[go: up one dir, main page]

JP3532416B2 - 耐食性および耐腐食疲労性に優れたばね用鋼 - Google Patents

耐食性および耐腐食疲労性に優れたばね用鋼

Info

Publication number
JP3532416B2
JP3532416B2 JP19709598A JP19709598A JP3532416B2 JP 3532416 B2 JP3532416 B2 JP 3532416B2 JP 19709598 A JP19709598 A JP 19709598A JP 19709598 A JP19709598 A JP 19709598A JP 3532416 B2 JP3532416 B2 JP 3532416B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
corrosion
steel
resistance
corrosion resistance
heat treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP19709598A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000026938A (ja
Inventor
淳 杉本
俊昭 黒木
勇夫 植田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hino Motors Ltd
Aichi Steel Corp
Original Assignee
Hino Motors Ltd
Aichi Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hino Motors Ltd, Aichi Steel Corp filed Critical Hino Motors Ltd
Priority to JP19709598A priority Critical patent/JP3532416B2/ja
Publication of JP2000026938A publication Critical patent/JP2000026938A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3532416B2 publication Critical patent/JP3532416B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車・鉄道車両
等の輸送機器の懸架ばねとして使用される耐食性・耐腐
食疲労性に優れたばね用鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車等の輸送機器においては燃
費向上等をねらいとして車両重量の軽量化が非常に強く
求められている。構成部品の1つである懸架ばねについ
ても軽量化要求が強く、主としてばねの高応力設計によ
り軽量化がはかられている。ばねの高応力設計に対して
は材料の高強度化が不可欠であるため、現在ではばね鋼
は非常に高い強度(硬度)レベルで使用されている。しか
し、材料強度(硬度)の上昇に伴い切欠感受性が増大する
ため、懸架ばねの分野において腐食疲労の問題が懸念さ
れるようになってきている。
【0003】懸架ばねは通常外部の環境に直接さらされ
る箇所に配置されており、またばね鋼はJIS G 4801をみ
ても明らかなように低合金鋼であるため耐食性が低い。
したがって腐食に対する対策が必要であり、通常懸架ば
ねは塗装を施された状態で使用される。しかし使用中の
飛び石等により塗装が局部的に損傷して鋼が露出し、そ
こから腐食が進行する可能性が考えられる。また特に積
雪の多い地域では冬期に路面の凍結防止のため融雪剤が
散布され、これがより厳しい腐食環境を作り出してい
る。これらの状況により、ばね鋼に腐食が発生すると全
面的な腐食とともに孔食状(腐食ピット)の腐食が進行
し、その腐食ピット底に応力が集中して亀裂が発生・進
展しばねの折損にいたる可能性がある。こういった状況
の中、耐食性・耐腐食疲労性に優れたばね鋼が要求され
るようになってきており、いくつかの発明が開示されて
いる。例えば、特開昭59-173246ではCu添加による耐食
性向上、特開平2-301541ではCr、Mo、Cu、Co、W添加に
