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JP3813052B2 - 重金属等を含有する飛灰の処理方法 - Google Patents

重金属等を含有する飛灰の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ゴミ焼却施設や産業廃棄物焼却場等における焼却炉や溶融炉あるいは汚泥を処理するセメントキルン等から発生する銅、鉛、亜鉛等重金属の他、塩素及びセレンを含有する飛灰の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般事業所や一般家庭から排出されるゴミ(「都市ゴミ」または「一般廃棄物」と称されている)は都市ゴミ焼却施設や産業廃棄物焼却工場等に集められ焼却処分されている。その際に焼却炉から発生する焼却灰や飛灰は薬剤処理、または、溶融炉、セメントキルン処理等の中間処理を施し最終処分場に堆積されている。
【0003】
しかしながら、上記溶融炉やセメントキルン等での中間処理では、蒸気圧の高い鉛、亜鉛およびカドミウム等の重金属は炉内で揮発して排ガスに入り、この排ガスに入った重金属は排ガス処理設備のなかで凝縮して再び飛灰となってしまうという問題があった。
この再度の飛灰中には、塩素、ナトリウム、カルシウム、セレンと共に鉛、銅、亜鉛、カドミウム等の重金属が多量に含まれれており、これらの回収を含めた安定した処理方法が求められていた。
【0004】
このような飛灰について、特開平7−109533号公報には、飛灰を槽内の水に懸濁し、この懸濁液を酸またはアルカリの添加によりアルカリ域の適当値にpH調整することによって飛灰中の重金属を水酸化物として沈殿させ、その沈殿を回収する方法について開示している。また本出願人も、先に、湿式処理方式によって対処する方法を出願している(特開平8−117727号公報および特開平8−141539号公報)。
【0005】
特開平8−117724号公報には、飛灰を水でスラリー化し、pH調整して固液分離する第1工程と、該第1工程からの殿物を酸液でリパルプし、pH3以下に調整した後、固液分離して鉛残渣を得る第2工程と、前記第1工程と前記第2工程からの酸性濾液に中和剤またさらに水硫化ソーダを加えて亜鉛、銅を含む殿物を濾別し、濾過水を排水液とする第3工程とからなる方法が開示されており、特開平8−141539号公報には、飛灰を水と中和剤で中和して固液分離する第1工程と、該第1工程からの殿物をリパルプし、硫酸によりpH3前後に調整した後、固液分離して鉛残渣を得る第2工程と、該第2工程からの濾液にアルカリ中和剤を加えて亜鉛、銅を含む殿物を濾別する第3工程と、該第3工程の濾過水を該第1工程の中和液として繰り返し、該第1工程からの濾液について硫化剤を添加して排液処理する方法が開示されている。
【0006】
このような湿式処理方法により、飛灰に含まれている重金属を安定な形で分離し、重金属資源として有効に回収すると共に、飛灰を湿式処理した後の排水を、国の排水基準すなわち水質汚濁防止法第3条第1項の規制に沿って無害化できるようになった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平7−109533号公報にみられるように回収した重金属殿物中に塩化カルシウム等の塩類が多量に入り込む場合があり、製錬工程では、塩素の持ち込みを嫌うことから重金属のリサイクルという面では、なお問題を残していた。また、処理排水についても、近年、地域によっては環境公害に対する懸念からさらに規制を強化し、上記の国の排水基準値を上回る厳しい基準値で上乗せ規制を課すところがでている。例えば、地方条例(I市の上乗せ基準値)によれば、カドミウム0.01mg/l(国の排水基準値0.1mg/l,以下同様)、フッ素10mg/l(15mg/l)、水銀0.0005mg/l(0.005mg/l)、COD20mg/l(120mg/l)を上限とするように厳しく規制されるような状況にある。
【0008】
さらに、飛灰を湿式処理した排水は、20〜50g/lにも及ぶ多量の塩素が含まれ、溶存する重金属類は塩化物錯イオンを形成し易く、その除去が非常に困難な特異的な排水になっており、従来の技術では上記の地域の上乗せ規制に対応できない場合が生じているのが現状である。また、前記排水にセレンが混入した場合についても、従来法では国の排水基準値(0.1mg/l)以下に除去するのは非常に困難で、多くの工数やコストをかけている状況にある。
【0009】
排水中のセレンを除去する方法としては、鉄粉置換処理方法や水酸化第2鉄を用いた吸着処理方法等が知られているが。前記の鉄粉置換処理法では、SeO3 2- (亜セレン酸イオン;以下4価セレンという)の除去に関しては、ほぼ排水基準値以下にまで低減が可能であったが、SeO4 2- (セレン酸イオン;以下6価セレンという)の除去に関しては、除去能力が乏しいという問題があり、また、水酸化第2鉄の凝集フロックにセレンを吸着させて除去する吸着処理方法では、吸着可能な微量濃度でのみ適用可能な方法であり、したがって上述のような従来の除去法においては、いずれも比較的濃度が高い6価セレンを含有する排水処理の場合の適用に問題があった。
【0010】
また例えば、特開平6−79286号公報には、排水にセレン量に見合う多量の硫酸第1鉄塩を加えた後、中和剤を添加し、セレンを凝集する水酸化第2鉄に吸着させて除去する方法が開示されている。しかし、この方法は6価セレンの除去効率が悪く、また、コストがかかるという問題があった。
【0011】
さらに、特開平8−132074号公報には、排水を、塩化第1鉄等、遷移金属化合物の存在下で、pH9以上に、かつ温度70℃以上に保持してセレンを殿物として除去する方法が開示されている。しかし、この方法においては実質的に液温を80℃以上に昇温させないと6価セレンの効率的な除去ができないので、昇温のためのコストがかかり、また、排水が高温度となる点に問題があった。
