JP3812083B2 - 車両用空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調ケースの内部を、車室内空気または車室外空気が流れる第1空気通路と主に車室外空気が流れる第2空気通路とに区画する仕切り部材を備えた車両用空気調和装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記のような車両用空気調和装置の従来技術として、特開平7−47831号公報に開示された技術がある。この従来技術の構成は、空調ケースの一端側に内気吸込口および外気吸込口が形成され、他端側にフット吹出口、デフロスタ吹出口およびフェイス吹出口が形成されている。そして、空調ケースの内部空間は、主に車室内空気が流れる第1空気通路と主に車室外空気が流れる第2空気通路とが仕切り板によって区画形成されていると共に、空調ケース内には送風機、エバポレータおよびヒータコアが設けられている。さらに、従来技術には、エバポレータを通過した直後の空気温度(エバ後温度)を検出するエバ後温度センサが設けられている旨が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の従来技術においては、外気温度が所定温度(例えば0℃)以下のときの内外気2層モード時のエバポレータの挙動の心配点に対する配慮はなされていない。具体的には、主に車室内空気が流れる第1空気通路側にエバ後温度センサを設けた場合については図9に示すデータが得られ、主に車室外空気が流れる第2空気通路側にエバ後温度センサを設けた場合については図10に示すデータが得られた。
【0004】
これらのデータから分かることは、第2空気通路(外気層)側にエバ後温度センサを設けた場合には、図10に示したように、低外気温領域のときに第1空気通路(内気層)側のエバ後温度が限界着霜温度(例えば3℃)まで低下する前に、エバポレータの作動が停止することになるので、第1空気通路側の車室内空気の除湿性能が低下する。したがって、窓ガラスの内面が曇り易くなるという問題が生じる。
【0005】
また、第1空気通路(内気層)側にエバ後温度センサを設けた場合には、図9に示すように、第1、第2空気通路のそれぞれにおいて除湿性能を確保できるが、外気温度が10℃以下の低外気温領域のときの第2空気通路側のエバ後温度が第2所定温度より低い温度となる。これにより、第1空気通路側のエバ後温度を基準にしてエバポレータの作動状態を制御するようにした場合には、低外気温領域のときに第2空気通路側のエバ後温度が第2所定温度より低下してもエバポレータの作動が継続されることになるので、第2空気通路(外気層)側のエバポレータが着霜(フロスト)するという可能性がある。したがって、第2空気通路側のエバポレータを通過する空気の抵抗(通風抵抗)が大きくなり、窓ガラスの内面に向けて吹き出す空気量が減少するので窓ガラスの防曇性能が低下するという問題が生じる。
【0006】
さらに、外気温度が所定値(例えば35℃)以上の高外気温領域のときには、吹出口モードとしてフェイスモードが選択される。この場合には、エバポレータよりも下流側で第1空気通路を通ってきた車室内空気と第2空気通路を通ってきた車室外空気とを混合した後に、フェイス吹出口から吹き出すようにしている。ところが、エバポレータよりも下流側で第1空気通路(内気層)内の低温(例えば25℃)の車室内空気と第2空気通路(外気層)内の高温(例えば35℃)の車室外空気とを混合すると、内外気温度差により白霧が発生するという問題が生じる。
【0007】
【発明の目的】
