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JP3234535B2 - 塗り替え用水性塗料および塗り替え方法 - Google Patents

塗り替え用水性塗料および塗り替え方法

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JP3234535B2
JP3234535B2 JP12717997A JP12717997A JP3234535B2 JP 3234535 B2 JP3234535 B2 JP 3234535B2 JP 12717997 A JP12717997 A JP 12717997A JP 12717997 A JP12717997 A JP 12717997A JP 3234535 B2 JP3234535 B2 JP 3234535B2
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豊昭 山内
亮 中林
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光、熱、雨、汚れ
などによって塗装内部の固体表面を保護する能力が経時
的に劣化した樹脂塗装面上に再塗装することにより、塗
装内部の固体表面の保護を維持、強化する樹脂塗装の塗
り替え用水性塗料およびそれを用いた樹脂塗装の塗り替
え方法に関する。
【0002】具体的には、特定のセミカルバジド誘導体
組成物(A)と、アルド基またはケト基を有するアクリ
ル系エマルジョン(B)を含む、樹脂塗装の塗り替え用
水性塗料および該塗料を樹脂塗装面上に再塗装する樹脂
塗装の塗り替え方法に関する。
【0003】
【従来の技術】従来、アクリル系樹脂、ウレタン系樹
脂、エポキシ系樹脂などからなる樹脂塗料で塗装された
表面が、屋内や屋外で光、熱、雨、汚れなどに暴露され
た場合、その塗膜は、ほこり、煤煙、砂等の付着により
汚染される。また、経時的に、紫外線による劣化、季節
間や一日間の温度差による膨潤・収縮、水分による膨潤
等を受け、塗装直後の外観を失ってしまう。このような
状態となった樹脂塗膜は、塗装内部の固体表面を保護す
る能力が劣化しており、塗り替えることが必要となる。
【0004】この塗り替えには、下地の塗膜を除去して
から塗り替える方法、あるいは塗膜の上へ直接新しい塗
料を塗布することによって塗り替える方法がある。従
来、建築関係では後者の方法が一般的である。具体的に
はシーラーを塗布した後、下塗りの水性塗料が塗装さ
れ、さらに意匠性のある上塗りを塗装することが通常行
われている。しかし、複数回の塗布、乾燥工程を要する
ため、多大の手間と時間を要する作業である。
【0005】最近、塗装の省力化の観点から、上記のシ
ーラーを使用せずに、直接シーラー及び下塗りとして塗
膜上へ塗装できる水性塗料が多数提案されている。しか
しながら、その耐久性、下地樹脂層への付着力等は不充
分なものである。例えば、特開昭62−13662号公
報では、セメント瓦、工場床などの塗膜層が破損あるい
は傷面となった場合に、ヒドラジン誘導体とアルド基ま
たはケト基を有するアクリル系エマルジョンとからなる
組成物を用いた塗膜を形成させることにより、または必
要により該組成物とセメントを混和させたものを用いる
ことにより、これらをシーラーおよび下塗りとして用い
て破損部分を補修する方法が開示されている。この方法
は破損部分を補修するには有効であるが、該組成物の下
地塗膜に対する耐水付着力は不充分なものであった。ま
た、光沢の良いトップコート層を得るためには、補修液
が形成した塗膜の上にさらに上塗りを行う必要があっ
た。
【0006】また、特開昭55−147562号公報で
は、ジカルボン酸ジヒドラジドと、アルド基またはケト
基を有する水性エマルジョンとからなる組成物を自動車
用更新塗料として利用することが開示されている。しか
し、自動車に使用されるアクリルラッカー、アクリルエ
ナメル、熱硬化アクリル等のアクリル系塗膜及びアクリ
ル−ウレタン等のウレタン系塗膜に対する該組成物の付
着性、耐久性は充分なものではなかった。
【0007】特開平6−190332号公報では、ヒド
ラジド化合物とアルド基またはケト基を有するエマルジ
ョンとからなる組成物及び顔料を含有する塗料塗膜を下
塗りとし、その上に意匠性を付与する上塗り塗料を塗装
することによる二層塗膜が提案されているが、2種類の
塗料を必要とし、塗装省力化の観点から充分なものでは
なかった。
【0008】WO96/01252号パンフレットに
は、特定のセミカルバジド誘導体組成物とポリカルボニ
ル化合物を組み合わせた被覆組成物が、一般的な塗料と
して使用できる旨の開示があるが、特に樹脂塗装の塗り
替え用途に関する言及はない。特開平5−302043
号公報には、ヒドラジン誘導体とアルド基またはケト基
を有するアクリル系エマルジョンとからなる組成物と、
アルド基またはケト基を有する顔料分散剤及び顔料とか
らなるグロスペイント組成物が開示されているが、柔軟
性に劣るため塗り替えすべき下地へ弾性塗料塗膜を形成
させたあと、その上へ意匠性を付与する上塗り塗料とし
てグロスペイント組成物を塗装することが提案されてい
る。従って、塗り替えすべき下地へ直接グロスペイント
組成物を塗装した場合、経時的に塗膜が割れたりはがれ
てしまうという欠点があった。
【0009】特開平5−51559号公報では、フレキ
シブル板に対してシーラーを使用せず一層で仕上げ可能
な塗料用エマルジョンが提案されているが、連鎖移動剤
を必須とするため、塗膜の耐水性が悪く、特に浸水後の
付着強さは充分なものではなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定の塗料
組成物を用いることにより、下地の樹脂塗膜に対する付
着性の良い下塗り層及び上塗り層を一層で形成して、光
沢性、耐水性の良い強固な塗膜を形成できる塗り替え用
水性塗料およびそれを使用した樹脂塗装の塗り替え方法
を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決する手段】本発明者らは、上記課題に関し
鋭意検討をかさねた結果、特定のセミカルバジジド誘導
体組成物とアルド基またはケト基を有するアクリル系エ
マルジョンとを含む水性塗料を、樹脂塗装された表面に
塗布、乾燥させて樹脂塗装を塗り替えることによって、
優れた効果を発現して上記課題を解決しうることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち本発明は、平均セミカルバジド
基数が2.5個以上であるセミカルバジド誘導体組成物
(A)と、アルド基またはケト基を有するアクリル系エ
マルジョン(B)とを含む水性塗料を、樹脂塗装表面に
直接塗布、乾燥させる樹脂塗装の塗り替え方法である。
【0013】本発明の水性塗料は、いまだ塗装を行って
いない構造材表面の塗装に使用することも可能である
が、特に下地樹脂層への付着性に優れ、またある程度の
柔軟さも有しているため、樹脂塗装の塗り替え用に適し
ている。さらに上塗り層としての表面光沢が優れ、耐水
性、耐候性も良いため、樹脂塗装の一層での塗り替え用
に適している。
【0014】本発明の水性塗料の塗装対象となる樹脂塗
装表面を形成する下地の樹脂層は、塗装によって形成さ
れた塗膜であることが好ましく、該塗膜は屋内や屋外で
光、熱、雨、汚れなどに暴露された該塗膜の旧塗膜を含
む。本発明の水性塗料の塗装対象となる樹脂塗装表面を
形成する下地の樹脂層は、アクリル系樹脂、ウレタン系
樹脂、エポキシ系樹脂より選ばれた塗膜であることが好
ましく、該塗膜が屋内や屋外で光、熱、雨、汚れなどに
暴露された旧塗膜を含む。これは本願の水性塗料が、こ
れらの塗膜に対する付着性が優れているからである。
【0015】アクリル系樹脂の塗装塗膜の例としては、
アクリルエナメル、酢酸ビニル・アクリルエナメル、ア
クリルラッカー、アクリル・スチレン、アクリル・シリ
コーン等の常温乾燥アクリル系樹脂を含むクリアー及び
顔料とからなる樹脂層を形成しているもの及び、アクリ
ル・メラミン等の熱硬化アクリル系樹脂を含むクリアー
及び顔料とからなる樹脂層を形成しているものが上げら
れる。
【0016】また、ウレタン系樹脂の塗装塗膜の例とし
ては、アクリル・ウレタン、フッソ・ウレタン等を含む
クリアー及び顔料とからなる樹脂層を形成しているもの
が上げられる。本発明の水性塗料はこれらの樹脂塗装表
面へ直接塗布、乾燥すればよく、一層で目的とする光沢
等に優れた塗装表面を得ることができる。
【0017】従来の塗り替え塗装工程では、下地の樹脂
塗装との付着性を良くするためのシーラー塗装と、シー
ラーと上塗り塗装のはがれを防止する下塗塗装(これに
より模様を付する場合もある。)、及び優れた光沢等を
付与するための上塗塗装が必要であった。しかし、本願
の水性塗料を用いることにより、従来の各塗り替え塗装
工程の機能を一つに集約することができる。
【0018】なお、下地の樹脂層表面やさらにその下の
構造材部分に、傷、割れ、へこみ、欠けなどの破損部分
がある場合は、別途シーラー、パテ等を用いることが望
ましい。本発明の水性塗料は、平均セミカルバジド残基
数が2.5個以上であるセミカルバジド誘導体組成物
(A)を含むことが必要である。この組成物が硬化剤と
して機能することにより、本願発明の優れた効果が発現
するものと推測される。
【0019】ここに、組成物の平均セミカルバジド残基
数は2.5個以上であることが必要である。この範囲を
満たすことにより、塗膜形成時に複雑な架橋構造を形成
し、優れた耐水性等の効果が発現する。好ましくは2.
