JP3812263B2 - 電気光学装置の駆動回路、電気光学装置および電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、時間軸上における変調により電気光学装置の駆動回路および電気光学装置ならびに電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気光学装置、例えば、電気光学材料として液晶を用いた液晶表示装置は、陰極線管(CRT)に変わるディスプレイデバイスとして、各種情報処理機器の表示部や液晶テレビなどに広く用いられている。
【0003】
ここで、従来の電気光学装置は、例えば、次のように構成されている。すなわち、従来の電気光学装置は、マトリクス状に配列した画素電極と、この画素電極に接続されたTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)のようなスイッチング素子などが設けられた素子基板と、画素電極に対向する対向電極が形成された対向基板と、これら両基板の間に充填された電気光学材料たる液晶とから構成される。そして、このような構成において、走査線を介してスイッチング素子に走査信号を印加すると、当該スイッチング素子が導通状態となる。この導通状態の際に、データ線を介して画素電極に、階調に応じた電圧の画像信号を印加すると、当該画素電極および対向電極の間の液晶層に画像信号の電圧に応じた電荷が蓄積される。電荷蓄積後、当該スイッチング素子をオフ状態としても、当該液晶層における電荷の蓄積は、液晶層自身の容量性や蓄積容量などによって維持される。このように、各スイッチング素子を駆動させ、蓄積させる電荷量を階調に応じて制御すると、画素毎に液晶の配向状態が変化するので、画素毎に濃度が変化することとなる。このため、階調表示することが可能となるのである。
【0004】
この際、各画素の液晶層に電荷を蓄積させるのは一部の期間で良いため、第1に、走査線側駆動回路によって、各走査線を順次選択するとともに、第2に、走査線の選択期間において、データ線側駆動回路によって、データ線を順次選択し、第3に、選択されたデータ線に、階調に応じた電圧の画像信号をサンプリングする構成により、走査線およびデータ線を複数の画素について共通化した時分割マルチプレックス駆動が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、データ線に印加される画像信号は、階調に対応する電圧、すなわちアナログ信号である。このため、電気光学装置の周辺回路には、D/A変換回路やオペアンプなどが必要となるので、装置全体のコスト高を招致してしまう。さらに、これらのD/A変換回路、オペアンプなどの特性や、各種の配線抵抗などの不均一性に起因して、表示ムラが発生するので、高品質な表示が極めて困難である、という問題があり、特に、高精細な表示を行う場合に顕著となる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高品質・高精細な階調表示が可能な電気光学装置、その駆動回路、さらには、この電気光学装置を用いた電子機器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明は、基板上に複数の走査線及び複数のデータ線を交差配置し、前記走査線と前記信号線の交差に対応して設けられた複数の画素により階調データに応じた階調表示を行う電気光学装置の駆動回路であって、1フィールド内において画素をオン状態にする時間とオフ状態にする時間の比率が前記階調データに応じた比率となるように、1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々における画素のオン状態またはオフ状態を指示する2値信号に従って、画素をオン状態またはオフ状態にする電圧をデータ線に供給するデータ線側駆動回路を具備し、前記データ線側駆動回路は、前記基板上に搭載される半導体集積回路内に形成された第1データ線側駆動回路と、前記基板上に形成された第2データ線側駆動回路とを有し、前記第1データ線側駆動回路は、画素1行分の2値信号を複数回に分けて出力し、前記第2データ線側駆動回路は、前記第1データ線側駆動回路から出力された2値信号から画素1行分の2値信号を生成し、当該2値信号に従って画素をオン状態またはオフ状態にする電圧を前記データ線に供給することを特徴とする電気光学装置の駆動回路を提供するものである。
【0008】
この発明によれば、当該画素の階調に応じて時間軸上の変調がなされる結果、実効値制御による階調表示が行われることとなる。この際、各サブフィールドにおいては、画素をオン状態またはオフ状態とするだけで済むので、素子特性や配線抵抗などの不均一性に起因する表示ムラが抑えられ、この結果、高品質かつ高精細な階調表示が可能となる。
【0009】
また、この発明によれば、データ線にデータ信号を供給するためのデータ線側駆動回路が、半導体集積回路内に形成された第1データ線側駆動回路と基板上に形成された第2データ線側駆動回路とを有する。一般に、半導体集積回路内に形成された回路は、基板上に形成された回路よりも動作速度が速いから、このような構成にすることにより、速い動作速度を要する処理を半導体集積回路内の第1データ線側駆動回路によって行う一方、それ以外の処理を第2データ線側駆動回路によって行うようにすることができる。この結果、基板上に形成された第2データ線側駆動回路の動作速度が比較的遅い場合であっても、高精細かつ高品質な表示を行うことができるという利点がある。
【0010】
また、この発明によれば、半導体集積回路内に形成された第1データ線側駆動回路が、画素1行分の2値信号を複数回に分けて出力するようになっているため、第1データ線側駆動回路が、画素1行分の2値信号を出力する場合と比較して、第1データ線側駆動回路の出力端子と、基板上に形成された第2データ線側駆動回路の入力端子との接点数を少なくすることができるという利点がある。
【0011】
なお、本発明において、前記第1データ線側駆動回路は、少なくとも画素1行分の2値信号を記憶する第1回路と、前記第1回路に記憶された画素1行分の2値信号を複数回に分けて出力する第2回路とを具備するようにしてもよい。特に、前記第1回路は1フィールド走査分の2値信号を記憶するメモリにより構成することが好ましい。このようにすれば、少なくとも画素1行分の2値信号を記憶する記憶回路(メモリ)を半導体集積回路内に形成される微細な絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(MOSFET)によって構成できるので、記憶回路を有することによってトランジスタの素子数が多くなっても第1のデータ線側駆動回路の占める面積が大型になることはなく、この半導体集積回路を基板上に搭載することによって、基板上の駆動回路の領域を小さくすることができる。すなわち、基板上に形成する駆動回路は、多結晶シリコン薄膜をチャネルに用いた薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)によって形成されるが、このTFTはトランジスタとしての移動度がMOSFETに比較して劣るため、トランジスタサイズを大きくしてそれを補償することになる。TFTのみで構成された駆動回路においては、素子数が増えると駆動回路の占める基板上の面積が大きくなってしまうが、本発明のように素子数の多い第1のデータ線側駆動回路部分を、TFTよりサイズが小さく高集積化された半導体集積回路内に構成することにより、駆動回路全体の面積を小さく抑えることができる。
【0012】
また、上記課題を解決するため、第2の発明は、基板上に複数の走査線及び複数のデータ線を交差配置し、前記走査線と前記信号線の交差に対応して設けられた複数の画素により階調データに応じた階調表示を行う電気光学装置の駆動回路であって、前記基板上に搭載される半導体集積回路内に形成された第1データ線側駆動回路と、前記基板上に形成された第2データ線側駆動回路とを具備し、前記第1データ線側駆動回路は、複数の画素に対応した階調データを記憶するメモリと、1フィールド内において画素をオン状態にする時間とオフ状態にする時間との比率が前記階調データに応じた比率となるように、1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々において、画素のオン状態またはオフ状態を指示する2値信号を、前記メモリに記憶された階調データから生成するデータ変換回路であって、画素1行分の前記2値信号を複数回に分けて出力するデータ変換回路とを有し、前記第2データ線側駆動回路は、前記第1データ線側駆動回路から出力された2値信号から画素1行分の2値信号を生成し、当該2値信号に従って、画素をオン状態またはオフ状態にする電圧を前記データ線に供給することを特徴とする電気光学装置の駆動回路を提供するものである。
【0013】
かかる構成とした場合にも、上記第1の発明と同様の効果が得られる。さらに、本発明によれば、1フィールド毎にすべての階調データを書き換える必要はなく、例えば、内容に変更があった階調データについてのみ、メモリに記憶された階調データを書き換えるようにすることもできるから、消費電力を低く抑えることができるという効果が得られる。
【0014】
さらに、第3の発明は、基板上に複数の走査線及び複数のデータ線を交差配置し、前記走査線と前記データ線の交差に対応して複数の画素を設け、1フィールド内において画素をオン状態にする時間とオフ状態にする時間の比率が前記階調データに応じた比率となるように、1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々における画素のオン状態またはオフ状態を指示する2値信号に従って、画素をオン状態またはオフ状態にする電圧をデータ線に供給するデータ線側駆動回路を具備し、前記データ線側駆動回路は、前記基板上に搭載される半導体集積回路内に形成された第1データ線側駆動回路と、前記基板上に形成された第2データ線側駆動回路とを有し、前記第1データ線側駆動回路は、画素1行分の2値信号を複数回に分けて出力し、前記第2データ線側駆動回路は、前記第1データ線側駆動回路から出力された2値信号から画素1行分の2値信号を生成し、当該2値信号に従って画素をオン状態またはオフ状態にする電圧を前記データ線に供給することを特徴とする電気光学装置を提供するものである。
【0015】
この第3の発明は、上記第1の発明を電気光学装置として具現したものであり、上記第1の発明と同様の効果を奏する。
【0016】
なお、この第2の発明においても、上記第1の発明と同様に、前記第1データ線側駆動回路は、少なくとも画素1行分の2値信号を記憶する第1回路と、前記第1回路に記憶された画素1行分の2値信号を、1水平走査期間毎に複数回に分けて出力する第2回路とを具備するようにしてもよい。特に、前記第1回路は1フィールド走査分の2値信号を記憶するメモリにより構成することが好ましい。このようにすれば、第1の発明と同様に、画素1行分の2値信号を記憶する記憶回路(メモリ)を半導体集積回路内に形成される微細な絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(MOSFET)によって構成できるので、記憶回路を有することによってトランジスタの素子数が多くなっても第1のデータ線側駆動回路の占める面積が大型になることはなく、この半導体集積回路を基板上に搭載することによって、基板上の駆動回路の領域を小さくすることができる。
【0017】
また、第4の発明は、階調データに応じた階調表示を行う電気光学装置であって、基板上に複数の走査線及び複数のデータ線を交差配置し、前記走査線と前記信号線の交差に対応して設けられた複数の画素と、前記基板上に搭載される半導体集積回路内に形成された第1データ線側駆動回路と、前記基板上に形成された第2データ線側駆動回路とを具備し、前記第1データ線側駆動回路は、複数の画素に対応した階調データを記憶するメモリと、1フィールド内において画素をオン状態にする時間とオフ状態にする時間との比率が前記階調データに応じた比率となるように、1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々において、画素のオン状態またはオフ状態を指示する2値信号を、前記メモリに記憶された階調データから生成するデータ変換回路であって、画素1行分の前記2値信号を複数回に分けて出力するデータ変換回路とを有し、前記第2データ線側駆動回路は、前記第1データ線側駆動回路から出力された2値信号から画素1行分の2値信号を生成し、当該2値信号に従って、画素をオン状態またはオフ状態にする電圧を前記データ線に供給することを特徴とする電気光学装置を提供することにある。
【0018】
この第4の発明は、上記第2の発明を電気光学装置として具現したものであり、上記第2の発明と同様の効果を奏する。
【0019】
また、これらの発明は、上記電気光学装置を表示装置として備えた電子機器としても実施することも可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【0021】
A:本発明に係る電気光学装置の駆動方法の原理
まず、本実施形態に係る装置の理解を容易にするため、本実施形態における電気光学装置の駆動方法について説明する。
【0022】