本発明の目的は、低外気温領域のときの除湿性能の低下または冷却用熱交換器の着霜を防止し、且つ高外気温領域のときの白霧の発生を防止することにより、冷却用熱交換器の作動時の問題点を解消することのできる車両用空気調和装置の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、冷却用熱交換器が作動している時には、吸込口モード切替手段によって外気導入モードに切り替えられる。これにより、外気吸込口より吸い込んだ車室外空気が第1空気通路および第2空気通路の両方を通って車室内に吹き出される。それによって、冷却用熱交換器に吸い込まれる空気の温度は、第1空気通路側および第2空気通路側の間で温度差が生じないので、低外気温領域のときの除湿性能の低下または冷却用熱交換器の着霜を防止でき、且つ高外気温領域のときの白霧の発生を防止できる。この結果、冷却用熱交換器の作動時の問題点を解消することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、所定時間内で冷媒圧縮機の運転時間が所定値以上の時に、外気導入モードに切り替えることにより、外気吸込口より吸い込んだ車室外空気が第1空気通路および第2空気通路の両方を通って車室内に吹き出される。それによって、冷却用熱交換器に吸い込まれる空気の温度は、第1空気通路側および第2空気通路側の間で温度差が生じないので、請求項1に記載の発明と同様な効果を達成することができる。なお、冷媒圧縮機の吐出容量が所定値以上の時に、外気導入モードに切り替えても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態の構成〕
図1ないし図7は本発明の第1実施形態を示したもので、図1は車両用空気調和装置の通風系の全体構成を示した図である。
【0011】
本実施形態の車両用空気調和装置は、例えばディーゼルエンジン(以下エンジンと略す)を搭載する車両の車室内を空調する空調ユニット1の各空調手段を、空調制御装置(以下ECUと言う)9によって制御することにより、車室内の温度を常に設定温度に保つよう自動コントロールするように構成されたオートエアコンである。
【0012】
先ず、空調ユニット1の構成を図1に基づいて説明する。
空調ユニット1は、図示上方が車両前方(エンジン側)、図示下方が車両後方(車室内側)、および図示左右方向が車両幅方向となるように、車両に搭載されており、車室内に空調空気を導く空気通路を成す空調ケース2を備える。この空調ケース2は、ポリプロピレン等の樹脂材料にて形成され、空気上流側から順に、内外気切替手段と送風機8とクーラユニットとヒータユニットとが結合されることで構成されている。なお、図1中破線X、Yはこれらの結合部位を示す。なお、内外気切替手段および送風機8については後述する。
【0013】
クーラユニット内には、車両に搭載された冷凍サイクル10の一構成を成すエバポレータ(冷媒蒸発器)15が設けられている。冷凍サイクル10は、自動車のエンジンの駆動力によって冷媒を圧縮するコンプレッサ(冷媒圧縮機)11と、圧縮された冷媒を凝縮液化させるコンデンサ(冷媒凝縮器)12と、凝縮液化された冷媒を気液分離して液冷媒のみを下流に流すレシーバ(気液分離器)13と、液冷媒を減圧膨張させるエキスパンションバルブ(膨張弁、減圧手段)14と、減圧膨張された冷媒を蒸発させる上記のエバポレータ15とから構成される。
【0014】
エバポレータ15は、本発明の冷却用熱交換器に相当する部品であって、後記する仕切り板20を貫通して空調ケース2の内部を全面塞ぐようにして配設され、自身を通過する空気を冷却する空気冷却作用および自身を通過する空気を除湿する空気除湿作用を行う。つまり、エバポレータ15は、後記する第1空気通路18内を流れる空気を冷却する第1冷却部と後記する第2空気通路19内を流れる空気を冷却する第2冷却部とから構成されている。
【0015】
また、コンプレッサ11には、エンジンからコンプレッサ11への回転動力の伝達を断続する電磁クラッチ16が連結されている。この電磁クラッチ16が通電された時に、エンジンの回転動力がコンプレッサ11に伝達されて、エバポレータ15による空気冷却作用が行われ、電磁クラッチ16の通電が停止した時に、エンジンとコンプレッサ11とが遮断され、エバポレータ15による空気冷却作用が停止される。
【0016】
