JP3615580B2 - 塗装方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、塗装工程が簡略化され、しかも塗膜の仕上り外観、防食性、耐候性、耐チッピング性等が極めてすぐれ、かつ、省資源で公害対策上有利な塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、美粧的外観が重要視される自動車、二輪車、電気製品などの外板は、平滑、鮮映性、耐候性などに優れた塗膜を形成する有機溶剤希釈型熱硬化性塗料で仕上げ塗装されている。その塗装工程は、通常、防食性付与のためのカチオン電着塗料を塗装した後、耐候性を確保するための中塗り塗料を塗装し、これらの両塗膜をそれぞれ加熱硬化した後、更に、上塗り塗装として、着色顔料及び/又はメタリック顔料を配合した有機溶剤型熱硬化性エナメル塗料(以下「ベースコート」という)を塗装し、風乾後、有機溶剤型熱硬化性透明クリヤー塗料を塗り重ねてから、該両塗膜を同時に加熱硬化せしめる、いわゆる2コート1ベーク方式からなっていることが多い。
【0003】
ところが近年に至って、塗装仕上り外観、例えば、平滑性、鮮映性、肉持感などの向上の要求が更に強くなり、しかも省資源や公害対策、さらに塗装コストを低くすることも望まれている。
【0004】
このうち、仕上り外観の向上については、主として上塗塗着膜の平滑化を目的に各種レオロジーコントロール剤の添加や、中塗塗膜の研磨などにより対処されている。一方、公害対策上から開発されたハイソリッド型塗料を利用することもある。
【0005】
しかしながら、前記した方法においては、レオロジーコントロール剤を添加しても塗面の平滑性や鮮映性の向上に限度があり、根本的な解決策にはならない。一方、中塗塗膜の研磨は工数増と十分な外観向上が得られないという問題がある。さらに、従来の有機溶剤型ベースコートには多量の有機溶剤が配合されており、省資源、公害発生防止などの観点からも好ましくない。また、ハイソリッド型塗料は有機溶剤の削減にはおのずと限界があり、これをベースコートに用いるとシルバー色等の淡色メタリックでは仕上りの白さが得られにくいという欠点がある。また、カチオン電着塗装、中塗塗装、水性メタリックベース塗装および粉体クリヤー塗装からなる塗装工程もあるが、省工程の観点から見ても、トータルコストが高くつくという欠点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、前記した種々の欠点を解消し、塗装工程が簡略化され、しかも塗膜の仕上り外観、防食性、耐候性、耐チッピング性等が極めてすぐれ、かつ、省資源で公害対策上有利な塗装方法の開発を目的に鋭意研究を行った。その結果、耐候性良好な特定組成のクリヤーカチオン電着塗料、水性ベースコートおよび粉体塗料(トップコート)を用いることによって、中塗り塗料を使用することなく上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
しかして、本発明の第1の態様によれば、
(I)被塗物に、(A)数平均分子量が50〜8,000のポリヒドロキシ化合物(a)、ポリイソシアネート化合物(b)及び1分子中に1個の活性水素を有する化合物(c)の反応により得られる1分子中に1個の末端イソシアネート基を有するポリウレタン化合物(A−1);1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂(A−2);及び活性水素を含有するアミン化合物(A−3)の反応により形成されるポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂と、(B)非イオン系被膜形成性樹脂を、樹脂(A)/樹脂(B)の重量比が15/85〜95/5の範囲内で含有し、かつ、顔料を含まないカチオン電着塗料を塗装し、加熱硬化した後、
(II)該電着塗面に、第1上塗りとしてメタリック顔料及び/又は着彩顔料を含有する水性塗料を塗装して加熱硬化し、
(III)更に、第2上塗りとして顔料を実質的に含まない粉体塗料を塗装して加熱硬化する
ことを特徴とする塗装方法が提供される。
【0007】
また、本発明の第2の態様によれば、
(I)被塗物に、(A)数平均分子量が50〜8,000のポリヒドロキシ化合物(a)、ポリイソシアネート化合物(b)及び1分子中に1個の活性水素を有する化合物(c)の反応により得られる1分子中に1個の末端イソシアネート基を有するポリウレタン化合物(A−1);1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂(A−2);及び活性水素を含有するアミン化合物(A−3)の反応により形成されるポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂と、(B)非イオン系被膜形成性樹脂を、樹脂(A)/樹脂(B)の重量比が15/85〜95/5の範囲内で含有し、かつ、顔料を含まないカチオン電着塗料を塗装し、加熱硬化した後、
(II)該電着塗面に、第1上塗りとしてメタリック顔料及び/又は着彩顔料を含有する水性塗料を塗装し、加熱硬化することなく、
(III)更に、第2上塗りとして顔料を実質的に含まない粉体塗料を塗装し、
(IV)次いで、加熱して上記工程(II)および(III)で形成される両塗膜を同時に硬化させる
ことを特徴とする塗装方法が提供される。
【0008】
本発明の特徴は、上記工程(I)の耐候性良好な特定組成のクリヤーカチオン電着塗料塗面に、従来一般の中塗り塗料を塗装することなく、上塗り塗料としての上記工程(II)および(III)の塗料を2コート2ベーク方式(本発明の第1の態様)または2コート1ベーク方式(本発明の第2の態様)で塗装するところにある。
【0009】
すなわち、本発明で用いる上記工程(I)のクリヤーカチオン電着塗料は、防食性の良好なエポキシ樹脂を耐候性および耐チッピング性の良好なウレタン化合物で変性したポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂と耐候性が良好な非イオン系被膜形成樹脂とを含有し、かつ、着色顔料や体質顔料を実質的に含有しないため、それから形成されるカチオン電着浴を用いて電着塗装した塗膜は、防食性、耐候性および耐チッピイング性に優れている。
【0010】
また、本発明の方法では、該クリヤーカチオン電着塗料の焼付硬化塗膜面に、中塗塗装工程を省略し、上記工程(II)および(III)に従い上塗り塗料を直接塗装しても、耐候性ハガレ(上塗りを透過した光により、プライマーが光劣化をおこし、屋外バクロ中に、プライマーと上塗りの層間でハクリがおこる現象)が発生することは皆無となることが判明した。しかも、本発明の方法によれば、中塗り塗装工程が省略されるので塗装工程が簡略化され、塗装コストが低くできるという利点がある。
【0011】
次に、上記工程(II)で用いる水性塗料は、水を溶媒もしくは分散媒とするメタリックもしくはソリッドカラー塗料であって、有機溶剤を全くもしくは殆ど含有していないので、省資源および公害対策に極めて有効である。また、該水性塗料は一般に低固形分濃度で使用されるため、塗着してから硬化に至るまでの体積収縮率が大きく、りん片状のメタリック顔料が被塗面に対して平行に配向しやすくなって、輝きのあるメタリック感が容易に得られ、しかもソリッドカラー仕上げでも塗着時に発生した凸凹面も平滑化されやすく、平滑性、鮮映性なども優れているという利点がある。
【0012】
さらに、該水性塗料の塗面に塗装する上記工程(III)で用いる粉体塗料は、有機溶剤を全く含んでいないので、上記水性塗料と同様に省資源、公害防止に特に有効であり、しかも、60μ以上の厚膜に塗装できるので、肉持感、平滑性、鮮映性などの仕上り外観に優れた塗面に仕上げることができるという特徴がある。
【0013】
