JP3578048B2 - 車両の電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵ハンドルの回動操作に対してアシスト力を付与する電動モータを備えた車両の電動パワーステアリング装置に係り、特に、特定部位の温度を推定する手段を備えた電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電動モータの温度を推定し、同推定した温度に基づいて電動モータに流れるモータ電流を制限し、これにより電動モータの過熱を防止するように構成された電動パワーステアリング装置が知られている。ところで、電動モータへの通電制御が終了されて電源供給が遮断されると電動モータの温度が低下するが、この電源供給遮断中は、電気制御ユニットの電源供給も遮断されるので、電動モータの温度を推定することができない。このため、電源を再投入したときには、電源供給の遮断前に推定していた推定温度に基づいて上記モータ電流の制限が行われることになる。ところが、電動モータの温度は、電源供給遮断前の電動モータの温度や、電源供給を遮断していた時間(冷却時間)等に応じて変化するから、電源供給の遮断前に推定していた推定温度と電源を再投入したときの電動モータの温度とは大きく異なることがある。この結果、電動モータの過熱を招いたり、アシスト力が不足してしまう等の問題がある。
【0003】
これに対し、例えば特開平6−247324号公報に開示された装置は、電動モータへの電源供給遮断後(即ち、電気制御ユニットによる通電制御終了後)においても電動モータの温度が低下するまでは電気制御ユニットに電源の供給を継続し、これにより電動モータの温度の推定を継続するとともに、電気制御ユニットの電源遮断中において同推定温度を保持し、電動モータ及び電気制御ユニットの電源の再投入時には、前記保持した推定温度に基づいてモータ電流を制限するようになっている。
【0004】
このようにすれば、電動モータの温度が低下するまでは電動モータの温度推定がなされるから、電動モータの温度が十分に低下していない段階で電動モータに対し電源が再投入されて同電動モータへの通電が開始されたときは、正確な推定温度に基づいてモータ電流を制限することができる。また、電動モータの温度が低下した後は電動モータの温度推定はなされないが、その時点(電気制御ユニットの電源遮断時)の推定温度は十分に小さい値となっているので、電源が再投入されたときに電動モータの電流が制限され難く、その結果、アシスト力が不足してしまうという事態も回避することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、電動モータへの電源供給遮断後(電気制御装置の通電制御終了後)においても同電動モータの温度が低下するまでは電気制御ユニットに電源の供給を継続しているため、車両バッテリの負担が大きくなるという問題がある。
【0006】
【本発明の概要】
本発明は、上記課題に対処するためになされたものであり、その特徴は、操舵ハンドルの回動操作に対するアシスト力を発生する電動モータと、車両の運転状態に基づいて前記電動モータに流す電流量を決定するとともに同決定した電流量に応じた電流を前記電動モータに通電する通電制御を行う電気制御ユニットとを備えるとともに、前記電気制御ユニットは、前記電動モータ又は同電気制御ユニットの特定部位の温度を直接検出する温度検出手段と、前記電動モータ又は同電気制御ユニットの前記特定部位と異なる部位の温度を推定する温度推定手段とを含んでなる車両の電動パワーステアリング装置において、前記温度推定手段は、前記電気制御ユニットによる前記通電制御の終了時における前記温度検出手段の検出温度と同電気制御ユニットによる前記通電制御の開始時における同温度検出手段の検出温度とに基づいて前記特定部位と異なる部位の温度を推定するように構成されたことにある。
【0007】
これによれば、電気制御ユニットによる前記通電制御の終了時(電動モータの電源供給遮断時)における前記温度検出手段の検出温度と同電気制御ユニットによる前記通電制御の開始時(電動モータの電源再投入時)における同温度検出手段の検出温度とに基づいて前記特定部位と異なる部位の温度を推定する。従って、電源遮断期間における電動モータの温度の変化を精度良く推測することが可能となり、前記通電制御開始時の電動モータの温度を精度良く推定することができる。この結果、通電制御開始時に適切なモータ電流の制御を行うことができ、電動モータの過熱やアシスト力不足を回避することが可能となる。また、前記通電制御終了後において電気制御ユニットへの電源の供給を電動モータの温度が十分に低下するまで継続する必要がないので、車両に搭載されたバッテリの負担を小さくすることができる。
