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JP2004105188A - プロテアーゼ−耐性トロンボモジュリン・アナログ - Google Patents

プロテアーゼ−耐性トロンボモジュリン・アナログ Download PDF

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JP2004105188A JP2003355493A JP2003355493A JP2004105188A JP 2004105188 A JP2004105188 A JP 2004105188A JP 2003355493 A JP2003355493 A JP 2003355493A JP 2003355493 A JP2003355493 A JP 2003355493A JP 2004105188 A JP2004105188 A JP 2004105188A
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ライト,デビッド リチャード
William H Andrews
アンドリュース,ウィリアム エイチ.
Jeffrey Homer Clark
クラーク,ジェフリー ホーマー
Robert Michael Wydro
ウィドロ,ロバート マイケル
Patricia Ann Young
ヤング,パトリシア アン
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Abstract

【課題】 新規のタンパク質、核酸遺伝子配列、医薬及び血栓活性を阻害する方法の提供。
【解決手段】 本発明は、一本鎖トロンボモジュリン("TM")及びそれらのアナログであってプロテアーゼによる解裂を受けにくく且つトロンボモジュリンの生物学的活性を保持しているもの、並びに、例えば、抗血栓治療における使用方法に、関する。
【選択図】   なし

Description

 本出願は、1990年4 月9 日に出願された米国逐次番号第07/506,325号の一部継続出願である1990年8 月15日に出願された米国逐次番号第07/568,456号の一部継続出願である米国逐次番号第07/830,577号の一部継続出願であり、そして本出願は、1989年4 月28日に出願された米国逐次番号第07/345,372号の一部継続出願である1989年9 月13日に出願された米国逐次番号第07/406,941号の一部継続出願である1990年2 月16日に出願されたPCT 逐次番号第90/00955号に対応する。
発明の背景
 本発明は、プロテアーゼによる解裂を受けにくいトロンボモジュリン(thrombomodulin("TM"))のアナログを含む一本鎖トロンボモジュリン・ポリペプチドに関する。これらのアナログは、例えば、抗血栓療法において有用である。新規のタンパク質、核酸遺伝子配列、医薬、及び血栓活性を阻害する方法を、開示する。
 安全且つ効果的な抗血液凝固/ 抗血栓による治療から利益を受けるであろう病的症状が多数存在する。これらの症状の性質は、様々である。例えば、抗血液凝固治療は、心筋梗塞における又は例えば、敗血症(septicemia)に関連する多発性血管内血液凝固(disseminated intravascular coagulation(DIC)) の治療における血栓治療の間の如き急性の症状において有用である。抗血液凝固は、また、急性ではない症状、例えば、心弁移植を受けた患者における慢性的な使用又は深部の静脈血栓(deep venous thrombosis(DVT)) の危険を減少させるために患者を外科手術することにおける予防的使用のために、有用である。
 トロンボモジュリンは、抗血液凝固の性質を示す膜タンパク質である。その生理学的重要性が研究されてきた( 例えば、N. Esmon, et al., (1982) J. Biol. Chem. 257:859-864, H. Salem, et al., (1983) J. Biol. Chem. 259:12246-12251を参照のこと。) 。
 生来のトロンボモジュリンをエンコードする遺伝子は、そのゲノム形態において及びcDNAクローンとしての両方において幾つかの種から、単離され、そして配列決定されている(Jackman, R., et al., (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 83:8834-8838及び(1987) 84:6425-6429 ( これらの両方を、引用により本明細書中に取り込む。))。公知のタンパク質、LDL レセプタとの比較が、機能的ドメインを示唆した(Wen, D., et al., (1987) Biochemistry 26:4350-4357) 。1 つの研究は、第5 及び第6 表皮成長因子(EGF)-様ドメインがトロンビンに結合する能力をもつことを示唆し(Kurosawa, S., et al., (1989) J. Biol. Chem. 263:5993-5996);他は、EGF-様ドメイン4 、5 、及び6 がトロンビン- 仲介物質プロテインC 活性化活性のための補因子として働くのに十分なものであるということを示唆する(Zushi, et al., (1989) J. Biol. Chem. 264:10351-10353)。トロンビンの直接の前血液凝固活性( フィブリノーゲンのフィブリンへの変換) の阻害は、部分的に、そのトロンボモジュリン分子上のグルコサミノグリカン置換基を原因としている(Bourin, M.C. et al., (1986) Pro. Natl. Acad. Sci. USA 83:5924-5928)。このO-結合糖添加(glycosylation) ドメインは、これらのタイプの硫酸化糖の添加のための可能性のある部位をもつ。
 トロンボモジュリン・アナログであって様々な修飾をもち、可溶性分子を含むものは、公知である。例えば、その分子の酸化耐性を与えるトロンボモジュリン内の酸化- 感受性アミノ酸残基に対する修飾がある。また、酵素的除去を通しての硫酸化O-結合炭水化物の除去によるトロンボモジュリンに対する修飾又はトロンビンの重要な性質である、トロンビン- 仲介血小板凝集の阻害及びフィブリンへのフィブリノーゲンのトロンビン- 仲介変換の阻害を減少させるそのペプチドの糖添加部位の修飾が、在る。これらの修飾は、1990年8 月15日に出願された米国逐次番号第07/568,456号( これを、引用により本明細書中に取り込む。) 中に開示されている。
 ヒトにおける使用のために最近認可された抗血液凝固剤は、等しく有効ではなく、そしてより有効な化合物のための必要性が在る( 例えば、Prevention of Venous Thrombosis and Pulmonary Embolism, Consensus Development Conference Statement, NIH, 1986, 6(2):1-23を参照のこと。) 。
 その生来の形態におけるトロンボモジュリンは、抗血液凝固治療に好適ではない。なぜなら、その固有のアミノ酸配列によりそれが膜に結合しており、そして洗剤処理なしには不溶であるからである。それは、検死(autopsy) 又は生検(biopsy)サンプルからの精製が実施できないほど少量で( 約300mg トロンボモジュリン/ 人) 存在する。
 可溶性トロンボモジュリン- 様分子は、ヒト血漿及び尿中の非常に少量において検出される。これらの分子は、プロテインC 活性化を促進する減少された能力をもっており、そしてそれらが、少なくとも一部酸化を原因として少なくとも部分的に不活性とされることが可能である。これらの分子が膜結合分子の分解生成物であることが示唆される(Ishii, H. and Majerus, P., (1985) J. Clin. Inv. 76:2178-2181)が、それらは、それらを特徴付けるのが困難であるような低い量( 〜0.8mg/成人男子) で存在する。精製生来分子のタンパク質分解断片が、トリプシン又はエラスターゼを使用して製造される。(Ishii, 前記, Kurosawa, et al., (1988) J. Biol. Chem. 263:5593-5996及びStearns, et al., (1989) J. Biol. Chem. 264:3352-3356 を参照のこと。) 。これらの断片の幾つかは、インビトロにおけるプロテインC のトロンビン仲介活性化を促進する能力を保持している。
 異種細胞における、例えば、細胞培養における組換え技術によるTM及びTMアナログの製造は、インビボにおける用途における使用のために許容できる生成物を達成することにおいて多くの問題に遭遇した。例えば、TMのN-末端は、その組換え体遺伝子を含む細胞内並びに生来の細胞内で正確に解裂されず、非ユニークN-末端をもつ生成物をもたらす。これは、他の困難の中にあって、例えば、調節目的のための、単離されたポリペプチドの純度の保証を提供することにおける問題を引き起こす。また、組換えにより製造されたTMの糖添加が、その糖添加部位の幾つかが生物学的活性を最大化することに明らかに関係し、一方、他の部位がTMの血流をクリアするためのインビボにおけるシグナルとして明らかに認識され、それ故に、そのように糖添加されたTMの循環半減期を減少させるという問題であることが、判明した。また、最大に有用な組換えにより製造されたTMポリペプチドの製造を妨害するという、他の、よく定められていない問題が在ることが知られている。
 このように、トロンボモジュリンの抗血液凝固の性質を示し、そして大量にであるが、異種細胞によるTMの組換え製造における問題に遭遇することなく容易に製造される、新たな組成物の必要性が在る。本発明は、これらの及び他の必要性を遂行する。
発明の要約
 本発明は、二本鎖TMを実質的に欠いている一本鎖トロンボモジュリン(TM)を提供する。このTMは、それを含む調製物から二本鎖TMを除去し、又は一本鎖TMの解裂を防ぐことにより、提供される。
 他の態様においては、本発明は、単一のN-末端をもつTMを提供する。このTMは、二本鎖TMの非存在により、及び/ 又は天然の異種N-末端シグナル配列プロセシング部位を除去することにより、提供される。
 他の態様においては、本発明は、一本鎖C-末端をもつTMを提供する。このTMは、エクソカルボキシペプチダーゼに感受性のあるC-末端の非存在により提供される。
 他の態様においては、本発明は、真核細胞、例えば、動物細胞、脊椎動物細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞、ヒト細胞等、例えば、CHO 又はCHL1細胞内で発現されることができる一本鎖TMを提供する。
 本発明は、一本鎖トロンボモジュリン又はそれらのアナログ、典型的には、プロテアーゼ解裂に耐性であり且つトロンボモジュリンの生物学的活性を保持しているものの有効投与量を投与することによる血栓疾患の治療方法を提供する。ある態様においては、このポリペプチド組成物は、単一のN-末端及び単一のC-末端のみを表し、プロテインC のトロンビン- 仲介活性化を強化するための少なくともほとんど生来の能力をもち、及び/ 又はフィブリノーゲンのフィブリンへのトロンビン- 仲介変換を不活性化するために減少された能力をもつ。ある態様においては、このアナログは、水溶液中で可溶性であり、及び/ 又は長い循環半減期をもち、例えば、酸化及び/ 又はプロテアーゼ耐性であることが、好ましい。
 他の態様においては、そのアナログがそのO-結合糖添加ドメインの糖残基内で修飾されることが、好ましい。修飾は、そのO-結合糖添加ドメインが変更された糖添加パターンをもつということを意味している。これは、生来の糖残基の置換、及び全体の又は部分的な欠失を包含する。この修飾は、糖添加部位として細胞により認識されるアミノ酸残基を欠失させ、例えば、部位指定突然変異誘発により、達成されることができる。あるいは、その糖を、化学的に、部分的又は全体的のいずれかで、除去することができる。他の修飾においては、糖を、硫酸置換基を除去するために酵素的に処理することができる。さらに他の修飾においては、その糖添加ドメインの全体を、欠失させることができる。
 本法における使用のための幾つかの好ましいアナログは、プロテインC のトロンビン- 仲介活性化を強化する能力を保持し、及び/ 又はフィブリノーゲンのフィブリンへのトロンビン- 仲介変換を不活性化するための生来のトロンボモジュリンの能力の80% 以下をもつであろう。さらに特に、これらのTMアナログは、生来の洗剤- 可溶化ウサギ・トロンボモジュリンに比較して標準プロテインC 活性化検定において等しい活性をもつように標準化されるとき、フィブリノーゲンのフィブリンへのトロンビン- 仲介変換を測定する標準検定における生来のトロンボモジュリンの同一量のたった80% 以下の活性をもつであろう。本発明の1 つの好ましくはアナログは、上記フィブリン検定における生来のトロンボモジュリンの同一量の50% 以下の活性をもつ。これらの能力は、本明細書中先に記載した標準検定を使用して測定される。
 本発明は、さらに、哺乳類における血栓疾患の治療のための滅菌組成物であって、上記の性質の中の1 以上をもつトロンボモジュリン・アナログの単位投与量を含んで成るものを、提供する。好ましいアナログは、様々な方法について先に記載したものと同じである。
 本発明は、さらに、トロンボモジュリン・アナログのインビボにおける循環半減期を増加させる方法であって、例えば、6 EGF-様ドメイン内の、その糖部分の全部又はほとんどを除去することを含んで成る方法を、提供する。
発明の詳細な説明
 本発明に従えば、新規のTMアナログ、方法、及び組成物であって血栓疾患を治療することができるものが、提供される。それらは、プロテアーゼ解裂に耐性である一本鎖トロンボモジュリン(TM)又はトロンボモジュリン・アナログに基く。さらに、他の修飾であって抗血栓の有効な医薬の他の改善された性質をもたらすものを、導入することができる。例えば、そこでは、そのTMがトロンビンの直接的な前血液凝固活性を阻害する減少された能力を示し又は他の性質、例えば、フィブリノーゲンのフィブリンへのトロンビン- 仲介変換、酸化耐性、糖添加耐性、インビボにおける増加された半減期等を示す。薬理学者は、単一の治療に有効な均一な組成物を含む医薬を好む。このような医薬は、それらが不定の生物学的効果を含む種を含む多数の種を含む医薬よりも不所望の副作用を少なく誘導するので、好ましい。本発明は、より生物学的に純粋で、またしばしば化学的に純粋である種であって従来技術の欠点をもたないものを含む利点をもつ。
 従来技術のトロンボモジュリン組成物、特に異種細胞における組換え技術により製造されたものが、最適な医薬用途を提供するポリペプチドの構造についてのパラメーターを決定するために、本発明者により広範に研究された。これらの調査の経過において、驚くべきことに、分かれた鎖の間のシステイン結合が精製条件下でそのTMの2 本鎖形態が一本鎖形態と同時に振る舞うようにさせるので、純粋な一本鎖ポリペプチドを含むと従来考えられていたトロンボモジュリン調製物が実際には内部のペプチド解裂をもつトロンボモジュリン・ポリペプチドによりかなり汚染されているが、そのポリペプチドがTMの一本鎖形態と共に同時に精製され続けることが、見つかった。これは、完全長生来TM、及び可溶性TM分子の両方に適用できよう。
 この従来分からなかった問題は、部分的に、組換えにより製造されたトロンボモジュリンが2-相の非線型結合特性を表すということを現したこれらの調製物の注意深い分析により、発見された。2 軸の逆数プロット分析は、その組成物内の異なる結合アフィニティーをもつ2 つの種の存在を示した。これは、異なる種の性質に関してのさらなる調査を導いた。還元、非還元、又は生来の条件下で走らせたドデシル硫酸ナトリウム- ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(SDS-PAGE)を使用した、そして高感度検出技術、例えば、銀又は免疫学的染色を使用したTM調製物の注意深い分析は、このようなゲル上に、特定の可溶性TMアナログの予測された94キロダルトンのバンドに加え、約80キロダルトンの見掛け分子量をもつ第二の免疫反応性バンドが存在するという発見につながった。次に、この組成物は、内部N-末端の存在と一致する第二N-末端アミノ酸配列をもつことが示された。これは、たぶん、TM配列内の位置における、プロテアーゼ解裂の結果であり、TMの見掛けの一本鎖形態が解裂した2 本鎖種により汚染されていたということを示している。この種は、TMのトロンビン結合部位の近く又はその内で解裂される。したがって、2 本鎖形態の物理的特徴が一本鎖形態に同時精製をもたらすように非常に類似しているので、実際には、その混合物の、生物学的活性、例えば、結合特性は、この従来分からなかった別個の種により影響されるようである。本発明は、このような2 本鎖汚染物を実質的に含まないトロンボモジュリン・アナログ組成物を提供することである。
 本発明の他の態様においては、トロンボモジュリンの他の改善された組成物が、提供される。例えば、TMアナログ、特に組換え条件下で異種細胞により製造されたものは、成熟N-末端の上流のアミノ酸配列のシグナル配列プロセシングにより製造されたN-末端をもつ。実際に、この生成物は、そのアミノ末端において同種性を示す。2 つのプロセシング部位、すなわち、生来のN-末端アミノ酸1 を提供するもの、及び使用されるとき、そのN-末端において2 以上のアミノ酸を含む、例えば、アミノ酸-2において開始する、解裂生成物を作り出す第二部位が、在る。TMポリペプチドのN-末端をエンコードするDNA 配列の修飾により、そのシグナル配列プロセシング部位が修飾され、単一のN-末端プロセシング部位を、そしてそれ故に得られるTMアナログのための単一N-末端を提供することができる。したがって、生来の分子の最初の3 つのアミノ酸を欠失したTMアナログは、ユニークであるシグナル配列プロセシング部位を提供し、それ故に、単一のN-末端配列をもつポリペプチド組成物を作り出す。
 そしてさらに、一本鎖TMアナログを作るための内部解裂の除去は、同種のカルボキシ末端をもつ組成物をもたらす。プロテアーゼ又は他のタンパク質分解解裂に耐性の構築物が、同様に単一C-末端を提供するように作られる。これは、プロテアーゼ解裂部位の除去又は修飾により行われることができる。例えば、医薬用途における生物学的機能に決定的でないポリペプチドのC-末端領域の一部の欠失により、その配列がエクソカルボキシペプチダーゼ活性に特に耐性であるアミノ酸489-490 における-Pro-Pro配列内で終わるポリペプチドを提供することができる。
 他の態様においては、本発明は、また、特定の生来の糖添加パターンを修飾し又は欠失させることにより、又はプロテアーゼ- 感受性配列を除去することにより、TMアナログのインビボにおける半減期を増加させる方法を提供することである。我々の初期の研究は、可溶性TMのタンパク質分解- 耐性形態が動物内でより長い循環半減期をもつということを示した。したがって、TM不活性化の原因であある生理学的機作は、その蛋白の同定領域における又はその近くにおけるタンパク質分解であるようである。不活性化を避けるためのその配列の上記セグメントの修飾により、より高く有効な治療剤が製造される。増加した半減期は、TM治療のために有利である。なぜなら、それは、生来の医薬に比べてより少ない量のTMの投与が等価な薬理学的効果を達成することを、可能にするからである。少なくとも数分よりも長い生物学的半減期は、より予言できる治療的養生法を提供する。
 さらに、これらの可溶性トロンボモジュリン・アナログを、経済的に製造し、そして容易に精製し且つ投与することができる。様々な治療用途が、特に抗血液凝固及び/ 又は抗血栓治療に関して、期待される。本発明を十分に理解するために、以下の詳細な説明を記載する。
I. トロンボモジュリンの生物学的活性
 血栓失調の主要な病因は、刺激、例えば、損傷血管壁に反応して血塊が形成するということである。この刺激は、血液凝固カスケードの引き金を引き、そしてそれ故、フィブリノーゲンをフィブリン、すなわち血塊のマトリックスに変換する能力をもつトロンビンを作り出す。トロンボモジュリンは、トロンビンのためのレセプタとして働く内皮細胞膜タンパク質である。ヒトにおいては、それは、血管の内皮及び中枢神経系を除く全ての臓器のリンパ上に分布する。トロンビンは、トロンボモジュリンに可逆的に結合する能力をもつ。トロンボモジュリンに結合したとき、トロンビンは、プロ血液凝固酵素から抗血液凝固酵素へ変換される。このトロンビン/-トロンボモジュリン複合体は、少なくとも2 つの別個の方法で血液凝固カスケードを示す。第一に、トロンボモジュリンへのトロンビンの結合がプロテインC のトロンビン- 仲介活性化を強化する。活性化されたプロテインC は、血液凝固カスケードの他のプロ血液凝固成分、例えば、因子Va及びVIIIa を不活性化し、これは、次に、プロトロンビンのトロンビンへの変換を阻害する。プロテインC のトロンビン- 仲介活性化は、トロンビンがトロンボモジュリンに結合するとき、非常に増強され、すなわち、プロテインC 活性化の速度は、少なくとも1000倍増加される。第二に、トロンボモジュリンへの結合は、抗血液凝固効果、例えば、フィブリンーゲンのフィブリンへのトロンビン- 仲介変換及び血小板のトロンビン- 仲介活性化及び凝集の阻害を、もつ。正常には内皮細胞膜の組み込まれた成分であるけれども、トロンボモジュリンは、十分な洗剤の存在中でその膜から解放されることができ、そして溶液中にあってもトロンビンへの結合能力を保持することができる。
 本発明の好ましいトロンボモジュリン・アナログは、全身に投与されたとき、血栓形成に対して保護するであろう。なぜなら、それらは、他の血液凝固パラメーター、例えば、血小板の不活性化及び凝集を妨害することなく、トロンビンの生成を阻害するであろうからである。したがって、可溶性トロンボモジュリン・アナログの使用は、血栓形成の予防において有効であろう、さらに、生来のトロンボモジュリン及び本分野において知られた他の抗血栓剤よりも安全である。
 血栓形成が重要な病因学的役割を演じる疾患は、心筋梗塞、多発性血管内血液凝固、深部静脈血栓、肺塞栓症、敗血症ショック、急性呼吸不全症候群、不安定アンギナ(unstable angina) 、及び他の動脈又は静脈の閉塞症状を含む。本発明のトロンボモジュリン・アナログは、これらの全てにおいて、及び血栓形成が病因である他の疾患において、有用である。有用とは、その化合物が、その疾患を予防するか又はより重篤な状態への進行を防ぐかのいずれかのための、治療に有用であることを意味する。また、本発明の化合物は、例えば、生体補綴、例えば、心臓弁を取り込む患者において、安全で且つ有効な抗血液凝固を、提供する。これらの化合物は、例えば、肺塞栓症又は急性心筋梗塞の治療におけるヘパリン及びワーファリン(warfarin)を置き換えることができる。
 特に、これらの化合物は、例えば、外科手術後の、深部静脈血栓(DVT) の予防における役割を見つけられるであろう。脚における血塊の形成は、それ自体、非致死的な症状であるが、診断が困難であり且つ致死的である、肺塞栓症(PE)の発展に非常に密接に関係している。幾つかの予防的養生法の調査及び臨床的な用途にもかかわらず、DVT 及び得られたPEは、多くの患者の集団において及び特に整形外科の手術を経験する患者において、かなりの問題を残している。現存の予防的治療、例えば、ヘパリン、ワーファリン及びデキストランは、典型的に、整形外科手術患者におけるDVT の事件を、予防を受けていない危険な状態にある患者における50% 以上から治療された患者の中の25-30%まで、減少させる。初期の出血合併症は、重篤な副作用が在る。最近、日々の実験室テスト及び投与量における調節は、いくぶんの効果を保持しながら出血症状発現を最小化することを要求される。現存の予防の欠点に基づき、患者を出血に前もって置くことなく、DVT を防ぐことにおいて有効な抗血栓剤は、患者の回復及び福祉にかなりの衝撃となることができよう。
 血管形成術(angioplasty) は、閉塞した動脈において開通性を回復するためにしばしば必要な手順である。開通性は回復されることができるけれども、血管形成手順においては、動脈の内皮内層がひどく損傷し、そして血塊がしばしば形成し始めることが、内在している。血管形成と一緒に投与される可溶性トロンボモジュリン・アナログは、この有害な副作用を防ぐであろう。
 多くの急性血栓及び塞栓疾患が、最近、血栓を取り除くために、フィブリン分解療法により治療されている。最も調査された症状は、急性心筋梗塞( 心臓発作) である。急性心筋梗塞の治療に最近使用される剤は、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化剤及びウロキナーゼを含む。これらの剤の使用は、重篤な出血合併症を導くことができる。フィブリン分解療法により除去された血栓をもち、そしてその血液の流れが回復された患者は、しばしば、患った血管を、再閉塞する、すなわち、血塊が再形成される。血栓剤による治療の投与量又は時間を増加させることによる再閉塞を防ぐ試みが行われたが、出血の事件は、未だ増加している。したがって、これらの医薬についての治療的インデックスは、狭い。
 トロンボモジュリン・アナログの使用は、その作用が局所的であることを一部の理由として、再閉塞に対する保護を提供する。すなわち、そこでは、トロンビンが生成されており又は血塊から解放されている。それ故、その投与量が次に減少されることができるトロンビン分解剤との組み合わせにおいて使用されるとき、出血の危険は、実質的に減少されることができる。
 一本鎖トロンボモジュリン又はTMアナログの投与は、ボーラス静脈内注射により、一定の静脈内注入により、行われることができる。また、適当な賦形剤と混合された可溶性トロンボモジュリンは、筋肉内の部位から循環中に取り出されることができる。トロンボモジュリン・アナログによる全身的な治療は、患者から取り出された血液の逐次サンプル上の活性化部分的トロンボプラスチン時間(APTT)を測定することにより監視されることができる。この検定において観察される血液凝固時間は、十分なレベルのトロンボモジュリンがその循環中で達成されるときに、延長される。しかしながら、これは、効果の全身的な測定であり、そして発明者は、可溶性TMアナログの有効投与量が必ずしもAPTTに影響を与えないということを発見した。本明細書中で使用するとき、治療的有効投与量とは、病因の血塊の形成を防ぐのに十分なTMアナログのレベルとして定義する。投与レベル及び養生法は、例えば、活性化部分的トロンボプラスチン血塊化時間(APTT)、トロンビン血塊化時間(TCT) 、又はプロテインC の活性化プロテインC(APC)への変換の検定により測定されるようなトロンボモジュリンの適当な濃度が維持されるように、当業者により、定例的に調節されることができる。
 血栓疾患の検出及び監視のための幾つかの方法は、公知である。深部静脈血栓症は、例えば、静脈造影法(contrast venography)(Kerrigan, G.N.W., et al., (1974) British Jpurnal of Hematology 26:469)、ドップラー超音波(Barnes, R.W.(1982) Surgery Clinics in North America 62:489-500)、125 I-標識フィブリノーゲン取り込み走査(Kakkar, V.V., et al., (1972) Archives of Surgery 104:156; kakkar, V.V., et al., (1970) Lancet i:540-542) 、インピーダンス肢体容積計(impedance plethysmography)(Bynum, L.J. et al., (1978) Annal of Internal Medicine 89:162) 、及びトロンボシントスキャン(thromboscintoscan)(Ennis, J.T. and Elmes, R.J. (1977) Radiology 125:441)により、検出されることができる。これらの方法は、本明細書中に記載する方法及び組成物の効果を監視するために有用である。
II. TM アナログ
 完全長生来ヒト・トロンボモジュリン・タンパク質をエンコードするDNA 配列は、単離されている( 欧州特許出願第88870079.6号( これを、引用により本明細書中に取り込む。) ) 。このcDNA配列は、60.3kDa の575 アミノ酸であって約18アミノ酸のシグナル配列を含むものを、エンコードしている。
 ウシ、マウス及びヒトのトロンボモジュリンのための配列は、互いに高い程度の相同性を示す。他のタンパク質との類似性により、トロンボモジュリンの構造は、推定によりドメインに分けられることができる。用語" ドメイン" は、特定の機能又は特徴と関係することができる別個のアミノ酸配列をいう。典型的には、ドメインは、特徴的な三次構造単位を示す。完全長のトロンボモジュリン遺伝子は、以下のドメインを含む前駆体ペプチドをエンコードしている:
大体のアミノ酸の位置   ドメイン
 -18--1         シグナル配列
  1-226         N-末端( レクチン) ドメイン(L)
  227-462        6 EGF-様ドメイン(E)
  463-497        O-結合糖添加(O)
  498-521        Stop Transfer Sequence
             ( 膜透過ドメイン)
  522-557        細胞質ドメイン。
 C.S. Yost et al., (1983) Cell,34:759-766及びD. Wen et al., (1987) Biochemistry, 26:4350-4357( これらの両方を、引用により本明細書中に取り込む。) を参照のこと。
 本明細書中で使用する命名において、添字は、TMアナログ内に含まれるドメインをいう:L = レクチン・ドメイン、E = 6 EGF-様ドメイン、O = O-結合糖添加ドメイン、M = 膜透過ドメイン、及びC = 細胞質ドメインである。したがって、TMアナログ6h/227-462は、TME アナログに対応し、TME (Sf9) は、それが昆虫細胞内で発現されていることを示し、TMLEO (CHO) は、それがCHO 細胞内で発現されていることを示し、そしてTMD123(Zushi, M., Gomi, K., Yamamoto, S., Maruyama, I., Hayashi, T., and Suzuki, K. (1989) J. Biol. Chem. 264, 10351-10353) 及びTMD1(Parkinson, J.F., Grinnell, B.W., Moore, R.E., Hoskins, J., Vlahos, C.J., and Bang, N.U. (1990) J. Biol. Chem. 265, 12602-12610) は、TMLEO アナログに対応する。
 特に好ましい一本鎖TMアナログ組成物は、以下の特徴の1 以上をもつものである:
 (i)  それらがプロテアーゼ耐性を示し、
 (ii) それらが同種のN-又はC-末端をもち、
 (iii) それらが、例えば、生来のトロンボモジュリンの糖添加部位の少なくとも幾つか    の糖添加により、翻訳後修飾されており、
 (iv) それらが線型の2 軸逆数トロンビン結合特性をもち、
 (v)  それらが比較的低い量の洗剤中の水溶液中で可溶性であり、そして典型的には、    移動停止( 膜透過) 配列を欠いており、
 (vi) それらが酸化体にさらされた後、活性を保持し、
 (vii) トロンビンに結合したとき、それらがプロテインC のトロンビン- 仲介物質活性    化を強化するが、トロンビンの直接的なプロ- 血液凝固活性、タンパク質フィブ    リノーゲンのフィブリンへの変換又は血小板の活性化及び凝集を阻害する減少さ    れた能力をもつ。
 最後の2 つの特徴についての検定は、製造者の指示書; AmericanScientific Products, McGaw Park, Illinois により供給されるMedical Laboratory Automation Inc.に従って自動血液凝固タイマー上で走らせることができる。( また、H. H. Salem et al., (1984) J. Biol. Chem., 259:12246-12251( これを、引用により本明細書中に取り込む。) を参照のこと。) 。生来のトロンボモジュリンとの比較において、好ましいTMアナログは、6 表皮成長因子[EGF]-様ドメインを包むように修飾されており、そしてまた、O-結合糖添加及び/ 又はレクチン・ドメインを含むことができる。
 好ましい態様においては、可溶性TMアナログは、オキシダント耐性である。これは、オキシダントに晒された後に活性を保持するアナログをいう。このようなアナログは、1990年8 月9 日に出願された同時係属中の共同の米国出願逐次番号第07/506,325号( これを、引用により本明細書中に取り込む。) 中に詳細に記載されている。
 本発明の目的のために、以下の用語を定義する:
 " プロテアーゼ部位" は、本明細書中で使用するとき、プロテアーゼの活性を受けやすい、認識、結合、解裂、又は他の部位を定めるTMポリペプチド内の1 又は一連のアミノ酸をいう。例えば、この部位に含まれる1 以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸酸基により置換され又は欠失されたとき、プロテアーゼは、もはや、その部位においてTMを解裂させることができない。この用語は、また、例えば、立体配置的に露出され、そしてプロテアーゼ活性を利用されることにより、プロテアーゼに固有に感作されやすいTM分子を包含する。
 " プロテアーゼ解裂部位" は、本明細書中で使用するとき、プロテアーゼがTMポリペプチド・アナログを解裂する正確な位置をいう。
 " 単一N-末端" 及び" 単一C-末端" は、本明細書中で使用するとき、それらの文字通りの意味をもち、それは、機能的にその組成物の所有物をいう、例えば、慣用の逐次的アミノ酸配列分析の間、それぞれの分解サイクルは、異なるアミノ酸残基を本質的に欠いたアミノ酸残基の除去をもたらす。したがって、N-末端アミノ酸の段階的除去の数サイクル、例えば、10サイクルの後、本質的にたった1 つのアミノ酸がそれぞれのサイクルにおいて回収される。特に、使用された分析手順に従って完全に純粋な一本鎖から統計的に予測されるであろうよりも多くの配列内の異種性は、検出されないであろう。
 " 一本鎖TM" は、非解裂ペプチド鎖の実質的に全てを含むTMの組成物をいう。一本鎖組成物内のポリペプチドの全ては、同一のアミノ又はカルボキシ末端を示す必要はない。
 "2本鎖TM" は、典型的には、壊れたペプチド結合をもつポリペプチドの約0.5 〜3%の過剰において、物理的に検出可能な量を含む組成物をいう。
 "2本鎖トロンボモジュリンを欠いた" とは、本明細書中で使用するとき、その組成物が本質的に全ての一本鎖TMを含んで成ることを意味する。典型的には、2 本鎖TMの量は、モル量において約25% 未満、より典型的には、15% 未満、好ましくは約10% 未満、より好ましくは5%未満、そして特に好ましい態様においては、3%未満である。あるいは、組成物内の2 本鎖TMの量は、純粋な一本鎖TMの比活性におけるかなりの減少を引き起こすであろうものよりも少ない、例えば、2 本鎖TMの量は、本明細書中で定義する線型2 軸逆数プロットを変更する量よりも少ない。したがって、2 本鎖TM分子は、追加のN-及び/ 又はC-末端の製造をもたらす少なくとも1 の切断をもつポリペプチド鎖の形態で存在する。
 " 実質的に生来のトロンボモジュリンの生物学的活性を保持する"とは、本明細書中で使用するとき、そのトロンボモジュリンが生来の膜結合TM分子と生物学的活性を共有するということを意味する。
 一般的には、タンパク質の1 グラム当たりの単位における活性は、生来のトロンボモジュリンの活性の、少なくとも約50% 、普通には75% 、典型的には85% 、より典型的には95% 、好ましくは100%そしてより好ましくは100%を超えるものである。この生物学的活性は、トロンビン- 仲介のプロテインC 活性化(APC) の、活性化部分的トロンボプラスチン血塊化時間(APTT)の、トロンビン血塊化時間(TCT) の、又はTMの生物学的、好ましくは治療的活性の、ものであることができる。生来の比較標準は、TMの完全長膜結合変異体であるが、多くの場合には、レクチン/EGF/O- 結合ドメイン(TM LEO ) を含んで成る可溶性TMを、より便利な標準として使用することができる。
 " 糖添加部位" は、糖残基の付着のための位置として真核細胞により認識されるアミノ酸残基をいう。糖が付着されるアミノ酸は、典型的には、(N- 結合糖のための)Asn、(O- 結合糖のための) トレオニン又はセリンの残基である。付着の特異的な部位は、典型的には、アミノ酸の配列、例えば、ほとんどのN-結合付着のためのAsn-X-(Thr又はSer)及びほとんどのO-結合付着のための(Thr又はSer)-X-X-Pro{ここで、X は、いずれかのアミノ酸である}により、印を付けられている。グリコサミノグリカン( 硫酸化糖の特定タイプ)の認識配列は、一般的には、Ser-Gly-X-Gly であるが、X-Ser-Gly-X-Val であることもできる。用語N-結合及びO-結合は、その糖とそのアミノ酸残基との間の付着部位として作用する化学基をいう。N-結合糖は、アミド基を通して付着し;O- 結合糖は、ヒドロキシル基を通して付着する。
 " インビボにおける循環半減期" は、哺乳類内の投与された血漿活性が1/2 程減少するのにかかる平均時間をいう。
 " 生来のトロンボモジュリン" とは、それが天然において生じるような完全長タンパク質をいう。生物学的活性が生来のTMに関して記載されるとき、この用語は、洗剤可溶化水溶液形態を包含する。しばしば、活性に対する比較の文脈において、トランスフェクトされた可溶化ポリペプチドは、実質的に同一の性質を示すことができる。
 "O- 結合された糖添加ドメイン" は、表1 中に記載するような生来のトロンボモジュリン配列の463 から485 まで番号を付けられたアミノ酸の配列をいう。
 " 酸化耐性アナログ" とは、酸化剤、例えば、酸素ラジカル、クロラミンT 、過酸化水素、又は活性化好中球に晒された後に、実質的な量の生物学的活性を維持することができるトロンボモジュリンのアナログをいう。
 " 医薬賦形剤" とは、医薬治療剤を完全化するために使用される非毒性の、医薬として許容される材料をいう。これらの材料は、不活性であり、例えば、水及び塩、又は生物学的に活性な、例えば、抗生物質又は鎮痛剤であることができる。
 " 減少された能力" とは、生物学的性質の統計的に有意な低下をいう。この性質は、非限定であり、そしてその性質の測定又は定量化は、標準的な手段による。
 " 糖残基" とは、グルコサミン並びにタンパク質に共有結合する他の炭水化物誘導体及び部分を含むヘキソース及びペントースの炭水化物をいう。
 " 硫酸塩置換基" は、ペントース又はヘキソース糖上の硫黄含有置換基である。
 " フィブリノーゲンのフィブリンへのトロンビン- 仲介物質変換" とは、トロンビンが、その後重合し血塊を形成するフィブリン・モノマーを作るために前駆体タンパク質フィブリノーゲンを解裂させるところの酵素活性をいう。
 " 血栓疾患" とは、哺乳動物の健康に有害である又は有害であることができる1 以上の血栓の形成を特徴とする哺乳動物における病的症状をいう。
 " トロンボモジュリン・アナログ" は、先に記載したように、天然のTMの生物学的活性を実質的に保持しており、そして天然変異体TMのものと異なる分子構造をもつペプチドである。例えば、この用語は、生来のトロンボモジュリンのものと同一又は相同なアミノ酸配列をもつタンパク質、不溶性及び可溶性のトロンボモジュリンのペプチド又は断片、及び酸化耐性TM種であって、全てがトロンボモジュリン様活性をもつものをいう。これらの化合物は、生来のTMと比較するとき、そのタンパク質のプロテインC 活性化補因子の特性を有意に減少させないアミノ酸の変更を含んで成る誘導体及び分子をも含む。
 " 伝達ベクター" とは、他の細胞、例えば、昆虫細胞中に、例えば、野性型バキュロウイルスにより、同時トランスフェクトされたベクターをいう。この伝達ベクターは、ウイルス、例えば、バキュロウイルス、のゲノムと、その伝達ベクターとの間の組換えを、例えば、異種標的遺伝子によりそのバキュロウイルス多角体遺伝子を置き換えながら、行うような方法で、構築される。ベクターが宿主細胞により維持される場合には、そのベクターは、自己複製構造物として細胞分裂の間にその細胞により安定して複製されることができるか、又はその宿主のゲノム内に取り込まれるかのいずれかである。
 本明細書中で使用するとき、" 可溶性TMアナログ" は、水溶液中に溶解するTMアナログであり、そして、典型には、細胞により分泌されることができる。薬理学的投与のためには、生来の細胞質ドメイン又はアナログを含んで成る可溶性TMアナログ又は不溶性アナログは、場合により、リン脂質小胞、洗剤、又は薬理学的配合の分野における当業者によく知られた他の類似の化合物と、組み合わされることができる。本発明の好ましいTMアナログは、血流中で可溶性であり、そのアナログを様々な抗血液凝固及び他の治療において有用なものにするものである。これらの修飾は、典型的には、生来のトロンボモジュリンに比べて多くの活性、例えば、トロンビンについてのアフィニティー又はプロテインC 活性化における活性に有意には影響を与えない。
 2 つの好ましいアナログは、6EGF- 様ドメインを包含し、そして4t/227-462( ここで、そのアナログはヒト組織プラスミノーゲン活性物質シグナル・ペプチドの最後の4 残基をもつ。) 及び6h/227-462(6hは、ヒポダーミンA シグナル配列の最後の6 残基である。)である。より好ましいものは、388 位においてロイシンによりメチオニンを置換することにより酸化耐性を与えられるようなアナログである。
 他の好ましい態様は、Met388、Arg456、His457、Ser474に対する修飾並びにN-及びC-末端における欠失による、アミノ酸3-490 に対応するアナログである。この態様は、真核細胞内、例えば、動物細胞、脊椎動物細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞、ヒト細胞等、特にCHO及びCHL1細胞内でその遺伝子を発現させるときに、特に有用である。
A. TMアナログ製造のための一般的方法
 本発明は、様々な公知の方法で達成されることができる分子遺伝子操作を包含する。本発明の組換え体細胞、プラスミド、及びDNA 配列は、組換え体細胞から分泌された化合物がトロンボモジュリンの可溶性誘導体であるところの医薬として有用な化合物を製造する手段を提供する。
 一般的には、本出願において使用される一般的実験手順の命名の定義及び記載は、J. Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, (1989) Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York 中に見られることができる。このマニュアルは、以下、Sambrookとしていい、そして引用により本明細書中に取り込む。さらに、Ausubel et al., eds., Current Protocolsin Molecular Biology, (1987 and 定期的に刷新) Green Publishing Associates, Wiley-Interscience, New Yorkは、本出願において有用な方法について開示している。
 すべての酵素を、製造者の指示に従って使用する。
 商業的に入手可能でないオリゴヌクレオチドは、D.R. Needham-VanDevanter et al., (1984) Nucleic Acids Res., 12:6159-6168中に記載されているような自動合成装置を使用してS.L. Beaucage and M.H. Caruthers, (1981) Tetrahedron Letts., 22(20):1859-1862により最初に記載されている固相ホソホルアミジット・トリエステル法に従って化学的に合成されることができる。オリゴヌクレオチドの精製は、生来のアクリルアミド・ゲル電気泳動又はPearson, J.D., and Regnier, F.E. (1983) J. Chrom., 255:137-149 中に記載されているアニオン- 交換HPLCのいずれかによる。ヌクレオチドのサイズを、キロベース(kb)又は塩基対(bp)のいずれかで与える。これらは、アガロース若しくはアクリルアミド・ゲル電気泳動から又は公開されたDNA 配列から得られた推定値である。
 クローン化された遺伝子及び合成オリゴヌクレオチドの配列は、Maxam, A.M., et al., (1980) Methods in Enzymology, 65:499-560の化学分解法、又は類似の方法を使用して、確認されることができる。この配列は、Maxam and Gilbert 法、前記、又はWallace, R.B., et al., (1981) Gene, 16:21-26 の二本鎖テンプレートを配列決定するための鎖停止法を使用して、そのオリゴヌクレオチド断片を二本鎖DNA 配列中に組み立てた後に、確認されることができる。サザン・ブロット・ハイブリダイゼーション技術を、Southern et al., (1975) J. Mol. Biol., 98:503 に従って行った。
 本発明の態様は、しばしば、インビトロにおける突然変異誘発による新たなペプチド及び遺伝子の創出を含む。標的遺伝子は、中間体ベクター内で単離され、そして原核生物、例えば、大腸菌(E.coli)、バチルス(Bacillus)、又はストレプトミセス(Streptomyces)内での増幅のためにクローン化される。最も好ましいのは大腸菌である。なぜなら、その生物は、培養が容易であり、そして他の種の原核生物よりもより十分に理解されているからである。Sambrookマニュアルは、その後に記載された大腸菌内クローニングの全てを導くのに十分な方法論を含んでいる。MH-1株は、特にことわらないかぎり好ましい。大腸菌株の全ては、グルコースを含むLuria ブリス(LB)又はグルコース及び酸- 加水分解カゼイン・アミノ酸を補われたM9培地上で、培養される。抗生物質に耐性をもつ株を、Sambrook中に記載する薬剤濃度において維持した。形質転換を、Morrison, D.A. (1977) J. Bact., 132:349-351 により又はClarl-Curtiss, J.E.,and Curtiss, R. (1983) Methods in Enzymology, 101:347-362, Eds. R. Wu et al., Academic Press, New York により、記載さている方法に従って行った。代表的なベクターは、商業的源から入手可能なpBR322及びpUC シリーズを含む。
B. 遺伝子合成
 生来のトロンボモジュリンをエンコードしている遺伝子は、幾つかの種から、そのゲノム形態で且つcDNAとして、単離し、そして配列決定されている(Jackman, R., et al., (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 83:8834-88838 and (1987) 84:6425-6429(これらの両方を、引用により本明細書中に取り込む。) 。
 ヒト・トロンボモジュリン及びトロンビンをエンコードしている完全長DNA 配列の公開は、遺伝子の調製を容易にし、そしてTMペプチドをエンコードしているDNA 配列を構築するための出発点として使用される。例えば、Genebank Register c/o IntelliGenetics, Inc., Mountain View, California を参照のこと。本発明のペプチドは、好ましくは、内部のアミノ酸置換をもつことに加えてTMの移動停止配列を欠く可溶性誘導体である。その上、これらのアナログは、これらのポリペプチドをエンコードしている遺伝子を含むプラスミドによりトランスフェクト又は形質転換された真核細胞から分泌される。修飾、例えば、アミノ酸置換、欠失、又はシグナル配列のクローン化遺伝子ヘノ付加を作るための方法は、公知である。本明細書中で使用する特定の方法を、以下に記載する。
 トロンボモジュリンのための完全長遺伝子を、幾つかの方法により調製することができる。ヒト・ゲノム・ライブラリーは、商業的に入手可能である。これらの遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチド・プローブを、公開された遺伝子配列を使用して合成することができる。オリゴヌクレオチド・プローブによるゲノム・ライブラリーのスクリーニング方法は、公知である。トロンボモジュリンのための遺伝子配列の公開は、そのコーディング領域内にイントロンが全く存在しないということを証明した。したがって、ゲノムのクローンは、公知方法を使用してトロンボモジュリンのための発現プラスミドを構築するための必要な出発材料を提供する。
 トロンボモジュリンをエンコードしているDNA 断片は、その遺伝子に隣接するか又はその内部にある領域内で同定された制限エンドヌクレアーゼ部位を利用することにより、持ってくることができる。(Jackman, R.W., et al., (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 84::6425-6429)。
 あるいは、完全長遺伝子を、cDNAライブラリーから得ることもできる。例えば、内皮細胞から作られたメッセンジャーRNA は、cDNAの調製のための好適な出発材料を提供する。トロンボモジュリンをエンコードしている遺伝子を含むcDNA分子は、先に記載したように同定される。cDNAライブラリーの調製方法は、よく知られている( 前記、Sambrookを参照のこと。) 。
 TMペプチドをエンコードしている遺伝子を、完全長トロンボモジュリンをエンコードしている遺伝子を使用して最初に構築された野性型TM遺伝子から、作ることができる。その後の突然変異のための野性型TMペプチド遺伝子の好ましくは調製方法は、合成オリゴヌクレオチド・プライマーの使用と、mRNA又はDNA テンプレート上のポリメラーゼ伸長とを組み合わせる。このポリメラーゼ連鎖反応(PCR) 法は、所望のヌクレオチド配列を増幅する。米国特許第4,683,195 号及び第4,683,202 号は、この方法について記載している。制限エンドヌクレアーゼ部位は、上記プライマー中に取り込まれることができる。上記PCR 反応により増幅された遺伝子は、アガロース・ゲルから精製され、そして適当なベクター中にクローン化されることができる。天然の遺伝子配列内の変更は、インビトロにおける突然変異誘発の技術により又は適当な突然変異を取り込むように設計されたプライマーによるポリメラーゼ連鎖反応の使用により、導入されることができる。Innis, M. et al., eds. (1990), PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications, Academic Press を参照のこと。
 本明細書中に記載するTMペプチドは、典型的には、真核細胞培養において発現されるときに、分泌される。分泌は、トロンボモジュリン遺伝子の生来のシグナル配列の使用により、得られることができる。あるいは、本発明のTMペプチドをエンコードしている遺伝子を、生来のトロンボモジュリン遺伝子に対応するもの以外のシグナル配列に適当な読み取り枠内で結合することができる。例えば、t-PAの( 引用により本明細書中に取り込むWO 89/00605 を参照のこと。)、又はヒポダーミンA 若しくはB の( 引用により本明細書中に取り込むEP 326,419を参照のこと。) シグナル配列を、そのポリペプチドに結合することができる( 表2 を参照のこと。) 。本発明の好ましい態様においては、ヒトt-PA遺伝子の第二イントロンを含むt-PAのシグナル配列が使用される。このイントロンを含むことは、その隣接する構造遺伝子の発現レベルを増強する。
 本発明のあるアナログにより、生来のトロンボモジュリン遺伝子のカルボキシル末端領域の移動停止及び細胞質のドメインをエンコードしている遺伝子のこれらの部分が、欠失される。それ故、翻訳が所望の位置において終止するように、終止コドンを付加することが必要である。あるいは、終止コドンは、所望の発現プラスミドにより提供されることができる。さらに、ポリアデニレーション配列が、TMアナログをエンコードしている真核細胞内でmRNAの適当なプロセシングを確保するために、使用されることができる。また、TMアナログの発現のために、それが存在しない場合には、開始コドンを提供することが有用であることができる。このような配列は、生来の遺伝子から又は発現プラスミドにより提供されることができる。
 原核生物及び真核生物内での複製及び組み込みに好適な、そして転写及び翻訳ターミネーター、開始配列及びTMペプチドの発現の調節に有用なプロモーターを含むクローニング・ベクターを、本明細書中に記載する。このベクターは、少なくとも1 の独立したターミネーター配列、真核生物及び原核生物の両方内でのプラスミドの複製を許容する配列、すなわち、シャトル・ベクター、及び原核生物及び真核生物の系の両方のための選択マーカーを含む発現カセットから成る。
C. 原核細胞内でのTMペプチドの発現
 クローン化された核酸配列の増幅のための大腸菌(E.coli)内でのクローニング方法の使用に加えて、原核生物内でTMアナログを発現させることが望ましいかもしれない。以下にさらに詳細に討議するが、成熟タンパク質の炭水化物部分は、プロテインC の活性化のための補因子としての活性のために不可欠ではないが、TMアナログの直接的抗血液凝固性質並びに循環中でのその分子の半減期に対する効果をもっている。大腸菌内のトロンボモジュリン・アナログの発現は、この論点の分析のための有用な道具を提供した。可溶性TMアナログをエンコードしている発現プラスミドにより形質転換された大腸菌(E.coli)から治療的に機能性のタンパク質を回収することができる。
 バクテリア内でのクローン化遺伝子の発現方法は、よく知られている。原核生物系においてクローン化遺伝子の高いレベルの発現を得るためには、最小限、mRNA転写終止に向けられる強いプロモーターを含む発現ベクターを構築することが、しばしば不可欠である。この目的に好適な調節領域の例は、大腸菌(E.coli)のβ- ガラクトシダーゼ遺伝子のプロモーター及びオペレーター領域、大腸菌(E.coli)トリプトファン生合成経路、又はラムダ・ファージからの左側のプロモーターである。大腸菌内に形質転換されたDNA ベクター内に選択マーカーを含むことが、有用である。このようなマーカーの例は、アンピシリン、テトラサイクリン、又はクロラムフェニコールに対する耐性を指定する遺伝子を含む。
 大腸菌内での使用のための選択マーカー及びプロモーターに関する詳細については、Sambrook、前記を参照のこと。本発明の1 つの記載された態様においては、pUC19 が、所望の遺伝子配列のサブクローニング及び増幅のためのベクターとして、使用される。
D. 真核細胞内でのTMペプチドの発現
 所望のTMペプチドの発現のために選ばれた発現系において当業者が知得可能であることが予測され、そして真核生物内でのタンパク質の発現のために知られた様々な方法を詳細に記載する試みを、全く行わない。
 可溶性TMアナログをエンコードしているDNA 配列を、宿主細胞培養物を形質転換することにおける使用のための様々な発現ベクターに連結することができる。このベクターは、典型的には、マーカー遺伝子並びにその異種遺伝子の転写及び翻訳を開始させるための遺伝子配列を含む。
 このベクターは、好ましくは、形質転換された宿主細胞の選択のための表現型の特色、例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、メタロチオネイン、ハイグロマイシン、又はネオマイシン・ホスホトランスフェラーゼを、提供する。オートグラファ・カリフォルニア(Autographa california) からの核多角体ウイルス・タンパク質が、組換え体を同定するためにスポドプテラ・フルジペルダ(Spodoptera frugiperda) 及びボンビックス・モリ(Bombyx mori) からのトランスフェクトされた昆虫細胞をスクリーンするために有用である。酵母のためには、Leu-2 、Ura-3 、Trp-1 、及びHis-3 が公知の選択マーカーである(Gene (1979) 8:17-24) 。上記の科学的原理を具体化し、公知の及び非公知の両方の、多数の他のマーカーであって、その中の全てが、本発明により包含されるベクターによりトランスフェクトされた上記の真核細胞を検出するためのマーカーとして有用であろうものが、在る。
 TMアナログの発現に有用なより高等な真核細胞系の中に、選択される多数の細胞系が在る。哺乳類細胞系の例示的な例は、RPMI 7932、VERO、及びHeLa細胞、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO) 細胞系、WI38、BHK 、COS-7 、C127、又はMDCK細胞系を含む。好ましい哺乳類細胞系は、CHL-1 又はCHO である。CHL-1 を使用するとき、ハイグロマイシンが真核生物の選択マーカーとして含まれる。CHL-1 細胞は、RPMI 7932 メラノーマ細胞、すなわち、容易に入手可能なヒト細胞系から得られる。CHL-1 細胞系は、ブダペスト条約の条項に従ってATCCに寄託されており、そして1987年6 月18日に寄託された#CRL 9446 を与えられている。本発明における使用に好適な細胞は、American Type Culture Collectionから商業的に入手可能である。例示的な昆虫細胞は、スポドプテラ・フルジペルダ(Spodoptera frugiperda)(アキ・アワヨトウ(fall Armyworm))及びボンビックス・モリ(Bombyx mori)(カイコ(silkworm)) を含む。
 先に記載したように、宿主細胞を形質転換するために使用される発現ベクター、例えば、プラスミドは、好ましくは、転写を開始させるための遺伝子配列、及びTMペプチド遺伝子配列の翻訳を制御するための配列を、含む。これらの配列は、発現制御配列という。宿主細胞が昆虫又は哺乳類起源の内にあるとき、例示的な発現制御配列は、これに限定されないが、以下の: レトロウイルスのロング・ターミナル・リピート・プロモーター((1982) Nature, 297:479-483)、SV40プロモーター((1983) Science, 222:524-527) 、チミジン・キナーゼ・プロモーター(Banerji, J., et al., (1982) Cell,27:299-308) 、又は他のベータ- グロブリン・プロモーター(Luciw, P.A., et al., (1983) Cell, 33:705-716)を、含む。発現制御配列を含む受容体ベクターの核酸を、制限酵素を使用して解裂させ、そして必要な又は望ましいサイズにおいて調節する。このセグメントを、本分野においてよく知られた手段によりTMペプチドをエンコードしているDNA 配列に連結する。
 より高等な動物細胞を使用するとき、ポリアデニレーション又は転写終止配列は、正常には、そのベクター中に取り込まれることが必要である。ポリアデニレーション配列の例は、転写ターミネーターとしても作用することができるSV40からのポリアデニレーション配列である。
 適当なベクター内に取り込まれた遺伝子を、過渡的な発現系又は好適なクローン内のいずれかにおいて、使用することができる。前者においては、収率は、低いが、その実験は、迅速である。後者においては、高生産クローンを単離するためにはより長い時間を要する。異なるベクターを、上記2 つの異なるタイプの実験のために使用することができる。特に、過渡的発現の場合には、配列は、その細胞内でそのプラスミドが高いコピー数まで複製されることを可能にするプラスミド内に含まれることができる。これらの配列は、ウイルス、例えば、SV40( 例えば、Doyle, C. et al., (1985) J. Cell Biol,. 100:704-714)から又は染色体の複製配列、例えば、ネズミの自己複製配列(Weidle et al., (1988) Gene, 73:427-437)から得られることができる。また、過渡的発現における使用のためのベクターは、しばしば、強いプロモーター、例えば、SV40初期プロモーター( 例えば、van Zonnenfeld, A. et al., (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 83:4670-4674) を、問題の遺伝子の転写を制御するために、含むであろう。過渡的発現は、遺伝子生成物の検定のための迅速な方法を提供スルガ、そのプラスミドDNA は、その宿主細胞染色体内に取り込まれない。したがって、過渡的発現ベクターの使用は、安定したトランスフェクトされた細胞系を提供しない。過渡的発現に好適なプラスミドに記載は、Aruffo, A., and Seed, B. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 84:8573-8577により提供される。
 TMアナログは、あるいは、バキュロウイルス系を使用して先に記載した昆虫細胞系内で製造されることができる。この系は、Luckow, V.A., and Summers, M.D. (1988) Bio/technology, 6:47-55により記載されている。一般的には、この発現系は、ほとんどの哺乳類系により提供されるものよりも高いレベルの発現を提供する。バキュロウイルスは、宿主細胞に感染し、多数のサイクルを通してそのゲノムを複製し、そして次に多量の多角体結晶を作り出す。この多角体遺伝子を、TMペプチド遺伝子と置き換えることができる。次に多角体プロモーターは、培養宿主細胞の感染及びバキュロウイルス・ゲノムの複製の後に、多量のアナログ・タンパク質を作るであろう。この非分泌遺伝子生成物を、感染3-7 日後にその宿主から収穫する。あるいは、TMペプチドは、適当なシグナル配列がそのタンパク質上に存在する場合には、その細胞から分泌されることができる。この宿主細胞は、コンピテントであり、又は様々な手段によりトランスフェクションのためにコンピテントにされる。動物細胞中にDNA を導入する幾つかのよく知られた方法が在る。これらは: リン酸カルシウム沈降、DEAE- デキストラン技術、受容体細胞とそのDNA WO含むバクテリアのプロトプラストとの融合、エレクトロポレーション及びその細胞内へのそのDNA の直接的なマイクロインジェクションを含む。Perbal, B. "Practical Guide to Molecular Cloning," 2nd edition, John Wiley & Sons, New York and Wigler, et al., (1987) Cell, 16:777-785 ( これらを、それぞれ引用により本明細書中に取り込む。) を参照のこと。
E. 培養細胞
 宿主細胞が速い細胞培養を可能とし、そして発現された遺伝子生成物を適当に糖添加することができることが、好ましい。組織培養における濃密な増殖に好適であることが知られている正常な及び形質転換された両方の細胞が、特に望ましく、そして様々な無脊椎又は脊椎動物細胞が本分野において使用されている。特に、組換えTM発現に好適な宿主であり、そして培養条件下、生来のトロンボモジュリンの解裂をもたらすプロテアーゼを生産し又は含む細胞は、目下、突然変異されたプロテアーゼ非感受性TMアナログの解裂において全く問題を提出しない。このような細胞の例は、CHO 、CHL-1(ヒト・メラノーマ細胞として特徴付けられる) 、Sf9 細胞、等であってATCCから公に入手可能なものを含む。
 トランスフェクトされた細胞を、本分野においてよく知られた手段により増殖させる。例えば、Kuchler et al. (1977) Biochemical Methods in Cell Culture and Virology. を参照のこと。この発現生成物は、そのタンパク質が宿主細胞から又は、例えば、本分野においてよく知られた機械的又は酵素的手段によりその宿主細胞の破壊の後、細胞懸濁液から分泌されるような系内で、その細胞培地から収穫される。
F. TMアナログの精製
 本発明のTMペプチドが組換え真核細胞を培養することにより分泌されることが好ましい。このTMアナログは、血清不含又は血清を補った培地中で生産され、そして無傷で分泌される。原核細胞を使用する場合には、TMアナアログは、細胞内に置かれることができる。組換え体細胞の増殖及びこれに付随するTMアナログのその培養基中への分泌の後に、この" ならし培地(conditioned media)"を収穫する。このならし培地を、次に、遠心分離又は濾過により清澄化し、細胞及び細胞死骸を除去する。この清澄化培地中に含まれるタンパク質を、いずれかの好適な樹脂、例えば、Q Sepharose 又は金属キレートへの吸着により、又は硫酸アンモニウム分画、ポリエチレンン・グリコール沈降の使用により、又は限外濾過により、濃縮する。本分野において知られた他の手段も、等しく好適であることができる。TMアナログのさらなる精製を、Galvin, J. B., et al., (1987) J. Biol. Chem., 262:2199-2205 及びSalem, H.H. et al., (1984) J. Biol. Chem., 259:12246-12251中に記載されているやり方で、並びに本明細書中に開示する態様中に記載するやり方で、行うことができる。培養細胞により分泌されたTMアナログの精製は、例えば、アフィニティー・クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ・クロマトグラフィー、又は他の慣用のタンパク質精製技術の追加の使用を必要とする。例えば、Deutscher (ed.), "Guide to Protein Purification" in Methods in Enzymology, Vol. 182 (1990)を参照のこと。
 組換え体TMアナログは、非還元クロマトグラフィーの条件下で識別可能な様々な形態で見つけられることができる。低い比活性をもつような種の除去が、望ましく、そしてアニオン交換又はサイズ排除クロマトグラフィーを含む様々なクロマトグラフィーの技術により、達成される。組換え体TMアナログを、圧力透析及び揮発性バッッファー( 例えば、N-エチルモフフォリン(NEM) 、2 炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、及び酢酸ピリジン) 中へ直接に交換されるバッファーにより、濃縮することができる。さらに、サンプルを、このような揮発性バッファーから直接に凍結乾燥し、塩及び洗剤を欠いた安定なタンパク質粉末をもたらすことができる。さらに組換え体アナログの凍結乾燥サンプルを、注入液( 例えば、リン酸塩バッファー生理食塩水) と相溶性のバッファー中で使用する前に効率よく再溶解させることができる。他の好適な塩又はバッファーは、塩化水素、臭化水素、硫酸塩、酢酸塩、ベンゾエート、リンゴ酸塩、クエン酸塩、グリシン、グルタメート、及びアスパルテートを含むことができた。
G. 酸化耐性TMアナログ
 生来のトロンボモジュリンは、酸化を受けやすく、そして酸化されたとき、プロテインC の活性化を促進するその能力を失う。また、抗血液凝固を必要とする疾患症状の多くが、生体分子を不活性化し、そしてかなりの組織損傷を引き起こすことができる高いレベルの毒性酸素ラジカルと関連している。これらの症状の例は、心筋梗塞関連の再灌流損傷、敗血症関連DIC 及び成人呼吸不全症候群関連の肺胞繊維症(alveolar fibrosis) である。(Otani, H., et al., (1984) Circ. Res. 55:168-175, Saldeen, T., (1983) Surg. Clin. N.A. 63(2):285-304, 及びIdell, S., et al., (1989) J. Clin. Inv. 84:695-705を参照のこと。) さらに、いずれかの外傷、例えば、外科的手順において生じるようなものは、毒性酸素種を作り出すことができる活性化された単球、多型核白血球等の流入、並びにエラスターゼの如きタンパク質分解酵素の宿主の解放を含む。内皮細胞損傷、炎症、及び血栓症の間の関係は、長い間認められてきた( 例えば、 The Molecular and Cellular Biology of Wound Repair, ed. Clark, R.A.F. and P.M. Henson (1988)を参照のこと。) 。トロンボモジュリンは、毒性酸素種に晒されることにより不活性化を受け、そしてこれは、多くの病的症状において重要な役割をもっていると予想される。
 酸化に耐性なアミノ酸、特にメチオニンを与える方法は、本分野においてよく知られている。例えば、酸化耐性スルホニウム基を作るために、ヨード酢酸によりチオール・エーテル基を化学的に修飾することが可能である(Gundlach, H.G., et al., (1959) J. Biol. Chem. 234:1754)。好ましい方法は、上記の感受性アミノ酸の除去又はオキシダントと反応しないであろう1 以上の異なるアミノ酸によりそれを置換することによる。アミノ酸、ロイシン、アラニン、及びグルタミンが、それらのサイズ及び中性の特徴のために、特に好ましいアミノ酸である。可溶性トロンボモジュリンの4 つのメチオニンであって、特に、291 及び388 残基に位置するものは、酸化を受けることができる。たった1 つのメチオニンを遮断し又は除去する場合には、それが388 位における残基であることが好ましい。
 タンパク質の配列内でアミノ酸が除去され又は置換されることができるところの方法は、よく知られている。例えば、Sambrook et al.,前記; Ausubel et al., 前記; U.S. 4,737,462; U.S. 4,588,585; EP-0285 123; 及びその中で引用された文献を参照のこと。変更されたアミノ酸配列をもつペプチドをエンコードしている遺伝子を、例えば、合成的に作ることができる。好ましい方法は、インビトロにおける部位指定突然変異誘発の使用である。部位指定突然変異誘発は、一本鎖標的DNA のヌクレオチド配列を特異的に変更するために設計された所望のヌクレオチドの置換、挿入、又は欠失を含む合成オリゴデオキシリボヌクレオチドの使用を含む。プライマーともいわれるこのオリゴヌクレオチドの、その一本鎖テンプレートとのハイブリダイゼーション及びその後のプライマー伸長は、異種2 本鎖DNA を作り出し、これが、形質転換細胞内で複製されるとき、所望の突然変異をもつタンパク質配列をエンコードするであろう。
 酸化によるトロンボモジュリン活性の損失に対する耐性を測定するために、テスト材料(100-250μg/ml) を、最初に、オキシダント、例えば、クロラミンン-T、5-10mMクロラミン-Tにおける過酸化水素、又はpH 7.0における0.2% N- エチルモルフォリン及び0.008% Tween 80 中の200-1000mM過酸化水素と共に、室温において20分間、インキュベートする。0.1%BSA を含むPBS のバッファーを使用することもできる。このようなオキシダントに晒した後、このテスト材料を、例えば、特にプロテインC の活性化のための補因子として作用する能力について以下に記載する生物活性検定の中の1 つを使用して評価する。オキシダントに晒される前にそれらがもつ活性の、少なくとも60% 、普通には70% 、より正常には80% 、及び好ましくは90%を保持するような突然変異体TMアナログは、野性型( 非- 突然変異体)TM アナログ又は生来のトロンボモジュリンと比べて酸化耐性であると考えられる。
H. TM 活性の測定のための実験室検定
 TM活性を測定するための多くの実験室検定を、利用できる。プロテインC 補因子活性を、Salem, et al., (1984) J. Biol. Chem. 259(19):12246-12251 及びGalvin, et al., (1987) J. Biol. Chem. 262(5):2199-2205により記載された検定において測定することができる。簡単に言えば、この検定は、2 段階から成る。第一は、定義した条件下( 以下の実施例を参照のこと。) でのテストTMアナログとトロンビン及びプロテインC とのインキュベーションである。第二段階においては、このトロンビンがヒルジン又はアンチトロンビンIII 及びヘパリンにより不活性化され、そして新たに活性化されたプロテインC の活性が発色基質の使用により測定され、そこでは、その発色団が活性化プロテインC のタンパク質分解活性により解放される。この検定は、精製された試薬にいより行われる。
 あるいは、TMアナログの効果は、血液凝固時間検定、例えば、活性化部分的トロンボプラスチン時間(APTT)、トロンビン血塊化時間(TCT) 及び/ 又はプロトロンビン時間(PT)において血漿を使用して測定されることができる。のATPP検定は、プロテインC の活性化、並びにトロンビンの直接的阻害の両方に対し依存しているが、一方、このTCT 及びPT検定は、トロンビンの阻害に対してのみ依存している。これらの検定の中のいずれか1 つにおける血液凝固時間の延長は、その分子が血漿中の血液凝固を阻害することができることを示している。
 上記の検定は、精製系及び血漿環境の両方においてトロンビン及び活性化プロテインC に結合することができる可溶性TMアナログを同定するために使用される。次に、さらなる検定を、生来のトロンボモジュリンの他の活性、例えば、トロンビンにより触媒されたフィブリノーゲンからのフィブリン形成の阻害(Jakubowski, et al., (1986) J. Biol. Chem. 261(8):3876-3882)、因子V のトロンビン活性化の阻害(Esmon, et al., (1982) J. Biol. Chem. 257:7944-7947) 、アンチトロンビンIII 及びヘパリン補因子IIによるトロンビンの加速された阻害(Esmon, et al., (1983) J. Biol. Chem. 258:12238-12242)、因子XIIIのトロンビン活性化の阻害(Polgar, et al., (1987) Thromb. Haemostas. 58:140) 、プロテインS のトロンビン仲介不活性化の阻害(Thompson and Salem, (1986) J. Clin. Inv. 78(1):13-17)並びにトロンビン仲介血小板の活性化凝集の阻害(Esmon, et al., (1983) J. Biol. Chem. 258:12238-12242)を評価するために使用される。
 本発明においては、TMアナログは全て、必ずしも、生来のトロンボモジュリンのものと等しい活性をもっていない。例えば、ある者が本発明のTMアナログの量を生来のコンドロイチン・スルホン化膜結合トロンボモジュリンの等価な量と比較する場合には( 以下に定義するプロテインC 補因子活性の単位として測定される) 、そのTMアナログは、普通には、生来のトロンボモジュリンと比較してトロンビン仲介のフィブリノーゲンのフィブリンへの変換を阻害するその能力において、少なくとも20% の減少を、そして好ましくは、50% の減少をもつであろう。
I. TMアナログの糖添加を変更する方法
 タンパク質上の炭水化物置換基は、生物学的活性及び循環半減期の両方に影響を与えることができる。本発明の幾つかのTMアナログを作るために、生来のトロンボモジュリン・タンパク質内にあるようなO-結合グリコサミノグリカン炭水化物が、除去されなければならない。この目的を達成する多数の方法が在る。1 つの方法は、O-結合炭水化物含有タンパク質を、硫酸化されたグリコサミノグリカンを特異的に分解することで知られるグリコヒドラーゼ、例えば、コンドロイチナーゼABC 又はヒアルロニダーゼにより処理することであろう。この方法は、Bourin, M. et al., (1988) J. Biol. Chem. 263(17):8044-8052( これを、引用により本明細書中に取り込む。)中に記載されている。
 O-結合炭水化物を除去する第二の方法は、そのタンパク質中に部位指定突然変異を導入することによる。グリコサミノグリカンの付着は、典型的には、アミノ酸X-セリン- グリシン-X- グリシン-X{ここで、X がアミノ酸である。}(Bourdon, M.A., et al., (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 84:3194-3198)のコンセンサス認識配列により、指定される。他のタイプのO-結合糖の認識配列は、一般的には、トレオニン/ セリン-X-X- プロリンである。天然のトロンボモジュリンのO-結合ドメインは、正常には、少なくとも1 の可能性のあるグリコサミノグリカン付加部位(aa 472 及び/ 又は474)及び1 つの他の可能性のあるO-結合炭水化物付加部位(aa 464、472 、474 、480 及び486)を、その細胞型に依存して、もつ。この認識配列内の1 以上のアミノ酸のいずれかの同一性を除去し又は変するヌクレオチド配列内に導入される変更のいずれも、この可能性のあるO-結合炭水化物付着部位を除去することができた。ヌクレオチド配列内へ部位指定突然変異を導入する方法は、先に記載されている。例えば、これらのセリン又はトレオニン残基の1 以上が、糖添加不可能アミノ酸、例えば、アラニンに修飾されることができる。
 TMアナログからO-結合炭水化物を除去する好ましい方法は、O-結合ドメインであると考えられるアミノ酸、すなわち、表1 中に示すような生来のトロンボモジュリン遺伝子配列のアミノ酸468 〜485を含まないアナログ・ペプチドを作ることよる。これを達成する方法は、本分野においてよく知られており、そして先に記載されている。
 タンパク質の循環半減期は、それに付着した炭水化物の量及び組成により変更されることができる。本発明のTMアナログは、O-結合及びN-結合の炭水化物の両方を含む。先に討議した可能性のあるO-糖添加部位に加えて、例えば、アミノ酸29、97、98、364 、391 及び393 における可能性のあるN-結合部位、及びアミノ酸319 、393 及び396 における可能性のあるO-結合部位が、在る。先に記載したものに加えた炭水化物組成を変更する方法は: 1)哺乳類タンパク質を糖添加するのに必要な細胞機構をもたない、バクテリア、例えば、大腸菌(E.coli)内でのTMアナログ遺伝子の発現、2)様々な真核細胞であってそれぞれが特徴的な糖残基の添加に起因するそれ自体の特徴的な酵素をもつもの内でのTMアナログ遺伝子の発現、及び3)化学物質、例えば、フッ化水素酸による処理、である。フッ化水素酸は、例えば、酸性及び中性の糖を化学的に消化し、一方、例えば、N-アセチル・グルコサミン、そして特定の条件下で、ガラクトサミンのような糖を、無傷で残す。
J. プロテアーゼ耐性アナログ
 先に述べたように、組換えにより作られたTMが培養において、特に真核細胞、例えば、CHO 細胞内で発現されるとき、そのTMは、実質的な量の2 本鎖変異体を含む。これは、例えば、培養条件下又はその精製工程の間に存在するエンドペプチダーゼによる異種タンパク質の解裂による、存在する異なる結合定数をもつ種が存在するということを示す結合性質プロフィールにより、検出可能である。このエンドペプチダーゼは、例えば、宿主細胞、微生物学的汚染体、培養基、等であることができる。還元条件下でのSDS-PAGE上の分析は、TMアナログがCHO 細胞内で調製され、そして本明細書中で開示するようなならし培地から単離されるとき、約80kDの分子量に対応するタンパク質バンドが、昆虫細胞6EGFに対するウサギのポリクロナール抗体、例えば、TME (Sf9) 、又は染色ゲルを使用して測定されるような、一本鎖可溶性TMアナログに対応する94kDのタンパク質バンドに加えて存在することを、現した。しかしながら、CHL-1 細胞内で発現された同一物質は、明らかに、この分解物質をほとんどもっていない。これは、タンパク質分解活性の程度が細胞系依存であることができることを示している。
 ヒト・トロンボモジュリン細胞外ドメイン内のユニーク・プロテアーゼ解裂部位を、今般、様々なヒト・アナログ内で同定した。シグナル配列の解裂異種性により引き起こされるN-末端内の予想された異種性(FPAPAEP及びAPAEP の両方のN-末端がある) に加えて、これらのアナログは、Arg 456 とHis 457 との間の一本鎖TMのタンパク質分解と一致する新たな配列 IGTD   Kを含む。この解裂形態において存在するタンパク質の量は、TM鎖の50% と同程度に高い。
 このタンパク質解裂部位は、第6 のEGF ドメインの最後の(c) ループ内で形成され、そしてそれ故、そのタンパク質断片は、そのループ内で最後のジスルフィド結合により一緒に共有結合されている。これは、さらに、この2 つのバンドが還元ゲル上にのみ見られるという事実により支持される。この80kDa バンドは、サイズ及び免疫反応性に基き、N-末端断片である。それ故、CHO 細胞内、並びに、TMアナログを分解する類似のプロテアーゼを有する他の細胞系内で発現されるTMアナログは、類似の分子の性質、例えば、同一条件下で検定されるときの分子量及びアミノ酸配列を示す解裂した2 本鎖物質により、汚染されている。それ故、精製の性質は、そのTMアナログがジスルフィド結合により一緒になった2 本鎖変異体に解裂されているにもかかわらず、しばしば類似となろう。
 先に述べたように、この解裂部位は、TMの6EGFドメインのc ループ内で生じる。様々な構築物内のこのループの欠失は、トロンボモジュリンについてのK d における高い増加( 〜7 倍) により証明される、トロンボモジュリン結合における実質的な損失をもたらすことが示された。それ故、汚染する2 本鎖物質は、たぶん、このような調製物の比活性の類似の損失をもたらす。さらに、その分子上の他の結合部位が無傷であるので、その2 本鎖物質は、一本鎖TMアナログの競合的阻害剤として作用するはずである。この無傷の一本鎖種から2 本鎖物質を分離することは非常に困難であるので、タンパク質解裂を受けない高く相同性のある無傷の一本鎖TMを作ることが重要である。この結果は、本明細書中に開示するように、タンパク質解裂部位を除去及び/ 又は置換し、そしてこのようにこれまでの不所望の問題を解決するTMアナログの構築を通して、達成される。本発明は、完全長の膜会合又は可溶性の両方のTMアナログであって上記プロテアーゼによる解裂に耐性のものの提供を可能にする。
 突然変異を、本明細書中に記載する手順に従って、プロテアーゼ解裂部位を修飾するために、TMアナログ内に導入することができる。しかしながら、6EGFのc ループは、トロンビン結合において重要であることが示されており、そしてこの領域の結合の性質が作られたアナログ内で維持されることが重要である。このように得られた分子の生物学的活性は、タンパク質分解を防ぐことにより、維持されるであろうし、又はTMアナログ組成物の全体的な活性における増加が、達成される。これは、トロンビンへのTMの結合において重要であると考えられる最初のドメインの構造における変更により引き起こされる活性の損失を回避するであろう。例えば、ウサギ、マウス、及びウシにおいては、TMの456-457 配列は、ヒトTMにおけるのと同様に、Arg-His の代わりにGly-Gln であるので、この修飾は、特定の問題の内に在る。他の、類似の部位特異的突然変異を、タンパク質分解を受けないが未だ生物学的活性の望ましいレベルを維持している修飾配列を定例的に同定するために使用することができる。例えば、他の類似のEGF-様タンパク質への相同性により、その分子の上記領域が逆回転Pro 450 /Asp451 とThr 460 /Asp461 との間のβ- シート構造内のものと非常に類似していることを、見ることができる。この分析により、特に好ましい置換は、β- シート構造内に高頻度にあるアミノ酸、例えば、His 、Val 、Ile 、Phe 、Tyr 、Trp 、及びThr を取り込むものであろう。他の好ましい置換は、β- シート構造内にほとんどないようなアミノ酸、Cys 、Glu 、Lys 、Asp 、Asn 、及びPro を取り込むものであろう。特定の他の残基は、例えば、構造的に重要な他のシステインとの不正確なジスルフィド結合を防ぐための、Cys; β- シート構造とほとんど一致しないPro;他のプロテアーゼ解裂部位を取り込むことができるLys 及びArg を、含む。したがって、当業者は、上記部位又は他のプロテアーゼ解裂部位において、プロテアーゼ解裂に対し耐性であろうTMアナログの構造を容易に且つ定例的に決定できる。本明細書中に記載する要求に合うこのような構造の全ては、本発明の部分として包含される。
 もちろん、上記修飾を、本明細書中に開示する1 以上の他の修飾に加えて、酸化耐性を導入し、糖添加部位、同種アミノ酸末端、同種カルボキシ末端等を除去することにより血清中のアナログの半減期を増加させるために、使用して、幾つかの部位において改善された特徴をもつ分子を提供することができる。
 先に記載した修飾に加えて、一本鎖TMは、定例的なタンパク質精製方法によりそれを含む調製物から2 本鎖TMを除去することにより提供されることができる。
K. ユニークN-末端をもつトロンボモジュリン・アナログの製造
 内部のエンドプロテアーゼによる解裂による1 以上のN-末端を示すTMポリペプチド組成物の製造を防止する先の問題に加えて、生来のトロンボモジュリンは、シグナル配列の不正確なプロセシングによる正常なN-末端における追加の固有の異質性をもつ。例えば、特にインビボにおける投与についての規制認可のための、タンパク質精製の定義において使用される純度の1 つの特徴は、単一のユニークN-末端配列の検出である。最終製品の性質に関して可能性のある曖昧さのいずれをも回避するために、ユニークN-末端プロセシング部位をもつTMポリペプチド組成物を製造することができることが、商業的に、そして他に、有利である。それ故、本ポリペプチドのN-末端領域ヲエンコードしているヌクレオチド配列を、その宿主細胞のプロセシング酵素が成熟ポリペプチドの単一N-末端を作り出すであろうように、修飾することができる。これは、例えば、そのプロセシング部位の中の1 つを構成するN-末端の3 つのアミノ酸を欠失させることにより達成されることができ、これは、生来のTMのアミノ酸4(Glu)において開始する全体として機能性のポリペプチドをもたらす。これは、さらに、単一の且つユニークなプロセシング後N-末端だけをもつポリペプチドを提供する。また、他の単一N-末端をもつ他の機能的な構造物を、生来のTM N- 末端のさらなる欠失又は他の同質なN-末端プロセシング部位の置換のいずれかを通して、定例的に、製造することができる。
L. ユニークC-末端をもつトロンボモジュリン・アナログの製造
 本発明のゴールに従って作られることができるさらなる修飾は、それがユニーク・カルボキシ末端を示すようにTMアナログ組成物を修飾することである。一本鎖物質の提供は、本明細書中に開示する手順に従って少なくとも1 のC-末端を除去することを確保する。1つの特に有利な構築物は、分解に耐性なC-末端を提供することにより、プロテアーゼ又は他の因子、例えば、翻訳後プロセシング酵素若しくはC-末端エクソプロテアーゼに耐性なTMアナログを提供する。これらのアナログは、そのポリペプチドのC-末端アミノ酸をコーディングしているDNA を修飾することにより提供される。例えば、本明細書中に開示するように、生来のTMのアミノ酸497 において終止する機能的アナログのC-末端は、便利には、特にプロテアーゼ耐性である-Pro-Pro配列内で終止するC-末端を提供するために7 アミノ酸程短くされることができる。生物学的に活性なTMアナログを提供する他のアミノ酸欠失及び置換は、本分野において知られた方法の定例的な修飾に従って及び本明細書中に記載するように、調製されることができる。
M. トロンボモジュリン・アナログの配合及び使用
 本明細書中に記載する可溶性TMアナログは、凍結乾燥又は液体配合物において製造されることができる。この物質は、注射可能な又は静脈内の調製物のいずれかとして医薬用途に好適な濃度において提供されるであろう。
 これらの化合物は、単独であるいは他の生理学的に許容される活性物質、例えば、抗生物質、他の抗血液凝固剤、一本鎖t-PA、又は不活性物質との混合物として、又は好適な担体、例えば、水若しくは正常の生理食塩水と共に、投与されることができる。このアナログを、非経口的に、例えば、注射により投与することができる。注射は、皮下、静脈内又は筋肉内である。これらの化合物は、医薬として有効な量で、そしてしばしば医薬として許容される塩、例えば、酸添加塩として、投与される。このような塩は、例えば、とりわけ、塩化水素塩、臭化水素塩、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、ベンゾエート、リンゴ酸塩、クエン酸塩、グリシン、グルタメート、及びアスパルテートを含む。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (17th ed.), Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania,及びGoodman & Gilman's, The Pharmacological Basis of Therapeu-tics, 8th ed., Pergamon Press, 1985(これらの両方を、引用により本明細書中に取り込む。) を参照のこと。本明細書中に記載するアナログは、ミセル及び/ 又はリン脂質凝集体内への取り込みにより増強されたインビボにおける活性を表すことができる。イオン性洗剤凝集体又はリン脂質ミセル内への取り込み方法は、公知である。
 抗血栓剤は、本明細書中に記載する可溶性TMアナログを使用して製造されることができ、そして完全に精製されたアナログ単独で、又は先に記載した血栓溶解剤とに組み合わせにおいて、成ることができる。先に引用した生理学的効果をもつことが示された本発明の化合物は、多数の治療用途、例えば、血塊形成の阻害における使用を見つけられることができる。したがって、これらの化合物は、様々な循環失調、例えば、冠状又は肺の塞栓、鼓動の治療、並びに血栓溶解治療の後の再閉塞の予防における治療剤としの使用を見つけられることができ、そしてこれらの化合物は、梗塞事件の間の血塊のさらなる拡大の停止における用途をもつ。さらに、開示する化合物は、全身性血液凝固失調、例えば、多発性静脈内血液凝固(DIC)であってしばしば敗血症、特定の眼及び妊娠中毒症(toxemia of pregnancy)の治療に有用であることができる。
 これらの化合物は、獣医学的用途のために、哺乳動物に、例えば、家畜動物に、そして他の治療剤と類似のやり方で、すなわち、生理学的に許容される担体中で、ヒトにおける臨床的使用のために、投与されることができる。一般的には、TMアナログのための投与の投与量は、少なくとも約0.0002、より普通には0.02から、5000未満、普通には2000、より普通には500 μg/宿主の体重kgまでの、普通には、0.02〜2000μg/宿主の体重kg、そしてより普通には、0.02〜500 μg/宿主の体重kgの範囲であろう。これらの投与量は、所望の循環レベルが達成されるまで、長い時間にわたり一定注入により、又は好ましくは、ボーラス注射により、投与されることができる。特定の患者のための最適投与量は、当業者により定例的に決定されることができる。
 さらに詳述することなく、当業者は、先の記載を使用して、本発明をその最大限まで使用することができると、信じられる。それ故、以下の好ましい特定の態様は、単に例示的であり、そしていかなる方法においてもその開示の残りを限定しないと、考えられるべきである。
 先の及び以下の実施例中、全ての温度を、摂氏において補正せずに記し; そして特にことわらないかぎり、全ての部及びパーセンテージは重量による。
 先に及び以下に引用する、全ての出願、特許及び刊行物の開示の全体を、引用により本明細書中に取り込む。
実施例1: TMアナログ配列の単離及び発現
A. クローニング
 組換えトロンボモジュリン・アナログ・ペプチドの製造のための遺伝子を、1989年4 月28日に出願された同時係属出願米国逐次番号345,372 号、1989年9 月13日に出願された米国逐次番号第406,941号、及び1990年2 月16日に出願されたPCT 逐次番号第90/00955号( それぞれを、引用により本明細書中に取り込む。) 中に記載されるように単離した。簡単に言えば、ヒトDNA を、アミノ酸227-462 に対応するトロンボモジュリンの第6 EGF-様ドメイン、並びにトロンボモジュリン・ペプチドの他の部分をエンコードしている遺伝子を単離するために使用した。( 表1 を参照のこと。) このDNA を、Blin, N and DW Stafford, (1976) Nucleic Acids Res. 3:2302 に従って、胎児肝臓から単離した。次に、このDNA を、所望の領域を含むように選択された合成誘導プライマーとのポリメラーゼ連鎖反応におけるテンプレートとして使用した( 表3 & 4 を参照のこと。)。 例えば、Innis et al., PCR Protocol, A Guide to Methods and Applications (1990), Academic Press を参照のこと。
1. アミノ酸227-462 をエンコードしている遺伝子の単離
 以下の段階は、アミノ酸(aa) 227-462をエンコードしているDNA 挿入物を得るための手段を提供し、そしてプライマー#1033 及び#1034(表3 を参照のこと。) を使用する。他のプライマーを使用することによる以下に述べる手順を修飾することにより、他の可溶性TMアナログを得ることができるということが、理解されよう。
 #1033 及び#1034 プライマーの配列は、所望のドメインの5'及び3'末端に対応するが、それらは、それらがBamHI 部位を含むように修飾されている。終止コドンを、塩基1586の後に導入した。ポリメラーゼ連鎖反応を、Saiki, et al., (1988) Science 320:1350-1354 により記載されている条件下で走らせた。但し、アニーリングの最初の温度は37℃であった。10サイクル後、アニーリング温度を残りの30サイクルのために45℃まで上げた。反応生成物のアリコットを、5%アガロース・ゲル上で分離し、そして臭化エチジウム染色により可視化した。予言サイズのバンド(700bp) は、はっきりと見ることができた。あるいは、ある者は、その同一性を確認するために、このバンドを配列決定し又は内部プローブとそれをハイブリダイズさせることができる。
2. トロンボモジュリンの他の領域をエンコードしている遺伝子の単離
 本明細書中に記載するようなポリメラーゼ連鎖反応を、表4 中に列記する領域に対応するトロンボモジュリンの追加の断片を単離するために、それと同一なやり方で使用した。特に、これらの領域は、1 以上のEGF-様ドメイン及びO-結合糖添加ドメインを包含する。所望の領域を作るために選ばれたプライマーの配列を表3 中に示す。
3. トロンボモジュリン・アナログ遺伝子を含むプラスミドのクローニング
 先の(i) に記載したポリメラーゼ連鎖反応混合物の残りを、BamHI により制限酵素処理し、5%ポリアクリルアミド・ゲル上で分離し、そして700 塩基対のバンドを切除し、そして溶出させた。それを、BamHI により制限酵素処理されたpUC19 に連結し、そして新たなプラスミドを、大腸菌(E.coli) DH5- α株内に形質転換させた。組換え体コロニーを、アンピシリン及び5-ブロモ-4- クロロ-3- インドールイル- β-D- ガラクトシドを含む培地上で選択した。白色のコロニーを、格子上に拾い上げ、そしてランダム・プライミングによる32P による標識(Boehringer Mannheim) による標識付けの前にEcoRI 及びHindIII によりクローニング・プラスミド(pTM2.1)から切り出されたトロンボモジュリンのaa 283-352に対応する合成により得られた遺伝子と、Grunstein-Hogness 技術により、ハイブリダイズされた。
 X-線フィルムにそのフィルターを露出させた後に、pTM2.1プローブとハイブリダイズした1 つのコロニーを、選択し、そして培養物を増殖させた。DNA を、抽出し、そして正しい制限マップにより挿入の存在を確認するために、BamHI 又はBglII のいずれかにより制限酵素処理するおとにより分析した。また、切除された挿入物を、ニトロセルロースに転移させ、そして標識されたpTM2.1とのハイブリダイゼーションにより分析した。両方の方法は、この700 塩基対の挿入物がトロンボモジュリンの第6 EGF-様ドメインのためのコーディング配列を含むことを、確かなものとした。この挿入物を、突然変異がPCR 手順の間にうっかりと導入されていないことを確認するために、配列決定した。所望の遺伝子断片を含むプラスミドを、pUC19pcrTM7 と名付けた。
B. TMの発現
1. AcNPV 伝達ベクターの構築
 以下に記載する伝達ベクターは、米国逐次番号第07/345,372号の継続である同時係属出願米国逐次番号07/812,892号中にも記載されている。この伝達ベクターは、ヒポダーマ・リネアタム(Hypoderma lineatum)からのヒポダーミンA (Hypodermin A)のシグナル配列を含む。
i. pHY1及びpSC716
 ヒポダーミンA シグナル配列、翻訳開始コドン、BglII クローニング部位、BamHI 5'オーバーハング及びKpnl 3' オーバーハング、COD#1198及びCOD#1199( 表2 を参照のこと。) を含むオリゴマーを、アニールし、そしてpSC654、すなわちpUC19 誘導体内にクローン化合物し、pHY1を作った。プラスミドpHY1を、BamHI 及びEcoRI により制限酵素処理し、ヒポダーミンA シグナル配列を解放した。この配列を、次にpSC714と連結し、ベクターpSC716を作った。プラスミドpSC714は、Summers, et al. から得られたpVL1393 の誘導体である。この2 つの間の差異は、pSC714内でBalII 部位の中の1 つが破壊されているということだけである。
ii. pHY101 の構築
 pUC19pcrTM7(上記Aiiiを参照のこと。) からのBamHI 断片を。pHY1のBalII 部位内にクローン化し、そしてその方向を、ヒポダーミンA シグナル配列がアミノ酸227 に隣接するように選んだ。このプラスミドが、pHY101である。
iii. AcNPV 伝達ベクターpTMHY101の構築
 プラスミドpHY101を、TMアナログ・コーディング配列に連結されたヒポダーミンA シグナル配列を解放するBamHI/EcoRI により処理した。シャトル・ベクターpVL1393 は、部分的に欠失したAcNPV 多角体遺伝子及びユニークBamHI 及びEcoRI クローニング部位を含む。pHY101からのBamHI/EcoRI 断片を、この多角体プロモーターの下流に挿入し、これによりプラスミドpTMHY101を作った。ここでは、ハイブリッド遺伝子が多角体プロモーターの制御下にあった。
iv.  他のACNPV 伝達ベクターの構築
 他のTMアナログ遺伝子配列を含む伝達ベクターを、先に概説したものと類似の戦略を使用して構築した。先に記載したクローニング・プラスミドからの断片を、そのTMアナログ遺伝子配列がヒポダーミンA シグナル配列と融合さてるように、フレーム内でpSC716内にクローン化した。このTM遺伝子配列を、表4 中に列記する。
V. 純粋なファージ株の製造
 細胞トランスフェクションを、Summers and Smith に従って昆虫細胞のために変更されたリン酸カルシウム沈降を使用して行った。簡単に言えば、T25 フラスコを、2 x 106 Sf9 細胞により接種し、そしてその細胞を、室温において1 時間、付着に供した。2 μg の伝達ベクター、例えば、pTHR28、及び1 μg のAcNPV DNA を、リン酸カルシウム中で共沈させ、そしてその細胞と共に4 時間インキュベートした。この細胞を、増殖培地で濯ぎ、そして再飼養し、次に、28℃のインキュベーター内に3-4 日間置いた。このインキュベーションの間に、その細胞は、その増殖培地中に蓄積する、組換え体及び非組換え体ウイルスの両方を生産する。混合ウイルス株を含むこの培地を、プロテインC 補因子活性の存在について検定した。
 組換え体ウイルスを、プラーク検定により検出した。トランスフェクション株を、希釈し(10 -4、10-5、及び10-6) 、そしてトランスフェクション4-7 日後にプレーティングした。閉塞陰性( 組換え体) プラークを、プレーティング7 日後に拾い上げ、そして再プレーティングした(10 -1、10-2、及び10-3希釈) 。さらに7 日後、このプレートは、100%の純粋な閉塞陰性組換え体プラークを示した。それぞれからの単一pfu を、製造のために選んだ。高い力価のウイルス株を、4-5 日間増殖させた単一pfu により5ml のSf9 細胞(Excell 400 培地(JR Scientific) 中1 x 10 6 /ml) を感染させることにより、増殖させた。次に、この株の一部を、タンパク質株を作るために対数期中間まで増殖したSf9 細胞中に1:50〜1:100 に希釈した。
2. 哺乳類細胞におけるヒトTMアナログの製造
i. TMアナログのための哺乳類発現ベクター
 本実施例は、実施例1 、A のアナログ遺伝子を含んで成る哺乳類発現ベクターを提供する。遺伝子を、ヒト組織プラスミノーゲン活性物質のシグナル配列に作用可能な状態で結合することができる( 表2 を参照のこと。) 。発現プラスミド、pPA124は、クローン化遺伝子の発現のためのHarvey Sarcomaウイルス由来のロング・ターミナル・リピートの3 つのコピー内に含まれるプロモーターを含む。このプラスミドは、その両方が1988年9 月29日に出願された同時係属中の米国逐次番号第251,159 号( これを、引用により本明細書中に取り込む。) 中に詳細に記載されている、pPA119、及びpSC672から得られた。SV40ポリアデニレーション領域を含むBalII-BclI断片を、pSC672から単離した。この断片を、BglII 及びBclIにより消化されたpPA119内にクローン化した。得られたプラスミド、pPA124内では、BglII 及びBclI部位の両方が無傷で残った。プラスミドpPA124は、適当な制限部位に隣接したt-PAシグナル配列を含み、そしてこのシグナル配列は、また、ヒトt-PA遺伝子の第二イントロンを含む。
 可溶性TMアナログをエンコードしている遺伝子を、BamHI による処理によりpUC19pcrTM7 から除去し、そしてBglII により処理されたpPA124に連結した。形質転換細胞を、正しい方向における挿入物の存在についてスクリーニングした。すなわち、そこでは、t-PAシグナル配列がオープン・リーディング・フレームをエンコードしているトロンボモジュリン挿入物の5'末端に結合している。このプラスミド、pTM101を、次に、ClaIにより消化し、そしてSV40プロモーターの制御下のdhfr遺伝子を含むClaI断片に連結した。このClaI断片は、WO88/02411のページ26中に記載されている。形質転換細胞を、このdhfrカセットの存在についてスクリーニングし、そして次に、そのプラスミドに関しての方向を、制限マップ作成により決定した(pTM103)。
 トロンボモジュリン配列に対し基準外方向にあるdhfr配列を含むプラスミドpTM103を、BclIにより処理した。BamHI 断片上にハイグロマイシン耐性を提供する遺伝子をエンコードしているDNA 断片を、このプラスミドに連結した。クローンを、大腸菌(E.coli)株DH5 α内に形質転換させた後、アンピシリン及びハイグロマイシンB の両方を含むプレート上での増殖のそれらの能力により、選択した。そのプラスミドに関してのハイグロマイシンB 遺伝子の方向を、制限マップ作成により決定した。ハイグロマイシンB 遺伝子がTM遺伝子と反対の方向にある1 つのプラスミドpTM108を、培養において増殖させた。このプラスミドは、3 つのLTR プロモーターの制御下のTMアナログをエンコードしている配列をもち、ハイグロマイシンB 耐性を与える遺伝子とそのプラスミド上に存在するdhfrをエンコードしている遺伝子との両方をもつ。類似の発現プラスミド、pTHR13も、また、サイトメガロウイルス・プロモーターの制御下の第6 EGF -様ドメインをエンコードしている配列に作用可能な状態で結合されたt-PAシグナル配列を含む。それらのプラスミドは、それを、以下に記載する部位指定のインビトロにおける突然変異誘発に有用であるようにする、M13 の複製起点を含む。このトロンボモジュリン配列は、組織プラスミノーゲン活性物質シグナル配列に結合し、その分泌を確かなものにする。両方のこれらのプラスミド、4t/227-462により作られたTMアナログは、t-PAシグナル・ペプチドのプロセシングの結果であるN-末端上の追加の4 アミノ酸をもつトロンボモジュリンの第6 EGF-様ドメインから構成される。
ii.  安定な哺乳類クローンのトランスフェクション、選択及び増幅
 トランスフェクションのために、10μg のpTM108を、リポフェクション試薬(Bethesda Research Laboratories)と混合し、そして6 ウェル内の105 CHL-1 宿主細胞の単層に添加した。トランスフェクションの48時間後に、既知数の細胞を、選択培地上にプレートした。ハイグロマイシンB に対する耐性を、選択マーカーとして使用した。バクテリアのハイグロマイシンB によりトランスフェクトされたCHL-1 細胞は、0.3mg/mlのハイグロマイシンB 中で生存増殖することができる。
 トランスフェクション又は選択頻度は、2/103 であり、そしてプレートされた細胞の全数により割った選択後に生じたコロニーの数として測定した。この培養上澄液は、細胞との接触において24時間後に1.5U/ml TM活性を含むことが示された。
 第一選択条件に対し耐性の細胞の集団を、次に、第二ラウンドの選択圧に供した。100nM 又は500nM のいずれかのメトトレキサート(MTX) を、dhfr遺伝子を発現したトランスフェクト体を選択するためにその増殖培地に添加した。このdhfr遺伝子を増幅したコロニーだけが、この高いレベルのMTX 中で増殖することができるであろう。遺伝子増幅の工程において、他のプラスミド配列は、dhfr遺伝子と同時増幅され、そしてそれ故、同様な非選択性遺伝子の増加した遺伝子発現を導くであろう。耐性コロニーは、5 〜6 週間後に明らかであった。MTX のこれらのレベルに耐性な個々のコロニーを、単離し、そして検定した。100nM MTX 中の選択後の培養物は、プロテインC 活性化活性1ml 当たり4.9 〜14.7 Uを作り出すことが示された( 以下を参照のこと。) 。プールした集団を、MTX の10倍高い濃度中にプレートした(1μM 又は5 μM)。クローンをこの選択から再び回収し、そして検定した。それぞれの段階において、クローンは、TMアナログを生産し、そしてその培養基中にそれを分泌することが示された。
C. 部位指定突然変異誘発
 生来のトロンボモジュリンの第6 EGF-様ドメイン領域は、2 つのメチオニン残基、すなわち、291 位における1 及び388 位における1 をもつ( 表1 を参照のこと。) 。部位指定のインビトロにおける突然変異誘発を、これらのメチオニンのいずれか又は両方を他のアミノ酸に変換するために使用した。部位指定突然変異誘発は、一本鎖テンプレートDNA のヌクレオチド配列を特異的に変更するために、所望のヌクレオチドの置換、挿入、又は欠失を含む合成DNA 配列を、使用する。この合成DNA のテンプレートへのハイブリダイゼーション及びその後のプライマー伸長は、所望の突然変異を産生するための細胞形質転換を可能にする異種2 本鎖DNA を作り出す。この工程を表すダイアグラムは、米国特許出願逐次番号第07/568,456号の図1 中に示されている。
 類似の方法を、可能性のあるプロテアーゼ感受性領域を除去し、糖添加部位を修飾し、そして所望のTMアナログのアミノ酸カルボキシ末端を修飾するために、使用することができる。
 一本鎖DNA コピー、pTHR14を作るためのプラスミドを、AseI-ScaI 断片上に含まれるF1の複製起点を昆虫細胞伝達ベクター、pTMHY101であって先にNdeI及びScaIにより消化されているものと連結させることにより、構築した。プラスミドpTMHY101は、トロンボモジュリンの第6 EGF-様ドメイン、すなわち、アミノ酸227-462 に対応するペプチドを作り出す遺伝子配列を含み、そして先に記載されている。pTMHY101は、同時係属出願米国逐次番号第345,372 号並びに先のB (1) (iii) 中に記載されている。レクチン・ドメイン、6 EGF 、及びO-結合ドメインを含む類似のベクターを、1 つの好ましい態様をエンコードしているpTHR525 を突然変異させ、そしてこれを構築するために使用した。
 特異的な突然変異性オリゴヌクレオチド・プライマーを、合成し、そしてMUTATOR TM-DNA Polymerase III Site-directed Mutagenesis Kit (Catalogue #200500, Stratagene, La Jolla, CA) と共に使用した。但し、とくにことわらないかぎり、第二鎖合成をプライムし、そして非酸化性アミノ酸に変更されたメチオニンの1 又は両方のいずれかをもつトロンボモジュリン・アナログ遺伝子を作り出した。好ましいアミノ酸、ロイシン、グルタミン又はアラニンへのプライマー指定変換を、表5 中に示す。これらのプライマー内には、成功した突然変異誘発についての診断として有用なユニーク制限酵素部位を添加するが必ずしも対応するアミノ酸配列を変更しないヌクレオチド配列内の置換が、含まれる。このヌクレオチド置換を、表5 中に示すプライマーにおいて下線を引いた。例えば、プラスミドpTHR28内では、生来のトロンボモジュリン・タンパク質内の388 位におけるメチオニンがロイシンにより置換され、そしてその工程において、ユニークPvuII 部位が導入された。他の置換非酸化性アミノ酸が本発明の本態様において等しく有用であろうことが理解されよう。
 精製された一本鎖DNA テンプレートを、Bio-Rad(Muta-Gene Phagemid in vitro Mutagenesis, Instruction Manual, Cat. no. 170-3576, page 33-34) により記載されている手順を使用して調製した。但し、本分野において知られた他の手順が等しく好適であろう。
 それぞれの突然変異原性プライマーの5'末端を、アニーリング・バッファー(20mM Tris-HCl pH 7.5, 8mM MgCl 2 , 及び40mM NaCl)中に、2mM rATP、0.4 U/μl ポリヌクレオチドを含む溶液中で、0.5 ng/ μl のプライマーを、37℃において30分間、インキュベートすることにより、リン酸化した。この反応を、65℃において15分間その混合物をインキュベートすることにより、熱不活性化した。リン酸化は、首尾良い突然変異の割合を増加させる。このリン酸化プライマーを、25μl のアニーリング・バッファー中で100ng のテンプレート及び2.5ng のプライマーを65℃まで5 分間加熱し、次にその混合物を室温において10分間冷却及びアニールさせることにより、一本鎖テンプレートに、アニールした。2本鎖DNA を、Tsurushit, N., et al., (1988) Gene 62:135-139及びO'Donnell, M.E., et al., (1985) J. Biol. Chem. 260:12875-12883により本質的に記載されているようにプライマー伸長により行った。簡単に言えば、テンプレート/ プライマー混合物を、10% アニーリング・バッファー加え80μg/mlウシ血清アルブミン、2.5mM ジチオトレイトール、0.25mM混合dNTPs 、2mM rATP及び1%グリセロール加え1 μg の一本鎖DNA 結合タンパク質により希釈(1:1) した。この反応物を、その結合タンパク質が一本鎖DNA テンプレートをコートすることができるように室温において5 分間インキュベートした。DNA ポリメラーゼIII ホロ酵素( 大腸菌(E.coli)、1.7 μl の50 U溶液) を添加し、そしてその反応物を、30℃において10分間インキュベートした。T4 DNAリガーゼを添加し(0.5μl 、2 weiss units)、そしてその反応物を、さらに30℃において5 分間インキュベートした。この混合物を、大腸菌を形質転換するために使用し、そして適当に突然変異したクローンを制限消化パターンにより選択した。
 これと同一の方法を、例えば、一本鎖DNA テンプレートを作るためのM13 複製起点をもつpTR13(先に記載した) を使用して哺乳類細胞内で発現されることができる突然変異体を作るために、使用することができる。
D. 組換え体タンパク質の製造及び精製
 T25 フラスコを、5ml TMN-FH培地加え10%EBS又はExcell 400中のSf9 細胞を2 x 106 の密度において接種し、次に先のパートB 又はC からの単離組換え体プラークにより感染させた。ウイルス株を、3 日後に回収した、フラスコ(30-100ml 振とうフラスコ又は100-300 ml回転フラスコ) を、細胞(1-1.8 x 10 6 /ml)により接種し、そして最終容量の1/50〜1/100 に等しいウイルス株のアリコットにより感染させた。この感染細胞培養物を、組換え体酸化耐性TMアナログ・タンパク質を含むならし培地を収穫する前に4 日間増殖させた。
 TMアナログを、細胞死骸の除去、その後の5 つのクロマトグラフィー段階: 1)Q Sepharose 、2)トロンビン・アフィニティー、3)ゲル濾過、4)アニオン交換、及び5)第二ゲル濾過段階により、ならし培地から精製した。このゲル濾過段階は、バッファーの交換を行う。すべてのクロマトグラフィーを4 ℃において行った。
1. 材料
 クロマトグラフィー樹脂の幾つかを、商業源から購入した。Q Sepharose 及びSephadex G25を、Sigma(St. Louis, MO)から、Mono Q 5/5(商標)をPharmacia LKB (Piscataway, NJ)から購入した。
 DFP-トロンビン・アガロースを、だいたい以下のように調製した:100ml の20mMリン酸Na、pH 7.5中の360mg のウシ・トロンビンを100ml の50% Affigel 10樹脂スラリーに添加し、そして4 ℃において一夜混合した。このAffigel 10を、製造者により記載されたようなに使用のために調製し、そして充填バッファーにより平衡化した。残りの活性エステルを、100ml の0.1 M グリシン・メチルエステル(pH 5.6)の添加により、1 時間、4 ℃においてブロックした。次に、このゲルを、30mM Tris-HCl 、2M NaCl 、pH 7.5により平衡化し、そして20μl のDFP を添加し、約1mM DFP の最終濃度を与えた。4 ℃において16時間混合した後、さらに6 μl のDFP を添加し、そしてさらに4 時間混合を続けた。この樹脂を次に20mM Tris-HCl 、2M NaCl pH 7.5により洗浄し、4 ℃において保管した。
 トロンビン活性は、Kabi S-2238 基質を使用して測定され、そして>86%のトロンビンがその溶液から除去され、そしておそらくその樹脂に結合し、樹脂1ml 当たり約6mg のトロンビンの最終濃度を与えることを示した。このDFP 処理樹脂の酵素活性は、出発活性の<1% であった。
2. 純粋なTM E アナログ・ペプチドの製造
 ならし培地を収穫し、そして1400 x gにおいて10分間遠心分離により清澄化した。このpHを氷酢酸により約6.0 から約5.2 まで調整した。次にこの調整培地を、Q Sepharose 樹脂のカラム上に供給した。このカラムは、前もって洗浄バッファー1(117mM 酢酸Na、0.02% NaN 3 pH 5.0) の約4 カラム容量により平衡化してあった。供給後、このカラムを、洗浄バッファー1 その後洗浄バッファー2(25mM酢酸Na、0.1M NaCl pH 5.0) により洗浄し、次に酸化耐性TMアナログを、0.3M NaCl を含む洗浄バッファー2 、pH 5.0により溶出させた。
 プロテインC 活性化検定( 上記参照) において測定されるような活性を含むカラム画分をプールし、次に0.3M NaCl 、20mM Tris-HCl、0.5mM CaCl2 、0.02% NaN 3 、pH 7.5により希釈した。この希釈物のpHを測定し、そしてNaOHにより約7.5 に調整した。このプールのイオン強度は、ほとんど0.3M NaCl の溶液のイオン強度であった。この調整プールを、ならし培地を希釈するために使用したものと同一のバッファーにより前平衡化されたトロンビン・アガロース・カラム上に重力により一夜供給した。このカラムを希釈バッファーにより洗浄し、そしてTMアナログを2.0M NaCl 、20mM Tris-HCl 、1mM NaEDTA、0.02% NaN 3 、pH 7.5によりそのマトリックスから除去した。
 実質的に純粋なTMアナログを、Sephadex G25カラムに適用し、そして0.2% N- エチルモルフォリン・アセテート(NEM) pH 7.0中に回収した。この段階をNaClを除去する。
 Sephadex G25カラムから回収されたTMアナログを、0.2% N- エチルモルフォリン(NEM) pH 7.0により前平衡化されたMono Qカラム(Pharmacia、10ミクロン粒子、第四アミン) に適用した。このバッファーにより洗浄した後、様々な形態を0 〜0.4M NaCl のグラジエントを使用して分離した。それぞれの画分のサンプルを、非還元条件下SDS-PAGE上で評価した。SDS Polyacrylamide Gel Electrophor-esisを、スタッキング・ゲル内における3.3%アクリルアミド及びランニング・ゲル内における12.5% アクリルアミドを使用してLaemmli の方法により行った。非還元サンプルを、Laemmli サンプル可溶化バッファー(50mM Tris-HCl、pH 6.8、25% グリセロール、2% SDS、及び0.01% ブロモフェノール・ブルー) 中で希釈した。PharmaciaLMW Calibration Kit タンパク質標準を、MWマーカーとして使用し、そしてそのゲルを銀染色した。幾つかの画分において、たった1 つの主要なバンドが銀染色により可視化される。
 類似の易動度をもつペプチドを含む画分をプールし、そして次に全タンパク質含量について及び以下に記載するようなプロテインC 活性化検定における活性について検定した。
E. トロンボモジュリン・アナログについての検定
1. 材料
 ウサギ・トロンボモジュリン、ヒルジン及びヒト・プロテインC を、Integrated Genentics又はAmerican Diagnosticaから得た。ヒト・トロンビンは、様々な非商業的及び商業的な源から入手可能である。アフィニティー・クロマトグラフィーのためのウシ・トロンビンを、Miles Labs, Dallas, Texas から購入した。D-バリール-L- ロイシン-L- アルギニン-p- ニトロアニリド(S-2266)及びD-Phe-Pip-Arg-p-ニトロアニリド(S-2238)をKabi Vitrum から購入した。
 ウシ血清アルブミン( 画分V)、クエン酸化ヒト血漿、及びAPTT試薬を、Sigma Chemicals から購入した。マイクロタイター・プレートは、Dynatech(#25861-96) により供給された。他の試薬のすべては、入手可能な最も高いグレードを有していた。
2. 方法及び結果
i. プロテインC 活性化検定( 発色)
 本検定を、マイクロタイター・プレート内で20μl 以下のそれぞれのタンパク質を混合することにより行った: トロンボモジュリン・サンプル( 未知又は標準) 、トロンビン(3nM) 、及びプロテインC (1.5μM)。それぞれのタンパク質についての検定希釈物は、20mM Tris-HCl、0.1M NaCl 、2.5mM CaCl2 、5mg/ml BSA、pH 7.4であった。このウェルを37℃において2 時間までインキュベートし、その後、プロテインC 活性化を、検定希釈物中の20μl のヒルジン(0.16 ユニット/ μl 、570 nM) の添加及びさらなる10分間のインキュベーションにより、終了させた。
 形成された活性化プロテインC の量を、100 μl の1.0 mM S-2266( 検定希釈物中) の添加、及び37℃におけるプレートのインキュベート継続により検出した。それぞれのウェル内の405 nmにおける吸光度をMolecular Devices プレート・リーダーを使用して15分間にわたり10秒間毎に読んだ。吸光度データを保存し、そしてそれぞれのウェルにおける1 分間当たりの吸光度における変化( 傾き) を計算した。1 分間当たりの吸光度における変化は、活性化プロテインC のp モル/ml に正比例する。
 この比を、全体として活性化されたプロテインC の変化した濃度を経験的に使用して、測定した。十分に活性化されたプロテインC を含むサンプルを0 〜1.5 μM においてプロテインC を60nMウサギTM及び30nMトロンビンと混合し、0 〜4 時間インキュベートし、ヒルジンを添加し、そして上記の如くS2266 活性を測定することにより、作った。プロテインC が十分に活性化されているところの条件を、S2266 活性(A405/分) がプラトーに達するところの時間として定義した。
 活性のユニットは、先に定義した試薬条件下でml/ 分当たりに生じる1 モルの活性化プロテインC として定義される。あるいは、活性値は、生来の洗剤可溶化ウサギ・トロンボモジュリン又は他のトロンボモジュリン標準と比較して報告される。
ii.  オキシダントへ晒した後のプロテインC 補因子活性
 クロラミン-T(N- クロロ-p- トルエンスルホンアミド・ナトリウム塩、Sigma)を、オキシダントに対する突然変異TMアナログ・ペプチドの耐性を特異的にテストするために使用した。突然変異体TM遺伝子配列又はpTMHY101( 野性型、aa 227-462) によりエンコードされているペプチドを含むトランスフェクション培養上澄液(1ml) を、NAP-10カラム(LKB/Pharmacia) 上の1.5ml の0.2% N- エチルモルフォリン(NEM) 、pH 7.0、0.008% Tween 80 中で脱塩し、そして次に凍結乾燥し、そして100 μl の上記バッファー中で再懸濁させた。このサンプルを、等しく分割し、そして5 μl の水( 対照) 又は5 μl の0.1 M クロラミン-T( 最終濃度=9.1 mM)のいずれかを添加した。このサンプルを、室温において20分間インキュベートし、次に、オキシダントのいずれをも除去するためにNAP-5 カラム上を通過させた。使用した脱塩バッファーは、プロテインC 検定希釈剤であった。突然変異体ペプチドは、クロラミン-Tに晒された後その活性の全てを保持し、一方、野性型ペプチドは、実質的に不活性化された。
iii. 活性化部分的トロンボプラスチン時間(APTT)の阻害
 クエン酸化血漿からの血塊の形成は、エラグ酸中の脳ケファリン("ATPP試薬")、及びカルシウム・イオンの添加により、引き金を引かれる。血塊が形成するのに必要な時間は、再現性があり。そしてトロンボモジュリンの添加により正比例して増加する。このAPTTのための試薬を、混合前37℃においてインキュベートする。但し、クエン酸化血漿を4 ℃において維持する。
 反応を以下のように行った: 100 μl のSigma Citrated Plasmaを、プラスチック・キュベット(Sarstedt #67.742)に添加し、37℃において1 分間インキュベートし; 100 μl のSigma APTT試薬を添加し、そしてその混合物を37℃において2 分間インキュベートし; 100 μl のテスト・サンプル( 又は対照バッファー) 及び100 μlの25 mM CaCl2 を添加し、そしてそのキュベットを、読みの間37℃においてそのキュベットを維持するためにHaake KT2 循環水浴を備えたHewlett-Packard 8451A 分光光度計内に直ちに置いた。320nmにおける光散乱による吸光度をCaCl2 の添加から計測した15から120秒間まで、0.5 秒間毎に測定した。吸光度対時間のプロットは、その傾きが最も急になる時間として定義した血塊化時間がその曲線の変曲点と一致しながらシグモイド曲線を作り出した。
 生体外(ex vivo) にけるAPTT検定を先に記載したようなやり方で行った。但し、インビボにおける実験において使用した動物からのクエン酸化血漿を、商業的に得られるクエン酸化血漿の代わりに使用した。
 あるいは、APC 又はTCT を記載するように行うことができる。
iv.  トロンビン血塊化時間(TCT) 及びプロトロンビン反応(PT)の阻害
 PCT 及びTCT の両方を、Hewlett-Packard 8452A ダイオード- アレイ(diode-array) 分光光度又はAPTTのために使用された等価物を使用して測定する。PT反応のために、90μl の、TMアナログ6h/227-462又はPBS のいずれかをキュベット内の20μl のトロンボプラスチン及び90μl の25mM CaCl 2 に添加した。この混合物を、37℃において1 分間インキュベートし、次に100 μl のクエン酸化血漿を添加した。キュベットを分光光度計内に装填した後、320nm における光散乱による吸光度を、血漿の添加から計測した15から120 秒間まで、0.5 秒間毎に測定した。吸光度対時間のプロットは、その傾きが最も急になる時間として定義した血塊化時間がその曲線の変曲点と一致しながらシグモイド曲線を作り出した。TCT を、上記と同じやり方で評価した。最初の反応混合物は、100 μl のクエン酸化血漿、25μl の100mM CaCl2 及び162.5 μl のPBS 又はTMアナログのいずれかを含む。1 分後、12.5μl のトロンビンを添加する。この血塊化時間を先に記載したように測定する。
v. 直接的抗血液凝固活性- フィブリノーゲンからフィブリンへのトロンビン触媒変換の阻害
 トロンビン及び変化量のTMアナログ6h/227-462を、マイクロタイター・プレート・ウェル内で37℃において2 分間インキュベートした。開始反応容量の全体は、50μl PBS 加えて7.5 mM CaCl 2 、及び90 nM トロンビンであった。最初のインキュベーションの後、100 μl の3.75 mg/mlのヒト・フィブリノーゲンをウェル毎に添加し、そしてフィブリンのトロンビン誘導形成を、Molecular Devices Vmax分光光度計(Molecular Devices, Menlo Park, CA) 内で405 nmでの吸光度における変化を測定することにより追跡した。この検定の終点は、最終的な吸光度の50% が達成さるところの時間であった。残りのトロンビン活性を、トロンビン濃度の逆数と血塊化時間とを線型に関係付けるトロンビンの標準曲線を参照することにより測定した。洗剤可溶化生来ウサギ・トロンボモジュリン及びプロテインC 補因子活性により測定されるような等しい活性を示すTMアナログ6h/227-462の量を、直接的抗血液凝固活性検定において比較するとき、TMアナログは、フィブリノーゲンのフィブリンへのトロンビン- 仲介変換を阻害するかなり減少された能力( 約1/10) を示す。
vi.  血小板活性化及び凝集の阻害
 血小板のトロンビン活性化の対するTMアナログ6h/227-462の効果を、Esmon, et al., (1983) J. Biol. Chem. 258:12238-12242の方法によりテストした。この検定を使用して評価するとき、TMアナログ6h/227-462は、血小板のトロンビン- 仲介の活性化及び凝集を有意に阻害しなかった。
viii. TM 抗血栓活性の追加の測定
 1)トロンビンにより因子V の活性化のTMアナログ阻害を、Esmon,et al., J. Biol. Chem., (1982), 257:7944-7947 により記載されている方法により測定する。
 2)アンチトロンビンIII 及びヘパリン補因子IIによるTMアナログ・トロンビン複合体の阻害を、Jakubowski et al. (1986), 前記により記載されるように測定する。
 3)トロンビンによるプロテインS の不活性化のTMアナログ阻害を、Thompson & Salem, J. Clin. Invest. (1986) 78(1):13-17 により記載されている方法により測定する。
 4)因子XIIIのトロンビン- 仲介活性化の阻害を、Polgar, et al., (1987) Thromb. Haemostas. 58:140 の方法により測定する。
実施例2: 深部静脈血栓のげっ歯類モデルにおけるTMアナログのインビボにおける活性
 血栓の形成を排除するTMアナログの能力を、ラットにおける修飾した血行停止/ 内皮損傷- 誘導静脈血栓モデルにおいて評価した(Maggi, A. et al., (1987) Haemostasis 17:329-335又はPescador, R. et al., (1989) Thrombosis Reseach 53:197-201 を参照のこと。)。 麻酔した雄のSprague Dawleyラット(450グラム) の大静脈(vena cava) を外科手術により単離し、次にその動物を、トロンボモジュリン・アナログ( 生来のトロンボモジュリンの第6 EGF-様ドメインを含む6h/227-462) 、標準的なヘパリン又は対照としての正常な生理食塩水(0.1ml/ ラット) をその大腿動脈中にボーラス注射することにより処理した。ヘパリンの投与量は、45ユニット/ ラットであった。トロンボモジュリン・アナログの投与量は、100 、10、1 、0.1 又は0.01μg/ラットであった。注射2 分後に、下大静脈を、左の腎静脈において連結し、血行停止を誘導し、そして血管内皮を、ピンセットにより優しくはさむことにより損傷を与えた。10分後、大静脈を切除し、そして血栓の存在について検査し、存在する場合には、取り出し、そして計量した。すべての場合において、100 、10、又は1 μg/ラットにおいてヘパリン又はトロンボモジュリン・アナログ(6h/227-462)により処理された動物は、血栓形成の証拠を全くしめさなかったが、一方、生理食塩水処理された動物及び最も低い投与量のトロンボモジュリン・アナログ(0.01 μg)を受けたものは、14.9mg/ 血栓の平均重量をもつ血栓をもっていた。0.1 μg のトロンボモジュリン・アナログにより処理されたラットは、取り出し且つ計量される程十分に多くない微量の血栓を示した。
 本研究において使用した投与量レンジは、1 μg/mlのトロンボモジュリン・アナログがAPTTを延長する程十分ではないが10μg/mlの添加がかなりの延長をもたらすようなインビトロにおけるAPTT検定に基づいて選ばれた。処理されたラットのそれぞれから取り出された血漿サンプルに対して行われたAPTT検定の結果は、TMアナログ処理及び対照のラットにおける延長(100μg TMアナログ = 45 秒間、他のすべての投与量のTMアナログ及び生理食塩水対照 = 30-35秒間)を、全く示さなかった。しかしながら、ヘパリン処理ラットにおけるAPTTは、かなり延長された(100秒間) 。
 この実験系は、血管損傷及び減少された血流を特徴とするヒトにおける深部静脈血栓のための直接的に比較可能なモデルである。先に記載した結果は、プロテインC のトロンビン- 仲介活性化の補因子として作用することができるTMアナログの非常に低い投与量が、未だ、血栓形成の防止において有効なフィブリンへのフィブリノーゲンのトロンビン- 仲介変換を阻害するための実質的に減少れた能力をもつということを、証明している。そのうえ、生体外において測定されたAPTTにおける延長の非存在は、このTMアナログが血液凝固パラメーターに対する全身的な効果を全くもっておらず、そしてそれ故に、不安全な出血副作用を促進しないであろうということを示している。
実施例3: 静脈及び動脈の両方の血栓の霊長類モデルにおけるTMアナログのインビボにおける活性
 トロンボモジュリン・アナログの抗血栓の性質を、Hanson S.R. and Harker, L.A. (1987) Thrombosis and Haemostasis 58:801-805中に記載されているような、Cadroy, Y. et al., (1989) Journal of Laboratory and Clinical Medicine 113:436-448 の方法の僅かな修正を使用してヒヒにおける動脈と静脈とのシャント(arteriove-nous shunt) モデルにおいて評価した。このモデルは、ヒヒとヒトとの間の止血の類似性のため及び動脈と静脈とのシャントが動脈型と静脈型血栓との両方についてのモデルとして役立つために、選ばれた。
 ダクロン・チュービング( 直径3.2mm)の片その後テフロン・チャンバー( 直径9.3mm)により修飾されたシラスチック・チュービング・シャントを、血液がそのシャントを通って動脈から流れ出し、そして大腿静脈を介してヒヒに戻るように、ヒヒの大腿静脈中に、挿入した( 米国特許出願逐次番号第07/568,456号の図2 を参照のこと。)。ダクロン・チュービングは、天然の血液凝固過程、及び特に移植片表面上の血小板の沈着を刺激する血栓形成表面を提供し、そして動脈の、すなわち、血小板の豊富な、フィブリンにより一緒に取り込まれた血栓の生成についてのモデルとして役立つ。上記チャンバーは、血液の流れの速度が減少される場合に、静脈内に見られるものと類似の血行停止状態を作り出し、そして特に、静脈弁の周りの領域を真似て、それ故、深部静脈血栓をもたらすものと類似の流れ条件のモデルを作っている。このチャンバー内で形成された血栓は、静脈型で、フィブリン豊富な血栓である。また、静脈型血栓は、血小板を含むが、動脈型血栓よりも少ない。ダルコン移植片又はチャンバーのいずれかの内の血栓形成は、血小板沈着及びフィブリン付着成長(accretion) の両方を測定することにより評価される。血小板沈着を、ヒヒから血小板を取り出し、Cadroy, Y., et al., (1989) Journal of Clinical and Laboratory Medicine 113(4):436-448 の方法を使用してその血小板を111 インジウム- オキシンにより放射標識し、そして次にそれらをその動物に戻すことにより、測定する。シンチレーション・カメラ、例えば、Picker DC 4/11 Dynaシンチレーション・カメラ(Picker Corp., Northford, Conn.)を、Cadroy, Y., et al., 前記中に記載されているような血栓の一部として沈着している血小板からの放射能の量を直接に測定するためにその移植片の上に置いた。血栓形成の第二の測定として、5 μCi投与量の125 I-標識されたヒヒ・フィブリノーゲンを、上記シャントの挿入に先立って静脈内に与える。この実験の終わりに、そのシャントを取り外し、洗浄し、そして111 インジウム放射能( 半減期、2.8 日間) を壊変させるために30日間保管する。111 インジウムは125 インジウムよりもかなり速く壊変するため、そのシャント内に残る検出可能な放射能は、血栓の一部として沈着したフィブリンの量を表している。全フィブリン沈着を、TCT 検定により測定されるようなヒヒ血液中に存在する血塊化可能なフィブリノーゲンの量により、沈着した1 分間当たりの上記カウントを割ることにより、計算する。このシリーズ内の第一シャントは、第二シャントの対照として役立つ。
 シリーズ内の2 つのシャントを、ヒヒに挿入し、そしてTMアナログ(6h/227-462 、表4 を参照のこと。) を、1 時間にわたり7 又は8mg/時間の速度においてその2 つのシャントの間の点において注入した。米国特許出願逐次番号第07/568,456号の図3 中に見られることができるように、血小板は、対照シャント内の上記チャンバーとダルコン移植片との両方の内に沈着したが、血小板の沈着は、TMアナログの第二シャント中への注入の後にかなり減少された。
 これらの実験は、トロンビン- 仲介のプロテインC 活性化のための補因子として作用する能力をもち、そしてフィブリノーゲンのフィブリンへのトロンビン- 仲介変換並びに血小板のトロンビン- 仲介活性化及び凝集を阻害するかなり減少された能力をもつTMアナログが、インビボ・モデルにおける動脈型又は静脈型のいずれかの血栓の形成を、防止することができるということを、証明している。このようなTMアナログは、それ故、動脈に又は静脈に局在化するかにかかわらず、いかなる血栓疾患の医薬治療に有用であろう。
実施例4: インビボにおける循環半減期
 幾つかのTMアナログの循環半減期を、Bakhit, C., et al., (1988) Fibrinolysis 2:31-36 の手順の修正を使用して評価した。トロンボモジュリン・アナログを、Spencer, S.A., et al., (1988) J. Biol. Chem. 263:7862-7867のラクトペルオキシダーゼ法に従って125 ヨウ素により放射標識した。約100,000cpm量の標識アナログを、麻酔したマウスの大腿静脈中に注射し、そして少量のサンプルを、選ばれた時間間隔において回収した。循環中に存在する放射標識されたトロンボモジュリン・アナログの量に対応して、それぞれのサンプル中に存在する放射能のレベルを、ガンマ・カウンター(Beckman) 内での計数により測定し、そしてその循環中の放射能の量をその元の値の1/2 まで減少させるのに必要な時間を測定した。また、これらは、APC 検定及びELISA 測定に基くことができる。
 3 つのトロンボモジュリン・アナログを、上記の方法を使用して評価した: 6h/227-462( 上記を参照のこと。) 、6h/227-462であって炭水化物の幾つか又は全部を除去するためにフッ化水素酸(HF)により前処理されたもの、及び4t/227-462( 表4 及び実施例1.B.2 を参照のこと。) 。この処理を、Mort, A.J. and Lamport, T.A. (1977) Analytical Biochemistry 82:289-309 の方法に従って行った。簡単に言えば、0.8mg のTMアナログ(6h/227-462)を、1ml アニソール + 10ml HF( 濃) 中で、0 ℃において1 時間、真空下でインキュベートした。この時間の後、揮発性液体を蒸発させ、そしてそのタンパク質残渣を、2 回の、0.1 M 酢酸の3ml 洗浄その後の2 回の50% 酢酸の3ml 洗浄によりその反応チャンバーから濯いだ。この合わせた洗浄液を、残ったアニソールのいずれをも除去するために2ml のエチルエーテルにより抽出した。水相を含むペプチドを、PD10カラム上で脱塩し、タンパク質の92% を、その出発物質から回収した。
 表6 中の結果から見られるように、糖添加を修飾するためにTMアナログを処理することは、その循環半減期をかなり変更することができる。これは、炭水化物を除去するか又は異なる細胞型内での発現によりその組成を変更させるかのいずれかにより、行われることができる。
Figure 2004105188
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              表6
    サンプル          半減期(分間)
    6h/227-462           2.7
    HF処理6h/227-462        7.3
    4t/227-462           8.1
実施例5: CHO 細胞内での組換え体トロンボモジュリン遺伝子の発現
 細胞系CHODXB11を、Columbia University のLarry Chasinから得た。細胞を、9%ウシ胎児血清(FBS) 及びゲンタマイシンを補ったHAM's F-12完全培地(GIBCO) 中で増殖させた。
A. トランスフェクション
 細胞、1 x 105 を、トランスフェクションの1 日前に100mm ペトリ皿内にプレートした。可溶性TMアナログをエンコードしているプラスミドpTHR525 を、以下の実施例9 中に記載するように調製した。この遺伝子を、以下の修飾をもつトロンボモジュリンのアナログをエンコードするために構築した: δ3(天然のアミノ末端から3 アミノ酸を切り詰められたもの) 、Met388Leu(ロイシンによる位置番号388 におけるメチオニンの置換) 、Arg456Gly(グリシンによる位置456 におけるアルギニンの置換) 、His457Gln(グルタミンによる位置457 におけるヒスチジンの置換) 、Ser474Ala(アラニンによる位置474 におけるセリンの置換) 、及びδ7(497 における可溶性TMのカルボキシ末端からの7 アミノ酸を切り詰められたもの、すねわち、このアナログは、アミノ酸490 において終わる。) 。それぞれの皿について、トランスフェクトされるべきpTHR525 DNA(メルカプトエタノール(1:1000 希釈) による補われた100 μl のOpti-MEM(BRL)中で溶解された20μg)を、リポフェクチン(CalBiochem, 100μl のOpti-MEM中の60μg)の溶液と共に混合した。この混合物を、室温において15分間放置した。DNA 混合物の添加に先立ち、細胞を、Opti-NEMにより2 回洗浄し、そして3ml のOpti-NEMをそれぞれの皿内にプレートした。このDNA 及びリポフェクチン混合物を、そのプレートされた細胞に添加し、そして一夜インキュベートした。次にこの培地を、HAM's F-12選択培地(w/oグリシン、ヒポキサンチン、及びチミジン) に変更し、そしてその細胞を、一夜回収に供した。次に、この培地を、ハイグロマイシンを含むHAM's F-12完全培地(150μg/ml, CalBiochem) に変更し、そしてその細胞を、この培地中で3 日間維持した。この時の終わりに、9%透析FBS 及びゲンタマイシンを補ったHAM's F-12選択培地( グリシン、ヒポキサンチン、及びチミジンを含まないもの) に変更した。クローンを、生じさせ( 約7 〜10日間) 、そしてその混合集団を、APC 及びELISA 検定により検定した。この細胞集団を、製造目的のために培養フラスコ(225cm2 )内で増加させた。
B. 製造: (1 L 回転培養 x 2)
 培養を、3g Cytodex 3微小担体ビーズ(Pharmacia) 、5% FBSを補った500ml HAM's F-12完全培地、及び 8.4 x 10 7 全細胞により開始した。後日、培地をその容量を1Lにもっていくまで添加した。上澄を約6 週間にわたり1 日おきに収穫した。450ml を最初の2 回、そして1500mlをその後の全ての機会に収穫した。全収穫物は、11.35L であり、そして4.14 x 10 6 U を含んでいた。
実施例6: 培養上澄液からのTMアナログの精製
A. TM LEO (CHO) の精製
 CHO 細胞発現され、そして分泌されたコンドロイチンを含み又は硫酸塩を含まないTM LEO (CHO)アナログを含む培地を、0.01% Tween 80まで調製し、濾過し(1.2μM Serum Capsule #12168及び0.2 μM Culture Capsule #12140, Gelman Sciences, Ann Arbor, MI) 、100ml Q-Sepharose カラム上に供給し、50mM Tris-HCl pH 7.8, 0.2 M NaCl, 0.1 mM EDTA, 0.01% Tween 80により洗浄し、そして同一バッファー中のNaClグラジエント(0.2〜2 M)により溶出させた。ピークA(硫酸コンドロイチンを含まないTM) 及びピークB(硫酸コンドロイチンを含む) を、0.3 M NaCl, 20 mM Tris-HCl, 0.5 mM CaCl 2 EDTA, 0.02% NaN 3 , pH 7.5まで希釈した。トロンビン・アフィニティー・クロマトグラフィー段階を、本質的に先に記載したように行い、そしてそのサンプルを脱塩する。活性画分をプールした。
B. TM E (Sf9) の精製
 これらの生成物を、先に記載したように又は以下のように単離することができる:
 すべての手順を4 ℃において行った。濾過した昆虫細胞収穫物を、水により1:1 に希釈し、酢酸によりpH 5.2まで滴定し、そしてQ-Sepharose 高速樹脂(25 mM 酢酸Na、pH 5、0.1 M NaCl、0.02% NaN3 ) 上に供給した。活性画分を、同一バッファー中の0.3 M NaClにより溶出させ、プールし、0.3 M NaCl, 20 mM Tris-HCl, 0.5 mM CaCl 2 , 0.02% NaN 3 まで希釈し、pH 7.5に調整し(NaOH)、120 ml DFP- 不活性化トロンビンAffigel-10樹脂( 上記) 上に供給し、そして2 M NaCl, 20 mM Tris-HCl, 1mM Na2 EDTA, 0.02% NaN 3,pH 7.5により溶出させた。活性画分をプールし、脱塩し、そしてSephadex G-25 カラム上で0.2% NEM-Ac, pH 7 にバッファー交換し、Mono-Q HR10/10カラム(Pharmacia) 上に供給し、そして同一バッファー中の0 と1 M との間のNaClでグラジエント溶出させた。高い比活性画分(APC検定) をプールし、Sephadex G-25 上でPBS 又は0.2% NEM-Ac, pH 7 中に脱塩し、そして冷凍又は凍結乾燥保存した。
C. CHL1細胞内での可溶性TMLEO 発現
 野性型並びにTM、アミノ酸1 〜497 、及び完全長TM、アミノ酸1〜557 のM388L 突然変異体形態の両方をコーディングしているDNAを、Invitrogen, San Diego, California から得られた哺乳類発現ベクターpRc/CMV を使用してCos 7 及びCHL1内で発現させた。過渡的発現のために、完全長TMを発現しているCos 7 細胞を、トランスフェクションの48〜72時間後に収穫した。CHL1細胞は、ヒト・メラノーマ細胞系であり、ATCCから入手可能である。
D. TMLEO (CHL1)の精製
 CHL1細胞により発現及び分泌された硫酸コンドロイチンを含むTMLEO (CHL1)アナログを含む培地を、Tween 80において0.01% とし、濾過し(1.2μM Serum Capsule #12168及び0.2 μM Culture Capsule #12140, Gelman Sciences, Ann Arbor, MI) 、100ml Q-Sepharoseカラム上に供給し、50mM Tris-HCl pH 7.8, 0.2 M NaCl, 0.1 mM EDTA, 0.01% Tween 80により洗浄し、そして同一バッファー中のNaClグラジエント(0.2〜2 M)により溶出させた(APC検定により1 M付近のNaClを溶出する) 。この溶出液を、H 2 O により3 倍に希釈し、第二5ml Q-Sepharose カラム上に供給し、0.001% Tween 80 及び0.7 M NaClを含むことを除き上記と同一なバッファーにより洗浄し、そして第二の浅いグラジエント(30 カラム容量; 0.7 〜1.6 M NaCl) により溶出させた。少量(<500 μg)を、PBS 中のSuperrose 6(Pharmacia)上の分子排除クロマトグラフィーにより、さらに精製した。
E. アニオン交換クロマトグラフィー
 先に記載したように、1 以上のTME アナログを、非還元条件下でSDS-PAGEゲル上で走らせたSf9 細胞からのトロンビン- アフィニティー精製材料中で検出する。方法を、これらの変異体を分割するために開発した。TME (Sf9) アナログ6h/227-462、すなわち、先に記載したようなSephadex G25カラムから回収したTME (Sf9) を、0.2% N- エチルモルフォリン(NEM) pH 7.0により前平衡化したMono Qカラム(Pharmacia, 10ミクロン粒子、第四アミン) に適用した。このバッファーにより洗浄した後、様々な形態を、0 〜0.4M NaCl のグラジエントを使用して分離した。溶出及び活性プロフィールを、図1 中に示す。それぞれの画分からのサンプルを、非還元条件下でSDS-PAGEゲル上で評価した。僅かに異なる易動性をもつ3 つの別個のバンドを、その染色ゲル上に見ることができた。類似の易動性をもつペプチドを含む画分をプールし(A = 画分32-35 、B = 画分40-44 、C = 画分70-71)、そして次に全タンパク質含量について及びプロテインC 活性化検定における活性について検定した。比活性を、以下の表中に列記する。不活性ペプチドは、その画分のいずれにおいても全く検出されなかった。
 テスト材料          比活性(U/mg) 
 Mono Q供給物         166,000 ± 12,000
 画分32-35(A)         416,000 ± 19,000
 画分40-44(B)         262,000 ± 4,000
 画分70-71(C)          67,600 ± 5,000
B. SDS-PAGE分析
 Mono-Qカラム上で精製したTME (Sf9) のそれぞれの画分又は他のそれぞれの画分を、以下のようにSDS-PAGEにより分析した: 4.5 μl の画分を、還元剤を含まない4 x 濃縮SDS-PAGEサンプル・バッファーと共に混合し、約10〜15分間、約90℃において加熱し、そして提供された櫛及びプロトコールを使用してPharmacia からの8-25% アクロルアミドPhast ゲル上に供給した。このゲルを、製造者により提案されたプロトコールを使用してPhast ゲル系上で走らせた。このゲルは、ピークと肩であって、それぞれPoolとB と作るためにプールされたものを横切る画分を示している( 図2)。略号は、以下の如きである:
 番号 -画分番号は、図1 中に記載され、そして上記表に比活性を列記する。
 A - パネルA 上のロードにおいて場合により見られる人工産物バンド、画分28及び画分39; これは、実験制作物上のフィンガープリントからのタンパク質由来のものであるようである。
 D - Pool C中に溶出するTME ジスルフィド結合ダイマー。
 MU - 上のモノマー、これは、一本鎖TME であるようである。
 ML - 下のモノマー、MUと同じN-末端(AlaValValPro...) をもつが、そのC-末端付近でタンパク質分解が予想されるような、より速い電気泳動易動性をもつもの。
 L - D、MU及びMLを含むMono-Qカラム上に供給された材料。
 上記の表中に示した画分をプールすることにより、MU又はMLを、必要なときに、かなり濃縮することができる。
実施例7: 2 本鎖TMの存在の証明
A. CHL1及びCHO 細胞からの解裂形態の分離
 以下のサンプルを、Gel Novex からの8% Tris-Glycine ゲル上で分析し、すべてのサンプルを、還元条件下で走らせた。図3 は、以下のサンプルについての結果を示している:
レーン
1 Novex Wide Range Marker
2 TM LEO (CHO) #82891 LJ
3 TM LEO (CHO) PkB + コンドロイチナーゼ ABC (シュードモナス・ブルガリス( P. vul  garis))
4 TM LEO (CHO) PkB + コンドロイチナーゼ AC
  (フラボバクテリウム・ヘパリウム(Flavobacterium heparium))
5 TM LEO (CHL1) PkB + コンドロイチナーゼ AC
  (フラボバクテリウム・ヘパリウム(Flavobacterium heparium))
6 TM LEO (CHO) PkB + コンドロイチナーゼ AC
  (アントロバクター・アウレッセンス(Anthrobackter aurescens))
7 TM LEO (CHL1) PkB + コンドロイチナーゼ AC
  (フラボバクテリウム・ヘパリウム(Flavobacterium heparium))
8 TM LEO (CHL1) PkB + コンドロイチナーゼ ABC (シュードモナス・ブルガリス( P. v  ulgaris))
9 TM LEO (CHL1) PkB #Q617
10 Novex Wide Range Marker
 このゲルを、様々な源からの商業的コンドロイチナーゼをテストするために元々走らせた。CHO 細胞及びCHL1細胞からのサンプルは、両方共、完全長可溶性TMアナログの切り詰められた形態であるようである80kDa バンドを含んでいる。66kDa におけるバンドは、安定にするために商業的コンドロイチナーゼ調製物に添加されているBSA である。レーン9 は、十分に供給されていない(underloaded) 。
B. ウェスタン・ブロット
 精製されたTM及びTMアナログのサンプルを、8% Tris-Glycine ゲル上で分析し、これを、125 ボルトにおいて2 時間走らせた。このタンパク質を、120mA において3 時間ニトロセルロースにエレクトロブロット転移させた。次に、このニトロセルロースを、4 ℃において3% BSAと共に一夜インキュベートした、次に、このブロットを、減少され且つ変成されたTMの6EGF領域に対して作られた第一マウス・ポリクロナール抗体調製物に、1:500 希釈において30分間晒した。次に第二抗体、すなわち、商業的なビオチン化ヤギを、30分間添加した。得られたによろセルロース・ブロットを、次に、商業的供給者からのアビジン-HRP結合体及び4-クロロ-T- ナフトールにより顕色させた。
 図4 は、ウェスタン・ブロット・ゲルを示し、ここで:
レーン
1 10 μl BRL ビオチン化マーカー
2 TM LEO (CHL1)PkB #QG17 ( 〜1250 APCユニット)
3 TM LEO (CHO) PkB + #82891 LJ ( 〜130 APC ユニット)
4 TM LEO (CHO) PkA + #82891 LJ ( 〜125 APC ユニット)
5 TM LEO (CHL1) PkB + コンドロイチナーゼ ABC #QG21 (〜106 APCユニット)
6 TM LEO (CHO) PkB + コンドロイチナーゼ ABC #QG39 (〜34 APCユニット)
8 5μl "Rainbow" マーカー, Amersham
 図4 中の分子量マーカー; BRL ビオチン化  "Rainbow"
              97.4 kDa    200 kDa
              66.2      97.4
              42.7      69.0
              31.0      46.0
      染料前面と共に{21.5      30.0
           走る{14.4      21.5}染料前面と
                      14.3}共に走る
 このウェスタン・ブロット検定は、CHO 細胞内で発現されたTMLEO のすべてのサンプルがTMの切り詰められた形態であるようである80kDa において免疫反応性のバンドをもち、そしてCHL1細胞内で発現されたTMLEO の幾つかのサンプルが80kDa バンド( レーン2)をもつことを示している。" レクチン-6EGF"アナログ、TMLEを含むレーン7 は、十分に供給されていない。
C. Kd 測定
 K d を、組換え体トロンボモジュリンの単離調製物について測定した。TMLEO (CHO) を、先に記載したように調製した。測定を、検定希釈剤(20mM Tris-HCl、pH 7.5、0.1 M NaCl、0.1% NaN3 、0.5% BSAであって0.25又は2.5 mM CaCl 2 のいずれかを含むもの) 中で96ウェル・プレート内で行った。このK d 測定のために、トロンビン(1 nM)を、TMアナログ(0.5〜250 nM) に添加し; 反応を、プロテインC 添加(3μM)により開始させた。列記したすべての濃度は、最終濃度である。混合物を、10-60 分間インキュベートし(75 μl 、20℃) 、そしてヒルジン(570 nM)によりクエンチした。変更された検定希釈剤中の100 μl/ウェルのS-2266基質(Kabi Vitrum) を、次に添加した(2 mM)。
 図5 中の2 軸逆数プロットから見ることができるが、高いTM濃度に対応する、実際の第一点は、より低いTM濃度における測定値から得られた線型投影から配置される。これは、かなり高いK d をもつ他のTM成分がテスト・サンプル中に存在するということを示している。サンプル中に2 つのクラスのトロンビン結合種が在り、それらの両方が、活性複合体の形成を導く。低いアフィニティー形態は、解裂した又は切り詰められた形態、例えば、非解裂TMと同等にしっかりとトロンビンに結合しないTMアナログに、対応するようである。
実施例8: 2 つの異なるアミノ末端を示す配列データ
A. N-末端配列分析
 精製されたタンパク質を乾燥させ、そして配列決定した(Applied Biosystems, 900A データ・モジュール装備Model #477又はチャート・レコーダー装備Model #470A)。PTH-アミノ酸を、RP-HPLC(Brow-nlee PTH-C18カートリッジ、2.1 x 222mm)により120A Applied Biosystems PTHアナライザー上で同定した。
B. N-末端分析
 TMアナログの様々な調製物を、上記のように分析した。表7 中に見ることができるように、TMLEO (CHO) ピークA からのサンプルは、異質なN-末端を含んでいる。例えば、CHO 細胞内で発現された非修飾配列を含むプラスミドにより作られたTMの表7 中に示す3 サンプルのN-末端分析は、存在するタンパク質の5 〜19%(11±4%) にも達する強い解裂部位配列を示した。
 これに反して、DXB-11、すなわち、示された位置( δ3, M388L, R456G, H457Q, S474A,δ7)におけるTM突然変異を含むpTHR525 プラスミドにより形質転換されたCHO 細胞から単離されたTM調製物、の少なくとも100 ピコモルのN-末端分析は、このポリペプチドが本質的にN-末端の異質性を全く含まない( 最大第二配列は0.6 ±1.350≒0%) ということを、確かなものとした。特に、:HIGT の天然の配列に対応する第二アミノ末端は全く見られず、これ故に、その、又は他のいずれかの、部位における検出可能なプロテアーゼ解裂の非存在を示している。
              表7
TMLEO (CHO)PkAとTMLEO (CHO) δ3, M388L, R456G, H457Q, S474A,δ7 とのサンプルの配列比較
記:
1) データは、1 サイクル当たりのアミノ酸のピコモル及び1 サイクル当たりの計算された切り取りパーセント(percent clipped) である。
2) 信頼して定量するのが困難なアミノ酸: His, Arg, Ser, Thr
3) Cys は定量されない、なぜなら、サンプルが還元され且つアルキル化されていないからである。
4) Pro は、しばしば良好に解裂されない、それ故、収率が低くなることができる。
5) ピコモル・データは、背景シグナルについて補正され、そして" 遅れ(lag)"シグナルは、先にサイクルからのものである。
A)サンプル: TMLEO (CHO)PkA 82891; 10/23/91
サイクル  N-末端#1  N-末端#2  合計  切り取り  %
 1    Ala 110   Phe 57   167   His 0.6
 2    Pro -    Pro -    115   Ile 11   9.5
 3    Ala -    Ala -    127   Gly 24   18.9
 4    Glu 30   Pro 49    79   Thr 10   12.6
 5    Pro 72   Ala 71   143   Asp 7.1   5.0
 6    Gln 41   Glu 26    67   Cys -
 7    Pro -    Pro -     86   Asp 8.5   9.9
B)サンプル: TMLEO (CHO)PkA 91991; 10/28/91
サイクル  N-末端#1  N-末端#2  合計  切り取り  %
 1    Ala 221   Phe 108   329   His 8
 2    Pro -    Pro -    228   Ile 13   5.7
 3    Ala -    Ala -    321   Gly 37   11.5
 4    Glu 128   Pro 114   242   Thr 7
 5    Pro 182   Ala 125   307   Asp 40   13
 6    Gln 147   Glu 114    67   Cys -
 7    Pro -    Pro -    328   Asp 126
C)サンプル: TMLEO (CHO)PkA 102491-A; 1/17/92
サイクル  N-末端#1  N-末端#2  合計  切り取り  %
 1    Ala 142   Phe 60   202   His 0    0
 2    Pro -    Pro -    118   Ile 20   17
 3    Ala -    Ala -    160   Gly 20   12.5
 4    Glu 48   Pro 38    86   Thr 8    9.3
 5    Pro 48   Ala 60   108   Asp 41
 6    Gln 52   Glu 39    91   Cys -
 7    Pro -    Pro -     58   Asp 42
D)サンプル: TMLEO (CHO) δ3, M388L, R456G, H457Q, S474A,δ7; pTHR525
サイクル  N-末端   切り取り  %
 1    Glu 88   Gln 0    0
 2    Pro 184   Ile 0.4   0.2
 3    Gln 171   Gly 6    3.5
 4    Pro 172   Thr 0    0
 5    Gly 149   Asp 0    0
 6    Gly 143   Cys -
 7    Ser 28   Asp 0    0
実施例9: プロテアーゼ- 耐性TMアナログの製造のための突然変異誘発及びオリゴヌクレオチド選択の方法
 プロテアーゼ- 耐性TMの好ましい態様をコーディングしているプラスミドpTHR525 を、TM遺伝子の突然変異誘発により構築した( 米国特許逐次番号第07/345,372号、GenBank(商標)、又は表8 中に示すpTHR324 の配列を参照のこと; pTHR324 は、pRC/CMV ベクター内にTM遺伝子を含んでいる) 。発現の間、アミノ酸3-490 に対応するポリペプチドを発現する遺伝子構築物を、標準的な突然変異誘発技術をにより調製した。
A. プロテアーゼ解裂部位の修飾
 Arg 456 /His457 ---> Gly456 /Gln457 突然変異を、プライマーとしてオリゴマーCOD-2218を使用して実施例1(C)中に開示するように構築した。
B. O- 結合硫酸コンドロイチン結合部位の修飾
 Ser 474 -> Ala474 突然変異を、プライマーとしてオリゴマーCOD-1886を使用して実施例1(C)中に開示するように構築した。
C. N-末端の修飾
 異質シグナル配列解裂部位をもつ生来TMの最初の3 アミノ酸のN-末端欠失を、プライマーとしてオリゴマーCOD-2321を使用して実施例1(C)中に開示するように構築した。この構築物は、そのシグナル配列のプロセシング後、N-末端配列を提供することに加え、そのシグナル配列の第4 グリシン( すなわち、アミノ酸-3) 内にGly からVal への変更をもつ。この構築物を、von Heijne, G., Nucleic Acids Res. 14 4683 (1986) 中に記載されているアルゴリズムを使用してシグナル解裂効果の予言に基づき、調製した。
Figure 2004105188
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D. C- 末端の修飾
 エクソプロテアーゼ- 耐性Pro-Pro 配列C-末端を作るために( 生来のヒト・タンパク質に関する)TM のアミノ酸490 において終止するポリペプチドを作るためのTMLEO ポリペプチドの末端の7 アミノ酸のC-末端欠失を、プライマーとしてオリゴマーCOD-2320を使用して実施例1(C)中に開示したように構築した。このC-末端に対する修飾の概要を、表9 中に示す。
E. pTHR525 の構築の要約
 以下の構築のための出発プラスミド、pCDM8 を、Invitrogen, San Diego, California から得た。それは、サイトメガロウイルスの即時型初期プロモーターを担持している。pTHR219 を、切断し、そしてMluI-NotI 断片を単離した。この断片を、pTHR211 内に挿入し、pTHR253 を得た。pTHR253 を、COD2218 により突然変異誘発し、R456G 及びH457Q を変換し、pTH491を得た。pTHR491 を切断し、Kpn-NotI断片を単離した。この断片を、S474A 突然変異を担持しているpTHR470 のKpn-NotI部位内に挿入し、pTHR496 を得た。このプラスミドは、突然変異S474A 、R456G 、及びH457Q を含む。pTHR496を切断し、そしてMluI-NotI 断片を単離した。この断片を、pTHR235 のMluI-NotI 部位内に挿入し、pTHR511 を得た。このプラスミドは、突然変異S474A 、R456G 、及びH457Q 及びNotI部位からの上流TM配列を含む。pTHR511 をCOD2320 により突然変異誘発し、7 つのC-末端アミノ酸を除去し、pTHR514 を得た。pTHR514 を切断し、そおしてMluI-NotI 断片を単離した。この断片をpTHR518 内に挿入し、pTHR524 を得た。pTHR518 をpTHR515 からのClaI-SmaI 断片をpTHR512内に挿入することにより構築した。pTHR524 を切断し、そしてXbaI-NotI 断片を単離した。この断片をXbaI-NotI 部位においてpTHR495内に挿入し、pTHR525 を得た。pTHR525 をN-末端δ3, R456G, H457Q, S474A,及びC-末端δ7 をもつ好ましいトロンボモジュリン・アナログの中の1 つを作るために発現させる。
 表10は、様々な中間のプラスミド構築物からの配列である。
Figure 2004105188
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 表11は、プラスミドを突然変異させるために使用した様々なプライマーの配列を示す。
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実施例10: アフィニティー・クロマトグラフィーによる無傷TMLEO (CHO)M388 L からの切り取りの分離及び精製
A. 材料及び方法
 切り取られた(clipped) 可溶性ヒトTM出発材料は、CHO 細胞、ロット#102491A内で作られたTMLEO ピークA であった。N-末端配列分析に基づき、このロットは、10% の2 本鎖形態及び90% の一本鎖形態を含む。固定化された脱水素トリプシン・カラム(Pierce, Rockf-ord, IL)を、非切り取りTMLEO から切り取り物を分離するために使用した。脱水素トリプシン(anhydrotrypsin)は、その活性部位セリン残基195 が脱水素アラニン残基に変換されているトリプシンの触媒として不活性の誘導体である。弱い酸性条件下で、このカラムは、C-末端のArg 、Lys 又はS-アミノエチル-Cys残基をもつペプチドに結合する。Kumazaki, T., et al. (1988) J. Biochem. 103-297 を参照のこと。
 無傷のTMLEO (CHO)M388 L は、C-末端Ser を含む。Arg 456 におけるタンパク質分解解裂は、Arg 内で終止する第二のC-末端を生成する。このジペプチドは、ジスルフィド結合により一緒に共有結合している。このカラムは、出発材料中に存在する2 本鎖の切り取られたTMLEO (CHO)M388 L に結合し、一本鎖の無傷のTMLEO(CHO)M388 L が流出するのを可能にする。
 約1.29mlの、0.87mg/ml(459,000 U/ml; 588,000 U 全体; 100%)の出発材料は、脱水素トリプシン結合バッファー(0.05 M 酢酸ナトリウム、pH 5.0であって20mM塩化カルシウム及び0.05% アジ化ナトリウムを含むもの) を使用して15mlに希釈され、そしてシリンジ・ポンプを使用して0.3ml/分においてそのカラム上に供給された。供給の間、流出液は回収され、そして無傷のTMLEO (CHO)M388 L を含み、一方、切り取られたTMLEO (CHO)M388 L は、そのカラムに結合した。次に、このカラムを、20容量の結合バッファーにより洗浄し、そして切り取られたTMLEO (CHO)M388 L を、脱水素トリプシン溶出バッファー(0.1 M 蟻酸、pH 2.5) を使用して溶出させた。21画分(1分間、約300 μl ) を回収し、そしてAPC 検定のために1/1000に希釈した。活性のピークは、5-11画分内にあった。プールされた画分は、2.1ml を含んで成り、そして45,771 U/ml(96,000 U全体、16%)を含んでいた。出発材料、流出物及びプールした溶出物のアリコットを、分析のために0.2% NEM、pH 7.5内に脱塩した。
 ヒト・トロンボモジュリンへの可溶性TM結合についてのK d を、マイクロタイター・プレート内で測定した。可溶性TMサンプルを希釈し( 全ての希釈物は、APC 検定希釈物中のものである) 、約3nMの実行溶液とし; ヒト・トロンボモジュリンを、ストック溶液から600 、300 、150 、75、37.5、18.8、9.4 、4.7 、2.3 、1.2 、0.6 及び0 nMの実行溶液に希釈した。実行溶液の追加の試薬は: ヒト・プロテインC, 1.5μM;ヒルジン, 160 U/ml; 及びS-2266基質 1mMであった。それぞれのトロンビン希釈物の4 連の25μl サンプルを、マイクロタイター・プレートの1/2 カラムに添加し; 25μl アリコットの可溶性TMを、4 テスト列の3 つに添加し、そして25μl APC 検定希釈物を、1 テスト列においてTMと置換した。このプレートを穏やかに叩くことにより混合し、プレート・シーラーによりシールし、そして室温において5 分間インキュベートした。25μl のプロテインC を、それぞれのウェルに添加し、そのプレートを叩き混合し、シールし、そして室温において15分間インキュベートし; 次に25μl のヒルジンを、それぞれのウェルに添加し、そしてそのプレートを叩き混合した。100 μl のS-2266をそれぞれのウェルに添加し、そのプレートを叩いて混合し、そしてSoftMax 分析及び制御ソフトウェアー・プログラムを使用してMolecular Devices Plate Reader (Menlo Park, CA) 内で15分間、動力学的に読んだ。S-2266加水分解の線型速度を、適当な背景速度を差し引いた後に形成される活性化プロテインC の尺度として使用し。このデータは、IBM PC上でプログラムEnzofitter, Robin Leatherbarrow, Elsevier-BioSoft, Cambridge, UKを使用してK d を与えるのにふさわしいものであった。
B. 結果
 以下の分析を、上記出発材料、流出物及びプール上で、行った:
1) 還元条件下でのSDS-PAGE( 図6 及び7)、2) APC検定(3連における2 希釈物) 、3) 2連におけるアミノ酸分析、4) N- 末端アミノ酸分析、及び5)ヒトα- トロンビンについてのK d の測定( 結果を表12及び13中に示す。) 。
Figure 2004105188
Figure 2004105188
 これらの結果は、TMLEO (CHO)M388Lがアフィニティー・クロマトグラフィー精製段階によりR 456 の後に切り取られた形態及び無傷形態に、きれいに分離されることができるとうことを、示している。切り取られたTMLEO (CHO)M388Lは、無傷のTMLEO (CHO)M388Lの比活性の63±15% をもつことが示された。この2 つの形態は、プロテインC の活性化がヒト・トロンビンの増加する濃度において測定されるような検定において比較され、そして切り取られたTMLEO (CHO) M388L が無傷のTMLEO (CHO)M388Lよりも2 倍程弱く結合するということが、測定された。
 先の実施例は、先の実施例において使用されたものの代わりに本発明の一般的に又は特別に記載された反応体及び/ 又は操作条件に置き換えることにより、同様に首尾よく繰り返されることができる。
 これまでの記載から、当業者は、本発明の本質的な特徴を突き止めることができ、そしてその核心及び範囲から外れることなく、本発明の様々な変更及び修正を行い、それを他の用途及び条件に適合させることができる。
図1 は、Mono Qカラム上で分けられた可溶性TMe (Sf9) の溶出及び活性プロフィールを示す。 図2 は、図1 中に示したカラム・プロフィールからのサンプルのSDS-PAGE分析を示す。 図3 は、還元条件下で走らせたサンプルのゲル電気泳動プロフィールを示す。 図4 は、ゲル電気泳動プロフィールのウェスタン・ブロットを示す。 図5 は、トロンビンに結合するTMの2 軸逆数プロットを示す。 図6 は、10% β- メルカプトエタノール中のサンプル・バッファー中で還元され、そして8%SDS-PAGEゲル上にロード供給された、アンヒドロトリプシン・カラムからのサンプルのSDS-PAGEを示す。TMLEO (CHO)M388 L lot#102491A(供給又は出発材料) 、切り取られたTMLEO (CHO)M388 L ( 結合又はプール) 、無傷TMLEO (CHO)M388 L ( 流出) 、及び分子量マーカー(kDa) の位置を示す。 図7 は、図6 のSDS-PAGEゲルのゲル・スキャンを示す。ゲルを、Molecular Devices Computing Densitometer上で走査し、そしてその装置と共に提供されたプログラムImageQuantを使用して分析した。TMLEO (CHO)M388 L lot#102491A(供給又は出発材料) は、切り取られたTMLEO (CHO)M388 L である矢印により示された肩をもっている。この肩は、無傷TMLEO (CHO)M388 L ( 流出) から脱水素トリプシン・カラムにより除去される。切られたTMLEO (CHO)M388 L では、そのカラムから純粋な形態で溶出される。

Claims (22)

  1.  トロンボモジュリン・タンパク質・アナログであって、プロテアーゼ解裂部位のアミノ酸配列が修飾され、それにより、そのアナログがその部位におけるプロテアーゼ解裂に耐性である、アナログ。
  2.  タンパク質の非修飾プロテアーゼ解裂部位のアミノ酸配列が天然のトロンボモジュリンのArg 456 とHis 457 との間にある、請求項1に記載のトロンボモジュリン・アナログ。
  3.  プロテアーゼ解裂部位のアミノ酸配列がGly 456 -Gln457 に修飾されている、請求項2に記載のトロンボモジュリン・アナログ。
  4.  N-末端のアミノ酸配列が修飾され、それにより、そのアナログが単一のN-末端をもつような、トロンボモジュリン・タンパク質・アナログ。
  5.  N-末端アミノ酸が天然のトロンボモジュリンのGlu 4 である、請求項4に記載のトロンボモジュリン。
  6.  C-末端のアミノ酸配列が修飾され、それにより、そのアナログが単一のC-末端をもつような、トロンボモジュリン・タンパク質・アナログ。
  7.  C-末端アミノ酸が天然のトロンボモジュリンの
    -Pro489 -Pro490 である、請求項6に記載のトロンボモジュリン。
  8.  一本鎖トロンボモジュリン・ポリペプチドと二本鎖トロンボモジュリン・ポリペプチドとの混合物を含むトロンボモジュリンの活性を増強する方法であって、二本鎖トロンボモジュリンをそこから除去することを含む方法。
  9.  トロンボモジュリンの活性を増強する方法であって、一本鎖トロンボモジュリンの解裂を防ぐことを含む方法。
  10.  請求項1に記載のトロンボモジュリン・アナログをコーディングしているDNA 配列。
  11.  請求項4に記載のトロンボモジュリン・アナログをコーディングしているDNA 配列。
  12.  請求項6に記載のトロンボモジュリン・アナログをコーディングしているDNA 配列。
  13.  好適な宿主内で発現されることができるプロモーター配列に作用可能な状態で結合されている、請求項10に記載のDNA 配列を含むベクター。
  14.  好適な宿主内で発現されることができるプロモーター配列に作用可能な状態で結合されている、請求項11に記載のDNA 配列を含むベクター。
  15.  好適な宿主内で発現されることができるプロモーター配列に作用可能な状態で結合されている、請求項12に記載のDNA 配列を含むベクター。
  16.  CHO 細胞内で発現されることができる、請求項13に記載のベクター。
  17.  CHO 細胞内で発現されることができる、請求項14に記載のベクター。
  18.  CHO 細胞内で発現されることができる、請求項15に記載のベクター。
  19.  請求項1に記載のトロンボモジュリン・アナログの有効量及び医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物。
  20.  請求項1に記載のトロンボモジュリン・アナログの有効量を投与することを含む、血栓疾患の治療方法。
  21.  そのポリペプチドを解裂させることができるプロテアーゼを生産する細胞内で一本鎖ポリペプチドを発現させる方法であって:
     a)その発現生成物中の解裂したポリペプチドの存在を検出し;
     b)アミノ酸配列分析によりその解裂部位を決定し;
     c)その解裂部位においてそのポリペプチドをコードしている遺伝子のヌクレオチド配列を修飾し、それにより、このようにして生産されたポリペプチドがその部位においてプロテアーゼ解裂に耐性であり、そして生物学的活性を維持するようにし;
     d)そのプロテアーゼを生産する細胞内で修飾された遺伝子を発現させ; そして
     e)このようにして生産された一本鎖ポリペプチドを単離する、
    を含む方法。
  22.  解裂したポリペプチドが生物学的活性を欠いており、及び/ 又は非解裂ポリペプチドの競合的阻害剤である、請求項21に記載の方法。
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