5以上20以下、より好ましくは3以上20以下であ
る。本発明において、1分子あたりのセミカルバジド基
数とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
PC)で測定されるスチレン換算のセミカルバジド組成
物数平均分子量をM、セミカルバジド組成物1グラム中
に含まれるセミカルバジド基のモル数をSとしたとき、
M×Sで表される数で定義される。
【0020】このセミカルバジド誘導体組成物は、ポリ
イソシアネート化合物とヒドラジン化合物とを反応させ
る事によって得られ、たとえば1分子中に−NCO基を
平均2個以上、好ましくは平均3個以上有するポリイソ
シアネート化合物とヒドラジン化合物とを反応させる事
によって得ることができる。本発明の水性塗料におい
て、塗料中の水性媒体が揮散して該水性塗料からなる塗
膜を形成する場合、(A)成分中のセミカルバジド基
が、(B)成分中のアルド基またはケト基とセミカルバ
ゾン結合を行い、架橋したポリマーを形成することが望
ましい。
【0021】また、水性塗料より得られる皮膜の耐水性
を改善する目的で、セミカルバジド誘導体として、水に
対し不溶または難溶性となるセミカルバジド誘導体を用
いることも可能である。さらに、セミカルバジド誘導体
組成物(A)が、下記式(1)で表されるセミカルバジ
ド誘導体であることは好ましい。
【0022】
【化1】
【0023】(式中、R1 は、直鎖状又は分岐状の炭素
数2〜20のアルキレンジイソシアネート、置換されて
いないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1
〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で
置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレンジイ
ソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜1
8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換
されている炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネー
ト、及び置換されていないか或いは炭素数1〜18のア
ルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されて
いる炭素数8〜20のアラルキレンジイソシアネートか
らなる群から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネー
トの3量体〜20量体オリゴマーに由来する、末端イソ
シアネート基を有さないポリイソシアネート残基、もし
くはR1 は炭素数1〜8のイソシアナトアルキル基で置
換されている炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネ
ートに由来する、末端イソシアネート基を有さないトリ
イソシアネート残基を表し;R2 は、直鎖状又は分岐状
の炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数5〜20のシ
クロアルキルレン基、もしくは置換されていないか或い
は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアル
コキシ基で置換されている炭素数6〜10のアリーレン
基を表し;各R3 は、それぞれ独立して、水素原子又は
炭素数1〜20のアルキル基を表し;nは0又は1であ
り;l及びmは各々0または正の整数であり、ただし2
≦(l+m)≦20であり、好ましくは3≦(l+m)
≦20である。) 上記式(1)で表されるセミカルバジド誘導体の製造方
法の一例について説明する。
【0024】式(1)中、l+m=2であるセミカルバ
ジド誘導体は、1分子中に−NCO基を2個有するジイ
ソシアネート化合物とヒドラジン化合物とを反応させる
事によって得られる。また、より架橋効率が高く強靱で
かつ耐水性に優れた皮膜を得るためには、前記式(1)
で表されるセミカルバジド誘導体が、1分子中に−NC
O基を3個以上持つポリイソシアネート化合物とヒドラ
ジン化合物とを反応させる事によって得られるものであ
ることが望ましい。
【0025】1分子中に−NCO基を3〜20個有する
ポリイソシアネート化合物、およびそれから誘導される
セミカルバジド誘導体は、例えばWO96/01252
号パンフレットに記載の方法で得ることができる。ここ
で、ポリイソシアネート1分子中の−NCO基数が20
を超えない範囲がセミカルバジド基の数が比較的適当
で、セミカルバジド誘導体組成物(A)の粘度が高くな
りすぎにくく、取り扱える範囲である。また、ポリカル
ボニル化合物との相溶性の観点からも好ましい。
【0026】1分子中に−NCO基を3〜20個有する
ポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネート化合物
をオリゴマー化して得られる。例えば、ジイソシアネー
ト類をビュレット結合、尿素結合、イソシアヌレート結
合、ウレタン結合、アロファネート結合、ウレトジオン
結合等によりオリゴマー化したポリイソシアネート化合
物、更には1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナト
メチルオクタン及びこれらの併用が挙げられる。
【0027】具体的には、皮膜の硬度、耐薬品性、耐熱
性等の点から、基本骨格としてイソシアヌレート構造ま
たはビュレット構造を有するポリイソシアネート化合物
が好ましい。また、アルド基またはケト基を有するアク
リル系エマルジョン(B)との被覆組成物から得られる
皮膜の柔軟性に優れるものとしては、基本骨格としてウ
レタン構造を有するものが例示できる。
【0028】本発明においては、セミカルバジド誘導体
又はその原料であるポリイソシアネート化合物が、ヒド
ラジン化合物の鎖延長により高分子化することを防ぐ目
的から、ヒドラジン化合物を下式(2)で表されるモノ
アルデヒドまたはモノケトン等と反応させ、ヒドラゾン
基として封鎖して用いることもできる。 R4 5 C=O (2) (式中、R4 、R5 は各々独立して水素原子、直鎖状も
しくは分岐状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5
〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていない
か或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8
のアルコキシル基で置換されている炭素数6〜10のア
リール基を表し、R4 、R5 は場合によっては共同して
環状構造を形成してもよい。) この場合、生成するセミカルバジド誘導体はセミカルバ
ジド基がセミカルバゾン基として封鎖された物となり、
上記式(1)のセミカルバジド誘導体の末端封鎖体であ
る。
【0029】セミカルバジド誘導体組成物(A)から封
鎖剤として用いたモノアルデヒド又はモノケトンの脱離
は、アルド基またはケト基を有するアクリル系エマルジ
ョン(B)と混合する前に加水分解して留去しても良い
し、そのまま硬化剤として用いて水性塗料とし、基材表
面に塗布した後、硬化過程において自然脱離させても良
い。従って、上記封鎖剤としては30〜200℃の沸点
を有するモノケトン、例えばアセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が
好ましい。
【0030】また、式(1)で表されるセミカルバジド
誘導体及び/または該末端封鎖体からなるセミカルバジ
ド誘導体の水性媒体中への分散安定性や溶解性を補助す
る目的で、下記式(3)で表される親水性基含有化合物
及び/または該末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つ
とを混合して使用することができる。
【0031】
【化2】
【0032】(式中、R11は、直鎖状又は分岐状の炭素
数2〜20のアルキレンジイソシアネート、置換されて
いないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1
〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で
