以下、図面を参照しながら本発明の各実施の形態について説明する。
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」、「層」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板や層とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。また、本明細書において「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向(面方向)と一致する面のことを指す。さらに、本明細書において、シート状の部材の法線方向とは、対象となるシート状の部材のシート面への法線方向のことを指す。
<<第1の実施の形態>>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる光学フィルム100を備える表示装置10の構成を概略的に示す図であり、図2は、光学フィルム100の拡大断面図である。図1に示す表示装置10は液晶表示装置であり、面光源装置20と、液晶パネル15と、光学フィルム100と、をこの順に積層して構成されている。本実施の形態にかかる表示装置10は一例としてテレビとして構成されるものであるが、タブレット端末、スマートフォン、コンピュータ用ディスプレイ、カーナビゲーションシステム等であってもよい。
図1及び以下の説明で用いる図において、符号D1は、光学フィルム100のフィルム面に平行な方向である第1方向を示し、符号D2は、光学フィルム100のフィルム面に平行な方向であって、第1方向D1と直交する方向である第2方向を示す。また、符号D3は、第1方向D1及び第2方向D2の両方に直交する第3方向を示す。
詳細は後述するが、図2に示すように本実施の形態における光学フィルム100は間隔を空けて配列される複数のレンズ部110を有し、各レンズ部110は配列方向に直交する方向に長尺状に延びる。本実施の形態では、レンズ部110の配列方向が第1方向D1と一致しており、レンズ部110の長手方向が第2方向D2に一致する。第1方向D1及び第2方向D2は、液晶パネル15におけるマトリクス状に配列される画素領域の行方向及び列方向に一致してもよいし、一致しなくてもよい。モアレ抑制を考慮する場合には、一般に第1方向D1及び第2方向D2を、マトリクス状に配列される画素領域の行方向及び列方向に一致させないようにする。
(液晶パネル)
液晶パネル15は静止画像又は動画像である像(以下、画像)を表示する表示面15Aと、表示面15Aに対向して配置された裏面15Bと、を有する。表示装置10では、液晶パネル15が面光源装置20からの光の透過または遮断を、画素を形成する領域(サブピクセル)毎に制御するシャッターとして機能し、液晶パネル15の駆動により表示面15Aに画像が表示されるようになっている。
図示された液晶パネル15は、出光側に配置された上偏光板13と、入光側に配置された下偏光板14と、上偏光板13と下偏光板14との間に配置された液晶層12と、を有している。偏光板14,13は、入射した光を直交する二つの偏光成分(例えばp波及びs波)に分解し、一方の方向(透過軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、p波)を透過させ、前記一方の方向に直交する他方の方向(吸収軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、s波)を吸収する機能を有している。
液晶層12では、一つの画素を形成する領域毎に、電圧印加がなされ得るようになっており、電圧印加の有無によって液晶層12中の液晶分子の配向方向が変化するようになっている。一例として、入光側に配置された下偏光板14を透過した特定方向の偏光成分は、電圧が印加されていない液晶層12を通過する際にその偏光方向を90°回転させ、その一方で、電圧が印加された液晶層12を通過する際にその偏光方向を維持する。この場合、液晶層12への電圧印加の有無によって、下偏光板14を透過した特定方向に振動する偏光成分が、下偏光板14の出光側に配置された上偏光板13をさらに透過するか、あるいは、上偏光板13で吸収されて遮断されるか、を制御することができる。このようにして液晶パネル15では、面光源装置20からの光の透過または遮断を、画素を形成する領域毎に制御し得るようになっている。
本実施の形態においては、液晶パネル15が、一例としてVA(Vertical Alignment)型液晶パネルとなっている。したがって、液晶パネル15は、液晶層12内の液晶分子に対する電圧がオフまたは最小値のときに前記液晶分子が表示面15Aの法線方向に沿って配向して面光源装置20からの光が遮断される状態となり、前記液晶分子に対する電圧を徐々に増加させて前記液晶分子を表示面15Aに沿う側に次第に傾斜させることにより、面光源装置20からの光の透過率を徐々に増加させる構成を有する。なお、液晶パネル15は、VA型に限られるものでなく、TN(Twisted Nematic)型液晶パネルであってもよいし、IPS(In-Plane Switching)型液晶パネルであってもよい。
(面光源装置)
面光源装置20は、面状に光を発光する発光面21を有しており、本実施の形態では、液晶パネル15を裏面15B側から照明する装置として用いられている。面光源装置20は一例としてエッジライト型の面光源装置であるが、直下型や裏面照射型などの形式であってもよい。
(光学フィルム)
光学フィルム100は、液晶パネル15の表示面15A上に配置されており、詳しくは表示面15Aに接合されている。図2を参照し、光学フィルム100は、表面101Aとその反対側の裏面101Bとを有するシート状またはフィルム状の基材101と、基材101の表面101Aに設けられるシート状またはフィルム状の表面材102と、基材101の裏面101Bに設けられるシート状またはフィルム状の光学機能層103と、を有する。光学機能層103は、第1の層に対応する低屈折率層104と、第2の層に対応する高屈折率層105と、を有している。
基材101は、樹脂やガラス等からなる光透過性を有する透明基材であり、その材質は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリオリフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ガラス、トリアセチルセルロース、ポリイミド、ポリエチレンナフタレートなどでもよい。基材101の屈折率は、1.38以上1.57以下の範囲であることが好ましく、1.47以上1.54以下であることがより好ましい。また基材101の厚さは、5μm以上120μm以下であることが好ましく、基材101の厚みの下限はハンドリング性等の観点から15μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。基材101の厚みの上限は薄膜化の観点から150μm以下であることが好ましい。基材101は無色透明であることが好ましい。また、基材101の全光線透過率は87%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
光学機能層103は、上述したように低屈折率層104と高屈折率層105とを有しており、低屈折率層104の屈折率は高屈折率層105の屈折率よりも低く、高屈折率層105は低屈折率層104の基材101側で低屈折率層104に接合されている。高屈折率層105は、基材101側とは反対側の面に複数のレンズ部110を有し、レンズ部110は、高屈折率層105の法線方向に、つまり第3方向D3に沿って低屈折率層104側に凸となるように形成されている。すなわち、高屈折率層105は、基材101側を向く表面及び当該表面の反対側の裏面を有するフィルム状の層本体105Aと、層本体105Aの裏面上に並べて配置された複数のレンズ部110と、を一体に有している。これに対し、低屈折率層104は、レンズ部110を覆い且つ複数のレンズ部110の間まで充填されるように、高屈折率層105に積層されている。これにより本実施の形態では、低屈折率層104と高屈折率層105との界面が凹凸形状120をなすことになる。また光学フィルム100は、高屈折率層105に対して低屈折率層104が液晶パネル15の表示面15A側を向くように配置されている。
凹凸形状120は、一つの凹部121と凸部122とで1周期の形状をなし、この1周期の形状を繰り返し形成することにより構成されている。なお、本実施の形態では、凹部121の底部と凸部122の頂部との中点を通る光学フィルム100のフィルム面方向に延びる基準線SLに対し高屈折率層105側に凹んだ部分が凹部121に対応し、基準線SLに対し低屈折率層104側に凸となる部分が凸部122に対応している。本実施の形態では、凹部121及び凸部122がそれぞれ、第1方向D1に配列され、第1方向D1と直交する第2方向D2に線状に延びる。
また、本実施の形態の凹部121と凸部122のそれぞれは、光学フィルム100のフィルム面に沿って延びる平坦部121A,122Aを有し、詳しくは、凹部121の底部が平坦部121Aとなっており、凸部122の頂部が平坦部122Aとなっている。また凹部121の平坦部121Aと凸部122の平坦部122Aとの間に延びる凹凸形状120の側面120Sは、低屈折率層104側に凸となる曲面となっている。側面120Sは、これが接続する平坦部121Aの端点から第3方向D3に沿って延ばした直線をフィルム面方向に越えないように形成されている。これにより、側面120Sをなすレンズ部110を有する高屈折率層105を型抜きすることが可能となる。
なお、本実施の形態では側面120Sが曲面となっているが、側面120Sは、低屈折率層104側に凸となる折れ面(多角形状)となっていてもよい。また、曲面として形成される側面120Sは、正円の円弧に沿って形成されるものでもよいし、楕円の円弧に沿って形成されるものでもよい。また、側面120Sは高屈折率層105側に凹となる曲面又は折れ面でもあってもよいし、平面であってもよい。
以上のような凹凸形状120は、表示面15Aから出射される画像を形成するための光に対して全反射や屈折、及び透過等の光学的作用を及ぼすことにより、表示面15A上に表示される画像の表示品質を向上させる。本実施の形態においては、互いに隣り合う2つの側面120Sが、凹部121がへこむ方向又は凸部122が突出する方向に向けて先細り形状を形成している。言い換えると、凹部121の平坦部121Aを挟んで隣り合う側面120Sは、低屈折率層104側から高屈折率層105側に向けて先細り形状を形成し、凸部122の平坦部122Aを挟んで隣り合う側面120Sは、高屈折率層105側から低屈折率層104側に向けて先細り形状を形成している。このような形状である場合、表示面15A上に表示される画像の表示品質を向上させるための光学的作用が生じるが、本実施の形態のように側面120Sが低屈折率層104側に凸となる曲面又は多角形状であると、視野角内の色変化を特に効果的に抑制できるようになる。
本実施の形態では、低屈折率層104の屈折率と高屈折率層105の屈折率との差が0.05以上0.60以下の範囲となるように、低屈折率層104及び高屈折率層105が選択されている。低屈折率層104の屈折率と高屈折率層105の屈折率との差は、0.05以上0.50以下であることが好ましく、0.10以上0.20以下であることがより好ましい。なお、低屈折率層104の屈折率は例えば1.40以上1.55以下であり、高屈折率層105の屈折率は例えば1.55以上1.90以下であって、低屈折率層104の屈折率よりも大きい。
低屈折率層104は例えば紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、熱硬化樹脂を硬化させることで形成されてもよい。低屈折率層104が紫外線硬化樹脂を硬化して形成される場合、紫外線硬化樹脂はアクリル系樹脂を含むものでもよいし、エポキシ系樹脂を含むものでもよい。また、高屈折率層105同様に、例えば紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、熱硬化樹脂を硬化させることで形成されてもよい。高屈折率層105が紫外線硬化樹脂を硬化して形成される場合、紫外線硬化樹脂はアクリル系樹脂を含むものでもよいし、エポキシ系樹脂を含むものでもよい。また、低屈折率層104はアクリル系粘着剤等の粘着剤でもよい。
また、高屈折率層105における層本体105Aの第3方向D3における厚さは、例えば0.5μm以上30μm以下である。また、レンズ部110の高さは、例えば1.0μm以上30μm以下である。一方、低屈折率層104の厚さは、5μm以上100μm以下である。
本実施の形態では、高屈折率層105が基材101に直接的に接合されている。一方で、光学フィルム100は、高屈折率層105と基材101との間に平坦層を有し、平坦層を介して高屈折率層105と基材101とを接合してもよい。平坦層は、高屈折率層105と基材101との結合状態を安定化させるための層である。平坦層は、光透過性を有する透明材料からなり、特に本実施の形態では可視光及び紫外線を透過可能な材料からなり、例えばポリエステル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂等を主成分として含んでもよい。主成分とは、ある物質を構成する成分のうち物質中に50質量%以上含まれるもの又は物質を構成する成分のうち最も多い割合で含有されるものを意味する。平坦層は、例えばポリエステル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂、又はウレタン樹脂の溶液を乾燥させることで形成され得る。平坦層の厚みは、例えば1μm以上20μm以下である。また平坦層の屈折率は例えば1.46以上1.67以下である。
平坦層の屈折率は、高屈折率層105の屈折率と同じであるか、又は、高屈折率層105の屈折率との差が0.08下であるか、又は、基材101の屈折率と同じであるか、又は、基材101の屈折率との差が0.08以下であるか、又は、高屈折率層105の屈折率と基材101と屈折率との平均値Mであるか或いはは0.98~1.02Mであることが好ましい。
また、光学フィルム100の上偏光板13に接する層、ここでは低屈折率層104が粘着層である場合、低屈折率層104は、液晶パネル15の表示面15A、より詳しくは上偏光板13の表面に直接的に接合される。また、低屈折率層104は、液晶パネル15の表示面15A、すなわち上偏光板13の表面との間に設けられる粘着層により上偏光板13の表面に接合されてもよい。
一方で、表面材102は光学フィルム100の最表面を構成する部分であり、表示装置10に組み込まれた際には表示装置10の最表面を構成する。表面材102は基本的には保護層として機能する一方で、その屈折率が1.40以下に設定されている。このように低い屈折率を有することで、表面材102は、光学フィルム100から外部へ出射される光の取出し性能を向上させることが可能となる。
表面材102による外部への光の取出し性能の向上は、表面材102の屈折率を1.40以下という低い値にすることにより実現される。表面材102の屈折率が低い値となる場合、液晶パネル15側から外部に出ようとする光が表面材102と空気との界面で全反射し始める臨界角が大きくなる。これにより、光の取り出し量が増加し、視野角内の輝度が不所望に低下することが抑制される。
表面材102の屈折率が1.40以下である場合の表面材102と空気との界面での臨界角は、45.56度以上となる。より具体的には、屈折率が1.36のときは臨界角が47.3度となり、屈折率が1.32のときは臨界角が49.2度となり、屈折率が1.28のときは臨界角が51.26度となり、屈折率が1.26のときは臨界角が52.52度となる。すなわち、表面材102の屈折率が低い程、外部への光取り出し性能が向上する。また、表面材102の屈折率が低い場合には、外光が表面材102に入射し易くなることで、外光に対する反射防止性能も向上させることが可能となり、視認性を向上させることもできる。
表面材102の構造や材質は特に限定されないが、その構造としては、低屈折率単層構造、二層又は三層等の誘電体多層構造、及び中空粒子又は多孔質構造が挙げられる。
表面材102の構造が低屈折率単層構造である場合、言うまでもなく、その単層の屈折率が、表面材102の屈折率となる。表面材102の構造が低屈折率単層構造である場合の屈折率の測定は、例えば、分光光度計により測定した反射スペクトルと、フレネルの式を用いた薄膜の光学モデルから算出したスペクトルとをフィッティングさせることによって求めることができる。また、屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR-4T)やエリプソメータによって測定して求めてもよい。
また、次の手順でも表面材102の屈折率が測定され得る。
すなわち、表面材102をカッターなどで削り取り、粉状態のサンプルを作製し、JIS K 7142(2008)B法(粉体または粒状の透明材料用)に従ったベッケ法(屈折率が既知のカーギル試薬を用い、前記粉状態のサンプルをスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に試薬を滴下し、試薬でサンプルを浸漬する。その様子を顕微鏡観察によって観察し、サンプルと試薬の屈折率が異なることによってサンプル輪郭に生じる輝線(ベッケ線)が目視で観察できなくなる試薬の屈折率を、サンプルの屈折率とする。)を用いる。
また、表面材102の構造が低屈折率単層構造である場合、表面材102の厚さは0.07μm以上0.12μmであることが好ましい。反射防止の観点では、表面材102の厚さはなるべく小さいほうが望ましく、0.075μm以上0.11μm以下であることがよい。また、低屈折率単層構造である場合の表面材102の材質としては、フッ化マグネシウム、アクリル樹脂等が挙げられる。
また、表面材102の構造が二層又は三層等の誘電体多層構造である場合、本実施の形態では、最も屈折率の低い層の屈折率を、表面材102の屈折率として定める。なお、誘電体多層構造では、屈折率の異なる複数の層が積層される。屈折率の測定は、最も屈折率の低い層の屈折率を、例えば分光光度計により測定した反射スペクトルと、フレネルの式を用いた薄膜の光学モデルから算出したスペクトルとをフィッティングさせることによって特定することで、求めることができる。また、最も屈折率の低い層の屈折率を、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR-4T)やエリプソメータによって測定して求めてもよい。
また、次の手順でも表面材102の屈折率が測定され得る。
すなわち、表面材102のうちも最も屈折率の低い層をカッターなどで削り取り、粉状態のサンプルを作製し、JIS K 7142(2008)B法(粉体または粒状の透明材料用)に従ったベッケ法(屈折率が既知のカーギル試薬を用い、前記粉状態のサンプルをスライドガラスなどに置き、そのサンプル上に試薬を滴下し、試薬でサンプルを浸漬する。その様子を顕微鏡観察によって観察し、サンプルと試薬の屈折率が異なることによってサンプル輪郭に生じる輝線(ベッケ線)が目視で観察できなくなる試薬の屈折率を、サンプルの屈折率とする。)を用いる。
また、表面材102の構造が誘電体多層構造である場合、表面材102の厚さは0.1μm以上1.4μm以下であることが好ましい。反射防止の観点では、表面材の厚さはなるべく小さいほうが望ましく、誘電体多層構造である場合には、0.1μm以上1.2μm以下であることがよい。
三層の誘電体多層構造である場合の表面材102の材質としては、内部から外部に向けて積層される第1の層、第2の層、第3の層の屈折率をnA、nB、nCとしたとき、nA<nB且つnB>nCの関係とすることが一般的である。
また、表面材102の構造が中空粒子又は多孔質構造である場合、表面材102は、例えば中空状シリカ微粒子と、中空状シリカ微粒子を保持するベース樹脂とを含有するものでもよいし、例えばゾルゲル法を利用して形成され得る空気孔を複数有する多孔質薄膜からなるものであってもよい。中空粒子又は多孔質構造である場合の表面材102の屈折率は、平均屈折率によって特定できる。平均屈折率は、空気部分の占有率とその他の部分の占有率を例えばSEM画像等で特定し、空気の屈折率である1に空気部分の占有率をかけた値と、その他の部分の屈折率にその他の部分の専有率をかけた値と、を加算することで算出され得る。
表面材102の構造が中空粒子又は多孔質構造である場合、表面材102の厚さは0.1μm以上14μm以下であることが好ましい。反射防止の観点では、表面材の厚さはなるべく小さいほうが望ましく、0.1μm以上12μm以下であることがよい。
表面材102が、中空状シリカ微粒子と、中空状シリカ微粒子を保持するベース樹脂とを含有する場合、ベース樹脂は、例えば、(メタ)アクリル樹脂でもよい。また、表面材102が多孔質構造である場合、その材質は、フッ素樹脂やオルガノポリシロキサン等の屈折率の低い樹脂等であってもよい。なお、表面材102の構造が中空粒子又は多孔質構造である場合、表面材102は単層でもよいし、中空粒子又は多孔質構造の層と、他の層(ハード層や高屈折率層)とを含むものでもよい。
<光学フィルムにおける屈折率の関係>
次に光学フィルム100の複数の層の間での屈折率の関係を説明する。
本実施の形態では、光学機能層103における高屈折率層105、基材101、及び表面材102の各屈折率が、この順で小さくなるように各層の屈折率が設定されている。本件発明者は鋭意研究の結果、光が外部に出射される方向で並ぶ高屈折率層105、基材101、及び表面材102の屈折率が外部側に向けて次第に小さくなる場合には、外部に効率的に光を取り出させることを知見した。
このように高屈折率層105、基材101、及び表面材102の各屈折率がこの順で小さくなる場合、高屈折率層105、基材101、及び表面材102の各屈折率を同じ割合か又は緩やかに変化させることが、光の取り出し性能向上の観点で好ましい。詳しくは、高屈折率層105及び基材101の屈折率差と、基材101及び表面材102の屈折率差との差は、絶対値で、0.2以下、特に0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましく、0.02以下であることが更に好ましく、0であることが一層良い。
以上のように高屈折率層105、基材101、及び表面材102の各屈折率がこの順で小さくなる場合、(1)比較構成1:高屈折率層105の屈折率が基材101の屈折率よりも高いが、基材101の屈折率が表面材102の屈折率よりも低い場合、及び、(2)比較構成2:高屈折率層105の屈折率が基材101の屈折率よりも低く、基材101の屈折率が表面材102の屈折率よりも高い場合よりも、光を通し易いことが目視でも確認できる。
具体的には、液晶パネル15からの画像を、液晶パネル15上に配置した実施の形態にかかる光学フィルム100を介して視認した場合と、上記比較構成1又は上記比較構成2にかかる光学フィルム介して同じ画像を視認した場合とを比較すると、視野角全体で見たとき、前者が後者よりも明るいことが目視でも容易に認識できる。
また、上述のような各層の屈折率の設定により光の取り出し量が増加することは、光のp波及びs波のエネルギー透過率を計算することでも確認することが可能である。
図3は、多層構造体を透過する光のエネルギー透過率の計算手法を説明するための図である。図3においては、入射角αの光が屈折率n1の層から屈折率n2の層に一部入射するとともに、その他の一部で反射する様子が示されている。反射した光の反射角は入射角αと同じ角度となる。また、屈折率n2の層に入射した光は屈折角βで進行する。
上述のような光の反射がなされる場合、p波の光の振幅透過率tp及びs波の振幅透過率tsは以下の式(1)、(2)で表される。
また、入射角αと屈折角βの関係は、スネルの法則により以下の式(3)で表される。
そして、光のエネルギーは電場の振幅の2乗に比例するため、光のエネルギー透過率は、振幅透過率の2乗で求まる。ただし、この際、2つの層の間の屈折率差を係数として考慮する必要がある。このような関係に基づき、p波の光のエネルギー透過率Tp及びs波の光のエネルギー透過率Tsは、上記式(1)~(3)を用いて、以下の式(4)、(5)のように表される。
本実施の形態にかかる光学フィルム100では、低屈折率層104、高屈折率層105、基材101及び表面材102がこの順で積層されている。この場合、低屈折率層104と高屈折率層105との間でのエネルギー透過率、高屈折率層105と基材101との間でのエネルギー透過率、基材101と表面材102との間でのエネルギー透過率、及び表面材102と空気との間でのエネルギー透過率をそれぞれ求めて、これら全てを掛け合わせることで、光学フィルム100の光のエネルギー透過率が算出され得る。
以下の算出例1-9においては、各種条件の実施の形態にかかる光学フィルム100のエネルギー透過率の算出結果と、比較構成1、2にかかる光学フィルムのエネルギー透過率の算出結果が示されている。算出例10-15および算出例16-20では、算出例1-9とは異なる条件の実施の形態にかかる光学フィルム100のエネルギー透過率の算出結果が示されている。以下の算出結果においては、表示装置内を透過する光のうちの低屈折率層104から高屈折率層105に入射角0.01度、20度、40度で入射する光のエネルギー透過率が算出されている。図4は、エネルギー透過率を算出される光を示している。
(算出例1)
算出例1では、本実施の形態にかかる光学フィルム100において、低屈折率層104の屈折率が1.48、高屈折率層105の屈折率が1.65、基材101の屈折率が1.49、表面材102の屈折率が1.40、空気の屈折率が1である。
比較構成1では、低屈折率層104の屈折率が1.48、高屈折率層105の屈折率が1.65、基材101の屈折率が1.35、表面材102の屈折率が1.40、空気の屈折率が1である。
比較構成2では、低屈折率層104の屈折率が1.48、高屈折率層105の屈折率が1.65、基材101の屈折率が1.87、表面材102の屈折率が1.40、空気の屈折率が1である。
表1で示されるように、実施の形態の光学フィルム100では、比較構成1、2に比べてp波の光のエネルギー透過率Tp及びs波の光のエネルギー透過率Tsがともに高い。特に入射角40度のs波の光では、比較構成1、2よりもエネルギー透過率Tsが顕著に高い。
(算出例2)
算出例2では、実施の形態、比較構成1、2それぞれの表面材の屈折率が1.38である点で算出例1と異なる。算出例2のエネルギー透過率の算出結果が表2に示されている。
表2で示されるように、実施の形態の光学フィルム100では、比較構成1、2に比べてp波の光のエネルギー透過率Tp及びs波の光のエネルギー透過率Tsがともに高い。
(算出例3)
算出例3では、実施の形態、比較構成1、2それぞれの表面材の屈折率が1.36である点で算出例1と異なる。算出例3のエネルギー透過率の算出結果が表3に示されている。
表3で示されるように、実施の形態の光学フィルム100では、比較構成1、2に比べてp波の光のエネルギー透過率Tp及びs波の光のエネルギー透過率Tsがともに高い。
(算出例4)
算出例4では、実施の形態、比較構成1、2それぞれの表面材の屈折率が1.34である点で算出例1と異なる。算出例4のエネルギー透過率の算出結果が表4に示されている。
表4で示されるように、実施の形態の光学フィルム100では、比較構成1、2に比べてp波の光のエネルギー透過率Tp及びs波の光のエネルギー透過率Tsがともに高い。
(算出例5)
算出例5では、実施の形態、比較構成1、2それぞれの表面材の屈折率が1.32である点で算出例1と異なる。算出例5のエネルギー透過率の算出結果が表5に示されている。
表5で示されるように、実施の形態の光学フィルム100では、比較構成1、2に比べてp波の光のエネルギー透過率Tp及びs波の光のエネルギー透過率Tsがともに高い。
(算出例6)
算出例6では、実施の形態、比較構成1、2それぞれの表面材の屈折率が1.30である点で算出例1と異なる。算出例6のエネルギー透過率の算出結果が表6に示されている。
表6で示されるように、実施の形態の光学フィルム100では、比較構成1、2に比べてp波の光のエネルギー透過率Tp及びs波の光のエネルギー透過率Tsがともに高い。
(算出例7)
算出例7では、実施の形態、比較構成1、2それぞれの表面材の屈折率が1.28である点で算出例1と異なる。算出例7のエネルギー透過率の算出結果が表7に示されている。
表7で示されるように、実施の形態の光学フィルム100では、比較構成1、2に比べてp波の光のエネルギー透過率Tp及びs波の光のエネルギー透過率Tsがともに高い。
(算出例8)
算出例8では、実施の形態、比較構成1、2それぞれの表面材の屈折率が1.42である点で算出例1と異なる。算出例8のエネルギー透過率の算出結果が表8に示されている。
表8で示されるように、実施の形態の光学フィルム100では、比較構成1、2に比べてp波の光のエネルギー透過率Tp及びs波の光のエネルギー透過率Tsがともに高い。
(算出例9)
算出例9では、実施の形態、比較構成1、2それぞれの表面材の屈折率が1.44である点で算出例1と異なる。算出例9のエネルギー透過率の算出結果が表9に示されている。
表9で示されるように、実施の形態の光学フィルム100は、比較構成1、2に比べてp波の光のエネルギー透過率Tp及びs波の光のエネルギー透過率Tsがともに高い。
(算出例10)
算出例10では、実施の形態の基材101の屈折率が1.47である点で算出例1と異なる。算出例10のエネルギー透過率の算出結果が表10に示されている。
(算出例11)
算出例11では、実施の形態の基材101の屈折率が1.51である点で算出例1と異なる。算出例11のエネルギー透過率の算出結果が表11に示されている。
(算出例12)
算出例12では、実施の形態の基材101の屈折率が1.53である点で算出例1と異なる。算出例12のエネルギー透過率の算出結果が表12に示されている。
(算出例13)
算出例13では、実施の形態の基材101の屈折率が1.55である点で算出例1と異なる。算出例13のエネルギー透過率の算出結果が表13に示されている。
(算出例14)
算出例14では、実施の形態の基材101の屈折率が1.41である点で算出例1と異なる。算出例14のエネルギー透過率の算出結果が表14に示されている。
(算出例15)
算出例15では、実施の形態の基材101の屈折率が1.59である点で算出例1と異なる。算出例15のエネルギー透過率の算出結果が表15に示されている。
(算出例16)
算出例16では、実施の形態の表面材102の屈折率が1.37、基材101の屈折率が1.38、高屈折率層105の屈折率が1.58である点で算出例1と異なる。算出例16のエネルギー透過率の算出結果が表16に示されている。
(算出例17)
算出例17では、実施の形態の基材101の屈折率が1.43である点で算出例16と異なる。算出例17のエネルギー透過率の算出結果が表17に示されている。
(算出例18)
算出例18では、実施の形態の基材101の屈折率が1.49である点で算出例16と異なる。算出例18のエネルギー透過率の算出結果が表18に示されている。
(算出例19)
算出例19では、実施の形態の基材101の屈折率が1.51である点で算出例16と異なる。算出例19のエネルギー透過率の算出結果が表19に示されている。
(算出例20)
算出例20では、実施の形態の基材101の屈折率が1.57である点で算出例16と異なる。算出例20のエネルギー透過率の算出結果が表20に示されている。
算出例1-9から明らかなように、実施の形態の光学フィルム100では、比較構成1、2に比べてp波の光のエネルギー透過率Tp及びs波の光のエネルギー透過率Tsがともに高い。特に高角度側(入射角40度のs波)の光では、比較構成1、2よりもエネルギー透過率Tsが大幅に高くなっている。つまり。この結果からは、実施の形態の光学フィルム100は、比較構成1,2よりも特に入射角が大きい入射光を効率よく出光できており、表示特性が向上していると言える。
ここで、図5は、表示装置10に設けられる光学フィルム100における表面材102の屈折率と、光学フィルム100を透過する光のエネルギー透過率との関係を説明するグラフを示す図である。詳しくは、図5においては、表面材102の屈折率と、入射角40度で低屈折率層104から高屈折率層105に入射するs波の光のエネルギー透過率との関係が算出例1~9の結果に基づいて特定されている。横軸が表面材102の屈折率を示し、縦軸がs波の光のエネルギー透過率を示す。
図5を見ると、表面材102の屈折率が小さくなる程、s波の光のエネルギー透過率が増加していることが分かる。算出例1-9におけるs波の光のエネルギー透過率は、表面材102の屈折率が1.40以下のときに、70%を上回る。この結果から、表面材102の屈折率は1.40以下であることが好ましいと言えると考えられる。
また、図6Aは、表示装置10に設けられる光学フィルム100における基材101の屈折率と、光学フィルム100を透過する光のエネルギー透過率との関係を説明するグラフを示す図である。詳しくは、図6Aにおいては、基材101の屈折率と、入射角40度で低屈折率層104から高屈折率層105に入射するs波の光のエネルギー透過率との関係が算出例1、10~15の結果に基づいて特定されている。横軸が基材101の屈折率を示し、縦軸がs波の光のエネルギー透過率を示す。
図6Aを見ると、基材101の屈折率が1.51である位置の周辺で入射角40度のs波の光のエネルギー透過率Tsのピークが生じている。そして、傾向が二次関数的であることを考えると、基材101の屈折率1.47~1.55においては、光のエネルギー透過率Tsがその他の場合に比べて顕著に高くなっていると言える。
具体的には、以下である。
算出例10:基材101の屈折率1.47のときの、高屈折率層105及び基材101の屈折率差(1.65-1.47)と、基材101及び表面材102の屈折率差(1.47-1.40)との差は、0.11である。このときの入射角40度のs波の光のエネルギー透過率Tsは、69.75%である。
算出例11:基材101の屈折率1.51のときの、高屈折率層105及び基材101の屈折率差(1.65-1.51)と、基材101及び表面材102の屈折率差(1.51-1.40)との差は、0.03である。このときの入射角40度のs波の光のエネルギー透過率Tsは、69.83%である。
算出例12:基材101の屈折率1.53のときの、高屈折率層105及び基材101の屈折率差(1.65-1.53)と、基材101及び表面材102の屈折率差(1.53-1.40)との差は、0.01である。このときの入射角40度のs波の光のエネルギー透過率Tsは、69.82%である。
算出例13:基材101の屈折率1.55のときの、高屈折率層105及び基材101の屈折率差(1.65-1.55)と、基材101及び表面材102の屈折率差(1.55-1.40)との差は、0.05である。このときの入射角40度のs波の光のエネルギー透過率Tsは、69.78%である。
以上を考慮すると、高屈折率層105及び基材101の屈折率差と、基材101及び表面材102の屈折率差との差が、小さいほど、エネルギー効率が上がるものと言える。このような結果から、高屈折率層105、基材101、及び表面材102の各屈折率がこの順で小さくなる場合においては、高屈折率層105、基材101、及び表面材102の各屈折率を同じ割合か又は緩やかに変化させることが好ましいと言える。
ただし、算出例11は、算出例12よりもの入射角40度のs波の光のエネルギー透過率Tsがわずかながら高い。これは、算出例11の基材101の屈折率が、算出例12の基材101の屈折率よりも小さいことに起因するものと思料される。すなわち、この結果からは、基材101および高屈折率層105の屈折率をそれぞれ小さくしつつ、高屈折率層105、基材101、及び表面材102の各屈折率を同じ割合か又は緩やかに変化させれば、より効果的に光の取り出し効率が向上するということが言える。
図6Bにおいては、基材101の屈折率と、入射角40度で低屈折率層104から高屈折率層105に入射するs波の光のエネルギー透過率との関係が算出例16~20の結果に基づいて特定されている。横軸が基材101の屈折率を示し、縦軸がs波の光のエネルギー透過率を示す。
図6Bの結果からも、高屈折率層105、基材101、及び表面材102の各屈折率がこの順で小さくなる場合においては、高屈折率層105、基材101、及び表面材102の各屈折率を同じ割合か又は緩やかに変化させることが好ましいと言える。さらには、算出例16~20は、算出例10~15等よりも、表面材102の屈折率及び高屈折率層105の屈折率が小さい。そして、算出例16~20のs波の光のエネルギー透過率Tsは、算出例10~15よりも全体的に大きい。この結果によれば、表面材102,基材101および高屈折率層105の屈折率をそれぞれ小さくしつつ、高屈折率層105、基材101、及び表面材102の各屈折率を同じ割合か又は緩やかに変化させれば、より効果的に光の取り出し効率が向上すると言える。
以上に説明した本実施の形態にかかる光学フィルム100では光学機能層103において、低屈折率層104と高屈折率層105との界面が凹凸形状120をなす。これにより、低屈折率層104と高屈折率層105との界面で液晶パネル15からの画像形成のための光を反射、屈折及び透過させて光を広い角度範囲に出射させることが可能となり、画像の視野角内の表示品質を向上させることができる。また、高屈折率層105、基材101、及び表面材102の各屈折率が、この順で小さくなる。これにより、光を効率的に取り出すことができる。よって、画像を形成する光のエネルギーロスを十分に抑制しつつ、画像の視野角内の表示品質を向上させることができる。
<<第2の実施の形態>>
図7は第2の実施の形態にかかる光学フィルム100-2を備える表示装置10-2の構成を概略的に示す図である。図7に示すように、本実施の形態では、低屈折率層104と高屈折率層105の位置が、第1の実施の形態に対して反対になっている。すなわち、光学機能層103は、高屈折率層105と液晶パネル15の表示面Aとが互いに向き合う状態になるように表示装置10-2に設けられている。そして、本実施の形態では、高屈折率層105、低屈折率層104、基材101、及び表面材102の各屈折率が、この順で小さくなる。
このような実施の形態では、視野角内での表示品質の改善効果は第1の実施の形態と異なるものとなるが、光の取り出し効率は第1の実施の形態よりも有利になる。
<<第3の実施の形態>>
図8は第3の実施の形態にかかる光学フィルム100-3を備える表示装置10-3の構成を概略的に示す図である。図8に示す表示装置10-3は、有機LED(Organic Light Emitting Diode)パネル215と、円偏光板220と、タッチパネル230と、カバーガラス240と、光学フィルム100-3と、をこの順に積層して構成されている。本実施の形態にかかる表示装置10-3は一例としてスマートフォンとして構成されるものであるが、タブレット端末、テレビ、コンピュータ用ディスプレイ、カーナビゲーションシステム等であってもよい。
有機LEDパネル215の表示面(表面)と円偏光板220の裏面は第1粘着層251で貼り合わされ、円偏光板220の表面とタッチパネル230の裏面は第2粘着層252で貼り合わされ、タッチパネル230の表面とカバーガラス240の裏面は第3粘着層253で貼り合わされている。各粘着層251~253は、いわゆるOCA(Optical Clear Adhesive)であり、高い光透過率を有する。光学フィルム100-3はカバーガラス240の表面上に配置されており、本例では、光学フィルム100-3とカバーガラス240とが粘着層で貼り合わされていないが、これらについても粘着層で貼り合わせてもよい。
このような実施の形態でも、高屈折率層105、基材101及び表面材102の各屈折率がこの順で小さくなる。これにより、有機LEDパネル215からの光の取り出し効率を向上できる。
<<第4の実施の形態>>
次に、図9乃至図12を参照しながら、第4の実施の形態に係る光学フィルム400について説明する。第4の実施の形態に係る光学フィルム400を上述した第1乃至第3の実施の形態における光学フィルムに代えて、または以下で説明する第4の実施の形態の光学フィルム400の各特徴を上述した第1乃至第3の実施の形態における光学フィルムに組合わせて、表示装置10に適用することができる。以下の説明では、第1の実施の形態における光学フィルムに代えて、第4の実施の形態の光学フィルム400を適用した例について説明する。
図9は、第4の実施の形態に係る光学フィルム400を概略的に示す斜視図であり、図10は、図9のX-X線に沿った光学フィルム400の断面図である。光学フィルム400は、液晶パネル15の表示面15Aに対面して配置されており、表示面15Aから出射した画像を形成する画像光に光学的な作用を及ぼす。光学フィルム400は、図示しない接合層によって液晶パネル15と接合されている。図9に示すように、光学フィルム400は、平面視形状が四角形形状に形成され、全体として厚み方向の辺が他の辺よりも小さい直方体状に形成されている。
図9及び図10に示された例では、光学フィルム400は、基材401と、基材401の一方の側に設けられた光学機能層403と、光学機能層403の基材401が設けられた側とは反対側に設けられた第2基材409と、基材401の光学機能層403が設けられた側とは反対側に設けられた表面材402と、を有している。すなわち、液晶パネル15の表示面15Aに近い側から、第2基材409、光学機能層403、基材401、表面材402の順に積層されている。光学フィルム400の光学機能層403が設けられた側が、液晶パネル15の表示面15Aに対面する側となっている。したがって、光学フィルム400の表面材402が、表示装置10の表面をなす。
基材401及び第2基材409は、光学機能層403を適切に支持する支持基材である。より詳しくは、基材401は、光学機能層403の後述する第2の層405を支持し、第2基材409は、光学機能層403の後述する第3の層406を支持する。基材401及び第2基材409は、透明であり、例えば、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリオリフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ガラス等からなる。基材401及び第2基材409は、透明性や、光学機能層403の適切な支持性等を考慮すると、好ましくは5μm以上120μm以下、より好ましくは20μm以上90μm以下、さらに好ましくは50μm以上85μm以下の厚みを有している。また、基材401及び第2基材409の屈折率は、1.38以上1.57以下の範囲であることが好ましく、1.47以上1.54以下であることがより好ましい。なお、第2基材409は、光学フィルム400の製造過程にて除去される等して、省略されていてもよい。あるいは、第2基材409は、後述する光学機能層403の第3の層406と同じ材料から形成されており、第3の層406と一体的に形成されていてもよい。
なお、「透明」とは、当該基材を介して当該基材の一方の側から他方の側を透視し得る程度の透明性を有していることを意味しており、例えば、全光線透過率が87%以上、好ましくは90%以上であることを意味する。全光線透過率は、JIS K 7361-1:1997に準拠した測定装置(例えば村上色彩技術研究所製「HM150」)によって、測定することができる。
表面材402は、表示装置10の表面をなしており、特定の機能を発揮する機能層として形成されている。表面材402が発揮する機能として、例えば反射防止機能がある。反射防止機能を有する表面材402によれば、外部からの光の表面反射によって表示装置10に表示される画像の視認性が損なわれることを抑制することができる。また、表面材402は、その屈折率が1.40以下となっている。ただし、表面材402は、反射防止機能に限らず、ハードコート機能や防汚機能、帯電防止機能等を有していてもよい。
表面材402の構造や材質は特に限定されないが、その構造としては、低屈折率単層構造、二層又は三層等の誘電体多層構造、及び中空粒子又は多孔質構造が挙げられる。このような表面材402は、例えば上述した第1の実施の形態の表面材102と同様の構造とすることができる。
光学機能層403は、第2の層405と、第2の層405に積層された第1の層404と、第1の層404の第2の層405とは反対側に積層された第3の層406と、を有している。第2の層405は、第1方向D1に配列されており、且つ第1方向D1と交差する第2方向D2に延びている部分を含んでいる。図示された例では、第1方向D1と第2方向D2とは、互いに直交している。第3の層406は、第1方向D1に配列されており、且つ第2方向D2に延びている部分を含んでいる。第1の層404は、第2方向D2に延びて、第2の層405と第1方向D1に沿って交互に配置されている部分、及び、第2方向D2に延びて、第3の層406と第1方向D1に沿って交互に配置されている部分を含んでいる。
第2の層405は、光学フィルム400において基材401の側となっており、第3の層406は、光学フィルム400において液晶パネル15の表示面15Aに対面する側となっている。第1の層404は、第2の層405と第3の層406との間に位置している。第2の層405の屈折率と第1の層404の屈折率とは、互いに異なっており、第1の層404の屈折率と第3の層406の屈折率とは、互いに異なっている。したがって、第2の層405と第1の層404との間の第1界面420及び第1の層404と第3の層406との間の第2界面430は、光学的な界面となる。また、第1界面420及び第2界面430は、凹凸形状をなしている。したがって、第1界面420及び第2界面430は、レンズとして機能する。第1界面420は、表示面15Aと平行な平坦面420Aと、表示面15Aに非平行な斜面420Sと、を含んでいる。凹凸形状である第1界面420及び第2界面430における光学的な作用により、光学フィルム400は、表示装置10の正面方向(法線方向)に対して第1方向D1に傾斜した方向に画像光を出射させやすくすることができる。
図10に示すように、第2の層405の断面形状は、基材401の側が長い底辺、基材401に対向する側が短い底辺となっている略台形形状である。すなわち、第2の層405の断面形状は、基材401に近づくにつれて第1方向D1に沿った幅が大きくなっている。ここで、「基材401に近づくにつれて第1方向D1に沿った幅が大きくなっている」とは、基材401との距離に応じて第1方向D1に沿った幅が連続的に変化し続けることだけでなく、基材401に近づくにつれて第1方向D1に沿った幅が小さくなる部分を含まないことも意味しており、したがって、基材401との距離に応じて第1方向D1に沿った幅が段階的に変化することも含んでいる。ただし、第2の層405の断面形状は、基材401との距離に応じて連続的に変化し続けることが好ましい。
なお、第2の層405の断面形状は、台形形状の脚の部分が直線でなく、曲線であってもよい。すなわち、第2の層405の側面は、曲面であってもよい。第2の層405の断面形状が変化することで、第2の層405と第1の層404との間の光学的な第1界面420の斜面420Sの形状が変化し、第1界面420の形状において所望の光学特性を発揮するようにできる。
第2の層405は、透明である。このような第2の層405は、例えば基材401上にウレタンアクリレート等の紫外線硬化樹脂を配置し、紫外線を照射して樹脂を硬化させることで形成することができる。
図9及び図10に示すように、第1の層404は、隣り合う第2の層405の第1方向D1に延びる部分の間、及び隣り合う第3の層406の第1方向D1に延びる部分の間を満たすように設けられている。言い換えると、第2の層405と第3の層406との間の隙間を埋めるように設けられている。第1の層404は、例えば第2の層405と第3の層406とを接合する接合層である。また、第1の層404は、透明である。このような第1の層404は、例えばアクリル系紫外線硬化型樹脂から形成することができる。
図10に示すように、第3の層406の断面形状は、第1の層404に近づくにつれて第1方向D1に沿った幅が小さくなっている。図示された例では、第3の層406の断面形状は、半楕円形状である。ここで、「第1の層404に近づくにつれて第1方向D1に沿った幅が小さくなっている」とは、第1の層404との距離に応じて第1方向D1に沿った幅が連続的に変化し続けることだけでなく、第1の層404に近づくにつれて第1方向D1に沿った幅が大きくなる部分を含まないことも意味しており、したがって、第1の層404との距離に応じて第1方向D1に沿った幅が段階的に変化することも含んでいる。ただし、第3の層406の断面形状は、第1の層404との距離に応じて連続的に変化し続けることが好ましい。
なお、第3の層406の断面形状は、図示されているような曲線だけでなく、直線の部分を含んでいてもよい。第3の層406の断面形状によって、第1の層404と第3の層406との間の光学的な第2界面430の形状が変化し、第2界面430の形状において所望の光学特性を発揮するようにできる。
第3の層406は、透明である。このような第3の層406は、例えば第2基材409上にウレタンアクリレート等の紫外線硬化樹脂を配置し、紫外線を照射して樹脂を硬化させることで形成することができる。
本実施の形態において、第1の層404の屈折率は、第2の層405の屈折率及び第3の層406の屈折率より小さくなっている。このため、第2の層405の屈折率と第1の層404の屈折率との差及び第1の層404の屈折率と第3の層406の屈折率との差を大きくすることができる。屈折率差が大きくなると、界面における光学的な作用が発揮されやすくなる。具体的には、第2の層405の屈折率と第1の層404の屈折率との差及び第1の層404の屈折率と第3の層406の屈折率との差は、0.05以上0.25以下であることが好ましい。また、本実施の形態において、第2の層405の屈折率は、例えば1.6以上であり、第1の層404の屈折率は、例えば1.49以下であり、第3の層406の屈折率は、例えば1.6以上である。界面における屈折率の比較は、例えば当該界面に入射する光の屈折方向や全反射条件によって、確認することができる。なお、屈折率の具体的な値は、例えばアッベ屈折率計(例えば株式会社アタゴ社製のRX-7000α)で測定することができる。
また、第1界面420の凹凸形状の凹凸のピッチは、液晶パネル15の画素のピッチより小さくなっている。とりわけ、第1界面420の凹凸形状の凹凸のピッチに対する液晶パネル15の画素のピッチの比は、1/5以下であることが好ましく、1/10以下であることがより好ましい。さらに、第1界面420の凹凸形状の凹凸のピッチは、第2界面430の凹凸形状の凹凸のピッチより大きい。具体的には、第1界面420の凹凸形状の凹凸のピッチは、第2界面430の凹凸形状の凹凸のピッチの3倍以上であることが好ましい。具体的な第1界面420の凹凸形状の凹凸のピッチは、例えば35μm以下である。また、具体的な第2界面430の凹凸形状の凹凸のピッチは、例えば12μm以下である。
次に、本実施の形態の光学フィルム400及び光学フィルム400を有する表示装置10の作用について説明する。
液晶パネル15の表示面15Aから出射した画像光は、光学フィルム400の光学機能層403に入射する。光学機能層403に入射した画像光は、図11に示すように、まず、第3の層406を進み、次に、第3の層406と第1の層404との第2界面430に入射する。第2界面430に入射した画像光のうち、入射位置の法線方向と同一の方向に進む画像光L111は、第2界面430において屈折することなく第2界面430を通過する。一方、第2界面430に入射した画像光のうち、入射位置の法線方向と異なる方向に進む画像光であって、正面方向に進む画像光L112,L113、並びに、正面方向に対して傾斜した方向に進む画像光L114,L115は、第1の層404と第3の層406との屈折率差により、正面方向に対する傾斜角度を大きくするように屈折する。第2界面430を通過した画像光L112~L115は、第1の層404を透過し、第1の層404と第2の405との間の第1界面420に入射する。
第2の層405と第1の層404との第1界面420の平坦面420Aに、平坦面420Aの法線方向と同一の方向に入射した画像光L111は、第1界面420で屈折することなく、第1界面420を通過して、光学機能層403から出射する。一方、第2の層405と第1の層404との第1界面420の斜面420Sに入射した画像光L112~L115は、第2の層405と第1の層404との屈折率差により、正面方向に対する傾斜角度をさらに大きくするように屈折する。その後、一部の画像光L112,L114は、光学機能層403から出射し、他の一部の画像光L113,L115は、さらに第2の層405と第1の層404との第1界面420で屈折した後、光学機能層403から出射する。これらの画像光L112~L115は、光学機能層403を透過する際における第1の層404と第3の層406との第2界面430での屈折及び第2の層405と第1の層404との第1界面420での屈折により、正面方向に対してより大きく傾斜した方向に進むようになる。
なお、第1界面420及び第2界面430において画像光が受ける光学的な作用は、上述した屈折作用だけでなく、第1界面420の凹凸形状及び第2界面430の凹凸形状による回折作用も含む。すなわち、光学機能層403に入射した画像光は、第1界面420の凹凸形状及び第2界面430の凹凸形状によって回折されて、正面方向に対してより大きく傾斜した方向に進むようになる。
ところで、例えば特許第6447654号に示すような光学フィルムでは、低屈折率層と高屈折率層との光学的な界面が1つしかない。このため、光学フィルムを通過する画像光は、界面における光学的な作用を1回しか受けない。すなわち、画像光は、1回しか屈折及び回折されない。1回のみの屈折及び回折では、画像光を大きな視野角まで広げることにはなりにくい。言い換えると、視野角を十分に拡大できないことがある。
一方、本実施の形態では、上述したように、表示面15Aから出射した画像光は、第2の層405と第1の層404との第1界面420及び第1の層404と第3の層406との第2界面430を通過するため、2つの光学的な界面420,430を通過することになる。すなわち、第1の層404と第3の層406との第2界面430での屈折及び回折及び第2の層405と第1の層404との間の第1界面420での屈折及び回折により、光学機能層403を画像光が透過する際、図11に示すように、画像光の進行方向が正面方向に対してなす角度が大きくなる傾向を生じさせる。このように、画像光は、界面における光学的な作用、すなわち界面における屈折及び回折を2回受けることになる。2回の屈折及び回折の両方によって、画像光は、正面方向に対する傾斜角度が大きくなる。したがって、正面方向から第1方向D1に傾斜した方向に、画像光が出射しやすくなる。このため、第1方向D1に傾斜した方向からでも、画像光を明瞭に観察することが可能となる。すなわち、表示装置10からの画像の視野角を広げることができる。このように、画像光を正面方向に対する傾斜角度が大きくなるように2回屈折及び回折させることで、1回の屈折及び回折より画像光を大きな視野角まで広げることができる。
また、第1の層404の屈折率は、第2の層405の屈折率及び第3の層406の屈折率より小さくなっている。このため、第2の層405の屈折率と第1の層404の屈折率との差及び第1の層404の屈折率と第3の層406の屈折率との差を大きくすることができる。屈折率差が大きくなると、界面における光学的な作用が発揮されやすくなる。すなわち、第1界面420及び第2界面430において、大きな屈折角で光が屈折及び回折しやすくなる。このような第1界面420及び第2界面430を画像光が通過することで、画像光を大きな視野角まで広げることができる。
さらに、第1界面420の凹凸形状の凹凸のピッチは、第2界面430の凹凸形状の凹凸のピッチより大きくなっている。すなわち、第1界面420の凹凸形状の凹凸のピッチと第2界面430の凹凸形状の凹凸のピッチとは、異なっている。このため、第1界面420の凹凸形状と第2界面430の凹凸形状との干渉による干渉縞が生じにくくなっている。とりわけ、第1界面420の凹凸形状の凹凸のピッチは、第2界面430の凹凸形状の凹凸のピッチの3倍以上であると、干渉縞はほとんど視認されなくなる。干渉縞の発生が抑制されることで、干渉縞が視認されることによる表示装置10に表示される画像の視認性の悪化を抑制することができる。
なお、第4の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施の形態では、第2の層405の屈折率と第1の層404の屈折率との差及び第1の層404の屈折率と第3の層406の屈折率との差を大きくするためには、第1の層404の屈折率が第2の層405の屈折率及び第3の層406の屈折率より小さくなっている。しかしながら、第1の層404の屈折率が、第2の層405の屈折率及び第3の層406の屈折率より大きくなっていてもよい。この場合、第2の層405の屈折率は、例えば1.49以下であり、第1の層404の屈折率は、例えば1.6以上であり、第3の層406の屈折率は、例えば1.49以下である。
この変形例においても、第1の層404と第3の層406との第2界面430での屈折及び第2の層405と第1の層404との第1界面420での屈折により、正面方向に対してより大きく傾斜した方向に進むようになる。すなわち、画像光を大きな視野角まで広げることができる。
また、光学フィルム400の第2基材409は、偏光板であってもよい。この場合、液晶パネル15における上偏光板13を省略することができる。すなわち、第2基材409が、液晶パネル15の上偏光板13として機能する。したがって、偏光板である第2基材409は、下偏光板14が吸収する直線偏光成分とは異なる方向に振動する直線偏光成分を吸収する。このような構成によれば、光学フィルム400と液晶パネル15とを接合する接合層を省略することができる。このため、光学フィルム400を有する表示装置10を容易に製造することができる。
以下、実施例を用いて第4の実施の形態の光学フィルム400をより詳細に説明するが、第4の実施の形態にかかる光学フィルム400は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例1,2及び比較例1,2について、液晶パネルの表示面に白色の画像を表示した状態で、液晶パネルの正面方向に対して傾斜した各角度で輝度を測定した。各角度における輝度を、角度0°における輝度、すなわち正面方向における輝度で除算して、規格化した規格化輝度の角度分布を算出した。
実施例1,2及び比較例2では、液晶パネルの表示面に対面して光学フィルムが設けられている。実施例1及び実施例2では、光学フィルムは、第2の層と、第2の層に積層された第1の層と、第1の層の第2の層とは反対側に積層された第3の層と、を有している。第2の層と第1の層との間の第1界面は、凹凸形状をなしており、第1の層と第3の層との間の第2界面も、凹凸形状をなしている。第2の層の延びる方向に直交する断面において、第1界面の凹凸形状のピッチは、35μmであり、第1界面の液晶パネルに近い側の平坦面の長さは、10.2μmであり、第1界面の液晶パネルから遠い側の平坦面の長さは、17.6μmである。第1界面の斜面の長さは、16.8μmであり、第1界面の斜面は、曲率半径が61μmの曲面となっている。また、第3の層の延びる方向に直交する断面において、第2界面は、半楕円形状となっており、第2界面の凹凸形状のピッチは、8.75μmである。第2界面の半楕円形状の短径は、8.75μmであり、長径は17.5μmである。実施例1では、第1の層の屈折率は、第2の層の屈折率及び第3の層の屈折率より小さくなっている。具体的には、第2の層の屈折率は1.65、第1の層の屈折率は1.48、第3の層の屈折率は1.65となっている。実施例2では、第1の層の屈折率は、第2の層の屈折率及び第3の層の屈折率より大きくなっている。具体的には、第2の層の屈折率は1.48、第1の層の屈折率は1.65、第3の層の屈折率は1.48となっている。比較例2では、光学フィルムは、第2の層と、第2の層に積層された第1の層と、を有しているが、実施例1及び実施例2と異なり第3の層を有していない。第2の層と第1の層との間の第1界面は、凹凸形状をなしている。第1界面の凹凸形状のピッチは、35μmであり、第1界面の表示装置に近い側の平坦面の長さは、10.2μmであり、第1界面の表示装置から遠い側の平坦面の長さは、17.6μmである。第2の層の屈折率は、第1の層の屈折率より大きくなっている。具体的には、第2の層の屈折率は1.65、第1の層の屈折率は1.48となっている。比較例1では、液晶パネルに対面した光学フィルムが設けられていない。
各実施例及び比較例における、正面方向に対する各角度(視野角)における規格化輝度の角度分布のグラフが、図12に示されている。図12から理解されるように、比較例1及び比較例2に比べて、実施例1及び実施例2では、大きな視野角において規格化輝度が高くなっている。これは、第1の層と第3の層との第2界面での屈折や回折及び第2の層と第1の層との間の第1界面での屈折や回折により、光の進行方向が正面方向に対してなす角度が大きくなったため、大きな視野角に画像光が出射しやすくなったと考えられる。
<<第5の実施の形態>>
次に、図13及び図16を参照しながら、第5の実施の形態に係る光学フィルム500について説明する。第5の実施の形態に係る光学フィルム500を上述した第1乃至第3の実施の形態における光学フィルムに代えて、または以下で説明する第5の実施の形態の光学フィルム500の各特徴を上述した第1乃至第3の実施の形態における光学フィルムに組合わせて、表示装置10に適用することができる。以下の説明では、第1の実施の形態における光学フィルムに代えて、第5の実施の形態の光学フィルム500を適用した例について説明する。
図13は、第5の実施の形態に係る光学フィルム500を概略的に示す斜視図であり、図14は、図13のXIV-XIV線に沿った光学フィルム500の断面図である。光学フィルム500は、液晶パネル15の表示面15Aに対面して配置されており、表示面15Aから出射した画像光に光学的な作用を及ぼす。図13に示すように、光学フィルム500は、平面視形状が四角形形状に形成され、全体として厚み方向の辺が他の辺よりも小さい直方体状に形成されている。
図13及び図14に示された例では、光学フィルム500は、基材501と、基材501の一方の側に設けられた光学機能層503と、基材501と光学機能層503の間に配置された着色層550と、基材501の光学機能層503が設けられた側とは反対側に設けられた表面材502と、を有している。光学フィルム500の光学機能層503が設けられた側が、液晶パネル15の表示面15Aに対面する側となっている。したがって、光学フィルム500の表面材502が、表示装置10の表面をなしている。
基材501は、光学機能層503を適切に支持する支持基材である。基材501は、透明であり、例えば、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリオリフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ガラス等からなる。基材501は、透明性や、光学機能層503の適切な支持性等を考慮すると、好ましくは5μm以上120μm以下、より好ましくは20μm以上90μm以下、さらに好ましくは50μm以上85μm以下の厚みを有している。また、基材501の屈折率は、1.38以上1.57以下の範囲であることが好ましく、1.47以上1.54以下であることがより好ましい。
表面材502は、表示装置10の表面をなしており、特定の機能を発揮する機能層として形成されている。表面材502が発揮する機能として、例えば反射防止機能がある。反射防止機能を有する表面材502によれば、外部からの光の表面反射によって表示装置10に表示される画像の視認性が損なわれることを抑制することができる。また、表面材502は、その屈折率が1.40以下となっている。ただし、表面材502は、反射防止機能に限らず、ハードコート機能や防汚機能、帯電防止機能等を有していてもよい。
表面材502の構造や材質は特に限定されないが、その構造としては、低屈折率単層構造、二層又は三層等の誘電体多層構造、及び中空粒子又は多孔質構造が挙げられる。このような表面材502は、例えば上述した第1の実施の形態の表面材102と同様の構造とすることができる。
光学機能層503は、第2の層505と、第2の層505に積層された第1の層504と、を有している。第2の層505は、第1方向D1に配列されており、且つ第1方向D1と交差する第2方向D2に延びている部分を含んでいる。図示された例では、第1方向D1と第2方向D2とは、互いに直交している。第1の層504は、第2方向D2に延びて、第2の層505と第1方向D1に沿って交互に配置されている部分を含んでいる。第2の層505は、光学フィルム500において基材501の側となっており、第1の層504は、光学フィルム500において液晶パネル15の表示面15Aに対面する側となっている。第2の層505の屈折率と第1の層504の屈折率とは、互いに異なっている。したがって、第2の層505と第1の層504との間の界面520は、光学的な界面となる。また、第2の層505と第1の層504との間の界面520は、凹凸形状をなしており、レンズを形成している。第2の層505と第1の層504との界面520は、表示面15Aと平行な平坦面520Aと、表示面15Aに非平行な斜面520Sと、を含んでいる。凹凸形状である界面520における光学的な作用により、特に界面520の斜面520Sの光学的な作用により、光学フィルム500は、表示装置10の正面方向(法線方向)に対して第1方向D1に傾斜した方向に画像光を出射させやすくすることができる。
図14に示すように、第2の層505の断面形状は、基材501の側が長い底辺、基材501に対向する側が短い底辺となっている略台形形状である。すなわち、第2の層505の断面形状は、基材501に近づくにつれて第1方向D1に沿った幅が大きくなっている。ここで、「基材501に近づくにつれて第1方向D1に沿った幅が大きくなっている」とは、基材501との距離に応じて第1方向D1に沿った幅が連続的に変化し続けることだけでなく、基材501に近づくにつれて第1方向D1に沿った幅が小さくなる部分を含まないことも意味しており、したがって、基材501との距離に応じて第1方向D1に沿った幅が段階的に変化することも含んでいる。ただし、第2の層505の断面形状は、基材501との距離に応じて連続的に変化し続けることが好ましい。
なお、第2の層505の断面形状は、台形形状の脚の部分が直線でなく、曲線であってもよい。すなわち、第2の層505の側面は、曲面であってもよい。第2の層505の断面形状が変化することで、第2の層505と第1の層504との間の光学的な界面520の斜面520Sが変化し、界面520の形状によって所望の光学特性を発揮するようにできる。
また、複数の第2の層505が第1方向D1に配列される配列のピッチは、液晶パネル15の画素のピッチより小さくなっている。とりわけ、第2の層505の第1方向D1への配列のピッチに対する液晶パネル15の画素のピッチの比は、1/5以下であることが好ましく、1/10以下であることがより好ましい。具体的には、第2の層505の第1方向D1への配列のピッチは、例えば35μm以下である。
第2の層505は、透明である。このような第2の層505は、例えば基材501上にウレタンアクリレート等の紫外線硬化樹脂を配置し、紫外線を照射して樹脂を硬化させることで形成することができる。
図13及び図14に示すように、第1の層504は、隣り合う第2の層505の第1方向D1に延びる部分の間を満たすように設けられている。また、第1の層504は、透明である。さらに、第1の層504は、粘着性を有する。第1の層504の粘着性によって、光学フィルム500と液晶パネル15とを接着させることができる。すなわち、別途に光学フィルム500と液晶パネル15を接着させる接着層等を設けることなく、光学フィルム500と液晶パネル15とを接着させることができる。このような第1の層504は、例えばアクリル系の粘着フィルムや紫外線硬化型接着剤によって形成することができる。
第2の層505の屈折率は、第1の層504の屈折率より高くなっている。第2の層505の屈折率と第1の層504の屈折率との差が大きくなると、第2の層505と第1の層504との間の界面520における光学的な作用が発揮されやすくなる。具体的には、第2の層505の屈折率と第1の層504の屈折率との差は、0.05以上0.25以下であることが好ましく、0.10以上0.20以下であることがより好ましい。また、第2の層505の屈折率は、例えば1.6以上であり、第1の層504の屈折率は、例えば1.49以下である。第2の層505の屈折率と第1の層504の屈折率との比較は、例えば第2の層505と第1の層504との間の界面に入射する光の屈折方向や全反射条件によって、確認することができる。なお、屈折率の具体的な値は、例えばアッベ屈折率計(例えば株式会社アタゴ社製のRX-7000α)で測定することができる。
着色層550は、透過しようとする光の一部を吸収する。着色層550は、光学機能層503の第2の層505の側に積層されている。図示された例では、着色層550は、基材501と光学機能層503の間に配置されている。着色層550は、基材501と光学機能層503とを接着するプライマー層として機能してもよい。
着色層550は、透明なバインダー樹脂551と、バインダー樹脂551に含有された複数の着色材552と、を含んでいる。バインダー樹脂551は、例えばウレタン樹脂からなる。着色材552は、例えば染料または粒径の平均が1μm以上10μm以下の顔料、あるいはこれらで着色された着色ビーズである。着色材552の粒径は、例えばSEM画像から計測することができる。着色材552は大きすぎると映像のための光の局所的な欠落を引き起こして映像の表示品質を低下させ得るため、着色材552の大きさは、上述の範囲であることが好ましい。着色材552は、特定の色の光を吸収することができるよう、種々の色の染料または顔料から適宜に選択される。好ましくは、着色材552は、全ての可視光波長の光を吸収することができるよう、カーボンブラックやチタンブラック等の顔料からなる黒色等の暗色である。着色材552がカーボンブラックを含有した粒子である場合、当該粒子は、カーボンブラックと、カーボンブラックを保持するベース樹脂としてのアクリルスチレン共重合体を含有するものでもよい。また、着色材552がカーボンブラックを含有した粒子である場合、当該粒子の粒径は、2次凝集体(アグロメレート)の粒径によって規定される。なお、暗色とは、JIS Z 8781-4:2013に準拠して測定可能であるL*、a*、およびb*のうちの、L*の値で示される明度が、50未満となるものを意味する。明度の値は、例えば、ハイパースペクトルカメラJFEテクノリサーチ株式会社製HSI-1000と光学顕微鏡との組み合わせを用いて測定され得る。本件発明者の知見では、光の吸収性を確保する観点から、着色材の明度(L*)は、40未満であることが好ましく、30未満であることがより好ましく、20未満であることがさらに好ましい。
このような着色材552が染料または顔料である場合は、着色材552は、着色層550において1.0質量%以上5.0質量%以下の割合で含まれており、好ましくは2.0質量%以上4.0質量%以下の割合で含まれている。一方、着色材552が着色ビーズである場合は、着色材552は、着色層550において5.0質量%以上25.0質量%以下の割合で含まれており、好ましくは10.0質量%以上20.0質量%以下の割合で含まれている。
なお、例えば着色材552の比重が極端に大きい又は小さい場合や、バインダー樹脂551の比重が極端に小さい等の条件になった場合には、上述の好ましい質量%の数値範囲は変動する可能性がある。特に着色材552が顔料または顔料や染料で着色された着色ビーズである場合、質量%の数値範囲は変動しやすい。そこで、本実施の形態では、着色材552が顔料または顔料や染料で着色された着色ビーズである場合、着色材552が光学的機能を発揮する条件を、着色材552の個数の観点からも以下のように特定する。
着色材552が顔料または顔料や染料で着色された着色ビーズである場合、着色材552の個数の観点から着色材552の含有程度を特定すると、すなわち、上述した重量%を個数に換算すると、着色材552の数は、着色層550の厚さ方向に光学フィルム500を見た際に、900平方μm当たり1個以上25個以下となる。より詳しくは、着色層550の厚さ方向に光学フィルム500を見た際に透けて見える全ての着色材552をカウントし、カウントした着色材552の数が、1個以上25個以下となる。
上記重量%及び個数で特定される着色材552の含有量は、光学フィルム500を構成する構成要素の硬化後の値である。なお、着色材552が、着色層550の合計質量に対して1.0重量%以上5.0重量%以下の割合となるように着色層550に含まれれば、表示装置10において輝度を過度に低下させずに、後述するような画像の視認性を向上させる効果を顕著に得ることができる。同様に、着色層550の厚さ方向に光学フィルム500を見た際に、900平方μm当たり1個以上25個以下である場合でも、表示装置10において輝度を過度に低下させずに、後述するような画像の視認性を向上させる効果を顕著に得ることができる。
上記重量%は、例えば断面のSEM画像における着色材552の大きさと、光学顕微鏡で測定される着色材552の個数とその観察対象の面積を利用して特定することができる。具体的には断面のSEM画像から求められた着色材552の平均直径を基に計算された着色材552の1つあたりの粒子重量を特定するとともに、光学顕微鏡により着色層550の表面を厚み方向で観察した際に確認される単位面積中の着色材552の個数を掛け算することにより、着色層550における着色材552の重量%を求めることができる。
また、着色層550の厚さ方向に光学フィルム500を見た際の着色材552の900平方μm当たりの個数は、光学顕微鏡を用いた画像撮影を行い、画像内の着色材552の個数をカウントすることで行うことができる。
より具体的には、以下のようにして着色材552の個数を特定できる。
光学フィルム500を一定の大きさで切り出した試料を作成する。試料の大きさは10×10mm以上が望ましい。試料が小さいとステージへの固定が難しく、そり等の微細な変形の影響が大きくなるので観察の難易度が上昇してしまうからである。そして、試料を光学顕微鏡のステージにセットする。光学顕微鏡は1000倍以上の拡大が可能で透過光モードで観察できるものであれば形式等は問わない。そして、ステージに置かれた試料を例えば1000倍で観察して、一つの層又は複数の層の中に含まれる着色材552をカウントすることにより単位面積に含まれる着色材552の個数をカウントすることが可能になる。
着色層550の厚さが1μm以上13μm以下であることが好ましく、4μm以上7μm以下であることがより好ましい。
着色層550の屈折率は、基材501の屈折率より大きく、光学機能層503の第2の層505の屈折率より小さいことが好ましい。具体的には、着色層550の屈折率は、1.52以上1.70以下であることが好ましい。このような場合、液晶パネル15からの画像光の損失を抑制しながら、表示される画像の品質を向上させることができる。
なお、着色材552は、着色層550に限らず、第2の層505と第1の層504との間の界面520より第2の層505の側であれば、光学フィルム500の任意の位置に設けられていてもよい。例えば、着色材552は、第2の層505に含有されるように設けられていてもよいし、基材501に含有されるように設けられていてもよい。
次に、本実施の形態の光学フィルム500及び光学フィルム500を有する表示装置10の作用について説明する。
液晶パネル15の表示面15Aから出射した画像光は、光学フィルム500の光学機能層503に入射する。光学機能層503に入射した画像光は、図15に示すように、まず、第1の層504を進み、次に、第1の層504と第2の層505との界面520に入射する。
表示面15Aから正面方向に進み、第2の層505と第1の層504との界面520の平坦面520Aに入射した画像光は、図15の画像光L151,L152に示すように、光学機能層503で光学的な作用を受けることなく、すなわち光学機能層503で屈折することなく、光学機能層503を透過する。
一方、第2の層505と第1の層504との界面420の斜面520Sに入射した画像光のうち、正面方向に進む画像光L153,L154、並びに、正面方向に対して傾斜した方向に進む画像光L155,L156は、正面方向に対する傾斜角度を大きくするように屈折する。その後、一部の画像光L153,L155は、光学機能層503から射出し、他の一部の画像光L154,L156は、さらに第2の層505と第1の層504との界面520で屈折した後、光学機能層503から射出する。これらの画像光L153~L156は、光学機能層503を透過する際における第2の層505及び第1の層504の界面520での屈折により、正面方向に対してより大きく傾斜した方向に進むようになる。すなわち、第2の層505と第1の層504との間の界面520での屈折作用により、光学機能層503を画像光が透過する際、図15に示すように、画像光の進行方向が正面方向に対してなす角度が大きくなる傾向を生じさせる。したがって、正面方向から第1方向D1に傾斜した方向にも、画像光が出射しやすくなる。このため、第1方向D1に傾斜した方向からでも、画像光を明瞭に観察することが可能となる。すなわち、表示装置10からの画像の視野角を広げることができる。
なお、光学機能層503を透過した画像光の一部、図15に示した例では画像光L152,L153は、着色層550の着色材552に吸収されてしまう。着色層550の着色材552に吸収されなかった画像光、図15に示した例では画像光L151,L154,L155,L156が、光学フィルム500を透過して、外部の観察者に観察される。
ところで、このような画像の視野角を広げることができる光学フィルムを液晶パネルの表示面に対面して配置すると、画像の視認性を悪化させる光が生じることがある。光学フィルムを配置することで生じる画像の視認性を悪化させる光としては、例えば、外部からの光が光学フィルムの内部で反射した光がある。画像の視認性の悪化を抑制するため、このような光を吸収させることが求められている。
このような光を吸収させるため、光学フィルムに光を吸収する着色材を添加することが考えられている。しかしながら、このような着色材は、表示装置からの画像光をも吸収してしまう。このため、画像の視認性を悪化させる光を吸収させようとすると、画像自体の視認性をも悪化させてしまう。本件発明者らが検討した結果、光学フィルムにおいて着色材を設ける位置を工夫することで、着色材によって画像の視認性を悪化させる光を効率よく吸収させることができることを見出した。すなわち、画像の視認性の悪化を抑制しながら、画像の視認性を悪化させる光を効率よく吸収させることができることを見出した。以下において、画像の視認性の悪化を効率よく抑制させることができると推察される原理について説明する。ただし、本実施の形態は、この推察に限定されるものではない。
本実施の形態の光学フィルム500は、光学機能層503の第2の層505と第1の層504との間の界面520より第2の層505の側に、着色材552が設けられている。この場合、図16に示すように、表示装置10の外部から光学フィルム500に入射した光の一部は、光L161のように、着色層550の着色材552に吸収される。あるいは、外部から光学フィルム500に入射した光の他の一部は、光L162のように、着色層550を透過して、光学機能層503の第2の層505と第1の層504との間の界面520に入射する。その後、光L162は、界面520で反射して、その後再び着色層550に入射して、着色層550の着色材552に吸収される。光学機能層503の第2の層505の屈折率が第1の層504の屈折率より大きいと、光学フィルム500における光の反射は、界面520で特に起こりやすい。外部から入射して光学フィルム500の内部で反射した光は、着色材552を含む着色層550を2回通過することになる。したがって、界面520より表面側、すなわち第2の層505の側に着色材552を設けることで、外部から入射して光学フィルム500の内部で反射した光を効率よく吸収することができる。すなわち、外部から光学フィルムに入射して光学フィルムにおいて反射した光L162、または反射しようとする光L161が外部に出射することを抑制して、このような光によって、光学フィルム500が配置された表示装置10が表示する画像の視認性が悪化してしまうことを抑制することができる。
また、外部からの光が液晶パネル15や面光源装置20の内部で反射した光も、光学フィルム500の内部で反射した光と同様に、画像の視認性を悪化させ得る。光学フィルム500に着色材552を設けることで、外部から入射して液晶パネル15等の内部で反射した光は、着色材552を含む着色層550を2回通過することになる。このため、外部から入射して光学フィルム500の内部で反射した光を効率よく吸収することで外部に出射することを抑制して、画像の視認性を悪化させてしまうことを抑制することができる。
一方、図15に示すように、液晶パネル15から出射した画像光は、光学フィルム500を透過して表示装置10から出射するまで、着色材552を含む着色層550を1回しか通過しない。したがって、画像光は、外部からの光に比べて、着色材552に吸収されにくい。このように、画像光より外部からの光が吸収されやすいため、画像光が吸収されることによる画像の視認性の悪化を抑制しながら、画像の視認性を悪化させる光学フィルムの内部等で反射した光を効率よく吸収することができる。
着色材552は、基材501や第2の層505に含まれていてもよいが、着色層550に含まれていることが好ましい。着色材552が着色層550に含まれていることで、着色材552を光学フィルム500の所望の位置に容易に設けることができる。
さらに、着色材552は、着色層550において1.0質量%以上5.0質量%以下の割合で、好ましくは2.0質量%以上4.0質量%以下の割合で含まれている。着色材552が1.0質量%以上含まれていることで、着色層550を2回通過することになる外部から入射して光学フィルム500の内部で反射した光を、着色材552に十分に吸収させることができ、着色材552が2.0質量%以上含まれていることで、光学フィルム500の内部で反射した光を着色材552により十分に吸収させることができる。すなわち、外部から光学フィルムに入射して光学フィルムにおいて反射した光L162、または反射しようとする光L161が外部に出射することを抑制して、画像の視認性を悪化させてしまうことを抑制することができる。また、着色材552が5.0質量%以下含まれていることで、着色層550を1回通過することになる液晶パネル15から出射した画像光を過剰に吸収して画像の視認性を悪化させてしまうことを、効果的に抑制することができ、着色材552が5.0質量%以下含まれていることで、着色材552が画像光を過剰に吸収して画像の視認性を悪化させてしまうことをより効果的に抑制することができる。具体的には、着色層550において吸収される画像光の割合を、10%以下とすることができる。
また、着色材552は、黒色である。黒色の着色材552は、全ての可視光波長の光を吸収することができる。したがって、外部から光学フィルムに入射して光学フィルムにおいて反射した光によって、画像の色再現性が崩れることを避けることができる。また、特定波長の色の光のみを吸収して、画像光の色再現性が崩れることを避けることができる。
以下、実施例を用いて第5の実施の形態の光学フィルム500をより詳細に説明するが、第5の実施の形態に係る光学フィルム500は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例、参考例及び比較例として、着色材を設ける位置や着色材の含有量が異なる光学フィルムを用意した。各光学フィルムは、基材と、基材に積層された光学機能層と、を有している。光学機能層は、第2の層と、第2の層に積層された第1の層と、を有している。第2の層の屈折率は、第1の層の屈折率より大きくなっている。具体的には、第2の層の屈折率は1.65、第1の層の屈折率は1.48となっている。第2の層と第1の層との間の界面は、凹凸形状をなしている。
参考例1では、光学フィルムが着色材を含んでいない。実施例3及び実施例4では、参考例1の光学フィルムの基材と光学機能層との間に黒色の着色材を含む着色層を配置している。実施例3では、着色材は、着色層において2.0質量%の割合で含まれている。実施例4では、着色材は、着色層において4.0質量%の割合で含まれている。一方、参考例2では、参考例1と同様に、光学フィルムが着色材を含んでいない。比較例3及び比較例4では、参考例2の光学フィルムの第1の層に黒色の着色材が含まれている。比較例3では、着色材は、第1の層において2.0質量%の割合で含まれている。比較例4では、着色材は、第1の層において4.0質量%の割合で含まれている。
これらの光学フィルムを、表示装置の表示面に対面して配置し、表示面に白色の画像を表示した状態で、光学フィルム付き表示装置の正面輝度を測定した。また、各光学フィルムの可視光反射率を測定した。可視光反射率は、分光色計・色彩色差計(コニカミノルタ製 CM-600d)を用いて正反射を含む全反射の反射率(SCI)を測定した。
各実施例、比較例及び参考例についての正面輝度及び可視光反射率の測定結果を以下の表21に示す。また、実施例3,4では、参考例1に対する正面輝度の比を、比較例3,4では、参考例2に対する正面輝度の比を、それぞれ計算した。
参考例1、実施例3及び実施例4と参考例2、比較例3及び比較例4との正面輝度比の比較から、着色材を増やすと、着色材を設けた位置によらず、正面輝度が低下していることが理解される。具体的には、実施例3及び比較例3の正面輝度比の結果から、着色材が2.0質量%の割合で含まれていると、着色材を設けた位置によらず、正面輝度が約5%低下することが理解され、実施例4及び比較例4の正面輝度比の結果から、着色材が4.0質量%の割合で含まれていると、着色材を設けた位置によらず、正面輝度が約10%低下することが理解される。正面輝度の低下を抑制するために、具体的には正面輝度の低下の割合を10%以下とするためには、着色材の含有量は4.0質量%以下であることが好ましい。
一方、参考例1、実施例3及び実施例4と参考例2、比較例3及び比較例4との全反射の反射率の比較から、着色材を設けた位置によって、反射率が異なることが理解される。すなわち、実施例3及び実施例4のように、着色材を界面より第2の層の側、具体的には基材と光学機能層との間に設けることで、比較例3及び比較例4のように、着色材を界面より第1の層の側、具体的には第1の層に設けることよりも、反射を抑制することができることが理解される。
また、実施例3及び実施例4の比較から、着色材の含有量を多くすることで、反射光が出射することをより抑制することができることが理解される。具体的には、実施例3と比較例1の比較から着色材が含まれる割合を2.0質量%以上とすることで、光学積層体での反射光の出射を効果的に抑制することができることが理解される。
以上から、着色材を設ける位置を工夫することで、具体的には着色層を第2の層と第1の層との界面より第2の層の側に設けることで、正面輝度の低下を抑制しながら、すなわち着色材の量を多くすることなく、光学フィルムに入射した外部からの光の反射を抑制することができることが理解される。
以上、本発明の各実施の形態を説明したが、本発明は上述の実施の形態における構成に限られるものではなく、種々の変更が加えられてもよい。また、各実施の形態における構成が適宜組み合わされてもよい。この場合、3つ以上の実施の形態における構成が組み合わされてもよい。
例えば、図17に示す変形例において、光学フィルム600は、基材601と、基材601の表面に設けられる表面材602と、基材601の裏面に設けられる光学機能層603と、を備えている。この変形例において、光学機能層603は、第1の層604と、第1の層604と屈折率が異なり且つ第1の層604の基材601側で第1の層604に接合される第2の層605と、第1の層604と屈折率が異なり且つ第1の層604の第2の層605とは反対側に積層された第3の層606と、を有している。また、第1の層604と第2の層605との第1界面が凹凸形状をなしており、第1の層604と第3の層606との第2界面が凹凸形状をなしている。さらに、第1界面より第2の層605の側に、着色材652が設けられている。そして、第2の層605、基材601、及び表面材602の各屈折率は、この順で小さくなっている。すなわち、図17に示された変形例の光学フィルム600は、上述した第1の実施の形態の光学フィルム100の特徴と、第4の実施の形態の光学フィルム400の特徴と、第5の実施の形態の光学フィルム500の特徴と、を有している。このような光学フィルム600によれば、上述した第1の実施の形態の光学フィルム100、第4の実施の形態の光学フィルム400、及び第5の実施の形態の光学フィルム500が奏する各効果を奏することができる。
なお、当然に、各実施の形態における構成の他の組み合わせも可能である。
また、例えば上述の各実施の形態では、レンズ部110がフィルム面に沿って長尺状になる形状を有するが、図18に示すようにレンズ部110はフィルム面においてマトリクス状に配列されてもよい。また、図18の例ではレンズ部110が四角錐状であるが、円錐状、六角錐状、八角錐状等であってもよい。また、上述の第1、第2の実施の形態にかかる光学フィルム100又は100-2は、偏光板(上偏光板13)と一体化され、光学フィルム付き偏光板の形態で流通してもよい。また、上述の第3の実施の形態にかかる光学フィルム100-3は、用途に応じて、円偏光板220と一体化され、光学フィルム付き偏光板の形態で流通してもよい。
さらに、上述の各実施の形態では、偏光板(上偏光板)13が光学フィルム100の低屈折率層104(光学フィルム400,500の第1の層404,504)に接合されている。しかしながら、偏光板の偏光子が光学フィルムに接合されていてもよい。
より詳しくは、上述した各実施の形態では、偏光板13は、一対の保護膜13Aと、一対の保護膜13Aの間に配置された偏光子13Bと、を含んでいる。したがって、偏光板13の保護膜13Aが光学フィルムの低屈折率層104(第1の層404,504)と接合されている。光学フィルムの偏光板13に接する層、例えば低屈折率層104(第1の層404,505)が偏光板13との粘着層を兼ねる場合、光学フィルムに偏光板13が直接貼り合わされる。あるいは、図19に示すように、光学フィルムと偏光板13との間に粘着層30が配置されている場合、粘着層30を介して、光学フィルムに偏光板13が貼り合わされる。
しかしながら、保護膜13Aの一方が省略されており、偏光子13Bが光学フィルムの低屈折率層(第1の層)と接合されていてもよい。光学フィルムの偏光子13Bに接する層、例えば低屈折率層104(第1の層404,505)が偏光板13との粘着層を兼ねる場合、光学フィルムに偏光子13Bが直接貼り合わされる。あるいは、図20に示すように、光学フィルムと偏光子13Bとの間に粘着層30が配置されている場合、粘着層30を介して、光学フィルムに偏光子13Bが貼り合わされる。