以下、本発明の塗装方法について更に詳細に説明する。
【0014】
工程(I):
本工程は被塗物に、(A)数平均分子量が50〜8,000のポリヒドロキシ化合物(a)、ポリイソシアネート化合物(b)及び1分子中に1個の活性水素を有する化合物(c)の反応により得られる1分子中に1個の末端イソシアネート基を有するポリウレタン化合物(A−1);1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂(A−2);及び活性水素を含有するアミン化合物(A−3)の反応により形成されるポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂と、(B)非イオン系被膜形成樹脂を、樹脂(A)/樹脂(B)の重量比が15/85〜95/5の範囲内で含有し、かつ、顔料を実質的に含まないカチオン電着塗料を電着塗装し、加熱硬化する工程である。
【0015】
上記ポリウレタン化合物(A−1)は、ポリヒドロキシ化合物(a)、ポリイソシアネート化合物(b)及び1分子中に1個の活性水素を有する化合物(c)の反応により得られる1分子中に1個の末端イソシアネート基を有するポリウレタン化合物であり、一般に400〜10,000、好ましくは1,000〜4,000の範囲内の数平均分子量を有していることが望ましい。
【0016】
上記ポリヒドロキシ化合物(a)としては、1分子中に少なくとも2個のアルコール性水酸基を有し、数平均分子量が50〜8,000、特に50〜6,000の範囲内のものであれば特に制限なく使用することが可能であって、例えば、多価アルコール又はポリウレタン樹脂の製造に通常用いられる種々のポリエステルポリオールもしくはポリエーテルポリオール及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0017】
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、N−メチル−ジエタノールアミン、N−エチル−ジエタノールアミン等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール等の4価アルコール等が挙げられる。
【0018】
また、上記ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多塩基性カルボン酸との縮合物、ヒドロキシカルボン酸と多価アルコールとの縮合物及び環状ラクトンの開環により得られるものが挙げられる。ここで使用される多価アルコールとしては、上記のものが挙げられ、これと縮合せしめ得る多塩基性カルボン酸としては、例えばアジピン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、グルタール酸、ピロメリット酸などが挙げられ、またヒドロキシカルボン酸としては、例えばジメチロールプロピオン酸等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸と多価アルコールの縮合物としては、また、ヒマシ油、ヒマシ油とエチレングリコール、プロピレングリコール等の反応物も使用することができる。
【0019】
さらに、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキシドの1種もしくは2種以上を2個以上の活性水素を有する化合物に付加重合した生成物であり、ポリウレタン樹脂の製造に通常用いられるそれ自体既知のポリエーテルポリオールがいずれも使用することができる。ポリエーテルポリオールの製造に使用し得る2個以上の活性水素を有する化合物としては、例えば、前記した多価アルコール及び多塩基性カルボン酸のほか、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアミン類;エタノールアミン、プロパノールアミン等のアルカノールアミン類;ビスフェノールのような多価フェノール類;ヒマシ油などが挙げられる。
【0020】
以上に述べたポリヒドロキシ化合物(a)は数平均分子量が50〜8,000の範囲内である限り、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
ポリウレタン化合物(A−1)の製造に用いられるポリイソシアネート化合物(b)は、1分子中にイソシアネート基を2個以上、好ましくは2個または3個有する化合物であり、ポリウレタン樹脂の製造に一般に用いられるものが同様に使用できる。そのようなポリイソシアネート化合物(b)としては、脂肪族系、脂環式系、芳香脂肪族系などのポリイソシアネート化合物が包含され、代表的には以下のものを例示することができる。
【0022】
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、HMDIのビウレット化合物、HMDIのイソシアヌレート化合物などの脂肪族系ポリイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、IPDIのビウレット化合物、IPDIのイソシアヌレート化合物、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環式系ポリイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族系ポリイソシアネート化合物。
【0023】
これらはそれぞれ単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリウレタン化合物(A−1)の製造に用いられる1分子中に1個の活性水素を有する化合物(c)は、上記ポリイソシアネート化合物(b)中のイソシアネート基のブロッキングのために使用されるものであり、形成される水性樹脂分散液の、塗膜の焼付温度(通常120〜200℃、好ましくは160〜180℃)においてブロッキングイソシアネート基から解離して遊離のイソシアネート基を与えるような化合物を用いることができる。
【0024】
そのような活性水素含有化合物(c)としては、例えば、メタノール、エタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の1価のアルコール;酢酸、プロピオン酸等の1価のカルボン酸;エチルメルカプタン等の1価チオール、ジエチルアミン等の第2級アミン;ジエチレントリアミン、モノエタノールアミン等の1個の2級アミノ基又はヒドロキシル基と1個以上の第1級アミノ基を含有するアミン化合物の第1級アミノ基を、ケトン、アルデヒドもしくはカルボン酸と、例えば100〜230℃の温度で加熱反応させることによりアルジミン、ケチミン、オキサゾリンもしくはイミダゾリンに変性した化合物;メチルエチルケトキシムのようなオキシム等が挙げられる。これらの活性水素含有化合物(c)は一般に30〜2,000、特に30〜200の範囲内の分子量を有することが望ましい。
【0025】
以上に述べたポリヒドロキシ化合物(a)、ポリイソシアネート化合物(b)及び活性水素含有化合物(c)は、相互の反応させることによりポリウレタン化合物(A−1)とされるが、その場合の各成分の反応割合は、成分(a)、(b)及び(c)の合計量を基準にして、一般には下記の範囲内とするのが適当である。
【0026】
ポリヒドロキシ化合物(a):10〜94重量%、好ましくは30〜80重量%。
【0027】
ポリイソシアネート化合物(b):5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%。
【0028】
活性水素含有化合物(c):1〜85重量%、好ましくは1〜60重量%。
また、上記ポリヒドロキシ化合物(a)、ポリイソシアネート化合物(b)及び活性水素含有化合物(c)の反応のさせ方には特に制約はなく、例えば▲1▼3成分(a)、(b)及び(c)を混合し同時に反応させる方法;▲2▼予め成分(b)と成分(c)を反応させた後、その生成物と成分(a)を反応させる方法等が挙げられる。いずれの方法で反応を行なう場合であっても、生成するポリウレタン化合物が1分子中に1個の末端イソシアネート基をもつように各成分の反応割合及び/又は反応順序を調節する。
【0029】
上記方法のうち、▲2▼の方法が好ましく、具体的には、ポリイソシアネート化合物(b)と活性水素含有化合物(c)とを、化合物(b)のイソシアネート基1個当たり化合物(c)の活性水素含有基を1当量以下、好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.17以下の割合で実質的に未反応の活性水素基が存在しなくなるまで反応させてブロックポリイソシアネート化合物を製造し、次いでポリヒドロキシ化合物(a)を、化合物(b)のイソシアネート当量が化合物(a)及び化合物(c)の水酸基当量と活性水素当量の合計に対して1だけ多くなるように配合し、実質的に水酸基が検出されなくなる程度まで反応を行なうことによりポリウレタン化合物(A−1)を製造することができる。
【0030】
上記の反応においては、必要に応じて、ウレタン合成のための既知の触媒、たとえばトリエチルアミンのような第3級アミン;ジブチル錫ジラウレートのような有機金属化合物等を使用することができる。
【0031】
このようにして得られるポリウレタン化合物(A−1)は、末端に1個のイソシアネート基を有するものであり、その数平均分子量は400〜10,000、好ましくは1,000〜4,000であることが望ましい。数平均分子量が400を下回ると可撓性が低下し、一方、10,000を上回ると塗面平滑性が低下するので好ましくない。
【0032】
ビスフェノール型エポキシ樹脂(A−2)は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するビスフェノール系化合物であって、特にビスフェノール系化合物とエピハロヒドリン、例えばエピクロルヒドリンとの縮合反応によって得られるビスフェノールのジグリシジルエーテルが可撓性及び防食性に優れた塗膜が得やすく好適である。
【0033】
エポキシ樹脂(A−2)の調製に使用しうるビスフェノール系化合物の代表例には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、4、4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−ブチルフェニル)−2,2−プロパン等が挙げられる。
【0034】
かかるビスフェノール系化合物を用いて形成されるエポキシ樹脂(A−2)のうち、下記式で示されるビスフェノールA型ジグリシジルエーテルは、可撓性、防食性に優れた塗膜を与えるという点で特に好適である。
【0035】
【化1】
【0036】
式中、qは2〜20の数である。
【0037】
エポキシ樹脂(A−2)として、また、ビスフェノール系化合物とエピハロヒドリンとの縮合反応によって得られるビスフェノールのジグリシジルエーテルの過剰量をさらにビスフェノール系化合物とエーテル化反応せしめることによって得られるものも好適に使用することができる。
【0038】
本発明で使用するエポキシ樹脂(A−2)は、一般に、約310〜約10,000、特に約320〜約2,000の範囲内の数平均分子量を有していることが好ましく、また、エポキシ当量は約155〜約5,000、特に約160〜約1,000の範囲内にあるのが望ましい。
【0039】
活性水素含有アミノ化合物(A−3)は、エポキシ基と反応しうる活性水素を有するアミノ化合物であって、脂肪族、脂環式もしくは芳香脂肪族系の第1級もしくは第2級アミンまたはアルカノールアミン或いはそれらの変性物、第3級アミン塩等が包含される。これらの活性水素を有するアミン化合物としては例えば次のものを挙げることができる。
【0040】
(1)ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン等の、1個の第2級アミノ基と1個以上の第1級アミノ基を含有するアミン化合物の第1級アミノ基を、ケトン(例:アセトン、メチルエチルケトンなど)、アルデヒド(例:アセトアルデヒドなと)もしくはカルボン酸(例:酢酸など)と、例えば100〜230℃の温度で加熱反応させることによりアルジミン、ケチミン、オキサゾリンもしくはイミダゾリンに変性した化合物;
(2)ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−またはiso−プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等の第2級モノアミン;
(3)モノエタノールアミンのようなモノアルカノールアミンと、ジメチル(メタ)アクリルアミドのようなジアルキル(メタ)アクリルアミドとをMicheal付加反応により付加させて得られる第2級アミノ基含有化合物;
(4)モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、2−ヒドロキシ−2′−(アミノプロポキシ)エチルエーテル等のアルカノールアミンの第1級アミノ基をケチミンに変性した化合物;
(5)ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン等の第3級アミンと酢酸、乳酸などの有機酸との塩など。
【0041】
これらのうち、(1)、(2)及び(4)が好ましく、その中でも、ジエタノールアミン、ジエチレントリアミンなど、第2級アミノ基がエポキシ基に反応した後、それ自身がさらに活性水素を持つか、または、ケチミンの加水分解により活性水素を持たせ得るものは、架橋官能基を有することとなり、特に好適である。
【0042】
ポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂(A)は、例えば、前述したポリウレタン化合物(A−1)とビスフェノール型エポキシ樹脂(A−2)とを反応せしめてポリウレタン変性エポキシ樹脂を得たのち、さらに活性水素含有アミン化合物(A−3)を付加することにより取得することができる。
【0043】
該ポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂(A)を得るための反応としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(A−2)中の第2級水酸基にポリウレタン化合物(A−1)を反応させ、次いで得られるポリウレタン変性エポキシ樹脂の末端オキシラン基に活性水素含有アミン化合物(A−3)を付加する方法が、樹脂の設計及びコントロールの点で特に好ましいが、活性水素含有アミン化合物(A−3)の付加は、上記ポリウレタン変性エポキシ樹脂の製造の際に同時に行なうこともできる。活性水素含有アミノ化合物(A−3)とエポキシ樹脂(A−2)のエポキシ基との反応は、例えば、約30〜約160℃の温度で約1〜約5時間程度反応させることによって行なうことができる。
【0044】
上記ポリウレタン化合物(A−1)、エポキシ樹脂(A−2)及び活性水素含有アミノ化合物(A−3)の各成分の反応比率は、目的に応じて広い範囲にわたって変えることができるが、一般には、ポリウレタン化合物(A−1)、エポキシ樹脂(A−2)及び活性水素含有アミノ化合物(A−3)の3成分の合計重量に基づいて、ポリウレタン樹脂(A−1)は16〜80重量%、特に50〜70重量%の範囲内で用いることが好ましい、また、エポキシ樹脂(A−2)は、20〜84重量%、特に30〜50重量%の範囲内で用いることが好ましい。
【0045】
さらに、活性水素含有アミノ化合物(A−3)は、生成するポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂(A)のアミン価が15〜100、特に15〜47の範囲内になるような量で使用することが好ましい。
【0046】
形成されるポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂(A)は、通常、1,000〜20,000、特に2,400〜4,000の範囲内の数平均分子量を有することが好ましい。
【0047】
また、該ポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂は第1級水酸基を含有することが好ましく、その第1級水酸基当量の範囲は特に制限されないが、通常、600〜1,000、特に600〜850の範囲内が好ましい。活性水素含有アミノ化合物(A−3)等によってもたらされる第1級水酸基や、エポキシ樹脂(A−2)部分に存在する第2級水酸基等は、架橋剤との反応性官能基として役立つ。
【0048】
ポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂(A)はまた、例えば、3級アミン塩、モノカルボン酸、2級スルフィド塩、モノフェノール、モノアルコール等の反応試剤と反応させることにより、該樹脂の水分散性の調節や塗膜の平滑性の改良を行なうこともできる。
【0049】
さらに、ポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂(A)中に、ブロックイソシアネート基、β−ヒドロキシカルバミン酸エステル基、α,β−不飽和カルボニル基、N−メチロール基などの架橋性官能基を導入することによって内部架橋性を向上させることもできる。
【0050】
上記反応試剤との反応および架橋性官能基の導入は、ポリウレタン変性エポキシ樹脂に活性水素含有アミノ化合物(A−3)を付加させる前に行ってもよい。以上述べたようにして得られるポリウレタン変性エポキシ−ポリアミン系樹脂(A)は外部架橋剤と併用することができる。併用し得る外部架橋剤としては、架橋性官能基を1分子中に2個以上有する化合物、例えばブロックポリイソシアネート、ポリアミンのβ−ヒドロキシカルバミン酸エステル、マロン酸エステル、マロン酸エステル誘導体、メチロール化メラミン、メチロール化尿素などを挙げることができる。ポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂とこれらの外部架橋剤との配合比率(固形分比)は厳密に制限されないが、通常、100/0〜60/40、特に85/15〜60/40の範囲内が好ましい。
【0051】
前述したポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂(A)と組合せて使用される非イオン系被膜形成性樹脂(B)成分は、酸又は塩基による中和によってイオン性基(カチオン性基及びアニオン性基)を形成し得る官能基(例えば、カルボキシル基、アミノ基など)を実質的に含有せず、且つ、電着塗膜の焼付け条件下に連続状の被膜を形成しうる、それ自体は熱可塑性の樹脂であり、該樹脂は、場合により、前述した如き外部架橋剤と反応しうる官能基(例えば、水酸基、エポキシ基等)を含有していてもよい。
【0052】
また、樹脂(B)は、数平均分子量が3,000〜100,000、好ましくは3,500〜50,000で、塗膜焼付硬化時に樹脂(A)中のブロックイソシアネート基又は外部硬化剤と架橋反応しうる非イオン性官能基(例えば水酸基など)を持つことが望ましい。
【0053】
以上に述べた如き特性をもつ樹脂(B)としては、具体的には、耐候性に優れたアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステル変性アクリル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、シリコン変性樹脂等が好適なものとして例示することができる。
【0054】
以下、これら好適な樹脂(B)についてさらに具体的に説明する。
【0055】
非イオン系アクリル系樹脂としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステル:ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;グリシジル(メタ)アクリレートなどから選ばれる1種または2種以上のアクリル系単量体を主体とし、そして生成する樹脂の望まれる物性等に応じて、他の不飽和単量体、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族化合物;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド;エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどのジエン類;酢酸ビニル等から選ばれる1種または2種以上を適宜選択し、常法に従って(共)重合することによって得られるアクリル系樹脂が挙げられる。
【0056】
該アクリル系樹脂は、上記アクリル系単量体から誘導される単位を25重量%以上、特に35重量%以上含有していることを望ましく、また、該アクリル系樹脂は数平均分子量が約3,000〜約100,000、好ましくは約4,000〜約50,000の範囲内にあるものが適している。該アクリル系樹脂は、官能基として水酸基を含有する場合には、樹脂(A)中のブロックイソシアネート基または外部架橋剤であるブロックポリイソシアネート化合物と反応して架橋硬化せしめることができる。
【0057】
樹脂(B)として使用しうる非イオン系ポリエステル樹脂には、例えば、フタル酸およびその酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸およびその酸無水物、ピロメリット酸およびその酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸およびその酸無水物、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、ブラシリン酸などの多塩基酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメタノールなどのポリオール成分とを常法に従い縮合重合させることにより製造することができるものが包含される。その際末端封鎖剤として、例えば安息香酸、p−t−ブチル安息香酸などを使用して分子量を調節することができる。
【0058】
該ポリエステル系樹脂は一般に3,000〜100,000、好ましくは4,000〜50,000の範囲内の数平均分子量をもつことができる。
【0059】
また、樹脂(B)として、上記のアクリル系樹脂とポリエステル樹脂とをブレンドして使用してもよい。或いはまた、上記のアクリル樹脂をポリエステルで変性(グラフト)したポリエステル変性アクリル樹脂や、上記ポリエステル樹脂をアクリル樹脂で変性(グラフト)したアクリル変性ポリエステル樹脂なども樹脂(B)として使用できる。
【0060】
さらに、樹脂(B)として使用しうる非イオン系シリコン変性樹脂には、適当な基体樹脂、例えば前記した如きアクリル系樹脂またはポリエステル樹脂、或いはアルキド樹脂等をシリコン樹脂で変性したものが包含され、シリコン樹脂の使用量は一般に樹脂全体の50重量%以下、好ましくは3〜45重量%の範囲内が適当である。
【0061】
基体樹脂を変性するために用いるシリコン樹脂は、通常、数平均分子量が好ましくは約500〜約2,000の範囲内にある、分子中に水酸基、アルコキシ基のような反応性基を2個以上有するオルガノポリシロキサン樹脂であり、例えばZ−6018(Dow Corning社製品、分子量1,600)、Z−6188(Dow Corning社製品、分子量650)をはじめ、Sylkyd50、DC−3037(Dow Corning社製品)KR−216,KR−218、KSP−1[信越シリコーン(株)製品]、TSR−160、TSR−165[東京芝浦電気(株)製品]、SH5050、SH6018、SH6188[東レシリコーン(株)製品]等の商品名で市販されているものを用いることができる。
