JP3627613B2 - 自動車の駆動力制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の駆動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
登録特許第2641004号「車両用無段変速機における加速および減速スキップ変速制御方法」に於いて、発明者は加速意志を示す指標(アクセル開度等)の変化率に応じて変速比変化速度を増大補正することを提案している。また、登録特許第2900747号「車両用自動変速制御装置」に於いては、発明者はアクセル操作量の未来値を非線形方程式を用いて予測し変速が急なアクセル動作に対しても追従性良く反応するようにしている。
【0003】
また、特開昭62−110536号「車両駆動系の制御装置」に於いては、アクセル開度と車速に応じて目標駆動トルクを算出し、目標駆動トルクと実変速比に応じて目標エンジントルクを求める方式が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭62−110536号に示されたような制御構成をとる場合、急加速時の変速機の応答性が遅い場合には変速比の変化が遅れた分、エンジントルクが高負荷側にオーバーシュートする形となり、エンジントルク×変速比で表される駆動力が目標駆動力に追従するように制御される。しかしながら、燃費最適となるような動作線が設定されている場合は、一般的に低回転高負荷側を通る動作線となり、エンジントルクの余裕分が小さいため、上記エンジントルクのオーバーシュートに限界があり、結果として目標駆動力が実現できないことになる。一方、応答性を確保するため、あらかじめ動作線を変速比Lo側に設定しておくと燃費が悪化するという弊害がある。
【0005】
また、登録特許第2641004号、登録特許第2900747号に於いては変速機の応答遅れに伴う加速不足を補うため、急加速を早めに予測して変速速度を増速したり、アクセル変化量を先読みしてなるべく変速が早めにLo側に変化する工夫をしている。しかしながら、これらの発明に於いては変速比のみの制御を早める工夫をしているため、事前に加速要求が来ることを予測して、エンジントルクは一定のままLo側に変速すると、駆動力が増大側に変化してしまう。即ち、運転者が実際に加速意志を動作に移す前に行う制御では、予測が間違うと運転者が違和感を感じ、アクセル操作によって駆動力を所望の値に戻さなければいけないという運転性上の課題があった。そのため、これらの発明に於いては実際にアクセルが踏まれた後にしか制御を実行できず、変速機の応答速度よりも速い加速要求があった場合には対応しきれないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、アクセルペダルの急踏み込みといった急な加速要求に対する高い駆動力応答性の実現と、急加速が必要でない場合には燃費が最適となる運転を両立し、両モードの切り換え時には駆動力変化のないスムーズな切り換えが可能となる制御を提案するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、エンジンと駆動輪との間に設けられた多段もしくは無段の変速機の変速比を検出する手段と、運転者の現在の加減速意志を検出する現在加減速意志検出手段と、検出された現在加減速意志と車両の状態を基に車両の目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、目標駆動力を実現するエンジン回転数とエンジントルクの組合せの中から所定の動作線を基に目標変速比を選択して、動作点を決定する動作点決定手段と、目標駆動力を実際の変速比で割った値に関して目標エンジントルクを決定する目標エンジントルク決定手段と、目標エンジントルクに基づいてエンジントルクを操作するエンジントルク操作手段と、目標変速比に基づいて変速機の変速比を操作する変速比操作手段とを有する自動車の駆動力制御装置において、運転者の将来の加減速意志を予測する将来加減速意志予測手段と、将来加減速意志予測手段により、近い将来運転者が加減速する可能性が高いと判断したときには、加減速する可能性が低いと判断したときに比べ、変速比Lo側を通る動作線を選択して、目標駆動力は同一のまま変速機の変速比をLo側にシフトする事前変速手段とを設け、前記将来加減速意志予測手段は、将来の加減速する可能性と加減速量を予測するものであり、前記近い将来加減速する可能性が高いと判断したときに選択する動作線と加減速する可能性が低いと判断したときに選択する動作線における変速比の差は、加減速量予測値の大きさに依存して決定する。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記加減速量予測値は、加減速時の目標駆動力変化量として予測し、加速する事が予測される場合には、現在の目標駆動力に予測した目標駆動力変化量を足した駆動力を全開のエンジントルクで実現できる変速比を求めて、該変速比にシフトする。
