JP3702381B2 - 上塗り塗料用硬化性組成物及びそれを塗布してなる塗装物 - Google Patents
上塗り塗料用硬化性組成物及びそれを塗布してなる塗装物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3702381B2 JP3702381B2 JP27697297A JP27697297A JP3702381B2 JP 3702381 B2 JP3702381 B2 JP 3702381B2 JP 27697297 A JP27697297 A JP 27697297A JP 27697297 A JP27697297 A JP 27697297A JP 3702381 B2 JP3702381 B2 JP 3702381B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- parts
- acrylic copolymer
- carbon atoms
- weight
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上塗り塗料用硬化性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、たとえば金属、セラミックス、ガラス、セメント、窯業系成形物、プラスチック、木材、紙、繊維等からなる建築物、家電用品、産業機器、自動車塗装用等に好適に使用しうる上塗り塗料用硬化性樹脂組成物、および、当該上塗り塗料用硬化性樹脂組成物を塗装した塗装物に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来、窯業系成形物、コンクリートや鉄鋼からなる建築物、建材等の産業製品等の表面を、たとえばフッ素樹脂塗料、アクリルウレタン塗料、アクリルシリコン塗料等の塗料で被覆することによって建築物等の外観をよくしたり、防食性や耐候性等を向上させたりしている。また、同時に近年の都市部を中心とした環境の悪化や美観・景観保護の意識の向上から、上記の塗料に耐汚染性性能を付与した物が開発上市されるようになってきている。
【0003】
この中でアクリルシリコン塗料については、その架橋形態によって、他の2種に比較して被塗物によっては密着性や塗り重ね時に生じる縮み等の性能が不充分であり、イソシアナート化合物の添加によりこれらの性能改善を行ってきている。
【0004】
しかしながら、これをアクリルメラミン塗膜、フッソメラミン塗膜、アクリルウレタン塗膜、酸−エポキシ系塗膜等の熱硬化性塗膜の上にオーバーコートする場合やこれらベースコートを塗装した後、ウェットオンウェットで塗装する方式(2コート1ベーク)が用いられる自動車用途においては、非常に高い外観性が要求される。このため、表面調整剤(レベリング剤)が必須であるが、レベリング剤を添加した場合、外観性は得られるものの、接触角が高くなり、耐汚染性が発現しなくなる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のごとき実状に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の反応性シリル基と水酸基を必須成分として含有するアクリル系共重合体、特定のシリコン化合物、多官能性イソシアナート化合物、特定の硬化触媒、特定のポリエーテル変性ジメチルポリシロキサンを特定の割合で配合した組成物が、常温または加熱下で硬化性を有し、該組成物からの塗膜が、アクリルシリコン樹脂塗料からの塗膜と同様に優れた耐候性を有すると共に、優れた耐汚染性と密着性、耐溶剤性、耐衝撃性を同時に有することを見いだした。
【0006】
すなわち、本発明の上塗り塗料用硬化性組成物は、一般式(I):
【化3】
(式中、R1は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R2は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0〜2の整数を示す。)で表わされる炭素原子に結合した反応性シリル基および水酸基を必須成分として含有するアクリル系共重合体(A)100部(重量部、以下同様)に対して、一般式(II):
【化4】
(式中、R3は、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、R4は、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素、bは0または1を示す。)で表わされるシリコン化合物および/またはその加水分解縮合物(B)2〜70重量部、架橋剤としてのイソシアナート基を2個以上有する化合物(C)0.1〜30重量部、硬化触媒(D)0.1〜10重量部、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(E)0.01〜10重量部を含有してなるものである。
【0007】
前記アクリル系共重合体(A)は、一般式(I)で表わされる炭素原子に結合した反応性シリル基を分子内に有する単量体単位を3〜90重量%含有する共重合体であることが好ましい(請求項2)。
【0008】
また、前記硬化触媒(D)は、有機金属系化合物であることが好ましく、特に分子内にS原子を含有する錫系化合物であることが好ましい(請求項3、4)。
【0009】
上記硬化性組成物は、メルカプト基含有炭化水素および/またはメルカプトシラン(F)をさらに含有していてもよい(請求項5)。
【0010】
本発明の塗装物は、メタリック粉末および/または着色顔料を含有する塗料が塗布された塗布面にトップコートクリアー塗料が塗布されてなる塗装物であって、前記トップコートクリアー塗料が、上記いずれかの塗料用硬化性組成物を主成分として含有するものである(請求項6)。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の上塗り塗料用硬化性組成物には、水分(湿気)の存在下、室温で硬化性を有するベース樹脂として一般式(I):
【化5】
(式中、R1は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、R2は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0〜2の整数を示す。)で表わされる炭素原子に結合した反応性シリル基および水酸基を必須成分として含有するアクリル系共重合体(A)が含有される。
【0012】
アクリル系共重合体(A)は、その主鎖が実質的にアクリル系単量体が共重合した主鎖からなる(以下、主鎖が実質的にアクリル共重合鎖からなるともいう。)共重合体であるため、得られる本発明の上塗り塗料用硬化性樹脂組成物から形成される塗膜の耐候性、耐薬品性等が優れたものとなる。
【0013】
