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JP3802277B2 - 単線スチールコード - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の車両用タイヤの補強に用いられる単線スチールコードに係り、特にタイヤベルト部に埋め込んで使用される単線スチールコードに関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、地球温暖化防止推進の一環として排気ガス総量規制が厳しく、自動車の燃費改善に拍車がかかってきており、タイヤ軽量化の目的からゴム部分の肉厚を薄くしようとする動きが盛んになってきている。このため、タイヤ補強材としてのスチールコードの開発に対して自動車業界から大きな期待が寄せられてきている。今後はさらに地球環境改善の観点から、タイヤを薄肉軽量化するとともに、自動車走行時のタイヤ性能、特にコーナリングパワーと乗り心地性の改善を重要視した単線スチールコードを開発することが急務とされている。
【0003】
乗用車用ラジアルタイヤのベルト層は、トレッドとカーカスとの間に設けられ、円周方向に張られたベルトとしてカーカスをタガのように強く締め付けてトレッドの剛性を高める機能を備えている。このベルト層の機能は、タイヤが車重を支えるために必要不可欠であると共に、コーナリングでのパワーを発揮する役目をもっている。
【0004】
タイヤベルト層には複数本のワイヤを撚り合わせた1×n構造のスチールコードが一般に使用されている。このような撚り線構造のスチールコードは高い剛性を有するが、その反面、路面が凹凸の非舗装の道路ではタイヤの反発力が強くなりすぎて、乗り心地がよくない。また、トレッド表面に亀裂を生じやすく、亀裂からタイヤ内部に雨水等が浸入して、早期にコードワイヤが腐食する。さらに、タイヤが変形したり振動したりすると、撚り合わせたワイヤ同士が擦れ合って摩耗する所謂フレッティング摩耗を生じて、コードワイヤが大幅に疲労劣化するという問題がある。
【0005】
これらの問題を解決するために、撚り線構造のスチールコードの代わりとして丸ワイヤからなる単線スチールコードをタイヤのベルト層に用いることが提案されている。単線スチールコードは撚り線構造のスチールコードに比べて可撓性に優れているからである。
【0006】
しかしながら、従来の丸ワイヤ構造の単線スチールコードや撚り線(1×n)構造のスチールコードは次に述べるような問題点がある。
【0007】
スチールコードの性能を評価するために用いられる特性としては「キル」と 「アークハイト」の2つがあげられる。「キル」はコード自体に内在する回転トルクの評価に用いられるコード特性の1つである。「アークハイト」はスチールコードの直線性の評価に用いられるコード特性の1つである。キルにバラツキや偏りがあったり、アークハイトが大きすぎたりすると、タイヤ製造プロセスのカレンダー工程(薄いゴムシート上にスチールコードを敷き並べ、もう1枚の薄いゴムシートをこれに被せ、ゴムシート間にスチールコードを挟み込む工程)において、カレンダーシートに捻れや膨らみなどの不良が発生するからである。
【0008】
しかしながら、従来の撚り線構造(1×n)のコードや丸ワイヤ単線のコードでは、ワイヤの材質要因や伸線機あるいは撚り線機などの機械的要因により、キルやアークハイトに変動が生じやすい。特にキルは変動が大きいので、一般的な品質保証レベルでも各製品ごとに検査が行われているのが現状である。
【0009】
(▲1▼)キル
タイヤに使用されるスチールコードの性能として、とくにスチールコードの回転トルク、すなわちコード自体に内在する回転トルク(キル)の評価は重要である。以下、図1を参照しながらキルについて説明する。
【0010】
キルの測定方法は、製品仕上げされたスプール1のコード端末部2cをL字に折って固定具(図示せず)に固定したまま、図1に示すように長さL1(=6m)だけスプール1から引き出し、その後にコード端末部2cを固定具から解放し、コード2の回転数をカウントする方法である。通常のS撚りの場合は、撚り方向と同じ方向(時計方向)に回転した場合をプラスキル(+)とし、撚り方向と逆の方向(反時計方向)に回転した場合をマイナスキル(−)とする。一般的にはキルは±2回転以内の回転数であれば良好であり、そのコードは実用上問題ないといえる。
【0011】
(▲2▼)アークハイト
タイヤベルト部に使用されるスチールコードの性能として、非拘束状態にあるコードの直線性の評価(アークハイト)は重要である。以下、図2を参照しながらアークハイトについて説明する。
【0012】
図2の(a)に示す長さL2(=400mm)に切断したコード2を、図2の(b)に示すように両端を平板3に接触させた状態でコード2が形成する円弧の高さAHがアークハイトにあたる。通常、アークハイトAHが30mm以内であれば良好であり、そのコードは実用上問題ないといえる。
