JP3773467B2 - カルシウム及び重金属を含む物質の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルシウム及び重金属を含む物質の処理方法に関し、より詳しくは、セメントキルン等で発生する排ガスから集塵した煤塵から、カルシウム及び鉛等の重金属を分別して回収するための処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物を原料の一部として用いたセメントキルン等から発生する重金属を含む煤塵(キルン集塵ダスト)等から、重金属を回収し、非鉄精錬原料として再資源化する技術が開発されている。
例えば、特開2000−212654号公報には、亜鉛等の重金属成分と塩素とを含む物質(例えば、飛灰)に、鉱酸を加えてスラリー化し、pHを5以下に調整して塩素を溶解させる塩素溶解工程と、該塩素溶解工程のスラリーにアルカリ剤を添加してpHを12以上に調整した後、固液分離することにより重金属含有澱物を塩素含有濾液から分離して回収する重金属含有澱物回収工程とからなることを特徴とする重金属と塩素を含有する物質からの重金属の回収方法が、記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載の技術においては、塩素溶解工程のスラリーにアルカリ剤を添加してpHを12以上に調整した後、固液分離することによって、亜鉛等の重金属を重金属含有澱物(水酸化物)として回収している。
しかし、この技術には、次のような問題点がある。
すなわち、上記公報の技術で得られる重金属含有澱物(水酸化物)は、亜鉛等の重金属を含むだけでなく、水酸化カルシウムや、当該重金属含有澱物の生成過程で当該重金属含有澱物中に取り込まれるナトリウムやカリウム等の成分を含むため、非鉄精錬原料としての品質が高いものではない。つまり、スラリーのpHを12以上に調整することによって、固形分には、重金属の水酸化物のみならず、水酸化カルシウム等も含まれることになるため、固形分中の重金属化合物の含有率が低くなり、非鉄精錬原料としての価値が低下する。
【0004】
したがって、本発明は、カルシウム及び重金属を含む物質(例えば、キルン集塵ダスト)から、カルシウム、ナトリウム、カリウム等の含有率の低い、非鉄精錬原料として好適に用い得る重金属化合物と、亜鉛等の特定の重金属を含まない、セメント原料として好適に用い得るカルシウム化合物とを分別して回収することのできる処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の問題点を解決するために鋭意検討した結果、カルシウム及び重金属を含む物質を処理するに際し、塩酸によるpHの調整によって液中にカルシウムを溶出させた後、アルカリ化剤によるpHの調整を行ない、さらに硫化剤を添加することによって、カルシウムを液中に溶存させた状態を維持しつつ、重金属の硫化物を含む沈澱物を得ることができ、よって、上記目的を達成することができること等に想到し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明(請求項1)のカルシウム及び重金属を含む物質の処理方法は、(A)カルシウム及び重金属(例えば、銅、鉛、亜鉛)を含む物質と、水とを混合し、スラリーを得た後、該スラリーに塩酸を加えて、該スラリーのpHを2.0〜4.0に調整し、上記カルシウム及び重金属を含む物質から、液中にカルシウムを溶出させるカルシウム溶出工程と、(B)カルシウムを溶出させた上記スラリーに、アルカリ化剤(例えば、水酸化ナトリウム)を加えて、該スラリーのpHを6.5〜8.0に調整した後、硫化剤(例えば、水硫化ソーダ)を加え、その後、該スラリーを固液分離して、重金属の硫化物(例えば、硫化銅、硫化鉛、硫化亜鉛)を含む固形分と、カルシウムを含む液分とを得る重金属回収工程と、(C)上記重金属回収工程(B)で得られたカルシウムを含む液分に、第一鉄化合物を加えた後、該液分のpHを8.0〜12.0に調整し、その後、該液分を固液分離して、水酸化第一鉄、水酸化カルシウム、上記カルシウム及び重金属を含む物質に由来するセレン及び/又はクロムの各成分を含む固形分と、重金属が除去された液分とを得るセレン及びクロム除去工程とを含むことを特徴とする。
