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JP3561105B2 - p型半導体膜および半導体素子 - Google Patents

p型半導体膜および半導体素子 Download PDF

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JP3561105B2 JP33219996A JP33219996A JP3561105B2 JP 3561105 B2 JP3561105 B2 JP 3561105B2 JP 33219996 A JP33219996 A JP 33219996A JP 33219996 A JP33219996 A JP 33219996A JP 3561105 B2 JP3561105 B2 JP 3561105B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体レーザや発光ダイオードなどに用いられるp型半導体膜およびp型層を具備する半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、青色発光ダイオードや半導体レーザ用の材料としてGaNを始めとする窒化物化合物半導体が注目されており、一部では青色発光ダイオードが実現され、半導体レーザも実現されようとしている。このような素子は、p型およびn型といった異なる導電型を有する一対の材料で発光層を挟んだ、いわゆるダブルヘテロ構造を有している。なお、p型およびn型の材料のエネルギーギャップは、発光層のそれより大きい。しかしながら、このうちp型の窒化物化合物半導体層を形成する際には、特開平2−257679号公報や特開平5−183189号公報等に示されているように、有機金属気相成長法(MOCVD法)などで成膜した後、電子線照射や熱的なアニール等の工程を経なければならない。このような工程は、窒化物化合物半導体に特有である窒素空孔等の欠陥を生成することになる。そのため、p型窒化物化合物半導体層の実現は図れたものの、いまだp型キャリア濃度を上げることができず、電極の接触抵抗を含めた素子抵抗の低減を図ることができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のp型化合物半導体層の製造工程は、その目的に反するような現象を生じさせるものを含んでおり、高キャリア濃度を有するp型窒化物化合物半導体層を形成することができなかった。
そこで本発明は、高キャリア濃度のp型半導体膜、およびこれを具備する半導体素子を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、半導体膜にp型導電性を付与するためのアクセプター性不純物と、チタン、鉄、およびニッケルからなる群から選択される残留ドナーを補償するためのアクセプター性不純物とを含み、下記化学式で表わされる化合物半導体からなることを特徴とするp型半導体膜が提供される。
x In y Al z Ga (1-x-y-z) N (0≦x,y,z≦1)
【0005】
また本発明によると、p型導電性を付与するためのアクセプター性不純物と、チタン、鉄およびニッケルからなる群から選択される残留ドナーを補償するためのアクセプター性不純物とを含み、下記化学式で表わされる化合物半導体からなるp型半導体層を具備することを特徴とする半導体素子が提供される。
x In y Al z Ga (1-x-y-z) N (0≦x,y,z≦1)
さらに本発明によると、基板、n型クラッド層、p型クラッド層、および、前記n型クラッド層と前記p型クラッド層との間に設けられた活性層を具備し、前記n型クラッド層、前記p型クラッド層、および前記活性層は、下記化学式で表わされる化合物半導体からなり、前記p型クラッド層は、p型導電性を付与するためのアクセプター性不純物と、チタン、鉄およびニッケルからなる群から選択される残留ドナーを補償するためのアクセプター性不純物を含有することを特徴とする半導体レーザが提供される。
x In y Al z Ga (1-x-y-z) N (0≦x,y,z≦1)
またさらに本発明によると、基板、n型クラッド層、p型クラッド層、および、前記n型クラッド層と前記p型クラッド層との間に設けられた発光層を具備し、前記n型クラッド層、前記p型クラッド層、および前記発光層は、下記化学式で表わされる化合物半導体からなり、前記p型クラッド層は、p型導電性を付与するためのアクセプター性不純物と、チタン、鉄およびニッケルからなる群から選択される残留ドナーを補償するためのアクセプター性不純物を含有することを特徴とする発光ダイオードが提供される。
x In y Al z Ga (1-x-y-z) N (0≦x,y,z≦1)
【0006】
本発明者らは、高キャリア濃度を有するp型窒化物化合物半導体を製造し得なかった原因について鋭意検討した結果、次のような知見を得た。すなわち、窒化物化合物半導体は、本来、アクセプタとしての性質を有するMg(マグネシウム)をドーパントとして添加するのみでp型伝導を示すはずである。しかしながら、まず第1に、窒化物半導体には窒素空孔や格子間位置に入るGaが生成されやすいことから、p型化された半導体層中における残留ドナー濃度が高い。第2に、窒化物半導体中におけるMgのアクセプターレベルが、一般に考えられている半導体中のアクセプターレベルよりも著しく深い。この2つの現象のため、Mgを添加したのみでは高キャリア濃度の窒化物化合物半導体を形成することができなかった。
【0007】
したがって、通常p型化には関与しない不純物、またはアクセプター性不純物を、Mgとともに添加することによって、生成された窒素空孔によるドナーを補償することができる。すなわち、Mgを添加してp型化を付与する際に阻害となる要因を取り除くことができるので、Mgによる高キャリア濃度のp型結晶を実現することが可能となった。
【0008】
残留不純物を補償し、高キャリア濃度の結晶を実現するための不純物、またはアクセプター性不純物としては、エネルギー的に深いものを用いることが好ましい。かかる不純物を用いることによって、捕獲断面積を大きくすることができ、少ない添加量で多くの残留ドナーを補償することができる。
【0009】
なお、p型層中に残留ドナーを補償するアクセプター性不純物に加えて、さらにSiを添加した場合には、これによってMgの拡散を抑制することができ、エッチングの容易性も高められる。さらに、Siは、Mgが水素や酸素と結合することによりアクセプター化が阻害されるのを抑制するという作用も有している。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を実施例により詳細に説明する。
(実施例1)
図1は、本実施例に関わる半導体レーザ100の断面構造を示す。半導体レーザ100は、p型SiC基板101を有しており、このSiC基板101の上には格子不整合を緩和させることを目的としたGaNバッファ層102が10nmの厚さで形成されている。さらに、GaNバッファ層102の上には、p型GaN層103(2μm)、p型AlGaN層104(500nm)、InGaN活性層105(100nm)、n型AlGaN層106(500nm)、およびn型GaN層107(300nm)が順次積層されている。各層には、故意に不純物を添加することによってp型またはn型の導電性を付与している。具体的には、p型GaN103層およびp型AlGaN層104に添加した不純物は、MgおよびC(炭素)であり、n型AlGaN層106およびn型GaN層107に添加した不純物はSiである。このような不純物のうちp型層103および104中のCが、深いアクセプタレベルを形成することから残留ドナーを補償し、比較的浅いアクセプタレベルを形成するMgによる高キャリア濃度化を助ける働きをする。
【0011】
また、n型GaN層107の上には、SiO 膜110によって10μmの幅でストライプ化されたTi/Au積層電極111が形成されており、p型SiC基板101の裏面にも、同様のTi/Au積層電極111が同一の厚さで形成されている。
【0012】
以下に、半導体レーザ100の製造方法を順に説明する。
この半導体レーザ100は、周知の有機金属気相成長法(MOCVD法)による気相成長を用いて製造した。用いた原料は、有機金属原料としてのトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMI)およびビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp Mg)であり、ガス原料としてアンモニア、シランおよびプロパンである。また、キャリアガスとしては水素および窒素を用いた。
【0013】
まず、有機洗浄・酸洗浄によってSiC基板101を処理した後、このSiC基板を、MOCVD装置の反応室内に載置され、高周波によって加熱されるサセプタ上に装着した。次に、常圧で水素を20リットル/分の流量で流しながら、1200℃で約10分間、気相エッチングを施すことによって、SiC基板101の表面に形成された自然酸化膜を除去した。
【0014】
基板上への半導体層の成膜に当たっては、まず、SiC基板101を800℃まで降温し、水素、窒素、アンモニアおよびTMGを約5分間流すことにより、GaNバッファ層102を形成した。なお、水素、窒素およびアンモニアの流量はいずれも5リットル/分とし、TMGの流量は30cc/分とした。
【0015】
その後、SiC基板101を1100℃まで昇温・保持し、キャリアガスとしての水素および窒素、ガス原料としてのアンモニアおよびプロパン、有機金属原料としてのTMGおよびCp Mgを約30分間流すことにより、p型GaN層103を形成した。キャリアガスの流量はいずれも5リットル/分とし、有機金属原料の流量はいずれも30cc/分とした。また、アンモニアおよびプロパンの流量は、それぞれ5リットル/分および10cc/分とした。さらに引き続いて、これらのガスに100cc/分の流量のTMAを追加して、約8分間流すことによりp型AlGaN層104を形成した。
【0016】
InGaN活性層105の形成に当たっては、SiC基板101を800℃まで降温・保持し、窒素(10リットル/分)、アンモニア(5リットル/分)、TMG(30cc/分)、およびTMI(200cc/分)を約10分間流した。
【0017】
その後、SiC基板101を再び1100℃まで昇温・保持し、キャリアガスとしての水素および窒素、有機金属原料としてのTMGおよびTMA、ガス原料としてのアンモニアおよびシランを約8分間流すことによりn型AlGaN層106を形成した。キャリアガスの流量は、いずれも5リットル/分とし、TMGおよびTMAの流量は、それぞれ30cc/分および100cc/分とした。また、アンモニアおよびシランの流量は、それぞれ5リットル/分および1cc/分とした。これに引き続いてTMAの供給を停止し、残りのガスを約1時間流すことにより、n型GaN層107を形成した。この後、窒素のみを10リットル/分の流量で流しながら室温まで冷却して、反応室から成長ウェハーを取り出した。
【0018】
次いで、n型GaN層107上に周知の熱CVD法などを用いてSiO 膜110を0.5μmの厚さで成膜した後、このSiO 膜にフォトエッチングプロセスなどを施して幅10μmの孔を形成した。さらに、この上に周知の真空蒸着法などにより厚さ50nmのTi膜と3μmのAu膜とを順次形成して、Ti/Au積層電極111とした。これと同様の厚さのTi/Au積層電極を、SiC基板101の裏面にも形成した。
【0019】
このような素子においては、p型GaN層103およびp型AlGaN層104中にCはおよそ1×1017cm−3の濃度で含まれている。これはアンドープのGaN膜のキャリア濃度におよそ一致しているためである。なお、Mgの濃度は、p型GaN層103中では約5×1019cm−3であり、p型AlGaN層104中では約3×1019cm−3である。
【0020】
上述した例においては、p型層中の炭素濃度を上記の値に設定したが、炭素濃度はこれに限定されるものではない。残留ドナー濃度は結晶成長の条件によって異なるので、これを補償するための濃度も成長条件に応じて適宜決定することができる。しかしながら、残留ドナー濃度を補償し、p型結晶の阻害要因にならないようにするためには、炭素濃度は1×1016cm−3以上1×1019cm−3以下であることが必要であり、1×1018cm−3以下であることが望ましい。
【0021】
このようにして作製したウェハーを350μm×500μmの大きさにへき開し、レーザダイオードチップとした。このチップは活性層中のIn組成によるが、素子420nmで室温連続発振し、今回作製したものについては、Inの平均組成比が8%程度の場合に420nmで発振した。
(実施例2)
図2に、本発明の他の半導体レーザ200の断面構造を示す。半導体レーザ200は、スピネル基板201を有しており、そのスピネル基板201上にAlNバッファ層202が50nmの厚さで形成されている。さらにバッファ層202の上には、n型GaN層203(4μm)、n型AlGaN層204(500nm)、InGaN活性層205(100nm)、p型AlGaN層206(500nm)、およびp型GaN層207(300nm)が順次形成されている。各層には、故意に不純物を添加することによりp型またはn型の導電性を付与している。具体的には、p型AlGaN層206およびp型GaN層207に添加した不純物はMgおよびCd(カドミウム)であり、n型GaN層203およびn型AlGaN層204に添加した不純物はSi(ケイ素)である。このような不純物のうちp型層206および207中のCdが残留ドナーを補償する働きをする。
【0022】
p型GaN層207の上には、SiO 膜211によって10μmの幅でストライプ化されたTi/Au積層電極210が形成されている。なお、このTi/Au積層電極210は、厚さ50nmのTi膜と厚さ3μmのAu膜との積層構造からなり、これと同様の積層電極210が、エッチングにより上方の層を除去して表面を露出させたn型GaN層203の上にも形成されている。
【0023】
半導体レーザ200は、前述の(実施例1)と同様のMOCVD法により製造し、p型層に添加したCdの原料としては、ジメチルカドミウム(DMCd)を用いた。p型層中におけるCd濃度が高すぎる場合には、p型領域でキャリアが捕獲されこの領域で発光が生じ、活性層への注入が十分に行なわれないおそれがある。このため、Cd濃度は、1×1018cm−3以下であることが望ましい。しかしながら、濃度が低すぎる場合にはCdを添加する効果が現れないので1×1015cm−3以上の濃度であることが必要とされる。望ましくは1×1016cm−3以上1×1017cm−3以下であるとき、p型結晶のキャリア濃度は極大領域をもった。
【0024】
本実施例において基板として用いたスピネルは、へき開性および導電性がSiCに比べて乏しいので、閾値電流が前述の(実施例1)の場合より2割程度高くなる。しかしながらスピネルは、SiC基板に特有な貫通欠陥を有していないので、出力を3割程度高くすることが可能であった。
(実施例3)
図3に本実施例に関わる発光ダイオード300の断面構造を示す。発光ダイオード300は、サファイア基板301を有しており、サファイア基板301上には、GaNバッファ層302(20nm)、n型GaN層303(4μm)、InGaN発光層304(100nm)、p型AlGaN層305(300nm)、およびp型GaN層306(500nm)が順次積層されている。各層には、不純物を故意に添加することによってp型またはn型の導電性を付与している。具体的には、p型AlGaN層305およびp型GaN層306に添加した不純物はMgおよびFe(鉄)であり、n型GaN層303に添加した不純物はSiである。このうちp型層305および306中のFeが、残留ドナーを補償する働きをする。Feはレベルが非常に深いので、p型層中に微量含まれていればよいが、1×1013cm−3以上1×1016cm−3以下であることが望ましい。
【0025】
p型GaN層306の上には、厚さ20nmのNi膜と1μmのAu膜との積層構造からなるNi/Au積層電極310が形成されている。また、エッチングにより上方の層を除去して表面を露出させたn型GaN層303には、厚さ50nmのTi膜と2μmのAu膜との積層構造からなるTi/Auの積層構造311が形成されている。
【0026】