よる表面酸化層生成による耐食性向上、特開平5-195153
ではNi、Cu、Co等の添加による耐食性向上の発明が開示
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら懸架ばね
のさらなる軽量化、信頼性の向上といった観点から、よ
り一層の耐食性・耐腐食疲労性の向上が望まれるように
なってきている。これに対して耐食性向上元素の増量
(高合金化)や、窒化等の表面処理などが考えられるが、
いずれも大きなコストアップにつながってしまう。本発
明は上記の状況を鑑みてなされたものであり、コストを
大幅に上昇させずに耐食性・耐腐食疲労性に優れたばね
用鋼を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記の課題に
対して、Ni、Cuの熱処理スケール直下での濃化現象を利
用することを着想した。耐食性向上をねらったNi、Cuの
添加は一般的な手法であり、低合金耐候性鋼や耐食性向
上をねらったばね鋼においてもその発明は開示されてい
る。これはNi、Cuが腐食時に鋼表面に生成する錆層中に
濃化したり、錆層を緻密化し、これが腐食促進元素のCl
の侵入を抑制することにより、耐食性を向上させると考
えられる。
【0006】しかし、Ni、Cuは酸化雰囲気における高温
加熱時に熱処理スケール直下に濃化するという現象があ
り、これが耐食性向上に利用できないかと発明者らは考
えた。Ni、Cuは熱処理スケール直下にマトリックス中の
数倍のレベルで濃化するため、少ない添加量でも鋼表層
部のみNi、Cu量の高い耐食性に優れた層を生成できる。
しかし一方、このNi、Cuの濃化層には問題点もあり、N
i、Cuの量によっては熱間加工性が悪化したり、熱処理
スケールの剥離性に影響を与えてしまう。熱処理スケー
ルの剥離性が悪いと、熱間圧延時にスケールをかみこむ
ことによる表面キズの発生を招く恐れがある。またその
他の問題として、脱炭がある。Ni、Cuの濃化層を十分生
成させるには、酸化雰囲気中において十分加熱させるこ
とが必要となるが、これは同時に脱炭の増加を招くこと
にもなる。脱炭とは鋼を酸化雰囲気中で加熱時に、鋼中
の炭素が雰囲気中の酸素と反応して鋼表層より抜けてし
まう現象であり、鋼表層の強度を低下させ疲労強度を著
しく低下させてしまう。したがって、Ni、Cuの濃化層を
耐食性向上に利用するには、上記の問題、熱間加工性、
熱処理スケール剥離性、脱炭の問題をクリアすることが
前提条件となる。
【0007】発明者らは上記の問題をクリアするため
に、Ni、Cuの量と耐食性、熱間加工性、熱処理スケール
剥離性との関係について調査し、知見を得た。その結
果、鋼に耐食性向上に有効な量のNi、Cuを添加するだけ
でなく、その量のバランスを調整することにより、耐食
性、熱間加工性、熱処理スケール剥離性に優れた成分系
を見出した。さらにこれを脱炭の少ない成分系に適用す
ることにより、脱炭量を抑えてNi、Cuの濃化層を十分生
成できる成分系を見出すことができた。
【0008】第一の発明は、重量比にしてC:0.40〜0.70
%、Si:0.05〜0.50%、Mn:≦0.40%、S:≦0.015%、Cu:0.0
5〜0.50%、Ni:0.20〜2.00%、Cr:0.50〜3.00%、Al:0.00
3〜0.100%を含有し、かつ0.005%≦S≦0.015%の場合1.0
≦Ni/Cu≦15の関係を満足し、S<0.005%の場合1.0≦Ni/
Cu≦10の関係を満足し、残部Feおよび不可避不純物から
なることを特徴とする耐食性・耐腐食疲労性に優れたば
ね用鋼である。次の発明は、重量比にしてC:0.40〜0.70
%、Si:0.05〜0.50%、Mn:≦0.40%、S:≦0.015%、Cu:0.0
5〜0.50%、Ni:0.20〜2.00%、Cr:0.50〜3.00%、Al:0.003
〜0.100%を含有し、さらにMo:0.05〜0.50%、V:0.05〜0.
50%、Nb:0.01〜0.50%、Ti:0.003〜0.100%、B:0.0003〜
0.0200%のうち1種または2種以上を含有し、かつ0.005
%≦S≦0.015%の場合1.0≦Ni/Cu≦15の関係を満足し、S
<0.005%の場合1.0≦Ni/Cu≦10の関係を満足し、残部Fe
および不可避不純物からなることを特徴とする耐食性・
耐腐食疲労性に優れたばね用鋼である。次の発明は、重
量比にしてC:0.40〜0.70%、Si:0.05〜0.50%、Mn:≦0.40
%、S:≦0.015%、Cu:0.05〜0.50%、Ni:0.20〜2.00%、C
r:0.50〜3.00%、Al:0.003〜0.100%を含有し、さらにMo:
0.05〜0.50%、V:0.05〜0.50%、Nb:0.01〜0.50%、Ti:0.0
03〜0.100%、B:0.0003〜0.0200%のうち1種または2種
以上を含有し、さらにREM:0.001〜0.500%を含有し、か
つ0.005%≦S≦0.015%の場合1.0≦Ni/Cu≦15の関係を満
足し、S<0.005%の場合1.0≦Ni/Cu≦10の関係を満足
し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とす
る耐食性・耐腐食疲労性に優れたばね用鋼である。
【0009】次に、本発明における構成成分の限定理由
について述べる。 C:0.40〜0.70% Cは、ばねとして必要な強度・焼入性を確保するための
必須元素であり、0.40%以上、望ましくは0.45%以上必要
である。しかし、多量に含有させると靱性が低下すると
ともに焼割れが生じやすくなるため、上限を0.70%、望
ましくは0.60%以下とする。 Si:0.05〜0.50% Siは、製鋼時の脱酸材として不可欠であるため下限を0.
05%、望ましくは0.10%以上とする。しかし、多量に含有
させると、加熱時に脱炭を生じやすくなる。本発明にお
いては、脱炭を抑制することが重要であるため、上限を
0.50%、望ましくは0.40%以下とする。
【0010】Mn:≦0.40% Mnは、焼入性を高めるのに必要な元素であり、通常ばね
鋼では0.60〜1.00%含有されている。しかし、Mnは不純
物のSと結合してMnSとなって鋼中に析出し、これが腐食
時に起点となるため、本発明では低減させる必要があ
り、上限0.40%以下とする。S:≦0.015%Sは、鋼中に
不純物として含有される元素であり、靭性を低下させる
とともに、MnSとなって腐食時の起点となるため、低減
させる必要があり、上限を0.015%、望ましくは0.010%以
下とする。
【0011】Cu:0.05〜0.50% Cuは、鋼の耐食性向上に有効な元素であり、腐食時に生
成する錆層中に濃化するとともに、熱処理スケール直下
に濃化層を生成することにより鋼の耐食性を向上、特に
腐食ピット深さの低減に有効である。この効果を得るの
に下限を0.05%、望ましくは0.10%以上とする。しかし、
多量に含有させると鋼の熱間加工性を阻害するため、上
限を0.50%、望ましくは0.40%以下とする。 Ni:0.20〜2.00% Niは、Cuと同様、耐食性向上に有効な元素であり、Cuと
ともに錆層中に濃化するとともに、熱処理スケール直下
に濃化層を生成することにより鋼の耐食性を向上、特に
腐食ピット深さの低減に有効である。この効果を得るの
に下限を0.20%、望ましくは0.30%以上とする。しかし、
2.00%を越えて含有させてもその効果は飽和してコスト
アップとなるため、上限を2.00%、望ましくは1.80%以下
とする。
【0012】Cr:0.50〜3.00% Mnを低減している本発明において、CrはMn低減による焼
入性低下を補うとともに、鋼の耐食性を向上、特に全体
腐食量を低減させるのに不可欠な元素であり、0.50%以
上、望ましくは0.60%以上含有させる必要がある。しか
し、多量に含有させると靭性が劣化するため、上限を3.
00%、望ましくは2.50%以下とする。 Al:0.003〜0.100% Alは、脱酸のために不可欠の元素であるとともに、鋼中
のNと結合してAlNとなり結晶粒微細化にも効果があり、
0.003%以上、望ましくは0.005%以上必要である。しか
し、必要以上に添加させるとAl2O3等の酸化系介在物が
増加し、耐久性が低下するので、上限を0.100%、望まし
くは0.050%以下とする。
【0013】Mo:0.05〜0.50% MoはCrと同様、鋼の焼入性を向上させるのに有効な元素
であり、また耐食性の向上にも有効である。これらの効
果を得るのに、0.05%以上、望ましくは0.10%以上含有さ
せる必要がある。しかし、多量に含有させると粗大な炭
化物が析出し靭性を劣化させるため、上限を0.50%、望
ましくは0.40%以下とする。 V:0.05〜0.50% Vは、炭窒化物を形成して結晶粒を微細化し、鋼の強度
・靭性を高めるのに有効な元素であり、0.05%以上、望
ましくは0.10%以上添加させる必要がある。しかし、多
量に含有させると加熱時に固溶しない炭窒化物が増加
し、マトリックスの強度が低下してしまうため、上限を
0.50%、望ましくは0.30%以下とする。
【0014】Nb:0.01〜0.50% Nbは、Vと同様に炭窒化物を形成して結晶粒を微細化
し、鋼の強度・靭性を高めるのに有効な元素であり、0.
01%以上、望ましくは0.05%以上添加させる必要がある。
しかし、多量に含有させると加熱時に固溶しない炭窒化
物が増加し、マトリックスの強度が低下してしまうた
め、上限を0.50%、望ましくは0.30%以下とする。 Ti:0.003〜0.100% Tiは、Alと同様に結晶粒微細化に有効であり、0.003%以
上、望ましくは0.005%以上必要である。しかし、必要以
上に含有させると粗大なTiNが増加し、耐久性が低下す
るので、上限を0.100%、望ましくは0.050%以下とする。
【0015】B:0.0003〜0.0200% Bは、鋼の焼入性を高めるのに有効な元素であるととも
に、P、S等の不純物の粒界偏析を抑制して靭性を向上さ
せるため、下限を0.0003%、望ましくは0.0010%以上とす
る。しかし、必要以上に含有させても焼入性向上効果は
飽和するとともに、BNが粒界に析出して靭性を低下させ
るため、上限を0.0200%、望ましくは0.0050%以下とす
る。 REM:0.001〜0.500% REMは、耐食性向上に有効であり、0.001%以上、望まし
くは0.003%以上必要である。しかし必要以上に含有させ
ると酸化物系介在物が増加して耐久性を低下させるた
め、上限を0.500%、望ましくは0.100%以下とする。
【0016】0.005%≦S≦0.015%の場合1.0≦Ni/Cu≦1
5、S<0.005%の場合1.0≦Ni/Cu≦10 Ni、Cuは前述のように耐食性を向上させる元素であり、
鋼の熱処理スケール直下に濃化層を生成することにより
優れた耐食性を得るが、この濃化層は熱間加工性、熱処
理スケール剥離性にも影響を与える。Ni、Cuのそれぞれ
の適切な含有率については既に記載したが、良好な熱間
加工性、熱処理スケール剥離性を得るには、さらにNi、
Cuの含有率の比が前記式を満足するように含有させるこ
とが必要である。Ni/Cuの下限については熱間加工性と
関係しており、Ni/Cuの値が1.0未満の場合、良好な熱間
加工性が得られなくなるため、下限を1.0、望ましくは
1.2以上とする。またNi/Cuの上限については、熱処理ス
ケール剥離性と関係している。熱処理スケール剥離性は
Sの含有率とも関連するため、S含有率によってNi/Cuの
上限を2種類設定している。0.005%≦S≦0.015%の場合、
Ni/Cuの値が15を越えると良好な熱処理スケール剥離性
が得られなくなるため、上限を15、望ましくは12以下と
する。またS<0.005%の場合、Ni/Cuの値が10を越えると
良好な熱処理スケール剥離性が得られなくなるため、上
限を10、望ましくは8以下とする。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例について、
比較鋼および従来鋼との比較によって説明する。表1は
実施例に用いた供試材の化学成分を示すものである。
【0018】
【表1】 表1において、A〜J鋼は、本発明鋼である。K〜O鋼は一
部の成分が本発明の範囲外にある比較鋼であり、P〜R鋼
は成分は本発明の範囲内であるが、Ni/Cuの値が範囲外
である比較鋼であり、S鋼は従来鋼である。表1に示す化
学成分を有する鋼を溶解炉にて溶製し、鍛伸によりφ20
mmの棒材と50×15mmの板材を作製した。焼ならしを施し
た後にこれらの素材から、耐久性評価、耐食性評価、耐
腐食疲労性評価、熱間加工性評価、熱処理スケール剥離
性評価に用いる試験片を機械加工により作製した。
【0019】耐久性評価は、40×10×200mm(コバ部5R)
の板状試験片を作製して900℃×30分→空冷の処理を行
った後に、900℃で油焼入れを行い、さらに450〜520℃
で焼もどしを施した。焼もどし温度は、全ての鋼種が硬
さHRC43〜48となるように調整した。この試験片にショ
ットピーニングを実施した後、4点曲げ疲労試験にて、
試験応力539±539MPaの条件で応力負荷の繰り返しを10
万回まで実施し、折損するかどうかの試験を行った。な
お耐久試験結果は、ばらつきを考慮して各鋼種3枚ずつ
試験片を用意し、繰り返し数が3枚全て10万回に達した
ものは○、途中で折損したものは×とした。また耐久試
験後、試験片を切断してフェライト脱炭層深さを光学顕
微鏡にて測定した。耐食性および耐腐食疲労性評価は、
以下の方法で行った。耐久試験で用いたのと同じ形状・
熱処理・ショットピーニングを施した試験片を各鋼種4
枚ずつ用意し、複合サイクル腐食試験に供した。複合サ
イクル腐食試験は、[0.5%NaCl水溶液噴霧(35℃)4hr. +
熱風乾燥(60℃)4hr.+湿潤(49℃、湿度95〜100%)4hr.]
を1サイクルとして56サイクル実施した。腐食試験後、
各鋼種について試験片3枚を4点曲げ疲労試験にて、試験
応力539±539MPaの条件で疲労試験を行った。従来鋼で
あるS鋼の疲労寿命を1として、2倍以上の寿命を有し
たものを○とし、2倍に満たなかったものは×とした。
また各鋼種について試験片1枚は、腐食試験前にテープ
にて2000mmイの面積のみ露出させてマスキングを施した
後、腐食試験に供した。そして腐食試験前後の試験片重
量を測定することにより腐食減量を、腐食部の腐食ピッ
ト深さをレーザー顕微鏡を用いて測定し、耐食性を評価
した。
【0020】熱間加工性評価は、φ10×100mmの試験片
を作製し、1000〜1200℃×10分加熱した後、その温度に
て加工速度50mm/sec.で引張加工を施した。そして試験
片表面に生成した微小な割れの有無を確認し、表面割れ
のみとめられたものは×、表面割れのみとめられなかっ
たものは○とした。熱処理スケール剥離性評価は、φ18
×20mmの試験片を作製し試験片上面(φ18mmの面)を#180
のエメリーペーパーで研磨した後、950℃×30分加熱→
空冷という熱処理を施した。その後熱処理スケールが付
着したままの試験片上面に、ロックウェル硬度計にて十
字状に5点圧痕を付与することにより、熱処理スケール
を剥離させた。そしてこの剥離部を写真撮影し、画像解
析装置にて熱処理スケールが剥離した面積aおよび試験
片上面全体の面積bを測定し、a/bの値を各鋼種につい
て求めた。そしてa/bの値が従来鋼のS鋼と同等以上のも
のを○、低い値を示したものを×とした。各実験結果を
表2に示す。
【0021】
【表2】 表2から明らかなように、比較鋼KはSi含有率が高くフ
ェライト脱炭が多いため、耐久性が低かった。また比較
鋼L、M、NはそれぞれMn、S含有率が高いこと、Cu、Ni含
有率が低いことにより腐食ピット深さが十分低減されな
いため、所定の腐食疲労性が得られないものであり、比
較鋼OはCr含有率が低く腐食減量が十分低減されないた
め、所定の腐食疲労性が得られないものである。また比
較鋼PはNi/Cuの値が低いために良好な熱間加工性が得ら
れないものであり、比較鋼Q、RはNi/Cuの値が高いため
に良好な熱処理スケール剥離性が得られないものであ
る。これに対して、本発明鋼であるA〜J鋼は、従来鋼に
比較してMn、S含有率を低減し、Cu、Niを添加すること
により、優れた耐食性・耐腐食疲労性と良好な耐久性と
熱間加工性・熱間加工性のすべてを満足させることがで
きた。
【0022】
【発明の効果】本発明の耐食性・耐腐食疲労性に優れた
ばね用鋼は、以上の説明で明らかなように、Si含有率を
低減することによりフェライト脱炭を低減し、Mn、S含
有率の低減、Cu、Niを添加することにより優れた耐食性
・耐腐食疲労性と良好な耐久性を得るとともに、Ni/Cu
の値を規定することにより良好な熱間加工性・熱処理ス
ケール剥離性を得ることが確認できた。これにより従来
のばね鋼に対して耐食性・耐腐食疲労性に優れた信頼性
の高い懸架ばねを提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒木 俊昭 東京都日野市日野台3丁目1番地1 日 野自動車工業株式会社内 (72)発明者 植田 勇夫 千葉県八千代市上高野1827番地4 株式 会社ホリキリ内 (56)参考文献 特開 平8−176737(JP,A) 特開 平2−301541(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C22C 38/42 C22C 38/54

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比にしてC:0.40〜0.70%、Si:0.05〜
    0.50%、Mn:≦0.40%、S:≦0.015%、Cu:0.05〜0.50%、N
    i:0.20〜2.00%、Cr:0.50〜3.00%、Al:0.003〜0.100%を
    含有し、かつ0.005%≦S≦0.015%の場合1.0≦Ni/Cu≦15
    の関係を満足し、S<0.005%の場合1.0≦Ni/Cu≦10の関
    係を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなること
    を特徴とする耐食性・耐腐食疲労性に優れたばね用鋼。
  2. 【請求項2】 重量比にしてC:0.40〜0.70%、Si:0.05〜
    0.50%、Mn:≦0.40%、S:≦0.015%、Cu:0.05〜0.50%、N
    i:0.20〜2.00%、Cr:0.50〜3.00%、Al:0.003〜0.100%を
    含有し、さらにMo:0.05〜0.50%、V:0.05〜0.50%、Nb:0.
    01〜0.50%、Ti:0.003〜0.100%、B:0.0003〜0.0200%のう
    ち1種または2種以上を含有し、かつ0.005%≦S≦0.015
    %の場合1.0≦Ni/Cu≦15の関係を満足し、S<0.005%の場
    合1.0≦Ni/Cu≦10の関係を満足し、残部がFeおよび不可
    避不純物からなることを特徴とする耐食性・耐腐食疲労
    性に優れたばね用鋼。
  3. 【請求項3】 重量比にしてC:0.40〜0.70%、Si:0.05〜
    0.50%、Mn:≦0.40%、S:≦0.015%、Cu:0.05〜0.50%、N
    i:0.20〜2.00%、Cr:0.50〜3.00%、Al:0.003〜0.100%を
    含有し、さらにMo:0.05〜0.50%、V:0.05〜0.50%、Nb:0.
    01〜0.50%、Ti:0.003〜0.100%、B:0.0003〜0.0200%のう
    ち1種または2種以上を含有し、さらにREM:0.001〜0.5
    00%を含有し、かつ0.005%≦S≦0.015%の場合1.0≦Ni/Cu
    ≦15の関係を満足し、S<0.005%の場合1.0≦Ni/Cu≦10
    の関係を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなる
    ことを特徴とする耐食性・耐腐食疲労性に優れたばね用
    鋼。
JP19709598A 1998-07-13 1998-07-13 耐食性および耐腐食疲労性に優れたばね用鋼 Expired - Fee Related JP3532416B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19709598A JP3532416B2 (ja) 1998-07-13 1998-07-13 耐食性および耐腐食疲労性に優れたばね用鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19709598A JP3532416B2 (ja) 1998-07-13 1998-07-13 耐食性および耐腐食疲労性に優れたばね用鋼

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000026938A JP2000026938A (ja) 2000-01-25
JP3532416B2 true JP3532416B2 (ja) 2004-05-31

Family

ID=16368651

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19709598A Expired - Fee Related JP3532416B2 (ja) 1998-07-13 1998-07-13 耐食性および耐腐食疲労性に優れたばね用鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3532416B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4407458B2 (ja) * 2004-10-08 2010-02-03 Jfeスチール株式会社 ジンクリッチプライマーを塗布した高耐食鋼材
KR100957913B1 (ko) 2007-12-27 2010-05-13 주식회사 포스코 탈탄이 적은 스프링용 강재 및 그 제조방법
CN109868423A (zh) * 2019-03-19 2019-06-11 马鞍山钢铁股份有限公司 一种具有优良疲劳性能和耐蚀性能的高强度弹簧用钢及其生产方法
CN114410896B (zh) * 2022-01-27 2022-10-21 北京科技大学 超高强中碳弹簧钢和热处理工艺及高速列车转向架弹簧

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000026938A (ja) 2000-01-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5648769B2 (ja) 低温靱性および耐腐食摩耗性に優れた耐摩耗鋼板
EP2692890B1 (en) Abrasion-resistant steel plate or steel sheet and method for producing the same
EP2695960B1 (en) Abrasion-resistant steel sheet exhibiting excellent resistance to stress corrosion cracking, and method for producing same
CN1966755B (zh) 酸洗性优异的弹簧用钢丝材
KR101126151B1 (ko) 템퍼링 연화 저항과 인성이 우수한 브레이크 디스크
JP2842579B2 (ja) 疲労強度の優れた高強度ばね用鋼
WO2010092992A1 (ja) 耐食性と低温靭性に優れた車両用高強度スタビライザ用鋼及びその製造方法とスタビライザ
EP2290116A1 (en) Thick steel sheet having high strength and method for producing same
WO2011078165A1 (ja) 高強度ばね用鋼
JPH05117804A (ja) 加工性および転動疲労性に優れた軸受用鋼
EP1788105A1 (en) Spring steel wire rod excellent in pickling performance
KR20020083529A (ko) 베어링 재료
JP4283643B2 (ja) 耐食性に優れた軸受鋼及び軸受部品
JP4847988B2 (ja) 腐食疲労特性に優れたばね用線材
JP2001303173A (ja) 浸炭および浸炭窒化用鋼
JP3532416B2 (ja) 耐食性および耐腐食疲労性に優れたばね用鋼
JP3471576B2 (ja) 表面高硬度、高耐食性、高靭性マルテンサイト系ステンレス鋼
JP3858647B2 (ja) 低温継手靱性と耐ssc性に優れた高張力鋼とその製造方法
JPH07188840A (ja) 耐水素脆化特性に優れた高強度鋼およびその製法
JP6915761B1 (ja) ステンレス継目無鋼管およびその製造方法
JP3179851B2 (ja) Cr含有ステンレス鋼板の表面仕上げ方法
JP3489655B2 (ja) 高強度高靭性快削非調質鋼材
JPH07157846A (ja) 高強度ばね用鋼
JPH10237582A (ja) 高強度高靱性快削非調質鋼材
CN111334708B (zh) 一种抗拉强度≥2250MPa且疲劳性能优异的高强度弹簧钢及其生产方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040302

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040303

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S131 Request for trust registration of transfer of right

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313131

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

S131 Request for trust registration of transfer of right

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313131

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090312

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100312

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100312

Year of fee payment: 6

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100312

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100312

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110312

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120312

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120312

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140312

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees