JP3546908B2 - アンモニア浄化用触媒装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関などから排出される排ガス中に含まれるアンモニアを効率良く浄化するために用いられるアンモニア浄化用触媒装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの内燃機関から排出される排ガス中のCO及びHCの酸化とNOxの還元とを同時に行って浄化する排ガス浄化用触媒として、従来より三元触媒が用いられている。このような三元触媒としては、例えばコーディエライトなどからなる耐熱性担体基材にγ−アルミナからなるコート層を形成し、そのコート層に白金(Pt)、ロジウム(Rh)などの触媒貴金属を担持させたものが広く知られている。
【0003】
この三元触媒においては、空燃比(A/F)を理論空燃比(A/F=14.6近傍)に制御し、この空燃比で燃焼した排ガス中に含まれるCO、HC及びNOx を同時に浄化している。
ところが自動車の現実の走行条件においては、市街地走行時などで加速・減速が頻繁に繰り返され、その結果、空燃比が必ずしも理論空燃比とならず僅かではあるが理論空燃比からずれる場合がある。例えば加速時には、燃料を多量に供給するため空燃比は14.6より小さくなり、いわゆるリッチ雰囲気となる。また減速時には、燃料の供給量が減るため空燃比は14.6より大きくなり、いわゆるリーン雰囲気となる。
【0004】
そしてリッチ雰囲気においては、排ガス中のNOx は触媒上で排ガス中に含まれるCOやHCなどの還元性物質により還元される。しかしながら、NOx はN2 まで還元されるのが最も好ましいのであるが、条件によってはさらに還元反応が進みアンモニア(NH3 )が発生するおそれがあった。
一方、リーン雰囲気においては、排ガス中のCOやHCは過剰な酸素により酸化浄化されるものの、NOx は還元されずにそのまま排出されるという問題がある。そこでリーン雰囲気において排ガス中にアンモニアを添加し、アンモニアによりNOx を還元浄化することも考えられている(特開平3−140147号公報)。しかしアンモニアの添加量の制御が難しく、アンモニアがNOx の当量を超えて添加されると過剰のアンモニアが大気中に排出される場合がある。
【0005】
そこで排ガス流路において三元触媒の下流側に、アンモニアを浄化できる触媒を設置することが考えられる。アンモニアを酸化してN2 とする工業用脱硝触媒としては、例えば「触媒講座7(基本工業触媒反応)」(講談社発行)の第248頁に記載されているように、V2 O5−TiO2 触媒が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところがV2 O5 −TiO2 触媒では、SV=1万hr−1程度の小さい排ガスの空間速度においては広い温度範囲で高い活性が得られるが、自動車の排ガスのようにSV=1万hr−1を超える空間速度の場合には十分な活性が得られない。したがってV2 O5 −TiO2 触媒を自動車排ガス用のアンモニア浄化用触媒として用いても、アンモニアの浄化が不十分となる。
【0007】
またアンモニアを酸化することによりN2 に転化させて浄化する場合、触媒の種類あるいは条件によっては、酸化反応が進み過ぎて再びNOxが発生するおそれもある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、自動車排ガスなどの大きな空間速度を有する排ガスであっても、その排ガス中に含まれるおそれのあるアンモニアを広い温度範囲で効率良くN2 に転化・浄化できる新規な触媒装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1に記載の発明のアンモニア浄化用触媒装置の特徴は、排ガス中に含まれるアンモニアを浄化するアンモニア浄化用触媒装置であって、アルミナを含む多孔質担体に少なくともパラジウムを担持してなり酸化雰囲気にて 800 〜 1500 ℃で熱処理されてなる熱処理Pd触媒と、多孔質担体に少なくとも白金を担持してなるPt触媒とからなり、排ガス流路の上流側から下流側に向けて熱処理Pd触媒とPt触媒をこの順に配置したことにある。