ヒータユニット内には、エバポレータ15を通過した冷風を再加熱するヒータコア17が設けられている。このヒータコア17は、図2および図3に示したように、冷風がヒータコア17を迂回する第1、第2バイパス通路18a、19aを形成するように配設されており、内部にエンジンを冷却した冷却水が流れ、この冷却水を暖房用熱源として冷風を再加熱する加熱用熱交換器である。また、ヒータコア17は、後記する仕切り板20を貫通して空調ケース2内において空調ケース2の幅方向または高さ方向を部分的に塞ぐように配設されており、後記する第1空気通路18内を流れる空気を加熱する第1加熱部と後記する第2空気通路19内を流れる空気を加熱する第2加熱部とから構成されている。
【0017】
ヒータコア17の空気上流側には、回転軸3a、4aが空調ケース2に対して回転自在に設けられている。そして、回転軸3a、4aには、板状の第1、第2エアミックスドア3、4が一体的に結合されている。また、回転軸3a、4aには、その駆動手段としてのサーボモータ39、40(図5参照)が連結されている。そして、サーボモータ39、40によって回転軸3a、4aが回転させられることによって、第1、第2エアミックスドア3、4は、図2および図3の実線位置から一点鎖線位置までの間で回動する。つまり、第1、第2エアミックスドア3、4は、その停止位置によって、ヒータコア17を通過する冷風量と第1、第2バイパス通路18a、19aを通過する温風量との割合を調節して、車室内へ吹き出す空気の吹出温度を調節する吹出温度調節手段として機能する。
【0018】
クーラユニットとヒータユニットとは、結合手段として例えば爪嵌合やねじ部材によって結合されている。そして、クーラユニットとヒータユニット内には、図1に示したように、略垂直方向に延在する仕切り板20によって、主に内気が流れる第1空気通路(内気通路)18と主に外気が流れる第2空気通路(外気通路)19とが区画形成されている。そして、エバポレータ15、ヒータコア17および回転軸3a、4aは、第1空気通路18と第2空気通路19とにまたがって配設されている。
【0019】
第1空気通路18は、後記する第1内気吸込口5aから吸い込まれた車室内空気(以下内気と言う)を、フット(FOOT)開口部2aを経てフット吹出口より車室内に吹き出す通風路である。第2空気通路19は、後記する外気吸込口5cから吸い込まれた車室外空気(以下外気と言う)を、デフロスタ(DEF)開口部2bとフェイス(FACE)開口部2cを経てデフロスタ吹出口、センタフェイス吹出口、サイドフェイス吹出口より車室内に吹き出す通風路である。
【0020】
仕切り板20は、本発明の仕切り部材に相当する部品で、空調ケース2の最下流よりやや上流側で且つヒータコア17の下流側の部位にて途切れており、この途切れた部分にて、第1空気通路18と第2空気通路19とを連通する連通孔20aが形成されている。なお、この連通孔20aは後記するフットドアにて開閉される。
【0021】
そして、空調ケース2の最下流端には、FOOT開口部2a、DEF開口部2bおよびFACE開口部2cが形成されている。そして、FOOT開口部2aには、フットダクト(図示せず)が接続されており、このフットダクトの最下流端であるフット吹出口(本発明の第1吹出口に相当する)から乗員の足元部に向けて主に温風が吹き出される。また、DEF開口部2bには、デフロスタダクト(図示せず)が接続されており、このデフロスタダクトの最下流端であるデフロスタ吹出口(本発明の第2吹出口に相当する)からフロントシールドガラスの内面に向けて主に温風が吹き出される。
【0022】
さらに、FACE開口部2cには、センタフェイスダクトとサイドフェイスダクト(いずれも図示せず)が接続されている。このうち、センタフェイスダクト内に導入された空調風は、センタフェイスダクトの最下流端であるセンタフェイス吹出口から乗員の頭胸部に向けて吹き出される。さらに、サイドフェイスダクト内に導入された空調風は、サイドフェイスダクトの最下流端であるサイドフェイス吹出口からサイドシールドガラスの内面に向けて吹き出される。
【0023】
そして、各開口部2a〜2cの上流側の部位には、フットドア21、デフロスタドア22およびフェイスドア23が設けられている。フットドア21はフットダクトへの空気流入通路を開閉する吹出口切替ドアであり、デフロスタドア22はデフロスタダクトへの空気流入通路を開閉する吹出口切替ドアであり、フェイスドア23はセンタフェイスダクトへの空気流入通路を開閉する吹出口切替ドアである。