なお、上記において「アクリル系共重合体(A)の主鎖が実質的にアクリル共重合体鎖からなる」とは、アクリル系共重合体(A)の主鎖を構成する単位のうちの50%(重量%、以下同様。)以上、より好ましくは70%以上がアクリル系単量体単位から形成されていることを意味する。
【0014】
また、アクリル系共重合体(A)は、反応性シリル基が炭素原子に結合した形式で含有されているため、塗膜の耐水性、耐アルカリ性、耐酸性等が優れたものとなる。
【0015】
アクリル系共重合体(A)において、一般式(I)で表わされる炭素原子に結合した反応性シリル基の数は、アクリル系共重合体(A)1分子あたり2個以上、好ましくは3個以上であることが、本発明の組成物から形成される塗膜の耐候性、耐溶剤性等の耐久性が優れるという点から好ましい。
【0016】
前記一般式(I)で表わされる反応性シリル基は、アクリル系共重合体(A)の主鎖の末端に結合していてもよく、側鎖に結合していてもよく、主鎖の末端および側鎖に結合していてもよい。
【0017】
前記一般式(I)において、R1は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基である。前記アルキル基の炭素数が10を越える場合には、反応性シリル基の反応性が低下するようになる。また、前記R1が、例えばフェニル基、ベンジル基等のアルキル基以外の基である場合にも、反応性シリル基の反応性が低下するようになる。
【0018】
また、前記一般式(I)において、R2は、水素原子または炭素数1〜10、好ましくは上記R1について例示されたような炭素数1〜4のアルキル基、例えばフェニル基等の好ましくは炭素数6〜25のアリール基、および例えばベンジル基等の好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基である。これらの中では、本発明の組成物が硬化性に優れるという点から炭素数1〜4のアルキル基であるのが好ましい。
【0019】
前記一般式(I)において、(R1O)3−aは、3−aが1以上3以下になるように、すなわちaが0〜2になるように選ばれるが、アクリル系共重合体(A)の硬化性が良好になるという点からは、aが0または1であるのが好ましい。したがって、R2の結合数は0〜1であるのが好ましい。
【0020】
一般式(I)中に存在する(R1O)またはR2の個数が2個以上の場合、2個以上含まれるR1またはR2は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0021】
前記一般式(I)で表わされる炭素原子に結合した反応性シリル基の具体例としては、例えば後述する反応性シリル基を含有する単量体に含有される基が挙げられる。
【0022】
また、アクリル系共重合体(A)としては、合成の容易さの点から、その分子内に一般式(I)で表わされる炭素原子に結合した反応性シリル基を含有する単量体単位を含有したものが好ましい。なお、アクリル系共重合体(A)中の前記単量体単位の含有割合は、本発明の組成物を用いて形成される塗膜の耐久性が優れる、強度が大きくなるという点から、3〜90%、中でも10〜70%、特には10〜50%であるのが好ましい。
【0023】
前記アクリル系共重合体(A)に含有される一般式(I)で表わされる炭素原子に結合した反応性シリル基を含有する単量体単位以外の単量体単位としては、後述するアクリル系単量体からの単位、後述する必要により用いられるその他の単量体からの単位が挙げられる。
【0024】
アクリル系共重合体(A)は、数平均分子量が、本発明の組成物を用いて形成される塗膜の耐久性等の物性が優れるという点から、1,000〜30,000、中でも3,000〜25,000であることが好ましい。
【0025】
上記のごときアクリル系共重合体(A)は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0026】
次に、アクリル系共重合体(A)の製法の一例について説明する。
【0027】
アクリル系共重合体(A)は、例えば重合性2重結合および炭素原子に結合した反応性シリル基を含有した単量体(以下、モノマー(A−1)という。)、水酸基含有モノマー(以下、モノマー(A−2)という。)、(メタ)アクリル酸および/またはその誘導体(以下、モノマー(A−3)という。)ならびに必要により用いられるその他の単量体を含有するものを重合することによって製造することができる。
【0028】
前記モノマー(A−1)の具体例としては、例えば、
【化6】
等の一般式(III):
【化7】
(式中、R1、R2、aは、前記と同じ、R5は、水素原子またはメチル基を示す。)
で表わされる化合物;
【化8】
等の一般式(IV):
【化9】
(式中、R1、R2、R5およびaは、前記と同じ、nは、1〜12の整数を示す。)
で表わされる化合物;
【化10】
等の一般式(V):
【化11】
(式中、R1、R2、R5、aおよびnは、前記と同じ。)
で表わされる化合物;
【化12】
等の一般式(VI):
【化13】
(式中、R1、R2、R5およびaは、前記と同じ、mは、1〜14の整数を示す。)で表わされる化合物;
【化14】
(式中、pは0〜20の整数を示す。)等の一般式(VII):
【化15】
(式中、R1、R2、R5、aは、前記と同じ、qは0〜22の整数を示す。)で表わされる化合物や、炭素原子に結合した反応性シリル基をウレタン結合またはシロキサン結合を介して末端に有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、共重合性および重合安定性、ならびに得られる組成物の硬化性および保存安定性が優れるという点から、前記一般式(IV)で表わされる化合物が好ましい。
【0029】
これらモノマー(A−1)は、単独で用いてもよく、2種以上併用しても良い。
【0030】
モノマー(A−1)は、上記のように、得られるアクリル系共重合体(A)中に一般式(I)で表わされる炭素原子に結合した反応性シリル基を含有する単量体単位が3〜90%、さらには10〜70%、特には10〜50%含有されるように使用するのが好ましい。
【0031】
