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JP7543687B2 - 高強度ボルト用鋼の製造方法 - Google Patents

高強度ボルト用鋼の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、引張強度を1400MPa超としつつ耐遅れ破壊性を向上させた高強度ボルト用鋼の製造方法に関し、特に、小径から太径までのボルト加工に適した高強度ボルト用鋼の製造方法に関する。
800MPaを超える引張強度の鋼からなる高強度ボルトが土木・建築分野などで用いられている。特に、1400MPa程度以上に引張強度を高めた鋼からなる高強度ボルトの開発も進められているが、一般に、鋼の引張強度を高くすると耐遅れ破壊性が低下する傾向にあるとされている。そのため、高強度化に併せて耐遅れ破壊性を向上させることが高強度ボルト用鋼の開発において求められている。
例えば、特許文献1では、0.35~0.50%のCを含み、Ni,Cr,Moとともに、V:0.15~0.40%を含有させて1500MPa以上に引張強度を高めた合金鋼からなる高強度ボルト用鋼が開示されている。かかる鋼は、1175K(902℃)以上の温度から焼入れ後、850K(577℃)以上の温度で焼き戻しした焼き戻しマルテンサイト組織からなるものである。ここでは、焼き戻し後の二次硬化に寄与するVの炭化物に水素を捕捉させて耐遅れ破壊性を向上させ得るとしている。
一方、耐遅れ破壊性を向上させた高強度鋼の製造方法として、オーステナイト温度域から未再結晶温度域まで急冷して塑性加工し焼き入れる、いわゆるオースフォーミング法を利用することも提案されている。
例えば、特許文献2では、線材圧延によるオースフォーミング法を利用して旧オーステナイト粒界を強化させて耐遅れ破壊性を向上させた高強度構造用鋼の製造方法を開示している。0.4%程度のCを含有するJIS SCM440鋼を用い、1323K(1050℃)のオーステナイト温度域まで加熱後、1086K(813℃)を仕上げ温度として減面率50%で線材圧延し、水焼入れ後、焼き戻しして引張強度を1450MPaに調整した例を述べている。ここでは、オースフォーミングにより旧オーステナイト粒界の平坦部の平均寸法を5μm以下に微細化させておくことで、遅れ破壊の発生を抑制させ得るとしている。
特開平8-225845号公報 特開2001-73064号公報
上記したように、オースフォーミング法を利用して旧オーステナイト粒界を強化させて耐遅れ破壊性を向上させる高強度構造用鋼の製造方法が知られている。ここで、太径のボルト加工では、オースフォーミング法によっても耐遅れ破壊性の向上を十分得ることができない場合もあった。特に、炭素量を高めて引張強度を高めた鋼において、耐遅れ破壊性が十分に得られないことが指摘された。
本発明は、上記したような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、1400MPa以上の高い引張強度と優れた耐遅れ破壊性を得られ、小径から太径までのボルト加工に適した高強度ボルト用鋼の製造方法を提供することにある。
本発明による高強度ボルト用鋼の製造方法は、主として焼き戻しマルテンサイト組織からなり引張強度を1400MPa以上とする高強度ボルト用鋼の製造方法であって、質量%で、C:0.55%を超えて0.80%以下、Si:1.00%を超えて2.90%以下、Cr:0.80%以上1.50%以下、Al:0.010%以上0.060%以下、N:0.005%以上0.030%以下、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼からなる鋼塊を準備し、1000℃以下で且つオーステナイト単相領域に加熱保持後に、再結晶化温度以下であってマルテンサイト変態開始温度以上の加工温度で加工率50%以上の塑性加工を与えてから焼入れし、焼き戻して前記引張強度を調整して、通常速度法(CSRT法)により計測された局所限界水素濃度を1.5ppm以上とすることを特徴とする。
かかる発明によれば、炭素量を高めて1400MPa以上の高い引張強度を与えつつ、小径から太径までのボルト加工において安定して優れた耐遅れ破壊性を有する高強度ボルト用鋼を製造できるのである。
上記した発明において、900℃以上で加熱保持後に、空冷し、850℃以下の前記加工温度で前記塑性加工を与えることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、炭素量を高めて1400MPa以上の高い引張強度を与えつつ、小径から太径までのボルト加工において優れた耐遅れ破壊性を有する高強度ボルト用鋼を安定して製造できるのである。
上記した発明において、前記焼き戻しは400℃以上の温度に保持することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、小径から太径までのボルト加工において優れた耐遅れ破壊性を有する高強度ボルト用鋼を安定して製造できるのである。
上記した発明において、前記成分組成において、質量%で、Mo:0.80%以上1.50%以下、及び/又は、V:0.05%以上0.50%以下、をさらに含むことを特徴としてもよい。また、前記成分組成において、質量%で、Mn:0.80%以下、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、P:0.015%以下、S:0.010%以下のうち1種又は2種以上を含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、小径から太径までのボルト加工において優れた耐遅れ破壊性を有する高強度ボルト用鋼を安定して製造できるのである。
実施例及び比較例に用いた鋼種A~Dの成分組成の表である。 実施例及び比較例の製造条件と各種試験結果の一覧表である。 CSRT法用試験片の側面図(a)及び部分拡大図(b)である。 曲げ遅れ破壊試験片の側面図(a)及び部分拡大図(b)である。 曲げ遅れ破試験の説明図である。
本発明による1つの実施例としての高強度ボルト用鋼の製造方法について、図1を用いて説明する。
まず、C:0.55%よりも多く含む比較的炭素を多く含む成分組成の鋼塊を準備する。かかる成分組成は、詳細には、質量%で、C:0.55%を超えて0.80%以下、Si:1.00%を超えて2.90%以下、Mn:0.8%以下、P:0.015%以下、S:0.010%以下、Cr:0.8%以上1.5%以下、Al:0.01%以上0.06%以下、N:0.005%以上0.03%以下である(図1、鋼種A参照)。
また、質量%で、Mo:0.8%以上1.5%以下、V:0.005%以上0.5%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下、のうち1種又は2種以上を含むものであってもよい(図1、鋼種B参照)。
続いて、オーステナイト単相領域に加熱し塑性加工するオースフォーミングを行う。ここで、Cの含有量の高い鋼を用いることで、得られるボルトでは高い引張強度を得られる。一方で、例えば、M16を超えるような比較的太径のボルトでは、小径のボルトほど、オースフォーミングによる耐遅れ破壊性の向上が見られなかった。遅れ破壊の感受性の高いC量の高い鋼では、炭化物などを十分に固溶させ、且つ、応力集中の原因を緩和するように素材を十分に均質化させるよう、オースフォーミングに先だって素材サイズに対応した熱処理を行うことになる。このとき、比較的太径のボルトでは、結晶粒が粗大化し、結果として、オースフォーミングの効果を十分に得られなくなる。
そこで、まず、上記した成分組成の鋼塊を1000℃以下の温度、且つ、オーステナイト単相領域の温度まで加熱し保持する。かかる熱処理での保持温度を、以後、加熱温度と称する。加熱温度では、炭化物を形成していたCを母相に固溶させてC濃度を高めつつ、オーステナイト単相組織とする。この加熱温度は900℃以上とすることが好ましい。また、固溶を十分に進行させるためには、素材の内部まで均一に加熱する必要があり、加熱温度での保持時間は素材の寸法に合わせて設定する。例えば、素材径が30mm以上であれば40分間以上保持することが好ましい。一方で、加熱温度が高く保持時間が長いと結晶粒の粗大化を助長し、遅れ破壊感受性の高い材料では、オースフォーミングによる耐遅れ破壊性向上の効果を十分に得られない。そのため、加熱温度を1000℃以下にして結晶粒の粗大化を抑制するのである。
続いて、所定範囲内の加工温度で加工率50%以上の塑性加工を与える。このとき、加工温度はオーステナイト相での塑性加工を得るためにマルテンサイト変態開始温度以上とされる。また、オーステナイトの加工硬化を十分に得るため、加工温度は再結晶化温度以下とされ、例えば850℃以下とされる。また、加熱温度から加工温度までの冷却は、例えば空冷とし得る。空冷であれば、加熱炉から取り出して加工準備をしつつ待機し、加工温度に達したところで加工を開始できる。そして、マルテンサイト変態開始温度以上で加工を完了させる。棒状体であれば、例えば熱間押出加工を用い得て、短時間で加工できるので加工完了までの温度低下を抑制できる。加工後は焼入れとする。
次いで、焼き戻しを行って焼き戻しマルテンサイト組織を得て、引張強度を1400MPa以上に調整する。焼き戻しでは例えば保持温度を400℃以上とし得る。ここでは2次炭化物を析出させることが好適であり、これによって耐遅れ破壊性を向上させ得る。
以上のような製造方法によれば、炭素量を高めて1400MPa以上の高い引張強度を与えつつ、小径から例えばM16を超える太径のボルト加工において、安定して優れた耐遅れ破壊性を有する高強度ボルト用鋼を得ることができる。
[製造試験]
上記した製造方法により製造した高強度ボルト用鋼について引張強度、局所限界水素濃度、曲げ遅れ破壊強度を測定した結果について説明する。
図1に示す鋼種A~Dを用い、図2の実施例1及び2、比較例1乃至6に示す製造条件でそれぞれ試験片を作製した。
まず、鋼種A~Dの鋼塊を50kgの真空溶解炉で溶製し、熱間鍛造により直径32mmの棒鋼とした。次いで、焼きならし処理として920℃に加熱して2時間保持した後に空冷し、さらに球状化焼きなまし処理として760℃に加熱して3時間保持した後に-15℃/時間の冷却速度で650℃まで冷却した後空冷した。得られた素材から直径23.7mm長さ48mmの試験片用の素材を切り出した。
切り出した素材のそれぞれにM24の太径高強度ボルトの製造を想定したオースフォーミングを施した。M24の太径ボルトを製造する場合には、素材の直径を50mm以上とし、かかる素材の内部まで均一に加熱するために加熱時間を60分以上とする必要がある。そこで、本試験では、電気加熱炉を用いて上記した試験片用の素材を所定の加熱温度で60分間保持した後、空冷しつつ所定の加工温度に達したところで熱間押し出し加工を行い所定の加工率を与え、ダイスからのノックアウト後に直ちに水焼入れを行った。熱間押し出し加工には600トンクランクプレス機を使用し、80~100mm/sの加工速度とし、ダイスとの間の潤滑には水溶性黒鉛及び二硫化モリブデンを用いた。また、素材の温度は放射温度計を用いて測定した。ここで、所定の加熱温度、加工温度、加工率は図2に示す通りである。なお、加工率は押し出し加工による減面率を表す。
さらに、それぞれの素材を500℃で焼き戻しした。
この試験片用の素材から、図3に示すCSRT法用試験片10、図4に示す曲げ遅れ破壊試験片20、引張試験片(図示せず)をそれぞれ切り出した。CSRT法用試験片10は、切り欠き底φ6mm、切り欠き半径0.25mmの環状切り欠き11を有する環状切り欠き試験片とした。曲げ遅れ破壊試験片20は、切り欠き底φ4mm、切り欠き半径0.1mmの環状切り欠き21を有する環状切り欠き試験片とした。引張試験片は平行部の直径を6mmとするJIS14A号平滑引張試験片とした。
CSRT法用試験片10を用いて、CSRT法(Conventional Strain Rate Test)によって局所限界水素濃度(Hc)を測定した。120時間の陰極チャージによって水素を試験片内に侵入・拡散させ、直ちにクロスヘッド速度1mm/minでの引張試験を行い、破断応力を測定した。破断直後に試験片の破面から10mmの位置で切断して得た切断片についてガスクロマトグラフを用いて拡散性水素量を求めた。拡散性水素量としては、昇温速度100℃/hで600℃までの昇温脱離水素分析を行い、300℃までに放出される水素量とした。得られた破断応力と拡散性水素量の両対数をとり両者の関係を線形近似し、水素を侵入させなかった未チャージ材の破断応力の0.6倍の破断応力となる拡散性水素量を局所限界水素濃度Hcとして図2に示した。
図5に示すように、遅れ破壊強度は曲げ遅れ破壊試験によって測定した。モーメントアーム31によって錘32による曲げ応力を曲げ遅れ破壊試験片20に付与して、曲げ強度を測定した。まず、静曲げ強度を測定した上で、0.1規定の塩酸を切り欠き部に滴下して静曲げ強度の0.8~0.2倍の応力を負荷し、遅れ破壊の破断時間を求めた。なお、破断しない場合は試験の打ち切り時間を100hとした。遅れ破壊強度は30h破断強度と静曲げ強度との比をとって30h曲げ遅れ破壊強度比として図2に示した。なお、30h曲げ遅れ破壊強度比を0.6以上とするときに耐遅れ破壊性に優れるものとして合格とした。