【0013】
(▲3▼)コーナリングパワーと乗り心地
スチールラジアルタイヤに要求される性能の1つとして、高速走行時にハンドルの切れが良いこと、すなわち危険回避のためのコーナリングパワーが大きいことがあげられる。また、従来は剛性の高いコードが使用されてきたが、非舗装路面の凸凹に対しては上下の振動をタイヤがまともに受け止めるため、乗り心地が低下する。このようにタイヤベルト層の補強用スチールコードに今後要求される性能は、コーナリング時の横方向への耐久力と走行時の乗り心地の良さとの2つである。これら2つの性能を兼ね備えることが今後のスチールコードにおいては重要である。
【0014】
(▲4▼)タイヤゴムの簿肉化
近時、自動車は、地球温暖化防止対策を重要視した低燃費車の設計に向かう傾向がみられ、これに伴いタイヤには、軽量化の改善が要求されてきている。しかしながら、従来の撚り線構造コードや丸ワイヤ単線コードでは、タイヤのゴム薄肉化の改善には限界がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、コーナリング時の横方向への高い耐久力(耐疲労性)を確保しつつ、乗り心地性に優れ、かつ、タイヤゴムの薄肉化を実現することができる単線スチールコードを提供することにある。
【0016】
コーナリング時の横方向への耐久力を高くするには、横方向の剛性(面内曲げ剛性)E1の高いコードを使用することが肝要である。また、乗り心地を良くするには、タイヤ接地面の凸凹を柔軟に受け止め、搭乗者が感じるガタガタした乗り心地の悪さを軽減するために、縦方向の剛性(面外曲げ剛性)E2が適度な強さを有するコードを使用することが有効である。
【0017】
ベルト部のスチールコードが高い耐久力と可撓性とを兼ね備えるためには、面内曲げ剛性E1が面外曲げ剛性E2よりも大きく(E1>E2)、剛性に異方性をもつことが肝要である。
【0018】
しかし、従来の撚り線構造コードや丸ワイヤ単線コードの場合は、二次元形付け(ギヤクリンプ)や三次元形付け(スパイラル)を施したとしても、横方向の剛性E1と縦方向の剛性E2との間にほとんど差がないためである。このため、コーナリング時の横方向への耐久力と縦方向の乗り心地性の両性能を同時に満たすことはできない。すなわち、耐久力のほうに重点を置けば、乗り心地が悪くなり、一方、乗り心地のほうに重点を置けば、耐久力が得られなくなるという二律背反の関係にある。
【0019】
ところで、丸ワイヤからなる単線スチールコードの代わりに、特開平7−1915号公報に記載のような単線スチールコードをタイヤのベルト層に用いることが提案されている。このような単線スチールコードは、ワイヤを扁平化し、例えば特開平10−25680号公報に記載された装置を用いて二次元の波付け加工したものであり、ゴムとの密着性に優れ、かつ、耐曲げ剛性が高いので、これを乗用車用タイヤのベルト部に用いると優れた操縦安定性が得られる。しかし、この単線スチールコードは、タイヤゴムの薄肉化には不十分であり、また乗り心地が必ずしも良好になるものとはいえない。
【0020】
【課題を解決するための手段】
そこで、発明者らは、タイヤの薄肉軽量化と性能向上に向けて鋭意研究した結果、下記に述べる本発明を完成させるに至った。
【0021】
本発明に係る単線スチールコードは、丸線ワイヤの扁平化により対向する2つの扁平面と対向する2つの丸曲面とを有する1本のワイヤからなる単線スチールコードであって、その短径Dと長径Wとの扁平比D/Wを0.50〜0.95の範囲とし、かつ、短径方向および長径方向のそれぞれに波付けされ、一方の扁平面がタイヤ接地面側に向くようにタイヤベルト部に埋め込まれて用いられることを特徴とする。
【0024】
短径方向のみにクリンプ波付けする単線スチールコード(タイプ1のコード)では、扁平比D1/W1を0.50〜0.95の範囲とすることが好ましい。
【0025】
扁平比D1/W1の上限値を0.95とした理由は、0.95を超えてワイヤが真円に近くなると、圧延によるキル(回転トルク)の低減効果がみられなくなること、および、長径方向と短径方向の剛性に差が生じなくなるからである。
【0026】
一方、扁平比D1/W1の下限値を0.50とした理由は、0.82%の高炭素鋼を使用してスチールコード用のワイヤとして伸線を施したワイヤでは300kgf/mm2 前後の高い引張り強度を有するため、扁平比0.50を下回る高扁平率の圧延を行う場合は、圧延後のワイヤに割れが発生することがあるからである。
【0027】
短径方向の波付け高さF1の最大値は0.3mmとすることが好ましい。これを超えて波付け高さF1を大きくしすぎると、ゴム部が肉厚となり、タイヤ軽量化の目的から逸脱するためである。
【0028】
一方、短径方向の波付け高さF1の最小値は0.05mmとすることが好ましい。アークハイトAHを30mm以内(合格判定)に低減させるためには、最低でも0.05mm高さの波付けが必要となるからである。
