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JP3649110B2 - レーンキープアシスト制御装置 - Google Patents

レーンキープアシスト制御装置 Download PDF

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JP3649110B2
JP3649110B2 JP2000317942A JP2000317942A JP3649110B2 JP 3649110 B2 JP3649110 B2 JP 3649110B2 JP 2000317942 A JP2000317942 A JP 2000317942A JP 2000317942 A JP2000317942 A JP 2000317942A JP 3649110 B2 JP3649110 B2 JP 3649110B2
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  • Power Steering Mechanism (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行時に白線情報を取り込み、操舵トルクを操舵力伝達系に与えることで車両がレーン中央に向かう方向に制御する、もしくは、操舵反力トルクを操舵力伝達系に与えることで車両がレーン中央に向かう方向に制御するレーンキープアシスト制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
高速道路等で車線中央位置を走行するように車両の操舵系を制御するレーンキープアシスト制御装置(Lane Keeping Assistance System)は、ステアリングコラムにギヤを介して取り付けられた操舵アクチュエータと、白線情報を入力情報とするレーンキープアシスト制御手段により算出された指令電流で操舵アクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動手段を備える。
【0003】
前記レーンキープアシスト制御手段は、図9に示すように、車両がレーン中央に向かう方向へ制御するために、白線情報を用いて検出または推定された道路曲率に応じた車両の目標横位置を算出する目標軌道算出部と、白線情報を用いて検出または推定された車両の横位置,横速度,ヨーレート,ヨー角,操舵角,操舵角速度等に比例FBゲインを乗じた比例FB電流を算出する比例FB部と、横風,路面片勾配,アライメントのズレ等による目標横位置(またはレーン中央)からの定常的なオフセットを防止するために、車両位置検出部からの車両横変位と目標軌道算出部からの目標横変位との目標偏差の積分値に所定の積分FBゲインを乗じた積分FB電流を算出する積分FB部と、予め積分FB電流の積分リミット値を設定している積分リミット値設定部と、比例FB電流と積分FB電流(積分リミット値を超える場合は積分FB電流=積分リミット値)を加算する加算部と、加算した電流値を指令電流制限値により出力電流制限することで操舵アクチュエータへの指令電流を得る指令電流制限部とを備えて構成されている。なお、FBという表記はフィードバックを表す。
【0004】
前記出力電流制限は、図10に示すように、横軸を旋回加速度、縦軸を電流制限値とするアクチュエータ出力電流制限マップを用いて行われ、これにより、ドライバーの任意な操舵介入を可能にしている。以下、出力電流制限について詳しく説明する。
【0005】
スラローム走行時(比較的短時間に左右への操舵を繰り返す)の操舵トルクと車両旋回加速度の関係を図11に示す。操舵角と操舵トルクとの関係(ドライバー操舵時も自動操舵運転時も同じ)は、車速変化に伴って変化する。すなわち、等しい操舵角であっても車速が上がれば、旋回加速度も大きくなり、その結果、ハンドルへの反力トルクも大きくなる。一方、操舵トルクと車両の旋回加速度の関係は、車速によらずほぼ一定であるので、アシスト操舵トルクの上限値を旋回加速度に対して設定すれば車速が変化した場合であっても、レーンキープアシスト制御は常に余分な操舵トルクを発生しなくなる。
【0006】
操舵系のフリクション等の影響によるヒステリシス特性とパワーステアリングの特性による非線型性(低旋回加速度域と高旋回加速度域の間の折れ線状の特性)を有しているが、レーンキープ走行をアシストするという観点からは、スラローム走行に比べて比較的ゆっくりした操舵で良いため、図11の網掛け部の操舵トルクを発生すれば概ね良好なレーンキープ性能が得られる。
【0007】
ドライバーがハンドルに加えるトルクをTd、レーンキープアシスト制御によるアシスト操舵トルクをTassistとすると、任意の旋回加速度を発生させるためのステアリング操作をするトルクTsは、次のようになる。
【0008】
Ts=Td+Tassist
これにより、図12に示すように、電流制限値が一定値の場合、次のことが言える。
(a)ドライバーとレーンキープ制御が協調して走行している時(車両の旋回方向と同じ方向へ操舵した時)は、TdとTassistの方向が一致し、|Ts|>|Td|となるため、ドライバーの負担はレーンキープ制御無しの場合より減らすことができる。Tsは操舵時のハンドル戻りトルクであり、ハンドル戻りトルクからアシストトルクを引いたトルクTs−Tdをドライバーがハンドルに加えれば良い。
(b)緊急回避等のためレーンキープ制御と反対の方向へドライバーが操舵した時(車両の旋回方向と反対側に操舵した時)は、TdとTassistの方向が逆になり、|Ts|<|Td|となるため、ドライバーの負担はレーンキープ制御無しの場合より増加する。
したがって、図12中の矢印に示すように、通常時(レーンキープ制御無し)より非常に大きな操舵トルクを加えないとハンドル操作することができなくなる場合があり得る。特に、ドライバーがさらにハンドルを切り増そうとした場合、レーンキープ制御はハンドルを戻す方向にトルクを発生させることになるので、ドライバーがハンドルを動かすためには、ハンドル戻りトルクと制御トルクを加えたトルクで操舵しなければならなくなる。
【0009】
本システムでは、図10に示すように、車両の旋回加速に応じた電流制限マップを設定することにより、図13に示すように、ドライバーの意図とは逆方向への制御トルクを小さくしたため、レーンキープ制御と反対の方向へドライバーが操舵した時(車両の旋回方向と反対側に操舵した時)に必要なドライバーの介入トルク(図13の矢印)を図12の場合よりも極力抑えることができるようになり、特別にトルクセンサを設けることなく、ドライバーの任意の操舵介入を容易にすることができる。
ここで利用した旋回加速度は、加速度センサーで直接検出した値でも良いし、車速や操舵角等を用いて推定した値でも良い。また、旋回加速度の代わりにヨーレートを利用しても同様な結果を得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のレーンキープアシスト制御装置にあっては、レーンキープ制御中のドライバーの任意な操舵介入を容易にするようなアクチュエータ電流制限を行うようにしているため、通常の走行状態であっても、指令電流が指令電流制限値と等しくなる指令電流の飽和が容易に発生する。そして、指令電流が飽和し電流制限値に達した状態では、目標とする横位置と車両の横位置の偏差が減らないため、徐々にレーンから逸脱、または、オフセット走行するという問題がある。
【0011】
すなわち、指令電流が飽和していると、外乱(横風、路面勾配、カーブ、ドライバー操舵介入等)分の補償電流は、電流制限値以上の電流になり、操舵アクチュエータへ出力できないため、徐々にレーンから逸脱、または、オフセット走行する。
【0012】
このような場合、目標位置と車両位置の偏差の積分値は予め設定した積分リミット値まで増加し、その後、横風の方向変化、路面勾配変化、カーブの方向変化、またはドライバーの操舵介入等によりレーン中央または目標軌道に沿った走行状態に変化した場合であっても、蓄積した積分値が速やかに減少せず、余分な操舵トルクが発生するため車両が蛇行し易い。
【0013】
また、このような蛇行を避けるために積分FBゲインを小さく設定したり、予め設定する積分リミット値を小さく設定すると、必要な操舵トルクを発生させることができなくなるため、横風、路面片勾配に対するオフセット走行が残る。
【0014】
上記指令電流の飽和について詳細に説明すると、ここでは比例FB電流と積分FB電流の和が予め設定、または、旋回加速度等に応じて算出された指令電流制限値を超えた状態になることにより、指令電流値(指令電流値を超えないようにリミッタを設ける)が指令電流制限値と等しくなるような場合を指令電流が飽和状態と呼ぶ。この状態では比例FB電流や積分FB電流が変化したとしても、その和が制限値を下回らない限り指令電流は一定値(指令電流制限値)にとどまりそれ以上の値にならないが、積分している偏差の発生が継続すると、偏差の積分値はどこまでも増加を続けてしまう。
【0015】
指令電流の飽和状態が発生する原因は、制御の目標値にステップ状入力を与えることにより大きな変化速度が要求される場合、あるいは、路面片勾配、風、ドライバー介入の影響が大きく、これによる外乱トルク分を打ち消すために大きな制御電流が算出されることによる。
【0016】
本来のレーンキープ走行に必要ないという判断により電流が制限されるため、指令電流が飽和すると、外乱分を打ち消すために必要な操舵トルクを出力できなくなり、目標偏差を小さくする方向に車両が移動しなくなるため、徐々にレーンから逸脱、またはオフセット走行する。
【0017】
操舵トルク外乱(風、路面片勾配、ドライバー介入による)をTd、レーンキープアシスト制御によるアシスト操舵トルクをTassist、任意の旋回加速度を発生させるためにステアリング操作するトルクをTsとすると、
Ts=Td+Tassist
⇔Tassist=Ts−Td
である。アシスト操舵方向とドライバー介入操舵方向が反対の場合、TsとTdの符号が逆になるので、
|Tassist|=|Ts−Td|>|Ts|
したがって、ドライバーの介入性向上のためにトルク制限値TlmtをTsに近い値にすると、
|Tassist|>|Tlmt|>|Ts|
(Tlmt:制限トルク=制限電流値×トルク定数)
が発生し易くなる。
【0018】
逆に、Tlmt≫Ts(TlmtがTsよりも十分大きく)と設定すれば、
|Tlmt|>|Tassist|>|Ts|
となることにより、指令電流はほとんど飽和しなくなるが、ドライバーの操舵介入は難しくなる。
【0019】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、積分値の蓄積による過剰な操舵トルクの発生を抑えることにより、指令電流飽和回復後の車両挙動を安定させ、直進性の向上を図ることができるレーンキープアシスト制御装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、白線情報を用いて検出または推定された道路曲率に応じた車両の目標横位置を算出する目標軌道算出手段と、
白線情報を用いて検出または推定された車両の横位置,横速度,ヨーレート,レーンに対するヨー角,操舵角,操舵角速度等を要素とするベクトルに比例フィードバックゲインを乗じた比例フィードバック電流を演算する比例フィードバック部と、
検出された車両横変位と目標軌道算出手段からの目標横変位との目標偏差の積分値に所定の積分フィードバックゲインを乗じた積分フィードバック電流を演算する積分フィードバック部と、
前記比例フィードバック電流と積分フィードバック電流を加算する電流加算手段と、
ドライバーの任意な操舵介入を可能にする予め設定された指令電流制限値、もしくは、ドライバーの任意な操舵介入を可能にする旋回加速度等に応じて算出された指令電流制限値により前記電流加算値の出力電流制限を行うことにより操舵アクチュエータへの指令電流を得る指令電流制限手段と、
を備えたレーンキープアシスト制御装置において、
前記指令電流制限手段からの指令電流が指令電流制限値と等しくなる飽和状態である場合、積分フィードバック部にて指令電流を減少させる方向への積分演算のみを行い、指令電流を増加させるような積分演算を行わずにその時の積分値を保持する積分演算停止判断手段を設けたことを特徴とする。
【0021】
請求項2記載の発明では、白線情報を用いて検出または推定された道路曲率に応じた車両の目標横位置を算出する目標軌道算出手段と、
白線情報を用いて検出または推定された車両の横位置,横速度,ヨーレート,レーンに対するヨー角,操舵角,操舵角速度等を要素とするベクトルに比例フィードバックゲインを乗じた比例フィードバック電流を演算する比例フィードバック部と、
検出された車両横変位と目標軌道算出手段からの目標横変位との目標偏差の積分値に所定の積分フィードバックゲインを乗じた積分フィードバック電流を演算する積分フィードバック部と、
前記比例フィードバック電流と積分フィードバック電流を加算する電流加算手段と、
ドライバーの任意な操舵介入を可能にする予め設定された指令電流制限値、もしくは、ドライバーの任意な操舵介入を可能にする旋回加速度等に応じて算出された指令電流制限値により前記電流加算値の出力電流制限を行うことにより操舵アクチュエータへの指令電流を得る指令電流制限手段と、
を備えたレーンキープアシスト制御装置において、
前記指令電流制限手段からの指令電流が指令電流制限値と等しくなる飽和状態であると判断され、且つ、時間と共に指令電流制限値が減少してゆく場合、指令電流と比例フィードバック電流との差に応じた積分リミット値を算出し、積分フィードバック部の積分値をリセットする積分リミット値算出手段を設けたことを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明では、白線情報を用いて検出または推定された道路曲率に応じた車両の目標横位置を算出する目標軌道算出手段と、
白線情報を用いて検出または推定された車両の横位置,横速度,ヨーレート,レーンに対するヨー角,操舵角,操舵角速度等を要素とするベクトルに比例フィードバックゲインを乗じた比例フィードバック電流を演算する比例フィードバック部と、
検出された車両横変位と目標軌道算出手段からの目標横変位との目標偏差の積分値に所定の積分フィードバックゲインを乗じた積分フィードバック電流を演算する積分フィードバック部と、
前記比例フィードバック電流と積分フィードバック電流を加算する電流加算手段と、
ドライバーの任意な操舵介入を可能にする予め設定された指令電流制限値、もしくは、ドライバーの任意な操舵介入を可能にする旋回加速度等に応じて算出された指令電流制限値により前記電流加算値の出力電流制限を行うことにより操舵アクチュエータへの指令電流を得る指令電流制限手段と、
を備えたレーンキープアシスト制御装置において、
前記積分フィードバック部にて指令電流を減少させる方向への積分演算のみを行い、指令電流を増加させるような積分演算を行わずにその時の積分値を保持する積分演算停止判断手段と、指令電流と比例フィードバック電流との差に応じた積分リミット値を算出し、積分フィードバック部の積分値をリセットする積分リミット値算出手段を共に設け、
指令電流制限手段からの指令電流が指令電流制限値と等しくなる飽和状態である場合、白線情報により検出または推定される車両横位置と道路曲率の相対関係が、車両がレーン中央から離れてゆく関係の時には前記積分値の保持を選択し、車両がレーン中央に寄ってゆく関係の時には前記積分値のリセットを選択するというように、積分値の蓄積を抑える処理を切り換える積分値抑制切換手段を設けたことを特徴とする。
【0023】
【発明の作用および効果】
請求項1記載の発明にあっては、目標軌道算出手段において、白線情報を用いて検出または推定された道路曲率に応じた車両の目標横位置が算出される。そして、比例フィードバック部において、白線情報を用いて検出または推定された車両の横位置,横速度,ヨーレート,レーンに対するヨー角,操舵角,操舵角速度等を要素とするベクトルに比例フィードバックゲインを乗じた比例フィードバック電流が演算され、積分フィードバック部において、検出された車両横変位と目標軌道算出手段からの目標横変位との目標偏差の積分値に所定の積分フィードバックゲインを乗じた積分フィードバック電流が演算され、電流加算手段において、比例フィードバック電流と積分フィードバック電流が加算され、指令電流制限手段において、ドライバーの任意な操舵介入を可能にする予め設定された指令電流制限値、もしくは、ドライバーの任意な操舵介入を可能にする旋回加速度等に応じて算出された指令電流制限値により電流加算値の出力電流制限を行うことにより操舵アクチュエータへの指令電流が得られる。
一方、指令電流制限手段からの指令電流が指令電流制限値と等しくなる飽和状態である場合、積分演算停止判断手段において、積分フィードバック部にて指令電流を減少させる方向への積分演算のみが行われ、指令電流を増加させるような積分演算を行わずにその時の積分値が保持される。
すなわち、積分演算停止判断手段を行わない場合、車両に横変位が発生すると、指令電流が指令電流制限値に達しない不飽和状態における積分フィードバック電流は、予め設定された積分リミット値まで増加し続け、その結果、操舵アクチュエータへの指令電流も増加し続ける。その後、指令電流が飽和しても、予め設定された積分リミット値まで増加させる方向の積分演算が行われるため、車両の横変位が減少を始め、比例フィードバック電流が減少しても、しばらくの間は指令電流の飽和状態が維持される。
このため、出力する電流制限による最大操舵トルクとドライバーの操舵トルクがほぼ同じ値のシステムにおいては、一旦、指令電流の飽和が発生すると過剰な横変位積分値が蓄積し、レーン中央または目標軌道に沿った走行状態に戻ってもしばらくは余分な操舵トルクが発生するため、車両が蛇行し易い。また、このような蛇行を防止するために、積分フィードバックゲインや予め設定する積分リミット値を小さく設定した場合には、積分フィードバック電流そのものが小さくなるため、オフセット走行が残る恐れがある。
これに対し、請求項1記載の発明では、制限値で飽和している間は、指令電流を減少させる方向へのみ積分演算を行い、指令電流を増加させる方向へは積分演算を行わずに積分値を保持することにより、積分フィードバック電流の余分な増加を抑えることができるので、車両の横変位が減少を始めて比例フィードバック電流が減少した場合には、速やかに操舵アクチュエータへの指令電流を減少させることができる。
よって、積分演算停止判断手段の採用によって、積分値の蓄積による過剰な操舵トルクの発生を抑えることにより、指令電流飽和回復後の車両挙動を安定させ、直進性の向上を図ることができる。
【0024】
請求項2記載の発明の操舵アクチュエータへの指令電流を得る作用は、請求項1記載の発明と同様である。
一方、指令電流制限手段からの指令電流が指令電流制限値と等しくなる飽和状態であると判断され、且つ、時間と共に指令電流制限値が減少してゆく場合、積分リミット値算出手段において、指令電流と比例フィードバック電流との差に応じた積分リミット値が算出され、積分フィードバック部の積分値が積分リミット値によりリセットされる。
すなわち、指令電流と比例フィードバック電流との差に応じて算出される積分リミット値は、比例フィードバック電流と積分フィードバック電流の和が、電流制限後の操舵アクチュエータへの指令電流に一致するようにして求めた積分値である。したがって、指令電流の飽和中において、時間と共に電流制限値が減少する場合(例えば、旋回加速度に応じた電流制限を行うことにより、ドライバーの操舵による旋回加速度の増加と共に電流制限値が減少する場合)、電流制限値の減少に比例して積分値も減少し、電流制限値の回復後は直ちに指令電流の飽和が解消され、過剰な積分値が発生しなくなるため、車両の挙動が安定し、蛇行の防止に効果がある。
同様に、指令電流の飽和中において、白線情報を用いて検出または推定された車両の横位置,横速度,ヨーレート,レーンに対するヨー角,操舵角,操舵角速度等が増加することで比例フィードバック電流が増加する場合、比例フィードバック電流の増加に比例して積分値が減少し、比例フィードバック電流の回復後は直ちに指令電流の飽和が解消され、過剰な積分値が発生しなくなるため、車両の挙動が安定し、蛇行の防止に効果がある。
【0025】
請求項3記載の発明の操舵アクチュエータへの指令電流を得る作用は、請求項1記載の発明と同様である。
一方、指令電流制限手段からの指令電流が指令電流制限値と等しくなる飽和状態である場合、積分値抑制切換手段において、白線情報により検出または推定される車両横位置と道路曲率の相対関係が、車両がレーン中央から離れてゆく関係の時には積分演算停止判断手段による積分値の保持が選択され、また、白線情報により検出または推定される車両横位置と道路曲率の相対関係が、車両がレーン中央に寄ってゆく関係の時には積分リミット値算出手段による積分値のリセットが選択されるというように、積分値の蓄積を抑える処理が切り換えられる。
すなわち、積分値の保持は、積分フィードバック電流が過大になる傾向があり、また、積分値を減少させるリセットは、積分フィードバック電流が不足する傾向がある。
そこで、例えば、右カーブを走行中に車両が道路右側に寄っている場合、車両が直進しても、次第にレーン中央に近づいていくため、前記積分値のリセットを行うことにより、安定した車両挙動が確保される。
また、例えば、右カーブを走行中に車両が道路左側に寄っている場合、車両が直進した場合には、次第にレーン中央から離れてゆくため、前記積分値の保持を行うことにより、レーン追従性が確保される。
このように、車両横位置と道路曲率(旋回半径)の相対関係によって、車両がレーン中央から離れてゆく関係の時には積分値の保持を選択し、車両がレーン中央に寄ってゆく関係の時には積分値のリセットを選択することで、指令電流の飽和が解消した後の積分フィードバック電流を適切な値にすることができるため、安定した車両挙動とレーン追従性を常に両立させることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
まず、構成を説明する。
【0027】
図1は実施の形態1のレーンキープアシスト制御装置が適用された自動車用操舵系を示す全体システム図であり、ステアリングコラム1にはコラムシャフト2が内挿支持され、前記コラムシャフト2の上端部にはステアリングホイール3が設けられ、前記コラムシャフト2の下端部には左右の車輪4,5を転舵する油圧パワーステアリング機構6が連結され、前記コラムシャフト2の途中位置には補助操舵トルクを付与するアシストアクチュエータ7(操舵アクチュエータ)が設けられている。
【0028】
前記アシストアクチュエータ7は、モーター8と、モータ軸に設けられた電磁クラッチ9と、該電磁クラッチ9を介してモーター8により回転駆動される駆動歯車10と、該駆動歯車10に噛み合う被駆動歯車11によるウォーム&ホイール減速機構を有して構成されている。
【0029】
前記コラムシャフト2のステアリングホイール3に近い位置には、コラムシャフト2の回転角度を検出する操舵角センサー13が設けられ、また、前記駆動歯車10の電磁クラッチ9とは反対側の歯車軸端部には、駆動歯車10の回転角度を検出するエンコーダー14が設けられ、操舵角センサー13及びエンコーダー14からのセンサ信号は、レーンキープコントロールユニット15に入力される。
【0030】
前記レーンキープコントロールユニット15には、操舵角センサー13及びエンコーダー14からのセンサ信号以外に、進行方向の前方道路を撮影するCCDカメラと画像処理回路を一体に持つカメラ&画像処理装置16からの自車走行状態情報と、車速センサー等からの車両系各種信号が入力され、レーンキープコントロールユニット15からは、モーター8に対しモーター駆動する制御電流が出力されると共に、電磁クラッチ9に対し断接指令が出力される。
【0031】
前記カメラ&画像処理装置16では、CCDカメラからの信号に基づく前方道路映像を画像処理し、白線あるいはセンターラインなどの前方車線の境界線が抽出識別され、自車走行位置と車線中央位置との横変位を含む自車走行状態情報が作成される。
【0032】
図2はレーンキープアシスト制御系を示すブロック図であり、前記レーンキープコントロールユニット15には、操舵角センサー13からのセンサー信号に基づいて舵角を検出する舵角検出部15aと、カメラ&画像処理装置16からの入力情報に基づいて走行している道路の白線を認識する白線認識部15bと、白線情報を用いて検出または推定された道路曲率に応じた車両の目標横位置yを算出する目標軌道算出部15c(目標軌道算出手段)と、白線情報を用いて車両横位置yを検出する車両位置検出部15dと、白線情報を用いて検出または推定された車両の横位置,横速度,ヨーレート,レーンに対するヨー角,操舵角,操舵角速度等を要素とするベクトルxに比例FBゲインKpを乗じた比例フィードバック電流Ipを演算する比例FB部15e(比例フィードバック部)と、検出された車両横変位yと目標軌道算出部15cからの目標横変位yとの差である目標偏差y−yを算出する目標偏差算出部15fと、目標偏差y−yの積分値Sに所定の積分FBゲインKiを乗じた積分FB電流Iiを演算する積分FB部15g(積分フィードバック部)と、比例FB電流Ipと積分FB電流Iiを加算する電流加算部15h(電流加算手段)と、旋回加速度に応じて算出された指令電流制限値Ilmt+,Ilmt-により電流加算値Isの出力電流制限を行うことによりアシストアクチュエータ7への指令電流Irefを得る指令電流制限部15i(指令電流制限手段)と、指令電流制限部15iからの指令電流Irefが指令電流制限値Ilmt+,Ilmt-と等しくなる飽和状態である場合、積分FB部15gにて指令電流Irefを減少させる方向への積分演算のみを行い、指令電流Irefを増加させるような積分演算を行わずにその時の積分値Sを保持する積分演算停止判断部15j(積分演算停止判断手段)を有して構成されている。
【0033】
次に、作用を説明する。
【0034】
[アクチュエータ駆動電流算出処理]
図3は実施の形態1のレーンキープコントロールユニット15で行われるアクチュエータ駆動電流算出処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0035】
ステップ30では、操舵角センサー13による操舵角データの取得と、カメラ&画像処理装置16からの入力情報に基づいて、道路の曲率、車両の白線に対する走行位置、白線に対するヨー角等の車両走行状態データ取得を行う。
【0036】
ステップ31では、前記道路曲率データと車両走行状態データを用いて目標走行軌道である車両の目標横位置yを算出する。例えば、目標横位置yを0に固定するとレーン中央を走行する目的でレーンキープ制御を行う。さらに、白線のつながりが不連続な場合や局部的に曲がっているような場合にも車両の挙動がスムーズとなるように目標横位置yを補間する。
【0037】
ステップ32では、道路曲率データや車両走行状態データや操舵角データを用いて、直線,曲線を問わず、常にレーン中央に向かう方向に比例FB電流Ip(=−Kp・x)を算出する。ここで、車両の横変位だけに比例FBゲインKpを乗じて比例FB電流Ipを算出しても良いし、車両の横変位,横速度,ヨーレート,レーンに対するヨー角,操舵角速度等の推定値を算出し、これを要素とする各ベクトルx1,x2…に、各推定値毎に設計した比例FBゲインKp1,Kp2…を乗じた値の総和を比例フィードバック電流Ipとして算出しても良い。
【0038】
ステップ33では、1制御周期前の指令電流Irefが旋回加速度に応じて算出した指令電流制限値Ilmt+,Ilmt-(図10)と等しくなる飽和状態である場合、さらに指令電流Irefの飽和を進める方向への積分を行わないための判断を行う。すなわち、指令電流Irefを減少させる方向(左操舵時の電流飽和時に車両が目標軌道より左にある場合、右操舵時の電流飽和時に車両が目標軌道より右にある場合)への積分演算のみを行い、指令電流Irefを増加させる方向(左操舵時の電流飽和時に車両が目標軌道より右にある場合、右操舵時の電流飽和時に車両が目標軌道より左にある場合)の積分演算を行わずにその時の積分値を保持する。
【0039】
ステップ34では、目標軌道算出部15cにて算出された目標横変位yの位置に車両を走行させるために、車両横変位yと目標横変位yとの差である目標偏差y−yを積分した積分値Sに積分FBゲインKiを乗じて積分FB電流Ii(=−Ki・S)を算出する。
【0040】
ステップ35では、比例FB電流Ipと積分FB電流Iiを加算して電流加算値Isを得る。
【0041】
ステップ36では、電流加算値Isが指令電流制限値Ilmt+(上限値)未満かどうかが判断され、ステップ37では、電流加算値Isが指令電流制限値Ilmt-(下限値)を超えているかどうかが判断され、ステップ36でNOと判断された場合には、ステップ38へ進み、指令電流制限値Ilmt+が指令電流Irefとされ、ステップ36でYESと判断されステップ37でNOと判断された場合には、ステップ39へ進み、指令電流制限値Ilmt-が指令電流Irefとされ、ステップ36でYESと判断されステップ37でYESと判断された場合には、ステップ40へ進み、電流加算値Isが指令電流Irefとされる。つまり、旋回加速度に応じて算出された指令電流制限値Ilmt+,Ilmt-(図10,図13)により電流加算値Isの出力電流制限処理が行われる。
【0042】
ステップ41では、ステップ38またはステップ39またはステップ40で設定された指令電流Irefに応じて実アクチュエータ電流をフィードバックすることによりPWM(パルス変調)駆動回路へ入力するデューティ比を得る。
【0043】
[アクチュエータ駆動電流算出作用]
まず、指令電流Irefが飽和状態でない場合には、図3にフローチャートにおいて、ステップ30→ステップ31→ステップ32→ステップ33→ステップ34→ステップ35→ステップ36→ステップ37→ステップ40へと進む流れとなり、ステップ40では、比例FB電流Ipと積分FB電流Iiを加算して得られた電流加算値Isが指令電流Irefとされる。
【0044】
一方、指令電流Irefが指令電流制限値Ilmt+,Ilmt-と等しくなる飽和状態である場合には、図3にフローチャートにおいて、ステップ30→ステップ31→ステップ32→ステップ33へと進む流れとなり、ステップ33において、指令電流Irefを減少させるとの判断時にのみステップ34へ進んで積分演算を行い、指令電流Irefを増加させるとの判断時にはステップ35へ進んで積分演算を行わず、その時の積分値が保持される。
すなわち、図4に示すように、右操舵時に電流飽和した場合、さらに右側へ操舵トルクを増加させる方向への積分演算は行わず、また、左操舵時に電流飽和した場合、さらに左側へ操舵トルクを増加させる方向への積分演算は行わない。
【0045】
そして、ステップ35からステップ36→ステップ38、もしくは、ステップ36→ステップ37→ステップ39へと進む流れとなり、ステップ38では指令電流Irefが指令電流制限値Ilmt+とされ、ステップ39では指令電流Irefが指令電流制限値Ilmt-とされる出力電流制限が行われる。
【0046】
[飽和時の積分停止判断作用]
図5の(a)に示すように、ドライバーの操舵等の影響により車両が0.5m左へ変位した状態が時間t0から時間t1までしばらく続くような典型的な例に基づいて、飽和時の積分停止判断作用について説明する。
【0047】
まず、積分停止判断を行わない場合には、図5の(b−1)に示すように、車両に横変位が発生すると、指令電流Irefが指令電流制限値Ilmt+,Ilmt-に達しない不飽和状態における積分FB電流Iiは、予め設定された積分リミット値まで増加し続け、その結果、操舵アクチュエータへの指令電流Irefも増加し続ける(領域▲1▼)。その後、指令電流Irefが飽和しても、予め設定された積分リミット値まで増加させる方向の積分演算が行われるため(領域▲2▼)、車両の横変位が減少を始め、比例FB電流Ipが減少しても、しばらくの間は指令電流Irefの飽和状態が維持される(領域▲3▼)。なお、積分リミット値とは、積分演算の特性からCPU内の変数のオーバフローを防止するために必要な積分値の上限値ことを表していて、図5では予め設定した積分リミット値に達していないため図示していない。
【0048】
このため、出力する電流制限による最大操舵トルクとドライバーの操舵トルクがほぼ同じ値のシステムにおいては、一旦、指令電流の飽和が発生すると過剰な横変位積分値が蓄積し、レーン中央または目標軌道に沿った走行状態に戻ってもしばらくは余分な操舵トルクが発生するため、車両が蛇行し易い。また、このような蛇行を防止するために、積分FBゲインや予め設定する積分リミット値を小さく設定した場合には、積分FB電流そのものが小さくなるため、オフセット走行が残る恐れがある。
【0049】
これに対し、実施の形態1のように積分停止判断を行う場合には、図5の(b−2)に示すように、指令電流Irefが図10に示すような指令電流制限値Ilmt+,Ilmt-で飽和している間は、指令電流Irefを減少させる方向へのみ積分演算を行い、指令電流Irefを増加させる方向へは積分演算を行わずに積分値Sを保持することにより、積分FB電流Iiの余分な増加を抑えることができるので(領域▲2▼)、車両の横変位が減少を始めて比例FB電流Ipが減少した場合には、速やかにアシストアクチュエータ7への指令電流Irefを減少させることができ(領域▲3▼)、早期に指令電流Irefの飽和状態から解放される。
【0050】
次に、効果を説明する。
【0051】
実施の形態1のレーンキープアシスト制御装置にあっては、指令電流制限部15iからの指令電流Irefが図10に示すような指令電流制限値Ilmt+,Ilmt-と等しくなる飽和状態である場合、積分FB部15gにて指令電流Irefを減少させる方向への積分演算のみを行い、指令電流Irefを増加させるような積分演算を行わずにその時の積分値Sを保持する積分演算停止判断部15jを設けたため、積分値の蓄積による過剰な操舵トルクの発生を抑えることにより、指令電流飽和回復後の車両挙動を安定させ、直進性の向上を図ることができる。
【0052】
(実施の形態2)
まず、構成を説明すると、図6は実施の形態2におけるレーンキープアシスト制御装置の制御系を示すブロック図であり、レーンキープコントロールユニット15には、実施の形態1の積分演算停止判断部15jに代え、積分リミット値算出部15k(積分リミット値算出手段)が設けられている。尚、他の構成は図2に示す実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0053】
前記積分リミット値算出部15kは、指令電流制限部15iからの指令電流Irefが図10に示すような指令電流制限値Ilmt+,Ilmt-と等しくなる飽和状態であると判断され、且つ、時間と共に指令電流制限値Ilmt+,Ilmt-が減少(例えば、図10の様な電流制限を行うことにより、ドライバーの操舵による旋回加速度の増加と共に指令電流制限値Ilmt+,Ilmt-が減少する場合)していく場合、
Sr=|(Iref−Ip)/Ki|
(Ip:比例FB電流、Ki:積分FBゲイン)
とする積分リミット値Srを算出し、求めた積分リミット値Srで積分値Sをリセットする。
【0054】
次に、作用を説明する。
【0055】
[アクチュエータ駆動電流算出処理]
図7は実施の形態2のレーンキープコントロールユニット15で行われるアクチュエータ駆動電流算出処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、ステップ70,71,72,74,75,76,77,78,79,80,81は、図3のステップ30,31,32,34,35,36,37,38,39,40,41と同じであるので説明を省略する。
【0056】
ステップ82では、ステップ78において、指令電流Irefが図10で示す指令電流制限値Ilmt+により制限された飽和状態である場合、上記式により積分リミット値Sr(≧0)を算出し、この求めた積分リミット値Srで積分値Sをリセットする積分リセット処理が行われる。
【0057】
ステップ83では、ステップ79において、指令電流Irefが図10で示す指令電流制限値Ilmt-により制限された飽和状態である場合、上記式により積分リミット値Sr(≦0)を算出し、この求めた積分リミット値Srで積分値Sをリセットする積分リセット処理が行われる。
【0058】
[飽和時の積分値リセット作用]
|(Iref−Ip)/Ki|により算出される積分リミット値Srは、比例FB電流Ipと積分FB電流Iiの和が、電流制限後のアシストアクチュエータ7への指令電流Irefに一致するようにして求めた積分値である。
【0059】
したがって、指令電流Irefの飽和中において、時間と共に電流制限値が減少する場合(例えば、図10のような電流制限を行うことにより、ドライバーの操舵による旋回加速度の増加と共に電流制限値Ilmt+,Ilmt-が減少する場合)、電流制限値Ilmt+,Ilmt-の減少に比例して積分値Sも減少し、電流制限値Ilmt+,Ilmt-の回復後は直ちに指令電流Irefの飽和が解消され、過剰な積分値Sが発生しなくなるため、車両の挙動が安定し、蛇行の防止に効果がある。
【0060】
同様に、指令電流Irefの飽和中において、白線情報を用いて検出または推定された車両の横位置,横速度,ヨーレート,レーンに対するヨー角,操舵角,操舵角速度等が増加することで比例FB電流Ipが増加する場合、比例FB電流Ipの増加に比例して積分値Sが減少し、比例FB電流Ipの回復後は直ちに指令電流Irefの飽和が解消され、過剰な積分値Sが発生しなくなるため、車両の挙動が安定し、蛇行の防止に効果がある。
【0061】
次に、効果を説明する。
【0062】
実施の形態2のレーンキープアシスト制御装置にあっては、指令電流制限部15iからの指令電流Irefが図10に示すような指令電流制限値Ilmt+,Ilmt-と等しくなる飽和状態であると判断され、且つ、時間と共に指令電流制限値Ilmt+,Ilmt-が減少していく場合、|(Iref−Ip)/Ki|の式により積分リミット値Srを算出し、求めた積分リミット値Srで積分値Sをリセットする積分リミット値算出部15kを設けたため、電流制限値Ilmt+,Ilmt-や比例FB電流Ipの回復後は直ちに指令電流Irefの飽和が解消されると共に、積分値Sの蓄積による過剰な操舵トルクの発生を抑えることにより、指令電流飽和回復後の車両挙動を安定させ、直進性の向上を図ることができる。
【0063】
(実施の形態3)
この実施の形態3の制御系には、実施形態1の積分演算停止判断部15jと実施の形態2の積分リミット値算出部15kとを共に備え、且つ、図8に示すように、車両横位置yと道路曲率に基づく旋回半径Rの相対関係が、車両がレーン中央から離れてゆく関係の時には積分演算停止判断部15jによる積分値Sの保持を選択し、また、車両横位置yと道路曲率に基づく旋回半径Rの相対関係が、車両がレーン中央に寄ってゆく関係の時には積分リミット値算出部15kによる積分値Sのリセットを選択し、車両横位置yがレーン中央にある時には旋回半径Rの方向及び大きさにかかわらず積分クリア(0リセット)を選択するというように、積分値Sの蓄積を抑える処理が切り換えられる図外の積分値抑制切換部(積分値抑制切換手段)を設けた例である。
【0064】
次に、作用を説明する。
【0065】
積分値抑制切換部で選択される積分値Sの保持は、積分FB電流Iiが過大になる傾向があり、また、積分値抑制切換部で選択される積分値Sのリセットは、積分値Sの減少により積分FB電流Iiが不足する傾向がある。
【0066】
そこで、例えば、右カーブを走行中に車両が道路右側に寄っている場合、車両が直進しても、次第にレーン中央に近づいていくため、積分値Sのリセットを行うことにより、安定した車両挙動が確保される。なお、左カーブを走行中に車両が道路左側に寄っている場合も同様である。
【0067】
また、例えば、右カーブを走行中に車両が道路左側に寄っている場合、車両が直進した場合には、次第にレーン中央から離れてゆくため、積分値Sの保持を行うことにより、レーン追従性が確保される。なお、左カーブを走行中に車両が道路右側に寄っている場合も同様である。
【0068】
このように、車両横位置yと旋回半径R(または道路曲率)の相対関係によって、車両がレーン中央から離れてゆく関係の時には積分値Sの保持を選択し、車両がレーン中央に寄ってゆく関係の時には積分値Sのリセットを選択することで、指令電流Irefの飽和が解消した後の積分FB電流Iiを適切な値にすることができる。
【0069】
次に、効果を説明する。
【0070】
実施の形態3のレーンキープアシスト制御装置にあっては、車両横位置yと旋回半径Rの相対関係が、車両がレーン中央から離れてゆく関係の時には積分演算停止判断部15jによる積分値Sの保持を選択し、また、車両横位置yと旋回半径Rの相対関係が、車両がレーン中央に寄ってゆく関係の時には積分リミット値算出部15kによる積分値Sのリセットを選択するというように、積分値Sの蓄積を抑える処理を切り換える積分値抑制切換部を設けたため、様々な旋回走行状況に対応し、安定した車両挙動とレーン追従性を常に両立させることができる。
【0071】
(他の実施の形態)
本発明を実施の形態1,2,3により説明してきたが、具体的な構成については、この実施の形態1,2,3に限定されるものではない。
【0072】
例えば、実施の形態1,2,3では、図10に示す電流制限マップを用いてドライバーの任意な操舵介入を可能にする出力電流制限を行う例を示したが、指令電流制限値(上限値及び下限値)を一定値により設定したものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のレーンキープアシスト制御装置が適用された自動車用ステアリング系を示す全体システム図である。
【図2】実施の形態1のレーンキープアシスト制御装置における制御系を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1におけるレーンキープコントロールユニットで行われるアクチュエータ駆動電流算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1における積分演算停止判断の説明図である。
【図5】車両横変位が生じた場合、積分停止判断を行わない従来の電流特性と、積分停止判断を行う実施の形態1における電流特性を示す比較特性図である。
【図6】実施の形態2のレーンキープアシスト制御装置における制御系を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2におけるレーンキープコントロールユニットで行われるアクチュエータ駆動電流算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施の形態3での積分値抑制切換部で電流飽和時に車両横位置と旋回半径の相対関係に基づく積分保持,積分リセット,積分クリアの選択マップを示す図である。
【図9】従来のレーンキープアシスト制御装置における制御系を示すブロック図である。
【図10】レーンキープアシスト時の電流制限マップを示す図である。
【図11】スラローム走行時の車両旋回加速度−操舵トルク特性図である。
【図12】電流制限値が一定値の場合の操舵介入トルク特性図である。
【図13】本システムの電流制限時の操舵介入トルク特性図である。
【符号の説明】
1 ステアリングコラム
2 コラムシャフト
3 ステアリングホイール
4,5 左右の車輪
6 油圧パワーステアリング機構
7 アシストアクチュエータ(操舵アクチュエータ)
8 モーター
9 電磁クラッチ
10 駆動歯車
11 被駆動歯車
13 操舵角センサー
14 エンコーダー
15 レーンキープコントロールユニット
16 カメラ&画像処理装置

Claims (3)

  1. 白線情報を用いて検出または推定された道路曲率に応じた車両の目標横位置を算出する目標軌道算出手段と、
    白線情報を用いて検出または推定された車両の横位置,横速度,ヨーレート,レーンに対するヨー角,操舵角,操舵角速度等を要素とするベクトルに比例フィードバックゲインを乗じた比例フィードバック電流を演算する比例フィードバック部と、
    検出された車両横変位と目標軌道算出手段からの目標横変位との目標偏差の積分値に所定の積分フィードバックゲインを乗じた積分フィードバック電流を演算する積分フィードバック部と、
    前記比例フィードバック電流と積分フィードバック電流を加算する電流加算手段と、
    ドライバーの任意な操舵介入を可能にする予め設定された指令電流制限値、もしくは、ドライバーの任意な操舵介入を可能にする旋回加速度等に応じて算出された指令電流制限値により前記電流加算値の出力電流制限を行うことにより操舵アクチュエータへの指令電流を得る指令電流制限手段と、
    を備えたレーンキープアシスト制御装置において、
    前記指令電流制限手段からの指令電流が指令電流制限値と等しくなる飽和状態である場合、積分フィードバック部にて指令電流を減少させる方向への積分演算のみを行い、指令電流を増加させるような積分演算を行わずにその時の積分値を保持する積分演算停止判断手段を設けたことを特徴とするレーンキープアシスト制御装置。
  2. 白線情報を用いて検出または推定された道路曲率に応じた車両の目標横位置を算出する目標軌道算出手段と、
    白線情報を用いて検出または推定された車両の横位置,横速度,ヨーレート,レーンに対するヨー角,操舵角,操舵角速度等を要素とするベクトルに比例フィードバックゲインを乗じた比例フィードバック電流を演算する比例フィードバック部と、
    検出された車両横変位と目標軌道算出手段からの目標横変位との目標偏差の積分値に所定の積分フィードバックゲインを乗じた積分フィードバック電流を演算する積分フィードバック部と、
    前記比例フィードバック電流と積分フィードバック電流を加算する電流加算手段と、
    ドライバーの任意な操舵介入を可能にする予め設定された指令電流制限値、もしくは、ドライバーの任意な操舵介入を可能にする旋回加速度等に応じて算出された指令電流制限値により前記電流加算値の出力電流制限を行うことにより操舵アクチュエータへの指令電流を得る指令電流制限手段と、
    を備えたレーンキープアシスト制御装置において、
    前記指令電流制限手段からの指令電流が指令電流制限値と等しくなる飽和状態であると判断され、且つ、時間と共に指令電流制限値が減少してゆく場合、指令電流と比例フィードバック電流との差に応じた積分リミット値を算出し、積分フィードバック部の積分値をリセットする積分リミット値算出手段を設けたことを特徴とするレーンキープアシスト制御装置。
  3. 白線情報を用いて検出または推定された道路曲率に応じた車両の目標横位置を算出する目標軌道算出手段と、
    白線情報を用いて検出または推定された車両の横位置,横速度,ヨーレート,レーンに対するヨー角,操舵角,操舵角速度等を要素とするベクトルに比例フィードバックゲインを乗じた比例フィードバック電流を演算する比例フィードバック部と、
    検出された車両横変位と目標軌道算出手段からの目標横変位との目標偏差の積分値に所定の積分フィードバックゲインを乗じた積分フィードバック電流を演算する積分フィードバック部と、
    前記比例フィードバック電流と積分フィードバック電流を加算する電流加算手段と、
    ドライバーの任意な操舵介入を可能にする予め設定された指令電流制限値、もしくは、ドライバーの任意な操舵介入を可能にする旋回加速度等に応じて算出された指令電流制限値により前記電流加算値の出力電流制限を行うことにより操舵アクチュエータへの指令電流を得る指令電流制限手段と、
    を備えたレーンキープアシスト制御装置において、
    前記積分フィードバック部にて指令電流を減少させる方向への積分演算のみを行い、指令電流を増加させるような積分演算を行わずにその時の積分値を保持する積分演算停止判断手段と、指令電流と比例フィードバック電流との差に応じた積分リミット値を算出し、積分フィードバック部の積分値をリセットする積分リミット値算出手段を共に設け、
    指令電流制限手段からの指令電流が指令電流制限値と等しくなる飽和状態である場合、白線情報により検出または推定される車両横位置と道路曲率の相対関係が、車両がレーン中央から離れてゆく関係の時には前記積分値の保持を選択し、車両がレーン中央に寄ってゆく関係の時には前記積分値のリセットを選択するというように、積分値の蓄積を抑える処理を切り換える積分値抑制切換手段を設けたことを特徴とするレーンキープアシスト制御装置。
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