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JP2810531B2 - 堆積膜形成方法及び堆積膜形成装置 - Google Patents

堆積膜形成方法及び堆積膜形成装置

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JP2810531B2
JP2810531B2 JP33267890A JP33267890A JP2810531B2 JP 2810531 B2 JP2810531 B2 JP 2810531B2 JP 33267890 A JP33267890 A JP 33267890A JP 33267890 A JP33267890 A JP 33267890A JP 2810531 B2 JP2810531 B2 JP 2810531B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する技術分野〕 本発明は、大面積に亘って均一なマイクロ波プラズマ
を生起させ得る新規なマイクロ波エネルギー供給装置を
用い、これにより引き起こされるプラズマ反応により、
原料ガスを分解、励起させることによって大面積にわた
り組成制御された機能性堆積膜を連続的に形成する方法
及び装置に関する。
更に詳しくは、前記原料ガスの利用効率を飛躍的に高
め、且つ高速で均一性の良い機能性堆積膜を大面積に亘
って連続的に形成することが出来る方法及び装置であっ
て、具体的には光起電力素子等の大面積薄膜半導体デバ
イスの量産化を低コストで実現させ得るものである。
〔従来技術の説明〕
電力需要は、世界的に増大の一途をたどっており、そ
うした需要を賄う電力生産を如何にして行うかが世界的
課題として検討されている。電力生産は、現在、水力発
電、火力発電、そして原子力発電により行われている。
これらの発電方式の中で水力発電は、降雨を利用するも
のであるところ、定常的に所定量の電力生産を行うこと
ができない。火力発電は、石油、石炭等のいわゆる化石
燃料を利用するものであって、電力需要の大半はこの発
電方式により賄われているが、化石燃料が有限であるこ
と、そして発電の際に不可避的に排出される二酸化炭素
が将来的に地球の温暖化を招くという本質的問題を抱か
えていることから他の発電方式への転換の必要性が論議
されている。
こうしたことから原子力発電がいきおい注目されると
ころとなり、原子力発電による電力生産の比率は増大す
る傾向にある。ところが原子力発電については、放射能
汚染という全ゆる生物の存亡にかかわる重大な問題の発
生の危険性があることから、安全性の確保が必須であ
り、この点の検討が世界的規模でなされている。
以上のような背景から最近“太陽光発電”がいきおい
注目されてきており、これについて既に多数の提案がな
されている。しかしながら提案されているいずれの太陽
光発電方式も電力需要を賄うという観点での電力生産を
可能にするものでは到底ない。ところで従来提起されて
いる太陽光発電方式は以下の2つの方式に大別できる 方式A:太陽光を集光して水を加熱、沸騰させて蒸気を発
生させ(光熱変換)、ボイラーで発電する(熱電変
換)。
方式B:太陽電池による光電変換作用で発電する。
方式Aの太陽光発電方式は、2段階のエネルギー変換
の末に発電する方式のものであって、システムの変換効
率は低く、小プラント実験は開始されてはいるが実用化
には至っていない。
一方、方式Bの太陽光発電方式については、既に数多
くの提案がなされており、その中のいくつかは腕時計や
卓上計算機等の民生用の電源用として実用化されている
が、電力用を目的とした発電設備は小規模のもので実験
が行われているが現在のところ研究段階の域を脱してい
ない。
この理由は、大規模な電力を定常的に生産するための
克服すべき課題がいくつかあり、特に発電能力が太陽電
池の面積に比例するため大規模な電力生産を可能にする
大面積の太陽電池を工業的規模で生産できるか否かが最
大の課題である。ところで太陽電池については、その重
要な構成部材たる半導体層は、いわゆるpn接合、pin接
合等の半導体接合が形成されている。これらの半導体接
合は、導電型の異なる半導体層を積層したり、一導電型
の半導体層中に異なる導電型のドーパントをイオン打込
み法等によって打込んだり、熱拡散によって拡散させた
りすることにより形成される。そして、前記半導体層を
構成する材料については、多くの提案があるが、それら
提案は単結晶又は多結晶シリコン(以下“x-Si"と略称
する。)とアモルフアスシリコン(以下“A-Si"と略称
する。)、及び化合物半導体材料に集中している。
ところがこうしたいずれの材料を用いた場合において
も、均一性、再現性等製造上の問題、光電変換効率の問
題、製造コストの問題等から、膨大な電力需要を賄い得
るだけの大量且つ大面積の太陽電池を生産するための製
造方式や太陽電池の素子構造そのものについても未だ完
成されていない。
特に、単結晶Siを用いた太陽電池パネルは、シリコン
・インゴツトから切り出されたSiウエハーにイオン打ち
込みを行ってpn接合を形成させたものを、なるべく隙間
なく並べてそれをつなぎ合わせて作製されるが、太陽電
池素子の製造プロセスは、大面積の基板を大量に処理す
るのに適した方法とは言えず、そもそも大口径の単結晶
シリコン・インゴツトは極めて高価であり、また、Siウ
エハーを切り出す工程においては、切り代として利用で
きない部分が多く排出される。これらのことが単結晶Si
太陽電池の生産コストを高くする原因にもなっている。
そして、これらの問題を解消するに有効な手だては今の
ところない。多結晶Siを用いた太陽電池については、そ
の光電変換効率は若干A-Siを用いた太陽電池を上まわる
ものの、特性決定因子の一つである結晶粒径の制御技術
は未完成であり、またその素子製造プロセスは単結晶Si
太陽電池とほぼ同じであって大量生産に適した方法とは
言い難い。
また、単結晶にしろ多結晶にしろx-Siは割れやすいと
いう結晶特有の性質のため、屋外の太陽光発電を行うに
は厳重な保護材を必要とし、その結果、保護材で包まれ
た太陽電池パネル・ユニツトはかなりの重量物となり設
置場所や環境に制約を受ける。
一方 A-Siを用いた大面積の太陽電池の作製において
は、ホスフイン(PH3)、ジボラン(B2H6)等のドーパ
ントとなる元素を含む原料ガスを主原料ガスであるシラ
ン等に混合してグロー放電分解することにより所望の導
電型を有する半導体膜が得られ、所望の基板上にこれら
の半導体膜を順次積層形成することによって容易に半導
体接合が形成でき、前述のx-Siを用いた場合よりかなり
安価に製造できることが知られている。
そして、上述のグロー放電分解を行うについて、RF
(ラジオ周波数)グロー放電分解法が技術的に確立さ
れ、広く利用されるようになってきている。しかしなが
らこの方法は、半導体膜を低い堆積速度で形成する場合
に比較的高品質のものが形成されることから、太陽電池
として機能させるに足る高品質の半導体膜を高速で大面
積に渡って形成することは困難であり、ましてや工業的
規模で太陽電池を作製して電力需要を賄い得るようにす
ることは甚だ困難であった。
一方、高速で高品質の堆積膜を形成し得る方法とし
て、マイクロ波を用いたプラズマプロセスが注目されて
いる。マイクロ波は周波数帯が短いため従来のRFを用い
た場合よりも成膜室内での電力密度を高めることが可能
であり、フラズマを効率良く発生させ、接続させること
に適している。
例えば、米国特許第4,517,223号明細書及び同第4,50
4,518号明細書には、それぞれマイクロ波電力によりグ
ロー放電を生起させ、低圧で基板上に堆積膜を形成せし
める方法が開示されている。これらの公報によれば、こ
れらの堆積膜形成方法は低圧下で成膜を行うものである
ことから、大電力を投入した場合に堆積膜の特性の低下
の原因となるラジカルの再結合が少ない、プラズマ中で
のポリシラン等からなる微粉末の発生が少ない、成膜速
度の向上が図れる。といった利点があることが理解され
る。しかしながら、マイクロ波を用いたプラズマプロセ
スでは、マイクロ波の波長が従来のRFに比べて180分の
1程度と極めて短いため、プラズマ密度の不均一性が生
じやすいという問題を有している。
こうした問題を回避する例として、マイクロ波電力を
成膜室内で均一化するためのマイクロ波給電手段として
遅波回路を使用する試みがあるが、該遅波回路には、マ
イクロ波発振機から遠ざかるにつれてマイクロ波給電手
段からプラズマへ供給されるマイクロ波電力が急激に減
衰するという特有の問題がある。この問題を解消するた
め、被処理基体とマイクロ波給電手段との距離をマイク
ロ波の進行方向において、徐々に近づけることによって
基体近傍での電力密度を一定にする方法が試みられてい
る。
例えば、米国特許第3,814,983号明細書及び同第4,52
1,717号明細書には、そうした方法が開示されている。
前者においては、基体に対してある角度にマイクロ波給
電手段を傾斜させる必要性があることが記載されている
が、プラズマに対するマイクロ波電力の伝達効率は満足
のゆくものではない。また、後者にあっては基体とは平
行な面内に、非平行に2つの遅波回路となっているマイ
クロ波給電手段を設けることが開示されている。即ち、
マイクロ波給電手段の中心軸が、基体に平行な面内で、
且つ基体の移動方向に対して直角な直線上で互いに交わ
るように配置することが望ましいこと、そして2つのマ
イクロ波給電手段間の干渉を避けるため、マイクロ波給
電手段同志を導波管の長辺の半分の長さだけ基体の移動
方向に対して横にずらして配設することのそれぞれが開
示されている。
また、マイクロ波給電手段の中では比較的取扱いの容
易なアンテナ方式については、例えば第16図及び第17図
に示した特公昭57-53858号公報及び特開昭61-283116号
公報に記載されたマイクロ波プラズマCVD装置がある。
いずれの場合においてもアンテナの周囲はマイクロ波透
過性の物質で構成される筒体で囲まれており、該筒体に
よって成膜室内の気密を保ち、且つ成膜室外部からマイ
クロ波を導入せしめ、アンテナへの膜堆積を防止するこ
とでアンテナの寿命を改善して、高密度のプラズマを広
い圧力範囲にわたって生成することができる。ところ
が、第17図に示した装置において、反応容器1701内には
基板ホルダー1702上に載置された基板1703とマイクロ波
電力供給手段とが配設されている。1704は前記マイクロ
波電力供給手段としての同軸線路であり、マイクロ波電
力は該同軸線路1704の外部導体の一部を切り欠いて設け
られた間隙1705からマイクロ波透過性の筒体1706を介し
て反応容器1701内に投入される。しかしながらこの装置
では、大面積の基板上にA-Si膜を均一に成膜することは
明らかに困難であり、、また具体的開示もない。一方、
第16図に示した装置において、反応容器1601内にはマイ
クロ波電力供給手段であるロツド・アンテナ1602、ガス
供給口1603、真空ポンプ1604に接続されたガス排気口16
05及び石英筒体1606上に載置された基板1607とが配設さ
れている。マイクロ波発振機で発生したマイクロ波電力
は導波管1608を伝送され、ロツド・アンテナ1602及びマ
イクロ波透過部材1609を介して石英筒体1606により囲ま
れた空間内に投入されてプラズマを生起しプラズマ処理
が行われる。しかしながら、マイクロ波電力はロツド・
アンテナ上を伝播しながら順次空間中に放射されるとい
うアンテナ固有の性質のため、該ロツド・アンテナの長
さ方向に対してマイクロ波電力の減衰が生ずるため、プ
ラズマを長手方向に均一化させることは困難である。
また、別のマイクロ波給電手段として知られている空
洞共振器方式において、プラズマの均一性を保持するた
めの提案がいくつか為されている。それらの提案は例え
ばジヤーナル・オブ・バキユーム・サイエンス・テクノ
ロジー(Journal of Vacuum Science Technology)B−
4(1986年1月〜2月)295頁〜298頁及び同誌のB−4
(1986年1月〜2月)126頁〜130頁に記載された報告に
見られる。これらの報告によれば、マイクロ波プラズマ
・デイスク・ソース(MPDSと略称する。)と呼ばれる円
筒空洞共振器型マイクロ波反応炉が提案されている。即
ちプラズマは円板状の形を為していて、円筒空洞共振器
の一部として該共振器に包含され、その直径はマイクロ
波周波数の関数となっているとしている。そしてそれら
の報告にはMPDSに共振器長可変機構をつけマイクロ波周
波数に対して同調できるようにしたことをが示されてい
る。2.45GHzで作動できるように設計したMPDSにおいて
はプラズマの閉じ込め直径はたかだか10cm程度であり、
プラズマ体積にしてもせいぜい118cm3程度であって、大
面積化とは到底言えない。また前記報告は915MHzという
低い周波数で作動するように設計したシステムでは周波
数を低くすることで約40cmのプラズマ直径、及び2000cm
3のプラズマ体積が与えれるとしている。
また、前記報告は更に、より低い周波数、例えば400M
Hzで作動させることにより、1mを超える直径まで放電を
拡大できるとしている。ところがこの内容を達成する装
置となると、専用の大電力用マイクロ波発振機を開発し
なければならず、それが完成しても通信障害回避のため
電波法により工業的に利用できる周波数が制限されてい
るため実施困難である。
さらに別のマイクロ波給電手段として電子サイクロト
ロン共鳴(ECR)を利用する方式が特開昭55-141729号公
報及び特開昭57-133636号公報等により提案されてい
る。すなわち、本方式はプラズマ化室となる空洞共振器
の周囲に同軸状に電磁石を配設し、該電磁石により875
ガウスの磁場をマイクロ波導入窓近傍に形成し、電子サ
イクロトロン共鳴(ECR)条件を成立させてマイクロ波
のプラズマへの吸収率を高め、高密度プラズマを発生せ
しめるものである。そして、該高密度プラズマは、前記
電磁石によって形成される発散磁界に沿って輸送され、
所望の基体上に所望の堆積膜が形成される。
この方式は、前述のマイクロ波プラズマ・デイスク・
ソース(MPDS)方式とは空洞共振器を使用する点で類似
しているが、MPDS方式は空洞共振器の内部の一部だけが
プラズマに占有されるのに対して、上述のECR方式は空
洞共振器内部にプラスマが充満するという点及び電子サ
イクロトロン共鳴現象を利用している点が異なってい
る。
さて、学会等では、このECR方式で形成される高密度
プラズマを利用して各種の半導体薄膜を形成する例が多
数報告されている。そしてこの種のマイクロ波ECRプラ
ズマCVD装置は既に市販されるに至っている。
ところが、これらのECRを用いた方法においては、プ
ラズマの制御に空洞共振器の外部から印加した発散磁界
を用いているため、電磁石が基体表面につくる磁界分布
も不均一となり、大面積の基板上に均一で均質な堆積膜
を形成するのは非常に困難である。
この困難さを一部克服して、膜厚・膜質分布を改善し
た方法が特開昭63-283018号公報で開示されている。即
ちこれは、均一な磁界分布を生成するために前記の空洞
共振器の周囲に配置された電磁石とは別の磁界発生手段
(例えば第2の電磁石)を基体の周囲に配設し、均一な
膜厚・膜質分布を達成したものである。しかしながら、
この第2の電磁石は既に巨大なものであり、そして、こ
の巨大な磁石で装置を構成しても今のところせいぜい15
cmφ程度の膜質・膜厚の均一性しか得られないのが実状
である。
以上説明したようなRF或いはマイクロ波等の高周波の
給電手段の確立に加えて、複数の所望の導電型を有する
半導体膜を順次積層して半導体接合を形成し太陽電池素
子を製造するための連続成膜装置も確立しなければなら
ない。
そうした連続成膜装置の例として、複数の半導体膜を
形成するための各々独立した複数の成膜質を仕切り弁を
介して接続し、該成膜室内にはそれぞれ1組の平行平板
形RF電極を配設し、該成膜室のそれぞれにおいて、他の
成膜室とは隔離された状態でRFグロー放電分解法により
各々の半導体膜を堆積形成する連続成膜装置が提案され
ている。即ち、pin接合を有する積層型半導体デバイス
の連続成膜装置として、いわゆる3室分離型連続成膜装
置が提案され、前記仕切弁によりp型半導体層、i型半
導体層、n型半導体層形成用の各成膜室を分離し、RFグ
ロー放電分解法で各層をそれぞれ成膜するが、各層を積
層していく過程において成膜→排気→搬送→成膜という
サイクルを繰り返すため多大の成膜時間を要し、また基
体の幅も仕切弁で制約されるため、現在の発電方式に代
替し得る大量の太陽電池素子を生産し得る連続成膜装置
では到底ない。
これに対して、米国特許第4,400,409号明細書に開示
されているロール・ツー・ロール(Roll to Roll)式連
続成膜装置は、前述したような成膜時間や基体の幅の制
約も少なく実用的である。この装置によれば、所望の幅
の十分に長いフレキシブルな帯状基体が搬送される経路
に沿って複数のRFグロー放電領域を設け、該各RFグロー
放電領域においてA-Siを主体とする半導体膜を形成し、
前記帯状基体をその長手方向にほぼ水平に連続的に搬送