【0012】
一方、本発明者等が提案した技術として、特開平8−267076号公報に開示された方法がある。この方法は、セレンを含有する排水に、2価鉄イオンを溶存させ、大気中で液温を30℃以上に加温維持しつつ、アルカリ剤を添加してpH8〜10に中和し、固液分離して殿物を除くか、また、好ましくは大気遮断下、30℃以上に加温維持しつつアルカリ剤を添加してpHを8〜10に中和した後、固液分離して殿物を除くことにより排水中のセレン量を0.1mg/l以下にまで低下させる方法である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平8−267076号公報に開示された方法は、6価セレンをも容易に0.1mg/l以下にまで除去が可能であったが、前記特開平8−132074号公報の発明の場合程の高温度ではないが、液の加温処理が必要である等作業性や経済性に問題が残っている。
【0014】
本発明は、このような状況に鑑み、飛灰中の有用重金属を塩素、カルシウム等の塩類と分離し、製錬工程において再利用可能な形で分離回収でき、且つ飛灰処理の多量に塩素を含有する排水について6価セレンが混入しても他の重金属等と共に、室温でも容易に除去でき、厳しい地域排水規制に対応できる飛灰処理方法の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、第1に、亜鉛、銅、鉛の少なくとも1種と塩素及びセレンとを含む飛灰の処理方法であって、前記飛灰に鉱酸を加えてスラリー化し、pHを5以下に調整して塩類を溶出させる塩類溶出工程と、該塩類溶出工程のスラリーに中和剤を添加してpHを8〜12に調整し、重金属含有殿物と塩類含有濾液とに固液分離する重金属分離工程と、該重金属分離工程で得られた塩類含有濾液から溶存酸素を除去する溶存酸素除去工程と、該溶存酸素除去工程の処理液に第1鉄塩を添加し、引き続きアルカリ剤を添加してpHを8〜11に調整し、鉄塩共沈殿物と濾過水とに固液分離する鉄塩共沈工程とからなる重金属等を含有する飛灰の処理方法であり;第2に、前記鉄塩共沈工程は、前記重金属分離工程で得られた塩類含有濾液に第1鉄塩を添加した後、該塩類含有濾液から溶存酸素を除去する溶存酸素除去工程を経て、該溶存酸素除去工程の処理液に、アルカリ剤を添加してpHを8〜11に調整し、鉄塩共沈殿物と濾過水とに固液分離する工程であることを特徴とする前記第1に記載の飛灰の処理方法であり;第3に、前記鉄塩共沈工程は、前記重金属分離工程で得られた塩類含有濾液から溶存酸素を除去する溶存酸素除去工程を経て、該溶存酸素除去工程の処理液に、第1鉄塩を添加し、引き続きアルカリ剤を添加してpHを8〜9に調整し、次いで、pHを9〜11に調整して鉄塩共沈殿物と濾過水とに固液分離する工程であることを特徴とする前記第1に記載の飛灰の処理方法であり;第4に、前記鉄塩共沈工程は、前記重金属分離工程で得られた塩類含有濾液に第1鉄塩を添加した後、該塩類含有濾液から溶存酸素を除去する溶存酸素除去工程を経て、該溶存酸素除去工程の処理液に、引き続きアルカリ剤を添加してpHを8〜9に調整し、次いで、pHを9〜11に調整した後、鉄塩共沈殿物と濾過水を固液分離する工程であることを特徴とする前記第1に記載の飛灰の処理方法であり;第5に、前記溶存酸素を除去する方法が、前記塩類含有濾液をpHが7以下で金属と接触させる手段を含むことを特徴とする前記第1〜第4のいずれかに記載の飛灰の処理方法であり;第6に、前記金属が鉄粉であることを特徴とする前記第5に記載の飛灰の処理方法であり;第7に、前記鉄塩共沈工程における鉄塩共沈殿物を含有する被処理水から鉄粉を磁気選別により回収して前記溶存酸素除去工程に供すると共に、鉄粉を除去した前記被処理水を鉄塩共沈殿物と濾過水とに固液分離し、得られた鉄塩共沈殿物をpH4以下の酸性液で溶解し、濾別して得られた濾過液を2価鉄源として前記第1鉄塩の添加処理に供することを特徴とする前記第6に記載の飛灰の処理方法であり;第8に、前記鉄塩共沈工程において固液分離して得られた鉄塩共沈殿物をpH4以下の酸性液で溶解した後、溶解液中の鉄粉を磁気選別により回収して前記溶存酸素除去工程に供すると共に、鉄粉を除去した前記溶解液を濾過して得られる濾過液を2価鉄源として前記第1鉄塩の添加処理に供することを特徴とする前記第6に記載の飛灰の処理方法であり;第9に、前記溶存酸素を除去する方法が、少なくとも、前記塩類含有濾液を非酸化性ガスでバブリングする手段を含むことを特徴とする前記第1〜第4のいずれかに記載の飛灰の処理方法であり;第10に、前記溶存酸素を除去する方法が、少なくとも、前記塩類含有濾液を減圧処理する手段を含むことを特徴とする前記第1〜第4のいずれかに記載の飛灰の処理方法であり;第11に、前記溶存酸素を除去する方法が、少なくとも、前記塩類含有濾液に溶存酸素除去剤を添加する手段を含むことを特徴とする前記第1〜第4のいずれかに記載の飛灰の処理方法であり;第12に、前記溶存酸素の除去を前記塩類含有濾液の溶存酸素が0.5mg/l以下になるまで行うことを特徴とする前記第1〜第11のいずれかに記載の飛灰の処理方法であり;第13に、前記鉄塩共沈工程における前記塩類含有濾液の処理温度が20〜30℃であることを特徴とする前記第1〜第12のいずれかに記載の飛灰の処理方法であり;第14に、前記鉄塩共沈工程からの濾過水に、吸着剤を接触させてCOD成分と重金属とを吸着させる吸着処理を施して清浄排水を得るCOD成分及び重金属吸着工程を有することを特徴とする前記第1〜第13のいずれかに記載の飛灰の処理方法であり;第15に、前記重金属分離工程で得られた前記塩類含有濾液に、アルミニウム塩を添加してpHを5〜8に調整し、アルミ塩共沈殿物と濾過水とに固液分離するアルミ塩共沈工程を設けることを特徴とする前記第1〜第14のいずれかに記載の飛灰の処理方法であり;第16に、前記重金属分離工程で得られた前記重金属含有殿物に鉱酸を加えてリパルプすると共に、pHを5以下に調整し、鉛を主体とする鉛産物と濾液とに固液分離する鉛産物回収工程と、該鉛産物回収工程で得られた濾液に中和剤を添加してpHを8以上に調整し、銅と亜鉛を主体とする銅・亜鉛産物と濾過水とに固液分離する銅・亜鉛産物回収工程とを有することを特徴とする前記第1〜第15のいずれかに記載の飛灰の処理方法であり;第17に、前記重金属分離工程で得られた前記重金属含有殿物に鉱酸を加えてリパルプすると共に、pHを5以下に調整し、引き続き中和剤を添加してpHを8以上に調整した後、重金属産物と濾過水とに固液分離する重金属産物回収工程を有することを特徴とする前記第1〜第15のいずれかに記載の飛灰の処理方法であり;第18に、前記重金属産物を水で洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする前記17に記載の飛灰の処理方法であり;第19に、前記溶存酸素除去工程が、非酸化性雰囲気中で行われることを特徴とする前記第1〜第18のいずれかに記載の飛灰の処理方法であり;第20に、前記第1鉄塩の添加処理と前記鉄塩共沈工程が非酸化性雰囲気中で行われることを特徴とする前記第1〜第19のいずれかに記載の飛灰の処理方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、都市ゴミ焼却施設等の焼却灰処理で発生する二次飛灰の処理方法の場合を例に図1の全処理工程図と、処理の具体例を示す図2〜図5の部分工程図を参照して説明する。先ず、図1に示すように、飛灰は、塩類溶出工程と重金属分離工程を経て、塩類含有濾液と重金属含有殿物とに分離する。すなわち、図2のように、飛灰を水と混合させてスラリー化させ、このスラリーを攪拌しながら、塩酸または硫酸等の鉱酸を添加してpHを5以下、好ましくは、pH4程度に調整し、塩素、ナトリウム、カルシウム等の塩類、特に塩化物を液側に移行させる(塩類溶出工程)。なお、前記スラリーのpHは、飛灰の組成によって異なるため、鉱酸の添加量は飛灰に応じて調整する。したがって、前記スラリーのpHがすでに最適pHにある場合には鉱酸を加える必要はない。
【0017】
次いで、スラリーに水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウム等のアルカリ中和剤を添加してpHを8〜12の間に調整した後、固液分離することによって重金属含有殿物と、セレンを含む塩素、ナトリウム、カルシウム等を含有する塩類含有濾液とに固液分離する(重金属分離工程)。以上のように、塩類溶出工程で飛灰中の塩類を酸性側において十分に溶出させた後、重金属分離工程でこの酸性の溶出液を中和することにより、重金属含有殿物中の塩素等の塩類の含有率を著しく減少させることが可能となる。この塩素含有率の低い重金属含有殿物は水洗後、製錬工程の原料とすることができる。塩類含有濾液については、第1鉄塩の添加による鉄塩凝集処理を行ってセレンや重金属を含む鉄塩共沈殿物とに濾過水に分別する(鉄塩共沈工程)。
【0018】
前記塩類含有濾液がフッ素を含有する場合は、鉄塩共沈工程前後に除去を図る必要があるが、鉄塩共沈行程に先立って除去すると効果的である。すなわち、前記塩類含有濾液に塩化アルミニウム等のアルミニウム塩を添加してpHを5〜8程度に調整することにより、溶存するフッ素を凝集する水酸化アルミニウム(Al(OH)3 )と共沈させ、固液分離することにより、アルミニウム塩共沈殿物と濾過水を得ることができる(アルミ塩共沈工程)。このアルミ塩共沈工程において、水酸化物の沈降濾過を促進させるために、凝集剤と共に、珪藻土等の濾過助剤を添加するのが好ましい。
なお、前記重金属分離工程からの塩類含有濾液が問題になる程度のフッ素を含まない場合は、このアルミ塩共沈工程を省略し、前記塩類含有濾液をそのまま溶存酸素除去工程に供することができる。
【0019】
次に、図1に示したように、前記アルミ塩共沈工程からの濾過水から残存重金属の除去を行う鉄塩共沈工程において、特に、含有セレンの共沈を図るため、鉄塩共沈工程に先んじて、溶存酸素除去工程を実施する。また、鉄塩共沈工程においては、第1鉄塩の存在下で、溶存酸素が除去された室温の、好ましくは20〜30℃の処理液をpH8〜11にpH調整操作することにより、溶存する6価セレンを還元すると共に、同時に生成する水酸化第一鉄の凝集フロックに吸着させて鉄塩共沈殿物を得るものである。
【0020】
前記塩類含有濾液またはアルミ塩共沈工程からの濾過水の溶存酸素は、0.5mg/l以下にまで低減しないと、前記水酸化第一鉄の安定性の面から、処理排水のセレンを排水基準値の0.1mg/l以下にまで低減させるのは困難である。また、この溶存酸素の除去工程及び鉄塩共沈工程は、大気雰囲気下で実施できるが、好ましくは非酸化性雰囲気下において実施する方がより高濃度のセレン含有量まで対応が可能となる。
【0021】
溶存酸素を除去するには、(1) pH7以下の酸性域において、被処理水を鉄粉等金属と接触させる手段、(2) N2 ガス等非酸化性ガスで被処理水をバブリングする手段、(3) 被処理水に2価鉄塩を溶解して中和する手段や亜硫酸ソーダ等溶存酸素除去試薬(還元剤)を添加する手段、(4) 被処理水を減圧処理する手段等がある。それ以外の溶存酸素を除去する処理手段も当然本発明に含まれるものであり、また、これらの手段は1つまたは2つ以上に組合わせて利用することができる。
【0022】