【0024】
なお、これらのドア21〜23は、図示しないリンク機構にて連結されており、そのリンク機構は、その駆動手段としてのサーボモータ41(図5参照)によって駆動される。つまり、サーボモータ41がリンク機構を動かすことによって、後述する各吹出口モードが得られるように各ドア21〜23が動く。また、サイドフェイスダクトへの空気流入通路は、各ドア21〜23によっては開閉されない。サイドフェイス吹出口付近には、乗員が手動でサイドフェイス吹出口を開閉する図示しない吹出グリルが設けられており、サイドフェイスダクトへの空気流入通路はその吹出グリルによって開閉される。
【0025】
次に、内外気切替手段および送風機8の構成を図4に基づいて説明する。ここで、図4は図1の矢印C方向から見た概略透視図である。
内外気切替手段は、図4に示したように、空調ケース2内に少なくとも内気と外気の一方または両方を取り入れるためのものであり、空調ケース2の空気最上流を構成する内外気切替箱5と、この内外気切替箱5内に回動自在に取り付けられた第1、第2吸込口切替ドア6、7とから構成されている。内外気切替箱5の内部には、車室内に向かう空気流を発生する送風機8が配設されている。内外気切替箱5には、送風機8の第1吸込口8aに対応して第1内気吸込口5aが形成されており、送風機8の第2吸込口8bに対応して第2内気吸込口5bおよび外気吸込口5cが形成されている。
【0026】
第1吸込口切替ドア6は、本発明の吸込口モード切替手段に相当するもので、第1内気吸込口5aを開閉する板状ドアである。また、第2吸込口切替ドア7は、本発明の吸込口モード切替手段に相当するもので、第2内気吸込口5bおよび外気吸込口5cを開閉する板状ドアである。そして、第1、第2吸込口切替ドア6、7には、それぞれの駆動手段としてのサーボモータ42、43(図5参照)が連結されており、これらのサーボモータ42、43によってそれぞれ図中実線位置と一点鎖線位置との間で回動させられる。
【0027】
また、内外気切替箱5には、第2内気吸込口5bまたは外気吸込口5cと第1吸込口8aとを連通する連通路30が形成されている。そして、第1吸込口切替ドア6は、第1内気吸込口5aを全開したとき(図4の実線位置)に連通路30を全閉し、第1内気吸込口5aを全閉したとき(図4の一点鎖線位置)に連通路30を全開する。
【0028】
送風機8は、本発明の送風手段に相当する部品で、内外気切替箱5内のほぼ中央に配設されている。そして、送風機8は、第1ファン31、第2ファン32、およびこれらの第1、第2ファン31、32を回転駆動するブロワモータ33からなる。ここで、第1、第2ファン31、32は一体的に形成されており、第1ファン31の径よりも第2ファン32の径の方が大きい。そして、これらの第1、第2ファン31、32は、その空気吸込側がベルマウス形状を呈する第1、第2スクロールケーシング部34、35にそれぞれ収納されている。これらの第1、第2スクロールケーシング部34、35の各終端部(空気吹出側)は、それぞれ第1、第2空気通路18、19に連通している。また、第1、第2スクロールケーシング部34、35は仕切り部36を共用している。
【0029】
次に、本実施形態の制御系の構成を図5に基づいて説明する。ここで、図5は車両用空気調和装置の制御系を示したブロック図である。
空調ユニット1の各空調手段を制御するエアコンECU(本発明の空調制御手段に相当する)9には、車室内前面に設けられた操作パネル37上の各スイッチからのスイッチ信号が入力される。ここで、操作パネル37上の各スイッチとは、例えば冷凍サイクル10の起動および停止を指令するためのエアコンスイッチ50、車室内設定温度を乗員が設定するための温度設定スイッチ、吸込口モードを切り替えるための吸込口切替スイッチ、吹出口モードを切り替えるための吹出口切替スイッチ、第1、第2ファン31、32の風量を切り替えるための風量切替スイッチ、各空調手段のオート制御を指令するためのオートスイッチ等である。
【0030】
