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JP3680545B2 - エチレングリコールを分解することができる微生物及びその使用 - Google Patents

エチレングリコールを分解することができる微生物及びその使用 Download PDF

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  • Activated Sludge Processes (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエチレングリコール含有水、特に自動車エンジン用の使用済冷却液中のエチレングリコールの微生物的分解方法、及びそのための微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレングリコールは、比較的微生物による分解が容易な物質であるため、今までに数100ppm 〜数1,000ppm といった低濃度のエチレングリコールを分解する微生物は数多く知られている。また、特開平1−218697においては、10,000〜20,000ppm といった高濃度エチレングリコールについての処理方法が記載されている。その記載によると光合成細菌による高濃度エチレングリコールの浄化では、浄化過程でグリコール酸が蓄積し、完全な浄化すなわちエチレングリコールの分解が困難となる。
【0003】
そこで、それを回避するために酢酸塩、グリコール酸酸化酵素含有物を添加している。しかし、それらを添加することによりランニングコストは高くなるといった問題点が生じている。従って、高濃度エチレングリコール含有排水をグリコール酸が蓄積せずにしかも低コストで短時間に処理可能な菌株および処理方法が求められていた。
【0004】
また、自動車用エンジン冷却水は、主成分がエチレングリコールであるが、その他トリエタノールアミン等の防錆剤が含まれている。使用済み自動車用エンジン冷却水は、通常30〜50%の高濃度エチレングリコールが含まれ、アミン等の防錆剤や、エンジン部品から溶出した鉄、アルミニウム等の金属分が含有されることもある。使用済み自動車用エンジン冷却水の浄化微生物に関しての報告例はなく、適正な処理方法が求められていた。
【0005】
〔関連技術〕
上記の課題を解決するため、特願平9−131156号の明細書には、シュードモナス属に属し、10,000ppm 以上のエチレングリコール、特に使用済自動車用エンジン冷却水中のエチレングリコールを効率よく分解することができる微生物、及び該微生物を用いたエチレングリコールの分解法、特に使用済自動車用冷却水(LLC)の処理方法が開示されている。
しかしながら、使用済自動車用冷却水(LLC)を含む排水のpHは一般にpH5〜pH8の範囲内にあり、上記のシュードモナス属微生物では、低pH域、例えばpH約5においてもエチレングリコールが十分に分解できないという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、自動車エンジン冷却液を含む排水など、高濃度のエチレングリコールを低pH条件下で処理することができる方法、及びそのための微生物を提供しようとするためのものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々検討した結果、エチレングリコールを効率よく分解することができるシュードモナス属微生物を、突然変異処理し、この変異処理された微生物から、所望により低pH条件下で集積培養した後、低pH条件下でエチレングリコールを分解することができる変異株を分離することにより、目的とする微生物が得られることを見出し本発明を完成させた。
【0008】
従って本発明は、シュードモナス(Pseudomonas)属に属し、少なくともpH5の酸性条件下でエチレングリコールを分解することができる微生物を提供する。好ましい微生物は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)である。
本発明はまた、上記の微生物を好気的条件下でエチレングリコールと接触せしめることを特徴とする、エチレングリコール含有水の処理方法を提供する。
【0009】
上記の微生物は、シュードモナス属に属し、エチレングリコール分解能を有する微生物、例えばシュードモナス・プチダを変異処理にかけ、好ましくはそれを低pH条件下で集積培養することにより、低pH条件下でエチレングリコールを分解することができる変異株を濃縮した後、低pH条件下でエチレングリコールを効率よく分解することができる変異株を単離することにより得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の変異株を得るために使用する親株としては、シュードモナス属に属し、エチレングリコールを分解することができる微生物、特に高濃度、例えば10,000ppm 以上の濃度のエチレングリコールを分解することができるものであればよく、すでに存在する保有株の中から選択してもよく、又は新株を分離したものであってもよい。