非酸化性雰囲気は、反応液槽に被処理水を入れた後、その反応液槽の上部空間にN2 等非酸化性ガスを流入させて空気と置換させ、被処理水を上部シールすることで得られる。非酸化性ガスは、N2 ガス以外にアルゴン、ヘリウム等の不活性ガス等を用いることができるが、N2 ガスがコスト的に有利である。N2 ガス等非酸化性ガスによるバブリング処理の場合は、蓋付きの反応槽を用いて行うことにより、実質的に上部空間は置換状況すなわち非酸化性雰囲気状況となるので、バブリング処理時は、特に上部シールを行う必要はない。
【0023】
溶存酸素の除去がセレンの除去に及ぼす効果は顕著であり、例えば、純水に試薬を添加して6価セレンの濃度を高濃度の34mg/lにした液を用い、スターラーでの攪拌下で液温を25℃に保持させるようにし、500mg/lのFe2+を存在させ、pH9のアルカリ域で30分反応させて水酸化第1鉄を凝集させた場合において、液残留セレン濃度は20mg/lであったのに対し、液槽底部からN2ガスをバブリングさせて溶存酸素を除去した場合、同じ液温25℃の同じ 処理で、セレン濃度は、1.9mg/lとなった。また、溶存酸素を除去することなく、液温を比較的高温度の45℃で液槽をN2 ガスで上部シールした場合、セレン濃度は2.0mg/lであった。すなわち、溶存酸素を除去して鉄塩共沈処理を行う本発明によれば、室温処理で十分な脱セレン効果を得ることができる。
【0024】
被処理排水の溶存酸素と処理排水のセレン濃度とは密接に関連しており、溶存酸素の除去は、6価セレンの還元、水酸化第1鉄の安定とその吸着性等に顕著な影響力を及ぼしている。
飛灰の処理では、カルシウムや塩素等を多量に含む高塩濃度の排水が得られるが、このような高塩濃度排水は塩類の少ない排水に比べて6価セレンが除去し難いという問題がある。このような高塩濃度排水を元液として溶存酸素の影響力を調査したところでは、30℃以下の室温処理で処理排水のセレンを排水基準の0.1mg/l以下とするには、溶存酸素除去処理で、被処理水の溶存酸素を0.5mg/l以下にまで低減すればよいことが見出された。
【0025】
また、本発明では、鉄塩共沈工程において、6価セレンの還元と水酸化第一鉄の凝集フロックへのセレンの吸着のため、第1鉄塩を添加する。この被処理濾過水への第1鉄塩の添加は、被処理濾過水の溶存酸素除去工程の前であっても、後であってもよいが、この溶存酸素除去工程を含めて全工程を非酸化性雰囲気下で処理するのが好ましい。また、溶存酸素除去用鉄塩として第1鉄塩を使用する場合は、第1鉄塩の使用はセレン除去のための鉄塩共沈処理の場合との2段階使用になる。
【0026】
被処理水への第1鉄塩の添加は、通常、反応促進のため過剰に行われるので、セレンの共沈のための好適なpH9前後におけるセレンの除去後も、鉄イオンがその排出基準値10mg/l以下を若干上回る量で残留する場合がある。この過剰量の残留鉄イオンの除去のため、セレンの共沈反応後、さらにpH値を高めて水酸化鉄の生成を進める2段階の鉄塩共沈法を行うことが好ましい。
【0027】
飛灰処理による高塩濃度排水を元液としてpH値と残留セレンと残留鉄イオンとの関係を調査したところでは、第1段階でpH8〜9、好ましくはpH9で効率的にセレンを共沈させた後、その共沈殿物を含有したままで、第2段階として被処理液をpH9〜11に、好ましくは、約10.5に再調整し、水酸化鉄の二次凝集を行わせることにより、セレンと鉄を共に排水基準値以下に抑えることができ、また、同時に、排水中に残存するカドミウム、アンチモン、水銀、鉛等の重金属も排水基準値以下に抑えることができることが確認された。なお、前記水酸化第1鉄の二次凝集の際、pHを11以上にしても、水酸化第1鉄の沈殿量は増えず、一方、吸着セレンが若干再溶解する傾向がみられるので、pHは11以下、好ましくは10.5程度に止めたほうがよい。
【0028】
以下、図3の部分工程図により、被処理水に金属(鉄粉)を接触させる溶存酸素除去工程と第1鉄塩を添加する鉄塩共沈工程の具体例を説明する。
なお、図示の工程は、鉄塩の凝集を2段階で行うものであるが、pH8〜11での1段凝集に止めてもよい。
先ず、アルミ塩共沈工程からの濾過水を反応槽に供給する。反応槽は完全密閉槽である必要はなく、非酸化性ガスの連続供給で上部空間を非酸化性雰囲気とすることが可能で、ガス供給管及び薬剤等の供給口と共に攪拌装置を具備する蓋体を有するものであればよい。
【0029】
濾過水即ち被処理水を反応槽に供給した後、反応槽上部の空間に、非酸化性ガスとしてN2 ガスを一定の供給速度で供給して空気と置換させ、被処理水をシール状態とすることにより、非酸化性雰囲気の形成を行う。次いで、この被処理水を塩酸等酸性剤によりpH3程度の酸性域に保持し、鉄粉を例えば0.3〜1.0g/l供給し、攪拌機により強く攪拌する。鉄粉は少量が溶けて液中の酸素と反応し、0.1mg/l以下にまで溶存酸素を低減させることができる。
【0030】
溶存酸素計により、0.5mg/l以下、好ましくは、0.1mg/l以下にまで溶存酸素が低減したことを確認した後、引き続き非酸化性雰囲気中で、被処理水にFeCl2 、FeSO4 等2価鉄塩をFeとして500mg/l程度を投入し、攪拌して溶解させた後、NaOH等アルカリ剤を添加し、pH8〜9とし、このpHを維持したまま中和反応させることにより、2価の鉄イオン(Fe2+)はFe(OH)2 となって凝集(一次凝集)し、液中のセレンはこのFe (OH)2 で還元され、吸着されて共沈する。30分程度でセレンは殆ど沈殿となるが、液中に残存するFe2+が多く鉄分の排水基準値を越える場合、さらに、NaOH等アルカリ剤によりpH9〜11程度に上げ、Fe(OH)2 の二次凝集を促進させる。この時、凝集剤と共に、沈降濾過助剤として珪藻土を添加することが好ましい。
【0031】
得られたパルプ状の殿物含有処理水は沈降装置、フィルタープレス等の手段でセレンと重金属を含む鉄塩共沈殿物と濾過水とに固液分離する。これによって、セレンが容易に0.1mg/l以下に低減された清浄な濾過水を得ることができる。
【0032】
すなわち、第1鉄塩を添加してpH調整することにより、高い溶存塩素に拘らず、第1鉄イオンが総て水酸化第1鉄を生成し、この晶出初期の活性な水酸化第1鉄がその沈殿過程でセレンの他、液中の残存重金属例えば水銀、銅、鉛、亜鉛、カドミウム、クロム、砒素、アンチモン、ニッケル等を取り込んで共沈させるものと考えられ、重金属を極低レベルまで低減できる等除去効率を飛躍的に高めることができる。例えば、従来の技術では活性炭等吸着剤による吸着処理を必要としていた水銀についても、本方法の鉄塩共沈処理で十分に処理可能となっている。
【0033】
また、前記のように溶存酸素の除去に還元剤として鉄粉を使用する場合、作業効率の点から、過剰量の鉄粉が添加されるが、pH調整による水酸化鉄凝集反応の終了後、固液分離に先立ち、殿物含有処理水(パルプ水)から磁気選別等により過剰量の鉄粉が回収でき、再度溶存酸素の除去処理に供することができる。さらに、鉄粉を磁気選別により回収した後、前記殿物含有処理水を固液分離し、得られた鉄塩共沈殿物を、図示のように、pH1〜4、好ましくは2〜4の酸性液で溶解し、セレンを含む不溶解残渣を濾別し、得られた濾過液を2価鉄源として再度前記第1鉄塩の添加処理に利用することができる。この場合、殿物溶解用の前記酸性液がpH1より低いと、セレンが微量溶け出すことがあり、pHが4より高いと、鉄塩の溶解が不十分である。
【0034】
あるいは、前記水酸化鉄凝集反応の終了後、殿物含有処理水をそのまま固液分離し、得られた鉄塩共沈殿物をpH4以下の酸性液で溶解した後、溶解液中に残留する鉄粉を磁気選別で回収し、再度前記溶存酸素の除去処理に供すると共に、さらに鉄粉を除いた溶解液を濾過し、セレンを含む不溶解物を濾別し、得られた濾過液を2価の鉄源として再度前記第1鉄塩の添加工程に供することもできる。
【0035】
なお、溶存酸素除去処理を非酸化性ガスのバブリングによって行う場合は、蓋体を備える反応槽に、処理水を供給し、この被処理水中に槽底に設けた給気管を通してN2 ガス等非酸化性ガスを吹き込むバブリング操作により、被処理水中の溶存酸素を非酸化性ガスに同伴させる形で、0.1mg/l以下にまで低減させることができる。この場合、非酸化性ガスによるバブリングが反応槽上部空間のガス置換を兼ねて非酸化性雰囲気の形成を行うことになるので、鉄粉等金属や試薬を添加する場合のように、特に上部空間のガス置換操作は必要ではない。ただし、バブリング終了後すなわち溶存酸素の除去後の中和処理や鉄塩共沈処理は非酸化性雰囲気中で行う方が好ましく、前記バブリング処理後、反応槽の上部空間に非酸化性ガスを吹き込む上部シール処理を行うとより効果的である。
【0036】
また、水酸化物の凝集を3段階で行う鉄塩共沈工程の具体例を説明する(図示せず)。
被処理水を、攪拌装置を具備する反応槽に供給し、空気を巻き込まない程度の攪拌を行う。この攪拌は反応終了まで継続する。なお、N2 ガスで上部シールする場合は、強攪拌しても構わない。液温は好ましくは25〜30℃とする。反応槽を大気開放下、好ましくはN2 シール状態下におき、被処理水にFeSO4 ・7H2 O等2価鉄塩をFe2+として400mg/l程度を投入し、NaOH等アルカリ剤によりpHを8〜9好ましくは9程度に調整して15分間程度保持させ、水酸化鉄(Fe(OH)2 )の生成を図ることにより(一次凝集)、溶存酸素を低減させることができる。この時凝集する水酸化鉄により、液中のセレンもある程度共沈する。
【0037】
次いで、塩酸等酸性液によりpHを7に調整し、再度FeSO4 ・7H2 O等2価鉄塩をFe2+として400mg/l程度添加し、NaOH等アルカリ剤によりpHを8〜9好ましくは9に調整し、15〜30分間好ましくは約30分間保持することにより、水酸化鉄を凝集させ(二次凝集)、セレンを吸着・共沈させることができ、液中のセレンは0.1mg/l以下にまで十分に除去される。
【0038】
次に、液中に残存する鉄イオンを除去するため、水酸化鉄殿物を除去することなく、被処理水をNaOH等アルカリ剤でpH9〜11好ましくはpH10.5に調整し約10分間保持させることにより新たな水酸化鉄の凝集を図る(三次凝集)。10分経過後、凝集剤と共に沈降濾過助剤として珪藻土を添加し、凝集物を十分に沈降させた後、固液分離し、セレン共沈殿物を回収する。
以上の処理により、セレンおよび鉄をそれぞれ排水基準以下にまで低減した清浄排水を得ることができる。また、水酸化物の凝集は3段以上の多段で行えばより効果が大きい。なお、本反応はバッチ式でも連続式でも可能である。
【0039】
また、前記鉄塩共沈工程からの濾過水が、なお問題となる程度にCOD成分または重金属を含む場合は、さらに、図3に示したように、活性炭あるいはキレート剤等の吸着剤によるCOD成分及び重金属吸着処理に供することにより、COD成分と共に残存する微量の重金属を吸着除去させて清浄排水を得ることができる(COD・重金属吸着工程)。この活性炭等の吸着処理は、勿論カラムを使用してもよいが、前工程の鉄塩共沈液に、顆粒状あるいは粉状で加えて固液分離してもよい。勿論液中のCOD成分や重金属は除去され、また水酸化鉄の濾過性を極度に改善することができる。
【0040】
さらに、図4に示したように、前記重金属分離工程からの重金属含有殿物はリパルプあるいはフィルタープレス中での通水洗浄(正洗、逆洗)による水洗浄を行うことにより、塩素、ナトリウム、カルシウム等塩類をさらにこの重金属含有殿物より分離することができ、固液分離後の洗浄濾過水は飛灰のスラリー化用水として前記塩類溶出工程に循環させることができる(殿物洗浄工程)。
【0041】