一般に、電気光学装置として液晶を用いた液晶装置において、液晶に印加される実効電圧値と画素の相対透過率(または反射率)との関係は、電圧無印加状態において黒表示を行うノーマリーブラックモードを例にとれば、図8(a)に示すような関係にある。なお、相対透過率とは、透過光量の最低値および最高値を、それぞれ0%および100%として正規化したものである。図8(a)に示すように、液晶画素の透過率は、液晶層に対する印加電圧(実効電圧)が閾値VTH1より小さい場合には0%であるが、印加電圧が閾値VTH1以上であり、かつ、飽和電圧VTH2以下である場合には、印加電圧に対して非線形に増加する。そして、印加電圧が飽和電圧VTH2以上である場合、液晶画素の透過率は印加電圧によらず一定値を維持する。
【0023】
ここで、本実施形態に係る電気光学装置が8階調表示を行うものとし、3ビットで示される階調データが、それぞれ同図に示される透過率を指示するものとする。この際、各透過率に応じて液晶層に印加すべき電圧を、それぞれV0〜V7とすると、従来の技術の下では、これらの電圧V0〜V7自体を、液晶層に印加する構成となっていた。このため、特に、中間階調に対応する電圧V1〜V6については、D/A変換回路やオペアンプなどのアナログ回路の特性や、各種の配線抵抗などのばらつきによる影響を受けやすく、さらに、画素同士でみて不均一となりやすいので、高品質かつ高精細な階調表示が困難であった。
【0024】
そこで、本実施形態に係る電気光学装置では、次のような方法により画素の駆動を行う。なお、本明細書において、1フィールドとは、水平走査信号および垂直走査信号に同期して水平走査および垂直走査することにより、1枚のラスタ画像を形成するのに要する時間である。従って、ノンインターレース方式などにおける1フレームも、本発明にいう1フィールドに相当する。
【0025】
まず、本実施形態においては、液晶層に瞬間的に印加される電圧を、例えばLレベルに相当する電圧VLと、Hレベルに相当する電圧VHのいずれかとする。ここで、電圧VLは、1フィールド(1f)の全期間にわたって液晶層に印加された場合であっても、当該1フィールドにおいて液晶層に与えられる実効電圧値が図8(a)に示すV1よりも小さくなるように選定されている。また、電圧VHは、1フィールド(1f)の全期間にわたって液晶層に印加された場合に、当該1フィールドにおいて液晶層に与えられる実効電圧値が図8(b)に示すV7と同じかそれよりも大きくなるように選定されている。なお、1フィールドにおいて液晶層に与えられる実効電圧値がV7を越える場合であっても、飽和性であるがゆえに透過率は100%を維持する。
【0026】
さらに、本実施形態においては、1フィールドの期間のうち、液晶層に電圧VLを印加する期間と、電圧VHを印加する期間との比率を制御して、液晶層に印加される実効電圧値がV1、V2、…、V6となるように構成し、これにより当該電圧に対応した階調表示を実現するようになっている。
【0027】
そこで、本実施形態に係る電気光学装置では、液晶層に電圧VLを印加する期間と、電圧VHを印加する期間とを区切るために、図8(b)に示されるように、1フィールド(1f)を7つの期間に分割する。本明細書においては、この分割された期間の各々を便宜的にサブフィールドSf1、Sf2、…、Sf7と呼ぶ。すなわち、本実施形態に係る電気光学装置においては、各サブフィールドSf1〜Sf7毎に、階調データに応じて、画素の液晶層に対して電圧VLまたはVHを印加する構成となっているのである。
【0028】
例えば、ある画素に対して階調データ(001)が与えられた場合、すなわち、当該画素の透過率を14.3%とする階調表示を行う場合、1フィールド(1f)のうち、サブフィールドSf1においては当該画素の液晶層に対して電圧VHを印加する一方、他のサブフィールドSf2〜Sf7においては当該液晶層に対して電圧VLを印加する。ここで、実効電圧値は、電圧瞬時値の2乗を1周期(1フィールド)にわたって平均化した平方根で求められるから、サブフィールドSf1を、1フィールド(1f)に対して(V12−VL2)/(VH2−VL2)となる期間に設定すれば、上記の電圧印加によって1フィールド(1f)に液晶層に印加される実効電圧値はV1となる。
【0029】
また、例えば、ある画素に対して階調データ(010)が与えられた場合、すなわち、当該画素の透過率を28.6%とする階調表示を行う場合、1フィールド(1f)のうち、サブフィールドSf1〜Sf2においては当該画素の液晶層に対して電圧VHを印加する一方、他のサブフィールドSf3〜Sf7においては当該液晶層に対して電圧VLを印加する。ここで、サブフィールドSf1〜Sf2を、1フィールド(1f)に対して(V22−VL2)/(VH2−VL2)となる期間に設定すれば、上記電圧印加によって1フィールド(1f)に当該液晶層に印加される実効電圧値はV2となる。上述したように、サブフィールドSf1は、1フィールド(1f)に対して(V12−VL2)/(VH2−VL2)となる期間に設定されているから、サブフィールドSf2については、1フィールドに対して(V22−V12)/(VH2−VL2)となる期間に設定すればよい。
【0030】
同様に、例えば、ある画素に対して階調データ(011)が与えられた場合、すなわち、当該画素の透過率を42.9%とする階調表示を行う場合、1フィールド(1f)のうち、サブフィールドSf1〜Sf3では当該画素の液晶層に対して電圧VHを印加する一方、他のサブフィールドSf4〜Sf7では液晶層に対して電圧VLを印加する。このため、サブフィールドSf1〜Sf3を、1フィールド(1f)に対して(V32−VL2)/(VH2−VL2)となる期間に設定すれば、上記電圧印加によって当該液晶層に印加される実効電圧値はV3となる。ここで、サブフィールドSf1〜Sf2は、上述したように(V22−VL2)/(VH2−VL2)となる期間に設定されているので、サブフィールドSf3については、1フィールド(1f)に対して(V32−V22)/(VH2−VL2)となる期間に設定すればよいことが判る。
【0031】
以下、同様にして、他のサブフィールドSf4〜Sf6の期間がそれぞれ決定される。また、サブフィールドSf7については、最終的に、1フィールドからサブフィールドSf1〜Sf6を除いた期間に設定される。
【0032】
このように、サブフィールドSf1〜Sf7の各期間を設定して、階調データに応じた電圧印加を行う構成とすると、当該液晶層に印加される電圧はVLまたはVHの2値であるにもかかわらず、各透過率に対応する階調表示が可能となるのである。なお、以下では、説明の便宜上、論理振幅については、電圧VHをHレベルとし、電圧VLをLレベルとして考えることとする。
【0033】
なお、以下の説明においては、上記のように、3ビットの階調データに応じた8階調による表示が可能な電気光学装置を例に説明を進めるが、本発明をこれに限る趣旨でないことはいうまでもない。
【0034】
B:第1実施形態
B−1:第1実施形態の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の電気的な構成を示すブロック図である。この電気光学装置は、電気光学材料として液晶を用いた液晶装置であり、素子基板と対向基板とが互いに一定の間隙を保って貼付され、この間隙に電気光学材料たる液晶が挟まれた構成となっている。また、この電気光学装置では、素子基板および対向基板として、ガラス、石英またはプラスティック等によって構成される絶縁性の板状部材の基板を用いている。
【0035】
図1に示すように、素子基板101上の表示領域101aには、複数本の走査線112がX(行)方向に延在して形成され、複数本のデータ線114がY(列)方向に延在して形成されている。そして、画素110は、走査線112とデータ線114との各交差に対応して設けられて、マトリクス状に配列している。本実施形態では、説明の便宜上、走査線112の総本数をm本とし、データ線114の総本数をn本として(m、nはそれぞれ2以上の整数)、m行×n列のマトリクス型表示装置として説明するが、本発明をこれに限定する趣旨ではない。
【0036】
画素110の具体的な構成としては、例えば、図2(a)に示すものが挙げられる。この構成では、薄膜トランジスタ(TFT)116のゲートが走査線112に、ソースがデータ線114に、ドレインが画素電極118に、それぞれ接続されるとともに、画素電極118と対向電極108との間に電気光学材料たる液晶105が挟まれて液晶層が形成されている。ここで、画素電極118と接地電位GNDとの間には蓄積容量119が形成されている。この蓄積容量119は、トランジスタ116を介して画素電極118に電圧が印加された後、この印加電圧を必要な時間だけほぼ一定に維持するために設けられた容量である。したがって、蓄積容量119の画素電極118に対向する電位は接地電位ではなく、画素電極との間で必要な電荷を蓄積できる他の電位であっても構わない。対向電極108は、画素電極118と対向するように対向基板に一面に形成される、各画素に共通な透明電極である。
【0037】
図2(a)に示される構成では、トランジスタ116として一方のチャネル型のみ(例えばNチャネル型TFT)が用いられている。従って、データ線114からトランジスタ116を介して画素電極118への充電が行われる際、画素電極118に対する印加電圧が、走査線112上の電圧よりもトランジスタ116の閾値電圧だけ低い電圧に達すると、トランジスタ116がオフ状態となり、画素電極118に対する充電が止まってしまう。このため、走査線112に対する印加電圧がデータ線114に対する印加電圧よりもトランジスタ117の閾値電圧分だけ高くない場合には、画素電極118に対する印加電圧をデータ線114上の電圧に一致させることができず、両電圧間にオフセット電圧が生じることとなる。
【0038】
これに対し、図2(b)に示すように、Pチャネル型トランジスタとNチャネル型トランジスタとを相補的に組み合わせたトランスミッションゲート構成とすれば、このようなオフセット電圧を生じさせることなく、データ線114上の電圧を極めて少ない誤差で画素電極118に印加することができる。ただし、この相補型構成では、走査信号として互いに反転レベルの信号を供給する必要が生じるため、1行の画素110に対して走査線112a、112bの2本が必要となる。
【0039】
再び図1において、タイミング信号生成回路200は、図示せぬ上位装置から供給される垂直走査信号Vs、水平走査信号Hsおよびドットクロック信号DCLKに従って、各種のタイミング信号やクロック信号などを生成するための装置である。このタイミング信号生成回路200によって生成される信号のうち主要なものを列挙すると次の通りである(各信号の具体的な波形については図9参照)。
a.対向電極電圧LCCOM
この対向電極電圧LCCOMは、対向基板に形成された対向電極108(図2参照)に印加される信号である。本実施形態における対向電極電圧LCCOMは、常に一定の電圧レベルを維持する。
b.交流化駆動信号FR1およびFR2
この交流化駆動信号FR1およびFR2は、1フィールド毎にレベル反転を繰り返す信号である。さらに、本実施形態においては、交流化駆動信号FR1とFR2とは、電圧レベルが逆となっている。具体的には、交流化駆動信号FR1がHレベルとなるフィールドにおいては交流化駆動信号FR2はLレベルとなり、交流化駆動信号FR1がLレベルとなるフィールドにおいては交流化駆動信号FR2はHレベルとなる、といった具合である
b.スタートパルスDY
このスタートパルスDYは、1フィールドを複数のサブフィールドに分割した各サブフィールドの最初に出力されるパルス信号である。
d.クロック信号CLY
このクロック信号CLYは、走査側(Y側)の水平走査期間を規定する信号である。
e.ラッチパルスLP
このラッチパルスLPは、水平走査期間の最初に出力されるパルス信号であって、クロック信号CLYのレベル遷移(すなわち、立ち上がりおよび立ち下り)時に出力されるものである。
f.クロック信号CLX
このクロック信号CLXは、いわゆるドットクロックを規定する信号である。
【0040】
以上がタイミング信号生成回路200によって生成される主要な信号の概要である。
【0041】
次に、データ変換回路300について説明する。本実施形態では、1フィールドを7個のサブフィールドSf1〜Sf7に分割し、これらの各サブフィールド単位で、3ビットの階調データD0,D1,D2に対応した画素のオンオフ駆動を行い、8階調の画像表示を行う。データ変換回路300は、各サブフィールドにおいて、画素毎に与えられる階調データに基づいて当該画素のオンオフ駆動を指示する2値信号Dsを生成するものである。
【0042】
図3は、データ変換回路300の機能を示す真理値表である。図3においては、Hレベルの2値信号Dsは画素110をオン状態とする作用を呈し、Lレベルの2値信号Dsは画素110をオフ状態とする作用を呈する。具体的には、例えば、ある画素110の階調データとして(010)(以下、D0,D1,D2の3ビットの2値信号を( )内に列記して示す。)が与えられたとすると、データ変換回路300は、図3に示す真理値表に従い、サブフィールドSf1およびSf2においてはHレベルの2値信号Dsを出力する一方、サブフィールドSf3〜Sf7においてはLレベルの2値信号Dsを出力する。後述するように、この結果、サブフィールドSf1およびSf2においては当該画素110の液晶層に対して電圧VHが印加されて当該画素110はオン状態となる一方、サブフィールドSf3〜Sf7においては当該画素110の液晶層に対して電圧VLが印加されて当該画素110はオフ状態となるのである。
【0043】
データ変換回路300において生成された2値信号Dsは、走査線側駆動回路130、データ線側駆動用半導体集積回路(以下、データ線側駆動用ICという。)150およびデータ線側出力回路140の動作に同期して出力される必要があるため、図1に示すように、データ変換回路300に対し、スタートパルスDYと、水平走査に同期するクロック信号CLYと、水平走査期間の最初を規定するラッチパルスLPと、ドットクロック信号に相当するクロック信号CLXとが供給されている。
