JP3621567B2 - 廃インク吸収体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は不要なインクを吸収し、保持して、周囲の汚染を防止できる廃インク吸収体、特にインクジェット記録装置に用いることのできる廃インク吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インク液滴を微小なオリフィスから吐出し、紙などの記録媒体上に付着させて、ドット記録を行うインクジェット記録装置が市販されている。このインクジェット記録装置の種類の1つとして、ドット記録が必要な時にのみインク液滴を吐出する、ドロップオンデマンド方式がある。このドロップオンデマンド方式を採用するインクジェット記録装置においては、常時インク液滴が吐出されているわけではないため、インクジェット記録装置を使用していない時に、インクが増粘したり、オリフィス及び/又はインク供給路付近で固着したり、或いはオリフィスの先端にゴミが付着したりする。そのため、空吐出や減圧吸引を行うことによって、正常にインク液滴を吐出できる状態へと回復動作を行っている。この空吐出や減圧吸引により生じる廃インクは廃インク吸収体に吸収、保持され、インクジェット記録装置の廃棄と同時に、この廃インク吸収体も廃棄される。このように、廃インク吸収体はインクジェット記録装置を廃棄するまでの長期間使用されるため、優れた吸液性が必要である。
【0003】
この廃インク吸収体として、パルプをバインダーで接着した繊維シート間に、パルプを主体とする二次元的に配列した繊維シートを多数積層したものが知られている。この廃インク吸収体は吸液性が優れているものの、吸液することによって廃インク吸収体の厚さ方向に膨張するため、インクジェット記録装置の小型化が困難であったり、この膨張した廃インク吸収体が印字制御回路部分と接触してインクジェット記録装置が誤動作を生じたり、ショートする可能性があった。
また、廃インク吸収体はインクジェット記録装置の幅よりもやや小さい大きさのものを、インクジェット記録装置に収容して使用されるが、インク液滴を記録媒体上にドット記録する動作は記録媒体の端部から順に行うため、空吐出や減圧吸引はインクジェット記録装置の端部において行われ、廃インクは廃インク吸収体の端部に滴下される。しかしながら、前記の廃インク吸収体は吸液性のパルプを主体としているため廃インクの拡散性が悪く、廃インク吸収体全体を使用することが困難で、最悪の場合には、廃インクがオーバーフローしてしまう可能性があった。
【0004】
他方、廃インク吸収体として、高吸水性繊維を含むニードルパンチフェルトも知られているが、高吸水性繊維を使用しているがために更に廃インクの拡散性が悪く、廃インク吸収体全体を使用することが困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、廃インクの保液性及び拡散性に優れ、しかも廃インクを吸収したとしてもほとんど膨張しない廃インク吸収体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の廃インク吸収体は、公定水分率が5%以上の繊維を含み、かつ絡合した繊維シートからなる保液層の少なくとも片側に、公定水分率が5%未満の繊維を含む繊維シートからなる拡散層を有するものである。そのため、廃インクが廃インク吸収体の端部に滴下されると、廃インクは拡散層によって吸液されることなく、主として拡散層を通じて廃インク吸収体全体に拡散する。また、廃インク吸収体の実質的に廃インクを保持する保液層は絡合しているため、吸液した際にほとんど膨張しない。更に、廃インク吸収体は公定水分率が5%以上の繊維を含む保液層を有するため、保液性にも優れている。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の保液層は公定水分率が5%以上の繊維を含み、かつ絡合した繊維シートからなるため、廃インクの保液性に優れ、吸液した際にもほとんど膨張しない。なお、本発明における公定水分率はJIS L 1003に規定される方法により測定される値をいう。
この公定水分率が5%以上の繊維を使用するのは、公定水分率が5%未満では廃インクの保液性に劣るためで、より好ましくは公定水分率7%以上の繊維を使用する。
この公定水分率が5%以上の繊維としては、例えば、レーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維、ビニロン繊維、テンセル繊維(溶剤抽出法により得られるセルロース繊維)、パルプ、アクリル繊維の加水分解系や橋かけポリアクリル酸塩系や橋かけカルボキシメチルセルロース系などの高吸水性繊維を1種類以上使用できる。これらの中でも絡合しやすく、安価であるレ−ヨン繊維が好適である。
なお、仮にインクジェット記録装置が発火した場合であっても、被害を最小限に抑えることができるように、難燃性かつ公定水分率が5%以上の繊維(例えば、難燃レーヨン繊維)を使用したり、繊維シートを形成した後に難燃処理を施すのが好ましい。
【0008】
この公定水分率が5%以上の繊維は廃インクの保液性に優れるように、保液層全体の30mass%以上占めるのが好ましく、40mass%以上占めるのがより好ましく、50mass%以上占めるのが最も好ましい。
この公定水分率が5%以上の繊維以外の繊維としては、例えば、繊維径10μm以下の極細繊維を混合して保液性を向上させたり、熱融着性繊維を混合し、この熱融着性繊維を融着することにより、吸液した際の廃インク吸収体の膨張を確実に防止することができる。
この熱融着性繊維としては、全溶融型の熱融着性繊維であっても良いし、繊維表面の少なくとも一部が溶融する一部溶融型の熱融着性繊維であっても良いが、融着後であっても繊維形状を維持することのできる一部溶融型の熱融着性繊維の方がより好ましい。この好適である一部溶融型の熱融着性繊維としては、例えば、ナイロン66/ナイロン6、ナイロン6/共重合ナイロン、ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンなどの組合わせからなる、芯鞘型、偏芯型、或はサイドバイサイド型のものを使用できる。
なお、この熱融着性繊維を融着する場合、後述の絡合処理の後に融着すると、繊維同士の接合点が多い状態で固定されるため、廃インク吸収体が吸液した際の膨張をより確実に防止することができる。
更に、加圧した状態で熱融着性繊維を融着すると、より一層繊維同士の接合点が増え、廃インク吸収体が吸液した際の膨張を更に確実に防止することができるため、好適な融着方法である。そのため、絡合処理後に、加熱加圧して熱融着性繊維を融着するのが最も好ましい。
【0009】
本発明の廃インク吸収体の保液層は絡合しているため、吸液した際の廃インク吸収体の膨張を防止することができる。この絡合方法としてはニードルパンチ法や水流絡合法を例示できる。これらの中でもニードルパンチにより絡合していると、嵩高く、廃インク吸収量の多い保液層を形成しやすいため好適である。この好適であるニードルパンチは常法により行うことができるが、十分に絡合させて、廃インク吸収体の膨張を防止できるように、針密度10本/cm2以上でニードルパンチするのが好ましい。
【0010】
上述のような保液層は不織布、織物、編物などの繊維シートからなるが、微細な空隙を多数有し、保液性に優れる不織布であるのが好ましい。この好適である不織布は、湿式法、好適にはカード法やエアレイ法などの乾式法により繊維ウエブを形成した後、ニードルや水流によって絡合処理を施すことによって容易に製造できる。
【0011】
本発明の廃インク吸収体は上述のような保液層の少なくとも片側に、公定水分率が5%未満の繊維を含む繊維シートからなる拡散層を有している。このように本発明の廃インク吸収体は拡散層がほとんど吸液することなく、廃インクを速やかに廃インク吸収体全体に拡散することができる。なお、拡散層を両側に有する場合には、更に廃インクの拡散性が向上するのは勿論のこと、インクジェット記録装置を構成する筐体と接触していない拡散層は廃インクの蒸散層として作用することができるため、より長期間安定して吸液することができる。
【0012】
この公定水分率が5%未満の繊維を使用するのは、公定水分率が5%以上では廃インクの拡散性に劣るためで、より好ましくは公定水分率0〜3%の繊維を使用する。
この公定水分率が5%未満の繊維としては、例えば、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ロックウールなどの無機繊維や、メタ型又はパラ型の芳香族ポリアミド繊維、ポリアミド繊維、ポリアミドイミド繊維、芳香族ポリエーテルアミド繊維、ポリベンツイミダゾール繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、ポリクラール繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ビニリデン繊維、ベンゾエート繊維、ポリエステル繊維などの有機繊維を1種類以上使用できる。これらの中でも無機繊維は不燃性で、仮にインクジェット記録装置が発火した場合であっても、被害を最小限に抑えることができるため、好適に使用することができる。この無機繊維の中でも、シリカ成分を含む繊維は水に対する濡れ性が高いものの、吸水性はなく、拡散層における廃インクの拡散性に優れているため、特に好適に使用することができる。
また、この公定水分率が5%未満の繊維はキャピラリー効果による廃インクの拡散性に優れるように、繊維径が0.01〜20μmであるのが好ましい。繊維径が0.01未満であると、繊維シートの形成が困難であり、繊維径が20μmを越えると、廃インクの拡散性が低下するためで、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。なお、公定水分率が5%未満の繊維が異形断面形状を有する場合には、異形断面積と同じ面積を有する円形の直径を繊維径とみなす。
【0013】
この公定水分率が5%未満の繊維は廃インクの拡散性に優れるように、拡散層全体の30mass%以上占めるのが好ましく、50mass%以上占めるのがより好ましく、70mass%以上占めるのが最も好ましい。
この公定水分率が5%未満の繊維以外の繊維としては、前述の保液層を構成できる繊維と同様のものを使用できる。これらの中でも、フィブリル化したパルプを混合すると、均一かつ強度的に優れる拡散層を形成できるので好適である。なお、このフィブリル化したパルプの混合量は拡散速度を損なわないように、拡散層の1〜5mass%とするのが好ましい。
また、この拡散層の見掛密度は拡散性に優れるように、0.05〜0.3g/cm3であるのが好ましく、0.1〜0.25g/cm3であるのがより好ましい。また、拡散層の面密度は50〜200g/m2程度であるのが好ましい。
【0014】
上述のような拡散層は不織布、織物、編物などの繊維シートからなるが、全方向への拡散性に優れる不織布であるのが好ましい。なお、この拡散層の繊維シートを構成する繊維が実質的に二次元的に配列していると、廃インクが廃インク吸収体の厚さ方向に拡散するよりも廃インク吸収体の水平方向に拡散しやすく、廃インク吸収体全体で吸液することができるため好適な実施態様である。この繊維が二次元的に配列した織物や編物は、常法により製造することができ、繊維が二次元的に配列した不織布は、例えば、湿式法により繊維ウエブを形成した後、結合することにより製造できる。この繊維ウエブを結合する方法としては、エマルジョンやラテックスなどのバインダーによる接着方法や、熱融着性繊維を混合しておき融着する融着方法などの、繊維配向を変えない結合方法を例示できる。
【0015】
本発明の廃インク吸収体は上述のような保液層の少なくとも片側に拡散層を有するものであるが、接着することなく単に積層したものであっても良いし、接着して積層したものであっても良い。後者のように接着して積層すると、接着によって張りが生じ、廃インク吸収体をインクジェット記録装置の筐体に収納する際の作業性に優れる、という効果が生じる。この接着方法としては、保液層及び/又は拡散層に熱融着性繊維を混合しておき、この熱融着性繊維を融着することにより接着する方法、保液層と拡散層との間に液状又は不織布状などの固体状接着材を介在させて接着する方法、或いはこれらを併用する方法などがある。
【0016】
本発明の廃インク吸収体においては、前述のような保液層と拡散層とを基本構成としているが、更に様々な特性を付加するために、各種の層を保液層及び/又は拡散層の外側に設けることができる。
例えば、公定水分率が2%以下の繊維を含み(好ましくは50mass%以上含む)、隣接する保液層又は拡散層を構成する繊維シートの平均孔径よりも平均孔径の大きい繊維シートからなる層(A層という)を設けることができる。このA層がインクジェット記録装置の筐体と接触するように廃インク吸収体を設置すると、滴下された廃インクが廃インク吸収体の滴下面の反対面にまで到達したとしても、このA層による吸収作用や拡散作用よりも保液層による吸液作用や拡散層による拡散作用の方が優勢となるため、廃インクがインクジェット記録装置の筐体から漏出するのを防止することができる。つまり、前記A層は液漏れ防止層として作用する。
また、前記A層が滴下される廃インクと直接接触するように廃インク吸収体を設置すると、廃インク中に含まれる粒子を除去できるため、拡散層における粒子による目詰まりを防ぐことができたり、保液層における粒子による保液性の低下を抑制することができる。つまり、前記A層は粒子濾過層として作用する。
本発明における平均孔径は孔径分布測定機(コールターエレクトロニクス社製)によって測定した値をいう。
なお、この保液層や拡散層以外の液漏れ防止層や粒子濾過層なども単に積層しても良いし、保液層と拡散層との接着方法と同様の方法により接着しても良い。
【0017】
本発明の廃インク吸収体の好適な態様としては、保液層/拡散層の2層、拡散層/保液層/拡散層の3層、保液層/拡散層/液漏れ防止層の3層、粒子濾過層/保液層/拡散層の3層、粒子濾過層/保液層/拡散層/液漏れ防止層の4層、拡散層/保液層/拡散層/液漏れ防止層の4層、粒子濾過層/拡散層/保液層/拡散層の4層、或は粒子濾過層/拡散層/保液層/拡散層/液漏れ防止層の5層からなる。
【0018】
前述のように本発明の廃インク吸収体は廃インクの保液性及び拡散性に優れ、しかも廃インクを吸収したとしてもほとんど膨張しないので、インクジェット記録装置の廃インク吸収体として好適に使用することができる。この廃インク吸収体は拡散層が滴下した廃インクと速やかに接触できるように、インクジェット記録装置の筐体中に収容するのが好ましい。例えば、滴下した廃インクと直接接触するのが拡散層であるように収容する。
【0019】
以下に、本発明の実施例を記載するが、以下の実施例に限定されるものではない。
【0020】
【実施例】
(実施例)
難燃レーヨン繊維(公定水分率11%、線密度0.17mg/m、繊維長51mm)70mass%と、芯成分がポリエチレンテレフタレートからなり鞘成分が融点110℃の共重合ポリエチレンテレフタレートからなる芯鞘型熱融着性繊維(線密度0.33mg/m、繊維長51mm)30mass%とを混綿し、カード機により開繊して繊維ウエブを形成した。
次いで、この繊維ウエブを針密度100本/cm2でニードルパンチした後、温度170℃、圧力1.5MPaの条件下でプレス圧着することにより芯鞘型熱融着性繊維の鞘成分のみを融着して、面密度900g/m2、見掛密度0.12g/cm3の不織布(保液層)を形成した。
【0021】
他方、湿式抄造法によって、シリカアルミナ繊維(公定水分率0%、繊維径1〜3μm、繊維長1〜5mm)97mass%を、フィブリル化したパルプ2mass%、及びアクリル系接着剤1mass%により接着して、面密度100g/m2、見掛密度0.13g/cm3の繊維が二次元的に配向した不織布(拡散層)を2枚形成した。
【0022】
更に、ポリエチレンテレフタレ−ト繊維(公定水分率0.4%、線密度0.22mg/m、繊維長38mm)70mass%とポリエチレンテレフタレ−ト繊維(公定水分率0.4%、線密度0.33mg/m、繊維長51mm)30mass%とを混綿し、カード機により開繊して繊維ウエブを形成した。
次いで、この繊維ウエブを千鳥状彫刻カレンダ−ロ−ル(シ−ル面積7.5%)により、温度205℃、圧力2.0MPaの条件下で部分的に接着し、面密度35g/m2、見掛密度0.12g/cm3の不織布(液漏れ防止層)を形成した。この不織布は拡散層を構成する不織布よりも平均孔径が大きかった。
【0023】
そして、融点110℃の共重合ナイロン樹脂からなるクモの巣状不織布を3枚用意した。
次いで、液漏れ防止層を構成する不織布、クモの巣状不織布、拡散層を構成する不織布、クモの巣状不織布、保液層を構成する不織布、クモの巣状不織布、拡散層を構成する不織布の順に積層し、温度170℃、圧力0.2MPaの条件下におけるプレス圧着によってクモの巣状不織布のみを融着し、面密度1,200g/m2、厚さ10mmの廃インク吸収体を製造した。
【0024】
(比較例1)
パルプを酢酸ビニル−スチレン共重合バインダーにより接着した繊維シート間に、ポリプロピレンを芯成分としポリエチレンを鞘成分とした芯鞘型複合繊維とパルプとが二次元的に配列した繊維シートを多数枚積層した、面密度1,200g/m2、厚さ10mmの廃インク吸収体を用意した。
【0025】
(比較例2)
橋かけポリアクリル酸塩系高吸水性繊維1〜2mass%と、レーヨン繊維29〜30mass%と、アクリル−塩化ビニリデン共重合繊維69〜70mass%とを構成繊維とするニードルパンチフェルト(面密度1,200g/m2、厚さ10mm)からなる廃インク吸収体を用意した。
【0026】
(保液性試験)
実施例及び比較例1〜2の廃インク吸収体を、それぞれ10cm×30cmの大きさに裁断した後、重量(Wb)を測定した。次いで、この廃インク吸収体をジエチレングリコール30%と水道水70%とからなる溶液(粘度3.5cp、表面張力54dyn/cm)中に5分間完全に浸漬した。その後、溶液中から引き上げ、廃インク吸収体の10cm辺が上側となるように垂直に設置し、60Hzの振動を5分間与えて余分な溶液を除去した後、重量(Wa)を測定した。廃インク吸収体を溶液に浸漬する前後の重量から次式により液保持率を算出した。この結果は表1に示す。
液保持率(%)={(Wa−Wb)/V}×100
V:廃インク吸収体の体積(cm3)、つまり300cm3
【0027】
【表1】
【0028】
(拡散性試験)
実施例及び比較例1〜2の廃インク吸収体を、それぞれ2cm×21cmの大きさに裁断した。次いで、この廃インク吸収体の一端から1cmまでの部分を、ジエチレングリコール30%と水道水70%とからなる溶液(粘度3.5cp、表面張力54dyn/cm)中に浸して垂直に設置し、液面からの溶液の上昇高さ(cm)を経時的に測定した。この結果は表2に示す通りであった。
【0029】
【表2】
【0030】
(吸液時の膨張性試験)
実施例及び比較例1〜2の廃インク吸収体を、それぞれ10cm×10cmの大きさに裁断した後、廃インク吸収体に金属プレート(1.5g/cm2)を載せた状態で厚さ(Tb)を測定した。次いで、この廃インク吸収体をジエチレングリコール30%と水道水70%とからなる溶液(粘度3.5cp、表面張力54dyn/cm)中に12時間完全に浸漬した。その後、廃インク吸収体を溶液中から引き上げ、金網上に1時間放置して余分な溶液を除去した。次いで、この吸液した廃インク吸収体に金属プレート(1.5g/cm2)を載せた状態で厚さ(Ta)を測定した。そして、廃インク吸収体を溶液に浸漬する前後における厚さの変化から体積変化率を次式から算出した。この結果は表3に示す。
体積変化率(%)=(Ta/Tb)×100
【0031】
【表3】
【0032】
以上の結果から、本発明の廃インク吸収体は保液性、拡散性、吸液時の膨張性のいずれの点においても優れていることがわかる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の廃インク吸収体は、公定水分率が5%以上の繊維を含み、かつ絡合した繊維シートからなる保液層の少なくとも片側に、公定水分率が5%未満の繊維を含む繊維シートからなる拡散層を有するものである。そのため、廃インクが廃インク吸収体の端部に滴下されると、廃インクは拡散層によって吸液されることなく、主として拡散層を通じて廃インク吸収体全体に拡散する。また、廃インク吸収体の実質的に廃インクを保持する保液層は絡合しているため、吸液した際にほとんど膨張しない。更に、廃インク吸収体は公定水分率が5%以上の繊維を含む保液層を有するため、保液性にも優れている。
Claims (8)
- 公定水分率が5%以上の繊維を含み、かつ絡合した繊維シートからなる保液層の少なくとも片側に、公定水分率が5%未満の繊維を含む繊維シートからなる拡散層を有することを特徴とする、廃インク吸収体。
- 公定水分率が5%未満の繊維が無機繊維であることを特徴とする、請求項1記載の廃インク吸収体。
- 公定水分率が5%未満の繊維の繊維径が0.01〜20μmであることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の廃インク吸収体。
- 拡散層である繊維シートを構成する繊維が実質的に二次元的に配列していることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の廃インク吸収体。
- 保液層を構成する繊維シートがニードルパンチ法により絡合していることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の廃インク吸収体。
- 保液層である繊維シートを構成する繊維として熱融着性繊維を含み、この熱融着性繊維が融着していることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の廃インク吸収体。
- 保液層及び/又は拡散層の外側に、公定水分率が2%以下の繊維を含み、隣接する保液層又は拡散層を構成する繊維シートの平均孔径よりも平均孔径の大きい繊維シートからなる層を更に有することを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の廃インク吸収体。
- インクジェット記録装置に用いることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の廃インク吸収体。
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