得られた洗浄殿物はそのまま製錬工程の原料とすることもできるが、さらに分別あるいは塩類のさらなる低減を図っておくと製錬工程の処理の負担が軽減される。すなわち、さらにこの洗浄殿物に水を加えてリパルプし、塩酸または硫酸等の鉱酸を添加してpHを5以下好ましくはpH4以下に調整し、亜鉛、銅、カドミウムを主成分とする重金属を溶解させ、固液分離により、鉱酸に難溶の鉛を主成分とする重金属を回収鉛産物として回収する(鉛産物回収工程)。
【0042】
前記鉛産物回収工程からの濾液には、アルカリ中和剤を添加してpHを8以上好ましくはpH9程度に調整することにより、亜鉛、銅、カドミウムを主成分とする重金属の水酸化物を生成させ、固液分離することにより、銅・亜鉛産物と濾過水を得ることができる(銅・亜鉛産物回収工程)。濾過水は、前記殿物洗浄工程からの洗浄濾過水と併せて、塩類溶出工程における飛灰のスラリー化用水として繰り返すことにより、重金属の回収性と共に飛灰処理の経済性を高めることができる。
【0043】
前記のように、殿物洗浄工程からの洗浄殿物を鉛産物回収工程と銅・亜鉛産物回収工程の2段階工程で分別処理し、鉛産物と銅・亜鉛産物との2産物を得ることができるが、一方、前記の2段階工程を1段階工程にまとめ、重金属産物の1産物を回収するようにし、重金属回収処理の作業性を高めることもできる。すなわち、図5に示したように、前記洗浄殿物に水を加えてリパルプし、硫酸等鉱酸を添加してpHを5以下、好ましくはpH4以下に調整した後、固液分離することなく、さらにその殿物含有液にアルカリ中和剤を添加してpHを8以上、好ましくはpH9〜11に調整した後、固液分離する(重金属産物回収工程)。得られる回収殿物については、さらに水で洗浄して固液分離して塩類を低減した重金属産物を得る(洗浄工程)。洗浄工程からの洗浄濾過水は前記殿物洗浄工程からの洗浄濾過水及び前記重金属産物回収工程からの濾過水と共に、飛灰の塩類抽出工程のスラリー化用水として返戻する。
【0044】
以上のように、本発明においては、ゴミ焼却施設等からの飛灰を処理して、含まれている銅、亜鉛、鉛等重金属を、塩類と分別して製錬原料として利用できる状態で回収し、さらに、排水としては、従来、除去手段に問題があったセレンを含めて重金属や有害元素が十分に除去され、国の排水規制は勿論、地域の上乗せ規制をも満足できる清浄な濾過水を得ることができるものである。
【0045】
【実施例】
[実施例1]
<図2及び図4参照> 10リットルビーカーに純水8リットルを入れて攪拌しながら、原料としてA処理工場の飛灰800gを入れてスラリーとし、10分間攪拌しながら、鉱酸として36%塩酸を添加してpHを4に調整・維持し、30分間溶解処理を行い(塩類溶出工程)、次いで、アルカリ中和剤として200g/lのNaOH液を添加してpHを11に調整し30分間維持した後、濾過操作により重金属を主とする重金属含有殿物と塩類を主とする塩類含有濾液とに分離した(重金属分離工程)。次に、得られた重金属含有殿物を5リットルビーカーに移し、純水を2.0リットル入れてスラリーとし30分間攪拌維持した後、洗浄殿物と洗浄濾液を得た(殿物洗浄工程)。
表1に原料飛灰の組成および殿物洗浄工程で得られた洗浄殿物の品位を、また、表2に前記重金属分離工程からの塩類含有濾液の組成を示した。
【0046】
殿物洗浄工程から得られた前記洗浄殿物を10リットルビーカーに移し、純水5リットルでリパルプし、95%H2SO4を添加し、pHを4に調整して鉛以外の重金属を溶出せしめ、鉛を主とした鉛産物を得た(鉛産物回収工程)。得られた鉛産物の品位を表1に併記した。
さらに鉛産物回収工程で分別された濾液に200g/lのNaOH液をアルカリ中和剤として添加してpHを11に調整し、銅・亜鉛を主成分とする水酸化物態の銅・亜鉛産物と濾過水とに固液分離した(銅・亜鉛産物回収工程)。得られた銅・亜鉛産物の品位を表1に併記した。
【0047】
【表1】
Figure 0003813052
【0048】
【表2】
Figure 0003813052
すなわち、飛灰中の重金属を、鉛を主体とし、塩素等塩類を低減した鉛産物と、銅、亜鉛、カドミウムを主体とし、同様に塩類を低減した銅・亜鉛産物とに分別した製錬原料を得ることができた。
【0049】
[実施例2]
<図5参照> 実施例1の殿物洗浄工程で得られた洗浄殿物を10リットルビーカーに移し、純水5リットルでリパルプし、95%H2SO4を添加し、pHを4に調整して攪拌し、30分後、固液分離することなく、200g/lのNaOH液を添加してpHを9に調整した。10分後、固液分離して重金属産物と濾過水とを得た(重金属産物回収工程)。
この2段連続pH調整による洗浄殿物の処理によって得られた重金属産物の成分値を前記表1に併記した。
すなわち、前記鉛産物と前記銅・亜鉛産物を分別することなく、非鉄重金属を塩類と分離して効率的に濃縮して回収することができた。
【0050】
[実施例3]
<図2参照> 飛灰を塩類溶出工程と重金属分離工程を経て処理して得られた表3に示す成分値の塩類含有濾液を元液として、処理試験を行った。
この元液2.5リットルを3リットルビーカーに採り、脱フッ素を目的とし、アルミニウム塩として、塩化アルミニウムをアルミニウム量で50mg/l分を添加し、25℃に保持し、pHを7に調整し、30分間反応させた後、C濾紙を使用し吸引濾過することによりアルミ塩共沈殿物と濾過水とに分離した(アルミ塩共沈工程)。この濾過水即ち脱フッ素濾液(アルミ塩共沈濾液と表示)のフッ素成分値を表3に併記した。すなわち、十分にフッ素が低減された濾液が得られた。
【0051】
<図3参照> 次に、得られた濾過水(脱フッ素濾液)900mlを1リットルビーカーにとり、蓋をして上部空間にN2 ガスを500ml/minの割合で流し、上部シール状態とし、スターラー攪拌を行った。反応温度は室温の25℃に保持するようにした。塩酸液により液のpHを3に調整した後、鉄粉を0.5g/lの割合で添加し、強い攪拌を行った。10分間で溶存酸素が0.1mg/l以下となったことが溶存酸素計により確認された。
引き続き、N2 ガスによる上部シールを続けながら、第1鉄塩としてFeSO4・7H2OをFe2+の換算量で500mg/lを添加し、4分間攪拌して溶解させた。
【0052】
さらに、NaOH液でpH9に調整して30分間保持させ、水酸化第1鉄を凝集させた。次ぎに、NaOH液でpHを9.5に調整し、10分間保持させ、再び水酸化第1鉄を凝集させると共に凝集剤と珪藻土を添加した。得られたパルプ液をブフナーで吸引濾過した(鉄塩共沈工程)。
前記凝集処理(鉄塩共沈工程)における1段目のpH=9の調整反応後に採取した処理水(鉄塩共沈(1)と表示) の成分値と、2段目のpH=9.5に調整反応後に採取した処理水(鉄塩共沈(2)と表示) のZn、Se、Fe成分値を表3に併記した。
すなわち、セレンと共に、鉄以外の重金属は、1段目のpH調整(pH=9)で十分に低減されたが、鉄分は多量に残存した。この残留鉄分は、2段目のpH調整(pH=9.5)で十分凝集沈降したことがわかる。
【0053】
【表3】
Figure 0003813052
【0054】
[比較例]
[実施例3]と同じ塩類含有濾液を元液として、アルミ塩共沈処理と鉄塩共沈処理を行った。
ただし、[実施例3]で得られたアルミ塩共沈濾液を対象に鉄塩共沈処理を行った。また、この濾液について溶存酸素の除去処理を行わなかった。鉄塩共沈処理は大気開放下で行うと共に、反応液の温度を常温以上の45℃に保持した。その他については、[実施例3]と同一条件で処理した。
元液の塩類含有濾液の成分値、アルミ塩共沈濾液のフッ素成分値、鉄塩共沈処理における1段目のpH調整(pH=9)で反応させた後の処理水(鉄塩共沈(1)と表示)の各成分値、及び、2段目のpH調整(pH=9.5)で反応させた 後の処理水(鉄塩共沈(2)と表示)のCd、Seの含有量を表4に示した。
【0055】
【表4】
Figure 0003813052
【0056】
すなわち、本発明の[実施例3]は、常温での処理でありながら45℃以上で処理した[比較例]の場合と同等の結果が得られている。
この結果から、溶存酸素の除去を行い、室温で鉄塩の添加処理を行う本発明の方法は、液の加温下で行う鉄塩共沈処理とほぼ同等の効果を有しており、加温処理のための設備や操作を必要としない有利面を備えているのがわかる。
【0057】
【発明の効果】
飛灰中の塩類を酸により十分に溶解した後、中和して重金属含有殿物を回収すると共に、得られた高塩濾液について溶存酸素の除去と鉄塩との共沈を図る本発明によれば、塩素等塩類が除かれて製錬工程の原料となり得る重金属含有殿物の回収が可能となり、また、6価セレンが混入した高塩濾液についても、セレンの他、鉄、銅、鉛等の残留重金属を同時に極低レベルまで低減でき、厳しい排水規制にも対応できる清浄排水が得られるという効果を奏する。
特に前記高塩濾液からのセレンの除去が室温処理で可能となったことから、作業性が向上し、また液の加温設備を必要とせず、設備コストも安価にすむという効果を奏する。
【0058】
重金属分離工程からの塩類含有濾液またはアルミ塩共沈工程からの濾過水を被処理水としてその溶存酸素を除去する手段としては、金属、特に鉄粉を用いる手段は、鉄粉が安価で、溶存酸素除去薬剤と共に取扱い性がよいという利点を有し、バブリングや減圧手段によるものは、作業効率がよいという利点を有する。また、鉄粉を用いた場合にあっては、鉄塩共沈反応後、容易に鉄粉と鉄塩の回収再利用が図れるという効果を奏する。
【0059】
さらに、前記重金属含有殿物を洗浄し、またこの洗浄殿物を酸液処理した後中和処理して重金属産物を得る工程を有するものにあっては、さらなる塩類の除去を行い、また、重金属の分別回収を可能とし、製錬工程における重金属の回収処理作業の負担を軽減できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重金属等を含有する飛灰の処理方法を示す全工程図である。
【図2】図1の飛灰の処理方法における塩類溶出工程からアルミ塩共沈工程に至る処理法の具体例を示す部分工程図である。
【図3】図1の飛灰処理方法におけるアルミ塩共沈工程からの濾過水の処理法の具体例を示す部分工程図である。
【図4】図1の飛灰処理方法における重金属含有殿物の処理法の具体例を示す部分工程図である。
【図5】図1の飛灰処理方法における重金属含有殿物の処理法の別の具体例を示す部分工程図である。

Claims (20)

  1. 亜鉛、銅、鉛の少なくとも1種と塩素及びセレンとを含む飛灰の処理方法であって、前記飛灰に鉱酸を加えてスラリー化し、pHを5以下に調整して塩類を溶出させる塩類溶出工程と、該塩類溶出工程のスラリーに中和剤を添加してpHを8〜12に調整し、重金属含有殿物と塩類含有濾液とに固液分離する重金属分離工程と、該重金属分離工程で得られた塩類含有濾液から溶存酸素を除去する溶存酸素除去工程と、該溶存酸素除去工程の処理液に、第1鉄塩を添加し、引き続きアルカリ剤を添加してpHを8〜11に調整し、鉄塩共沈殿物と濾過水とに固液分離する鉄塩共沈工程とからなることを特徴とする重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  2. 前記鉄塩共沈工程は、前記重金属分離工程で得られた塩類含有濾液に第1鉄塩を添加した後、該塩類含有濾液から溶存酸素を除去する溶存酸素除去工程を経て、該溶存酸素除去工程の処理液に、アルカリ剤を添加してpHを8〜11に調整し、鉄塩共沈殿物と濾過水とに固液分離する工程であることを特徴とする請求項1記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  3. 