JP3751707B2 - 強度と延性に優れた高強度ボルト用線材およびその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、線材製造後伸線加工により所望の強度および寸法に加工後、ボルト成形することによって、10Tクラス(引張強さ980〜1180N/mm2 :100〜120kgf/mm2 )以上の強度を備えた高強度のボルトを得ることができる強度と延性に優れた高強度ボルト用線材およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、加工コストの低減や製造コストの簡素化を期して、従来よりボルト成形前に行われる球状化焼なましやボルト成形後に行われる焼入れ、焼もどし処理を省略する動きがあり、8Tクラス(引張強さ785〜980N/mm2 :80〜100kgf/mm2 )までのボルトではこうした熱処理を省略可能にするため非調質化がかなり進んでいる。
【0003】
しかしながら、9Tクラス(引張強さ880〜1080N/mm2 :90〜110kgf/mm2 程度)以上の強度クラスの非調質ボルトでは靱性や延性が調質ボルトに比して不足し、実用化されている例はまだ少ない。このような問題点を解決する強度−延性バランスに優れた高強度ボルトの製造法としては既に公知のものもいくつかあるが(特公昭60−406号公報、特公昭64−7136号公報)、これらの方法による場合でも10Tクラス以上の強度になると、延性が低下するので高い延性を確保することが困難となる。延性の低下のためにボルトへの加工性が極端に悪くなるとともに、高強度であるので工具寿命も低下するため、従来の調質鋼が使用されているのが現状である。
【0004】
ところが、最近、加工コストの低減や製造工程簡素化の要望に応えるために、ボルト成形機や成形用工具の高剛性化が行われ、高強度の素材の加工が可能になりつつある。しかしながら、高強度の素材は延性が劣るのが通常であるので、ボルトへの加工が困難である。このような背景から強度−延性バランスに優れたさらなる高強度ボルト用線材が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであって、その目的は10Tクラス以上の引張強さ(980N/mm2 以上)を有し、かつ絞りが60%以上となる優れた延性をもつ強度−延性バランスに優れた高強度ボルト用線材を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することができた本発明に係る組織が下部ベーナイト組織からなり、引張強さが980N/mm 2 以上で、かつ絞りが60%以上である強度と延性に優れた高強度ボルト用線材の製造法は、質量%(以下、鋼の化学成分において、「質量%は%」で示す。)で、C:0.10〜0.30%、Si:0.80%以下(0%を含む)、Mn:0.80〜2.20%、Cr:0.50〜1.50%を含有し、あるいはさらに、Mo:0.20%以下(0%を含む)、Ti:0.10%以下(0%を含む)、Nb:0.10%以下(0%を含む)、B:0.0050%以下(0%を含む)の内、1種又は2種以上含有し、残部がFeおよび不可避不純物元素からなる鋼を、
AC3変態点以上に加熱した後、M S 変態点温度とM S 変態点温度+50℃との間の温度(M S 変態点温度を含まない。)まで5〜20℃/sの範囲の冷却速度で急冷して、この温度で恒温変態させて冷却後、10〜30%の加工率で冷間伸線することを特徴とするものである。
【0007】
本発明の上記方法によれば、組織が下部ベーナイト組織からなり、980N/mm2 (100kgf/mm2 )以上の高強度を有すると共に、絞りが60%以上といった強度−延性バランスに優れた高強度非調質ボルト用線材を得ることができる。
【0008】
前記恒温変態は、MS 変態点温度とMS 変態点温度+50℃との間の温度範囲(MS 変態点温度を含まない。)で、ベ−ナイト変態を行うことが好ましい。この温度範囲で恒温変態を行うことにより、より微細なベ−ナイト組織である下部ベ−ナイト組織を得ることができ、強度−延性バランスにさらに優れた高強度非調質ボルト用線材を得ることができる。このMS 変態点は測定で求めた値を用いてもよいが、下記の式(金属便覧、日本金属学会編、昭和46年発行、p725参照)で計算した値を用いることができる。