置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレンジイ
ソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜1
8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換
されている炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネー
ト、及び置換されていないか或いは炭素数1〜18のア
ルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されて
いる炭素数8〜20のアラルキレンジイソシアネートか
らなる群から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネー
トの3量体〜20量体オリゴマーに由来する、末端イソ
シアネート基を有さないポリイソシアネート残基、もし
くはR11は炭素数1〜8のイソシアナトアルキル基で置
換されている炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネ
ートに由来する、末端イソシアネート基を有すさないト
リイソシアネート残基を表し;R12は、直鎖状又は分岐
状の炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数5〜20の
シクロアルキルレン基、もしくは置換されていないか或
いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のア
ルコキシ基で置換されている炭素数6〜10のアリーレ
ン基を表し;各R13は、それぞれ独立して、水素原子又
は炭素数1〜20のアルキル基を表し;nは0又は1で
あり;そしてp及びqは、各々0または正の整数であ
り、rは正の整数であり、3≦(p+q+r)≦20で
ある) 上記式(3)で表される親水性基含有化合物のセミカル
バジド基がセミカルバゾン基として封鎖された化合物
が、式(3)における末端基H2 NR13N−の少なくと
も1つが式R5 4 C=NR13N−で表される封鎖末端
基を有している(式中、R4 、R5 は各々独立して水素
原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換
されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は
炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6
〜10のアリール基をあらわし、R4 とR5 は場合によ
っては共同して環状構造を形成していてもよい。)親水
性基含有化合物の末端封鎖体として用いることもでき
る。
【0033】即ち、上記式(1)で表されるセミカルバ
ジド誘導体及び/または該末端封鎖体から選ばれる少な
くとも1つと、上記式(3)で表される親水性基含有化
合物及び/または末端封鎖体から選ばれる少なくとも1
つとを含有するセミカルバジド誘導体組成物(A)を、
アルド基またはケト基を有するアクリル系エマルジョン
(B)の硬化剤として有利に用いることができる。
【0034】そして、式(1)で表されるセミカルバジ
ド誘導体及び/または該末端封鎖体から選ばれる少なく
とも1つと、式(3)で表される親水性基含有化合物及
び/または該末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つと
を含有する組成物において、それらの重量比が99/1
〜10/90の範囲内であることが望ましい。これによ
り塗膜が安定で硬化性能に優れる水性塗料が得られる。
【0035】本発明の式(1)で表されるセミカルバジ
ド誘導体から選ばれる少なくとも1つと、式(3)で表
される親水性基含有化合物から選ばれる少なくとも1つ
とを含有する組成物は、例えば、前記のWO96/01
252号パンフレットに記載の方法で得ることができ
る。本発明において、アルド基またはケト基を有するア
クリル系エマルジョン(B)の硬化剤として、セミカル
バジド誘導体組成物(A)と、ケトン酸及び/またはそ
の塩との混合物を使用することは好ましい。架橋効率が
高く強靱でかつ耐水性に優れた皮膜を得ることができる
からである。
【0036】この場合、セミカルバジド誘導体組成物
(A)が前記式(1)で表されるセミカルバジド誘導体
であればより好ましい。また、セミカルバジド誘導体組
成物(A)が難水溶性のセミカルバジド誘導体であれ
ば、さらに好ましい。ここで難水溶性とは、25℃にお
ける水100gに対する溶解度が5g以下であることと
する。
【0037】この本発明のセミカルバジド誘導体組成物
(A)は、アルド基またはケト基を有するアクリル系エ
マルジョン(B)と混合しやすいように、水性媒体中へ
の分散及び水性媒体中への溶解からなる群から選ばれる
少なくとも一つの状態であることが好ましい。本発明の
セミカルバジド誘導体組成物(A)を水に分散あるいは
溶解させる際には、場合によっては上記した式(3)で
表される親水性基含有化合物以外の、他の界面活性剤を
加えてもよい。このような界面活性剤の例としては、高
級脂肪酸、酸性脂肪アルコール、アルキルスルホン酸
塩、アルキルこはく酸塩、ポリオキシエチレンアルキル
硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩、
スルホこはく酸アルキルエステルの塩、アルケニルこは
く酸塩等のアニオン性界面活性剤や、エチレンオキサイ
ドと長鎖脂肪アルコールまたはフェノール類、リン酸類
との公知の反応生成物に代表されるノニオン性界面活性
剤として、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オ
キシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、エ
チレンオキサイドとリン酸類との公知の反応生成物等の
ノニオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩等を含有す
るカチオン性界面活性剤、(部分鹸化)ポリビニルアル
コール等の高分子分散安定剤等やそれらの併用が挙げら
れる。
【0038】特に、式(3)で表される親水性基含有化
合物またはアルケニルこはく酸塩が、式(1)のセミカ
ルバジド誘導体との親和性が高いので好ましい。本発明
において、ケトン酸及び/またはその塩としては、式
(4)又は式(5)で表されるモノケトンモノカルボン
酸類、式(6)又は式(5)で表されるモノケトンジカ
ルボン酸類、またはそれらの併用等が挙げられる。
【0039】
【化3】
【0040】{R1'は、水素原子、又は置換されていな
いか或いはヒドロキシル基又は炭素数1〜8のアルコキ
シ基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜
30のアルキル基を表す。R2'は、置換されていないか
或いはヒドロキシル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基
で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜30
のアルキレン基を表す。pは、0又は1を表す。Xは、
各々独立して、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム
または式(5)で表される置換アンモニウムを表す。
【0041】HNR3'4'5' (5) (R3'、R4'、R5'は、それぞれ独立して、水素原子、
又は置換されていないか或いはヒドロキシル基で置換さ
れている直鎖状または分岐状の炭素数1〜20のアルキ
ル基を表す。また、R3'とR4'あるいは、R3'とR4'
5'は、共同して環状構造を形成しても良い。)}
【0042】
【化4】
【0043】{R1'、R2'は、各々独立して、置換され
ていないか或いはヒドロキシル基又は炭素数1〜8のア
ルコキシ基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素
数1〜30のアルキレン基を表す。q、rは、各々0又
は1を表す。Y、Zは、各々独立して、水素原子、アル
カリ金属、アンモニウム又は上記式(5)で表される置
換アンモニウムを表す。} 本発明において、モノケトンカルボン酸類の具体例とし
ては、例えばピルビン酸、レブリン酸、アセト酢酸、ケ
トカプリン酸、ケトウンデカン酸、ケトステアリン酸、
ケトヘンエイコセン酸、ケトグリコン酸等が挙げられ
る。モノケトンジカルボン酸の具体例としては、例えば
ケトマロン酸、アセトンジカルボン酸、2−ケトグルタ
ル酸、アセトンジ酢酸、アセトンジプロピオン酸等が挙
げられる。
【0044】本発明において、ケトン酸の塩は、上記ケ
トン酸を塩基で中和することにより得ることができる。
中和に用いる塩基としては、例えばKOH、NaOH、
LiOH等のアルカリ金属の水酸化物、式(5)で表さ
れるアミン類等や、これらの併用が挙げられる。上記ア
ミン類の具体例としては、例えばアンモニア、ジエチル
アミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチ
ルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルシ
クロヘキシルアミン、メチルジエタノールアミン、ジメ
チルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエ
チルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン等が
挙げられる。
【0045】本発明では、セミカルバジド誘導体組成物
(A)とケトン酸を混合することにより、例えばケトン
酸としてモノケトンモノカルボン酸類を用いた場合、下
記の平衡反応が生じ、得られるセミカルバジド誘導体組
成物の親水性がコントロールできるものと推定される。
【0046】
【化5】
【0047】上記平衡式から判るように、本発明のセミ
カルバジド誘導体組成物の親水性のコントロールには、
セミカルバジド誘導体組成物(A)とケトン酸を混合比
と共に、H2 O濃度が大きく影響する。すなわち、H2
O濃度が小さいと上記平衡式は生成系にずれ、セミカル
バジド誘導体組成物へのケトン酸あるいはその塩の導入
量が増加し、結果としてセミカルバジド誘導体組成物の
親水性は増大する。逆に、H2 O濃度が大きいとセミカ
ルバジド誘導体組成物(A)の親水性は減少することに
なる。本発明において、H2 O濃度は、親水性のコント
ロールを目的に任意に設定することができる。
【0048】本発明において、セミカルバジド誘導体組
成物(A)とケトン酸及び/又はその塩との混合は任意
の割合で行うことができるが、セミカルバジド誘導体組
成物(A)中のセミカルバジド残基に対するケトン酸中
のケト基の比が、(ケト基)/(ヒドラジン基)モル比
で0.001〜10の範囲であることが好ましい。また
セミカルバジド誘導体組成物(A)とケトン酸との混合
は、任意の温度範囲において、無溶媒または溶媒中で行
うことができる。上記溶媒の具体例としては、水、t−
ブタノール、イソプロパノール、2−ブトキシエタノー
ル等のアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテ
ル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド等のアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン等の
ラクタム系溶媒、ジメチルスルホオキシド等のスルホオ
キシド系溶媒、酢酸エチル、セロソルブアセテート等の
エステル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素系溶媒、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒等や
その併用が挙げられる。
【0049】本発明は、該水性塗料には、界面活性剤を
使用することができる。使用できる界面活性剤として
は、例えばヘキサメタリン酸のナトリウム塩、カリウム
塩、またはアンモニウム塩、トリポリリン酸のナトリウ
ム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩、ポリアクリ
ル酸等のカルボン酸基を持つポリマーのナトリウム塩、
カリウム塩、またはアンモニウム塩。その他、例えば、
高級脂肪酸、樹脂酸、酸性脂肪アルコール、硫酸エステ
ル、高級アルキルスルホン酸、スルホン酸アルキルアリ
ル、スルホン化ひまし油、スルホこはく酸エステル、ア
ルケニルコハク酸等の塩に代表されるアニオン性界面活
性剤、あるいはエチレンオキサイドと長鎖脂肪アルコー
ルまたはフェノール類、リン酸類との公知の反応生成物
に代表されるノニオン性界面活性剤、4級アンモニウム
塩等を含有するカチオン性界面活性剤、(部分鹸化)ポ
リビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、ポリビニルピロリドン等の高分子分散
安定剤等、その他ポリエーテル系増粘剤等の増粘剤、可
塑剤、成膜助剤やそれらの併用が挙げられる。
【0050】本発明の水性塗料は、アルド基またはケト
基を有するアクリルエマルジョン(B)を含むことが必
要である。本発明の水性塗料の耐水性等が優れているの
は、塗料中の水性媒体が揮散して塗膜を形成する場合、
(A)成分中のセミカルバジド基が、(B)成分中のア
ルド基またはケト基とセミカルバゾン結合を行い、複雑
に架橋したポリマーを形成するためではないかと推測さ
れるからである。
【0051】本発明におけるアルド基またはケト基を有
するアクリルエマルジョンの製造方法の一例を挙げる
と、分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を
有するエチレン性不飽和カルボニル基含有単量体(a)
0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜15重量
%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)0〜20
重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、およびこ
れらの単量体と共重合可能な他の不飽和単量体(c)9
9.9重量%以下、より好ましくは99重量%以下の単
量体系を供給して水性媒体中において乳化重合する方法
が上げられる。
【0052】エチレン性不飽和カルボニル基含有単量体
(a)としては、アクロレイン、ジアセトンアクリルア
ミド、ジアセトンメタクリルアミド、ビニルメチルケト
ン、ビニルエチルケトン、アセトアセトキシエチルメタ
クリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、ホ
ルミルスチロール等や、その併用が挙げられる。また、
エチレン性不飽和カルボン酸単量体(b)は、単一でも
また複数種類を使用してもよく、具体的にはアクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、マレイン酸の半エステル、クロト
ン酸などを用いることができる。
【0053】本発明において、(c)の他のエチレン性
不飽和単量体は単一でもまた複数種類を使用してもよ
く、具体的にはカルボキシル基を持たないエチレン性不
飽和単量体であり、またはアルド基および/またはケト
基を持たないエチレン性不飽和単量体であり、単量体
)および/または単量体()と共重合可能な単量
体である。
【0054】アルド基またはケト基を有するアクリルエ
マルジョンの乳化重合の際、単量体系100重量部に対
し乳化剤として、スルホン酸基を有するエチレン性不飽
和単量体、スルホネート基を有するエチレン性不飽和単
量体、またはそれらの混合物、のいずれかから選ばれた
エチレン性不飽和単量体を0.05〜20重量部、好ま
しくは0.05〜10重量部を用いることができる。こ
れらの範囲内で乳化剤として上記のこれらアニオン型反
応性界面活性剤(スルホン酸基を有するエチレン性不飽
和単量体および硫酸エステル基を有するエチレン性不飽
和単量体を意味する。)を使用することにより、得られ
る皮膜の耐水性が充分なものとなる。
【0055】硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和
単量体とは、分子中にラジカル重合性の二重結合と硫酸
エステル基とを持つ化合物を意味し、具体的には例えば
旭電化工業(株)製アデカリアソープ(商標)SE10
25N、第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)HS
−10、日本乳化剤(株)製Antox(商標)MSー
60、三洋化成(株)製エレミノール(商標)RS−3
0等がある。
