JP3726603B2 - 樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂板を熱成形することにより目的とする形状に賦形する樹脂成形体の製造方法は、広く様々な分野において使用されている。
【0003】
かかる製造方法においては、樹脂板を加熱したのち賦形するため、賦形直後の加熱された状態にある樹脂成形体は室温まで冷却される。この樹脂成形体には熱成形における歪みが緩和されておらず、耐久性が低下する傾向にある。
そのため、熱成形後により得られた樹脂成形体は、樹脂板を熱成形する際の温度よりも低い所定の温度に保持して歪みを緩和した後、冷却する、いわゆるアニール処理を施す必要がある。
【0004】
この樹脂成形体を所定の温度に保持した後冷却する処理は、一般には所定時間、所定温度に保持することにより行われている。所定温度に保持するには、例えば熱風循環型オーブンなどの加熱炉が用いられている。
従来からのアニールにおいては、例えば荷重たわみ温度(T0)よりも15℃〜25℃低い温度である所定温度に保持されているのが一般的であった。
しかし、かかるアニールの方法では、下記計算式(3)
t0=8 × d ÷ 25 (時間) (3)
〔式中、dは樹脂成形体の厚み(mm)を示す。〕
で示される基準時間(t0)よりも長時間の間、上記所定温度(T0−15℃〜T0−25℃)に保持する必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者は、アニールに必要な時間を短縮し得る樹脂成形体の製造方法を開発するべく鋭意検討した結果、熱成形により得られた樹脂成形体をある特定の温度に保持した後、さらにそれよりも低い特定の温度に冷却する製造方法では、短時間であっても熱成形における歪みを緩和し得ることを見出し、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、樹脂板を熱成形して得た樹脂成形体を加熱後冷却する樹脂成形体の製造方法であり、
熱成形後の冷却状態にある樹脂成形体を、条件式(1)
T0 −15℃ ≦ TA ≦ T0 −10℃ (1)
〔式中、T0は荷重たわみ温度を示す。〕
を満足する温度(TA)に保持した後、条件式(2)
T0 −80℃ ≦ TB ≦ T0 −40℃ (2)
〔式中、T0は荷重たわみ温度を示す。〕
を満足する温度(TB)に冷却することを特徴とする樹脂成形体の製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法に適用される樹脂板は、通常の熱成形に使用されると同様の樹脂板が適用でき、具体的にはアクリル樹脂板、塩化ビニル樹脂板、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂板、ポリカ−ボネ−ト樹脂板、ポリスチレン樹脂板、ポリエチレン樹脂板、ポリプロピレン樹脂板などのポリオレフィン樹脂板などが例示される。これらの樹脂板は熱成形し得るのであれば、架橋されていてもよい。
【0008】
熱成形の方法は特に限定されるものではなく、例えば真空成形、圧空成形、プラグアシスト成形、プレス成形などが挙げられる。
【0009】
本発明の製造方法においては、熱成形により得られた樹脂成形体を、先ず上記条件式(1)で示される温度(TA)に保持する。条件式(1)における荷重たわみ温度(T0)は、JIS K 7207 に記載の方法により測定される温度である。
TAが荷重たわみ温度(T0)よりも15℃低い温度未満である場合、即ちTAが条件式(4)
TA < T0 −15℃ (4)
を満足する場合には、熱成形における歪みが十分に緩和されない傾向にある。また、TAが荷重たわみ温度(T0)よりも10℃低い温度を越える温度である場合、即ちTAが条件式(5)
T0 −10℃ < TA (5)
を満足する場合には、成形体に巨視的な変形が生ずる傾向にある。
【0010】
樹脂成形体をかかる温度(TA)に保持するには、例えば成形体を熱風循環型オーブンの中で保温すればよい。樹脂成形体は、上記温度(TA)に保持する前に、TAとTBとの中間の温度、すなわち(T0 − 15℃)よりも低い温度に保持されてもよい。温度(TA)に保持する保持時間は通常20分〜40分程度である。
【0011】
その後、前記条件式(2)を満足する温度(TB)に冷却する。この温度(TB)は、通常の樹脂成形体においては、室温程度であるか、またはそれ以上の温度である。
冷却方法は特に限定されるものではなく、例えば熱風循環型オーブンの加熱を止めてもよいし、冷却プログラムに沿って徐々に冷却してもよい。
上記温度(TB)まで冷却したのち、目的とする樹脂成形体を室温の雰囲気下に取出すことができる。
【0012】
かくして得られる樹脂成形体は、歪みが緩和されており、巨視的な変形も殆ど観察されないので、例えば下記計算式(5)
R=(S−S0)/S×100(%) (5)
〔式中、Rは成形面積展開率を、S0は熱成形前の樹脂板の成形に関与する部分の面積を、Sは熱成形後の樹脂成形体の成形部分の面積を、それぞれ示す。〕
により算出される成形面積展開率〔R(%)〕が30〜900%である樹脂成形体を製造する場合に特に有効である。
【0013】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、樹脂板を熱成形して得られる樹脂成形体の歪みを短時間で緩和し得、しかも得られる樹脂成形体の巨視的変形も殆ど観察されることなく、樹脂成形体を得ることができる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0015】
なお、各実施例で得た樹脂成形体は以下の方法により評価した。
(1)歪み量(εX、εY)
得られた樹脂成形体(1)のコーナー部に2軸用歪みゲージ〔「KGF−5−120−D16−11L3M2S」、(株)共和電業製〕(2)を瞬間接着剤で貼り付け、稜線部に上記と同様の2軸歪みゲージ(3)を瞬間接着剤で貼り付け、アニールにおけるX軸方向の歪み量(εX)、Y軸方向の歪み量(εY)をそれぞれ測定した(図1)。なお、アニールにおける線膨張による変位は、実施例と同一条件で熱成形したのち温度(TA−5℃)で18時間保持して得た樹脂成形体(ダミー)に同様にして2軸用歪みゲージを貼り付け、温度補償法(アクティブダミー法)により、補償した。
(2)コーナー部の曲率変化率(rc)
緩和歪み率を測定したコーナー部におけるアニール前の曲率半径(rc0)とアニール後の曲率半径(rc1)とをそれぞれ測定し、その比(rc=rc1/rc0)を求めた。
(3)稜線部の曲率変化率(rL)
緩和歪み率を測定した稜線部におけるアニール前の曲率半径(rL0)とアニール後の曲率半径(rL1)とをそれぞれ測定し、その比(rL=rL1/rL0)を求めた。
(4)成形品中心部の凹み量(Δh)
アニール前の成形品の底面中心部分の高さ(h0)とアニール後の成形体中心部の高さ(h1)とをそれぞれ測定し、その差(Δh=h1−h0)を求めた。
(5)樹脂板および樹脂成形体の厚み(dc0、dL0、dc、dL)
成形前の樹脂板における樹脂成形体のコーナー部に相当する部分の厚み(dc0)および稜線部に相当する部分の厚み(dL0)、並びに成形後の樹脂成形体のコーナー部の厚み(dc)および稜線部の厚み(dL)をそれぞれ測定した。
【0016】
実施例1
樹脂板〔架橋アクリル系樹脂板、メタクリル酸メチル(94.5重量%)と2−エチルヘキシルアクリレート(5.5重量%)との共重合体であって、膨潤度は12でありゲル化率は73.2%、荷重たわみ温度(T0)は98℃、1515mm×985mm、厚みは約5mm〕を、真空圧空成形機〔CUPF1015−PWB、布施真空(株)製〕と真空成形用雌型〔内寸は幅1190mm×長さ545mm×高さ470mm、バスタブ状〕とを用いて真空成形して樹脂成形体を得た。なお、樹脂板は、樹脂成形体のコーナー部に相当する部分における表面温度が140℃になり、中心部に相当する部分における温度が165℃になり、側面部に相当する部分の温度が180℃になり、フランジに相当する部分の温度が200℃になるまで加熱したのち成形した(成形面積展開率は65%)。
この樹脂成形体を、熱風循環炉内に投入し、60℃で30分加熱後、直ちに85℃で30分間保持し、次いで65℃で1時間保持後、50℃で1時間保持して取り出した。
この樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
【0017】
比較例1
実施例1と同様にして熱成形した樹脂成形体を、熱風循環炉内に投入し、80℃で2時間保持し、次いで65℃で1時間保持後、50℃で1時間保持して取り出した。
この樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
実施例1で得た樹脂成形体は、比較的短いアニール処理時間で、比較例1で得た樹脂成形体と同程度の歪み量(εX、εY)、コーナー部の曲率変化率(rc)、稜線部の曲率変化率(rL)および樹脂成形体中心部の歪み量(Δh)をそれぞれ示す。
【0020】
実施例2
樹脂板として、市販の架橋アクリル系樹脂板〔住友化学工業(株)製、「GS710」、荷重たわみ温度(T0)は100℃、1515mm×985mm、厚みは約5mm〕を用い、真空成形用雌型として内寸が幅740mm、長さ1400mm、深さ520mmであるバスタブ状の雌型を用いる以外は実施例1と同様に操作して樹脂成形体を得た。
【0021】
上記で得た樹脂成形体の外側表面(雌型に接触した面)に不飽和ポリエステル樹脂〔東京インキ社製、「ゲルコート PCG−OM215W」〕を塗布しゲルコート層を設け、該層の上に不飽和ポリエステル樹脂〔日立化成社製、「NR2219−PT−L」〕およびガラス繊維の混合物をスプレーアップ法で塗布して繊維強化樹脂第1層を設け、該層の上に不飽和ポリエステル樹脂〔日立化成社製、「NR2907APT−L」〕およびガラス繊維の混合物をスプレーアップ法で塗布して繊維強化樹脂第2層を設けた。次いで、底面に耐水合板〔厚み9mm〕をパテで接着し、その耐水合板の四隅に足〔木製、5cm×5cm×5cm〕を接着剤で固定して、バスタブとした。
このバスタブの内側に温水(80℃)を張って同温度で100時間保持し、次いで排水後、乾燥させる操作を3回繰り返したところ、内側には目視で観察できる異常は見出せなかった。
【0022】
比較例2
実施例2と同様に熱成形して得た樹脂成形体を、熱風循環炉内に投入し、80℃で2時間保持し、次いで15時間かけて除冷して、樹脂成形体を得た。
【0023】
上記で得た樹脂成形体を用いる以外は実施例2と同様に操作して、バスタブを得た。
このバスタブを用いて、実施例2と同様に評価したところ、その内側には目視で観察できる異常は見出せなかった。
【0024】
実施例2で得た樹脂成形体を用いたバスタブは、比較例2で得た従来の製造方法による樹脂成形体を用いたバスタブと比較して、同等の耐熱水性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得た樹脂成形体および2軸用歪みゲージの取付け位置を示す模式図である。
Claims (2)
- アクリル樹脂板を熱成形して得た樹脂成形体を加熱後冷却する樹脂成形体の製造方法であり、
熱成形後の冷却状態にある樹脂成形体を、条件式(1)
T0 −15℃ ≦ TA ≦ T0 −10℃ (1)
〔式中、T0は荷重たわみ温度を示す。〕
を満足する温度(TA)で20〜40分間保持した後、条件式(2)
T0 −80℃ ≦ TB ≦ T0 −40℃ (2)
〔式中、T0は荷重たわみ温度を示す。〕
を満足する温度(TB)に冷却することを特徴とする樹脂成形体の製造方法。 - 熱成形における成形面積展開率が30〜900%である請求項1に記載の製造方法。
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