JP3631318B2 - 液晶表示装置及び頭部搭載型映像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示面の法線に対して大きな仰角から観察しても視認性が優れている液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、映像表示装置の表示素子として、低消費電力を特徴とする液晶パネルと、同じく消費電力を極力抑えるため照明効率の高い光源として、背面照射型の平行光に近い射出光分布を有する指向性に優れたバックライトとを設けて構成した液晶表示装置が使用されている。このような構成の液晶表示装置は視野角依存性を持つ。すなわち、観察する抑角によって画面の視認性が異なり、特定の角度範囲内でしか表示が見えない。これは、液晶分子の配向に対する光線の入射角によって液晶パネルの透過性が変化し、ある方向では透過率は極端に悪くなるためである。また、液晶表示装置を指向性バックライトで照明すると液晶パネルに入射する光は、バックライトの射出光分布により略直進するため、表示面を斜め方向から観察した場合、その方向に射出される光量は比較的少ない。このため視野角依存性のある液晶表示装置は斜めから観察した場合のコントラストが低下する。あるいは周辺部のコントラストが局所的に悪くなり視認性が悪化するという不具合がある。
【0003】
通常の液晶パネルでは、視認可能な視野角の範囲は法線方向からほぼ±10゜程度であり(図30(c)参照)、これ以上の仰角領域で観察した場合、表示濃度の反転が起こったり、色調が変化してしまう。この不具合を解決する方法して以下のような技術が開示されている。
液晶パネルの観察者側に、像の開口数NAを大きくする部材(以下、開口数増加部材と呼ぶことにする)を設けて視野角依存性を減ずる。すなわち、像のコントラスト、光利用効率を上げるため、照明光源からの光束を略平行光束としてから液晶層に垂直入射させ、液晶層を直進してきた光を液晶パネルの射出側に設けた像の開口数を大きくする部材により、散乱させたり、屈折させたり、回折させたりして観察者の眼球に導くのである。ここで、開口数増加部材は、具体的には光の散乱作用を用いるものに拡散板、光の屈折作用を用いるものにマイクロレンズ、光の回折作用を用いるものに回折格子といったものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような開口数増加部材を用いた従来例には以下のような課題がある。
まず、拡散板を用いた例では、板の表面や内部にある凸凹により光を拡散させるため、凸凹の中で観察者の眼球に入りやすい方向に光を散乱する部分と入りにくい方向に散乱する部分とが存在し、その結果眼球に入りやすい方向に光を散乱する部分は明るく見え、そうでない部分は暗く見える。つまり、微小な観点からは観察者側に散乱される光は一様ではなく、像に濃淡が生じてしまう。これは、拡散板が微粒子を内包したものやガラス板などの表面を化学的、物理的に粗面化したものであり、略拡散面ではあるが製作上どうしても完全拡散面を得ることは困難なためである。
【0005】
また、マイクロレンズを用いた例では、図30(a)に示すように、個々のレンズ302の焦点距離位置に画素301が位置しているような配置にすると、像の明るさの分布が均一化する方向に改善できても視野角、すなわち表示面に対して最大どのくらいまで斜めから観察してもコントラストを保ち視認が可能かという点についての改善はそれほどの効果はない。それぞれの実際的な数値を用いて視野角の拡大効果であるθの値を求めると、LCDの画素開口が30μmで、マイクロレンズ302の焦点距離を1mmとした場合、図中のθは1.7゜となるので、効果が低いことがわかる。また、図30(b)に示すように、マイクロレンズ302の焦点距離より離れた位置に画素301が位置するような配置にした場合、視野角拡大の効果はある。実際的な数値を用いて視野角の拡大効果を求めてみると、LCDの画素開口が30μmで、マイクロレンズ302の焦点距離を1mm、画素301とレンズ302との距離を5mmとした場合、α=0.286゜、β=1.432゜と視野角が拡大するが、スペースを要する割に拡大効果は小さい。
【0006】
また、回折格子を用いた例では、回折作用に特有な波長依存性が伴い像に色むらが出てしまう。および回折の条件に見合う各回折次数の方向以外では像は見えない。
また、上記の略平行光にした後、液晶パネルの射出側で光を曲げ開口数を上げるという技術の他に、液晶パネルの像をレンズを用いて一回中継し、その像近傍に上記に挙げたような開口数増加部材を設置して開口数を上げ、その結果視野角を広げるという技術が開示されている。
【0007】
この技術は、レンズを用いて液晶パネルの像を中継させない場合に、液晶パネルの構造上必ず生じる以下の不具合を改善している。
液晶パネルは、図31に示すように、偏光板311、ガラス板312、透明電極板313、液晶層314、透明電極板315、カラーフィルタ316、ガラス板317、偏光板318が重ね合わされた構造を持っている。さらにトランジスタを有した電極板により、液晶層314が液晶セルという各画素単位に分離されている。このとき像となる部分は各液晶セルに当たるが、液晶セルの射出側には、有限の厚みを持ったガラス板317があるため、このガラス板317のさらに射出側で光を曲げて開口数を上げる部材を設置すると、隣接した液晶セルから発せられる光束が同時に観察者の眼球に入ってしまい、像がぼやけてしまうことになる。これを改善するためレンズを用いて像を1回中継させ、その中継された像の位置に光を曲げて開口数を上げる部材を設置することによってボケのない視野角が広がった像を作ることができる。
【0008】
しかしながら、この技術では、像を1回中継させるため、中継させるレンズと中継に要するスペースが必要なため、液晶表示装置の特長の1つであるスペースをとらないフラット構造にできるという利点を減殺してしまうことになる。
本発明は、上述の従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、表示コントラストを低下させることなく、視野角の大きい液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、略平行な光束を発生する照明手段と、その照明手段から光束を入射され映像を表示する液晶表示素子と、その液晶表示素子から出射される映像光束の光路上の、前記液晶表示素子の近傍に配置され、前記映像光束を拡散するための開口数増加部材とを備え、前記開口数増加部材は、光ファイバを長さ方向に対して垂直な方向に束ねてプレート状にしたもので、各々の光ファイバの内部の反射境界面が凸凹形状であることを特徴とする液晶表示装置である。
【0010】
また、本発明は、略平行な光束を発生する照明手段と、その照明手段から光束を入射され映像を表示する液晶表示素子とを備え、さらにその液晶表示素子から出射される映像光束の光路上の、前記液晶表示素子の近傍に配置され、前記映像光束を拡散するための 、拡散板、回折格子、プリズムアレイの中から選ばれる開口数増加面を少なくとも2つ以上備えていることを特徴とする液晶表示装置である。
【0011】
また、本発明は、前記いずれかの前記液晶表示装置と、その液晶表示装置に表示された映像を観察者の眼球に投影する接眼光学系と、前記液晶表示装置及び前記接眼光学系を観察者の眼球直前に位置させる頭部装着手段とを備えたことを特徴とする頭部搭載型映像表示装置である。
本発明あるいはその実施の形態によれば、略平行光を液晶表示素子に入射させ液晶表示素子を通過した後で開口数を大きくさせることにより、照明効率を下げることなく、コントラストを保持したまま視野可能な範囲を広げることができる。
【0012】
又、開口数増加部材として散乱型液晶デバイスを用いているので、動的散乱状態が電圧を印加することによって得られるため、透過状態と散乱状態を電気的に制御できる。これにより、トレードオフの関係にある視野角と解像度において解像度を優先させたいときは透過状態とし、視野角を広くさせたいときは散乱状態にすることによって所望の映像が得られる。また、電圧信号を与える透明電極をマトリクス化することによって散乱度すなわち開口数に階調を持たせることができる。
【0013】
また、上記において、開口数増加部材をプリズムアレイで構成すれば、素子の制作面から回折格子などよりもコストを抑えて視野角を上げる効果を得ることができる。また、製作するプリズムの頂角の大小に応じて視野角の拡大具合をかえることができる。
あるいはまた、開口数増加部材を液晶表示素子から射出した各画素ごとの光束を液晶表示素子側に発散反射させる反射面とその発散反射された光束を映像表示方向に反射する反射面とを、各々所定距離ずらして対向した状態で液晶表示素子の画素ピッチに対応して複数配置する構成とするば、発散反射させる反射面に曲率を持たしたり、発散反射面と平面反射面との間隔を変えることによって開口数の増加具合を所望のものとすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明にかかる第1の実施の形態の液晶表示装置の略示構成図である。
【0015】
本実施の形態の液晶表示装置は、液晶表示素子としての液晶パネル3と、点光源1と、その点光源1から射出した光束を略平行光にして液晶パネル3に垂直入射せしめるコリメータレンズ2と、液晶パネル3の射出側近傍に密着させて配置した開口数増加部材4により構成される。ここで略平行光という表現を用いてるが、 以下の実施の形態において照明系は低開口数(NA)でも可とする。
【0016】
液晶表示素子は中央部に液晶層を、画素電極となる透明電極をマトリクス状に具備した基板で上下から挟持し、電極の外側に偏光板を上下に設けて積層構造に構成したものである。TN液晶の場合、偏光板は上下で90゜ずれた関係にすれば印加電圧によりコントラストを生むことができる。液晶層の表示側には多数の画素ピッチが不透明なマスクを介して形成されている。この不透明なマスク部分には上記電極やリード線などが介装されるとともに、隣接する各画素に影響が及ばないような絶縁間隔が保たれるように形成されている。さらに表示側には規則性を持って開口部が配列したカラーフィルターを設けてカラー画像を表示し得るようにすることができる。
【0017】
本実施の形態では、開口数増加部材4として散乱性液晶デバイスを用いた例を示す。図2(a)は、散乱性液晶デバイス20における透過状態を示し、図2(b)は、散乱状態を示す。散乱性液晶デバイス20のDS(Dynamic Scattaring)モード(光を散乱させるメカニズム)を説明する。p型のSmA液晶にイオン性ドーバンドを添加することによって、この液晶に電圧21を印加すると液晶の導電率の異方性のために、水平方向の歪んだ部分に空間電荷が発生し、その電荷により電気的なトルクが生じ、液晶の渦22が発生する。この渦22により、歪みがさらに増幅され、渦22の数及びその強度が増す。液晶は複屈折を有しているためこの渦が光を散乱する中心となる。図2(b)に示すように、液晶表示素子から略平行で射出してくる光束23は散乱性液晶20の散乱状態により散乱されて液晶表示素子の像の開口数が増加する。図2(c)は、散乱性液晶デバイス20における印加電圧と散乱状態の関係を示す特性曲線である。ここで電圧21を加える透明電極をマトリクス状に配すれば散乱状態と透過状態を同時につくることができ、トータルの開口数の増加量に変化を持たせることができる。
【0018】
通常、開口数を大きくする際、開口数を上げようとすると明るさは暗くなるが、本実施の形態のメリットは、印加電圧の増減によって、開口数が可変出来る点にある。よって、使用状況によって、必要とされる明るさの中で所望の開口数に近づけることが出来る。
(実施の形態2)
図3は、本発明にかかる第2の実施の形態の液晶表示装置の略示構成図である。
【0019】
本実施の形態では、開口数増加部材としてプリズムアレイ31を用いている。このプリズムアレイ31は、図4(b)に示すように小さな長細いプリズムを並べたものでも良いし、図4(a)に示すようにピラミッド状のものが平面状に並んだものでも良い。図5は、このプリズムアレイ31に光束が入射し、それが広がる様子を示している。液晶素子から出て略平行に入射してきた光32はプリズム面31aにおいて屈折し射出していく。結果として各々の面によって屈折し平行光は2方向に射出する。ここで光線の曲げ角θ’は光線の入射角に依存し、プリズム頂角Θを小さくするほど光線の曲げ角θ’は大きくなる。光線の曲げ角θ’、 プリズム頂角Θ、部材の屈折率n、部材への光線の入射角θとの関係式は、(数1)で示される。
【0020】
【数1】
θ’=Θ−Cos−1[nCos[(Θ/2)−Sin−1[(1/n)Sinθ]]]
例えば、部材が屈折率1.5のガラスでΘが140゜のとき、垂直入射した光束は21.73゜の開きを持って射出する。また、これは図6に示すように上下逆でも同じ効果が得られる。
【0021】
図7に色々な部材形状のバリエーションを示す。これらの形状では頂部あるいは底部を平面にカットしているため屈折せずに透過する光束があるので、結果的にこの部材を通過した後で光束は3方向に広がることになる。
(実施の形態3)
図8は、本発明にかかる第3の実施の形態の液晶表示装置の略示断面図である。
【0022】
本実施の形態では、開口数増加部材として液晶表示素子から射出した各画素83ごとの光束を液晶表示素子側に発散反射させる反射面としてのハーフミラー82と、その反射面で発散反射された光束を観察者の方向へ反射する反射面(ここでは平面)としてのミラー81を備えた構成を用いる。図8において、発散反射面82は曲率を持っており、この曲率を持つ反射面82とその反射面82からの光束を再び反射する平面反射面81は、画素ピッチで交互にずれて対向して並んでおり、光量損失の少ない透明な材料にて狭持されている。あるいは液晶パネルのガラス基板の上下に画素ピッチで反射コートを施し同じ構造を実現しても良い。この構造を持つものによって光束が広がり結果的にNA(開口数)がアップする様子を説明する。
【0023】
図8に示すように今、曲率を持つ発散反射面82は透過率を有する(ハーフミラー)例として説明する。各画素83から発せられた光束のうち、画素中央から射出した光束はハーフミラー82を透過しそのまま直進するが、画素83の中央以外の部分から発せられた光束はハーフミラー82により、一部は透過直進し、一部は反射し下部の平面反射面81に向かい、その平面反射面81で反射した後、ある角度を持って射出していく。このとき図中の各パラメータ:ハーフミラー82の焦点距離f、この部材の厚みt、画素83の開口のサイズX、画素ピッチp、 光線の射出角θ、ハーフミラー82の有効径D、画素83における中央からの変位xを関係づける式は、(数2)、(数3)のようになる。
【0024】
【数2】
θ=Tan−1(x/f)
【0025】
【数3】
p−D/2−X/2≧3tTanθ
ここで、(数2)は、光線がどのくらいの角度を持って射出していくかを表した式であり、(数3)は、光線が平面反射面81で反射した後、再び隣のハーフミラー82に入射してしまわない条件式である。視野角を拡大する上で(数3)を満たすことは好ましい。
【0026】
図9にその他のバリエーションを示す。図9(a)は、図8におけるハーフミラー82をミラー91にした例であり、図9(b)は、ハーフミラー92に曲率を持たせない例である。これも図9(c)に示すようにミラー93にしてもかまわない。また、ハーフミラーに曲率を持たせる場合において、図では凸面を例示したが、凹面でも良い。いずれにおいてもこの部材を通過することによって略平行光束はある広がりを持って射出していくことになるので結果的に開口数が増加する。
(実施の形態4)
図10は、本発明にかかる第4の実施の形態の液晶表示装置に用いる光ファイバープレートの2つの例を示す斜視図である。本実施の形態では、開口数増加部材に光ファイバ101(又は102)を短く切ったものを長さ方向に対して垂直な方向に束ねてプレート状にしたものを使用する。ここで図11(b)に示すように、光ファイバの構造中のコア111とクラッド112の境界部分は微小な凸凹113になっている(通常の光ファイバの境界部分は図11(a)のようにフラットである)。1つ1つの光ファイバは断面が円形(図10(a)参照)でも良いし、角形(図10(b)参照)でも良い。円形の場合、光ファイバを作成する上で安価であり、低価格化する場合好ましい。一方角形の場合、各画素が角形なので、効率的に射出光を集めるのに適している。
【0027】
この部材を通過した後でLCD像の開口数が大きくなる様子を1つの光ファイバを取り上げ、図11(b)に示す。光ファイバの長さは短いので反射回数は少ない。よって光量損失も小さい。反射する際に境界表面の凸凹113により光束は広がりθを持ち、結果的に光ファイバ射出端では開口数が増加する。このとき、凸凹113は入射角と射出角関係が崩れてしまわない程度の凸凹にするのが望ましい。
(実施の形態5)
第5の実施の形態として、上記第4の実施の形態で説明した光ファイバを束ねてプレート状にした開口数増加部材において、コア111とクラッド112の境界面の凸凹が波長オーダーで規則的であるものを図12に示す。すなわち境界面が回折面121になっている。各ファイバに入射した光束は反射しながら伝搬していくが、反射する際に回折し、その回折角だけ広がりを持った光線束となる。反射を複数回繰り返すとその都度に回折し、その結果、ファイバ射出端では広がり開口数が増加している。
【0028】
開口数を大きくするものとして回折格子を用いる場合、回折による色ズレの問題がある。本実施の形態の素子も回折面による色ズレは発生するが、反射の度に回折が起こるので、射出端においては光束は、各色ごとに様々な射出角をもって射出する状態になるので、色はほとんど目立たなくなる。
(実施の形態6)
第6の実施の形態として、開口数増加部材に図13に示すような、凸凹132を有する回折格子131を使った例を示す。回折格子131の規則性による回折作用と凸凹132の不規則性により生じる拡散作用を同時に一枚の部材で発生させ光束を分散させる。製作は回折格子131に砂目を入れるか、化学的に表面を荒れさせるか、拡散板にエッチングである程度の規則性を持たせるかすればよい。
どちらの作用を重視するかによって製作法が異なる。このタイプの素子の利点は、拡散板では出来ない光束の広がりにおけるある程度の制御である。格子ピッチによってどの方向に強く光を導くかが制御できる。また、回折格子よりその方向において光が広がりを持ち色収差もぼやけさせる効果を持つ。
【0029】
一例として、格子のピッチを3ミクロンとした場合、波長0.5ナノメートルにおいて、1次回折角は約10゜であるが、表面の荒れ具合として、板に垂直な方向の光強度に対して50%の光強度の時の表面の荒れによる拡散角が5゜になるような凸凹を表面に持たせば、約±15゜の範囲で一様な射出光分布が得られる。
(実施の形態7)
第7の実施の形態として、開口数を大きくする面を複数組み合わせることによって視野角依存性を減ずることができる例を示す。図14は、回折格子141と拡散板142を組み合わせた本実施の形態の例を示す図である。図14の回折格子141は0次光と1次光を射出するようにしている。図はわかりやすくするため回折格子141と拡散板142との間隔を離して描いているが、実際は接して配置した方がスペースをとらないし、けられがなくなる。また、重要な点としてぼけ量が少なくなる。単一素子の表面と裏面をそれぞれ回折格子面と拡散面としても良い。この構成だと素子は単板でよい。LCD143を通過してきた略平行光は、LCD143直後に配置された回折格子141により回折条件を満たす角度の方向に回折し、それぞれの光束はその回折格子141の直後に配置された拡散板142によって拡散される。
【0030】
ここでLCD143に対する回折格子141と拡散板142の配置の順序による効果の違いについて説明する。拡散板142によって広がった光束が眼球151の網膜上に結像する様子を図15(a)に示し、回折格子141によって広がった光束が眼球の網膜上に結像する様子を図16(a)に示す。拡散板142は、図15(b)に示すように光源145の像を多数作り、広がりを持った面光源にする作用を持つのに対して、回折格子141は、図16(b)に示すように、±1次光まで考えると光源のコピーを2つ作る作用を持つ。これらの素子を組み合わせると素子の順序によって違いがでてくる。
【0031】
図17及び図18は、回折格子141をLCD143側に、拡散板142を眼球側に配置した例である。回折格子141と拡散板142との間隔によって、どのように見え方が異なるかが、図17(b)(間隔小)、図18(b)(間隔大)に示してある。画素の回折による像の間隔は素子間の間隔によって変わらず、各回折像拡散によるぼけが素子間の間隔に比例して広がる。すなわち素子間の間隔が大きいと暗くなるというふうに拡散板142の特性がでやすい。
【0032】
一方、図19及び図20は、回折格子141を眼球側に、拡散板142をLCD143側に配置した例である。拡散板142と回折格子141の間隔によって、どのように見え方が異なるかが、図19(b)(間隔小)、図20(b)(間隔大)に示してある。拡散板142によって広がった画素が回折格子141によって0次、1次、−1次の方向に分散する。よって拡散板142によって広がる広がり量は、素子間の間隔によらず一定であり、回折による広がりが素子間の間隔に比例する。従って、この配置では、回折格子141の特性がでやすく色が付きやすい。あまり間隔が広いと、眼球の位置によっては色づいて見えてしまう。
【0033】
いずれの配置においても、LCD143側に配置する素子がLCD143の画素から離れていると、クロストークといった隣の画素までぼけるといった現象が起きてしまうので、出来るだけ近づけることが重要である。また、素子間の間隔は、図21に示すように、2重像や多重像の原因になってしまうのでやはり近づけることが重要である。そういった意味では単板上両面が回折面、拡散面になっている構成がよい。図中では0次、±1次までだと網膜上ではA1〜C1の像とA2〜C2の像とA3〜C3の像が同時に見えてしまい3重像になる様子が示されている。
【0034】
また、回折格子は、拡散板の拡散角との兼ね合いを考慮し、適当なピッチ、断面形状および溝深さを選ぶことによって回折角、回折効率を所望のものにできる。
一例としてLCDの有効視野角が±10゜の時、回折角が±10゜以上となるようなピッチにすれば視野角が改善する。例えば、回折格子のピッチを2μmとすれば、0次光と1次光を用いれば回折角は±15゜となる。組み合わせる拡散板の拡散角を5゜にした場合、結果的に視野角は±30゜に改善する。これら2種の部材により視野角を拡大する際、ボケによる画像劣化を防ぐため、なるべく各部材と液晶パネルとは近づけて配置するのが望ましい。今、LCDの画素ピッチをPとすると、許容できるボケ量はPである。回折格子の回折面による0次回折光に対する1次回折光の回折角をθ1 とし、拡散板において拡散面に垂直な方向の透過光の強度に対しその50%の強度となる拡散角をθ2 とし、LCDから回折格子までの距離をL1、回折格子から拡散板までの距離をL2とすると、ボケ量の許容できる関係式は、
【0035】
【数4】
P>L1Tanθ1+L2Tanθ2
というふうに表現できるので、この関係式を満たすように各パラメータをコントロールする。以上回折する面と拡散する面を回折格子と拡散板といった素子として説明してきたが、単板上の両側に各作用を持った面を施しても良い。
【0036】
この互いに光束を広げる作用の異なる面を組み合わせる意味は、回折格子面のみだと回折作用に特有な色がでてしまう不具合と回折条件を満足する方向以外の角度では像が暗いという2つの不具合を拡散面の拡散作用で減じ、かつ拡散面のみでは濃淡が出てしまう不具合も回折作用によって弱めるという、単体ではなし得ない組み合せによる効果である。これによって視野角の広がりと角度依存性の両方が改善できる。
【0037】
次に開口数増加面として、プリズムアレイと拡散面を組み合わせた例を図22に示す。
この組み合せも前述と同様に光の広げ具合いが異なるものの組み合せによる相乗効果をねらったものである。この場合もわかりやすくするため、図では、面をプリズムアレイ221と拡散板142として別々の部材で構成されているとし、両者の間隔を故意に離して描いている。LCD143を通過した略平行光はプリズムアレイ221に入射し、光束は入射する面によって3方向に屈折、分離する。
その後それぞれの光束は拡散板142に入射しそれぞれが拡散作用を受ける。その結果視野角が広がり、角度依存性が減少する。プリズムアレイ221と拡散板142の位置の順序はどちらでも同じ効果が見込める。
【0038】
次に、開口数増加面として、プリズムアレイと回折格子面を組み合わせた例を図23に示す。
図では、わかりやすくするため、面をプリズムアレイ221と回折格子141とで構成したとし、これら素子の間隔を離して描いているが、実際は接して配置した方がスペースをとらないし、けられがなくなる。また、重要な点としてぼけや多重像が少なくなる。単一板両面に各作用面を施しても同様な効果を出せる。LCD143を通過した略平行な光束はプリズムアレイ221を通過し、プリズムアレイ221の面の頂角に基づく角度を以て射出する。図のプリズムアレイ221の形状では光束は3方向に分離する。その後回折格子141に入射した光は回折条件に基づく方向にそれぞれの光束が回折する。その結果視野角が広がり、角度依存性が減少する。プリズムアレイ221と回折格子141の位置の順序はどちらでも同じ効果が見込める。このように2つの素子(面)の組み合せによる効果は波長依存性を改善できる点にある。プリズムアレイ221は光の屈折作用によって光を曲げており、一方回折格子141は回折作用によって光を分離しているため、双方で分散の方向は逆である。よって、単独で用いた場合よりも色の出方は弱まる。
【0039】
次に、開口数増加面として、プリズムアレイと回折格子面と拡散面の3種の面を組み合わせた例を図24に示す。
このように、光の広げ具合いが異なる3種類の面を組み合わせることによって、上記に示してきた2種類の面の場合の効果がより高まる。このときも3種類の素子(面)はできるだけ近づけて配置するのが、ぼけを小さくする上で望ましい。又、図では、LCD143から見てプリズムアレイ221、回折格子141、拡散板142の順序で配置しているが、配置する順序をどのように代えても同様の効果が期待できる。
【0040】
図25は、開口数増加面として、拡散作用が異なる2種類の拡散面を組み合わせた例を示す図である。
図では、わかりやすくするため2枚の拡散板142a,142bとし、拡散板間の間隔を離して描いている。しかし実際は接して配置した方がスペースをとらないし、けられがなくなる。また、重要な点としてぼけ量が少なくなる。また、単板の両側が拡散面となっている構成もスペースをなくし、シンプルな構成にする上で望ましい。表面凸凹構造が粗い拡散板142aは視野角拡大作用が大きいが角度依存性は大きい。一方表面凸凹構造が細かい拡散板142bは視野角拡大作用は小さいが角度依存性は小さい。それぞれの光の広がり具合いを図26(a)、及び(b)に示す。すなわち2枚(2面)を組み合わせることによって、より大きな視野角を持ちさらに角度依存性の小さいつまり濃淡の少ない液晶表示装置が得られる。
【0041】
次に、開口数増加面として、複数の拡散面が層状になった構造の素子を用いた例を図27に示す。複数の拡散板(拡散面)を1枚の素子に集約した形である。図中の(い)、(ろ)、(は)の部分は(い)から徐々に屈折率が小さくなるような材質の方が全反射が起こりにくくなり、光量効率的に望ましい。凸凹の粗細、層の厚み、層数によって広がり角が制御できる。
(実施の形態8)
第8の実施の形態では、液晶表示素子の映像を表示する光路上で、その液晶表示素子の近傍に配置されたマイクロレンズアレイにより形成された表示素子と共役な面近傍に、上記実施の形態で説明したそれぞれの開口数増加部材(あるいは開口数増加面)を配置して視野角拡大、角度依存性を減少させる例を示す。図28は、開口数増加部材として散乱性液晶を用いた例を示している。ここでマイクロレンズアレイ282は、レンズピッチが液晶表示素子3の画素ピッチに一致したもので、かつ画素電極に整合しており、共役像は正立像となる。レンズの焦点距離や開口数を適当な値にすることで、スペースをあまりとらず共役像の部材を配することが出来る。像を中継させている効果として、1回レンズにより像を中継させ、その中継された共役像位置ジャストに開口数増加部材(開口数増加面)として散乱性液晶デバイス281を配することが出来ることである。これによりぼけることなく視野角依存性を向上できる。
【0042】
ここでは、開口数増加部材(開口数増加面)として散乱性液晶デバイス281を例に説明したが、前述した例えば、プリズムアレイ、光ファイバプレート等、他の開口数増加部材(面)でも同様な効果が見込める。
(実施の形態10)
上記実施の形態の種々の視野角の大きい液晶表示装置を頭部装置型の映像表示装置の映像表示素子として用いた例を図29(a)に示す。すなわち、この映像表示装置の装着フレーム293前面に取り付けられる左及び右目用表示部291,292として本発明の液晶表示装置を用いる。頭部装着型の映像表示装置の使用例としてヴァーチャルリアリティといった分野があるが、そこでは臨場感の向上に画角が広いことは欠かせない。そして、画角が広いほど映像表示素子の視野角が広いことが求められる(図29(b)参照)。頭部装着型の映像表示装置の接眼光学系295の最終面と観察者の瞳孔との距離を一定にとった場合、映像を良好な状態で見るのに必要な素子294の視野角と映像の画角とは、およそ比例する関係にある。例えば、画角30゜の時、必要な視野角は±8゜であるが、画角60゜の時必要な視野角は±16゜である。このように広画角な頭部装着型の映像表示装置では、表示素子として視野角の広いことが望ましい。
【0043】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本明細書中には以下の発明が含まれる。
すなわち、(1)略平行な光束を発生する照明手段と、その照明手段から光束を入射され映像を表示する液晶表示素子と、その液晶表示素子から出射される映像光束の光路上の、前記液晶表示素子の近傍に配置され、前記映像光束を拡散するための開口数増加部材とを備え、前記開口数増加部材は散乱型液晶表示デバイスであることを特徴とする液晶表示装置である。このように、略平行光を液晶表示素子に入射させ液晶表示素子を通過した後で開口数を大きくさせることにより、照明効率を下げることなく、コントラストを保持したまま視野可能な範囲を広げることができる。また、このとき開口数を大きくする部材として散乱型液晶デバイスを用いることによって、動的散乱状態が電圧を印加することによって得られるため、透過状態と散乱状態を電気的に制御できる。これにより、トレードオフの関係にある視野角と解像度において解像度を優先させたいときは透過状態とし、視野角を広くさせたいときは散乱状態にすることによって所望の映像が得られる。
【0044】
また、電圧信号を与える透明電極をマトリクス化することによって散乱度すなわち開口数に階調を持たせることができる。
また、(2)略平行な光束を発生する照明手段と、その照明手段から光束を入射さ
れ映像を表示する液晶表示素子と、その液晶表示素子から出射される映像光束の光路上の、前記液晶表示素子の近傍に配置され、前記映像光束を拡散するための開口数増加部材とを備え、前記開口数増加部材はプリズムアレイであることを特徴とする液晶表示装置である。このように、開口数を大きくする部材としてプリズムが平面状に並んだ素子を用いることによって、素子の制作面から回折格子などよりもコストを抑えて視野角を上げる効果を得ることができる。また、製作するプリズムの頂角の大小に応じて視野角の拡大具合をかえることができる。
【0045】
また、(3)略平行な光束を発生する照明手段と、その照明手段から光束を入射され映像を表示する液晶表示素子と、その液晶表示素子から出射される映像光束の光路上の、前記液晶表示素子の近傍に配置され、前記映像光束を拡散するための開口数増加部材とを備え、前記開口数増加部材は、前記液晶表示素子から射出した各画素ごとの光束を前記液晶表示素子側に発散反射させる反射面とその発散反射された光束を映像表示方向に反射する反射面とが、各々所定距離ずらして対向した状態で前記液晶表示素子の画素ピッチに対応して複数配置されていることを特徴とする液晶表示素子である。このように、開口数増加部材として、液晶表示素子から射出した各画素ごとの光束を液晶表示素子側に発散反射させる反射面とその発散反射された光束を映像表示方向に反射する反射面とが、各々所定距離ずらして対向した状態で液晶表示素子の画素ピッチに対応して複数配置する構成を用いれば、発散反射させる反射面に曲率を持たしたり、発散反射面と平面反射面との間隔を変えることによって開口数の増加具合を所望のものとすることができる。なお、発散反射面を上記液晶表示素子側に凸面を向けた構成にすると、開口数を大きくするのに有効である。
【0046】
また、(4)前記発散反射面は光を透過する作用を更に有することを特徴とする上記(3)の液晶表示装置である。このように、上記の発散反射面を光の一部が透過するようにし、その透過率を変えることによって開口数及び直視方向の光の強度を変えることができる。すなわち、視野角依存性を変化させることができる。また、(5)略平行な光束を発生する照明手段と、その照明手段から光束を入射され映像を表示する液晶表示素子と、その液晶表示素子から出射される映像光束の光路上の、前記液晶表示素子の近傍に配置され、前記映像光束を拡散するための開口数増加部材とを備え、前記開口数増加部材は、光ファイバを長さ方向に対して垂直な方向に束ねてプレート状にしたもので、各々の光ファイバの内部の反射境界面が凸凹形状であることを特徴とする液晶表示装置である。このように構成する事によって、液晶表示素子をでた光は各々の光ファイバで長さ方向に導かれるが、このとき反射境界面の凸凹により光はファイバ内で拡散してファイバ端から射出するので、結果的にトータルで開口数は増加する。また、視野角依存性も減じることができる。
【0047】
また、(6)前記光ファイバの前記反射境界面は回折作用を有する凸凹面であることを特徴とする上記(5)の液晶表示装置である。このような構成により、反射面に 設けられた回折面の回折作用によりファイバ内を伝搬する光束が回折し、結果的にファイバ端を射出するときに回折角と回折効率に基づく開口数の増加を示す。 また(7)略平行な光束を発生する照明手段と、その照明手段から光束を入射され映像を表示する液晶表示素子と、その液晶表示素子から出射される映像光束の光路上の、前記液晶表示素子の近傍に配置され、前記映像光束を拡散するための開口数増加部材とを備え、前記開口数増加部材は、拡散作用を生み出す凸凹を有する格子面を持つ拡散回折格子であることを特徴とする液晶表示装置である。もともと単なる回折格子の場合は、前述したように回折の条件を満たす方向にしか光束は向かわず、その方向でしか表示映像は見ることができない。また波長依存性のため像に色むらが出てしまう。また単なる拡散板の場合は、板の表面にある凸凹により光を拡散させるため、凸凹の中で観察者の眼球に入りやすい方向に光を散乱する部分と入りにくい方向に散乱する部分とが存在し、その結果眼球に入りやすい方向に光を拡散する部分は明るく見え、そうでない部分は暗く見え像に濃淡が生まれてしまう。そこで、上述のように構成することによって、回折、拡散両作用を同時に活用することにより視野角依存性が低減できる。すなわち、回折格子の回折条件を満たす方向の周りに表面凸凹による拡散作用によって光が拡散されるため、拡散板より視野角が広くなり、回折による色収差は弱められる。また、光線の広がり角の制御を、単なる拡散板のみによる場合に比べて回折格子のピッチにより簡単に制御できる。
【0048】
また、(8)前記拡散回折格子は、格子面による0次回折光に対する1次回折光の回折角をθ1、面に垂直な方向の強度に対して50%の強度となる時の拡散角をθ2とした場合、
【0049】
【数5】
0.3θ1<θ2<0.7θ1
を満たすような拡散を生み出す凸凹を有していることを特徴とする上記(7)の液晶表示装置である。このようにすると、回折の条件を満たす方向以外の方向を拡散光によって補間するため、射出光分布が一様になる。ここで表面が荒れるに従って回折作用は弱まる。すなわち、回折条件を満たす方向の射出光分布が弱くなる。
【0050】
よって、表面が荒れすぎると通常の拡散板と何ら変わらなくなり、拡散板の持つ濃淡といった問題が強く出る。逆に表面が荒れていないと通常の回折格子と同じになり、回折格子特有の色が出たり、回折条件を満たす方向以外には光がなくなるという問題がある。回折作用と拡散作用の両現象を適度にブレンドすることによって回折、さらに拡散のみの時に出やすい濃淡をも改善できる。
【0051】
また(9)略平行な光束を発生する照明手段と、その照明手段から光束を入射され映像を表示する液晶表示素子とを備え、さらにその液晶表示素子から出射される映像光束の光路上の、前記液晶表示素子の近傍に配置され、前記映像光束を拡散するための 、拡散板、回折格子、プリズムアレイの中から選ばれる開口数増加面を少なくとも2つ以上備えていることを特徴とする液晶表示装置である。このような構成とした場合は、開口数の増加具合が異なる面を複数組み合わせることによって、視野角を上げるとともに視野角内での光の拡散具合をより一様にすることができる。その結果視野角内で濃淡が見えたりすることはなくなる。
【0052】
また、(10)前記開口数増加面は2つであって、1つが回折格子面で、もう1つが拡散面であることを特徴とする上記(9)の液晶表示装置である。回折格子面のみだと回折の条件を満たす方向にしか光束は向かわず、その方向でしか表示映像は見ることができない。また波長依存性のため像に色むらが出てしまう。又、拡散面のみだと拡散面表面にある凸凹により光を拡散させるため、凸凹の中で観察者の眼球に入りやすい方向に光を散乱する部分と入りにくい方向に散乱する部分とが存在し、その結果眼球に入りやすい方向に光を散乱する部分は明るく見え、そうでない部分は暗く見え像に濃淡が生まれてしまう。そこで、上記における開口数増加面を2つとして、1つを回折格子面、もう1つを拡散面とすると、すなわち、これら単一面では問題を持つ面を組み合わせると、視野角依存性は低減できる。すなわち、回折格子面の回折条件を満たす方向の周りに拡散面によって拡散されるため、拡散面1面より視野角が広くなり、回折による色収差は弱められる。
【0053】
また、回折格子面により光束の分岐方向の制御が可能になり、効率的に眼球に導かれない不所望な散乱光を減じることができ、導かれた光束は拡散面で分散し分布において一様性を増す。
また、(11)前記液晶表示素子の画素ピッチをPとし、前記回折格子の回折面による0次回折光に対する1次回折光の回折角をθ1 とし、前記拡散面に垂直な方向の透過光の強度に対しその50%の強度となる拡散角をθ2 とし、前記液晶表示素子から前記回折格子までの距離をL1 、前記回折格子から前記拡散面までの距離をL2とすると、
【0054】
【数6】
P>L1Tanθ1+L2Tanθ2
を満たすような画素ピッチPであることを特徴とする上記(10)の液晶表示装置である。このような構成によって、隣の画素までぼけるといったクロストークによるぼけがなくなる。
【0055】
また、(12)前記開口数増加面は2つであって、1つがプリズムアレイで、もう1つが拡散面又は回折格子であることを特徴とする上記(9)の液晶表示装置である。
すなわち、プリズムアレイ単体であると各プリズムによる屈折の方向にしか光束は向かわずその方向でしか表示映像は見ることができない。また屈折の際プリズムによる色収差のため像に色むらが出てしまう。拡散面のみだと拡散面表面にある凸凹により光を拡散させるため、凸凹の中で観察者の眼球に入りやすい方向に光を散乱する部分と入りにくい方向に散乱する部分とが存在し、その結果眼球に入りやすい方向に光を散乱する部分は明るく見え、そうでない部分は暗く見え像に濃淡が生まれてしまう。そこで、上記2つの開口数増加面を、1つがプリズムアレイ、もう1つが拡散面とし、これら単体では問題を持つものを組み合わせることによってそれぞれの問題点を低減でき結果、視野角依存性は低減できる。すなわち液晶素子を射出した光はプリズムによって屈折した方向の周辺に拡散面によって拡散されるため、拡散面1面より視野角が広くなるし、プリズムによる色収差は弱められる。また、上記2つの開口数増加面を、1つがプリズムアレイ、もう1つが回折格子とすれば、視野角の増加具合は、回折格子面による回折角とプリズムアレイの屈折角の合成になるのでより射出光分布が一様になる。
【0056】
また、(13)前記開口数増加面は3つであって、1つがプリズムアレイで、もう1つが回折格子面で、残りの1つが拡散面であることを特徴とする上記(9)の液晶表示装置である。このような構成によってプリズムアレイの屈折角と回折格子面の回折角と拡散面による散乱角それぞれが程度が異なるため射出光分布がより一様になる。
【0057】
また、(14)前記開口数増加面は複数の拡散面からなり、前記液晶表示素子側に配置する拡散面は、眼球側に配置する拡散面より拡散角が同じか大きいことを特徴とする上記(9)の液晶表示装置である。このような構成よって、部分的に濃淡が見えるのを防ぐ。拡散面の欠点として挙げられる濃淡が見えてしまうといった問題があるが、この現象は開口数の小さい光束を用いた場合顕著である。それを解消する方法として、上記のように、拡散特性が異なるものを複数用いる場合、拡散角が大きいものほど液晶表示素子側に配置し、小さいものほど眼球側に配置すると、液晶表示素子に近い方にて開口数が大きくなるので濃淡が目立ちにくくなる。
【0058】
また、(15)前記開口数増加面は複数の拡散面が層状に形成されているものであることを特徴とする上記(9)の液晶表示装置である。このようにすれば、複数の拡散面を複数の拡散板を用いて構成する必要がないので、上記の効果に加えて、表示装置自体の構成はシンプルになる。また、薄型化をはかれる。
また、(16)少なくとも1つ以上の前記開口数増加面が、前記液晶表示素子から出射される映像光束の光路上の、前記液晶表示素子の近傍に配置されたマイクロレンズアレイにより形成された前記液晶表示素子と共役な面近傍に配置されていることを特徴とする上記(1)〜(15)のいずれかに記載の液晶表示装置である。このような構成によって、開口数増加面を液晶表示素子の上に直接配さず、1回レンズにより像を中継させ、その中継された共役像位置に配するので、ぼけることなく視野角依存性を向上できる。
【0059】
また、(17)上記(1)〜(16)のいずれかに記載の前記液晶表示装置と、その液晶表示装置に表示された映像を観察者の眼球に投影する接眼光学系と、前記液晶表示装置及び前記接眼光学系を観察者の眼球直前に位置させる頭部装着手段とを備えたことを特徴とする頭部搭載型映像表示装置である。このような表示装置によって、視野角の広い映像表示素子を用いることによって広画角な頭部搭載型映像表示装置においても、コントラストの反転や視認性の悪化などによる臨場感の低下を回避できる。頭部搭載型映像表示装置においては、眼幅や頭部の大きさなど個人差があり、装着状態が悪かったりして表示系が正しい位置に位置していないケースが多々あり、そういう場合、映像が画面全体に渡って良好なコントラストを保てなくなる。これは、液晶表示装置の視野角が小さいとそのような現象が起きやすくなる。よって上記の視野角の大きい液晶表示装置を用いれば、そのような現象は起きにくくなる。また、頭部搭載型映像表示装置の接眼光学系の設計において、表示素子の周辺から発する光線はどうしても収差が発生し易いが、上記の液晶表示装置を用いることによって1画素から出てくる光束は広範囲な角度に渡り一様なので、設計段階で収差などの観点から設計の自由度が増す。
【0060】
なお、本発明は、上記実施の形態で説明したタイプの液晶表示装置のみに限定されるものではなく、他の公知の液晶表示装置についても適用可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上述べたところから明らかなように本発明は、液晶表示装置の表示コントラストを低下させることなく、視野角を大きくできるという長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる第1の実施の形態の液晶表示装置の略示構成図である。
【図2】上記第1の実施の形態における散乱型液晶パネルの動作状態を説明する図である。
【図3】本発明にかかる第2の実施の形態の液晶表示装置の略示構成図である。
【図4】上記第2の実施の形態における変形例を示す図である。
【図5】上記第2の実施の形態におけるプリズムアレイの作用を説明する図である。
【図6】上記第2の実施の形態におけるプリズム面を逆にした場合の作用を説明する図である。
【図7】上記第2の実施の形態における変形例を示す図である。
【図8】本発明にかかる第3の実施の形態の液晶表示装置の略示断面図である。
【図9】上記第3の実施の形態における変形例を示す図である。
【図10】本発明にかかる第4の実施の形態の液晶表示装置に用いる光ファイバープレートの2つの例を示す斜視図である。
【図11】同図(a)は、一般的な光ファイバーの構造を示す図、同図(b)は、上記第4の実施の形態における光ファイバーの構造を示す図である。
【図12】本発明にかかる第5の実施の形態の液晶表示装置に用いる光ファイバーの構造を示す図である。
【図13】本発明にかかる第6の実施の形態の液晶表示装置の開口数増加部材を示す斜視図である。
【図14】本発明にかかる第7の実施の形態の液晶表示装置の略示構成図である。
【図15】拡散板のみによる作用を説明する図である。
【図16】回折格子のみによる作用を説明する図である。
【図17】上記第7の実施の形態における作用を説明する図である。
【図18】上記図17の場合より回折格子と拡散板との間隔を大きくした場合の作用を説明する図である。
【図19】回折格子と拡散板の配置を逆にした場合の作用を説明する図である。
【図20】上記図19の場合より回折格子と拡散板との間隔を大きくした場合の作用を説明する図である。
【図21】開口数増加部材と液晶素子との距離を大きくした場合の見え方を説明する図である。
【図22】上記第7の実施の形態における変形例を示す図である。
【図23】上記第7の実施の形態における変形例を示す図である。
【図24】上記第7の実施の形態における変形例を示す図である。
【図25】上記第7の実施の形態における変形例を示す図である。
【図26】上記図25の2種類の拡散板の特性の違いを説明する図である。
【図27】上記第7の実施の形態における変形例を示す図である。
【図28】本発明にかかる第8の実施の形態の液晶表示装置の略示構成図である。
【図29】同図(a)は、本発明にかかる第9の実施の形態の映像表示装置の外観図、同図(b)は、その略示構成図である。
【図30】従来の液晶表示装置における視野角を説明する図である。
【図31】一般的な液晶パネルの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 点光源
2 コリメータレンズ
3 液晶パネル
4 開口数増加部材
31 プリズムアレイ
81 ミラー
82 ハーフミラー
101 光ファイバ(円形)
102 光ファイバ(角形)
141 回折格子
142 拡散板
281 散乱性液晶デバイス
Claims (3)
- 略平行な光束を発生する照明手段と、その照明手段から光束を入射され映像を表示する液晶表示素子と、その液晶表示素子から出射される映像光束の光路上の、前記液晶表示素子の近傍に配置され、前記映像光束を拡散するための開口数増加部材とを備え、前記開口数増加部材は、光ファイバを長さ方向に対して垂直な方向に束ねてプレート状にしたもので、各々の光ファイバの内部の反射境界面が凸凹形状であることを特徴とする液晶表示装置。
- 略平行な光束を発生する照明手段と、その照明手段から光束を入射され映像を表示する液晶表示素子とを備え、さらにその液晶表示素子から出射される映像光束の光路上の、前記液晶表示素子の近傍に配置され、前記映像光束を拡散するための 、拡散板、回折格子、プリズムアレイの中から選ばれる開口数増加面を少なくとも2つ以上備えていることを特徴とする液晶表示装置。
- 前記請求項1または2の前記液晶表示装置と、その液晶表示装置に表示された映像を観察者の眼球に投影する接眼光学系と、前記液晶表示装置及び前記接眼光学系を観察者の眼球直前に位置させる頭部装着手段とを備えたことを特徴とする頭部搭載型映像表示装置。
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