【0062】
シリコン変性樹脂は、上記したシリコン樹脂と水酸基および/又はカルボキシル基を有する基体樹脂、例えばアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等を上記した使用割合で、それ自体既知の方法で共縮合させることによって製造することができる。
【0063】
これら例示した樹脂のうち、特にポリエステル変性非イオン系アクリル樹脂がウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂と相溶性が良く、また、架橋官能基の導入も容易であるため好適である。
【0064】
本発明に従い工程(I)で用いられる顔料を実質的に含まない(クリヤー)カチオン電着塗料は、以上に述べた(A)成分及び(B)成分をそれ自体既知の方法で水中に分散ないし溶解させることにより調製することができる。
【0065】
例えば、▲1▼(A)成分及び(B)成分を水混和性有機溶剤中に溶解させた状態で水及び酸(例えば酢酸、ギ酸、乳酸、リン酸、硫酸などの水溶性有機酸又は無機酸)と混合し中和して水性浴を形成するか、▲2▼(A)成分を水性媒体中に分散させ、酸で中和して水性浴を形成し、その水性浴中に(B)成分の水混和性有機溶剤溶液をホモジナイザー等を用いて強制分散せしめる等の方法で調製することができる。前記▲1▼及び▲2▼のいずれの方法によって得られる組成物においても、(B)成分の粒子は(A)成分の酸中和物によって水中に極めて安定に分散せしめられ、長期間にわたって優れた貯蔵安定性を示す。水性浴の形成の際に用いる酸の量(中和価)は厳密に規定することはできないが、一般には、樹脂固形分1g当り、約5〜約40KOHmg数、特に10〜20KOHmg数の範囲内が電着特性上好ましい。
【0066】
工程(I)で用いるクリヤーカチオン電着塗料組成物の調製にあたって、(A)成分及び(B)成分はそれぞれ単独又は2種以上組合せて使用することができる。(A)成分と(B)成分の配合割合は、それぞれの樹脂の種類や電着塗料に望まれる特性等に応じて変えることができるが、一般には樹脂(A)/樹脂(B)の重量比で、15/85〜95/5、好ましくは50/50〜90/10の範囲内とすることができる。前記した範囲外の配合割合では耐候性、防食性ともに劣る傾向がみられる。
【0067】
工程(I)で用いるクリヤーカチオン電着塗料組成物には、前記した(A)成分及び(B)成分の他に、適宜必要に応じて、通常塗料分野で用いられるインヒビター(腐蝕抑制剤)、硬化触媒、界面活性剤、その他の添加剤などを配合することもできる。また、外部架橋剤として、架橋性官能基を1分子中に2個以上有する化合物、例えば、ブロックポリイソシアネート、ポリアミンのβ−ヒドロキシカルバミン酸エステル、マロン酸エステル、マロン酸エステル誘導体、メチロール化メラミン、メチロール化尿素などを配合してもよい、これら外部架橋剤の配合量は、(樹脂(A)+樹脂(B))と外部架橋剤との重量比で、100/0〜60/40、好ましくは85/15〜75/25が望ましい。
【0068】
上記のクリヤーカチオン電着塗料組成物を用いて被塗物に電着塗装を行う方法および装置としては、従来からカチオン電着塗料においてそれ自体使用されている既知の方法および装置を使用することができる。その際、被塗物をカソードとし、アノードとしてはステンレスまたは炭素板を用いるのが望ましい。用い得る電着塗装条件は特に制限されるものではないが、一般的には、浴温:20〜30℃、電圧:100〜400V(好ましくは200〜300V)、電流密度:0.01〜3A/dm2、通電時間:1〜5分、極面積比(A/C):2/1〜1/2、極間距離:10〜100cm、撹拌状態で電着することが望ましい。
【0069】
カソードの被塗物上に析出する塗膜は、洗浄後、約140℃〜約180℃の範囲内の温度で焼き付けて硬化させることができる。
【0070】
工程(II):
本工程は、前述した工程(I)で形成されたクリヤーカチオン電着塗面に、メタリック顔料及び/又は着彩顔料を含有する水性塗料を第1上塗りとして塗装する工程である。
【0071】
上記水性塗料は、基体樹脂、硬化剤、メタリック顔料及び/又は着彩顔料および水を主要成分とするものであって、必要に応じて有機溶剤などを配合してなる熱硬化性塗料である。
【0072】
基体樹脂は、第1上塗りによる塗膜の主成分であり、耐候性が良好で、水に溶解もしくは分散しうる塗料用樹脂が好適であり、例えば、水性塗料のビヒクルとして通常用いられるタイプのアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などをベースとした水溶性化もしくは水分散化しうる樹脂があげられる。これらの水溶性化もしくは水分散化しうる樹脂は、原則的には、水溶性化もしくは水分散化するのに十分な量の親水性基、例えばカルボキシル基(−COOH)、水酸基(−OH)、メチロール基(−CH2OH)、アミノ基(−NH2)、スルホン基(−SO3H)、ポリオキシエチレン結合(CH2CH2O)nなどを導入、含有するものであるが、最も一般的なものは、カルボキシル基を含有するものである。カルボキシル基を含有する樹脂は、中和してアルカリ塩を作ることにより水溶性化もしくは水分散化することができる。水溶性化もしくは水分散化に必要なカルボキシル基の量は、樹脂の骨格や他の親水性基の含有量、中和剤の種類、中和当量によって異なるが、少なくとも酸価は通常30以上とすることが必要である。かかるカルボキシル基含有水溶性もしくは水分散性樹脂は一般に、アルカリ性物質例えば水酸化ナトリウム、各種アミンなどで中和することによって水溶性化もしくは水分散化することができる。
【0073】
上記アクリル樹脂としては、例えば、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸、ヒドロキシル基、アミド基、メチロール基などの官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及びその他の(メタ)アクリル酸エステル、スチレンなどを共重合して得られる酸価が約30〜100及び水酸基価が約20〜200のものを挙げることができる。
【0074】
ポリエステル樹脂としては、多塩基酸、多価アルコール、変性油を常法により縮合反応させて得られるものが挙げられ、また、エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ化合物と不飽和脂肪酸との反応によって不飽和エポキシエステルを合成し、該エステルの不飽和基にα,β−不飽和酸を付加する方法や、エポキシエステルの水酸基を、フタル酸やトリメリット酸のような多塩基酸でエステル化する方法などによって得られるエポキシエステル樹脂が挙げられる。
【0075】
ウレタン樹脂としては、上記の如きアクリル樹脂、ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂にジイソシアネート化合物を反応させて高分子量化したものが挙げられる。
【0076】
また、上記樹脂の水分散化は、上記樹脂の形成のために使用されるモノマー成分を界面活性剤や水溶性樹脂の存在下で乳化重合することによって行なうことができ、さらに、上記樹脂を例えば乳化剤などの存在下で水中に分散することによっても達成することができる。この水分散化において、基体樹脂中には前記親水性基を全く含んでいなくてもよく、或いは上記水溶性樹脂よりも少ない量で含有することができる。
【0077】
このうち、アクリル樹脂の水分散液としては、従来から既知の界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のノニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤、或いは酸価20〜150程度、数平均分子量5000〜30000程度のアクリル樹脂のような水溶性樹脂等の分散安定剤の存在下で、アクリル系単量体及び必要に応じて他の共重合体単量体を重合することによって調製される、平均粒子径が0.05〜1.0μm程度の範囲内にあるアクリル系(共)重合体の水分散体が好ましい。
【0078】
上記の重合に供される単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸又はフマル酸の半エステル化物等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニル等の重合性不飽和単量体が挙げられる。
【0079】
また、上記重合性不飽和単量体には、必要に応じて、多官能性不飽和単量体、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等も少量併用することができる。
【0080】
該分散液は特に、多段重合法によって得られるものが好ましい。即ち、最初にα,β−エチレン性不飽和酸を全く含まないか或いは少量含む単量体を重合し、次いでα,β−エチレン性不飽和酸を多量に含む単量体を共重合することによって得られる多段重合エマルジョンは、中和剤を用いて中和することによって増粘するので塗装作業性の面から好ましいものである。使用しうる中和剤は、アンモニア又は水溶性アミノ化合物例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等が挙げられるが、特に第3級アミンであるトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等が好ましい。また、高酸価アクリル樹脂や増粘剤を添加することによって増粘させたものも本発明の目的に対して有用である。
【0081】
該水分散液中のアクリル樹脂は、機械安定性、貯蔵安定性等の性能面からして分散粒子を架橋した方が有利である。また、この水分散液には、必要に応じて、従来から既知の方法により製造されるポリエステル系、ポリウレタン系の水分散性樹脂を併用することが可能である。
【0082】
前記水性塗料に使用される硬化剤は、上記基体樹脂を加熱により三次元的に架橋硬化させるためのものであり、具体的には、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素などとホルムアルデヒドとの縮合もしくは共縮合またはさらに低級1価アルコールでエーテル化するなどによって得られるアミノ樹脂が好適に用いられる。
【0083】
一方、前記水性塗料に配合し得るメタリック顔料としては、例えば、アルミニウムフレーク、銅ブロンズフレーク等の金属フレークを挙げることができ、また、着彩顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、クロム酸鉛、カーボンブラック等の如き無機顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カルバゾールバイオレット、アントラピリミジンイエロー、フラバンスロンイエロー、イソインドリンイエロー、インダスロンブルー、キナクリドンバイオレット等の如き有機顔料を挙げることができる。これらのメタリック顔料及び着彩顔料はそれぞれ単独で使用することができ、或いは両者を併用することもできる。更に、例えば、タルク、カオリン等の体質顔料も配合することができる。
【0084】
工程(II)で用いられる水性塗料における上記各成分の比率は、目的に応じ任意に選択することができるが、例えば、基体樹脂と硬化剤とは、これら両成分の合計重量にもとずいて、前者が60〜90重量%、特に70〜85重量%、後者が40〜10重量%、特に30〜15重量%の範囲内が好ましく、さらに顔料は、所望のメタリック感や色彩等に応じて適宜の量を配合すればよく、基体樹脂と硬化剤を合計した樹脂固形分100重量部に対して通常約1〜約250重量部の範囲内で配合するのが適当である。
【0085】
該水性塗料は、上記基体樹脂、硬化剤および顔料を通常の方法に従って、脱イオン水及び必要に応じて有機溶媒、増粘剤、消泡剤等の添加剤を加えて、固形分10〜40重量%程度、粘度800〜5000cps/6rpm(B型粘度計)程度に調整することにより得ることができる。
【0086】
上記水性塗料は、2コート2ベーク方式または2コート1ベーク方式で塗装する場合のベースコートとして極めて好適に使用できる。しかして、該水性塗料は前記工程(I)で形成されるカチオン電着加熱硬化塗膜面に、例えば10〜50μm程度の硬化膜厚になるようにスプレー塗装等により塗装することができる。形成される水性塗料の塗膜の硬化は、2コート2ベーク方式の場合、該塗膜の硬化温度、例えば約120〜約170℃に加熱することにより行なうことができる。
【0087】
工程(III):
本工程は、前述した工程(II)で形成される水性塗料による第1上塗りの硬化塗膜面(本発明の第1の態様)または未硬化塗膜面(本発明の第2の態様)に第2上塗りとして顔料を含まない粉体塗料を塗装する工程である。
【0088】
該粉体塗料は、工程(II)の水性塗料による硬化塗膜面もしくは未硬化の塗膜面に塗装することのできる、熱硬化性のそれ自体既知の粉体塗料であることができ、原則として、工程(II)で形成されるメタリック塗膜もしくは着色塗膜を透視できるような透明塗膜を形成し得る、基体樹脂と硬化剤とを主成分とし、着色顔料やメタリック顔料を実質的に含まない粉体塗料である。
【0089】
上記基体樹脂は粉体塗料の塗膜形成のための主要成分であって、例えば、水酸基、カルボキシル基、グリシジル基などから選ばれる1種またはそれ以上の架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、およびこれらの変性体(例えば、グラフト重合体)などがあげられるが、これらは単なる例示であり、これらのみに限定されるものではない。該基体樹脂はガラス転移温度が一般に50℃以上、特に60〜120℃の範囲内にあるものが好ましく、また、組成および分子量などは特に制限がなく、目的に応じて任意に選択することができる。
【0090】
硬化剤は、上記基体樹脂を加熱により三次元的に架橋硬化させるための成分であり、例えば、アルコキシメチロールメラミン、ブロックポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、イソシアヌレート化合物および脂肪族二塩基酸などを使用することができる。
【0091】
基体樹脂と硬化剤との比率は、基体樹脂中の上記官能基と硬化剤中の官能基とのモル比がほぼ等モルになるようなものであることが最も好ましい。
【0092】
工程(III)で用いる粉体塗料には、さらに、流動調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの塗料添加物を必要に応じて配合してもさしつかえない。
【0093】
粉体塗料は、通常、上記各成分を溶融混練し、冷却後、適当な粒径に粉砕することによって得ることができる。
【0094】
該粉体塗料は、前記工程(II)に従い形成される水性塗料の硬化塗膜面に塗装するか、或いは、前記工程(II)に従い水性塗料を塗装し、加熱硬化させることなく、該塗膜中に含まれている水分の殆どを常温もしくは100℃以下の温度で風乾しただけの水性塗料による未硬化の塗膜面に塗装する。その塗装方法は特に制限されず、静電噴霧塗装、流動浸漬法など任意の粉体塗装方法を用いることができる。
【0095】
粉体塗料の塗装膜厚は特に制限されるものではないが、一般には40〜200μmの範囲内が適しており、なかでも、仕上がり塗膜の平滑性、鮮映性、光沢、肉持感などを良好にするためには、60〜120μmの肉厚に塗装することが好ましい。
【0096】
粉体塗料の塗膜の硬化温度は、2コート2ベーク方式(本発明の第1の態様)の場合には、該粉体塗料の硬化温度、例えば約120〜約170℃の範囲内の温度とすることができる。
【0097】
工程(IV):
本発明の第2の態様に従い、前述した工程(II)および(III)で形成される水性塗料により第1上塗り塗膜と粉体塗料による第2上塗り塗膜の両塗膜を2コート1ベーク方式で同時に硬化させる場合の硬化温度としては、通常約120〜約170℃の範囲内で両塗膜が硬化可能な温度を採用することができ、これにより両塗膜を同時に硬化させることができる。
【0098】
【作用及び効果】
本発明の方法は、塗装工程が簡略化され、しかも塗膜の仕上り外観、防食性、耐候性、耐チッピング性等が極めてすぐれ、、かつ、省資源、公害対策上有利な塗装方法であり、自動車、二輪車、電気製品などの塗装において広く利用することができる。
【0099】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、以下「%」は「重量%」を示す。
【0100】
I.試料の調製
カチオン電着塗料:
1.ポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂(A)の製造
撹拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、イソホロンジイソシアネート(ダイセル−ヒュルス株式会社製)666g、メチルイソブチルケトン269g、エチレングリコールモノブチルエーテル118g及びジブチル錫ジラウリレート0.2gを加え、70℃で、イソシアネート基濃度が6.38ミリモル/gになるまで、窒素雰囲気下で反応させ、次いで環状ラクトンの開環ポリエステルポリオールであるプラクセル208(OH当量:409、ダイセル化学工業株式会社製)1634gを加え、70℃で、イソシアネート基濃度が0.414ミリモル/gになるまで、窒素雰囲気下で反応させ、粘調なウレタンプレポリマー溶液を得た。
【0101】
次いで、撹拌機、温度計、窒素導入管及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、エポキシ当量が190のビスフェノールAジグリシジルエーテル775g、ビスフェノールA237g及びジメチルベンジルアミン13.5gを加え、110℃でエポキシ濃度が1.85ミリモル/gになるまで反応させてエポキシ樹脂(数平均分子量1.025、エポキシ当量539)を得た。このエポキシ樹脂に、上記のウレタンプレポリマー溶液1333gを加え、90℃で、イソシアネート基が無くなるまで窒素雰囲気下で反応させる。次いで、エチレングリコールモノブチルエーテル378gで希釈し、ジエタノールアミン200gを加え、90℃で、エポキシ基がなくなるまで反応させ、エチレングリコールモノブチルエーテルで固形分75%に希釈し、第1級水酸基当量638、アミン価46.3を持つポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂(A)を得た。
【0102】
成分▲1▼を130℃に加熱し、130℃で成分▲2▼〜▲6▼を5時間かけて滴下後、130℃で2時間維持し、130℃で2時間かけて成分▲7▼、▲8▼を滴下し、更に130℃で2時間維持し、次いで成分▲9▼を添加し冷却する。かくして、固形分62%で数平均分子量約5,000のアクリル樹脂溶液(B)を得た。
【0103】
3.クリヤーカチオン電着塗料(1−a)の製造
上記I、1で得られた樹脂(A)52g(固形分)、上記I、2で得られた樹脂(B)23g(固形分)および架橋剤であるメチルエチルケトオキシムブロックイソホロンジイソシアネート25g(固形分)を配合した。さらに、樹脂組成物の固形分100gに対しポリプロピレングリコール(三洋化成(株)製、サンニックスPP4000)1g、ギ酸0.82gおよび酢酸鉛1gを加え、40℃まで加温し撹拌しながら脱イオン水を徐々に加えて水分散させ、樹脂固形分30%の安定なエマルジョンを得た。このようにして得たエマルジョンの樹脂固形分100gに対し塩基性ケイ酸鉛3g、ジブチル錫オキサイド2gおよびノニオン界面活性剤(商品名:ノイゲンEA−142B、第一工業製薬社製)1gを加え、ボールミルで粒度10ミクロン以下になるまで顔料分散を行なった後、さらに脱イオン水で樹脂固形分15%となるように希釈した。
【0104】
4.カチオン電着塗料(1−b)の製造(比較例)
上記I、1で得られた樹脂(A)52g(固形分)、上記I、2で得られた樹脂(B)23g(固形分)および架橋剤であるメチルエチルケトオキシムブロックイソホロンジイソシアネート25g(固形分)を配合した。さらに、樹脂組成物の固形分100gに対しポリプロピレングリコール(三洋化成(株)製、サンニックスPP4000)1g、ギ酸0.82gおよび酢酸鉛1gを加え、40℃まで加温し撹拌しながら脱イオン水を徐々に加えて水分散させ、樹脂固形分30%の安定なエマルジョンを得た。このようにして得たエマルジョンの樹脂固形分100gに対し塩基性ケイ酸鉛3g、チタン白13g、カーボン0.3g、クレー3g、ジブチル錫オキサイド2gおよびノニオン界面活性剤(商品名:ノイゲンEA−142B、第一工業製薬社製)1gを加え、ボールミルで粒度10ミクロン以下になるまで分散を行なった後、さらに脱イオン水で樹脂固形分15%となるように希釈した。
【0105】
水性塗料:
アクリル樹脂水分散液(W−1)の製造
反応容器内に、脱イオン水140部、30%Newcol 707SF(注1)2.5部および下記の単量体混合物(1)1部を加え、窒素気流中で撹拌混合し、60℃で3%過硫酸アンモニウム4部および脱イオン水42部からなる単量体乳化物を4時間かけて定量ポンプを用いて反応容器に加える。添加終了後1時間熱成を行なう。
【0106】
さらに、80℃で下記の単量体混合物(2)20.5部と3%過硫酸アンモニウム4部を同時に1.5時間かけて反応容器に並列滴下する。添加終了後1時間熟成し、30℃で200メッシュのナイロンクロスで濾過した。このものにさらに脱イオン水を加えジメチルアミノエタノールでpH7.5に調整し、平均粒子径0.1μ、Tg(ガラス転移温度)46℃の不揮発分20%アクリル樹脂水分散液(W−1)を得た。
【0107】
単量体混合物(1)
メチルメタクリレート 55部
スチレン 10部
n−ブチルアクリレート 9部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 5部
メタクリル酸 1部
単量体混合物(2)
メチルメタクリレート 5部
n−ブチルアクリレート 7部
2−エチルヘキシルアクリレート 5部
メタクリル酸 3部
30%Newcol 707SF(注1) 0.5部
(注1)30%Newcol 707SFは日本乳化剤(株)社製界面活性剤。
【0108】
アクリル樹脂水分散液(W−2)の製造
反応容器にブチルセロソルブ60部およびイソブチルアルコール15部を加えて窒素気流中で115℃に加温する。115℃に達したら、n−ブチルアクリレート26部、メチルメタクリレート47部、スチレン10部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、アクリル酸6部およびアゾビスイソブチロニトリル1部の混合物を3時間かけて加える。添加終了後115℃で30分間熟成し、アゾビスイソブチロニトリル1部とブチルセロソルブ115部の混合物を1時間にわたって加え、30分間熟成後50℃で200メッシュのナイロンクロスで濾過した。得られた反応生成物の酸価は48、粘度Z4(ガードナー泡粘度計)、不揮発分55%、Tg45℃であった。このものをジメチルアミノエタノールで当量中和し、さらに脱イオン水を加えることによって50%アクリル樹脂水溶液(W−2)を得た。
【0109】
水性塗料の製造
メタリック水性塗料(M−1)
アクリル樹脂水分散液(W−1) 275部
アクリル樹脂水溶液(W−2) 40部
サイメル350(三井東圧化学社製、アミノ樹脂) 25部
アルミペーストAW−500B(旭化成メタルズ社製) 20部
ブチルセロソルブ 20部
脱イオン水 253部
を混合し、チクゾールK−130B(共栄社油脂化学工業社製増粘剤)を添加して、B型粘度計(ローター回転数6rpm)で3000cpsに調整してメタリック水性塗料(M−1)を得た。不揮発分約19%。
【0110】
白色水性塗料(S−1)
アクリル樹脂水溶液(W−2) 40部
チタン白 100部
ブチルセロソルブ 20部
をペブルミルにて5μ以下まで分散し、
アクリル樹脂水分散液(W−1) 275部
サイメル350(三井東圧化学社製、アミノ樹脂) 25部
脱イオン水 111部
を加え、前項同様に粘度を2500cpsに調整し、白色水性塗料(S−1)を得た。不揮発分約30%。
【0111】
粉体塗料:
(3−a)
フラスコにメチルメタクリレート40部、2−エチルヘキシルアクリレート30部、グリシジルメタクリレート30部、スチレン10部およびt−ブチルパーオキサイド(重合開始剤)1部、オレイン酸カリ石鹸(界面活性剤)2部を仕込み懸濁重合法により加熱重合を行ない、得られた共重合体(ガラス転移温度約60℃)を乾燥した。得られた共重合体100部、デカメチレンジカルボン酸25部、塗面調整剤1部を加熱ニーダーを用いて120℃で10分間溶融混練した。ついで混練物を冷却後粉砕機を用いて粉砕を行なって粒子径20〜150μ程度のクリヤー粉体塗料を得た。
【0112】
II.実施例および比較例
リン酸亜鉛処理した鉄板製品(被塗物)をカチオン電着塗料浴中に浸漬し、対極である陽極との間に、焼付後の膜厚が20μとなる電圧で3分間通電し、水洗後、二酸化窒素濃度が10ppmである雰囲気で170℃×20分間加熱して該電着塗膜を硬化させた。次に、この電着塗面に第1上塗りとして水性塗料(M−1)又は(S−1)をスプレーガン(デビルビスSGA502、25℃、湿度70%)で硬化膜厚が(M−1)では10〜20μ、(S−1)では25〜40μになるように塗装して、表1に示す焼付条件で乾燥した後、該水性塗料の塗面上に第2上塗りとして粉体塗料を静電粉体塗装法により、硬化膜厚が70〜100μになるように塗装し、表1に示す焼付条件で塗膜を硬化させた。これらの塗装工程およびその評価の結果も表1に示す。
【0113】
表1において、
(*1)従来型中塗り塗料:アミノ・アルキド樹脂系溶剤型中塗り塗料であり、硬化した電着塗面に、スプレー塗装機で硬化塗膜にもとずいて30μになるように塗装し、140℃×30分間加熱して硬化せしめた。
【0114】
(*2)従来型トップコート:マジクロンHK−1 クリヤー[関西ペイント(株)製 有機溶剤型熱硬化性アクリル樹脂系クリヤー塗料]であり、未硬化のベースコート水性塗料(M−1)の塗膜面に硬化塗膜で40μになるように塗装し、150℃×30分間加熱してベースコート/クリヤーコート両塗膜を同時に硬化させた。
【0115】
(*3)水平部仕上り性:鮮映性測定器PGD−IV型計(発売元 日本色彩研究所)を用いて測定した。値が大きいほど鮮映性が良好であることを意味する。
【0116】
(*4)暴露耐久性:塗板をサンシャインウエザオメーター(光量1100KJoule/m2・hr)で200時間促進暴露後40℃の温水中に24時間浸漬する試験を1サイクルとして、この試験を25サイクル行ない、その後JISK−5400 8.5.2碁盤目テープ法に準じて、2mm×2mmのマス目を100個作成し、その表面にテープを密着させ、剥離した際のマス目の剥れ程度を下記の基準で評価した。
【0117】
○:塗膜層間の剥離は認められない。
【0118】
×:電着塗膜とベースコート塗膜の間で部分的または全面の剥れが認められる。
【0119】
(*5)耐チッピング性:下記試験を行なった。
【0120】
▲1▼試験機器:Q−G−Rグラベロメーター(Qパネル会社製品)
▲2▼吹付けられる石:直径約15〜20mmの砕石
▲3▼吹付けられる石の容量:約500ml
▲4▼吹付けエアー圧力:約4kg/cm2
▲5▼試験時の温度:約20℃
試験片を試験片保持台にとりつけ、約4kg/cm2の吹付けエアー圧力で約500mlの砕石を試験片に発射せしめた。塗面状態を目視観察し、下記の基準で評価した。
【0121】
○(良):上塗り塗膜の一部に衝撃によるキズがごく僅か認められる程度で、電着塗膜の剥離は全く認められない。
【0122】
△(やや不良):上塗りおよび中塗り塗膜に衝撃によるキズが見られ、しかも電着塗膜の剥離がわずかに認められる。
【0123】
×(不良):上塗りおよび中塗り塗膜に衝撃によるキズが多く認められ、しかも電着塗膜の剥離もかなり認められる。
【0124】
(*6)VOC(Volatile Organic Compound)規制合否の計算方法
で塗装した時の塗着塗料固形分1gal(ガロン)当たりのVOCがEPA(アメリカ環境保護局)規制に基づいて、12.2lb/gal、Applied Solidを越すものを×、越さないものを○と評価した。
【0125】
(*7)焼付け回数(省エネルギー性):焼付け回数は、焼付温度が100℃を越すものを1.0回、越さないものを0.5回として計算した。
【0126】
【表1】
Claims (2)
- (I)被塗物に、(A)数平均分子量が50〜8,000のポリヒドロキシ化合物(a)、ポリイソシアネート化合物(b)及び1分子中に1個の活性水素を有する化合物(c)の反応により得られる1分子中に1個の末端イソシアネート基を有するポリウレタン化合物(A−1);1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂(A−2);及び活性水素を含有するアミン化合物(A−3)の反応により形成されるポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂と、(B)非イオン系被膜形成性樹脂を、樹脂(A)/樹脂(B)の重量比が15/85〜95/5の範囲内で含有し、かつ、顔料を実質的に含まないカチオン電着塗料を塗装し、加熱硬化した後、
(II)該電着塗面に、第1上塗りとしてメタリック顔料及び/又は着彩顔料を含有する水性塗料を塗装して加熱硬化し、
(III)更に、第2上塗りとして顔料を実質的に含まない粉体塗料を塗装して加熱硬化する
ことを特徴とする塗装方法。 - (I)被塗物に、(A)数平均分子量が50〜8,000のポリヒドロキシ化合物(a)、ポリイソシアネート化合物(b)及び1分子中に1個の活性水素を有する化合物(c)の反応により得られる1分子中に1個の末端イソシアネート基を有するポリウレタン化合物(A−1);1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂(A−2);及び活性水素を含有するアミン化合物(A−3)の反応により形成されるポリウレタン変性アミン付加エポキシ樹脂と、(B)非イオン系被膜形成性樹脂を、樹脂(A)/樹脂(B)の重量比が15/85〜95/5の範囲内で含有し、かつ、顔料を含まないカチオン電着塗料を塗装し、加熱硬化した後、
(II)該電着塗面に、第1上塗りとしてメタリック顔料及び/又は着彩顔料を含有する水性塗料を塗装し、加熱硬化することなく、
(III)更に、第2上塗りとして顔料を実質的に含まない粉体塗料を塗装し、
(IV)次いで、加熱して上記工程(II)および(III)で形成される両塗膜を同時に硬化させる
ことを特徴とする塗装方法。
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