【0009】
また請求項2に記載の発明のアンモニア浄化用触媒装置の特徴は、排ガス中に含まれるアンモニアを浄化するアンモニア浄化用触媒装置であって、アルミナを含む多孔質担体に少なくともパラジウムと亜鉛とを担持してなるZn添加Pd触媒と、多孔質担体に少なくとも白金を担持してなるPt触媒とからなり、排ガス流路の上流側から下流側に向けてZn添加Pd触媒とPt触媒をこの順に配置したことにある。
さらに請求項3に記載の発明のアンモニア浄化用触媒装置の特徴は、排ガス中に含まれるアンモニアを浄化するアンモニア浄化用触媒装置であって、セリアを含む多孔質担体に少なくともパラジウムを担持してなるCeO 2 −Pd触媒と、多孔質担体に少なくとも白金を担持してなるPt触媒とからなり、排ガス流路の上流側から下流側に向けてCeO 2 −Pd触媒とPt触媒をこの順に配置したことにある。
【0010】
Pd触媒の多孔質担体としては、比較的コストの安いアルミナが使用できる。この場合、Pd触媒を水分を含んだ酸化雰囲気中で熱処理することが望ましい。さらに、Pd触媒は亜鉛を含むことが望ましい。またPd触媒の多孔質担体としては、アルミナ担体に代えてセリア(CeO2 )を使用することもできる。さらにセリアにはジルコニアを含むことが望ましい。多孔質担体としてセリアを使用した場合には、多孔質担体としてアルミナを使用した場合のように水分を含む酸化雰囲気中での熱処理や、亜鉛添加をする必要はなく充分な性能が得られる。
【0011】
そして請求項4に記載の発明のアンモニア浄化用触媒装置の特徴は、排ガス中に含まれるアンモニアを浄化するアンモニア浄化用触媒装置であって、ゼオライトに鉄、コバルト、ニッケル及び銅から選ばれる少なくとも一種の金属を担持してなる第1触媒と、多孔質担体に少なくともパラジウムを担持してなるPd触媒と、多孔質担体に少なくとも白金を担持してなるPt触媒とからなり、排ガス流路の上流側から下流側に向けて第1触媒とPd触媒及びPt触媒をこの順に配置したことにある。
【0012】
請求項4に記載のアンモニア浄化装置においては、第1触媒においてゼオライトに担持された鉄、コバルト、ニッケル及び銅から選ばれる少なくとも一種の金属はイオン交換法により担持されていることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に、アルミナにPdを担持したPd触媒と、アルミナにPtを担持したPt触媒に、アンモニアを接触させたときの入りガス温度に対する出ガス中の各成分濃度との関係を示す。Pd触媒では、400℃近傍にN2 への転化率のピークをもち、350℃程度から徐々にNOx が生成している。一方Pt触媒では、150℃近傍にN2 への転化率のピークをもち、350℃以上では多量のNOx が生成している。
【0014】
本発明は、触媒の種類によるこのような差異に着目し、配置順序を最適にすることでアンモニアを効率よく酸化してN2 に転化するとともに、NOx の生成を抑制できることを見いだした。
すなわち、本発明のアンモニア浄化用触媒装置では、排ガス流路の上流側にアンモニアが酸化されてN2 に転化する転化率が最大となる最大転化温度が高い触媒が配置され、排ガス流路の下流側に最大転化温度が低い触媒が配置されている。したがって排ガスの低温域では、アンモニアは上流側の触媒ではほとんど浄化されず主として下流側の触媒で浄化され、大部分が窒素に転化するとともにNOxの再生成が防止されている。一方排ガスの高温域では、アンモニアは主として上流側の触媒で浄化されてN2 に転化され、下流側の触媒では反応がほとんど生じずNOx の再生成が防止される。
【0015】
もし逆に排ガス流路の上流側に最大転化温度が低い触媒が配置され、排ガス流路の下流側に最大転化温度が高い触媒が配置された構成とすると、排ガスの低温域ではアンモニアは上流側の触媒で酸化されて大部分が窒素に転化されるが、排ガスの高温域では上流側の触媒でアンモニアの酸化反応が進み過ぎてNOx が再生成する。つまり本発明と逆の構成では、下流側の触媒による効果が得られずNOx が排出されるという不具合が生じる。
【0016】
請求項1に記載の発明では、排ガス流路の上流側にPd触媒を配置し、下流側にPt触媒を配置している。Pd触媒では、図1に示すように約200℃からアンモニアをN2 に転化し始め、最大転化温度は約400℃である。また約350℃以上ではNOx が生成する。一方Pt触媒では、図2に示すように約100℃からアンモニアをN2 に転化し始め、最大転化温度は約200℃であって、約350℃以上ではNOx の生成量が急激に増大する。なお図1〜図3は、それぞれSV=10万hr-1という高い空間速度で測定されたものである。
【0017】
したがって請求項1に記載の触媒装置では、約350℃未満の低温域においては上流側のPd触媒により一部のアンモニアがN2 に転化され、主として下流側のPt触媒によりアンモニアの大部分がN2 に転化されて浄化される。またPd触媒ではNOx は生成されず、下流側のPt触媒においても約350℃未満ではNOx の生成はほとんど生じない。
【0018】
一方約350℃付近の温度域では、アンモニアの大部分は上流側のPd触媒でN2 に転化され、NOx の生成は僅かである。そして下流側では排ガス中のアンモニアがほとんど存在しないため、NOx の生成はほとんど生じない。
Pd触媒にアルミナ担体を使用した場合には、水分を含んだ酸化雰囲気中で熱処理する。これにより、理由は不明であるが、熱処理しなかったものに比べてアンモニアのN2 への転化率が一層向上する。
【0019】
熱処理は水分を含んだ酸化雰囲気中で行われるが、水分量としては少なくとも1体積%必要である。1体積%未満であると、アンモニアのN2 への転化率の向上が望めない。なお水分量の上限は特に制限されないが、処理ガスへの水分の添加の容易さを考えると、10%以下の範囲が適当である。
また酸化雰囲気としては、大気雰囲気、酸素ガス雰囲気などが例示される。酸化雰囲気の程度としては、酸素濃度が少なくとも1体積%以上、望ましくは酸素濃度が4体積%以上である。酸素濃度が1体積%より少ないとアンモニアのN2 への転化率の向上が望めない。なお、大気中には酸素が20体積%含まれているので、大気に水を数体積%程度添加した雰囲気とするのが簡便である。
【0020】
熱処理条件としては、800〜1500℃、好ましくは1000℃近傍の温度で少なくとも1時間以上処理するのが望ましい。熱処理温度が800℃未満ではアンモニアのN2 への転化率の向上が望めず、1500℃を超えると担体のシンタリングにより活性が低下する。
多孔質担体としてアルミナを用いたPd触媒には、亜鉛を含むことが好ましい。亜鉛を含むことによって、アンモニアのN2 への転化率が一層向上するという効果が得られる。また、さらに上記のように水分を含んだ酸化雰囲気中で熱処理することにより、アンモニアのN2 への転化率が一層向上する。
【0021】
亜鉛の含有量は、Pd触媒1リットル当たり0.05〜1モルの範囲が望ましい。0.05モル/Lより少ないと活性の向上効果が得られず、1モル/Lより多く含有しても効果が飽和するとともにコストの増大を招く。
Pd触媒の多孔質担体としてセリアを使用する場合には、セリアに少なくとも1体積%以上のジルコニアを添加することが望ましい。これによりセリア担体の耐熱性が向上する。添加するジルコニア量は5〜75体積%、望ましくは10〜50体積%である。ジルコニア添加量が75体積%を超えた場合にはセリアの効果が低下し、ジルコニア添加量が5体積%以下であるときにはセリアの熱安定性の向上が望めない。
【0022】
請求項4に記載の発明では、上流側にさらにゼオライトに鉄、コバルト、ニッケル及び銅から選ばれる少なくとも一種の金属を担持してなる第1触媒を配置している。この金属の担持法としては、イオン交換法によるのが好ましい。
この第1触媒では、図3に示すように約350℃以上でアンモニアがN2 に転化され、約400℃以上でアンモニアは効率良くN2 に転化されるとともに、NOx の生成は全く生じない。したがって請求項3に記載の触媒装置では、約350℃未満の低温域では、上記に記載の触媒装置と同様の機構によりアンモニアが浄化されるとともに、NOx の生成はほとんど生じない。
【0023】
一方約350℃〜400℃では、アンモニアは先ず第1触媒によりN2 に転化され、さらにPd触媒でN2 に転化されて浄化される。またPd触媒ではNOxはほとんど生成されず、下流側のPt触媒では排ガス中のアンモニアがほとんど存在しないためNOx の生成はほとんど生じない。そして約400℃以上の高温域では、アンモニアは第1触媒で大部分がN2 に転化されて浄化されるため、下流側におけるNOx の生成もない。
【0024】
したがって請求項4に記載のアンモニア浄化用触媒装置では、約100〜600℃という広い温度範囲でアンモニアをN2 に転化・浄化することができ、かつNOx の生成も防止される。
【0025】
多孔質担体に担持されるPdの担持量は、多孔質担体1リットルに対して0.1〜20gの範囲が好ましい。Pdの担持量が0.1gより少ないとアンモニアの浄化能が低くて実用的でなく、20gより多く担持しても効果が飽和するとともにコストの上昇を招く。特に好ましい範囲は0.5〜3gである。Pdの担持法としては、含浸法、吸着法など従来の三元触媒の製造に用いられている方法を用いることができ、特に制限はない。
【0026】
なおPd触媒には、Pdの他にRhなど他の触媒金属を担持することもできる。その担持量は、Pdの作用を損なわない範囲で、Pd量の1/2〜1/10の範囲が好ましい。特にRhはPdのシンタリングを防止する作用をもつため、Pdと共存担持することが特に好ましい。
Pt触媒にいう多孔質担体としては、アルミナ、シリカ、チタニア、シリカ−アルミナなどを用いることができる。なかでも高温域まで高い比表面積を保持できるアルミナが特に望ましい。
【0027】
この多孔質担体に担持されるPtの担持量は、多孔質担体1リットルに対して0.1〜20gの範囲が好ましい。Ptの担持量が0.1gより少ないとアンモニアの浄化能が低くて実用的でなく、20gより多く担持しても効果が飽和するとともにコストの上昇を招く。特に好ましい範囲は0.5〜3gである。Ptの担持法としては、含浸法、吸着法など従来の三元触媒の製造に用いられている方法を用いることができ、特に制限はない。
【0028】
なおPt触媒にも、Ptの他にRh、Pdなど他の触媒金属を担持することもできる。その担持量は、Ptの作用を損なわない範囲で、Pt量の1/2〜1/10の範囲が好ましい。特にRhはPtのシンタリングを防止する作用をもつため、Ptと共存担持することが特に好ましい。
第1触媒にいうゼオライトとしては、ZSM−5、モルデナイト、フェリオライトなどが例示され、高温耐久性、耐被毒性などの点で実験の結果からはZSM−5が最適であると考えられる。
【0029】
第1触媒においてゼオライトに担持された鉄、コバルト、ニッケル及び銅から選ばれる少なくとも一種の金属はイオン交換法により担持されていることが望ましい。
そして第1触媒における鉄、コバルト、ニッケル及び銅から選ばれる少なくとも一種の金属のイオン交換量としては、ゼオライトのイオン交換可能位置を50%以上イオン交換したものが好ましい。イオン交換量が50%未満では活性が低くアンモニアのN2 への転化が困難となる。イオン交換可能位置を100%イオン交換したものが特に望ましい。
【0030】
本発明のアンモニア浄化用触媒装置を用いる方法としては、一つの触媒コンバータ内に複数種類のモノリス触媒を装填して用いるなどの方法がある。それぞれの触媒が隣接配置されていてもよいし、搭載条件によっては間隔を隔てて配置されていてもよい。なお本発明の触媒装置は、排ガス流路において従来の三元触媒より下流側に配置することが望ましい。このようにすれば三元触媒によるNOxの還元により生成したアンモニアを浄化することができる。この場合、本発明の触媒装置の上流側で排ガス中に空気(酸素)を供給することが好ましい。これにより排ガスが酸化雰囲気となり、アンモニアを一層N2 に転化しやすくなる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(Pd触媒の調製)
多孔質担体として、アルミナ(BET表面積100m2 /g)から形成された直径2〜4mmのペレット担体を用いた。このペレット担体に所定濃度の硝酸パラジウム水溶液の所定量を含浸させ、110℃で一昼夜乾燥後、水素ガスを20%含む窒素ガス気流中で450℃にて5時間還元処理し、Pd触媒を得た。Pdの担持量は、ペレット担体1リットルに対して2gである。
【0032】
このPd触媒によるアンモニアの反応性を図1に示す。
(熱処理Pd触媒の調製)
多孔質担体として、アルミナ(BET表面積100m2 /g)から形成された直径2〜4mmのペレット担体を用いた。このペレット担体に所定濃度の硝酸パラジウム水溶液の所定量を含浸させ、110℃で一昼夜乾燥後、水素ガスを20%含む窒素ガス気流中で450℃にて5時間還元処理した。このときのPdの担持量は、ペレット担体1リットルに対して2gである。
【0033】
この触媒を、酸素:4体積%、水分:3体積%を含む窒素ガス気流中において、1000℃で5時間加熱する熱処理を行い、熱処理Pd触媒を得た。
(Zn添加Pd触媒の調製)
多孔質担体として、アルミナ(BET表面積100m2 /g)から形成された直径2〜4mmのペレット担体を用いた。このペレット担体に所定濃度の酢酸亜鉛水溶液の所定量を含浸させ、150℃で1時間空気中で仮焼した後、所定濃度の硝酸パラジウム水溶液の所定量を含浸させ、110℃で一昼夜乾燥後、水素ガスを20%含む窒素ガス気流中で450℃にて5時間還元処理した。このときのPdの担持量は、ペレット担体1リットルに対して2gであり、Znの担持量はペレット担体1リットルに対して0.25モルであった。
【0034】
(熱処理Zn添加Pd触媒の調製)
上記のZn添加Pd触媒を、酸素:4体積%、水分:3体積%を含む窒素ガス気流中において、1000℃で5時間加熱する熱処理を行い、熱処理Zn添加Pd触媒を得た。
(CeO2−Pd触媒の調製)
多孔質担体として、50体積%のジルコニアと50体積%のセリアの固溶体からなる直径2〜4mmのペレット担体を用いた。このペレット担体に所定濃度の硝酸パラジウム水溶液の所定量を含浸させ、110℃で一昼夜乾燥後、水素ガスを20%含む窒素ガス気流中で450℃にて5時間還元処理した。このときのPdの担持量は、ペレット担体1リットルに対して2gである。
【0035】
(Pt触媒の調製)
多孔質担体として、アルミナ粉末(BET表面積100m2 /g)から形成された直径2〜4mmのペレット担体を用いた。このペレット担体に所定濃度のジニトロジアンミン白金硝酸水溶液の所定量を含浸させ、110℃で一昼夜乾燥後、水素ガスを20%含む窒素ガス気流中で450℃にて5時間還元処理し、Pt触媒を得た。Ptの担持量は、ペレット担体1リットルに対して2gである。
【0036】
このPt触媒によるアンモニアの反応性を図2に示す。
(第1触媒の調製)
H型ZSM−5(SiO2 /Al2 O3 =40)粉末を、銅原子で0.2重量%含む硝酸銅水溶液に浸漬し、一晩イオン交換した。それを希アンモニア溶液を用いて洗浄し、110℃で乾燥後700℃で5時間焼成して第1触媒を調製した。ゼオライトのイオン交換可能位置は銅により70%イオン交換されている。
【0037】
この第1触媒によるアンモニアの反応性を図3に示す。
(脱硝触媒の調製)
比表面積50m2 /gのTiO2 粉末に、所定濃度のシュウ酸バナジル(VOC2 O4 )水溶液の所定量を含浸させ、120℃で1日乾燥後、空気中にて600℃で1時間焼成してV2 O5 −TiO2 系脱硝触媒を調製した。バナジウムの量は、TiO2 粉末体積1リットルに対して0.02モルである。
【0038】
(参考例)
内径15mm、長さ300mmの石英製反応管に、モデルガスの流れ方向の上流側にPd触媒を2cc充填し、下流側にPt触媒を2cc充填して本参考例の触媒装置とした。
そして表1に示すモデルガスを、空間速度SV=10万hr-1の条件で反応管に導入し、触媒入口ガス温度を500℃から50℃まで変化させたときの触媒出口ガス組成を測定した。モデルガス中にはNOを含み、アンモニアからも僅かにNOx が生成するため、触媒入ガス組成濃度と出ガス組成濃度との比較から、次式を用いてNOとNH3 の転化率を求めた。
【0039】
入ガスのNH3 濃度+入ガスのNO濃度=A、出ガスのNH3 濃度+出ガスのNO濃度=Bとすると、転化率=(A−B)×100/A
その結果を表3に示す。
【0040】
【表1】
(実施例1−1)
内径15mm、長さ300mmの石英製反応管に、モデルガスの流れ方向の上流側に熱処理Pd触媒を2cc充填し、下流側にPt触媒を2cc充填して本実施例の触媒装置とした。
【0041】
そして表1に示すモデルガスを、空間速度SV=10万hr-1の条件で反応管に導入し、触媒入口ガス温度を500℃から50℃まで変化させたときの触媒出口ガス組成を測定した。モデルガス中にはNOを含み、アンモニアからも僅かにNOx が生成するため、参考例と同じ計算式によりNOとNH3 の転化率を求めた。その結果を表3に示す。
【0042】
(実施例1−2)
内径15mm、長さ300mmの石英製反応管に、モデルガスの流れ方向の上流側にZn添加Pd触媒を2cc充填し、下流側にPt触媒を2cc充填して本実施例の触媒装置とした。
そして表1に示すモデルガスを、空間速度SV=10万hr-1の条件で反応管に導入し、触媒入口ガス温度を500℃から50℃まで変化させたときの触媒出口ガス組成を測定した。モデルガス中にはNOを含み、アンモニアからも僅かにNOx が生成するため、参考例と同じ計算式によりNOとNH3 の転化率を求めた。その結果を表3に示す。
【0043】
(実施例1−3)
内径15mm、長さ300mmの石英製反応管に、モデルガスの流れ方向の上流側に熱処理Zn添加Pd触媒を2cc充填し、下流側にPt触媒を2cc充填して本実施例の触媒装置とした。
そして表1に示すモデルガスを、空間速度SV=10万hr-1の条件で反応管に導入し、触媒入口ガス温度を500℃から50℃まで変化させたときの触媒出口ガス組成を測定した。モデルガス中にはNOを含み、アンモニアからも僅かにNOx が生成するため、参考例と同じ計算式によりNOとNH3 の転化率を求めた。その結果を表3に示す。
【0044】
(実施例1−4)
内径15mm、長さ300mmの石英製反応管に、モデルガスの流れ方向の上流側にCeO2 −Pd触媒を2cc充填し、下流側にPt触媒を2cc充填して本実施例の触媒装置とした。
そして表1に示すモデルガスを、空間速度SV=10万hr-1の条件で反応管に導入し、触媒入口ガス温度を500℃から50℃まで変化させたときの触媒出口ガス組成を測定した。モデルガス中にはNOを含み、アンモニアからも僅かにNOx が生成するため、参考例と同じ計算式によりNOとNH3 の転化率を求めた。その結果を表3に示す。
【0045】
(実施例2)
内径15mm、長さ300mmの石英製反応管に、モデルガスの流れ方向の上流側から下流側に向かって第1触媒、Pd触媒及びPt触媒をそれぞれ1ccずつこの順に充填し、本実施例の触媒装置とした。
そして表2に示すモデルガスを、空間速度SV=10万hr−1の条件で反応管に導入し、触媒入口ガス温度を600℃から50℃まで変化させたときの触媒出口ガス組成を測定し、触媒入口ガス組成との比較からアンモニアのN2 への転化率を求めた結果を表3に示す。また、触媒出口ガスの組成を質量分析計により分析し、各温度における生成物の組成変化を調査した結果を図4に示す。
【0046】
【表2】
(比較例)
内径15mm、長さ300mmの石英製反応管に第1触媒を4cc充填して本比較例の触媒装置とした。
【0047】
そして表1に示すモデルガスを、空間速度SV=10万hr-1の条件で反応管に導入し、触媒入口ガス温度を500℃から50℃まで変化させたときの出口ガス組成を測定した。モデルガス中にはNOを含み、アンモニアからも僅かにNOx が生成するため、参考例と同じ計算式によりNOとNH3 の転化率を求めた。その結果を表3に示す。
【0048】
(評価)
【0049】
【表3】
表3より、参考例、実施例1−1、実施例1−2、実施例1−3及び実施例1−4の触媒装置は、400℃以下の温度領域において、アンモニアを比較例に比べて高い転化率でN2 に転化できることが明らかである。さらに、参考例に比べて実施例1−1〜4の触媒装置の方が優れた結果を示し、熱処理Pd触媒、Zn添加Pd触媒、熱処理Zn添加Pd触媒及びCeO2 −Pd触媒を用いるのが好ましいこともわかる。
【0050】
また実施例2の触媒装置では、600℃以下の温度範囲で高い添加率を示していることもわかる。
さらに図4より、実施例2の触媒装置では、150℃以上の温度範囲において発生するのは無害なN2 とH2 Oのみであり、NOx を全く発生していないことから、アンモニアは全てN2 に転化されていることが明らかである。
【0051】
【発明の効果】
すなわち本発明のアンモニア浄化用触媒装置によれば、低温域から高温域まで広い温度範囲において、NOx をほとんど再生成することなくアンモニアを無害なN2 に転化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Pd触媒の各温度におけるアンモニア浄化後の生成物の生成量を示すグラフである。
【図2】Pt触媒の各温度におけるアンモニア浄化後の生成物の生成量を示すグラフである。
【図3】第1触媒の各温度におけるアンモニア浄化後の生成物の生成量を示すグラフである。
【図4】実施例2の触媒装置の各温度におけるアンモニア浄化後の生成物の生成量を示すグラフである。
Claims (4)
- 排ガス中に含まれるアンモニアを浄化するアンモニア浄化用触媒装置であって、アルミナを含む多孔質担体に少なくともパラジウムを担持してなり酸化雰囲気にて 800 〜 1500 ℃で熱処理されてなる熱処理Pd触媒と、多孔質担体に少なくとも白金を担持してなるPt触媒とからなり、排ガス流路の上流側から下流側に向けて該熱処理Pd触媒と該Pt触媒をこの順に配置したことを特徴とするアンモニア浄化用触媒装置。
- 排ガス中に含まれるアンモニアを浄化するアンモニア浄化用触媒装置であって、アルミナを含む多孔質担体に少なくともパラジウムと亜鉛とを担持してなるZn添加Pd触媒と、多孔質担体に少なくとも白金を担持してなるPt触媒とからなり、排ガス流路の上流側から下流側に向けて該Zn添加Pd触媒と該Pt触媒をこの順に配置したことを特徴とするアンモニア浄化用触媒装置。
- 排ガス中に含まれるアンモニアを浄化するアンモニア浄化用触媒装置であって、セリアを含む多孔質担体に少なくともパラジウムを担持してなるCeO 2 −Pd触媒と、多孔質担体に少なくとも白金を担持してなるPt触媒とからなり、排ガス流路の上流側から下流側に向けて該CeO 2 −Pd触媒と該Pt触媒をこの順に配置したことを特徴とするアンモニア浄化用触媒装置。
- 排ガス中に含まれるアンモニアを浄化するアンモニア浄化用触媒装置であって、ゼオライトに鉄、コバルト、ニッケル及び銅から選ばれる少なくとも一種の金属を担持してなる第1触媒と、多孔質担体に少なくともパラジウムを担持してなるPd触媒と、多孔質担体に少なくとも白金を担持してなるPt触媒とからなり、排ガス流路の上流側から下流側に向けて該第1触媒と該Pd触媒及び該Pt触媒をこの順に配置したことを特徴とするアンモニア浄化用触媒装置。
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