前記モノマー(A−2)の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、4−ヒドロキシスチレンビニルトルエン、東亜合成化学工業(株)製のアロニクス5700、4−ヒドロキシスチレン、日本触媒化学工業(株)製のHE−10,HE−20,HP−1およびHP−20(以上、いずれも末端に水酸基を有するアクリル酸エステルオリゴマー)、日本油脂(株)製のブレンマーPPシリーズ(ポリプロピレングリコールメタクリレート)、ブレンマーPEシリーズ(ポリエチレングリコールモノメタクリレート)、ブレンマーPEPシリーズ(ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート)、ブレンマーAP−400(ポリプロピレングリコールモノアクリレート)、ブレンマーAE−350(ポリエチレングリコールモノアクリレート)、およびブレンマーGLM(グリセロールモノメタクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類、水酸基含有化合物とε−カプロラクトンとの反応により得られるε−カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニル系共重合性化合物Placcel FA−1、Placcel FA−4、Placcel FM−1、Placcel FM−4(以上、ダイセル化学工業(株)製)、TONE M−201(UCC社製)、ポリカーボナート含有ビニル系化合物(具体例としては、HEAC−1(ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートは、イソシアナートとの反応性に優れ、耐候性、耐薬品性、耐衝撃性が良好な塗膜が得られる点から好ましい。特に好ましいのは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである。また、使用量としては、水酸基当量(OH基1個当たりの樹脂の分子量)で300以上が好ましく、さらに、400以上が好ましく、特に500以上が好ましい。
【0032】
これらのアルコール性水酸基含有ビニル系共重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上併用しても良い。
【0033】
前記モノマー(A−3)の具体例としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、アロニクスM−5700、マクロモノマーであるAS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−6等の化合物(以上、東亜合成化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類とリン酸またはリン酸エステル類との縮合生成物等のリン酸エステル基含有(メタ)アクリル系化合物、ウレタン結合やシロキサン結合を含む(メタ)アクリレート等が挙げられる。この中では、得られるアクリル系共重合体(A)が後述する一般式(II)で表わされるシリコン化合物および/またはその加水分解縮合物(B)との相溶性に優れるという点から、n−ブチルメタクリレートを含有することが好ましい。
【0034】
これらモノマー(A−2)は単独で用いてもよく、2種以上併用しても良い。
【0035】
前記モノマー(A−2)と(A−3)の使用量の合計は、用いるモノマー(A−1)の種類および使用量に応じて適宜調整すればよいが、通常用いる重合成分全量の5〜90%、中でも30〜85%、特には50〜85%であるのが好ましい。また、モノマー(A−1)の使用量としては、重合成分の1〜50%、中でも3〜40%、特には5〜30%が好ましい。なお、モノマー(A−3)としてn−ブチルメタアクリレートを用いる場合には、その使用量が用いる単量体量の20〜50%であることが、後述する一般式(II)で表わされるシリコン化合物および/またはその加水分解縮合物(B)との相溶性、および得られる硬化性組成物から形成される塗膜の各種特性のバランスが優れるという点から好ましい。
【0036】
また、本発明においては、得られる本発明の組成物から形成される塗膜の耐候性をさらに向上させる目的で、例えば主鎖にウレタン結合やシロキサン結合により形成されたセグメント、モノマー(A−1)、モノマー(A−2)、モノマー(A−3)以外の単量体に由来するセグメント等を50%を超えない範囲でアクリル系共重合体(A)の製造時に導入してもよい。
【0037】
上記モノマー(A−1)、モノマー(A−2)、モノマー(A−3)以外の単量体の具体例としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系ビニル系化合物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等の塩;無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸の酸無水物、これらの酸無水物と炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖を有するアルコールとのジエステルまたはハーフエステル等の不飽和カルボン酸のエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレート等のビニルエステルやアリル化合物;ビニルピリジン、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基含有ビニル系化合物;イタコン酸ジアミド、クロトン酸アミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドン等のアミド基含有ビニル系化合物;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロオレフィンマレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸等のその他のビニル系化合物等が挙げられる。
【0038】
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用しても良い。
【0039】
アクリル系共重合体(A)にはカルボキシル基またはアミノ基等の基が含まれていてもよく、その場合には、硬化性、密着性が向上するが、重合体鎖に結合しているカルボキシル基やアミノ基の場合、活性が弱く、これらを硬化触媒の代わりに使用して硬化させようとしても良好な特性の硬化物が得られない。
【0040】
上記アクリル系共重合体(A)は、例えば特開昭54−36395号公報、特開昭57−55954号公報等に記載のヒドロシリル化法または反応性シリル基を含有する単量体を用いた溶液重合法によって製造することができるが、合成の容易さ等の点から反応性シリル基を含有する単量体を用い、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系ラジカル重合開始剤を用いた溶液重合法によって製造するのが特に好ましい。
【0041】
この溶液重合法に用いられる溶剤は、非反応性のものであればよく、特に制限はないが、例えばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;セロソルブアセテート等のエーテルエステル類;メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケトン類等が挙げられる。
【0042】
また、上記溶液重合の際には、必要に応じて、例えばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、(CH3O)3Si−S−S−Si(OCH3)3、(CH3O)3Si−S8−Si(OCH3)3等の連鎖移動剤を単独または2種以上併用することにより、得られるアクリル系共重合体(A)の分子量を調整してもよい。特に、例えばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基を分子中に有する連鎖移動剤を用いた場合には、アクリル系共重合体(A)の末端に反応性シリル基を導入することができるので好ましい。かかる連鎖移動剤の使用量は、用いる重合成分全量の0.05〜10%、さらには0.1〜8%であることが好ましい。
【0043】
本発明のアクリル共重合体(A)には、保存安定性をよくするために脱水剤を配合することができる。
【0044】
この脱水剤の具体例としては、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルトイソプロピオン酸トリメチル、オルトイソプロピオン酸トリエチル、オルト酪酸トリメチル、オルト酪酸トリエチル、オルトイソ酪酸トリメチル、オルトイソ酪酸トリエチル等が挙げられる。
【0045】
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用しても良い。
【0046】
これら脱水剤は、(A)成分100部に対して200部以下、好ましくは100部以下、さらに好ましくは50部以下の割合で使用する。
【0047】
また、これら脱水剤は、例えばアクリル系共重合体(A)を重合する前の成分に加えてもよく、アクリル系共重合体(A)の重合中に加えてもよく、あるいは、得られたアクリル系共重合体(A)とその他の成分との混合時に加えてもよく、特に限定はない。
【0048】
本発明においては、前述のアクリル系共重合体(A)と共に、本発明の組成物から形成される塗膜の耐汚染性を向上させると共に、該塗膜と被塗物との密着性を向上させるための成分である、一般式(II):
【化16】
(式中、R3は、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、R4は、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、bは0または1を示す。)で表わされるシリコン化合物および/またはその部分加水分解縮合物(B)(以下、シリコン化合物等(B)ともいう。)が使用される。シリコン化合物等(B)をアクリル系共重合体(A)と混合させたものは、常温硬化性および加熱硬化性を有する組成物となり、この組成物を用いて形成される塗膜は優れた耐汚染性を有するが、その塗膜が優れた耐汚染性を有する理由は、まだ定かには判明していない。おそらくアクリル系共重合体(A)とシリコン化合物等(B)との相対的硬化速度の違いと相溶性に起因し、表面硬度および親水性が向上することが影響しているものと考えられる。
【0049】
上記一般式(II)において、R3は、炭素数1〜10、好ましくは例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、好ましくは例えばフェニル基等の炭素数6〜9のアリール基、およびアラルキル基、好ましくは例えばベンジル基等の炭素数7〜9のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基である。前記アルキル基の炭素数が10を超える場合には、シリコン化合物等(B)の反応性が低下するようになる。また、R3が、前記アルキル基、アリール基、アラルキル基以外の基の場合にも反応性が低下するようになる。
【0050】
また、上記一般式(II)において、R4は炭素数1〜10、好ましくはR3と同様の炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、好ましくはR3と同様の炭素数6〜9のアリール基、およびアラルキル基、好ましくはR3と同様の炭素数7〜9のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基である。
【0051】
前記一般式(II)において、(R3O)4−bは、bが0〜1になるように選ばれるが、本発明の組成物から形成される塗膜の硬化性が向上するという点からは、bが0であるのが好ましい。
【0052】
一般式(II)中に存在する(R3O)の個数が2個以上の場合、2個以上含まれるR3は同じであってもよく、異なっていても良い。
【0053】
上記シリコン化合物の具体例としては、例えばテトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラn−プロピルシリケート、テトラi−プロピルシリケート、テトラn−ブチルシリケート、テトラi−ブチルシリケート等のテトラアルキルシリケート;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリsec−オクチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン等のトリアルコキシシラン等が挙げられる。
【0054】
また、上記シリコン化合物の部分加水分解縮合物の具体例としては、たとえば上記テトラアルコキシシランやトリアルコキシシランに通常の方法で水を添加し、縮合させて得られるものが挙げられ、たとえばMSI51、ESI28、ESI40、HAS−1、HAS−10(以上、コルコート(株)製)、MS56(三菱化学(株)製)等のテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物や、たとえばAFP−1(信越化学工業(株)製)等のトリアルコキシシランの部分加水分解縮合物等が挙げられる。
【0055】
これらシリコン化合物等(B)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
上記シリコン化合物等(B)のうちでは、アクリル系共重合体(A)との相溶性、得られる本発明の組成物の硬化性が良好で、該組成物を用いて形成される塗膜の硬度に優れるという点から、MSI51(テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物)、ESI40(テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物)、MS56等のテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を用いるのが好ましく、MS56が配合量が低減できる点から特に好ましい。
【0057】
本発明の組成物には、また、上記アクリル共重合体(A)およびシリコン化合物等(B)に対して、架橋剤としてイソシアナート基を2個以上有する化合物(C)が配合される。