また、上記した引張試験片を用いた引張試験においては、破断応力を引張強度として図2に示した。
図2に示すように、実施例1及び2のいずれも引張強度は1400MPa以上であり、通常速度法(CSRT法)により計測された局所限界水素濃度は1.5ppm以上であった。つまり、引張強度と耐遅れ破壊性の両者において優れていた。
これに対し、比較例1及び2では、引張強度は1400MPa以上であるものの、同様に計測された局所限界水素濃度は1.5ppmを下回り、曲げ遅れ破壊強度比においても劣っていた。これは、オースフォーミングにおいて1000℃を超える加熱温度とした結果、結晶粒の粗大化を生じてオースフォーミングの効果を十分に得られなかったためと考えられる。
比較例3及び4でも、局所限界水素濃度は1.5ppmを下回り、曲げ遅れ破壊強度比においても劣った。オースフォーミングの加工温度を850℃超としたため、加工中の再結晶化が進んだものと考えられる。
比較例5及び6は、引張強度が1400MPaに満たなかった。それぞれ、Cの含有量の少ない鋼種C、及び、Siの含有量の少ない鋼種D(図1参照)を用いているためと考えられる。つまり、鋼種C又は鋼種Dでは本実施例で得ようとする高強度ボルト用鋼としては適さないものと考えられる。
ところで、ボルトに外部から侵入する水素による局所侵入水素濃度(H )は、一般に高々1ppm程度であり、局所限界水素濃度Hcが1.5ppm以上あれば遅れ破壊の発生する確率は相当低いことになる。この点、上記したように実施例1及び2では、局所限界水素濃度を1.5ppm以上とできて、良好な結果であったことが判る。
以上のように、実施例1及び2の製造方法であれば、1400MPa以上の引張強度を有し耐遅れ破壊性に優れ、例えばM24などのM16を超える太径ボルト用の素材としても適する高強度ボルト用鋼を得ることができる。
ところで、上記した実施例を含む耐遅れ破壊性に優れる高強度ボルト用鋼とほぼ同等の引張強度と局所限界水素濃度とを与え得る鋼の組成範囲は以下のように定められる。
まずは、必須添加元素について説明する。
Cは、焼入れ焼き戻し後の鋼の硬さを高めて、1400MPa以上の引張強度を確保するために必要である。一方で、過剰に含有させると延性や靭性を低下させてボルト成型時の鍛造性や転造性などの製造性を低下させるとともに、耐遅れ破壊性も低下させてしまう。これらを考慮して、Cは、質量%で、0.55%を超えて0.80%以下の範囲内である。
Siは、鋼を溶製する際に脱酸剤として用いられるとともに固溶強化によって鋼の機械強度を向上させる。一方で、過剰に添加すると粒界酸化を助長して耐遅れ破壊性を低下させるとともに熱間加工性も低下させてしまう。これらを考慮して、Siは、質量%で、1.00%を超えて2.90%以下の範囲内である。
Crは、焼入れ性を高めてマルテンサイト組織を得るため、焼き戻し処理時における軟化抵抗を高めて機械強度を高めるために有効な元素である。一方で、過剰に含有させると、加工性や靭性を低下させてしまうことがあり、粒界酸化を促進させて遅れ破壊強度を低下させてしまう。これらを考慮して、Crは、質量%で、0.80%以上1.50%以下の範囲内である。
Alは、鋼の脱酸剤として用いられるとともに酸化物や窒化物を形成することで結晶粒の微細化に寄与して靭性を向上させ、耐遅れ破壊性の低下を抑制できる。一方、過剰に含有させると硬質の非金属介在物を生成し疲労破壊の起点となって疲労寿命を低下させてしまう。これらを考慮して、Alは、質量%で、0.010%以上0.060%以下の範囲内である。
Nは、Alとともに窒化物や炭窒化物を形成して結晶粒の微細化に寄与して靭性を向上させ得る。また、拡散性水素のトラップサイトの形成に寄与して耐遅れ破壊性を向上させ得る。一方で、過剰に含有させると酸化物や窒化物による非金属介在物を生成して疲労破壊の起点となって疲労寿命を低下させてしまう。これらを考慮して、Nは、質量%で、0.005%以上0.030%以下の範囲内である。
次に、任意添加元素について説明する。
Moは、鋼の焼入れ性を改善して機械強度を向上させる。また、母相に固溶したMoは、焼き戻しにおいて微細な炭化物を生成する二次硬化によって焼き戻し時の硬さの低下を抑制し、機械強度の向上に寄与し得る。また、生成した炭化物の界面を拡散性水素のトラップサイトとして、耐遅れ破壊性を向上させ得る。よって、任意に添加されてもよい。一方で、過剰に含有させると材料コストを増大させ、熱間加工性や切削性を低下させてしまう。これらを考慮して、添加する場合において、Moは、質量%で、0.80%以上1.50%以下の範囲内である。
Vは、微細な炭化物として析出することで、機械強度を高めるとともに拡散性水素のトラップサイトを形成し、耐遅れ破壊性を向上させ得る。よって、任意に添加されてもよい。一方で、過剰に含有させると材料コストを増大させ、熱間加工性や切削性を低下させてしまう。これらを考慮して、添加する場合において、Vは、質量%で、0.05%以上0.50%以下の範囲内である。
Mnは、鋼を溶製する際に脱酸剤として用いられるとともに焼入れ性を向上させて機械強度や靭性の確保のために任意に添加され得るが、過剰に含有させると、過剰な機械強度の上昇による旋削加性等の製造性の低下をもたらしてしまう。これらを考慮して、Mnは、質量%で、0.80%以下の範囲内である。
Nbは、VやTiとともに又は単独で炭窒化物を形成し析出強化に寄与するとともに、かかる炭窒化物を拡散性水素のトラップサイトとすることで耐遅れ破壊性を向上させ得る。一方で、過剰に添加してもその効果は飽和してしまう。これらを考慮して、Nbは、質量%で、0.10%以下の範囲内である。
Tiは、VやNbとともに又は単独で炭窒化物を形成し析出強化に寄与するとともに、かかる炭窒化物を拡散性水素のトラップサイトとすることで耐遅れ破壊性を向上させ得る。一方で、過剰に添加すると窒化物を形成して非金属介在物として疲労破壊の起点となって疲労寿命を低下させてしまう。これらを考慮して、Tiは、質量%で、0.10%以下の範囲内である。
Pは、オーステナイト粒界に偏析し粒界強度を低下させて靭性や耐遅れ破壊性の低下を招くため含有量を低下させることが好ましい。一方で、過度の精錬はコスト増につながる。これらを考慮して、Pは、質量%で、0.015%以下の範囲内である。
Sは、熱間加工性を害し、Mnなどと結合して非金属介在物を生成し靭性や耐遅れ破壊性を低下させるため含有量を低下させることが好ましい。一方で、切削加工性を向上する効果を有するとともに過度の精錬はコスト増につながる。これらを考慮して、Sは、質量%で、0.010%以下の範囲内である。
以上、本発明の代表的な実施例を説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。

Claims (5)

  1. き戻しマルテンサイト組織を有し引張強度を1400MPa以上とする高強度ボルト用鋼の製造方法であって、
    質量%で、
    C:0.55%を超えて0.80%以下、
    Si:1.00%を超えて2.90%以下、
    Cr:0.80%以上1.50%以下、
    Al:0.010%以上0.060%以下、
    N:0.005%以上0.030%以下、
    残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼からなる鋼塊を準備し、
    1000℃以下で且つオーステナイト単相領域に加熱保持後に、再結晶化温度以下であってマルテンサイト変態開始温度以上の加工温度で加工率50%以上の塑性加工を与えてから焼入れし、焼き戻して前記引張強度を調整して、通常速度法(CSRT法)により計測された局所限界水素濃度を1.5ppm以上とすることを特徴とする高強度ボルト用鋼の製造方法。
  2. 900℃以上で加熱保持後に、空冷し、850℃以下の前記加工温度で前記塑性加工を与えることを特徴とする請求項1記載の高強度ボルト用鋼の製造方法。
  3. 前記焼き戻しは400℃以上の温度に保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の高強度ボルト用鋼の製造方法。
  4. 前記成分組成において、質量%で、
    Mo:0.80%以上1.50%以下、及び/又は、
    V:0.05%以上0.50%以下、
    をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載の高強度ボルト用鋼の製造方法。
  5. 前記成分組成において、質量%で、Mn:0.80%以下、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、P:0.015%以下、S:0.010%以下のうち1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載の高強度ボルト用鋼の製造方法。
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