【0011】
本発明においては特に、本発明者らにより新たに分離されたシュードモナス・プチダN−GF055株及びシュードモナス・プチダU−TCH011を挙げることができる。この微生物の分離方法及び菌学的性質は後に参考例1において具体的に記載する。これらの微生物はエチレングリコールを10,000ppm 以上含有する排水中のエチレングリコールを分解することができ、特に、自動車エンジン用冷却液の排水のごとく、トリエタノールアミン等の防錆剤や、エンジン部品から溶出した鉄やアルミニウム等の金属の存在下でよくエチレングリコールを分解することができる。
【0012】
上記シュードモナス・プチダN−GF055及びシュードモナス・プチダU−TCH011は、それぞれ、FERM BP−5947、及びFERM BP−5948として、生命工学工業技術研究所に寄託されている。
変異処理は常法に従って、例えば物理的方法又は化学的方法に従って行うことができる。物理的方法としては、紫外線照射、X線照射等が用いられ、化学的方法としては、変異原性化学物、例えば亜硝酸、N−メチルN′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)、エチルメタンスルホネート(EMS)、アクリジン系色素等が使用される。
【0013】
変異の発生率が高い等のためMNNGが特に好ましい。具体的には、例えば、微生物研究法懇談会偏、微生物学実験法、講談社(1982):Fitt, p.s.ら、Curr. Microbiolo, 18, 87-91 (1989); Hofherr, L.A. ら、J. Pairy Sci, 66, 2482-2487 (1983)等に記載の方法により行うことができる。MNNG処理は、例えば、MNNG濃度100μg、処理時間1〜2時間、pH5〜6において行われる。
【0014】
変異処理した微生物から、低pH条件下でエチレングリコールを分解することができる変異株を選択するには、変異処理した菌体を、低pH、例えばpH4.5の、エチレングリコール含有寒天培地にプレーティングし、生ずる耐酸性コロニーをピックアップして低pHの液体培地中でのエチレングリコール分解能を試験すればよい。しかし、プレート上でのコロニーの形成に先立って、変異処理した菌体を低pH条件下で集積培養することにより、低pH条件下でエチレングリコール分解能を有する変異株を濃縮することができる。
【0015】
集積培養は、例えば、低pH、例えばpH5のエチレングリコール含有培地に、変異処理した菌体を接種して培養し、微生物の増殖を確認すればよい。集積培養は複数代、例えば2〜7代にわたって行うこともできる。この場合には、集積培養培地中での菌体の増殖を確認した後、その培養物の一部を取って次代の新しい集積培養培地に接種し、再度培養を行い、微生物の増殖を確認する。これを複数代にわたって行うことにより、低pH条件下でエチレングリコールを分解する能力を有する変異株を著しく濃縮することができ、次に行う寒天培地上でのコロニー形成による選択を効率的に行うことができる。
【0016】
酸性寒天培地上にコロニーを形成した変異株から酸性条件下でのエチレングリコール分解能が高い変異株を選択するには、コロニーをピックアップし、それを酸性、例えばpH5のエチレングリコール含有培地、好ましくはエチレングリコールを唯一の炭素源とする液体培地中で培養すればよい。この場合、微生物株のエチレングリコール分解能は、エチレングリコールを唯一の炭素源とする液体培地での増殖能と相関することが知られた。従って、液体培地中での菌体濃度を測定することにより、エチレングリコール分解能を推定することができ、菌体濃度は、濁度(吸光度)の測定により行うことができる。
【0017】
本発明によれば、例えば、エチレングリコール分解能を有するシュードモナス属微生物を、100μg/mlの濃度のMNMGにより120分間変異処理し、pH5のエチレングリコール含有培地にて5回集積培養し、寒天培地上でコロニー形成を行い、単離されたコロニーについてpH5の液体培地でのエチレングリコール分解能を試験したところ、pH5の酸性条件下でエチレングリコールを分解することができる変異株が、1回の試行で48株得られた。従って、本発明の変異株は、特定の変異株に限定されるのではなく、本発明の開示に従えば、酸性条件下でエチレングリコールを分解する能力を有する変異株を複数作出することができる。
【0018】
本発明の微生物は、常用の炭素源及び窒素源の存在下、必要によりさらに無機塩やビタミン類等の微量要素を含有する培地中で培養することができる。炭素源としては、本発明の微生物が好んで資化する炭化水素であればいずれでも使用できる。培地中の炭素源の濃度は、炭素源の種類により異なるが、好ましくはたとえば1〜30g/Lである。窒素源としては、無機窒素源、たとえばアンモニウム塩、硝酸塩等を使用することができ、有機窒素源としては、酵母エキス、ペプトン、肉エキス等を使用することができる。
【0019】
窒素源の濃度はその種類により異なるが、好ましくは0.1〜1.0g/Lである。無機塩としてはカリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン等の金属イオンと、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン等の陰イオンとから成る塩類が好ましい。培養は好ましくは好気的に行われ、振とう培養あるいは大規模の培養においては、通気・撹拌培養が好ましい。培養温度は10〜37℃、特に30℃付近が好ましい。
本発明の微生物は、少なくともpH5の酸性条件下でエチレングリコールを分解することができる。特に、pH5〜9の条件下で効率よくエチレングリコールを分解することができる。
【0020】
本発明の排液処理方法の実施に当っては、エチレングリコール含有排水、たとえば自動車エンジン用冷却液の排液を含有する排水に、前記の微生物の培養菌体を加えて、好気的条件下で培養すればよい。微生物の培養菌体としては、上記のようにして培養した、菌体を含む培養液であってもよく、又は培養液から分離した培養菌体であってもよい。培養液から菌体を分離するには、常法により、例えば遠心分離、濾過凝集沈殿などによって行うことができる。処理すべき排水中のエチレングリコール濃度が10,000ppm より高い場合には、水を添加して10,000ppm 程度まで希釈するのが好ましい。
【0021】
処理すべき排液は、添加物を添加しないでそのまま処理してもよいが、排水中に栄養分、例えば無機物等が含まれていない場合には、それらを添加するのが好ましい。例えば、自動車エンジン冷却液の排水の場合、無機栄養源としてマグネシウムイオン、例えばMgSO4 ・7H2 O、リン酸イオン、例えばKH2 PO4 、鉄イオン、例えばFeCl3 ・6H2 O、さらに無機窒素源としてNH4 NO3 等を単独で、又は組合わせて添加するのが好ましい。少なくともリン酸塩KH2 PO4 及び無機窒素源であるNH4 NO3 を添加するのが好ましい。
【0022】
好気的条件は、例えば小規模の処理においては、振とうにより達成することができるが、工業的実施においては、通気及び/又は撹拌により達成するのが好ましい。排水の処理に当っては、あらかじめ前記の方法により培養して得た培養物を培養液量に換算して、処理すべき排水に0.5〜10容量%、好ましくは1〜5容量%で添加するのが好ましい。
【0023】
本発明の他の態様によれば、エチレングリコールを含有する排水を含む土壌の処理を行うことができる。この方法においては、エチレングリコール排水を含む土壌をほり起こし、これは前記のごとく培養して得た培養液又は培養菌体を添加すればよい。添加量は、土壌中に含まれるエチレングリコール量等により異るが、土壌1kg当りおよそ培養液200mlの比率である。
【0024】
【実施例】
次に、参考例及び実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
参考例1.微生物の単離及び同定
本発明に関わる微生物は、自動車解体工場、排水処理場、化学工場敷地内の土壌より以下の方法でスクリーニングし、単離した。採取した土壌0.1gを24ml容積の試験管に入れた5mlの使用済み自動車用エンジン冷却水(LLC:Long Life Coolant)培地に接種し、30℃にて2〜3日間振とう培養した。
【0025】
この培地中には、エチレングリコールが約30,000ppm 含まれている。その後、同培地に植え継ぎ培養を継続した。5回目の培養終了後、培養液を適宜希釈して、同培地に1.5%の寒天を加えた平板培地に塗沫し、出現した微生物コロニーを単離し、この操作を繰り返すことにより微生物を単離した。
【0026】
【表1】
Figure 0003680545
【0027】
単離した菌株を同液体培地で2日間培養後、培養液を同液体培地に1/100量接種し、30℃で振とう培養した。7日後、培養液100μlをエッペンドルフチューブに移し、15,000rpm で5分間遠心した。ガスクロマトグラフを用い、上清中のエチレングリコール量を測定した。こうして選抜された7日で約30,000ppm のエチレングリコールを分解可能な2種の菌株について形態学的及び生理学的な性質を調べた。その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
Figure 0003680545
【0029】
以上の結果から、文献(N.R. Krieg and J.G. Holt, “Bergey's Manual of Systematic Bacteriology" Vol.1 (1984) Williams & Wilkins, J.G. Holt, N.R. Krieg, P.H.A. Sneath, J.T. Staley and S.T. Williams, “Bergey's Manual of Determination Bacteriology" Ninth Edition (1994) Williams & Wilkins, N. Zhao, C. Qu, E. Wang and W. Chen Int. J. Syst. Bacteriol., 45, 600 (1995), E. Yabuuti, Y. Kosako, H. Oyaizu, I. Yano, H. Hotta, Y. Hashimoto, T. Ezaki and M. Arakawa “Microbiol. Immunol., 36, 1251 (1992)) を参考に同定を行った結果2株ともシュードモナス・プチダ(Pseudomonas.putida)と同定し、各々N−GF055及びU−TCH011株と命名した。
【0030】
参考例2.エチレングリコール分解能と菌体濃度との関係
耐酸性変異株のスクリーニングを行うに先立って、菌体の増殖の指標である菌体濁度(ADS)とエチレングリコール分解率との関係を調べた。自動車用エンジン冷却水(LLC)中に含まれる炭素源はほとんどエチレングリコールであり、菌体は一定の収率でエチレングリコールを分解・同化して増殖することから、エチレングリコール分解率と菌体濁度(ADS)とは比例関係にあると推定される。
【0031】
そこで、親株シュードモナス・プチダ UTCH011(FERM BP−5948)をpH7のLLC培地で培養し、経時的に菌体濁度とエチレングリコール分解率を測定し、両者をプロットしたところ、図1に示す通り、良好な比例関係を示した。従って、スクリーニングの過程でエチレングリコール分解能を測定するには、エチレングリコールの分解に代えて簡便な菌体濁度の測定が有効であることが判明した。
【0032】
なお、本発明の参考例及び実施例において、エチレングリコール含有培地として、0.1g/LのMgSO4 、1.0g/LのKH2 PO4 、0.01g/LのFeCl3 及び0.5g/LのNH4 NO3 を含有する無機培地に、使用済LLCを1/100量(v/v)添加して、任意のpHに調製したものを使用し、これをLLC培地と称する。使用済LLCは約30%のエチレングリコールを含有している。
【0033】
実施例1.耐酸性変異株の作出
シュードモナス・プチダ U−TCH011(FERM BP−5948)をpH5.0のLLC培地で30℃にて3日間培養し、培養菌体を得、100μg/mlのMNNG濃度にて120分間、pH5の無機塩培地(表1に記載した組成において、使用済LLCを添加しないもの)中でMNNG処理を行った。
変異処理した菌体をpH5のLLC培地に接種し、30℃にて振とう培養することにより集積培養を行った。培養の経過の1例を図2に示す。菌の増殖が確認された後、その一部分を取って、次代の集積培養培地(pH5のLLC培地)に1%の量で接種し、2代目の集積培養を行った。これを5日行った場合の菌体の増殖経過を図3に示す。
【0034】
次に、5回の集積培養質の培養物を、pH7のLLC培地に1.5%の寒天を添加した固体培地にプレートし、30℃にて3日間培養してコロニーの形成を行わせたところ、48株(処理菌数に対して約10-7;1千万個に1個)の目的とする変異株が得られた。
これら48本の変異株と親株とをpH5のLLC培地で30℃にて7日間振とう培養したところ、親株の菌体濁度(ADS)が約200にとどまったのに対して、48本の変異株はすべて約700の菌体濁度に達した。
なお、代表的な変異株TCM01は平成10年3月12日にFERM BP−6292として工業技術院生物工学工業技術研究所に寄託された。
【0035】
実施例2.LLC培地中のエチレングリコールの分解
実施例1において得た48株の変異株の内の1株(TCM01と称する)(FERM BP−6292)と親株とをpH5のLLC培地で30℃にて振とう培養した。菌体の増殖、エチレングリコール残有率及び培地のpHの経時変化を図4に示す。培地のpHは培養の開始後約1日の間に上昇した。これは培地中の炭酸イオンがガスとして放出されたためと考えられる。