【0058】
このイソシアナート基を2個以上有する化合物としては、脂肪族系もしくは芳香族系のものが挙げられる。
【0059】
脂肪族多官能性イソシアナートの具体例としては、常温硬化用でヘキサメチレンジイソシアナートがあり、構造としては単量体、ビュレット型、ウレジオ型、イソシヌレート型がある。
【0060】
加熱硬化用としては、ブロックタイプのものがある。そのブロック剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソ−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、シクロヘキシルアルコール、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、チモール、p−ニトロフェノール、β−ナフトール等がある。また、芳香族多官能性イソシアナートとしては、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、キシレンジイソシアナート、ポリメチレン−ポリフェニル−ポリイソシアナート、イソフォロンジイソシアナートがある。これにも、ビュレット型、ウレジオ型、イソシアヌレート型がある。
【0061】
上記イソシアナート化合物とともに配合する硬化触媒(D)としては、有機金属化合物が使用される。貯蔵安定性と硬化活性を考慮すると、分子内にS原子を含有する化合物が好ましい。
【0062】
有機錫化合物の具体例としては、ジブチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネート、ジオクチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネート、オクチルブチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレート、ジオクチル錫ビスイソオクチルチオグルコレート、オクチルブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレート等が挙げられる。
【0063】
前記錫系化合物のうちでは、ジブチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレートが、イソシアナートと配合した場合の貯蔵安定性および可使時間とポットライフのバランスが良好で、塗膜の水との接触角が小さくなるという点から好ましい。
【0064】
これら硬化触媒(D)は、単独で用いてもよく、また、異なるタイプのものまたは同じタイプのものを2種以上併用してもよい。
【0065】
本発明に用いられるポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(E)は、ポリアルキレンオキサイド構造をポリジメチルシロキサンの片末端、両末端または側鎖に導入したものである。
【0066】
ポリアルキレンオキサイド構造は、エチレンオキサイド構造単位を必須とし、他に任意に炭素数3〜8のオキシアルキレン構造単位を1種または2種以上併せ有することができる。
【0067】
ポリジメチルシロキサンの末端あるいは側鎖に導入されたポリアルキレンオキシドの末端基は特に限定されないが、−OH基のように硬化に関与する官能基の場合もあり、これらも好適に使用できる。
【0068】
本発明に使用するポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(E)は、上に述べた条件に適合するものであれば特に限定されないが、具体的には下記一般式(1)または(2)で表わされるものが好適な例として挙げられる。
【0069】
【化17】
(PAGはエチレンオキシド構造単位を含むポリアルキレンオキシド鎖であり、Meはメチル基、Rはアルキレン基を表す。また、n、XおよびYは、それぞれ整数を表す。)
これらの具体例を市販品について非制限的に列挙すると、一般式(1)で表わされるものとしては、SF8427、BY16−005、BY16−006、BY6−007、BY16−008、一般式(2)で表わされるものとしては、SH3746、SF8428、SH3771、BY16−036、BY16−027、BY16−038、SH8400、SH3749、SH3748、SF8410(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製品)、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−325(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)が挙げられる。
【0070】
本発明で用いることができる、メルカプト基含有炭化水素および/またはメルカプトシラン(F)としては、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、(CH3O)3Si−S−S−Si(OCH3)3、(CH3O)3Si−S8−Si(OCH3)3等の化合物がある。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。本化合物を、イソシアナート化合物(B)、硬化触媒(D)を混合した系に添加すると、これらの混合物の貯蔵安定性を向上できる。また、上記混合物をアクリル共重合体(A)に配合した時のポットライフをも向上させることができる。
【0071】
上記アクリル系共重合体(A)、シリコン化合物(B)、イソシアナート化合物(C)、硬化触媒(D)、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(E)の配合割合は、アクリル系共重合体(A)100部(重量部、以下同様。)に対してシリコン化合物等(B)が2〜70部、イソシアナート化合物(C)が0.1〜30部、硬化触媒(D)が0.1〜10部、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(E)が0.01〜10部、メルカプト基含有炭化水素および/またはメルカプトシラン(F)が0〜10部になるように調整することができる。
【0072】
シリコン化合物等(B)の量が2部未満の場合には、得られる組成物を用いて形成した塗膜の耐汚染性の改良効果が不充分となり、また、70部を超えると、塗膜の表面光沢等の外観性が低下したり、クラック等が発生したりするようになる。
【0073】
また、イソシアナート化合物(C)が0.1部未満の場合には、得られる組成物の密着性や硬化性が低下するようになり、30部を超えると、この組成物を用いて得られる塗膜に未反応のイソシアナート化合物あるいはイソシアネート基が残存し、塗り重ね時に縮みを生じる原因となるほか、塗膜表面の水との接触角が低下し難くなり、耐汚染性の改良に悪影響を与える。
【0074】
さらに、硬化触媒(D)の量が10部を超えると、該組成物を用いて形成した塗膜の表面光沢等外観性の低下傾向が認められるので好ましくない。
【0075】
ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(E)の量が0.01部未満の場合は、外観性が不充分となり、10部を越えると接触角が低下せず、耐汚染性が発現し難い。
【0076】
メルカプト基含有炭化水素および/またはメルカプトシラン(F)の配合量が10部を超えると、硬化性が低下するので好ましくない。
【0077】
前記シリコン化合物等(B)の配合量は、3〜60部が好ましく、さらに好ましくは5〜50部である。
【0078】
また、前記イソシアナート化合物(C)の配合量としては、0.5〜25部が好ましく、さらに好ましくは1〜25部である。
【0079】
また、硬化触媒(D)の配合量としては、0.2〜5部が好ましく、0.5〜5部がより好ましく、0.5〜3部がさらに好ましい。
【0080】
ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン(E)の配合量としては、0.01〜5部が好ましく、0.1〜5部がさらに好ましい。
【0081】
さらに、メルカプト基含有炭化水素および/またはメルカプトシラン(F)の配合量としては、0.2〜5が好ましく、0.5〜5部がさらに好ましい。
【0082】
また、本発明の上塗り塗料用硬化性組成物には、塗料に通常用いられる、たとえば酸化チタン、群青、紺青、亜鉛華、ベンガラ、黄鉛、鉛白、カーボンブラック、透明酸化鉄、アルミニウム粉などの無機顔料、アゾ系顔料、トリフェニルメタン系顔料、キノリン系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機顔料等の顔料;希釈剤、紫外線吸収剤、光安定剤、タレ防止剤、レベリング剤等の添加剤;ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート等の繊維素;エポキシ樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ゴム、ポリビニルブチラール、ポリシロキサン等の樹脂等を適宜加えても良い。
【0083】
上記した本発明の硬化性組成物を主成分として含有してなるトップコートクリアー塗料の塗布は、浸漬、吹き付け、刷毛塗り、ロールコーターまたはフローコーターを用いる方法など、従来から行われている種々の方法により行うことができる。その後、常温以上、好ましくは55〜350℃に加熱することにより硬化させることができる。
【0084】
塗装物の塗膜の厚さは、用途によって異なるため一概に規定できないが、メタリック粉末および/または着色顔料を含有する塗膜の厚さは、隠蔽性などの点から10〜30μmの範囲が好ましく、また、トップコートクリアー塗膜の厚さは、耐久性等の点から20〜50μmの範囲が好ましい。
【0085】
【実施例】
次に、本発明の上塗り塗料用硬化性組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0086】
製造例1(アクリル共重合体(A)−1の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応器にキシレン30部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した。その後、
スチレン 15部(以下同様)
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 13
メチルメタクリレート 42
n−ブチルメタクリレート 20
ヒドロキシエチルメタクリレート 10
キシレン 25
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 2.8
からなる混合物を滴下ロートにより5時間かけて等速滴下した。滴下終了後、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.2
トルエン 8
を1時間かけて等速滴下した後、110℃で2時間熟成してから冷却した。得られた樹脂溶液の樹脂固形分に対して、オルト酢酸メチルエステルを3部添加し、さらにキシレンを加えて樹脂固形分濃度が50%のアクリル共重合体(A)−1を得た。
【0087】
得られたアクリル共重合体の数平均分子量は8,000であった。
【0088】
製造例2(アクリル共重合体(A)−2の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応器にキシレン30部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した。その後、
スチレン 15部(以下同様)
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 13
メチルメタクリレート 47
n−ブチルメタクリレート 20
ヒドロキシエチルメタクリレート 5
キシレン 25
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 2.8
からなる混合物を滴下ロートにより5時間かけて等速滴下した。滴下終了後、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.2
トルエン 8
を1時間かけて等速滴下した後、110℃で2時間熟成してから冷却した。得られた樹脂溶液の樹脂固形分に対して、オルト酢酸メチルエステルを3部添加し、さらにキシレンを加えて樹脂固形分濃度が50%のアクリル共重合体(A)−2を得た。
【0089】
得られたアクリル共重合体の数平均分子量は8,200であった。
【0090】
製造例3(アクリル共重合体(A)−3の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応器にキシレン30部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した。その後、
スチレン 15部(以下同様)
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 5
メチルメタクリレート 38
n−ブチルメタクリレート 20
n−ブチルアクリレート 6
ヒドロキシエチルメタクリレート 16
キシレン 25
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 2.8
からなる混合物を滴下ロートにより5時間かけて等速滴下した。滴下終了後、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.2
トルエン 8
を1時間かけて等速滴下した後、110℃で2時間熟成してから冷却した。得られた樹脂溶液の樹脂固形分に対して、オルト酢酸メチルエステルを3部添加し、さらにキシレンを加えて樹脂固形分濃度が50%のアクリル共重合体(A)−3を得た。
【0091】
得られたアクリル共重合体の数平均分子量は7,800であった。
【0092】
製造例4(アクリル共重合体(A)−4の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応器にキシレン30部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した。その後、
スチレン 15部(以下同様)
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 20
メチルメタクリレート 35
n−ブチルメタクリレート 20
n−ブチルアクリレート 8
ヒドロキシエチルメタクリレート 2
キシレン 25
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.8
からなる混合物を滴下ロートにより5時間かけて等速滴下した。滴下終了後、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.2
トルエン 8
を1時間かけて等速滴下した後、110℃で2時間熟成してから冷却した。得られた樹脂溶液の樹脂固形分に対して、オルト酢酸メチルエステルを3部添加し、さらにキシレンを加えて樹脂固形分濃度が50%のアクリル共重合体(A)−4を得た。
【0093】
得られたアクリル共重合体の数平均分子量は5,400であった。
【0094】
実施例1〜7および比較例1〜5
表1及び2に示す各成分を混合し、トップコートクリアー塗料を調整した。
【0095】
トップコートクリアー塗料の塗装
脱脂およびリン酸化成処理を行った鋼板に、自動車用エポキシアミド系カチオン電着プライマーおよび中塗りサーフェーサーを塗装した塗板に、アクリルメラミン樹脂塗料(スーパーテックF50黒 日本ペイント(株)製)を塗装し、セッティングの後、180℃で30分間焼き付け、下地塗膜を作製した。
【0096】
得られた下地塗膜に表1で調整したトップコートクリアー塗料を塗装し、30分間セッティングした後、70℃で30分間焼き付けた。乾燥膜厚は30〜40μmであった。
【0097】
[外観性]
光沢および鮮映性を目視により総合評価した。
【0098】
○は良好、△はやや不良を示す。
【0099】
[密着性]
得られた塗膜を室温で7日間放置した後、JISK5400に準拠して碁盤目密着性を測定した。「10」は、はがれが認められず、「0」は、完全にはがれたことを示す。
【0100】
[水に対する接触角]
得られた塗膜を室温で7日間放置した後、協和界面科学製CA−S150型を用い、塗膜表面に約0.03mlのイオン交換水の水滴を滴下し、23℃にて3分後の静的接触角を測定した。
【0101】
[耐汚染性(明度差)]
曝露初期のL*a*b*表色系で表わされる明度を色彩色差計(ミノルタ製CR−300)で測定し、大阪府摂津市で南面30゜の屋外曝露を3ヶ月実施した。曝露後のL*a*b*を測定し、曝露前後の明度差(ΔL*値)を汚染性の尺度とした。なお、数値の小さい方が汚れていることを示す(数値の大きい方が耐汚染性に優れていることを示す)。
【0102】
【表1】
【表2】
【0103】
【発明の効果】
本発明の上塗り塗料用硬化性組成物は、常温または加熱下で硬化性を有し、該組成物からの塗膜(すなわち塗装物)は、アクリルシリコン樹脂塗料からの塗膜と同様に優れた耐候性を有すると同時に、優れた耐汚染性、密着性等を有している。従って、例えば建築用や自動車用等に代表される、上記のような性能が要求される種々の用途に好適に用いることができる。
Claims (6)
- 一般式(I):
(C)イソシアナート基を2個以上有する化合物0.1〜30重量部、
(D)硬化触媒0.1〜10重量部、
(E)ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン0.01〜10重量部
を含有してなる上塗り塗料用硬化性組成物。 - 前記アクリル系共重合体(A)が、一般式(I)で表わされる炭素原子に結合した反応性シリル基を分子内に有する単量体単位を3〜90重量%含有する共重合体である、請求項1記載の硬化性組成物。
- 前記硬化触媒(D)が、有機金属系化合物である、請求項1又は2記載の組成物。
- 前記有機金属系化合物が、分子内にS原子を含有する錫系化合物である、請求項3記載の組成物。
- メルカプト基含有炭化水素および/またはメルカプトシラン(F)をさらに含有してなる、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
- メタリック粉末および/または着色顔料を含有する塗料が塗布された塗布面にトップコートクリアー塗料が塗布されてなる塗装物であって、前記トップコートクリアー塗料が、請求項1〜5のいずれか1項記載の塗料用硬化性組成物を主成分として含有することを特徴とする塗装物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27697297A JP3702381B2 (ja) | 1997-10-09 | 1997-10-09 | 上塗り塗料用硬化性組成物及びそれを塗布してなる塗装物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27697297A JP3702381B2 (ja) | 1997-10-09 | 1997-10-09 | 上塗り塗料用硬化性組成物及びそれを塗布してなる塗装物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11116894A JPH11116894A (ja) | 1999-04-27 |
JP3702381B2 true JP3702381B2 (ja) | 2005-10-05 |
Family
ID=17576987
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27697297A Expired - Fee Related JP3702381B2 (ja) | 1997-10-09 | 1997-10-09 | 上塗り塗料用硬化性組成物及びそれを塗布してなる塗装物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3702381B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0974629A4 (en) * | 1997-04-11 | 2000-06-28 | Kaneka Corp | CURABLE COMPOSITION FOR COATINGS AND ARTICLES COATED WITH THIS COMPOSITION |
JP4801263B2 (ja) * | 2000-02-04 | 2011-10-26 | 東レ株式会社 | プラスチック積層体および画像表示保護フイルム |
JP2002226767A (ja) * | 2001-02-06 | 2002-08-14 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 塗料用硬化性組成物及び塗装物 |
JP5164436B2 (ja) * | 2006-06-07 | 2013-03-21 | 関西ペイント株式会社 | 耐汚染性付与組成物及び塗料組成物 |
KR102746053B1 (ko) * | 2018-07-02 | 2024-12-27 | 디디피 스페셜티 일렉트로닉 머티리얼즈 유에스, 엘엘씨 | 프라이머리스 폴리우레탄 접착제 조성물 |
CN116289331A (zh) * | 2023-03-03 | 2023-06-23 | 杭州锦宏装饰纸有限公司 | 一种抗菌耐磨装饰纸及其生产方法 |
-
1997
- 1997-10-09 JP JP27697297A patent/JP3702381B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11116894A (ja) | 1999-04-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4943572B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物 | |
JP4943571B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物 | |
JP5376741B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物 | |
JP3954721B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性組成物およびそれを塗布してなる塗装物 | |
JP4688258B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物 | |
JP3702381B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性組成物及びそれを塗布してなる塗装物 | |
JP4334188B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物。 | |
JP3703966B2 (ja) | 塗料調製方法 | |
JP4772937B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物 | |
US6383648B1 (en) | Curable composition for topcoating and articles coated therewith | |
JP2001131463A (ja) | 塗料用硬化性樹脂組成物 | |
JP4007465B2 (ja) | 塗料用硬化性組成物及び塗装物 | |
JP2000160120A (ja) | 上塗塗料用組成物 | |
JP4647765B2 (ja) | 顔料分散用樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物 | |
JP2008144178A (ja) | 上塗り塗料用硬化性樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物 | |
JP4790140B2 (ja) | 塗料用硬化性組成物及び塗装物 | |
JP4807904B2 (ja) | フィルム塗装物 | |
JP5220249B2 (ja) | 塗料用硬化性樹脂組成物および該組成物を塗布してなる塗装物 | |
JP4035174B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性樹脂組成物 | |
JP2001131464A (ja) | 塗料用硬化性樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物 | |
JP4256608B2 (ja) | 顔料分散用樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物 | |
JP2000204317A (ja) | 上塗り艶消し塗料用硬化性樹脂組成物およびそれを塗布してなる塗装物 | |
JP2002226789A (ja) | 耐汚染性塗料組成物 | |
JP3522998B2 (ja) | 上塗り塗料用硬化性樹脂組成物 | |
JP2008169398A (ja) | 床用塗料硬化性組成物およびそれを用いた床用塗膜の形成方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050224 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050322 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050628 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050704 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090729 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100729 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100729 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110729 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120729 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130729 Year of fee payment: 8 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130729 Year of fee payment: 8 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |