JP3660628B2 - ファインパターン用電解銅箔とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファインパターン化が可能な電解銅箔、すなわち高いエッチングファクターが得られる電解銅箔、この電解銅箔を使用した銅張積層板並びにプリント配線板に関する。
また、本発明による未処理銅箔は、従来に比べ両面がフラットなため、二次電池用電極やフラットケーブル、電線被覆シールド材等にも使用可能である。しかし、本発明による電解銅箔はこれらに限られるものではない。
【0002】
【従来の技術】
プリント回路用電解銅箔は、工業的には硫酸銅水溶液の電解液を、鉛や白金族を被覆したチタン電極などの不溶性電極と、これに対向して設けられたステンレスやチタン製の陰極回転ドラムの隙間に満たしてこれら電極に通電し、陰極回転ドラムの上に銅を析出させ、これを連続的に巻取ることにより製造されている。
【0003】
一般に銅イオンと硫酸イオンだけを含む水溶液を電解液として用いると、設備上混入が避けられないゴミや油類によって銅箔にピンホールやマイクロポロシティーが発生して実用上重大な欠陥となったり、該銅箔の電解液と接する側の面(粗面)が持つ山谷の形状が崩れてしまい、後にこの銅箔を絶縁基板材料と接合する際に十分な強度が得られなかったり、該粗面の粗さが大きい場合には多層プリント配線板の層間絶縁抵抗や回路導電率が低下したり、基板材料に接合後のパターンエッチング時に基板への残銅現象あるいは回路部のアンダーカット現象を引起し、回路基板として種々の性能を劣化させてしまうという問題を生じる。
【0004】
このピンホール等の防止のため電解液に塩化物イオンを添加したり、電解液を活性炭等を含むフィルターに通してゴミや油類を除去している。またマイクロポロシティー防止及び粗面の山谷形状を整えるために、古くから膠を電解液に添加する事が行われており、膠以外にも種々の有機物や無機物を添加剤として用いることが提案されてきた。プリント配線板用電解銅箔の製造技術は銅塩を含む溶液に電極を設け、これに通電して、カソードに銅を析出させるという点から分かるように、めっき技術を基礎としており、プリント配線板用電解銅箔製造用の添加剤としては銅めっき用添加剤を転用出来る場合が多い。膠、チオ尿素、糖蜜などは古くから銅めっき用の光沢剤として知られており、このことから電解液にこれら添加剤を添加した場合にはいわゆる光沢作用、プリント配線板用電解銅箔に関しては粗面の粗さを小さくする効果の発現が期待出来、米国特許5,171,417号明細書には、チオ尿素などの活性イオウを添加剤として用いた電解銅箔の製造方法が開示されている。しかしながら、プリント配線板用電解銅箔は、生産性の向上などを目的として、通常のめっきより高い電流密度で生産されている点や、近年プリント配線板用電解銅箔に要求される性能が著しく高度になったこと、特に伸びなどの機械的性能を損なうことなく、粗面の粗さを低く抑えた銅箔に対する要求が強くなったことなどから、これらめっき用の添加剤をそのままプリント配線板用電解銅箔の添加剤として使用しても満足できる特性が得られないのが現状である。
【0005】
一方、近年、半導体、集積回路をはじめとした電子回路技術の発達はめざましく、当然のことながら、その部品の形成部あるいは搭載部であるプリント配線板においても尚一層の技術革新が求められている。プリント配線板の高多層化、ファインパターン化の要求等がそれである。
【0006】
これらの要求を満足させるためにプリント配線板用電解銅箔に求められる性能は、層間及びパターン間の絶縁性、エッチング時のアンダーカット防止のための粗面(析出面。以下、同様)のロープロファイル化(粗さの低下)及び熱応力によるクラック防止のための高温伸び特性の向上、さらにはプリント配線板の寸法安定性のための高い引張り強さが求められている。特にファインパターン化のための更なるロープロファイル化の要求が強い。
【0007】
粗面のロープロファイル化は、例えば前述の様に膠やチオ尿素を多量に電解液に添加すれば達成されるが、反面、その添加量の増加に伴って常温伸び率、高温伸び率とも急激に低下してしまう。一方、添加剤を添加しない電解液から得られる銅箔は、常温伸び率、高温伸び率ともに非常に高いものになるが、粗面の形状が乱れ、粗さが大きくなったり、高い引張り強さを維持出来なくなり、さらにはこれら性能が安定したものを製造すると言った点では無理がある。電解電流密度を低く抑えた場合、高電流密度での電解箔に比べ、粗面の粗さは低くなり、伸び率や引張り強さも向上するが、生産性の低下は経済上好ましくない。
【0008】
このように、近年のプリント配線板用電解銅箔に要求される、更なるロープロファイル化、良好な常温伸び率、高温伸び率及び高い引張り強さを実現することは容易ではない。
【0009】
従来の電解銅箔がファインパターン化できない理由の大きな要因として、表面粗さが粗いことをあげることができる。
電解銅箔は、通常、図1に示すような電解製箔装置により製箔された銅箔に、図2に示す表面処理装置により密着性向上のための粗化処理、防錆処理を施して製造される。
電解製箔装置は回転するドラム状のカソード(表面はSUS又はチタン製)2と該カソードに対して同心円状に配置されたアノード1(鉛又は貴金属酸化物被覆チタン電極)からなる装置に、電解液3を流通させつつ両極間に電流を流して、該カソード表面に所定の厚さに銅を析出させ、その後該カソード表面から銅をはぎ取る。この段階の箔を未処理銅箔という。
【0010】
この後、銅張積層板に必要とされる性能を付与するため、図2に示すような表面処理装置に未処理銅箔4を通し、電気化学的あるいは化学的な表面処理を連続的に行う。この処理のうち、絶縁樹脂基板と接着させるときの密着性を高めるために、粒状の銅を析出させる工程がある。これを粗化処理と呼んでいる。これらの表面処理した後の銅箔を表面処理銅箔8と呼び、銅張積層板に使用される。
【0011】
電解銅箔の機械的性能は未処理銅箔4の性能によって決定されるが、銅箔のエッチング特性、すなわちエッチング速度と均一溶解性も、この未処理銅箔の性能によって多くが決定される。
【0012】
銅箔の性能でエッチング性に大きな影響のある要因は表面の粗さである。粗化処理を施して絶縁樹脂基板と接着する面の粗さの影響が大きい。銅箔の粗さに影響する要因には大きく分けて2つある。ひとつは未処理銅箔の表面粗さであり、もうひとつは粗化処理の粒状の銅の付き方である。元箔である未処理銅箔の表面粗さが粗いと粗化処理後の銅箔の粗さは粗くなる。また、一般的に粒状の銅の付着量が多いと粗化処理後の銅箔の粗さは粗くなる。粗化処理時の粒状の銅の付着量は処理時に流す電流により調節が可能であるが、未処理銅箔の表面粗さは、前述のドラム状のカソードに銅を析出させる時の電解条件、特に電解液に加える添加剤によって決まるところが大きい。
【0013】
一般的には、未処理箔は光沢面と呼ぶドラムに接触していた側の面は比較的平滑であるが、逆の面である粗面は凹凸を有する。粗面を平滑化するために、過去幾つかの試みがなされている。例えば前述の米国特許第5,171,417号の明細書に開示された、チオ尿素などの活性イオウを添加剤として用いた電解銅箔の製造方法がそれである。しかし、この場合は従来のニカワ等の添加剤を用いた場合に比較して粗面は平滑化されるが、光沢面に比較すると未だ粗く、効果は完全ではない。
【0014】
また、光沢面は比較的平滑であることから、特開平6−270331号公報に開示されているように、光沢面側に粒状の銅を付着させ樹脂基板と接着させる試みもなされている。しかしこの場合は、回路のエッチング時に、通常の粗面側にドライフィルムやレジストをはらなければならず、表面の凹凸のために銅箔との接着力が低くなり、剥離しやすいという欠点がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来技術の問題点を解消すべくなされたものであり、引き剥し強さを低下させることなく、高いエッチングファクターを持ち、配線パターンの根元に銅粒子が残ることなく、ファインパターンを達成できる銅箔であると共に大きな高温伸び率及び高い引張り強さを有する銅箔を提供するものである。ここで、ファインパターン化の尺度は、一般的には図3に示すエッチングファクター(=2T/(Wb−Wt))によってあらわすことができる。この値が大きいほど回路断面はシャープな形状となる。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電解銅箔であって、未処理銅箔の析出面の表面粗度RZが該未処理銅箔の光沢面の表面粗度RZと同じか、それより小さい箔の析出面上に粗化処理を施したことを特徴とする。ここで、表面粗度RZとは、JIS B 0601-1994 「表面粗さの定義と表示」の5.1十点平均粗さ(RZ)の定義に規定されたRZをいう。
前記の未処理銅箔は、メルカプト基を持つ化合物並びにそれ以外の少なくとも1種以上の有機化合物及び塩化物イオンを添加した電解液を用いた電解にて得ることができる。
【0017】
本発明における、組み合わせのベースとなる添加剤は、3−メルカプト1−プロパンスルホン酸塩である。3−メルカプト1−プロパンスルホン酸塩は、HS(CH2)3SO3Na等で代表して示される化合物である。この化合物は、単独では銅の結晶を微細化する効果はそれほどないが、他の有機化合物と組み合わせて用いることにより、銅の結晶を微細化し、凹凸の少ないめっき表面を得ることができる。その詳しい作用機構は不明であるが、当該分子が硫酸銅電解液中の銅イオンと反応し、錯体となる事により、あるいはめっき界面に作用して過電圧を上昇させる事によって、銅の結晶を微細化し、凸凹の少ないめっき面の形成を可能ならしめるのではないかと推定される。
【0018】
組み合わせる有機化合物の一つ目は、高分子多糖類である。高分子多糖類とは、デンプン、セルロース、植物ゴムなどの炭水化物であり、一般に水中でコロイドとなる。工業的に安価に製造されているものとして、デンプンでは食用デンプン、工業用デンプン、デキストリン、セルロースとしては特開平2−182890号公報に開示されているような水溶性セルロースエーテル、すなわち、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースエーテルなどがある。植物ゴムとしてはアラビアゴムやトラカンドゴムがある。
【0019】
これらの有機化合物は、3−メルカプト1−プロパンスルホン酸塩と組み合わせることにより、銅の結晶を微細化し、凹凸のないめっき面を得ることができるが、結晶の微細化に加えて、これらの有機化合物には、製造された銅箔の脆化を防止する働きがある。これらの有機化合物は銅箔に蓄積される内部応力を緩和するため、陰極ドラムから巻き取られる際の破れや銅箔が丸まってしまう現象を防止するばかりでなく、常温及び高温の伸び率も改善する。
【0020】
本発明における組み合わせにかかるもう一つの有機化合物は、低分子量膠である。低分子量膠とは一般に製造されている膠、ゼラチンを酵素や酸若しくはアルカリで分解し、その分子量を小さくしたものである。例えばニッピゼラチン社製の“PBF”や米国Peter-Cooper社製の“PCRA”として市販されている。これらの分子量は1万以下で、低分子量のためゼリー強度が著しく低いのが特徴である。
【0021】
通常の膠やゼラチンは、マイクロポロシティーの防止や粗面の粗さを抑え形状を整える効果があるが、伸び特性を低下させるという弊害がある。しかしながら通常の膠やゼラチンとして市販されているものよりも分子量の小さい膠を使用すれば、伸び特性などを大きく犠牲にせず、マイクロポロシティーの防止や粗面の粗さを抑え形状を整える効果があることが分かった。
尚、3−メルカプト1−プロパンスルホン酸塩に高分子多糖類と低分子量膠を同時に加えると、それぞれを単独で加えるよりも、高温の伸び率が改善されるとともに、マイクロポロシティーの防止や細かな均一な凸凹面を得ることが可能である。
【0022】
更に、上記の有機添加剤に加え塩化物イオンを電解液に添加する。電解液中に塩化物イオンがまったく存在しないと、所望される粗面がロープロファイル化された銅箔を得ることができないからである。その添加量としては、数ppmで効果が出てくるが、広い電流密度範囲で安定してロープロファイル銅箔を製造するためには、10〜60ppmの範囲に保つことが好ましい。60ppmを越える添加量でもロープロファイル化されるが、添加量を増加したほどにはその効果に著しい増進が認められず、逆に添加量が過剰になると、樹枝状の電析が起こったり限界電流密度が低下するので好ましくない。
【0023】
以上述べた通り、電解液に3−メルカプト1−プロパンスルホン酸塩と高分子多糖類及び/又は低分子量膠と微量の塩化物イオンを併用添加することにより、ファインパターン化のためのロープロファイル銅箔に求められる種々の特性を高いレベルで実現させることが可能となった。
さらには、本発明による未処理銅箔の析出面の表面粗度RZは該未処理銅箔の光沢面の表面粗度RZと同程度か、それより小さい箔となるため、析出面上に粗化処理を施した後の表面処理銅箔は従来のものに比較して更にロープロファイルとなり、大きなエッチングファクターを持った箔となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
実施例1〜5
(1)製箔
表1に示す組成の電解液(添加剤を添加する前の硫酸銅−硫酸溶液)を、活性炭フィルターに通して清浄処理した。次いで、この電解液に3−メルカプト1−プロパンスルホン酸ナトリウムと、高分子多糖類としてヒドロキシエチルセルロース及び低分子量膠(分子量3,000)と、塩化物イオンを表1に示す濃度となるように、それぞれ添加して製箔用電解液を調製した。尚、塩化物イオン濃度を全て30ppmに調整したが、本発明はこの濃度に限定されるものではない。
このようにして調製した電解液を用い、アノードには貴金属酸化物被覆チタン電極、陰極にはチタン製回転ドラムを用いて表1に示す電解条件の下に、18μm厚みの 未処理銅箔を電解製箔によって製造した。
【0026】
(2)粗面粗さ及び機械的特性の評価
(1)で得られた各実施例の未処理銅箔の表面粗さRZ、Raを表面粗さ計(小坂研究所製SE−3C型)を用いて測定した(ここで、表面粗さRZ、Raとは、JIS B 0601-1994 「表面粗さの定義と表示」に規定されたRZ、Raである。尚、基準長さ:lは、粗面測定時2.5mm、光沢面測定時0.8mmである)。そして幅方向の常温での、及び180℃の温度における5分間保持後での伸び率並びに各々の温度での引張り強さを引張り試験機(インストロン社製1122型)を用いて、それぞれ測定した。結果を、表2に示す。
【0027】
比較例1〜2
表1に示す組成の電解液及び電解条件の下に電解した以外、実施例と同様に製箔して得られた銅箔の表面粗さ及び機械的特性を評価した。結果を表2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
3−メルカプト1−プロパンスルホン酸ナトリウム及びヒドロキシエチルセルロースを添加した実施例1、3−メルカプト1−プロパンスルホン酸ナトリウム及び低分子量膠を添加した実施例2では、粗面粗さ(粗面の表面粗さ)は充分に小さく、高温伸び特性が優れている。
3−メルカプト1−プロパンスルホン酸ナトリウムにヒドロキシエチルセルロースと低分子量膠を添加した実施例3及び実施例4では、実施例2及び3に比較して更に粗面粗さが小さくなっている。
【0031】
これに対して、チオ尿素と通常膠を加えた比較例1では、従来の未処理銅箔に比較すると粗面の粗さは小さくなるが本発明の未処理銅箔に比較すると粗く、光沢面に比較して大きな粗度の粗面を持つ未処理銅箔しか得ることができない。しかも、この未処理銅箔の場合、高温伸びが小さい。
尚、比較例2には、従来の銅の例として通常膠を用いて製箔した未処理銅の性能を参考までに示した。
【0032】
次いで、実施例1〜4及び比較例1〜2に示した未処理銅箔の粗面に粗化処理を行った。また比較例2に示した未処理箔の光沢面に同様な粗化処理を行った。粗化のための浴組成と条件は下記の通りである。粗化処理後、更に防錆処理を施して表面処理銅箔を製造した。この銅箔の表面粗さを表面粗さ計(小坂研究所製SE−3C型)を用いて測定した。結果を表3に示した。尚、表3において、実施例1〜4及び比較例1〜2は、それぞれ表2の実施例1〜4及び比較例1〜2の未処理銅箔の粗面に粗化処理を行ったものであり、比較例3は表2の比較例2の未処理銅箔の光沢面に粗化処理を行ったものである。
【0033】
【0034】
【0035】
得られた銅箔をガラスエポキシ樹脂FR−4基板の片面に熱融着して銅張積層板を作成した。更に、下記の「評価法」によりエッチング性の評価を行った。
【0036】
評価法
エッチング特性の評価は次に示す方法で行った。各銅張積層板表面を洗浄後、該表面に液レジストを5μmの厚みで均一に塗布して乾燥した。次にレジストに試験用回路パターンを重ね、露光機を用いて200mJ/cm2で紫外線照射した。テストパターンは線幅100μm、線間100μm、長さ5cmの平行直線を10本並べたものである。照射後直ちに現像し、水洗、乾燥した。
【0037】
このように、レジストによる回路が形成された各銅張積層板のそれぞれに対し、エッチング評価装置によりエッチングした。エッチング評価装置は単ノズルで、垂直に立てた試料の銅張積層板に対して直角方向からエッチング液を噴射するものである。エッチング液には塩化第二鉄と塩酸を混合した液(FeCl3:2mol/l、HCl:0.5mol/l)を使用し、液温50℃、噴射圧0.16MPa、液流量1l/min、試料とノズルの距離15cmにて行った。噴射時間は55秒とした。噴射後直ちに水洗し、アセトンにてレジストを剥離してプリント回路パターンを得た。
【0038】
得られた各々のプリント回路パターンに対し、ボトム幅70μmの時のエッチングファクターを測定した。また同時に引き剥し強さも測定した。その結果を表3に示す。エッチングファクター値が大きいほどエッチング特性が良好と判断できるが、実施例1〜4は比較例1〜3よりもエッチングファクターが格段に大きい。
【0039】
比較例1〜2は、実施例1〜4に比し未処理銅箔の粗面の粗度が大きいため、粗化処理後の粗度も大きくエッチングファクターは良くない。これに対し実施例2の未処理銅箔の粗面と、比較例3の未処理銅箔の光沢面の粗度はほぼ等しい。しかし、同条件で処理したにもかかわらず粗化処理後の表面粗度は実施例2の方が小さく、従来例2の方が大きい。これは、光沢面の場合は、チタンドラムに接していた面であるため、ドラムの傷がそのまま転写されており、そのうえに粗化処理がなされると粗化の銅粒が粗大化しやすく最終的に粗化処理後の表面粗度は大きくなってしまう、一方、本発明による銅箔の粗面は鏡面状態の電析で非常に緻密であるため、その上に粗化処理がなされると粗化の銅粒が微細化し、最終的に粗化処理後の表面粗度は小さくなるものと思われる。これは未処理銅箔の粗面の表面粗度が更に小さい実施例1、実施例3及び実施例4の場合更に顕著になり、粗化処理面の粗さは非常に小さくなり、エッチングファクターも大きくなっている。粗化処理面の粗さが非常に小さいにもかかわらず比較例3と同程度の引き剥し強さとなるのは、粗化処理において粗化の銅粒が微細化する結果、表面積が大きくなり、粗さが小さいにもかかわらず引き剥し強さが大きくなるからと考えられる。
尚、比較例3は、粗化処理面の粗さが実施例1〜4のそれに比較して大きくなるため、エッチングファクターの値では比較例1〜2のそれより実施例1〜4のそれに近い値を示すが、エッチング時の足残りの点で実施例1〜4に比べて劣る(高温伸びが良くないという理由ではなく、上記の理由で劣る)。
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】
上述の通り、本発明によれば、電解銅箔のロープロファイル化を容易に実現でき、しかも常温及び高温における伸び率が優れ、かつ高い引張り強さを有する電解銅箔を得ることができる。このようにして得られる電解銅箔は、高密度プリント配線板用の内外層銅箔に、更には耐折性の向上からフレキシブル基板用電解銅箔にも適用することができるものである。
また、従来の未処理銅箔に比し両面がフラットなため、本発明により得られる未処理銅箔は、二次電池用電極やフラットケーブル、電線被覆シールド材等にも使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】電解製箔装置の構造を示す断面図である。
【図2】表面処理装置の構成を示す断面図である。
【図3】エッチングファクターの求め方を示す模式図である。
【符号の説明】
A 銅箔の断面
B 絶縁板
Wt 銅箔断面のトップ幅
Wb 銅箔断面のボトム幅
T 銅箔の厚さ
1 電解製箔装置のアノード
2 電解製箔装置のカソード
3 電解製箔装置の電解液
4 未処理銅箔
5 表面処理装置の電解液
6 表面処理装置の電解液
7 表面処理装置のアノード
8 表面処理銅箔
Claims (3)
- 電解銅箔の未処理銅箔において、
(i)該未処理銅箔の析出面の表面粗度RZが該未処理銅箔の光沢面の表面粗度RZより小さく、
(ii)該未処理銅箔の180℃における高温伸びが19%以上であり、そして
(iii)該未処理銅箔の180℃における箔引張り強度が20kgf/mm2以下である
ことを特徴とする銅箔。 - 該未処理銅箔の析出面の表面粗度RZが、2.1以下である、請求項1記載の電解銅箔。
- メルカプト基を持つ化合物、塩化物イオン、並びに分子量10000以下の低分子量膠及び高分子多糖類を添加した電解液を用いて電解された、請求項1記載の電解銅箔。
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