なお、オート制御中であっても、エアコンスイッチ50、吸込口切替スイッチ、吹出口切替スイッチおよび風量切替スイッチからのスイッチ信号を優先して各空調手段を制御する。また、吸込口切替スイッチには、外気導入モードに固定するための外気導入スイッチ、および内気循環モードに固定するための内気循環スイッチがある。さらに、吹出口切替スイッチには、フェイス(FACE)モードに固定するためのフェイススイッチ、バイレベル(B/L)モードに固定するためのバイレベルスイッチ、フット(FOOT)モードに固定するためのフットスイッチ、フットデフ(F/D)モードに固定するためのフットデフスイッチ、およびデフロスタ(DEF)モードに固定するためのデフスイッチがある。
【0031】
また、エアコンECU9には、車室内の空気温度(内気温度)を検出する内気温センサ51、車室外の空気温度(外気温度)を検出する外気温センサ52、車室内に照射される日射量を検出する日射センサ53、ヒータコア17に流入する冷却水温を検出する水温センサ54、およびエバポレータ15の直後の第1空気通路18側の空気冷却度合を検出するエバ後温度センサ55からの各センサ信号が入力される。このうち、エバ後温度センサ55は、具体的にはエバポレータ15を通過した直後の第1空気通路18側の空気温度を検出するサーミスタ等の温度検出手段である。
【0032】
そして、エアコンECU9の内部には、図示しないCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータが設けられ、上記各センサ51〜55からの信号は、エアコンECU9内の図示しない入力回路によってA/D変換された後、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。なお、エアコンECU9は、自動車のエンジンの図示しないイグニッションスイッチがオンされたときに、図示しないバッテリーから電源が供給される。
【0033】
次に、本実施形態のマイクロコンピュータの制御処理を図6ないし図10に基づいて説明する。ここで、図6はマイクロコンピュータによる制御処理を示したフローチャートである。
【0034】
先ず、イグニッションスイッチがON(オン)されてエアコンECU9に電源が供給されると、図6のルーチンが起動され、各イニシャライズおよび初期設定を行う(ステップS1)。続いて、温度設定スイッチにて設定された設定温度を読み込む(ステップS2)。続いて、内気温センサ51、外気温センサ52、日射センサ53、水温センサ54およびエバ後温度センサ55からの各センサ信号をA/D変換した信号を読み込む(ステップS3)。
【0035】
続いて、予めROMに記憶された下記の数1の式に基づいて車室内に吹き出す空気の目標吹出温度(TAO)を算出する(ステップS4)。
【数1】
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C
なお、Tsetは温度設定スイッチによる設定温度、Trは内気温センサ51で検出した内気温度、Tamは外気温センサ52で検出した外気温度、およびTsは日射センサ53で検出した日射量である。また、Kset、Kr、KamおよびKsはゲインで、Cは補正用の定数である。
【0036】
続いて、予めROMに記憶された図示しない特性図(マップ)から、目標吹出温度(TAO)に対応するブロワ電圧(ブロワモータ33に印加する電圧)を決定する(ステップS5)。続いて、予めROMに記憶された図示しない特性図(マップ)から、目標吹出温度(TAO)に対応する吹出口モードを決定する(ステップS6)。ここで、吹出口モードの決定においては、目標吹出温度(TAO)が低い温度から高い温度にかけて、FACEモード、B/Lモード、FOOTモードおよびF/Dモードとなるように決定される。
【0037】
なお、本実施形態では、操作パネル37上に設けられたデフロスタスイッチを操作すると、フットドア21、デフロスタドア22を図1の一点鎖線位置、フェイスドア23を実線位置に設定して、空調風をフロントシールドガラスの内面に向けて吹き出すDEFモードも設定される。また、いずれの吹出口モードにおいても、サイドフェイス吹出口は吹出グリルにて開閉可能である。