【0056】スルホン酸基を有するエチレン性不飽和単
量体とは、分子中にラジカル重合性の二重結合とスルホ
ン酸基とを持つ化合物を意味し、具体的には例えば三洋
化成(株)製エレミノール(商標)JS−2、JS−5
があり、花王(株)製ラテムル(商標)S−120、S
−180、S−180A、p−スチレンスルホン酸ナト
リウム、p−スチレンスルホン酸カリウム、アクリル酸
−(2−スルホエチル)エステルナトリウム、アクリル
酸−(2−スルホエチル)エステルカリウム、メタクリ
ル酸−(2−スルホエチル)エステルナトリウム、アク
リル酸−(3−スルホプロピル)エステルナトリウム、
アクリル酸−(3−スルホプロピル)エステルカリウ
ム、メタクリル酸−(3−スルホプロピル)エステルナ
トリウム等がある。
【0057】これらの反応性界面活性剤は、エマルジョ
ン中において、 エマルジョン粒子にラジカル重合した共重合物とし
て存在しているか、 未反応物としてエマルジョン粒子へ吸着、あるいは
エマルジョン水相中に存在しているか、又は 水溶性単量体との共重合物あるいは単量体同士の共
重合物としてエマルジョン粒子へ吸着、あるいはエマル
ジョン水相中に存在している。 とくにの状態の比率を高めることによって、エマルジ
ョンより得られるフィルムの耐水性を良好なものとする
ことができる。
【0058】また反応性界面活性剤は、エマルジョンよ
り得られるフィルムの熱分解ガスクロマトグラム質量分
析(Py−GC−MS)、又は熱分解質量分析(Py−
MS)により同定することができる。他の方法として、
エマルジョンの水相成分を分離した後、高速原子衝撃質
量分析(FABマススペクトル)によって同定すること
も可能である。
【0059】本発明のアルド基またはケト基を有するア
クリルエマルジョンは、水性媒体中において乳化重合さ
れることが好ましく、乳化重合は、すべての乳化重合工
程において、pH(水素イオン濃度)が1.5〜9.0
で実施されることが好ましく、pH1.5〜6.0で実
施されることがさらに好ましい。また、所望によって上
記の範囲内で種々の重合調整剤を添加することも可能
で、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリ
ウム、リン酸二水素ナトリウム等のpH調整剤や、ドデ
シルメルカプタン等の分子量を調節するための連鎖移動
剤を添加することも可能である。
【0060】本発明の実施には、ラジカル重合触媒とし
て、熱または還元性物質などによってラジカル分解して
単量体の付加重合を起こさせるもので、水溶性または油
溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が使用さ
れる。その例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリ
ウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハ
イドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−
アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライ
ド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)等がある。その量としては単量体に対して通常0.
01〜2重量%配合される。なお、重合速度の促進、さ
らに低温での重合を望むときには、例えば重亜硫酸ナト
リウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット
等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いる。
【0061】本発明では、乳化剤として通常の界面活性
剤を併用することができる。例えば、脂肪酸石鹸、アル
キルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオ
キシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアル
キルアリール硫酸塩等のアニオン性界面活性剤やポリオ
キシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキ
シプロピレンプロックコポリマー等のノニオン性界面活
性剤、さらにα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−
2−(ノニルフェノキシ)エチル 〕−ω−ヒドロキシ
ポリオキシエチレン(商品名:アデカリアソープNE−
20、NE−30、NE−40等、旭電化工業(株)
製)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニル
エーテル(商品名:アクアロンRN−10、RN−2
0、RN−30、RN−50等、第一製薬工業(株)
製)等の反応性ノニオン型界面活性剤といわれるエチレ
ン性不飽和単量体と共重合なノニオン型界面活性剤等が
用いられ、これらの使用を排除するものではないが、皮
膜の耐水性、密着性を維持するためにはその使用量は全
単量体100重量部当たり5重量部以下に、好ましくは
2重量部以下に留めることが望ましい。
【0062】上記要件を満たすことにより、乳化重合中
における多量の凝集物の発生が生じにくくなり、また耐
水性にも優れることとなる。本発明によって製造される
アルド基またはケト基を有するアクリル系エマルジョン
(B)は、エマルジョンの長期の分散安定性を保つた
め、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
ジメチルアミノエタノール等のアミン類を用いてpH5
〜10の範囲に調整することが好ましい。
【0063】本発明において、該水性塗料が顔料を含む
ことが望ましく、具体的には、例えばカーボンブラッ
ク、ベンガラ、酸化チタン等の着色顔料、炭酸カルシウ
ム、タルク、マイカ、クレー、ケイ藻土、ケイ砂、パラ
イト、水酸化アルミニウム等の体質顔料や骨材、ポルト
ランドセメント、酸化亜鉛等があげられ、該水性塗料が
顔料としてが酸化チタンであることがさらに望ましい。
【0064】本発明において、該水性塗料中の顔料体積
濃度(PVC)としては、5〜80%であり、好ましく
は8〜60%であり、さらに好ましくは8〜29%であ
る。上記PVCが、5%以上で下地となる樹脂層面の隠
蔽が十分となりやすく、また、PVC80%を下回ると
塗膜の柔軟性が得られやすく、下地樹脂層表面へ付着し
やすくなる。なおPVCは、下記式で与えられる。
【0065】PVC(%)=100×顔料の体積/水性
塗料固形分の体積 本発明では、該水性塗料から形成される塗膜の伸び率
が、20℃雰囲気下で10〜1000%であり、塗膜の
伸び率が20℃雰囲気下で20〜400%であることが
好ましく、塗膜の伸び率が20℃雰囲気下で50〜30
0%であることがさらに好ましい。ここでの塗膜伸び率
は、該水性塗料をJIS−A−6909に準じて試験体
を作製し、テンシロン引っ張り試験器((株)オリエン
テック製RTA−100)で引張速度:200mm/分
の条件で塗膜破断時の標線間伸び率の値である。
【0066】上記伸び率が範囲以下である場合には、下
地の樹脂層のひびワレに追従できず、範囲以上では、汚
れ易い塗膜となってしまう。本発明では、該水性塗料に
は実質上塗り塗料を必要としないが、所望により使用す
ることもできる。上塗り塗料として、例えばアクリル樹
脂、酢酸ビニル・アクリル樹脂、スチレン・アクリル樹
脂、アクリル・ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ
ソ樹脂、シリコーン・アクリル樹脂などを主成分とする
溶剤系または水系の樹脂が挙げられる。
【0067】本発明において、該水性塗料は下地の樹脂
層表面へ塗装・塗布されるものであるが、所望により基
材として、例えばコンクリート、セメントモルタル、ス
レート板、フレキシルボード、PC板、ALC板、ケイ
カル板、石膏ボード、押し出し成形板、コンクリートブ
ロックなどの無機機材、金属、木材、プラスチック、石
材等の基材へ直接塗装することも可能である。ただし、
必要に応じてプライマーまたはシーラー塗装を行ってお
くことが好ましい。
【0068】本発明の水性塗料は、ローラー、リシンガ
ン、万能ガン、エアスプレー、エアレススプレー、ハケ
などの公知の塗装器具を用いて塗装することができる。
本発明の水性塗料の塗布膜厚は、塗布量に基づいて0.
1〜3.0Kg/m2、好ましくは0.3〜1.5Kg
/m2 程度が適当である。該水性塗料は、樹脂層表面の
全面にわたって、平滑面もしくは滑らかな凹凸模様とな
るように行われるのが好ましい。
【0069】
【発明の実施の形態】以下に、参考例、実施例及び比較
例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれから
の実施例によって何ら限定されるものではない。なお例
中の部および%は重量表示である。実施例中に用いられ
る各種測定の測定方法は、下記の通りである。 分子量分布:ゲルパーミィテーションクロマトグラ
フィーを用いて、ポリスチレン標品検量線より求めた。
【0070】 (使用機器)・装置:東ソー(株)HLC−8020 ・カラム:東ソー(株) TSKgel G−5000 HXL TSKgel G−4000 HXL TSKgel G−2000 HXL ・データ処理:東ソー SC8010 ・キャリヤー:テトラヒドロフラン セミカルバジド基含有量の測定方法 サンプル約0.2g(Wグラム)をジメチルアセトアミ
ド10ccに溶解する。これに、シクロヘキシルイソシ
アネート2.5gを50ccのジメチルアセトアミドに
溶解した液を5cc加え、室温で1時間放置する。その
後、ジノルマルブチルアミン3.2gをトルエン100
ccに溶解した液10cc加え、さらに30分放置す
る。その後、イソプロパノール70ccを加え、指示薬
としてブロモクレゾールグリーンを少量加え、0.1規
定の塩酸(ファクターをF)で滴定する(滴定量A)。
同様の操作をサンプルを加えないで行う(滴定値B)。
以下の式によりセミカルバジド基含有量(単位はmeq
/g)が求められる。
【0071】(B−A)×0.1×F/W 初期光沢値、光沢保持率 各実施例または比較例のエマルジョンについて、下記の
配合Bによって得られた塗料をワイヤーコーターNo.
50を用いて、硫酸アルマイト板に塗布し、室温30日
間乾燥させる。そのときの60度−60度鏡面反射率を
初期光沢値として測定した(これをゼロ時間とす
る。)。引き続きサンシャイン型ウエザオメーター(ス
ガ試験機(株)製、WEL−SUN−DC)を使用して
暴露試験(降雨サイクル;12分/時間、ブラックパネ
ル温度60〜66℃)を行なった。暴露1500時間後
の60度−60度鏡面反射率を光沢値を測定し、初期光
沢値で割ることで光沢保持率を算出した。 (配合A) [顔料ディスパージョン] 水 82.5部 ポイズ530 注1 7.5部 トリポリリン酸ナトリウム の5%水溶液 7.5部 ダイセルHEC SP−600 の3%水溶液 注2 25.0部 SN−デフォーマー382 注3 2.5部 タイペークCR−97 注4 375.0部 [レットダウン] 各実施例、比較例の エマルジョン(固形分換算)460.0部 エチレングリコール モノブチルエーテル 10.0部 水 30.0部 アデカノールUH−472 注5 25.0部 SN−デフォーマー382 注3 1.0部 (注) 注1 分散剤:花王(株)製 注2 増粘剤:ダイセル化学工業(株)製 注3 消泡剤:サンノプコ(株)製 注4 ルチル型酸化チタン:石原産業(株)製 注5 増粘剤:旭電化工業(株)製 塗膜伸び率の測定 塗膜伸び率は、配合Aによる水性塗料をJIS−A−6
909に準じて試験体を作製し、テンシロン引っ張り試
験器((株)オリエンテック製 RTA−100)で引
張速度:200mm/分の条件で塗膜破断時の標線間伸
び率の値を測定する。 汚染回復率(耐汚染性) 皮膜の汚染回復率は、各実施例または比較例の配合物B
をワイヤーコーターNo.30を用いて、隠ぺい率試験
紙(JIS−K−5400)の白色部分に塗布し、室温
にて2時間乾燥させた。さらに50℃にて2日感乾燥さ
せたものを試験体とした。煤煙汚染試験機(日本科学機
器団体連合会刊 科学機器総覧96−97 1559ペ
ージ)中へ試験体を取り付け、この試験体を10rpm
で回転させながら、雰囲気温度70℃とし、煤煙汚染試
験機中にて灯油(JIS−K−2203)を燃焼させ1
時間塗膜を汚染させ、室温放置後、室温にてスプレーシ
ャワーにより水洗乾燥後の試験体の色差系Y値(白色
度)を測定し、これを汚染前のY値で除し、この値すな
わち保持率を汚染回復率として算出した。 付着性試験 (試験体Aの作製)JIS−A−6909で定めるモル
タル板(70mm×70mm×20mm)へSKスーパ
ーシーラー(合成樹脂系溶剤型シーラー:エスケー化研
(株)製)を0.1Kg/m2 となるよう塗布し乾燥
後、レナラック主材(合成樹脂エマルジョン系複層仕上
塗材主材:エスケー化研(株)製)を1.3Kg/m2
塗布し、室温で2日間乾燥する。さらにSKアクリルカ
ラー(アクリル系溶剤型トップコート:エスケー化研
(株)製)0.3Kg/m2 を塗布し、室温で14日間
養生後、サンシャイン型ウエザオメーター(スガ試験機
(株)製、WEL−SUN−DC)を使用して1500
時間暴露(降雨サイクル;12分/時間、ブラックパネ
ル温度60〜66℃)を行なった。暴露後、さらに各実
施例または比較例の配合Aによる配合物を1.0Kg/
2 となるよう塗布後、室温で7日間乾燥し、これを試
験体Aとする。 (試験体Bの作製)JIS−A−6909で定めるモル
タル板(70mm×70mm×20mm)へSKスーパ
ーシーラー(合成樹脂系溶剤型シーラー:エスケー化研
(株)製)を0.1Kg/m2 となるよう塗布し乾燥
後、レナラック主材(合成樹脂エマルジョン系複層仕上
塗材主材:エスケー化研(株)製)を1.3Kg/m2
塗布し、室温で2日間乾燥する。さらにSKアクリルカ
ラー(アクリル系溶剤型トップコート:エスケー化研
(株)製)0.3Kg/m2 を塗布し、室温で14日間
養生後、各実施例または比較例の配合Aによる配合物を
1.0Kg/m2 となるよう塗布後、室温で7日間乾燥
し、これを試験体Bとする。 (試験体Cの作製)JIS−A−6909で定めるモル
タル板(70mm×70mm×20mm)へ、SKアク
リルカラー(アクリル系溶剤型トップコート:エスケー
化研(株)製 )を0.3Kg/m2 となるよう塗布
し、室温で14日間養生後、サンシャイン型ウエザオメ
ーター(スガ試験機(株)製、WEL−SUN−DC)
を使用して1500時間暴露(降雨サイクル;12分/
時間、ブラックパネル温度60〜66℃)を行なった。
暴露後、さらに各実施例または比較例の配合Aによる配
合物を1.0Kg/m2 となるよう塗布後、室温で7日
間乾燥し、これを試験体Cとする。 (試験体Dの作製)JIS−A−6909で定めるモル
タル板(70mm×70mm×20mm)へ、DNTサ
イディングペイントウレタン(アクリル・ウレタン系溶
剤型トップコート:大日本塗料(株)製 )0.3Kg
/m2 となるよう塗布し、室温で14日間養生後、サン
シャイン型ウエザオメーター(スガ試験機(株)製、W
EL−SUN−DC)を使用して1500時間暴露(降
雨サイクル;12分/時間、ブラックパネル温度60〜
66℃)を行なった。暴露後、さらに各実施例または比
較例の配合Aによる配合物を1.0Kg/m2 となるよ
う塗布し、室温で7日間乾燥し、これを試験体Dとす
る。 (試験体Eの作製)JIS−A−6909で定めるモル
タル板(70mm×70mm×20mm)へ、SKアク
リルカラー(アクリル系溶剤型トップコート:エスケー
化研(株)製 )を0.3Kg/m2 となるよう塗布
し、室温で14日間養生後、サンシャイン型ウエザオメ
ーター(スガ試験機(株)製、WEL−SUN−DC)
を使用して1500時間暴露(降雨サイクル;12分/
時間、ブラックパネル温度60〜66℃)を行なった。
暴露後、さらに各実施例または比較例を下記の配合Bに
よる配合物を1.0Kg/m2 となるよう塗布後、室温
で7日間乾燥し、これを試験体Eとする。
【0072】 (配合B) 実施例、比較例のエマルジョン と硬化剤との混合物(固形分換算)460.0部 エチレングリコール モノブチルエーテル 10.0部 水 10.0部 (A〜E各試験体の付着性試験)A〜Eの試験体を、J
IS−A−6909の温冷繰返し試験に準じて、各試験
体を20℃の水中に18時間浸漬し、−20℃の恒温槽
中へ直ちに移して3時間冷却し、引き続き50℃の恒温
槽中で3時間加温する24時間を1サイクルとし、この
操作を10サイクル繰り返した。
【0073】<判定基準> ◎:10サイクル異常なし ○:1〜3サイクル異常なし、その後ハガレ、フクレ、
ひびワレを発生 ×:1〜3サイクルでハガレ、フクレ、ひびワレを発生 付着強さ試験および浸水後の付着強さ試験 上記付着性試験用の試験体C及びDを使用し、JIS−
A−6909に定める方法にて付着強さ、および浸水後
の付着強さを測定した。
【0074】
【参考例1】 アルド基またはケト基を有するアクリルエマルジョン
(1)の合成例。 かくはん機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつ
けた反応容器に、メタクリル酸8部、ジアセトンアクリ
ルアミド3部、メタクリル酸メチル29部、アクリル酸
ブチル60部、水300部、ラテムルS−180A(エ
チレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中
に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩:花王
(株)製)の20%水溶液20部を投入し、反応容器中
の温度を78℃に上げてから、過硫酸アンモニウム0.
5部を添加して1時間保つ。これによって第一段階のシ
ードラテックスが調製され、水素イオン濃度を測定した
ところpH1.8であった。次に、メタクリル酸4部、
ジアセトンアクリルアミド12部、メタクリル酸メチル
128部、アクリル酸ブチル256部の混合液と、水3
00部、スピノマーNaSS(p−スチレンスルホン酸
ナトリウム:東ソー(株)製)の20%水溶液20部、
過硫酸アンモニウム1.0部の混合液とを反応容器中へ
別々の滴下槽より3時間かけて流入させる。流入中は反
応容器中の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反
応容器中の温度を85℃にして6時間保つ。室温まで冷
却後、水素イオン濃度を測定したところ2.8であっ
た。25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整し
てから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝
集物の乾燥重量は全単量体に対して0.01%と非常に
わずかであった。得られたエマルジョンの固形分は4
4.4%、平均粒子径1100Åであった。
【0075】
【参考例2】 アルド基またはケト基を有するアクリルエマルジョン
(2)の合成例。 かくはん機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつ
けた反応容器に、水200部、アデカリアソープSE−
1025N(反応性界面活性剤:旭電化工業(株)製)
の20%水溶液5部を投入し、反応容器中の温度を78
℃に上げてから、過硫酸アンモニウム0.5部を添加す
る。5分後、メタクリル酸12部、ジアセトンアクリル
アミド25部、スチレン100部、メタクリル酸メチル
60部、アクリル酸2−エチルヘキシル303部、水4
00部、アデカリアソープSE−1025N(反応性界
面活性剤:旭電化工業(株)製)の20%水溶液35
部、過硫酸アンモニウム1.0部の混合液を、反応容器
中へ滴下槽より3時間かけて流入させる。流入中は反応
容器中の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応
容器中の温度を85℃にして6時間保つ。室温まで冷却
後、水素イオン濃度を測定したところ2.7であった。
25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整してか
ら100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物
の乾燥重量は全単量体に対して0.01%と非常にわず
かであった。得られたエマルジョンの固形分は44.2
%、平均粒子径1060Åであった。
【0076】
【参考例3】 ポリイソシアネート化合物Aの合成例。 イソホロンジイソシアネート222部、ヘキサメチレン
ジイソシアネート168部、ビュレット化剤としての水
2.4部を、エチレングリコールメチルエーテルアセテ
ートとリン酸トリメチルの1:1(重量比)の混合溶媒
130部に溶解し、反応温度160℃にて1.5時間反
応させた。得られた反応液を薄膜蒸留缶を用いて、1回
目は1.0mmHg/160℃の条件下、2回目は0.
1mmHg/200℃の条件下にて2段階の処理により
余剰のイソホロンジイソシアネートおよびヘキサメチレ
ンジイソシアネート、および溶媒を留去回収した。
【0077】得られたポリイソシアネート化合物Aは、
イソホロンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシ
アネートのコビュウレット型ポリイソシアネートであ
り、残存イソホロンジイソシアネートが0.7重量%、
残存ヘキサメチレンジイソシアネート0.1重量%、−
NCO含有量は19.6重量%、粘度は20000(±
3000)mPa.s/40℃、数平均分子量は約80
0(±100)であり、平均−NCO官能基数は約3.
7であった。
【0078】
【参考例4】 セミカルバジド誘導体Aの合成例。 還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にテ
トラハイドロフラン22部、ポリイソシアネートA(ポ
リイソシアネート化合物Aを酢酸エチルで79.6%の
溶液としたもの。NCO基含量15.6重量%)23
部、「ユニオックス(商標)M1000」〔日本油脂
(株)製、水酸基価56.9のポリオキシエチレンメチ
ルエーテル〕10部、触媒としてジブチル錫ジラウレー
ト0.001部を入れ60℃にて4時間反応した。次に
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に入
れたテトラハイドロフラン147部にヒドラジン1水和
物7.3部を撹拌しながら30分かけて室温で添加した
後更に1時間撹拌した。この反応液に先に得られた反応
物を40℃にて撹拌しながら1時間かけて添加しその後
更に40℃にて4時間撹拌した。その後182部の水を
30分かけて40℃で添加しさらに30分撹拌を続け
た。得られた反応液中のテトラハイドロフラン、酢酸エ
チル、ヒドラジン、水等を加熱減圧下に留去することに
より固形分30%のセミカルバジド誘導体Aの水分散体
を得た。また溶媒をすべて除去し、セミカルバジド基含
有量を測定したところ、2.6meq/gであった。
【0079】
【参考例5】 セミカルバジド誘導体Bの合成例。 還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にい
れたイソプロピルアルコール230部にヒドラジン1水
和物20部を室温で添加した。これに上記ポリイソシア
ネートA42部をテトラハイドロフラン168部に溶解
した溶液を40℃にて約1時間かけて添加し、さらに4
0℃にて3時間攪拌を続けた。得られた反応液中のテト
ラハイドロフラン、ヒドラジン、水等を加熱減圧下に留
去することにより、セミカルバジド誘導体を白色固体と
して得た。セミカルバジド基含有量を測定したところ、
4.1meq/gであった。
【0080】セミカルバジド誘導体27部にピルビン酸
2部及び水58部を添加し、30℃にて30分攪拌した
後、10%アンモニア水溶液3.6部を添加し、さらに
30℃にて1時間攪拌を行うことにより、均一透明なセ
ミカルバジド誘導体とケトン酸の塩とからなる誘導体B
の水溶液を得た。
【0081】
【参考例6】 セミカルバジド誘導体Cの合成例。 ヘキサメチレンジイソシアネート168部、ビュレット
化剤としての水1.5部を、エチレングリコールメチル
エーテルアセテートとリン酸トリメチルの1:1(重量
比)の混合溶媒130部に溶解し、反応温度160℃に
て1時間反応させた。得られた反応液を薄膜蒸留缶を用
いて、1回目は1.0mmHg/160℃の条件下、2
回目は0.1mmHg/200℃の条件下にて2段階の
処理により余剰のヘキサメチレンジイソシアネート、お
よび溶媒を留去回収し、残留物を得た。得られた残留物
は、99.9重量%のポリイソシアネートC(ヘキサメ
チレンジイソシアネートのビュウレット型ポリイソシア
ネート)および0.1重量%の残存ヘキサメチレンジイ
ソシアネートを含んでいた。得られた残留物の粘度は1
900(±200)mPa.s/25℃、数平均分子量
は約600(±100)であり、平均−NCO官能基数
は約3.3、−NCO基含有量は23.3重量%であっ
た。
【0082】還流冷却器、温度計および撹拌装置を有す
る反応器にイソプロピルアルコール1000部にヒドラ
ジン1水和物80部を撹拌しながら約30分かけて室温
で添加した後、、ポリイソシアネートC(NCO基含量
23.3重量%)144部をテトラヒドロフラン576
部に溶解した溶液を10℃にて約1時間かけて添加し、
さらに40℃にて3時間撹拌を続け、1000部の水を
添加した。続いて得られた反応液中のイソプロピルアル
コール、ヒドラジン、テトラヒドロフラン、水等を加熱
減圧下に留去することにより168部のビウレット構造
を有するセミカルバジド誘導体Cを得た。セミカルバジ
ド基含有量を測定したところ、4.6meq/gであっ
た。
【0083】
【実施例1】参考例1で合成したエマルジョン(1)1
00部と、参考例4で得たセミカルバジド誘導体Aの固
形分濃度30%の水溶液11.7部を添加し、室温で3
0分混合した後、各試験に供した。その結果を表1に示
す。
【0084】
【実施例2】参考例1で合成したエマルジョン(1)1
00部と、参考例5で得たセミカルバジド誘導体Bの水
溶液5.9部を添加し、室温で30分混合した後、各試
験に供した。その結果を表1に示す。
【0085】
【実施例3】参考例1で合成したエマルジョン(1)1
00部と、参考例6で得たセミカルバジド誘導体Cの固
形分濃度30%の水溶液6.3部を添加し、室温で30
分混合した後、各試験に供した。その結果を表1に示
す。
【0086】
【実施例4】参考例2で合成したエマルジョン(2)1
00部と、参考例4で得たセミカルバジド誘導体Aの固
形分濃度30%の水溶液19.4部を添加し、室温で3
0分混合した後、各試験に供した。その結果を表1に示
す。
【0087】
【実施例5】参考例2で合成したエマルジョン(2)1
00部と、参考例5で得たセミカルバジド誘導体Bの水
溶液9.8部を添加し、室温で30分混合した後、各試
験に供した。その結果を表1に示す。
【0088】
【実施例6】参考例2で合成したエマルジョン(2)1
00部と、参考例6で得たセミカルバジド誘導体Cの固
形分濃度30%の水溶液10.5部を添加し、室温で3
0分混合した後、各試験に供した。その結果を表1に示
す。
【0089】
【比較例1】参考例1で合成したエマルジョン(1)1
00部と、アジピン酸ジヒドラジドの5%水溶液4部を
添加し、室温で30分混合した後、各試験に供した。そ
の結果を表1に示す。
【0090】
【比較例2】参考例2で合成したエマルジョン(2)1
00部と、アジピン酸ジヒドラジドの5%水溶液6.7
部を添加し、室温で30分混合した後、各試験に供し
た。その結果を表1に示す。
【0091】
【比較例3】かくはん機、還流冷却器、滴下槽および温
度計を取りつけた反応容器に、メタクリル酸8部、メタ
クリル酸メチル32部、アクリル酸ブチル60部、水3
00部、ラテムルS−180A(エチレン性不飽和単量
体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコハク
酸ジエステルアンモニウム塩:花王(株)製)の20%
水溶液20部を投入し、反応容器中の温度を78℃に上
げてから、過硫酸アンモニウム0.5部を添加して1時
間保つ。これによって第一段階のシードラテックスが調
製され、水素イオン濃度を測定したところpH1.8で
あった。次に、メタクリル酸4部、メタクリル酸メチル
140部、アクリル酸ブチル256部の混合液と、水3
00部、スピノマーNaSS(p−スチレンスルホン酸
ナトリウム:東ソー(株)製)の20%水溶液20部、
過硫酸アンモニウム1.0部の混合液とを反応容器中へ
別々の滴下槽より3時間かけて流入させる。流入中は反
応容器中の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反
応容器中の温度を85℃にして6時間保つ。室温まで冷
却後、水素イオン濃度を測定したところ2.1であっ
た。25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整し
てから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝
集物の乾燥重量は全単量体に対して0.01%と非常に
わずかであった。得られたエマルジョンの固形分は4
4.3%、平均粒子径1100Åであった。
【0092】得られたエマルジョンを配合AおよびBに
従って配合した後、各試験に供した。その結果を表1に
示す。
【0093】
【比較例4】かくはん機、還流冷却器、滴下槽および温
度計を取りつけた反応容器に、水200部、アデカリア
ソープSE−1025N(反応性界面活性剤:旭電化工
業(株)製)の20%水溶液5部を投入し、反応容器中
の温度を78℃に上げてから、過硫酸アンモニウム0.
5部を添加する。5分後、メタクリル酸12部、スチレ
ン115部、メタクリル酸メチル60部、アクリル酸2
−エチルヘキシル313部、水400部、アデカリアソ
ープSE−1025N(反応性界面活性剤:旭電化工業
(株)製)の20%水溶液35部、過硫酸アンモニウム
1.0部の混合液を、反応容器中へ滴下槽より3時間か
けて流入させる。流入中は反応容器中の温度を80℃に
保つ。流入が終了してから反応容器中の温度を85℃に
して6時間保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測
定したところ2.1であった。25%アンモニア水溶液
を添加してpH8に調整してから100メッシュの金網
でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に
対して0.01%と非常にわずかであった。得られたエ
マルジョンの固形分は44.3%、平均粒子径1020
Åであった。
【0094】得られたエマルジョンを配合AおよびBに
従って配合した後、各試験に供した。その結果を表1に
示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【発明の効果】本発明の塗り替え用水性塗料およびそれ
を用いた樹脂塗装の塗り替え方法によれば、一層で樹脂
層表面に対する付着性の良い下塗り層及び光沢の良い上
塗り層が形成できる。該水性塗料の弾性塗膜自体は強靱
で樹脂層表面へ充分に付着し、また樹脂層表面の割れな
どに追従し、上塗り塗料を必要としない優れた耐候性を
有するので、塗装工程が簡略化でき、良好な仕上り外観
を発現できる塗膜が得られる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均セミカルバジド残基数が2.5個以
    上であるセミカルバジド誘導体組成物(A)と、アルド
    基またはケト基を有するアクリル系エマルジョン(B)
    とを含む水性塗料を、樹脂塗装表面に直接塗布、乾燥さ
    せる樹脂塗装の塗り替え方法。
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