前記鉄塩共沈工程は、前記重金属分離工程で得られた塩類含有濾液から溶存酸素を除去する溶存酸素除去工程を経て、該溶存酸素除去工程の処理液に、第1鉄塩を添加し、引き続きアルカリ剤を添加してpHを8〜9に調整し、次いで、pHを9〜11に調整して鉄塩共沈殿物と濾過水とに固液分離する工程であることを特徴とする請求項1記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  4. 前記鉄塩共沈工程は、前記重金属分離工程で得られた塩類含有濾液に第1鉄塩を添加した後、該塩類含有濾液から溶存酸素を除去する溶存酸素除去工程を経て、該溶存酸素除去工程の処理液に、引き続きアルカリ剤を添加してpHを8〜9に調整し、次いで、pHを9〜11に調整した後、鉄塩共沈殿物と濾過水を固液分離する工程であることを特徴とする請求項1記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  5. 前記溶存酸素を除去する方法が、前記塩類含有濾液をpHが7以下で金属と接触させる手段を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  6. 前記金属が鉄粉であることを特徴とする請求項5に記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  7. 前記鉄塩共沈工程における鉄塩共沈殿物を含有する被処理水から鉄粉を磁気選別により回収して前記溶存酸素除去工程に供すると共に、鉄粉を除去した前記被処理水を鉄塩共沈殿物と濾過水とに固液分離し、得られた鉄塩共沈殿物をpH4以下の酸性液で溶解し、濾別して得られた濾過液を2価鉄源として前記第1鉄塩の添加処理に供することを特徴とする請求項6に記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  8. 前記鉄塩共沈工程において固液分離して得られた鉄塩共沈殿物をpH4以下の酸性液で溶解した後、溶解液中の鉄粉を磁気選別により回収して前記溶存酸素除去工程に供すると共に、鉄粉を除去した前記溶解液を濾過して得られる濾過液を2価鉄源として前記第1鉄塩の添加処理に供することを特徴とする請求項6に記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  9. 前記溶存酸素を除去する方法が、少なくとも、前記塩類含有濾液を非酸化性ガスでバブリングする手段を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  10. 前記溶存酸素を除去する方法が、少なくとも、前記塩類含有濾液を減圧処理する手段を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  11. 前記溶存酸素を除去する方法が、少なくとも、前記塩類含有濾液に溶存酸素除去薬剤を添加する手段を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  12. 前記溶存酸素の除去を前記塩類含有濾液の溶存酸素が0.5mg/l以下になるまで行うことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  13. 前記鉄塩共沈工程における前記塩類含有濾液の処理温度が20〜30℃であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  14. 前記鉄塩共沈工程からの濾過水に、吸着剤を接触させてCOD成分と重金属とを吸着させる吸着処理を施して清浄排水を得るCOD成分及び重金属吸着工程を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  15. 前記重金属分離工程で得られた前記塩類含有濾液に、アルミニウム塩を添加してpHを5〜8に調整し、アルミ塩共沈殿物と濾過水とに固液分離するアルミ塩共沈工程を設けることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  16. 前記重金属分離工程で得られた前記重金属含有殿物に鉱酸を加えてリパルプすると共に、pHを5以下に調整し、鉛を主体とする鉛産物と濾液とに固液分離する鉛産物回収工程と、該鉛産物回収工程で得られた濾液に中和剤を添加してpHを8以上に調整し、銅と亜鉛を主体とする銅・亜鉛産物と濾過水とに固液分離する銅・亜鉛産物回収工程とを有することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  17. 前記重金属分離工程で得られた前記重金属含有殿物に鉱酸を加えてリパルプすると共に、pHを5以下に調整し、引き続き中和剤を添加してpHを8以上に調整した後、重金属産物と濾過水とに固液分離する重金属産物回収工程を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  18. 前記重金属産物を水で洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする請求項17記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  19. 前記溶存酸素除去工程が、非酸化性雰囲気中で行われることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
  20. 前記第1鉄塩の添加処理と前記鉄塩共沈工程が非酸化性雰囲気中で行われることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の重金属等を含有する飛灰の処理方法。
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