【0038】
続いて、予めROMに記憶された下記の数2の式に基づいて第1、第2エアミックスドア3、4の目標ドア開度(SW)を算出する(ステップS7)。
【数2】
SW={(TAO−TE)/(TW−TE)}×100(%)
なお、TEはエバ後温度センサ55で検出したエバ後温度およびTWは水温センサ54で検出した冷却水温である。
【0039】
また、SW≦0(%)として算出されたときは、第1、第2エアミックスドア3、4は、エバポレータ15からの冷風の全てを第1、第2バイパス通路18a、19aへ通す位置(MAXCOOL位置)に制御される。さらに、SW≧100(%)として算出されたときは、第1、第2エアミックスドア3、4は、エバポレータ15からの冷風の全てをヒータコア17へ通す位置(MAXHOT位置)に制御される。そして、0(%)<SW<100(%)として算出されたときは、第1、第2エアミックスドア3、4は、エバポレータ15からの冷風をヒータコア17および第1、第2バイパス通路18a、19aの両方へ通す位置に制御される。
【0040】
続いて、吸込口モード決定の制御処理を行う。つまり、図7に示すサブルーチンがコールされ、第1、第2吸込口切替ドア6、7の設定位置を決定する(ステップS8)。続いて、各ステップS5〜ステップS9にて算出または決定した各制御状態が得られるように、ブロワモータ33およびサーボモータ39〜43に対して制御信号を出力する(ステップS9)。そして、ステップS10で、制御サイクル時間であるτ(例えば0.5秒間〜2.5秒間)の経過を待ってステップS2の処理に戻る。
【0041】
次に、吸込口モード決定の制御処理を図7に基づいて説明する。ここで、図7は吸込口モード決定の制御処理を示したフローチャートである。
先ず、予めROMに記憶された図8の特性図(マップ)から吸込口モードを決定する(ステップS20)。続いて、ステップS20にて決定した吸込口モードが内外気2層モードであるか否かを判定する(吸込口モード判定手段:ステップS21)。
【0042】
このステップS21の判定結果がNOの場合には、第1吸込口切替ドア6を図4の実線位置、第2吸込口切替ドア7を一点鎖線位置に設定する。つまり、このときには、第1空気通路18および第2空気通路19内に、共に内気が導入される内気循環モードに制御されるよう吸込口モードを決定する(ステップS22)。その後にこの図7のサブルーチンを抜ける。
【0043】
また、ステップS21の判定結果がYESの場合には、図6のステップS6で決定された吹出口モードが、DEFモードであるか否かを判定する(吹出口モード判定手段:ステップS23)。この判定結果がYESの場合には、第1吸込口切替ドア6を図4の一点鎖線位置、第2吸込口切替ドア7を実線位置に設定する。つまり、このときには、第1空気通路18および第2空気通路19内に、共に外気が導入される外気導入モードに制御されるよう吸込口モードを決定する(ステップS24)。その後にこの図7のサブルーチンを抜ける。
【0044】
また、ステップS23の判定結果がNOの場合には、コンプレッサ11の電磁クラッチ16がONされているか否かを判定する。具体的には、電磁クラッチ16のON時間:t、所定値:t0 (例えば10秒間)としたとき、所定時間(例えば1分間)内で、t≧t0 のときコンプレッサ11のONと判定する(ステップS25)。この判定結果がYESの場合には、ステップS24の処理に移って、第1空気通路18および第2空気通路19内に、共に外気が導入される外気導入モードに制御されるよう吸込口モードを決定する。
【0045】
また、ステップS25の判定結果がNOの場合には、目標吹出温度(TAO)に対して暖房能力が不足しているということであり、第1、第2吸込口切替ドア6、7を図4の実線位置に設定する。つまり、第1空気通路18内に内気を導入し、第2空気通路19内に外気を導入する内外気2層モードに制御されるよう吸込口モードを決定する(ステップS26)。その後にこの図7のサブルーチンを抜ける。
【0046】
〔第1実施形態の作用〕
次に、本実施形態の空調ユニット1の各空調手段の作用を図1ないし図8に基づいて簡単に説明する。
【0047】
吸込口モードが内外気2層モードに決定され、且つ吹出口モードがFACEモード、B/Lモード、FOOTモードまたはF/Dモードの何れかに決定されている場合に、コンプレッサ11がON中、つまり冷凍サイクル10のエバポレータ15が作動中であると判定されたときには、第1吸込口切替ドア6が図4の一点鎖線位置に移動し、第2吸込口切替ドア7が図4の実線位置に移動して、吸込口モードが外気導入モードに切り替えられる。
【0048】
したがって、第1ファン31の回転によって外気吸込口5cから内外気切替箱5内に吸い込まれた外気は、第1吸込口8aを通り第1スクロールケーシング部34内に吸い込まれて第1空気通路18内に侵入する。そして、第1空気通路18内に侵入した外気は、エバポレータ15の第1冷却部を通過する際に冷却されて冷風となった後、さらにヒータコア17の第1加熱部を通過する。
【0049】
一方、第2ファン32の回転によって外気吸込口5cから内外気切替箱5内に吸い込まれた外気は、連通路30を通って第2吸込口8bを通り第2スクロールケーシング部35内に吸い込まれて第2空気通路19内に侵入する。そして、第2空気通路19内に侵入した外気は、エバポレータ15の第2冷却部を通過する際に冷却されて冷風となった後、ヒータコア17の第2加熱部を通過する。
【0050】
ここで、吹出口モードがFACEモードの時には、フットドア21が図1の一点鎖線位置、デフロスタドア22が実線位置、フェイスドア23が一点鎖線位置に移動することにより、第1空気通路18を通過した空気が連通孔20aを通って第2空気通路19を通過した空気と混合された後に、FACE開口部2cを通ってFACE吹出口から車室内の乗員の頭胸部に向けて吹き出す。また、吹出口モードがFACEモードの時には、ヒータコア17の第1、第2加熱部での空気の加熱量は少ないので、第1、第2空気通路18、19を通ってFACE吹出口から吹き出された冷風により車室内が冷房される。
【0051】
一方、吹出口モードがB/Lモードの時には、フットドア21、デフロスタドア22を図1の実線位置、フェイスドア23を一点鎖線位置に設定することにより、第1、第2空気通路18、19を通過した空調風は、FACE吹出口およびFOOT吹出口から車室内の乗員の頭胸部および足元部に向けて吹き出される。また、吹出口モードがFOOTモードの時には、フットドア21、フェイスドア23を図1の実線位置、DEF開口部2bを若干量開く位置にデフロスタドア22を設定することにより、空調風の約8割がFOOT吹出口から車室内の乗員の足元部に向けて吹き出され、空調風の約2割をDEF吹出口からフロントシールドガラスの内面に向けて吹き出される。さらに、吹出口モードがF/Dモードの時には、フットドア21を図1の実線位置、デフロスタドア22を一点鎖線位置、フェイスドア23を実線位置に設定することにより、FOOT吹出口から乗員の足元部に向かう空調風とDEF吹出口からフロントシールドガラスの内面に向かう空調風とが同量ずつ吹き出される。
【0052】
〔第1実施形態の効果〕
本実施形態の車両用空気調和装置は、コンプレッサ11がONされている時、つまり冷凍サイクル10のエバポレータ15が作動中であると判定された時、吸込口モードを内外気2層モードから外気導入モードに切り替えられる。これにより、外気吸込口5cより吸い込んだ外気が第1、第2空気通路18、19の両方を通って車室内に吹き出される。
したがって、エバポレータ15に吸い込まれる空気の温度が第1空気通路18側および第2空気通路19側の間で温度差が生じないので、エバ後温度センサ55を第1、第2空気通路18、19のどちらに設置していようとも、低外気温領域のときの除湿性能の低下またはエバポレータ15の着霜を防止でき、且つ高外気温領域のときの白霧の発生を防止できる。
【0053】
〔他の実施形態〕
本実施形態では、冷却用熱交換器として冷凍サイクル10のエバポレータ15を使用し、加熱用熱交換器としてヒータコア17を使用したが、冷却用熱交換器としてペルチェ素子等の空気冷却部品を組み込んだ熱交換器を使用し、または加熱用熱交換器として電気ヒータ等の空気加熱部品を組み込んだ熱交換器を使用しても良い。
【0054】
本実施形態では、エバポレータ15が作動している時には吸込口モードが内外気2層モードから外気導入モードに切り替えるようにしたが、エバポレータ15が作動している時には吸込口モードが内気循環モードから外気導入モードに切り替えるようにしても良い。
【0055】
本実施形態では、第1空気通路(内気層)18側にエバ後温度センサ55を設置したが、第2空気通路(外気層)19側にエバ後温度センサを設置しても良い。また、第1、第2空気通路18、19の両方にそれぞれエバ後温度センサを設置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用空気調和装置の通風系の全体構成を示した構成図である(第1実施形態)。
【図2】図1のA−A断面図である(第1実施形態)。
【図3】図1のB−B断面図である(第1実施形態)。
【図4】図1の矢印C方向から見た概略透視図である(第1実施形態)。
【図5】車両用空気調和装置の制御系を示したブロック図である(第1実施形態)。
【図6】マイクロコンピュータによる制御処理を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図7】図6の吸込口モード決定の制御処理を示したフローチャートである(第1実施形態)。
【図8】吸込口モードと目標吹出温度との関係を示した特性図である。
【図9】第1空気通路側に温度検出手段を設けた場合の実験データである。
【図10】第2空気通路側に温度検出手段を設けた場合の実験データである。
【符号の説明】
1 空調ユニット
2 空調ケース
3 第1エアミックスドア
4 第2エアミックスドア
5 内外気切替箱
6 第1吸込口切替ドア(吸込口モード切替手段)
7 第2吸込口切替ドア(吸込口モード切替手段)
8 送風機(送風手段)
9 エアコンECU(空調制御手段)
10 冷凍サイクル
11 コンプレッサ(冷媒圧縮機)
15 エバポレータ(冷却用熱交換器)
16 電磁クラッチ
18 第1空気通路
19 第2空気通路
20 仕切り板(仕切り部材)
55 エバ後温度センサ
2a FOOT開口部
2b DEF開口部
2c FACE開口部
5a 第1内気吸込口
5b 第2内気吸込口
5c 外気吸込口
Claims (2)
- (a)車室外空気を吸い込む外気吸込口、および車室内空気を吸い込む内気吸込口を空気の流れ方向の上流側に設けた空調ケースと、
(b)この空調ケース内において車室内へ向かう空気流を発生させる送風手段と、
(c)前記空調ケース内において空気の流れ方向に沿って設けられ、前記空調ケースの内部を、車室内空気または車室外空気の何れかが流れる第1空気通路と主に車室外空気が流れる第2空気通路とに区画形成する仕切り部材と、
(d)前記内気吸込口より車室内空気を前記第1空気通路内に吸い込み、且つ前記外気吸込口より車室外空気を前記第2空気通路内に吸い込む内外気2層モードと前記外気吸込口より車室外空気を前記第1空気通路および前記第2空気通路の両方に吸い込む外気導入モードとを切り替える吸込口モード切替手段と、
(e)前記第1空気通路内および前記第2空気通路内を流れる空気を冷却する冷却用熱交換器と、
(f)この冷却用熱交換器の作動時には、前記外気導入モードに切り替えるように前記吸込口モード切替手段を制御する空調制御手段と
を備えた車両用空気調和装置。 - 請求項1に記載の車両用空気調和装置において、
前記冷却用熱交換器は、冷凍サイクルの冷媒蒸発器であり、
前記冷凍サイクルは、冷媒を圧縮して吐出する冷媒圧縮機を有し、
前記空調制御手段は、所定時間内で前記冷媒圧縮機の運転時間が所定値以上の時に、前記外気導入モードに切り替えるように前記吸込口モード切替手段を制御することを特徴とする車両用空気調和装置。
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-
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