなる問題がある。従って、電動モータとしては小型のものを採用せざるを得ない。しかし、小型の電動モータは、特にその起動時において圧縮機トルク(圧縮機を駆動するのに必要なトルク)が過大であると脱調を起こして停止してしまい、空調に支障を来たすおそれがある。
【0004】
従って、例えば特開平10−236151号公報の技術においては、圧縮機として容量可変型のものを用いている。そして、圧縮機を電動モータによって駆動する際には、この電動モータによる駆動を開始する前に圧縮機の吐出容量を最小化しておく。従って、電動モータの起動時には圧縮機トルクが小さくなっており、電動モータを確実に起動させることができる。
【0005】
しかし、前記公報の技術においては、電動モータが起動された後も、言い換えれば起動時に比して電動モータの脱調を危惧する必要のない状況下においても、圧縮機の吐出容量を最小に維持するようにしている。従って、電動モータの安定運転と良好な空調とを高次元で両立するためには、電動モータの起動後、圧縮機の吐出容量を電動モータで対応可能な範囲において変更(特に増大)する必要がある。
【0006】
ここで、一般的に、容量可変型の圧縮機には、その吐出容量変更につながる弁開度調節を行うための制御弁が備えられている。この制御弁としては、例えば設定吸入圧力可変弁と呼ばれるものが用いられている。設定吸入圧力可変弁は、感圧機構と電磁アクチュエータとからなっている。感圧機構は、冷媒循環回路の吸入圧力を検出可能な感圧部材を備え、この圧力変動に基づいて感圧部材が変位することで、この圧力変動を打ち消す側に圧縮機の吐出容量が変更されるように弁体を動作させる。電磁アクチュエータは、弁体に付与する力を外部からの指令に基づいて変更することで、感圧機構による弁体の位置決め動作の基準となる設定吸入圧力を変更可能となっている。
【0007】
なお、前記制御弁は、前述した電動モータの確実な起動を達成するために、例えば電磁アクチュエータの消磁によって感圧機構による内部自律機能を停止させることで、吸入圧力の変動に関わらず圧縮機の吐出容量を最小化する機能を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記制御弁の感圧機構は、吸入圧力の変動に基づいて内部自律的に動作される。従って、電磁アクチュエータによって設定吸入圧力を変更した場合、この変更時における吸入圧力の高低によって、その後の圧縮機の吐出容量の変動の仕方が大きく異なる。このため、電動モータが起動された後、例えば圧縮機の吐出容量が中間容量となる程度に設定吸入圧力を高めに設定しても、圧縮機の吐出容量が急激かつ過大に上昇し、圧縮機トルクが過大にオーバーシュートして電動モータの能力では対応困難な領域に一時的に入り込んでしまうことがある。よって、電動モータの安定運転と良好な空調とを高次元で両立できるとは言い難い。
【0009】
つまり、圧縮機言い換えれば冷凍サイクルは、その駆動源がエンジンから電動モータへ切り替えられる間において停止されており、その間において吸入圧力が過大に上昇してしまう。従って、電動モータの起動後、電磁アクチュエータによって設定吸入圧力を高めに設定しても、吸入圧力の過大な上昇を感知した感圧機構が、吸入圧力を設定吸入圧力にまで大きく下げようと、圧縮機の吐出容量を急激かつ過大に上昇させてしまうのである。
【0010】
なお、前述したような問題は、制御弁が設定吸入圧力可変弁である場合にのみ生じるわけではなく、感圧機構と電磁アクチュエータとを組み合わせた何れのタイプの制御弁を用いた場合においても生じる問題である。
【0011】
本発明の目的は、容量可変型圧縮機の電動モータ駆動時において、電動モータの運転の安定化と良好な空調とを高次元で両立することが可能な車両用空調装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、電動モータ駆動時において圧縮機の吐出容量が増大される側に制御弁の設定圧を変更する場合には、設定圧変更用アクチュエータに対する指令値を徐々に変更する。従って、設定圧の変更に対して冷媒循環回路の圧力の変動が大きく遅れることはなく、設定圧と冷媒循環回路の圧力との差が過大に拡大することを防止できる。その結果、圧縮機の吐出容量が急激かつ過大に上昇することを防止でき、電動モータの能力では対応困難な領域に圧縮機トルクが過大にオーバーシュートして入り込むことを防止できる。よって、圧縮機の吐出容量の増大変更によっても電動モータの脱調等の危惧は少なく、電動モータの運転の安定化と良好な空調とを高次元で両立することが可能となる。
【0013】
請求項2の発明は請求項1において、指令値の徐々なる変更の仕方を言及するものである。すなわち、この指令値の変更は、圧縮機の走行駆動源による駆動時において制御弁の設定圧を変更する場合よりも緩やかに行われる。
【0014】
請求項3の発明は請求項1又は2において、指令値の徐々なる変更の好適な時期について言及するものであり、この徐々なる変更は、少なくとも圧縮機トルクが過大にオーバーシュートし易い電動モータの起動直後において行われる。
【0015】
請求項4の発明は請求項1〜3のいずれかにおいて、電動モータ駆動時において圧縮機の吐出容量は、電動モータの起動前に最小化されている。従って、電動モータを脱調等なく安定して起動させることができ、空調装置の信頼性が向上される。
【0016】
請求項5の発明は請求項1〜4のいずれかにおいて、圧縮機の電動モータ駆動時において圧縮機制御手段は、圧縮機トルクが過大とならないように、吐出容量が増大される側への制御弁の設定圧の変更に制限を加える。従って、電動モータの運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0017】
請求項6の発明は請求項1〜5のいずれかにおいて、圧縮機の電動モータ駆動時において圧縮機制御手段は、圧縮機トルク検出手段からの圧縮機トルク情報が閾値を超えた場合には、圧縮機トルクが過大であると判断して、圧縮機の吐出容量が減少される側に制御弁の設定圧を変更する。従って、電動モータの運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0018】
請求項7の発明は請求項1〜6のいずれかにおいて、モータ制御手段は、圧縮機トルク検出手段からの圧縮機トルク情報が閾値を超えた場合には、電動モータの脱調による停止がほぼ確実であると判断して、電動モータを積極的に停止させて再起動する。従って、電動モータの脱調による不安定運転が長引くことはなく、この不安定運転が空調に悪影響を与えることを防止できる。よって、電動モータの運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0019】
請求項8の発明は請求項1〜7のいずれかにおいて、電動モータは圧縮機の回転体装置に内蔵されている。言い換えれば、電動モータは小型で非力である。従って、このような態様において請求項1〜7のいずれかの発明を具体化することは、その効果(電動モータの運転の安定化と良好な空調とを高次元で両立することが可能となる)が特に有効に奏されることとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、車室の空調を行う車両用空調装置に具体化した一実施形態について説明する。
【0021】
(容量可変型斜板式圧縮機)
図1に示すように、容量可変型斜板式圧縮機(以下圧縮機とする)のハウジング11内にはクランク室12が区画されている。ハウジング11においてクランク室12内には、駆動軸13が回転可能に配設されている。駆動軸13には、車両の走行駆動源である内燃機関(エンジン)Eの出力軸が、回転体装置としてのプーリ装置PTを介して作動連結されている。
【0022】
前記プーリ装置PTは、ハウジング11に回転可能に支持された回転体としてのロータ80を備え、ロータ80の外周にはエンジンEからのベルト81が掛けられている。駆動軸13においてハウジング11外へ突出する端部にはハブ82が固定されている。ロータ80とハブ82との間には周知のワンウエイクラッチ83が介装されている。
【0023】
前記プーリ装置PTは、電動モータとしてのモータ部84をロータ80の内側に備えている。モータ部84は、ハウジング11に固定された固定子84aと、固定子84aの外周を取り囲むようにしてハブ82に固定配置された回転子84bとからなっている。エンジンEの停止時において固定子84aには、必要に応じて、モータ制御手段としての制御コンピュータたるエアコンECU72の指令に基づき駆動回路78から電力が供給される(図2参照)。駆動回路78から固定子84aへの電力供給によって回転子84bに回転力が発生し、ハブ82を介して駆動軸13が回転駆動される。この時、ハブ82からロータ80への動力伝達はワンウエイクラッチ83によって遮断され、モータ部84が発生した回転力がエンジンE側へ不必要に伝達されることはない。
【0024】
なお、前記ワンウエイクラッチ83は、ロータ80からハブ82への動力伝達は許容する。このため、エンジンEの稼動時においてエンジンEからの動力は、ロータ80及びハブ82を介して駆動軸13に伝達される。
【0025】
前記クランク室12内において駆動軸13上には、ラグプレート14が一体回転可能に固定されている。クランク室12内にはカムプレートとしての斜板15が収容されている。斜板15は、駆動軸13にスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ヒンジ機構16は、ラグプレート14と斜板15との間に介在されている。従って、斜板15は、ヒンジ機構16を介することで、ラグプレート14及び駆動軸13と同期回転可能であるとともに、駆動軸13に対して傾動可能となっている。
【0026】
前記ハウジング11内には複数(図面には一つのみ示す)のシリンダボア11aが形成されており、各シリンダボア11a内には片頭型のピストン17が往復動可能に収容されている。各ピストン17は、シュー18を介して斜板15の外周部に係留されている。従って、駆動軸13の回転にともなう斜板15の回転運動が、シュー18を介してピストン17の往復運動に変換される。
【0027】
前記シリンダボア11a内の後方(図面右方)側には、ピストン17と、ハウジング11に備えられた弁・ポート形成体19とで囲まれて圧縮室20が区画されている。ハウジング11の後方側の内部には、吸入室21及び吐出室22がそれぞれ区画形成されている。
【0028】
前記吸入室21の冷媒ガスは、各ピストン17の上死点位置から下死点側への移動により、弁・ポート形成体19に形成された吸入ポート23及び吸入弁24を介して圧縮室20に吸入される。圧縮室20に吸入された冷媒ガスは、ピストン17の下死点位置から上死点側への移動により所定の圧力にまで圧縮され、弁・ポート形成体19に形成された吐出ポート25及び吐出弁26を介して吐出室22に吐出される。
【0029】
(圧縮機の容量制御構造)
図1に示すように、前記ハウジング11内には抽気通路27及び給気通路28が設けられている。抽気通路27はクランク室12と吸入室21とを連通する。給気通路28は吐出室22とクランク室12とを連通する。ハウジング11において給気通路28の途中には制御弁CVが配設されている。
【0030】
前記制御弁CVの開度を調節することで、給気通路28を介したクランク室12への高圧な吐出ガスの導入量と抽気通路27を介したクランク室12からのガス導出量とのバランスが制御され、クランク室12の内圧が決定される。クランク室12の内圧変更に応じて、ピストン17を介してのクランク室12の内圧と圧縮室20の内圧との差が変更され、斜板15の傾斜角度が変更される結果、ピストン17のストロークすなわち圧縮機の吐出容量が調節される。
【0031】
例えば、クランク室12の内圧が低下されると斜板15の傾斜角度が増大し、圧縮機の吐出容量が増大される。図1において二点鎖線は斜板15の最大傾斜角度状態を示している。逆に、クランク室12の内圧が上昇されると斜板15の傾斜角度が減少し、圧縮機の吐出容量が減少される。図1において実線は斜板15のゼロではない最小傾斜角度状態を示している。
【0032】
(冷媒循環回路)
図1に示すように、車両用空調装置の冷媒循環回路(冷凍サイクル)は、上述した圧縮機と外部冷媒回路30とから構成されている。外部冷媒回路30は、凝縮器31、膨張弁32及び蒸発器33を備えている。
【0033】
前記圧縮機の吐出室22内には第1圧力監視点P1が設定されている。第2圧力監視点P2は、第1圧力監視点P1から凝縮器31側(下流側)へ所定距離だけ離れた冷媒通路の途中に設定されている。この第1圧力監視点P1の圧力PdHと第2圧力監視点P2の圧力PdLとの差には、冷媒循環回路の冷媒流量が反映されている。つまり、冷媒循環回路の冷媒流量が多くなると第1圧力監視点P1と第2圧力監視点P2との間の圧力差(二点間差圧ΔPd(=PdH−PdL))が増大し、逆に冷媒流量が少なくなると二点間差圧ΔPdは減少する。
【0034】
前記第1圧力監視点P1と制御弁CVとは第1検圧通路35を介して連通されている。第2圧力監視点P2と制御弁CVとは第2検圧通路36(図2参照)を介して連通されている。
【0035】
前記冷媒循環回路において、圧縮機の吐出室22と凝縮器31との間の冷媒通路上には、遮断弁34が配設されている。遮断弁34は、吐出室22側の圧力が所定値よりも低くなると冷媒通路を遮断して、外部冷媒回路30を経由した冷媒の循環を停止させる。遮断弁34は、その前後の圧力差を機械的に検知して動作する差圧弁タイプであってもよいし、吐出圧力センサ(図示しない)の検出値に応じて前記エアコンECU72により制御される電磁弁タイプであってもよい。また、遮断弁34は、斜板15の最小傾斜角度に機械的に連動されるタイプであってもよい。
【0036】
(制御弁)
図2に示すように、前記制御弁CVのバルブハウジング41内には、弁室42、連通路43及び感圧室44が区画されている。弁室42及び連通路43内には、作動ロッド45が軸方向(図面では垂直方向)に移動可能に配設されている。連通路43と感圧室44とは、連通路43に挿入された作動ロッド45の上端部によって遮断されている。弁室42は、給気通路28の下流部を介してクランク室12と連通されている。連通路43は、給気通路28の上流部を介して吐出室22と連通されている。弁室42及び連通路43は給気通路28の一部を構成する。
【0037】
前記弁室42内には、作動ロッド45の中間部に形成された弁体部46が配置されている。弁室42と連通路43との境界に位置する段差は弁座47をなしており、連通路43は一種の弁孔をなしている。そして、作動ロッド45が図2の位置(最下動位置)から弁体部46が弁座47に着座する最上動位置へ上動すると、連通路43が遮断される。つまり作動ロッド45の弁体部46は、給気通路28の開度を調節可能な弁体として機能する。
【0038】
前記感圧室44内には、ベローズよりなる感圧部材48が収容配置されている。感圧部材48の上端部はバルブハウジング41に固定されている。感圧部材48の下端部には作動ロッド45の上端部が嵌入されている。感圧室44内は、有底円筒状をなす感圧部材48によって、感圧部材48の内空間である第1圧力室49と、感圧部材48の外空間である第2圧力室50とに区画されている。第1圧力室49には、第1検圧通路35を介して第1圧力監視点P1の圧力PdHが導かれている。第2圧力室50には、第2検圧通路36を介して第2圧力監視点P2の圧力PdLが導かれている。これら感圧部材48や感圧室44等が感圧機構を構成している。
【0039】
前記バルブハウジング41の下方側には、設定圧変更用アクチュエータとしての電磁アクチュエータ部51が設けられている。電磁アクチュエータ部51は、バルブハウジング41内の中心部に有底円筒状の収容筒52を備えている。収容筒52において上方側の開口には、センタポスト(固定子)53が嵌入固定されている。このセンタポスト53の嵌入により、収容筒52内の最下部にはプランジャ室54が区画されている。
【0040】
前記プランジャ室54内には、プランジャ(可動子)56が軸方向に移動可能に収容されている。センタポスト53の中心には軸方向に延びるガイド孔57が貫通形成され、ガイド孔57内には、作動ロッド45の下端側が軸方向に移動可能に配置されている。作動ロッド45の下端は、プランジャ室54内においてプランジャ56の上端面に当接されている。
【0041】
前記プランジャ室54において収容筒52の内底面とプランジャ56との間には、プランジャ付勢バネ60が収容されている。このプランジャ付勢バネ60は、プランジャ56を作動ロッド45側に向けて付勢する。また、作動ロッド45は、感圧部材48自身が有するバネ性(以下ベローズバネ48と呼ぶ)に基づいて、プランジャ56側に向けて付勢されている。従って、プランジャ56と作動ロッド45とは常時一体となって上下動する。なお、ベローズバネ48は、プランジャ付勢バネ60よりもバネ力の大きなものが用いられている。
【0042】
前記収容筒52の外周側には、センタポスト53及びプランジャ56を跨ぐ範囲にコイル61が巻回配置されている。このコイル61には、情報検知手段71からの情報に応じた、圧縮機制御手段としてのエアコンECU72の指令に基づき、駆動回路73から電力が供給される。情報検知手段71には、空調装置のオンオフスイッチであるエアコンスイッチ74や、車室の温度を設定する温度設定器75や、車室の温度を検出する温度センサ76や、モータ部84の回転速度Neを検出する回転速度センサ77や、モータ部84の固定子84aに印加される電流値Iを検出する電流センサ79等が備えられている。
【0043】
前記駆動回路78からコイル61への電力供給量に応じた大きさの電磁力(電磁吸引力)が、プランジャ56とセンタポスト53との間に発生し、この電磁力はプランジャ56を介して作動ロッド45に伝達される。コイル61への通電制御は印加電圧を調整することでなされ、この印加電圧の調整にはPWM(パルス幅変調)制御が採用されている。従って、エアコンECU72が駆動回路73に指令するコイル61への通電デューティ比Dtが、エアコンECU72の電磁アクチュエータ部51に対する指令値となる。
【0044】
(制御弁の動作特性)
前記制御弁CVにおいては、次のようにして作動ロッド45(弁体部46)の配置位置つまり弁開度が決まる。
【0045】
図2に示すように、コイル61への通電がない場合(デューティ比Dt=0%)は、作動ロッド45の配置には、ベローズバネ48の下向き付勢力の作用が支配的となる。従って、作動ロッド45は最下動位置に配置され、弁体部46は連通路43を全開とする。このため、クランク室12の内圧は、その時おかれた状況下において取り得る最大値となり、このクランク室12の内圧と圧縮室20の内圧とのピストン17を介した差は大きくて、斜板15は傾斜角度を最小として圧縮機の吐出容量は最小となっている。
【0046】
つまり、前記制御弁CVは、コイル61への通電が遮断されると、感圧機構による内部自律機能を停止させることで、二点間差圧ΔPdの変動に関わらず圧縮機の吐出容量を最小化する機能を有している。
【0047】
なお、圧縮機の吐出容量が最小では、遮断弁34において吐出室22側の圧力が所定値よりも低くなり、遮断弁34が閉じられる。従って、外部冷媒回路30を経由した冷媒循環が停止される。このため、圧縮機による冷媒ガス圧縮が継続されたとしても、不必要な空調が行われることはない。
【0048】
前記制御弁CVにおいて、コイル61に対しデューティ比可変範囲の最小デューティ比Dt(min)(>0%)以上の通電がなされると、プランジャ付勢バネ60に加勢された上向きの電磁力が、ベローズバネ48による下向き付勢力を凌駕し、作動ロッド45が上動を開始する。この状態では、プランジャ付勢バネ60の上向きの付勢力によって加勢された上向き電磁力が、ベローズバネ48の下向き付勢力によって加勢された二点間差圧ΔPdに基づく下向き押圧力に対抗する。そして、これら上下付勢力が均衡する位置に、作動ロッド45の弁体部46が弁座47に対して位置決めされ、圧縮機の吐出容量が調節される。
【0049】
つまり、前記制御弁CVは、コイル61への通電時においては、この通電デューティ比Dtによって決定された二点間差圧ΔPdの制御目標(設定圧としての設定差圧)を維持するように、この二点間差圧ΔPdの変動に応じて内部自律的に作動ロッド45(弁体部46)を位置決めする構成となっている。
【0050】
前記エンジンEの稼動時においてエアコンECU72は、エアコンスイッチ74のオン状態にて、温度センサ76からの検出温度と温度設定器75からの設定温度とを参照することでデューティ比Dtを算出し、この算出値を駆動回路73に指令する。
【0051】
例えば、検出温度が設定温度より大であれば、車室内は暑く熱負荷が大きいと予測される。このため、エアコンECU72は、デューティ比Dtの増大変更を駆動回路73に指令する。従って、制御弁CVの弁開度が減少し、圧縮機の吐出容量が増大して蒸発器33での除熱能力が高まり、車室の温度は低下傾向となる。
【0052】
逆に、検出温度が設定温度より小であれば、車室内は寒く熱負荷が小さいと予測される。このため、エアコンECU72は、デューティ比Dtの減少変更を駆動回路73に指令する。従って、制御弁CVの弁開度が増加し、圧縮機の吐出容量が減少して蒸発器33での除熱能力が低まり、車室の温度は上昇傾向となる。
【0053】
(エアコンECUのアイドリングストップ時制御)
前記エアコンECU72は、エアコンスイッチ74がオン状態であることと、エンジンECU91からアイドリングストップ制御の過程におけるエンジンEの停止決定の旨を受信することとの条件で、図3のフローチャートに従う演算処理を行う。なお、エンジンECU91は、エンジンEの起動/停止や出力を制御する制御コンピュータであって、エアコンECU72と通信可能に接続されている(図2参照)。
【0054】
さて、図3に示すように前記エアコンECU72は、エアコンスイッチ74のオン状態のもとでエンジンECU91からエンジンEの停止の決定を受信すると、ステップ(以下「S」と略す)201において駆動回路73に指令するデューティ比Dtに「0」を与える。従って、コイル61が無通電状態とされ、圧縮機の吐出容量が最小化される。この圧縮機の吐出容量の最小化は、エンジンEが停止される前のタイミングで実行される。S202においては、エンジンEが停止された旨をエンジンECU91から受信するまで以降の処理が待機される。なお、「エンジンEが停止された旨をエンジンECU91から受信する」とは、例えば、エンジンECU91から随時送られてくるエンジンEの回転速度情報がゼロとなることである。
【0055】
エンジンEが停止されると、S203においてモータ部84の起動を駆動回路78に指令する。駆動回路78によるモータ部84の駆動は、ほぼ一定回転速度Ne(set1)で行われる。S204においては、回転速度センサ77からの回転速度Ne(t)が一定回転速度Ne(set1)に到達したか否か、つまりモータ部84が起動時の増速状態から一定回転速度Ne(set1)での安定運転状態に移行されたか否かが判定される。
【0056】
モータ部84の回転速度Ne(t)が一定回転速度Ne(set1)に到達して安定運転状態に移行すると、S205において駆動回路73に指令するデューティ比Dtを最小デューティ比Dt(min)として、制御弁CVの内部自律制御機能(設定差圧維持機能)を起動する。制御弁CVの内部自律制御機能が起動された後、S206においてデューティ比Dtを単位量ΔDだけ増大させ、その修正値(Dt+ΔD)へのデューティ比Dtの変更を駆動回路73に指令する。従って、制御弁CVの弁開度が若干減少し、圧縮機の吐出容量が若干増大して圧縮機トルクが若干上昇される。
【0057】
S207においては、回転速度センサ77からの回転速度Neが第1閾値Ne(set2)(<Ne(set1))未満でかつ、電流センサ79からの電流値Iが第1閾値I(set1)を超えたか否かが判定される。モータ部84の回転速度Ne及び電流値Iは、それぞれモータ部84が負担する圧縮機トルクと相関性を有し、回転速度Neが第1閾値Ne(set2)未満でかつ電流値Iが第1閾値I(set1)を超えるような状況は、圧縮機トルクがモータ部84の能力では好適に対応することが困難な領域に入り込みそうな状況を意味する。つまり、回転速度センサ77及び電流センサ79は、圧縮機トルクを検出するための圧縮機トルク検出手段をなしている。
【0058】
S207判定がNOの場合、現在の圧縮機トルクはモータ部84の能力で十分対応可能であると判断し、処理はS208に移行される。S208においては、デューティ比Dtが設定値Dt(set)に到達されたか否かが判定される。この設定値Dt(set)により設定される制御弁CVの設定差圧は、圧縮機の吐出容量が最小と最大との中間程度の時に実現される二点間差圧ΔPdであって、この中間容量時における圧縮機トルクは、その他の条件にもよるが、だいたいモータ部84の能力範囲の上限値付近を示すことが予め解っている。
【0059】
S208判定がNOの場合、処理はS206に移行されてデューティ比Dtの単位量ΔDの増大が行われ、この単位量ΔDの増大はデューティ比Dtが設定値Dt(set)に到達するまで繰り返される。なお、単位量ΔDは、最小デューティ比Dt(min)からS206処理を複数回繰り返さなければ設定値Dt(set)に到達できない量に設定されている。S208判定がYESの場合、つまりデューティ比Dtが設定値Dt(set)に到達した場合には、処理がS207に移行され、デューティ比Dtが設定値Dt(set)に維持されることとなる。
【0060】
つまり、アイドリングストップ時制御においてエアコンECU72は、温度設定器75の設定温度及び温度センサ76の検出温度に関係なく、第1閾値Ne(set2)と第1閾値I(set1)とで決定されるモータ部84の能力で対応可能な限界で圧縮機を運転する。これは、モータ部84を、エンジンE側とのプーリ比等によって限られた寸法のプーリ装置PTに内蔵するために、モータ部84の圧縮機駆動能力がエンジンEのそれと比較して小さく設計されており、モータ部84を常にその能力の限界(上限)で運転することにより、車室内の温度上昇を抑えるようにするためである。
【0061】
前記S207判定がYESの場合、現在のデューティ比Dtでは圧縮機トルクが大きくモータ部84が脱調等の不安定運転となり易いと判断し、S209においてデューティ比Dtを単位量ΔDだけ減少させ、その修正値(Dt−ΔD)へのデューティ比Dtの変更を駆動回路73に指令する。従って、制御弁CVの弁開度が若干増大し、圧縮機の吐出容量が若干減少して圧縮機トルクが若干低下される。
【0062】
S209からはS210へ処理が移行され、モータ部84の回転速度Neが第2閾値Ne(set3)(<Ne(set2))未満でかつ、電流センサ79からの電流値Iが第2閾値I(set2)(>I(set1))を超えたか否かが判定される。回転速度Neが第2閾値Ne(set3)未満でかつ電流値Iが第2閾値I(set2)を超えるような状況は、圧縮機トルクがモータ部84の能力では対応困難な領域に入り込んでおり、モータ部84の脱調による停止はほぼ確実であることを意味する。
【0063】
S210判定がNOの場合、処理はS207に移行される。逆に、S210判定がYESの場合、S211において駆動回路73に指令するデューティ比Dtに「0」を与えてコイル61を無通電状態とし、圧縮機の吐出容量を最小化する。圧縮機の吐出容量を最小化した後、S212においてモータ部84の停止を駆動回路78に指令するとともに、処理はS203に移行されてモータ部84の再起動が行われる。つまり、モータ部84の脱調による不安定運転が長引くと空調に悪影響を与えるため、この場合にはモータ部84を積極的に停止させるとともに再起動させ、速やかにモータ部84の運転の安定化を図るようにしている。
【0064】
本実施形態においては次のような効果を奏する。
(1)アイドリングストップ時制御においてデューティ比Dtの設定値Dt(set)までの変更は、単位量ΔDの加算処理(図3のS206)が複数回繰り返されることで行われる。従って、モータ部84が起動してからデューティ比Dtが設定値Dt(set)まで増大変更されるのに時間がかかり、このデューティ比Dtの増大変更は徐々に行われることとなる。その結果、設定差圧の増大変更に対して二点間差圧ΔPdの増大変動が大きく遅れることはなく、設定差圧と二点間差圧ΔPdとの差が過大に拡大することを防止できる。
【0065】
よって、感圧機構(感圧部材48等)は、二点間差圧ΔPdを設定差圧に向けて増大変動させるにあたり、弁体部46の開度を急激かつ過大に小さくすることはなく、圧縮機の吐出容量が急激かつ過大に上昇することを防止できる。このため、モータ部84の能力では対応困難な領域に圧縮機トルクが過大にオーバーシュートして入り込むことを防止できる。よって、圧縮機の吐出容量の増大変更によってもモータ部84の脱調等の危惧は少なく、モータ部84の運転の安定化と良好な空調とを高次元で両立することが可能となる。
【0066】
なお、アイドリングストップ時制御においてデューティ比Dtの最小値Dt(min)から設定値Dt(set)までの変更は、この変更がS209(デューティ比Dtの減少処理)を経由せずに遅滞なく行われたとしても、エンジンEの稼動時においてデューティ比Dtが最小値Dt(min)から設定値Dt(set)へ冷房負荷に応じて変更される場合よりも緩やかに行われる。
【0067】
(2)エアコンECU72は、少なくともモータ部84の起動直後においてデューティ比Dtを増大変更する場合に、この変更を徐々に行う。圧縮機トルクが過大にオーバーシュートし易いモータ部84の起動直後においてデューティ比Dtを徐々に増大変更することは、モータ部84の安定運転を達成する上で特に重要である。
【0068】
(3)モータ部84による圧縮機の駆動時においてエアコンECU72は、モータ部84を起動する前に圧縮機の吐出容量を最小化する。従って、モータ部84を脱調なく安定して起動させることができ、空調装置の信頼性が向上される。
【0069】
(4)モータ部84による圧縮機の駆動時においてエアコンECU72は、圧縮機トルクが過大とならないようにデューティ比Dtの増大変更に制限を加える(図3のS208)。従って、圧縮機を、モータ部84の能力で対応可能な範囲の上限で運転することができ、モータ部84の運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0070】
(5)モータ部84による圧縮機の駆動時においてエアコンECU72は、圧縮機トルクが過大となる場合には、デューティ比Dtを減少変更する(図3のS207(YES)→S209)。従って、圧縮機トルクを、モータ部84の能力で対応可能な範囲に確実に抑えることができ、モータ部84の運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0071】
(6)エアコンECU72は、モータ部84が脱調した場合には、モータ部84を積極的に停止させて再起動する。従って、モータ部84の脱調による不安定運転が長引くことはなく、この不安定運転が空調に悪影響を与えることを防止でき、モータ部84の運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0072】
(7)モータ部84は圧縮機のプーリ装置PTに内蔵されている。言い換えれば、モータ部84は小型で非力である。従って、このような態様においては、前記(1)の効果(モータ部84の運転の安定化と良好な空調とを高次元で両立することが可能となる)が特に有効に奏されることとなる。
【0073】
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で以下の態様でも実施できる。
・圧縮機トルクを直接検出するトルクセンサを備える。そして、図3のS207及び/又はS210判定を、トルクセンサからの検出情報に基づいて行うように変更すること。このようにすれば、圧縮機トルクを直接的に把握することができ、モータ部84の運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0074】
・図3のS207及び/又はS210判定を、モータ部84の回転速度Ne又は電流値Iの一方のみを参照することで行うように変更すること。このようにすれば、エアコンECU72の演算負荷を軽減することができる。
【0075】
・図3のS208処理における設定値Dt(set)を、予め測定しておいた蒸発器33の後の空気温度(所謂エバ後空気温度)と圧縮機トルクとの関係から求められるエバ後空気温度センサからの検出情報によるフィードバック制御で決定すること。
【0076】
・例えば、本実施形態のモータ部84よりも高性能な電動モータを使用する。そして、図3のS208処理において設定値Dt(set)を、冷房負荷に応じて変更すること。このようにすれば、空調フィーリングが良好となる。
【0077】
・第1圧力監視点P1を、蒸発器33と吸入室21とを含む両者間の吸入圧力領域に設定するとともに、第2圧力監視点P2を同じ吸入圧力領域において第1圧力監視点P1の下流側に設定すること。
【0078】
・制御弁CVとして、設定吸入圧力可変弁を用いること。
・制御弁CVとして、給気通路28ではなく、抽気通路27の開度調節によりクランク室12の内圧を調節する、所謂抜き側制御弁を採用すること。
【0079】
・容量可変型圧縮機としてワッブルタイプのものを採用すること。
・上記実施形態においては車室の空調を行う車両用空調装置において具体化されていたが、これに限定されるものではなく、例えば冷凍車や冷蔵車の庫内の空調(温度調節)を行う車両用空調装置において具体化してもよい。
【0080】
上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記感圧機構は、冷媒循環回路に沿って設定された二つの圧力監視点間の圧力差を感圧部材によって検出可能であるとともに、この圧力差の変動に基づいて感圧部材が変位することで、この圧力差の変動を打ち消す側に容量可変型圧縮機の吐出容量が変更されるように弁体を動作させ、前記設定圧変更用アクチュエータは、弁体に付与する力を圧縮機制御手段からの指令に基づいて変更することで、感圧機構による弁体の位置決め動作の基準となる設定圧としての設定差圧を変更可能な構成である請求項1〜8のいずれかに記載の車両用空調装置。
【0081】
(2)前記電動モータの圧縮機駆動能力は走行駆動源のそれと比較して小さい請求項1〜8のいずれか又は前記(1)に記載の車両用空調装置。
【0082】
【発明の効果】
上記構成の本発明によれば、容量可変型圧縮機の電動モータ駆動時において、電動モータの運転の安定化と良好な空調とを高次元で両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 容量可変型斜板式圧縮機の断面図。
【図2】 制御弁の断面図。
【図3】 エアコンECUによるアイドリングストップ時制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
46…制御弁の弁体としての弁体部、48…制御弁の感圧部材、51…設定圧変更用アクチュエータとしての電磁アクチュエータ部、72…圧縮機制御手段としてのエアコンECU、84…電動モータとしてのモータ部、E…車両の走行駆動源であるエンジン、CV…制御弁、ΔPd…冷媒循環回路の圧力としての二点間差圧、Dt…指令値としてのデューティ比。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の走行駆動源(例えば内燃機関)によって駆動されて冷媒ガスの圧縮を行うとともに、内燃機関の停止時には電動モータの駆動によっても冷媒ガスの圧縮を行うことが可能な容量可変型圧縮機を冷媒循環回路に備えた車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両の省燃費対策や環境対策のために、信号待ち等の車両の走行停止状態において、アイドリング状態にある内燃機関(エンジン)を自動停止させる、所謂アイドリングストップ制御を行うことが一般化されつつある。そして、車両用空調装置の圧縮機としては、エンジンの停止状態においても空調が可能なように、電動モータをも駆動源としたハイブリッドタイプのものが存在する。
【0003】
ハイブリッドタイプの圧縮機においては、電動モータにエンジンと同等の圧縮機駆動能力を求めると、電動モータが大型化してエンジンルーム内に配置できなくなる問題がある。従って、電動モータとしては小型のものを採用せざるを得ない。しかし、小型の電動モータは、特にその起動時において圧縮機トルク(圧縮機を駆動するのに必要なトルク)が過大であると脱調を起こして停止してしまい、空調に支障を来たすおそれがある。
【0004】
従って、例えば特開平10−236151号公報の技術においては、圧縮機として容量可変型のものを用いている。そして、圧縮機を電動モータによって駆動する際には、この電動モータによる駆動を開始する前に圧縮機の吐出容量を最小化しておく。従って、電動モータの起動時には圧縮機トルクが小さくなっており、電動モータを確実に起動させることができる。
【0005】
しかし、前記公報の技術においては、電動モータが起動された後も、言い換えれば起動時に比して電動モータの脱調を危惧する必要のない状況下においても、圧縮機の吐出容量を最小に維持するようにしている。従って、電動モータの安定運転と良好な空調とを高次元で両立するためには、電動モータの起動後、圧縮機の吐出容量を電動モータで対応可能な範囲において変更(特に増大)する必要がある。
【0006】
ここで、一般的に、容量可変型の圧縮機には、その吐出容量変更につながる弁開度調節を行うための制御弁が備えられている。この制御弁としては、例えば設定吸入圧力可変弁と呼ばれるものが用いられている。設定吸入圧力可変弁は、感圧機構と電磁アクチュエータとからなっている。感圧機構は、冷媒循環回路の吸入圧力を検出可能な感圧部材を備え、この圧力変動に基づいて感圧部材が変位することで、この圧力変動を打ち消す側に圧縮機の吐出容量が変更されるように弁体を動作させる。電磁アクチュエータは、弁体に付与する力を外部からの指令に基づいて変更することで、感圧機構による弁体の位置決め動作の基準となる設定吸入圧力を変更可能となっている。
【0007】
なお、前記制御弁は、前述した電動モータの確実な起動を達成するために、例えば電磁アクチュエータの消磁によって感圧機構による内部自律機能を停止させることで、吸入圧力の変動に関わらず圧縮機の吐出容量を最小化する機能を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記制御弁の感圧機構は、吸入圧力の変動に基づいて内部自律的に動作される。従って、電磁アクチュエータによって設定吸入圧力を変更した場合、この変更時における吸入圧力の高低によって、その後の圧縮機の吐出容量の変動の仕方が大きく異なる。このため、電動モータが起動された後、例えば圧縮機の吐出容量が中間容量となる程度に設定吸入圧力を高めに設定しても、圧縮機の吐出容量が急激かつ過大に上昇し、圧縮機トルクが過大にオーバーシュートして電動モータの能力では対応困難な領域に一時的に入り込んでしまうことがある。よって、電動モータの安定運転と良好な空調とを高次元で両立できるとは言い難い。
【0009】
つまり、圧縮機言い換えれば冷凍サイクルは、その駆動源がエンジンから電動モータへ切り替えられる間において停止されており、その間において吸入圧力が過大に上昇してしまう。従って、電動モータの起動後、電磁アクチュエータによって設定吸入圧力を高めに設定しても、吸入圧力の過大な上昇を感知した感圧機構が、吸入圧力を設定吸入圧力にまで大きく下げようと、圧縮機の吐出容量を急激かつ過大に上昇させてしまうのである。
【0010】
なお、前述したような問題は、制御弁が設定吸入圧力可変弁である場合にのみ生じるわけではなく、感圧機構と電磁アクチュエータとを組み合わせた何れのタイプの制御弁を用いた場合においても生じる問題である。
【0011】
本発明の目的は、容量可変型圧縮機の電動モータ駆動時において、電動モータの運転の安定化と良好な空調とを高次元で両立することが可能な車両用空調装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、電動モータ駆動時において圧縮機の吐出容量が増大される側に制御弁の設定圧を変更する場合には、設定圧変更用アクチュエータに対する指令値を徐々に変更する。従って、設定圧の変更に対して冷媒循環回路の圧力の変動が大きく遅れることはなく、設定圧と冷媒循環回路の圧力との差が過大に拡大することを防止できる。その結果、圧縮機の吐出容量が急激かつ過大に上昇することを防止でき、電動モータの能力では対応困難な領域に圧縮機トルクが過大にオーバーシュートして入り込むことを防止できる。よって、圧縮機の吐出容量の増大変更によっても電動モータの脱調等の危惧は少なく、電動モータの運転の安定化と良好な空調とを高次元で両立することが可能となる。
【0013】
請求項2の発明は請求項1において、指令値の徐々なる変更の仕方を言及するものである。すなわち、この指令値の変更は、圧縮機の走行駆動源による駆動時において制御弁の設定圧を変更する場合よりも緩やかに行われる。
【0014】
請求項3の発明は請求項1又は2において、指令値の徐々なる変更の好適な時期について言及するものであり、この徐々なる変更は、少なくとも圧縮機トルクが過大にオーバーシュートし易い電動モータの起動直後において行われる。
【0015】
請求項4の発明は請求項1〜3のいずれかにおいて、電動モータ駆動時において圧縮機の吐出容量は、電動モータの起動前に最小化されている。従って、電動モータを脱調等なく安定して起動させることができ、空調装置の信頼性が向上される。
【0016】
請求項5の発明は請求項1〜4のいずれかにおいて、圧縮機の電動モータ駆動時において圧縮機制御手段は、圧縮機トルクが過大とならないように、吐出容量が増大される側への制御弁の設定圧の変更に制限を加える。従って、電動モータの運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0017】
請求項6の発明は請求項1〜5のいずれかにおいて、圧縮機の電動モータ駆動時において圧縮機制御手段は、圧縮機トルク検出手段からの圧縮機トルク情報が閾値を超えた場合には、圧縮機トルクが過大であると判断して、圧縮機の吐出容量が減少される側に制御弁の設定圧を変更する。従って、電動モータの運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0018】
請求項7の発明は請求項1〜6のいずれかにおいて、モータ制御手段は、圧縮機トルク検出手段からの圧縮機トルク情報が閾値を超えた場合には、電動モータの脱調による停止がほぼ確実であると判断して、電動モータを積極的に停止させて再起動する。従って、電動モータの脱調による不安定運転が長引くことはなく、この不安定運転が空調に悪影響を与えることを防止できる。よって、電動モータの運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0019】
請求項8の発明は請求項1〜7のいずれかにおいて、電動モータは圧縮機の回転体装置に内蔵されている。言い換えれば、電動モータは小型で非力である。従って、このような態様において請求項1〜7のいずれかの発明を具体化することは、その効果(電動モータの運転の安定化と良好な空調とを高次元で両立することが可能となる)が特に有効に奏されることとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、車室の空調を行う車両用空調装置に具体化した一実施形態について説明する。
【0021】
(容量可変型斜板式圧縮機)
図1に示すように、容量可変型斜板式圧縮機(以下圧縮機とする)のハウジング11内にはクランク室12が区画されている。ハウジング11においてクランク室12内には、駆動軸13が回転可能に配設されている。駆動軸13には、車両の走行駆動源である内燃機関(エンジン)Eの出力軸が、回転体装置としてのプーリ装置PTを介して作動連結されている。
【0022】
前記プーリ装置PTは、ハウジング11に回転可能に支持された回転体としてのロータ80を備え、ロータ80の外周にはエンジンEからのベルト81が掛けられている。駆動軸13においてハウジング11外へ突出する端部にはハブ82が固定されている。ロータ80とハブ82との間には周知のワンウエイクラッチ83が介装されている。
【0023】
前記プーリ装置PTは、電動モータとしてのモータ部84をロータ80の内側に備えている。モータ部84は、ハウジング11に固定された固定子84aと、固定子84aの外周を取り囲むようにしてハブ82に固定配置された回転子84bとからなっている。エンジンEの停止時において固定子84aには、必要に応じて、モータ制御手段としての制御コンピュータたるエアコンECU72の指令に基づき駆動回路78から電力が供給される(図2参照)。駆動回路78から固定子84aへの電力供給によって回転子84bに回転力が発生し、ハブ82を介して駆動軸13が回転駆動される。この時、ハブ82からロータ80への動力伝達はワンウエイクラッチ83によって遮断され、モータ部84が発生した回転力がエンジンE側へ不必要に伝達されることはない。
【0024】
なお、前記ワンウエイクラッチ83は、ロータ80からハブ82への動力伝達は許容する。このため、エンジンEの稼動時においてエンジンEからの動力は、ロータ80及びハブ82を介して駆動軸13に伝達される。
【0025】
前記クランク室12内において駆動軸13上には、ラグプレート14が一体回転可能に固定されている。クランク室12内にはカムプレートとしての斜板15が収容されている。斜板15は、駆動軸13にスライド移動可能でかつ傾動可能に支持されている。ヒンジ機構16は、ラグプレート14と斜板15との間に介在されている。従って、斜板15は、ヒンジ機構16を介することで、ラグプレート14及び駆動軸13と同期回転可能であるとともに、駆動軸13に対して傾動可能となっている。
【0026】
前記ハウジング11内には複数(図面には一つのみ示す)のシリンダボア11aが形成されており、各シリンダボア11a内には片頭型のピストン17が往復動可能に収容されている。各ピストン17は、シュー18を介して斜板15の外周部に係留されている。従って、駆動軸13の回転にともなう斜板15の回転運動が、シュー18を介してピストン17の往復運動に変換される。
【0027】
前記シリンダボア11a内の後方(図面右方)側には、ピストン17と、ハウジング11に備えられた弁・ポート形成体19とで囲まれて圧縮室20が区画されている。ハウジング11の後方側の内部には、吸入室21及び吐出室22がそれぞれ区画形成されている。
【0028】
前記吸入室21の冷媒ガスは、各ピストン17の上死点位置から下死点側への移動により、弁・ポート形成体19に形成された吸入ポート23及び吸入弁24を介して圧縮室20に吸入される。圧縮室20に吸入された冷媒ガスは、ピストン17の下死点位置から上死点側への移動により所定の圧力にまで圧縮され、弁・ポート形成体19に形成された吐出ポート25及び吐出弁26を介して吐出室22に吐出される。
【0029】
(圧縮機の容量制御構造)
図1に示すように、前記ハウジング11内には抽気通路27及び給気通路28が設けられている。抽気通路27はクランク室12と吸入室21とを連通する。給気通路28は吐出室22とクランク室12とを連通する。ハウジング11において給気通路28の途中には制御弁CVが配設されている。
【0030】
前記制御弁CVの開度を調節することで、給気通路28を介したクランク室12への高圧な吐出ガスの導入量と抽気通路27を介したクランク室12からのガス導出量とのバランスが制御され、クランク室12の内圧が決定される。クランク室12の内圧変更に応じて、ピストン17を介してのクランク室12の内圧と圧縮室20の内圧との差が変更され、斜板15の傾斜角度が変更される結果、ピストン17のストロークすなわち圧縮機の吐出容量が調節される。
【0031】
例えば、クランク室12の内圧が低下されると斜板15の傾斜角度が増大し、圧縮機の吐出容量が増大される。図1において二点鎖線は斜板15の最大傾斜角度状態を示している。逆に、クランク室12の内圧が上昇されると斜板15の傾斜角度が減少し、圧縮機の吐出容量が減少される。図1において実線は斜板15のゼロではない最小傾斜角度状態を示している。
【0032】
(冷媒循環回路)
図1に示すように、車両用空調装置の冷媒循環回路(冷凍サイクル)は、上述した圧縮機と外部冷媒回路30とから構成されている。外部冷媒回路30は、凝縮器31、膨張弁32及び蒸発器33を備えている。
【0033】
前記圧縮機の吐出室22内には第1圧力監視点P1が設定されている。第2圧力監視点P2は、第1圧力監視点P1から凝縮器31側(下流側)へ所定距離だけ離れた冷媒通路の途中に設定されている。この第1圧力監視点P1の圧力PdHと第2圧力監視点P2の圧力PdLとの差には、冷媒循環回路の冷媒流量が反映されている。つまり、冷媒循環回路の冷媒流量が多くなると第1圧力監視点P1と第2圧力監視点P2との間の圧力差(二点間差圧ΔPd(=PdH−PdL))が増大し、逆に冷媒流量が少なくなると二点間差圧ΔPdは減少する。
【0034】
前記第1圧力監視点P1と制御弁CVとは第1検圧通路35を介して連通されている。第2圧力監視点P2と制御弁CVとは第2検圧通路36(図2参照)を介して連通されている。
【0035】
前記冷媒循環回路において、圧縮機の吐出室22と凝縮器31との間の冷媒通路上には、遮断弁34が配設されている。遮断弁34は、吐出室22側の圧力が所定値よりも低くなると冷媒通路を遮断して、外部冷媒回路30を経由した冷媒の循環を停止させる。遮断弁34は、その前後の圧力差を機械的に検知して動作する差圧弁タイプであってもよいし、吐出圧力センサ(図示しない)の検出値に応じて前記エアコンECU72により制御される電磁弁タイプであってもよい。また、遮断弁34は、斜板15の最小傾斜角度に機械的に連動されるタイプであってもよい。
【0036】
(制御弁)
図2に示すように、前記制御弁CVのバルブハウジング41内には、弁室42、連通路43及び感圧室44が区画されている。弁室42及び連通路43内には、作動ロッド45が軸方向(図面では垂直方向)に移動可能に配設されている。連通路43と感圧室44とは、連通路43に挿入された作動ロッド45の上端部によって遮断されている。弁室42は、給気通路28の下流部を介してクランク室12と連通されている。連通路43は、給気通路28の上流部を介して吐出室22と連通されている。弁室42及び連通路43は給気通路28の一部を構成する。
【0037】
前記弁室42内には、作動ロッド45の中間部に形成された弁体部46が配置されている。弁室42と連通路43との境界に位置する段差は弁座47をなしており、連通路43は一種の弁孔をなしている。そして、作動ロッド45が図2の位置(最下動位置)から弁体部46が弁座47に着座する最上動位置へ上動すると、連通路43が遮断される。つまり作動ロッド45の弁体部46は、給気通路28の開度を調節可能な弁体として機能する。
【0038】
前記感圧室44内には、ベローズよりなる感圧部材48が収容配置されている。感圧部材48の上端部はバルブハウジング41に固定されている。感圧部材48の下端部には作動ロッド45の上端部が嵌入されている。感圧室44内は、有底円筒状をなす感圧部材48によって、感圧部材48の内空間である第1圧力室49と、感圧部材48の外空間である第2圧力室50とに区画されている。第1圧力室49には、第1検圧通路35を介して第1圧力監視点P1の圧力PdHが導かれている。第2圧力室50には、第2検圧通路36を介して第2圧力監視点P2の圧力PdLが導かれている。これら感圧部材48や感圧室44等が感圧機構を構成している。
【0039】
前記バルブハウジング41の下方側には、設定圧変更用アクチュエータとしての電磁アクチュエータ部51が設けられている。電磁アクチュエータ部51は、バルブハウジング41内の中心部に有底円筒状の収容筒52を備えている。収容筒52において上方側の開口には、センタポスト(固定子)53が嵌入固定されている。このセンタポスト53の嵌入により、収容筒52内の最下部にはプランジャ室54が区画されている。
【0040】
前記プランジャ室54内には、プランジャ(可動子)56が軸方向に移動可能に収容されている。センタポスト53の中心には軸方向に延びるガイド孔57が貫通形成され、ガイド孔57内には、作動ロッド45の下端側が軸方向に移動可能に配置されている。作動ロッド45の下端は、プランジャ室54内においてプランジャ56の上端面に当接されている。
【0041】
前記プランジャ室54において収容筒52の内底面とプランジャ56との間には、プランジャ付勢バネ60が収容されている。このプランジャ付勢バネ60は、プランジャ56を作動ロッド45側に向けて付勢する。また、作動ロッド45は、感圧部材48自身が有するバネ性(以下ベローズバネ48と呼ぶ)に基づいて、プランジャ56側に向けて付勢されている。従って、プランジャ56と作動ロッド45とは常時一体となって上下動する。なお、ベローズバネ48は、プランジャ付勢バネ60よりもバネ力の大きなものが用いられている。
【0042】
前記収容筒52の外周側には、センタポスト53及びプランジャ56を跨ぐ範囲にコイル61が巻回配置されている。このコイル61には、情報検知手段71からの情報に応じた、圧縮機制御手段としてのエアコンECU72の指令に基づき、駆動回路73から電力が供給される。情報検知手段71には、空調装置のオンオフスイッチであるエアコンスイッチ74や、車室の温度を設定する温度設定器75や、車室の温度を検出する温度センサ76や、モータ部84の回転速度Neを検出する回転速度センサ77や、モータ部84の固定子84aに印加される電流値Iを検出する電流センサ79等が備えられている。
【0043】
前記駆動回路78からコイル61への電力供給量に応じた大きさの電磁力(電磁吸引力)が、プランジャ56とセンタポスト53との間に発生し、この電磁力はプランジャ56を介して作動ロッド45に伝達される。コイル61への通電制御は印加電圧を調整することでなされ、この印加電圧の調整にはPWM(パルス幅変調)制御が採用されている。従って、エアコンECU72が駆動回路73に指令するコイル61への通電デューティ比Dtが、エアコンECU72の電磁アクチュエータ部51に対する指令値となる。
【0044】
(制御弁の動作特性)
前記制御弁CVにおいては、次のようにして作動ロッド45(弁体部46)の配置位置つまり弁開度が決まる。
【0045】
図2に示すように、コイル61への通電がない場合(デューティ比Dt=0%)は、作動ロッド45の配置には、ベローズバネ48の下向き付勢力の作用が支配的となる。従って、作動ロッド45は最下動位置に配置され、弁体部46は連通路43を全開とする。このため、クランク室12の内圧は、その時おかれた状況下において取り得る最大値となり、このクランク室12の内圧と圧縮室20の内圧とのピストン17を介した差は大きくて、斜板15は傾斜角度を最小として圧縮機の吐出容量は最小となっている。
【0046】
つまり、前記制御弁CVは、コイル61への通電が遮断されると、感圧機構による内部自律機能を停止させることで、二点間差圧ΔPdの変動に関わらず圧縮機の吐出容量を最小化する機能を有している。
【0047】
なお、圧縮機の吐出容量が最小では、遮断弁34において吐出室22側の圧力が所定値よりも低くなり、遮断弁34が閉じられる。従って、外部冷媒回路30を経由した冷媒循環が停止される。このため、圧縮機による冷媒ガス圧縮が継続されたとしても、不必要な空調が行われることはない。
【0048】
前記制御弁CVにおいて、コイル61に対しデューティ比可変範囲の最小デューティ比Dt(min)(>0%)以上の通電がなされると、プランジャ付勢バネ60に加勢された上向きの電磁力が、ベローズバネ48による下向き付勢力を凌駕し、作動ロッド45が上動を開始する。この状態では、プランジャ付勢バネ60の上向きの付勢力によって加勢された上向き電磁力が、ベローズバネ48の下向き付勢力によって加勢された二点間差圧ΔPdに基づく下向き押圧力に対抗する。そして、これら上下付勢力が均衡する位置に、作動ロッド45の弁体部46が弁座47に対して位置決めされ、圧縮機の吐出容量が調節される。
【0049】
つまり、前記制御弁CVは、コイル61への通電時においては、この通電デューティ比Dtによって決定された二点間差圧ΔPdの制御目標(設定圧としての設定差圧)を維持するように、この二点間差圧ΔPdの変動に応じて内部自律的に作動ロッド45(弁体部46)を位置決めする構成となっている。
【0050】
前記エンジンEの稼動時においてエアコンECU72は、エアコンスイッチ74のオン状態にて、温度センサ76からの検出温度と温度設定器75からの設定温度とを参照することでデューティ比Dtを算出し、この算出値を駆動回路73に指令する。
【0051】
例えば、検出温度が設定温度より大であれば、車室内は暑く熱負荷が大きいと予測される。このため、エアコンECU72は、デューティ比Dtの増大変更を駆動回路73に指令する。従って、制御弁CVの弁開度が減少し、圧縮機の吐出容量が増大して蒸発器33での除熱能力が高まり、車室の温度は低下傾向となる。
【0052】
逆に、検出温度が設定温度より小であれば、車室内は寒く熱負荷が小さいと予測される。このため、エアコンECU72は、デューティ比Dtの減少変更を駆動回路73に指令する。従って、制御弁CVの弁開度が増加し、圧縮機の吐出容量が減少して蒸発器33での除熱能力が低まり、車室の温度は上昇傾向となる。
【0053】
(エアコンECUのアイドリングストップ時制御)
前記エアコンECU72は、エアコンスイッチ74がオン状態であることと、エンジンECU91からアイドリングストップ制御の過程におけるエンジンEの停止決定の旨を受信することとの条件で、図3のフローチャートに従う演算処理を行う。なお、エンジンECU91は、エンジンEの起動/停止や出力を制御する制御コンピュータであって、エアコンECU72と通信可能に接続されている(図2参照)。
【0054】
さて、図3に示すように前記エアコンECU72は、エアコンスイッチ74のオン状態のもとでエンジンECU91からエンジンEの停止の決定を受信すると、ステップ(以下「S」と略す)201において駆動回路73に指令するデューティ比Dtに「0」を与える。従って、コイル61が無通電状態とされ、圧縮機の吐出容量が最小化される。この圧縮機の吐出容量の最小化は、エンジンEが停止される前のタイミングで実行される。S202においては、エンジンEが停止された旨をエンジンECU91から受信するまで以降の処理が待機される。なお、「エンジンEが停止された旨をエンジンECU91から受信する」とは、例えば、エンジンECU91から随時送られてくるエンジンEの回転速度情報がゼロとなることである。
【0055】
エンジンEが停止されると、S203においてモータ部84の起動を駆動回路78に指令する。駆動回路78によるモータ部84の駆動は、ほぼ一定回転速度Ne(set1)で行われる。S204においては、回転速度センサ77からの回転速度Ne(t)が一定回転速度Ne(set1)に到達したか否か、つまりモータ部84が起動時の増速状態から一定回転速度Ne(set1)での安定運転状態に移行されたか否かが判定される。
【0056】
モータ部84の回転速度Ne(t)が一定回転速度Ne(set1)に到達して安定運転状態に移行すると、S205において駆動回路73に指令するデューティ比Dtを最小デューティ比Dt(min)として、制御弁CVの内部自律制御機能(設定差圧維持機能)を起動する。制御弁CVの内部自律制御機能が起動された後、S206においてデューティ比Dtを単位量ΔDだけ増大させ、その修正値(Dt+ΔD)へのデューティ比Dtの変更を駆動回路73に指令する。従って、制御弁CVの弁開度が若干減少し、圧縮機の吐出容量が若干増大して圧縮機トルクが若干上昇される。
【0057】
S207においては、回転速度センサ77からの回転速度Neが第1閾値Ne(set2)(<Ne(set1))未満でかつ、電流センサ79からの電流値Iが第1閾値I(set1)を超えたか否かが判定される。モータ部84の回転速度Ne及び電流値Iは、それぞれモータ部84が負担する圧縮機トルクと相関性を有し、回転速度Neが第1閾値Ne(set2)未満でかつ電流値Iが第1閾値I(set1)を超えるような状況は、圧縮機トルクがモータ部84の能力では好適に対応することが困難な領域に入り込みそうな状況を意味する。つまり、回転速度センサ77及び電流センサ79は、圧縮機トルクを検出するための圧縮機トルク検出手段をなしている。
【0058】
S207判定がNOの場合、現在の圧縮機トルクはモータ部84の能力で十分対応可能であると判断し、処理はS208に移行される。S208においては、デューティ比Dtが設定値Dt(set)に到達されたか否かが判定される。この設定値Dt(set)により設定される制御弁CVの設定差圧は、圧縮機の吐出容量が最小と最大との中間程度の時に実現される二点間差圧ΔPdであって、この中間容量時における圧縮機トルクは、その他の条件にもよるが、だいたいモータ部84の能力範囲の上限値付近を示すことが予め解っている。
【0059】
S208判定がNOの場合、処理はS206に移行されてデューティ比Dtの単位量ΔDの増大が行われ、この単位量ΔDの増大はデューティ比Dtが設定値Dt(set)に到達するまで繰り返される。なお、単位量ΔDは、最小デューティ比Dt(min)からS206処理を複数回繰り返さなければ設定値Dt(set)に到達できない量に設定されている。S208判定がYESの場合、つまりデューティ比Dtが設定値Dt(set)に到達した場合には、処理がS207に移行され、デューティ比Dtが設定値Dt(set)に維持されることとなる。
【0060】
つまり、アイドリングストップ時制御においてエアコンECU72は、温度設定器75の設定温度及び温度センサ76の検出温度に関係なく、第1閾値Ne(set2)と第1閾値I(set1)とで決定されるモータ部84の能力で対応可能な限界で圧縮機を運転する。これは、モータ部84を、エンジンE側とのプーリ比等によって限られた寸法のプーリ装置PTに内蔵するために、モータ部84の圧縮機駆動能力がエンジンEのそれと比較して小さく設計されており、モータ部84を常にその能力の限界(上限)で運転することにより、車室内の温度上昇を抑えるようにするためである。
【0061】
前記S207判定がYESの場合、現在のデューティ比Dtでは圧縮機トルクが大きくモータ部84が脱調等の不安定運転となり易いと判断し、S209においてデューティ比Dtを単位量ΔDだけ減少させ、その修正値(Dt−ΔD)へのデューティ比Dtの変更を駆動回路73に指令する。従って、制御弁CVの弁開度が若干増大し、圧縮機の吐出容量が若干減少して圧縮機トルクが若干低下される。
【0062】
S209からはS210へ処理が移行され、モータ部84の回転速度Neが第2閾値Ne(set3)(<Ne(set2))未満でかつ、電流センサ79からの電流値Iが第2閾値I(set2)(>I(set1))を超えたか否かが判定される。回転速度Neが第2閾値Ne(set3)未満でかつ電流値Iが第2閾値I(set2)を超えるような状況は、圧縮機トルクがモータ部84の能力では対応困難な領域に入り込んでおり、モータ部84の脱調による停止はほぼ確実であることを意味する。
【0063】
S210判定がNOの場合、処理はS207に移行される。逆に、S210判定がYESの場合、S211において駆動回路73に指令するデューティ比Dtに「0」を与えてコイル61を無通電状態とし、圧縮機の吐出容量を最小化する。圧縮機の吐出容量を最小化した後、S212においてモータ部84の停止を駆動回路78に指令するとともに、処理はS203に移行されてモータ部84の再起動が行われる。つまり、モータ部84の脱調による不安定運転が長引くと空調に悪影響を与えるため、この場合にはモータ部84を積極的に停止させるとともに再起動させ、速やかにモータ部84の運転の安定化を図るようにしている。
【0064】
本実施形態においては次のような効果を奏する。
(1)アイドリングストップ時制御においてデューティ比Dtの設定値Dt(set)までの変更は、単位量ΔDの加算処理(図3のS206)が複数回繰り返されることで行われる。従って、モータ部84が起動してからデューティ比Dtが設定値Dt(set)まで増大変更されるのに時間がかかり、このデューティ比Dtの増大変更は徐々に行われることとなる。その結果、設定差圧の増大変更に対して二点間差圧ΔPdの増大変動が大きく遅れることはなく、設定差圧と二点間差圧ΔPdとの差が過大に拡大することを防止できる。
【0065】
よって、感圧機構(感圧部材48等)は、二点間差圧ΔPdを設定差圧に向けて増大変動させるにあたり、弁体部46の開度を急激かつ過大に小さくすることはなく、圧縮機の吐出容量が急激かつ過大に上昇することを防止できる。このため、モータ部84の能力では対応困難な領域に圧縮機トルクが過大にオーバーシュートして入り込むことを防止できる。よって、圧縮機の吐出容量の増大変更によってもモータ部84の脱調等の危惧は少なく、モータ部84の運転の安定化と良好な空調とを高次元で両立することが可能となる。
【0066】
なお、アイドリングストップ時制御においてデューティ比Dtの最小値Dt(min)から設定値Dt(set)までの変更は、この変更がS209(デューティ比Dtの減少処理)を経由せずに遅滞なく行われたとしても、エンジンEの稼動時においてデューティ比Dtが最小値Dt(min)から設定値Dt(set)へ冷房負荷に応じて変更される場合よりも緩やかに行われる。
【0067】
(2)エアコンECU72は、少なくともモータ部84の起動直後においてデューティ比Dtを増大変更する場合に、この変更を徐々に行う。圧縮機トルクが過大にオーバーシュートし易いモータ部84の起動直後においてデューティ比Dtを徐々に増大変更することは、モータ部84の安定運転を達成する上で特に重要である。
【0068】
(3)モータ部84による圧縮機の駆動時においてエアコンECU72は、モータ部84を起動する前に圧縮機の吐出容量を最小化する。従って、モータ部84を脱調なく安定して起動させることができ、空調装置の信頼性が向上される。
【0069】
(4)モータ部84による圧縮機の駆動時においてエアコンECU72は、圧縮機トルクが過大とならないようにデューティ比Dtの増大変更に制限を加える(図3のS208)。従って、圧縮機を、モータ部84の能力で対応可能な範囲の上限で運転することができ、モータ部84の運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0070】
(5)モータ部84による圧縮機の駆動時においてエアコンECU72は、圧縮機トルクが過大となる場合には、デューティ比Dtを減少変更する(図3のS207(YES)→S209)。従って、圧縮機トルクを、モータ部84の能力で対応可能な範囲に確実に抑えることができ、モータ部84の運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0071】
(6)エアコンECU72は、モータ部84が脱調した場合には、モータ部84を積極的に停止させて再起動する。従って、モータ部84の脱調による不安定運転が長引くことはなく、この不安定運転が空調に悪影響を与えることを防止でき、モータ部84の運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0072】
(7)モータ部84は圧縮機のプーリ装置PTに内蔵されている。言い換えれば、モータ部84は小型で非力である。従って、このような態様においては、前記(1)の効果(モータ部84の運転の安定化と良好な空調とを高次元で両立することが可能となる)が特に有効に奏されることとなる。
【0073】
なお、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で以下の態様でも実施できる。
・圧縮機トルクを直接検出するトルクセンサを備える。そして、図3のS207及び/又はS210判定を、トルクセンサからの検出情報に基づいて行うように変更すること。このようにすれば、圧縮機トルクを直接的に把握することができ、モータ部84の運転の安定化と良好な空調とをより高次元で両立することが可能となる。
【0074】
・図3のS207及び/又はS210判定を、モータ部84の回転速度Ne又は電流値Iの一方のみを参照することで行うように変更すること。このようにすれば、エアコンECU72の演算負荷を軽減することができる。
【0075】
・図3のS208処理における設定値Dt(set)を、予め測定しておいた蒸発器33の後の空気温度(所謂エバ後空気温度)と圧縮機トルクとの関係から求められるエバ後空気温度センサからの検出情報によるフィードバック制御で決定すること。
【0076】
・例えば、本実施形態のモータ部84よりも高性能な電動モータを使用する。そして、図3のS208処理において設定値Dt(set)を、冷房負荷に応じて変更すること。このようにすれば、空調フィーリングが良好となる。
【0077】
・第1圧力監視点P1を、蒸発器33と吸入室21とを含む両者間の吸入圧力領域に設定するとともに、第2圧力監視点P2を同じ吸入圧力領域において第1圧力監視点P1の下流側に設定すること。
【0078】
・制御弁CVとして、設定吸入圧力可変弁を用いること。
・制御弁CVとして、給気通路28ではなく、抽気通路27の開度調節によりクランク室12の内圧を調節する、所謂抜き側制御弁を採用すること。
【0079】
・容量可変型圧縮機としてワッブルタイプのものを採用すること。
・上記実施形態においては車室の空調を行う車両用空調装置において具体化されていたが、これに限定されるものではなく、例えば冷凍車や冷蔵車の庫内の空調(温度調節)を行う車両用空調装置において具体化してもよい。
【0080】
上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記感圧機構は、冷媒循環回路に沿って設定された二つの圧力監視点間の圧力差を感圧部材によって検出可能であるとともに、この圧力差の変動に基づいて感圧部材が変位することで、この圧力差の変動を打ち消す側に容量可変型圧縮機の吐出容量が変更されるように弁体を動作させ、前記設定圧変更用アクチュエータは、弁体に付与する力を圧縮機制御手段からの指令に基づいて変更することで、感圧機構による弁体の位置決め動作の基準となる設定圧としての設定差圧を変更可能な構成である請求項1〜8のいずれかに記載の車両用空調装置。
【0081】
(2)前記電動モータの圧縮機駆動能力は走行駆動源のそれと比較して小さい請求項1〜8のいずれか又は前記(1)に記載の車両用空調装置。
【0082】
【発明の効果】
上記構成の本発明によれば、容量可変型圧縮機の電動モータ駆動時において、電動モータの運転の安定化と良好な空調とを高次元で両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 容量可変型斜板式圧縮機の断面図。
【図2】 制御弁の断面図。
【図3】 エアコンECUによるアイドリングストップ時制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
46…制御弁の弁体としての弁体部、48…制御弁の感圧部材、51…設定圧変更用アクチュエータとしての電磁アクチュエータ部、72…圧縮機制御手段としてのエアコンECU、84…電動モータとしてのモータ部、E…車両の走行駆動源であるエンジン、CV…制御弁、ΔPd…冷媒循環回路の圧力としての二点間差圧、Dt…指令値としてのデューティ比。
Claims (8)
- 車両の走行駆動源によって駆動されて冷媒ガスの圧縮を行うとともに、走行駆動源の停止時には電動モータの駆動によっても冷媒ガスの圧縮を行うことが可能な容量可変型圧縮機を備えた冷媒循環回路と、前記容量可変型圧縮機の吐出容量変更につながる弁開度調節を行うための制御弁と、この制御弁を制御するための圧縮機制御手段とを備え、
前記制御弁は、
前記冷媒循環回路の圧力を検出可能な感圧部材を備え、この圧力変動に基づいて感圧部材が変位することで、この圧力変動を打ち消す側に容量可変型圧縮機の吐出容量が変更されるように弁体を動作させる感圧機構と、
前記弁体に付与する力を圧縮機制御手段からの指令に基づいて変更することで、感圧機構による弁体の位置決め動作の基準となる設定圧を変更可能な設定圧変更用アクチュエータとからなり、
前記容量可変型圧縮機の電動モータによる駆動時において圧縮機制御手段は、容量可変型圧縮機の吐出容量が増大される側に制御弁の設定圧を変更する場合には、設定圧変更用アクチュエータに対する指令値を徐々に変更することを特徴とする車両用空調装置。 - 前記圧縮機制御手段による指令値の徐々なる変更は、容量可変型圧縮機の走行駆動源による駆動時において制御弁の設定圧を変更する場合よりも緩やかに行われる請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記圧縮機制御手段は、少なくとも電動モータの起動直後において、容量可変型圧縮機の吐出容量が増大される側に制御弁の設定圧を変更する場合に指令値を徐々に変更する請求項1又は2に記載の車両用空調装置。
- 前記容量可変型圧縮機の電動モータ駆動時において圧縮機制御手段は、電動モータが起動される前に容量可変型圧縮機の吐出容量を最小化する請求項1〜3のいずれかに記載の車両用空調装置。
- 前記容量可変型圧縮機の電動モータ駆動時において圧縮機制御手段は、容量可変型圧縮機の吐出容量が増大される側への制御弁の設定圧の変更に制限を加える請求項1〜4のいずれかに記載の車両用空調装置。
- 前記容量可変型圧縮機の圧縮機トルク又は圧縮機トルクに相関性のある物理量を検出する圧縮機トルク検出手段を備え、前記容量可変型圧縮機の電動モータ駆動時において圧縮機制御手段は、圧縮機トルク検出手段からの圧縮機トルク情報が閾値を超えた場合には、容量可変型圧縮機の吐出容量が減少される側に制御弁の設定圧を変更する請求項1〜5のいずれかに記載の車両用空調装置。
- 前記電動モータを制御するモータ制御手段と、圧縮機トルク又は圧縮機トルクに相関性のある物理量を検出する圧縮機トルク検出手段とを備え、前記容量可変型圧縮機の電動モータ駆動時においてモータ制御手段は、圧縮機トルク検出手段からの圧縮機トルク情報が閾値を超えた場合には、電動モータを一旦停止させて再起動する請求項1〜6のいずれかに記載の車両用空調装置。
- 前記容量可変型圧縮機のハウジングには、走行駆動源からの動力を受ける回転体を備えた回転体装置が配設されており、この回転体装置に前記電動モータが内蔵されている請求項1〜7のいずれかに記載の車両用空調装置。
Priority Applications (3)
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