【0029】
また、波付けピッチP1は2〜20mmとすることが望ましい。この範囲内が実用的な波付けピッチとなるからである。
【0030】
ここで「波付け」とは、ワイヤに弾性限以上の応力を与えてワイヤを二次元または三次元の形状に成形することをいう。
【0031】
また、ここで「クリンプ波付け」とは、1つの平面内で同じウェーブを繰り返す二次元の形状にワイヤを成形することをいう。このクリンプ波付けの代表的なものとして1対の歯車間にワイヤを噛み込ませて成形するギヤクリンプ波付加工がある。なお、クリンプ波付けは、三次元形状のスパイラルワイヤを側方から潰して二次元形状とする加工をも含むものである。
【0032】
また、ここで「円弧波付け」とは、1つの平面内で直線部を含まない滑らかに連続する曲線の組み合わせのみからなる二次元の形状にワイヤを成形することをいう。この円弧波付けの代表的なものとして1対のピンローラ間にワイヤを噛み込ませて成形するピンローラ波付加工がある。
【0033】
なお、短径方向のみ波付けしたコード(タイプ1のコード)は伸びの設定領域が比較的低いので、このタイプ1でカバーしきれない伸びを必要とする場合は、伸びの設定領域の高い両方向に波付けしたコード(タイプ2のコード)を用いる。
【0034】
タイプ2のコードの扁平比D2/W2((D2;扁平ワイヤの短径)/(W2;扁平ワイヤの長径))は0.80〜0.95の範囲とすることが好ましい。扁平比の上限値を0.95とする理由は、扁平比が0.95を超えてワイヤが真円に近くなると、圧延によるキル(回転トルク)の低減効果がみられなくなること、および、長径方向と短径方向の剛性に差が生じなくなるからである。また、扁平比の下限値を0.80とする理由は、タイプ2のコードでは伸線後に長径方向クリンプ加工と、駆動ロール圧延加工と、短径方向クリンプ加工との3回の加工を施すため、圧延加工でのワイヤへ与えるダメージによる強度低下を防止するためである。
【0035】
タイプ2のコードでは、短径方向のクリンプ波付け高さF3の最大値を0.3mmとし、長径方向のクリンプ波付け高さF2を0.05〜0.5mmの範囲とすることが好ましい。短径方向の波付け加工高さF3の最大値を0.3mmとする理由は、波付け高さを高くしすぎると、タイヤのゴムが肉厚となり、軽量化の目的から逸脱するためである。長径方向の波付け加工高さF2の最大値を0.5mmとする理由は、これより波付け高さを大きくしすぎると、コードの伸びが大きくなりすぎることと、コード同士の並びによっては、山と谷が向かい合わせとなって、コード間の隙間の不揃いが顕著となり好ましくないからである。また、長径方向の波付け加工高さF2の最小値を0.05mmとする理由は、これより波付け高さを小さくすると、アークハイトが30mm以内(合格判定)に低減できなくなるからである。
【0036】
波付けピッチP2,P3は、長径方向および短径方向ともに2〜20mmとすることが望ましい。この範囲内が実用的な波付けピッチとなるからである。ただし、波付けピッチの設定長さは、長径方向と短径方向とのピッチの不均一性をなくす理由から、短径方向のピッチ長さP3に対して、長径方向のピッチ長さP2を正数倍に設定する。
【0037】
なお、構成ワイヤには引張り強度が300〜380kgf/mm2級の高張力鋼線を用いることが望ましい。単線スチールコードが所望の破断強度を得るためにはワイヤの引張り強度を280kgf/mm2以上とする必要があるからである。一方、ワイヤの引張り強度が400kgf/mm2を越えると、ワイヤが脆くなって断線を生じやすくなるからである。
【0038】
また、構成ワイヤには炭素含有量が0.75〜0.95重量%の高張力鋼線を用いることが望ましい。単線スチールコードが所望の破断強度を得るためにはワイヤの炭素含有量を0.7重量%以上とする必要があるからである。一方、ワイヤの炭素含有量が1.0重量%を越えると、ワイヤが脆くなって断線を生じやすくなるからである。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の種々の好ましい実施の形態について説明する。
【0040】
図3及び図4の(a)に示す製造方法を用いて図4の(b),(c)および図11の(a),(b)に示すタイプ1の単線スチールコード2Aを製造し、さらにこの単線スチールコード2Aを用いて図11の(c)に示すスチールラジアルタイヤ10Aを製造した。また、図12及び図13の(a)に示す製造工程を用いて図13の(b),(c)および図14の(a),(b)に示すタイプ2の単線スチールコード2Bを製造し、さらにこの単線スチールコード2Bを用いて図14の(c)に示すスチールラジアルタイヤ10Bを製造した。
【0041】
以下にそれぞれにつき詳細に説明する。
【0042】
(実施例1及び実施例2;タイプ1のコード)
炭素含有量0.82±0.02重量%の鋼線を素線として準備した(工程S1)。この素線を加熱炉内で950℃の温度に30秒間加熱保持した後、砂を用いる流動床炉内で550℃の温度に8秒間加熱保持する条件で焼入れ(工程S2)、電気めっき浴にてCu63重量%、Zn37重量%の組成に素線表面をブラスめっきし(工程S3)、めっき鋼線を伸線機5により伸線加工し、引張り強度が308〜312kgf/mm2 の範囲の高張力鋼線ワイヤ2とした(工程S4)。伸線後のワイヤ2の直径は0.40mmである。なお、ワイヤ1kg当りのブラスめっきの付着量は約4gである。
【0043】
これに引き続き丸線ワイヤ2を駆動ロール圧延装置7に送り、これを上下1対の圧延ロール71,72により押しつぶして0.30mm×0.46mm(短径×長径)サイズの扁平ワイヤ2aとした(工程S5)。
【0044】
図5及び図6を参照しながら駆動ロール圧延装置(扁平加工機)7について説明する。扁平加工機7は上下1対のカリバーロール71,72を備えている。上ロール71はモータ78によって回転駆動される駆動軸73に連結され、下ロール72はモータ79によって回転駆動される駆動軸74に連結されている。駆動軸73,74には大歯車76が取り付けられ、この大歯車76は各モータ78,79の回転駆動軸に取り付けられた小歯車77にそれぞれ噛み合っている。各ロール71,72の周面には所定の凹形状のカリバー71a,72aがそれぞれ形成されている。各ロール軸73,74は軸受73a,74aを介してブラケット73b,74bに連結支持されている。下ブラケット74bは圧延装置のフレーム(図示)に固定され、上ブラケット73bは調整ネジ75により下ブラケット74bに連結されている。調整ネジ75を回すと、上ブラケット73bとともに上ロール71が昇降し、上ロール71と下ロール72との間のギャップが変えられる。なお、ロールギャップ調整機構には、調整ネジ75の代わりに油圧シリンダ機構を用いてもよい。
【0045】
丸ワイヤ2は、上下ロール71,72のカリバー71a,72a間に噛み込まれ、上下から押しつぶされ、扁平ワイヤ2aとなる。引き続き扁平ワイヤ2aを波付加工機8に送り、これをピンロール83a,83bにより短径方向に波付け加工し、一方向に波付けされた扁平コード2Aを得た(工程S6)。
【0046】
図7及び図8を参照しながら波付加工機8について説明する。波付加工機8のハウジング81内には上下1対の大ローラ82a,82bが収納されている。ハウジング81は入口ガイド85および出口ガイド86を備えている。ワイヤ2は入口ガイド85を介してハウジング81内に導入され、大ローラ82a,82b間を通過し、出口ガイド86を介してハウジング81から送り出されるようになっている。
【0047】
図9に示すように、大ローラ82a,82bの外周にはホルダ87a,87bが等ピッチ間隔に設けられ、各ホルダ87a,87bには小径のピンロール83a,83bがそれぞれ取り付けられている。互いに隣り合うピンロール83a(83b)とピンロール83a(83b)との間にはほとんど隙間が無いように取り付けられている。上ローラ82aは歯車84aと同軸に連結され、下ローラ82bは歯車84bと同軸に連結されている。上下の歯車84a,84bは互いに噛み合っている。両歯車84a,84bにより上下ローラ82a,82b間に滑りを生じることなく、上下ローラ82a,82bが確実に同期回転されるようになっている。
【0048】
ワイヤ2は、大ローラ82a,82b間に噛み込まれると、上下のピンロール83a,83bにより屈曲され、図10の(b),(d),(f)に示すように滑らかに連続する円弧形状に波付けされる。この場合に、ピンロール83a,83bの直径Dはワイヤ径dより十分に大きくする必要がある。なお、ピンロール83a,83bの直径Dはワイヤ径dの5〜50倍の範囲とすることが好ましい。
【0049】
なお、上記の円弧波付加工機8の代わりに特開平10−25680号公報に開示されたギヤクリンプ加工機を用いてワイヤ2を二次元のクリンプ波付加工するようにしてもよい。このようなギヤクリンプ加工機により波付加工されたワイヤ2Kの外観を図10の(a),(c),(e)に示す。
【0050】
表1及び図11の(a),(b)に示すように、実施例1及び2(タイプ1)のコード2Aは、それぞれ短径方向の波付け高さF1が0.1mm,0.1mm、短径D1が0.30mm,0.36mm、長径W1が0.46mm,0.44mm、扁平比D1/W1が0.65,0.82、波付けピッチP1が6mm,6mmである。
【0051】
さらに、コード2Aを巻取機9のリールに巻き取り、このリールを裁断ラインの供給側に取り付け、切断機(図示せず)によりコード2Aを所定長に裁断した(工程S7)。裁断コード2Aの長さは200mである。なお、表1に示すように、コード2Aのキルは0〜0.75回転(平均0.5回転)であり、アークハイトは10〜28mm(平均15mm,24mm)であった。
【0052】
実施例1及び2(タイプ1)のコード2Aは、短径方向の剛性指数G2が74,97、長径方向の剛性指数G1が149,114であり、剛性比G1/G2が2.00,1.18であった。なお、「剛性指数」は、丸ワイヤの剛性G3を基準値100とした場合の比率にあたり、図17に示す2方向につきそれぞれ測定した。また、タイプ1のコード2Aは、破断伸びが2.5〜3.5%の低領域にあることが判明した。
【0053】
裁断コード2Aを生ゴムシート上に所定ピッチ間隔で平行に敷き並べる所謂カレンダリングをした(工程S8)。このカレンダリング工程S8では、一方の扁平面が生ゴムシート面と平行になるようにコード2Aを敷き並べる。なお、裁断コード2Aのアークハイトが小さいので、裁断コード2Aを敷き並べやすい。敷き並べのピッチ間隔は例えば1.2mmである。
【0054】
ゴムシートを所定サイズに裁断する(工程S9)。埋込みコード2Aが互いに所定角度で交差するように、2枚の裁断シート12A,14Aをタイヤ形状のゴム成形品のベルト部に重ね合わせる。さらに、トレッド18を有するゴム部材16を外側(第2層)のシート14Aに貼り付け、これによりコード2Aはゴム中に完全に埋め込まれる(工程S10)。このようにして組み立てた成形品を所定温度に加熱し、一体化させ、図11の(c)に示すタイヤ製品10Aを得た(工程S11)。
【0055】
このようなタイヤ製品10Aにおいて、コード2Aは、ベルト層12A,14Aに隣り合う短径部が一定間隔になるように配置し、タイヤの回転方向に対しては斜め方向に並べて配置されている。この構造は、横方向の剛性E1を硬化して耐久力を高め、逆に縦方向の剛性E2を軟化してソフトな乗り心地を可能にしている。
【0056】
次に図12および図13の(a),(b),(c)を参照しながらタイプ2の単線スチールコード及びその製造方法について説明する。
【0057】
(実施例3及び実施例4;タイプ2のコード)
炭素含有量0.82±0.02重量%の鋼線を素線として準備した(工程S21)。この素線を加熱炉内で950℃の温度に30秒間加熱保持した後、砂を用いる流動床炉内で550℃の温度に8秒間加熱保持する条件で焼入れ(工程S22)、電気めっき浴にてCu63重量%、Zn37重量%の組成に素線表面をブラスめっきし(工程S23)、めっき鋼線を伸線機5により伸線加工し、引張り強度が308〜312kgf/mm2の範囲の高張力鋼線ワイヤ2とした(工程S24)。伸線後のワイヤ2の直径は0.40mmである。なお、ワイヤ1kg当りのブラスめっきの付着量は約4gである。
【0058】
これに引き続きワイヤ2を波付加工機8に送り、これをピンロール83a,83bにより長径方向に波付け加工し、一方向に円弧波付けしたワイヤ2b1とした (工程S25)。なお、上記の円弧波付加工機8の代りに特開平10−25680号公報に開示されたギヤクリンプ加工機を用いてもよい。
【0059】
これに引き続きワイヤ2b1を扁平加工機7に送り、これを1対の圧延ロール71,72により上下から押しつぶし、0.36mm×0.44mm(短径×長径)サイズの扁平ワイヤ2b2とした(工程S26)。なお、扁平加工機7には図5及び図6に示す装置を用いた。
【0060】
これに引き続き扁平ワイヤ2b2を波付加工機8に送り、これを1対のピンロール83a,83bにより短径方向に波付け加工し、2方向に円弧波付けされた扁平コード2Bを得た(工程S27)。なお、上記の円弧波付加工機8の代りに特開平10−25680号公報に開示されたギヤクリンプ加工機を用いてもよい。
【0061】
表1および図14の(a),(b)に示すように、実施例3及び4(タイプ2)のコード2Bは、それぞれ長径方向の波付け高さF2が0.1mm,0.1mm、短径方向の波付け高さF3が0.1mm,0.1mm、短径D2が0.36mm,0.38mm、長径W2が0.44mm,0.43mm、扁平比D2/W2が0.82,0.88、長径方向の波付けピッチP2が6.0mm,6.0mm、短径方向の波付けピッチP3が3mm,3mmである。
【0062】
さらに、コード2Bを巻取機9のリールに巻き取り、このリールを裁断ラインの供給側に取り付け、切断機(図示せず)によりコード2Bを所定長に裁断した(工程S28)。裁断コード2Bの長さは200mである。なお、表1に示すように、コード2Bのキルは0〜0.75回転(平均0.5回転)であり、アークハイトは8〜20mm(平均12mm,17mm)であった。
【0063】
タイプ2のコード2Bは、短径方向の剛性指数G2が94,97、長径方向の剛性指数G1が111,109、剛性比G1/G2が1.18,1.12であった。なお、「剛性指数」は、丸ワイヤの剛性G3を基準値100とした場合の比率にあたり、図17に示す2方向につきそれぞれ測定した。また、タイプ2のコード2Bは、破断伸びが3.0〜5.0%の高領域にあることが判明した。
【0064】
裁断コード2Bを生ゴムシート上に所定ピッチ間隔で平行に敷き並べる所謂カレンダリングをした(工程S29)。このカレンダリング工程S29では、一方の扁平面が生ゴムシート面と平行になるようにコード2Bを敷き並べる。なお、裁断コード2BのアークハイトHが小さいので、裁断コード2Bを敷き並べやすい。敷き並べのピッチ間隔は例えば1.2mmである。
【0065】
ゴムシートを所定サイズに裁断する(工程S30)。埋込みコード2Bが互いに所定角度で交差するように、2枚の裁断シート12B,14Bをタイヤ形状のゴム成形品のベルト部に重ね合わせる。さらに、トレッド18を有するゴム部材16を外側(第2層)のシート14Bに貼り付け、これによりコード2Bはゴム中に完全に埋め込まれる(工程S31)。このようにして組み立てた成形品を所定温度に加熱し、一体化させ、図14の(c)に示すタイヤ製品10Bを得た(工程S32)。
【0066】
タイプ2に適用する扁平ワイヤ断面の扁平比((D2:扁平ワイヤの短径)/(W2:扁平ワイヤの長径))は、0.80〜0.95とした。
【0067】
扁平比の上限値を0.95とした理由は、扁平比が0.95を超えて真円に近くなると、圧延によるキル(回転トルク)の低減効果がみられなくなること及び、長径方向と短径方向の剛性に差が生じなくなるためである。
【0068】
また、扁平比の下限値を0.80とタイプ1の0.50より高くした理由は、タイプ2は伸線後に長径方向クリンプ加工+駆動ロール圧延加工+短径方向クリンプ加工の3回の加工を施すため、タイプ1よりクリンプ加工回数が1回多くなり、圧延加工でのワイヤへ与えるダメージによる強度低下防止を目的としているからである。
【0069】
長径方向の波付け高さは、0.05〜0.5mmの範囲とした。
【0070】
長径方向の波付け加工高さの最大値を、0.5mmとしたのは、波付け高さを高くしすぎると、伸びが大きくなりすぎることと、コード同士の並びによっては、山と谷が向かい合わせとなって、コード間の隙間の不揃いが顕著となり好ましくないためである。
【0071】
短径方向の波付け加工高さの最大値を、0.3mmとしたのは、波付け高さを高くしすぎると、タイヤのゴムが肉厚となり、軽量化の目的から逸脱するためである。また、最小値を、0.05mmとしたのは、短径方向の波付け加工を、最小この程度行わないとアークハイトが30mm以内の規格に低減できないからである。
【0072】
上記のタイプ2のコードは、アークハイト(直線性)が12mm,17mmと良好でしかも、キル(回転トルク)が0.5回転とほぼゼロに近い良好な品質を有していた。
【0073】
また、タイプ2を埋設したタイヤは、横方向の硬剛性による耐久力と、縦方向の軟剛性によるソフトな乗り心地の効果についても、タイプ1と同等の期待ができる。
【0074】
次に、図15の(a),(b)および図16の(a),(b)を参照しながら比較例1〜3の単線スチールコードについて説明する。
【0075】
(比較例1;丸線二次元クリンプ波付けコード)
上記実施例の素線と同じものを用いて図15の(a),(b)に示す断面の丸線二次元クリンプ波付けされた単線スチールコード2Cを比較例1として製造した。表1に示すように、比較例1のコード2Cは、径Dが0.40mm、波付けピッチPが6mmである。また、短径方向の剛性指数G2が100、長径方向の剛性指数G1が103、剛性比G1/G2が1.03である。さらに、コード2Cのアークハイト(直線性)は39mm、キル(回転トルク)は1.0回転であった。
【0076】
(比較例2;丸線三次元スパイラル加工コード)
上記実施例の素線と同じものを用いて図16の(a),(b)に示す断面の丸線三次元スパイラル加工された単線スチールコード2Dを比較例2として製造した。表1に示すように、比較例2のコード2Dは、径Dが0.40mm、スパイラルピッチPが6mmである。また、短径方向の剛性指数G2が100、長径方向の剛性指数G1が100、剛性比G1/G2が1.00である。さらに、コード2Dのアークハイト(直線性)は18mm、キル(回転トルク)は0.5回転であった。
【0077】
(比較例3;丸線ワイヤコード)
上記実施例の素線と同じものを用いて図17に示す断面の丸ワイヤからなる単線スチールコード2を比較例3とした。表1に示すように、比較例3の丸コード2は、径Dが0.40mmである。また、短径方向の剛性指数G2が100、長径方向の剛性指数G1が100、剛性比G1/G2が1.00である。さらに、丸コード2のアークハイト(直線性)は45mm、キル(回転トルク)は2.5回転であった。
【0078】
上記のタイプ1およびタイプ2の各コードをそれぞれ製造し、各特性につき調べた結果、以下に述べる[▲1▼]〜[▲5▼]の効果が確認された。
【0079】
[▲1▼]扁平加工によるキル(ワイヤに内在する回転トルク)の低減効果
(a)キルは、スチールコードの品質保証のために重要な性能の一つである。伸線機で単線スチールコードを直接製作する場合は、伸線機でのキル管理を可能にすることが特に重要である。通常、伸線後の丸ワイヤにつきキルを測定すると1〜5回程度の回転数となる。
【0080】
本発明者らは丸ワイヤを扁平化することによりキルがほぼゼロ近辺にまで低減することを確認した。ワイヤを駆動ロール圧延することによりキルが0〜1回の低水準の単線スチールコードを安定して製作することが可能となり、従来から実施してきたキルの全数検査を抜取り検査(定期管理)に変更することが可能となった。これにより、検査頻度が激減して作業が大幅に低減されるとともに、これまで以上にキルが安定したコードの製作が可能となった。
【0081】
(b)扁平ワイヤには、長径方向の剛性G1が短径方向の剛性G2より大きくなる剛性の異方性がみられる。これら扁平ワイヤの長径方向の剛性G1および短径方向の剛性G2を従来の丸ワイヤの剛性G3と比較すると、次式(1)の関係にあることが判明した。
【0082】
G1>G3>G2 …(1)
タイヤのベルト層にはコード扁平面がタイヤ接地面に対面するように扁平コードを配置するので、従来の丸ワイヤに比較して、タイヤの横方向の剛性E1が強い。これによりコーナリングパワーに優れ、タイヤの縦方向の剛性E2が小さくなり、タイヤ全体の柔軟性が大きくなるので、乗り心地が良くなる。
【0083】
[▲2▼]波付け加工によるアークハイト(ワイヤの直線性)の低減効果
(a)波付け加工しない扁平ワイヤはアークハイトが大きく、コードとして不適であったが、最終工程で扁平ワイヤの短径方向に波付けすることによりアークハイトが大幅に改善され、一般コードの管理範囲内(≦30mm)までアークハイトを低減することができた。
【0084】
(b)2種類のタイプの波付け加工を適用することにより、コードが必要とする伸びが確保された。
【0085】
タイプ1のコード2Aは、短径方向に波付けしたものであり、破断伸びが2.5〜3.5%の低領域にある。
【0086】
タイプ2のコード2Bは、長径方向と短径方向とに波付けしたものであり、破断伸びが3.0〜5.0%の高領域にある。
【0087】
[▲3▼]薄肉化
波付けした扁平単線コードを扁平面がタイヤ接地面側に向くように配置することにより、従来の丸ワイヤからなる単線コードや1×n撚線コードに比べてゴム肉厚が薄くなり、タイヤの軽量化を可能とした。
【0088】
[▲4▼]コスト低減
撚り線機を全く使用せず、撚り線工程の前工程である伸線機に、扁平加工機(駆動ロール圧延装置)と波付け加工機(ピンロール加工装置またはギヤクリンプ加工装置)とを設置し、伸線されたワイヤに扁平化圧延と波付け加工とを連続的に施すことで、扁平単線スチールコードの製造を可能とした。これにより、撚り線工程を省いたことに加え、伸線機での加工速度は、従来の撚り線機を使用した単線コードの場合と比較して、約3倍の高速となり、経済的に大幅なコスト低減となった。
【0089】
[▲5▼]耐疲労性の評価
各単線スチールコードの耐疲労性は、図20に示すベルト耐久試験機60を用いて評価した。図18及び図19に示すように、試験片90は、ゴム部材91の腹側に5本の単線スチールコード2(2A,2B,2C,2D)を等ピッチ間隔に一列に埋め込んだ試料層と、ゴム部材91の背側に2+2×0.25構成の5本の撚り線コード93を等ピッチ間隔に一列に埋め込んだ背骨層とを有するものである。ちなみに試験片90の各部寸法は、厚みTが6mm、幅Wが12mm、長さL4が400mmである。
【0090】
ベルト耐久試験機60は直径20mmのローラ61を備えている。上記の試料層が腹側(内側)となるように、このローラ61に試験片90を巻き掛け、その両端に重り62をそれぞれ取り付けて試験片90に60kgfの荷重が負荷されるようにした。試験片90のストロークを50mmとし、毎分60回のサイクルで向きを切り替え、これを2000回繰り返した。
【0091】
試験終了後、試験片90の試料層に軟エックス線を照射してX線透過写真を撮影した。このX線透過写真を観察し、コード(ワイヤ)の破断箇所数(NBR)を各試料ごとにカウントした。試験数は5本を1ロットとし、その平均値で評価した。
【0092】
【表1】
Figure 0003802277

【図面の簡単な説明】
【図1】単線スチールコードのキルを説明するための模式図。
【図2】(a)は所定長に切断されたスチールコードを示す図、(b)はスチールコードのアークハイト測定方法を説明するための図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る単線スチールコードの製造方法を示す工程図。
【図4】(a)は第1実施形態の単線スチールコードの製造ラインを示す概要図、(b)は各工程における単線スチールコードの概観模式図、(c)は各工程における単線スチールコードの横断面図。
【図5】偏平化装置(駆動ロール圧延装置)の主要部を示す正面図。
【図6】偏平化装置(駆動ロール圧延装置)の主要部を示す側面図。
【図7】円弧波付装置(ピンロール加工装置)の概要を示す正面図。
【図8】円弧波付装置(ピンロール加工装置)の概要を示す側面図。
【図9】円弧波付装置(ピンロール加工装置)の主要部を示す部分拡大図。
【図10】(a)はギヤクリンプ波付け単線スチールコード(0.25HT)の概観模式図、(b)は円弧波付け単線スチールコード(0.25HT)の概観模式図、(c)はギヤクリンプ波付け単線スチールコード(0.30HT)の概観模式図、(d)は円弧波付け単線スチールコード(0.30HT)の概観模式図、(e)はギヤクリンプ波付け単線スチールコード(0.35HT)の概観模式図、(f)は円弧波付け単線スチールコード(0.35HT)の概観模式図。
【図11】(a)は第1実施形態の単線スチールコード(タイプ1のコード)の横断面図、(b)は第1実施形態の単線スチールコード(タイプ1のコード)の概観模式図、(c)は第1実施形態の単線スチールコード(タイプ1のコード)を埋め込んだスチールラジアルタイヤの横断面模式図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る単線スチールコードの製造方法を示す工程図。
【図13】(a)は第2実施形態の単線スチールコードの製造ラインを示す概要図、(b)は各工程における単線スチールコードの概観模式図、(c)は各工程における単線スチールコードの横断面図。
【図14】(a)は第2実施形態の単線スチールコード(タイプ2のコード)の横断面図、(b)は第2実施形態の単線スチールコード(タイプ2のコード)の概観模式図、(c)は第2実施形態の単線スチールコード(タイプ2のコード)を埋め込んだスチールラジアルタイヤの横断面模式図。
【図15】(a)は比較例1の単線スチールコードを示す横断面図、(b)は比較例1の単線スチールコードを示す概観模式図。
【図16】(a)は比較例2の単線スチールコードを示す横断面図、(b)は比較例2の単線スチールコードを示す概観模式図。
【図17】コード剛性を説明するために、実施例および比較例の単線スチールコードのそれぞれを示す横断面図。
【図18】ベルト耐久試験に用いられる試験片を示す斜視図。
【図19】ベルト耐久試験に用いられる試験片の横断面図。
【図20】ベルト耐久試験機を示す概要図。
【符号の説明】
2,2A,2B,2C,2D…単線スチールコード、
7…扁平加工機(駆動ロール圧延装置)
8…波付加工機(ピンロール加工装置)
10A,10B…タイヤ、
12A,12B,14A,14B…ベルト層(タイヤベルト層)、

Claims (12)

  1. 丸線ワイヤの扁平化により対向する2つの扁平面と対向する2つの丸曲面とを有する1本のワイヤからなる単線スチールコードであって、その短径Dと長径Wとの扁平比D/Wを0.50〜0.95の範囲とし、かつ、短径方向および長径方向のそれぞれに波付けされ、一方の扁平面がタイヤ接地面側に向くようにタイヤベルト部に埋め込まれて用いられることを特徴とする単線スチールコード。
  2. 上記波付けは、クリンプ加工であり、波付け高さを0.05〜0.3mmの範囲とすることを特徴とする請求項1記載の単線スチールコード。
  3. 上記クリンプ加工は、短径方向の波付け高さを0.05〜0.3mmの範囲とし、長径方向の波付け高さを0.05〜0.5mmの範囲とすることを特徴とする請求項2記載の単線スチールコード。
  4. 上記扁平比D/Wを0.80〜0.95mmの範囲とすることを特徴とする請求項1記載の単線スチールコード。
  5. 上記波付けは、ピッチ間隔を2〜20mmの範囲とすることを特徴とする請求項1記載の単線スチールコード。
  6. 上記波付けは、1つの平面内で直線状の部分を含まない滑らかに連続する曲線部のみからなるピンローラ加工であることを特徴とする請求項1記載の単線スチールコード。
  7. 上記波付けは、円弧の組み合せ、正弦波曲線、サイクロイド(螺旋形曲線)の連続弧、カージオイド(心臓形曲線)の連続弧、トラクトリックス(懸垂線形曲線)の連続弧からなる群より選ばれる1又は2以上を組み合せてなる滑らかに連続する曲線であることを特徴とする請求項6記載の単線スチールコード。
  8. 上記ピンローラ加工は、波付け高さを0.05〜0.3mmの範囲とすることを特徴とする請求項6記載の単線スチールコード。
  9. 上記ピンローラ加工は、短径方向の波付け高さを0.05〜0.3mmの範囲とし、長径方向の波付け高さを0.05〜0.5mmの範囲とすることを特徴とする請求項6記載の単線スチールコード。
  10. 上記扁平比D/Wを0.80〜0.95mmの範囲とすることを特徴とする請求項6記載の単線スチールコード。
  11. 上記丸ワイヤは、280〜400kgf/mm 2 の範囲の引張り強度を有することを特徴とする請求項1記載の単線スチールコード。
  12. 上記丸ワイヤは、0.7〜1.00質量%の炭素含有量を有することを特徴とする請求項1記載の単線スチールコード。
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