MS 変態点(℃)=538−317×C量(%)−33×Mn量(%)−28×Cr量(%)−17×Ni量(%)−11×(Si量(%)+Mo量(%)+W量(%))
【0010】
本発明の製造方法による強度と延性に優れた高強度ボルト用線材は、従来の調質鋼を用いた場合に必要となるボルト成形前の球状化焼なましや成形後の焼入れ、焼もどし処理等を省略することができ、加工コストの低減や製造工程の簡素化の要請に応えることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らはこれまでの高強度非調質ボルト用線材の強度−延性バランスの劣る原因等について種々検討を行ってきた。その結果、延性の改善のために鋼中のC量を低くすることを基本的考えとし、その他合金元素の種類と各々の含有率を厳密に特定すると共に、Ms変態点温度直上での低温域(350〜450℃)で恒温変態させてベーナイト組織とし、さらに、伸線加工率10〜30%で冷間加工を施すことにより強度−延性バランスの優れた高強度ボルトが得られるという知見を得て、本発明を完成した。
【0012】
まず、本発明において鋼材の成分組成を定めた理由を説明する。
C:0.10〜0.30%
Cは、固溶強化によって鋼材に所定の強度を与える。さらに、ベーナイト組織を得るために欠くことのできない必須の元素である。しかしながら、C量が多くなると、延性の低下をもたらし本発明の目的である延性の改善ができなくなるので、0.30%以下にすることが必須である。また、C量の増加に伴い加工性が悪くなる。
一方、引張強さを980N/mm2 (100kgf/mm2 )以上を確保するために、少なくとも0.10%以上のC量を必要とする。このため強度と延性および加工性の面から考えて、C量は0.10〜0.30%であり、より好ましいC量は0.15〜0.25%の範囲である。
【0013】
Si:0.80%以下
Siはフェライト強化元素および脱酸元素として有用なものであるが、フェライト強化および脱酸に適した他の元素の含有率によってはSiを含まないものまで許容され得る。しかし、Si量が多すぎると靱性に悪影響を与えるので0.80%以下にする必要がある。Siのより好ましい含有量は0.10〜0.50%の範囲である。
【0014】
Mn:0.80〜2.20%
Mnは、脱酸、脱硫効果を有する元素であり、また焼入れ性を向上させ高強度化に寄与し、さらにはAC3変態点を下げて組織を微細化して靱性の向上にも寄与する。こうした効果を有効に発揮させるためには0.80%以上含有させることが必要である。しかし、2.20%以上の添加は加工性に悪影響を与える。
また、Mnを含有量が0.80〜2.20%の範囲であれば、他の元素、例えばC、Si等を含有させて強化させる場合に比して、Mnを含有させることに伴う靱性、延性の低下は少ない。
【0015】
Cr:0.50〜1.50%
Crは、焼入れ性を向上させ高強度化に寄与し、さらに高い強度を確保しながら、優れた靱性、延性を得ることができる有望な元素である。その効果は0.50%以上含有させることによって有効に発揮するが、含有量をあまり多くしてもその効果は飽和することや靱性の悪化を考慮して1.50%以下にする必要がある。
【0016】
本発明で用いる鋼材の必須元素は以上のとおりであり、残部は鉄と不可避不純物であるが、必要により下記の元素を含有させることによって、高強度非調質ボルト用線材としての特性をさらに改善することも有効である。
Mo:0.20%以下
Moは、焼入れ性を高めて高強度に寄与する元素であり、この効果を奏するには、Moの含有量は0.03%以上必要であり、0.20%以上となると、その効果が飽和してMoの含有量を増加させてもそれ以上の改善効果が得られないので経済的に無駄である。Moの好ましい含有量は0.03〜0.20%の範囲である。
【0017】
Ti:0.10%以下
Tiは、オーステナイト化時に固溶窒素を固定して、BNの生成を抑えることによって、B添加による焼入れ性向上効果が得られる。さらにTiは炭化物や窒化物を生成し、オーステナイト結晶粒を微細化し、靱性、延性の向上に寄与する元素である。この効果を有効に発揮するためには、0.03%以上含有させることが好ましい。しかし、0.10%を越えて含有させても効果が飽和し改善効果が得られない。Tiの好ましい含有量は0.03〜0.10%の範囲である。
【0018】
Nb:0.10%以下
NbはTiと同様、炭化物、窒化物を形成してオーステナイト結晶粒を微細化するのに有効な元素であり、焼入れ性も向上させる。こうした効果を十分に発揮させるには、少なくとも0.01%は含有させなければならない。しかし、0.10%を越えて含有させても効果が飽和し改善効果が得られない。Nbの好ましい含有量は0.01〜0.10%の範囲である。
【0019】
B:0.0050%以下
Bは、少量添加により、焼入れ性を大幅に向上させ、しかも冷間鍛造性(変形抵抗、変形能)を殆ど劣化させない有望な元素である。こうした効果を十分に発揮させるためには、少なくとも、0.0005%は含有させなければならない。しかし、Bの含有量が0.0050%を越えると、その効果が飽和するだけである。Bの好ましい含有量は0.0005〜0.0050%の範囲である。
【0020】
次に、本発明において鋼材の熱処理条件を定めた理由を説明する。本発明の鋼材の熱処理条件は、鋼材をAC3変態点以上に加熱した後、M S 変態点温度とM S 変態点温度+50℃との間の温度範囲(M S 変態点温度を含まない。)まで5〜20℃/sの範囲の冷却速度で急冷して、この温度で恒温変態させて、鋼材を下部ベーナイト組織にした後に冷却させるものである。
【0021】
このときの冷却速度はこれら鋼材のCCT曲線のパーライト変態開始線のノーズを切らない程度の冷却速度を必要とする。冷却中にパーライト変態を生ずると、鋼材はパーライトとベーナイトの混合組織となると共に、生成するベーナイト組織が粗大化して、所定の靱性及び延性が得られない。
このため、冷却速度はAC3変態点温度から恒温変態させる温度の間を5℃/sec以上で冷却する必要がある。本発明の冷却速度は、通常、5〜20℃/secの範囲で使用している。
【0022】
恒温変態は、MS 変態点温度の直上からMS 変態点+50℃との間の温度範囲で、ベ−ナイト変態を行うことが好ましい。この温度範囲で恒温変態を行うことにより、より微細なベ−ナイト組織(下部ベーナイト組織)を得ることができ、強度−延性バランスにさらに優れた高強度非調質ボルト用線材を得ることができる。
このMS 変態点は測定で求めた値を用いてもよいが、本発明の実施の態様では下記の式で計算した値を用いた。
【0023】
図1、図2に、後記実施例における。延性と引張強さに及ぼす恒温変態温度の影響を整理した結果を示す。図1は、引張強さと恒温変態温度との関係を示す図であり、図2は絞りと恒温変態温度との関係を示す図である。恒温変態温度は前述の計算したMS 点との温度差で表示している。
これらの供試材は本発明の特許請求の範囲の化学成分を有する鋼材であり、これらの供試材をAC3変態点温度から380〜550℃の温度に冷却速度10℃/secで冷却後、これらの温度で恒温変態を行なった。その後冷却して、伸線加工率20%で冷間加工を施した。なお、伸線加工率の20%は後述する最適な伸線加工率の範囲内にある。
【0024】
図1に示すように、引張強さはバラツキが大きいが、全体的にみるとMs変態点温度との温度差が大きくなるほど、すなわち、恒温変態温度が高くなるほど引張強さが低くなる傾向が認められる。恒温変態温度が本発明のM S 変態点温度とM S 変態点温度+50℃との間の温度(M S 変態点温度を含まない。)(図中、白○、白△印)にある供試材はすべて、引張強さが980N/mm2 以上の高い強度を示すのに対し、Ms変態点温度との温度差(ΔT)が50℃を越える供試材(図中、黒○、黒△印)は、引張強さが980N/mm2 以上に達しないものもある。なお、白○、黒○印は、本発明の請求項1の化学成分を満足する鋼であり、白△、黒△印は本発明の請求項2の化学成分を満足する鋼である。
【0025】
次に、絞りについて図2により説明する。図2に示すように、本発明のMS 変態点温度とMS 変態点温度+50℃との間の温度範囲では、絞りは60%以上を示すのに対し、MS 変態点温度+60℃以上の温度では、絞りが50%以下となる。このMS 変態点温度+50℃とMS 変態点温度+60℃との間で、絞りが急激に低下していることが判明した。
この原因は、MS 変態点温度とMS 変態点温度+50℃との間の温度範囲で恒温変態させた供試材(図中、白○、白△印)は、Ms変態点温度直上での低温域(350〜450℃)で恒温変態させものであり、これら供試材の組織はより微細な下部ベーナイト組織となっており、これにより優れた延性を示したと考えている。
【0026】