させることによってRFグロー放電領域の数に相当する半
導体膜で構成される半導体接合を有する素子を連続形成
することができるとされている。尚、該明細書において
は、各半導体膜形成時に用いるドーパントガスが他のRF
グロー放電領域へ拡散、混入するのを防止するため、ガ
スゲートが用いられる。具体的には、ガスケートは、前
記各RFグロー放電領域同志を、スリツト状のガス隔離道
路によって相互に分離し、さらに該隔離通路に例えばA
r、H2等の排気用ガスの流れを形成させる手段が採用さ
れている。
しかしながら、前記各半導体層の形成はRF(ラジオ周
波数)を用いたプラズマCVD法によって行われるとこ
ろ、連続的に形成される膜の特性を維持しつつその膜堆
積速度の向上を図るにはおのずと限界がある。即ち、例
えば膜厚が高々5000Åの半導体層を形成する場合であっ
ても膜堆積速度が遅いため、前記帯状基体の搬送方向に
相当長尺で大面積にわたって常時所定のプラズマを生起
し、且つ該プラズマを均一に維持する必要がある。とこ
ろが、そのようにするについては可成りの熟練を必要と
し、その為に関係する種々のプラズマ制御パラメーター
を一般化するのは困難である。また、用いる成膜用原料
ガスの分解効率及び利用効率は高くはなく、生産コスト
を引き上げる要因の一つともなっている。
またこの他に、特開昭61-288074号公報には、改良さ
れたロール・ツー・ロール連続成膜法を用いた堆積膜形
成装置が開示されている。この装置においては、反応容
器内に設置されたフレキシブルな連続帯状部材の一部に
湾曲部を形成し、この中に前記反応容器とは異なる活性
化空間にて原料ガスより生成された活性種を前記反応容
器まで輸送した後、前記反応容器内に導入し熱エネルギ
ーにより化学的相互作用をせしめ、前記湾曲部を形成し
ている帯状部材の内面に堆積膜を形成することを特徴と
している。このように湾曲部の内面に堆積を行うことに
より、装置のコンパクト化が可能となる。さらに、あら
かじめ活性化された活性種を用いるので、従来の堆積膜
形成装置に比較して成膜速度を早めることができる。
ところが、この装置はあくまで熱エネルギーの存在下
での化学的相互作用による堆積膜形成反応を利用したも
のであり、熱エネルギーの供給方法、活性種と他分子と
の反応の起こりやすさ、或は活性種の失活までの寿命等
に依存して、堆積膜形成装置の反応容器と活性化空間の
距離や成膜条件が制約され、大面積化は困難である。
ところで、薄膜半導体は前述した太陽電池用の用途の
他にも、液晶デイスプレイの画素を駆動するための薄膜
トランジスタ(TFT)や密着型イメージセンサー用の光
電変換素子及びスイツチング素子等大面積又は長尺であ
ることが必要な薄膜半導体デバイス作製用にも好適に用
いられ、前記画像入出力装置用のキーコンポーネントと
して一部実用化されているが、高品質で均一性良く高速
で大面積化できる新規な堆積膜形成法の提供によって、
更に広く一般に普及されるようになることが期待されて
いる。
〔発明の目的〕
本発明は、上述のごとき従来の薄膜半導体デバイス形
成方法及び装置における諸問題を克服して、大面積に亘
って均一に、且つ高速で高品質の機能性堆積膜を形成す
る新規な方法及び装置を提供することを目的とするもの
である。
本発明の他の目的は、連続して移動する帯状部材上に
該帯状部材より縦方向に化学組成が連続的に変化する機
能性堆積膜を形成する方法及び装置を提供することにあ
る。
本発明の更なる目的は、堆積膜形成用の原料ガスの利
用効率を飛躍的に高めると共に、薄膜半導体デバイスの
量産化を低コストで実現し得る方法及び装置を提供する
ことにある。
本発明の更に別の目的は、大面積、大容量に亘ってほ
ぼ均一なプラズマを生起させる方法及び装置を提供する
ことにある。
本発明の更に別の目的は、連続して移動する帯状部材
上に、該帯状部材より縦方向に禁制帯幅が連続的に変化
する半導体層を形成する方法及び装置を提供することに
ある。
本発明の更に別の目的は、連続して移動する帯状部材
上に、該帯状部材より縦方向に価電子密度が連続的に変
化する半導体層を形成する方法及び装置を提供すること
にある。
本発明の更に別の目的は、比較的幅広で長尺の基板上
に連続して安定性良く、高効率で高い光電変換効率の光
起電力素子を形成するための新規な方法及び装置を提供
することにある。
〔発明の構成・効果〕
本発明者らは、従来の半導体堆積膜形成装置における
上述の諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成すべく
鋭意研究を進めたところ、成膜室の側壁を連続的に移動
する帯状部材で構成し、前記成膜室内にマイクロ波アン
テナ手段をマイクロ波透過性部材て包含させて突入さ
せ、前記成膜室内に成膜用原料ガスを導入し、ガス拡散
が容易に起こる適宜の圧力に保ち、前記マイクロ波アン
テナ手段にマイクロ波電源よりマイクロ波を供給し、更
に、前記帯状部材とは分離して配設したバイアス印加手
段にバイアス電圧を印加せしめたところ、前記成膜室内
において前記マイクロ波アンテナの長手方向に均一なマ
イクロ波プラズマを生起でき、且つそのプラズマ電位を
制御し得るという知見を得た。
本発明は、上述の知見に基づき更に検討を重ねた結果
完成に至ったものであり、下述するところを骨子とする
マイクロ波プラズマCVD法により大面積の機能性堆積膜
を連続的に形成する方法及び装置を包含する。
本発明の方法は、以下のとおりのものである。
即ち、長手方向に帯状部材を移動せしめ、その中途で
前記帯状部材上を側壁とする成膜空間を形成し、該形成
された成膜空間内に組成の異なる少なくとも2種以上の
堆積膜形成用原料ガスのそれぞれを複数のガス供給手段
を介して別々に導入し、同時に、該成膜空間内に配置さ
れたマイクロ波透過部材に包囲されたマイクロ波アンテ
ナ手段を介してマイクロ波の進行方向に対して垂直な全
方向に均一にマイクロ波を放射させて該成膜空間内にマ
イクロ波電力を投入して前記成膜空間内にマイクロ波プ
ラズマを生起せしめ、 該マイクロ波プラズマに曝される前記側壁を構成する
該帯状部材上に堆積膜を形成することを特徴とするマイ
クロ波プラズマCVD法による堆積形成方法である。
本発明の方法において、前記移動する帯状部材の中途
において、湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形成手段と
を用いて、前記湾曲開始端形成手段と前記湾曲終了端形
成手段との間に前記帯状部材の長手方向に間隙を残して
該帯状部材を湾曲させて前記成膜空間の側壁を成すよう
にされる。
また、本発明の方法において、前記帯状部材の素材と
しては、その線膨張係数が形成される堆積膜の線膨張係
数よりも大きいものを用い、該帯状部材を室温以上の所
望の成膜温度に保ちながら連続的に湾曲させて形成され
る凹状の湾曲面上に堆積膜を形成せしめ、該堆積膜の形
成された帯状部材を成膜空間の外部において室温まで冷
却させるにつき、該帯状部材を平面状に展開して冷却さ
せるようにする。
そして、前記帯状部材を側壁として形成される柱状の
成膜空間の対向する両端面のいずれか一方より、前記成
膜空間内に前記マイクロ波アンテナ手段を突入させ、前
記成膜空間内にマイクロ波電力を投入させる。
また、前記マイクロ波アンテナ手段と前記成膜空間と
の間に設けられたマイクロ波透過性部材を介して、該マ
イクロ波アンテナ手段より前記成膜空間内にマイクロ波
電力を投入させるようにし、更に、前記マイクロ波透過
性部材により前記マイクロ波アンテナ手段を前記成膜室
内に生起するプラズマから分離させる。
本発明の方法において、前記ガス供給手段を各々前記
側壁を構成する帯状部材の幅方向と平行に配設し、前記
堆積膜形成用原料ガスを、近接する該帯状部材に向けて
一方向に放出させるようにする。
本発明の方法においては、プラズマの複素誘電率に応
じてマイクロ波透過性部材の外径を予め調整・選択する
ようにする。
また、前記帯状部材の前記マイクロ波プラズマに曝さ
れる側の面には少なくとも導電処理を施すようにする。
更には、本発明の装置は、以下の内容のものである。
即ち、長手方向に帯状部材を移動せしめ、その中途で
前記帯状部材上に堆積膜を形成する堆積膜形成装置であ
って、該帯状部材を支持するため長手方向にそれ等の間
に所定の空間を空けて互いに平行に配されているローラ
ーの組によって送り出し機構から巻き取り機構に長手方
向に移動する途中に設けられ、該帯状部材が壁として機
能して形成される成膜空間を形成するため該帯状部材を
支持する成膜空間形成手段と、マイクロ波の進行方向に
対して垂直な全方向に均一にマイクロ波を放射させるた
めに該成膜空間内に配置されたマイクロ波透過部材に包
囲されているマイクロ波アンテナ手段と、前記成膜空間
内部を排気するための排気手段、前記成膜空間内に堆積
膜形成用原料ガスを導入するための少なくとも2つ以上
のガス供給手段と、前記帯状部材を加熱又は冷却するた
めの温度制御手段と、とを有することを特徴とする堆積
膜形成装置である。
本発明の装置において、前記湾曲部形成手段は湾曲開
始端形成ローラー、湾曲終了端形成ローラー及び対向す
る湾曲部端面支持リングとからなり、前記湾曲開始端形
成ローラーと前記湾曲終了端形成ローラーとは、前記帯
状部材の長手方向に間隙を残して平行に配設される。
本発明の装置において、前記マイクロ波同軸線路の中
心導体は、前記柱状の成膜室の対向する両端面のいずれ
か一方より該成膜室内部に突入され、且つ、該柱状の成
膜室の中心軸近傍に前記帯状部材の幅方向とほぼ平行に
配設される。
本発明の装置において、マイクロ波透過性部材で構成
される中心導体分離手段は、回転対称形であり、その形
状としては、円筒状、円錐台状、又は円錐状のいずれで
あっても良い。
さらに本発明の装置においては、前記マイクロ波同軸
線路上に少なくとも2つの同調手段が配設され、そのう
ち1つが前記成膜室内部に突入された前記中心導体の挿
入長調整機構となるようにされる。
また、前記帯状部材の前記マイクロ波プラズマに晒さ
れる側の面には少なくとも導電性処理が施される。
本発明の装置において、前記ガス供給手段は各々前記
側壁を構成する帯状部材の幅方向と平行に配設する。
そして、前記ガス供給手段には近接する前記側壁を構
成する帯状部材に向けられたガス放出孔を配設するよう
にする。
〔実験〕
本発明の装置を用いて、帯状部材上に高品質の機能性
堆積膜を均一に形成するための、マイクロ波プラズマの
生起条件等について検討するため、種々実験を行ったの
で、以下に詳述する。
なお、実験に際しては、原料ガスは3本のガス導入管
より均等に導入した。
実験例1 本実施例においては、成膜室を円柱状の成膜室の内径
を変化させたときのブラズマの安定性、膜厚分布及び膜
室の分布布について検討した。
具体的には、後述する装置例1の装置を用い、成膜室
の内径のみを変化させて5種類の試料を第1表の成膜条
件に従って作製した。なお、帯状部材は静止させた状態
で本検討を行った。
第2表に成膜室の内径を種々変化させた場合における
プラズマの状態等についての評価結果を示す。
第2表に示した成膜室の内径が180mmφ、120mmφの場
合において、マイクロ波電力を2500Wとした以外は第1
表に示したのと同様の条件でプラズマを生起させたとこ
ろ、成膜室の内径が120mmφの場合は放電が安定化した
が、成膜室の内径が180mmφの場合は放電が生起したも
のの不安定で、実用に値するものではなかった。
次に試料2−1乃至2−4について、以下に述べる評
価法により特性評価を行った。
形成された堆積膜の膜厚はユニオン技研社製のMCPD-2
00型分光反射率測定機を用いて測定した分光反射率曲線
の多重干渉フリンジのピーク位置から算出した。夫々の
試料における膜厚の測定箇所は基板の幅方向(x)及び
長手方向(y)に沿って50mmごととした。次に、このA-
Si:H膜上にCr薄膜を約70Å蒸着し、オーミツク電極を形
成した。そして、暗中で該オーミツク電極と帯状部材と
して用いたSUS430BA(0.2mm厚)薄板との間に電圧を印
加して流れる電流値から暗導電率(σ)を求め、ま
た、前述と同様に電圧を印加しながら、前記Cr電極側か
らHe-Neレーザー光を照射して流れる電流値から光導電
率(σ)を求め、それぞれの特性分布の評価を行っ
た。なお、He-Neレーザー光のA-Si:H膜中への照射強度
は、Cr電極の吸収を考慮してフオトン数で4×1015個/
cm2・secとした。
第7図(a)に試料2−1乃至2−3のx方向の膜厚
分布、第7図(b)にy方向の膜厚分布、第8図(a)
にσ,σのx方向の分布、第8図(b)にσ,σ
のy方向の分布の夫々の測定結果を示した。ここで、
x=0は帯状部材の幅方向の中心、y=0は帯状部材を
長手方向に展開した時の中心を表している。
これらの測定結果より、前記帯状部材の幅方向につい
ては膜厚、膜質ともに均一性が良いが、堆積される膜厚
は成膜室の内圧が大きくなるにつれ減少し、前記帯状部
材の長手方向については膜厚の均一性は保たれているも
のの、試料2−1では明らかに特性の悪化が認められ
る。即ち、前記成膜室の内径が大きくなるにつれて、形
成されるA-Si:H膜の特性が悪化する傾向がある。
なお、試料2−4は帯状部材が同軸に非常に接近して
いるが故、プラズマ密度が他の試料の場合に比較して相
当に高くなるため、基板温度は350℃以上にもなり、こ
のため成膜後に膜の剥離が生じ、評価に耐えないもので
あった。
実験例2 本実験例においては、第1図に示す本発明の装置(後
述する装置例1参照)と従来のRFグロー放電分解装置
(不図示)とを用いて、第3表に示す条件で堆積膜を形
成し、堆積膜形成の前後における基体の歪み量を各々測
定することによって、堆積膜中の圧縮応力の変化を検討
した。ここで、前記帯状部材となっているステンレス鋼
のヤング率は2.04×104[kg/mm2]、線膨張係数は11.9
×10-6[℃-1]であった。
その結果、いずれの装置を用いた場合においても、堆
積膜の剥離は認められなかったが、実際に堆積膜中に蓄
積された圧縮応力の測定結果は、第9図の従来装置を用
いた場合には、32kg/mm2であり、これに比較して第1図
の本発明の装置を用いた場合には、9kg/mm2となってお
り、1/3.5程度に応力緩和が成されていることが判っ
た。
実験例3 本実験例においては、前記成膜空間の内外に圧力差を
つける方法について、第1図に示す装置を用い、前記第
3表の作製条件において、スリツトの開口部の幅を種々
変化させた以外は同様の作製条件にてA-Si:H膜を堆積す
る実験を行った。
実験の結果及び評価等を第4表に示す。
尚、表中の実効コンダクタンスCef[1/sec]は、流量
を[sccm]から[Torr・1/sec]に換算して成膜空間内
部と外部の差圧ΔP[Torr]で割って求めた。
第4表の結果より、プラズマの漏洩を防止する上では
成膜空間の内外の圧力差を9mTorrより大きくすることが
好ましいことが判った。
実験例4 本実験例においては、前記成膜空間外部の圧力を低く
保持することにより、異常放電を抑制する方法について
第1図に示す装置を用い、さらに、真空排気口に第6図
に示すようなスロツトルバルプを介在させ、油拡散ポン
プを接続して実効的な排気速度が変化できるようにして
第3表の作製条件において、成膜室外部の圧力を種々変
化させた以外は同様の作製条件にて放電実験を行った。
それらの結果を第5表に示す。
これらの結果より、成膜空間外の隔離容器の圧力が高
くなり、成膜空間内部の圧力とほぼ等しくなると異常放
電、或いは放電集中が発生し密着力の悪い膜が堆積し
た。従って、異常放電による膜質低下を防止する上で前
記成膜空間外部の圧力を6mTorr以下に保持することが好
ましいことが判った。
実験結果の概要 本発明の方法及び装置において、マイクロ波プラズマ
の安定性、均一性等は、例えばマイクロ波アプリケータ
ーの種類及び形状、成膜時の成膜室内の圧力、マイクロ
波電力、マイクロ波プラズマの閉じ込めの程度、放電空
間の体積及び形状等種々のパラメーターが複雑にからみ
合って維持されているので、単一のパラメーターのみで
最適条件を求めるのは困難であるが、本実験結果より、
おおよそ次のような傾向及び条件範囲が判った。
本発明の方法において、前記成膜空間の内径は、好ま
しくは60mmφ乃至120mmφとされるのが望ましい。ま
た、所望の成膜温度に加熱し、且つ柱状に湾曲させた帯
状部材の凹状の湾曲面上に堆積膜を形成し、これを平面
状に展開して冷却させることによって堆積膜中に蓄積さ
れる応力を緩和させることができる。
また、スリツトの開口幅を変化させて成膜空間の内外
の圧力差9mTorr以上にすることにより、前記成膜空間か
らのプラズマの漏洩が防止できる。更に、前記成膜空間
外部の圧力を6mTorr以下にすることで、異常放電による
堆積膜の膜質の低下も防止できることが判った。
以下、前述の(実験)により判明した事実をもとに本
発明の方法及び装置について更に詳しく説明する。
本発明の方法が従来の堆積膜形成方法から客観的に区
別される点は、成膜空間を柱状とし、その側壁が連続的
に移動しつつも、構造材としての機能を果たし、且つ、
堆積膜形成用の支持体をも兼ねるようにした点である。
