JPH07304796A - 肝実質細胞増殖因子誘導体 - Google Patents
肝実質細胞増殖因子誘導体Info
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- JPH07304796A JPH07304796A JP6117506A JP11750694A JPH07304796A JP H07304796 A JPH07304796 A JP H07304796A JP 6117506 A JP6117506 A JP 6117506A JP 11750694 A JP11750694 A JP 11750694A JP H07304796 A JPH07304796 A JP H07304796A
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Abstract
他の部位では不活性型を維持させるようにすることによ
って、血管損傷部位の内皮細胞を標的とした治療を可能
とする肝実質細胞増殖因子誘導体を提供すること。 【構成】 肝実質細胞増殖因子のアミノ酸配列のN末端
より492番目から494番目のアミノ酸配列が、Gl
n/Glu−Xaa−Arg(Glnはグルタミン,G
luはグルタミン酸、Argはアルギニン、Xaaはグ
リシン、セリン、スレオニン、のうちいずれか一つ)に
置換された肝実質細胞増殖因子誘導体。
Description
子誘導体、該誘導体をコードするDNA配列、該DNA
配列を有する発現ベクター、該発現ベクターを導入され
た形質転換細胞、及び該誘導体の製造方法に関わる。さ
らに、本発明の肝実質細胞増殖因子誘導体のPTCA処
置等による血管損傷を伴う疾患の治療薬としての用途に
関する。
te growth factor、以下HGFとい
う)は、初代培養ラット肝細胞のDNA合成促進物質と
して、ラット血液中[Nakamura, T. Nawa, K. and Ichi
hara, A. Biochem. Biophys. Res. Commun. 122, 1450
(1984).]で初めて見いだされ、部分精製により既知の
細胞増殖因子とは異なる因子であることが明かとなっ
た。その後、ヒトcDNAがクローニングされ、全一次
構造が決定された[Nakamura,T.et al. Nature 342,440
(1989).Miyazawa,K.et al. Biochem. Biophys. Res. C
ommun. 163,967(1989).]。
34アミノ酸残基のβ鎖から成るヘテロダイマーであ
る。HGFは、N末端に31アミノ酸残基のシグナルペ
プチドを有する728アミノ酸残基からなる1本鎖の前
駆体として合成される。HGFの活性化はセリン系プロ
テアーゼ[Miyazawa, K. et al. J. Biol. Chem. 268,1
0024 (1993)]によるプロセッシングであり、N末端か
ら494番目のアルギニンと495番目のバリンのペプ
チド結合が切断され、2本鎖構造[Naka, D. etal. J.
Biol. Chem. 267 20114 (1992) ]をとることである。
な増殖因子であると考えられていたがその後、内皮細
胞、上皮細胞の増殖活性[Rubin, J. S. et al. Proc.
Natl.Acad. Sci. USA 88, 415 (1991).]、上皮細胞の
分散活性[Matumoto, K. et al. Exp. Cell. Res. 196,
144 (1991).]を有することが明かとなった。また、血
管内皮細胞の増殖活性促進によるin vivoでの血
管管腔形成能[Derrick,S. Grant. et al.Proc. Natl.
Acad. Sci. 90 ,1937 (1993)]を有することが明かとな
った。
促進活性、形態形成誘導活性、巨核球刺激活性等を有す
る多機能な因子であるため、標的部位以外での活性型H
GFの作用は副作用が懸念される。従って、血管損傷部
位で特異的、且つ速やかに活性化するHGFが得られれ
ば、損傷を受けた内皮細胞に特異的な作用が可能とな
り、上記問題点が解決、または、軽減する事が期待さ
れ、その開発の意義は極めて大きい。
的手法により新規HGF誘導体を作製し、正常状態では
HGFを不活性型として存在させ、血管内皮細胞損傷部
位で特異的に活性化する事で、血管損傷部位の内皮細胞
を標的とした治療を可能とするHGF誘導体を、提供す
るものである。
増殖因子のアミノ酸配列のN末端より492番目から4
94番目のアミノ酸配列が、Gln/Glu−Xaa−
Arg(Glnはグルタミン,Gluはグルタミン酸、
Argはアルギニン、Xaaはグリシン、セリン、スレ
オニン、のうちいずれか一つ)に置換された肝実質細胞
増殖因子誘導体によって解決される。また、肝実質細胞
増殖因子のアミノ酸配列のN末端より493番目のアミ
ノ酸がグリシンに置換された肝実質細胞増殖因子誘導体
によっても解決される。さらに上記課題は、これらの肝
実質細胞増殖因子誘導体を有効成分として含有する医薬
品組成物によっても解決される。
小板の活性化した組織因子が血液凝固因子と複合体を形
成し、血液凝固反応系の活性化が起こる。血液凝固因子
である活性型第X因子は、基質特異性が高く、プロトロ
ンビンを特異的に活性化する。第X因子の認識アミノ酸
配列はGln/Glu−Xaa−Arg(Glnはグル
タミン,Gluはグルタミン酸、Argはアルギニン、
Xaaはグリシン、セリン、スレオニン、のうちいずれ
か一つ)である。
ら494番目のアルギニンのC末端側で切断され、ヘテ
ロダイマーを形成することで活性型となる[Mizuno, K.
Takehara, T. and Nakamura, T. Biochem. Biophys. R
es. Commun. 189, 1631 (1992)]。本発明者らは、その
切断領域を改変することにより、活性を制御可能となる
事を見いだし、本発明を完成するに至った。
目から495番目のアミノ酸配列を血液凝固第X因子の
認識可能なアミノ酸配列に改変することにより、血管損
傷部位で特異的に活性化する新規HGF誘導体を作製し
た。
注射、またはコラーゲンゲルと調合して局所へ注入する
ことが望ましい。投与量は、投与方法により異なるが、
静注投与の場合、新規HGF誘導体を、体重1kg当た
り1μg〜100μgを数日に渡り、4回以上投与す
る。
学的手法、または、タンパク質工学的手法によって達成
されるものである。以下に、本発明の新規HGF誘導体
の作製方法について詳細に説明するが、目的のHGF誘
導体が得られれば、作製方法はこれに限定しない。
体、誘導体をコードするDNAをほ乳類動物細胞用発現
プラスミドベクターに組み込む。この時用いるプラスミ
ドは、宿主中でHGF誘導体を産生できるものであれば
良いが、pGM、pKCR、pSVL等が好ましく、特
にpGMが好ましいい。プラスミドに組み込まれたHG
FcDNAの目的の領域に変異を導入する。変異の導入
は、インビトロミュータゲネシスシステム Ver2.
1(アマシャム社製)を用いると便利であるが、他の方
法でも良い。又、予めHGFcDNAに、変異を導入さ
せた後に、ほ乳類動物細胞用発現ベクターに組み込んで
も良い。
だプラスミド、または、変異を導入したHGFcDNA
をほ乳類動物細胞にトランスフェクションする。この時
の宿主としては、COS1細胞、チャイニーズハムスタ
ー卵巣(CHO)細胞等のほ乳類動物細胞を用いるのが
望ましいが、この限りではない。トランスフェクション
の方法としては、リポフェクチン(ギブコ社製)等のリ
ポソームを用いる方法や、燐酸カルシウム法[Chen, C.
et al. Mol. Cell Biol. 7, 2745 (1987).]、DEA
Eデキストラン法[Maes, R. et al. Biochem. Biophi
s. Acta 134,269(1967)]、エレクトロポレーション法
等が挙げられるが、その他の方法でも良い。
地中で培養する。培地はイーグルMEM培地、ダルベッ
コ改変イーグル培地等を例として挙げる事ができ、必要
に応じて添加物を加える。培養は、通常37℃で、5%
二酸化炭素存在下で行われるが、細胞が生育すればこれ
に限定はしない。数日間の培養を行った後、培養上清を
回収する。得られた培養上清を抗体、またはヘパリン等
のアフィニティカラムを用いたアフィニティクロマトグ
ラフィーにより精製する。精製品は更に、燐酸緩衝液
(PBS)等にたいし透析、または、セントリコン10
(グレースジャパン社製)にかけることにより、適当な
塩濃度に調製する事ができる。
びその薬理作用について具体的に述べる。
用するプラスミドpCDL−SRα296[Takebe Y.
et al.,Mol. Biol. 8,466(1988).]のプロモーター領域
の下流にBg12認識部位を設けた後、Sal1で消化
した。このプロモーター領域を含むSal1消化断片と
pSG5(フナコシ社製)のf1 oriを含むSal
1消化断片とを結合させてpGMベクターを構築した。
このpGMベクターをBg12で消化し、HGFcDN
AのBamH1断片を結合することによりpGM/HG
Fを作製した。構築した発現プラスミドを図1に示す。
物細胞発現ベクターpGM/HGFを用いて、HGFc
DNAに対してHGFのアミノ酸配列のN末端より49
1番目から495番目のアミノ酸配列が配列番号1〜4
に記載したアミノ酸配列と置換されるように点突然変異
を導入した。点突然変異の導入については、インビトロ
ミュータゲネシスシステム Ver2.1(アマシャム
社製)を用いて行った。突然変異の導入で使用したDN
Aプライマーは、自動DNA合成機MODEL392
(アプライド・バイオシステムズ社製)を用いてホスフ
ェイト法により化学合成し、それぞれの配列は配列番号
5〜8に記載した。
誘導体(FX1〜4)の突然変異を導入した箇所を以下
に示す。 FX1:491番目のリジンをイソロイシンに置換、且
つ、492番目のグルタミンをグルタミン酸に置換、且
つ、493番目のロイシンをグリシンに置換、且つ、4
95番目のバリンをスレオニンに置換。 FX2:493番目のロイシンをグリシンに置換、且
つ、495番目のバリンをイソロイシンに置換。 FX3:493番目のロイシンをグリシンに置換、且
つ、495番目のバリンをスレオニンに置換。 FX4:493番目のロイシンをグリシンに置換。
アミノ酸配列に置換されるように突然変異を導入したプ
ラスミドベクターをそれぞれDEAE−デキストラン法
によりCOS1細胞にトランスフェクションした。即
ち、直径100mmの組織培養用デイッシュに、6x1
05個のCOS1細胞をまき、一晩、37℃で、5%二
酸化炭素存在下で培養した。細胞を燐酸緩衝液(PB
S)で2回洗浄した後、5μgのpGM/HGFを含む
4mlのDEAE−デキストラン培地(50mM トリ
ス pH7.4/DME培地/0.4mg/ml DE
AE−デキストラン溶液)を加え、4時間培養した後、
燐酸緩衝液(PBS)で洗浄し、クロロキン−DME培
地(100μM クロロキン/2%ウシ胎児血清を含む
DME培地)を加えた。2.5時間、37℃で、5%二
酸化炭素存在下で培養する事により、pGM/HGFを
COS1細胞に取り込ませた。トランスフェクション
後、燐酸緩衝液(PBS)で細胞を2回洗浄し、DME
培地を10ml加え、37℃で、5%二酸化炭素存在下
で3日間培養した。培養終了後、培養上清を回収した。
ヘパリンアフィニティクロマトクロマトグラフィーによ
り精製した。システムは島津製作所製のLC7A型高速
液体クロマトグラフを用い、カラムはTSK−Hepa
rin 5PWカラム(東ソー社製)を使用した。ま
ず、カラムを0.5M塩化ナトリウム/燐酸緩衝液でカ
ラムを平衡化し、培養上清をカラムにかけ、HGF誘導
体を吸着させた。0.5M塩化ナトリウム/燐酸緩衝液
でカラムを洗浄した後、0.5ml/分の流速で、燐酸
緩衝液存在下で、塩濃度0.5Mから2.0Mまでの直
線濃度勾配をかけることにより、HGF誘導体を溶出し
た。溶出塩濃度0.9Mから1.2Mの画分をHGF溶
出画分とした。得られた溶出画分を燐酸緩衝液に透析す
る事により、HGF誘導体の精製品を得た。
得られたHGF誘導体(FX4)精製品を50mMトリ
ス/塩酸/2%SDS/10%グリセロール/0.1%v
/wブロモフェノールブルー(pH6.8)の緩衝液中
に溶解し、還元下で95℃で5分間の熱処理を行い、L
aemmliの方法[Laemmli, U. K. Nature, 227, 68
0 (1970) ]に従って、SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動を行った。試料濃縮ゲルとしては、0.12
5M トリス(pH6.8)/0.1%SDS/0.0
25%TEMEDを含む3%アクリルアミドゲルを用い
た。分離ゲルのアクリルアミド濃度は9%に調製した。
電気泳動終了後、シルベストステインキット(ナカライ
テスク社製)を用いて、ゲルの銀染色を行い、ゲル上の
バンドとしてHGF誘導体を検出した。
精製して得られたHGFは約32KDaと57KDaの
ヘテロダイマー構造であるのに対し、HGF誘導体いず
れもは約90KDaの一本鎖構造であった。つまり、H
GF誘導体は、血清中のHGF活性化酵素による修飾を
受けず、不活性型の構造を維持していることが明らかと
なった。
た1本鎖のHGF誘導体(FX1〜4)精製品各30n
g及び無血清培地(DME培地)で培養して得られた1
本鎖のHGF30ngに、活性型血液凝固第X因子(F
aXa、シグマ社製)をそれぞれ600ng加えて、ト
リス緩衝液中で37℃で、5分、10分、30分、60
分間インキュベートした。
0mMトリス/塩酸/2%SDS/10%グリセロール
/0.1%v/wブロモフェノールブルー(pH6.8)
の緩衝液中に溶解し、還元下で95℃で5分間の熱処理
を行い、Laemmliの方法[U. K. Laemmli, Natur
e, 227, 680 (1970) ]に従って、SDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動を行った。試料濃縮ゲルとして
は、0.125M トリス/塩酸(pH6.8)/0.
1%SDS/0.025%TEMEDを含む3%アクリ
ルアミドゲルを用いた。分離ゲルのアクリルアミド濃度
は9%に調製した。電気泳動終了後、ゲルを10%メタ
ノール/10mMCAPS(3−シクロヘキシルアミノ
プロパンスルホン酸、ナカライテスク社製)緩衝液に3
0分間浸し、平衡化した。同時に、タンパク質を転写す
るポリビニリデンフルオリド(PVDF)膜は、100
%メタノールに10秒間浸した後、10%メタノール/
CAPS緩衝液に浸して平衡化した。平衡化されたPV
DF膜をゲルに対して陽極側に密着させ、その両側をろ
紙、スポンジパッドの順にゲルホルダーではさみ、ブロ
ッティング装置(Bio Rad社製)にセットして緩
衝液で満たした。電気泳動槽には100Vの電圧を1.
3時間かけて、電気泳動によるタンパク質の転写を行っ
た。
子量マーカー(Bio Rad社製)の転写部分をカッ
ターナイフで切り出して、クーマシーブリリアントブル
ーR−250(CBB)による染色を行った。残りのP
VDF膜は、3%ウシ血清アルブミン(BSA)/トリ
ス緩衝液(20mMトリス/0.15塩化ナトリウムp
H7.5)に室温で2時間浸して、ブロッキングをし
た。
g/ml抗HGFα鎖マウスモノクローナル抗体/3%
BSA−トリス緩衝液に浸して、室温で、2時間反応さ
せた後、0.1% Tween−20(Bio Rad
社製)/トリス緩衝液で、6分間の洗浄を3回行った。
洗浄後、PVDF膜を、200ng/ml AP−co
njugated anti mouse IgG(S
TRATAGENE社製)/3%BSA−トリス緩衝液
に浸し、室温で、1.5時間反応させた後、0.1%
Tween−20(Bio Rad社製)/トリス緩衝
液で、6分間の洗浄を4回行った。
P)基質溶液(1mlNBT/1mlBCIP/20m
l 0.1Mトリス(pH9.5))に浸し、酵素反応
をさせて、膜上のバンドとして、新規HGF誘導体のα
鎖を検出した。バンド検出後のPVDF膜を、バイオイ
メージシステムVer2.1(ミリポア社製)によりデ
ンシトグラムとして処理し、各反応時間でのα鎖量を膜
上の濃度として数値化した。
a反応開始から5分以内に、α鎖の100%が修飾を受
け、約57KDaのバンドとして検出された。天然型H
GFでは、反応開始から5分後、10分後、30分後、
60分後で、それぞれ約20%、24%、82%、83
%の修飾率であった。つまり、FaXa存在下におい
て、HGF誘導体は速やかに活性型二本鎖構造となるこ
とが明かとなった。
シ大動脈血管内皮細胞、Flow Laborator
y社)を24穴プレート(CORNING社製)の各穴
に、5x103個細胞ずつ加え、10%ウシ胎児血清を
含むDME培地(Nissui社製)中で、37℃で、
5%二酸化炭素存在下で培養を開始した。一晩培養後、
培地を5%ウシ胎児血清を含むDME培地に交換し、同
時にHGF及び、各HGF誘導体(FX1,3,4)を
それぞれ3ng/ml、10ng/mlとなるように添
加した。陽性対照はbFGF(R&D社製)1ng/m
lとした。培養開始から5日目に、各穴に0.05%ト
リプシン/EDTAを加えて、細胞を剥し、懸濁した。
細胞懸濁液にアイソトンIII(日科機社製)を加えた
後、コールターカウンター(コールターエレクトロニク
ス社製)を用いて細胞数を計測した。
胞増殖促進活性とHGFの活性は、同程度であることが
明かとなった。
造の検出]体重160gのラット(SD/wista
r、雄)の尾静脈より、HGF誘導体及び、HGFをそ
れぞれ別々のラットに、20μg注射投与し、1分後に
断頭して血液を回収した。回収時にはEDTA・2Na
を加えて、血液凝固反応を阻止し、10℃で、3000
rpm、10分間の遠心の後、上清をプラズマとして回
収した。プラズマ5mlに、0.5M塩化ナトリウム/
燐酸緩衝液を25ml加えて希釈した後、ヘパリンアフ
ィニティークロマトグラフィーにより精製した。カラム
はTSK−Heparin 5PWカラム(東ソー社
製)を使用した。カラムを0.5M塩化ナトリウム/燐
酸緩衝液でカラムを平衡化し、プラズマ希釈液をカラム
にかけ、0.5M塩化ナトリウム/燐酸緩衝液でカラム
を洗浄した後、0.5ml/分の流速で、燐酸緩衝液存
在下で、塩濃度0.5Mから2.0Mまでの直線濃度勾
配をかけることにより、HGF誘導体及び、HGFを溶
出し、精製品を得た。
[HGF誘導体の血清存在下での安定性]の項と同様に
SDS−PAGE後、銀染色または、[HGF誘導体の
FaXa反応性]の項と同様に電気泳動ブロッティング
後の酵素抗体法によりバンドとして検出した。
る間に、一本鎖構造(不活性型)から二本鎖構造(活性
型)への修飾を受けるが、HGF誘導体は、ラットの生
体内循環後においても、一本鎖構造(不活性型)が保持
されていることが明かとなった。
の測定]肝実質細胞を、高橋らの方法[組織培養 12
(8),308(1986)]に従って調製した。この
肝実質細胞をWE播種用培地(5%ウシ胎児血清、10
-8Mデキサメタゾンを含むWE基礎培地に懸濁して、コ
ラーゲンコートした24穴組織培養用プレートに、5.
0x104個細胞/0.4ml/穴となるように播いて
培養した。培養開始から4時間後にWE基礎培地に交換
し、この際に、HGF誘導体を添加して培養を継続し
た。培養開始24時間後に、3H−チミジンを添加し培
養を継続して、20時間のパルスラベリングを行った。
ラベリング後に、培養上清を除き、冷燐酸緩衝液(PB
S)、冷2%過塩素酸/PBS、冷95%エタノールの
順にそれぞれ3回洗浄した後、室温で乾燥させた。乾燥
後、1%SDS/0.1N水酸化ナトリウムを0.5m
lずつ添加し、室温で1時間以上静置して細胞を溶解さ
せた。各穴から細胞溶解液0.25mlをミニシンチレ
ーションバイアルにとり、シンチレーター(オプティフ
ロー、パッカード社製)を3ml加えて混合後、シンチ
レーションカウンターで放射活性を測定して、3H−チ
ミジンの取り込みを調べた。DNA合成促進活性値は、
各穴における1分間あたりの放射壊変数(DPM/穴)
で示した。
び、FX4の肝実質細胞DNA合成促進活性はHGFの
活性と同程度であり、FX1とFX3は共に、HGFと
比較して、低い活性であった。FaXa存在下での肝実
質細胞DNA合成促進活性を測定したところ、HGFと
FX3の活性にはFaXaの効果がみられなっかった
が、FX1、FX2、FX4は、より高い活性値を示す
ことが明らかとなった。
の安定性]より、in vitroにおいて、HGF誘
導体の活性化が、天然型HGFに比べ、速やかに行われ
ることから、in vivoでは、血管損傷部位など、
血液凝固反応系の促進している局所において、HGF誘
導体がFaXaにより速やかに活性化されると推測され
る。このことは同時に、多くの標的細胞と多機能な活性
を持つ活性型HGFの副作用が懸念される中で、HGF
誘導体は不活性型一本鎖構造で体内を循環する為、副作
用の問題についても軽減されることが期待される。ま
た、上記[内皮細胞増殖活性の測定]より、血管内皮細
胞に対する増殖促進活性も同程度であることから、速や
かに活性化したHGF誘導体により血管の再構築が可能
であると推定される。
胞に対するDNA合成促進活性は、天然型HGFに比べ
有意に低い値であるが、図2より血管内皮細胞に対する
細胞増殖活性は天然型HGFと同程度であった。つま
り、495番目のアミノ酸がバリンからスレオニンに置
換されているFX3、さらに491番目のアミノ酸がイ
ソロイシンに置換されているFX1は、細胞選択性を有
するHGF誘導体であると考えられる。このように、4
92〜494番目の前後の491、495番目のアミノ
酸を含めた配列を変えることで各種活性にみられること
より、491〜495番目のアミノ酸配列を置換するこ
とによって、シャープな細胞特異性を有するHGF誘導
体の作製が可能である。
1mg/kg(ラット)以上であった。
る。
を比較したものである。
促進活性を比較したものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 肝実質細胞増殖因子のアミノ酸配列のN
末端より492番目から494番目のアミノ酸配列が、
Gln/Glu−Xaa−Arg(Glnはグルタミ
ン,Gluはグルタミン酸、Argはアルギニン、Xa
aはグリシン、セリン、スレオニン、のうちいずれか一
つ)に置換された肝実質細胞増殖因子誘導体。 - 【請求項2】 アミノ酸配列のN末端より492番目の
アミノ酸がグルタミンであり、493番目のアミノ酸が
グリシンである請求項1に記載の肝実質細胞増殖因子誘
導体。 - 【請求項3】請求項1または2に記載の肝実質細胞増殖
因子誘導体を有効成分として含有することを特徴とする
医薬品組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11750694A JP3612348B2 (ja) | 1994-05-07 | 1994-05-07 | 肝実質細胞増殖因子誘導体 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11750694A JP3612348B2 (ja) | 1994-05-07 | 1994-05-07 | 肝実質細胞増殖因子誘導体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07304796A true JPH07304796A (ja) | 1995-11-21 |
JP3612348B2 JP3612348B2 (ja) | 2005-01-19 |
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ID=14713448
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11750694A Expired - Lifetime JP3612348B2 (ja) | 1994-05-07 | 1994-05-07 | 肝実質細胞増殖因子誘導体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3612348B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US6133231A (en) * | 1995-10-05 | 2000-10-17 | Genentech, Inc. | Angiogenesis using hepatocyte growth factor |
US7297475B2 (en) | 2003-05-16 | 2007-11-20 | Terumo Kabushiki Kaisha | Medicament injection kit and medicament injection method |
-
1994
- 1994-05-07 JP JP11750694A patent/JP3612348B2/ja not_active Expired - Lifetime
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US7297475B2 (en) | 2003-05-16 | 2007-11-20 | Terumo Kabushiki Kaisha | Medicament injection kit and medicament injection method |
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