本発明の方法によれば、カルシウム溶出工程(A)において、カルシウム及び重金属を含む物質に含まれるカルシウムを、液中に溶出させることができ、かつ、重金属回収工程(B)において、重金属のみを硫化物として回収することができるので、カルシウム(セメント原料として利用可能な成分)と、銅等の重金属を、相互に混入させることなく分別して回収することができる。また、本発明の方法によれば、複数の反応槽を用いることなく、一つの反応槽内で、カルシウムと、銅等の重金属を分離するための一連の操作を行なうことができる。さらに、本発明の方法によれば、セレン及びクロム除去工程(C)を設けているので、銅等の特定の重金属(すなわち、不溶性の硫化物を生成し得る重金属)を除去した後の液分から、更にセレン及びクロムを効果的に除去し、液中のセレン及びクロムの濃度を環境基準値以下に低減することができる。
【0008】
上記カルシウム及び重金属を含む物質の処理方法は、さらに、上記セレン及びクロム除去工程(C)の前工程として、(D)上記重金属回収工程(B)で得られた液分に、リン酸及び/又はリン酸塩を加え、かつ、必要に応じてアルカリ化剤(例えば、消石灰等)を加えて、該液分のpHを6.0〜10.0に調整し、上記カルシウム及び重金属を含む物質に由来するフッ素と、上記リン酸及び/又はリン酸塩とが反応してなる難溶性のリン酸フッ素化合物を生成させるフッ素除去工程を含むことができる(請求項2)。
このようにフッ素除去工程を設けることによって、銅等の特定の重金属を除去した後の液分から、フッ素を固体成分として沈澱させて、液中のフッ素の濃度を環境基準値以下に低減することができる。
本発明における処理対象物としては、例えば、エコセメント製造用セメントキルン等のキルンで発生する排ガスから集塵した煤塵を挙げることができる(請求項3)。
該煤塵は、カルシウムや重金属の含有率が高いので、本発明の方法の対象物として好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明のカルシウム及び重金属を含む物質の処理方法の一例を示すフロー図、図2は、本発明のカルシウム及び重金属を含む物質の処理方法の他の例を示すフロー図である。
本発明のカルシウム及び重金属を含む物質の処理方法の一例は、図1に示すように、(A)カルシウム及び重金属を含む物質と、水とを混合し、スラリーを得た後、該スラリーに塩酸を加えて、該スラリーのpHを2.0〜4.0に調整し、カルシウム及び重金属を含む物質から、液中にカルシウムを溶出させるカルシウム溶出工程と、(B)工程(A)で得られたスラリーに、アルカリ化剤を加えて、該スラリーのpHを6.5〜8.0に調整した後、硫化剤を加え、その後、該スラリーを固液分離して、重金属の硫化物を含む固形分と、カルシウムを含む液分とを得る重金属回収工程と、(C)工程(B)で得られたカルシウムを含む液分に、第一鉄化合物を加えた後、該液分のpHを8.0〜12.0に調整し、その後、該液分を固液分離して、水酸化第一鉄、水酸化カルシウム、上記カルシウム及び重金属を含む物質に由来するセレン及び/又はクロムの各成分を含む固形分と、重金属が除去された液分とを得るセレン及びクロム除去工程とからなるものである。
【0010】
また、本発明のカルシウム及び重金属を含む物質の処理方法の他の例は、図2に示すように、図1に示す各工程に加えて、工程(B)と工程(C)の間に、(D)工程(B)で得られた液分に、リン酸及び/又はリン酸塩を加え、かつ、必要に応じてアルカリ化剤を加えて、該液分のpHを6.0〜10.0に調整し、カルシウム及び重金属を含む物質に由来するフッ素と、リン酸及び/又はリン酸塩とが反応してなるリン酸フッ素化合物を生成させるフッ素除去工程を含むものである。
【0011】
以下、各工程毎に詳しく説明する。
[(A)カルシウム溶出工程]
本工程では、まず、カルシウム及び重金属を含む物質と、水とを混合し、スラリーを得る。
本発明で処理対象となるカルシウム及び重金属を含む物質としては、例えば、焼却炉の炉底等に焼却残渣として残る焼却灰や、煤塵を挙げることができる。
ここで、煤塵としては、例えば、焼却炉から発生する飛灰(焼却飛灰)や、焼却灰等の溶融炉から発生する飛灰(溶融飛灰)や、セメント製造工程から抽気される塩素バイパスダストや、エコセメントの製造時に得られるバグフィルターダスト等を挙げることができる。
【0012】
煤塵の中でも、焼却灰及び/又は飛灰を含む被燃焼物から発生する煤塵(本明細書中で「キルン集塵ダスト」ともいう。)は、カルシウム及び重金属を比較的高い含有率で含むものであり、本発明の処理対象物として好適である。
キルン集塵ダストとしては、例えば、焼却灰や飛灰を原料の一部として用いるエコセメント製造用のセメントキルンや、焼却灰や飛灰を高温処理するためのキルンから排出される飛灰等が挙げられる。
エコセメント製造用のセメントキルンで発生するキルン集塵ダストの成分割合は、例えば、酸化物換算の重量割合で、カルシウム2%、カリウム13%、ナトリウム32%、鉛2%、亜鉛1%、銅2%、塩素38%である。
【0013】
本工程において、カルシウム及び重金属を含む物質と、水とを混合する際の固液比(スラリー1リットル中のカルシウム及び重金属を含む物質の質量)は、好ましくは600g/リットル以下である。該固液比が600g/リットルを超えると、カルシウム及び重金属を含む物質に含まれるカルシウム、水溶性塩素等を液中に十分溶出させることができないことがある。
【0014】
次に、得られたスラリーに塩酸を加えて、該スラリーのpHを2.0〜4.0、好ましくは2.5〜3.5に調整し、カルシウム及び重金属を含む物質から、液中にカルシウムを溶出させる。
該pHが2.0未満では、カルシウム及び重金属を含む物質に含まれる珪素やアルミニウムが、液中に溶出してゲル状物質を形成し、固液分離の際に濾過速度の低下を引き起こす。一方、該pHが4.0を超えると、カルシウム及び重金属を含む物質に含まれるカルシウムの液中への溶出量が減少し、重金属とカルシウムの分離が不十分になる。
なお、塩酸の代わりに硝酸や有機酸を用いると、排水処理工程への負荷が増加し、処理コストの増大を招くので、好ましくない。また、塩酸の代わりに硫酸を用いると、カルシウム及び重金属を含む物質に含まれるカルシウムが、硫酸カルシウム(石膏)を生成し、液中に溶出しなくなるので、好ましくない。
【0015】
[(B)重金属回収工程]
本工程では、まず、カルシウム溶出工程(A)で得られたスラリーに、アルカリ化剤を加えて、該スラリーのpHを6.5〜8.0、好ましくは6.8〜7.7に調整する。
ここで、アルカリ化剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。アルカリ化剤は、通常、水溶液の形態で添加される。
スラリーのpHが6.5未満では、液中の亜鉛の硫化反応が不十分となり、硫化亜鉛の生成量が少なくなって、亜鉛の回収率が低下する。
スラリーのpHが8.0を超えると、液中に溶出せずに固形分(水酸化物)として残留するカルシウムの量が増加し、重金属とカルシウムの分離が不十分になる。また、重金属が硫化物でなく水酸化物として固形分中に存在するようになるため、この重金属の水酸化物が、液中に溶出した水溶性塩素(塩化物イオン)、ナトリウムイオン、カリウムイオン等の成分を取り込み、固形分中の水溶性塩素等の含有量が増加する。このように、固形分に含まれる重金属化合物以外の成分の含有量が増加すると、非鉄精錬原料としての固形分の価値が低下するので、好ましくない。
【0016】
次に、pHを調整したスラリーに、硫化剤を加える。
ここで、硫化剤としては、例えば、水硫化ソーダ(NaSH)、硫化ソーダ(Na2S)等を挙げることができる。硫化剤を添加することによって、カルシウム及び重金属を含む物質に含まれている銅、鉛、亜鉛は、各々、硫化銅(CuS)、硫化鉛(PbS)、硫化亜鉛(ZnS)となる。これらの硫化物は、難溶性であり、固形分中に残る。
硫化剤の添加量は、カルシウム及び重金属を含む物質中の重金属(銅、鉛、亜鉛)の含有量に応じて、適宜、定めればよい。
硫化剤を添加した後のスラリーを、濾過等によって固液分離して、重金属の硫化物を含む固形分と、カルシウムを含む液分とを得る。
このうち、固形分(脱水ケーキ)は、水溶性塩素が付着しているので、水で洗浄して、水溶性塩素を除去する。洗浄後、固形分は、非鉄精錬原料等として利用することができる。
一方、カルシウムを含む液分は、セレン及びクロム除去工程に送られる。
【0017】
[(C)セレン及びクロム除去工程]
本工程では、まず、重金属回収工程(B)で得られたカルシウムを含む液分に、第一鉄化合物を加える。
ここで、第一鉄化合物(2価の鉄の化合物)としては、例えば、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄等を挙げることができる。
第一鉄化合物は、液中で2価の鉄イオンになる。この2価の鉄イオンは、液中に存在する6価のセレンイオン及び6価のクロムイオンを還元する。その結果、液中の6価のセレンイオンの大部分は、4価のセレンイオンになり、6価のクロムイオンの大部分は、3価のクロムイオンになる。
第一鉄化合物の添加量は、液中のセレン含有率が1mg/リットルの場合、第一鉄イオンとして2,500mg/リットル以上、液中のセレン含有率が10mg/リットルの場合、第一鉄イオンとして6,000mg/リットル以上であることが好ましい。
【0018】
第一鉄化合物を添加した後、液分のpHを、必要に応じて消石灰等のアルカリ化剤を添加することによって、8.0〜12.0、好ましくは8.5〜11.5に調整する。該pHをこの数値範囲内に調整することによって、第一鉄化合物に由来する水酸化鉄と、液中のカルシウムが水酸化物イオンと反応して生じた水酸化カルシウムと、カルシウム及び重金属を含む物質に由来するセレン及び/又はクロムとを共沈させることができる。
該pHが8.0未満では、水酸化鉄の生成が不十分になり、水酸化鉄によるセレン及び/又はクロムの共沈が十分に生じず、液中に残留するセレン及び/又はクロムの量が多くなるので、好ましくない。該pHが12.0を超えると、液中にセレンが残留するので、好ましくない。
【0019】
次に、pH調整後の沈澱物を含む液分を、濾過等によって固液分離して、固形分(脱水ケーキ)と液分を得る。
このうち、固形分は、上述のように、水酸化第一鉄、水酸化カルシウム、及びこれらの水酸化物と共沈するセレン及び/又はクロムを含む。この固形分は、水酸化カルシウムを主成分とし、銅等の重金属を含まないため、水洗後、セメント原料として用いることができる。
一方、液分は、重金属を含まず、ナトリウムイオン、塩化物イオン等を多く含むため、pH調整工程や塩化物回収工程を経た後、系外の環境中に排水することができる。
【0020】
[(D)フッ素除去工程]
重金属回収工程(B)で得られたカルシウムを含む液分が、排水基準(例えば、15mg/リットル)を超えるフッ素を含む場合には、セレン及びクロム除去工程(C)の前に、フッ素除去工程(D)を設けることが望ましい。
本工程では、まず、重金属回収工程(B)で得られた液分に、リン酸及び/又はリン酸塩を加える。リン酸及び/又はリン酸塩の添加量(リン酸とリン酸塩を併用する場合は、それらの合計量)は、通常、液中のフッ素1モルに対して3〜30モル程度である。
リン酸及び/又はリン酸塩を添加して、スラリーのpHが6.0未満に低下した場合には、消石灰等のアルカリ化剤を加えて、スラリーのpHを6.0〜10.0、好ましくは6.5〜9.5に調整する。なお、リン酸及び/又はリン酸塩を添加した後のスラリーのpHが、上記数値範囲内である場合には、アルカリ化剤を加える必要はない。
【0021】
該pHをこの数値範囲内に調整することによって、カルシウム及び重金属を含む物質に由来するフッ素と、添加したリン酸及び/又はリン酸塩と、液中に存在するカルシウムとを反応させて、リン酸フッ素化合物を生成させることができる。該pHが6.0未満または10.0を超えると、リン酸フッ素化合物の生成量が少なくなり、フッ素を十分に除去することができなくなる。
リン酸(H3PO4)は、通常、適宜の濃度のリン酸水溶液として添加される。
リン酸塩としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム等を挙げることができる。
【0022】
リン酸フッ素化合物は、具体的には、フルオロアパタイト(Ca10(PO4)6F2)である。フルオロアパタイトは、難溶性物質であり、液中に沈澱する。
なお、アルカリ化剤として消石灰(Ca(OH)2)を用いた場合には、消石灰は、リン酸フッ素化合物(Ca10(PO4)6F2)のカルシウム源となる。
pHの調整後、リン酸フッ素化合物の沈澱物を含む液分は、上述のセレン及びクロム除去工程(C)で処理される。
なお、本工程で得られるリン酸フッ素化合物の沈澱物を含む液分は、セレン及びクロム除去工程(C)で処理する前に、予め、濾過等によって固液分離してもよい。この場合、沈澱物(リン酸フッ素化合物)を濾別して得られた液分は、上述のセレン及びクロム除去工程(C)で処理される。
【0023】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明する。
[実施例1]
処理対象物として、エコセメント製造用のセメントキルンから排出された排ガスから集塵して得られた煤塵を用いた。この煤塵は、酸化物換算の重量割合で、カルシウム2%、カリウム13%、ナトリウム32%、鉛2%、亜鉛1%、銅2%、塩素38%を含むものであった。
この煤塵1kgと水とを400g/リットルの固液比となるように20分間撹拌して混合し、スラリーとした。このスラリーに塩酸溶液(濃度:35%)を加えて、スラリーのpHを3.2に調整した。次いで、スラリーに2Nの水酸化ナトリウム溶液を加えて、スラリーのpHを7.0に調整し、さらに、26gの水硫化ナトリウムを加えて、撹拌した。
撹拌後、スラリーを濾過して、57g(乾燥重量)の固形分(重金属の硫化物)と、カルシウムを含む液分を得た。
得られた液分に1Nのリン酸溶液20mLを加えた後、さらに消石灰を加えて撹拌し、得られたスラリーのpHを7.5に調整した。次いで、このスラリーを濾過して、リン酸フッ素化合物からなる固形分と、液分を得た。
得られた液分に、15g/リットルの固液比で硫酸第一鉄七水塩(FeSO4・7H2O)を加えた後、2Nの水酸化ナトリウム溶液を加えて、液分のpHを9.4 に調整した。pH調整後のスラリーを濾過して、水酸化カルシウム、水酸化鉄等を含む固形分と、液分を得た。
得られた液分に含まれるセレン、クロム、フッ素の量は、いずれも環境基準値以下であった。
【0024】
【発明の効果】
本発明の処理方法によれば、キルン集塵ダストの如きカルシウム及び重金属を含む物質から、カルシウム、ナトリウム、カリウム等の含有率の低い、非鉄精錬原料として好適に用い得る重金属化合物と、亜鉛等の重金属の含有率の低い、セメント原料として好適に用い得る水酸化カルシウム含有物質とを、1つの反応槽内で効率的に分別して回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカルシウム及び重金属を含む物質の処理方法の一例を示すフロー図である。
【図2】本発明のカルシウム及び重金属を含む物質の処理方法の他の例を示すフロー図である。
Claims (3)
- (A)カルシウム及び重金属を含む物質と、水とを混合し、スラリーを得た後、該スラリーに塩酸を加えて、該スラリーのpHを2.0〜4.0に調整し、上記カルシウム及び重金属を含む物質から液中にカルシウムを溶出させるカルシウム溶出工程と、
(B)カルシウムを溶出させた上記スラリーに、アルカリ化剤を加えて、該スラリーのpHを6.5〜8.0に調整した後、硫化剤を加え、その後、該スラリーを固液分離して、重金属の硫化物を含む固形分と、カルシウムを含む液分とを得る重金属回収工程と、
(C)上記重金属回収工程(B)で得られたカルシウムを含む液分に、第一鉄化合物を加えた後、該液分のpHを8.0〜12.0に調整し、その後、該液分を固液分離して、水酸化第一鉄、水酸化カルシウム、上記カルシウム及び重金属を含む物質に由来するセレン及び/又はクロムの各成分を含む固形分と、重金属が除去された液分とを得るセレン及びクロム除去工程と
を含むことを特徴とするカルシウム及び重金属を含む物質の処理方法。 - 上記セレン及びクロム除去工程(C)の前工程として、
(D)上記重金属回収工程(B)で得られた液分に、リン酸及び/又はリン酸塩 を加え、かつ、必要に応じてアルカリ化剤を加えて、該液分のpHを6.0〜10.0に調整し、上記カルシウム及び重金属を含む物質に由来するフッ素と、上記リン酸及び/又はリン酸塩とが反応してなるリン酸フッ素化合物を生成させるフッ素除去工程
を含む請求項1に記載のカルシウム及び重金属を含む物質の処理方法。 - 上記カルシウム及び重金属を含む物質が、キルンで発生する排ガスから集塵した煤塵である請求項1又は2に記載のカルシウム及び重金属を含む物質の処理方法。
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