ここで、構造材としての機能とは、特に、成膜用の雰
囲気空間すなわち成膜空間と成膜用には関与しない雰囲
気空間とを物理的、化学的に隔離する機能であって、具
体的には、例えば、ガス組成及びその状態の異なる雰囲
気を形成したり、ガスの流れる方向を制限したり、更に
は、圧力差の異なる雰囲気を形成したりする機能を意味
するものである。
即ち、前記帯状部材を湾曲させて柱状の成膜空間の側
壁を形成し、対向する両端面のいずれか一方の面より、
堆積膜形成用の原料ガス及びマイクロ波電力を前記成膜
空間内に供給し、前記側壁の一部に残された間隙より排
気させることによって、プラズマを前記成膜空間内に閉
じ込め、前記側壁を構成する帯状部材上に機能性堆積膜
を形成せしめるものであり、前記帯状部材そのものが成
膜空間を成膜用には関与しない外部雰囲気空間から隔離
するための構造材としての重要な機能を果たしていると
ともに、堆積膜形成用の支持体として用いることもでき
る。
従って、前記帯状部材を側壁として構成される成膜空
間の外部の雰囲気は、前記成膜空間内とは、ガス組成及
びその状態、圧力等について全く異なる状態となってい
る。
一方、従来の堆積膜形成方法においては堆積膜形成用
の支持体は、堆積膜を形成するための成膜空間内に配設
され、専ら、該成膜空間にて生成する例えば堆積膜形成
用の前駆体を堆積させる部材としてのみ機能するもので
あり、本発明の方法におけるように前記成膜空間を構成
する構造材として機能させるものではない。
また、従来法であるRFプラズマCVD法、スパツタリン
グ法等においては、前記堆積膜形成用の支持体は放電の
生起・維持のための電極を兼ねることはあるがプラズマ
の閉じ込めは不十分であり、成膜用には関与しない外部
雰囲気空間との隔離は不十分であって、構造材として機
能しているとは言い難い。
要するに、本発明の方法は、機能性堆積膜形成用の支
持体として機能し得る帯状部材を前記成膜空間の側壁と
して用い、前記構造材としての機能を発揮せしめると共
に、前記帯状部材上への機能性堆積膜の連続形成をも可
能にするものである。
本発明者らの行った実験を介しての検討結果からする
に、プラズマCVD装置として現在市販されている装置
は、RF或いはマイクロ波を使用するいずれのものであっ
ても、その成膜室内で成膜用原料ガスが基体上に堆積し
て実際に実用に供し得る堆積膜になる割合は、せいぜい
15%程度であって、堆積膜としての回収率は実際にはか
なり低い。
本発明者らはこの点が成膜空間の形状、構造に大きく
依存しているとの前提に立って検討を重ねたところ、成
膜空間の周囲壁を基体で構成し、該周囲壁の内面上に堆
積膜を形成させることで、前記回収率は大幅に向上する
ことが判った。即ち、帯状部材を基体とし、これを連続
的に移動させながら、該帯状部材で成膜質の側壁を形成
させる。そして、該側壁の一部には前記成膜室内を排気
する為に間隙を設けるようにする。前記成膜室の形状
は、好ましくは柱状、より好ましくは円柱状である。そ
して、堆積膜としての回収率を向上させるには、該成膜
空間を形成する壁面の総面積に対して前記帯状部材で構
成される側壁部分の面積の割合を大きくすることが好ま
しい。即ち、前記帯状部材で形成される前記円柱状の成
膜空間の具体的な形状としては、対向する両端面の内径
寸法に対する、側壁の長さ(帯状部材の幅寸法)の比を
可能な限り大きくさせることが望ましい。こうすること
により、前記側壁の内壁面上に所望の機能性堆積膜を高
い回収率で形成させることができる。
本発明の方法において、基体上に形成された堆積膜が
大気中に取出された際、成膜時との温度差や湿度等の影
響で堆積膜が基体から剥離するのを回避するには、前記
帯状部材をほぼ柱状に湾曲させて予め機械的圧縮応力を
加えておき、該柱状に湾曲した帯状部材の凹状湾曲面上
に所望の成膜温度で堆積膜を形成した後、該帯状部材を
平面状或いは堆積膜の形成された側が凸面状になるよう
に展開して予め加えた機械的圧縮応力を機械的引張応力
に変換しながら室温まで徐冷し、その際前記帯状部材と
前記堆積膜との膨張係数の差で生ずる熱的圧縮応力を前
記機械的引張応力で緩和させる方法が好ましく用いられ
る。
前記帯状部材の材質として、その線膨張係数が前記堆
積膜の線膨張係数よりも大きいものを用いることによ
り、上述のような応力緩和の方法が可能となる。
従来、堆積膜の剥離を回避するためには、基体と堆積
膜との密着力の強化という観点で対策が施されてきた
が、この種の対策は基体の強度がある程度以上強いもの
に限定されており、ポリイミドやPET(ポリエチレンテ
レフタレート)のような比較的軟らかい素材を利用した
基体に対しては、前述のような対策だけでは前記基体に
しわがよってしまう故十分な対策とは言い難い。従っ
て、密着力の強化に加えて、応力緩和も重要な対策とな
り得る。
特に、複数の堆積膜を積層して作製する太陽電池素子
のような場合においては、堆積膜を積層することによっ
て圧縮応力が増幅されることもあり得るため、前述の本
発明の方法は重要である。
本発明の方法において、効率良くプラズマを生成・維
持するには、マイクロ波のインピーダンスをプラズマの
複素誘電率に応じて、成膜空間内部のプラズマを含めた
同軸線路の等価的な外部導体の内径が成膜空間外部の同
軸線路の外部導体の内径と等しくなるように、マイクロ
波透過性部材の外径を予め調整・選択する。
ここで、等価的という表現を用いたのは、実際に放電
実験を行った結果、原料ガスの種類及び流量、成膜室の
圧力、マイクロ波電力等の条件でプラズマを包含する外
側導体の内径は変化し、それがプラズマの誘電率の実数
部だけではなく虚数部、すなわち吸収率も影響し、位相
反転を生じるため理論的には外径の値を予想したがいこ
とが判明したためである。従って、プラズマで形成され
る外側導体の内径は、後述のように実験で確かめること
が確実である。
従来、インピーダンスの不整合、すなわち強い反射面
のあるマイクロ波装置では、該反射面で生ずる反射波と
同等の強度を有し、且つ該反射波とは位相の反転した他
の反射波をチユーナーで生ぜしめ、これらの2つの反射
波を干渉によって打ち消し合わせてインピーダンスを整
合させるという手法をとっているが、このように見かけ
上反射波をうち消し合わせて整合させた場合でも、前記
反射面と前記チユーナーとの間には大きな定在波が生じ
ており、大きなジユール熱損失を発生することがしばし
ばであった。
従って、このジユール熱損失をなくすには、前記反射
面と前記チユーナーとの距離をできる限り接近させ、好
ましくは一致させれば良い。即ち、本発明のマイクロ波
アンテナ手段においては、放電開始前の状態にては成膜
室内部と成膜室外部とはいずれも誘電率が1で同軸線路
の外部導体の内径が内部の方が大きくなっているため、
成膜室の境界面でインピーダンスの整合をとることは困
難であるが、放電開始後の状態では成膜室内部は誘電率
1より小さいプラズマが充満して等価的な内径が小さく
なり、マイクロ波透過性部材の外径を適宜選択すれば成
膜室内外における同軸線路の外部導体の内径が一致して
整合可能な状況が生まれてくる。かくして放電後の状態
でインピーダンスを整合させることが可能となる。
本発明の方法においては、前記帯状部材で成膜空間を
形成し、該成膜空間内でのみ堆積膜を形成せしめるよう
に、前記成膜空間外におけるガス組成及びその状態は前
記成膜空間内とは異なるように条件設定する。例えば、
前記成膜空間外のガス組成については、堆積膜形成には
直接関与しないようなガス雰囲気としても良いし、前記
成膜空間から排出される原料ガスを含んだ雰囲気であっ
ても良い。また、前記成膜空間内にはプラズマが閉じ込
められているのは勿論であるが、前記成膜空間外には前
記プラズマ及びマイクロ波が漏洩しないようにすること
及び異常放電を抑制することが、プラズマの安定性、再
現性の向上や不要な箇所への膜堆積を防ぐ上でも有効で
ある。
また、第1図の装置ではTEMモードでマイクロ波電力
を投入しているため、前記開口部の幅が狭いうちはマイ
クロ波の漏洩は該モードのため自動的に抑制されるが、
前記開口部の幅がマイクロ波の1/2波長程度になる場
合、マイクロ波の漏洩防止手段を設ける必要がある。即
ち、帯状部材の長手方向に形成された間隙部分に第6図
に示すような孔径がマイクロ波の波長の1/20程度の導電
性のパンチグ・ボード等を配設すれば良い。
本発明の方法において、成膜空間外部の圧力を6mTorr
以下に保持するのと同様の効果をもたらす代替手段とし
て、電離断面積の小さいガス(HeまたはH2等)を前記成
膜空間外部に流すことにより前記異常放電を抑制しても
良い。勿論、成膜空間外部の圧力を6mTorr以下に保持し
ながら、同時に前記電離断面積の小さいガスを流しても
よい。
即ち、本発明の方法において、プラズマを成膜空間内
に閉じ込め、成膜空間外部で異常放電を抑制することに
より、堆積膜形成用原料ガスの回収率を向上せしめ、且
つ、成膜速度を飛躍的に高めることができ太陽電池の工
業的規模での生産を可能にすることができる。
本発明の方法において、大面積に渡って膜厚及び膜質
が均一な堆積膜を形成するには、前記成膜空間の側壁を
構成する帯状部材に平行になるように該マイクロ波アン
テナ手段を成膜空間に貫入させ、同軸線路或いはリジタ
ーノ・コイル等のマイクロ波の進行方向に垂直な全方向
にマイクロ波を放射するマイクロ波アンテナ手段を介し
てマイクロ波電力を前記成膜空間内に投入してプラズマ
を生起させることによって為される。また、長時間に亘
ってプラズマ密度が一定の放電を持続するには、前記マ
イクロ波透過性部材で前記マイクロ波アンテナ手段を包
囲してプラズマから完全に隔離すれば良い。
本発明の方法において、前記マイクロ波アンテナ手段
は前記帯状部材に平行になるように配設し、該帯状部材
と前記マイクロ波アンテナ手段との距離は比較的短か
く、且つアンテナの長手方向においてもその距離は等し
く保たれることが望ましい。こうすることにより、前記
側壁を構成する帯状部材の幅方向に対して、マイクロ波
電力がほぼ均一に投入されるアンテナ手段が配設される
ことで、プラズマの密度分布が均一化される。
特に、前述のマイクロ波透過性部材で中心導体がプラ
ズマから隔離された同軸線路の場合、該同軸線路を介し
て成膜空間内部に投入するマイクロ波電力を増やしてゆ
くと、成膜空間の内部に導入されて前記マイクロ波電力
でプラズマ化されるガスの種類及びそのガス流量に依存
してプラズマへの吸収されるマイクロ波電力が飽和して
しまう閾値が存在する。従って、成膜空間内部に投入す
るマイクロ波電力が大電力であるほど前記の吸収電力の
飽和する領域が広がるため吸収電力が飽和した前記閾値
と同じ電力がアンテナの長手方向の各部から成膜空間内
部に投入されることとなり、プラズマ密度を均一化、す
なわち大面積に渡って膜厚及び膜質を均一化することに
なる。
しかしながら、このような大電力のマイクロ波電力を
成膜空間内部に投入すると形成される堆積膜の電気特性
が劣化したり、前記マイクロ波透過性部材の内部で発熱
したり、前記マイクロ波透過性部材がプラズマに晒され
ることによって生じる昇温で破損する場合があり、前述
の成膜空間内部に投入可能なマイクロ波電力が制約され
ることがある。
このような場合には、前記成膜空間に投入されるマイ
クロ波電力が制約されるため、前述の吸収電力の飽和は
起こらずプラズマ密度の均一化は起こらない。すなわ
ち、前記成膜空間の内部に配設されたマイクロ波アンテ
ナ手段から成膜空間内部に投入されるマイクロ波電力が
マイクロ波の進行方向に沿って漸滅するため、プラズマ
密度が空間的に不均一な分布をもってしまう。
これを回避して大面積に渡って膜厚及び膜質が均一な
堆積膜を形成するには、マイクロ波の進行方向に沿っ
て、成膜空間内部に投入されるマイクロ波電力がマイク
ロ波の進行方向に沿って漸滅するのを補償するように内
径が漸増する円錐台状又は円錐状の形状のマイクロ波透
過性部材を配設して前述した前記帯状基体と前記マイク
ロ波アンテナ手段との距離をマイクロ波の進行方向に沿
って狭くしてゆけば良い。
以上説明した通り、本発明の方法は投入するマイクロ
波電力の大きさに依らず、大面積に渡って膜厚及び膜質
が均一な堆積膜の形成を可能にするものである。
本発明の方法において、前記成膜空間の内壁面は、所
望の電流密度のバイアス電流が流れるのに必要な導電性
を有することが望ましい。そのためにはまず、前記帯状
部材は導電性の材料で構成されることが好ましいが、少
なくとも前記成膜空間に向いている側の面に導電処理が
施されていることが必要である。
本発明の方法において、前記成膜空間内へ組成の異な
る少なくとも2種類以上の堆積膜形成用原料ガスの夫々
を複数のガス供給手段から別々に導入させる場合には、
該ガス供給手段から放出される堆積膜形成用原料ガス
は、好ましくは前記帯状部材の幅方向に均一に、且つ該
ガス供給手段に近接する前記帯状部材に向けて一方向に
放出される様にする。すなわち、組成の異なる堆積膜形
成用原料ガスの夫々が前記ガス供給手段から放出された
直後に互いに混合しない様、該ガス供給手段の夫々に開
けられるガス放出口は互いに異なる方向を向くようにす
るのが望ましい。
そして、前記ガス供給手段は各々前記側壁を構成する
帯状部材に平行に配設するようにする。
本発明の方法において用いられる前記ガス供給手段の
数は、少なくとも形成しようとする機能性堆積膜の成分
元素数に等しいか、又はそれ以上であることが望まし
く、夫々のガス供給手段から放出させる堆積膜形成用原
料ガスの組成を適宜変化させることにより、組成制御さ
れた機能性堆積膜を形成することができる。
前記ガス供給手段の夫々は放出される堆積膜形成用原
料ガスが確実に励起、分解されるように前記柱状の成膜
空間内に含まれるよう配設されるのが望ましい。また、
形成される堆積膜に所望の組成分布をもたせる為、該ガ
ス供給手段の配置を適宜調整することが望ましい。更
に、前記柱状の成膜空間内での堆積膜形成用原料ガスの
流路を調整、制御する為に、該柱状の成膜空間内に整流
板を設けても良い。
本発明の方法によって形成される組成制御された機能
性堆積膜としては、SiGe,SiC,GeC,SiSn,GeSn,SnC等所謂
IV族合金半導体薄膜、GaAs,GaP,GaSb,InP,InAs等所謂II
I-V族化合物半導体薄膜、ZnSe,ZnS,ZnTe,CdS,CdSe,CdTe
等所謂II-VI族化合物半導体薄膜、CuAlS2,CuAlSe2,CuAl
Te2,CuInS2,CuInSe2,CuInTe2,CuGaS2,CuGaSe2,CuGaTe,A
gInSe2,AgInTe2等所謂I-III-VI族化合物半導体薄膜、Zn
SiP2,ZnGeAs2,CdSiAs2,CdSnP2等所謂II-IV-V族化合物半
導体薄膜、Cu2O,TiO2,In2O3,SnO2,ZnO,CdO,Bi2O3,CdSnO
4等所謂酸化物半導体薄膜、及びこれらの半導体を価電
子制御する為に価電子制御元素を含有させたものを挙げ
ることが出来る。また、Si,Ge,C等所謂IV族半導体薄膜
に価電子制御元素を含有させたものを挙げることができ
る。勿論A-Si;H,A-Si:H:F等非晶質半導体において、水
素及び/又はフツ素含有量を変化させたものであっても
良い。
上述した半導体薄膜において組成制御を行うことによ
り禁制帯幅制御、価電子制御、屈折率制御、結晶制御等
が行われる。前記帯状部材上に縦方向又は横方向に組成
制御された機能性堆積膜を形成させることにより、電気
的、光学的、機械的に優れた特性を有する大面積薄膜半
導体デバイスを作製することが出来る。
すなわち、堆積形成された半導体層の縦方向に禁制帯
幅及び/又は価電子密度を変化させることによりキヤリ
アの走行性を高めたり、半導体界面でのキヤリアの再結
合を防止することで電気的特性が向上する。また、屈折
率を連続的に変化させることにより光学的無反射面とす
ることで半導体層中への光透過率を向上させることが出
来る。更には、水素含有量等を変化させることにより構
造的変化を付けることで応力緩和がなされ、基板との密
着性の高い堆積膜を形成することができる。
また、横方向に結晶性の異なる半導体層を形成させる
ことにより、例えば、非晶質半導体で形成される光電変
換素子と結晶質半導体で形成されるスイツチング素子と
を同時に同一基板上に連続形成することが出来る。
本発明において、前述の機能性堆積膜を形成する為に
用いられる堆積膜形成用原料ガスは、所望の機能性堆積
膜の組織に応じて、適宜その混合比を調製して前記成膜
空間内に導入する。導入に際しては複数のガス供給手段
が用いられるが、夫々のガス供給手段から導入される堆
積膜形成用原料ガスの組成は異なっていても良く、目的
によっては同じであっても良い。又、時間的に連続的に
組成変化を行わせても良い。
本発明においてIV族半導体又はIV族合金半導体薄膜を
形成する為に好適に用いられる、周期律表第IV族元素を
含む化合物としては、Si原子、Ge原子、C原子、Sn原
子、Pb原子を含む化合物であって、具体的にはSiH4、Si
2H6、Si3H8、Si3H6、Si4H8、Si5H10等のシラン系化合
物、SiF4、(SiF2)5、(SiF2)6、(SiF2)4、Si2F6、Si