【0044】
再び図1において、走査線側駆動回路130は、いわゆるYシフトレジスタと呼ばれるものであり、各サブフィールドの最初に供給されるスタートパルスDYをクロック信号CLYに従って転送し、走査線112の各々に走査信号G1、G2、G3、…、Gmとして順次出力するものである。この走査線側駆動回路130内のスイッチング素子としては、例えば、画素110内のトランジスタ116と共通の工程により素子基板101上に形成されるTFTが用いられる。
【0045】
さて、本実施形態に係る電気光学装置においては、データ線側駆動用IC150内の各回路、およびデータ線側出力回路140を用いて、データ変換回路300からの2値信号Dsに応じたデータ信号dj(jは、1≦j≦nを満たす整数)を各データ線114に供給する構成となっている。
【0046】
データ線側駆動用IC150は半導体基板に後述する各種回路を形成してなるものである。一方、データ線側出力回路140は、素子基板101上に各種回路を形成したものである。データ線側出力回路140を構成する各回路内のスイッチング素子としては、例えば、画素110内のトランジスタ116の形成と共通の工程により素子基板101上に形成されるTFTが用いられる。
【0047】
すなわち、データ線側駆動回路は、これらデータ線側駆動用IC150とデータ線側出力回路140によって構成されるものであり、本発明においては、半導体基板に形成されるMOSFETによって回路が構成された部分であるデータ線側駆動用IC150が第1のデータ線側駆動回路、電気光学装置を構成する少なくとも1枚の基板上に形成された薄膜トランジスタ(TFT)によって構成された部分であるデータ線側出力回路140が第2のデータ線側駆動回路となる。
【0048】
図4は、表示領域101aの周辺回路、具体的には、走査線側駆動回路130、データ線側駆動用IC150およびデータ線側出力回路140の構成を示すブロック図である。ここで、データ線側駆動用IC150は、複数の出力端子を備えている。一方、データ線側出力回路140は、データ線側駆動用IC150の出力端子と同数の入力端子を備えている。そして、データ線側駆動用IC150をベアチップの状態で素子基板101上に異方性導電膜(ACF)にを介在して接着して実装する際に、当該データ線側駆動用IC150の各出力端子と、各出力端子に対応したデータ線側出力回路140の入力端子とが、異方性導電膜(ACF)を介在して電気的に接続されるようになっている。なお、図4においては、データ線側駆動用IC150の各出力端とデータ線側出力回路140の入力端子(より詳細には、後述する基板上第1ラッチ回路1410の各入力端子)との接続点が〇で示されている。
【0049】
図4に示すように、データ線側駆動用IC150は、Xシフトレジスタ1510、第1ラッチ回路1520、第2ラッチ回路1530、選択回路1540、データ転送制御回路1550およびレベルシフタ1560を含んで構成されている。
【0050】
データ転送制御回路1550は、データ線側駆動用IC150内の動作と、素子基板101上に形成されたデータ線側出力回路140の動作とを同期させるための制御を行う。具体的には、タイミング信号生成回路200から出力されたクロック信号CLXおよびラッチパルスLPに基づいて以下の各信号を生成して出力する。
a.選択信号SEL
選択信号SELは、選択回路1540に供給される信号である。この選択信号SELは、1水平走査期間(1H)のうちの前半部分においてLレベルとなり、後半部分においてHレベルとなる。
b.ラッチパルスLT1およびLT2
ラッチパルスLT1およびLT2は、データ線側出力回路140内の基板上第1ラッチ回路1410(後述する)に供給される信号である。このラッチパルスLT1およびLT2は、基板上第1ラッチ回路1410によるラッチ動作のタイミングを規定するための信号である。具体的には、ラッチパルスLT1は、水平走査期間の前半部分のうち、最後の所定期間において供給されるパルス信号である。一方、ラッチパルスLT2は、水平走査期間の後半部分のうち、最後の所定期間において供給されるパルス信号である(図9参照)。
【0051】
また、データ転送制御回路1550は、タイミング信号生成回路200から出力されるラッチパルスLPを受け取り、このラッチパルスLPと同様の信号をラッチパルスLP2としてデータ線側出力回路140内の基板上第2ラッチ回路1420に対して出力する。
【0052】
データ線側駆動用IC150内のXシフトレジスタ1510、第1ラッチ回路1520および第2ラッチ回路1530は、ある水平走査期間において画素1行分の2値信号Ds(各画素に対応するHレベルまたはLレベルの信号)を順次ラッチした後、ラッチした2値信号Dsを、次の水平走査期間において一斉に選択回路1540に供給するものである。なお、画素1行分の2値信号Dsとは、1本の走査線112に接続されたn個の画素に対して与えられる2値信号Dsをいう。
【0053】
図5は、Xシフトレジスタ1510、第1ラッチ回路1520および第2ラッチ回路1530の具体的な構成を示すブロック図である。
【0054】
図5において、Xシフトレジスタ1510は、水平走査期間の最初に供給されるラッチパルスLPをクロック信号CLXに従って転送し、ラッチ信号S1、S2、S3、…、Snとして順次出力するものである。第1ラッチ回路1520は、データ変換回路300から供給される2値信号Dsを、ラッチ信号S1、S2、S3、…、Snの立ち下がりにおいて順次ラッチする。第2ラッチ回路1530は、ある水平走査期間において第1ラッチ回路1520によって点順次的にラッチされた2値信号Dsの各々を、次の水平走査期間の最初に供給されるラッチパルスLPの立ち下がりにおいて一斉にラッチするとともに、選択回路1540の入力端の各々にDa1、Da2、Da3、…、Danとして出力する。これらの第1ラッチ回路1520及び第2ラッチ回路1530は、2値信号Dsを一時的に保持し記憶するものであり、ラインメモリ回路に相当するものである。したがって、選択回路1540には、画素1行分(n個)の2値信号Dsが、1水平走査期間の最初に一斉に供給される。なお、図5では、2値信号Dsは一系列で伝送されるようになっているが、2値信号Dsを複数系列並列に伝送し、Xシフトレジスタ1510からのラッチ信号によって、複数系列の2値信号Dsを複数の第1のラッチ回路1520に同時にラッチさせて、Xシフトレジスタ1510の段数を少なく構成してもよい。
【0055】
再び図4において、選択回路1540は、第2ラッチ回路1530から出力される画素1行分の2値信号Dsを複数のブロックに分割し、各ブロック単位で順次出力するものである。本実施形態においては、選択回路1540は、画素1行分の2値信号Dsを2つのブロックに分割するものとする。具体的には、データ転送制御回路1550から供給される選択信号SELがLレベルである期間(水平走査期間の前半の期間)においては、第2ラッチ回路1530から一斉に出力される画素1行分の2値信号Ds(Da1、Da2、Da3、…、Dan)のうち、左から数えて奇数番目に位置する画素(以下、「奇数番目の画素」という)の2値信号Da1、Da3、Da5、…、Dan−1を選択して出力する。これに対し、選択信号SELがHレベルとなる期間(水平走査期間の後半の期間)においては、画素1行分の2値信号Da1、Da2、Da3、…、Danのうち、左から数えて偶数番目に位置する画素(以下、「偶数番目の画素」という)の2値信号Da2、Da4、Da6、…、Danを選択して出力する。つまり、選択回路1540は、画素1行分の2値信号を、奇数番目の画素の2値信号からなる奇数ブロックと、偶数番目の画素の2値信号からなる偶数ブロックとに分割し、各ブロックごとに2回に分けて1水平走査期間内に順次出力するのである。
【0056】
レベルシフタ1560は、選択回路1540からの出力信号のレベルをシフトして出力する。こうするのは、データ線側駆動用IC150は、5V以下程度の電圧で駆動されるのに対し、主としてTFTから構成されるデータ線側出力回路140を駆動するためには、8〜16V程度の電圧が必要となるからである。このことからも明らかなように、このレベルシフタ1560は、データ線側駆動用IC150内ではなく、素子基板101上の基板上第1ラッチ回路1410の前段に設け、素子基板101上に形成したTFTから構成するようにしてもよい。ただし、レベルシフタはそれを構成するトランジスタのスイッチング特性が悪いと貫通電流が大きいので、レベルシフタ1560をドライバIC150内に配置し、TFTよりもスイッチング特性の良好で貫通電流の少ないMOSFETによって構成するようにした方が好ましい。
【0057】
レベルシフタ1560から各ブロック単位で出力される2値信号Dsは、データ線側駆動用IC150の出力端子から各接続点(図4においては〇で示されている)を介して、素子基板101上に形成されたデータ線側出力回路140の各入力端子にパラレルに出力される。上述したように、各ブロックにはn/2個の2値信号Dsが含まれているから、データ線側駆動用IC150の出力端子数およびデータ線側出力回路140の入力端子数は、少なくともn/2個あればよい。2値信号の分割転送数を2以上に設定し、分割転送数に応じて選択回路1540が選択する数を2以上にすれば、出力端子数をその分割数に応じて大幅に減らすことができる。このように、端子数を減らすことができるので、素子基板上にて行われるデータ線側駆動用IC150の出力電極端子と基板上に形成されたデータ線側出力回路140の入力端子との異方性導電膜を介した導電接続部分が少なくなり、データ線側駆動用IC150の小型化、高密度実装などによる実装面積の低減や、接続部分が少なくなることによる信頼性の向上などの効果が得られる。
【0058】
次に、図6を参照して、データ線側出力回路140の詳細な構成について説明する。先に述べたように、データ線側出力回路140の各回路は、素子基板上に形成された相補型TFTによって構成されるものである。図6に示すように、素子基板101上に形成されたデータ線側出力回路140は、基板上第1ラッチ回路1410、基板上第2ラッチ回路1420および表示データ変換回路1430により構成される。
【0059】
基板上第1ラッチ回路1410は、データ線114の本数に対応したn個のラッチを備えている。データ線側駆動用IC150から各ブロック単位で出力されたn/2個の2値信号の各々は、これらの複数のラッチのうち、奇数段目に位置するラッチと、当該ラッチに一方の側において隣接するラッチとに同時に供給される。例えば、奇数ブロックの2値信号Da1、Da3、Da5、…が供給された場合、これらの2値信号のうち、2値信号Da1は、左から1段目のラッチと、左から2段目のラッチとに同時に供給される。同様に、2値信号Da3は、左から3段目および4段目のラッチに同時に供給される。偶数ブロックの2値信号Da2、Da4、Da6、…が供給された場合も同様である。すなわち、2値信号Da2は左から1段目および2段目のラッチに同時に供給され、2値信号Da4は左から3段目および4段目のラッチに同時に供給される、といった具合である。
【0060】
一方、基板上第1ラッチ回路1410内のラッチのうち、奇数段目のラッチにはラッチパルスLT1が、偶数段目のラッチにはラッチパルスLT2が、それぞれデータ転送制御回路1550から供給される。各ラッチは、供給されたラッチパルスLT1またはLT2の立ち上がりタイミングにおいてデータ線側駆動用IC150から供給された各ブロック毎の2値信号をラッチする。ここで、ラッチパルスLT1は、データ線側駆動用IC150から奇数ブロックの2値信号が供給されている間(すなわち、選択信号SELがLレベルとなる間)に出力される一方、ラッチパルスLT2は、データ線側駆動用IC150から偶数ブロックの2値信号が供給されている間(すなわち、選択信号SELがHレベルとなる間)に出力されるようになっている。この結果、基板上第1ラッチ回路1410は、画素1行分の2値信号を、各ブロック毎に2回に分けて出力することとなる。なお、基板上第1ラッチ回路1410においては、2値信号Dsの分割転送数が2より大きくなった場合には、ラッチ信号を増やして対応できる。例えば、2値信号Dsを3分割で転送した場合には、データ線側駆動用IC150の1番目の出力端子に対して基板上第1ラッチ回路1410の1〜3番目のラッチが対応し、位相がずれた3つのラッチ信号によってそのIC150からの出力を時分割でラッチすればよい。
【0061】
基板上第2ラッチ回路1420は、ある水平走査期間において基板上第1ラッチ回路1410によって各ブロック単位でラッチされた2値信号の各々を、次の水平走査期間の最初にデータ転送制御回路1550から出力されるラッチパルスLP2の立ち下がりにおいて一斉にラッチし、第2データDb1、Db2、Db3、…Dbnとして表示データ変換回路1430に出力する。なお、本実施形態においては、DajとDbjとは互いに一対一に対応する同一の信号である。
【0062】
表示データ変換回路1430は、基板上第2ラッチ回路1420から供給される第2データ等に応じて、4種類の電圧(+Von、−Von、+Voff、−Voff)のうちのいずれかの電圧のデータ信号を各データ線114に出力するための回路である。ここで、上記4種類の電圧の関係は以下のようになっている。
a.電圧+Vonは、対向電極電圧LCCOMの電圧レベルよりも上述した電圧VHだけ高い電圧である。