【0012】
第3の発明は、第1、第2の発明において、前記将来加減速意志予測手段は、走行中前車との距離を計測する手段を有し、前車との相対距離の絶対値、またはその変化率に関して将来加減速意志を予測する。
【0014】
第4の発明は、エンジンと駆動輪との間に設けられた多段もしくは無段の変速機の変速比を検出する手段と、運転者の現在の加減速意志を検出する現在加減速意志検出手段と、検出された現在加減速意志と車両の状態を基に車両の目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、目標駆動力を実現するエンジン回転数とエンジントルクの組合せの中から所定の動作線を基に目標変速比を選択して、動作点を決定する動作点決定手段と、目標駆動力を実際の変速比で割った値に関して目標エンジントルクを決定する目標エンジントルク決定手段と、目標エンジントルクに基づいてエンジントルクを操作するエンジントルク操作手段と、目標変速比に基づいて変速機の変速比を操作する変速比操作手段とを有する自動車の駆動力制御装置において、運転者の将来の加減速意志を予測する将来加減速意志予測手段と、将来加減速意志予測手段により、近い将来運転者が加減速する可能性が高いと判断したときには、加減速する可能性が低いと判断したときに比べ、変速比 Lo 側を通る動作線を選択して、目標駆動力は同一のまま変速機の変速比を Lo 側にシフトする事前変速手段とを設け、前記将来加減速意志予測手段は、アクセルペダルの踏力を計測する手段を有し、アクセル踏力の変化率に関して将来加減速意志を予測する。
【0015】
【発明の効果】
第1の発明では、将来加減速意志予測手段が、加減速要求が来る可能性が低いと判断した場合には燃費重視のHi側変速比運転点を運転し、加減速が来る可能性が高いと判断した場合にはレスポンスを重視したLo側変速比運転点を運転するので、燃費と加減速のレスポンスの両立が図れる。また、Hi側変速比運転点とLo側変速比運転点の間の切り換えは駆動力一定線上で行われるので、予測した通りに運転者が加減速を行わなかった場合でも運転性上の問題を起こさないため、運転者のアクセル操作の十分前に切り換えを行うことが可能である。
【0018】
また、将来加減速予測として加減速要求駆動力の概略を予測でき、その大きさに応じた変速比シフト幅分Lo側に変速しておくことで、急加速要求時も駆動力不足の起きるリスクを減じることができる。
【0019】
第2の発明では、将来の加速が予測される際に到達されることが予測される駆動力を最大エンジントルクで実現するために必要なエンジン回転数は一つ決まるが、事前にそのエンジン回転まで上昇させるように変速比をシフトしておくので、加速要求が来たときに変速比移動量はゼロで、エンジントルクのレスポンスだけで加速を行え、最大のレスポンスを得ることができる。これは、一般的に変速比を変化させるレスポンスよりもエンジントルクを変化させるレスポンスの方が速いからである。
【0020】
第3の発明では、前車との距離の絶対値または変化率を見ているため、急接近による急減速や急に前車が加速して遠ざかっていく場合に追従しようとして自車も加速しようとする場合、また急接近時に車線変更を行い追い越しをかける場合等の急加減速意志を予測することが可能である。
【0022】
第4の発明では、アクセル開度が変化する前に生じるアクセル踏力の変化により、事前に将来加減速意志の有無を予測することができる。
将来加減速意志予測手段が、加減速要求が来る可能性が低いと判断した場合には燃費重視の Hi 側変速比運転点を運転し、加減速が来る可能性が高いと判断した場合にはレスポンスを重視した Lo 側変速比運転点を運転するので、燃費と加減速のレスポンスの両立が図れる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は本発明に係わる自動車の駆動力制御装置の全体構成を示したものである。
【0025】
図において、エンジン1の出力は、クラッチ15、ベルト方式の無段変速機(以下CVTと呼ぶ)2、ディファレンシャルギア19を介して駆動輪5に伝えられる。CVT2の入力軸プーリ16と出力軸プーリ17の間には伝導ベルト18がかかっており、各プーリ16,17の溝幅を油圧機構等により制御することによって変速比が無段階に変化するように制御される。
【0026】
入力軸プーリ16の回転速度は回転数センサ13により計測され、変速機制御ユニット(ATCU)4およびエンジン制御ユニット3に入力される。出力軸プーリ17の回転速度は回転数センサ14(車速センサを兼ねる)により計測され、変速機制御ユニット4およびエンジン制御ユニット3に入力される。
【0027】
エンジン制御ユニット3には、アクセルペダル6の踏み込み量を検出する現在加減速意志検出手段としてのアクセル開度センサ7、スロットル弁9の開度を検出するスロットル開度センサ11、エンジン回転数センサ12、CVT入力軸回転数センサ13、CVT出力軸回転数センサ14の信号の他、運転者の将来の加減速意志を予測するために、前車との車間距離を計測する車間距離レーダー25等による車間距離情報、ウインカーレバー26が操作されたことを示す信号(操作スイッチの信号)、アクセルペダル6の踏力を検出するアクセルペダル踏力センサ8の出力信号が入力回路23を介し入力される。
【0028】
スロットル弁9の開度は、出力回路24を介し電子制御スロットルモータ10ヘ出力される制御電流によって制御される。
【0029】
そして、エンジン制御ユニット3は、各信号に基づいて目標駆動力を演算して、目標駆動力から目標エンジントルクとCVT目標入力回転数(目標変速比)を求めて、目標エンジントルクを実現するように、スロットル弁9の開度、エンジンの燃料噴射量を制御する。
【0030】
また、変速機制御ユニット4は、CVT入力軸回転数がエンジン制御ユニット3からの指令値であるCVT目標入力回転数に一致するように(目標変速比を実現するように)、CVT2の変速比を制御する。
【0031】
図2は、図1に示した全体構成の中で、目標駆動力を生成し、各アクチュエータの動作量指令値を出力するまでの制御ブロック構成を示したものである。
【0032】
この中で、APOはアクセル開度、VSPは車速、tTdは目標駆動力、tNinはCVT目標入力軸回転数、rNinはCVT実入力軸回転数、rNoutはCVT実出力軸回転数、rRATIOはCVT実変速比、tTeは目標エンジントルク、tTVOは目標スロットル開度を示している。
【0033】
ブロック101では、アクセル開度APO信号、車速VSP信号を基に、図中に示すマップを検索して目標駆動力tTdを演算する。
【0034】
ブロック102では、目標駆動力tTd、車速VSP信号を基に、図中に示すマップ(複数)を検索してCVT目標入力軸回転数tNinを演算する。
【0035】
CVT2は、CVT実入力軸回転数rNinがCVT目標入力軸回転数tNinに一致するように、変速比のフィードバック制御を行う。
【0036】
CVT実入力軸回転数rNin/CVT実出力軸回転数rNout=CVT実変速比rRATIOとし、目標駆動力tTdをCVT実変速比rRATIOで除したものより目標エンジントルクtTeを算出し、ブロック103では目標エンジントルクtTeに見合った目標スロットル開度tTVOを出力する。
【0037】
ブロック102の演算においては、エンジンの燃料消費率を最小にする燃費優先マップ(変速比Hi側)と、高い駆動力応答を得るレスポンス優先マップ(変速比Lo側)の少なくとも2種類のマップを設け、燃費優先マップからの出力をtNin1、レスポンス優先マップからの出力をtNin2として、最終的なCVT目標入力軸回転数tNinは、将来加減速予測に基づいたレスポンス係数tRN(0≦tRN≦1)を用い、
tNin=(1−tRN)×tNin1+tRN×tNin2 …(1)
により求める。
【0038】
この場合、燃費優先マップは、エンジン回転数とエンジントルクの組合せの中からエンジンの燃料消費率を最小にする動作線(図4の最適燃費率動作線)を基にCVT目標入力軸回転数tNin1を、レスポンス優先マップは、高い駆動力応答を得る変速比Lo側を通る動作線(図4の燃費悪化率許容限界動作線)を基にCVT目標入力軸回転数tNin2を設定している。
【0039】
図3は、レスポンス係数tRNを求める部分の制御の流れを表したフローチャートである。
【0040】
図3において、ステップ1ではレスポンス係数(レスポンス重視比率)tRNの前回値tRN#OLDを読み込む。
【0041】
ステップ2〜5では、アクセルペダル6の踏力を読み込み、踏力の変化率が所定値以上の場合、近い将来運転者が加減速する可能性が高い(踏力を増加した場合、近い将来運転者が加速する可能性が高い、また踏力を減少した場合、近い将来運転者が減速する可能性が高い)と判断して、レスポンス係数tRNの前回値tRN#OLDに所定加算量Δ1を加算して、新しいレスポンス係数tRNを求める。
【0042】
ステップ6〜9では、前車との車間距離を読み込み、車間距離の変化率が所定値以上の場合、近い将来運転者が加減速する可能性が高い(前車との車間距離が開いて行く場合、近い将来運転者が加速する可能性が高い、また前車との車間距離が詰まって行く場合、近い将来運転者が減速する可能性が高い)と判断して、レスポンス係数tRNの前回値tRN#OLDに所定加算量Δ2を加算して、新しいレスポンス係数tRNを求める。
【0043】
ステップ10〜12では、ウインカーレバー26(ターンシグナル)が操作された場合、即ち右左折あるいは車線変更する場合、近い将来運転者が加減速する可能性が高いと判断して、レスポンス係数tRNの前回値tRN#OLDに所定加算量Δ3を加算して、新しいレスポンス係数tRNを求める。
【0044】
ステップ13では、前記3条件がいずれも成立しない場合には、レスポンス係数tRNの前回値tRN#OLDから所定値Δ4を減算する。
【0045】
なお、レスポンス係数tRNには、上下にリミット(0≦tRN≦1)を設けている。
【0046】
このように、アクセルペダル6の踏力の変化率が所定値以上の場合(踏力を増加した場合あるいは減少した場合)、あるいは前車との車間距離の変化率が所定値以上の場合(前車との車間距離が開いて行く場合あるいは詰まって行く場合)、あるいはウインカーレバー26が操作された場合(右左折あるいは車線変更する場合)、レスポンス係数tRNを大きくし、CVT目標入力軸回転数tNinを高くする。このため、変速比はLo側にシフトすると共に、このとき目標駆動力は変わらないので、変速比がLo側にシフトするのにしたがい、エンジントルクは低下する。
【0047】
即ち、近い将来運転者が加減速する可能性が高いと判断したときには、目標駆動力は同一のまま、変速比をLo側に事前にシフトして、エンジントルクを事前に低下しておくのである。
【0048】
したがって、この直後、急加速したときに、エンジントルクを十分に増大でき、高い駆動力応答を確保できる。また、減速したときは、変速比を事前にLo側にシフトしているので、良好な減速性を維持できる。
【0049】
一方、変速比をLo側にシフトするのにしたがいエンジントルクを低下するので、そのシフトに起因してあるいは加減速の予測が外れたときに運転者に違和感を与えることがない。
【0050】
なお、近い将来運転者が加減速する可能性が低いと判断したときには、エンジンの燃料消費率を最小にする運転点を運転するため、燃費を向上できる。
【0051】
図8に最適燃費率線のみをトレースする場合の従来例の加速動作を、図4に本例の加速動作を示す。
【0052】
図8の従来例は、馬力Aから馬力Bへと急加速により目標駆動力が増大する場合、CVT変速動作よりもエンジントルクレスポンスのほうが速いため、エンジン動作線は太線のようにトルク増大側に移動する。しかしながら、一般的にエンジンの最適燃費線は、最大トルクに対してあまり余裕の大きくない領域を通る場合が多いので、エンジントルクは上限(最大トルクライン)にはりつき、その間は実駆動力は達成できない。図9は図8の太線のようにエンジントルクが上限にはりついた場合のタイミングチャートを示している。アクセル開度がステップ状に増大したとき、目標駆動力、目標変速比ともステップ的に増大する。一方、実変速比は遅れをもって変化するため、目標駆動力を実変速比で除した値に関して決められる目標エンジントルクは変速比の変化が足りない分、大き目に変化する。しかし、エンジントルクは最大値以上にはならないので頭打ちになり、実駆動力は目標を下回るのである。
【0053】
これに対し、図4の本例は、馬力Aから馬力Bへと急加速により目標駆動力が増大する場合、事前に将来加速意志を予測して燃費悪化率許容限界動作線まで変速比を等駆動力線(馬力=A)上をLo側に移動する。そして、実際にアクセルペダルが踏み込まれたときは、変速比の増大が遅れをもち、エンジントルクがそれを補おうと大き目に変化する。この場合、図8の場合と異なり、実駆動力=目標駆動力となるのに必要なエンジントルクは最大トルクよりも小さいため、実駆動力は目標駆動力を精度よく追従できる。図5は図4(または図7)の太線のように動作点が移動した場合のタイミングチャートを示している。図5の場合は将来加速意志の予測のために用いる信号として、アクセル踏力センサ信号を用いている。アクセルペダル踏力とアクセル開度の間には一般に摩擦抵抗分のヒステリシスがあるため、アクセルペダルを踏み増しする場合にはそれ以前にアクセル踏力が変化(増加)する場合が多い。したがって、アクセル踏力の事前の変化を検知し、目標変速比を事前に変化させるが、その時点では目標駆動力はまだ増大していないので、目標エンジントルクは一旦減少する。これにより、実際にアクセル開度が増大すると、エンジントルクが増大すると共に、エンジントルクは頭打ちしないため、実駆動力は精度よく実現される。
【0054】
一方、アクセル踏力が減少した場合、将来減速意志を予測して、減速時に良好な減速性が確保される。
【0055】
また、前車との車間距離を基に、例えば前車の急接近による急減速や急に前車が加速して遠ざかっていく場合に追従しようとして自車も加速しようとする場合、また急接近時に車線変更を行い追い越しをかける場合等の急加減速意志を予測することができ、加速時に実駆動力は精度よく実現され、減速時に良好な減速性が確保される。なお、前車との車間距離の絶対値を基に、将来加減速意志を予測するようにしても良い。
【0056】
また、ウインカーレバー26の操作を基に、例えば右左折時の減速、追い越しのための加速に伴う車線変更、高速道路の側道への減速しながらの車線変更、高速道路への合流時等の加減速意志を予測することができ、加速時に実駆動力は精度よく実現され、減速時に良好な減速性が確保される。
【0057】
図6は本発明の別の実施形態を示す。これは、アクセルペダル6の踏力の変化が生じた場合、および前車との車間距離の変化が生じた場合に、変化率に応じて駆動力の加算予測を行うものである。
【0058】
図6において、ステップ11では現在の目標駆動力tTdを読み込む。
【0059】
ステップ12〜15では、アクセルペダル6の踏力を読み込み、踏力の変化率が所定値以上の場合、即ち踏力を増加した場合(近い将来運転者が加速する可能性が高い)、これを基に駆動力加算予測値を演算する。
【0060】
ステップ16〜19では、前車との車間距離を読み込み、車間距離の変化率が所定値以上の場合、即ち前車との車間距離が開いて行く場合(近い将来運転者が加速する可能性が高い)、これを基に駆動力加算予測値を演算する。
【0061】
ステップ20〜22では、ウインカーレバー26(ターンシグナル)が操作された場合、即ち左折、右折あるいは車線変更する場合、一定の駆動力加算予測値を設定する。
【0062】
ステップ23,24では、最大の駆動力加算予測値を選択して、現在の目標駆動力tTdにその駆動力加算予測値を加えたものを駆動力予測値として決定する。
【0063】
ステップ25,26では、決定した駆動力予測値を全開エンジントルクで実現できるエンジン回転数を計算して、目標CVT入力回転数tNinとして出力する。
【0064】
図7にはこの場合の加速動作を示している。予測された加速後の目標駆動力に対応した馬力B(駆動力予測値)に対し、等馬力線上で最大エンジントルクの点を求める。その点から等エンジン回転数の馬力Aの点を求めると、その点が馬力Bまで加速するときの必要Loシフト点となる。したがって、加速時に変速遅れをエンジントルクによって補償でき、良好な目標駆動力追従性が得られる。なお、この場合、実際の駆動力加算量が予測値内であれば、エンジントルクのレスポンスによって加速が行われる。
【0065】
なお、各実施形態は無段変速機に適用した例を示したが、多段の変速機に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる車両駆動力制御装置の全体構成図である。
【図2】制御ブロック構成図である。
【図3】制御の流れを表したフローチャートである。
【図4】加速動作を説明する線図である。
【図5】アクセルペダルの急な踏み増し時のタイミングチャートである。
【図6】本発明の別の実施形態の制御の流れを表したフローチャートである。
【図7】加速動作を説明する線図である。
【図8】従来の加速動作を説明する線図である。
【図9】そのタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 無段変速機(CVT)
3 エンジン制御ユニット
4 変速機制御ユニット
5 駆動輪
6 アクセルペダル
7 アクセル開度センサ
8 アクセルペダル踏力センサ
9 スロットル弁
10 電子制御スロットルモータ
12 エンジン回転数センサ
13 CVT入力軸回転数センサ
14 CVT出力軸回転数センサ
25 車間距離レーダー
26 ウインカーレバー
Claims (4)
- エンジンと駆動輪との間に設けられた多段もしくは無段の変速機の変速比を検出する手段と、
運転者の現在の加減速意志を検出する現在加減速意志検出手段と、
検出された現在加減速意志と車両の状態を基に車両の目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
目標駆動力を実現するエンジン回転数とエンジントルクの組合せの中から所定の動作線を基に目標変速比を選択して、動作点を決定する動作点決定手段と、
目標駆動力を実際の変速比で割った値に関して目標エンジントルクを決定する目標エンジントルク決定手段と、
目標エンジントルクに基づいてエンジントルクを操作するエンジントルク操作手段と、
目標変速比に基づいて変速機の変速比を操作する変速比操作手段とを有する自動車の駆動力制御装置において、
運転者の将来の加減速意志を予測する将来加減速意志予測手段と、
将来加減速意志予測手段により、近い将来運転者が加減速する可能性が高いと判断したときには、加減速する可能性が低いと判断したときに比べ、変速比Lo側を通る動作線を選択して、目標駆動力は同一のまま変速機の変速比をLo側にシフトする事前変速手段とを設け、
前記将来加減速意志予測手段は、将来の加減速する可能性と加減速量を予測するものであり、前記近い将来加減速する可能性が高いと判断したときに選択する動作線と加減速する可能性が低いと判断したときに選択する動作線における変速比の差は、加減速量予測値の大きさに依存して決定することを特徴とする自動車の駆動力制御装置。 - 前記加減速量予測値は、加減速時の目標駆動力変化量として予測し、加速する事が予測される場合には、現在の目標駆動力に予測した目標駆動力変化量を足した駆動力を全開のエンジントルクで実現できる変速比を求めて、該変速比にシフトすることを特徴とする請求項1に記載の自動車の駆動力制御装置。
- 前記将来加減速意志予測手段は、走行中前車との距離を計測する手段を有し、前車との相対距離の絶対値、またはその変化率に関して将来加減速意志を予測することを特徴とする請求項1または2に記載の自動車の駆動力制御装置。
- エンジンと駆動輪との間に設けられた多段もしくは無段の変速機の変速比を検出する手段と、
運転者の現在の加減速意志を検出する現在加減速意志検出手段と、
検出された現在加減速意志と車両の状態を基に車両の目標駆動力を設定する目標駆動力設定手段と、
目標駆動力を実現するエンジン回転数とエンジントルクの組合せの中から所定の動作線を基に目標変速比を選択して、動作点を決定する動作点決定手段と、
目標駆動力を実際の変速比で割った値に関して目標エンジントルクを決定する目標エンジントルク決定手段と、
目標エンジントルクに基づいてエンジントルクを操作するエンジントルク操作手段と、
目標変速比に基づいて変速機の変速比を操作する変速比操作手段とを有する自動車の駆動力制御装置において、
運転者の将来の加減速意志を予測する将来加減速意志予測手段と、
将来加減速意志予測手段により、近い将来運転者が加減速する可能性が高いと判断したときには、加減速する可能性が低いと判断したときに比べ、変速比 Lo 側を通る動作線を選択して、目標駆動力は同一のまま変速機の変速比を Lo 側にシフトする事前変速手段とを設け、
前記将来加減速意志予測手段は、アクセルペダルの踏力を計測する手段を有し、アクセル踏力の変化率に関して将来加減速意志を予測することを特徴とする自動車の駆動力制御装置。
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