本実施例の発光ダイオードにおける窒化物化合物半導体の積層構造は、前述の(実施例1)と同様のMOCVD法により作製した。各層の成長膜厚は成長時間によって管理し、その後、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定した。なお、残留ドナーを補償するための不純物であるFeは、p型AlGaN層305およびp型GaN層306をエピタキシャル成長した後、イオン注入によって結晶中に導入した。また、InGaN発光層304中には発光中心としてZn(亜鉛)およびSiを導入し、その原料としてはジメチルジンク(DMZn)およびシランを用いた。
【0027】
このようにして積層構造を形成した後、p型GaN層306、p型AlGaN層305およびInGaN発光層304の一部の領域を、塩素ガスを用いたドライエッチングにより除去して、n型GaN層303を露出させ、このn型GaN層303上にn型電極311を形成した。このウェハーを350μm角の大きさにスクライブし、ステム上に設置し、ボンディング、モールドして発光ダイオードランプを得た。このランプは波長450nmで発光し、順方向電流20mAで3mW程度の出力を示した。
【0028】
本実施例においては、残留ドナーを補償する不純物としてFeをp型層に添加したが、発光中心として発光層に添加するZnをp型層305および306に微量添加しても同様の効果が得られる。ただし、Znのエネルギーレベルは鉄より浅いので、Znの濃度は1×1014cm−3以上1×1017cm−3以下とすることが望ましい。
(実施例4)
図4に本実施例に係る発光ダイオード400の断面構造を示す。発光ダイオード400は、n型SiC基板401を有しており、このSiC基板401上には、n型GaN層402(1μm)、InGaN発光層403(100nm)、p型AlGaN層404(300nm)、およびp型GaN層405(500nm)が順次形成されている。各層には、不純物を故意に添加することによってp型またはn型の導電性を付与している。具体的には、p型AlGaN層404およびp型GaN層405に添加した不純物はMgおよびTi(チタン)であり、n型GaN層402に添加した不純物はSiである。このうちp型層404および405中のTiが残留ドナーを補償する働きをする。なお、このTiは、膜成長後に蒸着・熱拡散によってp型層404および405に導入した。
【0029】
p型GaN層405の上には、厚さ50nmのTi膜と2μmのAu膜との積層構造からなるTi/Au積層電極410が形成されている。これと同様のTi/Au積層電極410は、n型SiC基板401の裏面にも形成されている。
【0030】
この発光ダイオード400は、アンモニアガスを用いたガスソースMBE法により製造した。3族用の蒸発用ルツボには、Ga(ガリウム)金属、In(インジウム)金属およびAl(アルミニウム)金属を収容し、それぞれ所定温度に加熱した。Ga金属の加熱温度は1050℃であり、In金属は750℃、Al金属は1060℃にそれぞれ加熱した。ガスの導入には、内部にアルミファイバを充填したクラッキングガスセルを使用し、500℃に加熱して、ガスを直接基板に吹き付けるようにして5cc/分の速度で供給した。
【0031】
まず、SiC基板401を有機洗浄および酸洗浄し、洗浄後の基板を、加熱可能なサセプタに装着して反応室内に導入した。その後、900℃で30分間SiC基板401を加熱し、次いで650℃の温度に保持して基板上への半導体層の成膜を行なう。
【0032】
成膜に当たっては、アンモニアガスをクラッキングガスセルから供給しながら、まずGaおよびSiのシャッタを開けて約0.5μm/時の成膜速度で膜厚1μmのn型GaN層402を形成した。次いで、InおよびGaのシャッタを開けてInGaN発光層403を形成し、さらにAl,GaおよびMgのシャッタを開けてAlGaN層404、GaおよびMgのシャッタを開けてGaN層405を順次形成した。
【0033】
これらの膜を形成した後、アンモニアガスの供給を停止し、続けて反応室内でスパッタ法等により厚さ300nmのTi膜をGaN層405の上に成膜した。その後、1000℃まで昇温し、TiをAlGaN層74およびGaN層405中に拡散させることによって、AlGaN層404およびGaN層405をp型化した。このとき、AlGaN層404およびGaN層405中へのTiの拡散量は、Ti膜の膜厚および熱処理の温度によって制御することができる。Tiのレベルは非常に深いので、TiはMgドープGaN系半導体中に微量含有されていればよい。具体的には、p型層中におけるTi濃度は、1×1013cm−3以上1×1016cm−3以下であることが望ましい。
【0034】
このようにして作製した発光ダイオード70では、Tiをp型層404および405に添加しないときと比べて発光強度に改善がみられ、光出力としては発光波長430nmで5mW程度の値が得られた。
(実施例5)
図5に、本実施例に係るZnSe系半導体レーザ500の断面構造を示す。ZnSe系材料においても、p型高キャリア濃度結晶の実現は困難であり、その阻害要因としてSe空孔が考えられる。半導体レーザ500は、GaAs基板501を有しており、このGaAs基板501上には、GaAsバッファ層502、n型ZnSe層503、CdZnSe活性層504、およびp型ZnSe層505が順次形成されている。各層は、周知のMOCVD法を用いて形成することができ、n型ZnSe層503およびp型ZnSe層505には、故意に不純物を添加することによってそれぞれの導電性を付与している。具体的には、n型ZnSe層503に添加した不純物はClであり、p型ZnSe層505に添加した不純物は窒素(N)およびヒ素(As)である。このうち、p型層505中のAsが残留ドナーを補償する働きをする。
【0035】
ZnSe系半導体層においては、残留ドナー濃度が2×1016cm−3程度であることから、p型層505に添加するAsの濃度は、1×1015cm−3以上1×1017cm−3以下であることが望ましい。このときには、p型層505は2×1018cm−3程度のキャリア濃度を有しており、波長500nmで発振した。
【0036】
上述した例においては、残留ドナーを補償する不純物としてAsを用いたが、O(酸素),P(リン),TiおよびNi(ニッケル)などを用いることも可能である。ここで挙げた不純物の好ましい濃度は、その種類によって異なり、例えば、OおよびPの場合には1×1015cm−3以上1×1017以下であることが好ましく、TiおよびNiの場合には1×1014cm−3以上1×1017cm−3以下であることが好ましい。かかる範囲の濃度で添加した場合には、前述と同等の効果が得られる。
(実施例6)
図6に、本実施例に係る4H型炭化ケイ素(SiC)による電子デバイス(MOSFET)600の断面構造を示す。図示する電子デバイス600においては、n型SiC基板601にイオン注入により2つのp型層602が離間して形成されており、このp型層602上にソースおよびドレイン電極605が設けられている。また、2つのp型層602に挟まれた領域の上には、酸化膜603を介したゲート電極604が形成されている。
【0037】
SiCには、ドナー不純物である窒素が非常に取り込まれやすく、また活性化率が非常に高いため、窒素が残留ドナーとして結晶中に存在している。これに起因して、p型高キャリア濃度結晶を作製することは困難である。SiC層にp型導電性を付与する際には、通常、AlやB(ホウ素)がアクセプター性不純物として用いられるが、同時にIn,GaおよびScなどから選択される不純物を添加することによって、残留ドナーを補償して高キャリア濃度のp型結晶を形成することができる。なお、これらの濃度としては、1×1014cm−3以上5×1016cm−3以下であることが望ましい。
【0038】
上述したような残留ドナーを補償する不純物は、例えばイオン注入によってアクセプター性不純物と同時にp型層に添加することができる。通常、SiCに不純物を注入するに当たっては、1000℃程度の温度で注入した後、1500℃以上の温度での熱処理が必要とされるが、不純物種によっては、このような高温熱処理を必要としないものもある。その場合には、まず、AlやBを高温で注入して熱処理を施し、次いで、600℃程度の温度に降温してInなどの不純物を注入することが可能である。
【0039】
また、アクセプター性不純物としてのBは、高温の熱処理時に外方拡散するおそれがあり、これを抑制するには、熱処理を施す前にIn,GaおよびScなどの残留ドナーを補償する不純物を表面に蒸着し、その後、熱処理を施すことが有効である。さらに、Bよりも2桁程度低い濃度で、第3の不純物としての酸素や水素を注入した場合にも、外方拡散を抑制することができる。
(実施例7)
図7に、本実施例に関わる半導体レーザ700の断面図を示す。半導体レーザ700は、n型SiC基板701を有しており、そのSiC基板701上に格子不整合を緩和させることを目的としたAlNバッファ層702が5nmの膜厚で形成されている。さらに、AlNバッファ層702の上に、n型GaN層703(2μm)、n型AlGaN層704(500nm)、InGaN活性層705(10nm)、p型AlGaN層706(500nm)、およびp型GaN層707(300nm)が順次形成されている。各層には、不純物を故意に添加することによってp型またはn型の導電性を付与している。具体的には、n型GaN層703およびn型AlGaN層704に添加した不純物はSiであり、p型AlGaN層706およびp型GaN層707に添加した不純物はMg、CおよびZnである。このうち、p型層706および707に添加したCが残留ドナーを補償するための不純物である。なお、p型層に同時に添加したZnもアクセプター性不純物であるため、C等、他の不純物を添加した場合と同様の効果が期待できる。ただしZnは、Mgと同時に添加した場合でもp型GaN系結晶は得られず、本発明の示す効果は見られなかった。これは、Znの不純物レベルの深さが他の不純物と比較して浅いためと思われる。
【0040】
p型GaN層707の上には、SiO 膜710によって10μmの幅でストライプ化されたNi/Au積層電極711がオーミック電極として形成されている。このNi/Au積層電極711は、厚さ200nmのNi膜と2μmのAu膜との積層構造により形成されており、これと同様の電極がn型SiC基板701の裏面にも形成されている。
【0041】
この半導体レーザ700は、前述の実施例1と同様の原料および装置を用いて製造した。なお、p型層に添加するZnの原料としてはジメチル亜鉛を用いた。このようにして作製したウェハーを350μm×500μmの大きさにへき開し、レーザダイオードチップとした。このチップは活性層中のIn組成によるが、波長410nm、電流値50mAで室温連続発振した。
(実施例8)
図8に、本実施例に関わる半導体レーザ800の断面構造を示す。半導体レーザ800は、c面を主面とするサファイア基板801を有しており、サファイア基板801上には、厚さ50nmのGaNバッファ層802が形成されている。GaNバッファ層802の上には、n型GaNコンタクト層803(2μm)、n型AlGaNクラッド層804(500nm)、InGaN活性層805(50nm)、p型AlGaNクラッド層806(500nm)、およびp型GaNコンタクト層807(300nm)が順次形成されている。各層中には、不純物を故意の添加することによってp型またはn型の導電性を付与している。具体的には、n型GaN層803およびn型AlGaNクラッド層804に添加した不純物はSiであり、p型AlGaN層806およびp型GaN層807に添加した不純物はMg、SiおよびCである。このような不純物のうち、p型層806および807に添加したCが、残留ドナーを補償する働きをする。
【0042】
p型GaN層807の上には、SiO 膜810によって10μmの幅でストライプ化されたNi/Au積層電極811が形成されている。このNi/Au積層電極811と同一の厚さのTi/Au積層電極812が、エッチングにより上方の層を除去して表面を露出させたn型GaN層803の上にも形成されている。
【0043】
以下に、半導体レーザ800の製造方法を順に説明する。
この半導体レーザ800は、周知のMOCVD法による気相成長を用いて製造した。有機金属原料としては、TMG、TMA、TMIおよびCp Mgを用い、ガス原料としては、アンモニア、SiH およびC を用いた。また、キャリアガスとして水素および窒素を用いた。
【0044】
なお、有機金属原料は上述したものに限定されず、例えば、メチル基の代わりにエチル基の結合したトリエチルガリウム(TEG)を用いることも可能である。さらに、Cp Mgの代わりにメチルビスシクロペンタジエニルマグネシウムなどを用いることも可能である。
【0045】
上述した有機金属原料のうち、SiH とC との2種類のガスを同時に用いれば、p型層にSiとCとを同時に導入することができる。なお、このように2種類の原料を用いる以外にも、ヘキサメチルジシラン((CH Si )などの有機原料を1種類のみ用いることによって、p型層中にSiとCとを同時に添加することも可能である。
【0046】
まず、有機洗浄・酸洗浄によってサファイア基板801を処理した後、このサファイア基板を、MOCVD装置の反応室内に載置され、高周波によって加熱されるサセプタ上に装着した。次に、常圧で水素を20リットル/分の流量で流しながら、温度を1200℃で約10分間、気相エッチングを施すことによって、サファイア基板801の表面に形成された自然酸化膜を除去した。
【0047】
基板上への半導体膜の成膜に当たっては、まず、サファイア基板801を550℃まで降温し、水素、窒素、アンモニアおよびTMGを約4分間流すことにより、GaNバッファ層802を形成した。なお、水素、窒素、アンモニアおよびTMGの流量は、それぞれ15リットル/分、5リットル/分、10リットル/分、および30cc/分とした。その後、TMGの供給を停止し、12分間かけて温度を1100℃まで上昇させた。
【0048】
続いて、サファイア基板801を1100℃で保持し、水素(15リットル/分)、窒素(5リットル/分)、アンモニア(10リットル/分)、TMG(100cc/分)、およびSiH (8cc/分)を約60分間流すことにより、n型GaN層803を形成した。なお、SiH は、水素によって10ppmに稀釈して用いた。さらに引き続いて、これらの原料に50cc/分の流量のTMAを追加して、約10分間流すことによりn型AlGaN層804を形成した。
【0049】
次に、サファイア基板801を800℃まで降温・保持し、窒素(20リットル/分)、アンモニア(10リットル/分)、TMG(30cc/分)、およびTMI(200cc/分)を約10分間流すことによりInGaN活性層805を形成した。
【0050】
その後、サファイア基板801を再び1100℃まで昇温・保持し、窒素(20リットル/分)、アンモニア(10リットル/分)、TMG(30cc/分)、TMA(100cc/分)、Cp Mg(150cc/分)、SiH (1cc/分)、およびC (0.2cc/分)を、約10分間流すことによりp型AlGaN層806を形成した。これに引き続いてTMAの供給を停止し、残りの原料ガスを約10分間流すことによって、p型GaN層807を形成した。
【0051】
p型層806および807中に添加されるSiは、Mgの拡散を抑制する作用を有する。また、このようにSiを添加することによって、結晶のエッチングを容易に行なうことができる。なおMgが、水素や酸素と結合した場合にはアクセプタとなることが阻害されるが、Siを添加することによって、そのような望ましくない結合を抑制することもできる。しかしながら、GaN系半導体中のSiは、それ自身がドナーとして作用するため、過剰に添加した場合にはp型化が阻害されるおそれがある。具体的には、p型層中におけるSiの濃度は6×1016cm−3以上2×1019cm−3以下であることが望ましい。一方、炭素は、同時に添加されたSiと残留ドナーとを同時に補償する必要があるので、その濃度は、1×1016cm−3以上であることが好ましい。
【0052】
この後、アンモニア(10リットル/分)、および窒素(20リットル/分)を流しながら350℃まで冷却した。さらにアンモニアの供給のみを停止した後、室温まで冷却し、反応室からウェハーを取り出した。
【0053】
次いで、p型GaN層807上に周知の熱CVD法などを用いてSiO 膜810を0.5μmの厚さで成膜し、フォトエッチングプロセスなどを施して幅150μmの縞状構造を形成した。SiO 膜810が除去されたp型GaN層807部分を、p型AlGaN層806、InGaN活性層805およびn型AlGaN層804とともに、塩素ガス等を用いたエッチングにより除去することによって、n型GaN層803の表面を露出させた。
【0054】
p型GaN層807に形成されたSiO 膜810には、フォトエッチングプロセスなどにより幅10μmの孔を形成した。この孔に周知の真空蒸着法などにより厚さ50nmのNi膜と3μmのAu膜とを順次形成してNi/Au積層電極811を形成した。また、n型GaN層803上には、厚さ50nmのTi膜と3μmのAu膜とを順次積層してTi/Au積層電極を形成した。
【0055】
なお、電極としては、P型層の上にPt,Pd,In,MgまたはTiなどと上述したNiやAuとの合金あるいは積層構造を用いることもできる。また、n型層の上には、SiまたはCrなどと上述したTiやAuとの合金あるいは積層構造を形成してもよい。
【0056】
このようにして作製したウェハーを350μm×500μmの大きさにへき開し、レーザダイオードチップとした。このチップは、活性層中のIn組成によるが、電流密度5kA/cm を流したとき、波長420nm、出力5mWで室温連続発振した。
【0057】
上述した例においては、残留ドナーを補償する不純物としてCを用いたが、Cd、Ti、Ni及びFeを用いることも可能(これら不純物の他にZnを含めることも可能)である。これらは、例えばジメチルカドミウムなどの有機金属原料を用いて、結晶成長中に導入することができる。あるいは、成長後の結晶表面にスパッタなどの方法を用いて上述した金属膜を形成し、その後、この膜を加熱することによって不純物を結晶中に拡散導入してもよい。さらに、結晶成長後にイオン注入によってこれらの原料を導入することもできる。イオン注入した場合には、結晶性が乱れることが知られているので、注入後に熱処理を施すことが好ましい。
【0058】
ここで挙げた不純物の好ましい濃度は、その種類によって異なる。例えば、Cdの場合には、1×1015cm−3以上1×1018cm−3以下であることが好ましく、Ti及びFeの場合には、1×1013cm−3以上1×1016cm−3以下であることが望ましい。またNiの場合には、1×1013cm−3以上4×1016cm−3以下であることが望ましい。いずれの不純物も上限を越えた濃度で添加されると、Mgのアクセプターへの活性化を阻害するおそれがあり、一方、不純物濃度が下限に満たない場合には、残留ドナーを補償するという効果を得ることが困難となる。
【0059】
本実施例においては、MOCVD法を用いて結晶成長を行なったが、分子線エピタキシー法(MBE法)や塩素ガスなどによる原料輸送法を用いることができる。ただし、それぞれの場合において原料を選択しなければならないことはいういまでもない。
【0060】
また、本実施例では、III−V族化合物半導体としてGaN系半導体について説明したが、これに限定されるものではない。B In Al Ga(1−x−y−z) N(0≦x,y,z≦1)で表わされる任意の化合物半導体を使用することができる。なお、GaAsやInGaPなどの半導体では、p型層中におけるSi濃度は5×1018cm−3以上であることが必要であった。この場合、Mgはアクセプターレベルが浅いことから、この程度のSi濃度でp型化を完全に阻害されることはなかった。
【0061】
さらに、上述の例では、バッファ層としてGaNを用いたが、これに限定されるものではなく、Ga Al In N(x+y+z=1)で表わされる任意の化合物半導体を使用することができる。
(実施例9)
図9に、本実施例の半導体レーザ900の断面図を示す。半導体レーザ900は、p型SiC基板901を有しており、そのSiC基板901上には、格子不整合を緩和させることを目的としたGaNバッファ層902が10nmの厚さで形成されている。さらにGaNバッファ層902の上に、p型GaN層903(2μm)、p型AlGaN層904(500nm)、厚さ20nmの井戸層と厚さ40nmの障壁層とを有する多重量子井戸(MQW)構造のInGaN活性層905、n型AlGaN層906(500nm)、およびn型GaN層907(300nm)が順次積層されている。GaN系の層902、903、904、905、906および907の全ての層には、Siが添加されており、さらにp型GaN層903およびp型AlGaN層904には、MgおよびCが添加されている。このうちp型層903および904中のCが、深いアクセプタレベルを形成することから残留ドナーを補償し、比較的浅いアクセプタレベルを形成するMgによる高キャリア濃度化を助ける働きをする。
【0062】
n型GaN層907の上には、SiO 膜910によって10μmの幅でストライプ化されたTi/Au積層電極911が形成されている。このTi/Au積層電極911は、厚さ50nmのTi膜と2μmのAu膜との積層構造により形成されており、これと同一の厚さのTi/Au積層電極911がp型SiC基板901の裏面にも形成されている。
【0063】
以下に、この半導体レーザ900の製造方法を順に説明する。
この半導体レーザ900は、周知のMOCVD法による気相成長を用いて製造した。有機金属原料として、TMG、TMA、TMIおよびCp Mgを用い、ガス原料としてアンモニア、シランおよびプロパンを用いた。また、キャリアガスとして水素および窒素を用いた。
【0064】
まず、有機洗浄・酸洗浄によってp型SiC基板901を処理した後、このSiC基板901を、MOCVD装置の反応室内に載置され、高周波によって加熱されるサセプタ上に装着した。次に、常圧で水素を20リットル/分の流量で流しつつ、1200℃で約10分間、気相エッチングを施すことによって基板表面に形成された自然酸化膜を除去した。
【0065】
基板上への半導体層の成膜に当たっては、まず、SiC基板901を800℃まで降温し、水素、窒素、アンモニア、TMGおよびシランを5分間流すことにより、GaNバッファ層902を形成した。なお、水素、窒素およびアンモニアの流量はいずれも5リットル/分とし、TMGの流量は30cc/分、シランの流量は0.2cc/分とした。
【0066】
その後、SiC基板901を1100℃まで昇温・保持し、キャリアガスとしての水素および窒素、ガス原料としてのアンモニア、プロパンおよびシラン、有機金属原料としてのTMGおよびCp Mgを約30分間流すことにより、p型GaN層903を形成した。なお、キャリアガスの流量はいずれも5リットル/分とし、有機金属原料の流量はいずれも30cc/分とした。また、アンモニア、プロパンおよびシランの流量は、それぞれ5リットル/分、10cc/分、および0.2cc/分とした。さらに引き続いて、これらのガスに100c/分の流量のTMAを追加し、約8分間流すことによりp型AlGaN層904を形成した。
【0067】
次に、SiC基板901を800℃まで降温・保持し、窒素(10リットル/分)、アンモニア(5リットル/分)、TMG(30cc/分)、シラン(0.2cc/分)を流しつつ、2種類の流量に切り替えてTMIを流して25周期の多重量子井戸を有するInGaN活性層905を形成した。なお、TMIは、200cc/分の流量での1分間の供給と、50cc/分の流量で2分間での供給とを1周期として25周期流した。
【0068】
続いて、SiC基板901を再び1100℃まで昇温・保持し、キャリアガスとしての水素および窒素、有機金属原料としてのTMGおよびTMA、ガス原料としてのアンモニアおよびシランを約8分間流すことによりn型AlGaN層906を形成した。なお、キャリアガスの流量は、いずれも5リットル/分とし、TMGおよびTMAの流量は、それぞれ30cc/分および100cc/分とした。また、アンモニアおよびシランの流量は、それぞれ5リットル/分および1cc/分とした。これに引き続いてTMAの供給を停止し、残りのガスを約1時間流すことにより、n型GaN層907を形成した。この後、窒素のみ10リットル/分の流量で流しながら室温まで冷却して、反応室から成長ウェハーを取り出した。
【0069】
続いて、n型GaN層907上に周知の熱CVD法などを用いてSiO 膜910を0.5μmの厚さで形成し、このSiO 膜にフォトエッチングプロセスなどにより幅10μmの孔を形成した。さらに、この上に周知の真空蒸着法などにより厚さ50nmのTi膜と厚さ3μmのAu膜とを順次形成してTi/Au積層電極911とした。これと同様の厚さのTi/Au積層電極911をp型SiC基板901の裏面にも形成した。
【0070】
このような素子においては、p型GaN層903およびp型AlGaN層904中にCは約1×1017cm−3の濃度で含まれている。これは、アンドープのGaN膜のキャリア濃度におよそ一致している値である。上述した例においては、p型層中の炭素濃度を上記の値に設定したが、炭素濃度はこれに限定されるものではない。残留ドナー濃度は結晶成長の条件によって異なるので、これを補償するための不純物の濃度も、成長条件に応じて適宜決定することができる。
【0071】
このようにして作製したウェハーを350μm×500μmの大きさにへき開し、レーザダイオードチップとした。このチップは、活性層中にIn組成にもよるが、波長420nmで室温連続発振した。
【0072】
上述した例においては、残留ドナーを補償する不純物としてCを用いたが、Cd、Ti又はFeを用いることも可能である。これらは、例えばジメチルカドミウムなどの有機金属原料を用いて、結晶成長中に導入することができる。あるいは、成長後の結晶表面にスパッタなどの方法を用いて上述した金属膜を形成し、その後、この膜を加熱することによって不純物を結晶中に拡散導入してもよい。さらに、結晶成長後にイオン注入によりこれらの原料を導入することもできる。イオン注入した場合には、結晶性が乱れることが知られているので、注入後に熱処理を施すことが好ましい。
【0073】
ここで挙げた不純物の好ましい濃度は、その種類によって異なる。例えば、Cdの場合には、1×1015cm−3以上1×1018cm−3以下であることが好ましく、Ti及びFeの場合には、1×1013cm−3以上1×1016cm−3以下であることが望ましい。いずれの不純物も上限を越えた濃度で添加されると、Mgのアクセプターへの活性化を阻害するおそれがあり、一方、不純物濃度が下限に満たない場合には、残留ドナーを補償するという効果を得ることが困難となる。
【0074】
また本実施例においては、SiC基板として6H型の基板を用いたが、6H型SiCとGaN系半導体との間にはエネルギーギャップ差が0.5V程度あるため、動作電圧が上昇してしまう傾向がある。そのため、エネルギーギャップ差の小さい4H型や2H型のSiCを基板として用いることがさらに好ましい。
【0075】
ここで基板として用いたSiCも、GaN系半導体と同様にエッチングするのが困難な材料である。そのため、エッチング性の容易性の向上のために窒素を1×1017cm−3以上添加することが望ましい。しかしながら、SiC中では窒素は有効なドナー不純物である。また、残留ドナーは2×1016cm−3程度の濃度で含まれている。これらのドナーをアクセプタ性不純物によって補償することによって、より高キャリア濃度のp型SiC結晶を実現することが必要である。特にp型層と基板表面の電極との界面においては、動作電圧の低減のためにその必要性が高い。このアクセプター不純物としては、Al,Ga,In,Sc,YおよびTiなどが挙げられる。このような不純物のp型層中における好ましい濃度は、その種類によって異なり、例えば、GaやScの場合には、1×1017cm−3程度とすることが好ましい。
(実施例10)
図10(a)に、本実施例の発光ダイオード1000の断面図を示す。発光ダイオード1000は、サファイア基板1001を有しており、このサファイア基板1001上には、GaNバッファ層1002が20nmの膜厚で形成されている。さらにバッファ層1002の上には、n型GaN層1003(4μm)、InGaN発光層1004(100nm)、およびp型GaN層1005(500nm)が順次積層されている。各層には、不純物を故意に添加することによってp型またはn型の導電性を付与している。具体的には、p型GaN層1005に添加した不純物は、アクセプタとしてのMgおよび残留ドナーを補償するためのCであり、n型GaN層1003に添加した不純物はドナーとしてのSiである。また、InGaN発光層1004には、発光中心としてZnおよびSiを導入した。
【0076】
p型GaN層1005上には、厚さ20nmのNi膜と1μmのAu膜との積層構造からなるNi/Auの積層電極1010が形成されている。また、エッチングによりその上方の層を除去して表面を露出させたn型GaN層1003上には、厚さ50nmのTi膜と2μmのAu膜との積層構造からなるTi/Auの積層電極1011が形成されている。
【0077】
本実施例の発光ダイオードにおける窒化物化合物半導体の積層構造は、前述の(実施例1)と同様のMOCVD法により作製した。なお、各層の成長膜厚は成長時間によって管理し、その後、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定した。
【0078】
このようにして積層構造を作製した後、p型GaN層1005およびInGaN活性層1004の一部の領域を、塩素ガスを用いたドライエッチングにより除去して、n型GaN層1003を露出させ、ここにn型電極1011を形成した。このウェハーを350μm角の大きさにスクライプし、ステム上に設置し、ボンディング、モールドして発光ダイオードランプを得た。このランプは、波長450nmで発光し、順方向電流20mAで3mW程度の出力を示した。
【0079】
本実施例のように、発光中心としてSiを用いる場合には、特にp型層/発光層界面にSiが蓄積したり、あるいはp型層へSiが拡散するおそれがある。Siの蓄積や拡散が生じると、ヘテロバリアの生成やp型層のn型反転が生じるので、かかる現象は極力避けることが望まれる。p型層中に添加するCの濃度を高めにすることによって、そのような不都合は避けることができ、具体的には、p型層中における炭素濃度は、8×1017cm−3以上とすることが好ましい。
【0080】
なお、p型層中における残留ドナーの発生要因としては、窒素空孔が挙げられる。この空孔は、As,OおよびPなどで埋めることができるものの、これらの元素が単独で添加されると、エネルギーギャップの低下や電気的な不活性の要因を生じさせてしまう。その結果、不純物を添加した効果を発揮できなくなるおそれがあるので、このような元素は、Cと同時に添加することが望まれる。また、深いレベルで形成するアクセプタ性不純物であるCd,Fe,TiおよびNiなどで、残留ドナーを補償することができる。しかしながら、これらの不純物も単独では電気的な不活性を生じさせるだけであるので、Cと同時に添加することが望まれる。
【0081】
図10(a)に示した発光ダイオードは、図10(b)に示すように変更することができる。図10(a)に示す例においては、図10(b)におけるp型GaN層1005を、p型GaN注入層1105とp型コンタクト層1106との2つの層に分けたものである。ここでは、注入層1105には不純物としてMgのみを添加し、コンタクト層1106にはMgとCとを添加した。このような構造とすることにより、コンタクト層の抵抗を下げることができるため、動作電圧の低減を図ることができる。具体的には、図10(a)に示した構造では、電流20mAにおける電圧が4Vであったのに対し、図10(b)に示した構造とすることで、3.5Vにまで低下することができた。
【0082】
さらに、コンタクト層1106にSiを添加してもよい。SiはMgの拡散を抑制したり、結晶のエッチングの容易性を増加させる働きがある。また、SiはIV族元素であるので、窒素位置に置換させることによりアクセプタとして用いることができる。このためには、通常の成長温度より低温で成長させるという手法が挙げられる。あるいは、窒素/ III族元素供給比を下げることによって、 III族元素の供給を窒素の供給より過剰にすることで III族元素位置に置換することを抑制することができる。このような成長によって、Siをアクセプタとして機能させることも可能である。
【0083】
また、Siの代わりにAs,P,O,Cd,Fe,TiまたはNiをコンタクト層1106に添加しても、同様の効果を得ることができる。
(実施例11)
図11に、本実施例に関わる半導体レーザ断面構造を示す。半導体レーザ1200は、c面を主面とするサファイア基板1201を有しており、サファイア基板1201上にはGaNバッファ層1202(約50nm)、アンドープGaN層1203(約2μm)、およびn型GaNコンタクト層1204(約4μm)が順次形成されている。さらに、n型GaNコンタクト層1204上には、n型AlGaNクラッド層1205(約0.2μm)、n型GaNガイド層1206(約0.1μm)、厚さ2nmの井戸層と4nmの障壁層とを有する多重量子井戸(MQW)構造のInGaN活性層1207、p型GaNガイド層1208(約0.1μm)、p型AlGaNクラッド層1209(約0.2μm)、p型GaN層1210(約0.5μm)、n型GaN層1211(1μm)、p型GaN層1212(約2μm)、および高濃度p型GaNコンタクト層1213(約0.2μm)が順次積層されている。
【0084】
p型GaNコンタクト層1213の上には、厚さ0.5μmのSiO 膜1220によって所定の幅にストライプ化されたPt/Ti/Pt/Au積層電極1222が形成されている。この積層電極は、厚さ約10nmのPt膜、約50nmのTi膜、約30nmのPt膜、および約1μmのAu膜を順次積層したものである。また、エッチングによりその上方の層を除去して表面を露出させたn型GaNコンタクト層1204の上には、厚さ50nmのTi膜と0.5μmのAu膜との積層構造からなるTi/Au積層電極1221が形成されている。
【0085】
図示する半導体レーザ1200においては、特に低抵抗であることが要求されるp型GaNコンタクト層1213に、不純物としてMg,SiおよびCが添加されており、これらのなかのCが残留ドナーを補償する働きをする。なお、p型GaNコンタクト層1213におけるMgの濃度は、2×1020cm−3程度であることが好ましい。Siは、前述の(実施例8)において説明したように、Mgの拡散を抑制する作用を有し、Siを添加することによって結晶のエッチングを容易に行なうことが可能となる。しかしながら、Siが過剰に添加された場合には、p型化が阻害されるおそれがあるため、p型GaNコンタクト層1213におけるSiの濃度は、6×1016cm−3以上1×1018cm−3以下であることが好ましく、1×1017cm−3以下であることが好ましい。一方、Cは同時に添加されたSiと残留ドナーとを同時に補償する必要があるので、その濃度は、1×1016cm−3以上1×1017cm−3以下であることが好ましい。
【0086】
なお、p型GaNコンタクト層1213以外のp型層、すなわちp型GaNガイド層1208、p型AlGaNクラッド層1209、p型GaN層1210、およびp型GaN層1212にも同様の不純物を添加してもよい。これによって、Mgの拡散を抑制するとともに活性化率の向上を図ることができる。
【0087】
以下に、この半導体レーザ1200の製造方法を順に説明する。
まず、有機洗浄・酸洗浄によってサファイア基板1201を処理した後、このサファイア基板1201を、MOCVD装置の反応室内に載置され、高周波によって加熱されるサセプタ上に装着した。次に、常圧で水素を10リットル/分の流量で流しつつ、1100℃で約10分間、気相エッチングを施すことによって基板表面に形成された自然酸化膜を除去した。
【0088】
基板表面への半導体層の成膜に当たっては、まず、サファイア基板1201を530℃まで降温し、水素、窒素、アンモニアおよびTMGを約4分間流すことにより、GaNバッファ層1202を形成した。なお、各ガスの流量は、水素15リットル/分、窒素5リットル/分、アンモニア10リットル/分、TMG25cc/分とした。
【0089】
次いで、水素(15リットル/分)、窒素(5リットル/分)およびアンモニア(10リットル/分)を流しながら、サファイア基板1201を1100℃に昇温した後、前述のガスにTMG(100cc/分)を追加して60分間流すことにより、アンドープGaN層1203を形成した。その後、水素で10ppmに稀釈したシラン(3cc/分)を追加して約130分間流すことによってn型GaN層1204を形成し、TMA(50cc/分)をさらに追加して約10分間流すことにより、n型GaN層1204上にn型AlGaN層1205を形成した。なお、n型AlGaN層1205におけるAlの組成比は0.15であった。
【0090】
続いて、サファイア基板1201を1100℃に保持し、水素(15リットル/分)、窒素(5リットル/分)、アンモニア(10リットル/分)およびTMG(100cc/分)を約3分間流すことにより、GaNガイド層1206を形成した。ガイド層は、光の閉じ込めを向上させる作用を有しているので、この層に微量のInを追加してもよい。ただしこの場合には、ガイド層の厚さを適宜変化させることが望まれる。
【0091】
その後、窒素(20リットル/分)およびアンモニア(10リットル/分)を流しながら、約3分間かけてサファイア基板1201を800℃まで降温した。さらに、前述のガスに加えてTMG(10cc/分)を流すとともに、2種類の流量に切り替えてTMIを流して15周期の多重量子井戸を有するInGaN層1207を形成した。なお、TMIは、50cc/分の流量で約1分間の供給と、460cc/分の流量で約30秒間の供給とを1周期として15周期流した後、最後に50cc/分の流量で3分間流した。得られた活性層1207における障壁層は、In含有量5%であってその厚さは4nmであり、井戸層はIn含有量20%であってその厚さは2nmである。
【0092】
本実施例においては、In含有量が5%のInGaNを障壁層とし、In含有量が20%のInGaNを井戸層としたが、これに限定されるものではない。多重量子井戸構造においては、障壁層のバンドギャップエネルギーが井戸層のそれよりも大きいことが必要であるため、GaNやAlGaNを障壁層として用いることもできる。この場合には、ガイド層1206および1208には、活性層の平均的な屈折率より値が小さくなるような材料系を用いることが必要である。例えば、障壁層としてGaN層を用い、井戸層としてIn含有量が20%のInGaN層を同じ厚さで形成した場合には、ガイド層としては、In含有量が10%未満のInGaN、GaN、またはAlGaNを用いることができる。ただし、この場合のIn含有量は、クラッド層よりも小さくしなければならないことはいうまでもない。
【0093】
続いて、窒素(20リットル/分)、アンモニア(10リットル/分)を流しながら、約3分間でサファイア基板1201を1100℃まで昇温した。この温度に基板を保持し、水素(15リットル/分)、窒素(5リットル/分)、アンモニア(10リットル/分)、TMG(100cc/分)およびCp Mg(50cc/分)を約3分間流すことにより、p型GaNガイド層1208を形成した。さらに、これらの原料にTMA(50cc/分)を加え、約10分間流すことによりp型AlGaNクラッド層1209を形成した。その後、TMAの供給を停止し、残りのガスを約15分間流すことによりp型GaN層1210を形成した。
【0094】
次に、Cp Mgの供給を停止し、残りのガスにシラン(3cc/分)を追加してn型GaN層1211を形成した後、TMGおよびシランの供給を停止してサファイア基板を350℃まで降温した。さらにこの温度に保持して水素およびアンモニアの供給を停止し、室温まで冷却した後、反応室から成長ウェハーを取り出した。
【0095】
続いて、熱CVD法で形成したSiO 膜およびフォトレジスト膜をマスクとして、Cl ガスを用いたエッチングによりn型GaN層1211の所定領域を5μmのストライプ幅で除去して、p型GaN層1210表面を露出させた。
【0096】
このプロセスを施したウェハーを再びMOCVD装置内のサセプタに戻して、水素(15リットル/分)、窒素(5リットル/分)、およびアンモニア(10リットル/分)を流しつつ、1100℃まで昇温した。さらにこれらのガスにTMG(100cc/分)およびCp Mg(50cc/分)を追加し、約60分間流すことによりp型GaN層1212を形成した。
【0097】
この成長過程においては、低温成長の工程を経ることが好ましい。低温成長の工程とは、まず、窒素(約20リットル/分)およびアンモニア(10リットル/分)を流しながら、約3分間かけて550℃まで昇温する。次に、この温度に基板を保持し、水素(15リットル/分)、窒素(5リットル/分)、アンモニア(10リットル/分)、TMG(25cc/分)およびCp Mg(50cc/分)を約4分間流すことにより、厚さ約50nmのp型GaN層を形成するものである。ここで形成した直後のGaN層は、c軸に配向性を有した多結晶体であった。
【0098】
上述のようにして形成されたp型GaN層1212上には、窒素(20リットル/分)、アンモニア(10リットル/分)、TMG(100cc/分)、Cp Mg(150cc/分)、シラン(1cc/分)、およびプロパン(2cc/分)を6分間流すことにより、p型GaNコンタクト層1213を形成した。このようにコンタクト層にSiおよびCを添加することにより、活性化率は約3倍に向上し、またMgの拡散も、これらを添加しない場合よりも抑制された。この後、窒素のみを10リットル/分の流量で流しながら室温まで冷却し、反応室から成長ウェハーを取り出した。
【0099】
p型GaNコンタクト層1213上には、周知の熱CVD法などを用いて、厚さ0.5μmのSiO 膜1220を形成し、フォトエッチングプロセスなどによりSiO 膜の一部を除去した。このSiO 膜1220およびフォトエッチングマスクとしてのレジストパターンをエッチングマスクとして、塩素ガス等による反応性イオンエッチング法を用いて上方の層を除去して、n型GaN層1204表面を露出させた。
【0100】
n型GaN層1204表面の一部には、周知の真空蒸着法やスパッタ法などを用いて、厚さ50nmのTi膜と0.5μmのAu膜との積層構造を形成し、窒素雰囲気中、450℃で約30秒間の熱処理を施すことによりn側電極1221を形成した。
【0101】
一方、p型GaN層1213のほぼ全面には、周知の真空蒸着法やスパッタ法などを用いて、厚さ約10nmのPt膜、約50nmのTi膜、約30nmのPt膜、および約1μmのAu膜を積層し、窒素雰囲気中、300℃で約30秒間熱処理を施すことによりp側電極1222を形成した。なお、ここでは、p側電極としてPt/Ti/Pt/Auの積層構造を用いたがこれに限定されず、例えば、Al,Ag,Ni,Cr,Mg,Si,Zn,Be,Ge,In,Pd,およびSnなどを用いてもよい。これらの金属は、単層、積層構造、あるいは合金として用いることができる。
【0102】
上述のようにして形成されたの電極1221および1222の上には、ボンディングの密着性を高めるために、厚さ約5nmのCr膜と、約1μmのAu膜とを順次積層し、電極パッドを形成した。ここにAuなどによるボンディングすることによって素子は動作する。
【0103】
電極形成まで終了した素子は、サファイア基板1201の裏面(素子が形成された側と反対側の面)を60μm以下の厚さまで研磨し、基板側からのラインスクライブ、およびへき開により約500μm×1mmの大きさに素子を分離した。このとき、レーザの端面は、GaN系材料のA面、すなわち(11−20)面となるようにした。
【0104】
この後、レーザの端面となる面にSiO 膜とTiO 膜との多層膜を形成し、レーザの端面反射率の向上を図った。
このようにして作製した半導体レーザ1200は、しきい電流密度3kA/cm で動作した。発振波長は、活性層1207の平均的なIn組成に依存するが、390〜450nmの波長で発振させることが可能である。
【0105】
なお、本実施例の段差構造は、エッチングによって作製したが選択成長によって作製することも可能である。
以上、特定のp型半導体層を有する半導体素子を例に挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されず、p型導電性を付与するためのアクセプター性不純物に加えて、残留ドナーを補償するためのアクセプター性不純物をさらに含むp型半導体膜は、本発明の範囲である。
【0106】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、わずかな不純物を同層に存在せしめることにより高キャリア濃度のp型結晶が実現できるため、素子の効率を上げることができる。このことは、素子の信頼性の向上にもつながり、またp型半導体膜を有する全ての素子に適用し得るので、その工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のGaN系半導体レーザの一例を示す断面図。
【図2】本発明のGaN系半導体レーザの他の例を示す断面図。
【図3】本発明のGaN系発光ダイオードの一例を示す断面図。
【図4】本発明のGaN系発光ダイオードの他の例を示す断面図。
【図5】本発明のZnSe系半導体レーザの一例を示す断面図。
【図6】本発明の4H型SiCによるMOSFETの一例を示す断面図。
【図7】本発明のGaN系半導体レーザの他の例を示す断面図。
【図8】本発明のGaN系半導体レーザの他の例を示す断面図。
【図9】本発明のGaN系半導体レーザの他の例を示す断面図。
【図10】本発明の発光ダイオードの他の例を示す断面図。
【図11】本発明の半導体レーザの他の例を示す断面図。
【符号の説明】
100…半導体レーザ
101…p型SiC基板
102…GaNバッファ層
103…p型GaN層
104…p型AlGaN層
105…InGaN活性層
106…n型AlGaN層
107…n型GaN層
110…SiO
111…Ti/Au積層電極

Claims (10)

  1. 半導体膜にp型導電性を付与するためのアクセプター性不純物と、チタン、鉄、およびニッケルからなる群から選択される残留ドナーを補償するためのアクセプター性不純物とを含み、下記化学式で表わされる化合物半導体からなることを特徴とするp型半導体膜。
    x In y Al z Ga (1-x-y-z) N (0≦x,y,z≦1)
  2. 前記p型導電性を付与するためのアクセプター性不純物は、マグネシウムである請求項1に記載のp型半導体膜。
  3. p型導電性を付与するためのアクセプター性不純物と、チタン、鉄およびニッケルからなる群から選択される残留ドナーを補償するためのアクセプター性不純物とを含み、下記化学式で表わされる化合物半導体からなるp型半導体層を具備することを特徴とする半導体素子。
    x In y Al z Ga (1-x-y-z) N (0≦x,y,z≦1)
  4. 前記p型導電性を付与するためのアクセプター性不純物は、マグネシウムである請求項3に記載の半導体素子。
  5. 前記p型半導体層中に、さらにケイ素を含有する請求項3または4に記載の半導体素子。
  6. 前記p型半導体層は、コンタクト層であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の半導体素子。
  7. 基板、n型クラッド層、p型クラッド層、および、前記n型クラッド層と前記p型クラッド層との間に設けられた活性層を具備し、
    前記n型クラッド層、前記p型クラッド層、および前記活性層は、下記化学式で表わされる化合物半導体からなり、前記p型クラッド層は、p型導電性を付与するためのアクセプター性不純物と、チタン、鉄およびニッケルからなる群から選択される残留ドナーを補償するためのアクセプター性不純物を含有することを特徴とする半導体レーザ。
    x In y Al z Ga (1-x-y-z) N (0≦x,y,z≦1)
  8. 前記p型クラッド層は、ケイ素をさらに含有することを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザ。
  9. 基板、n型クラッド層、p型クラッド層、および、前記n型クラッド層と前記p型クラッド層との間に設けられた発光層を具備し、
    前記n型クラッド層、前記p型クラッド層、および前記発光層は、下記化学式で表わされる化合物半導体からなり、前記p型クラッド層は、p型導電性を付与するためのアクセプター性不純物と、チタン、鉄およびニッケルからなる群から選択される残留ドナーを補償するためのアクセプター性不純物を含有することを特徴とする発光ダイオード。
    x In y Al z Ga (1-x-y-z) N (0≦x,y,z≦1)
  10. 前記p型クラッド層は、ケイ素をさらに含有することを特徴とする請求項9に記載の発光ダイオード。
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