b.電圧−Vonは、対向電極電圧LCCOMの電圧レベルよりも電圧VHだけ低い電圧である。
b.電圧+Voffは、対向電極電圧LCCOMのレベルよりも上述した電圧VLだけ高い電圧である。
d.電圧−Voffは、対向電極電圧LCCOMのレベルよりも電圧VLだけ低い電圧である。
【0063】
表示データ変換回路1430は、データ線114の総本数に相当するn個のマルチプレクサを備えている。各マルチプレクサには、基板上第2ラッチ回路1420から出力される第2データDb1、Db2、Db3、…、Dbnがそれぞれ供給される。さらに、各マルチプレクサのうち、奇数段目のマルチプレクサには交流化駆動信号FR1が、偶数段目のマルチプレクサには交流化駆動信号FR2が、それぞれタイミング信号生成回路200から供給される。
【0064】
各マルチプレクサは、図7に示す真理値表に従って上記4種類の電圧のうちのいずれかを選択し、選択した電圧のデータ信号djをデータ線114に出力する。具体的には、図7に示すように、交流化駆動信号FR1またはFR2がHレベルである場合には、第2データDbjがHレベルであれば電圧+Vonが、第2データDbjがLレベルであれば電圧+Voffが、それぞれ選択される。一方、交流化駆動信号FR1またはFR2がLレベルである場合には、第2データDbjがHレベルであれば電圧−Vonが、第2データDbjがLレベルであれば電圧−Voffが、それぞれ選択される。つまり、交流化駆動信号FR1またはFR2のレベルに応じてデータ信号djの電圧レベルの極性が決定されるとともに、第2データDbjの電圧レベルに応じてデータ信号djの電圧の大きさが決定されるのである。
【0065】
ここで、交流化駆動信号FR1とFR2とは、相互にレベルが反対となる信号である。この結果、左から数えて奇数番目のデータ線114に供給されるデータ信号と左から数えて偶数番目のデータ線114に供給されるデータ信号とは、相互に電圧レベルの極性が反対となる。このように、隣り合うデータ線114に供給される各データ信号の電圧レベルを反対極性とすることにより、スイッチングノイズによる周辺回路への影響を低減することができるという利点がある。
【0066】
B−2:第1実施形態の動作
次に、本実施形態に係る電気光学装置の動作について説明する。図9は、この電気光学装置の動作を示すタイミングチャートである。
【0067】
まず、スタートパルスDYは、1フィールドを分割した7個のサブフィールドSf1〜Sf7の各開始タイミングにおいてタイミング信号生成回路200から出力される。
【0068】
ここで、サブフィールドSf1の開始を規定するスタートパルスDYが供給されると、走査線側駆動回路130は、このスタートパルスDYをクロック信号CLYに従って転送し、この結果、走査信号G1、G2、G3、…、Gmが期間(1Va)に順次出力される。なお、期間(1Va)は、各サブフィールドよりもさらに短い期間に設定されている。
【0069】
さて、走査信号G1、G2、G3、…、Gmは、それぞれクロック信号CLYの半周期に相当するパルス幅を有し、また、上から数えて1本目の走査線112に対応する走査信号G1は、スタートパルスDYが供給された後、クロック信号CLYが最初に立ち上がってから、少なくともクロック信号CLYの1周期だけ遅延して出力される。従って、サブフィールドの最初にスタートパルスDYが供給されてから、走査信号G1が出力されるまでに、ラッチパルスLPの2ショットがデータ線側駆動用IC150に供給されることになる。
【0070】
そこで、まず、このラッチパルスLPの2ショットが供給された場合について検討してみる。まず、ラッチパルスLPの1ショット目(G01)がデータ線側駆動用IC150内のXシフトレジスタ1510に供給されると、Xシフトレジスタ1510は、このラッチパルスLPをクロック信号CLXに従って転送し、この結果、ラッチ信号S1、S2、S3、…、Snが水平走査期間(1H)に順次出力される。なお、ラッチ信号S1、S2、S3、…、Snは、それぞれクロック信号CLXの半周期に相当するパルス幅を有している。
【0071】
この際、図5に示した第1ラッチ回路1520は、ラッチ信号S1の立ち下がりにおいて、上から数えて1本目の走査線112と、左から数えて1本目のデータ線114とに接続された画素110への2値信号Dsをラッチし、次に、ラッチ信号S2の立ち下がりにおいて、上から数えて1本目の走査線112と、左から数えて2本目のデータ線114とに接続された画素110への2値信号Dsをラッチし、以後、同様の動作を、ラッチ信号Snの立ち下がりにおいて、上から数えて1本目の走査線112と、左から数えてn本目のデータ線114(つまり、最も右側に位置するデータ線114)とに接続された画素110への2値信号Dsをラッチするまで繰り返す。
【0072】
これにより、まず、図1において上から数えて1本目の走査線112に接続された画素1行分の2値信号Dsが、第1ラッチ回路1520によって点順次的にラッチされることとなる。なお、データ変換回路300は、第1ラッチ回路1520によるラッチのタイミングに合わせて、各画素の階調データを2値信号Dsに変換して出力することは言うまでもない。
【0073】
次に、クロック信号CLYが立ち下がって、ラッチパルスLPの2ショット目(G02)が出力されると、このラッチパルスLPの立ち下がりにおいて、第2ラッチ回路1530は、第1ラッチ回路1520によってラッチされた画素1行分の2値信号Dsを、2値信号Da1、Da2、Da3、…、Danとして一斉に選択回路1540に出力する。なお、この動作に並行して、図1において上から2本目の走査線112に接続された画素1行分の2値信号Dsが、第1ラッチ回路1520によって点順次的にラッチされる。
【0074】
一方、選択回路1540は、データ転送制御回路1550から出力される選択信号SELがLレベルとなる1水平走査期間の前半の期間においては、奇数ブロックの2値信号Da1、Da3、Da5、…を出力する。これに対し、選択信号SELがHレベルとなる1水平走査期間の後半の期間においては、偶数ブロックの2値信号Da2、Da4、Da6、…を出力する。
【0075】
選択回路1540から各ブロック単位で出力された2値信号は、レベルシフタ1560によってそのレベルがシフトされた後、データ線側駆動用IC150の各出力端子および素子基板101上の各入力端子を介して、基板上第1ラッチ回路1410に分割転送される。
【0076】
基板上第1ラッチ回路1410は、データ線側駆動用IC150から供給される2値信号をラッチする。ここで、基板上第1ラッチ回路1410内のラッチのうち、奇数段目に位置するラッチに供給されるラッチパルスLT1は、水平走査期間の前半部分のうち最後の期間においてHレベルとなる信号である。一方、上述したように、水平走査期間の前半部分においては、データ線側駆動用IC150からは奇数ブロックの2値信号が出力されている。従って、奇数段目のラッチは奇数ブロックの2値信号をラッチする。同様に、偶数段目のラッチは偶数ブロックの2値信号をラッチする。結局、基板上第1ラッチ回路1410は、1水平走査期間において、画素1行分の2値信号を、各ブロック毎に2回に分けてラッチする。
【0077】
次に、クロック信号CLYが立ち下がって、走査信号G1が出力されると、図1において上から1本目の走査線112が選択される結果、当該走査線112に接続された画素110のトランジスタ116が全てオン状態となる。一方、当該クロック信号CLYの立ち下がりにおいてラッチパルスLPが出力される。データ転送制御回路1550は、このラッチパルスLPが供給されると、基板上第2ラッチ1420に対してラッチパルスLP2を出力する。基板上第2ラッチ回路1420は、このラッチパルスLP2の立ち下がりにおいて、直前の水平走査期間で基板上第1ラッチ回路1410によってラッチされた画素1行分の2値信号Da1、Da2、Da3、…、Danを一斉にラッチして、2値信号Db1、Db2、Db3、…、Dbnとして出力する。DajとDbjは同じ論理レベルとしてもよいし、論理レベルを反転させてもよい。なお、この2値信号の一斉出力に並行して、データ線側駆動用IC150内の第2ラッチ回路1530によって上から数えて2本目の走査線112に接続された画素1行分の2値信号が一斉に出力され、選択回路1540によって各ブロック単位で出力されるとともに、基板上第1ラッチ回路1410によってラッチされる。さらに、これらの動作に並行して、上から数えて3本目の走査線112に接続された画素1行分の2値信号Dsが第1ラッチ回路1520によって点順次的にラッチされる。
【0078】
さて、基板上第2ラッチ回路1420から画素1行分の2値信号が一斉に供給されると、表示データ変換回路1430は、図7に示した真理値表に従い、受け取った2値信号Dbjと交流化駆動信号FR1またはFR2とに基づいて、4種類の電圧のうちのいずれかを選択し、データ信号d1、d2、d3、…、dnとして出力する。例えば、交流化駆動信号FR1がHレベル(FR2がLレベル)となるフィールドにおいて、奇数段目のマルチプレクサに対してHレベルの2値信号Dbjが供給されると、当該マルチプレクサは電圧+Vonのデータ信号djを出力する。また、同じフィールドにおいて、偶数段目のマルチプレクサに対してHレベルの2値信号Dbj+1が供給されると、当該マルチプレクサは電圧−Vonのデータ信号dj+1を出力する。
【0079】
いま、1行目の走査線に接続されたn個の画素110のトランジスタ116はオン状態となっているから、データ信号d1、d2、d3、…、dnは各トランジスタ116を介して画素電極118に書き込まれることとなる。
【0080】
そして、以後同様の動作が、m本目の走査線112に対応する走査信号Gmが出力されるまで繰り返される。すなわち、ある走査信号Giが出力される1水平走査期間においては、以下の▲1▼〜▲3▼の動作が並行して実行される。
▲1▼i本目の走査線112に接続された1行分の画素110に対して、データ線14を介してデータ信号d1、d2、d3、…、dnが書き込まれる。
▲2▼第2ラッチ回路1530によって、i+1本目の走査線112に接続された画素1行分の2値信号が一斉に出力されるとともに、これらの2値信号は、選択回路1540によって2回に分けて出力される。さらに、基板上第1ラッチ回路1410は、各ブロックに属する2値信号をラッチパルスLT1およびLT2に従ってラッチする。
▲3▼第1ラッチ回路1520は、i+2本目の走査線112に接続された画素1行分の2値信号Ds順次ラッチする。
【0081】
なお、画素110に書き込まれたデータ信号djは、次のサブフィールドにおける新たなデータ信号の書込みまで保持される。以後同様の動作が、サブフィールドの開始を規定するスタートパルスDYが供給される毎に繰り返される。
【0082】
さらに、フィールドが切り換わり、交流化駆動信号FR1およびFR2がレベル反転した場合においても、各サブフィールドにおいて同様の動作が繰り返される。
【0083】
次に、このような動作が行われることによって、画素110の液晶層に印加される電圧について検討する。図10は、階調データと、各階調データに応じて画素110の画素電極118に印加される電圧を示すタイミングチャートである。なお、図10においては、各階調データに応じて画素電極118に印加される電圧の波形に併せて、対向電極108に印加される対向電極電圧LCCOMの電圧レベルが一点鎖線で示されている。
【0084】
例えば、交流化駆動信号FR1がHレベルとなるフィールドにおいて、奇数番目の画素110の階調データが(000)である場合には、図3および図7に示した変換内容に従う結果、当該画素110の画素電極118には、図10に示されるように、サブフィールドSf1〜Sf7にわたって電圧+Voffが書き込まれる。この結果、当該画素の液晶層には、対向電極108に印加される電圧と画素電極118に印加される電圧との差電圧であるVLが印加される。すでに説明したように、電圧VLは、全てのサブフィールドにわたって液晶層に印加した場合であっても、1フィールドにおいて液晶層に与えられる実効電圧値が図8(a)における電圧VTH1よりも小さい値となるように選定されているため、当該画素110の透過率は階調データ(000)に対応して0%となる。一方、交流化駆動信号FR1がLレベルとなるフィールドにおいて、ある画素110の階調データが(000)である場合、サブフィールドSf1〜Sf7にわたって電圧−Voffが書き込まれる。この場合も同様に、1フィールドにおいて液晶層に与えられる実効電圧値は電圧VTH1よりも小さくなるため、当該画素110の透過率は階調データ(000)に対応して0%となる。
【0085】
また、奇数番目の画素110の階調データが(001)である場合、FR1がHレベルとなるフィールドにおいては、サブフィールドSf1で電圧+Vonが、その他のサブフィールドSf2〜Sf7で電圧+Voffが、当該画素110の画素電極118に印加される。ここで、サブフィールドSf1において、液晶層に印加される電圧は、対向電極108に印加される電圧と画素電極118に印加される電圧との差電圧であるVHとなる。これに対し、サブフィールドSf2〜Sf7においては、液晶層に印加される電圧はVLとなる。ここで、サブフィールドSf1は、1フィールドに対して(V12−VL2)/(VH2−VL2)となる期間に設定されているから、上記電圧印加によって液晶層に与えられる実効電圧値はV1となる。この結果、当該画素の透過率は、階調データ(001)に対応して14.3%となる。
【0086】
一方、次のフィールドにおいて交流化駆動信号FR1がLレベルとなると、直前のサブフィールドにおける印加電圧を、対向電極電圧LCCOMの電圧レベルを基準として極性を反転させた電圧が当該画素110の画素電極118に対して印加されるから、交流化駆動信号FR1がHレベルとなるフィールドと同様、当該画素の液晶層に1フィールドにおいて与えられる実効電圧値はV1となり、階調データ(001)に対応した透過率が得られる。
【0087】
このように、交流化駆動信号FR1がHレベルの場合に各液晶層に印加される電圧は、交流化駆動信号FR1がLレベルの場合の印加電圧とは極性を反転したものであって、かつ、その絶対値は等しいものとなる。ここで、交流化駆動信号FR1は周期的にレベル変化を繰り返す信号であるから、液晶層に印加される電圧の極性も周期的に反転することとなる。すなわち、液晶層に直流成分が印加される事態が回避されるから、液晶の劣化を防止できるという利点がある。
【0088】
他の階調データが与えられた場合も同様である。すなわち、図3および図7に示した変換内容に従い、階調データに応じて画素110をオン状態にするサブフィールドと画素をオフ状態にするサブフィールドとが決定される。そして、画素110をオン状態にするサブフィールドにおいては、電圧+Vonまたは−Vonが交流化駆動信号FR1のレベルに応じて当該画素110の画素電極118に印加される一方、画素110をオフ状態にするサブフィールドにおいては、電圧+Voffまたは−Voffが交流化駆動信号FR1のレベルに応じて当該画素110の画素電極118に印加されるのである。この結果、階調データに応じた実効電圧値が当該画素の液晶層に対して与えられるから、当該階調データに応じた透過率が得られる。
【0089】
なお、上記では左から数えて奇数番目の画素110の画素電極118に印加される電圧について説明したが、左から数えて偶数番目の画素110の画素電極118に印加される電圧も、図10に示したものと同様となる。ただし、交流化駆動信号FR1とFR2とは、互いに反対レベルの信号であるから、偶数番目の画素110の画素電極118に印加される電圧は、奇数番目の画素110の画素電極118に印加される電圧を、対向電極電圧LCCOMの電圧レベルを基準として極性を反転した電圧となる。
【0090】
以上説明したように、本実施形態に係る電気光学装置によれば、1フィールドが複数のサブフィールドSf1〜Sf7に分割され、各サブフィールド毎に、各画素をオンにする電圧またはオフにする電圧を当該画素に印加するようになっている。すなわち、各画素に印加される電圧は、VHまたはVLのいずれかであるため、駆動回路などの周辺回路においては、従来の技術の下では不可欠であった高精度のD/A変換回路やオペアンプなどのような、アナログ信号を処理するための回路は不要となる。このため、回路構成が大幅に簡略化されるので、装置全体のコストを低く抑えることができる。さらに、画素に印加される電圧はVHまたはVLのいずれかであり、2値的であるから、素子特性や配線抵抗などの不均一性に起因する表示ムラが原理的に発生しない。このため、本実施形態に係る電気光学装置によれば、高品質かつ高精細な階調表示が可能となる。
【0091】
また、本実施形態においては、2値信号Dsの点順次的なラッチを行うための第1ラッチ回路1520をデータ線側駆動用IC150に内蔵した構成となっている。ここで、かかる動作を行う第1ラッチ回路1520を、素子基板101上に設けることも一応考えられる。しかしながら、素子基板101上に形成された回路は、半導体基板上に形成された回路と比較して電荷移動度が低く、回路動作速度が遅いため、高精細化が困難であるという問題がある。これに対し、本実施形態によれば、高い動作速度を要する処理をデータ線側駆動用IC150内で行うようにしたため、かかる問題が生じない。この結果、表示の高精細化を容易に実現することができるという利点がある。
【0092】
また、本実施形態においては、画素1行分のデータを複数回に分けて素子基板101上のデータ線側出力回路140に出力するようになっているため、かかる分割を行うことなく、画素1行分のデータをそのまま素子基板上に出力する場合と比較して、データ線側駆動用ICの出力端子数を減らすことができる。つまり、データ線側駆動用IC151の出力端子とデータ線側出力回路141の入力端子との接点数を少なくすることができるという利点がある。
【0093】
なお、本実施形態においては、選択回路によって画素1行分のデータを2つのブロックに分割するようにしたが、分割するブロックの個数はこれに限られるものではなく、3つ以上のブロックに分割するようにしてもよいことはもちろんである。
【0094】
また、本実施形態によれば、各サブフィールド毎に画素のオンまたはオフを指示すればよいため、1個の画素に対して、1度に1ビットのデータを与えれば済む。ここで、例えば上述した従来の技術を用いて3ビットの階調データに従った階調表示を行う場合、1つの画素に対して一度に3ビットのデータを与える必要があるため、データ線側駆動用IC151とデータ線側出力回路141との接点を画素1個に対応して3個設ける必要があった。また、近年、さらなる多階調による表示が要請されているが、従来の技術を用いてかかる要請に応えるためには、階調データのビット数を増やす必要がある。そして、このためには、データ線側駆動用IC151とデータ線側出力回路141との接点数を増やす必要があるのである。しかしながら、データ線側駆動用IC151とデータ線側出力回路141との接点のピッチを短くするのには限界がある(例えば50μm)のが現状である。従って、上記従来の技術では、多階調による表示を実現するのが困難であるという問題があった。これに対し、本実施形態によれば、更なる多階調化を実現する場合であっても、1度に1個の画素に与えなければいけないデータが1ビットであることに変わりはない。つまり、多階調化を実現するに際しても、データ線側駆動用IC151とデータ線側出力回路141との接点数を増やす必要がないのである。この結果、データ線側駆動用IC151とデータ線側出力回路141との接点のピッチが制約される状況下においても、かかる制約の影響を受けることなく多階調化を実現することができるという利点がある。さらに、本実施形態によれば、1つの画素に対して1ビットのデータを処理すればよいため、上述した従来の技術を用いて1画素あたり3ビットの階調データを処理する場合と比較して、データ線側駆動用ICの回路規模を小さくすることができ、コストを低く抑えることができるという利点がある。
【0095】
なお、本実施形態においては、電気光学装置が備えるすべての画素を用いて画像表示を行う場合を例に説明したため、データ線側駆動用IC150は、まさに1行分の画素の2値信号を複数回に分けて出力するようにした。一方、近年、すべての画素のうちの一部の画素のみを用いて画像表示を行うことができる電気光学装置が提供されている。かかる電気光学装置に本発明を適用した場合、1行分の画素とは、表示を行う領域に属する画素のうちの1行分の画素を意味する。すなわち、特許請求の範囲における「画素1行分」とは、表示の対象となっている領域に属する画素の1行分を意味し、表示の対象となっていない画素は含まれないことに留意されたい。以下に示す各実施形態においても同様である。また、データ線側駆動用IC内の回路規模が小さくなるのでICチップ面積を小さくすることができる。
【0096】
C:第2実施形態
C−1:第2実施形態の構成
次に、本発明の第2実施形態に係る電気光学装置について説明する。
【0097】
本実施形態に係る電気光学装置は、その作用については上記第1実施形態に係る電気光学装置と概ね同様であるが、構成が若干異なっている。つまり、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様、データ線側駆動用IC内の回路によって画素1行分の2値信号が、各々k個の2値信号を含むp個のブロックに分割され(つまり、n=p×k)、各ブロック単位でデータ線側駆動用ICから2値信号が出力されるようになっている。
【0098】
図11は、本実施形態における表示領域101a周辺に設けられた各回路、すなわち、データ線側駆動用IC151、データ線側出力回路141、走査線側駆動回路130の構成を示すブロック図である。データ線側駆動回路は、データ線側駆動用IC151とデータ線側出力回路141により構成され、前者が第1のデータ線側駆動回路、後者が第2のデータ線側駆動回路に相当する。なお、図11において、図4に示した上記第1実施形態の各部と同一の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0099】
同図に示すように、本実施形態におけるデータ線側駆動用IC151は、Xシフトレジスタ1511、第1ラッチ回路1521、第2ラッチ回路1531、データ転送制御回路1551およびレベルシフタ1561を含んで構成されている。
【0100】
データ転送制御回路1551は、上記実施形態におけるデータ転送制御回路1550と同様、データ線側駆動用IC151内の動作と、素子基板101上に形成されたデータ線側出力回路141の動作とを同期させるための制御を行うものである。ただし、選択信号SELを出力しない点、およびラッチパルスLTAならびにラッチパルスLT1、LT2、…、LTpを出力する点で上記実施形態におけるデータ転送制御回路140とは異なる(各信号の詳細は後述する)。
【0101】
本実施形態においては、タイミング信号生成回路200から、Xシフトレジスタ1511に対して信号EIOが供給される。この信号EIOは、1水平走査期間をp個に分割した各期間(以下、「分割期間」という)の最初に出力されるパルス信号である。一方、Xシフトレジスタ1511は、k個の単位回路から構成されており、上記信号EIOをクロック信号CLXに従って転送して、ラッチ信号S1、S2、S3、…、Skとして順次出力するようになっている。第1ラッチ回路1521は、データ変換回路300から供給される2値信号Dsを、ラッチ信号S1、S2、S3、…、Skの立ち下がりにおいて順次ラッチする。第2ラッチ回路1531は、第1ラッチ回路1521から順次出力されるk個の2値信号Dsを、データ転送制御回路1551から出力されるラッチパルスLTAの立ち下がりにおいてラッチし、2値信号Da1、Da2、…、Dakとして一斉に出力する。ここで、ラッチパルスLTAは、各分割期間のうち、少なくとも当該分割期間における第1ラッチ回路1521によるk個の2値信号のラッチが終了した後(つまり、ラッチ信号Spの立ち下がりの後)に供給されるパルス信号である。
【0102】
レベルシフタ1561は、入力端子および出力端子の個数がk個となっている点を除いて、上記第1実施形態において示したものと同様のものである。
【0103】
データ線側出力回路141は、基板上第1ラッチ回路1411、基板上第2ラッチ回路1420および表示データ変換回路1430により構成されている。図12は、これらの各回路の構成を示すブロック図である。同図に示すように、基板上第2ラッチ回路1420および表示データ変換回路1430は、図6に示したものと同様のものであるから、ここでは主に基板上第1ラッチ回路1411の構成について説明する。
【0104】
図12に示すように、基板上第1ラッチ回路1411は、各々k個のラッチを備えるp個のラッチ群を備えている。そして、各ラッチ群に属するk個のラッチには、データ線側駆動用IC151内のデータ転送制御回路1561から出力されるラッチパルスLT1、LT2、LT3、…、LTpがそれぞれ供給される。具体的には、例えば図12において左から数えて1段目のラッチ群に属するk個のラッチには、ラッチパルスLT1が共通のラッチ信号として供給される。同様に、左から数えてi段目のラッチ群に属する各ラッチには、ラッチパルスLTiが供給される。ここで、ラッチパルスLTiは、水平走査期間のうちのi番目の分割期間において、少なくとも当該分割期間において出力される上記ラッチパルスLTAが立ち下がった後に供給されるパルス信号である(図13参照)。
【0105】
また、各ラッチ群に属するラッチのうち、段数が同じラッチには、データ線側駆動用IC151から出力されたk個の2値信号のうちのいずれかが同時に供給されるようになっている。具体的には、各ラッチ群に属するラッチのうち、左から数えて1段目のラッチには、データ線側駆動用IC151から出力された2値信号Da1が供給される。同様に、p個のラッチ群に属する各ラッチのうち、左から数えてi段目(1≦i≦k)のラッチには、2値信号Daiが同時に供給されるようになっている。そして、基板上第1ラッチ回路1411内のi段目のラッチ群に属するラッチは、ラッチパルスLTiの立ち下がりにおいて、当該時点において供給されている2値信号Da1、Da2、…、Dakをラッチする。一方、各ラッチ群に属するラッチの出力端、すなわち、n個(=k×p個)の出力端の各々は、基板上第2ラッチ回路1420のn個の入力端にそれぞれ接続されている。結局、水平走査期間の(1H)のi番目の分割期間に供給されるラッチパルスLTiの立ち下がりにおいて、i番目のブロックに属するk個の2値信号が一斉に基板上第2ラッチ回路1420に出力されることとなる。換言すれば、基板上第1ラッチ回路1411は、データ線側駆動用IC151から各ブロックごとに供給される2値信号を、各々基板上第2ラッチ回路1421のn個の入力端の各々に振り分ける役割を担っている。
【0106】
B−2:第2実施形態の動作
次に、図13に示すタイミングチャートを参照して、本実施形態に係る電気光学装置の動作について説明する。
【0107】
まず、タイミング信号生成回路200からサブフィールドSf1の開始を規定するスタートパルスDYが供給されると、上記第1実施形態と同様に、走査線側駆動回路130から走査信号G1、G2、G3、…、Gmが順次出力される。この各走査信号G1、G2、G3、…、Gmは、それぞれクロック信号CLYの半周期に相当するパルス幅を有し、また、上から数えて1本目の走査線112に供給される走査信号G1は、スタートパルスDYが供給された後、クロック信号CLYが最初に立ち上がってから、少なくともクロック信号CLYの半周期だけ遅延して出力される。従って、サブフィールドの最初にスタートパルスDYが供給されてから、走査信号G1が出力されるまでに、1水平走査期間に相当する期間が存在することとなる。そこで、まず、この水平走査期間において実行される処理について説明する。
【0108】
まず、この水平走査期間をp個に分割した各期間の最初に、信号EIOがデータ線側駆動用IC151内のXシフトレジスタ1511に供給される。Xシフトレジスタ1511は、この信号EIOをクロック信号CLXに従って転送する。この結果、Xシフトレジスタ1511からは、ラッチ信号S1、S2、…、Skが順次出力される。一方、第1ラッチ回路1521は、このラッチ信号S1、S2、…、Skの立ち下がりにおいて、2値信号Dsを順次ラッチする。つまり、第1ラッチ回路1521は、各分割期間においてk個の2値信号を順次出力する。
【0109】
一方、各分割期間におけるラッチ信号Skの立ち下がりよりも遅いタイミングで、第2ラッチ回路1531にはラッチパルスLTAが供給される。第2ラッチ回路1531は、このラッチパルスLTAの立ち下がりにおいて、第1ラッチ回路1521から供給されるk個の2値信号を一斉にラッチし、2値信号Da1、Da2、Da3、…、Dakとして出力する。各2値信号は、レベルシフタ1561によってレベルシフトが施された後、データ線側出力回路141にパラレルに出力される。結局、データ線側駆動用IC151は、1水平走査期間(1H)をp個に分割した各分割期間において、各ブロック単位で2値信号を出力することとなる。
【0110】
次に、基板上第1ラッチ回路1411は、ラッチパルスLT1、LT2、…、LTpの立ち下がりにおいて、データ線側駆動用IC151からの出力信号を順次ラッチする。詳述すると、以下の通りである。まず、ラッチパルスLT1は、ラッチパルスLTAの立ち下がりにおいて1番目のブロックに属する2値信号がデータ線側駆動用IC151から出力された直後に、基板上第1ラッチ回路1411内の1段目のラッチ群に供給される。このため、当該分割期間において、基板上第1ラッチ回路1411の1段目のラッチ群を構成する各ラッチは、第1ブロックに属する2値信号をラッチする。同様に、ラッチパルスLTiは、i番目の分割期間においてi番目のブロックに属する2値信号がデータ線側駆動用IC151から出力された直後に、基板上第1ラッチ回路1411のi段目のラッチ群に供給される。このため、当該分割期間においては、基板上第1ラッチ回路1411のi段目のラッチ群を構成する各ラッチは、i番目のブロックに属するk個の2値信号をラッチする。この結果、p番目の分割期間においてLTpが立ち下がった段階においては、基板上第2ラッチ回路1420に対して画素1行分の2値信号Da1、Da2、…、Danが出力されていることとなる。
【0111】
次に、クロック信号CLYが立ち下がって、走査信号G1が上から1本目の走査線112に出力されると、当該走査線112に接続された画素110のトランジスタ116が全てオン状態となる。一方、当該クロック信号CLYの立ち下がりタイミングにおいてラッチパルスLP2が基板上第2ラッチ回路1421に供給される。そして、このラッチパルスLP2の立ち上がりタイミングにおいて、基板上第2ラッチ回路1420は、直前の水平走査期間において供給された画素1行分の2値信号を一斉に出力する。なお、この2値信号の一斉出力に並行して、データ線側駆動用IC151内の第1ラッチ回路1521および第2ラッチ回路1531は、画素1行分の2値信号を各ブロック単位でデータ線側出力回路141に出力するとともに、基板上第1ラッチ回路1411は、これらの各ブロック単位で供給される2値信号の各々を、順次n本の配線に振り分ける。
【0112】
一方、基板上第2ラッチ回路1420から出力された2値信号Db1、Db2、…、Dbnは、第1実施形態と同様に、表示データ変換回路1430により、図7に示した変換内容に従った電圧を有するデータ信号d1、d2、d3、…、dnに変換される。そして、n個のデータ信号の各々が、各データ線114に供給されることとなる。
【0113】
以後同様の動作が、m本目の走査線112に走査信号Gmが出力されるまで繰り返される。すなわち、ある走査信号Giが出力される1水平走査期間においては、以下の▲1▼および▲2▼の動作が並行して行われる。
▲1▼i本目の走査線112に接続された1行分の画素110に対してデータ線114を介してデータ信号d1、d2、d3、…、dnが書き込まれる。
▲2▼i+1本目の走査線112に接続された画素1行分の2値信号が各ブロック単位でデータ線側駆動用IC151から出力されるとともに、基板上第1ラッチ回路1411によって各ブロック毎に順次ラッチされる。
【0114】
以後、同様の動作が、サブフィールドの開始を規定するスタートパルスDYが供給される毎に繰り返される。
【0115】
なお、このような動作が行われることによって画素110の液晶層に印加される電圧は、図10に示したものと同様となるため、その説明を省略する。
【0116】
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、本実施形態においては、データ線側駆動用IC151に内蔵されるシフトレジスタおよびラッチ回路のビット数を少なくすることができるから、上記第1実施形態におけるデータ線側駆動用IC150と比較して回路規模を小さくすることができ、ひいてはコストを低減することができるという利点が得られる。
【0117】
D:第3実施形態
D−1:第3実施形態の構成
上記第2実施形態においては、各画素に対応する2値信号を抽出するために、Xシフトレジスタ1511、第1ラッチ回路1521および第2ラッチ回路1531を用いる構成とした。これに対し、本実施形態においては、かかる機能をフレームメモリを用いて実現するようになっている。なお、本実施形態においても、上記第2実施形態と同様、画素1行分の2値信号が各々k個の2値信号を含むp個のブロックに分割されるとともに、1水平走査期間を分割したp個の分割期間の各々において、各ブロック単位で2値信号がデータ線ドライバIC152から出力されるようになっている。
【0118】
図14は、本実施形態における表示領域101a周辺に設けられた各回路、すなわち、データ線側駆動用IC152、データ線側出力回路141、走査線側駆動回路130の構成を示すブロック図である。データ線側駆動回路は、第1のデータ線側駆動回路であるデータ線側駆動用IC152と、データ線側出力回路141により構成される。
【0119】
同図に示すように、本実施形態におけるデータ線側駆動用IC152は、フレームメモリ1570、ラッチ回路1522、データ転送制御回路1552、タイミング信号生成回路201およびデータ変換回路301を備えている。
【0120】
上記各実施形態においては、タイミング信号生成回路200によって各種のタイミング信号等が生成されるとともに、データ変換回路300によって階調データが2値信号Dsに変換されるようにようにしたが、本実施形態においては、フレームメモリ1570がデータ線側駆動用IC152内に設けられているため、このタイミング信号生成回路200およびデータ変換回路300が、タイミング信号生成回路201およびデータ変換回路301としてデータ線側駆動用IC内に設けられた構成となっている。具体的には、タイミング信号生成回路201は、ドットクロック信号DCLKに従って、スタートパルスDY、クロック信号CLY、ラッチパルスLPおよびフィールド同期信号FSを生成して出力する。ここで、フィールド同期信号FSは、各フィールドの最初に出力されるパルス信号である。なお、本実施形態において用いられる信号のうち、上記各実施形態において示した各信号と同一の記号で表される信号は、上記各実施形態において示した信号と同様の信号であるため、その説明を省略する。
【0121】
フレームメモリ1570は、1画面分の画素(m×n個)の各々に対応した階調データを記憶する。ここで、各階調データは、上記各実施形態と同様3ビットのデータである。従って、フレームメモリ1570は、m×n×3(すなわち、(1画面分の画素の個数)×(階調データのビット数))ビットのデータを記憶できるようになっている。このフレームメモリ1570には、上位装置内のCPUから書込アドレス信号、書込タイミング信号および階調データが与えられる。この階調データは、書込タイミング信号によって指定されるタイミングで、フレームメモリ1570内の書込アドレス信号によって指定されるアドレスに順次書込まれる。なお、本実施形態においては、表示内容が変更される画素のデータのみがCPU10から与えられ、当該データのみが書き換えられるようになっている。
【0122】
また、フレームメモリ1570は、図示しない読出回路を備えている。この読出回路は、フレームメモリ1570に記憶された階調データのうち、データ転送制御回路1552から供給される読出アドレス信号によって指定されるアドレスに記憶された階調データを読み出して、データ変換回路301に出力する(詳細は後述する)。
【0123】
データ転送制御回路1552は、上記各実施形態において説明したものと同様、データ線側駆動用IC152内の各回路の動作と、素子基板101上に形成されたデータ線側出力回路141の動作とを同期させるための回路である。このデータ転送制御回路1552は、タイミング信号生成回路301から供給されるフィールド同期信号FSおよびラッチパルスLPに従い、読出アドレス信号、サブフィールド信号SF、ラッチパルスLTA、ラッチパルスLT1、LT2、…、LTp、ならびにラッチパルスLP2を生成して出力する。各信号の具体的な態様は、以下に示すとおりである。
a.読出アドレス信号
この読出アドレス信号は、1水平走査期間をp個に分割した分割期間の各々においてフレームメモリ1570内の読出回路に出力され、フレームメモリ1570内の読出アドレスを指定するための信号である。この読出アドレス信号は、当該水平走査期間の次の水平走査期間において選択される1行分の画素のうち、k個の画素に対応する階調データが記憶されたアドレスを指定するようになっている。ここで、上述したように、各階調データは3ビットのデータであるから、各分割期間において出力される読出アドレス信号は、k×3個のアドレスを指定するようになっている。フレームメモリ1570内の読出回路は、この読出アドレス信号に従ってk個の画素の各々に対応する3ビットの階調データを読み出して、データ変換回路301に出力する。
b.サブフィールド信号SF
このサブフィールド信号SFは、各サブフィールドの開始時点においてデータ変換回路301に出力され、1フィールド内のいずれのサブフィールドであるかを示す信号である。
c.ラッチパルスLTA
このラッチパルスLTAは、データ線側駆動用IC152内のラッチ回路1522に供給される信号である。ラッチパルスLTAは、各分割期間において、上記読出回路がk個の2値信号Dsを読み出すたびに供給されるパルス信号である。
d.ラッチパルスLT1、LT2、LT3、…、LTp
このラッチパルスLT1、LT2、LT3、…、LTpは、基板上第1ラッチ回路1411に供給される信号である。各ラッチパルスLT1、LT2、LT3、…、LTpは、各分割期間において、上記ラッチパルスLTAの立ち下がりの後に出力されるパルス信号である。具体的には、ラッチパルスLT1は、1フィールド内の最初の分割期間において、ラッチパルスLTAが立ち下がった後に出力され、ラッチパルスLT2は、1フィールド内の2番目の分割期間において、ラッチパルスLTAが立ち下がった後に出力され、……、ラッチパルスLTpは、1フィールド内のP番目の分割期間(すなわち、1フィールド内の最後の分割期間)において、ラッチパルスLTAが立ち下がった後に出力される、といった具合である。
e.ラッチパルスLP2
このラッチパルスLP2は、上記各実施形態と同様、水平走査期間の最初に基板上第2ラッチ回路1420に供給されるパルス信号である。
【0124】
データ変換回路301は、読出アドレス信号に従ってフレームメモリ1570から読み出されるk個の画素に対応する階調データの各々を、図3に示す真理値表に従って複数の2値信号Dsに変換するとともに、このうちのサブフィールド信号によって特定されるサブフィールドに対応した2値信号Dsを出力する。例えば、階調データが(011)である場合を想定すると、図3に示す真理値表からも明らかなとおり、サブフィールド信号SFによって指定されるサブフィールドがSf1〜Sf3のうちのいずれかであればHレベルの2値信号Dsを出力し、サブフィールド信号SFによって指定されるサブフィールドがSf4〜Sf7のうちのいずれかであればLレベルの2値信号Dsを出力する、といった具合である。このようなデータ変換がk個の画素に対応した階調データの各々について実行される結果、データ変換回路301からは、各分割期間ごとにk個の2値信号Dsが順次出力されることとなる。
【0125】
ラッチ回路1522は、k個のラッチを備えており、各ラッチにデータ変換回路301から出力された2値信号の各々が供給されるようになっている。各ラッチには、データ転送制御回路1522からラッチパルスLTAが供給される。上述したように、このラッチパルスLTAは、各分割期間においてデータ変換回路301からk個の2値信号が出力された後のタイミングで供給される信号である。つまり、ラッチ回路1522は、各分割期間においてデータ変換回路301からk個の2値信号Dsが供給された段階で、当該2値信号Dsを一斉にラッチし、2値信号Da1、Da2、…、Dakとして出力する。この結果、データ線側駆動用IC152の出力端子と、データ線側出力回路141の入力端子との接点数は、k個以上であればよい。
【0126】
一方、本実施形態におけるデータ線側出力回路141は、上記第2実施形態に示したものと同様の構成となっている。ただし、基板上第1ラッチ回路1411に供給されるラッチパルスLT1、LT2、…、LTpの各々は、上記ラッチパルスLTAの立ち下がりの後に、基板上第1ラッチ回路1411内の各ラッチ群に供給されるようになっている。
【0127】
D−2:第3実施形態の動作
次に、図15に示すタイミングチャートを参照して、本実施形態に係る電気光学装置の動作について説明する。なお、以下では、上記第2実施形態における動作と異なるデータ線側駆動用IC152内の動作についてのみ説明する。
【0128】
まず、本実施形態においても、各サブフィールドの開始を規定するスタートパルスが出力されてから、1本目の走査線112に対して走査信号G1が出力されるまでに、1水平走査期間に相当する期間が存在することとなる。そして、この水平走査期間をp個に分割した各分割期間の最初に、データ線側駆動用IC152内のフレームメモリ1570の読出回路に読出アドレス信号が供給される。読出回路は、この読出アドレス信号によって指定されるアドレスに書込まれたデータを読み出し、データ変換回路301に対して出力する。すなわち、k個の画素の各々に対応した3ビットの階調データが、読出回路から出力されることとなる。
【0129】
次に、データ変換回路301は、読出回路から供給される各階調データを、図3に示した変換内容に従って複数の2値信号Dsに変換するとともに、これらの2値信号Dsのうち、データ転送制御回路1552から供給されるサブフィールド信号SFによって特定されるサブフィールドに対応した2値信号Dsを出力する。つまり、サブフィールド信号SFによって特定されるサブフィールドにおいて、画素をオン状態とすべきかオフ状態とすべきかを表す2値信号がk個の画素の各々についてラッチ回路1522に出力される。
【0130】
一方、ラッチ回路1522は、フレームメモリ1570の読出回路から順次出力されるk個の2値信号Dsを、ラッチパルスLTAの立ち下がりにおいて一斉にラッチし、2値信号Da1、Da2、…、Dakとして出力する。つまり、1水平走査期間をp分割した分割期間の各々において、各ブロック単位の2値信号がデータ線側駆動用IC152から出力されることとなる。
【0131】
以後の動作は、上記第2実施形態において示したものと同様となる。つまり、基板上第1ラッチ回路1411は、ラッチパルスLT1、LT2、…、LTpの立ち下がりにおいて、データ線側駆動用IC152から順次出力されるブロック単位の2値信号をラッチする一方、基板上第2ラッチ回路1412は、ある水平走査期間において基板上第1ラッチ回路1411によってラッチされた画素1行分の2値信号を、次の水平走査期間の最初に供給されるラッチパルスLPの立ち下がりタイミングにおいて一斉にラッチし、2値信号Db1、Db2、Db3、…、Dbnとして出力する。これらの2値信号は、表示データ変換回路1432によって所定の電圧を有するデータ信号djに変換されて各データ線に出力される。また、これらの動作の結果、各画素の液晶層に印加される電圧は、上記第1実施形態において示したものと同様となるため、その説明を省略する。
【0132】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態によれば、フレームメモリ1570内のデータのうち、内容に変更があるデータのみを書き換えるようにすることができるから、特に、表示画像の変化が少ない場合や、静止画像を表示する場合などには、低い消費電力で駆動することが可能となる。
【0133】
E:変形例
以上この発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態はあくまでも例示であり、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0134】
<変形例1>
上記各実施形態においては、画素110をオン状態にするサブフィールドにおいては当該画素110の液晶層に対して電圧VHを印加する一方、画素110をオフ状態にするサブフィールドにおいては当該画素110の液晶層に対して電圧VLを印加するようにした。しかしながら、画素110をオフ状態にするサブフィールドにおいては、液晶層に対して印加される電圧が0Vとなるようにしてもよい。すなわち、上記各実施形態においては、画素110をオフ状態にするサブフィールドにおいては、対向電極108に与えられる対向電極電圧LCCOMの電圧よりも電圧VLだけ高い電圧+Voffまたは対向電極電圧LCCOMの電圧よりも電圧VLだけ低い−Voffのいずれかを画素電極118に印加するようにしたが、画素110をオフ状態にするサブフィールドにおいては、対向電極電圧LCCOMの電圧と同一レベルの電圧を画素電極118に対して印加し、液晶層に印加される電圧を0Vとするようにしてもよい。つまり、表示データ変換回路1430は、基板上第2ラッチ回路1420から出力される2値信号Db1、Db2、…、Dbnに基づいて、3種類の電圧、すなわち、+Vonおよび−Von、ならびに対向電極電圧LCCOMの電圧と同一レベルの電圧Voffのうちのいずれかを選択し、選択した電圧のデータ信号を各データ線114に出力するように構成するのである。なお、この場合には、各サブフィールドの時間長は、上記実施形態における各サブフィールドの時間長とは異なる時間長に設定される。具体的には、上述した各サブフィールドの時間長において、VLを「0」とした期間となる。例えば、サブフィールドSf1は、1フィールド(1f)に対して(V1/VH)2となる期間に設定され、サブフィールドSf2は、1フィールド(1f)に対して(V2/VH)2−(V1/VH)2となる期間に設定される、といった具合である。
【0135】
<変形例2>
また、上記各実施形態および変形例1においては、対向電極電圧LCCOMを一定の電圧レベルを維持する信号としたが、これに限らず、対向電極電圧LCCOMを所定時間間隔毎にレベル反転させるようにしてもよい。例えば、対向電極電圧LCCOMを、1フィールド毎にHレベル(電圧VH)からLレベル(電圧VL(=0V))、LレベルからHレベル、といった具合にレベル反転を繰り返す信号とするのである。そして、対向電極電圧LCCOMがHレベルであるフィールド内であって、画素110をオン状態にすべきサブフィールドにおいては、電圧VL(=0V)を画素電極118に対して印加する一方、画素110をオフ状態にすべきサブフィールドにおいては、電圧VHを画素電極118に対して印加するのである。同様に、対向電極電圧LCCOMがLレベルであるフィールド内であって、画素110をオン状態にすべきサブフィールドにおいては、電圧VHを画素電極118に対して印加する一方、画素110をオフ状態にすべきサブフィールドにおいては、電圧VL(=0V)を画素電極118に対して印加するのである。このようにしても、画素110をオン状態にする場合には当該画素110の液晶層に電圧VHを印加するとともに、画素110をオフ状態にする場合には当該画素110の液晶層に電圧VL(=0V)を印加することができる。
【0136】
上記変形例1および2によれば、画素電極118に印加されるべき電圧のレベル数を少なくすることができるから、上記各実施形態に例示した場合と比較して、周辺回路を簡易なものにすることができるという利点がある。
【0137】
F:液晶装置の全体構成
次に、上記実施形態や応用形態に係る電気光学装置の構造について、図16および図17を参照して説明する。ここで、図16は、電気光学装置100の構成を示す平面図であり、図17は、図16におけるA−A’線の断面図である。なお、図16および図17においては、上記第1実施形態に係る電気光学装置の構成が示されている。
【0138】
これらの図に示されるように、電気光学装置100は、画素電極118などが形成された素子基板101と、対向電極108などが形成された対向基板102とが、互いにシール材104によって一定の間隙を保って貼り合わせられるとともに、この間隙に電気光学材料としての液晶105が挟まれた構造となっている。なお、実際には、シール材104には切欠部分があって、ここを介して液晶105が封入された後、封止材により封止されるが、これらの図においては省略されている。
【0139】
さて、素子基板101において、シール材104の外側の領域130aには、走査線側駆動回路130が形成され、また、領域140aにはデータ線側出力回路140が形成されている。また、データ線側出力回路140が形成される領域140aの、表示領域101aとは反対側に位置する領域150aには、データ線側駆動用IC150がICチップの状態でCOG(Chip On Glass)方式で実装される。さらに、データ線側駆動用ICが実装される領域150aの、表示領域101aとは反対側に位置する領域150bには、複数の接続端子109が形成されて、外部からの制御信号や電源などが入力される構成となっている。詳述すると、以下の通りである。
【0140】
図17に示すように、データ線側出力回路140の入力端子140b(より詳細には基板上第1ラッチ回路1410の入力端子)と、データ線側駆動用IC150の出力端子150bとが異方性導電膜107内の導電性粒子によって電気的に接続される。同様に、データ線側駆動用IC150の各入力端子150cと、複数の接続端子109の各々とが、異方性導電膜107内の導電性粒子によって電気的に接続されている。さらに、これらの複数の接続端子109は、異方性導電膜を介してFPC(Flexible Printed Circuit)110に接続されているのである。なお、データ線側駆動用IC150は他の実施形態のデータ線側駆動用IC(例えば、151または152)に置き換えてもよく、データ線側出力回路140も他の実施形態のデータ線側出力回路(例えば、141)に置き換えてもよい。
【0141】
一方、対向基板102には、電気光学装置100の用途に応じて、例えば、直視型であれば、第1に、ストライプ状や、モザイク状、トライアングル状等に配列したカラーフィルタが設けられ、第2に、例えば、金属材料や樹脂などからなる遮光膜(ブラックマトリクス)が設けられる。なお、色光変調の用途の場合、例えば、後述するプロジェクタのライトバルブとして用いる場合には、カラーフィルタは形成されない。また、直視型の場合、電気光学装置100に光を対向基板102側から照射するフロントライトが必要に応じて設けられる。くわえて、素子基板101および対向基板102の電極形成面には、それぞれ所定の方向にラビング処理された配向膜(図示省略)などが設けられて、電圧無印加状態における液晶分子の配向方向を規定する一方、対向基板101の側には、配向方向に応じた偏光子(図示省略)が設けられる。ただし、液晶105として、高分子中に微小粒として分散させた高分子分散型液晶を用いれば、前述の配向膜や偏光子などが不要となる結果、光利用効率が高まるので、高輝度化や低消費電力化などの点において有利である。
【0142】
なお、液晶としては、TN型のほか、180度以上のねじれ配向を有するSTN(Super Twisted Nematic)型や、BTN(Bi-stable Twisted Nematic)型・強誘電型などのメモリ性を有する双安定型、高分子分散型、さらには、分子の長軸方向と短軸方向とで可視光の吸収に異方性を有する染料(ゲスト)を一定の分子配列の液晶(ホスト)に溶解して、染料分子を液晶分子と平行に配列させたゲストホスト型などの液晶を用いることもできる。
【0143】
また、電圧無印加時には液晶分子が両基板に対して垂直方向に配列する一方、電圧印加時には液晶分子が両基板に対して水平方向に配列する、という垂直配向(ホメオトロピック配向)の構成としても良いし、電圧無印加時には液晶分子が両基板に対して水平方向に配列する一方、電圧印加時には液晶分子が両基板に対して垂直方向に配列する、という平行(水平)配向(ホモジニアス配向)の構成としても良い。さらに、対向基板102に対向電極108を配置するのでなく、素子基板101上に、画素電極と対向電極とを、互いに間隔を置いて櫛歯状に配置する構成としても良い。この構成では、液晶分子が水平配向して、電極間による横方向の電界に応じて液晶分子の配向方向が変化することになる。このように、本発明の駆動方法に適合するものであれば、液晶や配向方式として、種々のものを用いることが可能である。
【0144】
くわえて、電気光学装置としては、液晶装置のほかに、エレクトロルミネッセンス(EL)や、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、プラズマ発光や電子放出による蛍光などを用いて、その電気光学効果により表示を行う装置などの種々の電気光学装置に適用可能である。この場合、電気光学材料としては、EL、ミラーデバイス、ガス、蛍光体などが用いられることとなる。なお、電気光学材料としてELを用いる場合、素子基板101においてELが画素電極118と透明導電膜の対向電極108との間に介在することになるので、対向基板102は不要となる。このように、本発明は、上述した構成と類似の構成を有する電気光学装置、特に、オンまたはオフの2値的な表示を行う画素を用いて、階調表示を行う電気光学装置のすべてに適用可能である。
【0145】
G:電子機器
次に、上述した液晶装置を具体的な電子機器に用いた例のいくつかについて説明する。
【0146】
<その1:プロジェクタ>
まず、実施形態に係る電気光学装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図18は、このプロジェクタの構成を示す平面図である。この図に示されるように、プロジェクタ1100内部には、偏光照明装置1110がシステム光軸PLに沿って配置されている。この偏光照明装置1110において、ランプ1112からの出射光は、リフレクタ1114による反射で略平行な光束となって、第1のインテグレータレンズ1120に入射する。これにより、ランプ1112からの出射光は、複数の中間光束に分割される。この分割された中間光束は、第2のインテグレータレンズを光入射側に有する偏光変換素子1130によって、偏光方向がほぼ揃った一種類の偏光光束(s偏光光束)に変換されて、偏光照明装置1110から出射されることとなる。
【0147】
さて、偏光照明装置1110から出射されたs偏光光束は、偏光ビームスプリッタ1140のs偏光光束反射面1141によって反射される。この反射光束のうち、青色光(B)の光束がダイクロイックミラー1151の青色光反射層にて反射され、反射型の電気光学装置100Bによって変調される。また、ダイクロイックミラー1151の青色光反射層を透過した光束のうち、赤色光(R)の光束は、ダイクロイックミラー1152の赤色光反射層にて反射され、反射型の液電気光学装置100Rによって変調される。一方、ダイクロイックミラー1151の青色光反射層を透過した光束のうち、緑色光(G)の光束は、ダイクロイックミラー1152の赤色光反射層を透過して、反射型の電気光学装置100Gによって変調される。
【0148】
このようにして、電気光学装置100R、100G、100Bによってそれぞれ色光変調された赤色、緑色、青色の光は、ダイクロイックミラー1152、1151、偏光ビームスプリッタ1140によって順次合成された後、投写光学系1160によって、スクリーン1170に投写されることとなる。なお、電気光学装置100R、100Bおよび100Gには、ダイクロイックミラー1151、1152によって、R、G、Bの各原色に対応する光束が入射するので、カラーフィルタは必要ない。
【0149】
なお、ここでは反射型の電気光学装置を用いたプロジェクタを例に説明を進めたが、透過型の電気光学装置を用いたプロジェクタとしてもよいことはもちろんである。
【0150】
<その2:モバイル型コンピュータ>
次に、上記電気光学装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図19は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、表示ユニット1206とから構成されている。この表示ユニット1206は、先に述べた電気光学装置100の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
【0151】
<その3:携帯電話機>
さらに、上記電気光学装置を、携帯電話機に適用した例について説明する。図20は、この携帯電話機の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話機1300は、複数の操作ボタン1302のほか、受話口1304、送話口1306とともに、電気光学装置100を備えるものである。この電気光学装置100にも、必要に応じてその背面にバックライトが設けられる。
【0152】
なお、電子機器としては、図18〜図20を参照して説明した他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に対して、実施形態や応用形態に係る電気光学装置が適用可能なのは言うまでもない。
【0153】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、データ線に印加される信号が1ビットの2値信号によって選択されるため、高品位な階調表示が可能となる。また、本発明によれば、データ線側駆動用IC内から画素1行分の2値信号を複数回に分けて出力するようになっているため、データ線側駆動用ICの出力端子と、基板上の回路の入力端子との接点数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 (a)および(b)は、同電気光学装置の画素の構成を例示する回路図である。
【図3】 同電気光学装置におけるデータ変換回路の機能を示す真理値表である。
【図4】 同電気光学装置における表示領域周辺の構成を示すブロック図である。
【図5】 同電気光学装置におけるXシフトレジスタ、第1ラッチ回路および第2ラッチ回路の構成を示すブロック図である。
【図6】 同電気光学装置における基板上第1ラッチ回路、基板上第2ラッチ回路および表示データ変換回路の構成を示すブロック図である。
【図7】 同電気光学装置における表示データ変換回路の機能を示す真理値表である。
【図8】 同電気光学装置における電圧−透過率特性を例示する図である。
【図9】 同電気光学装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】 同電気光学装置において、階調データに応じて画素電極に印加される電圧の波形を示すタイミングチャートである。
【図11】 本発明の第2実施形態に係る電気光学装置における表示領域周辺の構成を示すブロック図である。
【図12】 同電気光学装置における基板上第1ラッチ回路、基板上第2ラッチ回路の構成を示すブロック図である。
【図13】 同電気光学装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図14】 本発明の第3実施形態に係る電気光学装置における表示領域周辺の構成を示すブロック図である。
【図15】 同電気光学装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図16】 本発明に係る電気光学装置の構造を示す平面図である。
【図17】 同電気光学装置の構造を示す断面図である。
【図18】 同電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す断面図である。
【図19】 同電気光学装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図20】 同電気光学装置を適用した電子機器の一例たる携帯電話機の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
100……電気光学装置
101……素子基板
101a……表示領域
102……対向基板
105……液晶(電気光学材料)
108……対向電極
112……走査線
114……データ線
116……トランジスタ
118……画素電極
130……走査線側駆動回路(走査線側駆動回路)
140……データ線側出力回路(第2データ線側駆動回路)
1410、1411……基板上第1ラッチ回路
1420……基板上第2ラッチ回路
1430……表示データ変換回路
150……データ線側駆動用IC(第1データ線側駆動回路)
1510、1511……Xシフトレジスタ
1520、1521……第1ラッチ回路
1530、1531……第2ラッチ回路
1540……選択回路
1550、1551、1552……データ転送制御回路
1570……フレームメモリ
200、201……タイミング信号生成回路
300、301……データ変換回路
Claims (9)
- 基板上に複数の走査線及び複数のデータ線を交差配置し、前記走査線と前記信号線の交差に対応して設けられた複数の画素により階調データに応じた階調表示を行う電気光学装置の駆動回路であって、
1フィールド内において画素をオン状態にする時間とオフ状態にする時間の比率が前記階調データに応じた比率となるように、1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々における画素のオン状態またはオフ状態を指示する2値信号に従って、画素をオン状態またはオフ状態にする電圧をデータ線に供給するデータ線側駆動回路を具備し、
前記データ線側駆動回路は、前記基板上に搭載される半導体集積回路内に形成された第1データ線側駆動回路と、前記基板上に形成された第2データ線側駆動回路とを有し、
前記第1データ線側駆動回路は、画素1行分の2値信号を複数回に分けて出力し、
前記第2データ線側駆動回路は、前記第1データ線側駆動回路から出力された2値信号から画素1行分の2値信号を生成し、当該2値信号に従って画素をオン状態またはオフ状態にする電圧を前記データ線に供給すること
を特徴とする電気光学装置の駆動回路。 - 前記第1データ線側駆動回路は、
少なくとも画素1行分の2値信号を記憶する第1回路と、
前記第1回路に記憶された画素1行分の2値信号を複数回に分けて出力する第2回路と
を具備することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動回路。 - 前記第1回路は1フィールド走査分の2値信号を記憶するメモリにより構成することを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置の駆動回路。
- 基板上に複数の走査線及び複数のデータ線を交差配置し、前記走査線と前記信号線の交差に対応して設けられた複数の画素により階調データに応じた階調表示を行う電気光学装置の駆動回路であって、
前記基板上に搭載される半導体集積回路内に形成された第1データ線側駆動回路と、
前記基板上に形成された第2データ線側駆動回路とを具備し、
前記第1データ線側駆動回路は、
複数の画素に対応した階調データを記憶するメモリと、
1フィールド内において画素をオン状態にする時間とオフ状態にする時間との比率が前記階調データに応じた比率となるように、1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々において、画素のオン状態またはオフ状態を指示する2値信号を、前記メモリに記憶された階調データから生成するデータ変換回路であって、画素1行分の前記2値信号を複数回に分けて出力するデータ変換回路とを有し、
前記第2データ線側駆動回路は、前記第1データ線側駆動回路から出力された2値信号から画素1行分の2値信号を生成し、当該2値信号に従って、画素をオン状態またはオフ状態にする電圧を前記データ線に供給すること
を特徴とする電気光学装置の駆動回路。 - 基板上に複数の走査線及び複数のデータ線を交差配置し、前記走査線と前記データ線の交差に対応して複数の画素を設け、
1フィールド内において画素をオン状態にする時間とオフ状態にする時間の比率が前記階調データに応じた比率となるように、1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々における画素のオン状態またはオフ状態を指示する2値信号に従って、画素をオン状態またはオフ状態にする電圧をデータ線に供給するデータ線側駆動回路を具備し、
前記データ線側駆動回路は、前記基板上に搭載される半導体集積回路内に形成された第1データ線側駆動回路と、前記基板上に形成された第2データ線側駆動回路とを有し、
前記第1データ線側駆動回路は、画素1行分の2値信号を複数回に分けて出力し、
前記第2データ線側駆動回路は、前記第1データ線側駆動回路から出力された2値信号から画素1行分の2値信号を生成し、当該2値信号に従って画素をオン状態またはオフ状態にする電圧を前記データ線に供給すること
を特徴とする電気光学装置。 - 前記第1データ線側駆動回路は、
少なくとも画素1行分の2値信号を記憶する第1回路と、
前記第1回路に記憶された画素1行分の2値信号を、1水平走査期間毎に複数回に分けて出力する第2回路と
を具備することを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。 - 前記第1回路は1フィールド走査分の2値信号を記憶するメモリにより構成することを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
- 階調データに応じた階調表示を行う電気光学装置であって、
基板上に複数の走査線及び複数のデータ線を交差配置し、前記走査線と前記信号線の交差に対応して設けられた複数の画素と、
前記基板上に搭載される半導体集積回路内に形成された第1データ線側駆動回路と、
前記基板上に形成された第2データ線側駆動回路とを具備し、
前記第1データ線側駆動回路は、
複数の画素に対応した階調データを記憶するメモリと、
1フィールド内において画素をオン状態にする時間とオフ状態にする時間との比率が前記階調データに応じた比率となるように、1フィールドを分割した複数のサブフィールドの各々において、画素のオン状態またはオフ状態を指示する2値信号を、前記メモリに記憶された階調データから生成するデータ変換回路であって、画素1行分の前記2値信号を複数回に分けて出力するデータ変換回路とを有し、
前記第2データ線側駆動回路は、前記第1データ線側駆動回路から出力された2値信号から画素1行分の2値信号を生成し、当該2値信号に従って、画素をオン状態またはオフ状態にする電圧を前記データ線に供給すること
を特徴とする電気光学装置。 - 請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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