JP3589042B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性エラストマー組成物に関し、中でも柔軟性、ゴム弾性、耐候性、機械的強度および成形加工性に優れ、かつ軟化剤のブリードの少ない熱可塑性エラストマー組成物に関するもので、この組成物は食品用途、日用雑貨用途、玩具・運動用具用途、デスクマットなどの文具用途、自動車内外装用途、土木シート・防水シートなどの土木・建築用途、AV・家電機器用途、OA・事務機器用途、衣料・履物用途、テキスタイル用途、カテーテルや医療機器のガスケット・キャップ類等の医療用途、紙オムツ・生理用品等の衛生用品、化学・鉱工業用資材、包装輸送用資材、農・畜・水産資材等の分野で広く用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴム弾性を有する軟質材料であって加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様に成形加工及びリサイクルが可能な熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、雑貨、履物等の分野で多用されている。このような熱可塑性エラストマーの中で、ビニル芳香族炭化水素−共役ジエン化合物のブロック共重合体の水素添加物(以下、上記特定のブロック共重合体の水素添加物を「水添ブロック共重合体」と略記する)を用いたエラストマー状組成物に関し、いくつかの提案がなされている。例えば特願昭50−14742号公報、特開昭52−65551号公報、及び特開昭58−206644号公報には、水添ブロック共重合体に炭化水素油およびオレフィン系重合体を配合したエラストマー状組成物が開示されており、さらに特開昭59−131613号公報には、水添ブロック共重合体に炭化水素油およびオレフィン系重合体、無機充填剤を配合したエラストマー状組成物を有機パーオキサイドと架橋助剤を用いて部分架橋させ、得られたエラストマー状組成物の高温時のゴム弾性(圧縮永久歪み)を改良するという提案がなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特開昭59−131613号公報に記載されている水添ブロック共重合体のエラストマー状組成物は、70℃のゴム弾性(圧縮永久歪み)は優れるものの、100℃以上におけるゴム弾性は劣っており、加硫ゴムを用いて達成されている高温時の圧縮永久歪みのレベルには到達せず、熱可塑性エラストマーの特徴であるリサイクル性を有してはいるものの、高温時のゴム弾性は未だ不十分である。
即ち、本発明の目的は、熱可塑性エラストマーの優れた柔軟性、ゴム弾性、耐候性、機械的強度および成形加工性等の物性を損なうことなく、かつ軟化剤のブリードが少なく、高温でのゴム弾性(圧縮永久歪み)が良好な、水添ブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々の研究を重ねた結果、特定のモノビニル置換芳香族炭化水素ブロック−共役ジエンブロックからなるブロック共重合体の水素添加物を用いて組成物とすることにより、柔軟性、耐候性、機械的強度、成形加工性が良好で、かつ飛躍的に高温時のゴム弾性が向上することを見いだして、本発明を完成するに至ったものである。
【0005】
すなわち、本発明の要旨は、
(i) 下記(イ)、(ロ)、(ハ)の三成分を含有し、かつ(イ)/(ロ)の割合が20/80〜80/20(重量比)であって、(イ)と(ロ)との合計量を100重量部とした時に、(ハ)を1〜300重量部含むことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
(イ)重量平均分子量(以下「Mw」と記す)が20万〜45万のブロック共重合体の水素添加物であって、該ブロック共重合体中のMwが40万以上の重合体の割合が5重量%以上、かつMwが20万以下の重合体の割合が20重量%以下である、下記一般式(1)又は(2)で示されるブロック共重合体の水素添加物、に存している。
【0006】
【化3】
A−(B−A)n (1)
【0007】
【化4】
(A−B)n (2)
【0008】
式中Aはモノビニル芳香族炭化水素単位からなる重合体ブロック、Bは共役ジエン単位からなる重合体ブロックであり、nは1〜5の整数を示す。
(ロ)ゴム用軟化剤
(ハ)オレフィン系重合体。
【0009】
また、本発明の要旨は、(ii)(イ)成分のブロック共重合体におけるモノビニル芳香族炭化水素単位がスチレンであり、共役ジエン単位がブタジエン、又はイソプレン、又は両者の混合物である前記(i) に記載の熱可塑性エラストマー組成物、(iii) (ハ)成分のオレフィン系重合体がプロピレン系重合体である前記(i) 又は(ii)に記載の熱可塑性エラストマー組成物、及び(iv)(ハ)成分のオレフィン系重合体がプロピレン単独重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、及びエチレン−プロピレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少くとも1種のオレフィン系重合体である前記(i) 〜(iii) のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物にも存しており、また本発明の他の要旨は、(v) 上記の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる医療機器用成形品にも存している。
【0010】
本発明の組成物においては(イ)成分のブロック共重合体の水素添加物の重量平均分子量(以下「Mw」と略記する)は、20万〜45万である。より好ましいMwの範囲は25万〜40万の範囲である。重量平均分子量が20万未満では、得られる熱可塑性エラストマーのゴム弾性および機械的強度が劣り、一方45万を越えると溶融時の粘度が高くなり成形加工性が劣る。
【0011】
また本発明においては、このブロック共重合体の水素添加物中のMwが40万以上の重合体の割合は5重量%以上である。このMwが40万以上の重合体の好ましい含有量は8重量%以上、更に好ましくは10重量%以上である。またMwが20万以下の重合体の割合は20重量%以下であり、好ましくは15重量%以下である。Mwが40万以上の重合体が5重量%未満であったり、Mwが20万以下の重合体が20重量%を越えると、100℃以上の高温におけるゴム弾性が劣る組成物しか得られない。
なお、本発明でいう重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により次の条件で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0012】
【表1】
(測定条件)
GPC:HLC−8020(東ソー製)
検出器:示差屈折率計RI−8010(東ソー製)
データ処理機:TriSEC(GPC Module Ver.3.0−ac)(Viscotek製)
カラム:TSKgel GMHHR 3本(東ソー製)
溶媒:テトラヒドロフラン(関東化学製 試薬特級)
温度:40℃
流速:1ml/min
注入量:0.1ml
濃度:2mg/ml
試料調製:2,6−ジ−t−ブチル−p−フェノール(BHT)を0.2重量%添加したテトラヒドロフランを溶媒とし、室温で5時間撹拌して溶解
検量線:標準ポリスチレン(A−2500、A−5000、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40、F−80、F−380、F−850(以上東ソー製))のGPC測定を行い、3次式で検量線を作成。また、BHTの溶出時間を用いて流量を補正。
【0013】
本発明の組成物の(イ)成分のブロック共重合体の重合体ブロック(A)を構成する単量体のモノビニル芳香族炭化水素単位としては、スチレン、α−メチルスチレン等が好ましく用いられる。特に好ましいのはスチレンである。また重合体ブロック(B)における共役ジエン単位はブタジエン又はイソプレンが好ましく、また両者の混合物でもよい。ブタジエンが単独で重合体ブロック(B)を形成している場合には、重合体ブロック(B)(ポリブタジエン)のミクロ構造中の1,2−付加構造が全体の20〜50%であるものが、水素添加後のエラストマー性保持のために好ましく、特に1,2−付加構造が35〜45%のものが好ましい。
【0014】
また、ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの組合せのいずれであってもよい。
重合体ブロック(A)の前記共重合体中に占める割合は10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。重合体ブロック(A)が10重量%未満の場合には、得られる熱可塑性エラストマーの機械的強度やゴム弾性が劣る傾向となる。また、重合体ブロック(A)が40重量%を越えると、柔軟性およびゴム弾性が劣る傾向になるとともに軟化剤がブリードしやすくなり、やはり好ましくない。
【0015】
本発明に用いるブロック共重合体は、上記した物性が得られるのであればどのような製造方法によって製造したものでもよい。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック共重合させて得ることができる。
また、こうしたブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、あるいは特開昭59−133203号公報および特開昭60−79005号公報に記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に行うことができる。この水素添加処理においては、重合体ブロック(B)中のオレフィン性二重結合の少なくとも50%、好ましくは80%以上が水素添加され、かつ重合体ブロック(A)中の芳香族不飽和結合の25%以下のみが水素添加されるようにして行うのがよい。
【0016】
本発明で(ロ)成分として用いられるゴム用軟化剤としては、特に制限はされないが鉱物油系又は合成樹脂系のものが好適である。
鉱物油系軟化剤は、一般に芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素およびパラフィン系炭化水素の混合物であって、パラフィン系炭化水素の炭素原子数が全炭素原子中の50%以上を占めるものがパラフィン系オイルと呼ばれ、一方ナフテン系炭化水素の炭素原子が30〜45%のものがナフテン系オイルと、また芳香族系炭化水素の炭素原子が35%以上のものが芳香族系オイルと呼ばれて区分されている。これらの中で本発明に用いるゴム用軟化剤として好ましいものはパラフィン系オイルである。
【0017】
パラフィン系オイルとしては、40℃における動粘度が20〜800cst(センチストークス)、好ましくは50〜600cst、流動度が0〜−40℃、好ましくは0〜−30℃、および、引火点(COC法)が200〜400℃、好ましくは250〜350℃のものが好適に使用される。
合成樹脂系軟化剤としては、ポリブテン、低分子量ポリブタジエン等が使用できる。本発明の組成物に用いるゴム用軟化剤としては鉱物油系軟化剤が特に好ましい。
【0018】
本発明で(ハ)成分として用いられるオレフィン系重合体としては、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ポリブテン−1およびポリ4−メチルペンテン−1等が挙げられ、この内好ましいものはエチレン系重合体およびプロピレン系重合体である。中でもプロピレン系重合体が特に好ましい。
エチレン系重合体としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレン、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘプテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられ、中でも高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンが好ましい。
【0019】
また、プロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、エチレン・プロピレン・ランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・4−メチルペンテン−1共重合体等が挙げられ、中でも好ましいものは、プロピレン単独重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体及びエチレン・プロピレンブロック共重合体である。
【0020】
本発明の組成物中の(イ)成分と(ロ)成分の配合割合は、(イ)/(ロ)の比として20/80〜80/20(重量比)である。より好ましい割合は(イ)/(ロ)=25/75〜70/30、更に好ましくは、(イ)/(ロ)=30/70〜60/40である。(イ)/(ロ)の割合が20/80未満では、得られる熱可塑性エラストマーのゴム弾性が劣り、軟化剤がブリードしやすくなる。(イ)/(ロ)の割合が80/20を越えると柔軟性および成形加工性が劣る。
【0021】
(ハ)成分の配合量は、(イ)成分と(ロ)成分の合計量を100重量部とした時に1〜300重量部、好ましくは3〜200重量部、更に好ましくは5〜100重量部である。(ハ)成分の配合量が1重量部未満では得られる熱可塑性エラストマーの成形加工性が劣り、一方300重量部を越える場合は、熱可塑性エラストマーの柔軟性が失われると同時に軟化剤がブリードしやすくなる。
【0022】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、上記の必須成分に加えて、本発明の効果を著しく損なわない範囲で目的に応じて他の配合成分を配合することができる。
配合成分として用いられるものは、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、架橋剤、架橋助剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、蛍光増白剤等の各種添加物、前記必須成分以外の熱可塑性樹脂、前記必須成分以外のエラストマー、及びフィラー等を挙げることができ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0023】
用いることができる熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂等を挙げることができる。
【0024】
また、フィラーとしては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、例えば上記各成分を機械的に溶融混練する方法によって製造することができる。この機械的な溶融混練において用いられる溶融混練機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ロールミル等を挙げることができ、混練条件としては145〜300℃の温度範囲を用いるのが好ましい。
【0025】
混練に際しては、各成分を一括して混練しても、また、任意の成分を混練した後、残りの成分を一括又は逐次添加して混練するという分割混練法を用いてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、例えば、射出成形法(インサート成形法、二色成形法、サンドイッチ成形法、ガスインジェクション成形法等)、押出成形法、インフレーション成形法、Tダイフィルム成形法、ラミネート成形法、ブロー成形法、中空成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法等の成形法により成形することができる。
【0026】
このようにして得られた成形品は、自動車部品、家電部品等の工業部品、食品包装材、医療機器部品、什器部品、日用雑貨品等に用いることができる。
中でも、本発明の組成物を用いて成形された成形品を注射器用ガスケット、ダイアライザー部品、輸液用キャップ類等の医療機器用に使用するのが好適である。
これは、本発明の組成物が高温での圧縮永久歪が小さいため、組み立て後に加熱・滅菌処理が行なわれても嵌合強度やシール性が損なわれないためである。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を用いて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
<評価方法>
測定試料は、全てインラインスクリュータイプ射出成形機(東芝機械(株)製小型射出成形機:IS90B)にて、射出圧力500kg/cm2 、射出温度220℃、金型温度30℃の条件にて成形し、120mm×80mm×2mm厚のシートの横方向打ち抜きにより作成した。
【0028】
(1)柔軟性
JIS−K6301に準拠し、JIS−A硬度を測定した。
(2)ゴム弾性
JIS−K6301に準拠し、70℃、100℃、および130℃における圧縮永久歪み(22時間)〔%〕を測定した。
(3)機械的強度
3号ダンベルで打ち抜き、JIS−K6301に準拠し、引張破断点強度〔kg/cm2 〕を測定した。
(4)軟化剤のブリード
射出成形シートを常温下で30日間静置した後に表面のベタツキの有無を目視にて評価した。
(5)成形加工性
上記の成形条件で得られた射出成形シートにおいて、ショートショットが無く、かつフローマーク等の著しい外観不良が無い場合、成形加工性を良好とした。
【0029】
<配合成分>
実施例および比較例で用いた各配合成分は次の通りである。
(イ)成分(イ−1〜イ−3)
モノビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物のブロック構造、重合体ブロック(A)および(B)を構成する単量体、重合体ブロック(A)の含有量、重量平均分子量、分子量40万以上の重合体含有量、分子量20万以下の重合体含有量は表1に示す通りである。
【0030】
【表2】
【0031】
【0032】
<実施例1〜4および比較例1〜4>
表2に示す配合量(重量部)にて配合した組成物の合計量100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤(商品名「イルガノックス1010」)0.05重量部を添加し、L/D=33、シリンダー径45mmの二軸押出機を用いて200℃の温度にて溶融混練して熱可塑性エラストマー組成物を得た。
この組成物を用いて前記の通り射出成形を行なってシートとし、得られたシートを上記の評価に供した。これらの評価結果を表2に示す。
【0033】
<結果の評価>
表2に示す実施例1〜4の結果から、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、比較例1〜4に比べて柔軟性、ゴム弾性、機械的強度、成形加工性のバランスに優れ、かつ軟化剤のブリードが無く、さらに70℃での圧縮永久歪は同等であるものの、100℃以上の圧縮永久歪が、比較例の59〜67%に対して、49〜55%(100℃)、或いは比較例の72〜83%に対して61〜66%(130℃)と、著しく優れていることがわかる。
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、ゴム弾性、機械的強度および成形加工性に優れ、かつ軟化剤のブリードが無く、高温におけるゴム弾性に著しく優れている。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記のような優れた特性を有しているので、食品用途、日用雑貨用途、玩具・運動用具用途、デスクマットなどの文具用途、自動車内外装用途、土木シート・防水シートなどの土木・建築用途、AV・家電機器用途、OA・事務機器用途、衣料・履物用途、テキスタイル用途、カテーテルや医療機器のガスケット・キャップ類等の医療用途、紙オムツ・生理用品等の衛生用品、化学・鉱工業用資材、包装輸送用資材、農・畜・水産資材等の分野で広く用いることができる。
特に本発明の組成物に基づく成形品は加熱滅菌処理が施されるような医療機器用に用いると上述の効果が顕著に発揮されて好適である。
Claims (5)
- 下記(イ)、(ロ)、(ハ)の三成分を含有し、かつ(イ)/(ロ)の割合が20/80〜80/20(重量比)であって、(イ)と(ロ)との合計量を100重量部とした時に、(ハ)を1〜300重量部含むことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
(イ)重量平均分子量(以下「Mw」と記す)が20万〜45万のブロック共重合体の水素添加物であって、該ブロック共重合体中のMwが40万以上の重合体の割合が5重量%以上、かつMwが20万以下の重合体の割合が20重量%以下である、下記一般式(1)又は(2)で示されるブロック共重合体の水素添加物。
【化1】
A−(B−A)n (1)
【化2】
(A−B)n (2)
式中Aはモノビニル芳香族炭化水素単位からなる重合体ブロック、Bは共役ジエン単位からなる重合体ブロックであり、nは1〜5の整数を示す。
(ロ)ゴム用軟化剤
(ハ)オレフィン系重合体 - (イ)成分のブロック共重合体におけるモノビニル芳香族炭化水素単位がスチレンであり、共役ジエン単位がブタジエン、又はイソプレン、又は両者の混合物である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- (ハ)成分のオレフィン系重合体がプロピレン系重合体である請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- (ハ)成分のオレフィン系重合体がプロピレン単独重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、及びエチレン−プロピレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少くとも1種のオレフィン系重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる医療機器用成形品。
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