本発明では、ベーナイトの恒温変態をできる限り低い温度ですることにより、鋼材がより微細化なベーナイト組織(下部ベーナイト組織)にさせることにより、高い延性を得ることができたものである。一方、恒温変態温度をMs変態点温度以下にするとマルテンサイを生成して、鋼材の延性は低下する。このため、恒温変態温度にはMs変態点温度を含まないのである。
【0027】
本発明では、計算により、Ms変態点温度を求めたが、予め、フォーマスタ等での測定した変態点温度を使用することができる。Ms変態点温度はオーステナイト化条件や冷却速度によっても変化するので、これらオーステナイト化条件や冷却速度で、実測したMs変態点温度を用いる場合はより正確にベーナイトの恒温変態を制御できる。
【0028】
さらに、本発明において鋼材の冷間伸線の加工条件を定めた理由を説明する。本発明の鋼材の冷間伸線の加工条件は、10〜30%の加工率で冷間伸線することである。
本発明の実施例の表1の供試材No.▲1▼、16、17に示される様に、伸線加工率を5〜40%に変化させて冷間加工を行った結果、伸線加工率20%で冷間加工を施すことにより、絞りが60%以上の強度−延性バランスの優れた高強度ボルトが得られることを確認した。
なお、表1のNo.欄の○印は、本発明の化学成分を有する供試材を示すものである。今後、表1の説明では、○印を省略(例えば、No.▲1▼をNo.1とする。)する。
【0029】
本発明は、特許請求の範囲の化学成分を有する鋼材を下部ベーナイト組織にするための恒温変態温度は、Ms変態点温度以下とならない温度で、かつ、Ms変態点温度+50℃以下の温度を用い、かつ、AC3変態点温度からこの恒温変態温度までの冷却速度を5〜20℃/secの範囲にすることにより、組織が下部ベーナイト組織からなり、引張強さが980Mpa以上でかつ、絞りが60%以上となる、強度と延性に優れた高強度ボルト用線材が得られるものである。
【0030】
【実施例】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記の実施例によって制限されるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能でありそれらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0031】
実施例
表1に示す化学成分の鋼を溶製した後、鍛造により155mmの各ビレットを製作し、熱間圧延により所望直径の線材を製造した。熱間圧延後の線材を965℃で再加熱後、恒温変態温度を変化させるために、350〜550℃の所望の温度に保持した鉛浴炉に浸漬することにより、これらの温度(350〜550℃)に急冷した。このときの平均冷却速度は、10℃/secであった。
この鉛浴炉に20min保持して、前記線材の恒温変態処理を行った。引き続き加工率5〜40%で伸線加工を行い直径7mmの線材を製作し、これらを供試材とした。
得られ供試材について、引張強さ及び絞り(いずれもJIS Z 2241に準拠)を測定した。得られた供試材の引張強さ及び絞りを表1に示す。
なお、No.1〜24は、本発明による化学成分の発明鋼であり、No.1〜15は本発明の実施例であり、No.16〜24は熱処理条件又は冷間伸線条件が本発明の範囲外となる比較例である。
また、No.25〜32は、本発明による化学成分は規定外の線材である。
【0032】
【表1】
【0033】
本発明鋼を本発明法により製造した線材は、実施例のNo.1〜15に示されるように、引張強さが1000〜1400N/mm2 (980N/mm2 以上)のものが得られ、かつ、絞りも60%以上のものが得られた。
本発明鋼でも本発明によらないものは、優れた強度−延性バランスは得られず、引張強さが高いものは、絞りが低く、一方、絞りが高いものは引張強さが低いという結果であった。また、比較鋼を本発明法で製造しても化学成分範囲外の場合、所定の特性が得られなった。
【0034】
伸線加工率の影響について、供試材No.1、16、17により、さらに説明する。これらの供試材の化学成分および熱処理条件はほぼ同一である。
伸線加工率が5%の供試材(No.16)は、絞りも66%と高い延性を有するが、加工硬化の効果が小さく、引張強さは903N/mm2 であった。一方、伸線加工率が40%の供試材(No.17)は、引張強さが1069N/mm2 と高い値が得られたが絞りは46%と低いものとなった。
伸線加工率が20%の本発明の供試材(No.1)は、引張強さが1118N/mmで、絞りも68%となり、強度−延性バランスの優れた高強度ボルトが得られる。
【0035】
供試材No.18〜24は本発明による化学成分で、冷間伸線条件も本発明の範囲にある。しかしながら、熱処理条件が本発明の規定外にあるので、いずれの供試材も、絞りが60%に達したものがなく、引張強さが高いものもあるが、引張強さが低いものもあり、引張強さのバラツキが大きかった。
このため、本発明の目的である、10Tクラス以上の引張強さ(980N/mm2 以上)を有し、かつ絞りが60%以上となる高強度ボルト用線材を得ることができなかった。
【0036】
また、供試材No.25〜32は、本発明による化学成分の規定外の高強度ボルト用線材であり、引張強さが980N/mm2 以上、絞りが60%以上の両方を満足するものがなかった。引張強さが高いものは、絞りが低く、絞りが高いものは引張強さが低いという結果である。
【0037】
供試材No.1と、供試材No.25および26について、さらに説明する。これらの供試材は、C量が異なるのみで、他の化学成分、熱処理条件および冷間伸線条件はほぼ同一で、本発明の範囲にある。
C量が0.05%と低い供試材(No.25)は絞りが62%と優れた延性が得られたが、引張強さが852N/mm2 と低くものであった。一方、C量が0.33%と高い供試材(No.26)は引張強さが1234N/mm2 と高くなったが、絞りが39%と低いものとなった。本発明の供試材(No.1)は、引張強さが1118N/mmで、絞りも68%となり、強度−延性バランスの優れた高強度ボルトが得られた。
【0038】
【発明の効果】
本発明では、鋼材の成分組成を特定するとともに、熱処理により、その組織をベーナイトとし、適正な伸線加工による加工硬化を付与することによって従来の非調質ボルト用鋼線より、引張強さ980N/mm2 以上、絞り60%以上強度−延性バランスが優れた高強度ボルト用線材を提供し得ることとなった。
最近のボルト成形機の高剛性化や成形用工具の超硬合金等の使用による改善による高強度の素材の加工が可能になってきたことに伴い、絞りが60%以上の高い延性を有する強度と延性に優れた高強度ボルト用線材の出現により、10Tクラスのみならず12Tクラスのボルトの製造でも、ボルト成形前の球状化焼なまし処理、成形後の焼入れ焼もどし処理が省略が可能となり、大きなコストダウンを達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】引張強さと恒温変態温度との関係を示す図である。
【図2】絞りと恒温変態温度との関係を示す図である。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.10〜0.30%、Si:0.80%以下(0%を含む)、Mn:0.80〜2.20%、Cr:0.50〜1.50%からなり、残部がFeおよび不可避不純物元素からなる鋼を、
Ac3変態点以上に加熱した後、M S 変態点温度とM S 変態点温度+50℃との間の温度(M S 変態点温度を含まない。)まで5〜20℃/sの範囲の冷却速度で急冷して、この温度で恒温変態させて冷却後、10〜30%の加工率で冷間伸線することを特徴とする組織が下部ベーナイト組織からなり、引張強さが980N/mm 2 以上で、かつ絞りが60%以上である強度と延性に優れた高強度ボルト用線材の製造方法。 - 質量%で、C:0.10〜0.30%、Si:0.80%以下(0%を含む)、Mn:0.80〜2.20%、Cr:0.50〜1.50%からなると共に、
Mo:0.20%以下(0%を含む)、Ti:0.10%以下(0%を含む)、Nb:0.10%以下(0%を含む)、B:0.0050%以下(0%を含む)の内、1種又は2種以上含有し、残部がFeおよび不可避不純物元素からなる鋼を、
AC3変態点以上に加熱した後、M S 変態点温度とM S 変態点温度+50℃との間の温度(M S 変態点温度を含まない。)まで5〜20℃/sの範囲の冷却速度で急冷して、この温度で恒温変態させて冷却後、10〜30%の加工率で冷間伸線することを特徴とする組織が下部ベーナイト組織からなり、引張強さが980N/mm 2 以上で、かつ絞りが60%以上である強度と延性に優れた高強度ボルト用線材の製造方法。
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