【0008】
なお、上記特徴を有する電動パワーステアリング装置において、前記温度推定手段は、前記電気制御ユニットによる通電制御の終了時に推定されている同推定温度にも基づいて、同電気制御ユニットによる通電制御の開始時における前記特定部位と異なる部位の温度を推定するように構成されることが好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明すると、図1は本発明による電動パワーステアリング装置の概略をブロック図により示していて、この電動パワーステアリング装置は、電気制御回路10と、駆動回路20と、同駆動回路20により通電制御される直流電動モータ30とを備えている。電気制御回路10と駆動回路20は、電気制御ユニット25を構成している。
【0015】
電動モータ30は、操舵ハンドル(ステアリングホイール)31の回動操作による前輪の操舵に対してアシスト力を付与するもので、減速機構32を介して操舵軸33にトルク伝達可能に取付けられていて、その回転に応じてラックバー34を軸線方向に駆動し、同ラックバー34にタイロッドを介して連結されている前輪を操舵する。前記操舵軸33には操舵トルクセンサ35が組みつけられていて、同操舵トルクセンサ35は操舵軸33に作用する操舵トルクTMを検出して同トルクを表す操舵トルク信号を出力する。
【0016】
次に、図1に示した電動パワーステアリング装置の電気制御ユニット25の詳細について図2を参照しつつ説明すると、電気制御回路10は、CPU11と、入力インターフェース12と、出力インターフェース13と、EEPROM14(Electrical Erasable PROM)とから構成されるマイクロコンピュータであって、CPU11は、後述するプログラム及びマップ等を記憶したROM(図示省略)、及びCPU11によるプログラムの実行時に一時的に演算値を記憶するRAM(図示省略)からなるメモリ11aを内蔵している。
【0017】
入力インターフェース12は、バスを介してCPU11に接続されるとともに、前述した操舵トルクセンサ35、車速Vを検出する車速センサ41、エンジン回転数NEを検出するエンジン回転数センサ42、及び駆動回路20のプリント基板上に配設され同プリント基板の温度TMPBORDを検出する基板温度センサ23と接続され、CPU11に対し各センサの検出信号を供給するようになっている。なお、基板温度センサ23は、電気制御ユニット25の特定部位の温度を直接検出する温度検出手段を構成している。
【0018】
出力インターフェース13は、バスを介してCPU11に接続されるとともに、駆動回路20、及び常開(ノーマリー・オープン)型のリレー21に接続されていて、CPU11からの指令に基づきこれらの導通状態を変更する信号を送出するようになっている。また、EEPROM14は、車両バッテリ50からの電源の供給を受けない状態においてもデータを記憶・保持する記憶手段であり、バスを介してCPU11と接続されていて、電源が供給されている状態にて同CPU11から供給されるデータを格納するとともに、CPU11の要求に応じて保持しているデータを同CPU11に供給するようになっている。
【0019】
駆動回路20は、ゲートが出力インターフェース13にそれぞれ接続されたMOSFETからなる4個のスイッチング素子Tr1〜Tr4と、2つの抵抗20a,20bと、前述した基板温度センサ23とを備えている。抵抗20aの一端は、車両に搭載されたバッテリ50の電源ラインLに上流側端子が接続された前記リレー21の下流側端子に接続されていて、同抵抗20aの他端はスイッチング素子Tr1,Tr2の各ドレインに接続されている。スイッチング素子Tr1,Tr2のソースは、スイッチング素子Tr3,Tr4のドレインにそれぞれ接続され、同スイッチング素子Tr3,Tr4のソースは抵抗20bを介して接地されている。また、スイッチング素子Tr1とTr3との間は電動モータ30の一側に接続され、スイッチング素子Tr2とTr4との間は電動モータ30の他側に接続されている。なお、電動モータ30の両端、及び抵抗20bとスイッチング素子Tr3,Tr4との間は入力インターフェース12に接続されていて、これによりCPU11が電動モータ30のモータ端子間電圧Vtとモータ電流値IMOTRとを検出し得るようになっている。
【0020】
以上の構成により、駆動回路20(即ち、電動モータ30)はリレー21がオン(閉成)したときにバッテリ50から電源の供給を受け得る状態となり、スイッチング素子Tr1,Tr4が選択的に導通状態(オン状態)とされたとき、電動モータ30に所定の方向の電流が流れて同電動モータ30は右回転し、スイッチング素子Tr2,Tr3が選択的に導通状態とされたとき、電動モータ30に前記所定の方向と反対方向の電流が流れて同電動モータ30は左回転する。また、リレー21がオフ(開成)したときには電動モータ30の電源供給経路が遮断され、同電動モータ30への通電は停止する。
【0021】
前記バッテリ50の電源ラインLには、運転者によりオン(閉成)状態又はオフ(開成)状態に切換えられるイグニッションスイッチ(IGスイッチ)22の一端が接続されている。イグニッションスイッチ22の他端はダイオードD1を介してCPU11、入力インターフェース12、出力インターフェース13、EEPROM14、及び操舵トルクセンサ35に接続されていて、イグニッションスイッチ22がオン状態とされたとき、それぞれに電源が供給されるようになっている。また、ダイオードD1の下流は、リレー21の下流側から前記ダイオードD1の下流側へ向う電流のみを許容するダイオードD2を介して前記リレー21の下流側端子と接続されていて、リレー21がオン状態とされたときは、イグニッションスイッチ22の状態にかかわらず、CPU11、入力インターフェース12、出力インターフェース13、EEPROM14、及び操舵トルクセンサ35にリレー21を介して電源が供給されるようになっている。
【0022】
次に、上記のように構成した電動パワーステアリング装置の作動について、図3〜図10を参照しつつ説明する。CPU11は、イグニッションスイッチ22が「オン」状態とされ、図示しないイニシャルルーチンにてエンジン回転数NEに基づいてエンジンの始動を確認すると、リレー21を「オン」するとともに、図3に示したメインルーチンを繰り返し実行するようになる。
【0023】
即ち、CPU11は、所定のタイミングにて、ステップ300から処理を開始し、ステップ310にて基本目標電流値TKの演算を行う。この演算は、操舵トルクセンサ35のから得られる操舵トルクTMと、車速センサ41からの車速Vと、メモリ11aに記憶されているステップ310中に図示した基本目標電流マップ(テーブル)とに基づいて、その時点の基本目標電流値TKを求めるものである。この基本目標電流マップは車速別(この場合、低車速、中車速、高車速)に区分されていて、CPU11は、実際の車速Vに最も近い車速及び次に近い車速に対応した2つの基本目標電流マップ(車速Vと基本目標電流値TKとの関係線)から、それぞれ基本目標電流値TKを求め、それらを車速Vに関して補間計算して最終的な基本目標電流値TKを決定する。
【0024】
次いで、CPU11はステップ320に進み、補正値THを演算する。この補正値THには、モータの慣性感等を低減して操舵フィーリングを向上するための慣性補償電流値TKAN等が含まれる。慣性補償電流値TKANは、例えば、操舵トルクセンサ35からの操舵トルクTMの時間微分値(dTM/dt)を求め、図4に示したマップと同操舵トルクTMの時間微分値とから、同操舵トルクTMの時間微分値が大きいほど大きくなる慣性補償電流基本値TKANBを求めるとともに、図5に示したマップと実際の車速Vとからゲインk1を求め、これらの積(=k1・TKANB)を最終的な慣性補償電流値TKANとすることにより求められる。CPU11は、慣性補償電流値TKANに加え、他の補正値を求め、これらの補正値の和を補正値THとする。そして、CPU11はステップ330に進み、基本目標電流値TKと補正値THとの和を指令電流値ICTRLとして設定する。
【0025】
次いで、CPU11はステップ340に進み、モータコイル温電流制限値ILTCOILを演算する。具体的には、CPU11は図6に示したサブルーチンをステップ600から開始し、ステップ605に進んで電動モータ30のコイルの温度を推定した推定温度TMPINFを下記数1により計算する。なお、数1において、αは0〜1の所定の定数であり、TMPINFLはこの時点で有している(前回の)推定温度である。
【0026】
【数1】
TMPINF=α・(TMPINFL)+(1−α)・(IMOTR)2
【0027】
次いで、CPU11はステップ610に進み、前回の推定温度TMPINFLに上記計算された推定温度TMPINFを書き込み、次回の上記ステップ605の実行に備える。次に、CPU11はステップ615に進んで、推定温度TMPINFが所定の過熱状態判定値TMPHANより大きいか否かを判定する。そして、推定温度TMPINFが過熱状態判定値TMPHANより大きい場合には、ステップ615にて「Yes」と判定してステップ620に進み、その時点のモータコイル温電流制限値ILTCOILから所定値β(正の値)を減算した値を新たなモータコイル温電流制限値ILTCOILとして設定する。一方、推定温度TMPINFが過熱状態判定値TMPHANより大きくない場合には、ステップ615にて「No」と判定してステップ625に進み、その時点のモータコイル温電流制限値ILTCOILに所定値βを加算した値を新たなモータコイル温電流制限値ILTCOILとして設定する。
【0028】
次に、CPU11はステップ630に進み、モータコイル温電流制限値ILTCOILを最小値及び最大値によりガードし、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。その後、CPU11は、図3のステップ350に進んでモータ電流最終出力値IFINALを演算する。
【0029】
具体的には、CPU11は図7に示したモータ電流最終出力値演算ルーチンの処理をステップ700から開始し、ステップ705にて指令電流値ICTRLの絶対値がモータコイル温電流制限値ILTCOILより大きいか否かを判定する。そして、指令電流値ICTRLの絶対値がモータコイル温電流制限値ILTCOILよりも大きいときは、ステップ710に進んで同指令電流値ICTRLの正負を判定し、正であるときにはステップ715にて最終アシスト電流値IFINALをモータコイル温電流制限値ILTCOILとし、負であるときにはステップ720にて最終アシスト電流値IFINALをモータコイル温電流制限値ILTCOILの符号を反転した値(‐ILTCOIL)とした後、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0030】
一方、ステップ705にて指令電流値ICTRLの絶対値がモータコイル温電流制限値ILTCOILよりも小さいと判定されるときは、ステップ725にて最終アシスト電流値IFINALをアシスト電流値ICTRLとし、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。以上によりモータコイル温電流制限値ILTCOILによる制限がなされたモータ電流最終値IFINALが決定される。
【0031】
その後、CPU11はステップ360に進み、上記最終アシスト電流値IFINALに基づき、周知のPID制御、及びPWM制御を実施してスイッチング素子Tr1〜Tr4の各々の通電時間を決定し、これに応じて駆動回路20に制御信号を発生する。その結果、電動モータ30にはモータ電流最終値IFINALに応じた電流が流され、同電流に応じたアシスト力が操舵軸33に付与される。次いで、CPU11はステップ395にて本ルーチンを一旦終了し、所定時間後に再び同ルーチンをステップ300から開始する。
【0032】
次に、イグニッションスイッチ22が「オン」から「オフ」に変更されたときに、CPU11が実行するイグニッションスイッチオフ時処理(通電終了時処理)について図8に示したルーチンを参照して説明する。
【0033】
先ず、イグニッションスイッチ22が「オン」から「オフ」へと変更されると、CPU11はステップ800から処理を開始してステップ805に進み、同ステップ805にて、基板温度センサ23から得られるプリント基板温度TMPBORDを第1検出温度T1とし、この第1検出温度T1をEEPROM14の所定アドレスに格納する。次いで、CPU11はステップ810に進み、上記図6に示したステップ605にて演算されている推定温度TMPINFを第1推定温度TG1とし、この第1推定温度TG1をEEPROM14の所定アドレスに格納し、ステップ815に進む。
【0034】
CPU11は、ステップ815にてタイマのタイマ値をリセットするとともに同タイマによる計時を開始し、続くステップ820にて同タイマ値が所定時間t0以上となったか否かをモニタする。そして、タイマのリセットスタート時点から所定時間t0が経過すると、CPU11はステップ820にて「Yes」と判定してステップ825に進み、基板温度センサ23から得られるプリント基板温度TMPBORDを第2検出温度T2とし、この第2検出温度T2をEEPROM14の所定アドレスに格納する。次いで、CPU11はステップ830に進み、この時点において上記ステップ605にて演算されている推定温度TMPINFを第2推定温度TG2とし、この第2推定温度TG2をEEPROM14の所定アドレスに格納する。
【0035】
次に、イグニッションスイッチ22が「オフ」から「オン」に変更されたときに、CPU11が実行するイグニッションスイッチオン時処理(通電開始時処理)について図9に示したルーチンを参照して説明する。なお、図9に示したルーチンは、電動モータ30のコイルという特定部分の温度を推定する温度推定手段を構成している。
【0036】
先ず、イグニッションスイッチ22が「オフ」から「オン」へと変更されると、CPU11はステップ900から処理を開始してステップ905に進み、その時点で基板温度センサ23から得られるプリント基板温度TMPBORDを第3検出温度T3として取り込む。
【0037】
次いで、CPU11はステップ910に進み、EEPROM14内に保持されている前記第1,第2検出温度T1,T2とに基づいて、メモリ11a内に記憶されているプリント基板の複数の冷却曲線の中から同第1,第2検出温度T1,T2と適合する冷却曲線の一つを選択する。この冷却曲線は、電気制御ユニット25のプリント基板の冷却特性を示すものであり、より具体的には、電動モータ30への電源供給を遮断し、スイッチング素子Tr1〜Tr4を全て「オフ」状態とした場合、即ち、電動モータ30に電流を全く通電しない場合において、同電気制御ユニット25のプリント基板の温度変化を経過時間に対応させて示す(予め実験により決定されている)曲線である。そして、CPU11は選択されたプリント基板の冷却曲線と、上記第2検出温度と、上記取り込んだ第3検出温度とから、第2検出温度T2をEEPROM14内に格納した時点、即ち、図8に示したイグニッションスイッチオフ時制御のステップ835にてリレー21をオフとした時点からの経過時間(冷却時間)tを推定する。
【0038】
次に、CPU11はステップ915に進み、現時点における電動モータ30のコイルの温度を第3推定温度T3として推定する。具体的には、EEPROM14内に保持されている前記第1,第2推定温度TG1,TG2とに基づいて、メモリ11a内に記憶されている電動モータ30のコイルの冷却曲線の中から同第1,第2推定温度TG1,TG2と適合する冷却曲線の一つを選択する。この冷却曲線は、電動モータ30のコイルの冷却特性を示すものであり、電動モータ30への電源供給を遮断した場合において、同電動モータ30のコイルの温度変化を経過時間に対応させて示すものである。そして、CPU11は選択された電動モータ30のコイルの冷却曲線と、上記第2推定温度TG2と、上記ステップ910にて推定した経過時間tとから、現時点における電動モータ30のコイルの温度を第3推定温度TG3として推定する。
【0039】
次いで、CPU11はステップ920に進み、第3推定温度TG3を、現時点における電動モータ30のコイルの温度を表すとともに上記図6のルーチンのステップ605にて使用される(前回の)推定温度TMPINFLに書き込み、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0040】
以上、説明したように、上記実施形態によれば、リレー21が「オフ」とされた時点(電気制御ユニット25の通電制御終了時)の直接的な温度の計測値である電気制御ユニット25のプリント基板温度TMPBORD(第1,第2検出温度T1,T2)、イグニッションスイッチ22が再投入された時点(電気制御ユニット25の通電制御開始時)のプリント基板温度TMPBORD(第3検出温度T3)、及び第1,第2検出温度T1,T2により特定される同プリント基板の冷却曲線とに基づいて、電気制御ユニット25の通電制御終了時から通電制御開始時までの冷却時間tを推定し、この推定した冷却時間t、電気制御ユニット25の通電制御終了時の電動モータ30のコイル温度TMPCOIL(推定温度TG1,TG2)、及び推定温度TG1,TG2により特定される電動モータ30のコイルの冷却曲線とから、通電制御開始時(再開時)における電動モータ30のコイル温度TMPCOIL(推定温度TG3)を推定しているので、通電制御開始時における電動モータ30のコイル温度TMPCOILを精度よく推定することができる。また、イグニッションスイッチ22が「オン」から「オフ」されてから所定時間t0が経過した時点にて、電気制御ユニット25の電源の供給を遮断(リレー21を「オフ」)することができるので、車両のバッテリ50に過大な負担を与えることがないという効果を奏する。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態においては、プリント基板、及び電動モータ30のコイルの冷却曲線を選択するために、図8のステップ805,825にて異なる時刻におけるプリント基板温度TMPBORDを第1,第2検出温度T1,T2としてEEPROM14に格納するとともに、電動モータ30の推定温度TMPINFを第1,第2推定温度TG1,TG2としてEEPROM14に格納したが、図8のステップ815〜830までを省略することで、第1検出温度T1,第1推定温度TG1のみを同EEPROM14に格納し、同第1検出温度T1及び同第1推定温度TG1のみから、プリント基板及び電動モータ30のコイルの冷却曲線を選択するように構成することもできる。この場合には、イグニッションスイッチ22の「オン」から「オフ」への変更時点にて直ちに電気制御ユニット25への電源の供給を遮断することができるので、車両のバッテリ50に対する負担を一層軽減することができる。
【0042】
他方、イグニッションスイッチ22の「オン」から「オフ」への変更後において、3つ以上の異なるタイミングにて、プリント基板温度TMPBORD、及び推定温度TMPINFをEEPROM14に格納し、これらから上記各冷却曲線を選択するように構成することもできる。この場合には、冷却曲線の選択精度が向上することから、通電制御開始時における電動モータ30のコイル温度をより精度高く推定することが可能となる。
【0043】
また、上記実施形態においては、上記数1に示された方法で、電動モータ30の温度を推定していたが、この他の推定方法を用いることもできる。更に、上記実施形態は、電動モータ30のコイル温度を推定するものであったが、他に電動モータ30のヒートマス温度等、電動モータ30及び電気制御ユニット25等により構成される電動パワーステアリング装置の特定個所の温度を推定する場合にも、本発明を適用することができる。また、上記実施形態においては、図9のステップ910,915に示した冷却曲線により冷却時間t、推定温度TG3を求めていたが、所定の関数を用いてこれらを求めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電動パワーステアリング装置の一実施形態を示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示した電動パワーステアリング装置の電気回路図である。
【図3】図2に示したCPUが実行するプログラムを示すフローチャート(メインルーチン)である。
【図4】図2に示したCPUが使用する慣性補償電流基本値のマップ(テーブル)である。
【図5】図2に示したCPUが使用する慣性補償電流基本値のゲインマップ(テーブル)である。
【図6】図2に示したCPUが実行するプログラム(モータコイル温電流制限値演算ルーチン)を示すフローチャートである。
【図7】図2に示したCPUが実行するプログラム(モータ電流最終出力値演算ルーチン)を示すフローチャートである。
【図8】図2に示したCPUが実行するプログラム(イグニッションスイッチオフ時処理ルーチン)を示すフローチャートである。
【図9】図2に示したCPUが実行するプログラム(イグニッションスイッチオン時処理ルーチン)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…電気制御回路、11a…メモリ、20…駆動回路、21…リレー、22…イグニッションスイッチ、23…基板温度センサ、30…直流電動モータ、31…操舵ハンドル、32…減速機構、33…操舵軸、35…操舵トルクセンサ、50…バッテリ、Tr1〜Tr4…スイッチング素子。
Claims (1)
- 操舵ハンドルの回動操作に対するアシスト力を発生する電動モータと、
車両の運転状態に基づいて前記電動モータに流す電流量を決定するとともに同決定した電流量に応じた電流を前記電動モータに通電する通電制御を行う電気制御ユニットとを備えるとともに、
前記電気制御ユニットは、
前記電動モータ又は同電気制御ユニットの特定部位の温度を直接検出する温度検出手段と、
前記電動モータ又は同電気制御ユニットの前記特定部位と異なる部位の温度を推定する温度推定手段とを含んでなる車両の電動パワーステアリング装置において、
前記温度推定手段は、
前記電気制御ユニットによる前記通電制御の終了時における前記温度検出手段の検出温度と同電気制御ユニットによる前記通電制御の開始時における同温度検出手段の検出温度とに基づいて前記特定部位と異なる部位の温度を推定するように構成されたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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