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JP3707716B2 - 情報機器 - Google Patents

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JP3707716B2
JP3707716B2 JP07407598A JP7407598A JP3707716B2 JP 3707716 B2 JP3707716 B2 JP 3707716B2 JP 07407598 A JP07407598 A JP 07407598A JP 7407598 A JP7407598 A JP 7407598A JP 3707716 B2 JP3707716 B2 JP 3707716B2
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豊田  泰
博明 竹林
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報機器に関する。具体的に、情報機器は、磁気ディスクや光ディスクなどの情報記録ディスクのドライブ装置、例えばハードディスクドライブ装置(HDD)などが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特開平5−135515号公報に示すように、情報の記録・再生用のヘッドを移動させるスイングアームの揺動支点軸は、2つのラジアル転がり軸受で支持されている。この転がり軸受では、その潤滑剤として、潤滑性に優れたふっ素系グリースを使用し、必要最小限の量を封入するようになっている。
【0003】
このふっ素系グリースとしては、PTFE(ポリテトラフロオロエチレン)などの微小粉末(例えば粒子径2〜3μm)を増稠剤として添加したもの、例えばPTFE・フルオロカーボン油グリース、PTFE・フロロシリコーン油グリース、PTFE・ふっ素化ポリエーテル油グリースなどが挙げられる。この種のふっ素系グリースは、添加する増稠剤の分散を均一とするために、適宜のイオンを用いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記情報機器では、スイングアーム支持用の転がり軸受に上述したようなふっ素系グリースを用いているために、下記するような不具合が発生している。
【0005】
まず、前述のふっ素系グリースでは転動体と軌道輪との間で膜切れが起こりやすいため、転がり軸受の転動体が引きずられることが起こり、転動体と軌道輪との直接接触が起こるなど、転動体や軌道輪の摩耗が発生することがある。
【0006】
また、ふっ素系グリースに添加する増稠剤としてのPTFEについて、選別作業の困難性に伴い規定よりも大きな粒子径のものが混じっていることが原因で、転がり軸受から微小なスパイクノイズを発生するなど、トルク特性が不安定になりやすく、記録・再生時のヘッドの位置決め精度が低下する。
【0007】
さらに、ふっ素系グリースの漏れが起こることがあり、この漏れたふっ素系グリースの特に増稠剤の均一分散用のイオンが、情報記録ディスクの表面に付着して情報記録ディスクの保護膜にとりこまれたりすると、記録・再生の妨げとなるといった弊害をもたらす。
【0008】
さらに、このような情報機器を真空中等の低気圧雰囲気で使用する場合、ふっ素系グリースからガスが発生し、このガスが情報記憶ディスクの保護膜に悪影響を与えるといった問題もある。
【0009】
また、ふっ素系以外のグリースの場合には、その中に含まれるハイドロカーボンが情報機器に悪影響を与えるといった問題がある。さらに、グリースを用いた転がり軸受では、長時間使用せずに放置しておくと、グリースが硬化し、使用開始時に回転トルクが大きくなるという問題があった。
【0010】
したがって、本発明は、情報機器において、揺動部分または回転部分の支持用の転がり軸受の潤滑性、トルク特性、発塵性を向上し、情報記録・再生動作の安定化を図ることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の情報機器は、揺動部分または回転部分の支持に転がり軸受を用いた情報機器であって、前記転がり軸受の少なくとも軌道面に、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物からなる固体状の被膜が形成され、前記固体状の被膜は硬化処理により末端のイソシアネート官能基が消失している。
【0012】
本発明の第2の情報機器は、記録・再生用のヘッドまたは情報記録ディスクの支持に転がり軸受を用いた情報機器であって、前記転がり軸受の少なくとも軌道面に、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物からなる固体状の被膜が形成され、前記固体状の被膜は硬化処理により末端のイソシアネート官能基が消失している。
【0013】
なお、前述の被膜は3次元の網状構造を有している。また、被膜には、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体を分散添加するのが好ましい。
【0014】
上記本発明での被膜は、分子間が密に詰まって結合したもので、摩耗や剥離など発塵しにくく、摩擦抵抗がきわめて小さいものである。しかも、前述の被膜は、従来のふっ素系グリースのように不均一な粒子径の増稠剤や、増稠剤の均一分散用のイオンが含まれていない。そのため、転がり軸受の動作がきわめて円滑になって、従来のような微小なスパイクノイズが発生することがなくなる。
【0015】
なお、本発明の情報機器として、転がり軸受の近傍に情報記録ディスクを配設しているものとする場合、仮に、被膜からの発塵成分が情報記録ディスクに一般的に形成している保護膜にとりこまれたとしても、前記被膜が前記保護膜と同種の成分であるので、情報記録ディスクの情報記録・再生の妨げにならない。
【0016】
また、被膜に末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体を添加している場合では、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が膜表面から滲み出て潤滑作用に寄与する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図1ないし図12に示す実施形態に基づいて説明する。図1および図2は本発明の一実施形態にかかり、図1は、ハードディスクドライブ装置の縦断面図、図2は、転がり軸受の半分を拡大した図である。
【0018】
図1において、Aは情報機器としてのハードディスクドライブ装置の全体を示しており、1は枠体、2は枠体1の内部に水平姿勢で配設される磁気ディスクや光ディスクなどの情報記録ディスク、3は枠体1に情報記録ディスク2を回転自在に支持するスピンドルユニット、4は情報記録ディスク2に対する情報の記録・再生を行う記録・再生ヘッド、5は記録・再生ヘッド4を情報記録ディスク2の任意のトラックに対して移動させる移動ユニットである。
【0019】
情報記録ディスク2の表面には、保護膜(図示省略)が流動性を有する状態で形成されている。この保護膜は、一般的に、パーフルオロポリエーテル(PFPE)からなる。
【0020】
スピンドルユニット3は、情報記録ディスク1の回転中心に上下に突出する状態に貫通固定されるスピンドル軸6と、このスピンドル軸6の上下突出部分をそれぞれ枠体1に対して回転自在に支持する一対の転がり軸受7,7と、情報記録ディスク2を回転駆動するモータ8とを備えている。前述のモータ8は、スピンドル軸6において枠体1の下方に突出する下端に固定されるロータ(永久磁石)9と、ロータ9の下方に非接触で対向配置されるステータ(コイル)10とで構成されている。ステータ10は、基体11上に枠体1側に弾発付勢するコイルバネなどの弾性体12を介して取り付けられるヨーク13に貼着されている。
【0021】
移動ユニット5は、記録・再生ヘッド4が取り付けられるスイングアーム14と、枠体1に固定されるヘッドキャリッジ軸15と、ヘッドキャリッジ軸15にスイングアーム14を揺動自在に支持する一対の転がり軸受16,16と、スイングアーム14を揺動駆動するモータ17とを備えている。前述のモータ17は、スイングアーム14の下端に固定されるロータ(永久磁石)18と、ロータ18の下方に非接触で対向配置されるステータ(コイル)19とで構成されている。ステータ19は、基体11上に枠体1側に弾発付勢するコイルバネなどの弾性体20を介して取り付けられるヨーク21に貼着されている。
【0022】
上述した移動ユニット5に備える一対の転がり軸受16は、図2に示すように、内輪22と、外輪23と、球状の転動体24と、冠形の保持器25と、シール26とを備える深溝型玉軸受とされている。ここでは、内輪22の外周面、外輪23の内周面、転動体24の表面および保持器25の表面に、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物からなる固体状の被膜27が形成されている。なお、被膜27は、少なくとも内・外輪22,23の軌道面のみに形成すればよい。
【0023】
ここで、内・外輪22,23および転動体24は、金属材料により形成されている。金属材料としては、例えばJIS規格SUJ2などの高炭素クロム軸受鋼などが挙げられる。耐食性が要求される場合には、JIS規格SUS440Cなどのマルテンサイト系ステンレス鋼、例えばJIS規格SUS630などの析出硬化型ステンレス鋼に適当な硬化熱処理を施した金属材などが好ましい。また、軽荷重用途では、例えばJIS規格SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼とすることができる。なお、転動体24は、セラミックス材により形成することもできる。このセラミックス材としては、焼結助剤として、イットリア(Y23)およびアルミナ(Al23)、その他、適宜、窒化アルミ(AlN)、酸化チタン(TiO2)、スピネル(MgAl24)を用いた窒化けい素(Si34)を主体とするものの他、アルミナ(Al23)や炭化けい素(SiC)、ジルコニア(ZrO2)、窒化アルミ(AlN)などを用いることができる。
【0024】
保持器25は、SPCC材などの軟鋼の他、合成樹脂材料により形成される。合成樹脂材料としては、一般的なポリアミド樹脂(ナイロン66)の他、耐熱性を有する熱可塑性樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略称する)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)などのふっ素系樹脂やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ナイロン46などのエンジニアリングプラスチックスなども使用できる。保持器の形式としては、図示する冠型の他、波型やもみ抜き型などが任意に使用される。
【0025】
前述の末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物からなる固体状の被膜27は、−C2X−O−という一般式(Xは1〜4の整数)で示される単位を主要構造単位とし、いずれも平均分子量が数百万以上で硬化反応により分子間が結合された3次元の網状構造を有している。3次元の網状構造とは、化学構造上の表現であって、膜の断面が網状となっているのではなく、分子間が網状のように連続してつながって密に詰まった均質な構造になっていることを意味している。このような末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物としては、下記化学式1に示すような末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体を用いて、化学構造を変化させたものとすることができる。前述の末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体としては、パーフルオロポリエーテル(PFPE)の誘導体、具体的に例えばモンテカチーニ社の商品名フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOCなど)が好適に用いられる。
【0026】
【化1】
Figure 0003707716
【0027】
次に、上述した被膜27の形成方法の一例を説明する。
【0028】
(a) 末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物の固体膜27を得るための溶液を用意し、この溶液中に内・外輪22,23、転動体24および保持器25をそれぞれ個別に浸漬するか、あるいはそれらを組み立てた状態の転がり軸受16を浸漬して数回回転させることにより、内・外輪22,23、転動体24および保持器25に液状膜を付着させる(付着処理)。なお、局部的に付着する場合、不要箇所をマスキングして溶液中に浸漬したり、溶液をスプレーしたりすればよい。また、内・外輪22,23間で転動体24の存在する箇所に、溶液を微量注入可能な注射器などにより注入するようにしてもよい。ここで用意する溶液は、末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)〕を希釈溶媒(ふっ素系溶剤SV90)で含ふっ素重合体の濃度を1mass%にまで希釈したものとする。
【0029】
(b) 液状膜を付着した転がり軸受16の全体を、40〜50℃で約1分間加熱し、液状膜に含む溶媒を除去する(乾燥処理)。この時点では、液状膜のままであり、流動性を有している。
【0030】
(c) この後、例えば100〜200℃で20時間、加熱する(硬化処理)。これにより液状膜の化学構造が変化することにより硬化反応して末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物の被膜27が得られる。ちなみに、この硬化処理では、液状膜に存在している官能基付き含ふっ素重合体の個々について、下記化学式2〜5に示すような4種の硬化反応でもって末端のイソシアネート(NCO)が消失し、各官能基付き含ふっ素重合体が互いに結合することにより3次元の網状構造となる。結合は、化学式2,3に示すような硬化反応でもって、図3(a)に模式的に示すように直線的に架橋するとともに、化学式4,5に示すような硬化反応でもって、図3(b)に模式的に示すように3次元方向で架橋する。なお、図3では、下記化学式6に示すように、上記化学式1を簡略化して模式的に表している。
【0031】
【化2】
Figure 0003707716
【0032】
【化3】
Figure 0003707716
【0033】
【化4】
Figure 0003707716
【0034】
【化5】
Figure 0003707716
【0035】
【化6】
Figure 0003707716
【0036】
このようにすれば、転がり軸受16の必要部位に末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物の被膜27を好適な膜厚で形成することができる。なお、(a)、(b)は必要に応じて数回繰り返すようにしてもよく、最終的には、用途に応じて、被膜27の膜厚を例えば0.1〜3μmの範囲で適宜に設定することができる。但し、使用溶液の性状、薄膜形成方法や生成後の膜厚などは、適宜に設定すればよい。
【0037】
ここで、(a)で用意した溶液を濃縮乾燥しただけの状態(流動性がある状態)と、(a)で用意した溶液をステンレス鋼板などの試料に付着して硬化した状態とについて、その性状を分析したので説明する。
【0038】
前者はFT−IR法(フーリエ変換−赤外分光、液膜法)で分析している。その結果は、図4のグラフに示すように、ふっ素系のピーク以外にNH(3300cm−1)、N=C=O(2279cm−1)、NHC=O(1712cm−1,1546cm−1)、ベンゼン(1600cm−1)などのピークが見られ、ベンゼン環、NHC=O結合、イソシアネートが官能基として存在していることが確認できる。ここでは、薄膜と厚膜との場合についてそれぞれ調べているが、膜厚に関係なく分析が行えた。後者は、FT−IR法(フーリエ変換−赤外分光、液膜法)で分析している。その結果は、図5のグラフに示すように、ベンゼン環やNHC=O結合のピークが見られるが、イソシアネートのピークが見られない。つまり、これらの結果に基づき、上記化学式2〜5に示す硬化反応による官能基の化学構造変化が確認される。
【0039】
以上説明した被膜27は、それ自体3次元の網状構造をもって、被覆対象上に緻密に被覆されるとともに自己潤滑性を有するため、摩耗、剥離といった発塵を抑制できるようになって軸受構成要素どうしの直接的な接触を回避できるようになるとともに、摩擦抵抗がきわめて小さくなり転動、摺動動作が円滑となる。しかも、この被膜27は、従来のふっ素系グリースのように不均一な粒子径の増稠剤や、増稠剤の均一分散用のイオンが含まれていない。
【0040】
そのため、記録・再生ヘッド4支持用の転がり軸受16の動作がきわめて円滑になって従来のような微小なスパイクノイズが発生することがなくなるなど、トルク特性が安定することになり、結果的に記録・再生ヘッド4の位置決め精度が向上することになる。また、仮に、被膜27からの発塵成分が情報記録ディスク2の保護膜にとりこまれたとしても、保護膜と被膜27の発塵成分とが同種の成分であるから、情報記録ディスク2の情報記録・再生の妨げにならない。
【0041】
ところで、本発明の他の実施例として、上記実施例で説明した被膜27について、分子間が結合した3次元の網状構造中に、フルオロポリエーテルなどの末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない含ふっ素重合体を流動可能に分散添加した構造にすることもできる。この場合、具体的に、上記実施例での形成方法の(a)の付着処理において、用意する溶液を、末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔例えばフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOCなど)〕と、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない含ふっ素化合物として官能基なし含ふっ素重合体〔例えばフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z-60など)〕とを所定の割合で混合したものとすればよい。この場合では、(c)の硬化処理において、官能基なし含ふっ素重合体が、官能基付き含ふっ素重合体と結合しないので、これが、被膜27の内部において流動可能となり、表面から滲み出るなどして潤滑作用を発揮することになる。
【0045】
ここで、上述した被膜27についての発塵寿命、トルク寿命を調べているので、説明する。ここでは、実施例と比較例の2つを挙げている。
【0046】
実施例では、被膜27を内・外輪22,23、転動体24、保持器25の全表面に形成している。被膜27としては、末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)〕に対して、官能基なし含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z-60)〕を添加して得たもので、フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)の濃度を1mass%、フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z-60)の濃度を0.25mass%としている。
【0047】
比較例では、ふっ素系グリースとしてダイキン工業(株)製の商品名デムナムを用い、転がり軸受16に封入している。
【0048】
まず、大気環境での試験には、図6に示す装置を、また、真空環境での試験には、図7に示す装置を用いている。図中、50,50は試験軸受、51は回転軸、52はケーシング、53は磁性流体シール、54は発塵個数計測装置(パーティクルカウンター)、55は計測結果記録機(レコーダ)、56は軸受ハウジング、57はアキシャル荷重付加用のコイルバネである。
【0049】
試験軸受50は、実施例、比較例のいずれも、呼び番号SE608(φ8×φ22×7)とし、内・外輪および転動体(玉)をJIS規格SUS440C、保持器(波形タイプ)をJIS規格SUS304としている。内・外輪の軌道の表面粗さを共に0.1Z、転動体の表面粗さを0.05aとしている。
【0050】
試験条件は、下記のとおり。
【0051】
Figure 0003707716
▲1▼ 発塵寿命試験では、雰囲気を大気、環境温度を室温、アキシャル荷重を50Nとし、回転初期50時間の総発塵量の測定を行った。なお、測定は粒子径0.1μm以上の発塵粒子について実施した。結果は、比較例が30ケ、実施例が10ケと、実施例が比較例に比べて優れていた。
【0052】
つまり、実施例の被膜27は、3次元の網状構造で密に詰まった均質膜になっているから、転がり軸受16の各構成要素間での転動、摺動時において、剥離や摩耗が発生しにくくなるのである。
【0053】
▲2▼ イオンコンタミネーション性能試験では、転がり軸受から発生する陰イオン量の測定を行った。結果は、図8のグラフに示すように、実施例が比較例に比べて、陰イオンの発生量が少なくなっている。
【0054】
▲3▼ アウトガス性能試験では、図9のグラフに示すように、大気圧から1×10-6Paまでのそれぞれの気圧下で、雰囲気温度を徐々に上昇させて、ガスの発生する温度を測定した。結果は、比較例では、室温で気圧が1×10-1Paのレベルでガスが発生するが、実施例では、気圧を1×10-4Paまで下げてもガスが発生しない。
【0055】
▲4▼ トルク寿命試験では、雰囲気を真空、環境温度を室温とし、アキシャル荷重を25N、50Nとしている。ここでは、実施例と比較例とを調べている。図10のグラフに示すように、実施例では、600時間で打ち切っているが、アキシャル荷重25Nでトルクが3〜4×10-3N・m、アキシャル荷重50Nでトルクが5〜6×10-3N・mと軽減できたが、比較例では、アキシャル荷重25Nでトルクが9×10-3N・m、アキシャル荷重50Nでトルクが11×10-3N・mとなる。このように、実施例のものは比較例に比べてトルクを約1/2と、かなり軽減できるようになる。
【0056】
また、雰囲気を真空、環境温度を高温(200℃)とし、アキシャル荷重を50Nとした場合、図11に示すように、比較例だと10時間でトルクが著しく大きくなったが、実施例だと、90時間を越えても何の問題もなく、現在も継続中である。このように、トルク寿命は、環境温度の高低に関係なく、比較例に比べて格段に優れた結果となった。
【0057】
▲5▼ さらに、常温放置後のトルク変化についても、図12のグラフに示すように、1ケ月以上放置した後も、エージング直後と変化が無かった。
【0058】
これは、つまりベースとなる成分に対して添加する成分が結合しないから、この添加した成分が流動性を有することになり、それによって潤滑作用を発揮するために、トルク軽減に効果をもたらすものと考えられる。なお、被膜27としては、上述したものの他に、<1>末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)〕を用いて得たもので、濃度を1mass%としたもの、参考例<1>末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)〕に対して、末端が水酸基(−OH)の官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DOL) 〕を添加して得たもので、フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)の濃度を1mass%、フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DOL)の濃度を0.25mass%としたもの、参考例<2>末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)〕に対して、末端が水酸基の官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DOL) 〕と、官能基なし含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z-60) 〕とを添加して得たもので、フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)の濃度を1mass%、フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DOL)およびフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z-60)の濃度を合わせて0.25mass%としたものを用いることができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0060】
(1) 本発明の情報機器は、上述したハードディスクドライブ装置の他にも、精密回転機構を有する装置とすることができる。
【0061】
(2) 上記実施形態では、移動ユニット5のスイングアーム支持用の転がり軸受16として深溝型玉軸受を引用しているが、その他、種々な形式の転がり軸受とすることができる。
【0062】
(3) 上記実施形態では、移動ユニット5のスイングアーム支持用の転がり軸受16に被膜27を形成しているが、スピンドルユニット3の転がり軸受7にも同様に被膜27を形成してもよい。この場合、情報記録ディスク2の回転精度の向上に貢献できる。
【0063】
(4) 上記実施形態において(c)の硬化処理については、加熱に代えて、紫外線、赤外線、γ線、電子線などの電磁波(光)のエネルギーを利用することができる。また、(b)の乾燥処理は、省略してもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明の情報機器では、その揺動部分または回転部分に用いる転がり軸受の軌道輪の軌道面に、摩耗や剥離など発塵がしにくくて摩擦抵抗がきわめて小さく、かつ、従来のふっ素系グリースのように不均一な粒子径の増稠剤や増稠剤の均一分散用のイオンが含まれていない被膜を形成しているから、転がり軸受の動作がきわめて円滑になって従来のような微小なスパイクノイズが発生することがなくなるなどトルク特性が安定することになる。
【0065】
なお、本発明の情報機器として、転がり軸受の近傍に情報記録ディスクや記録・再生ヘッドを配設しているものとする場合、それらの支持用の転がり軸受のトルク特性が安定になるので、記録・再生時のヘッドの位置決め精度や情報記録ディスクの回転精度が向上することになる。また、仮に、被膜からの発塵成分が情報記録ディスクに一般的に形成している保護膜にとりこまれたとしても、前記被膜が前記保護膜と同種の成分であるので、情報記録ディスクの情報記録・再生の妨げにならない。
【0066】
このように、本発明では、長期間にわたって優れた性能を発揮する信頼性の高い情報機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるハードディスクドライブ装置の縦断面図
【図2】図1の移動ユニットの転がり軸受の半分を拡大した図
【図3】図2の転がり軸受に形成する被膜の構造を模式的に表した構造図
【図4】被膜の硬化前の状態での性状分析結果を示すグラフ
【図5】被膜の硬化後の状態での性状分析結果を示すグラフ
【図6】大気環境で用いる試験装置の概略構成図
【図7】真空環境で用いる試験装置の概略構成図
【図8】イオンコンタミネーション性能の測定結果を示すグラフ
【図9】アウトガス性能の測定結果を示すグラフ
【図10】同軸受の大気環境でのトルク寿命に関する試験結果を示すグラフ
【図11】同軸受の真空環境でのトルク寿命に関する試験結果を示すグラフ
【図12】常温放置後のトルク変化の測定結果を示すグラフ
【符号の説明】
A ハードディスクドライブ装置
2 情報記録ディスク
4 記録・再生ヘッド
5 記録・再生ヘッドの移動ユニット
14 移動ユニットのスイングアーム
16 スイングアーム支持用の転がり軸受
22 内輪
23 外輪
27 被膜

Claims (4)

  1. 揺動部分または回転部分の支持に転がり軸受を用いた情報機器であって、前記転がり軸受の少なくとも軌道面に、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物からなる固体状の被膜が形成され、前記固体状の被膜は硬化処理により末端のイソシアネート官能基が消失している、ことを特徴とする情報機器。
  2. 記録・再生用のヘッドまたは情報記録ディスクの支持に転がり軸受を用いた情報機器であって、前記転がり軸受の少なくとも軌道面に、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物からなる固体状の被膜が形成され、前記固体状の被膜は硬化処理により末端のイソシアネート官能基が消失している、ことを特徴とする情報機器。
  3. 前記被膜は、3次元の網状構造を有している、請求項1または2に記載の情報機器。
  4. 前記被膜には、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散添加されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の情報機器。
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