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JP3612348B2 - 肝実質細胞増殖因子誘導体 - Google Patents

肝実質細胞増殖因子誘導体 Download PDF

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JP3612348B2 JP11750694A JP11750694A JP3612348B2 JP 3612348 B2 JP3612348 B2 JP 3612348B2 JP 11750694 A JP11750694 A JP 11750694A JP 11750694 A JP11750694 A JP 11750694A JP 3612348 B2 JP3612348 B2 JP 3612348B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規肝実質細胞増殖因子誘導体、該誘導体をコードするDNA配列、該DNA配列を有する発現ベクター、該発現ベクターを導入された形質転換細胞、及び該誘導体の製造方法に関わる。さらに、本発明の肝実質細胞増殖因子誘導体のPTCA処置等による血管損傷を伴う疾患の治療薬としての用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
肝実質細胞増殖因子(hepatocyte growth factor、以下HGFという)は、初代培養ラット肝細胞のDNA合成促進物質として、ラット血液中[Nakamura, T. Nawa, K. and Ichihara, A. Biochem. Biophys. Res. Commun. 122, 1450 (1984).]で初めて見いだされ、部分精製により既知の細胞増殖因子とは異なる因子であることが明かとなった。その後、ヒトcDNAがクローニングされ、全一次構造が決定された[Nakamura,T.et al. Nature 342, 440 (1989).Miyazawa,K.et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 163,967(1989).]。
【0003】
HGFは、463アミノ酸残基のα鎖と234アミノ酸残基のβ鎖から成るヘテロダイマーである。HGFは、N末端に31アミノ酸残基のシグナルペプチドを有する728アミノ酸残基からなる1本鎖の前駆体として合成される。HGFの活性化はセリン系プロテアーゼ[Miyazawa, K. et al. J. Biol. Chem. 268, 10024 (1993)]によるプロセッシングであり、N末端から494番目のアルギニンと495番目のバリンのペプチド結合が切断され、2本鎖構造[Naka, D. et al. J. Biol. Chem. 267 20114 (1992) ]をとることである。
【0004】
当初、HGFは肝実質細胞に対する特異的な増殖因子であると考えられていたがその後、内皮細胞、上皮細胞の増殖活性[Rubin, J. S. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 415 (1991).]、上皮細胞の分散活性[Matumoto, K. et al. Exp. Cell. Res. 196, 144 (1991).]を有することが明かとなった。また、血管内皮細胞の増殖活性促進によるin vivoでの血管管腔形成能[Derrick, S. Grant. et al.Proc. Natl. Acad. Sci. 90 ,1937 (1993)]を有することが明かとなった。
【0005】
HGFは、細胞増殖活性の他、細胞運動性促進活性、形態形成誘導活性、巨核球刺激活性等を有する多機能な因子であるため、標的部位以外での活性型HGFの作用は副作用が懸念される。従って、血管損傷部位で特異的、且つ速やかに活性化するHGFが得られれば、損傷を受けた内皮細胞に特異的な作用が可能となり、上記問題点が解決、または、軽減する事が期待され、その開発の意義は極めて大きい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、遺伝子工学的手法により新規HGF誘導体を作製し、正常状態ではHGFを不活性型として存在させ、血管内皮細胞損傷部位で特異的に活性化する事で、血管損傷部位の内皮細胞を標的とした治療を可能とするHGF誘導体を、提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、肝実質細胞増殖因子のアミノ酸配列のN末端より492番目から494番目のアミノ酸配列が、Gln/Glu−Xaa−Arg(Glnはグルタミン,Gluはグルタミン酸、Argはアルギニン、Xaaはグリシン、セリン、スレオニン、のうちいずれか一つ)に置換された肝実質細胞増殖因子誘導体によって解決される。また、肝実質細胞増殖因子のアミノ酸配列のN末端より493番目のアミノ酸がグリシンに置換された肝実質細胞増殖因子誘導体によっても解決される。さらに上記課題は、これらの肝実質細胞増殖因子誘導体を有効成分として含有する医薬品組成物によっても解決される。
【0008】
血管損傷部位では、損傷内皮細胞上で、血小板の活性化した組織因子が血液凝固因子と複合体を形成し、血液凝固反応系の活性化が起こる。血液凝固因子である活性型第X因子は、基質特異性が高く、プロトロンビンを特異的に活性化する。
第X因子の認識アミノ酸配列はGln/Glu−Xaa−Arg(Glnはグルタミン,Gluはグルタミン酸、Argはアルギニン、Xaaはグリシン、セリン、スレオニン、のうちいずれか一つ)である。
【0009】
HGFは、不活性型の1本鎖を、N末端から494番目のアルギニンのC末端側で切断され、ヘテロダイマーを形成することで活性型となる[Mizuno, K. Takehara, T. and Nakamura, T. Biochem. Biophys. Res. Commun. 189, 1631 (1992)]。本発明者らは、その切断領域を改変することにより、活性を制御可能となる事を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、HGFのN末端より、491番目から495番目のアミノ酸配列を血液凝固第X因子の認識可能なアミノ酸配列に改変することにより、血管損傷部位で特異的に活性化する新規HGF誘導体を作製した。
【0011】
投与方法としては、静注投与、または筋肉注射、またはコラーゲンゲルと調合して局所へ注入することが望ましい。
投与量は、投与方法により異なるが、静注投与の場合、新規HGF誘導体を、体重1kg当たり1μg〜100μgを数日に渡り、4回以上投与する。
【0012】
本発明のHGF誘導体は、主に、遺伝子工学的手法、または、タンパク質工学的手法によって達成されるものである。以下に、本発明の新規HGF誘導体の作製方法について詳細に説明するが、目的のHGF誘導体が得られれば、作製方法はこれに限定しない。
【0013】
HGF、またはその一部、或いはその改変体、誘導体をコードするDNAをほ乳類動物細胞用発現プラスミドベクターに組み込む。この時用いるプラスミドは、宿主中でHGF誘導体を産生できるものであれば良いが、pGM、pKCR、pSVL等が好ましく、特にpGMが好ましいい。プラスミドに組み込まれたHGFcDNAの目的の領域に変異を導入する。変異の導入は、インビトロミュータゲネシスシステム Ver2.1(アマシャム社製)を用いると便利であるが、他の方法でも良い。又、予めHGFcDNAに、変異を導入させた後に、ほ乳類動物細胞用発現ベクターに組み込んでも良い。
【0014】
変異を導入したHGFcDNAを組み込んだプラスミド、または、変異を導入したHGFcDNAをほ乳類動物細胞にトランスフェクションする。この時の宿主としては、COS1細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等のほ乳類動物細胞を用いるのが望ましいが、この限りではない。トランスフェクションの方法としては、リポフェクチン(ギブコ社製)等のリポソームを用いる方法や、燐酸カルシウム法[Chen, C. et al. Mol. Cell Biol. 7, 2745 (1987).]、DEAEデキストラン法[Maes, R. et al. Biochem. Biophis. Acta 134,269 (1967)]、エレクトロポレーション法等が挙げられるが、その他の方法でも良い。
【0015】
得られた形質転換細胞を、数日間適切な培地中で培養する。培地はイーグルMEM培地、ダルベッコ改変イーグル培地等を例として挙げる事ができ、必要に応じて添加物を加える。培養は、通常37℃で、5%二酸化炭素存在下で行われるが、細胞が生育すればこれに限定はしない。数日間の培養を行った後、培養上清を回収する。得られた培養上清を抗体、またはヘパリン等のアフィニティカラムを用いたアフィニティクロマトグラフィーにより精製する。精製品は更に、燐酸緩衝液(PBS)等にたいし透析、または、セントリコン10(グレースジャパン社製)にかけることにより、適当な塩濃度に調製する事ができる。
【0016】
【実施例】
次に、本発明のHGF誘導体の調整法、およびその薬理作用について具体的に述べる。
【0017】
[HGF誘導体の作製]
発現ベクターに使用するプラスミドpCDL−SRα296[Takebe Y. et al.,Mol. Biol. 8,466(1988).]のプロモーター領域の下流にBg12認識部位を設けた後、Sal1で消化した。このプロモーター領域を含むSal1消化断片とpSG5(フナコシ社製)のf1 oriを含むSal1消化断片とを結合させてpGMベクターを構築した。このpGMベクターをBg12で消化し、HGFcDNAのBamH1断片を結合することによりpGM/HGFを作製した。構築した発現プラスミドを図1に示す。
【0018】
このHGFcDNAを組み込んだほ乳類動物細胞発現ベクターpGM/HGFを用いて、HGFcDNAに対してHGFのアミノ酸配列のN末端より491番目から495番目のアミノ酸配列が配列番号1〜4に記載したアミノ酸配列と置換されるように点突然変異を導入した。点突然変異の導入については、インビトロミュータゲネシスシステム Ver2.1(アマシャム社製)を用いて行った。突然変異の導入で使用したDNAプライマーは、自動DNA合成機MODEL392(アプライド・バイオシステムズ社製)を用いてホスフェイト法により化学合成し、それぞれの配列は配列番号5〜8に記載した。
【0019】
配列番号1〜4で置換して得られたHGF誘導体(FX1〜4)の突然変異を導入した箇所を以下に示す。
FX1:491番目のリジンをイソロイシンに置換、且つ、492番目のグルタミンをグルタミン酸に置換、且つ、493番目のロイシンをグリシンに置換、且つ、495番目のバリンをスレオニンに置換。
FX2:493番目のロイシンをグリシンに置換、且つ、495番目のバリンをイソロイシンに置換。
FX3:493番目のロイシンをグリシンに置換、且つ、495番目のバリンをスレオニンに置換。
FX4:493番目のロイシンをグリシンに置換。
【0020】
[HGF誘導体の精製]
配列番号1〜4のアミノ酸配列に置換されるように突然変異を導入したプラスミドベクターをそれぞれDEAE−デキストラン法によりCOS1細胞にトランスフェクションした。即ち、直径100mmの組織培養用デイッシュに、6x10個のCOS1細胞をまき、一晩、37℃で、5%二酸化炭素存在下で培養した。細胞を燐酸緩衝液(PBS)で2回洗浄した後、5μgのpGM/HGFを含む4mlのDEAE−デキストラン培地(50mM トリス pH7.4/DME培地/0.4mg/ml DEAE−デキストラン溶液)を加え、4時間培養した後、燐酸緩衝液(PBS)で洗浄し、クロロキン−DME培地(100μM クロロキン/2%ウシ胎児血清を含むDME培地)を加えた。2.5時間、37℃で、5%二酸化炭素存在下で培養する事により、pGM/HGFをCOS1細胞に取り込ませた。トランスフェクション後、燐酸緩衝液(PBS)で細胞を2回洗浄し、DME培地を10ml加え、37℃で、5%二酸化炭素存在下で3日間培養した。培養終了後、培養上清を回収した。
【0021】
培養上清中に含まれているHGF誘導体をヘパリンアフィニティクロマトクロマトグラフィーにより精製した。システムは島津製作所製のLC7A型高速液体クロマトグラフを用い、カラムはTSK−Heparin 5PWカラム(東ソー社製)を使用した。まず、カラムを0.5M塩化ナトリウム/燐酸緩衝液でカラムを平衡化し、培養上清をカラムにかけ、HGF誘導体を吸着させた。0.5M塩化ナトリウム/燐酸緩衝液でカラムを洗浄した後、0.5ml/分の流速で、燐酸緩衝液存在下で、塩濃度0.5Mから2.0Mまでの直線濃度勾配をかけることにより、HGF誘導体を溶出した。溶出塩濃度0.9Mから1.2Mの画分をHGF溶出画分とした。得られた溶出画分を燐酸緩衝液に透析する事により、HGF誘導体の精製品を得た。
【0022】
[HGF誘導体の血清存在下での安定性]
得られたHGF誘導体(FX4)精製品を50mMトリス/塩酸/2%SDS/10%グリセロール/0.1%v/wブロモフェノールブルー(pH6.8)の緩衝液中に溶解し、還元下で95℃で5分間の熱処理を行い、Laemmliの方法[Laemmli, U. K. Nature, 227, 680 (1970) ]に従って、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。試料濃縮ゲルとしては、0.125M トリス(pH6.8)/0.1%SDS/0.025%TEMEDを含む3%アクリルアミドゲルを用いた。分離ゲルのアクリルアミド濃度は9%に調製した。電気泳動終了後、シルベストステインキット(ナカライテスク社製)を用いて、ゲルの銀染色を行い、ゲル上のバンドとしてHGF誘導体を検出した。
【0023】
結果、ウシ胎児血清を含むDME培地から精製して得られたHGFは約32KDaと57KDaのヘテロダイマー構造であるのに対し、HGF誘導体いずれもは約90KDaの一本鎖構造であった。つまり、HGF誘導体は、血清中のHGF活性化酵素による修飾を受けず、不活性型の構造を維持していることが明らかとなった。
【0024】
[HGF誘導体のFaXa反応性]
得られた1本鎖のHGF誘導体(FX1〜4)精製品各30ng及び無血清培地(DME培地)で培養して得られた1本鎖のHGF30ngに、活性型血液凝固第X因子(FaXa、シグマ社製)をそれぞれ600ng加えて、トリス緩衝液中で37℃で、5分、10分、30分、60分間インキュベートした。
【0025】
反応後のHGF誘導体及び、HGFは、50mMトリス/塩酸/2%SDS/10%グリセロール/0.1%v/wブロモフェノールブルー(pH6.8)の緩衝液中に溶解し、還元下で95℃で5分間の熱処理を行い、Laemmliの方法[U. K. Laemmli, Nature, 227, 680 (1970) ]に従って、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。試料濃縮ゲルとしては、0.125M トリス/塩酸(pH6.8)/0.1%SDS/0.025%TEMEDを含む3%アクリルアミドゲルを用いた。分離ゲルのアクリルアミド濃度は9%に調製した。電気泳動終了後、ゲルを10%メタノール/10mMCAPS(3−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸、ナカライテスク社製)緩衝液に30分間浸し、平衡化した。同時に、タンパク質を転写するポリビニリデンフルオリド(PVDF)膜は、100%メタノールに10秒間浸した後、10%メタノール/CAPS緩衝液に浸して平衡化した。平衡化されたPVDF膜をゲルに対して陽極側に密着させ、その両側をろ紙、スポンジパッドの順にゲルホルダーではさみ、ブロッティング装置(Bio Rad社製)にセットして緩衝液で満たした。電気泳動槽には100Vの電圧を1.3時間かけて、電気泳動によるタンパク質の転写を行った。
【0026】
転写終了後に、PVDF膜を取り出し、分子量マーカー(Bio Rad社製)の転写部分をカッターナイフで切り出して、クーマシーブリリアントブルーR−250(CBB)による染色を行った。残りのPVDF膜は、3%ウシ血清アルブミン(BSA)/トリス緩衝液(20mMトリス/0.15塩化ナトリウム
pH7.5)に室温で2時間浸して、ブロッキングをした。
【0027】
ブロッキング終了後、PVDF膜を、5μg/ml抗HGFα鎖マウスモノクローナル抗体/3%BSA−トリス緩衝液に浸して、室温で、2時間反応させた後、0.1% Tween−20(Bio Rad社製)/トリス緩衝液で、6分間の洗浄を3回行った。洗浄後、PVDF膜を、200ng/ml AP−conjugated anti mouse IgG(STRATAGENE社製)/3%BSA−トリス緩衝液に浸し、室温で、1.5時間反応させた後、0.1% Tween−20(Bio Rad社製)/トリス緩衝液で、6分間の洗浄を4回行った。
【0028】
PVDF膜を、二次抗体の標識酵素(AP)基質溶液(1mlNBT/1mlBCIP/20ml 0.1Mトリス(pH9.5))に浸し、酵素反応をさせて、膜上のバンドとして、新規HGF誘導体のα鎖を検出した。
バンド検出後のPVDF膜を、バイオイメージシステムVer2.1(ミリポア社製)によりデンシトグラムとして処理し、各反応時間でのα鎖量を膜上の濃度として数値化した。
【0029】
結果(表1)より、HGF誘導体はFaXa反応開始から5分以内に、α鎖の100%が修飾を受け、約57KDaのバンドとして検出された。天然型HGFでは、反応開始から5分後、10分後、30分後、60分後で、それぞれ約20%、24%、82%、83%の修飾率であった。つまり、FaXa存在下において、HGF誘導体は速やかに活性型二本鎖構造となることが明かとなった。
【0030】
Figure 0003612348
【0031】
[内皮細胞増殖活性の測定]
BAEC(ウシ大動脈血管内皮細胞、Flow Laboratory社)を24穴プレート(CORNING社製)の各穴に、5x10個細胞ずつ加え、10%ウシ胎児血清を含むDME培地(Nissui社製)中で、37℃で、5%二酸化炭素存在下で培養を開始した。一晩培養後、培地を5%ウシ胎児血清を含むDME培地に交換し、同時にHGF及び、各HGF誘導体(FX1,3,4)をそれぞれ3ng/ml、10ng/mlとなるように添加した。陽性対照はbFGF(R&D社製)1ng/mlとした。培養開始から5日目に、各穴に0.05%トリプシン/EDTAを加えて、細胞を剥し、懸濁した。細胞懸濁液にアイソトンIII(日科機社製)を加えた後、コールターカウンター(コールター エレクトロニクス社製)を用いて細胞数を計測した。
【0032】
結果(図2)より、HGF誘導体の内皮細胞増殖促進活性とHGFの活性は、同程度であることが明かとなった。
【0033】
in vivoにおけるHGF誘導体構造の検出]
体重160gのラット(SD/wistar、雄)の尾静脈より、HGF誘導体及び、HGFをそれぞれ別々のラットに、20μg注射投与し、1分後に断頭して血液を回収した。回収時にはEDTA・2Naを加えて、血液凝固反応を阻止し、10℃で、3000rpm、10分間の遠心の後、上清をプラズマとして回収した。プラズマ5mlに、0.5M塩化ナトリウム/燐酸緩衝液を25ml加えて希釈した後、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。カラムはTSK−Heparin 5PWカラム(東ソー社製)を使用した。カラムを0.5M塩化ナトリウム/燐酸緩衝液でカラムを平衡化し、プラズマ希釈液をカラムにかけ、0.5M塩化ナトリウム/燐酸緩衝液でカラムを洗浄した後、0.5ml/分の流速で、燐酸緩衝液存在下で、塩濃度0.5Mから2.0Mまでの直線濃度勾配をかけることにより、HGF誘導体及び、HGFを溶出し、精製品を得た。
【0034】
精製されたHGF誘導体及び、HGFを、[HGF誘導体の血清存在下での安定性]の項と同様にSDS−PAGE後、銀染色または、[HGF誘導体のFaXa反応性]の項と同様に電気泳動ブロッティング後の酵素抗体法によりバンドとして検出した。
【0035】
結果より、HGFはラット生体内を循環する間に、一本鎖構造(不活性型)から二本鎖構造(活性型)への修飾を受けるが、HGF誘導体は、ラットの生体内循環後においても、一本鎖構造(不活性型)が保持されていることが明かとなった。
【0036】
[肝実質細胞に対するDNA合成促進活性の測定]
肝実質細胞を、高橋らの方法[組織培養 12(8),308(1986)]に従って調製した。この肝実質細胞をWE播種用培地(5%ウシ胎児血清、10−8Mデキサメタゾンを含むWE基礎培地に懸濁して、コラーゲンコートした24穴組織培養用プレートに、5.0x10個細胞/0.4ml/穴となるように播いて培養した。培養開始から4時間後にWE基礎培地に交換し、この際に、HGF誘導体を添加して培養を継続した。培養開始24時間後に、H−チミジンを添加し培養を継続して、20時間のパルスラベリングを行った。ラベリング後に、培養上清を除き、冷燐酸緩衝液(PBS)、冷2%過塩素酸/PBS、冷95%エタノールの順にそれぞれ3回洗浄した後、室温で乾燥させた。乾燥後、1%SDS/0.1N水酸化ナトリウムを0.5mlずつ添加し、室温で1時間以上静置して細胞を溶解させた。各穴から細胞溶解液0.25mlをミニシンチレーションバイアルにとり、シンチレーター(オプティフロー、パッカード社製)を3ml加えて混合後、シンチレーションカウンターで放射活性を測定して、H−チミジンの取り込みを調べた。DNA合成促進活性値は、各穴における1分間あたりの放射壊変数(DPM/穴)で示した。
【0037】
結果(図3)より、HGF誘導体FX2及び、FX4の肝実質細胞DNA合成促進活性はHGFの活性と同程度であり、FX1とFX3は共に、HGFと比較して、低い活性であった。FaXa存在下での肝実質細胞DNA合成促進活性を測定したところ、HGFとFX3の活性にはFaXaの効果がみられなっかったが、FX1、FX2、FX4は、より高い活性値を示すことが明らかとなった。
【0038】
また、上記[HGF誘導体の血清存在下での安定性]より、in vitroにおいて、HGF誘導体の活性化が、天然型HGFに比べ、速やかに行われることから、in vivoでは、血管損傷部位など、血液凝固反応系の促進している局所において、HGF誘導体がFaXaにより速やかに活性化されると推測される。このことは同時に、多くの標的細胞と多機能な活性を持つ活性型HGFの副作用が懸念される中で、HGF誘導体は不活性型一本鎖構造で体内を循環する為、副作用の問題についても軽減されることが期待される。また、上記[内皮細胞増殖活性の測定]より、血管内皮細胞に対する増殖促進活性も同程度であることから、速やかに活性化したHGF誘導体により血管の再構築が可能であると推定される。
【0039】
図3よりFX1及びFX3については肝細胞に対するDNA合成促進活性は、天然型HGFに比べ有意に低い値であるが、図2より血管内皮細胞に対する細胞増殖活性は天然型HGFと同程度であった。つまり、495番目のアミノ酸がバリンからスレオニンに置換されているFX3、さらに491番目のアミノ酸がイソロイシンに置換されているFX1は、細胞選択性を有するHGF誘導体であると考えられる。このように、492〜494番目の前後の491、495番目のアミノ酸を含めた配列を変えることで各種活性にみられることより、491〜495番目のアミノ酸配列を置換することによって、シャープな細胞特異性を有するHGF誘導体の作製が可能である。
【0040】
[急性毒性]
非臨床試験での毒性LD50は1mg/kg(ラット)以上であった。
【0041】
【配列表】
Figure 0003612348
【0042】
Figure 0003612348
【0043】
Figure 0003612348
【0044】
Figure 0003612348
【0045】
Figure 0003612348
【0046】
Figure 0003612348
【0047】
Figure 0003612348
【0048】
Figure 0003612348

【図面の簡単な説明】
【図1】発現プラスミドpGM/HGFを示した図である。
【図2】HGF誘導体とHGFの内皮細胞増殖促進活性を比較したものである。
【図3】HGF誘導体とHGFの肝実質細胞DNA合成促進活性を比較したものである。

Claims (2)

  1. ヒト由来の肝実質細胞増殖因子のアミノ酸配列のN末端より492番目のアミノ酸がグルタミンまたはグルタミン酸に置換され、493番目のアミノ酸がグリシンに置換された肝実質細胞増殖因子誘導体。
  2. 肝実質細胞増殖因子のアミノ酸配列のN末端より492番目のアミノ酸がグルタミンまたはグルタミン酸に置換され、493番目のアミノ酸がグリシンに、494番目のアミノ酸がアルギニンに置換された肝実質細胞増殖因子誘導体。
JP11750694A 1994-05-07 1994-05-07 肝実質細胞増殖因子誘導体 Expired - Lifetime JP3612348B2 (ja)

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