3F8、SiHF3、SiH2F2、Si2H2F4、Si2H3F3、SiCl4、(SiCl
2)5、SiBr4、(SiBr2)5、Si2Cl6、Si2Br6、SiHCl3、SiHB
r3、SiHI3、Si2Cl3F3等のハロゲン化シラン化合物、GeH
4、Ge2H6等のゲルマン化合物、GeF4、(GeF2)5、(Ge
F2)6、(GeF2)4、Ge2F6、Ge3F8、GeHF3、GeH2F2、Ge2H2F
4、Ge2H3F3、GeCl4、(GeCl2)5、GeBr4、(GeBr2)5、Ge2C
l6、Ge2Br6、GeHCl3、GeHBr3、GeHI3、Ge2Cl3F3等のハ
ロゲン化ゲルマニウム化合物、CH4、C2H6、C3H8等のメ
タン列炭化水素ガス、C2H4、C3H6等のエチレン列炭化水
素ガス、C6H6等の環式炭化水素ガス、CF4、(CF2)5、(CF
2)6、(CF2)4、C2F6、C3F8、CHF3、CH2F2、CCl4、(CCl2)
5、CBr4、(CBr2)5、C2Cl6、C2Br6、CHCl3、CHI3、C2Cl3
F3等のハロゲン化炭素化合物、SnH4、Sn(CH3)4等のスズ
化合物、Pb(CH3)4、Pb(C2H5)6等の鉛化合物等を挙げる
ことが出来る。これらの化合物は1種で用いても2種以
上混合して用いても良い。
本発明において、これらの化合物を適宜混合して用い
ることにより所望の組織制御が行われる。
本発明において形成されるIV族半導体又は、IV族合金
半導体を価電子制御する為に用いられる価電子制御剤と
しては、p型の不純物として、周期律表第III族の元
素、例えば、B、Al、Ga、In、Tl等が好適なものとして
挙げられ、n型不純物としては、周期律表第V族の元
素、例えばN、P、As、Sb、Bi等が好適なものとして挙
げられるが、殊に、B、Ga、P、Sb等が最適である。ド
ーピングされる不純物の量は、所望される電気的、光学
的特性に応じて適宜決定される。
このような不純物導入用の原料物資としては、常温常
圧でガス状態の又は、少なくとも膜形成条件下で容易に
ガス化し得るものが採用される。そのような不純物導入
用の出発物質として具体的には、PH3、P2H4、PF3、P
F5、PCl3、AsH3、AsF3、AsF5、AsCl3、SbH3、SbF5、BiH
3、BF3、BCl3、BBr3、B2H6、B4H10、B5H9、B5H11、B6H
10、B6H12、AlCl3等を挙げることが出来る。上記の不純
物元素を含む化合物は、1種用いても2種以上併用して
もよい。
本発明においてII、VI族化合物半導体を形成する為に
用いられる、周期律表第II族元素を含む化合物として
は、具体的にはZn(CH3)2、Zn(C2H5)2、Zn(OCH3)2、Zn(O
C2H5)2、Cd(CH3)2、Cd(C2H5)2、Cd(C3H7)2、Cd(C
4H9)2、Hg(CH3)2、Hg(C2H5)2、Hg(C6H5)2、Hg〔C=(C
6H5)〕等が挙げられる。また周期律表第VI族元素を
含む化合物としては、具体的にはNO、N2O、CO2、CO、H2
S、SCl2、S2Cl2、SOCl2、SeH2、SeCl2、Se2Br2、Se(C
H3)2、Se(C2H5)2、TeH2、Te(CH3)2、Te(C2H5)2等が挙げ
られる。
勿論、これ等の原料物資は1種のみならず2種以上混
合して使用することも出来る。
本発明において形成されるII-VI族化合物半導体を価
電子制御する為に用いられる価電子制御剤としては、周
期律表I、III、IV、V族の元素を含む化合物等を有効
なものとして挙げることができる。
具体的にはI族元素を含む化合物としては、LiC3H7
Li(sec-C4H9)、Li2S、Li3N等が好適なものとして挙げる
ことができる。
また、III族元素を含む化合物としては、BX3、B2H6
B4H10、B5H9、B5H11、B6H10、B(CH3)3、B(C2H5)3、B6H
12、AlX3、Al(CH3)2Cl、Al(CH3)3、Al(OCH3)3、Al(CH3)
Cl2、Al(C2H5)3、Al(OC2H5)3、Al(CH3)3Cl3、Al(i-C
4H9)3、Al(i-C3H7)3、Al(C3H7)3、Al(OC4H9)3、GaX3、G
a(OCH3)3、Ga(OC2H5)3、Ga(OC3H7)3、Ga(OC4H9)3、Ga(C
H3)3、Ga2H6、GaH(C2H5)2、Ga(OC2H5)(C2H5)2、In(CH3)
3、In(C3H7)3、In(C4H9)3、V族元素を含む化合物とし
てはNH3、HN3、N2H5N3、N2H4、NH4N3、PX3、P(OCH3)3
P(OC2H5)3、P(C3H7)3、P(OC4H9)3、P(CH3)3、P(C
2H5)3、P(C3H7)3、P(C4H9)3、P(OCH3)3、P(OC2H5)3、P
(OC3H7)3、P(OC4H9)3、P(SCN)3、P2H4、PH3、AsH3、AsX
3、As(OCH3)3、As(OC2H5)3、As(OC3H7)3、As(OC4H9)3
As(CH3)3、As(CH3)3、As(C2H5)3、As(C6H3)3、SbX3、Sb
(OCH3)3、Sb(OC2H5)3、Sb(OC3H7)3、Sb(OC4H9)3、Sb(CH
3)3、Sb(C3H7)3、Sb(C4H9)3などが挙げられる。
上記において、Xはハロゲン(F、Cl、Br、I)を示
す。
勿論、これ等の原料物質は1種であってもよいが、2
種又はそれ以上を併用してもよい。
更に、IV族元素を含む化合物としては前述した化合物
を用いることが出来る。
本発明においてIII-V族化合物半導体を形成する為に
用いられる周期律表第III族元素を含む化合物として
は、具体的にはBX3(但し、Xはハロゲン原子を示
す。)、B2H6、B4H10、B5H9、B5H11、B6H10、B6H12、Al
X3(但し、Xはハロゲン原子を示す。)、Al(CH3)2Cl、
Al(CH3)3、Al(OCH3)3、Al(CH3)Cl2、Al(C2H5)3、Al(OC2
H5)3、Al(CH3)3Cl3、Al(i-C4H9)3、Al(i-C3H7)3、Al(C3
H7)3、Al(OC4H9)3、GaX3(但し、Xはハロゲン原子を示
す。)、Ga(OCH3)3、Ga(OC2H5)3、Ga(OC3H7)3、Ga(OC4H
9)3、Ga(CH3)3、Ga2H6、GaH(C2H5)2、Ga(OC2H5)(C
2H5)2、In(CH3)3、In(C3H7)3、In(C4H9)3等が挙げられ
る。また周期律表第V族元素を含む化合物としては、具
体的にはNH3、HN3、N2H5N3、N2H4、NH4N3、PX3(但し、
Xはハロゲン原子を示す。)、P(OCH3)3、P(OC2H5)3、P
(C3H7)3、P(OC4H9)3、P(CH3)3、P(C2H5)3、P(C3H7)3、P
(C4H9)3、P(OCH3)3、P(OC2H5)3、P(OC3H7)3、P(OC
4H9)3、P(SCN)3、P2H4、PH3、AsX3(但し、Xはハロゲ
ン原子を示す。)、AsH3、As(OCH3)3、As(OC2H5)3、As
(OC3H7)3、As(OC4H9)3、As(CH3)3、As(CH3)3、As(C2H5)
3、As(C6H5)3、SbX3(但し、Xはハロゲン原子を示
す。)、Sb(OCH3)3、Sb(OC2H5)3、Sb(OC3H7)3、Sb(OC4H
9)3、Sb(CH3)3、Sb(C3H7)3、Sb(C4H9)3などが挙げられ
る。〔但し、Xはハロゲン原子、具体的には、F、Cl、
Br、Iの中から選ばれる少なくとも一つを表わす。〕 勿論、これ等の原料物質は1種あるいは2種以上混合
して用いることができる。
本発明において形成されるIII-V族化合物半導体を価
電子制御する為に用いられる価電子制御剤としては、周
期律表II、IV、VI族の元素を含む化合物等を有効なもの
として挙げることができる。
具体的には、II族元素を含む化合物としては、Zn(C
H3)2、Zn(C2H5)2、Zn(OCH3)2、Zn(OC2H5)2、Cd(CH3)2
Cd(C2H5)2、Cd(C3H7)2、Cd(C4H9)2、Hg(CH3)2、Hg(C
2H5)2、Hg(C6H5)2、Hg〔C=(C6H5)〕等を挙げるこ
とができ、VI族元素を含む化合物としては、NO、N2O、C
O2、CO、H2S、SCl2、S2Cl2、SOCl2、SeH2、SeCl2、Se2B
r2、Se(CH3)2、Se(C2H5)2、TeH2、Te(CH3)2、Te(C2H5)2
等を挙げることができる。
勿論、これ等の原料物質は1種であってもよいが、2
種又はそれ以上を併用してもよい。
更に、IV族元素を含む化合物としては前述した化合物
を挙げることが出来る。
本発明において前述した原料化合物はHe、Ne、Ar、K
r、Xe、Rn等の希ガス、及びH2、HF、HCl等の希釈ガスと
混合して導入されても良い。
また、これらの希釈ガス等は独立してガス供給手段か
ら導入されても良い。
本発明の方法において、前記柱状の成膜空間内におい
てプラズマを均一に安定して生起・維持させるために
は、前記成膜空間の形状及び容積、前記成膜空間内に導
入する原料ガスの種類及び流量、前記成膜空間内の圧
力、前記成膜空間内に投入されるマイクロ流電力量、及
びマイクロ波の整合等について各々最適な条件があるも
のの、これらのパラメーターは相互に有機的に結びつい
ており、一概に定義されるものではなく、適宜好ましい
条件を設定するのが望ましい。
以下、本発明の装置について更に詳しく説明する。
本発明の装置において、前記帯状部材を構造材として
機能させるにあたり、前記成膜室の外部は大気であって
も良いが、前記成膜室内への大気の流入によって、形成
される機能性堆積膜の特性に影響を及ぼす場合には適宜
の大気流入防止手段を設ければ良い。具体的にはOリン
グ、ガスケツト、ヘリコフレツクス、磁性流体等を用い
た機械的封止構造とするか、又は、形成される堆積膜の
特性に影響が少ないかあるいは効果的な希釈ガス雰囲
気、又は適宜の真空雰囲気を形成するための離隔容器を
周囲に配設することが望ましい。前記機械的封止構造と
する場合には、前記帯状部材が連続的に移動しながら封
止状態を維持できるように特別配慮される必要がある。
本発明の装置と他の複数の堆積膜形成装置を連結させ
て、前記帯状部材上に連続して堆積膜を積層させる場合
には、ガスゲート手段等を用いて各装置を連結させるの
が望ましい。また、本発明の装置のみを複数連結させる
場合には、各装置において成膜室は独立した成膜雰囲気
となっているため、前記隔離容器は単一でも良いし、各
々の装置に設けても良い。
本発明の装置において、前記成膜室の外部の圧力は減
圧状態でも加圧状態でも良いが、前記成膜室内との圧力
差によって前記帯状部材が大きく変形するような場合に
は適宜の補助構造材を配設すれば良い。
該補助構造材としては、前記成膜室の側壁とほぼ同一
の形状を、適宜の強度を有する金属、セラミツクス又は
強化樹脂等で構成される線材、薄板等で形成したもので
あることが望ましい。また、該補助構造材の前記マイク
ロ波プラズマに曝されない側の面に接触・支持する前記
帯状部材の接触部は、実質的に該補助構造材の影となる
故、堆積膜の形成はほとんど為されない。従って、前記
補助構造材の前記帯状部材上への投影面積は可能な限り
小さくなるように設計されるのが望ましい。
また、該補助構造材を前記帯状部材に密着させ、且つ
前記帯状部材の搬送速度に同期させて回転又は移動させ
ることにより、前記補助構造材上に施されたメツシユ・
パターン等を前記帯状部材上に形成させることもでき
る。
まず本発明の装置に使用させる帯状部材の材質につい
ては、該帯状部材を連続的に湾曲形成しうる柔軟性を有
するものを用い、湾曲開始端、湾曲終了端及び中途の湾
曲部分においては滑らかな形状を形成させることが望ま
しい。また該帯状部材が連続的に搬送される際に、たわ
みやねじれが起りにくい程度の強度を有するものである
ことが好ましい。
具体的には、ステンレススチール、アルミニウム及び
その合金、鉄及びその合金、銅及びその合金等の金属の
薄板及びその複合体、及びそれらの表面に異種材質の金
属薄膜をスパツタ法、蒸着法、鍍金法等により表面コー
テイング処理を行ったもの。又、ポリイミド、ポリアミ
ド、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ等の耐熱性
樹脂性シート又はこれらとガラスフアイバー、カーボン
フアイバー、ホウ素フアイバー、金属繊維等との複合体
の表面に金属単体又は合金、及び透明導電性酸化物(TC
O)等を鍍金、蒸着、スパツタ、塗布等の方法で導電性
処理を行ったものが挙げられる。また、前述の構成の帯
状部材の導電性処理面上にSiO2,Si2N4,Al2O3,AlN,及び
前述の耐熱性樹脂等の絶縁性薄膜を一部形成させたもの
を用いることもできる。
また、前記帯状部材の厚さとしては、前記搬送手段に
よる搬送時に形成される湾曲形状が維持される強度を発
揮する範囲内であれば、コスト、収納スペース等を考慮
して可能な限り薄い方が望ましい。
しかしながら、本発明の装置においては、第3図に示
した様に、湾曲部端面支持リング308が前記帯状部材の
周縁部にわずかに接する程度で、左右対向して1個ずつ
配置され、該帯状部材を搬送する構造となっているた
め、対向する一対の該湾曲部端面支持リング間で該帯状
部材のたるみが発生しないように、帯状部材の強度を高
める必要がある。
また、前述の堆積膜の応力緩和についても前記帯状部
材は厚い方が良い。従って該帯状部材の厚さはこれらの
点に鑑みて適宜決められるが、該帯状部材の材質の種類
とその曲げの曲率により多少異なる。例えば、帯状部材
がステンレスの場合、その厚みは0,03〜0.3mm程度であ
る。同様にアルミニウム又は銅の場合0.05〜0.5mm程
度、更に合成樹脂の場合0.1〜3mm程度である。
前記帯状部材を太陽電池用の基板として用いる場合に
は、該帯状部材が金属等の電気導電性である場合には直
接電流取り出し用の電極としても良いし、合成樹脂等の
電気絶縁性である場合には堆積膜の形成される側の表面
にAl、Ag、Pt、Au、Ni、Ti、Mo、W、Fe、V、Cr、Cu、
ステンレス、真ちゅう、ニクロム、SnO2、In2O3、ZnO、
SnO2-In2O3(ITO)等のいわゆる金属単体又は合金、及
び透明導電性酸化物(TCO)を鍍金、蒸着、スパツタ等
の方法であらかじめ表面処理を行って電流取り出し用の
電極を形成しておくことが望ましい。また、素子分離の
工程を容易にさせる目的で、一部絶縁膜を形成させてお
いても良い。
勿論、前記帯状部材が金属等の電気導電性のものであ
っても、長波長光の基板表面上での反射率を向上させた
り、基板材質と堆積膜との間での構成元素の相互拡散を
防止したり短絡防止用の干渉層とする等の目的で異種の
金属層等を前記基板上の堆積膜が形成される側に設けて
も良い。又、前記帯状部材が比較的透明であって、該帯
状部材の側から光入射を行う層構成の太陽電池とする場
合には前記透明導電性酸化物や金属薄膜等の導電性薄膜
をあらかじめ堆積形成しておくことが望ましい。
また、前記帯状部材の表面性としてはいわゆる平滑面
であっても、微小の凹凸面であっても良い。微小の凹凸
面とする場合にはその凹凸形状は球状、円錐状、角錐状
等であって、且つその最大高さ(Rmax)は好ましくは50
0Å乃至5000Åとすることにより、該表面での光反射が
乱反射となり、該表面での反射光の光路長の増大をもた
らす。
本発明の装置において、前記成膜室内で堆積される膜
の膜厚を制御するためには、前記側壁の一部分を覆い隠
すような基板カバーを挿入させるのが好ましい。
本発明の装置に使用される中心導体としては、その材
質がオーム損の小さい金属部材で構成されるのが望まし
い。具体的には、銀、銅、アルミニウム製等で構成され
るか或はこれらの金属が他の材質で構成される中心導体
上に鍍金されたものかのいずれかであれば良い。本装置
においては銀鍍金されたステンレス管を使用した。
また、成膜室内に突入された中心導体は、その周囲を
マイクロ波透過性部材でプラズマから分離することで、
中心導体上に堆積膜が形成されそれがマイクロ波の吸収
体となってマイクロ波電力の投入効率が低下するのを回
避している。
前記成膜室において、前記中心導体が突入された面に
対向する壁面はマイクロ波反射部材で構成されており、
一方前記中心導体が突入された面は、マイクロ波を透過
し同時に成膜室内部と外部の気密を保持する部材及びマ
イクロ波、反射部材とで構成され、前記成膜室の側壁が
導電性の帯状部材で構成されているため、前記帯状部材
の幅を適宜選択すれば共振器構造となる。
よく知られているように、線路のインピーダンスが急
変する境界面及び短絡面では電磁波は強く反射される。
ここでは、前述の成膜室の対向する両端面はそれぞれ前
述の境界面との短絡面に相当するためのマイクロ波を強
く反射し、2つの強い反斜面を適当に配置した空洞に電
磁波を投入するとQ値の高い共振器構造を構成すること
ができる。
本発明の装置では、成膜室の対向する両端面を可動と
して共振器構造を構成しても良いが操作性の点でより優
れる、前記中心導体挿入長調節機構により半同軸共振器
構造を形成したり、或はマイクロ波透過性の高誘電率部
材を成膜室の所望の場所に挿入することによって等価的
に共振器長を可変にする即ちインピーダンスを調整した
りしても良い。
上述の如く放電前に予め共振器構造となるように調整
すれば、共振器構造の電力蓄積効果によって放電開始が
容易であり、また放電後に前述の中心導体挿入長調節機
構でインピーダンスを整合させれば、広い成膜圧力範囲
で長時間に亘って定常的に一定の放電状態を持続するこ
とができる。
本発明の装置に使用されるマイクロ波透過性部材とし
ては例えば第1図において103で示される誘電体管が挙
げられる。
該誘電体管の材質としては、使用するマイクロ波帯域
において誘電損失tanδ(タンデルタ)の小さいもので
あれば良いが、同時に熱伝導率が高く熱衝撃にも強けれ
ば前記誘電体管に付着した膜が変質してマイクロ波電力
の反射・吸収が増大することを抑止し、前記誘電体管の
熱破損も防止できるためなおさら良い。このような条件
に最適な材質としてはベリリア、アルミナ・セラミツク
ス、窒化ホウ素、石英等が好適であり、特にアルミナ・
セラミツクスが最も好適である。
マイクロ波グロー放電を生起させ、しかも安定に定常
的に放電させるためには、この誘電体管にマイクロ波を
透過させ気密を保持し得る機能が求められる。この機能
を果すような前記誘電体管の形状としては、次の2例の
いずれかの方法が最適である。すなわち、開放円筒管の
両端に穴あきフランジを1つずつ溶着する開放端円筒管
か、或は一方が閉端となった円筒管の開放端側に穴あき
フランジを溶着する閉端円筒管かのいずれかである。そ
してこのフランジ部がOリングを介して成膜室の対向す
る端面の一方の壁に密着して気密が保持できるよう配置
すれば良い。保守・点検の点から言えば、後者の閉端円
筒管の方が更に好都合である。
本発明の装置に使用される前記のマイクロ波透過性の
高誘電率部材は、アルミナ・セラミツクス、ベリリア、
窒化ホウ素等の材質で構成され、前述の中心導体挿入長
調節機構により構成される半同軸共振器構造の内部或は
端部に配設することによって、共振器長を等価的に変化
させる効果が得られることが本発明者らの検討で確認さ
れた。本発明者らが更に検討を行った結果、前記マイク
ロ波透過性の高誘電率部材の最適な寸法が、前記中心導
体の挿入長と相関があることが判明した。従って、該中
心導体の挿入長を固定した状態でHP8757Aスカラ・ネツ
トワーク・アナライザー(ヒユーレツト・パツカード社
製)を使用して、共振周波数が2.45GHzになるように前
記マイクロ波透過性の高誘電室部材の形状を決めれば良
い。
本発明の装置に使用される帯状部材を支持・搬送する
手段については、前記帯状部材(基体)が前記成膜室の
側壁を形成しているため、搬送中の前記帯状部材にねじ
れ、たわみ、蛇行等を生ずると放電が不安定となり同一
の品質の膜を再現良く大量に作製することは困難にな
る。また、前記帯状部材を支持搬送する手段の表面に汚
れやゴミが付着していると、それらが形成された堆積膜
の欠陥の原因となることがしばしば起こり、問題となっ
ていた。つまり、前記帯状部材を支持・搬送する手段に
は前記成膜室の変形を防止することと帯状部材の堆積膜
が形成される面(これを「成膜面」と略称する)に帯状
部材を支持・搬送する手段が接触することを極力控える
ことの2点が重要であることが判明した。
すなわち、前記第一点の成膜室の変形防止には前記帯
状部材を支持・搬送する手段に公知のクラウン機構を組
込んでねじれ・蛇行を防止し、公知の張力調整機構でた
わみを防ぐことができる。
また、前記第二点の前記成膜面に帯状部材を支持・搬
送する手段が接触することを極力控えるには、帯状部材
の成膜面側の支持は帯状部材の周縁部のみで行い、帯状
部材の成膜面の裏面の支持は帯状部材全幅に渡って支持
搬送すれば良い。
換言すれば、前記帯状部材の湾曲部形成手段が成膜室
の内部に配置されるものは帯状部材の周縁部のみを接触
・支持する湾曲部端面支持リングであり、成膜室外部に
設置されるものは大略帯状部材の幅全体に渡って接触・
支持するローラーである。前記湾曲部端面支持リングで
前記帯状部材の内側を支持し、搬送するには、第1図に
示した様に多数の湾曲部支持内側リング113で支持して
も良いし、第3図に示した様に円柱状の成膜室の対向す
る両端面とほぼ同じ大きさの一対の湾曲部支持内部リン
グ308で支持しても良い。
ここで、湾曲した帯状部材を側壁とした柱状の成膜室
と前述の帯状部材の長手方向に設けられた間隙とを形成
するには、連続的に搬送される帯状部材を1対の開口部
支持内側ローラーと開口部支持外側ローラーとから構成
される湾曲開始端形成ローラーでゆるやかにその搬送方
向を変え、前記湾曲部端面支持リングで前記帯状部材を
成膜室の側壁を為すように湾曲させ、前述とは別の1対
の開口部支持内側ローラーと開口部支持外側ローラーと
から構成される湾曲終了端形成ローラーでゆるやかにそ
の搬送方向を変えることによって為される。
ここで、前記開口部支持外側ローラーの直径が大きす
ぎると中心導体から帯状部材までの距離が方向によって
異なる為プラズマ密度の不均一な部分を多く生じて望ま
しくない。一方前述の開口部支持外側ローラーの直径が
小さすぎると、曲げ応力により前記帯状部材に歪みを残
したり、膜の剥離を起こす。そこで、厚さ0.15mmの金属
帯状部材では直径60mmφ〜100mφのローラー、厚さ0.05
mmでは直径25mmφ程度のローラーを使用することが望ま
しい。さらに、メンテナンス後の真空引きを速やかに終
了するため、前記湾曲開始端形成ローラーと前記湾曲終
了端形成ローラーとの間隔を可変できるような装置構成
としても良い。なお、湾曲部端面支持リングにて前記帯
状部材を支持・搬送する方法としては単なる滑り摩擦の
みによっても良いし、あるいは前記帯状部材にスプロケ
ツト穴等の加工を施し、同時に、湾曲部端面支持リング
がスプロケツトでも良い。
また、本発明の装置においても、前記帯状部材の表面
温度は堆積膜の膜質を左右する重要なパラメーターであ
るが、該帯状部材の表面温度の制御方法である第2図に
示すようなランプ輻射加熱により該帯状部材を前記成膜
面の裏面から加熱することができる。しかしながら該帯
状部材の搬送速度が遅い、即ち前記成膜室に該帯状部材
が滞留する時間が長い場合及びマイクロ波の投入電力が
大きい場合は前記帯状部材は著しく昇温してしまい、ラ
ンプ輻射加熱のみでは温度調整できなくなる場合があ
る。このような場合には、第3図において308で示され
る湾曲部支持内側リングの他に、湾曲部支持外側ローラ
ー(不図示)を設け、前記帯状部材の成膜面の裏面の全
幅に渡って該湾曲部支持外側ローラーを圧接させ、該湾
曲部支持外側ローラー内部に熱交換媒体を組込むことに
より、加熱・冷却とも可能となり、温度調節できるよう
になる。
本発明の装置において配設されるガス供給手段の数
は、少なくとも形成しようとする機能性堆積膜の成分元
素数に等しいか、又はそれ以上であることが望ましい。
そして、夫々のガス供給手段はパイプ状のガス導入管で
構成され、その側面には1列又は複数列のガス放出口が
開けられている。前記ガス導入管を構成する材質として
はマイクロ波プラズマ中で損傷を受けることがないもの
が好適に用いられる。具体的にステンレススチール、ニ
ツケル、チタン、ニオブ、タンタル、タングステン、バ
ナジウム、ミリブデン等耐熱性金属及びこれらをアルミ
ナ、窒化ケイ素、石英等のセラミツクス上に溶射処理等
をしたもの、そしてアルミナ、窒素ケイ素、石英等のセ
ラミクス単体、及び複合体で構成されるもの等を挙げる
ことができる。
本発明の装置において、前記ガス供給手段は前記成膜
室の側壁を構成する帯状部材の幅方向と平行に配設さ
れ、前記ガス放出口は近接する帯状部材に向けられてい
る。
本発明の装置において用いられるガス供給手段の配置
を、以下図面を用いて具体的に説明するが、特にこれら
に限定されるわけではない。
第4図に本発明の装置におけるガス導入管の配置を示
す為の模式的側断面図を示した。なお、本図面において
は主要構成部材のみを示してある。
第4図に示す例は、柱状の成膜室401内にガス供給手
段としての3本のガス導入管106a、106b、106cを配設し
た場合の典型例であり、パイプ状のガス導入管106a、10
6b、106cは夫々成膜室401の中心Oからほぼ等距離で成
膜室の中心軸HH′を基準として図中に示したごとく
θ、θ、θの角度で帯状部材101の幅方向と平行
に配置されている。そして、ガス放出口402a、402b、40
2cは夫々近接する帯状部材101に向けられている。
本配置においてガス導入管106bは成膜室401の中心線H
H′上に配置されているが、所望により左右いずれにず
れた位置に配置されても良い。また、ガス導入管106a、
106b、106cの中心Oからの距離は夫々等しくても、また
互いに異なっていても良い。角度θ、θ、θはや
はり互いに等しくても、異なっていても良い。
ガス導入管106a、106b、106cの夫々には所望に応じて
適宜混合された堆積膜形成用原料ガスが独立に制御され
ながら導入される。
ガス放出口402a、402b、402cは、夫々のガス導入管の
側面上に一列に、ほぼ等間隔で開けられているが、ガス
導入量の増減に応じて、形成される堆積膜の幅方向の均
一性を向上させる為に間隔を適宜変化させても良い。
勿論、ガス導入管の数は2本であっても、4本以上で
あっても良い。
本発明の装置において、成膜室内で生起するマイクロ
波プラズマのプラズマ電位を制御する為に、前記ガス導
入管にバイアス電圧を印加しても良い。そして、複数の
ガス導入管に印加されるバイアス電圧は夫々等しくて
も、また互いに異なっていても良い。バイアス電圧とし
ては直流、脈流及び交流電圧を単独又は夫々を重畳させ
て印加させることが望ましい。
バイアス電圧を効果的に印加させるには、ガス導入管
及び帯状部材のいずれもがその表面が導電性であること
が望ましい。
バイアス電圧を印加し、プラズマ電位を制御すること
によって、プラズマの安定性、再現性及び膜特性の向
上、欠陥の発生の抑制が図られる。
〔装置例〕
以下、図面を用いて本発明の具体的装置例を挙げて説
明するが、本発明はこれらの装置例によって何ら限定さ
れるものではない。
装置例1 第1図は本発明の特徴である、移動する帯状部材をそ
の側壁にして構成される成膜室及びその周辺機構の典型
的な例を模式的に示す透視図である。
第1図において、101は帯状部材、102はマイクロ波を
投入するための同軸線路の中心導体、103はマイクロ波
透過性部材である誘電体管、104は成膜室、105は小孔、
106a,106b,106cはガス導入管であり、夫々に不図示のマ
スフローコントローラーを介して堆積膜形成用原料ガス
が独立して導入される。
プラズマ電位制御用のバイアス電圧を印加する場合に
は、該ガス導入管に直流又は交流電源等から導線を介し
て電圧を印加すれば良い。その際には該ガス導入管の一
部に絶縁性継手を揮入し、成膜空間側にのみにバイアス
電圧が印加される様に配慮するのが望ましい。107は真
空排気口、108は帯状部材支持外側ローラー、109は帯状
部材支持内側ローラー、110は成膜室のスリット状開口
部、111は開口部支持外側ローラー、112は開口部支持内
側ローラー、113は湾曲部支持内側リングである。
尚、第1図中の2つの矢印はそれぞれ原料ガスの流れ
を示す。
第1図において、帯状部材101で構成される成膜室104
は円柱状であり、該成膜室の回転軸上に同軸線路の中心
導体102を配設し、成膜室104の内部でこの中心導体102
と同軸状にマイクロ波透過性部材である誘電体管103を
配設する。この成膜室104は、開口部支持外側ローラー1
11と開口部支持内側ローラー112とで帯状部材101を挟み
込みながらその搬送方向を変え、外側に凸状になるよう
に湾曲させた帯状部材の周縁部に対向させて複数個配設
した湾曲部支持内側リング113を介して帯状部材101を支
持・搬送して円柱の側壁を構成させ、再び開口部支持外
側ローラー111と開口部支持内側ローラー112とで帯状部
材101を挟み込みながらその搬送方向を変えることによ
り、円柱状に形成することができる。また、前述のよう
に、帯状部材101の搬送中のねじれ・たるみ等を防止す
るため、帯状部材101の湾曲部以外の部分にも、帯状部
材支持外側ローラー108と帯状部材支持内側ローラー109
とで帯状部材101を挟み込みながら支持・搬送するよう
にする。
第1図において、帯状部材101で構成されるスリツト
状の開口部110は、開口支持外側ローラー111、開口部支
持内側ローラー112で帯状部材101を支持することにより
前記開口部の形状を維持させる。開口部支持内側ローラ
ー112は帯状部材101の周縁部のみと接触し、別に設けた
駆動機構(不図示)にて成膜室外部より前記帯状部材10
1を駆動させる。前記駆動機構に張力調整機構を設ける
ことによってたるみのない搬送を行うことができる。
第1図において、3本のガス導入管、106a,106b,106c
は、成膜室104の内部に配置され、その配置は第4図に
示す様に、誘電体管103と湾曲した帯状部材101とで形成
される柱状の成膜空間に配設され、ガス導入管106a、10
6b、106c上に設けられた多数の小穴105が帯状部材101に
向かう方向に配設する。
帯状部材101は接地されるが、前記柱状の成膜室の側
壁部分のほぼ全面にわたり均一に接地されることが好ま
しく、開口部支持外側ローラー111、開口部支持内側ロ
ーラー112、湾曲部支持内側リング113、及び前記帯状部
材101の側壁に接触する電気ブラシ(不図示)等を介し
て接地されるのが望ましい。
第1図で示した成膜室104の内部にマイクロ波電力を
導入する機構については第3図を用いて説明する。
第3図では、マイクロ波アンナテ手段の1例として同
軸線路について説明するが、リジターノ・コイル等のア
ンテナ手段であっても良い。
第3図において、301は方形導波管、302は同軸ブラン
ジヤー(可動終端)、303、304は電磁シールド部材、30
5は同軸ブランジヤー固定部材、306は円形チヨーク・フ
ランジ、307はマイクロ波透過性の高誘電率部材、308は
湾曲部支持内側リング、309はローラーまたはベアリン
グ、310は中心導体冷却気体導入口、311は小孔、312は
ストツパー、313は導波管同軸変換器である。
第3図に示したとおり、中心導体102は中空構造であ
って、その一端が成膜室104の内部に突入され、導波管
同軸変換器313を経て同軸線路の外部に出て、他端が中
心導体冷却気体導入口310となっている。中心導体102
は、ばね材でできた電磁シールド部材303、304及び不図
示の中心導体固定部材で電気的接触が良く保たれてい
る。中心導体固定部材は、例えば同軸プランジヤー固定
部材305と同一の構造で取付位置が中心導体の軸の回り
に90°回転した配置のものであっても良い。第3図で
は、この固定部材は単なるボルトで代用している。この
中心導体102のうち、電磁シールド部材304が接触してい
る近傍の部分を動かすことによって、中心導体102の成
膜室104内部への挿入長を同軸線路の外部から調節する
ことができる。
第3図において、同軸プランジヤー302は、図からも
明らかな様に前記同軸線路の外部から操作できる構造に
なっている。この同軸プランジヤー302には、ばね材に
より電気的接触を良好にする電磁シールド部材303が締
結又はスポツト溶接等で固定されている。この同軸プラ
ンジヤー302の中心には、中心導体102が貫通できる孔が
あいており、同軸プランジヤー302が中心導体102に沿っ
て滑らかにスライドできるよう、ばね材で構成される別
の電磁シールド部材303が接触部に設けられている。
さらに、中心導体102には途中で段差部を設けてお
き、例えばストツパー312等を設けて、マイクロ波透過
性の誘電体管103と中心導体102の終端が接触して前記誘
電体管103を破損しないように工夫した方が実用上便利
である。同様のストツパーを同軸プランジヤー302の他
端に設け、同軸プランジヤー302の終端面が導波管同軸
変換部313まではみ出さないようにする。この部分がは
み出すと、同軸プアンジヤー302と外側導体との接触を
良好にしている電磁シールド部材303に異常放電が生じ
やすく、場合によっては焼損して実用上支障をきたすこ
とになる。
第3図において、導波管同軸変換器313は、方形導波
管301の内部に102を中心導体とする同軸線路を貫入させ
ることによって形成される。
第3図において、方形導波管301は、不図示のエヴイ
ツク商会(株)製の2.45GHzのマイクロ波発振機と締結
されている。
第3図において、マイクロ波透過性の高誘電率部材30
7の形状は、大略円錐台で、円錐面上に冷却気体を排出
する孔が複数個設けられている。従って、中心導体冷却
気体は、中心導体冷却気体導入口310から中空構造の中
心導体102の中心を流れ、中心導体102の終端開口を経由
してマイクロ波透過誘電体管103の内面に沿って、マイ
クロ波透過性の高誘電率部材307の円錐面上に設けられ
た排出口を通って、方形導波管301の側壁に設けられた
複数の小孔311より排出される。
第3図において、帯状部材101は、その周縁部のみが
一対の湾曲部支持内側リング308で支持・搬送され、円
柱状空間を形成している。湾曲部支持内側リング308
は、その周囲に配置されたローラー(又はベアリング)
309によって回転自在に支持されており、いずれも接地
されている。該湾曲部支持内側リングは、第1図に示し
たような複数の小さなリングを対向させて帯状気体101
の周縁部に配設したものであっても良い。
第3図において、中心導体102は、誘電体管103によっ
て成膜室104内に生成されるプラズマから隔離されてい
る。該誘電体管103は、一端が半球状で閉管となってお
り他端には真空フランジを有し、その間が円筒になって
いて、該真空フランジで真空封止が可能な構造となって
いる。
第3図において、円形チヨーク・フランジ306は、前
記誘電体管103の真空フランジと密着するように締結さ
れ、該円形チヨーク・フランジ306と誘電体管103の真空
封止のための金属面との電気的接触が良くない場合でも
マイクロ波の漏洩が無い構造となっている。
本発明の装置は、上述のようなマイクロ波プラズマCV
D装置としての主要機構の他に、ロードロツク機構を補
助機構として具備している。
即ち、第5図のロードロツク機構を設けたことで堆積
膜に発生する欠陥の減少のみならず、保守性能も飛躍的
に向上した。以下にロードロツク機構の詳細について説
明する。
第5図において、501は交換用ロードロツク室、502は
ゲートバルブ、503は交換扉、504は真空排気口、は堆
積膜形成時の誘電体管と原料ガス導入管の所定の位置で
あり、はこれらの交換のために所定の位置から引き抜
かれた場合の位置を表す。
第5図において、中心導体102、誘電体窓103及び3本
のガス導入管106a、106b、106cをユニツトにして交換で
きるようになっっており、これらは、いずれの位置
でも各々固定できるよう不図示の固定部材が、各々
の位置に予め準備されている。また、位置から位置
まで前記ユニツトを移動するための不図示のアームも交
換用ロードロツク室501内に備えられている。真空排気
口504には、不図示の真空ポンプが接続され、交換用ロ
ードロツク室501の内部を真空引きできるようになって
いる。さらに、中心導体102及びガス導入管106a、106
b、106cは、どちらもゲートバルブ502付近で着脱できる
ような構造にしておく。第5図に示すロードロツク機構
は、第1図に示した成膜室104に対してゲートバルブ502
を介して隣接するように配置されている。
以上説明してきた本発明のマイクロ波プラズマCVD装
置を作動させるに当たっては、先ず、初期放電が生起し
易くさせることと、所望の堆積膜の形成を実施する放電
の状態に合わせて成膜室104に突入されていない部分の
同軸線路と成膜室104内部に突入されている部分の同軸
線路とがインピーダンスの整合がとれるように誘電体管
103の外径を予め調整・選択すること、という2つの設
定を行っておく。勿論、この設定を行なわくても本装置
の作動には支障が無い状態もあり得るが、本装置の機能
を最大限に発揮されるようにする為には、前記の設定が
重要である。
まず、前記の第一の設定である初期放電が生起し易く
させるには、前記成膜室内の圧力を上昇させたり、投入
するマイクロ波電力を増大させたり、テスラー・コイル
等で火花放電を起こせたりと様々な方法が公知となって
いる。本発明の装置では成膜室104が前述の半同軸共振
器を構成するようにすることで、前述の従来の初期放電
を生起し易くさせる方法に比較して、広い成膜圧力範囲
で長時間に亘って定常的に一定の放電を持続できるとい
うことが判明した。ここで、半同軸共振器を構成させる
には、誘電体管103が所定の位置に取り付けられた状態
で半同軸共振器となるように、HP8757Aスカラ・ネツト
ワーク・アナライザ(ヒユーレツト・パツカー社製)を
使って共振状態を確認しながら、予め中心導体102の成
膜室104内部への挿入長を調節すれば良い。
次に、前記第2の設定である誘電体管103の外径の調
整・選択は、成膜室104に突入されていない部分の同軸
線路と成膜室104内部に突入されている部分の同軸線路
とがインピーダンスの整合をとるように行えば良い。す
なわち、放電が生起した成膜室104内部には、プラズマ
密度に応じて等価的な同軸線路が形成されている。プラ
ズマ密度すなわちプラズマの複素誘電率は、主としてガ
ス混合比、ガス圧或は導入するマイクロ波電力誘電体管
の寸法等によって変化する。これら4つの変数は相互に
関連しているため、前述の成膜室に突入された同軸線路
と突入されない同軸線路とが整合状態となる誘電体管10
3の最適径は理論的には予想は困難である。従って、こ
の誘電体管103の外径の選択と放電後の中心導体102の成
膜室104内部への挿入長との調節とで実験的に整合状態
を確認すれば良い。
その具体例として後述する成膜例8の第8表に示す条
件の場合には、次のようになる。即ち、内径が40mmφの
成膜室においては、中心導体が6mmφ、外部導体が20mm
φの同軸線路であって誘電体管の外径を約1.8mmφと
し、中心導体の挿入長は452mmとするのが好ましい。ま
た、内径105mmφの成膜室においては、中心導体が15mm
φ、外部導体30mmφの同軸線路であって、誘電体管の外
径は約23mmφとし、中心導体の挿入長は455mmとするの
が好ましい。
以上説明した本発明のマイクロ波プラズマCVD装置を
作動させると、次のようになる。
第1図の成膜室104は、不図示の真空ポンプによりス
リツト状開口部110及び真空排気口107を介して真空引き
される。成膜室内部の圧力が1×10-6Torrに達した後、
不図示のマスフロー・コントローラーで夫々独立に流量
が制御された成膜用原料ガスを、3本のガス導入管106
a、106b、106cの夫々を介して成膜室104内に導入する。
この状態で成膜室内部の圧力が所定の圧力に達した後、
不図示の2.45GHzのマイクロ波発振機(例えば、エヴイ
ツク商会(株)製)にて発生させたマイクロ波電力を、
第3図に示す方形導波管301、導波管同軸変換器313、中
心導体102及びマイクロ波透過性の誘電体管103を介し
て、成膜室内部に投入する。マイクロ波電力を有効に利
用するには、公知の通り、マイクロ波のインピーダンス
の整合をとることが好ましい。本発明の装置において、
第3図に示す中心導体102の挿入長調節機構と同軸プラ
ンジヤー302がマイクロ波のインピーダンス整合機構と
して組込んである。これらのマイクロ波のインピーダン
ス整合機構のうち、前者の中心導体挿入長調節機構の方
が整合範囲が広いため、はじめに同軸或は導波管内部の
反射電力を監視する反射電力計で反射電力が極力小さく
なるよう、挿入長調節機構で調整し、引き続いて同軸プ
ランジヤー302で微調整してインピーダンスを整合させ
るのが好ましい。その結果、成膜室104内部にプラズマ
が生起される。このようにして発生したプラズマの作用
で、帯状部材101上に所望の高品質の組成物制御された
機能性堆積膜が形成される。
次に、補助機構である第5図に示すロードロツク機構
の作動手順を説明する。まず、中心導体102及びガス導
入管106a、106b、106cをゲートバルブ502付近で取り外
し、交換すべきマイクロ波透過性誘電体管103及びガス
導入管106a、106b、106cとを図中の位置からの位置
まで引き抜き、ゲートバルブ502を閉じる。次に、ロー
ドロツク室501をN2又はAr等の不活性ガスを用いて大気
圧に戻して交換扉503を開き、誘電体管103及びガス導入
管106a、106b、106cとを交換する。その後、交換扉503
を再び閉じて排気口504より不図示の排気ポンプを介し
て排気を行って前記ロードロツク室501と前記成膜室と
の圧力が等しくなったところでゲートバルブ502を開
き、誘電体管103及びガス導入管106a、106b、106cとを
の位置に戻し、中心導体102及びガス導入管106a、106
b、106cとをゲートバルブ502付近で再び接続する。そし
て堆積膜の形成を再開することができる。
以上のように、ロードロツク機構は装置の稼動率を高
めるのに重要な役割を持っているが、これとは別に第1
図の排気口107の位置にコンダクタンス調整機構を具備
すれば更に装置の稼動率は上り、設備の償却が早まるこ
とになる。
コンダクタンス調整機構は第6図に示すように回転可
能なコンダクタンス調整板601或はメツシユ構造をもつ
マイクロ波反射板602を設ける構造のものを利用し、初
期の真空引きの時には回転して全開とし、所定の圧力に
達した後に所望のコンダクタンスとなるよう回転位置を
決めて原料ガスを流せば良い。
また、他のコンダクタンス調整機構としては、第6図
で示される対向するローラー111及び112の位置を左右に
ずらし、効果的にスリツト状開口部110の面積を変えて
コンダクタンスを制御しても良い。
装置例2 本装置例は、第1図に示した成膜室を3室連結し、連
続的に移動する帯状部材上にn型半導体層、i型半導体
層、p型半導体層を連続的に順次積層堆積してpin型光
起電力素子を作製するのに好適なマイクロ波プラズマCV
D装置であり、第2図に模式的断面図概略図を示す。
第2図において、201は帯状部材、202は帯状部材搬入
室、203〜205は隔離容器、206はガス隔離通路、207は帯
状部材搬出室、208は帯状部材繰り出しローラー、209は
帯状部材回収(巻き上げ)ローラー、210は掃気ガス導
入口、211〜213は成膜室、214〜216はマイクロ波同軸線
路導入部、217〜225は排気口、226は帯状部材の温度制
御機構、227、228a、228b、228c、229はガス導入管、23
0は圧力計である。
第2図において、隔離容器203〜205には、不図示のゲ
ートバルブを介して装置例1で説明したロードロツク機
構が隣接して設置しても良い。また、帯状部材搬入室20
2及び帯状部材搬出室207にも同様のロードロツク機構を
設置しても良い。
第2図において帯状部材搬入室202に隣接して加熱室
を設置したり、帯状部材搬出室207の手前に冷却室を設
置したり、成膜室内部のプラズマからの熱の流入・流出
に応じて適宜冷却室や加熱室を本発明の装置に組込んで
も良い。
第2図に示した装置において、成膜室211〜213の内径
を変えることで帯状部材201の搬送速度が一定であって
も、積層形成される堆積膜の膜厚を夫々調整することが
出来る。
第2図において、ガス隔離通路206は、全ての隣接す
る隔離容器の間に設置され、その内部には排気ガス導入
口210を介して排気ガスが導入されるようになってい
る。
前記ガス隔離通路217は、隣り合う隔離容器間で相互
に使用している堆積膜形成用原料ガスが拡散しない機能
が求められる。その基本概念は米国特許第4,438,723号
に開示される手段を採用することができるが、本発明に
おいては、更にその能力が改善されなければならない。
その根拠は、本発明の成膜室の少なくとも1つにおいて
は10-2〜10-3Torr程度の圧力下で堆積膜が形成されるこ
とが望ましく、前記米国特許第4,438,723号で開示され
た成膜圧力よりも本発明における成膜圧力が低く、前記
原料ガスが容易に拡散しやすいためである。具体的には
最大106倍程度の圧力差に耐え得ることが必要であり、
排気ポンプとしては排気能力の大きい油拡散ポンプ、タ
ーボ分子ポンプ、メカニカルブースターポンプ等或はこ
れらの組合わせが好適に用いられる。
前記ガス隔離通路217はコンダクタンスを小さくして
隔離機能を高めるため、その断面形状は帯状部材の断面
とほぼ同程度の大きさと、ガス隔離通路217の全長を変
えることによって隔離能力を変えることができる。更
に、隔離能力を高めるためには掃気ガスを併用すること
が好ましく、そのようなガスとしてはAr、Ne、Kr、Xe等
の希ガスのようにターボ分子で排気しやすいガスや、H2
ガスのように油拡散ポンプで排気しやすいガス等が好適
である。前記ガス隔離通路内へ導入される最適な前記掃
気ガスの流量は、前記ガス隔離通路の形状、及び掃気ガ
スと堆積膜形成用原料ガスとの相互拡散係数でほぼ決定
されるが、実際には質量分析計等を用いて相互に拡散し
てくるガス量を測定し最適条件を決定するのが望まし
い。
この装置の作動に先立って、下部電極の形成等前処理
の終った帯状部材201を繰出しローラー208にセツトし、
各隔離容器203〜205の所定の経路を通して巻き上げロー
ラー209に巻きつける。その後、各成膜室の蓋を閉じ1
×10-6Torr程度まで真空引きして準備完了となる。この
とき使用する真空ポンプはロータリーポンプ、メカニカ
ルブースターポンプ、油拡散ポンプの組合わせである。
この装置を作動させると、次のようになる。帯状部材
201は一定の搬送速度で帯状部材搬入室202から送り出さ
れ加熱機構226で所定の温度に加熱され、次いで、隔離
容器203、204、205を介して堆積膜が3層積層形成さ
れ、冷却機構226で所定の温度まで冷却され、最後に巻
き上げローラー209で巻き上げられる。十分に冷却した
後、帯状部材搬出室207より堆積膜が積層形成された帯
状部材のロールが取り出される。
本発明の装置における巻き上げ機構に関して、 iv)巻上げ時に堆積した膜を保護すること、 v)膜の剥離を起こさないローラー形状とすること、 が機能として盛り込まれていることが望ましい。
具体的には、帯状201が巻き上げローラー209に巻取ら
れる際、帯状部材201と一緒にポリイミド系の不織紙
(いわゆる合紙)をはさみ込んで巻き上げるのが望まし
い。
前記合紙の材質としては150℃程度の耐熱性と柔軟性
とを有しているのが好ましく、また、膜の剥離を起こさ
ないためには、ローラー外径は好ましくは100mmφ以
上、より好ましくは300mmφ程度であることが望まし
い。
本発明の装置において、成膜室内の真空状態を保持し
たまま、帯状部材の交換を行える機構を併設すれば、成
膜室内が大気に曝されることがなくなり、成膜室内壁へ
の水分の吸着等を無くすことができ、安定して高品質の
半導体デバイスを形成することができる。
本発明の装置において、成膜室内の清掃は真空状態保
持のまま必要に応じドライエツチング等により実施する
ことができる。
本発明の方法及び装置によって好適に製造される半導
体デバイスの一例として太陽電池が挙げられる。その層
構成として、典型的な例を模式的に示す図を第9図
(A)乃至(D)に示す。
第9図(A)に示す例は、支持体901上に下部電極90
2、n型半導体層903、i型半導体層904、p型半導体層9
05、透明電極906及び集電電極907をこの順に堆積形成し
た光起電力素子900である。なお、本光起電力素子では
透明電極906の側より光の入射が行われることを前提と
している。
第9図(B)に示す例は、透光性の支持体901上に透
明電極906、p型半導体層905、i型半導体層904、n型
半導体層903及び下部電極902をこの順に堆積形成した光
起電力素子900′である。本光起電力素子では透光性の
支持体901の側より光の入射が行われることを前提とし
ている。
第9図(C)に示す例は、バンドギヤツプ及び/又は
層厚の異なる2種の半導体層をi層として用いたpin接
合型光起電力素子911、912を2素子積層して構成された
いわゆるタンデム型光起電力素子913である。901は支持
体であり、下部電極902、n型半導体層903、i型半導体
層904、p型半導体層905、n型半導体層908、i型半導
体層909、p型半導体層910、透明電極906及び集電電極9
07がこの順に積層形成され、本光起電力素子では透明電
極906の側より光の入射が行われることを前提としてい
る。
第9図(D)に示す例は、バンドギヤツプ及び/又は
層厚の異なる3種の半導体層をi層として用いたpin接
合型光起電力素子920、921、923を3素子積層して構成
された、いわゆるトリプル型光起電力素子924である。9
01は支持体であり、下部電極902、n型半導体層903、i
型半導体層904、p型半導体層905、n型半導体層914、
i型半導体層915、p型半導体層916、n型半導体層91
7、i型半導体層918、p型半導体層919、透明電極906及
び集電電極907がこの順に積層形成され、本光起電力素
子では透明電極906の側より光の入射が行われることを
前提としている。
なお、いずれの光起電力素子においてもn型半導体層
とp型半導体層とは目的に応じて各層の積層順を入れ変
えて使用することもできる。
以下、これらの光起電力素子の構成について説明す
る。
支持体 本発明において用いられる支持体901は、フレキシブ
ルであった湾曲形状を形成し得る材質のものが好適に用
いられ、導電性のものであっても、また電気絶縁性のも
のであってもよい。さらには、それらは透光性のもので
あっても、また非透光性のものであってもよいが、支持
体901の側より光入射が行われる場合には、もちろん透
光性であることが必要である。
具体的には、本発明において用いられる前記帯状部材
を挙げることができ、該基板を用いることにより、作製
される太陽電池の軽量化、強度向上、運搬スペースの低
減等が図れる。
電極 本光起電力素子においては、当該素子の構成形態によ
り適宜の電極が選択使用される。それらの電極として
は、下部電極、上部電極(透明電極)、集電電極を挙げ
ることができる。(ただし、ここでいう上部電極とは光
の入射側に設けられたものを示し、下部電極とは半導体
層を挟んで上部電極に対向して設けられたものを示すこ
ととする。) これらの電極について以下に詳しく説明する。
(i)下部電極 本発明において用いられる下部電極902としては、上
述した支持体901の材料が透光性であるか否かによっ
て、光起電力発生用の光を照射する面が異なる故(たと
えば支持体901が金属等の非透光性の材料である場合に
は、第9図(A)で示したごとく透明電極906側から光
起電力発生用の光を照射する。)、その設置される場所
が異なる。
具体的には、第9図(A)、(C)及び(D)のよう
な層構成の場合には支持体901とn型半導体層903との間
に設けられる。しかし、支持体901が導電性である場合
には、該支持体が下部電極を兼ねることができる。ただ
し、支持体901が導電性であってもシート抵抗値が高い
場合には、電流取り出し用の低抵抗の電極として、ある
いは支持体面での反射率を高め入射光の有効利用を図る
目的で電極902を設置してもよい。
第9図(B)の場合には透光性の支持体901が用いら
れており、支持体901の側から光が入射されるので、電
流取り出し及び当該電極での光反射用の目的で、下部電
極902が支持体901と対向して半導体層を挟んで設けられ
ている。
また、支持体901として電気絶縁性のものを用いる場
合には電流取り出し用の電極として、支持体901とn型
半導体層903との間に下部電極902が設けられる。
電極材料としては、Ag、Au、Pt,Ni、Cr、Cu、Al、T
i、Zn、Mo、W等の金属又はこれらの合金が挙げられ、
これ等の金属の薄膜を真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパ
ツタリング等で形成する。また、形成された金属薄膜は
光起電力素子の出力に対して抵抗成分とならぬように配
慮されねばならず、シート抵抗値として好ましくは50Ω
以下、より好ましくは10Ω以下であることが望ましい。
下部電極902とn型半導体層903との間に、図中には示
されてはいないが、導電性酸化亜鉛等の拡散防止層を設
けても良い。該拡散防止層の効果としては電極902を構
成する金属元素がn型半導体層中へ拡散するのを防止す
るのみならず、若干の抵抗値をもたらせることで半導体
層を挟んで設けられた下部電極902と透明電極906との間
にピンホール等の欠陥で発生するシヨートを防止するこ
と、及び薄膜による多重干渉を発生させ入射された光を
光起電力素子内に閉じ込める等の効果を挙げることがで
きる。
(ii)上部電極(透明電極) 本発明において用いられる透明電極906としては太陽
や白色蛍光等からの光を半導体層内に効率良く吸収させ
るために光の透過率が85%以上であることが望ましく、
さらに、電気的には光起電力素子の出力に対して抵抗成
分とならぬようにシート抵抗値は100Ω以下であること
が望ましい。このような特性を備えた材料としてSnO2
In2O3、ZnO、CdO、Cd2SnO4、ITO(In2O3+SnO2)などの
金属酸化物やAu、Al、Cu等の金属を極めて薄く半透明状
に成膜した金属薄膜等が挙げられる。透明電極は第9図
(A)、(C)、(D)においてはp型半導体層805層
の上に積層され、第9図(B)においては基板901の上
に積層されるものであるため、互いの密着性の良いもの
を選ぶことが必要である。これらの作製方法としては、
抵抗加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法、スパツタリン
グ法、スプレー法等を用いることができ所望に応じて適
宜選択される。
(iii)集電電極 本発明において用いられる集電電極907は、透明電極9
06の表面抵抗値を低減させる目的で透明電極906上に設
けられる。電極材料としてはAg、Cr、Ni、Al、Ag、Au、
Ti、Pt、Cu、Mo、W等の金属またはこれらの合金の薄膜
が挙げられる。これらの薄膜は積層させて用いることが
できる。また、半導体層への光入射光量が十分に確保さ
れるよう、その形状及び面積が適宜設計される。
例えば、その形状は光起電力素子の受光面に対して一
様に広がり、且つ受光面積に対してその面積は好ましく
は15%以下、より好ましくは10%以下であることが望ま
しい。
また、シート抵抗値としては、好ましくは50Ω以下、
より好ましくは10Ω以下であることが望ましい。
i型半導体層 本発明によって作製される光起電力素子において好適
に用いられるi型半導体層を構成する半導体材料として
は、A-Si:H、A-Si:F、A-Si:H:F、A-SiC:H、A-SiC:F、A-
SiC:H:F、A-SiGe:H、A-SiGe:F、A-SiGe:H:F、poly-Si:
H、poly-Si:F、poly-Si:H:F等いわゆるIV族及びIV族合
金系半導体材料の他、II-VI族及びIII-V族のいわゆる化
合物半導体材料等が挙げられる。
中でもA-SiGe:H、A-SiGe:F、A-SiGe:H:F、A-SiC:H、A
-Si:F、A-SiC:H:F等の所謂IV族合金系半導体をi型半導
体層に用いる場合には光の入射側からの禁制帯幅(バン
ドギヤツプ:Egopt)を適宜変化させることにより、開
放電圧(Voc)、曲線因子(FF:fill factor)が大幅に
改善されることが提案されている。(20th IEEE PVSC、
1988、A NOVEL DESIGN FOR AMORPHOUS SILICON SOLARSE
LLS、S.Guha.J.Yang et al.) 第10図(a)乃至第10図(d)にバンドギヤツププロ
フアイルの具体例を示した。図中→印は光の入射側を表
わしている。
第10図(a)に示したバンドギヤツププロフアイルは
光の入射側よりバンドギヤツプが一定のものである。第
10図(b)に示したバンドギヤツププロフアイルは光の
入射側のバンドギヤツプが狭く、徐々にバンドギヤツプ
が広がるタイプのものでありFFの改善に効果がある。第
10図(c)に示したハンドギヤツププロフアイルは光の
入射側のバンドギヤツプが広く、徐々にバンドギヤツプ
が狭くなるタイプのものでありVocの改善に効果があ
る。第10図(d)に示したバンドギヤツププロフアイル
は光の入射側のバンドギヤツプが広く、比較的急峻にバ
ンドギヤツプが狭まり、再び広がっていくタイプのもの
であり、第10図(b)と第10図(c)とを組み合わせて
両者の効果を同時に得ることができる。
本発明の方法及び装置により、例えば、A-Si:H(Eg
opt=1.72eV)とA-SiGe:H(Egopt=1.45eV)とを用いて
第10図(d)に示すバンドギヤツププロフアイルをもつ
i型半導体層を作製することが出来る。また、A-SiC:H
(Egopt=2.05eV)とA-Si:H(Egopt=1.72eV)とを用い
て、第10図(c)に示すバンドギヤツププロフアイルを
もつi型半導体層を作製することが出来る。
また、本発明の方法及び装置により第11図(a)乃至
第11図(d)に示すドーピングプロフアイルをもつ半導
体層を作製することが出来る。図中→印は光の入射側を
表わしている。
第11図(a)はノンドープのi型半導体層のプロフア
イルである。これに対し、第11図(b)は光の入射側の
フエルミレベルが価電子帯寄りで徐々にフエルミレベル
が伝導帯に寄るタイプのものであり、光発生キヤリアの
再結合を防ぎ、キヤリアの走行性を高めるのに効果があ
る。第11図(c)は光の入射側よりフエルミレベルが徐
々に価電子帯に寄るタイプのものであり、光の入射側に
n型半導体層を設けた場合に第11図(b)の場合と同様
の効果がある。第11図(d)は、光の入射側よりほぼ連
続的にフエルミレベルが価電子帯により、伝導帯に変化
しているタイプのものである。
これらは第10図(a)に示した光の入射側よりバンド
ギヤツプが一定の場合を例示しているが、第10図(b)
乃至第10図(d)に示すバンドギヤツププロフアイルの
場合においても同様にフエルミレベルを制御することが
できる。
これらのバンドギヤツププロフアイルおよびフエルミ
レベルプロフアイルの設計を適宜行うことにより、高光
電変換効率の光起電力素子を作製することが出来る。特
に、これらのプロフアイルは第9図(c)乃至第9図
(d)に示したタンデム型又はトリプル型光起電力素子
のi型半導体層に適用されるのが望ましい。
p型半導体層及びn型半導体層 本光起電力素子において好適に用いられるp型又はn
型半導体層を構成する半導体材料としては前述したi型
半導体層を構成する半導体材料に価電子制御剤をドーピ
ングすることによって得られる。勿論、第11図(a)乃
至(d)に示すドーピングプロフアイルをもつ様に形成
されても良い。
〔製造例〕
以下、本発明のマイクロ波プラズマCVD装置を用いて
の具体的製造例を示すが、本発明はこれらの製造例によ
って何ら限定されるものではない。
製造例1 装置例2で示した連続式マイクロ波プラズマCVD装置
(第2図)を用い、アモルフアスシリコンゲルマニウム
膜の連続堆積を行った。
まず、帯状部材送り出し機構を有する帯状部材搬入室
202に、十分に脱脂、洗浄を行ったSUS430BA製帯状部材
(幅46cm×長さ100m×厚さ0.2mm)の巻きつけられた帯
状部材繰り出しローラー208をセツトし、該帯状部材201
をガス隔離通路206及び各隔離容器203乃至205中の開口
部支持外側ローラー111、開口部支持内側ローラー112、
及び湾曲部支持内側リング113を介して、帯状部材回収
ローラー209の配設された帯状部材排出室207まで通し、
たるみのない程度に張力調整を行った。帯状部材の湾曲
形状、ガス導入管の配置等の条件を第6表に示した。
そこで、帯状部材搬入室201、帯状部材搬出室207、及
び隔離容器203〜205を不図示のロータリーポンプで荒引
きし、次いで不図示のメカニマルブースターポンプを起
動させ10-3Torr付近まで真空引きした後、更に隔離容器
204内に配置された温度制御機構226のみを動作させ、基
板表面温度を270℃に保持しつつ、不図示の油拡散ポン
プ(バリアン製HS-32)にて5×10-6Torr以下まで真空
引きした。
十分に脱ガスが行われた時点で、第7表に示す条件で
夫々のガス導入管より、堆積膜形成用原料ガスを導入
し、前記油拡散ポンプに取り付けられたスロツトルバル
ブの開度を調整して成膜室212内の圧力を22mTorrに保持
した。このとき、隔離容器204内の圧力は8mTorrであっ
た。圧力が安定したところで、不図示のマイクロ波電源
より、実効パワーで0.8kWのマイクロ波を中心導体102よ
り放射させた。直ちに、導入された原料ガスはプラズマ
化し、成膜室212内にプラズマ領域を形成した。
そこで開口部支持外側ローラー111、開口部支持内側
ローラー112、及び湾曲部支持内側リング113(いずれも
駆動機構は不図示)を起動し、前記帯状部材の搬送速度
が40cm/minとなるように制御した。搬送を開始してもプ
ラズマは安定しており、特に変化は認められなかった。
尚、ガス隔離通路206には排気ガス導入口210より排気
ガスとしてH2ガスを50sccm流した。搬送を開始してから
30分間、連続して堆積膜の形成を行った。なお、長尺の
帯状部材を用いているため、本成膜例の終了後、引き続
き他の堆積膜の形成を実施し、すべての堆積終了後、前
記帯状部材を冷却して取り出し、本成膜例において形成
された帯状部材上の堆積膜膜圧分布を幅方向及び長手方
向について測定したところ5%以内に納まっており、堆
積速度は平均35Å/secであった。
堆積膜の形成された基板の一部を任意に6ケ所切り出
し、SIMS(CAMECA社製ims-3f)を用いて堆積膜の深さ方
向の組成分析を行った所、夫々第12図に示すデプスプロ
フアイルが得られ、ほぼ第10図(b)に示すバンドギヤ
ツププロフアイルが形成されていることが判かった。ま
た、金属中水素分析計(EMGA-1100、堀場製作所製)を
用いて膜中全水素量を定量したところ18±2atomic%で
あった。
製造例2 製造例1において実施した堆積膜形成工程にひき続
き、用いた原料ガスの導入を止め、隔離容器204の内圧
を5×10-6Torr以下まで真空引きした後、第8表に示す
条件で夫々のガス導入管より堆積膜形成用原料ガスを導
入し、内圧を23mtorrに保持し、マイクロ波電力を0.9kW
とした以外は同様の条件で堆積膜を連続形成した。
本製造例及び他の製造例終了後、基板を冷却して取り
出し、本製造例において形成された堆積膜の膜厚分布を
幅方向及び長手方向について測定したところ、5%以内
に納まっており、堆積速度は平均48Å/secであった。
堆積膜の形成された基板の一部を任意に6ケ所切り出
し、SIMS(CAMECA社製ims-3f)を用い堆積膜の深さ方向
の組成分析を行った所、夫々第13図に示すデプスプロフ
アイルが得られ、ほぼ第10図(d)に示すバンドギヤツ
ププロフアイルが形成されていることが判かった。ま
た、金属中水素分析計(EMGA-1100、堀場製作所製)を
用いて膜中全水素量を定量したところ17±2atomic%で
あった。
製造例3 製造例1において実施した堆積膜形成工程にひき続
き、用いた原料ガスの導入を止め、隔離容器204の内圧
を5×10-6Torr以下まで真空引きした後、第9表に示す
条件で夫々のガス導入管より堆積膜形成用原料ガスを導
入し、内圧を26mTorrに保持し、マイクロ波電力を1.5kW
とし、搬送速度を35cm/minとした以外は同様の条件で堆
積膜を連続形成した。
本製造例及び他の製造例終了後、基板を冷却して取り
出し、本製造例において形成された堆積膜の膜厚分布を
幅方向及び長手方向について測定したところ、5%以内
に納まっており、堆積速度は平均52Å/secであった。
堆積膜の形成された基板の一部を任意に6ケ所切り出
し、SIMS(CAMECA社製ims-3f)を用い堆積膜の深さ方向
の組成分析を行った所、夫々第14図に示すデプスプロフ
アイルが得られ、ほぼ第10図(c)に示すバンドギヤツ
ププロフアイルが形成されていることが判かった。ま
た、金属中水素分析計(EMGA-1100、堀場製作所製)を
用いて膜中全水素量を定量したところ14±2atomic%で
あった。
製造例4 製造例1において実施した堆積膜形成工程と同様に隔
離容器204の内圧を5×10-6Torr以下まで真空引きした
後、第10表に示す条件で夫々のガス導入管より堆積膜形
成用原料ガスを導入し、内圧を24mTorrに保持し、マイ
クロ波電力を1.2kWとした以外は同様の条件で堆積膜を
形成した。
本製造例及び他の製造例終了後、基板を冷却して取り
出し、本製造例において形成された堆積膜の膜厚分布を
幅方向及び長手方向について測定したところ、5%以内
に納まっており、堆積速度は平均110Å/secであった。
堆積膜の形成された基板の一部を任意に6ケ所切り出
し、SIMS(CAMECA社製ims-3f)を用い堆積膜の深さ方向
の組成分析を行った所、夫々第15図に示すデプスプロフ
アイルが得られ、ほぼ第11図(b)に示すドーピングプ
ロフアイルが形成されていることが判かった。また、金
属中水素分析計(EMGA-1100、堀場製作所製)を用いて
膜中全水素量を定量したところ18±2atomic%であっ
た。
製造例5 本製造例においては、第9図(A)の断面模式図に示
す層構成のpin型光起電力素子を第2図に示す装置を用
いて作製した。
該光起電力素子は、基板901上に下部電極902、n型半
導体層903、第10図(d)に示すバンドギヤツププロフ
アイルを有するi型半導体層904、p型半導体層905、透
明電極906及び集電電極907をこの順に堆積形成した光起
電力素子900である。なお、本光起電力素子では透明電
極906の側より光の入射が行われることを前提としてい
る。
まず、製造例1で用いたのと同様のSUS430BA製帯状基
板を連続スパツタ装置にセツトし、Ag(99.99%)電極
をターゲツトとして用いて1000ÅのAg薄膜を、また連続
してZnO(99.999%)電極をターゲツトとして用いて1.2
μmのZnOの薄膜をスパツタ蒸着し、下部電極902を形成
した。
ひき続き、該下部電極902の形成された帯状基板を第
2図で示した連続堆積膜形成装置に、製造例1で行った
のと同様の要領でセツトした。この時の隔離容器204内
における基板の湾曲形状等の条件を第11表に示す。ま
た、第12表に示す条件で夫々のガス導入管より堆積膜形
成用原料ガスを導入した。
また、隔離容器203、205においては、第13表に示す堆
積膜形成条件でn型A-Si:H:F膜及びp+型μc-Si:H:F膜の
形成を行った。
まず、各々の成膜室内でマイクロ波プラズマを生起さ
せ、放電等が安定したところで帯状部材201を搬送スピ
ード41cm/minで図中左側から右側方向へ搬送させ、連続
してn、i、p型半導体層を積層形成した。
帯状部材201の全長に亘って半導体層を積層形成した
後、冷却後取り出し、更に、連続モジユール化装置にて
35cm×70cmの太陽電池モジユールを連続作製した。
作製した太陽電池モジユールについて、AM1.5(100mW
/cm2)光照射下にて特性評価を行ったところ、光電変換
効率で7.5%以上が得られ、更にモジユール間の特性の
バラツキは5%以内に納まっていた。
また、AM1.5(100mW/cm2)光の500時間連続照射後の
光電変換効率の初期値に対する変化率を測定したところ
9.5%以内に納まった。
これらのモジユールを接続して5kWの電力供給システ
ムを作製することができた。
製造例6 本製造例では、製造例5で作製したpin型光起電力素
子において、i型半導体層としてのA-SiGe:H:F膜のかわ
りに第10図(c)に示すバンドギヤツププロフアイルを
有するA-SiC:H:F膜を用いた例を示す。
A-SiC:H:F膜は、第14表に示す条件で夫々のガス導入
管より堆積膜形成用原料ガスを導入し、帯状部材の表面
温度を250℃、内圧を36mTorrに保持し、マイクロ波電力
を1.6kWとして形成した。そして、搬送速度を45cm/min
とした以外は製造例5で行ったのと同様の操作及び方法
で他の半導体層の形成及びモジユール化を行い、太陽電
池モジユールを作製した。
作製した太陽電池モジユールについて、AM1.5(100mW
/cm2)光照射下にて特性評価を行ったところ、光電変換
効率で6.8%以上が得られ、更にモジユール間の特性の
バラツキは5%以内に納まっていた。
また、AM1.5(100mW/cm2)光の500時間連続照射後の
光電変換効率の初期値に対する変化率を測定したところ
9.5%以内に納まった。
これらのモジユールを接続して5kWの電力供給システ
ムを作製することができた。
製造例7 本製造例では、製造例5で作製したpin型光起電力素
子において、i型半導体層としてのA-SiGe:H:F膜のかわ
りに第11図(b)に示すフエルミレベルプロフアイルを
有するA-Si:H:F膜を用いた例を示す。
A-Si:H:F膜は、第15表に示す条件で夫々のガス導入管
より堆積膜形成用原料ガスを導入し、帯状部材の表面温
度を270℃、内圧を45mTorrに保持し、マイクロ波電力を
2.5kWとして形成した。そして搬送速度を50cm/minとし
た以外は製造例5で行ったのと同様の操作及び方法で他
の半導体層の形成及びモジユール化を行い、太陽電池モ
ジユールを作製した。
作製した太陽電池モジユールについて、AM1.5(100mW
/cm2)光照射下にて特性評価を行ったところ、光電変換
効率で8.5%以上が得られ、更にモジユール間の特性の
バラツキは5%以内に納まっていた。
また、AM1.5(100mW/cm2)光の500時間連続照射後の
光電変換効率の初期値に対する変化率を測定したところ
9.5%以内に納まった。
これらのモジユールを接続して5kWの電力供給システ
ムを作製することができた。
製造例8 本製造例では、第9図(C)に示す層構成の光起電力
素子を作製した。作製にあたっては、第2図に示す装置
において隔離容器203、204、205と同様の構成の隔離容
器203′、204′、205′をこの順でガスゲートを介して
更に接続させた装置(不図示)を用いた。
なお、帯状部材としては製造例1で用いたのと同様の
材質及び処理を行ったのを用い、下部セルは製造例5
で、上部セルは製造例7で作製したのと同様の層構成と
し、また、各半導体層の作製条件は帯状部材の表面温度
を帯状部材側より270℃、260℃、260℃、250℃、250
℃、240℃とした以外は各製造例の場合と同様とした。
モジユール化工程は製造例5と同様の操作及び方法で行
い、太陽電池モジユールを作製した。
作製した太陽電池モジユールについて、AM1.5(100mW
/cm2)光照射下にて特性評価を行ったところ、光電変換
効率で10.4%以上が得られ、更にモジユール間の特性の
バラツキは5%以内に納まっていた。
また、AM1.5(100mW/cm2)光の500時間連続照射後の
光電変換効率の初期値に対する変化率を測定したところ
9%以内に納まった。
これらのモジユールを接続して5kWの電力供給システ
ムを作製することができた。
製造例9 本製造例では、第9図(C)に示す層構成の光起電力
素子を作製した。作製にあたっては、第2図に示す装置
において隔離容器203、204、205と同様の構成の隔離容
器を203′、204′、205′をこの順でガスゲートを介し
て更に接続させた装置(不図示)を用いた。
なお、帯状部材としては製造例1で用いたのと同様の
材質及び処理を行ったものを用い、下部セルは製造例7
で、上部セルは製造例6で作製したのと同様の層構成と
し、また、各半導体層の作製条件は帯状部材の表面温度
を帯状部材側より270℃、270℃、260℃、250℃、240
℃、240℃とした以外は各製造例の場合と同様とした。
モジユール化工程は製造例5と同様の操作及び方法で行
い、太陽電池モジユールを作製した。
作製した太陽電池モジユールについて、AM1.5(100mW
/cm2)光照射下にて特性評価を行ったところ、光電変換
効率で10.3%以上が得られ、更にモジユール間の特性の
バラツキは5%以内に納まっていた。
また、AM1.5(100mW/cm2)光の500時間連続照射後の
光電変換効率の初期値に対する変化率を測定したところ
9%以内に納まった。
これらのモジユールを接続して5kWの電力供給システ
ムを作製することができた。
製造例10 本製造例では、第9図(D)に示す層構成の光起電力
素子を作製した。作製にあたっては、第4図に示す装置
において隔離容器203、204、205と同様の構成の隔離容
器203′、204′、205′、203″、204″、205″をこの順
でガスゲートを介して更に接続させた装置(不図示)を
用いた。
なお、帯状部材としては製造例1で用いたのと同様の
材質及び処理を行ったものを用い、下部セルは製造例5
で、中間セルは製造例7、上部セルは製造例6で作製し
たのと同様の層構成とし、各半導体層の堆積膜作製条件
は第16表乃至第17表に示した。モジユール化工程は製造
例5と同様の操作及び方法で行い、太陽電池モジユール
を作製した。
作製した太陽電池モジユールについて、AM1.5(100mW
/cm2)光照射下にて特性評価を行ったところ、光電変換
効率で10.6%以上が得られ、更にモジユール間の特性の
バラツキは5%以内に納まっていた。
また、AM1.5(100mW/cm2)光の500時間連続照射後の
光電変換効率の初期値に対する変化率を測定したところ
8.5%以内に納まった。
これらのモジユールを接続して5kWの電力供給システ
ムを作製することができた。
〔発明の効果の概要〕
本発明の方法によれば、成膜空間の側壁を構成する帯
状部材を連続的に移動せしめると共に、該成膜空間内に
組成の異なる2種以上の堆積膜形成用原料ガスを、夫々
複数のガス供給手段を介して別々に導入し、前記成膜空
間の側壁を構成する帯状部材の幅方向に平行になるよう
にマイクロ波アンテナ手段を該成膜空間に突入させ、該
マイクロ波アンテナ手段からマイクロ波の進行方向に対
して垂直な全方向にマイクロ波エネルギーを放射し、前
記成膜空間内にマイクロ波プラズマを閉じ込めることに
よって、大面積の組成制御された機能性堆積膜を連続し
て、再現性良く形成することができる。
また、本発明の方法及び装置により連続して移動する
帯状部材上に任意のバンドキヤツプフアイル及びドーピ
ングプロフアイルを有する機能性堆積膜を効率良く、連
続して形成できる。
本発明の方法及び装置により、マイクロ波プラズマを
前記成膜空間内に閉じ込めることにより、マイクロ波プ
ラズマの安定性、再現性が向上すると共に堆積膜形成用
原料ガスの利用効率を飛躍的に高めることができる。更
に、前記帯状部材を連続して搬送させることによって、
湾曲の形状、長さ、及び搬送スピードを種々変化させる
ことによって任意の組成分布及び膜厚の堆積膜を大面積
に亘り均一性よく、連続して堆積形成できる。
本発明の方法及び装置によれば、比較的幅広で、且つ
長尺の帯状部材の表面上に連続して均一性良く組成制御
された機能性堆積膜を形成できる。従って、特に高効率
の大面積太陽電池の量産機として好適に用いることがで
きる。
また、放電を止めることなく、連続して堆積膜が形成
できるため、積層型デバイス等を作製するときには良好
な界面特性が得られる。
また、低圧下での堆積膜形成が可能となり、ポリシラ
ン粉の発生を抑えられ、また、活性種のポリマリゼーシ
ヨン等も抑えられるので欠陥の減少及び、膜特性の向
上、膜特性の安定性の向上等が図れる。
従って、稼動率、歩留りの向上が図れ、安価で高効率
の太陽電池を量産化することが可能となる。
更に、本発明の方法及び装置によって作製された太陽
電池は光電変換効率が高く、且つ、長期に亘って特性劣
化の少ないものとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の装置のうち成膜室及びその周辺機構の
透視説明図、第2図は、pin型光起電力素子を作製する
のに好適なマイクロ波プラズマCVD装置の模式的側断面
図、第3図は、マイクロ波同軸線路の詳細説明図、第4
図は、第3図のA−A′断面図、第5図は、誘電体管及
び原料ガス導入管の交換機構説明図、第6図は、成膜室
排気口動作説明図、第7図、第8図は、成膜結果評価例
のデータ、第9図(A)乃至(D)は、本発明において
作製されるpin型光起電力素子(シングル、タンデム、
トリプル)の断面模式図である。第10図(a)乃至
(d)は、本発明によって形成される堆積膜のバンドキ
ヤツププロフアイルを説明するための図である。第11図
(a)乃至(d)は、本発明によって形成される堆積膜
のドーピングプロフアイルを説明するための図である。
第12図乃至第15図は、本発明の製造例1乃至4に於て形
成された堆積膜の成分元素のデプロスプロフアイルを示
す図である。第16図、第17図は、従来のマイクロ波アン
テナ方式の模式図である。 第1図乃至第17図の夫々について、 101……帯状部材、102……中心導体、103……誘電体
管、106a、106b、106c……ガス導入管、110……スリツ
ト状開口部、113……湾曲部支持内側リング、201……帯
状部材、203〜205……隔離容器、206……ガス隔離通
路、210……排気ガス導入口、211〜213……成膜室、214
〜216……マイクロ波同軸線路導入部、217〜225……排
気口、226……温度調整機構、227、228a、228b、228c、
229……ガス導入管、230……圧力計、301……方形導波
管、302……同軸プランジヤ、901……支持体、902……
下部電極、903、908、914、917……n型半導体層、90
4、909、915、918、i型半導体層、900、900′、911、9
12、920、921、923……pin接合型光起電力素子、905、9
10、916、919……p型半導体層、906……上部電極、907
……集電電極、913……タンデム型光起電力素子、924…
…トリプル型光起電力素子、1601……反応容器、1602…
…ロツド・アンテナ、1609……マイクロ波透過部材、17
01……反応容器、1704……同軸線路、1705……外部導体
に設けられた間隙、1706……筒体。

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長手方向に帯状部材を移動せしめ、その中
    途で前記帯状部材上を側壁とする成膜空間を形成し、該
    形成された成膜空間内に組成の異なる少なくとも2種以
    上の堆積膜形成用原料ガスのそれぞれを複数のガス供給
    手段を介して別々に導入し、同時に、該成膜空間内に配
    置されたマイクロ波透過部材に包囲されたマイクロ波ア
    ンテナ手段を介してマイクロ波の進行方向に対して垂直
    な全方向に均一にマイクロ波を放射させて該成膜空間内
    にマイクロ波電力を投入して前記成膜空間内にマイクロ
    波プラズマを生起せしめ、 該マイクロ波プラズマに曝される前記側壁を構成する該
    帯状部材上に堆積膜を形成することを特徴とするマイク
    ロ波プラズマCVD法による堆積膜形成方法。
  2. 【請求項2】前記帯状部材の中途において、湾曲開始端
    形成手段と湾曲終了端形成手段とを用いて、前記湾曲開
    始端形成手段と前記湾曲終了端形成手段との間に、前記
    帯状部材の長手方向に間隙を残して該帯状部材を湾曲さ
    せて前記成膜空間の側壁を形成する請求項1に記載の堆
    積膜形成方法。
  3. 【請求項3】前記帯状部材は、その線膨張係数が堆積さ
    れる前記堆積膜の線膨張係数より大きく、該帯状部材は
    前記成膜空間内で加熱され、前記成膜空間の外部におい
    て室温まで冷却される時、該帯状部材は平面に展開して
    冷却するかあるいは前記堆積膜が形成された面が外側と
    なるように巻取って冷却することを含む請求項1に記載
    の堆積膜形成方法。
  4. 【請求項4】前記帯状部材を側壁として形成される成膜
    空間の対向する両側面のうちのいずれか一方より、前記
    成膜空間内に前記マイクロ波アンテナ手段を突入させて
    マイクロ波エネルギーを前記成膜空間内に放射又は伝達
    させる請求項1に記載の堆積膜形成方法。
  5. 【請求項5】前記マイクロ波透過部材によって前記マイ
    クロ波アンテナ手段は前記成膜空間内に生起されるプラ
    ズマから分離される請求項1に記載の堆積膜形成方法。
  6. 【請求項6】前記ガス供給手段を各々前記側壁を構成す
    る帯状部材の幅方向と平行に配設し、前記堆積膜形成用
    原料ガスを、近接する帯状部材に向けて一方向に放出さ
    せるようにする請求項1に記載の堆積膜形成方法。
  7. 【請求項7】前記帯状部材の前記マイクロ波プラズマに
    さらされる側の面には少なくとも導電処理が施されてい
    る請求項1に記載の堆積膜の形成方法。
  8. 【請求項8】長手方向に帯状部材を移動せしめ、その中
    途で前記帯状部材上に堆積膜を形成する堆積膜形成装置
    であって、 該帯状部材を支持するため長手方向にそれ等の間に所定
    の空間を空けて互いに平行に配されているローラーの組
    によって送り出し機構から巻き取り機構に長手方向に移
    動する途中に設けられ、該帯状部材が壁として機能して
    形成される成膜空間を形成するため該帯状部材を支持す
    る成膜空間形成手段と、 マイクロ波の進行方向に対して垂直な全方向に均一にマ
    イクロ波を放射させるために該成膜空間内に配置された
    マイクロ波透過部材に包囲されているマイクロ波アンテ
    ナ手段と、 前記成膜空間内部を排気するための排気手段、 前記成膜空間内に堆積膜形成用原料ガスを導入するため
    の少なくとも2つ以上のガス供給手段と、 前記帯状部材を加熱又は冷却するための温度制御手段
    と、 とを有することを特徴とする堆積膜形成装置。
  9. 【請求項9】前記マイクロ波アンテナ手段は同軸線路で
    あり、前記マイクロ波透過部材は中心導体とその周りに
    設けられたマイクロ波透過部材を有する請求項8に記載
    の堆積膜形成装置。
  10. 【請求項10】前記ローラーは前記帯状部材を湾曲させ
    る湾曲部形成手段を構成し、該湾曲部形成手段を、少な
    くとも一組以上の、湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形
    成手段とで構成し、前記湾曲開始端形成手段と前記湾曲
    終了端形成手段との間に前記成膜空間が設けられる請求
    項8に記載の堆積膜形成装置。
  11. 【請求項11】前記成膜空間形成手段は前記ローラーの
    組と該ローラーの間に配された支持搬送リングからなる
    請求項8に記載の堆積膜形成装置。
  12. 【請求項12】前記マイクロ波アンテナ手段が、前記成
    膜空間の側面のうちいずれか一方より前記成膜室内に前
    記帯状部材の幅方向とほぼ平行となるように突入されて
    いる請求項8に記載の堆積膜形成装置。
  13. 【請求項13】前記マイクロ波透過部材が回転対称形で
    ある請求項8に記載の堆積膜形成装置。
  14. 【請求項14】前記マイクロ波透過部材が円筒状、円錐
    台状、又は円錐状の形状である請求項13に記載の堆積膜
    形成装置。
  15. 【請求項15】前記同軸線路上に少なくとも2つの同調
    手段が配設される請求項9に記載の堆積膜形成装置。
  16. 【請求項16】前記2つの同調手段のうち1つが前記成
    膜空間内に突入されたマイクロ波アンテナ手段の中心導
    体の挿入長調整機構である請求項15に記載の堆積膜形成
    装置。
  17. 【請求項17】前記ガス供給手段を各々前記側壁を構成
    する帯状部材の幅方向と平行に配設されている請求項8
    に記載の堆積膜形成装置。
  18. 【請求項18】前記ガス供給手段には近接する前記側壁
    を構成する帯状部材に向けられたガス放出孔を配設する
    請求項17に記載の堆積膜形成装置。
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