【0036】
およそ1日後から菌の増殖が始まり、親株では、菌の増殖に従って培地のpHが低下し、pHが4まで低下した時点でADS約20で増殖が停止し、それとともにエチレングリコールの分解も停止し、エチレングリコールの残存率は80%以上(分解率20%未満)であった。これに対して、変異株では1〜3日までpHは低下したがそれ以後は上昇に転じ、菌体の増殖も良好でありADS約700に達し、エチレングリコールは7日間で100%分解された。
【0037】
実施例3.3L規模でのエチレングリコールの分解
LLC培地3Lをフラスコに入れ、これにLLC培地に培養した変異株TCM01(FERM BP−6292)又は親株の培養物1%を接種し、30℃にて、通気培養した。菌体濁度(ADS)及びエチレングリコール濃度を経時的に測定した結果を図5に示す。
変異株の菌体濁度は2日間の培養で約ADS約800に達し、100%のエチレングリコールが分解された。他方、親株では、培養途中で増殖が停止し、半分以上のエチレングリコールが分解されずに残存した。
【0038】
実施例4.固定化菌体によるエチレングリコールの分解
耐酸性変異株TCM01(FERM BP−6292)をpH5のLLC培地で培養し、培養液10Lから集めた菌体をポリビニルアルコール(PVA)包括固定化法により固定し、370mlの固定化菌体を得た。この固定化菌体を3LのLLC培地に入れて30℃にて通気・撹拌を行ったところ、1日で3600ppm のエチレングリコールが分解した(図6)。PVA包括固定化菌を用いることにより、浮遊菌体量(ADSで代表)は約1/10に減少した。
【0039】
実施例5.エチレングリコール含有排水の浄化
図7に示した装置を用いて自動車整備工場より採取した使用済みLLCを含んだ排水の100Lスケールでの浄化検討を行った。
油水分離槽を通した排水を生物処理槽へ100L移し、耐酸性変異株TCM01(FERM BP−6292)をポリビニールアルコール(PVA)包括固定化法により固定した固定化菌体10L、KH2 PO4 :22ppm 、NH4 NO3 :165ppm を加え、100L/min のairで曝気した。
【0040】
1日後生物処理液を沈殿槽に移し、凝集剤(四国化成工業製:M−127)を加え浮遊汚泥を沈降させた。この沈殿槽の上澄みを消毒槽に移し、殺菌剤(四国化成工業製:ボンシロール)を通した後、処理水を分析した。この操作を計12回継続して繰り返した。処理水の分析結果を表3に示す。上記方法に従えば、自動車整備工場より排出される使用済みLLCを含んだ排水を、pH調整を行うことなく環境基準値以下にまで浄化可能であることが明らかとなった。
【0041】
【表3】
Figure 0003680545
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、pH5という低pHのエチレングリコール含有した、例えば使用済LLC中のエチレングリコールを非常に効率的に分解除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】菌体濃度とエチレングリコール分解率が比例することを示すグラフである。
【図2】図2は、親株と変異処理した菌体について、pH5のLLC培地での集積培養の経過を示すグラフである。
【図3】図3は、変異処理した菌体をpH5のLLC培養で5代にわたり集積培養した場合の経過を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の耐酸性変異株と親株の低pH培地での増殖、エチレングリコール(EG)分解率及びpHの経過を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の耐酸性変異株と親株とを、3L規模の培養における菌体の増殖とエチレングリコールの分解について比較したグラフである。
【図6】図6は、本発明の耐酸性変異株をPVA包括法により固定化して使用した場合のエチレングリコールの分解を示すグラフである。
【図7】図7は、実施例におけるエチレングリコール含有排水の浄化装置を示す図である。

Claims (2)

  1. pH 4.8の酸性条件下で、少なくとも6,700ppmのエチレングリコールを分解する能力を有するシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)TCM01株(FERM BP−6292)である微生物。
  2. 請求項1に記載の微生物を、好気的条件下でエチレングリコールと接触せしめることを特徴とする、エチレングリコール含有水の処理方法。
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