[go: up one dir, main page]

JP3789236B2 - 車両用ディスクブレーキ - Google Patents

車両用ディスクブレーキ Download PDF

Info

Publication number
JP3789236B2
JP3789236B2 JP27005198A JP27005198A JP3789236B2 JP 3789236 B2 JP3789236 B2 JP 3789236B2 JP 27005198 A JP27005198 A JP 27005198A JP 27005198 A JP27005198 A JP 27005198A JP 3789236 B2 JP3789236 B2 JP 3789236B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
disk
fitting hole
friction pad
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP27005198A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000097260A (ja
Inventor
竹徳 土屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissin Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Nissin Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissin Kogyo Co Ltd filed Critical Nissin Kogyo Co Ltd
Priority to JP27005198A priority Critical patent/JP3789236B2/ja
Priority to US09/399,165 priority patent/US6340076B1/en
Priority to EP99118076A priority patent/EP0989320B1/en
Priority to DE69931717T priority patent/DE69931717T2/de
Publication of JP2000097260A publication Critical patent/JP2000097260A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3789236B2 publication Critical patent/JP3789236B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Braking Arrangements (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や自動二・三輪車等の走行車両に搭載されるディスクブレーキに係り、詳しくは、ピンスライド型のキャリパボディを用いた車両用ディスクブレーキに関する。
【0002】
【従来の技術】
ピンスライド型のキャリパボディを用いた車両用ディスクブレーキとして、例えば、特開平10−110755号公報に示されるものがある。
このディスクブレーキには、ブリッジ部の両端に作用部と反作用部とを連結したキャリパボディを、ディスクロータの一側部で車体に固設したキャリパブラケットに一対のスライドピンを介して片持ちで支持し、このキャリパボディをスライドピンの案内にてディスク軸方向へスライドするようにしたピンスライド型のキャリパボディが用いられており、制動時には、キャリパボディの反作用部と反作用部との間に設けた一対の摩擦パッドをディスクロータ方向へ押動し、両摩擦パッドのライニングをディスクロータの両側面に摺接させて制動作用が行なわれる。
【0003】
作用部側の摩擦パッドは、ディスク回入側と回出側とをキャリパブラケットのパッド受け部に係止し、また反作用部側の摩擦パッドは、裏板背面の一対の突起を、反作用部のディスク回入側と回出側との反力爪に穿設した嵌合孔に嵌合し、さらに裏板の背面中央の突部に係着した棒状のパッドスプリングの両端を反力爪のディスク内周側に係止して、反作用部側の摩擦パッドをキャリパボディの反作用部で支持する構造としたことにより、キャリパブラケットの小型・軽量化を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成にあっては、キャリパボディが、前述の如く、作用部側のみをキャリパブラケットに支持される片持ち式であるため、作用部側の摩擦パッドに発生した制動トルクが、支持剛性力の高いキャリパブラケットに直接支承されるのに対し、反作用部側の摩擦パッドに発生した制動トルクは、キャリパブラケットから離れたキャリパボディの反作用部に作用する。
【0005】
特に、車両前進方向の制動トルクは、車両後退方向の制動トルクに較べてかなり大きいために、キャリパボディに反作用部をディスク回出方向へ大きく撓ませるという挙動を生じ、キャリパボディのスライド性を損ったり、摩擦パッドのライニングがディスクロータの側面に片当たりして、ライニングに偏摩耗を生じる虞がある。この対策として、反作用部側の剛性力を高めるために反力爪を厚く肉盛りすると、キャリパボディが重く大型なものとなり、キャリパブラケットを小型・軽量化した効果がなくなる。
【0006】
さらに、摩擦パッドの組付けに、突起と嵌合孔との嵌合を用いるキャリパボディの反作用部側では、製造誤差を吸収して、摩擦パッドの組付け性を容易に行なうために、少なくとも一方の嵌合孔が突起よりも大径に形成されるため、制動時の反作用部側の摩擦パッドが、嵌合孔と突起との間隙分をディスク回出方向へ引き摺られて、ブレーキ鳴きや振動音の発生を招くこととなる。
【0007】
本発明は、このような実情を背景にしてなされたもので、その目的とするところは、キャリパボディとキャリパブラケットの小型・軽量化を図りながら、制動トルクによるキャリパボディの変形を極力防止して、キャリパボディのスライド性を良好に維持し、さらにライニングの偏摩耗と摩擦パッドの振動並びにブレーキ鳴きの発生を極力抑えることのできる車両用ディスクブレーキを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段を、図面の符号を括弧書きで付記して表すと以下の通りである。なお、本明細書において、ディスク回入側及び回出側は、車両前進時についてである。ディスクロータ(2)の両側部に対向配置される作用部(4a)と反作用部(4b)とを、前記ディスクロータ(2)の外側を跨ぐブリッジ部(4c)で連結してキャリパボディ(4)を構成し、該キャリパボディ(4)が、ディスク周方向の両側部をキャリパブラケット(3)に一対のスライドピン(5,6)を介してディスク軸方向へ移動可能に支持されるピンスライド型であって、前記作用部(4a)と反作用部(4b)との間に、一対の摩擦パッド(7,8)をディスクロータ(2)を挟んで対向配置し、前記反作用部(4b)のディスク回入側及び回出側の反力爪(4e,4f)にそれぞれ形成された嵌合孔(4g,4h)を、反作用部側の摩擦パッド(8)のディスク回入側及び回出側にそれぞれ突設した突起(14d,14e)よりも大径に形成し、ディスク回入側の嵌合孔(4g)とディスク回入側の突起(14d)との嵌合及びディスク回出側の嵌合孔(4h)とディスク回出側の突起(14e)との嵌合にて反作用部側の摩擦パッド(8)を前記反作用部(4b)に係着した車両用ディスクブレーキにおいて、前記一対の摩擦パッド(7,8)うち、作用部側の摩擦パッド(7)に発生する車両前進走行時の制動トルクを前記キャリパブラケット(3)の作用部側に形成した車両前進走行時のディスク回出側のトルク受け段部(3g)で支承せしめ、反作用部側の摩擦パッド(8)に発生する車両前進走行時の制動トルクを前記キャリパブラケット(3)の反作用部側に形成した車両前進走行時のディスク回出側のトルク受け段部(3h)で支承せしめ、前記作用部側の摩擦パッド(7)に発生する車両後退走行時の制動トルクを前記キャリパブラケット(3)の作用部側に形成した車両前進走行時のディスク回入側のトルク受け段部(3f)で支承せしめ、前記ディスク回入側の嵌合孔(4g)をディスク回出側の嵌合孔(4h)よりもディスク半径方向外方に偏位して設け、前記ディスク回入側の嵌合孔(4g)は前記ディスク回出側の嵌合孔(4h)よりも、前記ディスクロータの回転中心(O1)と前記キャリパボディ(4)のディスク周方向中心を通るキャリパ中心線(CL1)寄りにあって、ディスク回入側及び回出側の前記突起(14d,14e)のピッチ(P1)が、ディスク回入側及び回出側の前記嵌合孔(4g,4h)のピッチ(P2)よりも長く設定し、前記ディスク回入側の嵌合孔(4g)と前記ディスク回入側の突起(14d)とを、前記ディスクロータ(2)の回転中心(O1)を支点に、前記ディスク回入側の嵌合孔(4g)の中心(O2)を通る半径(R)で描かれた円周(C)と、該ディスク回入側の嵌合孔(4g)のディスク回入側の壁面との交点(P)で当接させて、前記反作用部側の摩擦パッド(8)に発生する車両後退走行時の制動トルクを、前記反作用部(4b)に支承せしめることを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、反作用部側の摩擦パッドに発生する車両前進方向の制動トルクは、摩擦パッドからキャリパブラケットへ直接伝達され、キャリパボディの反作用部には伝わらない。従って、キャリパボディには、車両前進方向の制動トルクによる反作用部の撓み変形がなくなるので、キャリパボディをディスク軸方向へ良好にスライドさせることができるようになり、摩擦パッドのライニングにも偏摩耗が生じにくくなる。さらに、車両前進走行時のディスク回入側では、キャリパブラケットがディスクロータを反作用部側へ跨がないために、キャリパブラケットがその分小さく軽量なものとなる。
【0010】
一方、反作用部側の摩擦パッドに発生する車両後退方向の制動トルクは、突起と嵌合孔との嵌合を通してキャリパボディの反作用部に伝わるが、車両後退方向の制動トルクは、車両前進方向の制動トルクに較べて小さいために、反作用部の撓み変形は極力小さなものに抑えられる。
【0011】
また、車両前進方向の制動トルクでは、反作用部側の摩擦パッドが、ディスク回出側をキャリパブラケットに押し付けられ、またキャリパボディの反作用部が、回転モーメントによってディスク回出側へ偏位することで、ディスク回入側の突起が嵌合孔に押し付けられる。従って、反作用部側の摩擦パッドは、ディスク回入側とディスク回出側との長いスパンで拘束されるので、制動時おける反作用部側の摩擦パッドの挙動が抑えられ、反作用部側の摩擦パッドの振動とブレーキ鳴きの発生が極力抑制される。さらに、反作用部側の摩擦パッドの挙動が抑えられることで、この摩擦パッドに突起と嵌合孔とで嵌合するキャリパボディの挙動も抑制されることとなる。
【0012】
さらに、反作用部側の摩擦パッドに生じた車両後退方向の制動トルクが、嵌合孔の中心O2を通る円周Cから、交点Pでキャリパボディの反作用部へ接線方向に作用するので、摩擦パッドに余分な動きがなくなり、車両後退方向の制動トルクがキャリパボディの反作用部へ即座に伝わって、車両後退走行時の制動操作に、初期制動力が速やかに立ち上がるようになる。また、突起と嵌合孔とのこじりがなくなるので、こじり音の発生とこれらの損耗の防止が図れる
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一形態例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図中、図1はディスクブレーキの背面図、図2は同じく正面図、図3は同じく一部断面平面図、図4は図2のIV−IV断面図、図5は図1のV−V断面図、図6は図4のVI−VI断面図である。また、図中矢印Aは、車両前進走行時のディスクロータの回転方向を、図中矢印Bは、車両後退走行時のディスクロータの回転方向をそれぞれ示しており、さらに以下の説明で用いるディスク回入側と回出側とは、特にことわりを述べない限り、車両が前進走行で、ディスクロータが矢印A方向に回転する場合を示すものとする。
【0016】
ディスクブレーキ1は、ディスクロータ2の一側部にキャリパブラケット3が車体に固設され、該キャリパブラケット3に、ピンスライド型のキャリパボディ4が、リバースピン5とコレットピン6とを介してディスク軸方向へ移動可能に支持されており、キャリパボディ4の作用部4aと反作用部4bとの間には、一対の摩擦パッド7,8がディスクロータ2を挟んで対向配置されている。
【0017】
キャリパブラケット3は、略角U字状の板体をディスクロータ2の一側面に沿って配設され、車両前進走行時のディスク回入側と回出側にディスク半径方向外側へ向けて並設される第1腕3aと第2腕3bの基部には、それぞれ車体取付け用のめねじ孔3cが穿設されている。ディスク回出側の第2腕3bには、ディスクロータ2の外側をディスク軸と平行に跨ぐキャリパ支持腕3dが延設されており、ディスクロータ2の他側部側へ延びたキャリパ支持腕3dの先端には、第3腕3eが第2腕3bと同一高さに設けられている。
【0018】
キャリパブラケット3の第1腕3aと第2腕3bにはトルク受け段部3f,3gが対向して設けられ、第3腕3eに第2腕3bと略同形のトルク受け段部3hが設けられている。第1腕3aには、ディスクロータ2の外周縁と略交差する位置にめねじ孔10が貫通して設けられ、該めねじ孔10に、前述のリバースピン5が反ディスクロータ方向へディスク軸と平行に突設されており、ディスクロータ2の外周縁よりもディスク半径方向外側に位置するキャリパ支持腕3dに、ディスク軸と平行な有底のピン孔11が、ディスクロータ2の一側面側に開口して設けられている。
【0019】
キャリパボディ4は、ディスクロータ2の両側部に対向配置される上述の作用部4a及び反作用部4bと、ディスクロータ2の外側を跨いでこれらをつなぐブリッジ部4cとからなっている。作用部4aの中央には、有底のシリンダ孔20がディスクロータ2側に開口して設けられており、該シリンダ孔20にコップ状のピストン21が液密且つ移動可能に収容され、該ピストン21とシリンダ孔20の底壁4dとの間に、液圧室22が画成される。シリンダ孔20の底壁4dには、ユニオン孔23が液圧室22に連通して設けられており、別途の図示しない液圧マスタシリンダで昇圧した作動液をユニオン孔23から液圧室22に導入して、ピストン21を押動するようになっている。
【0020】
反作用部4bには、ピストン差し込み用の間隙24を挟んだディスク回入側と回出側に、一対の反力爪4e,4fがディスク半径方向内側へ向けて並設されており、該反力爪4e,4fに円形の嵌合孔4g,4hが貫通形成されている。作用部側の摩擦パッド7は、シリンダ孔20から突出するピストン21の先端とディスクロータ2の一側面との間に、また反作用部側の摩擦パッド8は、反力爪4e,4fとディスクロータ2の他側面との間にそれぞれ配設される。ブリッジ部4cの中央には天井開口部25が形成されており、該天井開口部25を通して、ディスクロータ2と摩擦パッド7,8のライニング12,12との摺接で発生した制動熱を放散し、またライニング12,12の摩耗具合を目視できるようにしている。
【0021】
作用部4aのディスク回入側と回出側には、車体取付け腕4i,4jがディスクロータ2の一側面に沿って突設されており、ディスク回入側の車体取付け腕4iの先端には、ピン孔26がディスク軸と平行に貫通して設けられ、またディスク回出側の車体取付け腕4jの先端には、前述のコレットピン6が、固定ボルト27を用いてディスク軸と平行に突設されている。ディスク回入側のピン孔26には、キャリパブラケット3の第1腕3aに突設したリバースピン5がスリーブ28を介して、またディスク回出側のコレットピン6は、キャリパ支持腕3dのピン孔11に、それぞれ移動可能に内挿され、キャリパボディ4は、これらのピン5,6とピン孔11,26の相対移動によって、ディスク軸方向へスライド可能に案内される。
【0022】
摩擦パッド7,8は、ディスクロータ2の側面に摺接するライニング12と、該ラニング12を保持する金属製の裏板13,14とからなっており、反作用部側の摩擦パッド8の裏板14の背面には、鳴き防止用のシム板15が係着されている。作用部側の摩擦パッド7は、裏板13のディスク回入側と回出側に耳片13a,13bが突設されており、摩擦パッド7は、耳片13a,13bを、キャリパブラケット3の第1,第2腕3a,3bのトルク受け段部3f,3gに、それぞれパッドリテーナ16を介して支持されている。
【0023】
反作用部側の摩擦パッド8は、裏板14のディスク回入側とディスク回出側とに耳片14a,14bが設けられ、裏板14の背面に3つの突起14c,14d,14eが一直線上に突設されている。中央の小矩形突起14cには、パッドスプリング17が圧入やカシメ等の固定手段を用いて取付けられており、反作用部側の摩擦パッド8は、ディスク回出側の耳片14bを、キャリパブラケット3の第3腕3eのトルク受け段部3hにパッドリテーナ16を介して支持し、ディスク回入側と回出側の円形突起14d,14eを反力爪4e,4fの嵌合孔4g,4hに嵌合させながら、パッドスプリング17の両翼片17a,17aを、反力爪4e,4fに係着して取付けされている。
【0024】
反力爪4e,4fの嵌合孔4g,4hは、反作用部側の摩擦パッド8の突起14d,14eよりも大径に形成されており、摩擦パッド8の耳片14bを、上述のようにキャリパブラケット3のトルク受け段部3hに支持した状態では、ディスク回出側の反力爪4fの嵌合孔4hが、ディスク回出側の突起14eの中心と合致するよう設定されている。
【0025】
また、ディスク回入側の反力爪4eの嵌合孔4gが、ディスク回出側の反力爪4fの嵌合孔4hよりも長さL1分ディスク半径方向外方に偏位して設けられ、さらにディスク回入側の嵌合孔4gは、ディスク回出側の嵌合孔4hよりもキャリパ中心線CL1寄りにあって、摩擦パッド8の突起14d,14eのピッチP1が、反力爪4e,4fの嵌合孔4g,4hのピッチP2よりも長く設定されている。なお、キャリパ中心線CL1は、図1に示唆されているように、ディスクロータの回転中心O1と前記キャリパボディ4のディスク周方向中心を通る線である
【0026】
これにより、ディスク回入側の反力爪4eの嵌合孔4gと摩擦パッド8のディスク回入側の突起14dとは、ディスクロータ2の回転中心O1を支点に、嵌合孔4gの中心O2を通る半径Rで描かれた円周Cと、嵌合孔4gのディスク回入側の壁面との交点Pで当接する
【0027】
本形態例は、以上のように構成されており、運転者の制動操作によって、キャリパボディ4の液圧室22に昇圧した作動液が供給されると、ピストン21がシリンダ孔20を開口部方向へ前進して、作用部4a側の摩擦パッド7を押動し、該摩擦パッド7のライニング12をディスクロータ2の一側面へ押圧する。次にこの反作用によって、キャリパボディ4がリバースピン5及びコレットピン6の案内にて作用部4a方向へ移動し、反作用部4bの反力爪4e,4fが反作用部4b側の摩擦パッド8を押動し、該摩擦パッド8のライニング12をディスクロータ2の他側面へ押圧して、制動作用が行なわれる。
【0028】
上述の制動時に、摩擦パッド7,8には、ライニング12とディスクロータ2との摺接によって制動トルクが発生し、摩擦パッド7,8は、この制動トルクによって、ディスクロータ2の回転と同じ矢印A方向またはB方向へ引摺られる。このうち、ディスクロータ2が矢印A方向へ回転する車両前進走行時の制動では、作用部4a側の摩擦パッド7が、裏板13の耳片13bを第2腕3bのトルク受け段部3gに、また反作用部4b側の摩擦パッド8が、ディスク回出側の裏板14の耳片14bをキャリパ支持腕3d先端のトルク受け段部3hにそれぞれ支承され、摩擦パッド7,8の制動トルクがキャリパブラケット3に伝達されて行く。
【0029】
さらに、ディスクロータ2が矢印B方向へ回転する車両後退走行時の制動では、作用部4a側の摩擦パッド7が、裏板13の耳片13aを第1腕3aのトルク受け段部3fに支承され、該摩擦パッド7の制動トルクがキャリパブラケット3に伝達されて行き、また反作用部4b側の摩擦パッド8が、裏板14の突起14dと反力爪4eの嵌合孔4gとの交点Pでの当接嵌合によって支承され、該摩擦パッド8の制動トルクが、反力爪4eを通してキャリパボディ4に伝達されて行く。
【0030】
このように本形態例は、反作用部側の摩擦パッド8に発生する車両前進方向の制動トルクが、トルク受け段部3hからキャリパブラケット3へ直接伝達され、キャリパボディ4の反作用部4bには伝わらないので、キャリパボディ4には、車両前進方向の制動トルクによって反作用部4bが撓み変形することがなくなる。これにより、キャリパボディ4は、ディスク軸方向のスライド性が良好に維持され、さらに摩擦パッド7,8のライニング12,12に偏摩耗が生じなくなる。また、キャリパ支持腕3dは、車両前進走行時のディスク回出側にのみ設けられ、ディスク回入側では、キャリパ支持腕がディスクロータ2を反作用部側へ跨がないので、キャリパブラケット3がその分小さく軽量なものとなる。
【0031】
さらに、車両前進方向の制動トルクでは、反作用部側の摩擦パッド8が、ディスク回出側の耳片14bをトルク受け段部3hに押し付けられ、また反作用部4bが、回転モーメントによってディスク回出側へ偏位することで、ディスク回入側の突起14dが嵌合孔4gに押し付けられるので、反作用部側の摩擦パッド8は、ディスク回入側とディスク回出側との長いスパンで拘束されることとなり、制動時おける摩擦パッド8の挙動が抑えられるので、摩擦パッド8の振動とブレーキ鳴きの発生が極力抑制される。さらに、このようにして摩擦パッド8の挙動が抑えられることで、摩擦パッド8に突起14dと嵌合孔4gとで嵌合するキャリパボディ4の挙動も抑制されることとなる。
【0032】
また、反作用部側の摩擦パッド8に発生する車両後退方向の制動トルクは、突起14dと嵌合孔4gとの嵌合を通して反作用部4bの反力爪4eに伝わるが、車両後退方向の制動トルクは、車両前進方向の制動トルクに較べて小さいために、反作用部4bの撓み変形を極力小さく抑えることができ、剛性力を高めるために反力爪4eを肉盛りして、キャリパボディ4の重量を増加したり大型化しないで済む。車両後退走行時における反力爪4fの嵌合孔4hと反作用部側の摩擦パッド8の突起14eとの嵌合は、反作用部側の摩擦パッド8が車両後退方向の制動によって、ディスクロータ2の外側へ浮き上がるのを防止して、制動力を高めるのに役立つ。
【0033】
特に、車両後退走行時のディスク回出側に配した突起14dと嵌合孔4gとを、予め円周C上の交点Pで当接させたことにより、反作用部側の摩擦パッド8に生じた車両後退方向の制動トルクが、嵌合孔4gの中心O2を通る円周Cから、交点Pで反作用部4bの反力爪4eへ接線方向に伝わるので、反作用部側の摩擦パッド8に余分な動きなくなり、車両後退方向の制動トルクが反力爪4eからキャリパボディ4へ即座に伝わるので、車両後退走行時の制動操作に、初期制動力が速かに立ち上るようになる。さらに、突起14dと嵌合孔4gとのこじりがなくなるので、これらの損耗とこじり音の発生とを有効に防止することができる。
【0034】
尚、上述の形態例では、リバースピンを車両前進走行時のディスク回入側に、同じく車両前進走行時のディスク回出側にコレットピンをそれぞれ配して説明したが、本発明は、キャリパボディがピンスライド式であればよく、スライドピンが特定の形式であることにこだわるものではない。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、反作用部側の摩擦パッドに発生する車両前進方向の制動トルクは、摩擦パッドからキャリパブラケットへ直接伝達され、キャリパボディの反作用部には伝わらないので、キャリパボディには、車両前進方向の制動トルクによる反作用部の撓み変形がなくなる。これにより、キャリパボディをディスク軸方向へ良好にスライドさせることができるようになり、摩擦パッドのライニングにも偏摩耗が生じにくくなる。さらに、車両前進走行時のディスク回入側では、キャリパブラケットがディスクロータを反作用部側へ跨がないために、キャリパブラケットをその分小さく軽量にすることができる。
【0037】
さらに、反作用部側の摩擦パッドに発生する車両後退方向の制動トルクは、突起と嵌合孔との嵌合を通してキャリパボディの反作用部に伝わるが、車両後退方向の制動トルクは、車両前進方向の制動トルクに較べて小さいために、反作用部の撓み変形は極力小さなものに抑えられ、キャリパボディに悪影響を与えることが少ない。
【0038】
た、反作用部側の摩擦パッドが、車両前進方向の制動トルクによって、ディスク回出側がキャリパブラケットに押し付けられ、またキャリパボディの反作用部が、回転モーメントによってディスク回出側へ偏位することで、ディスク回入側の突起が嵌合孔に押し付けられ、反作用部側の摩擦パッドは、ディスク回入側とディスク回出側との長いスパンで拘束されるので、制動時おける反作用部側の摩擦パッドの挙動が抑えられ、摩擦パッドの振動とブレーキ鳴きの発生が極力抑制される。さらに、反作用部側の摩擦パッドの挙動が抑えられることで、この摩擦パッドに突起と嵌合孔とで嵌合するキャリパボディの挙動も抑制される。
【0039】
さらに、反作用部側の摩擦パッドに生じた車両後退方向の制動トルクが、嵌合孔の中心O2を通る円周Cから交点Pを通して、キャリパボディの反作用部へ接線方向に作用するので、摩擦パッドに余分な動きがなくなり、車両後退方向の制動トルクがキャリパボディの反作用部へ即座に伝わって、車両後退走行時の制動操作に、初期制動力が速やかに立ち上がるようになる。また、突起と嵌合孔とのこじりがなくなるので、これらの損耗とこじり音の発生とを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一形態例を示すディスクブレーキの背面図
【図2】 本発明の一形態例を示すディスクブレーキの正面図
【図3】 本発明の一形態例を示すディスクブレーキの一部断面平面図
【図4】 本発明の一形態例を示す図2のIV−IV断面図
【図5】 本発明の一形態例を示す図1のV−V断面図
【図6】 本発明の一形態例を示す図4のVI−VI断面図
【符号の説明】
1…ディスクブレーキ
2…ディスクロータ
3…キャリパブラケット
3a…第1腕
3b…第2腕
3d…キャリパ支持腕
3f,3g,3h…トルク受け段部
4…ピンスライド型のキャリパボディ
4a…作用部
4b…反作用部
4e,4f…反力爪
4g,4h…嵌合孔
5…リバースピン(本発明のスライドピン)
6…コレットピン(本発明のスライドピン)
7…作用部側の摩擦パッド
8…反作用部側の摩擦パッド
12…摩擦パッド7,8のライニング
13,14…摩擦パッド7,8の裏板
13a,13b,14a,14b…裏板13,14の耳片
14d…嵌合孔4gに嵌合する突起
14e…嵌合孔4hに嵌合する突起
11,26…ピン孔
17…パッドスプリング
21…ピストン
22…液圧室
A…車両前進走行の場合のディスクロータ2の回転方向
B…車両後退走行の場合のディスクロータ2の回転方向
L1…嵌合孔4f,4gのディスク半径方向の偏位量
P…円周Cと嵌合孔4gのディスク回入側の壁面との交点
P1…摩擦パッド8の突起14d,14eのピッチ
P2…反力爪4f,4gの嵌合孔4g,4hのピッチ
O1…ディスクロータ2の回転中心
O2…嵌合孔4gの中心
R…ディスクロータ2の回転中心O1を支点とする嵌合孔4gの中心O2を通る半径
C…半径Rで描かれた円周
CL1…キャリパ中心線

Claims (1)

  1. ディスクロータの両側部に対向配置される作用部と反作用部とを、前記ディスクロータの外側を跨ぐブリッジ部で連結してキャリパボディを構成し、該キャリパボディが、ディスク周方向の両側部をキャリパブラケットに一対のスライドピンを介してディスク軸方向へ移動可能に支持されるピンスライド型であって、前記作用部と反作用部との間に、一対の摩擦パッドをディスクロータを挟んで対向配置し、前記反作用部の車両前進走行時のディスク回入側及び回出側の反力爪にそれぞれ形成された嵌合孔を、反作用部側の摩擦パッドの車両前進走行時のディスク回入側及び回出側にそれぞれ突設した突起よりも大径に形成し、前記車両前進走行時のディスク回入側の嵌合孔と前記車両前進走行時のディスク回入側の突起との嵌合及び車両前進走行時のディスク回出側の嵌合孔と車両前進走行時のディスク回出側の突起との嵌合にて反作用部側の摩擦パッドを前記反作用部に係着した車両用ディスクブレーキにおいて、
    前記一対の摩擦パッドうち、作用部側の摩擦パッドに発生する車両前進走行時の制動トルクを前記キャリパブラケットの作用部側に形成した車両前進走行時のディスク回出側のトルク受け段部で支承せしめ、反作用部側の摩擦パッドに発生する車両前進走行時の制動トルクを前記キャリパブラケットの反作用部側に形成した車両前進走行時のディスク回出側のトルク受け段部で支承せしめ、前記作用部側の摩擦パッドに発生する車両後退走行時の制動トルクを前記キャリパブラケットの作用部側に形成した車両前進走行時のディスク回入側のトルク受け段部で支承せしめ、
    前記車両前進走行時のディスク回入側の嵌合孔を前記車両前進走行時のディスク回出側の嵌合孔よりもディスク半径方向外方に偏位して設け、前記車両前進走行時のディスク回入側の嵌合孔は前記車両前進走行時のディスク回出側の嵌合孔よりも、前記ディスクロータの回転中心と前記キャリパボディのディスク周方向中心を通るキャリパ中心線寄りにあって、前記車両前進走行時のディスク回入側の突起と前記車両前進走行時のディスク回出側の突起とのピッチを、前記車両前進走行時のディスク回入側の嵌合孔と前記車両前進走行時のディスク回出側の嵌合孔とのピッチよりも長く設定し、
    前記車両前進走行時のディスク回入側の嵌合孔と前記車両前進走行時のディスク回入側の突起とを、前記ディスクロータの回転中心を支点に、前記車両前進走行時のディスク回入側の嵌合孔の中心を通る半径で描かれた円周と、該車両前進走行時のディスク回入側の嵌合孔の車両前進走行時におけるディスク回入側の壁面との交点で当接させて、前記反作用部側の摩擦パッドに発生する車両後退走行時の制動トルクを、前記反作用部に支承せしめることを特徴とする車両用ディスクブレーキ。
JP27005198A 1998-09-24 1998-09-24 車両用ディスクブレーキ Expired - Fee Related JP3789236B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27005198A JP3789236B2 (ja) 1998-09-24 1998-09-24 車両用ディスクブレーキ
US09/399,165 US6340076B1 (en) 1998-09-24 1999-09-20 Vehicular disk brake
EP99118076A EP0989320B1 (en) 1998-09-24 1999-09-24 Vehicular disk brake
DE69931717T DE69931717T2 (de) 1998-09-24 1999-09-24 Scheibenbremse für Fahrzeuge

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27005198A JP3789236B2 (ja) 1998-09-24 1998-09-24 車両用ディスクブレーキ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000097260A JP2000097260A (ja) 2000-04-04
JP3789236B2 true JP3789236B2 (ja) 2006-06-21

Family

ID=17480850

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27005198A Expired - Fee Related JP3789236B2 (ja) 1998-09-24 1998-09-24 車両用ディスクブレーキ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3789236B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102011001562B4 (de) 2011-03-25 2012-12-13 Dömer GmbH & Co. KG Reibbelagträgerplatte
JP5604378B2 (ja) * 2011-06-30 2014-10-08 日信工業株式会社 車両用ディスクブレーキ
EP2682632A3 (en) 2011-09-28 2018-04-18 Akebono Brake Industry Co., Ltd. Disc brake apparatus
CN107269740A (zh) * 2017-07-28 2017-10-20 万向钱潮(上海)汽车系统有限公司 一种使摩擦片主动回位的弹簧片装置
CN111946761A (zh) * 2020-08-10 2020-11-17 卢建强 一种汽车刹车制动系统

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000097260A (ja) 2000-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0989320B1 (en) Vehicular disk brake
JP4284676B2 (ja) ディスクブレーキ
JP3730383B2 (ja) ディスクブレーキ
JP2000104764A (ja) 車両用ディスクブレーキ
JP3789236B2 (ja) 車両用ディスクブレーキ
US11946519B2 (en) Disc brake device
JP6746789B2 (ja) ディスクブレーキ
JPH10110756A (ja) ディスクブレーキ
US11885383B2 (en) Disc brake pad
CN112313426B (zh) 盘式制动器以及摩擦衬块
JP4880250B2 (ja) 車両用ディスクブレーキ
CN218063168U (zh) 车辆及其制动卡钳组件
JP4495367B2 (ja) 車両用ディスクブレーキ
JP3863679B2 (ja) ピンスライド型車両用ディスクブレーキのキャリパボディ支持構造
WO2024116541A1 (ja) ディスクブレーキ
JP3729633B2 (ja) 車両用ディスクブレーキ
JP3630656B2 (ja) 車両用ディスクブレーキ
JP2587717Y2 (ja) 車両用ディスクブレーキの摩擦パッド戻し構造
JP4108889B2 (ja) ディスクブレーキ
JP3502248B2 (ja) ディスクブレーキ
JP2009127646A (ja) 車両用ピンスライド型ディスクブレーキ
JP2011127619A (ja) 車両用ディスクブレーキ
JP2009180265A (ja) ディスクブレーキ
JP2002139081A (ja) ディスクブレーキ
JP2007085427A (ja) ピンスライド型車両用ディスクブレーキ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20031225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040127

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041012

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050913

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050926

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060307

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060328

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100407

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100407

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110407

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120407

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130407

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130407

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140407

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees